2014年03月04日

◆始まった朝日集団的自衛権風評化作戦

杉浦 正章



生身魂(いきみたま)もデマゴーグに参戦


秘密保護法をめぐる一部マスコミの論調は「風評」と「デマゴーグ」という言論史上まれに見る卑劣な報道を選択したが、結局デマはデマに終わった。その証拠に法案は成立しても「警察国家」は影すら見えない。


ところが今度は朝日を中心に集団的自衛権の解釈変更をめぐって、再び「風評・デマ」戦術がとられる流れとなることが確実視される。3日の朝日の社説がまさにその皮切りとなるものである。


今回は独断専行のキャッチフレーズ戦だ。その際たるものは「日本が攻撃されないのに交戦国になる」だ。専門家はすぐに荒唐無稽(むけい)のデマと見破るが、一般国民や創価学会婦人部レベルがすぐに「そうだったのか」と信用してしまう類いだ。


政府は、秘密保護法でデマに押されっぱなしであったが、国会答弁は言うまでもなく国民への説明もふんどしを締め直して理論武装する必要がある。


朝日の社説は、レベルの低い論説記者が書いたと見えてまず最初に重要ポイントの誤認がある。事実誤認を元に社説を書かれては読者はたまらない。それは「安倍首相はいまの国会のうちに、集団的自衛権を使えるようにするつもりだ」と断定している点だ。


安倍は安保法制懇の報告書を得て、夏までには憲法解釈変更を閣議決定する。しかしこれに伴う自衛隊法の改正などの法改正は秋の臨時国会を予定している。法改正を伴わない集団的自衛権の行使はあり得ず、今国会中に使え得るようにはなり得ない。


このように重要ポイントの誤認で始まる社説が風評源となってしまうのだ。


この誤認の上に社説は「デマゴーグ」作成に余念がない。解釈変更が「日本が直接攻撃されたわけではないのに、交戦国になるということだ」と断定する。これは間違いなくTBSやテレビ朝日のコメンテーターがノーテンキにも「学習」して、真似しようとする部分である。


社説子は「戦時」というものの無知を露呈した机上の空論を吐いている。「戦時」を具体的に例示すれば北朝鮮がグアムにミサイルをぶち込んだとき。尖閣諸島や沖縄が中国艦隊に取り囲まれたときなどだ。


日米両軍と敵国が一触即発で対峙する場面であり、その中で同盟国たる米軍が攻撃を受ければ戦端が開かれたことになるのは言うまでもない。直接本土攻撃を待たずに応戦するのは同盟国としての当然の義務であり、国民を守る自衛隊の本分である。


直接攻撃を受けて国民に多数の死傷者が出るまで待つ馬鹿がどこにいるかだ。国民が死んでも自衛隊は生き残れと言っているようなものだ。集団的自衛権行使の場面を想定しきれない社説だ。


TBSで元官房長官・武村正義も愚かにも「集団的自衛権の行使は日本が攻められていないのに戦争するという判断」と述べているが、今後こうした「個別的自衛権」にのみ固執したデマゴーグが反対論の中核となる。


社説は「海外で戦争はしない。それは戦争の反省から生まれた平和主義であり、憲法の基本原理の一つだ」と強調するが、海外とはどこか。政府は「地球の裏側まで米軍についていって戦争しない」と国会答弁している。海外の定義なしで、国の命運を左右する問題を説いても説得力はない。


加えて社説は佳境に入る。解釈変更が「立憲政治から外れる」と断定し「時の首相の一存で改められれば、民主国家がよってたつ立憲主義は壊れてしまう」と力説するが、立憲政治の定義を知らない。


この場合の立憲政治とは内閣が新たな解釈を示し、国会がそれを裏付ける法律を整備し、場合によっては司法が違憲立法審査を行うことにある。その一段階として首相が解釈改憲の判断を下すのであり、立憲主義は壊れてしまわないのだ。


社説子は、北朝鮮が日本の都市を名指しでミサイル攻撃の対象に挙げ、中国の公船が領海侵犯を繰り返し、南シナ海で尖閣、沖縄を想定した上陸訓練をし、一方的に防空識別圏を設定している極東の現状を、まるで何事もないかのように無視する論理を展開している。だから机上の空論というのだ。


そして社説には朝日がかねてから非武装中立の社会党の機関誌のようであった時代を象徴するような文言が並ぶ。


いわく「集団的自衛権の容認が意味するのは9条の死文化だ」。いわく「平和主義の根幹が変わる。自衛隊員が他国民を殺し、他国民に殺される可能性が格段に高まる。いつでも集団的自衛権を使えるようにして、自衛隊を『普通の軍』にしたい。そんな理念が先走っていないか」。高らかに「感情論」を展開している。


「9条の死文化」など既に自衛隊という名の軍隊を保有したときから始まっており、何ら新しいことではない。「自衛隊員が他国民を殺し、他国民に殺される可能性が格段に高まる」のはなぜか。他国が「平和主義など糞食らえ」とばかりに日本国民をミサイルでの殺傷し、領土侵攻するからに他ならない。


それとも他国の戦争準備は朝日にとって歓迎すべき事なのかと言いたい。朝日は憲法が「国民は攻撃を受けても抵抗せずに死ね」とでも書いてあるというのか。


このように集団的自衛権の行使をめぐってデマゴーグ的な論調が今後展開される事が予想される。


すでに民放では始まっており、民主党顧問・藤井裕久に至っては恥ずかしげもなくデタラメ発言を繰り返している。「集団的自衛権容認は世界を敵に回し、ヨーロッパのマスコミは許せないと言っている」だそうだ。


西欧諸国がよって立つ基盤となっている集団的自衛権の行使を日本だけが持ってはいけないというマスコミが存在するとは思えない。武村と共にまるで「風評生身魂(いきみたま)」だ。生身魂とは俳句で敬うべき高齢者を指し、食物などを贈ったりするが、「風評生身魂」だけは始末に負えない老害どもだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月03日

◆日韓外交激突含みで未知の水域へ

杉浦 正章



首脳会談の見通し立たず


どうも「朴槿恵言いつけ外交」の命名者としては今度の朴の発言をどう形容するかだが、当てはまる言葉は「強請(ごうせい)外交」であろうか。頑迷固陋な老女によるゆすりたかりじみているからだ。韓国政府筋がリークしている発言に含まれたメッセージなるものを分析すればするほどそう読めるのだ。


要するに慰安婦だかなんだか得体の知れない女性に金を払って首相・安倍晋三が陳謝せよというのだ。法的にも非を認めよというのだ。これでは温和な安倍が頭にくるのも無理はない。朴発言に先立って官房長官・菅義偉に命じて、隣のテンション民族が怒髪天をつくのを承知で「河野談話の再検証」を命じたのは正解だった。


図に当たって韓国メディアは頭から湯気を立てて卒倒しそうになって怒っている。


韓国政府筋が日本のマスコミ数社に漏らしている朴発言の「狙い」は(1)最低でも村山・河野談話の踏襲(2)安倍の陳謝(3)日本政府による慰安婦に対す賠償だろう。


そこで朴が1日の「3.1独立運動」記念式典での演説に含めたメッセージをあえて読み解けば、まず朴は、「痛ましい歴史にもかかわらず、韓日両国が関係を発展させることができたのは、村山談話や河野談話などを通じて植民地支配と侵略を反省し、未来に進もうとしてきた歴史認識があったからだ」と述べた。


安倍が最低でも村山・河野談話の踏襲を正式に表明しなければならないと要求しているのだ。


次ぎに「過ちを認められない指導者は、新しい未来を開けない」と強調した。これは安倍に対して、全てのスタートは誤りを陳謝してから始まると言っているのであろう。また「55人しか残っていないおばあさんたちの傷は当然、癒やされなければならない」と述べた。明らかに慰安婦なるものへの国家賠償を求めたものであろう。


朴がなぜこの時点であえてメッセージを発信して、交渉のたたき台とも言える発言をしたかと言えば、調停努力を始めた米国へのアリバイ作りのためだろう。国務長官ケリーは、2月の訪韓で朴の「過度な歴史認識」への傾斜に警告を発して、日本との融和を求めているからだ。


しかし、村山・河野談話の踏襲は、既に官房長官・菅義偉も外相・岸田文男も国会で明言しており、少なくとも交渉のテーマにはなり得るだろう。ところが慰安婦の賠償請求について日本は「国交正常化時に結んだ請求権協定で解決済み」との立場であり、安倍の陳謝も一体何度謝ればいいのかということであろう。


韓国で政権が代わる度に時の大統領が、国民の人気取りを目指して日本の首相を謝らせようとするパターンは、いくら恨(はん)民族の特色とは言え願い下げだろう。


だいいち謝ったからといって、そのときは納得してもまた暫くすればぶり返すに決まっている。もうこの国民の恨み節はほとんどビョーキの域と理解するしかない。その慰安婦強制連行を陳謝した河野談話のいい加減さが、ここにきてクローズアップした。


宮沢内閣で河野談話に携わった当時の官房副長官・石原信雄の20日の国会での「無念の証言」が、官房長官・河野洋平の如何様(いかさま)師的な側面を浮き彫りにしたのだ。石原は、政府や日本軍の強制連行を裏付ける資料はなかったことを明らかにすると共に、「元慰安婦の証言だけで強制連行を認めた談話になった。その裏付け捜査は行われていない」と内実を暴露したのだ。


加えて河野と韓国側が談話の表現ですりあわせた可能性にまで言及した。いくら何でも首相に次ぐナンバー2の官房長官が「国を売った」と受け取れる行為をしていたのであり、これは政府首脳による戦後最大の背信行為になり得る方向を示していると言ってもよい。検証が行われて当然である。


要するに慰安婦問題の最大のきっかけは1992年に朝日新聞が「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」と大誤報したことに端を発する。戦時勤労動員制度の「女子挺身隊」をその名称から戦前の用語を知らない記者が邪推して「慰安婦」と誤って判断、報じたのだ。


「強制連行の有無が最大の争点となった」と、韓国が騒ぎ始めた。これを受けてその翌年の93年にねつ造じみた河野談話を早計にも発表して、ここに外交史上まれに見る虚構が出来上がったのだ。信頼すべき証言があった以上「検証」を行うことは、歴史に禍根を残さないためにも必要不可欠のことであろう。


この安倍政権の「検証」の意思表明は、反日を反共と共に建国の国家理念として確立している韓国が、一種の“ゆすり”に出れば、日本が“低頭”してきた戦後の日韓関係史が、変質することを意味する。


つまり、戦後70年、日韓条約締結50年を契機に日韓関係は、主張が真っ向からぶつかり合う可能性を秘めた濃霧の水域に突入するのだ。


これは北朝鮮が核爆弾の小型化に成功しつつあるという危険極まりない極東情勢の中で、就任以来「対日歴史認識要求」という国内対策で、国民の支持率を引きつけている朴槿恵の、葦の穴から空を見る狭量外交に全て起因するとしか言いようがない。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月25日

◆安倍「戦勝国会議」にくさび打ち込め

杉浦 正章



中韓プロパガンダにテレビスポットで対抗せよ


世界的な規模で展開している中国と韓国の反日プロパガンダにどう対処すべきかが安倍政権の喫緊の課題となっている。両国の宣伝戦を分析する限り、日本が出遅れてもっぱら防戦に回っている事は否めない。ここをどう巻き返すかだが、ネット戦略は一見近代的なように見えるが、実は効果が薄い。


即効性のあるものは何と言ってもテレビのスポット広告だ。それも毎回電通に儲けさせる必要は無い。米国大手の広告会社を活用して「戦後一発の銃声も発したことのない平和国家日本」と「首相・安倍晋三が軍国主義に傾斜などしていない」ことをキャンペーンするのだ。


「中国こそ戦後の秩序を軍事力で破壊しようとしている現実」に世界の世論を目覚めさせるのだ。米国で放映すると同時に世界各国のテレビにばらまくのだ。その最大のターゲットは中国国家主席・習近平が狙っている、2015年の「反ファシスト戦勝70周年記念会議」開催だ。


習は米国も巻き込んで同会議を開催して日本を孤立化させようとしており、ここは総力を挙げてキャンペーンに取り組むべき時だ。


領土担当相・山本一太の対外宣伝策をテレビで聞いたが、宣伝戦の現実を知らない。尖閣と竹島の宣伝動画をネットで発信して、昨年10月から100万を超えるアクセスがあったと自慢していたが、たったの100万かと言いたい。


ネット動画の最多再生回数は24時間で3840万回の世界だ。5か月かかって100万回などは自己満足に過ぎない。


山本は安倍に「主要国に駐在する日本大使を東京に招いて会議を開催、中国に負けない発信をすべきだ」と提言したというが、問題は会議ではない。首相官邸の発信力でありリーダーシップなのだ。泥縄で大使会議などすれば中国から嘲笑されるだけだ。


そこで対外政策広報をどのように展開するかだが、まず当面のターゲットは「戦勝国会議」だ。昨年10月7日、インドネシアのバリで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で、習近平とロシア大統領のプーチンが合意した、2015年の「反ファシスト戦勝70周年記念会議」開催だ。


これはかねてから習が狙っているもので、米、英、中国、ロシアなど第2次大戦の戦勝国首脳が一堂に会して戦後の秩序を再確認して、ファシズムの台頭を防ぐ声明を打ち出そうというものだ。50周年の時は江沢民が招かれて、その後の反日戦略のきっかけとなったものである。


習の狙いはドイツではなく、日本孤立化にあることは言うまでもない。恐らく3月の米中首脳会談でもオバマに提案する可能性がある。


しかし、この中国の戦略はまず最初から問題がある。なぜなら日本は中国とは戦争をしていない。戦勝国を言うなら台湾・中華民国であり、中国、則ち中華人民共和国が誕生したのは終戦から4年後の1949年である。したがって中国に戦勝国会議を呼びかける資格はないのだ。


この点は日本の有力な反論材料だろう。問題はオバマが極東問題に理解が薄いまま、習に乗せられかねない点だ。ここは日本外交が事前にくさびを打ち込まねばならない最大のポイントだ。


既に中国は安倍の靖国参拝をとらえて、戦後秩序の破壊者と印象づけるキャンペーンを展開、尖閣問題を歴史認識とすり替えようとしているが、これに黙っていてはいけない。なぜなら米国のワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズはそのまま受け売りする傾向があるからだ。


中曽根康弘が首相の時ワシントン・ポストの社主だったキャサリン・グラハムの朝食会に招かれ、「日本不沈空母」説を表明したのは有名だが、両社の首脳などを日本に招待して、安倍がインタビュウーに応じて真意を説明するなど交流努力をすべきであろう。


ここで日本が強調すべき点は、戦後70年間、日本が自由主義を守り平和国家に徹して、他国に向けて銃弾など撃ったことがない事実だ。


これに比べて中国は数々の戦争と少数民族圧迫、そして現在は南シナ海と東シナ海への膨張主義、領海侵犯と防空識別圏の設置など“悪行”の限りを尽くしており、反中キャンペーン材料には事欠かない。戦後秩序の破壊者たる中国を国際世論に際立たせる事は十分可能だ。これがテレビのスポット広告の中心になるだろう。


一方で、韓国に対する国際的キャンペーンは下卑た慰安婦の肖像などいくら米国に設置しても動揺しないことだ。また米国民としての忠誠心を忘れ、祖国韓国の思惑で動く韓系人の動きなど気にする必要は無い。「東海」呼称キャンペーンも捨てておけばよい。


しかし、スポットTV広告では、冷静かつ実証的に反論していく必要がある。また日韓関係を悪化させる最大の要素と言ってもよいのが韓国のマスコミの感情的かつ歪曲報道である。自衛隊による善意の銃弾供与を「安倍の政治的な思惑」とねじ曲げて報道する例など数知れない。


これの防止策は、歪曲、偏向記事が掲載される度に、本社への抗議を繰り返すことだ。執拗なる意図的な誤報を消すにはこれしかない。やがて特派員は人事での身の危険を感じて、トーンを和らげるだろう。


政府は政策広報予算を来年度予算で増大させ、中国と韓国に対抗した広報に出る。官房長官・菅義偉はこのほど評論家・森本敏に「予算はいくらでもある」と述べて、協力を求めた。


対外広報は地道に進める方法と、即効性のある有力テレビ活用の2方法がある。地道な方法は、米国の有力シンクタンクに資金を提供して、良好な関係を築いたり、知識人の交流を政府予算で頻繁に実現させることであろう。ネット活用はやらないよりましくらいに考えた方がよい。


やはり大手テレビ局へのスポット広告か、良好な教養番組を買って、そこに広告を出す事などが米政府と国民に一番の影響を与えられる方策だ。


まだ、中国や韓国は気が付いていない。早急に手を打つべきだろう。キャラクターは何と言っても安倍自身が前面に出ることだ。安倍の出演が政策広報の最大の目玉だろう。

「お・も・て・な・し」の女性キャスター滝川クリステルなどを使ってソフトな演出することも効果的だろう。
【筆者より】旅行のため休筆します。再開は3月3日からとします。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月24日

◆石破「足引っ張らぬ」と安倍支持表明

杉浦 正章



「側近舌禍」でも政局化はなし
 

小生がやっているような評論は「先読み」なくしてなり立たない。マスコミと同じ読みでは読者はついてこない。マスコミより最低2日は先行することと、大局を詠むことをモットーに昼夜を分かたず情報を集め、分析してきた。


20日の側近らのずっこけ発言を論評した「身から出たさびが、ひいきの引き倒し」は3日遅れで新聞テレビが追随した。一部には「愚鈍発言」の連鎖のスパイラルで政局化までささやかれ始めたが、今度も再び先行して予想する。政局化はあり得ず、安倍政権は継続する。幹事長・石破茂も「足を引っ張らない」と明言した。


もっとも長期政権を目指すなら「路線修正」が不可欠だ。それは米国の政府やマスコミによる「安倍の極右化」の誤解を解き、同盟関係を確たるものに再構築できるかどうかだ。


政局を見る方法はいくつかのキーポイントがある。一つは政権に対する野党の反発がどの程度か、また自民党内で不穏な動きがナンバー2などから聞こえてくるかこないかだ。


そこで野党の安倍批判をみると、目立つのは生活の党代表・小沢一郎と、元首相・菅直人くらいだ。二人ともまだ政治の舞台にいたかと思いたくなるが、小沢は安倍政権について「民主党政権以上に危険な政権」と語り、対決姿勢を鮮明にした。


また「一強多弱の政治状況を受けて、野党の中に権力にすり寄る雰囲気が見られるのは非常に危険」とみんなと維新を批判した。これに対して維新幹部は「引かれ者の小唄と言っては失礼かなぁ」と失礼を承知の侮辱発言。全く意に介されなくなった。小沢は権力を振るった全盛期の夢を追ってももう無理だ。


もっとしゃしゃり出ているのが菅直人。「安倍政権は保守政権と言うよりナショナリスト政権」とかっこうよく切った。菅はワシントンポストが誤解に基づき「安倍が強硬なナショナリズムに演じている」と書いたのを、受け売りしてはいけない。ネタ源などすぐに看破できる。


加えて菅は自らが元首相としては異例の、質問主意書を原発再稼働問題で提出したまでは良かったが、事実誤認でずっこけた。「規制委員会が再稼働を認可することができる」と質問、政府から答弁書で「規制委が再稼働を認可する規定はない」とやられて、ぎゃふんとなっているはずである。
 

急所である自民党内はどうか。総務会の度にスピッツのように吠えている元行革担当相・村上誠一郎が「首相の発言は選挙で勝てば憲法を拡大解釈できると理解できる。その時々の政権が解釈を変更できることになる」と非難した。


しかし自民党は集団的自衛権の行使容認は野党時代から決めており、関連する「国家安全保障基本法」まで決定していることをお忘れか。中堅議員たる者既に決着済みの議論を声高に叫んではいけない。


そこで注目されるのは総裁選で地方票でトップを獲得して、安倍がナンバー2の座に任命せざるを得なかった石破茂の動向である。この世界的に「安倍イシュー」が問題になっているときに、ナンバー2が動いたら、政権は間違いなく揺れる。
 

そこで23日早朝のTBSの時事放談を録画して、もれなくメモしてチェックした。ところが石破からはみじんも批判めいた発言や政局めいた発言は聞かれなかった。石破は愚鈍な側近らと安倍を完全に分けて語っていた。


石破は 首相補佐官・衛藤晟一、内閣官房参与・本田悦朗、自民党総裁特別補佐・萩生田光一ら安倍の取り巻きグループを批判、安倍自身を分離して支持したのだ。「撤回するような発言は最初からしない方がよい」と衛藤を切り、「感情的な言葉の応酬で同盟が強くなったり理解が深まった経験はない」と本田、萩生田を切った。


そして「安部さんがこういう考えを持っていないことは、安部さんと話をしてよく理解している」と安倍を擁護した。さらに加えて石破は「国民が望んでいるのはしょっちゅう総理大臣が代わるのはやめて欲しいと言うことだ。自民党の中で総理の足を引っ張るようなことはやめてくれということ。それを心してやりたい」と「安倍降ろし」を完全否定したのだ。


石破はこのほど「日本人のための集団的自衛権入門」 (新潮新書) を出版したが、集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈変更では安倍と完全に波長が合っている。安倍とは集団的自衛権をめぐって運命共同体の色彩が濃厚なのだ。ここで揺さぶりに出るのは、「安保専門家」としての自分が許さないに違いない。


加えて今事を起こしても何のメリットもない。安倍の支持率は依然高水準にあり、幹事長といえども揚げ足取りによる、政局化はまず不可能だ。ここは安倍支持を真っ先に表明して、安倍に“貸し”を作った方がよいに決まっている。したがって自民党内はさざ波が立っても、大波濤が寄せてくる形勢にはない。


しかし日本の対外政策広報が、安倍周辺の思慮のない発言によって、急がねばならない対中・対韓広報でなく、「安倍イシュウ」広報に当面変質せざるを得ないのは大きなマイナスだ。ここは安倍が、極右の側近とはきっぱりと一線を画して、平衡感覚を維持していることを世界的に発信しなければならない時であろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月21日

◆緊張急迫の極東情勢に解釈改憲を急げ

杉浦 正章



〜集団的自衛権〜



中国が沖縄奪取で上陸訓練


20日の国会答弁で首相・安倍晋三が集団的自衛権を容認するための憲法解釈変更を閣議決定により行う方針を明言した。有識者会議の結論を待たずに踏み込んだ首相の発言は、事実上の反対派に対する宣戦布告の形となり、国内に日米安保条約改定以来の安保論争を惹起(じゃっき)する流れとなった。


民主党左派、共産、社民などは対決姿勢を濃厚にしており、21日付朝日新聞などの紙面展開も反対一色への編集方針を濃厚に打ち出した。安倍は夏までに閣議決定する方針であり、今後自衛隊法の改正が行われる秋の臨時国会に向けて激しい保革の対立が予想される。 
 


安倍が明らかにした方針は(1)有識者会議の安保法制懇は4月に結論を出す(2)その後公明党の理解を得る与党内調整を開始する (3)並行して法制局を中心に政府が最終判断を調整する(4)夏までに変更を閣議決定する(5)秋の臨時国会で自衛隊法など必要な法改正を行うーというものだ。


これらの手続きを経て、年末に日米防衛協力の指針(ガイドライン)を17年ぶりに改訂する。安倍は「解釈は内閣が責任もって決めてゆく。閣内においては私が最終的な責任を負っているわけで、法制局や与党とも協議してその上で閣議決定する」と言明した。安倍の集団的自衛権の行使容認への姿勢は一段と強固なものになっていることが確定的となった。
 

これに対して質問に立った民主党の岡田克也は「日本は海外での武力行使をしないという方針の大転換であり、国会の議論なしに政府が決めて本当によいのか。議会人として納得できない」と反対論を展開した。


反対派には解釈による改憲を容認せず、集団的自衛権を容認するなら憲法を改正して行うべきだという主張が根強く存在している。その戦略は改憲を主張することにより、事実上容認を不可能な事態に追い込むというところにある。


驚いたことに政府の憲法解釈を担ってきた元内閣法制局長官・阪田雅裕までが、反対野党の集会に出席して「集団的自衛権を認めるとは、海外で国民が戦争をする可能性を認めることであり、国民全体の覚悟が必要だ。このような重大な問題を、一内閣の解釈変更で成し遂げようというのは法治国家の否定につながり、憲法改正への立場の違いを超えて反対すべきだ」とまで言い切った。共産党や社民党の主張と全く同じである。


しかし、これらの反対論には致命的な欠陥がある。それはなぜ「我が国は独立国として集団的自衛権を保有するが、それを行使することは自衛の限度を超え、憲法上許されない。」という現行解釈が閣議決定によって行われてきたかである。


時の政権が野党から質問主意書などが提出される度に、米ソ冷戦下においても諸般の事情から憲法を盾に活用して「許されない」としたのである。


「許されない」と言う閣議決定が可能であるならば、安全保障環境の急変を反映して「許される」と言う閣議決定も当然可能になるわけであり、安倍の閣議決定による解釈改憲実現はこの論理に立脚している。


議院内閣制とは首相が国会議員の中から選ばれ、閣僚も半数は国会議員でなければならないのであり、衆院の信任が不可欠である。その内閣が国会の多数の意志を反映して、自らの責任において従来の解釈を変更する権利は当然のこととして存在する。


坂田の解釈は、法律家としては極力回避すべき政治的な解釈に過ぎない。そもそも内閣が解釈を変更し、国会がそれを裏付ける立法措置を行い、場合によっては司法が違憲審査を行うのは立憲主義の根幹だ。後輩の法制局次長・横畠祐介も、「変更は許されないものではない」と答弁している。かつての法制局長官ともあろう者がそんな基本も知らないのか。


安倍が急ぐ背景には中国、北朝鮮が危険極まりない軍事的な圧迫を強め、極東の安保情勢が急迫する危機に直面していることが挙げられる。


おりから米海軍首脳は中国が尖閣ばかりか沖縄諸島まで奪取する上陸訓練を行っていたことを明らかにした。海軍のファネル大佐は13日に米カリフォルニア州で開かれた中国に関するシンポジウムで、中国軍が昨年秋に実施した大規模な軍事演習について、日本の自衛隊と激しい戦闘を繰り広げた末、尖閣諸島や沖縄の一部を奪取することを想定する訓練をしたというのだ。


「上陸作戦などを含む大規模なもので、東シナ海で短期で激しい戦闘により日本の部隊を壊滅させる任務が加わり、尖閣諸島や琉球諸島南部を奪取すると想定しているとしか考えられない」と分析した。


まさに中国の脅威は急迫しているのであり、普通の国が保持して、国連憲章の中核となっている集団的自衛権の行使を容認するかしないかなどといった“神学論争”をしていてよいのかという事態である。


そこで反対派の勢力がどのくらいかと言えば、推進派が圧倒的に多いことが挙げられる。総選挙で圧勝した自民党に加えて、みんな、維新両党が賛成に回る流れであり、民主党は党内に推進論を抱えて執行部が反対すれば分裂の可能性もある。


焦点の公明党も代表・山口那津男が今国会中の容認は無理としているものの、党内には妥協論も出てきており、条件闘争化するものとみられる。


自民党は一部に跳ね上がりが出る可能性も否定出来ないが、大勢は長年の論議で決着済みである。したがって反対派の核は民主党の左派、共産党、社民党、生活の党など少数政党に絞られる流れだ。


おまけに安倍の戦略は閣議決定を先行させて、法案の提出は秋の臨時国会という段取り。左翼政党や朝日が大反対を展開しても、閣議決定は止められないし、法案改正も多数で実現する流れであろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月20日

◆身から出たさびが、ひいきの引き倒し

杉浦 正章



安倍側近らの右傾化発言が止まらない


別の首相側近が米国の失望声明の直後に「こっちが失望した」と漏らしていたことから、これはまずいことになると直感したが、その通りだった。首相補佐官・衛藤晟一が発言を“コピー”して公言してしまったのだ。


慌てて官房長官・菅義偉が取り消しを命ずる始末となった。それにつけても首相・安倍晋三の側近や盟友なる人々は、どうしてこう知性が感じられないのだろうか。物事を理性的に対処せず感情論で押し通そうとするのが共通項だ。


昔は赤尾敏にせよ極右はそれなりの理論武装をして、品格のようなものがあった。ところが逆の人物ばかりを回りに置いて、安倍は防御陣を厚くしようとする。結局安倍に一番の責任がある。身から出たサビが、ひいきの引き倒しをしている図式だ。


米国の場合、大統領補佐官はまさに知性と知見と洞察力の固まりだ。キッシンジャーを見れば分かる。これを真似て細川護煕が首相補佐官制度を作ったが、はっきり言ってこれまでろくな補佐官がいない。その象徴が衛藤であろう。


こともあろうに他人の発言をそのままコピーして、動画サイトで「むしろわれわれのほうが失望だ」とコメントした。仮にも首相補佐官である。発言すればどのような反響が出るかということくらいは予知して当然だが、全くその気配は見られない。


折から国会は予算審議の最中であり、政権にとって正念場である。閣僚や側近の一言が審議に影響しかねないピリピリした緊張状態にある。それを知ってか知らずか、側近はのほほんとYouTubeでピントが狂った「演説」である。官房長官・菅義偉が激怒したのも無理はない。


どうも安倍の靖国参拝には、衛藤のミスリードがあったような気がしてならない。衛藤の一連の発言がいみじくもそれを物語る。衛藤は靖国参拝に先立って対米根回しを担当していたのだ。11月20日にはワシントンで国務次官補ラッセルと会談、安倍の参拝の方針を伝えた。12月はじめには米大使館で首席公使に「参拝を賛成して欲しい」と要望した。いずれも回答は「慎重にして欲しい」であった。


しかし衛藤は安倍には強い反応は出なかったと報告した感じが濃厚である。少なくとも自分の意見としては「ゴー」のサインを出したのであろう。その結果安倍は 九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)く行動に出てしまったのだ。


知性欠乏型側近はまだまだいる。内閣官房参与・本田悦朗はウオールストリート・ジャーナル紙に神風特攻隊の自己犠牲を語りながら涙を流したという。官房参与たるものがインタビューに応じるなら、冷徹に理論的に首相の代弁をしなければならない。ところが感情をあらわにして落涙などしてしまったのだ。首相の取り巻きの平衡感覚欠如と異常性をいみじくも国際的に知らしめてしまった。


一方で自民党総裁特別補佐・萩生田光一は、何と来日が予定されているオバマを名指しで批判した。荻生田は「失望した」声明について「共和党政権の時代にはこんな揚げ足取りをしたことはない。民主党政権だから、オバマ政権だから言っている」と噛みついた。政権中枢の者は思っていても言ってはいけない言葉だ。


一方でこの「安倍人事」の弊害はNHK人事に如実に表れた。まるで“舌禍”がまん延したかのような状況だ。まず会長・籾井勝人が「慰安婦はどこにもあった」と本当のことを言ってしまってひんしゅくを買った。経営委員の百田尚樹は都知事選で極右・田母神俊雄を応援、対立候補を「人間のクズ」と言い放った。


この百田という人物も異常なところがあって「民主党は百田を国会に呼び出せ。びっくりするようなことをいっぱいしゃべってやる」と挑発、民主党は参考人招致を決めた。


長谷川三千子は、新右翼の活動家で朝日新聞本社で拳銃自殺した野村秋介を「神にその死を捧げた」と礼賛した。NHK人事で野党は硬化しており、政権揺さぶり材料として“活用”する構えだ。


これら全ての発言は、安倍の過度なる自己防衛人事の結果である。周りを石垣で固めるように、同類の人物ばかりを集める。第1次内閣が「お友達内閣」と呼ばれたように、今度は盟友政権を形作っている。


しかしこの安倍の極単に片寄った人事は世の中に誤解を招く。集団的自衛権容認の憲法解釈にしても、原発再稼働にしても、対中・対韓外交にしても安倍本人のやっている方向は正しいし、普通の国家になろうとしているだけである。それにもかかわらず極右の側近が目立ちすぎて、政策そのものが右傾化と誤解されるのだ。菅はまるでモグラ叩きのように次から次に打ち消さなければならない。


17日付の米紙ワシントン・ポストが、「日本の挑発的な動き」と題した論説で、安倍が強硬なナショナリズムに転じているため、アジアの安全保障問題を深刻化させていると指摘した。その上でオバマのアジア歴訪を、「危機の予防」と位置づけた。


同紙はNHK人事についても中国や韓国だけでなく、米政権内の「警戒ベル」を鳴らしていると主張した。この論説を誤解と片づけるのは簡単だが、周りの発言が繰り返される限り世界中で誤解が重なり、結局は中国や韓国を利するだけとなることを安倍は肝に銘ずるべきだ。弛緩した政権のたがを締め直すべきだ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月19日

◆集団的自衛権で「転ぶ人」続出

杉浦 正章


公明党も遅かれ早かれ容認か


江戸幕府のキリシタン弾圧・拷問により、信仰を捨てた宣教師を転びバテレンと言うが、このところ集団的自衛権の憲法解釈をめぐって、転ぶ人、転びそうな人が続出している。


まず解釈改憲反対の牙城であった、内閣法制局が転んだ。次ぎに党首が反対している公明党の閣僚・太田昭宏が転んだ。そして幹事長・井上義久が転びそうだ。あちこちから雨漏りし始めて、公明党代表・山口那津男は二本の手では穴を塞げず、足まで使って塞がなければならない状態だ。


首相・安倍晋三にとっては滅多にないチャンスが到来しつつあることになる。


小さくしか報じられていないが、予算委で注目すべき発言は内閣法制局次長・横畠祐介の答弁であった。法制局は解釈改憲を可能とする長官・小松一郎が体調不良で入院したため、永田町では「クーデターが発生するのではないか」とささやかれていた。法制局は解釈変更反対論者が圧倒的多数であったからだ。


しかし、筆者などは長年法制局を観察して、時の政権のために法解釈を変えるのが法制局であると知らされてきたから、結局「三百代言」戻ると見ていた。


その通りで、小松の代理で答弁に立った横畠は12日「従来の解釈を変更することが妥当との結論が得られた場合には、これを変更することが許されないものではない」と答弁した。横畠は反対論者であったから、法制局特有の持って回った言い回しでまさに転んだことになる。


一方政権与党の公明党はやはり12日の答弁で国土交通相・太田が転んでしまった。太田は「安倍首相が話していることについては認めている立場だ」「全て首相が答えていることに同意している」と全面的に安倍の解釈改憲論に同調したのだ。憲法解釈の変更は閣議決定で行われるが、太田が署名しなければ閣内不統一ばかりか、連立解消となる。


したがって安倍にとっては願ってもない発言である。加えて、転びそうになっているのが公明党幹事長・井上義久だ。18日の記者会見で集団的自衛権容認への解釈変更について「私どもは真っ正面からこれを否定しているわけではない」と発言したのだ。


さらに続けて井上は注目すべき発言をしている。それは「公明党が結党された当時は自衛隊は憲法違反であり、日米安保は破棄すべきだという政策であった。だが、その後の社会状況の変化に対応して3年ぐらいかけて『自衛隊を容認する』、『日米安保を容認する』と安全保障政策を変えてきた。


安倍首相が言うように安全保障環境が大きく変わっていることは我々も認識している。今、本当に何が必要かということを真っ正面から向き合って、しっかりと集団的自衛権について議論をしていきたい」と述べたのだ。


これは筆者がかねてから分析してきた読みと全く一致する。有事法制やインド洋の給油支援活動、自衛隊のイラク派遣などで、当初は反対しても結局妥協に転じているのだ。筆者は「豹変は公明党のお家芸」と分析してきたが、井上発言はこの傾向を裏付けるものであろう。


この相次ぐ集団的自衛権容認への発言が意味するものは何かと言えば、みんな、維新両党の安倍への接近である。井上は「隙間を広げてその間に入り込もうとする人たちが居て難しい」と隙あらば公明党に代わって連立入りしようとする渡辺喜美と石原慎太郎に当てこすっている。


要するに自公連立は何が何でも維持したいというのが公明党の“本音”なのであろう。賛否両論がある党内論議も、徐々に賛成論が強まり始めている証拠でもある。


これに対して山口の立場は微妙だ。山口は政権成立当時は「断固反対。やるなら政権離脱」としてきたが、党内の空気を反映して徐々に過激発言を控えるようになってきている。しかし、根底には根強い絶対平和主義に根ざしたような反対論がある。


太田が発言すれば、山口は党内に「太田さんは安保法制懇の考えを見守りたいという考え」と釈明。井上が発言すれば記者会見で「容認すると言っていない」と説明するといった具合だ。しまいには18日「安保法制懇が4月に報告書を出しても今国会中に結論を出すのは容易ではない」と述べ始めた。これは形勢不利と悟って、引き延ばしの条件闘争に転じたのであろう。
 

安倍は報告書を見たうえで方針を打ち出すことを明言しており、4月に報告書が出れば会期末の6月までに閣議決定したいのであろう。しかし山口が騒いで、これに一部マスコミが同調する事態が予想される中で中央突破できるかどうかだ。


本来国会は自衛隊法改正案など関連法案が出てから関与する流れだが、事は憲法解釈の変更でありなかなか突っ走れない事情もある。山口の意向を忖度(そんたく)して夏まで先延ばしするか、環境が整ったとして国会中に判断するか、極めて高度の政治判断マターだ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月18日

◆日韓1両損で関係改善を

杉浦 正章



安倍もここは我慢のしどころだ


聖書に困難なものの例えに「針の穴にラクダを通す」があるが、まさに日韓和解はその表現通りに至難の業である。しかしここは両国が譲歩するしか道はない。米国も国務長官・ケリーの訪韓を機会に「仲介」への動きを活発化させ、近く国務次官補・ラッセルを日韓両国に派遣する。


18日にはソウルで外務省局長級の会談が始まる。ターゲットはオバマの歴訪に先立つ3月下旬の日韓首脳会談の開催だ。オランダで同月24日から開かれる核安全保障サミットの場での会談実現だ。ここは日韓が努力して発想を大転換し、ラクダが通れる巨大な穴を持つ針を作るしかない。


ケリーの訪韓について駐米大使・佐々江賢一郎が「韓国側の努力を強く促したのは非常に適切だった」と絶賛している。確かにケリーの発言の根底には、今そこにある危機に歴史認識などと言う悠長なことでけんかしているときではないという極東への危機意識がある。


そしてその姿勢は対日説得よりも、韓国側の譲歩を求める方に比重を置いていた事が分かる。ケリーは大統領・朴槿恵に対して「難しく複雑な歴史問題に過度の関心が寄せられている」として自重を促したのだ。加えてケリーは終了後の記者会見で「歴史より現在の人命にかかわる問題に焦点を合わせるべきだ」と強調した。


あわてて外相・尹炳世(ユンビョンセ)が日本の方に問題があると発言したが、その焦りは隠せなかった。


さすがに米国務省は情勢分析が的確である。朴槿恵の絶え間ない対日批判の“言いつけ外交”は、世界の指導者としても異常の部類に入るのであり、首相・安倍晋三の“発作的”な靖国参拝がなければ国務省は「韓国がやり過ぎ」の判断に傾いていたのであろう。


だから一時的に「失望した」のであったが、ようやく以前に戻ったのである。外交筋によると国務省は慰安婦問題にこだわる朴槿恵の姿勢にいら立ちを募らせていると言われる。米国に慰安婦像などいくつ造ってプロパガンダを展開しても、国務省はさすがに本筋を見逃さないのであろう。


ケリー発言から見られる“仲介”の方向は、この凝り固まった韓国の「歴史認識依存体質」を解きほぐすことにあるのだろう。


米国はこれまで日韓険悪化の問題について「当事者の問題」として、関与を避けてきたが、大統領の両国訪問が設定された以上拱手傍観できない事態に至ったと判断したのだ。一定の仲介工作をする方向に転換したと言える。


ケリーはこの方針を韓国における記者会見で「ラッセル国務次官補らが今後数週間以内に日韓関係の改善に関与することになる」と言明している。一連のケリー発言から見ると仲介工作の前提は「安保が大事か過去が大事か」にある。北の核開発が進展し、何をするか分からない不気味な指導者が虎視眈々(たんたん)と隙を狙っているのである。


北にしてみれば日韓の亀裂は願ってもないチャンスであり、米国は韓国に「なぜここに気が付かないか」と言っているのだ。


一方、首相・安倍晋三の歴史認識についても危惧の念を抱いていることは確かだ。なぜなら安倍は戦争と植民地支配についての反省を述べた村山談話について昨年4月に「そのまま継承しているわけではない」と発言したり「侵略の定義は決まっていない」と否定的な意見表明をしており、安倍の“真意”がここにあると見ているからだ。


安倍にしてみれば社会党の首相や、党内で異端の河野洋平の談話などに踊らされてたまるかという心理が働いているのだろう。


まことにもっともであるが、歴代首相も不満はあっても我慢をしてきたのだ。その重みは理解しなければなるまい。


発言後に政府は外相・岸田文男が「安倍内閣は歴代内閣の歴史認識歴をしっかり引き継いでおり、河野談話、村山談話など過去の内閣において発せられた談話を否定したことはない」と修正している。ラッセルの仲介はこの辺りをとっかかりにする可能性が高い。


日韓首脳会談で安倍に村山、河野談話を確認させる方向での調整である。慰安婦や徴用工への保障問題については、国際法上も日本の立場を支持せざるを得まい。


つまり65年の日韓請求権・経済協力協定で解決された問題であるからだ。とりわけ慰安婦問題に関しては、朝日新聞の意図的誤報によって作り出された側面があり、この問題の泥沼にはまることは得策であるとは考えないだろう。


したがって米国の仲介は安倍に村山・河野談話を再確認させるが、保障問題は解決済みとする「日韓1両損」の大岡裁きしか手はあるまい。


要するに米国は論争の細部に巻き込まれ、泥沼にはまることを極力避け、政治論としての大局的解決を目指すしか手はないのだ。韓国側にはこれ以上の反日プロパガンダを自制するよう求めることになろう。また日本ができることは、不況にあえぐ韓国経済の建て直しへの支援であり、この面での協力を求めるだろう。


いずれにせよ隣が嫌いな国の筆頭でも、向こうは引っ越してくれない。いいかげんに大人の妥協をすべき時だ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月17日

◆周永康事件で中国政界に激震か

杉浦 正章



習近平への権力集中確立へ


安倍の靖国参拝へのデモも抑えているし、米軍機の示威行動も黙殺しているから、どうも中国が大人しすぎると思っていたら、国内が大変なのだ。共産党政権発足以来の大疑獄が3月にも摘発される様相となってきた。既に自宅軟禁状態にある元序列9位の周永康の汚職操作の公表だ。


事件は明らかに権力闘争の様相を示している。中国国家主席・習近平が江沢民の率いる石油閥への壊滅的打撃を計ろうとしているのだ。習は既に軍と武装警察を掌中に収めており、汚職摘発により権力集中が完成する。逆に江沢民側は習の親族の蓄財を暴くなど泥仕合の様相も深めている。


狙われた周永康は、石油技師などを経て国土資源相、公安相などを歴任、2007〜12年に政治局常務委員(序列9位)を務めている。10月末に収賄罪などで無期懲役が確定した元重慶市党委書記・薄煕来とも近い存在である。


既に指導部は息子を拘束、元秘書を取り調べるなど疑惑固めを急いでおり、周に近い「石油閥」の大手国有石油企業幹部らを相次ぎ摘発している。習近平は「トラもハエも逃さない」と明言しており、周は、絶対外れることのないトラバサミにかかった形だ。


その罪状は警察・司法の地位を利用して汚職官僚をかばい、高官や元老らの通信を盗聴して「反党行為」を繰り返したというもののようだ。事件の関係者は5800人に達すると言われており、周永康事件はこれまで党常務委員には絶対捜査の手が及ばないというタブーを破るものとなる。中国政界に激震が走ることは確実だ。


問題はこの汚職摘発が権力闘争の色合いを濃厚にしていることである。


中国の3大派閥は、胡錦濤・李克強らの共産党青年団系、習近平の太子党系、江沢民の上海閥系に大別され、焦点の上海閥は石油利権との結びつきが濃厚であり、石油閥とも言われる。この石油閥の中枢に位置するのが周永康であり、これを打ち崩せば江沢民派は壊滅状態となり、習近平の権力集中策は成功する。


習近平は就任以来、力によって党内、民衆を押さえ込む動きを強めてきた。言論統制や思想宣伝策を強化しており、昨年11月の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)では、「国家安全委員会」を設置、そのトップの座に座った。


同委員会は中国の軍、警察、外交部門などの情報・安全保障・宣伝部署などを統合する組織であり、共産党1党独裁体制維持・再構築の中核になるものとも言える。年間20万件とも30万件とも言われる各地で起こる暴動・デモが共産党の存立にとって取り返しのつかない様相になるのを懸命に抑えようとするための措置である。


習近平はこの安全委を核に軍と武装警察部隊(武警)の双方を掌握した。武警は150万人以上との指摘もある。治安対策とされる「公共安全費」は13年で約13兆2000億円に達し、約12兆7000億円の国防費を上回るに至っている。


習近平は近く捜査が開始となる周永康事件で汚職摘発に聖域なしを一罰百戒の形で国内に知らしめ、中央地方に蔓延する政治家や官僚の汚職、蓄財にメスを入れる構えだ。規模といい、対象人物といい歴史的な取り締まりとなるものだが、その意図が自らの権力集中に傾斜していることは言うまでもない。


したがって、政敵の汚職は摘発しても、味方の汚職は摘発しないことになり、抜き差しならぬ共産党政権の「汚職体質」は温存されこそすれ、一掃されることはない。


この習の思惑を見抜いたかのように、江沢民系からは政権直撃の汚職、蓄財情報が流され始めている。江派による反撃である。


最近世界中のメディアにばらまかれた情報は、習近平や前首相・温家宝らの親族がタックスヘイブン(租税回避地)の英領バージン諸島などで設立した会社を通じて資産を運用しているという衝撃的なものである。


明らかに江派が起死回生の反撃に出たものとされている。しかし大きな潮流としては反撃しても党中枢を握る習近平が最終的には勝利するとの見方が濃厚であり、春にかけてデスマッチが展開されることになる。


この党大幹部の腐敗すら“活用”して、自らの地位を確立しようとする習近平の飽くなき権力欲は、凄まじいものがある。


問題はこの権力闘争に勝ち抜いた後の習が対外的に強攻策に出る可能性が濃厚であることだ。最近中国では首相・安倍晋三をヒットラーになぞらえる論調が盛んだが、凄まじいまでの権力闘争を見る限り、「安倍ヒットラー」などはまだ可愛い部類に入る。


問題は権力を集中した「習近平ヒットラー」が何をしでかすか分からないことである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月14日

◆一泊でも国賓待遇で中韓けん制を

杉浦 正章


〜オバマ来日〜


「新型大国論」傾斜で米にクギを刺せ


日本外交はもう少し自信を持った方がよい。国力が衰退気味の米国にしてみれば、GDP3位の日本なしに極東戦略は展開できない。大統領・オバマを国賓待遇とすることは対中国、韓国を“けん制”する意味合いを濃厚にする。例え短期滞在でも国賓待遇とすべきであろう。


また4月の訪日は3月の米中首脳会談の後になる可能性があることも念頭に置く必要がある。今から外交攻勢をかけて、米国が太平洋を2分しかねない習近平の「新型大国論」への傾斜を食い止めるべき時だ。


また米国の懸念する日韓関係修復は大局的見地からこれを推進、日韓首脳会談を事前に実現させて、米国のメンツを立ててオバマ訪日を成功に導くべきだ。


どうも極東諸国は外交を男女間の恋愛のようにとらえる癖がある。日本のマスコミにもないわけではないが韓国は国を挙げてその度合いが著しく、まさに「嫉妬外交」の様相だ。


オバマが日本に来ると聞けば、真っ青になって外相・尹炳世(ユン・ビョンセ)が訪米、「素通りしないでくれ」と懇願するやら工作するやらの醜態。知日派重鎮の元国務副長官・アーミテージにまで泣きついた。アーミテージはさすがに大局が分かる。


大統領訪日だけでは日韓関係がかえって傷つくと判断、ワシントンポスト紙に論文を掲載して、韓国訪問を加えるように主張した。この結果、ことの重大さにようやく気づいたホワイトハウスは急きょ訪韓を付け加えたのだ。


日本は1年前から国賓待遇での訪日を希望して、根回しをしてきたが、その思惑が中国と韓国けん制にあることは言うまでもない。これが1泊2日の滞在になったからと言って取りやめる必要はさらさらない。宮中での晩餐会や、乾杯の写真は「絵」になるのだ。この「絵」を世界中にばらまき、強固な日米関係を演出するのだ。


そこで会談の内容だが、さすがに国務省や国防総省は日米同盟関係の強化維持に異論はない。問題は今は落ち目のオバマの動向だ。11月4日の中間選挙を控えて、何とか点数を稼ぎたいと思っている。ニクソンもそうであったが米国の大統領にとって対中関係改善は、大仕事であるだけに人気につながるのだ。


つい誘惑に駆られるのだ。そこでオバマは昨年11月20日に、側近の大統領補佐官(国家安全保障担当)スーザン・ライスに命じて「中国に関しては、われわれは新型大国関係を機能させるよう目指す(When it comes to China, we seek to operationalize a new model of major power relations.)」と明言させた。


ジョージタウン大学での「アジアにおける米国の将来」と題する講演の中で述べた。この動きはもっとも気になるところである。


と言うのも新型大国論は中国国家主席・習近平が昨年6月の米中首脳会談で唱えたもので、いわば米中のG2による太平洋分割論である。その内容は米中2国が衝突を避け、双方の核心的利益を尊重し、ウインウインの関係を構築しようというものである。


言ってみればアジア太平洋地域を米中の2大国で共同管理しようということだ。ライスは訪米した外相・岸田文男に対しても「米中間の一定の協力」推進に理解を要請しており、どうも臭いのだ。


日本外交にとってよぎるのはあの悪夢である。補佐官・キッシンジャーの隠密外交でニクソンに日本が出し抜かれた米中頭越し首脳会談というトラウマである。


米国にしてみれば日米軍事同盟で中国の外洋進出を食い止めるのがその極東戦略の核心だが、米国でニュースになるのは華やかなる米中首脳の関係改善だ。


大統領副補佐官・ローズは1月29日、オランダで3月24日から開かれる核安全保障サミットで、オバマと習近平が会談する方向で調整に入ったことを明らかにした。会談が実現すれば昨年の会談で習が提案した、新型大国論についてオバマが回答する番でもある。


日本にしてみれば、その存在を差し置いて太平洋を2分割されてはたまらない。居る場所がないことになる。


ここは「まさかそういう事はやりますまいね」と、“ねじ込む”場面であり、少なくとも裏舞台でダメ押しをする必要があるのだ。だから4月の首脳会談に先駆けて調整が必要なのである。米国の国力は衰退しており、米中の力関係を第1次大戦前のイギリスとドイツの関係に見立てる事が国際的に流行している。


しかし見逃している急所が一つある。それはGDP世界第3位の日本の存在である。GDP1位の米国は3位の日本と軍事同盟を維持している限り、2位の中国に優位に立てるのだ。日本の存在は今後増大しこそすれ、衰退することはない。オバマはここを見間違わない方がよい。


加えて首脳会談を日本は“活用”しなければならない。その第1が対韓関係である。国務長官・ケリーによる大統領・朴槿恵との会談で注目すべき箇所が一点だけある。それは毎日だけが報じているがケリーが歴史問題を念頭に「難しく複雑な歴史問題に過度の関心(が寄せられている)」と述べ、関係改善を求めた点だ。


米国は朴槿恵の言動を「過度の関心」と位置づけているのだ。日本の安倍の靖国参拝にも手を焼いているが、朴の“言いつけ外交”にもあきれている証拠だ。韓国は少しは「まずい」と感じているに違いない。


ましてやオバマを無理に招請しておいて、紛れもなく行われる“オバマ調停”に応じなければ、非難の矛先は韓国に集中する。日本と同様に韓国もオバマの“メンツ”を立てざるを得ないことになっているのだ。ここはけんかの仲裁に入る「留め男」が出てきたことを奇貨として、4月下旬をターゲットに両国とも妥協すべきだ。


そのためには安倍もオランダでの核サミットの場を朴槿恵との会談の場に設定してもよいではないか。事実、政府筋によると検討の対象になっているようだ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月13日

◆民主は鵺(ぬえ)政党か

杉浦 正章



舌禍すれすれの安倍発言にも沈黙


国会論議が深まるにつれて際立つのが民主党の体たらくだ。伝説の怪獣・鵺のようでとりとめもない。一方でバランスを崩しそうな首相・安倍晋三の「前のめり答弁」も目立つ。代表・海江田万里以下誰が質問に立っても、首相・安倍晋三に「倍返し」でやられて、出ると負け。


NHKの世論調査では自民党支持率が36.2%に対して民主党は5.8%と6分の1。攻撃力が支持率に正比例していると言えばその通りだが、根本的な原因はなにか。やはり旧社会党の“栄えある伝統”の「抵抗野党」に先祖返りしてしまったことにある。


執行部を左派が握って、絶対平和主義に固執して、激動する極東情勢に対応できない政党になってしまっているのだ。9日の党大会で、今国会の核心である集団的自衛権の行使容認問題に統一見解を出せなかったことが全てを物語る。


海江田の質問は本会議でも予算委でも、まさにインタビューだ。肝心の集団的自衛権問題でも安倍に対してやるのかやらないのかの手続き論を尋ねることに終始して、自ら是非を表明する事はなかった。おまけに集団的自衛権問題をよく理解していないことまで露呈した。


海江田は集団的自衛権を日本が発動しなくても「米国の90隻のイージス艦だけで対応できる」と主張したが、ケーススタディがまるで分かっていない。数の問題ではなくケースの問題なのだ。安倍に「日本のイージス艦が少ないから米国だけで完結できるかは別の話だ」と切り返されて、ぐうの音も出なかった。


安倍の答弁はこのところ勢いづいて、はらはらするようなケースが多い。国会審議がストップしてもおかしくないほど挑発的だ。長妻昭に対して「なぜ総選挙に大敗したかを全然考えていない」と切りつけた。さすがに下司(げす)とは言わなかったが「何とかの勘ぐり」と、侮辱的な発言までした。


長妻が自民党の改憲案について「国民を縛る改憲案」と述べれば「デマゴーグだ。こういうことをやっているから民主党は駄目なのだ」とこき下ろし、さらに「民主党はうまくいかなくて割れた。


結局何も結果を出していない」と決めつけた。一昔前だったら国会ストップで大騒動になるところだが、国政選挙と、都知事選挙の連敗で脳しんとうばかり起こしている民主党にその気概はなくなった。


12日の衆院予算委でも民主党の大串博志が、内閣法制局や公明党の国交相・太田昭宏にねちねちと質問、政権内部の食い違いを引きだそうとしたのに、安倍はいら立ちをあらわにした。自ら答弁を求め「最高責任者は私です。私が責任を持って、その上で国民から審判を受ける。審判を受けるのは法制局長官ではない」と言い放った。


安倍は朝日を「安倍政権打倒は朝日の社是」と発言したかと思うと、12日はタブロイド紙にまで噛みつき「私のことをほぼ毎日のように『人間のくず』と報道しておりますが、私は 別に気にしませんけどね」と発言した。読む必要のないタブロイド紙まで読んでいる証拠で語るに落ちた。


まさに安倍は当たるベからざる勢いで、勝っても誰も褒めないレベルの低すぎる相手とまでけんかしてしまいそうだ。観察すれば、どうも多忙の余りに神経が歴代首相と比較して異様にいらだっている感じを見せ始めた。平衡の感覚が崩れ始めている。


この調子で疲労ばかりためて、いさめる側近がいないと確定的に「舌禍首相」となることを予言しておく。もうその兆候が現れ始めた段階だ。民主党はそれを楽しみにできるのだが、本題に戻して、民主党がこのようにこてんぱんにやられてしまうのは何が原因なのだろうか。


やはり党大会が象徴している。党大会では「暴走する安倍政権と厳しく対峙する」と威勢よく宣言したが、その内実は逆であった。朝日が社説で「民主党大会に漂っていたのはのっぺりとした倦怠(けんたい)感だった」と珍しく見事な表現をしたが、その通りだ。


やる気がないのだ。同社説が「集団的自衛権の行使を容認するか否かは戦後日本の岐路である。早急に見解をまとめるべきだ」といら立ちをあらわにしたことが物語っている。見解をまとめるにまとめられなかったのだ。

海江田は、「早い段階で方向を出すのはやめる」と言うしかなかった。


なぜかと言えば左傾化執行部に対して保守派が対立を表面化し始めたのだ。民主党保守派は以前から前原誠司のように集団的自衛権の行使を容認すべきとする主張が根強く、党大会での最大の対立点となった。これは同党が左派と右派の寄り合い所帯であり、亀裂を避けるために安保論争を避けてきたことに起因する。


海江田ではまとめられないのだ。海江田は自ら手を挙げて代表になったものの、落ち目の政党を立て直す力量はなく、そうかと言って政権追及能力にも欠け、全く不適格としか言いようがない。


前首相・野田佳彦や前原がいいかげんに沈黙を破って左傾化民主を復元しないとそれこそ沈没か、集団的自衛権をめぐっての分裂だ。左派の旧態依然たる安保路線では激動する極東情勢に対処しきれないことを悟るべきだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月12日

◆小泉・細川の「政治生命」は終わった

杉浦 正章



エネルギー計画は原発再重視を打ち出せ


第2次小泉劇場は「大根引っ込め」のヤジと共に幕を下ろした。二人の主役がすごすごと花道を去るの図だ。小泉純一郎も細川護煕も元首相の身でありながら、無知蒙昧(もうまい)の「原発ゼロ」を都民に拒絶され、しゅうと爺さんのように国政に口を出すとどうなるかを身にしみたに違いない。


首相・安倍晋三は衆参両院選挙と都知事選挙という原発がテーマの3つの重要選挙に圧勝したのだ。ちゅうちょなく再稼働を実施し、未来への展望と希望を切り開く核燃料サイクルを推進し、世界の原発ブームの潮流に乗り遅れるべきではない。


とりわけ中長期的なエネルギー政策の指針になるエネルギー基本計画の閣議決定は、原発を堂々と「ベース電源」と位置づけ、年間3.6兆円にのぼる国富の流出を早期に食い止めるべきだ。


新都知事・舛添要一が「私も脱原発」と述べたのは、小泉の「ワンイシュー戦略」に乗せられないために打ち出した一時の便法であり、これが見事に図に当たって一点集中選挙化を防いだ。


さっそく脱原発論者はTBSのコメンテーターのように「脱原発の方が数が多い」と負け犬の遠吠えを繰り返しているが、政治記者なのに政治を知らない。ここで重要なのは「脱原発」にもいろいろあって、口先だけのキャッチフレーズから、共産党のように「即ゼロ」まで幅が広い。


安倍が「原子力への依存度は低くしていきたい」と述べながら期限を区切らないのは100年先か、1000年先か、科学技術の進歩に伴って変化しうると見ているのであり、「当面は原発推進」と言っているのと変わりはないのだ。


要するに「福島の粉じん」が治まって、原発再稼働の「心地よさ」を多数の国民が再認識して、その上で右か左かが決まってゆくことなのである。
 

そもそも安倍は選挙に先立つ施政方針演説で、原子力規制委員会が安全と認めた原発から再稼働する考えを重ねて強調した。再稼働は明らかに「入原発」の公約であり「脱原発」ではない。この結果都知事選挙は政治的には再稼働の安倍と「原発即ゼロ」の小泉の代理戦争の様相であったことを意味する。


その代理戦争に紛れもなく安倍が完膚なきまでに勝ったのであり、国政選挙に次ぐ圧勝はもう原発論争に勝負がついたことを意味する。


朝日新聞など反原発派は、さらに続く知事選などで原発反対派が勝てば、鬼の首を取ったようにデカデカと報ずるに違いないが、もう自治体選挙が国政に介入することは筋違いと悟るべきだ。原発にストップをかけたいのなら、国政選挙で勝つべきであることは言うまでもない。 


安倍政権は選挙への影響を考慮して先延ばしにしていたエネルギー基本計画を月内にも閣議決定する。既に昨年末に経済産業省の審議会がまとめた素案では原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけた。従来は「基幹電源」の位置づけであったが、一段格下げした感は否めない。


「ベース電源」とは安い燃料コストで24時間稼働し続けることを意味しており、反対派の新聞はこの表現ですら修正を迫っている。しかしもう都知事選への配慮は必要なくなった。


安倍も国会答弁では「そう簡単に『原発はやめる』とはいえない」と述べている。したがって原発維持の方針に変わりはないということであり、もうごまかしのように受け取られる基本計画の表現は避けるべきである。重要なのは原発をベースにしてエネルギーミックスを達成しようとする姿勢なのである。


さらに世界は原発新増設ブームである。これに乗り遅れることは紛れもなく国家の衰亡に直結する。現在でも国民1人あたり3万円の化石燃料費がアラブ諸国などに流出、石油の価格も上がる一方だ。


既に貿易収支の悪化は限界にまで達している。政権を担当する以上、もう躊躇してはならない。都知事選は紛れもなく免罪符として活用されるべきものである。


筆者は細川・小泉のタッグマッチに、荘子に「寿(いのちなが)ければ則ち辱多し」があるとと指摘したが、二人にとって恥多しの選挙であった。都民は今回だけは選挙を「遊び」とすることを控えた。浮動票も舛添に流れた。


電気料金、石油価格の高騰に苦しむ一般家庭や中小企業。せっかくのオリンピック招致を細川で成し遂げられるのかという危険性。今すぐあってもおかしくない直下型大地震。こうした状況を考えれば、細川3位の惨敗は当然の結果であろう。


なによりも小泉、細川のポピュリズムに立脚しようとする“邪心”と“野望”が否認されたのだ。細川はろくろの前に座り直すのが、姿として似合う。小泉も「劇場選挙の夢よもう一度」は儚く散った。もう二度と政治の場に出てこなくてよい。その政治的な能力の限界をさらしたからだ。


小泉に同調した息子の進次カの判断力の甘さも露呈した。まだまだ雑巾がけが足りない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年02月07日

◆安倍・石原・渡辺連携で公明に圧力

杉浦 正章



集団的自衛権の工程固まる


一連の国会審議を通じて集団的自衛権の行使容認に向けての首相・安倍晋三の「工程表」が鮮明となった。


そのポイントは(1)今国会中にも集団的自衛権容認に向けて憲法の解釈を変更する閣議決定をする(2)秋の臨時国会で法的根拠を作る(3)行使の是非は政策判断で決める(4)年末の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定に反映させるーで構成される。


同時に安倍は解釈変更に前向きな維新・みんな両党との政策協議を進展させ、場合によっては公明党に先行して変更を合意に持ち込む。そうなれば公明党は態度決定を迫られることになるが、安倍の説得材料は(3)の政策判断での“歯止め”となろう。
 

所信表明演説で打ち出した安倍の「責任野党との協調」路線は、集団的自衛権の行使容認に向けての布石である色彩が濃厚となってきた。みんなの党代表・渡辺喜美は積極的に応ずる構えである。維新は共同代表・橋下徹が市長選にかかりっきりとなることから、いきおい石原慎太郎の比重が増す結果となった。もちろん容認へと向かうだろう。


こうした中で石原と渡辺の接近がささやかれている。渡辺の父美智雄はかつて石原と自民党青嵐会で活躍した同志であり、石原と喜美の関係もよい。両者は近く集団的自衛権問題で会談することも検討しており、実現すれば集団的自衛権で「安倍・石原・渡辺連携」へと発展する可能性を秘めている。


自民党内には幹事長・石破茂が憲法解釈変更の時期に関し、「今国会で結論を出すことが目的ではなく、行使を可能にすることが目的だ」と述べ今国会中にこだわらない考えを示している。


石破は解釈変更に関しては全く安倍と歩調を合わせているが、その段取りについては秘密保護法成立が官邸主導で進み、マスコミ・野党の攻撃にさらされたことから、慎重姿勢である。安倍は石破に公明党説得を委ねており、石破は(1)集団的自衛権容認(2)尖閣への偽装漁民上陸などグレーゾーン事態への自衛隊出動の両面から舞台裏で公明党説得に取りかかっている。


このうちグレーゾーン事態への対応については公明党も「個別的自衛権の範囲」(幹部)として同調する構えを見せているが、集団的自衛権の行使に関しては代表・山口那津男が「時期尚早」と立ちはだかっている。


と言っても山口は当初の「断固反対・政権離脱」から「時期尚早」まで折れてきているのだ。最近では「政策的意見の相違だけで連立離脱は到底考えられない」とまで変化し、「知恵を出し合意形成に努力する」と条件闘争的な姿勢を見せ始めている。


山口にしてみれば「安倍・石原・渡辺連携」が実現して、これが連立の枠組み変更にまで移行してしまっては、創価学会首脳から責任を問われることになりかねない。実はこれが一番怖いのである。


そうかと言って、絶対平和主義の学会婦人部の力も無視できず、実態は学会内で板挟みとなっている状態なのだ。したがって、ここは婦人部説得の“材料”が不可欠なところであろう。


婦人部では「地球の裏側にまでアメリカに付いていって戦争することになる」といった議論が主流を占めており、これを説得するには材料が必要なのだ。そこでささやかれているのが、安倍の工程表(3)の「解釈変更を実際に行使するかどうかは政策的に決める」である。


要するに“歯止め”をかけるのだ。安部は国会答弁で「いわゆる集団的自衛権の行使はやらなければいけないということではない。権利として持つことで政策的には選択肢を持つ」と説明している。解釈変更を閣議決定しても、実際に行うかどうかは内閣の判断で決めるのだ。


安倍も石破も「地球の裏側論」を否定しており、この辺で山口のメンツを立てる妥協案が出てくる可能性が高い。具体的には例えば、日本海で米艦船が攻撃を受ければ、集団的自衛権を行使して反撃するが、地球の裏側では見送る判断もあり得ることを歯止めとするのだ。


この歯止めは(3)の「秋の臨時国会で法的根拠を作る」と密接に絡んでくる。自衛隊の出動要件などを定めた自衛隊法、日本が直接武力攻撃を受けた場合に備える武力攻撃事態等対処法、日本周辺有事での米軍への後方支援を定めた周辺事態法の改正が中心となるが、“歯止め”を入れて公明党やマスコミの反応を和らげることが必要となる。


ろくろく理論武装もないままに突っ走った秘密保護法の二の舞は避けたいというのが石破らの考えであろう。しかし、安倍にしてみれば工程表を動かすにはまず4月の安保法制懇の報告書を受けて早い段階での閣議決定を逃すと、チャンスを失う恐れがある。維新、みんなが盛りあがったところで対応する必要もあるのだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)