2014年04月11日

◆集団的自衛権めぐり民主党の亀裂拡大

杉浦 正章



自民党は野田に働きかけよ
 

集団的自衛権の行使容認をめぐって民主党内の亀裂が拡大した。反対の代表・海江田万里と推進派の元防衛副大臣・長島昭久がワシントンで真っ向から対立する発言をして空中戦を展開した。


今後連休明けに首相・安倍晋三の諮問機関・安保法制懇の報告が出れば、その是非をめぐって党内論議の激突は避けられない様相となってくる。


海江田が国の動向を左右する戦後まれに見るテーマで党内論議をまとめられないのなら、代表の資格がないことになるが、本人は10日、何が何でも代表のポジションに“しがみつく方針”を表明。党内は相変わらず度し難い様相を呈しつつある。


空中戦はまず海江田が8日の講演で安倍の集団的自衛権の行使容認姿勢を「憲法解釈の変更は立憲主義という観点から積み重ねられてきた、政府の解釈を無視するものだ。時の権力者によって解釈変更を恣意的に行われるのは認められない」と正面切って批判した。


その翌日長島が記者団に行使容認について、「中国や北朝鮮の動きを考えれば喫緊の課題だ。全面的にやるべきだというのが私の持論だが、限定的な行使容認が第一歩だ」と述べた。


そのうえで長島は、「限定的な行使容認なら民主党でも多くの議員が前向きに受け止められると思っており、私だけが突出しているとは感じていない」と、民主党内も限定容認に傾いていることを強調した。海江田体制発足以来、くすぶり続けて来た集団的自衛権の行使をめぐる党内論議が火を噴いた形となった。


その兆候は既に今年初めから生じている。2月に開かれた安全保障総合調査会などの合同総会では、絶対反対の調査会長の北沢俊美と、憲法総合調査会長の枝野幸男が解釈変更に反対する私案を提示。これに対し、元外相・前原誠司ら保守派から「個々の事例を検討して結論を出すべきだ」と異論が出され、議論が白熱。


結局当たり障りのない収集策で当面を糊塗している。反対派は幹事長・大畠章宏、枝野、北沢ら党内左派であり、海江田はその左派路線の上に立って党内運営をしてきた。


これに対して前首相・野田佳彦、元外相・玄葉光一郎、長島、幹事長代行・渡辺周らが、容認論である。長島に至っては限定せずに全面容認論であり、自民党より右だ。


とりわけ野田は首相になる前から著書で集団的自衛権容認論を説いており、首相になってからも国家戦略会議のフロンティア分科会が提出した行使容認を提言する報告書に賛成する意向を表明した。野田は「考え方を日本再生戦略の中に存分に反映させたい」と述べているのだ。


総選挙大敗で謹慎中の身である野田は側近に「まだ表に出るのは早い。執行部に文句は付けない」と漏らしている。しかし、うずうずしているのは間違いない。野田は海江田がずっこけるのを見越して待っているのかも知れない。自民党が民主党に手を入れるとすれば野田あたりを動かすのが最良だろう。


海江田は昨年の参院選挙後には、「1年間で目に見える結果を出せなければ代表を辞任する」意向を表明したにもかかわらず、ワシントンから帰ると「人気は来年9月までだ。1_でも民主党が前に進むよう頑張る」と手のひらをかえした。


発足当初から筆者が指摘したように海江田では党勢回復は無理だ。読売の世論調査でも支持率は自民が40%なのに対して、民主党は10分の1の4%で、低迷の極致だ。野田はもう謹慎しているときではあるまい。


集団的自衛権容認をテーマに左派と徹底的な論議に出るときだ。国の動向を左右するテーマである上に、自らの持論である集団的自衛権の行使容認で何らの行動も起こさなければ、政治家としての存在を問われる。


他の野党は維新が容認6条件を出すなど賛成で固まりつつある。渡辺喜美の代表辞任でその動向が注目されているみんなの党も、次期代表になる浅尾慶一郎が10日「渡辺路線継承」を表明した。浅尾はもともと容認論であり、方向転換することはあるまい。


公明党も、自民党幹事長・石破茂が衆参公明党1年生議員7人と懇談するなど、代表・山口那津男の孤立化作戦ともとれる動きを見せている。1年生議員らは石破の説得に同調するものが多く、世代の相違が際立ったという。


連休明けからは野党と公明党の動きが表面化する流れであり、既に自民党内をまとめた安倍にとっては千載一遇のチャンスとなりつつあるのであろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年04月10日

◆日中改善へ針の音が2度聞こえた

杉浦 正章



胡徳平来日と友好議連訪中


戦後最悪の日中関係が続く中で、関係改善に向けた動きがあれば針の落ちる音でも耳を傾けなければならない。その針の落ちる音が2度聞こえた。


1つは1980年代に日中関係改善に尽くした元総書記・胡耀邦の長男・胡徳平(71)の来日だ。他の1つは中国側の要請で実現する日中友好議連による大型訪中団の実現だ。いずれも一歩前進になり得る要素をはらんでいる。


6日から来日している胡徳平は元首相・福田康夫、官房長官・菅義偉、外相・岸田文男、自民党副総裁・高村正彦らと相次いで会談、8日には講演もしている。


胡は全国政治協商会議の常務委員を務めたことがあり、中国共産党の高級幹部の子弟グループいわゆる「太子党」の一人として今も党内に一定の影響力を持っている。中国国家主席・習近平にも直接意見を伝えられる立場にある。


外務省招待の形で来日したものだが、当初3月下旬に予定されていた来日は、中国側の事情でいったん見合わせることになったが、ここに来て急きょ実現に至った経緯がある。一連の会談ではもっぱら“微笑外交”だけが目立った。


官房長官・菅義偉との会談で胡は「両国は経済でも切っても切れない関係にあり、交流を深めたい」と発言。高村には「戦略的互恵関係を取り戻さなければならない」。


講演では「大局的観点で良好な日中関係を維持していくことが唯一の選択肢だ」と強調している。現在は無役とはいえ、日中関係に長年携わってきた大物政治家による久しぶりの関係改善に向けての発言である。高村は日中友好議連の訪中に当たって中国首脳との会談実現を要請したものとみられる。
 

その友好議連の訪中だが、5月4日から6日の日程で実現することになった。昨年も5月連休に訪中を予定していたが、中国首脳との会談が無理と伝えられ、断念した経緯がある。高村らが今回の訪中に意欲を燃やしているのは、中国側の要請で実現することになったからである。


3月13日に来日した中日友好協会副会長・王秀雲が直接高村に要請したものだ。王は首相・李克強とも近く、中国政府の何らかの意図が作用している可能性が濃厚だ。


高村が目指しているのは中国国家主席・習近平か李克強との会談であり、昨年これが実現しないと分かって断念したが、今回訪中することになったのはよい感触が伝えられている可能性がある。


昨年行われた首相・安倍晋三の靖国神社参拝以後、中国の政治家が日本の政治家と会談することは皆無であったが、3月には中日友好協会会長・唐家センが、訪中した民主党前幹事長・細野豪志らと初めて会談している。


友好議連の訪中団は会長の高村と副会長の岡田克也、山口那津男ら与野党の有力政治家で構成する予定であり、中国首脳との会談が実現すれば冷え切った日中関係打開に向けた糸口になる可能性がある。


日中関係は習近平がベルリンで南京事件に関して「日本が30万人以上殺した」と誇大妄想的な主張を繰り返せば、歴史認識での中韓共闘など悪化の一途をたどっている。


北京で8日行われた米国防長官・ヘーゲルと中国国防相・常万全との会談では、尖閣問題で自制を求めたヘーゲルに対して常は「領土を巡る対立で妥協の余地はない」と発言、激しい応酬が展開された。


基本的には習が共産党政権に対する国内の不満を尖閣を“活用”することで回避しようとしている構図であり、その構図がある限り日中関係は根本的な関係改善にはなりにくい。


しかし習は、明らかに“政経分離”で経済だけは共栄共存に持ち込みたい考えがあるものとみられ、日本側も経済、文化、人的交流の活発化で関係改善への基盤をまず作り上げることが必要なのだろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年04月09日

◆ハト派が絶滅危惧種になっているわけ

杉浦 正章



「AA研」復活しても弾みはつくまい
 

かっての自民党にはハト派がいっぱいいた。これがいまや絶滅危惧種になりつつある。タカ派が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)してハトを食ってしまっているのだ。


焦点の集団的自衛権の行使をめぐっても、ハト派は抵抗らしい抵抗はできぬまま、限定容認へむけて妥協をせざるを得ない局面に至っている。こうした中で昔懐かしい名前が登場した。「AA研」である。


アジア・アフリカ問題研究会として佐藤政権時代の65年に発足したハト派集団で、やはり同年賀屋興宣らがタカ派が発足させた「A研」(アジア問題研究会)と自民党内の安保・外交路線を2分する論争を繰り広げた。そのAA研が再発足するというのだが、果たしてハト派を絶滅から救うことができるのだろうか。


AA研は「あのミノファーゲンめが」とタカ派から別称を持って語られた製薬会社ミノファーゲン社長・宇都宮徳馬らが設立した。折から米ソ冷戦はベトナム戦争を軸に佳境に達しており、佐藤内閣はアメリカ支持を続けて、沖縄返還にまで持ち込むことに成功した。


こうした風潮の中でAA研は、異端的な存在であったが、ハト派議員の集団として根強い存在感を示し、佐藤も一目置かざるを得なかった。代表世話人の宇都宮は、中国の国連加盟を推進するとともに、中国、北ベトナム、カンボジアなどを訪問。


とくにアメリカと戦争している 北ベトナム首相・ファン・バンドンと会談するなど、佐藤をはらはらさせる行動をとったものだ。その後、元衆議院議長・河野洋平らいわゆるハト派が会長を務めて近隣外交を重視した活動を行ってきたが、最近はとんと名前を聞かず、存在すら忘れられていた。


それを党税調会長でAA研会長の野田毅と同会長代理の大島理森が再発足させようというわけだが、安倍のタカ派路線に対抗するようなムードが高まるかと言えば無理だろう。


そもそも焦点の集団的自衛権容認問題について野田は先の総務会で、絶対反対を打ち出した村上誠一郎を支持する発言をしているが、その後副総裁・高村正彦の説得に応じて限定容認を受け入れている。


もともと野田は昨年の総選挙前、毎日新聞のアンケートで憲法改正賛成、集団的自衛権の行使容認、尖閣問題で中国に強い態度を取ることを選択しているのだ。その野田がいまさらハト派を糾合しようとしても同調者は少ないものとみられる。


むしろ安倍の次を狙った総裁選対策かと疑心暗鬼が党内に生じているのだ。AA研に参加などすれば、夏の内閣改造で干されかねない。


ハト派はまさに断末魔のあえぎをしているように見える。なぜこうなってしまったのか。


ハト派と言えば池田勇人が作った名門宏池会だが、その路線「軽武装・経済重視」が時代の風潮とマッチしなくなってきているのだ。経済重視はまさにアベノミクスとして展開されており、軽武装は北の核ミサイルと、中国の国防費激増、その膨張政策で説得力がなくなった。いつまでもお題目を唱えても誰も同調しない時代なのだ。


さらに紛れもない極東冷戦の状況は、ある意味で東西冷戦より厳しい対応を日本に突きつけている。米国の国力の衰退により、日本の自衛能力を高めなければ極東に真空地帯が生じてしまうのだ。


宏池会は4人の閣僚を出しているが、そのうち外相が岸田文男、防衛相が小野寺五典であり、まさに中国と北朝鮮によるどう喝、威嚇の最前線である。両相とも極めて大人しいが、状況を知れば知るほど自衛力を強めて、抑止力をつけななければならないと感じていることは間違いない。


ハト派は選挙区に帰れば中国と北朝鮮問題で発破を掛けられて戻ってくる。下手な行動を起こせば落選の憂き目を見ることになりかねないのだ。


加えて重要な構造的な要因がある。それは小選挙区制の導入である。


それを推進した河野洋平がこともあろうに朝日のインタビューで「大失敗です。20年前より政治は悪くなった。こんなに死票が多く、民意が切り捨てられている政治はダメですよ」と述べているが、導入当時から指摘されていたことを20年後になって言われても遅きに失する。


なぜ小選挙区制の導入が駄目なのかと言えば、同制度が自民党の「幅」を喪失させたのだ。中選挙区であれば自民党で同一選挙区から3人当選することも珍しくない。これが右から左まで包含した政党の幅となって現れていたのだ。


党内にAA研とA研が対立することが可能な素地と包容力があったのだ。ところが小選挙区は候補選定に当たって総裁、幹事長の力が決定的に作用する。安倍が「彼は左だから駄目」といえば公認されないのだ。だから議員が「金太郎アメ」化する。同じタカ派の顔しか出てこないのだ。


こうして内外の状況がハト派を絶滅危惧種に追いやっているのだ。とりわけ選挙制度を変更しなければこの傾向は変わりようがない。

  <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年04月08日

◆渡辺辞任で石破が浅尾を先物買い?

杉浦 正章



集団的自衛権容認を意識


みんなの党代表・渡辺喜美の辞任が安倍政権との蜜月関係と野党再編にどう影響するかが焦点となる。


首相・安倍晋三にとって最大の懸念は“ミニ政党液状化”が政権最大の課題である集団的自衛権の容認問題にどのような影響を及ぼすかだが、既ににみんなの党内は解釈改憲の流れで固まりつつある。維新は限定容認に向けての独自案を提唱しており、両党の方向は大きな変化を生じないだろう。
 

問題は「一兵卒」として働くというみんなの党代表・渡辺喜美が党内に「院政」を敷けるかどうかだが、7日の記者会見を見る限り疑惑は解かれていない。従って当分の間、渡辺は泥沼に足を突っ込んだまま身動きできない状況だろう。


再び党幹部に返り咲けるどうかは微妙であり、一部野党は議員辞職にまで追い込もうとしている。「渡辺商店」というだけあって次の顔が見えないが、後継には幹事長・浅尾慶一郎の名前が取りざたされている。


自民党幹事長・石破茂は早くも先物買いか「集団的自衛権をめぐって浅尾幹事長は正確な理解をしている」と持ち上げた。


確かに浅尾は集団的自衛権について容認論だ。NHKの討論でも「まず集団的自衛権の行使を決めて、行使できる範囲は法律で制限すれば良い」との考えを表明している。渡辺も「安倍政権への連携重視は継続して欲しい」と“遺言”を残している。
 

浅尾は「党内の結束が一番大事だ。できるだけ早く新体制を固めたい」とも述べて、他の党から食いちぎられ再分裂することを警戒している。次期代表を意識しているかのように見える。


みんなを分かれた結いの党からは、早くも「一緒に維新と合流しよう」との働きかけが若手に行われ始めており、党内の動揺が収拾するのには時間がかかるだろう。よほど締めてかからないと、さらなる党分裂もあり得ると見なければなるまい。


一方で維新の弱体化も目立つ。維新共同代表・橋下徹は、無駄な市長選の結果低投票率という拒絶反応のパンチを食らい、政界での動きもままならぬ状況だ。ただ集団的自衛権については幹事長・松野頼久が前向き姿勢を維持している。同党は限定容認に向けて6条件を提唱している。民主党右派も限定的容認で推進の方向である。


何でも集団的自衛権の容認にケチを付けたいマスコミが「安倍首相は両党の弱体化で、公明党に対するカードが切りにくくなった」と鬼の首を取ったように報道しているが、容認への大きな構図は変化がないのが実態だ。


問題は公明党が「責任野党」の弱体化を“活用”して、容認阻止への動きを強める可能性があることだ。いずれにしても石破は、高知市で「断固やり抜くのが、われわれに与えられた責任だ。選挙に落ちるなどと言って本当のことを語らないのは、自己保身だ」と不退転の決意を表明しており、渡辺が退任しようがしまいがまい進する方針に変わりはない。


それにしても渡辺の釈明に関しては全てが説得力に欠ける。


これまで「8億円は皆使った」としてきたが、突然「妻の口座」が出てきて5億5000万円が振り込んであると説明した。それでは妻の口座を党の調査に委ねるかといえば、委ねない。そもそも8億円は参院選挙と総選挙の直前の振り込みであり、これが選挙費用でないことはあり得ない。


総選挙で5億円などあっという間に消えてしまっているはずだ。それを雲隠れの1週間であちこちからかき集めて「妻の口座」に振り込んだに違いない。


貸し主の化粧品大手DHC会長・吉田嘉明自身が「選挙資金であった」と説明しており、吉田が最初に「追い落とす」と言った構図は変わっていない。選挙資金なら収支報告書への虚偽記載というまぎれもない公職選挙法違反であり、今後国会などでの追及に渡辺が釈明しきれるかどうか微妙だ。


みんなの党の信頼回復のためには、さらなる説明が必要なことは当然だ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年04月04日

◆限定容認論の方向が確定的に

杉浦 正章



集団的自衛権で与野党の潮流


テレビで「ころころ考えが変わったら国際的信用を失う」と集団的自衛権の容認に真っ向から反対していた自民党元幹事長の古賀誠が“ころころ”変わった。「限定的であれば容認はやむを得ない」のだそうだ。


古賀は「自民党はこんなにチェックアンドバランスを失った時代はない」とも息巻いていたはずなのだが、この大変化は何だ。まさか夏の内閣改造でノーバッジでの入閣を狙っているのではあるまいが、あらぬ疑いをかけたくなる。


自民党の副総裁・高村正彦の党内調整は個別撃破の段階に入った。古賀も落城し、税調会長・野田毅も落ちた。次々陥落する背景には、自民党が野に下って以来5年間も待たされている入閣待望組の思惑が大きく作用している。


「集団的自衛権の行使でも何でもやってくれ。俺は入閣したい」のだ。だから自民党内の派閥は「幹部がそわそわして、戦う気がない。もう勝負はあった」(中堅議員)ということになっているのだ。


唯一人目立つのが絶対反対の元行政改革担当相・村上誠一郎だが、最近禁じ手を使ってひんしゅくを浴びている。去る3月25日夜、公明党代表・山口那津男、民主党元代表・岡田克也、結いの党幹事長の小野次郎らを集め、集団的自衛権つぶしの秘策を練ったといわれる。


こともあろうに野党と結託してまでも、つぶそうとする姿勢には、よほど追い詰められたという意識があるのだろう。しかし肝心の野党が本気で相手にしている感じはない。


現に岡田は3日のテレビで「限定容認論が出てきたのは半歩前進」と同調する構えを示している。村上は禁断の木の実に手を出して、信用を完全に失墜した。


野党でも維新は積極的だ。限定容認への6要件をまとめた。野党にしてはあまりに精査されている内容なので調べたら、政府筋の情報が入っているようであり、内容が向かうべき方向を示している。


要件は(1)日本と密接な関係にある国に対する急迫不正の侵害(2)日本の平和と安全に重大な影響を与える(3)侵害の排除に、他に適当な手段がない(4)合理的な範囲内での実力行使(5)支援要請がある(6)内閣の判断と国会の承認 ーとなっている。


官房長官・菅義偉が「建設的議論、いいことだ」と述べているのは、いささか八百長じみているが悪いことではない。


政府・与党の態勢は2日の安倍、高村、石破、菅会談で最終的に固まった。限定的容認が大勢となった党内の潮流を受けて、不退転で通常国会末か夏までに閣議決定に持ち込む方針を決めた。


この席で安倍は奇妙なことに二律背反的な指示を出した。安保法制懇の報告は連休後とするが、公明党との調整は急げというものである。報告がないのに調整はあり得ないところだが、公明党もなめられたものだ。


安倍にしてみれば下旬のオバマ来日で集団的自衛権の容認を正式に伝えて、好戦的な周辺諸国への抑止効果を確立したいのだ。


こうして限定容認論が大きな潮流として確立した。その基本は「これまでの憲法解釈通りに、自衛権は必要最小限の範囲にとどめるが、最低限度の集団的自衛権は容認され、必要最小限の範囲に含まれる」というものだ。


これは反対勢力の「地球の裏側まで米軍について行って戦争することになる」とか「米本土防衛にかり出される」などのでたらめなプロパガンダを否定して、本格的な改憲までこれでしのげるという対応だ。


この結果、公明党は共産党や社民党と同一の世界のどの国にもない絶対平和主義路線をとるのか、限定容認論という世界の常識よりもやや弱い対応をとるのか態度を迫られることになる。その実態は公明党の完全孤立化である。


安倍の指示を受けて高村と石破は3日公明党代表・山口那津男らと会談、本格調整に入った。


高村は砂川事件に関する1959年の判決を根拠に挙げ「自民党は選挙公約を検討した当時から、集団的自衛権の行使容認は、武力攻撃を受けた密接な関係にある国の要請などを要件として限定することを目指してきており、政府も方向性は一致している」と説得。


山口は「党内は限定的に集団的自衛権の行使を容認しなくても、個別的自衛権や警察権の行使で対応できるのではないかという意見が大勢だ」と反論した。今のところは平行線をたどっているが、“政権政党の甘い蜜”が結局は態度を決めさせるのだろう。山口は政権離脱までして信念を貫ける男ではあるまい。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年04月03日

◆日米首脳会談「修正主義路線」の否定

杉浦 正章


安倍自ら「極右政権」の疑念を払しょくせよ

半世紀にわたり東京とワシントンで日米首脳会談を見ていると、「日米首脳会談成功の原則」というものがある。成功させないと日米ともに基本戦略がなり立たず、外向けには成功を強調した発表をするのだ。

しかし「真の成功」と「虚の成功」があることが過去の首脳会談をフォローすれば如実に分かる。極東情勢の緊迫は今ほど「真の成功」を必要とするときはない。

お決まりの合意である「日米同盟強化」に何が盛り込まれるかだが、中国、北朝鮮の「戦争可能」の誤算を起こさない「強固さ」が必要不可欠であることはいうまでもない。

そのためにまず払しょくしなければならないのは、米国内に台頭した「日本軍国主義化」「安倍歴史修正主義」の疑心暗鬼だ。これがある限り会談は「虚の成功」に傾く。

ワシントンと往来する外交官や政治家が最近口を揃えて指摘するのは横溢している日本軍国主義化への懸念だ。とりわけ首相・安倍晋三の靖国参拝以降その傾向が強く、元外務省首脳は「過去10年間に一度も生じたことのないような嫌な雰囲気を感ずる」と言う。

その原因の一つが靖国参拝を“活用”した中韓両国による歴史認識プロパガンダに、日本が対応し切れていないことが原因だ。もう一つは安部側近による極右発言だ。

首相補佐官・衛藤晟一が米政府の靖国参拝失望声明に「むしろわれわれのほうが失望だ」とのべれば、内閣官房参与・本田悦朗が米紙に「第2次大戦中の神風特攻隊の『自己犠牲』について語りながら、涙ぐんだ」と報ぜられる。

総裁特別補佐・萩生田光一に至っては「共和党政権の時代にはこんな揚げ足取りをしたことはない。民主党政権だから、オバマ政権だから言っている」と言明する。

日本人が聞いても根底に反米感情があることを感ずるが、ワシントンには増幅して伝わる。これらの発言の度に官房長官・菅義偉は否定するが、肝心の安倍が「個人の発言」として否定しない。

側近だからニュースになるのに「個人の発言」と言う弁明はなり立たない。これに中韓両国がそれ見たことかとばかりに煽るから、安倍政権は歴史修正主義の極右軍国主義集団かということになってしまう。

安倍の戦後レジュームの見直し発言もワシントンでは「サンフランシスコ平和条約を離脱して行き先は戦前なのか」という疑念を生じさせる。日本のナショナリズムが高揚すると反米になる戦前のパターンを想起し、核武装や真珠湾奇襲の悪夢をよみがえらせる。

まさに集団的自衛権の容認反対が左の平和ぼけなら、首相側近らの反米発言は「極右の平和ぼけ」にほかならないのだ。ニューヨーク・タイムズは「安倍首相の危険な修正主義」と題する社説を掲げ、AP通信も安倍の国家主義と歴史修正主義に懸念する記事を報じた。

首相側近にはこうした事態を掌握出来ず「今年も靖国参拝する」との見方すら出ているが、今度参拝したら「気が狂った」としか表現のしようがない。自民党は即安倍降ろしにかかるべきであろう。

もちろん安倍に歴史修正主義の意図は全くないが、獅子身中の「3虫」の発言が中韓両国のプロパガンダとエコーし合って、米国の知日派までが憂慮している事態に至っているのだ。これを放置してはならない。

オバマ政権はウクライナ情勢で当面ヨーロッパに傾斜せざるを得ないからこそ、日本重視に動いている。オバマが1泊2日の日程を急きょ2泊3日で国賓待遇を受ける方針に変更したのも、ウクライナ情勢が深く作用している。

中ロ軍事同盟すらささやかれる中で、ロシア孤立化のためには極東の要石(かなめいし)・日本の協力が不可欠だし、国賓待遇での天皇による晩餐会は対露、対中けん制のポイントなのだ。

米国防総省が1日、中国が山東省青島沖で今月下旬に開く国際観艦式への米艦船の参加を見合わせると表明したのも、中国が海上自衛隊に観艦式への招待状を送らず、日本外しに出たことに、同盟国として不快感を示す意図があるのだ。

米国の中長期戦略は対中対峙にあることは間違いないが、同盟国が対中挑発を行って、「予期せぬ戦争」に巻き込まれることは何としてでも回避しなければならないと考えているのだ。

したがって、オバマ政権の対日重視姿勢を奇貨として、安倍は首脳会談で「安倍修正主義極右政権」の誤解払しょくを演出する必要があるのだ。誤解を放置すれば、日米が将来抜き差しならぬ関係に発展して、中国による歴史認識での日本孤立化のわなにはまる危険がある。

従って安倍は首脳会談の場で、日本軍国主義化の疑心暗鬼を解く“演出”をすべきであろう。そのメーセージをワシントンの官僚、有識者に伝えることが、知日派、親日派をつなぎ止める最良の道だ。安倍本人がはっきりと否定することがなによりの宣伝になる。

この大局に立った上で、23日からの首脳会談は対中けん制の色彩を濃くする必要がある。年末の日米防衛協力のためのガイドライン改訂に向けて、その核になる集団的自衛権の容認を改めてオバマに再び確約する必要がある。

従って党内、対公明党調整もその前に見通しをつけておくべきであろう。これに加えてTPP(環太平洋経済連携協定)の成功につなげなければならない。もうそろそろ首相裁断でコメや牛肉・豚肉など農産物重要5項目の関税の取り扱いに方向を出すべき時だ。とりわけ牛肉などで国内対策と合わせた譲歩をしなければ、亀裂ばかりがクローズアップすることになりかねない。
 

2014年04月01日

◆地球温暖化の地獄は原発しか救えない

杉浦 正章



IPCC報告が脱原発派を追い詰めた


もともと不可能な「原発ゼロ」論議の破たんが現実のものとして突きつけられた。31日公表の国連気候変動政府間パネル(IPCC)の報告書がそれを如実に物語っている。このまま地球温暖化が続けば地球が「地獄の星」と化す方向が明白になったからだ。

化石燃料をどんどん燃やしている日本は、大きく方向を切り替えて温暖化阻止に向けて先頭を走るべき時だ。喫緊の対応が求められている。温暖化対策に現在対応可能なクリーン・エネルギーは原子力しかない。遅々として進まぬ再稼働に政治決断で弾みをつけるときが到来している。再稼働はもちろん新設も不可避の流れだ。


温暖化によって何が起こるか。報告書によると世界の平均気温は産業革命以降、近年までに0.6度余り上昇している。今後、気温が2度上昇した場合、異常気象による被害などで、年間に最大で世界各国のGDP(国内総生産)の総額の2%程度が失われる。


気温が3度以上上昇した状態が続くと北極圏の島のグリーンランドで氷のとけるスピードが加速し、大規模な海面の上昇が起きると予測。さらに温暖化は食糧の確保を脅かすなどして、貧困層を拡大させ紛争の危険性を間接的に高めるおそれがあると警告している。
 

報告書に民間学者などの予想を加えると、具体的な“地獄”の様相が鮮明になる。まず、 地球温暖化が続けば、今世紀末までにアジアを中心に数億人の移住が必要になる。水位上昇により住む土地を奪われた民族の移住は当然他の民族との摩擦を起こし戦争が発生しやすくなる。


温暖化は蚊に媒介される感染症である、マラリア、デング熱、ウエストナイル熱、日本脳炎などの感性症の地域を広げ、日本などにも襲いかかる。既に米国西部などで山火事が増加しているが、この傾向は世界的な広がりを見せ、しょっちゅうどこかで森林が燃える状況となる。


熱中症などによる死者は今後数十年にわたって増え続ける。米コロンビア大学の研究チームは、ニューヨーク・マンハッタンの1980年代の気温と熱中症による死者の数を調べ、それを基に今後の増加率を予測している。それによると、熱中症による2020年代の死者は、1980年代に比べて約20%増える見通しだ。


何よりも致命的なのは海面の上昇だ。4度の平均気温上昇によりグリーンランドや西南極氷床が完全に融解した場合、それぞれ7mおよび5mの海面上昇を起こすと計算されている。


これが何を物語るかと言えば、津波の頻発だ。3.11のような大地震でなくても小規模な地震で大津波が発生する。高潮などは日常的に発生する。報告書は、世界の平均気温の上昇が今世紀末に4度を超えるなら、後戻りできない環境の激変を起こしかねないと警鐘を鳴らした。


まさに地獄絵の様相だ。これに対して人類は有効な対策があるのか。


それには原因を根絶するしかない。なぜ温暖化が発生するかと言えば、全ては化石燃料を燃やすからだ。化石燃料消費によって排出するCO2だけでも、年間318億トン(2006〜2010年平均)に上り、この量は増加し続けている。


CO2の約3分の2は吸収されず、大気中にたまり続けていて、これが温暖化を引き起こす原因になっているのだ。これを食い止めるのは、CO2を出さない原子力か再生可能エネルギーしかない。


将来的には再生可能エネルギーが実用化すれば最良であるが、実用化は遅遅として進まず、日本の場合まだ全体のエネルギーに占める割合は1.6%だ。逆に再生可能エネルギーが電気料金の引き上げを招いて、社会のブレーキとなっている。


こうした中で過去半世紀、原子力発電は危険すぎると訴えてきた環境学者にも変化が生じている。


気候変動を専門とする著名研究者らが昨年、地球温暖化を食い止めるため、より安全な原子力発電システムの開発を推進することを世界の指導者に求める公開書簡を発表した。気候およびエネルギー科学者のジェームズ・ハンセンら4人だ。


「原子力を利用しなければ、石油や石炭などの化石燃料を燃やすことによる二酸化炭素排出量増加の現状を覆すことはできない」と主張。「原子力発電に重要な役割を担わせない限り、気候安定化に向けた確実な道は存在しない」と指摘している。


日本でもようやくこれに気付いて自民党の元官房長官・町村信孝が「東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、地球温暖化の議論が少なくなったが、日本は、これだけ経済が発展し、相当な量の温室効果ガスを排出しているので、地球温暖化対策のためにも原発の再稼働は必要だ」と発言している。


この流れに原発再稼働反対の朝日新聞がどう出るか注目するところだ。


1月の段階の社説では「温暖化防止、子孫につけを残すまい」と見出しを取ったから、変化かと思ったが「放射性廃棄物という別の形で子孫につけを回す原発に期待をかけるのではなく、真に持続可能な社会への転換によって大幅削減を図りたい」と相変わらず原発反対。


だからといって具体論は全然示せず「持続可能な社会への転換」などという意味不明のごまかしで逃げている。反対派はもっと理論武装すべきであると忠告しておくが、IPCC報告に追い詰められたことは間違いない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月31日

◆国の有り様は中国に占領されれば変化

杉浦 正章



度し難い集団的自衛権の容認反対論


集団的自衛権をめぐって朝日新聞や共産党は「行使を容認すると日本という国の有り様(よう)が代わる」と主張する。「地球の裏側まで言って戦争をする国になる」という解釈だ。


しかしこれは明らかに憲法解釈変更反対のプロパガンダであり、秘密保護法反対の時と同じパターンで“風評”を作って安倍政権をおとしめ、解釈改憲を阻止しようという卑劣極まりない手法である。


最近では政権枠内の公明党までが「国の有り様が代わる。個別的自衛権で対処できる」(幹事長・井上義久)と言いだした。これらの主張はあまりにも稚拙で根拠に乏しく、論駁(ろんばく)は容易だ。


極単な主張には極端な主張で言い返せば良い。逆に「国の有り様は集団的自衛権の行使を容認しないと変わる」と言えばよいのだ。個別的自衛権に固執して集団的自衛権の行使を拒否して、アメリカに見捨てられ、中国に尖閣諸島どころか本土まで占領されれば、確かに国の有り様はがらりと変わるのだ。


北朝鮮の核ミサイル攻撃を東京、名古屋、大阪、福岡が受けても大きく変わる。どっちの有り様がいいか、選挙の争点にして国民の信を問えば良い。


要するに集団的自衛権をめぐる議論は、憲法9条の現行解釈を守っていれば戦争はないという左翼の平和ぼけの議論と、現実の極東情勢からみて中国や北朝鮮から、急迫不正の侵略がありうると見る世界の常識との戦いである。


先が見えた岸信介による安保条約改定と、先が見えない社共や朝日など反対勢力との戦いとそっくりである。改訂したから半世紀以上の平和が保たれたのだ。


極東の安保環境はその冷戦時代より悪化している。日米韓首脳会談があれば日本の防空識別圏にミサイルを撃ち込む北朝鮮。去年は日本の都市名を挙げて核ミサイルを撃つと宣言している。


過去20年間に軍事予算を20倍以上に増やして、南シナ海や東シナ海で虎視眈々と領土拡張を狙う紛れもなき軍国主義国家・中国。


その存在を毎日目の当たりにしながら、脅威も感ぜず、事態を理解できず、いつまでたっても平和憲法があるから戦争がないと信じている無能なる人々をいかに説得するか。世界各国が保有し、国連憲章の核である集団的自衛権の行使をいかに説明するか。政治に課された最大の課題である。


自民党は31日に首相(党総裁)直属の「安全保障法制整備推進本部」の初会合を開き、集団的自衛権の行使容認に向けて党内論議を進める。幹事長・石破茂は週1回程度の会合で10回程度開く予定であり通常国会末頃までには、反対論者を丸め込んで党内論議をまとめて、閣議決定への道筋を開く。


同時に野党などへの多数派工作を進める。野党のうち、維新やみんなに対しては政府の情報もかなり入れており、当初はとんちんかんであった幹部らの発言もかみ合うようになってきた。こうした中で、状況を依然理解できない公明党幹部らを説得するために、“歯止め策”の検討が本格化している。


首相直属の安保法制懇でも、「地球の裏側論」というプロパガンダに根拠を与えないための「表現」を検討している。ここで登場してきているのが、自民党が法案化している「国家安全保障基本法案」の表現である。


同法案では「日本と密接な関係にある国が攻撃を受け、それが日本への攻撃とみなされるほど重要な場合に限る」と表現しているが、この限定的方向を採用するのだ。


法制墾内部では現行9条解釈の「自衛権の行使は我が国を防衛するための必要最小限の範囲にとどめ、攻撃排除は個別的自衛権に限定する」を「放置すれば我が国の安全に重要な影響を与える場合に集団的自衛権の行使を認める」として、自衛権発動の原則にある「必要最小限の実力行使」の範囲内に集団的自衛権の行使も含まれることを明確にする方向が検討されている。
 

もちろん「必要最小限の実力行使」の表現は生かす方向であり、したがって地球の裏側にまで米軍に従って戦争することや、米国防衛にかり出される懸念を払拭する。


この限定論に基づいて閣議決定が行われるが、関連法案ではさらに具体的な歯止めがかけられる。自衛隊法や周辺事態法では個個のケースについての集団的自衛権の行使が規定されることになるだろう。


その方向としては並行して航行している米艦船が攻撃を受けた場合の反撃や、グアムや米本土に向かう北のミサイル撃墜などが可能となる表現が挿入されるだろう。もちろん米艦船が例えば中国軍によって集中砲火を浴びているような場合の排除など、当然同盟国として反撃出来るようにする方向も打ち出す。


このように“歯止め”は安保法制懇の答申と秋の臨時国会に提出される関連法案の双方でかけられる方向にある。


筆者はもともと日米安保条約の極東の範囲はフィリピン以北とされており、これにシーレーン防衛が加わる程度に限定すれば良いと主張してきたが、極楽トンボで平和ぼけの一部識者を納得させるためには、歯止めが必要なことは言うまでもない。


注意すべきは中国、北朝鮮の動向である。周辺国は日本が脆弱な民主党政権だと見れば、メドベージェフが北方領土に上陸し、李明博が竹島に上陸、中国が尖閣での漁船衝突事件を発生させて様子を見ると言う弱肉強食の動きに出るのだ。


集団的自衛権の行使が可能になるかどうかは中国も北朝鮮も固唾をのんで見守っており、ここで解釈改憲が出来なければ「しめた」とばかりに軍事攻勢に出てくることが十分に予想される。平和ぼけの諸氏もそろそろ理解しなければならない。

  <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月28日

◆財界人が政党党首を追い落とす背景

杉浦 正章



渡辺早くも進退窮まる


資金提供を受けた財界人から「追い落とす」と宣言されて、1党の党首が政治生命の危機に陥っている。みんなの党代表・渡辺喜美が崖っぷちだ。


長いこと政治記者をやっているが、政治家が財界人に“刺される”ケースを初めて見た。化粧品大手DHC会長・吉田嘉明(73)が撃つ弾は明らかに公職選挙法違反か政治資金規正法違反での立件であり、渡辺は本当に追い落とされかねない状況にある。


「降ろされてジ・エンドになるよりは、潔く身を引く選択がベター」と、前都知事・猪瀬直樹の5000万円借入で発言したのは渡辺自身だ。因果はめぐる火の車で、しかも額は猪瀬の16倍の8億円だ。あのロッキード事件が5億円だから、けた外れの額だ。それも参院選直前と衆院選直前に振り込まれている。


誰が見ても正規の手続きを踏んで届けなければならないカネである。これを裏付けるように吉田は「選挙資金として貸した」と渡辺が逃れることが出来ない“証言”をしている。なぜ渡辺はこれほど吉田を怒らせたのか。背景には党分裂劇が複雑に絡んでいる。


渡辺は27日の記者会見で「吉田さんの怒りを買った。言うことを聞かなければ追い落とすと言われ、それを実行に移された」と語った。また同党の会合で「吉田さんは突っ込んだ話を知っている。結いの党の江田憲司が吹き込んだものだろう」と漏らしている。


吉田が何を知っていたかというと、みんなの党分裂とゆいの党結成のいきさつだ。


吉田と渡辺は2009年に知り合って以来の関係にあり、吉田は渡辺のスポンサーとして資金提供をし続けてきた。吉田はみんなは維新と合流するべきだとの立場であり、渡辺が維新と一線を画し始めたころから強い不満を持っていた。恐らく吉田は維新に近い江田にも影響力を行使したに違いない。


やがてみんなは分裂へと発展してゆくが、吉田は渡辺がみんなの離党を認めないことに、メールでたびたび「会派離脱を認めるべきだ」と不満を表明したと言われる。その背後には吉田の怒りを活用して、政敵・渡辺を追い込もうとする江田の“工作”があると見るべきであろう。どろどろとした確執が紛れもなく存在する。


そしてついには吉田は昨年末に渡辺との決別を宣言し、「追い落とす」のメールで脅迫を続けた。渡辺は資金提供公表の危機を感じたか、まずいと判断、2月9日には突然吉田の自宅を訪れて土下座して謝ったと言われる。


しかし吉田は聞き入れず、週刊新潮に手記を発表する形で公然と「追い落とし」に着手したのだ。渡辺は記者会見で「国会内のルールに則したことをやめよと言われても乗れない。私にも政治家としての理念、信念、路線がある」と開き直った。
 


渡辺が今後どのようにして、苦境をすり抜け得るかだが、猪瀬と全く同じで「個人への献金である」という主張で、法の網から逃れるしかあるまい。しかし吉田が選挙資金として提供したと証言している以上、渡辺の主張は通りにくい。


渡辺は2012年の資産報告書で借入金を2億5000万円と記入したことはあっさり「ミスである」と認めた。資産報告書への記入ミスは罰則がないから認めたのだが、借り入れの額を低くしたのは明らかに隠ぺいの“意図”が感じられるものであろう。


おまけに8億円の使途についても「もろもろ」と述べた上に、唯一の具体例として「酉の市でかなり大きい熊手を買った」と述べたが、これこそ噴飯物である。


渡辺は吉田との関係悪化に反比例するかのように安倍政権に大接近した。「責任野党」を標榜して、秘密保護法への賛成、集団的自衛権容認への賛成を次々に表明した。これは吉田によって“刺される危機”をひしひしと感じて、政権を味方につけておこうという思惑があったのだろう。


今後与野党は倫理委員会などで真相究明に乗り出す。あらゆる事象が公職選挙法や政治資金規正法違反の可能性を示しており、渡辺が詭弁(きべん)で切り抜けることは困難だ。


さらにこれに受託収賄が絡めば大きな事件となる。吉田は普段から厚生労働省の化粧品への規制に強い不満を抱いていると言われ、渡辺への請託とこれを受けた国会質問などがあれば事態は受託収賄罪にすらなりかねず、そうなれば返り血を浴びることになる。


古くはリクルート事件で就職協定をめぐる質問をめぐって野党議員が受託収賄に問われた。2001年には元労相・村上正邦、元参院議員・小山孝雄らがKSD事件で逮捕されたが、小山は KSDに有利な国会質問をした見返りに賄賂を受け取ったとする受託収賄罪で起訴されている。DHCの場合、闇の深さはまだ分からない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月27日

◆生身魂3人組の時代錯誤を検証する

杉浦 正章



バッジがないのに老人型思考停止発言


首相・安倍晋三や自民党幹事長・石破茂は「年寄りの強情と昼過ぎの雨はたやすく止まぬ」と考えて“対策”を講じた方がいい。集団的自衛権の行使容認をめぐって高齢者パワーが見当違いに意気軒昂なのだ。


ノーバッジにもかかわらず臆面もなくしゃしゃり出ている。目立つのがハト派宏池会名誉会長の古賀誠と民主党顧問・藤井裕久。目立たないが影で大きな影響力を持つのが元参院議員会長・青木幹雄。共通項は、極東における安保情勢の激変などお構いなしの、絶対平和主義だ。


決して3大老害とか、3馬鹿大将などとは思っていても言ってはいけない。俳句で幽明の間を行きつ戻りつしている高齢者を「生身魂(いきみたま)」と言うが、尊敬して「生身魂3人組」とたてまつるのが正しい。


右代表の古賀は、集団的自衛権の行使容認にまい進する安倍を「自分が首相で権力者だから自分で決めるというのは愚かなお坊ちゃん的な考え方」とこき下ろした。


仮にも一国の首相に「坊ちゃん」とは下卑た表現である。古賀は集団的自衛権の行使を解釈で行おうとする安倍の姿勢を「そういう 姑息なことは絶対やってはいけない。憲法改正で集団的自衛権をどうするかという筋道が正しい」と批判した。


こともあろうに自民党の宿敵共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューに応じ、「憲法はわが国の最高法規です。他の法規を扱う基準と違うのは当然。平和主義、主権在民、基本的人権という崇高な精神は尊重しなければならない。なかでも平和主義は『世界遺産』に匹敵する」と息巻いたりしている。


いまやバッジはなくても反安倍の急先鋒であり、宏池会の会合にも出席して積極的に発言、その影響力を行使している。


おかげで宏池会会長で古賀に近い外相・岸田文雄までが「賛成か反対かという単純な議論というわけにはいかない」などと閣僚では初めて集団的自衛権の行使に慎重論を唱えるに至った。恐らく安倍のはらわたは煮えくりかえっているだろう。


夏の内閣改造では更迭第1号にしようと腹を固めているに違いないし、国のためにもそうすべきだ。外相としての働きも鈍くてひらめきがないから、安倍が前面に出るしかないのが実情だ。


古賀は現職時代よりテレビや新聞への露出度が高い。集団的自衛権の行使反対のマスコミの寵児になって、有頂天になる年でもあるまいが、そうなってしまっている。
 

一方、「集団的自衛権うるさ方」筆頭が参院自民党幹事長・脇雅史参だが裏に青木が居る。脇は法制局長官・小松一郎が「安倍首相は自民党が野党時代に決定した国家安全保障基本法を国会に提出する考えではない」と発言したことをとらえて「法制局長官に法案の提出権があるわけではない。余計なことだ」と切り捨てた。


17日の総務懇談会で「行使容認で何を目指すのか。具体的な事実に基づき議論すべきだ。観念論ではいけない」と石破に噛みついた。


こうした発言の裏では青木が隠然たる影響力を行使しているというのが永田町の常識だ。青木は引退したが脇の所属する額賀派に大きな影響力を持っており、発言は表に出ないが額賀以下一目置いており、頭が上がらないのが実情だ。


生身魂で一番レベルが低いのが藤井だ。その発言を見れば分かる。テレビで「憲法解釈の変更はヨーロッパのマスコミも許せないと言っている」と宣うた。


何で集団的自衛権の行使が常識のヨーロッパのマスコミが日本を許せないと言うのか意味不明だが、とにかく何が何でも反対の姿勢だ。テレビがもてはやすから理路整然と間違った理論を展開するのだ。


冒頭指摘したように、これら生身魂には戦前戦後の激動期を体験した信条としての絶対平和主義がある。日本に戦後70年の平和をもたらした平和憲法を何より信奉するのだ。後藤田正晴的であるが、理論は無骨で後藤田ほどの切れはない。


それに、後藤田ほど先を読める男が、この状態に直面したら、解釈改憲に傾かないわけもない。生身魂に聞きたい。日米韓首脳会談と合わせて、ノドンを日本の防空識別圏に打ち込む北朝鮮の存在をどう考えているのか。


平和憲法があるから日本には核ミサイルを撃ち込まないとでも思っておいでか。軍事費を12.2%も拡大して、4年連続の2けた増をしている軍国主義国家中国が独自に防衛識別権を宣言して、連日のように領海侵犯を繰り返している現実には目をつむっておいでなのか。


要するにに冷戦が終わったと思ったら、今度は極東の安保情勢が激変したのが現実であり、それを脳軟化症のごとく理解できずに、30年も前の絶対平和主義にすがっているのが3人組の実態である。事態の変化に思考が停止したままとなっているのだ。


石破は総裁直属の「安全保障法制整備推進本部」の初会合を31日に開き、集団的自衛権の憲法解釈変更に向けた党内論議のとりまとめに入る。


ここで自民党議員が注意すべきは、既に総選挙の公約に「日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定します」と掲げて、284議席を獲得した事実である。


反対論者はマスコミに踊らされるか媚びを売っているものがほとんどだが、「支持率激変の法則」があることを忘れてはならない。いったん行った有権者との公約をほごにすれば、支持層は置いてけぼりをくらい、その怒りが支持率に跳ね返り、もともとの不支持層と合わせて相乗効果で激減する法則だ。


左傾化マスコミに乗ればこの落とし穴が間違いなく待っている。民主党がうその塗り重ねでたったの4%しか支持がない現実に思いを至らせるべき時だ。落としどころは歯止め付きの行使容認しかない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月26日

◆北危機の共通意識が日韓打開へ糸口

杉浦 正章
  


「不倶戴天」からは一歩前進:日米韓会談


礼記(らいき)の「不倶戴天(ともに天をいただかず)」の状況は打開できたが、史記の「恨み骨髄に入る」はまだまだ解けそうにない。これが、日米韓首脳会談の本質だろう。


26日開催された約50分の会談では東アジアンの安保情勢が中心議題となり、北朝鮮問題を中心に、北東アジアの安全保障について緊密な連携の基に協力していくという認識で一致した。


北の危機という共通項が日韓打開への糸口となった。就任以来1年半にわたって対話ゼロであった日韓首脳が、歴史認識というのどに刺さったとげには触れず、まがりなりにも対話をしたことになる。


米大統領・オバマが嫌がる大統領・朴槿恵をテーブルにつけたことは、北朝鮮に対するけん制になることは当然だが、日米にとっては3国首脳会談に懸命のくさびを打ってきた中国国家主席・習近平への巻き返しでもある。オリンピックではないが、集うこと自体に重要な意義がある会談であった。


核サミットの場は、G7による対ロシア非難の場と化したが、極東情勢をめぐっても日中韓で冒頭からすさまじい暗闘が繰り返された。まず先手を打ったのは習であった。朴をなんとでも取り込もうと、伊藤博文暗殺の安重根記念館建設で「私が指示した」とすり寄った。


元より反日で凝り固まっている朴は、ころりと取り込まれて、ここに「中韓歴史認識共闘」が実現するに至った。日米韓首脳会談へのくさびであることは言うまでもない。
 

これに対して安倍は、ウクライナ情勢をフルに活用した。その発言はプーチンに向けたと言うより、習近平に向けたものという色彩が濃厚である。安倍は記者会見で「ロシアによるクリミア併合は明らかに国際法違反であり、力による現状の変更は断じて許してはならない」と言明した。


「力による現状変更」は中国の尖閣侵犯で常套句として使っているものであり、明らかに中国を意識した発言だ。これに加えて安倍はダメ押しの一撃を放った。「日本や東南アジアの友人たちにとっても人ごとでは済まされない。対岸の火事ではない」と言明したのである。


これは中国を名指しこそしないものの、南シナ海で圧迫を受けるベトナム、フィリピンの窮状と、尖閣で軍事圧力を受け続ける日本の状況を訴えたものだ。


この習と安倍のプロパガンダ合戦ともいえる勝負は、明らかに安倍の優勢勝ちであろう。なぜなら世界の国々は100年前の歴史認識で踊らされるほど甘くはない。今そこにある脅威の訴求力は、本来学者に任せておけば良い歴史認識でのプロパガンダを圧倒する力を持っている。


とりわけ東南アジア諸国にとって見れば、よく言ってくれたという発言であろう。一方で朴の“言いつけ外交”も依然衰えを見せなかった。


懲りない朴は3国首脳会談が確定しているにもかかわらず、25日付の独紙フランクフルター・アルゲマイネとのインタビューで「日本の一部政治指導者が慰安婦問題などで韓国国民の心を傷つけ、韓日関係を阻害している」と強調するとともに「日本はドイツに学ぶべきだ」述べたのだ。


朴得意の被害者を装って訴えているが、こうした訴えが果たして世界世論に対してインパクトがあるかどうかは疑問となってきた。


米欧やアジアの識者は戦後における日本の平和外交に理解を示しており、中韓がともに唱えるように安倍が突然変ぼうして軍国主義に日本を戻すなどと言う荒唐無稽なこじつけには踊らされないだろう。ウクライナで緊迫、G8が消滅して東西冷戦再来が言われる世界情勢は、「老婆の繰り言」に耳を傾ける余裕もない。


しかし朴の「恨骨(うらこつ)」路線は、継続する。その姿勢は紛れもないポピュリズムである。慰安婦に名を借りた大衆迎合路線であり、たちが悪いが一度吸った麻薬のようになかなか止まらない。


こうした中での3国首脳会談であったが、まず、張成沢粛正で予測が困難になった北朝鮮情勢をめぐって意見を交換した。冒頭、オバマは「アメリカと日本、韓国との同盟は、平和と安全保障を支えるものだ。北朝鮮の脅威に対して3か国は、揺るぎない体制でこれに応えていくことを示してきた。外交的、軍事的にこのような協調を強化したい」と3国連携強化の必要を強調した。


これに対し朴は「3か国のより緊密な協力の必要性が高まってきた。3人で意見交換を行うこの機会は非常に意味がある。北朝鮮の核問題は地域の平和と安定に対する重大な脅威であり、3か国を含めた国際社会が対応していくことが重要だ」と応じた。3国会談を「非常に意味がある」と強調した点は確かに「一歩前進」と言える。


安倍は「北朝鮮が核・ミサイル問題、さらには拉致問題や離散家族の問題など人道問題について、前向きな行動を取るよう、3か国でしっかりと協力していきたい」と述べ会談の意義を強調した。会談は全体として北の核とミサイルに対する危機感という共通項を“活用”して、狭いながら突破口だけは開き得た形となった。
 

オバマにしてみても、日韓の対立は、対北戦略ばかりでなく対中戦略にとってもマイナスである。朴の過度なる対中傾斜は、中国の誤算を招き、尖閣問題などで軍事行動に出る危険を伴うものである。


米国の大戦略は沖縄・尖閣・台湾・フィリピンと続く第1列島線の内部に中国を封じ込めるところにあり、同盟国韓国による過度なる中国傾斜は食い止めなければならない。習のくさびに対して、3国会談がくさびを打ち返したというのが、会談であった。


安倍は歴史認識で凝り固まった、固いカキの殻をこじ開けることに成功はしたものの、「日韓友好」にまでこぎ着けるのはまだ容易ではない。今後経済、文化の交流を促進して、慰安婦問題などでも率直に話し合い、さらなる朴の軟化を図るしかあるまい。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月25日

◆「反日歴史共闘」は朴の危うい火遊び

杉浦 正章



孤立化の習に利用されるだけ


韓国大統領・朴槿恵の“火遊び”が危うい。あの習近平の狡猾そうな目つきを見ただけで分かる。猫なで声で「安重根記念館の建設は私が指示した」と「反日歴史認識共闘」を持ちかけた。


朴はそれだけでボーとなって「両国が真の戦略的な協力関係を築いている証し」と“半落ち”状態となった。


習の狙いは言うまでもなく日米韓首脳会談へのくさびの打ち込みである。一見中国ペースで事が運ぶように見えるが、核サミットの雰囲気は逆だ。ウクライナ問題はG7ペースであり、中国の出る幕はなく、せいぜい拱手傍観の中立維持しかできないだろう。


加えて尖閣でオバマが習をけん制、G7によるロシアのG8参加停止処分など米欧日の連携で事は運んでいる。朴は丁半博打で両張りをするのはいいが、「場代」が高く付くことを知らない。


核サミットは本題がかすんでしまって、ウクライナ問題に集中。日本にとっては極東情勢でいかに事を運ぶかが焦点だ。


その中で皮切りになったのが中韓首脳会談と米中首脳会談だ。中韓では、中国の孤立感の裏返しが表面に出た。参加国の中での孤立を避けるため何が何でも朴槿恵を抱き込もうという姿勢が露骨に打ち出されたのだ。


こともあろうに習は、1世紀以上前の安重根事件という歴史認識問題を取り上げ、対日共同戦線を張ろうとした。嫌々ながら米国の差し金で日米韓会談に応ぜざるを得なかった朴にとっては、習の甘言が天の助けのように響いたに違いない。ぐらぐらっと習に引っ張られた姿は、指導者としては危ない。


日本では一部学者が韓国は「日米韓」より「韓米中」に傾斜しているという変な理屈を立てているが、ことはそう簡単なものではない。日米、米韓はそれぞれ軍事同盟で結ばれており、これにくさびを打ち込むのなら中韓は軍事同盟に発展しなければならない。しかし朴にその度胸はない。


韓国の軍当局は朴の反日姿勢をはらはらして見ていると言われている。現にジャカルタで防衛省の事務次官・西正典が韓国の国防次官・白承周と20日に秘密裏に会談、北朝鮮情勢や日米韓の防衛協力の強化について協議しているではないか。
 

一方でオバマ・習会談でも、オバマは日米同盟の信頼関係を崩すような動きには出なかった。逆に中国による防空識別圏設定に懸念を伝え、東シナ海と・南シナ海での緊張を緩和する必要があると強調した。


加えてオバマは米国が日本とフィリピンとの安全保障の維持を支持していると伝えだ。これが臆面もなく海洋進出を図ろうとする中国への強いけん制であることは言うまでもない。またオバマはロシアへの制裁に中国も参加するように求めたが、習はこれに応ぜず、むしろ中立の立場を鮮明にした。


したがって、一部で観測されていたようにオバマが習にプーチンへの仲介を求めるような事態には至らなかった。習にしてみれば韓国くらいを抱き込まなければ、日米に対して存在感を示せない状況であったに違いない。


さらにG7によるロシアのG8参加停止処分は、中国にとっても痛手である。G7は首脳会合で「ハーグ宣言」を採択、クリミア併合を「違法である」としてロシアを非難、G8への参加を排除した。これまで中国はソ連やロシアと伝統的に共同歩調をとる傾向が強く、疑似同盟的な色彩があった。


しかし、ウクライナ問題で世界の世論が激昂しているときに、たとえ中立でも対中感情は悪化する。逆に、ロシアに近い中国が、孤立する構図すら出ているのだ。したがって核サミットでは中国は大きな役割を演ずることが出来ないものとみられる。


朴はその中国に下駄の雪のように、「ついて行きますどこまでも」でいいのかということになる。将来は利用された揚げ句、属国化されるのが中国周辺の小国の運命であることは歴史が物語っている。


朴が歴史問題で中国と反日共闘を組んでも、日本は馬耳東風と聞き流せばいいだけのことである。痛くもかゆくもない心理戦にまともに乗せられるほど日本政府は愚鈍ではない。逆に首相・安倍晋三の懸命な対中世論形成外交が、奏功し始めている。


安倍はロシアに対して「力を背景にした現状変更は容認できない」と発言、“尖閣用語”をフルに使って対中けん制もしている。オーストラリア、フィリピン、ベトナム、インドなどへの働きかけは、中国の海洋進出に対する国際世論を形成しつつある。


フィリピン、ベトナムへの巡視船供与は、中国にとっては相当の痛手であろう。巡視船供与はただ供与すれば良いというものではない。使い方の訓練に始まって両国との結びつきは準軍事同盟的な側面を有することになるからだ。


ただこうした流れの中で獅子身中の虫が馬鹿な発言を繰り返して、安部の足を引っ張っている。総裁特別補佐・萩生田光一が今度はこともあろうに23日、「河野談話の検証の結果、新談話を出す事は否定しない」と発言したのだ。新聞は訳知り顔に「役割分担」などと報じているが、それはあり得ない。


なぜなら場合によっては日米韓首脳会談の開催が危ぶまれるほどの発言であり、それを直前に安倍と萩生田が打ち合わせてする事は絶対にない。報道2001を見ていたが、萩生田は右寄りの記者からしつこく「新談話を否定しないか」と聞かれて、愚かにも期待に応えるかのように「否定しない」と発言してしまったのだ。


その後取材されて話が大きくなったが、要するに国際情勢を読めない無能な1側近の発言に過ぎない。安倍は早くこうした側近を排除しないと災いは自分の身に降りかかる。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2014年03月24日

◆もう劇場型政治の時代ではない

〜大阪市長選〜

杉浦 正章



都構想は実現不可能に


政治的には独り相撲にすら負けたのが大阪市長選の結果であった。候補が事実上一人だから投票率がメルクマールになるが、たったの23.59%。候補者に対する有権者全体の信任度を示す絶対得票率は17.85%で、市長選史上4番目に少ない体たらく。


市長・橋下徹の劇場型政治手法に、さすがの大阪市民も「ノー」を突きつけたことになる。すぐに“民意”に頼るポピュリズムに、“民意”が拒否権を行使したのだ。


そもそも、橋下の政治判断は最初から誤算があった。最近の重要選挙を見ても“民意”は浮ついた「風」による選挙を否定している。総選挙や参院選挙では大衆迎合の民主党が決定的に否定され、2月の都知事選でも細川・小泉ポピュリズムが完膚なきまでに敗れている。


有権者は地に着いた政治、落ち着いた政治を求める時代となっているのだ。それを見誤って、議会に見据てられたから「お母ちゃん」とばかりに有権者に抱きついて、大阪都構想なるヌエ的な政策を訴えても、有権者はだまされなかったのだ。


6億円もの血税を使って、このような大誤算をする政治家の素質が問われて、これが否定された選挙であった。これにより2重行政を改める大阪都構想は、事実上実現不可能となった。実現させるには法定協議会で設計図を作り、住民投票にかけなければならない。


しかし橋下の狙った法定協の人事差し替えは、議会の専権事項でありもともと無理。住民投票も、市議会、府議会共に過半数に達しておらず困難だ。橋下はやぶをつついて蛇を出してしまったというのが、今回の選挙結果にほかならない。


橋下はそもそも制度を作る前にやるべき事があることを忘れている。それは府知事の松井一郎と話し合って、2重行政を出来るものから一本化することである。それをポピュリズム目当てで都構想などという大向こううけを狙った看板を立てるから、有権者から足元をすくわれるのだ。


これで維新内部がどうなるかだが、石原慎太郎ら旧太陽系と松野頼久ら大阪系の亀裂は拡大傾向をたどるだろう。橋下の中央政治への影響力は低下こそすれ強まることはないからだ。


争点は山積している。まず原子力協定への賛否をめぐって推進派の石原らと反対派のあつれきは高まる方向だ。既に石原は原子力協定に反対するなら離党する意向を表明している。


野党再編についても橋下頼りの結いの党は、ますます窮地に陥る流れだ。石原は結いの党に当てつけるように、みんなの渡辺喜美と会合するなど、接近している。石原の老化と橋下の求心力喪失は、維新を政党として空中分解の危機に置くだろう。


首相・安倍晋三がどう出るかだが、基本的には利用できるだけ利用する戦術だろう。官房長官・菅義偉と維新との関係は良好に保たれており、今後集団的自衛権行使への憲法解釈変更に向けてみんなとともに維新の賛成を取り付けることは重要なポイントである。


抜け目なく維新が喜びそうな「地方自治法改正案」も国会に提出している。内容は都府県と政令都市の重複行政一本化で「調整会議」を設置できるようにするものであり、明らかに橋下の大阪都構想を側面支援するものだ。都構想は実現しなくても重複行政は改めるべきであり、今国会で成立させるべきだろう。


こうして“風雲児”橋下は地元政治でも中央政治でも袋小路に追い詰められたというのがその実態だ。選挙に当たって「駄目なら落として欲しい」が口癖だったが、得票率がたったの18%では、「落としてもらった」のと等しい。


民意の圧倒的な支持を背景に捲土重来を期しても、期待する「大義」は得られなかった。懲りない男は国政選挙出馬にも、食指を動かしているというが、もう政治家としては限界ではないか。これ以上世上を騒がすことをやめ、騒がすなら得意の民放番組でタレントに戻って活躍して欲しい。


新聞は橋下の独り相撲に既成政党が参加しなかったことを批判しているが、自治体の長が恣意的な選挙に打って出たからといってこれに付き合う必要は無い。自民、公明、民主などが候補を擁立しなかったのは、当然であり、その戦術は上首尾であった。馬鹿な選挙に参戦しないのもまた意志表示であろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)