2013年12月10日

◆お先真っ暗の江田新党

杉浦 正章



民主動かず、維新は思惑が割れる
 

「おちょこの中の嵐」がせめて「コップの中の嵐」になりたいともがいているのが、民主党前幹事長・江田憲司ら14人の離党だ。新聞は新党結成だと大騒ぎする癖があるし、売名評論家はもっともらしい数をテレビで公言するが、核心は江田と代表・渡辺喜美の“私闘”にある。


古来私闘で大事を成し遂げた例はない。離党者の内13人が総じて何も知らない比例区選出1年生議員であり、江田以外は「数合わせ」だけの存在だ。


その「数だけ議員」が、ただでさえ少ない野党勢力内部の“地割り”を変えても大勢に影響は出ない。政界再編というならせめて民主党が分裂するか、自民党を割るくらいの勢いがなければ、自民党に対抗する勢力など出来るわけがない。


江田は「我慢の限界」と言って飛び出したが、これがすべてを物語っている。渡辺と全く反りが合わず、感情論を口にせざるを得なかったのだ。


渡辺は「11月や12月に出来る新党がその後瞬く間に消滅するのは、政党助成金目当てだからだ」とこき下ろしているが、当初せいぜい4人くらいの離党と高をくくっていたのに4割が離党し、さらに増えかねないのでは、内心穏やかであるまい。気が狂いそうになっているに違いない。


要するに渡辺の政治家としてのキャパシティーの限界が露呈したことになる。渡辺は離党者に「今後は『自民党渡辺派』でいく」と述べて慰留したと言うが、これで野党としての矜持などひとかけらもないことが判明した。要するにその日その日の風次第というわけであろう。


しかし渡辺は、首相・安倍晋三との関係の良さをフルに活用して、今後なんとか生き延びようとするだろう。その最大のカギが、秘密保護法への協力に次いで、集団的自衛権行使容認提言だ。近くこれをまとめる方針だという。狙いは明らかだ。


集団的自衛権の行使には公明党が反対しており、来春以降これをめぐって自公にあつれきが生ずる可能性がある。そこを狙って、公明に取って代わり、自民党との連立で入閣を目指すというところだ。


自民、みんなで参院ではぎりぎり過半数の121に届くから、公明が離脱しても無所属などを入れればねじれにはならない。安倍にとってみれば、公明党をけん制するためのもってこいの材料ではある。しかし渡辺の狙いも今後、参院の離党者が増えれば水泡に帰しかねない状態ではある。


一方で、江田も飛び出したはよいが、展望が開けるかというと、むしろお先真っ暗と言った方がよいだろう。まず比例議員ばかり集めても、強い党の組織を構成できない。比例議員とは政党に当選させてもらう人々であり、選挙の厳しさは選挙区議員の十分の一も知らない。


これらの議員が、政党としての選挙活動の原動力になるかというと、とても無理だ。10日に江田と民主、維新との超党派議員の勉強会が立ち上がるが、これは再編には直結するものではない。


江田はこれまで、維新幹事長・松野頼久、民主党前幹事長・細野豪志との会合を重ねてきたが、まだまだ海の物とも山の物ともつかない。最近細野に関して小沢一郎が側近に「予想外に小さい」と漏らしたことが永田町に広がっている。回転の大事業をこなせる男ではないというのだ。


環境大臣のころは新聞にチヤホヤされたが、避難者の帰還をマスコミの“風評”に煽られて1_・シーベルトという達成困難なレベルに設定してしまい、これが帰還を遅らせる最大の原因となってしまった。細野が民主党を割って政界再編へとつなげることができるかというと、とてもその力量はない。


これを裏付けるように細野は執行部筋に「新党を作るようなことはしません」と釈明している。江田はとても民主党にくさびを打ち込めるような状況ではない。


むしろ民主党の動きは維新の橋下と親しい前原誠司がどう動くかにかかっているが、前原が江田党首の下で新党に参加することはありえない。


一方、江田は維新の会との連携に自信を持っている。たしかに維新共同代表・橋下徹とは親密な関係にある。橋本も江田の離党を「大義がある」と褒めたが、大阪では私闘でも大義と言うらしい。江田がすがるとすれば橋本しかないが、いまや橋下人気は地に落ち、その発言は中央政界から見ると“疝気筋”じみていて、相手にされていない。


橋下の大阪グループに属する松野だけが頼りだが、共同代表・石原慎太郎ら旧太陽の党系グループはそっぽを向いている。旧太陽系幹部は「維新は第3党であり、大きい政党が、小さく割れた政党にのまれたり、その動向に左右されることなどあり得ない」と述べている。


江田の戦略は比例区議員が法律上新党でなければ移籍できないことから、維新が新党に衣替えしないと、合流は困難だ。しかし維新の東西対立がまだ分裂にまで発展する気配はないし、江田にその力量はあるまい。


松野がとりあえず江田新党と院内統一グループの結成に動きそうだが、憲法改正、アベノミクス、原発政策など重要課題でことごとく一致しない党と院内会派が出来るだろうか。むしろ維新自体の党分裂の要因になるのがオチだろう。


江田としては再来年の統一地方選挙をめどに新党への動きを加速したいところだが、来年の話でも鬼が笑う政界で、再来年の話をしても遠すぎて予測など出来ない。


したがって橋下の言う「民主、維新、みんなで志が同じ人が一つの巨大な塊をつくるのが3党の役割だ」などという発想は、まだまだ机上の空論に過ぎず、「巨大な塊」などは誇大妄想の部類に入る。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年12月06日

◆「極東冷戦」が秘密法案強行を加速

杉浦 正章



安倍に臨時国会の位置づけで誤算


参院において特定秘密法案が採決段階に突入し、今国会での成立が確実視されるに至った。4日スタートした国家安全保障会議(NSC)の基盤となるべき法案であり、中曽根内閣でスパイ防止法案が廃案になって以来約30年ぶりの秘密保護体制の確立となる。


最近、首相・安倍晋三は側近らに敬愛する祖父・岸信介による60年の日米安保改定をよく口にするというが、秘密法案成立加速には外交・安保情勢の変化が大きく作用した。


まさに東西冷戦への危機感がもたらした安保改訂と同様に、中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル・核威嚇に端を発した「極東冷戦」の構図が大きな背景として存在する。これだけの対決法案で巨大与党・自民党内に反対の声が上がらず、終始結束したのも、国民の危機感を背景にしたサイレントマジョリティの支持があるからに他ならない。


ここまで来た以上多少の会期延長はしても、法案は成立の運びとなるに違いない。与党はここで突っ走らないとすべてが虻蜂(あぶはち)取らずになる場面だ。


国会を取り巻くデモは老人が中心であり、各地で行われるデモもその傾向がある。朝日新聞や左翼政党による扇動が空回りして、学生運動や若者に波及しない最大の理由は、青年層の右傾化である。


世論調査によると主に新聞が情報源の人の自民党支持率は38・0%、民主党は15・2%だったのに対し、ネットを情報源とする人は自民56・6%、民主3・2%と天と地の違いだ。このいわゆる若者中心の「ネット右翼化」の潮流が安倍政権支持の流れと重なっているのだ。


この流れはどうして出て来たかと言えば、民主党政権の優柔不断にある


尖閣漁船衝突事件で船長釈放に至る経緯は、外交・安保史上まれに見る不満を国民の間に潜行させ、2度にわたる国政選挙で自民党を圧勝させる原動力になった。国民は「軟弱かつ無能」なる民主党政権でなく、「スジを通す」自民党政権を選んだのだ。


その潮流を見逃して朝日は安保反対に匹敵する大衆扇動の編集方針を打ち出し、流言飛語の類いを紙面に満載させて一大国民運動への拡大を目指したが、失敗した。


これに呼応したのは、民主、共産、社民の左翼政党のみであった。大衆は一部老人しか動かなかったのだ。とりわけ左翼勢力に主導権を握られている民主党は、このマスコミの動きを活用して自らの復活を計ろうと、ポピュリズムの極みの左傾化路線を取ったが、いまさら「昔の名前で出ています」と言われても、国民が見直すことはない。


極東情勢は、他国の領土への防空識別圏の設定など強引な中国の海洋進出に対処できるかどうかがすべての判断の基準なのであり、そこに野党の出番はない。


NHK世論調査による政党支持率は自民党が36.1%なのに対して民主党がわずか5.2%であり、国民の支持の動向がはっきり現れているのだ。冒頭述べたように戦後最大の反政府闘争であった安保闘争の中で、同条約改訂を押し切った岸が日本繁栄の礎を作ったことは間違いなく、安倍が自らの置かれた立場を重ね合わせるのも無理はない。


しかし、安倍に臨時国会の位置づけで誤算があったのも確かだ。当初安倍は臨時国会を「成長戦略国会」と名付け、もっぱらアベノミクス定着への路線を敷くものと位置づけていた。秘密法案は二の次でよいと考えていたフシがある。


そうした中での第1の誤算は、反自民の一部マスコミが一大キャンペーンを起こして、扇動する動きに出るとは思っていなかったのだ。幸いにもキャンペーンは結果的に空転したが、国会審議は野党が煽られて成長戦略国会どころではなくなってしまった。事実上秘密法案にかかりっきりとなってしまったのだ。


第2の誤算は、行うべき事前の準備が甘かったことである。これほどの対決となると予想していたのなら担当相に森雅子を起用することはなかったであろう。このレベルで押し切ろうと判断したのが甘かったのだ。


また法案そのものの骨格は問題ないが、詰めが出来ていなかった。第三者機関をめぐる答弁が二転三転の印象をもたらして、紛糾に輪をかけたのだ。幹事長・石破茂の「テロ表現」も上手の手から水が漏れたケースであろう。


政権全体に総選挙は先であり、勢力温存は可能だという緩みがあったとすれば、そこがアリの一穴で野党につけ込まれることは避けられない。よほど態勢を引き締めてかからないと、集団的自衛権の解釈変更、原発再稼働、憲法改定など今後の重要テーマに支障を来す恐れがある。

★筆者よりー月曜日は都合で休載します。再開は10日からです。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年12月05日

◆朝日はやがて3度目の“変節”だろう

杉浦 正章


与党は秘密法成立を粛々とはかれ
 
まるで「あら何ともなや昨日は過ぎて河豚汁(ふぐとじる)」だ。特定秘密法案は今国会成立が確定的になるが朝日新聞が指摘して一部民衆を執拗に扇動しているように、日本が警察国家となって暗黒政治が行われるかというと、全くそれを感じない。

一記者として50年日本や米国の政治をウオッチしてきたが、この程度の法案で全体主義国家になるなどとはつゆほども思わない。米国や西欧諸国のような普通の国になるだけだ。

朝日は半世紀の間に今度で3度目の「警鐘乱打」だが、その鐘はひびが入っている。60年安保と92年のPKO(国際連合平和維持活動)法案に散々反対しておきながら、その後同紙は“変節”してしまっている。

「河豚を食べて見たらうまかった」というような論調を臆面もなく展開しているのだ。扇動された大衆は置いてけぼりを食らって、歯ぎしりしても遅い。
 
5日付の社説でも安保やPKOの時と全く同じトーンで反対論を展開している。「今国会での成立をあきらめよ」と言っているのだが、もう同社の社説はマンネリ化した。一つ覚えのように反対論だ。安保、PKOの時を上回る執拗さで空論を展開している。

あえて空論というのは、やがては“変節”するからだ。いみじくも4日の参院特別委で首相・安倍晋三が指摘したことに尽きる。安倍は「PKO法案の時の反対は何であったのかなあと思う」と述べたのだ。明らかに朝日の変節を指している。

当時朝日は自衛隊の海外派遣に道を開くとして猛反対、今回同様に「いつか来た道だ」とデマを煽った。今回も「アメリカの秘密情報のために市民が逮捕される」といった愚かな記事を展開している。社説では「良識の府はどこに行ってしまったのか。この名前を返上してもらうしかない」と自民党の5日の参院本会議採決方針に噛みついている。

当時も「数の力で押し切る政治」など、今と全く同じ論調を展開している。まるで「狼少年」そのものだが、なぜ「狼少年か」という根拠を示そう。
 
PKO法案にあれほど反対した朝日は、その後なんと“賛成”どころか推進に回っているのだ。民主党政権時にスーダンへのPKO派遣が浮かび上がったが、費用がかかりすぎるということで中止になった。

これに対して朝日は「スーダンPKO―目立たぬからやめるとは」と題する社説を掲げて中止に猛反対。「まず考えるべきは、スーダンが日本の役に立つかどうかではない。日本がスーダンの役に立てるかどうかだろう」とまでかっこうよく言い切った。「よく言うよ」と思ったものだ。

60年安保の時はもっとひどい。朝日は、60年の第一次安保闘争においては安保条約の改定反対、岸内閣退陣の論陣を張って学生運動を煽った。ところが、6月15日に安保反対デモ隊と警官隊の衝突で東大女子学生・樺美智子が死亡すると、一転した。

これまで何が何でも反対の論陣を張った論説主幹の笠信太郎らが主導して「暴力を排し議会主義を守れ」という7社共同宣言を発するに至ったのだ。扇動して人命が失われたことなどへの責任には全く口をつぐんで、言及しない。純真な側面もあった全学連は二階に上がってはしごを外されたのだ。

今回も同社は、過去2回と全く同じ方針の下で、ないことないこと煽っている。あることならまだよいが、「飲み屋の話で市民が逮捕される」など、三流タブロイド紙でも書かないような記事を満載している。

社説では「秘密保護法案 石破発言で本質あらわ」「秘密保護法案 裁きを免れる秘密」「秘密保護法案 欠陥法案は返品を」「特定秘密保護法案 民意おそれぬ力の採決」「秘密保護法案 翼賛野党の情けなさ」と連日のように次から次にパンチを繰り出しているが、今度は3度目の正直だ。

そのうちに「スーダンが日本の役に立つかどうかではない」の論法と同じで「秘密保護法が国民の役に立つかどうかではない。国民が秘密保護法の役に立つかどうかだ」と言いかねない。それこそ全体主義の発想だが、過去の変節が、未来の変節を予言している。

哀れなのは朝日に扇動された国会周辺を取り巻く「爺さん婆さんやおかみさん」だちだ。記事を本気にして集まるのだろうが、学生運動は全く盛りあがらず、若者はそっぽを向いている。こんな「闘争」も珍しい。

日教組教育を反面教師として若者は国政へのよい判断力が養われたのかも知れない。ノーベル賞学者の二人が反対しているのが目立つが、世事に疎い学者の姿をいたずらに露呈させて失望させることこの上ない。

こうして自公両党は、5日にも参院本会議で可決、成立を図る構えである。躊躇する必要は無い。4日発足した国家安全保障会議(NSC)に不可欠であり粛々と成立を図り、将来の反対派の“変節”を嘲笑すればよい。河豚はちゃんと料理をすれば「なんともなや」となる。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年12月04日

◆中国の「日米分断」に冷水

杉浦 正章



安倍・バイデンで同盟は一層強まった



首相・安倍晋三と米副大統領・バイデンとの会談で中国の防空識別圏設定を黙認せず、連携して対抗することで一致したことは、日米分断を狙う中国の意図に冷水を浴びせる結果となった。


日米同盟は第1列島線以北に中国を封じ込める長期戦略の下で一層強まる潮流となった。その象徴としての尖閣問題は、今後日米対中国の軍事的対峙の構図で長期化することは間違いない。


バイデンは「現状を一方的に変えようとする試みに対し、アメリカは深く懸念している。この行動が地域の緊張を高め、事故や誤算の危険を高めている」と中国批判を繰り返した。さらに「同盟関係から出てくる義務について揺るぎない立場で対処する」とも述べ、既に安保条約5条に基づく行動を表明した国防相ヘーゲルと全く同一の歩調を示した。


ここまでは予想通りの展開になったが、最重要の着目点はバイデンが「父が言っていた言葉だが、意図する衝突よりひどいのは意図しない衝突だ」と述べた点であろう。


これは米国がいったん衝突が発生すれば日本側に立った軍事行動も辞さないが、その事態は極東情勢の安定のため何が何でも防がなければならないという、二律背反の姿勢にあることを物語っている。そこから浮かび上がるバイデンの姿勢は「仲介者」としての立場でもある。


これまで日米当局は安倍・バイデン会談を控えて合意内容の調整を行ってきたが、政府筋によると米側が最後まで応じなかったのは「防空識別圏の撤回」であったという。


米紙ワシントンポストも、ニューヨークタイムズもこの点に着目している。WTポストは「一部で中国に安倍とバイデンが防空識別圏撤回を求めるとの報道があったが、バイデンはそのような合意は考慮しなかったと述べた」と伝え、またNYタイムズも「バイデンは日本の中国への撤回要求には応じなかった」と報じた。


これに先立って米国は民間航空会社による中国当局へのフライトプランの提出を容認している。こうした日本の立場とは「ひと味違った対応」を米国が取る背景には、当面の米国の本音が、日中両国による偶発的軍事衝突回避にあることであろう。


中国の防空識別圏設定で日米両国が取り得る軍事行動は、先に指摘したようにソ連による大韓航空機撃墜事件と同様の事態が中国空軍によって引き起こされそうになった場合である。


安倍は「民間人の安全確保を脅かす行動は一切許容しないことでも一致した」と述べたが、これは民間航空機に対する軍事行動は、共同して対処するという強いメッセージを中国側に送ったことになる。日本は航空会社にフライトプランを提出させない以上、政府の責任上も警告を発しておく必要があるのだ。


バイデンは「日本と中国との間の危機管理メカニズムやコミュニケーションのための効果的なチャンネルが必要だ。中国の指導者と会談する際に、具体的に提起したい」とも述べた。


これは「意図しない衝突」を避けたい意志の具体的な現れであろう。安倍との会談でも提起し、中国側にも提起するという流れで“調整”を進めるのであろう。


こうした素人が見ると一見食い違いとみられる会談内容に、中国が好機到来とばかりに日米分断の動きに出ることは火を見るより明らかだ。


既に中国国防省報道官の耿雁生は3日「中国が特別なやり方をしているわけではなく、ほかの多くの国も防空識別圏を通過する航空機の飛行計画の事前通報を求めている」と強調、「ごく一部の国の政府は民間の航空会社に圧力をかけ、通報させない立場を取り続けているのは無益で無責任だ」と、日本だけが非常識な対応を取っているとして強く非難した。


明らかに民間航空機への対応で日米政府に差があることを突いてきているのである。さらに安倍・バイデンで「撤回」要求に至らなかったことも、分断のチャンスとばかりに喜んでいるに違いない。


しかし、中国は安倍・バイデンが発したメッセージを誤解してはならない。両者が「中国の力による一方的な現状変更の試みを黙認しない」ことを確認したことが会談の本質なのである。米国は尖閣への軍事行動は安保条約にのっとって対応するのであり、大局において足並みの乱れはない。


米国の長期戦略は冒頭述べたように中国の海洋進出を尖閣諸島を含めた第1列島線で封じ込めるところにある。これにはいささかの変化もない。中国国家主席・習近平との会談でバイデンは、日米同盟に揺るぎがないことを強調して、誤った行動を取る事へクギを刺すであろうことは目に見えている。


防空識別圏撤回に応じなかったのも、民間機のフライトプランの問題も小異であって言挙げするほどのものではないのだ。逆にバイデンは中国が防空識別圏を南シナ海でも設定しようとしていることも警告するだろう。


日本はこの日米同盟の再確認と国際世論を背景に、中国のさらなる孤立化と譲歩に向けて具体的行動を取ってゆけばよい。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年12月03日

◆大音量のデモは民主政治破壊の元凶だ

杉浦 正章


石破発言の言わんとするところは正しい



問題は狂ったように大音量のスピーカーで国会審議を妨害し、首相官邸の執務の邪魔をし、議員会館での仕事を出来なくすることが、憲法にのっとった集会の自由と合致するかだ。


朝日が扇動して野党がこれにまる乗りした石破発言問題は、たしかに言い過ぎの側面はあるが、事の本質は国民全体から見れば少数のデモで国政全体を妨害している事がよいのかという一点に絞られる。


いたずらに言葉尻をあげつらい、特定秘密保護法案批判に結びつけて、かさにかかって攻勢を仕掛ける方が代議制民主主義を冒涜しているのではないか。


たしかに国会周辺を取り巻くデモは、大音量のスピーカーでがなり立て、静粛さを必要とする国会周辺の秩序を大きく毀損している。筆者も議員会館で議員と会話をしても相手の声が聞き取れないほどであり、なぜ放置しておくのかと言いたくなる。


その左翼の挑発に対して石破は、普段は極めて論理的であるのに、感情に流れた表現をしてしまった。「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われる」などという扇情的な表現をしてしまったのだ。


石破も冷静に考えれば昔右翼の街宣車対策で成立させた「国会周辺静穏保持法」があることを失念しているのだろう。


同法は警察官が大音響の拡声機を使用している者に対して拡声機の使用をやめるように命ずることができると規定している。警察官の命令に違反した者は6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金の刑事罰となるのだ。石破は同法の適用に何らかの形で言及するだけで、よかったのだ。


これを政府があえて適用しないのは、特定秘密保護法案絡みの弾圧と受け取られることを回避したいためだろうが、デモの音量は明らかに忍耐の限度を超している。


そもそも民主党は鬼の首を取ったような追及をしているが、自分が政権を取った時には静穏保持法の適用を実行しているではないか。2010年に総務相・片山善博が右翼がうるさいとして民主党本部周辺を静穏保持法の適用地域に指定している。首相・野田佳彦も2012年6月に原発反対派のうるさいシュプレヒコールに対して「大きな音だ」と不満げな発言をしている。


自らの政権の時はデモに抑圧的に動いておきながら、他党の政権の時は「デモは意志表示の手段だ」(福山哲郎)という身勝手さは、いかんともし難い。


石破が「テロと本質的に変わらない」と記した部分を撤回したものの、「整然と行われるデモや集会は、いかなる主張であっても民主主義にとって望ましいが、一般の人々に畏怖の念を与え、大音量で主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相いれない。民主主義の手法とは異なるように思う」と、デモの不当性を主張したのは当然であり、全く正しい。


もっぱら法案阻止の材料として取り上げ、野党を扇動している朝日は3日、「秘密保護法案、石破発言で本質あらわ」と題する社説を掲げ、何が何でも石破発言を秘密保護法阻止に結びつけようと躍起になっている。しかしその論旨は粗くて隙だらけだ。


「デモは市民の正当な権利であり、代表制民主主義を補う手段」と主張しているが、それは静粛な手段で粛々と行われるデモの場合であろう。国会周辺で今行われている「音声の暴力」のごときデモ活動は、誰が見ても代議制民主主義を補うどころか、これを妨害する手段でしかあり得ない。


会話が聞き取れないような大音響を放置すれば、国政も議会制民主主義もなり立たないではないか。


テロに関する情報は秘密保護法の4つの柱の一つであり、極めて重要なものである。これが朝日の主張するように廃案となれば、世界中のテロリストが、日本の弱い脇腹が判明したとばかりに、サリンや細菌兵器をまいたり原爆を爆発させるかもしれない。そうなった場合の責任を朝日は取れるのか。


一国平和主義でいつまでも寝ぼけたような社説を書いていると喜ぶのは周辺諸国だけだ。それとも相変わらず中国に胡麻でも擦っているのか。防空識別圏の設定という驚くべき暴挙が、秘密保護法をますます必要としている現実を無視するのか。


この野党、とりわけ民主、共産、社民と朝日の秘密保護法案での“結託”は、朝日が社是として標榜する不偏不党の精神を自ら踏みにじるものである。大音響での国政妨害デモを礼賛する朝日は、日本の民主主義にとって大きな支障となっており、将来自らに降りかかる問題をはらむことを銘記すべきであろう。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年12月02日

◆安倍・バイデンで“尖閣連携”確認へ

杉浦 正章



政府は民間飛行計画での違いにこだわるな



軍部というものはどうも形勢不利になると「大本営発表」をしたくなるものらしい。それがまかり通るから軍部に操られる中国国民は不幸だ。


29日午前“中国大本営発表”によると「中国空軍機は緊急発進し、自衛隊機10機と米国偵察機2機を確認した」のだそうだ。政府筋は「馬鹿馬鹿しくてコメントできない」と言う。自衛隊機が10機編成で尖閣諸島周辺を飛ぶなどということは金輪際あり得ないからだ。


発表が「確認した」であり、防空識別圏設定以来中国が言い募ってきた「防衛的措置を講ずる」ことがなかったことは、そこまでうそをつくとばれるからだ。紳士的な防衛相・小野寺五典は「とくに中国機が近接してきたとか特異な行動を取ったとかは聞いていない」と述べたが、これは平たく言うと「うそつくな」である。


しかしこの大本営発表が中国国内で通用するということは、日本の大本営発表がかつて「進め1億火の玉だ」に直結したように、いつでも「進め13億火の玉だ」を作り得ることであろう。反日教育の“財産”をもつ中国は、床に油をまいてあり、火をつければ暴発する仕掛けになっているのである。


自衛隊機に中国機が撃墜されれば、反日暴動の火の手が全国で舞い上がるように仕組まれているのだ。したがってよほどのことがない限り、自衛隊は手を出せない。よほどのこととは83年の大韓航空機撃墜事件の二の舞のような事態である。


日航機が中国空軍によって撃墜されそうな事態となれば、躊躇せずに正当防衛で銃火を交えなければなるまい。見殺しにすれば、その時点で安倍政権はサドンデスになり得る。また米軍機が撃墜したのならまず反日暴動には発展しまい。


一触即発の状況下で、政治の神経戦・心理戦が今後長期にわたって展開されてゆくことになると政府も国民も覚悟した方がよい。中国では「世界の敵になってしまった」といったツイッターが目立っているというが、ここは本当に「世界の敵」の「孤立化」を遠慮なく進めるべきだ。
 

中国の狙いは防空識別圏の設定により、日本の尖閣国有化を断念させ、「棚上げ」に持ち込むところにあり、これはまさに小野寺が言う「一方的独善的対応」そのものである。日本が受け入れることは到底あり得ない。


まず日本が行うべきことは、盛りあがった中国批判の国際世論を外交的なアドバンテージ確保に結びつけることだ。かねてから述べているように国連での非難決議でもよい、提出して中国に拒否権を使わせてその異常性を際立たせるのだ。事故が発生した後の決議では遅い。


加えて日米の絆を一層強化させなければならない。ここに来て一部外交軍事評論家の間で米国が民間機のフライトプラン提出を容認したことに関して、「すわ日米に亀裂」とばかりに大騒ぎしている向きが多い。


これは木を見て森を見ない浅見だ。岡本行夫に至ってはNHKで「ケネディ大使を通じていかに日本が重大に受け止めているかをオバマ大統領に伝えよ」と息巻いている。


しかし、米国の航空会社の飛行計画提出は一種の内政問題であり、それほど目くじらを立てるものでもあるまい。米国各社が提出した既成事実があるのに、首相・安倍晋三も小野寺も「米政府が民間会社に要請したことはないと外交ルートで確認している」と繰り返すが、これも言い訳じみて見苦しい。国務省は容認を確認しているではないか。


しかし日米で温度差があっても問題はない。見るべき重要ポイントは、米政府が軍事・民間分離方式を選択したことなのである。外交・安保的には日本より素早く国務・国防両長官が異例にも一致して対中非難の声明を出したことで十分である。


とりわけ国防長官・ヘーゲルは米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣に適用されるとの認識を明言しており、これ以上の強い対中けん制はない。さらに加えて、米軍は冷戦時を彷彿とさせる行動に出たではないか。B52爆撃機の二機編隊による示威行為に中国はなすすべを知らなかった。


日本は領土問題に直結しているが、米国は少なくとも領土問題ではない。その差が出ただけであり、大局を見れば日米同盟は現在最高潮で有効に作動している。


したがって安倍は3日の副大統領・バイデンとの会談では、小異にこだわらず、尖閣での日米連携を前面に押し出して、これを確認すべきである。バイデンは上院議員を7期も勤めた民主党の“重鎮”であり、飲み込みが早く有能と言われている。


偶然にも防空識別圏問題に合わせるような日、中、韓3国訪問となった。バイデンは米政府のレクを十分に受けての来日であろうが、日本の生の声をしっかりと聞かせて、習近平との会談に臨んでもらったらいい。少しでも民間機問題などで日米に意見のそごがあるような気配を見せれば、中国の思うつぼとなる。

中国は日米関係にくさびを打ちたくて仕方がないのだ。むしろ米国の民間機別扱いは、対中懐柔に役立つくらいの度量の大きさが大切だ。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)



2013年11月29日

◆都議会は猪瀬の進退かけた正念場

杉浦 正章



次々に“動かぬ証拠”が判明



都知事・猪瀬直樹をめぐる疑惑は複雑に考える必要は無い。すべてが都知事選立候補直前に金を受け取り、返したのが強制捜査の後という点に絞られる。誰が見ても政治資金としての授受であり、本人が繰り返す「個人としての借用」の説明はなり立ちにくい。


きょう(29日)から始まる都議会の焦点はこの一点に絞られる。筆者の親しい捜査当局元首脳は「限りなくクロに近い」と予想する。神奈川県知事・黒岩祐治も同じ知事としての立場から「突然出てきた借用証に多くの人は疑念を持っている。今の説明では大変厳しいと見ている」と予測する。


「厳しい」というのはもちろん知事としての職の継続の意味だ。玄人だけでなく、一般都民の判断も「疑惑あり」が圧倒的だ。都によると、27日までに電話やメールなどで計717件の意見が届き、約9割が猪瀬を批判、支持・激励は約1割にとどまるという。裏切られた都民としては当然だろう。


4回行われた記者会見をつぶさに分析すれば、猪瀬の発言は2転3転している。


一番怪しく感じたのが得々と借用書を振りかざして、政治資金でなく借金であったと繰り返した4回目の会見だ。借用書は徳田事務所から郵送してもらったと強調したが、貸した側の署名はなく、本人の捺印もない。無利子、無担保はいかにも不自然である。郵送されたなら、封筒があるはずだが、それも示さない。


借用書は公証人が作成する公文書の公正証書とは異なり、立会人がいなくても作れる。後から作ったのではないかという質問が記者団から集中砲火のように浴びせられたのも当然である。それより筆者が奇異に感じたのは、徳田毅の議員会館自室で昨年11月20日に行われた現金引き渡しに関する猪瀬の説明だ。


猪瀬は「5千万円などという大金を見たことがないので、その大きさにびっくりした」と述べた。しかし猪瀬はその金を紙袋から「カバンにしまって持ち帰った」とのべた。5千万円をカバン入れるとすれば知事が持ち歩くような書類カバンではあるまい。相当大きなカバンであり、これは事前に用意しなければなるまい。


それを用意して持っていったとすれば、背後には事前に金額まで含めたやりとりがあったはずであり、「びっくりした」というのはまずうそであろう。


また11月22日の最初の会見でいったん「資金提供という形で応援してもらうことになった」と選挙目的であったことを認め、政治資金規正法違反の指摘を受けると、2回目の会見で一転して「個人の借用」と繰り返した。これは政治資金に詳しい弁護士が慌てて入れ知恵したからに違いない。


そして今後の捜査で決定的な証拠になり得るのが昨年11月19日の徳田虎雄と二男・徳田毅との電話のやりとりである。虎雄は病気で声が出ないため、かかってきた電話はスピーカーで聞き、秘書が目の動きを文字にして返事をするというやりとりをしている。


23日付産経によると、このやりとりが来客などにまる聞こえだったというのだ。虎雄は「先方に取りに来させろ」「足がつかないようにしろ」と述べ、金額など細かい指示をした。そして最重要ポイントは、毅が「猪瀬さんは金は残ったら返すと言っている」と伝えた点だ。


明らかに選挙資金が余ったら返すということであり、「個人的な借入金」だったとする猪瀬の説明は根底から覆る。このやりとりは東京地検の家宅捜索でも入手しているといわれる。なぜなら虎雄の発言はいったんパソコンで清書して虎雄が目を通すことになっており、そのパソコンも押収されたとみられるからだ。


資金の提供を持ちかけたのはどっちかが焦点になっており、猪瀬は自分からの要請を否定している。しかしこれも、疑惑の対象となる。自分から持ちかけたのでなければなぜ昨年11月6日という選挙の準備で多忙な日にわざわざ鎌倉の病院まで出かけて、全く面識のない虎雄に会ったかということだ。


第三者が介しているにせよ、大金を授受する以上、虎雄に何らかの挨拶をしないわけにはいくまい。その結果都知事選立候補前日の11月20日に毅から5000万円を受け取ったのであろう。地検が押収したパソコンからは当然虎雄と猪瀬のやりとりも分かる可能性がある。地検はその解析に専念しているに違いない。


こうして限りなくクロに近い猪瀬の姿が浮かび上がってくることになる。当面の焦点は都議会だ。


まずきょう(29日)の所信表明演説で猪瀬が何を言うかだ。これを受けて都議会は来月5日に代表質問、6日に一般質問を行う。各政党は猪瀬を助けるどころか、虎視眈々とその進退を狙っている。もちろん答弁の矛盾を暴いて、知事を辞任へと追い込むことを視野に入れているのだ。


都議会は猪瀬にとって敵ばかりの様相なのだ。問題は、東京都がオリンピックの会場となり世界の注目の的となっていることだ。


先に指摘したように猪瀬は道徳的にもオリンピック憲章に背馳することは確実であり、辞任に追い込まれるより以前に、潔く自ら辞任すべきであることは言うまでもない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月28日

◆防空圏で中国は早くも孤立化

杉浦 正章



「張り子の虎」が自分の掘った穴に落ちた
 


「中国は張り子の虎か」とイギリス人の記者が質問した27日の中国外務省の記者会見がすべてを物語っている。米B52爆撃機の示威飛行になすすべを持たなかったことが、世界的な嘲笑の的となった。まさにやぶをつついて蛇を出したのだ。


23日の中国国防省による防空識別圏(ADIZ)設定発表以来、わずか5日間で国際世論の動向は、中国批判一色となった。とりわけ米国はシリア問題での失地回復のチャンスとばかりに、強い対中けん制に出た。軍部の突出を抑えられなかった国家主席・習近平は、まさに内憂外患の状態に追い込まれた。
 

筆者は防空識別圏の設定によって中国は自ら作った落とし穴にはまったと判断、「国際社会を味方につける絶好のチャンス」と主張したが、予想通りの方向となった。


まず米国では主力紙が社説で対中非難の合唱となった。ワシントン・ポストは「無謀だ」、ニューヨーク・タイムズ「中国の威嚇的な振る舞い」、ウオールストリートジャーナル「重大な国際法違反で、許されるものではない」とそれぞれ決めつけた。


一致して米政府の対中非難を支持している。シリアへの弱腰で国際評価が弱まったオバマ政権にとって、願ってもない得点挽回のチャンスでもある。
 

オーストラリアは外相が中国大使を呼びつけて批判、朴槿恵が中国にすり寄っていた韓国はADIZに自国領の岩礁が組み入れられて世論は激昂。朴槿恵は愛する習近平からはしごを外される結果となった。やはり線引きがひっかかる台湾も非難している。欧州諸国も対中非難が圧倒的だ。


こうした中でB52の飛行である。中国政府は「中国軍は米国の航空機を確認し、全過程を適切にモニターしていた」と誇らしげにレーダー能力を誇示したが、これも問題の所在を意図的に外そうとしている。


なぜなら世界が注目したのはAIDZ設定で「戦闘機による対領空侵犯措置を取る」とした宣言が履行されるかどうかだったからだ。


ところが中国の対応はスクランブルどころか、一機の航空機も飛ばしていない。ひたすらB52をレーダーで追尾して、その滞空時間を確認するだけにとどまったのだ。専門家によると米軍はB52を出して中国の様々な応戦能力を試したのである。


もともと中国のレーダーは地球が丸いから機影が1万メートルより低いと掌握出来ないといわれているが、B52はわざとレーダー識別可能な1万メートルより上を飛んだ可能性があるという。だからAIDZ滞在時間が分かったのだ。


スクランブルするといっても、空中給油機がなければ中国戦闘機は航続距離を確保出来ず尖閣上空に長時間滞在することは不可能である。だから狙いとは逆に国際社会に「張り子の虎」を露呈させてしまったのである。
 

恐らく習近平は米国のこのような強硬態度を予想しなかったであろう。中国政府の熟慮が明らかに欠けていたフシが濃厚だ。米政権を分析すれば、オバマがシリアでの失地回復で焦っていることぐらいは十分に分かるはずである。


この時期を選べば、強い反発を食らうと言う程度の判断が中国外務省になかったとすれば、その情報収集能力はさほどでもないことになる。むしろ軍部の独走を習が抑えられない現実をあらわにしたと見るべきかも知れない。


軍部は尖閣諸島の空域を米空軍が演習に使っていることくらいは掌握していたであろう。したがってその反発は予想していただろうが、習には上げていなかった可能性がある。習は知らないままはんこを押した可能性がある。
 

AIDZで日米安保体制の固さを測ったというもっともらしい論調があるが、10月初旬の外務・防衛「2+2」会議での共同声明以降は、絆の固さは明白になっていたはずである。今さら確かめるほどのことでもあるまい。


朝日の論説委員・惠村純一郎は、いまや反政府のとりでと化している報道ステーションでワシントンポスト紙が「米国が巻き込まれかねない」と述べていることだけをとらえて、「防空識別圏が日米へのくさびとして利いた」と述べたが、毎度のことながら浅はかだ。


一新聞の片言隻句だけを見て、実際の米政府の動きを見ようとしない。くさびどころか、いよいよ日米安保体制は緊密化した現実から目を背けたい一心からの発言としか思えない。
 

このように状況は日本にとって圧倒的に有利な展開となりつつある。日本は首相・安倍晋三がいみじくも「状況を緊張させていく階段を上るわけにはいかない。私たちは冷静に対応しているということも国際社会にアピールしていく」と述べているように、ひたすら“いい子”でふるまえばいいのだ。


「ガキ大将対いい子」の戦いを国際世論に見せ続ければ良いのだ。焦点は米副大統領・バイデンが12月2日から日、中、韓3国を歴訪することだ。おそらくAIDZ問題が焦点となる。安倍は3日の会談で、日本の立場を明確に示し、妥協の余地のない点を強調すべきだ。


被害者日本を強調して、理不尽な中国の姿を浮き彫りにして「力による現状変更」を排除する日米共同歩調の揺るぎの無さを確認すべきだ。そうでもしない限り、中国の横暴は続く。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月27日

◆スパイ天国返上の流れが出来た

杉浦 正章



秘密保護法の今国会成立で普通の国へ



戦後まれに見る対決法案成立のめどがついた。特定秘密保護法案は与野党の圧倒的多数で衆院を通過した。これだけの大法案で自民党の造反者がわずか1人であったことがすべてを物語っている。


もう日本は激変する極東情勢の中で、その国家としての存立を左右する情報確保において「ダダ漏れスパイ天国」の汚名を返上できる流れとなった。


半世紀前の日米安保条約反対論者が誤判断を恥じてか、今その口をつぐんでいるように、法案の衆院通過は将来の国の行く末を見据えた決断であり、その必要性は歴史が証明してゆくだろう。米、英、仏、独などが厳しい秘密保護で国益を守っているように、我が国もようやく普通の国としての体制を整える流れとなった。


秘密保護法案が成立への流れを確保した背景を太筆で書けば、一にかかって極東情勢の激変がある。中国や北朝鮮の軍事的どう喝に重大な懸念を抱いた国民は国政選挙における選択で、革新勢力を激減させ、与党に大きな力を与えた。これがまさにサイレントマジョリティとして存在しており、すべての原動力である。


国際環境の変化に思いが届かない野党や朝日新聞を中心とする一部マスコミは、安保改定時と同様の手段で、国民の反対運動を煽ったが、その時代錯誤性を今さらながらに思い知ったに違いない。


サイレントマジョリティは動かず、デモを見ればひまそうな年寄りばかりで、若者はいない。安保反対が学生運動を中心に盛りあがったような雰囲気は全く見られないのだ。したがって一部マスコミのねつ造と虚報による大衆扇動は完敗したのだ。


朝日は27日付社説で「民意おそれぬ力の採決」と見出しに取ったが、朝日における民意とは何か。議会を通じて,間接的に国民の意思を国家意思の決定と執行に反映させる代議制を取る以上、多数を確保した与党が民意そのものではなかったのか。


それとも中国のように共産党1党独裁が民主主義にふさわしいとでも言うのか。スパイ天国を放置して、国家の命運を左右する情報を奪われ、中国に蹂躙(じゅうりん)され、やがては属国になればどうなるか。言論の自由や表現の自由どころではない。それを未然に防げというのが真の民意ではないのか。


激変する国際情勢に辛うじて対応しようとする安倍政権がまともな、ごく普通の政権なのであり、民意を恐れぬのは朝日の方ではないか。同社説は「まずは国家ありき」と批判するが、中国の防空識別圏設定などで国家存立の危機にさらされているのは日本にほかならない。


情報を守ることは国家として最小限の責務であり、常識なのだ。


偏向報道は朝日ばかりではない。国民から視聴料を取る公共放送であるはずのNHKの26日7時のニュースはあまりにもひどすぎた。


国民の反響は反対論しか報道しないのだ。これで不偏不党を標榜できるのだろうか。NHKの左傾化は、原発報道の偏向とも相まって抜きがたいところにまで到達した。少なくとも240の過半数を大幅に超えて340前後の支持による衆院通過を、どこかの民放の如く一方的に報道するとは何事か。国会で徹底的に究明する必要がある。


野党とりわけ維新と民主両党は醜態をさらした。まず維新は政党としての体をなしていない。なぜなら修正で合意しておきながら、委員会も本会議も欠席して、投票権の行使を放棄した。幹事長・松野頼久は「28日採決だったら賛成した」というが、全く理屈が通らない。


参院回付を遅らせて廃案にしようという魂胆が見え見えである。党内賛否が伯仲して、やむにやまれず欠席作戦を取らざるを得なかったのであり、維新共同代表の橋下徹も石原慎太郎も超重要法案での統率力の無さを露呈させた。


一方民主党も代表・海江田万里の対応能力が問われる結果となった。その基本姿勢はマスコミにこびを売るという、古き悪き野党の特性をむき出しにしたものであった。もともと秘密保護法は民主党政権時代に作ろうとしたものであり、本来なら修正に応ずるべきものであろう。


それを「対案」なるものを提出して、修正の余地を狭め、最初から継続審議か廃案を狙った。この政党も議論を深めれば賛否両論で収拾がつかなくなり、分裂傾向を強めることを恐れた結果の対応であった。野党第1党としての主導権発揮とはほど遠いものがあった。


政府・与党は、底が見えた“革新”の対応に臆する必要は無い。きょう(27日)にも成立するNSC法案との連動が不可避な秘密保護法案である。何としてでも会期内成立を図り、これを基盤に集団的自衛権の憲法解釈を実現して、国防の基本を築き上げるべきだ。


最後に、この程度の法案で国が全体主義化することはありえないし、首相・安倍晋三にはそのような思惑はないことを断言しておく。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月26日

◆防空識別圏は空域の盧溝橋対峙様相

杉浦 正章



米中も一触即発の様相に至った
 


このケースは直ちに国家安全保障会議(NSC)を開催して対策を打ち出すべき場面だ。NSC設置法案は成立するものの、その要の秘密保護法案はピントの狂った反対論で難航している。


その平和ぼけした日本の姿をあざ笑うかのように中国による防空識別圏の設定である。まさにやくざが他人の庭に線引きして地上げをしている姿だ。


日本政府はこれに対して当初はなんと外務省アジア大洋州局長レベルの電話による抗議であったが、米国の反応は素早いうえに問題の認識が深かった。国務・国防両長官が声明を発して中国に警告したのだ。まさに盧溝橋事件前夜に匹敵する一触即発の事態である。


しかしこの危機はチャンスに変え得る。政府は国連安保理で国際社会に訴え、中国の理不尽な姿を浮き彫りにしてその孤立化を図るべきである。


中国の防空識別圏の設定は極東における安全保障の構図を根底から覆すものと言ってよい。日中一触即発から米中一触即発へと事態は変質したとも言える。


そもそも日本の防空識別圏は1945年に連合軍総司令部(GHQ)が制定した空域をほぼそのまま使用しており、尖閣諸島の久場島は米軍の射爆場になっているし、空域は米軍機が日常的に訓練に使っている。それを知ってか知らずか中国の線引きであり、米国にしてみればまさに“縄張り侵入”なのである。


国務長官・ケリーが強く反発したのは当然として、国防長官ヘーゲルの反応が極めて厳しいものがある。ヘーゲルはまず歴代長官で初めて「米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されるという米国の長年の政策を再確認する」と公式に明言した。


これは中国の尖閣諸島領域における軍事行動には、米軍が軍事力で対処するという意味を持つ。さらに注意すべきは「中国の今回の発表によって、米国の地域での軍事作戦のあり方が変わることは全くない」と、中国にくぎを刺した点である。


要するに軍事訓練も演習も中国の指定した識別圏で行う。やるならやるぞという姿勢である。これ以上の対中けん制を米国が行ったことは過去になく、一部評論家の間で今流行の「米国は尖閣で日本を助けない」などという議論を根底から覆すものである。


これは、日本が躊躇している間に頭越しの米中正面衝突が発生する可能性すら出てきたということだ。


中国側も軍主導の様相が色濃い。習近平は先の共産党3中全会以降、対日政経分離の動きを強めていたが、軍部の反発が極めて強く、抑えきれない状況となったとされている。この結果軍をなだめ、国民の不満を外に向けるための対日“禁じ手”の一つを打ち出したのだ。


これが何を意味するかといえば中国空軍の「関東軍化」である。トップの意向を無視しての独走が可能になったことを意味する。


というのもスクランブルの判断は自動的に空軍が行い、発表にあるように「防衛的な緊急措置」と称して軍事的な行動による進入阻止に出ることが可能となるからだ。だから自衛隊は抑制気味に動いても米軍は逆の行動に出る可能性を否定出来ない。


既に米中間には2001年に米中空軍機接触の海南島事件が発生している。空軍機が空中衝突した事件だ。中国側の戦闘機は墜落しパイロットが行方不明になり、アメリカ側の電子偵察機も損傷し海南島に不時着したものの中国側に身柄を拘束された。尖閣諸島をめぐってもこのような状況が発生し得る事態となったのだ。


海上での進入に対しては、とりあえず海保が対応しているからいわば間接的な対峙だ。だが、空での進入は空軍対空軍の直接対峙であり、常に墜落の危険性を伴う。したがってひとたび衝突すれば事態はさらに深刻な段階へと移行する。


1937年一触即発の状況で対峙していた日本軍と中国国民革命軍が7月7日に接触して日中戦争のきっかけを作ったようなケースが、いつ発生するかは知れないのだ。まさに空における盧溝橋対峙の構図が現出したのだ。


日本政府がなすべき事は、この常識外れの中国の軍事圧力を正面から見据え、妥協はしないことだ。中国は日本国内の愚かにも平和ぼけして、NSCに不可分の特定秘密法案に反対している一部メディアや有識者と称するノーテンキ集団を“教育”する材料を幸いにも提供してくれているのだ。


反対論者は国の存否がかかわる事態に直面しても反対するのかということだ。もう逡巡する必要などはますます無くなった。民主党や極左政党が国家の存亡の危機であるという認識などないことは分かりきっている。ちゅうちょなく秘密保護法を成立させて、早期にNSCの第一回会議を開催して対応を練るべきであろう。


また国際的に中国の孤立化を図ることが重要ポイントだ。誰が見てもこの防空識別圏の設定は一方的な現状変更であり、あきれるほどの国際常識の無さを露呈している。


日本にとって絶好のチャンスである。米欧主要国はもちろん、安倍と良好な関係のあるプーチンも日本側につく。日本は安保理での中国非難決議に持ち込むべきであろう。戦争の事態を未然に防ぐことは国連安保理の主たる役目であり、尖閣防空識別圏設定問題はまさに重要テーマとなり得る。


高い分担金を長期にわたって払ってきた日本も、その平和志向が各国に理解されている。このチャンスを逃してはならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年11月25日

◆^Pは早期辞任で五輪への影響避けよ

杉浦 正章



居座りはオリンピック憲章に背馳する
 

先に猪瀬直樹を都知事に選出した東京都民のガバナビリティ(被統治能力)欠如を指摘したばかりだが、その^Pの驚くべき有権者への背信行為が明らかになった。5千万円もの巨額な資金をめぐる疑惑である。


検察は徳洲会選挙違反事件の思わぬ副産物への対応を迫られることとなるが、刑事事件化するしないは別にして、少なくとも東京都知事が道義的な責任を問われる事態であることは確実だ。この事態を俯瞰図でみると、紛れもなく東京オリンピックの品格が絡む。


オリンピック憲章は高い道徳性を求めており、招致する都市のトップの顔が泥まみれでは、スポーツの祭典に全くふさわしくない。^Pは自らの責任の重大性を自覚して、潔く辞職して世紀の祭典の成功に結びつけるべきだ。


22日の記者会見をつぶさに分析すれば、うそで塗り固められていることが判然とする。第1のうそは「申し出を断るわけにはいかなかった」とあたかも医療法人「徳洲会」の前理事長・徳田虎雄からの申し出があったから受け取ったような口ぶりだ。


しかし、あらゆる情報が^P側から「1億円」の要請があり、徳田が次男の衆院議員・徳田毅に「とりあえず5000万」と指示したことを裏付けている。いくら徳田でも要請なしに多額の金を渡すはずはない。


ここでクローズアップするのが日本維新の会共同代表・石原慎太郎との“絡み”だ。石原は自民党青嵐会時代から徳田と親しく交わっており、徳田自身の衆院選選挙応援にもたびたび鹿児島を訪れ、知事交際費を使って食事をするなどひんしゅくをかった仲だ。


昨年秋、首相になれると大誤算して知事を突如^Pに譲る判断をしたが、その石原が有力な資金源として徳田を^Pに“引き継いだ”ことは確定的だ。大病院の建設許認可は東京都が握っており、徳田は後々“便利”と算段しても不思議はない。


^Pの第2のうそは午後1時の記者会見で「選挙費用に使った場合は収支報告に書くつもりだった」と漏らした点だ。これは明らかに政治資金と意識して受領したことを物語るものであろう。ところが3時の記者会見では一転して「個人の借り入れ」をしつこいほど繰り返した。


これが何を物語るかと言えば、弁護士など政治資金問題の専門家の助言が入ったことを意味する。「絶対に公選法で義務付けられている資金ではないことを強調する必要がある。個人の借入金とせよ」との“知恵”をつけられたに違いない。もし起訴された場合には、明らかに「借入金」で押し通せると踏んでの法律家の判断である。
 

第3のうそはなぜ徳洲会に強制捜査の入った9月の返済になったかということだ。^Pははっきり言って強制捜査を「やばい。まずい」と感じたに違いない。「こっちもばれる」と思ったのだろう。


慌てて返済した理由について「1月に返すつもりだったが、妻の病気などいろいろあって9月になった」と死んだ妻を言い訳の理由にした。この言い訳は東京都民向けに「奥様が亡くなられてお可哀想」などという同情を買おうという魂胆がありありだが、言い訳になっていない。こじつけそのものである。


こうしてうそで塗り固めた記者会見となった。新聞もだまされてはいない。全社が社説で強く批判している。 朝日「これでは納得できぬ」、読売「個人の借り入れは通らない」、毎日「借入金は通用しない」といった具合だ。


問題は検察が立件するかどうかだが、小沢一郎の政治献金問題で敗北して以来、どうもびびっている。これだけ状況証拠がそろっていても踏み切らない可能性がある。ここは何が何でも社会正義を貫かなければならないときであり、立件に踏み切るべきであろう。


都民からの告発も起きるだろうし、やらなければ小沢のケースと同じように検察審査会が乗り出すケースも考えられる。検察審査会の議決で強制起訴となる可能性も否定出来ない。


一方都議会は無視するわけには行くまい。ちょうどオリンピック予算の審議も始まる方向であり、29日からの定例都議会の最大の焦点となろう。知事の進退に関して議会が出来るのは知事への辞職勧告決議か不信任決議だ。辞職勧告は法的な拘束力はないが、不信任決議が可決されれば辞職か都議会解散かだ。


最大の問題はオリンピックへの精神的な影響である。今後マスコミの追及の矛先は拡大しこそすれ、治まることはない。したがってこの問題は国際的な注目を浴びることになる。


オリンピック憲章はその精神の根本原則として「 オリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造である」と高らかにうたっている。


ところが^Pの行為は教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則のいずれにも背馳(はいち)するのである。限りなくクロに近い、つまり政治資金規正法違反に近い知事がオリンピックの顔では、その精神から言っても妥当性に欠ける。^Pの居座りはやがては“国辱”的な事態へと発展する可能性があるのだ。


したがって^Pは、追い込まれて醜態をさらして東京オリンピックのイメージを壊す前に、潔く辞職して、問題の早期決着を図るべきである。子供の教育のためにならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月22日

◆秘密法案修正はまるで「朝三暮四」

杉浦 正章



敗色濃い極左と朝日の反対論


「朝三暮四」という言葉が荘子にある。中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、「朝に三つ、暮れに四つやる」と言うと猿が「少ない」と怒った。このため、「朝に四つ、暮れに三つやる」と言うと、猿がたいそう喜んだという説話だ。


これとそっくりなのが特定秘密保護法案をめぐる与野党の修正協議の合意だ。まず秘密の指定期間について維新の会は当初、「30年以上は認められない」とのスタンスだったが、与党が「最長60年」案を示すと、交渉担当の藤井孝男が「だいぶ詰まってきている」と応じた。


「朝の餌」の「30年の主張」を「60年」に引き延ばされて「詰まってきた」は誰が見ても滑稽話の類いだ。「絶対反対」を主張し野党などをけしかけている朝日新聞が社説で「まるで与党側の焼け太り」とかんかんになって怒るのも無理はない。


もう一つある。みんなとの協議で合意した「首相=第三者機関」論だ。誰が見ても第三者機関は民間人などで構成するものであろうが、合意では首相が「第三者機関的観点からの客観性を担保する」のだそうだ。


これでは民主党幹部が「泥棒に札勘定させるのと同じ」と憤慨するわけだ。まさに維新とみんなは賛成の理由を作るための交渉を続けていたことになる。


さらに滑稽話はまだ続く。維新が主張した特定秘密にかかわる省庁を限定するという主張に、与党側は「5年間秘密を指定しなければ省庁の指定権限をなくす」という修正案を提示、維新はのんだ。


しかしこれは逆効果だ。指定権限をなくされてはたまらないとほぼ確定的に該当省庁は特定秘密を「作る」からだ。行政機関に不必要な秘密指定を促すおそれすらある。


最大の焦点であった検証機関の設置問題では民主党など野党側は、特定秘密の事前チェックを主張している。しかし与党側の回答は「秘密法案の付則で、独立した公正な立場で検証、観察できる新たな機関を検討する」であった。付則には設置の時期やその機能についての言及はない。


政界では「前向きに検討する」は何もやらないことと等しいと言われているがその「前向き」すらもないのでは、単なる努力規定に過ぎない。


こうした付則などはほとんどが野党のメンツを立てるためのもので、まず実現はしない。検証機関という第三者機関の設置拒否は、まさに法案が換骨奪胎されるかどうかのコアの部分である。これに応ずれば秘密が秘密でなくなる恐れがあり、内閣の存在すら無意味になってしまう。


与党が応じないのは当然である。また秘密を漏洩した公務員への罰則を10年にする点も譲歩していない。極左が主張する問題の核心部分は全く変わっていないといってよい。


要するに修正協議は全く与党ペースで進んでいるのだ。朝日がみんなと維新を批判して「補完勢力どころか翼賛野党」と決めつけているのも、自らの主張が敗色濃いことの裏返しであろう。


なぜこのような圧倒的な与党ペースが展開されるかと言えば、安倍政権の志向する「積極平和主義」への支持が国民の意識の根底にあるからだ。日米安保関係を強化し、周辺諸国の軍事攻勢をけん制するというやむにやまれぬ事情を国民が理解し、その結果が総選挙と参院選挙の自民党圧勝となって現れたのだ。


自民党が公明党と共に巨大与党勢力となり、野党が「脳しんとう」を起こして、その後遺症が続いているからでもある。民主党は左傾化して何でも反対党化している。


真っ向から法案に反対しているのは、共産、社民の極左2党と朝日であり、日本の政治はこれら左翼勢力の反対を押し切って戦後の繁栄を成し遂げてきたのである。今回も国の繁栄の瀬戸際を決める判断が要求されているのだ。


全く忘れられているのは中国が尖閣問題で領海侵犯を繰り返し、北朝鮮が核ミサイルでどう喝し続ける極東情勢の激変なのである。特定秘密保護法案は、中国や北朝鮮が行っている機密漏洩は即死刑という国内抑圧型の秘密保護には到底及ばないレベルの制度を導入するだけの話である。


米欧民主主義諸国が通常のこととして行っている国家安全保障会議(NSC)を補完する秘密の保護なのである。


冒頭からるる述べてきた中間政党の苦肉の策の修正妥協も、こうした極東情勢を必然的に反映しているのだ。みんなも維新も政治の方向としては妥協しかないと思っているのだが、一部世論の攻勢に言い訳を作る必要があるのだ。これが「朝三暮四」的な妥協を余儀なくされているのだ。


来週26日にも与党側は衆院を通過させる構えである。民主党の主張は、根底に法案の廃案か継続審議への思惑に満ちあふれている。これにとらわれていたら成立が危うい事態となりかねない。参院での審議約2週間を確保して来月6日の臨時国会閉幕に間に合わせるべきであろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月21日

◆隣の「騒音おばさん」の孤立化を目指せ

杉浦 正章



もう日中関係打開先行しかない


韓国は「ただの愚かな国」だろうか。首相・安倍晋三の側近に漏らした発言が週刊文春に掲載され、またまた波風を起こしている。確かに文春の記事には「安倍総理周辺によると、総理は『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ』と語っていたという」とのくだりがある。


筆者はこの発言を「クロ」で、本物だとみる。なぜなら安倍は21日国会で朴槿恵大統領について、「私と大体同世代で、以前は食事をともにしたこともある。非常に優れた指導者だ」と歯の浮くような答弁をしたからだ。まずいと思ったからに違いない。


それにしても「官邸の秘密保護」は一体どうなっているのか。誰がリークしたか知らないが、首相が安心して側近に“本音”を語れないのではどうしようもない。
 

そこで「ただの愚かな国」かどうかを検証してみたいが、結論から言うとやはり「ただの愚かな国」の一言に尽きる。韓国人とは昔から付き合いがあるが、その国民性は情が深く、人が良く、いったん友人になったら決して裏切らないという特筆すべき人間性を有している。


ところがその「国柄」となると話は別だ。昔田中角栄が「半島国家は悪い。大国にいじめられ抜かれた歴史があるから、悪擦れしている」と漏らしていたが、まさに正鵠(せいこく)を得ている。同じ隣人でも中国と比較すると「国柄」の違いは鮮明だ。
 

その姿勢が露骨に出たのが9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まった東京招致への対応だ。中国は何と日中友好を意識した対応をとったのだ。毎日のスクープによると中国は決選投票で4人全員が東京支持に回った。


中国側は「対日関係の重要性を踏まえ、国益を総合的に検討した結果、『東京支持』に回った」のだという。中国は最悪の関係の中でも長期展望に立った対応が出来る国であり、その冷静な判断力は恐ろしいものがあるとみなければなるまい。


一方韓国は何をしたかだが、東京をひきづり降ろす事に専念した。狙いはフクシマの汚染水問題であった。投票直前の9月9日から、汚染水問題を理由に、明確な科学的根拠なしに日本産水産物の輸入禁止を発表した。


ただでさえ汚染水の“風評”問題がIOCの投票に影響することが分かっていながらの究極の「東京つぶし」にでたのだ。幸いにも安倍の演説の信頼性の方が勝って事なきを得たが、この悪意に満ちた陰険な仕打ちは外交史に残るものとして記憶にとどめなければならない。


さらに「愚かな国」の証明はその最高指導者の言動にある。


筆者は朴槿恵の姿がどうしても「奈良の騒音おばさん」のイメージとダブって仕方がないから、「朴槿恵 騒音おばさん」でネットに検索をかけたらいっぱい出てきた。人間考えることは同じである。騒音おばさんの特徴は、根底に「抜きがたい悪意」が存在することだ。


韓国語に言い換えれば朝鮮文化における「恨(はん)の精神」に横溢しているともいえる。恨んで恨み尽くす精神だ。慰安婦と称する女性の肖像を世界中に設置しようとするかと思えば、今度は伊藤博文を暗殺したテロリスト安重根の記念碑をハルビン市内に建設するよう中国国家主席・習近平に直接要請。


「日本の一部の指導者は謝罪する気もなく、慰安婦を侮辱し続けている」と英BBC放送で発言。訪韓した米国防長官ヘーゲルに、歴史や領土問題に絡めて日本を批判。ロシア大統領・プーチンとの共同声明には「歴史に逆行する言動が障害となり、北東アジア地域の協力が実現されていない」と安倍を批判。とどまることを知らない「恨」文化の表出だ。


騒音おばさんのもう一つの特色は隣家と話し合おうとしないことだ。「近隣騒音」の専門家は、「隣家が怖いから騒音を発する」ケースが多く、奈良のおばさんも根底の心理にそれが見られるという。同専門家は「悪意のある騒音だと隣家は耳をそばだてるから、それほど大きくない音でも心理的に動揺を強く受ける」という。


「逆に隣家と仲がいいとテレビの音が大きくても、面白そうだから自分も見よう」という反応に変わるのだそうだ。たしかに日本は隣国の悪意に満ちた騒音に耳をそばだてる傾向がある。問題はこの悪循環をどう断ち切るかだが、奈良のおばさんは最高裁で実刑が確定したが、韓国のおばさんは訴える手段がない。


かつて首相・大平正芳がソ連について「嫌な国が隣にあるからといって国家は引っ越せない」とぼやいていたことがあったが、そのとおりだ。騒音おばさんが一番嫌がることは無視だろう。


中国の諺に「蝦蟇(がま)日夜鳴けども、人之を聴かず」がある。ヒキガエルが一日中うるさく鳴いても、誰も聞いていないというのだ。まずこの状態を作る。無視して、経済で落ち目の韓国を尻目に、アベノミクスを成功させて日本の繁栄を取り戻すことだろう。「隣は泣く、隣はもちつく世の習い」で隣が繁栄すれば、騒音おばさんは手ぬぐいを口にくわえて「ヒー」と悔しがるのだ。


韓国は「ケネディ大使」の華々しい赴任がうらやましくて仕方がないのだろう。朴槿恵がオバマに悪口を言いつけても、その反応は逆であった。日米関係の方が格段に重要であることの証しがケネディ赴任だ。加えて政経分離でまず中国との経済・文化の交流を強める。徐々に政治も改善する。


この流れの意味するものは朴槿恵反日路線の孤立化に他ならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)