2013年11月20日

◆世界の一大潮流となった原発新設

杉浦 正章



石破も将来の新設に意欲


元首相・小泉純一郎の「原発即時ゼロ」発言がやぶ蛇となって、原発新設への政府・与党の思惑が次第に鮮明になって来ている。


再稼働もままならないのに新設をまともに唱えれば一見「愚論」とみられるが、そうではない。世界の潮流から見るとむしろ「先見の明」の類いとなる。なぜなら世界の原発需要はいまや200基に達しており、その潮流は「フクシマ」を乗り越えて「原発新設ブーム」の様相だ。


1基5000億円、総額100兆円の市場だ。放置すれば中国とロシアの粗悪な原発に席巻されて、それこそ地球規模で卵が崩れる「累卵の危機」に陥る構図だ。日本は原発「再稼働」を早期に実現し、内外の原発の新設・増設・リプレースに動かなければならない。それが歴史的必然であり、国家的な義務だ。
 


最初はもたもたと小泉発言に同調するようなそぶりを見せていた、自民党幹事長・石破茂だが、12日の小泉の記者会見後は吹っ切れたように豹変した。小泉の考え方が鮮明になって、その弱点が露呈したのを読み取ったかのように理路整然とした反論に出たのだ。


一部マスコミが小泉発言を「実は安倍を擁護するためのもの」などというとんちんかんな“邪推”をしているが、石破発言から見るとはっきりと小泉を「自民党に徒(あだ)なす者」と位置づけている。テレビなどで石破は小泉にゼロへの具体論が欠けている事について「具体論がなければ単なるスローガンに過ぎない」と決めつけた。


加えて「小泉さんは現職議員ではない。安全、安心が確認された原発は再稼働するという自民党の方針に責任を持つ人ではない」と言い切った。つまりそこいらの“おとっつあん”の無責任な床屋談義であると紳士的に言っているのだ。


「原発ゼロの場合、中東で何か起きれば国民の生活は奈落の底に落ちる」とも述べた。化石燃料に全面依存していたら第1次中東危機ななどとは比較にならないほどの危機が到来すると警鐘を鳴らしているのだが、もっともだ。電気がすべて止まり日本は地獄の様相を来す。


小泉の即時ゼロ論は原発反対派のスローガンである「トイレなきマンション論」が根底にあるが、これについても石破は「ゼロにしようがしまいが最終処分場はいずれにせよ作らなければならない。ゼロにすれば最終処分場が不要というのは明らかに間違っている」と断じた。


それはそうだ。原発保有国となった以上は最終処分場の確保はいずれにせよ避けて通れる問題ではない。すべての電力会社が利用する「超大型トイレ」をまず作るべきである。それを真っ先に避けて通ったのは、小泉自身である。


最終処分場を決める「原子力発電環境整備機構」は小泉内閣時代に動きだしたものであり、これをフルに動かして最終処分場を決めるのは小泉自身の仕事であったものを、消費税増税と同様に逃げてしまったのだ。郵政改革などよりよほど重要な課題を避けて通ったのが小泉であった。


その上で石破は冒頭述べた「先見の明」発言をした。原発新規増設に踏み込んだのだ。


「新規を認めるときはそれが本当に安全なのか、大震災の津波以上のものが発生してもきちんと止まり、きちんと冷やせ、きちんと放射能を発散しない技術が確認されたとするならば、再稼働であっても新規であっても基本的には理論が変わらない」と述べたのだ。


筆者もかねてから再稼働を認めるならば、それ以上に強化された原発新設が認められなければおかしいと主張してきたが、石破発言は全くこれと軌を一にするものである。


このように石破が原発ゼロへの反論どころか、原発新設論を発信し始めた背景には、国民の支持が根底にある。一部マスコミの喧伝に惑わされている側面があるが、国民の総選挙と参院選挙の2度にわたる選択が、1党だけ「原発ゼロ」に反対した自民党であったことを忘れてはならない。


紛れもない選挙公約で原発ゼロと対峙して勝ったのだ。加えて安倍の本心も、ほとぼりの冷めたころに原発新設という方向にある。安倍の口からは原発依存度を下げる旨の発言はあるが、「ゼロ」だけはない。


安倍は就任直後の12月30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べている。本心はここにあるのだ。


冒頭述べたように世界は原発新設ブームだ。新興国はもちろん北欧や東南アジア、中東、アフリカ諸国まで新設の動きは広がっている。30年新設を避けてきたイギリスまでがついに新設に踏み切った。


これを虎視眈々(たんたん)と狙うのがチェルノブイリの人的ミスで10万人もの死者を出したと言われるロシアと、新幹線墜落事故の中国だ。抜け目なく中国はイギリスの原発建設に資本参加している。世界の潮流は、ハーメルンの笛吹き男のような扇動者小泉とは逆の方向に向かっているのだ。


その意味で安倍が自ら先頭に立って事故を乗り越えた日本製の原発売り込みに成功していることは、地球規模で言って正しい。


朝日新聞は安倍の原発輸出が世界に危険を振りまくと難癖をつけるが、もう少し世界のエネルギー情勢と科学的知見を学んだ方がいい。イデオロギーで新聞を作ってはいけない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月19日

◆修正合意で刮目すべきはみんなの渡辺

杉浦 正章


維新は大阪市役所レベルの発想


国家の命運を左右する機密というものがどんなものであるかについて、政府は他国との関係もあって明示しない。それでは筆者があえて例示しよう。


ある時、北朝鮮との緊張関係が抜き差しならぬ状態まで高まったとしよう。北がかねてから核攻撃の対象としてあげている日本の数都市の内、「名古屋を核ミサイルで攻撃しようとしている」との情報が入った。このため日米は北の基地先制攻撃を決断した。


ところが秘密保持の指定を受けた公務員がこれを漏洩、北は逆に先制攻撃に出て名古屋は壊滅した。国家機密の漏洩とはこういうことを意味する。自民党幹事長・石破茂が18日抽象的に述べた事はこのような事態を意味するのだ。


石破は「公務員が国家にとって極めて重大な影響を及ぼす事態であることを認識しながら、それを漏洩する事態に対して、国家全体の利益の観点から抑止機能が担保されなければならない。一体これに誰が反対するのか」と述べた。


このような国家の命運を左右する重大機密を漏洩する者は、中国では死刑であり、米国でも国家反逆罪として極めて重い刑罰が適用される。米欧諸国は、内乱罪や反逆罪を憲法や刑法で規定し、国家と体制を脅かす犯罪に断固として対処しているのだ。


日本はやっと特定秘密保護法案で懲役1年を10年にするだけのことである。もういいかげんに世界の常識が日本の非常識という状態から離脱しなければならない。その意味で18日、自公とみんなの間で国会の修正合意が達成されたことは、極めて好ましい流れだ。


これにより今国会成立は確実となった。待望の国家安全保障会議(NSC)の設置にとって核心部分に目鼻が付いた形であり、米国を初めとする友好国からの情報がスムーズに入る流れとなった。


すべては14日夜に浮上した首相・安倍晋三とみんな代表・渡辺喜美との会談が決めた形である。官邸側はみんなが一連の権力闘争の結果、渡辺が勝って党内統治体制が確立したと判断。渡辺攻略に焦点を絞って裏工作を続けた結果、会談にこぎ着けたものだ。


渡辺は同夜の段階で首相の関与を拡大する方式での決着を強く主張していたようである。トップ同士の政治判断先行という極めて珍しい形での決着となった。


従ってその内容も吹き出したくなるほど滑稽(こっけい)で政治的である。なんと首相を「第3者機関的」と前代未聞の形容をして、「その観点から関与を明確にする」という合意内容だ。


この核心部分は「首相が秘密の指定、解除、適正評価の基準を作成し、改善を指示し、有識者会議の意見を聞いて第三者機関的な観点からの客観性を担保する」というものであり、第三者機関の直接関与を避けている。


それはそうだろう第三者機関なるものが維新や民主党の主張するように秘密指定に最初から直接関与すれば法律自体がなり立たないことになる。


なぜなら議院内閣制による内閣と違って、第三者機関は責任がない。国家機密の保護どころではない体制を作ってしまうことになる。そこで出てきた苦肉の策が「首相イコール第三者機関的」の表現であろう。


みんなの渡辺がこの線で政治的に妥協したのは、まさに「男子三日会わざれば刮目すべし」であり、これからは渡辺を目をこすって見なければなるまい。なぜなら鳴かず飛ばずのみんなが一目置かれる存在となったからである。


渡辺にしてみればここで存在感を発揮しなければ、未来永劫(えいごう)ヌエ的な政党で終わってしまうと考えたに違いない。左傾化した民主党や、国政を知らない大阪市長が牛耳る維新と同列とみられては存在感がないのである。


その維新とはまだ修正協議が続いているが、みんなに置いてけぼりを食らった形となった。


官房長官・菅義偉ルートが最後の頼みの綱だが、共同代表・橋下徹が妥協を拒み続けているのが原因のようだ。同党は秘密の30年公開にこだわり続けているが、国家の機密を大阪市役所の機密レベルと見ているとしか思えない。


自民党が「原則30年」としたのはぎりぎりの譲歩である。というのも国家の機密というものは、例えば暗号を例に挙げれば、例え30年後でも公開してしまったら相手国の分析によって現段階の暗号解読につながり得るのだ。


また情報提供者の氏名を公開すれば本人はおろか家族にまで他国の「報復」が及びかねない。第三者機関による事前チェックなどは、不可能である事は少し情報という者のハンドリングを知れば分かる事である。
 

もっとどうしようもないのは民主党だ。代表・海江田万里は担当相・森雅子の答弁の揺れを「日替わりメニューで、全く議論は深まっていない。」などと批判しているが、自分が経産相のころ原発再稼働でころころと、毎日どころか朝昼晩と答弁が変わっていたのを忘れたかと言いたい。


修正案ではなく「対案」を作ったのは、あきらかに一部マスコミに踊らされた、昔の社会党そっくりの左傾化路線だ。対案を提示したにもかかわらず、与党が強行突破したという形を作るだけの戦術であり情けないの一言に尽きる。
 

自民党はこの好機を逃してはならない。衆院ではみんなの参加で賛成が342票と過半数を100票も上回る流れとなる。参院でも152票であり過半数の121票を大幅に上回る。


これだけの賛成票を確保した以上、維新が妥協しなければ修正協議もそこそこにして、民主党との修正などは時間稼ぎと看破して、粛々と採決、週内衆院通過に向かうべきである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月18日

◆財界訪中で「政経分離」の流れ急

杉浦 正章



中国側接遇に固唾をのむ首相官邸


日中関係の現状は政治が冷え切ってしまったのとは対照的に経済関係が“尖閣失速” を取り戻すかのように急進展を見せている。日本車販売はV字回復を見せ始め、人的交流も活発さを取り戻しつつある。


こうした中で18日、日中経済協会(会長=張富士夫トヨタ自動車名誉会長)の訪中団が北京へ向け出発する。国家主席・習近平か首相・李克強との会談が実現する可能性があるという。まさしく政経分離が先行して1072年の日中国交正常化へと動いた如く、経済が政治をリードする構図が先行する気配である。


日中関係の冷え込みぶりはまるで氷河期の状態にある。首相・安倍晋三がウオールストリートジャーナル紙に「中国が法の支配ではなく力による現状変更を試みていることに懸念がある」と述べれば、人民日報傘下の国際情報紙・環球時報は「悪意に満ちた言葉だ。日中間で摩擦が続けば戦争だ」と、初めて戦争という表現をつかった。


防衛相・小野寺五典が領海への“侵入”行為を「平和と緊張の間のグレーゾーン」と指摘すれば、環球時報は「中日はもはや何も話すことはない。どちらも自らの強硬な立場を頑なに守り、慎重な摩擦を仕掛けて相手の限界点を探りながら、軍事衝突という最悪の事態への準備を進めている」と今度は「軍事衝突」だ。

まるで突撃ラッパを吹きまくっている様相。


とにかく「口撃」先行のお国柄だから、話半分に聞いた方がよいが、それにしても「戦争」「軍事衝突」とは穏やかではない。日本はますます守りを固めて、秘密保護法の成立を急ぎ、集団的自衛権行使への流れを確立しなければなるまい。


国の安全保障だけは悪夢の共産党独裁体制崩壊に連動した対外軍事攻勢など、何が発生しても盤石な態勢を敷いておく必要がある。しかし、それとは裏腹に経済関係の復旧はお互いのために進めざるを得まい。


既に中国市場での自動車販売は反日デモで販売が大きな打撃を受けた昨年9月と比べると、各社とも60〜120%の大幅増となった。日産が前年同月比83.4%増の11万7100台、トヨタは同63.5%増の7万2100台、ホンダは同118.1%増の7万3990台といった具合だ。


明らかに最悪期は脱した。こうした中で財界訪中団は張のほか、経団連会長の米倉弘昌(住友化学会長)、同副会長川村隆(日立製作所会長)ら財界人77人を含む178人で、2011年度の182人に次ぐ過去最大規模となった。


結団式で張は「日中関係はいまなお厳しい状況にあるが、経済分野の相互補完基調に変化はない。中国の指導者との意見交換を通じて揺るぎない日中関係の構築に貢献したい」と事実上の「経済先行」を宣言した。


これは日中間でかねてから存在した政治と経済を分離して、経済交流だけを先行させる方式であり、戦後の極東における政治・経済史の編み出した知恵である。1962年には訪中経済使節団団長として、大日本水産会会長・高碕達之助が岡崎嘉平太など企業トップとともに訪中し、中国側の廖承志と会談。


「日中総合貿易に関する覚書」が調印され、経済交流が正式に開始されることになった。署名者である廖と高碕のイニシャルからLT貿易協定と呼ばれることになる。


72年の国交正常化までこの政経分離は続いた。最近では小泉純一郎の靖国参拝で冷え切った日中関係打開のために「政冷経熱」方式で経済関係は維持された。


翻って両国の国内情勢を見れば、中国はあきらかに高度成長期を終えつつある。現在の国内総生産(GDP)7.8%が高度成長との見方があるがこれは甘い。専門家の多くの見方は中国にとってGDPの下限はぎりぎり6%であり、これを下回ると破たんに限りなく近づくとされる。従って7%台はまさに薄氷を踏む数字である。


おまけに共産党1党独裁にとってGDPの数字の操作などはお手の物であり、数字そのものが信用できない。習近平は日本の投資と企業進出が、成長率維持のためには不可欠と感じているのであろう。


一方アベノミクスの首相・安倍晋三にとってみても中国との経済関係は良好であるに越したことはない。内閣府が14日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は、物価の変動や季節要因をのぞいた年率換算の実質成長率で1・9%増と前期と比べて伸びが半減した。GDPの6割を占める個人消費や、輸出が減速したためだ。アベノミクスも油断すると失速しかねないのだ。


こうして日中双方の利害が経済関係強化の1点では一致する様相なのである。しかし氷河期の氷が簡単に解けるかどうかは全く予断を許さない。


そこで官邸が固唾をのんで見守るのが財界訪中団に対する中国側の接遇のレベルがどの程度かである。3月の訪中で、財界訪中団と会ったのは国家副主席・李源潮であった。今回の訪中団に習近平や李克強が会うかどうか。会った場合何を言うか。


その発言が日中首脳会談につながるものとなるかどうかなど注目点は極めて多い。今後の日中関係を占うものとなると言っても言いすぎではないのだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月15日

◆秘密保護法で左傾民主抱き込みは無理

杉浦 正章



維新、みんなは「半落ち」競争?


昔はこのような場面では、政権側から政治資金が野党とりわけ中間政党に回るのが常であった。当時の中間政党・民主社会党が強硬な反対を唱えたうえに、賛成に回ると「ドカーンがあった」とささやかれた。「ドカーン」とは「巨額な資金が回った」という永田町の隠語だ。


今そんなことが行われたら、大問題になって政権維持も困難になる。しかし「ドカーン」はなくても「頭なぜなぜ」はある。首相動静を見ていたらなんと14日夜は2時間も首相・安倍晋三とみんなの党代表・渡辺喜美が料理屋で会食しているではないか。

渡辺はこれに先立って「情報漏えいの防止策を強化することなどを基本政策に掲げ、選挙戦を戦ってきており、秘密保護法の整備に『総論賛成』が基本スタンスだ」と述べている。いま与党は維新と修正協議の最中であり、渡辺発言は維新を追い越して早くも「半落ちか」ということになる。


一方でその維新は、やはり「半落ち」の様相を深めているかのように見える。修正協議で、与党側が維新の主張に配慮して秘密指定の期間を「原則30年以内」とする見直し案を示した。


維新は持ち帰り、15日改めて3党で協議するが、国会議員団政調会長・片山虎之助は14日「すべて聞き入れてもらわなければ、賛否に大きな影響がある」とすごんでいる。しかしこの正直者は“演技”をしているに違いない。重要ポイントは別ルートで進んでいることを知っているのだ。


官房長官・菅義偉と維新幹事長・松井一郎のルートがこれまでもぎりぎりのポイントで“利き”をみせたし、今度も最大の着目点だ。極右の共同代表・石原慎太郎をはじめ旧太陽系議員らは秘密保護法には大賛成だ。修正に全部応じなければ反対などと言うスタンスにはない。


こうして維新とみんなは与党がうまく誘導すれば「半落ち」が「完落ち」になりうる状況だ。メンツを立ててやり、世間体が成り立つようにすればいいだけのことだ。


生活、社民、共産の左翼3党は「絶対反対」だから最初から修正協議などするまでもない。問題は民主党だ。自民党幹部筋はその対応ぶりに「一番たちが悪い」と漏らしている。なぜかというと、「旗幟を鮮明にせずに引き延ばし、時間切れの廃案か継続審議を狙っている」というのだ。


確かに同党の対応ぶりを見ているとすべてが“引き延ばし作戦”に基本を置いている。問題点を50項目も挙げた上で、その内容を自民党には「全然説明しない」のだそうだ。修正とは名ばかりで別の法案を対案として用意している。その内容を決めるのも来週19日の次の内閣で決めるのだという。


自民党は21日に衆院通過を図る方針であり、それを対案提示を理由に遅らせようとしているのだ。民主党執行部は政権離脱後左傾化が著しく、秘密保護法制そのものに反対する姿勢を強めている。共産や社民寄りといってよい。


自民党の戦略としては、与党だけの強行突破は世間体を考えて避けたいのであり、維新でもみんなでも賛成に回らせるようあらゆる手を尽くす方針だ。民主党については修正協議をしても引き延ばしになるだけで無駄だと判断しているようだ。


こうした中で焦点として台頭しているのが民主、維新、みんなの3党が主張する「第三者機関」と国会議員への情報提供問題だ。第三者機関は閣僚の決めた特別秘密事項が妥当かどうかを検討するためのものだが、これは民主党の主張では明らかに法案の骨抜きを狙っているとしか思えない。


そもそも内閣とは憲法の議院内閣制に基づくものであって、その決定をどこの馬の骨か分からない有識者なるものにチェックされては内閣制度そのものが根幹から覆るのだ。


また国会議員に知らされないのはおかしいという主張と修正構想があるが、国会議員の院内での発言は責任を問われないのが憲法の規定であり、いくら秘密会を設置しても発言されたら秘密保護のすべてが成り立たない。


石破が国会法を改正して秘密会を作り、漏洩には一般公務員と同じ罰則を設けると主張しているのは、百家争鳴となって絶対に実現しないと思っているからに他ならない。


ただ第三者機関については方策が検討されている。担当相・森雅子が「さらなる改善を法案成立後に考えてゆく」と述べているのはなぜかと言えば「付帯決議方式」が念頭にあるからだ。先にNSC法案が衆院を通過した際には、民主党の主張する議事録の作成を付帯決議とすることで同党を納得させて通過を図った経緯がある。


秘密保護法の場合は恐らく民主党はこれに乗らないだろうが、維新とみんなは乗る可能性がある。

朝日の論説委員が報道ステーションで「野党の皆さんに指摘しておきたい。付帯決議だけでお茶を濁して修正に協力して欲しくない。歴史の検証を意識してそれに恥じない協議を」と“大演説”をぶっていたが、朝日の一番恐れている事が流れとなりそうな気配だ。


いずれにせよ衆院における審議は尽くされつつある。首相・安倍晋三はちゅうちょなく来週中の衆院通過にまい進すべきである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年11月14日

◆「国家安全委」で習の抑圧体制強化

杉浦 正章



改革の“リコノミクス”は敗れた



習近平体制の動向に決定的な方向付けを行う第18期中央委員会第3回総会(3中総会)が閉幕した。その共同コミュニケを分析すれば、焦点の経済改革で「国有経済の増強」を最優先する習派と、民営経済の振興を目指す首相・李克強の“リコノミクス”派との激突の様相がありありと分かる。


結果は日本の政治に似た「両論併記」の形となったが、総じて習派の優勢に終わった。その重要ポイントが中国版NSC「国家安全委員会」の設置である。同委員会を司ることにより習が、その抑圧的な共産党1党独裁体制を強化する流れが顕著となった。


力で国民の不満を抑えつける習路線と、民衆の暴発の構図は解消されないままとなった。「ケ小平の改革解放路線選択以来の大改革」という鳴り物入りの宣伝は不発に終わった。


とにかく日本の新聞・テレビの分析は、秘密会議だけあってまさに「群盲象を評する」感が濃厚で、一つとして会議を的確に切り取った報道がない。このようなケースは1点に絞ってそれが成し遂げられたかどうかを見極めることが重要だ。


その1点とは、民衆の不満に融和を打ち出すか、強権的姿勢を維持するかである。その不満の焦点である貧富の格差、民族間格差の是正に動いたかというと、逆であった。その第1の象徴が国家安全委員会の設置だ。


同委員会は中国の軍、警察、外交部門などの情報・安全保障・宣伝部署などを統合する組織であり、共産党1党独裁体制維持の中核になるものとも言える。各地で起こる暴動が共産党の存立にとって取り返しのつかない様相になるのを懸命に抑えようとする焦りの現れとも言える。


1997年に江沢民が設置しようとして党内の反対にあって断念した経緯があるが、今回実現したのはなぜかと言えば、統一的な体制を作らなければ頻発する治安問題に対処しきれないからに他ならない。もちろん「国家安全」であるから尖閣問題など海洋進出路線の中核ともなるものだろう。


次の焦点は経済改革である。爆発寸前の様相を呈している民衆の不満をどうそらすかだ。そこで問題提起したのがアベノミクスを真似してマスコミが名付けた「リコノミクス」を掲げる李克強だ。国有経済主導型経済からの脱却を目指して市場経済重視の方針を打ち出そうとした。


中国政治のの3大派閥は胡錦濤・李克強の共産主義青年団、習近平の太子党、江沢民の上海閥に大別できるが、その李が主張するのは従来の国営企業と共産党だけが儲かる体制を一変させ、市場経済をより一層導入して社会的な矛盾の是正に動こうとするものである。


胡錦濤の行った国民や民族の間でバランスのとれた社会である、「和諧社会」への回帰を促すものでもある。ところが発表された共同コミュニケでは「市場原理が資源配分の中で決定的な役割を果たす」と述べる一方で、「公有制を主体とし、国有経済に主導的な役割を発揮させる」と、まさに矛盾露呈の両論併記型となっている。


これは3中総会で李克強路線に対して既得権擁護に固執する保守派から強い反発が出された事を意味する。今や国有企業と共産党地方政府は35年間の改革開放政策で「巨大な企業体」へと変身し、利益をむさぼり、貧富の差は拡大して民族間格差とともに中国社会最大の矛盾の根源となっている。


汚職の泥沼はとめどもなく深く、共産党の支配下にある司法は機能しない。ここにメスを入れない限り民衆の不満は募りこそすれ、治まる流れにはならない。コミュニケは司法改革にも言及しているが、弥縫(びほう)策であり根本的な解決に至るものではない。党の介入を禁ずるというポイントが成文化されていない。


こうして中国社会は格差是正どころか既得権重視の指導層の下に、内部矛盾は拡大の一途をたどらざるを得ない流れとなった。国有企業の独占と共産党員だけが儲かり、汚職の裁判は圧力で抑える流れである。


この習近平体制再構築が今後の中国の外交・安保姿勢にどのように反映されるだろうか。恐らく習近平は尖閣問題で対日圧力をかけ続ける方向を担保しながらも、基本的には「友好」にかじを切りたい誘惑に駆られているに違いない。


というのも3中総会で提起された深刻な経済問題解決には、日本の投資や企業進出は垂ぜんの的であるからだ。既に政治の強硬姿勢とは裏腹に経済交流の側面は拡大しつつある。発表された自動車販売は日本製が躍進しつつある様相であり、大型経済使節団も受け入れる流れだ。


安倍は、るる述べてきた中国の「弱い脇腹」を意識しつつ、どの時点で妥協するかに留意しなければなるまい。中国の主張する「尖閣棚上げ」は不可能にしても、筆者がかねてから主張しているように「尖閣は『先送り』で“日中長期研究体制”を作る」しか道はあるまい。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月13日

◆奇人小泉が「即時ゼロ」の奇論

杉浦 正章



踊り出した “婆さん芸者”



鳩山由紀夫、菅直人に小泉純一郎が加われば、まさに“日本3大馬脚”の出現だ。いったん首相官邸という組織を離れると政治家というのはかくも、愚かな政治判断しかできなくなって馬脚を現すのであろうか。


小泉は12日の記者会見で、原発の即時ゼロという奇論をまくしたてたが全くの「根拠レス」であった。その様子をつぶさに観察すれば、婆さん芸者が若い芸妓の踊りを見て、血が騒いで踊り出すという醜態でしかない。


そういった指摘をされるのをを知っているから普通の政治家は首相を辞めた後は言動を慎むのだが、この3人は恥も外聞もなく、あられもない姿を露呈している。


ところが原発ゼロなら何でも大歓迎の朝日新聞の論悦委員・惠村純一郎は報道ステーションで、今や朝日のお家芸となった“風評”をまたまたまき散らして小泉発言を翼賛した。


何とポスト安倍を意図したものだというのだ。惠村は「小泉さんは安倍さんに対して君が決断しないと誰かをポスト安倍に担いでもいいですよという感じだ。ポスト安倍を占うキーワードに原発が浮上してくる」と述べたのだ。


仮にも政治記者を経験したであろう大新聞の論説が、首相をやめて8年もたち、しかもノーバッジのおっさんにそんな力があると思っているとしたら、朝日の政治記者の力量を推して知るべしであろう。


朝日は小泉発言をトップで扱うなど相変わらず恣意的な紙面を作っており、「世論の支持が広がれば無視できなくなる」と褒めたたえているが、この判断も“虚偽表示”の類いだ。


小泉の発言は、理路整然と間違う傾向のある自民党幹事長・石破茂の判断力欠如も如実に露呈させた。「小泉発言を詳細に分析する」と述べていた石破はその結果について「ゼロを目指すと言っているわけで、今すぐゼロにせよと言っているわけではない」と弁護した。


ところが記者会見で小泉は「即ゼロがいい。その方が企業も国民も様々な専門家も準備が出来る」と石破の判断と真逆の発言をしたのだ。幹事長たるもの、これほどの大問題なら本人に確かめて発言するのが常識だが、小泉が怖いのか会わないまま“分析”するからみっともない結果を招く。


小泉はゼロへの道筋について「政治で一番大切なことはまず方針を示すことだ。原発ゼロという方針を政治が示せば必ず知恵のある人がいい案を作ってくれる」と発言、得意の首相先導型政治論を展開した。


しかし「知恵のある人」は世界中探してもいない。いないからこそ世界のエネルギー事情の潮流は大小の事故を経た上での「入原発」であり、紛れもなく「脱原発」にはない。だから首相・安倍晋三の原発売り込みが成功しているのだ。


郵政民営化のまぐれ当たりの政治手法が原発に通用すると思っているから、婆さん芸者だというのだ。国家の存立にかかわるエネルギー問題で、床屋談義に毛の生えたような大言壮語を展開しても駄目だ。しかし側近を失った今床屋談義のレベルを出られないのが、小泉発言の本質なのだ。


そもそも小泉発言は一連の発言の発火点となったフィンランドの原発最終処分場オンカロ視察をねじ曲げることから発想している。オンカロはフィンランドがさらに原発二基を新設するために先手を打って作ったのであって、原発破棄が目的ではない。


小泉の秘書であった飯島勲が「ドイツやスペインは太陽光発電の負担を(電気料金に)上乗せして困っている。日本がそのような状態に陥ることが国民にとって幸せか」と真っ向から小泉発言を批判しているが、その通りだ。ドイツもスペインも太陽光発電の買い入れで大失敗をしている。ドイツの原発ゼロは破たん寸前だ。


再生可能エネルギーの技術の壁とコスト高に直面している。加えて送電網の整備にかかるコストに悲鳴を上げている。


2000年に始まった固定価格買い取り制度によって太陽光発電が急速に普及したが、買い取りで財政が成り立たなくなったのだ。スペインの場合は「太陽光バブル」が弾けて、同発電は壊滅状態だ。リーマンショックで補助金が出せなくなった結果だ。


こうした実情も無視してか、小泉は自民党の現状についても「賛否は半々だ」と述べたが、これも見当違いだ。総選挙は原発ゼロ新党が出来るなど原発の存否をめぐる戦いであったのであり、参院選も公約に再稼働を掲げての選挙戦であった。


それをかいくぐってきた議員らはほとんどが原発推進論であり、ゼロを唱えるのは隅に追いやられて膝小僧を抱えている河野太郎と何も知らない若手の一年生議員くらいのものだ。


政府・自民党は石破のように小泉発言や亡国の朝日の論調などに臆してはならない。また依然1.6%そこそこの再生可能エネルギーなどに幻想を抱いてはならない。先人が成し遂げたエネルギー革命の中核である原発を予定通り再稼働させ、世界でもっとも安全な原発を海外に普及させるべきである。


現在規制委員会で7原発14基の安全審査が進んでおり、結論が出次第躊躇せず早期に再稼働に踏み切るべきである。そして舞い上がった反原発のホコリがおさまったころ、世界最強の原発の新設に踏み切り、国のエネルギー政策の根幹を揺るぎないものにしなければならない。


一方で小泉が怠慢にもその政権時代に手をつけなかった、廃棄物処分場の候補地の決定を急ぎ、同時に核燃料サイクルとその定着に全力を傾注すべきだ。幹事長代行・細田博之が「石炭や火力に依存すると人類に遙かに大きな負担をもたらす。発言は結論としては正しくない」と小泉に反論しているが、まさにこれが正しい。

  <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月12日

◆マスコミ・野党の「虚報の連鎖」拡大

杉浦 正章



秘密法は警職法の二の舞になりかねない
 

首相・安倍晋三の祖父である岸信介が国会に提出した警察官職務遂行法案(警職法)が、梶山季之のまき散らした“虚報”で廃案に追い込まれたのは知る人ぞ知る史実だ。いま一部マスコミによるその“虚報”合戦が佳境に達している。デパートやホテルどころではない“虚偽表示”のオンパレードだ。


共産党はしめたとばかりにこれを活用、民主党など野党も踊らされ、与党側がたじたじになっている。問題の本質をつかんでいない担当相・森雅子はうろたえた答弁ばかり繰り返し、暗愚の見本小池百合子が首相動静にまで難癖をつけて“敵”を多くしてしまっている。態勢を立て直さないと法案の成立がおぼつかなくなる。


そうなればせっかく成立へと動いている国家安全保障会議設置法案(NSC法案)が片肺状態となり、集団的自衛権容認に向けての安倍の国際公約も崩れかねない。


半世紀マスコミに籍を置いてその動向をウオッチしてきたが、そのマスコミがこれほど悪質な風評源化するとは思ってもいなかった。


10月28日に「米国の情報を守るために日本国民を罪に問う」などと書いた朝日の風評源化に警鐘を鳴らしたが、これがきっかけとなって新聞やテレビに“虚報とねつ造”の連鎖が生じている。冒頭述べた警職法のケースとそっくりだ。


警職法は58年に岸内閣が提出したものだが、梶山が匿名で週刊誌「明星」に書いた記事がきっかけでつぶれた。


梶山が書いた「また怖くなる警察官ーデートも出来なくなる」が一人歩きして、当時の社会党委員長鈴木茂三郎が国会で「これが成立したらデートも出来なくなる」などと発言して感情的な反対論を煽り、廃案に追い込んだのは有名だ。当時自民党幹事長だった田中角栄が明星編集部に抗議に行ったほどであったが、完敗した。


今回も、もっともひどい例として挙げると、一番道民に信頼されている北海道新聞のコラムだ。


防衛省が沖縄県名護市の辺野古の海岸にウミガメが上陸した形跡やジュゴン生息の形跡を調査で確認していながら、公表を控えていたことと無理矢理関連づけて「特定秘密保護法案なるものが、もしも成立すれば、ジュゴンの“お食事”もウミガメの“お産”も、国家機密として闇に葬られかねない」とやったのだ。


読者は法案の詳細までは知らないから、「国家機密ではたいへんだ」とばかりに反対に回る。朝日が「サラリーマンが飲み屋での話で逮捕される」とねつ造話を報じたのと同じ“手法”による風評伝達だ。


さすがにネットでは「こんな落書きを金とって売ってるんか、北海道新聞は」とか「北海道新聞の読者層は、その程度の知能レベルということ?」といった批判が続出している。いまやネットがマスコミを戒めてバランスを取るという状況となった。


北海道の「常識的」な一般紙ですらこの調子だから民放に至ってははちゃめちゃの風評源化している。その筆頭が田原総一郎だ。「国会議員が法案がおかしいと反対すると懲役5年」「オフレコで聞いた話を『総務省筋によると』と書くと共謀罪」と言いたい放題。


愚昧にも自分が多くの首相を退陣に追い込んだと思い込んでいる田原は「総理を辞めさせると教唆扇動でつかまる」とも言いふらす。


この程度のキャスターたちが集まって11日には反対声明を発表したが、衆愚を作る衆愚の情報源が何をやっても問題はない。無視すればいい。しかし共産党など政党がこれを活用しようとしているから事態は深刻だ。


共産党機関誌・赤旗はこうした風潮を嬉々としてコラムで取り上げた。「懲りないというべきか、岸首相の孫の安倍首相が持ち出してきた秘密保護法案にも反対世論が高まっています。週刊『女性自身』は『放射線量をママ友と調べただけで懲役!?』と書いた」と“虚偽表示”を奨励。


「『政府保護法案』であり『国民監視法案』(琉球新報)など、的を射た新聞の批判も」と、風評報道をおだて上げる始末。


「秘密保護法をめぐり緊迫した国会。阻止するためには、危険極まりない内容を急速に知らせ広げることがカギです」と扇動して、「本紙の特集記事をもとにしたパンフレット『国民の目・耳・口ふさぐ これが秘密保護法』も発行されました」とプロパガンダに余念がない。


まさにキャッチフレーズで「虚偽表示を急速に広げる」作戦に出て、風評紙、風評テレビと「虚報の連鎖」を生じさせようとしているのだ。


朝日の世論調査で42%が反対と報じているが、散々煽ったうえに誘導的設問で行った調査なら当然この程度の数字は出る。むしろ賛成が30%も出たことが不思議なぐらいだ。NHKの調査は逆に法案が「必要だ」が25%、「必要でない」が16%である。安倍内閣の支持率は60%で2ポイント上がっている。


これに対してはなはだ頼りないのが政府・与党だ。森は問題の核心をつかんでいない答弁を繰り返し、報道機関への家宅捜査を否定したが、法相・谷垣禎一は家宅捜査に含みを持たせるなどちぐはぐさを浮き彫りにしている。


幹事長・石破茂は早くも修正論の妥協で野党を引き込もうと懸命だが、野党はそっぽを向いている。自民党特命副幹事長の中谷元がもっぱらテレビに露出している。その発言は聞く人が聞けばもっともな内容であるが、説得力が足りない。紳士的すぎるのだ。


相手は風評源であり、デタラメな主張で国民をだまそうとしている言いっ放しの確信犯だ。これを切り崩すには機知と知略に富んだ「ワンフレーズ」が肝心なのだが、それに全く欠けている。それが出来るのは石破か、副総裁・高村正彦だが、なぜかおとなしい。


高村は全く秘密法案で目立つ発言をしていない。なぜか官邸の意気込みばかりが目立ち、党はクールで、ここでも“官高党低”が目立つ。


今まさに「目には目を歯には歯を」の態勢を作らなければ、野党と一部マスコミに蹂躙(じゅうりん)されたままとなる。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月08日

◆「炎上釣り師」山本太郎の狡猾さ

杉浦 正章



選んだ都民の民度を疑う


ウエブのサイトで不祥事などをきっかけに爆発的に賛否の議論を巻き起こすことを「炎上」と言うが、そのきっかけを作ることを「釣り」と言う。あちこちでサイトを炎上させる者は「釣り師」だ。参院議員・山本太郎はその「釣り師のポリティック」に出たのだ。従って論議が燃え上がれば燃え上がるほどありがたいのだ。


一見神妙な顔をしながらも本人は、しめしめと思っているに違いない。なぜならタレントであるからだ。タレントはテレビに出てなんぼの世界に生きている。もともと賛否両論が出るのは百も承知だ。賛否両論で燃え上がれば燃え上がるほど、非難が増えるが、一方で相対的に支持者も増える。そこが狙いだ。
 

案の定ウエブではノーテンキな都民の婆さんたちが「可哀想」などと、馬鹿な感情論を展開している。物事の真偽を見分けられなくなった婆さんたちは、天皇に直訴することが大それた事などとは理解できず「原発反対の山本さんがいじめられている」としか映らないようだ。


昔社会党系都知事の美濃部亮吉が失政をして、自民党などから叩かれる度に「美濃部さんお可哀想に」と同情した婆さんたちを思い出す。理屈ではなく感情で物事を判断するのだ。問題の根源はこうした政治家を選出する選挙民の側にある。


都民ほどガバナビリティ(被統治能力)に欠ける選挙民は日本広しといえどもいない。尖閣買い取りを主張するような石原慎太郎を選んで、国を危うくしたり、猪瀬直樹を選んで危うくオリンピックを逃しそうにしたり。今度は原発反対を唱えるだけのタレントを選んでこの始末だ。民度が低すぎるのだ。


読売川柳に「山本見て猪木見て参院見る」という傑作が載っていたが物事の本質を突いている。作者は山本と国会に無断で北朝鮮を訪問したアントニオ猪木を暗愚の見本として眺めている。そして参院を見て、この体たらくで参院が必要だろうかとあきれているのだ。実にうまい川柳だ。


逆に朝日は「不敬だと騒げば疼(うず)く脛(すね)の傷」という川柳を選んで、選者が「例えば主権回復式典」とコメントしている。なぜ主権回復式典かと言えば、同紙の論調が「山本が天皇の政治利用なら、主権回復式典で安倍政権が天皇の臨席を仰いだのも政治利用」という流れになっているからだ。


これを見てつくづく思うのが朝日の編集方針の全体主義的傾向だ。原発反対であれば、タレント議員が天皇に直訴しようと何をしようと非難しない。支持したがる。そして川柳に至るまでその方針を徹底する。

選者は上の方針を察知して、そのお眼鏡にかなうような川柳を選んで、吾が身の保全を図るのだ。その徹底ぶりは「ご立派」というしかない。


山本の卑怯未練な人格を浮かび上がらせたのが、事件拡大をマスコミのせいにしようとしていることだ。「マスコミが騒いだから、政治利用にされた」と発言しているが、テレビカメラが写してることを確認して手紙を渡しておきながら、よく言えたものだ。


この山本事件で、もたもたしているのが安倍政権だ。当初は幹事長・石破茂が 「テレビや新聞で大きく取り上げられることによって、存在感を大きくしようと思ったのではないか。天皇の政治利用と言われても仕方がない」と息巻けば、文科相・下村博文が「議員辞職ものだ。政治利用そのものだ」と批判。


しかしその後はなにやらぱっとしない。下村に至っては山本を、明治天皇に直訴した田中正造に例え「田中正造が直訴して大問題になったことに匹敵する」と批判してしまった。


足尾鉱毒事件で自ら議員辞職した上で天皇に直訴した田中正造はむしろその動機といい、心情といい英雄的行為であった。もとより売名タレントなどと比較すべきものでもない。党内などから批判が出ると「立派な田中正造に申し訳ない」と記者会見で謝った。


参院自民党も7日山本を参院議長による厳重注意と、皇室行事への出席を自粛させる方針をいったん固めたが、事前に方針が漏れたことを理由に、決着を8日に延期した。とにかく騒がれれば騒がれるだけその本能が快感を感ずるタレント議員を、都民が選んでしまった“祟り”は続く。「炎上釣り師」は今度は何をやって目立とうとするのだろうか。


◎読売は今頃後追いか


読売が「集団的自衛権の見直しを先送り」とまるで特ダネでもあるかのようにトップで報じているが、まだ書いてなかったのか。既に9月の段階で政府・与党の方針は先送りで一致しており、新聞報道もこの方向であった。


筆者も9月25日の解説で「安倍が集団自衛権導入を来春に先送り」と書いている。読売も解説や特集では書いているではないか。いまさら記事を大展開させる話だろうか。


9月の時点では、まず幹事長・石破茂が集団的自衛権の前提となる国家安全保障基本法案について、国会提出が来年の通常国会以降になるとの見通しを示した。「公明党の理解もなしに、秋の臨時国会に法案を出せるという話にはならないだろう」と述べたのだ。


さらに集団的自衛権の行使容認に向けた公明党との協議について、協議開始は大綱策定後の来年になるとの見方を示した。これと口裏を合わせるように安倍も9月22日のテレビで、憲法解釈変更の結論を年内に出すかと問われ、「いつまでにということではなく、議論がまとまるのを見守りたい」と述べている。


先延ばしは既定路線であり、物事はそれを前提に動いている。いずれにしても、いまさらびっくりさせるような話ではない。
【筆者より】小旅行のため月曜は休載します。12日に再開します。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月07日

◆テロ続発が習近平体制を揺さぶる

杉浦 正章



「経済限界」背景に9日から正念場の3中総会


10.28天安門テロに次ぐ山西省の共産党ビル前の爆破テロが意味するものは何か。首謀者が意図するかしないかは別として、紛れもなく9日からの中国共産党中央委員会第3回総会(3中総会)に向けて、同党1党独裁体制の脇腹にドスを突きつけたものとなった。


中国の高度成長路線維持の限界が民衆の不満暴発制御への限界をもたらし、今月15日には総書記就任1年となる習近平体制を揺るがしかねない構図を露呈しているのだ。


トウ小平以来の改革路線が「危険な領域に到達した」と習自らが認めるように、3中総会は社会不安の原因である政治・経済の歪み是正に展望を開けるかどうかの正念場となる。


共産党の苦情受け付け窓口である「信訪局」の前で発生したテロ事件は、皮肉にもおりから汚職摘発で共産党規律検査委員会が山西省入りしている最中のことであった。石炭の産地である山西省の経済は、大きな壁に突き当たった高度成長経済路線をそのまま象徴している。


中国では石炭資源は国家の財産であり、開発は民間業者に委ねる。そこに賄賂の構図が成り立つ。日本でも高度成長期の初期は1948年の炭鉱国管疑獄などエネルギー源の石炭をめぐる汚職事件が絶えなかったが、山西省も酷似している。汚職で採掘権を確保するしか手段がないのだ。


しかし高度成長経済は12年にGDP8%を割り込み、危険水域の7%で推移し始めた。石炭は余り、閉山が相次ぎ失業者は街にあふれた。不満の目は共産党政権に向けられるようになった。そしてテロとなって暴発したのだ。


それにつけても中国における最近の暴動、テロは異常である。目立つものだけを挙げても、6月には福建省で高速バスが炎上して80人が死傷。7月には北京国際空港で手製爆弾の爆発。10月の天安門テロ。そして今回のテロである。


全国各地のテロや暴動は、03年の6万件から11年で18万件と3倍増。民衆の抗議行動は一年間で9万件を超える状況が続いている。国家の治安維持予算は11兆2000億円で、国防費の11兆1100億円を突破している。要するに疑似内乱状態と言っても過言でない状況となっているのだ。


これを前国家主席・胡錦濤の時代は、国民や民族の間でバランスのとれた社会、「和諧社会」をスローガンに掲げ、国内融和政策を進めてきたが、習近平政権が誕生すると、事態は一転した。


思想の引き締めが行われ、力による抑圧の時代に移った。外交安保では尖閣問題に象徴される軍事攻勢、内政では抑圧政治へと移行したのだ。視点を逆にすればそれだけ共産党政権が追い詰められてきていることを物語っている。


最近習近平政権が全国に通達した禁止令は(1)共産党政権の社会的基礎を瓦解させること(2)共産党のメディア管理体制に挑戦すること、など露骨に共産党1党独裁への挑戦を抑圧している。加えて「西側の普遍的な価値観を宣伝することの禁止」まで含めている。


共産党の1党支配体制に対する批判は一切許容しない姿勢である。天安門テロでウイグル自治区への力での抑圧の動きに出ていることもその実践であろう。


しかし、テロの頻発はこの習近平強硬路線の限界を示すものに他ならない。まるで20年に渡る高度成長一点張りの不摂生がたたるかのように、体のあちこちから病気が噴出し始めたのだ。高度成長によるテレビ、ネットの普及で一般大衆は、その高度成長路線の歪みをすぐに分かるようになった。


まず貧富の格差が目につく。中国は金持ちが日本人のようにその露出を嫌うのでなく、まるで成金趣味の如く大衆に見せびらかす傾向がある。ますます一般大衆は格差を実感する。役人の腐敗は清朝末期のごとく底知れぬものを見せており、これに加えて環境問題、少数民族問題など社会の矛盾は枚挙にいとまがない。


まさに3中総会はこうした課題を習近平体制に突きつけるものとなった。中央委員会は、党員約8500万人を代表する高級幹部ら約370人で構成される。


トウ小平の指導下、1978年末の第11期3中総会では歴史的な改革・開放政策への転換が打ち出された。それから35年、習近平は1回目と2回目の総会では、人事を固め体制を築いた。


今回の3回目は、中長期的な政策を示すことになり、トウ小平路線をいかに時代にマッチした経済路線に修正、軟着陸させるかが問われる。習近平にとってはまさに正念場の会議である。


習にとって力による封じ込めは一番安易な選択肢であるが、力で一時的にごまかしても結局は中国経済の限界を打破するわけには行かない。


改革案は独占業界改革、土地制度改革、行政管理制度改革、金融システム改革など複雑多岐にわたるが、焦点は簡単だ。国民の不満をいかに吸収できる政策を打ち出せるかどうかにかかっているのであり、3中総会で“対症療法”を打ち出しても、すぐに馬脚は現れる。


不満を外に向けるため尖閣などで強硬路線を選択すれば、日米中心の国際包囲網は、強化されこそすれ弱まることはない。就任1年目の習近平は抜き差しならぬ立場に置かれているのが実態であろう。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月06日

◆度し難い朴槿恵の“言いつけ”外交

杉浦 正章



なぜ首脳会談で直接言わない
 

じわじわと韓国大統領・朴槿恵の方が追い詰められ始めたのが、日韓関係の現状と言えそうだ。そのきっかけは10月初めの日米外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会」(2プラス2)だ。


韓国の予想に反して、共同声明で集団的自衛権の行使を歓迎する方針を打ち出したことに「韓国政府ががくぜんとした」(官邸筋)のだという。韓国内はまるで自衛隊が朝鮮半島に上陸するとばかりに大騒ぎ。


朴は日本に真意を質さず米国に人を派遣して、「韓国政府の意見が反映されるべきだ」と申し入れたが、共同声明は重い。安倍の来春の憲法解釈変更決定を受けて夏にもまとまる日米防衛協力の指針(ガイドライン)には盛り込まれる方向だ。


集団的自衛権の行使に反対するのは朝日新聞と共産党だけかと思っていたら、韓国で火の手が上がっている。反日メディアを中心に「朝鮮半島有事に米軍を助けるために自衛隊が上陸してくる」とか「集団的自衛権の行使を理由に日本が独党(竹島)を奪いに来る」など相変わらずの曲解と被虐思考の報道で湧いている。


自分の国が米韓相互防衛条約を結んで、集団的自衛権そのものを享受していることなどとんと忘れてしまったか、知識がない様相だ。少しまともな論調は「公海上で北から米艦を目がけて飛来したミサイルに、日本が撃ち返すと、韓国が全然考えていないところで戦争に突入してしまう」というものだが、これも被害者意識に満ちあふれている。


米艦が攻撃されれば日本が防御しようがしまいが、戦争突入であり、日本のせいにしてはいけない。そもそも朝鮮半島有事は過去に日本が予期しないところで勃発したし、今後も予期せずに起こり得る。


迷惑なのは日本の方だからだ。「極東の秩序の変更になる」というもっともらしい反対論もあるが、尖閣への公船の侵入を繰り返し、秩序を破壊しているのは中国である。こうした見当外れのマスコミの論議に踊らされ、常に右往左往するのが韓国政府だ。


「2+2」に対抗するかのように朴槿恵は大統領府国家安保室長・金章洙(キムジャンス)・を米国に派遣、国務長官・ケリーや国防長官・ヘーゲルらと会談させた。


金は、日本の集団的自衛権の行使に関し、「日本の国民が選択する問題」としながらも「拡大解釈され、半島や韓国の主権に関する問題まで及んではならない。その行使では韓国政府の意見が反映されるべきだ」と指摘、ガイドラインでの言及に慎重な対応を求めている。


この韓国政府の対応の基本的な間違いは、問題が日本政府の憲法解釈変更なのであり、その理由は日本に人を派遣して、内政干渉にならないように丁重に聞くべきものであろう。


日本の主権の核心である集団的自衛権の行使を、いちいち韓国に相談していたら同自衛権そのものが成り立たないのだ。それを米国に人を派遣して、日本の悪口を言うかのような態度を取るのはどうみてもおかしい。


いくら何でも歴代大統領はこのような対応は取らなかった。ところが朴槿恵は、まるで女学生が他の生徒の悪口を先生に言いつけるかのようである。きっとそうして育ったに違いない。5月の訪米では大統領・オバマに「地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければならない」と直訴。


9月30日には国防長官ヘーゲルに「歴史に逆行する発言をする日本の指導者のせいで信頼を築けない」。最近ではヨーロッパ向けにも“言いつけ”が佳境に達している。


今月に入って仏フィガロ紙にとのインタビューで「我々は未来志向的な関係を発展させたいが、一部の日本の政治家らが過去の歴史問題に関し、不適切な言行を続けている」と安倍を“刺し”た。続けて英BBCとのインタビューでは、「元慰安婦などの問題が解決しない状態では、首脳会談はしない方がましだ」と陰口をたたいた。


さすがに日本政府も執拗なばかりの“言いつけ”外交にかちんときたか、外相・岸田文男が「慰安婦問題でのわが国の立場、努力はこれまでも丁寧に説明してきた。現時点で懸念が表明されたのは大変残念だ」と不快感を示すに至った。


集団的自衛権の問題も宣伝戦の様相を呈しており、安倍がASEAN首脳会議などの機会を捉えて、中国や韓国からの批判の封じ込めを展開している。官房長官・菅義偉も集団的自衛権の問題について「フィリピン、ベトナムをはじめとするASEAN諸国や米国、英国、オーストラリア、カナダなど欧米各国から歓迎、支持が表明されている。


引き続き近隣国を含む関係国に丁寧に説明していきたい」と国際社会の理解を得られつつあるとの認識を強調するに至っている。国連憲章に明記されている権利を行使するだけのことであり、韓国の批判は“上滑り”するものに他ならない。


このところ安倍は靖国参拝を控え、歴史認識での発言を控え、首脳会談にはいつでも応ずるとの発言を繰り返しており、朴槿恵の“言いつけ”外交の異様さだけが目立っている。度し難いのは外交の場では相手国に直接言うべきことを他国に向けて言いふらすことほど、軽蔑されることはないことが分かっていないことだ。


その狙いは50%を超える支持率維持にあるとしか思えない。反日をあおり立てることで支持率を維持するという“邪道”を歩む大統領を相手にしては、安倍が本気で首脳得会談を目指す構えにないのもうなずける。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月05日

◆秘密法案が露呈した“革新弱体化”

杉浦 正章



安倍は迷わず中央突破し早期成立を図れ


特定秘密保護法案をめぐって保革が激突の様相を呈し始めた。その対立構図はまるで60年安保の時のような先鋭化の色彩を示している。


しかし安保の時とは決定的な差が見られる。安保は保革それぞれに大局観と理論武装を伴った政治勢力の激突であり、革新勢力は現在より圧倒的に質量共に上回っていた。院外勢力も学生運動を軸に盛りあがった。


しかし現在の革新側の中核は超弱小政党である共産、社民両党と新聞の使命を忘れた朝日新聞であり、その主張は何よりも見当違いであるうえに大局観に欠ける。この程度の“革新”に破れるようでは自公政権もだらしのないことこの上ない。


首相・安倍晋三は最終的には臨時国会で迷わず中央突破して国の安全確保の礎を築くべきである。


まず重要なポイントは何かと言えば、重箱の隅を突っつく論議ばかりが国会でもマスコミでも展開されており、事の本質を見失っていることであろう。なぜ日本版NSC法案と秘密保護法案が一体となって俎上に上がったかの根源を全く忘れている。危機はそこまで来ていたのにもう忘れたかと言いたい。


中国国家主席・習近平が「尖閣は確信的利益」と唱え、軍事圧力を強めれば、北朝鮮は日本の都市を名指しで核ミサイル攻撃するとどう喝する。そんな国々が近隣に存在するにもかかわらず、革新側はキャッチフレーズと“風評”で国民的運動につなげようと必死だ。


共産党が「秘密保護法は国民に隠して日本を戦争が出来る国にする法案であり、絶対反対する」と主張すれば、社民党は「日米軍事一体化が進む中で、我が国を情報統制、軍事機密国家にする法案」と訴える。まるで「安保条約反対闘争の位牌」の裏からはたきをかけて、半世紀前の言葉を取り出したかのような主張を繰り返している。


朝日は先に書いたように事態の“風評化”を目指して、その勢いはとどまることを知らない。ドイツ首相・メルケルへの盗聴事件が生ずれば社説で「盗聴国家の言いなりか」と決めつけ、「日本政府が盗聴事件の最中に米国情報の保護を優先し、日本社会の知る権利を削るならあまりに理不尽」と見当外れの安保度外視の社説を堂々と展開している。


ならば朝日新聞に問いたい。あえて「貴紙」と呼ぼう。「貴紙は盗聴がロシアや、中国や、北朝鮮ならば許容するのか」。言うまでもなく日本はスパイ天国であり、「米国情報を得るなら日本に行け」が諜報員の常識となっている状況をどう見るかだ。


そもそも、長年に渡って首相の携帯が盗聴されるようなドイツは間が抜けているのだ。アメリカですら盗聴しているのだから、ロシアや中国がそれを上回る諜報戦を試みていることは当然予想される。アメリカは「ばれた」だけなのである。


事々さように、食うか食われるかの諜報戦が世界中で展開されているのが現実であり、秘密保護法もない日本は諜報戦の“主戦場”となっているのだ。この諜報戦は国家が存続する限り展開され、これに敗れたものが実戦で敗れるというのが“弱肉強食”の現実なのだ。


朝日は「虚飾の事態」を創出して反対論を唱えるから、筆者はより現実的な事態を想定しよう。


例えば米国から“盗聴情報”の伝達があったとしよう。「中国軍が今夜尖閣諸島を占拠する方向で動き始めた。尖閣占拠の次は沖縄を占領する」という超機密情報だ。また「北朝鮮が3日後に核ミサイルを日本の東京、名古屋、大阪、福岡に向けて発射する準備を整えた。」とする情報も伝わった。


この国家の命運を左右する機密情報を、朝日は「盗聴情報だからけしからん」として、「政府が信用出来ないから公開して、国民的論議の場に付せよ」と主張するのだろうか。またこの機密を漏らした公務員を、国家が存続していればの話だが、懲役1年の刑で罰せよというのか。


それでも「米国の情報を優先しては国民の知る権利を削る」などとノーテンキな社説を唱えていられるのか。社説を書くものは「天から平和は降って来ない」という国の安全保障のイロハから勉強し直した方がよい。
とりわけ重要なポイントは、マスコミの取材、報道の自由に対する革新側の“被害妄想”とも言える主張である。


情報を入手する「正当な手段」とは何かをめぐって、あの西山太吉事件まで朝日は擁護するかのようである。インタビューをして言いたい放題言わせている。朝日は西山事件の最高裁の有罪判決をどう見ているのであろうか。「司法による弾圧」とでも言うのであろうか。沖縄返還密約の一部を暴いた西山は「英雄」なのか。


言うまでもなく最高裁で問われたのは「正当な手段」であったかどうかであり、秘書をたぶらかして情を通じ、その弱みにつけ込んで情報を入手した「手段」を「不当」として有罪としたのである。その暴いた密約を毎日新聞の紙面で報ずるのならまだ職業意識があるが、社会党の議員に渡して予算委員会で追及させるとはどういうことか。野党への情報提供も「英雄」であるのか。


総選挙や参院選挙前の安倍や幹事長・石破茂の発言をもう一度検証してみるべきだ。原発再稼働もテレビで公言しているし、NSC、秘密保持両法案の目標でもある集団的自衛権の行使も公約に掲げている。朝日も共産、社民両党もその主張は完敗したのであり、再び蒸し返すのは見当違いだ。


言うまでもなく日本は議院内閣制である。国民に付託されたからこそ自公政権がなり立っているのである。それもやろうとしていることは、国家の安全保障であり、普通の家の戸締まりである。これが信用出来ないなら、日本にいてもらわなくてもいい。


歴史上安保をないがしろにして、他国の蹂躙(じゅうりん)を受けた国に「報道と言論の自由」があったか。おみおつけで顔を洗って出直してこいと言いたい。


昔、佐藤栄作が戦後の保革対決で漏らした言葉がある。「社共と朝日の反対することを行えば、日本は繁栄する」。その通りだ。これは今も不変の定理として存在し続けている。

   <今朝のニュースより抜粋>  (政治評論家)

2013年11月01日

◆外交・経済好循環で安倍長期政権確実

杉浦 正章


歴代首相でも抜きん出た行動力


フォーブスランキングでロシア大統領・プーチンが1位となったが、世界第3位の経済大国の首相を見逃している。中国国家主席の習近平が3位などとは誰も思わない。同誌編集者は極東情勢の勉強が足りない。


掛け値なしで安倍晋三は高ランキングに立つべきである。指導者としての独自のひらめきがある久しぶりの首相だ。


奇想天外のアベノミクスの大当たりに加えて、積極的平和主義の「アベノディプロマシー」が好循環のハーモニーを醸しだし、デフレ脱却へと進んでいる。これが世界経済全体に好影響をもたらすことは言うまでもない。その行動力も歴代首相や世界の指導者と比較して抜きん出ている。


フォーブスはプーチンのシリア・イニシアチブだけにとらわれ、中国もその“領土の広さ”だけに目を奪われすぎて、安易な判断をしている。


まず極東の指導者を見る。安倍と相前後して政権をスタートさせた習近平と韓国大統領・朴槿恵と比較すれば、外交力にせよ、経済判断にせよ安倍が大きくリードしている。


ラストエンペラーという不名誉なニックネームがついた習は、10・28天安門テロでも対応を完全に見誤った。ウイグル自治区を力でねじ伏せようとしているが、事態はモグラ叩きとなるだけであり、必ず倍返しとなって将来政権を直撃するだろう。


その外交ぶりにはASEAN首脳会議でも冷たい空気がただよったと言われている。それはそうだろう。力で他国の領土・領海に進出しておいて、南シナ海を念頭においた友好条約を提唱しても、これを信ずる指導者がいるだろうか。


訪米でも、対日批判を繰り返したが、オバマに「まず中国側は、日本が米国の同盟国であることを認識する必要がある」と警告されて、事実上失敗した。


朴槿恵に至っては、訪米で日本の悪口を言いまくり、まるで長屋のおかみさんが隣近所に悪口を言って回るようなはしたなさを見せている。これ見よがしに中国に大接近しているが自国の安全保障は大丈夫か。一朝有事の際には中国は北朝鮮支持に回る。このままでは日本は邦人救出しかしない。


物心両面の日本の支援なしに、米国と組むだけで北の攻勢に対応できるのか。ニワトリのように目先だけしか読めず、反日だけが売り物の大統領はやがて国民から見放される。要するに習も朴もお坊ちゃまとお嬢ちゃまなのであり、政治・外交への判断力の独自性やひらめきに欠ける。


これに対して安倍はどうか。たしかに第1次安倍内閣はお坊ちゃま的であったが、第2次内閣は様変わりだ。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の時を経て、自らの政治姿勢、内政、外交・安保政策に磨きをかけていたことが分かる。


これを一気に花咲かせようとして打ち出したアベノミクスが功を奏して、デフレ脱却への希望が見える状態となってきた。上場企業の利益はリーマンショック以来最高の状況となった。


休日返上の外交も大きな成果を生み始めた。「アベノディプロマシー」はアベノミクスと車の両輪で展開されている。その基本姿勢も単なる儀礼訪問などではなくて、政治理念に基づき、実利も重視している。


その狙いは紛れもなく国際世論を日本の味方につけ、中国包囲網を形成する点にある。同時に、日本のデフレ脱却達成への強い連動意識を感じさせるものである。


トルコとの原発輸出の成約成功と超難工事であった地下鉄建設の成功は、日本の技術力の高さを中韓両国にはからずも見せつけることになった。とりわけ原発受注競争で、中韓両国を退けたことは、重要なポイントだ。


原発事故はかえって日本の技術力への信頼を高めているのであって、神経質な汚染水論議などは「異質」なものだ。経済の振興なくして復興はあり得ないのだ。


朝日はさっそく1日付の社説で「後の責任が取れるのか」と原発輸出に噛みついているが、逆に問いたい。朝日は中国や韓国製の地震など念頭にない粗悪な原発が世界を席巻する責任を取れるのか。同紙は発想がどうも幼稚だ。


安倍は就任後、アラブ首長国連邦(UAE)と原子力協定を結び、サウジアラビアとは締結に向けた協議を開始。インドとの原子力協定に向けた交渉も再開させた。北欧諸国への売り込みにも精を出している。新幹線の売り込みにも前向きだ。


池田勇人はドゴールから「トランジスターのセールスマン」と言われたが、安倍は大型インフラのセールスマンだ。

この結果1〜9月の日本からのインフラ輸出の受注額は5兆400億円で、早くも昨年1年間の1・5倍に膨らんでいる。原発輸出をアベノミクスの推進力と位置づけ計100兆円超の大市場に世界の先頭を切って切り込んでいるのだ。オリンピックの東京招致成功も一連の積極外交のたまものに他ならない。


翻って歴代首相と比較すれば、ようやく一年交替の悪習から日本の政治が抜け出す流れとなってきたことを物語る。


フォーブス調に戦後の日本の首相にランキングをつければ1位が「吉田茂、岸信介、佐藤栄作、田中角栄」だ。2位が「大平正芳、中曽根康弘、竹下登、小泉純一郎」であろう。3位以下はおおむね1年交替のぼんくら首相である。安倍のランキングは紛れもなく1位のグループに入るものであろう。


一方で民主党の鳩山、菅両政権は戦後どころか憲政史上最悪の部類に入る。安倍がこのままデフレ脱却へと結びつければ、戦後の日本中興の祖となりうる。


元米国務省日本部長でジョンズ・ホプキンス大教授のラスト・デミングは既に5月の段階で安倍を「洗練された政治家であり、外交的にも難しい諸懸案にうまく対応している。


歴史認識でつまずかなければ、大宰相になる可能性がある」と絶賛している。その通りだ。馬鹿な歴史認識にこだわって中韓両国のプロパガンダに利用されてはならない。


今後の政局との関連づけで考えれば、安倍政権は12月26日で1年となるが、衆院選で300議席近く獲得、参院選でねじれを解消させた首相が、政権を降ろされることは予見しうる将来ありえない。大汚職が発生したり、過労や病気で倒れない限り、少なくとも2年後となるであろう総選挙までは継続すると見るのがまっとうな政局判断だ。


野党が安倍外交を国会軽視と批判しているが、もっと議席を減らしたいものとみえる。国民の支持がどこにあるかに気付かない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年10月31日

◆テロは習の「ラストエンペラー」説

杉浦 正章



安倍は尖閣への“民衆扇動”に警戒を怠るな


10.28天安門テロが象徴するものは、紛れもない中国社会のブルネラビリティ(vulnerability=脆弱性)であろう。国家主席・習近平の力によるウイグル自治区押さえ込みが裏目に出て、共産党1党独裁の象徴である毛沢東の肖像画の前での自爆テロとなって現れたのだ。


しかしこの事件が中国の内政・外交に与える影響は甚大である。内政では習体制を揺るがすものであり、習が10年の任期をまっとうできない「ラストエンペラー」説を強めこそすれ弱めることはない。


問題はその習が国内の不満を外に向ける絶好の機会ととらえて、“尖閣カード”を切って軍事行動を起こすという禁じ手を使い得るということだ。内外の論調がこれを指摘するが、筆者はカードを切りきれないと見る。なぜなら日露戦争がロシア革命を誘発したように、尖閣戦争は中国の民主化革命に直結するからだ。


11月15日に総書記就任1周年を迎える習にとって、天安門テロはまさに痛打である。習は就任以来ウイグル族を力で押さえ込む政策を強行してきており、同地区ではかつての北アイルランド紛争以上の血で血を洗う紛争が続いている。


北アイルランド紛争はすぐにメディアが伝えたが、シルクロードの辺境の地で何が起きているかは当局が知らしめないし、知るよしもない。しかしウイグル族が毎月10人以上射殺されているという説が、まぎれもなく紛争状態に陥っていることを意味する。


共産党政権による漢民族との同化政策は、結果として漢民族によるウイグル族“搾取”の状態を形作っている。漢民族の資本が注入されれば漢民族だけが儲かり富を蓄積する構図だ。貧富の格差だけが目立つようになり、暴動の頻発を招いているのだ。


テロの詳細を見れば、夫婦と母親の3人が、6月26日の暴動で射殺された親族の恨みとばかりに、車を暴走させて漢族をはね飛ばし、自爆したという凄まじさだ。中東のように若者を使ったテロではなく、家族ぐるみのテロであることが事の深刻さと悲惨さを際立たせている。


中国の治安対策予算は国防予算を上回っており、いかに共産党政権が国内暴動で苦境に置かれているかを物語る。ブルネラビリティは、共産党の1党独裁がまさに過去の帝政時代並みに貧富の格差をもたらしている事から発生している。


わずか1%の家庭が4割あまりの資産を保有しており、東京の銀座通りで大声を出して闊歩し、ルイ・ヴィトンを買いあさる層を形成している。


この貧富の格差に、地域間の「東西格差」、都市部と農村部の「城郷格差」、国営企業と民間企業の「業種間格差」の4大格差が、高度成長と共にますます広がりを見せ、とどまる気配すらない。共産党幹部の汚職は常態化し、金持ちは海外へ資産を移し逃亡する準備にいとまがない。社会は疲弊の一途をたどっている。


米国のニューズウイーク誌がGDPが7%台で推移した場合、「2020年までに限って言えば、『衰退する大国』になるのはアメリカではなく、中国の方だ」と看破しているとおり、脆弱性は習近平の内外への高圧的な姿勢とは裏腹のものとなっている。


しかし中国には、無形の“資産”がある。それは長年に渡る「反日教育」という“資産”である。ネチズンの反応が、尖閣問題となるとすぐに炎上してとどまることを知らない状況に陥る。


共産党政権は昨年9月の反日暴動をネットを使って発生させ、その効果を試している。これをさらに大がかりに使い、対日戦争の世論を盛りあげるのはわけもないことである。


従って、首相・安倍晋三はこのカードを決して使わせてはならない。靖国参拝などと言うくだらない宗教儀式で国を誤ってはならない。石原慎太郎の主張するように灯台を建てたり、船だまりを造ったりしてはならない。


むしろ内部矛盾が露呈して“熟柿”が落ちるのを待つ時だ。この点安倍の中国包囲外交は大きな効果を上げつつあるのは、欣快(きんかい)の至りである。


安倍のすべきことは児戯に等しかった国の安保体制を、普通の国並みに強化することに尽きる。真の意味での日米安保体制を集団的自衛権の行使容認で確立して、習近平が尖閣カードを切ろうにも切れなくするのだ。


日米両国の軍事力から見れば、中国は「尖閣戦争」で勝利を収めることは出来ない。その抑止力で抑え込み続けるのだ。抑えが利かなくて習近平がカードを切って戦争を選択すれば、日本もそれなりの対応の仕方がある。日米同盟で戦争を勝利に導くと共に、中国に「倍返し」の民主化革命を巻き起こすのだ。


反政府勢力やウイグル、チベットなどに膨大な資金を提供して、北京に向けて蜂起を促す。日露戦争で、陸軍大佐・明石元二郎がレーニンと会談を重ね、資金を提供してロシア革命を成功に導いた史実もある。


レーニンは「日本の明石大佐には本当に感謝している。感謝状を出したいほどである。」と革命成立後に述べているが、戦時となれば、相手の懐深く忍び込んで工作を行うことなどはイロハのイであろう。10・28テロは床にガソリンがまかれていることを意味する。それに火をつけるだけだ。

この文章を愛読している中国の諜報員はすぐ本国に連絡すべきだ。習近平が「尖閣戦争」などやろうにもやれないことに気付くだろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)