2013年12月02日

◆安倍・バイデンで“尖閣連携”確認へ

杉浦 正章



政府は民間飛行計画での違いにこだわるな



軍部というものはどうも形勢不利になると「大本営発表」をしたくなるものらしい。それがまかり通るから軍部に操られる中国国民は不幸だ。


29日午前“中国大本営発表”によると「中国空軍機は緊急発進し、自衛隊機10機と米国偵察機2機を確認した」のだそうだ。政府筋は「馬鹿馬鹿しくてコメントできない」と言う。自衛隊機が10機編成で尖閣諸島周辺を飛ぶなどということは金輪際あり得ないからだ。


発表が「確認した」であり、防空識別圏設定以来中国が言い募ってきた「防衛的措置を講ずる」ことがなかったことは、そこまでうそをつくとばれるからだ。紳士的な防衛相・小野寺五典は「とくに中国機が近接してきたとか特異な行動を取ったとかは聞いていない」と述べたが、これは平たく言うと「うそつくな」である。


しかしこの大本営発表が中国国内で通用するということは、日本の大本営発表がかつて「進め1億火の玉だ」に直結したように、いつでも「進め13億火の玉だ」を作り得ることであろう。反日教育の“財産”をもつ中国は、床に油をまいてあり、火をつければ暴発する仕掛けになっているのである。


自衛隊機に中国機が撃墜されれば、反日暴動の火の手が全国で舞い上がるように仕組まれているのだ。したがってよほどのことがない限り、自衛隊は手を出せない。よほどのこととは83年の大韓航空機撃墜事件の二の舞のような事態である。


日航機が中国空軍によって撃墜されそうな事態となれば、躊躇せずに正当防衛で銃火を交えなければなるまい。見殺しにすれば、その時点で安倍政権はサドンデスになり得る。また米軍機が撃墜したのならまず反日暴動には発展しまい。


一触即発の状況下で、政治の神経戦・心理戦が今後長期にわたって展開されてゆくことになると政府も国民も覚悟した方がよい。中国では「世界の敵になってしまった」といったツイッターが目立っているというが、ここは本当に「世界の敵」の「孤立化」を遠慮なく進めるべきだ。
 

中国の狙いは防空識別圏の設定により、日本の尖閣国有化を断念させ、「棚上げ」に持ち込むところにあり、これはまさに小野寺が言う「一方的独善的対応」そのものである。日本が受け入れることは到底あり得ない。


まず日本が行うべきことは、盛りあがった中国批判の国際世論を外交的なアドバンテージ確保に結びつけることだ。かねてから述べているように国連での非難決議でもよい、提出して中国に拒否権を使わせてその異常性を際立たせるのだ。事故が発生した後の決議では遅い。


加えて日米の絆を一層強化させなければならない。ここに来て一部外交軍事評論家の間で米国が民間機のフライトプラン提出を容認したことに関して、「すわ日米に亀裂」とばかりに大騒ぎしている向きが多い。


これは木を見て森を見ない浅見だ。岡本行夫に至ってはNHKで「ケネディ大使を通じていかに日本が重大に受け止めているかをオバマ大統領に伝えよ」と息巻いている。


しかし、米国の航空会社の飛行計画提出は一種の内政問題であり、それほど目くじらを立てるものでもあるまい。米国各社が提出した既成事実があるのに、首相・安倍晋三も小野寺も「米政府が民間会社に要請したことはないと外交ルートで確認している」と繰り返すが、これも言い訳じみて見苦しい。国務省は容認を確認しているではないか。


しかし日米で温度差があっても問題はない。見るべき重要ポイントは、米政府が軍事・民間分離方式を選択したことなのである。外交・安保的には日本より素早く国務・国防両長官が異例にも一致して対中非難の声明を出したことで十分である。


とりわけ国防長官・ヘーゲルは米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣に適用されるとの認識を明言しており、これ以上の強い対中けん制はない。さらに加えて、米軍は冷戦時を彷彿とさせる行動に出たではないか。B52爆撃機の二機編隊による示威行為に中国はなすすべを知らなかった。


日本は領土問題に直結しているが、米国は少なくとも領土問題ではない。その差が出ただけであり、大局を見れば日米同盟は現在最高潮で有効に作動している。


したがって安倍は3日の副大統領・バイデンとの会談では、小異にこだわらず、尖閣での日米連携を前面に押し出して、これを確認すべきである。バイデンは上院議員を7期も勤めた民主党の“重鎮”であり、飲み込みが早く有能と言われている。


偶然にも防空識別圏問題に合わせるような日、中、韓3国訪問となった。バイデンは米政府のレクを十分に受けての来日であろうが、日本の生の声をしっかりと聞かせて、習近平との会談に臨んでもらったらいい。少しでも民間機問題などで日米に意見のそごがあるような気配を見せれば、中国の思うつぼとなる。

中国は日米関係にくさびを打ちたくて仕方がないのだ。むしろ米国の民間機別扱いは、対中懐柔に役立つくらいの度量の大きさが大切だ。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)



2013年11月29日

◆都議会は猪瀬の進退かけた正念場

杉浦 正章



次々に“動かぬ証拠”が判明



都知事・猪瀬直樹をめぐる疑惑は複雑に考える必要は無い。すべてが都知事選立候補直前に金を受け取り、返したのが強制捜査の後という点に絞られる。誰が見ても政治資金としての授受であり、本人が繰り返す「個人としての借用」の説明はなり立ちにくい。


きょう(29日)から始まる都議会の焦点はこの一点に絞られる。筆者の親しい捜査当局元首脳は「限りなくクロに近い」と予想する。神奈川県知事・黒岩祐治も同じ知事としての立場から「突然出てきた借用証に多くの人は疑念を持っている。今の説明では大変厳しいと見ている」と予測する。


「厳しい」というのはもちろん知事としての職の継続の意味だ。玄人だけでなく、一般都民の判断も「疑惑あり」が圧倒的だ。都によると、27日までに電話やメールなどで計717件の意見が届き、約9割が猪瀬を批判、支持・激励は約1割にとどまるという。裏切られた都民としては当然だろう。


4回行われた記者会見をつぶさに分析すれば、猪瀬の発言は2転3転している。


一番怪しく感じたのが得々と借用書を振りかざして、政治資金でなく借金であったと繰り返した4回目の会見だ。借用書は徳田事務所から郵送してもらったと強調したが、貸した側の署名はなく、本人の捺印もない。無利子、無担保はいかにも不自然である。郵送されたなら、封筒があるはずだが、それも示さない。


借用書は公証人が作成する公文書の公正証書とは異なり、立会人がいなくても作れる。後から作ったのではないかという質問が記者団から集中砲火のように浴びせられたのも当然である。それより筆者が奇異に感じたのは、徳田毅の議員会館自室で昨年11月20日に行われた現金引き渡しに関する猪瀬の説明だ。


猪瀬は「5千万円などという大金を見たことがないので、その大きさにびっくりした」と述べた。しかし猪瀬はその金を紙袋から「カバンにしまって持ち帰った」とのべた。5千万円をカバン入れるとすれば知事が持ち歩くような書類カバンではあるまい。相当大きなカバンであり、これは事前に用意しなければなるまい。


それを用意して持っていったとすれば、背後には事前に金額まで含めたやりとりがあったはずであり、「びっくりした」というのはまずうそであろう。


また11月22日の最初の会見でいったん「資金提供という形で応援してもらうことになった」と選挙目的であったことを認め、政治資金規正法違反の指摘を受けると、2回目の会見で一転して「個人の借用」と繰り返した。これは政治資金に詳しい弁護士が慌てて入れ知恵したからに違いない。


そして今後の捜査で決定的な証拠になり得るのが昨年11月19日の徳田虎雄と二男・徳田毅との電話のやりとりである。虎雄は病気で声が出ないため、かかってきた電話はスピーカーで聞き、秘書が目の動きを文字にして返事をするというやりとりをしている。


23日付産経によると、このやりとりが来客などにまる聞こえだったというのだ。虎雄は「先方に取りに来させろ」「足がつかないようにしろ」と述べ、金額など細かい指示をした。そして最重要ポイントは、毅が「猪瀬さんは金は残ったら返すと言っている」と伝えた点だ。


明らかに選挙資金が余ったら返すということであり、「個人的な借入金」だったとする猪瀬の説明は根底から覆る。このやりとりは東京地検の家宅捜索でも入手しているといわれる。なぜなら虎雄の発言はいったんパソコンで清書して虎雄が目を通すことになっており、そのパソコンも押収されたとみられるからだ。


資金の提供を持ちかけたのはどっちかが焦点になっており、猪瀬は自分からの要請を否定している。しかしこれも、疑惑の対象となる。自分から持ちかけたのでなければなぜ昨年11月6日という選挙の準備で多忙な日にわざわざ鎌倉の病院まで出かけて、全く面識のない虎雄に会ったかということだ。


第三者が介しているにせよ、大金を授受する以上、虎雄に何らかの挨拶をしないわけにはいくまい。その結果都知事選立候補前日の11月20日に毅から5000万円を受け取ったのであろう。地検が押収したパソコンからは当然虎雄と猪瀬のやりとりも分かる可能性がある。地検はその解析に専念しているに違いない。


こうして限りなくクロに近い猪瀬の姿が浮かび上がってくることになる。当面の焦点は都議会だ。


まずきょう(29日)の所信表明演説で猪瀬が何を言うかだ。これを受けて都議会は来月5日に代表質問、6日に一般質問を行う。各政党は猪瀬を助けるどころか、虎視眈々とその進退を狙っている。もちろん答弁の矛盾を暴いて、知事を辞任へと追い込むことを視野に入れているのだ。


都議会は猪瀬にとって敵ばかりの様相なのだ。問題は、東京都がオリンピックの会場となり世界の注目の的となっていることだ。


先に指摘したように猪瀬は道徳的にもオリンピック憲章に背馳することは確実であり、辞任に追い込まれるより以前に、潔く自ら辞任すべきであることは言うまでもない。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月28日

◆防空圏で中国は早くも孤立化

杉浦 正章



「張り子の虎」が自分の掘った穴に落ちた
 


「中国は張り子の虎か」とイギリス人の記者が質問した27日の中国外務省の記者会見がすべてを物語っている。米B52爆撃機の示威飛行になすすべを持たなかったことが、世界的な嘲笑の的となった。まさにやぶをつついて蛇を出したのだ。


23日の中国国防省による防空識別圏(ADIZ)設定発表以来、わずか5日間で国際世論の動向は、中国批判一色となった。とりわけ米国はシリア問題での失地回復のチャンスとばかりに、強い対中けん制に出た。軍部の突出を抑えられなかった国家主席・習近平は、まさに内憂外患の状態に追い込まれた。
 

筆者は防空識別圏の設定によって中国は自ら作った落とし穴にはまったと判断、「国際社会を味方につける絶好のチャンス」と主張したが、予想通りの方向となった。


まず米国では主力紙が社説で対中非難の合唱となった。ワシントン・ポストは「無謀だ」、ニューヨーク・タイムズ「中国の威嚇的な振る舞い」、ウオールストリートジャーナル「重大な国際法違反で、許されるものではない」とそれぞれ決めつけた。


一致して米政府の対中非難を支持している。シリアへの弱腰で国際評価が弱まったオバマ政権にとって、願ってもない得点挽回のチャンスでもある。
 

オーストラリアは外相が中国大使を呼びつけて批判、朴槿恵が中国にすり寄っていた韓国はADIZに自国領の岩礁が組み入れられて世論は激昂。朴槿恵は愛する習近平からはしごを外される結果となった。やはり線引きがひっかかる台湾も非難している。欧州諸国も対中非難が圧倒的だ。


こうした中でB52の飛行である。中国政府は「中国軍は米国の航空機を確認し、全過程を適切にモニターしていた」と誇らしげにレーダー能力を誇示したが、これも問題の所在を意図的に外そうとしている。


なぜなら世界が注目したのはAIDZ設定で「戦闘機による対領空侵犯措置を取る」とした宣言が履行されるかどうかだったからだ。


ところが中国の対応はスクランブルどころか、一機の航空機も飛ばしていない。ひたすらB52をレーダーで追尾して、その滞空時間を確認するだけにとどまったのだ。専門家によると米軍はB52を出して中国の様々な応戦能力を試したのである。


もともと中国のレーダーは地球が丸いから機影が1万メートルより低いと掌握出来ないといわれているが、B52はわざとレーダー識別可能な1万メートルより上を飛んだ可能性があるという。だからAIDZ滞在時間が分かったのだ。


スクランブルするといっても、空中給油機がなければ中国戦闘機は航続距離を確保出来ず尖閣上空に長時間滞在することは不可能である。だから狙いとは逆に国際社会に「張り子の虎」を露呈させてしまったのである。
 

恐らく習近平は米国のこのような強硬態度を予想しなかったであろう。中国政府の熟慮が明らかに欠けていたフシが濃厚だ。米政権を分析すれば、オバマがシリアでの失地回復で焦っていることぐらいは十分に分かるはずである。


この時期を選べば、強い反発を食らうと言う程度の判断が中国外務省になかったとすれば、その情報収集能力はさほどでもないことになる。むしろ軍部の独走を習が抑えられない現実をあらわにしたと見るべきかも知れない。


軍部は尖閣諸島の空域を米空軍が演習に使っていることくらいは掌握していたであろう。したがってその反発は予想していただろうが、習には上げていなかった可能性がある。習は知らないままはんこを押した可能性がある。
 

AIDZで日米安保体制の固さを測ったというもっともらしい論調があるが、10月初旬の外務・防衛「2+2」会議での共同声明以降は、絆の固さは明白になっていたはずである。今さら確かめるほどのことでもあるまい。


朝日の論説委員・惠村純一郎は、いまや反政府のとりでと化している報道ステーションでワシントンポスト紙が「米国が巻き込まれかねない」と述べていることだけをとらえて、「防空識別圏が日米へのくさびとして利いた」と述べたが、毎度のことながら浅はかだ。


一新聞の片言隻句だけを見て、実際の米政府の動きを見ようとしない。くさびどころか、いよいよ日米安保体制は緊密化した現実から目を背けたい一心からの発言としか思えない。
 

このように状況は日本にとって圧倒的に有利な展開となりつつある。日本は首相・安倍晋三がいみじくも「状況を緊張させていく階段を上るわけにはいかない。私たちは冷静に対応しているということも国際社会にアピールしていく」と述べているように、ひたすら“いい子”でふるまえばいいのだ。


「ガキ大将対いい子」の戦いを国際世論に見せ続ければ良いのだ。焦点は米副大統領・バイデンが12月2日から日、中、韓3国を歴訪することだ。おそらくAIDZ問題が焦点となる。安倍は3日の会談で、日本の立場を明確に示し、妥協の余地のない点を強調すべきだ。


被害者日本を強調して、理不尽な中国の姿を浮き彫りにして「力による現状変更」を排除する日米共同歩調の揺るぎの無さを確認すべきだ。そうでもしない限り、中国の横暴は続く。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月27日

◆スパイ天国返上の流れが出来た

杉浦 正章



秘密保護法の今国会成立で普通の国へ



戦後まれに見る対決法案成立のめどがついた。特定秘密保護法案は与野党の圧倒的多数で衆院を通過した。これだけの大法案で自民党の造反者がわずか1人であったことがすべてを物語っている。


もう日本は激変する極東情勢の中で、その国家としての存立を左右する情報確保において「ダダ漏れスパイ天国」の汚名を返上できる流れとなった。


半世紀前の日米安保条約反対論者が誤判断を恥じてか、今その口をつぐんでいるように、法案の衆院通過は将来の国の行く末を見据えた決断であり、その必要性は歴史が証明してゆくだろう。米、英、仏、独などが厳しい秘密保護で国益を守っているように、我が国もようやく普通の国としての体制を整える流れとなった。


秘密保護法案が成立への流れを確保した背景を太筆で書けば、一にかかって極東情勢の激変がある。中国や北朝鮮の軍事的どう喝に重大な懸念を抱いた国民は国政選挙における選択で、革新勢力を激減させ、与党に大きな力を与えた。これがまさにサイレントマジョリティとして存在しており、すべての原動力である。


国際環境の変化に思いが届かない野党や朝日新聞を中心とする一部マスコミは、安保改定時と同様の手段で、国民の反対運動を煽ったが、その時代錯誤性を今さらながらに思い知ったに違いない。


サイレントマジョリティは動かず、デモを見ればひまそうな年寄りばかりで、若者はいない。安保反対が学生運動を中心に盛りあがったような雰囲気は全く見られないのだ。したがって一部マスコミのねつ造と虚報による大衆扇動は完敗したのだ。


朝日は27日付社説で「民意おそれぬ力の採決」と見出しに取ったが、朝日における民意とは何か。議会を通じて,間接的に国民の意思を国家意思の決定と執行に反映させる代議制を取る以上、多数を確保した与党が民意そのものではなかったのか。


それとも中国のように共産党1党独裁が民主主義にふさわしいとでも言うのか。スパイ天国を放置して、国家の命運を左右する情報を奪われ、中国に蹂躙(じゅうりん)され、やがては属国になればどうなるか。言論の自由や表現の自由どころではない。それを未然に防げというのが真の民意ではないのか。


激変する国際情勢に辛うじて対応しようとする安倍政権がまともな、ごく普通の政権なのであり、民意を恐れぬのは朝日の方ではないか。同社説は「まずは国家ありき」と批判するが、中国の防空識別圏設定などで国家存立の危機にさらされているのは日本にほかならない。


情報を守ることは国家として最小限の責務であり、常識なのだ。


偏向報道は朝日ばかりではない。国民から視聴料を取る公共放送であるはずのNHKの26日7時のニュースはあまりにもひどすぎた。


国民の反響は反対論しか報道しないのだ。これで不偏不党を標榜できるのだろうか。NHKの左傾化は、原発報道の偏向とも相まって抜きがたいところにまで到達した。少なくとも240の過半数を大幅に超えて340前後の支持による衆院通過を、どこかの民放の如く一方的に報道するとは何事か。国会で徹底的に究明する必要がある。


野党とりわけ維新と民主両党は醜態をさらした。まず維新は政党としての体をなしていない。なぜなら修正で合意しておきながら、委員会も本会議も欠席して、投票権の行使を放棄した。幹事長・松野頼久は「28日採決だったら賛成した」というが、全く理屈が通らない。


参院回付を遅らせて廃案にしようという魂胆が見え見えである。党内賛否が伯仲して、やむにやまれず欠席作戦を取らざるを得なかったのであり、維新共同代表の橋下徹も石原慎太郎も超重要法案での統率力の無さを露呈させた。


一方民主党も代表・海江田万里の対応能力が問われる結果となった。その基本姿勢はマスコミにこびを売るという、古き悪き野党の特性をむき出しにしたものであった。もともと秘密保護法は民主党政権時代に作ろうとしたものであり、本来なら修正に応ずるべきものであろう。


それを「対案」なるものを提出して、修正の余地を狭め、最初から継続審議か廃案を狙った。この政党も議論を深めれば賛否両論で収拾がつかなくなり、分裂傾向を強めることを恐れた結果の対応であった。野党第1党としての主導権発揮とはほど遠いものがあった。


政府・与党は、底が見えた“革新”の対応に臆する必要は無い。きょう(27日)にも成立するNSC法案との連動が不可避な秘密保護法案である。何としてでも会期内成立を図り、これを基盤に集団的自衛権の憲法解釈を実現して、国防の基本を築き上げるべきだ。


最後に、この程度の法案で国が全体主義化することはありえないし、首相・安倍晋三にはそのような思惑はないことを断言しておく。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月26日

◆防空識別圏は空域の盧溝橋対峙様相

杉浦 正章



米中も一触即発の様相に至った
 


このケースは直ちに国家安全保障会議(NSC)を開催して対策を打ち出すべき場面だ。NSC設置法案は成立するものの、その要の秘密保護法案はピントの狂った反対論で難航している。


その平和ぼけした日本の姿をあざ笑うかのように中国による防空識別圏の設定である。まさにやくざが他人の庭に線引きして地上げをしている姿だ。


日本政府はこれに対して当初はなんと外務省アジア大洋州局長レベルの電話による抗議であったが、米国の反応は素早いうえに問題の認識が深かった。国務・国防両長官が声明を発して中国に警告したのだ。まさに盧溝橋事件前夜に匹敵する一触即発の事態である。


しかしこの危機はチャンスに変え得る。政府は国連安保理で国際社会に訴え、中国の理不尽な姿を浮き彫りにしてその孤立化を図るべきである。


中国の防空識別圏の設定は極東における安全保障の構図を根底から覆すものと言ってよい。日中一触即発から米中一触即発へと事態は変質したとも言える。


そもそも日本の防空識別圏は1945年に連合軍総司令部(GHQ)が制定した空域をほぼそのまま使用しており、尖閣諸島の久場島は米軍の射爆場になっているし、空域は米軍機が日常的に訓練に使っている。それを知ってか知らずか中国の線引きであり、米国にしてみればまさに“縄張り侵入”なのである。


国務長官・ケリーが強く反発したのは当然として、国防長官ヘーゲルの反応が極めて厳しいものがある。ヘーゲルはまず歴代長官で初めて「米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されるという米国の長年の政策を再確認する」と公式に明言した。


これは中国の尖閣諸島領域における軍事行動には、米軍が軍事力で対処するという意味を持つ。さらに注意すべきは「中国の今回の発表によって、米国の地域での軍事作戦のあり方が変わることは全くない」と、中国にくぎを刺した点である。


要するに軍事訓練も演習も中国の指定した識別圏で行う。やるならやるぞという姿勢である。これ以上の対中けん制を米国が行ったことは過去になく、一部評論家の間で今流行の「米国は尖閣で日本を助けない」などという議論を根底から覆すものである。


これは、日本が躊躇している間に頭越しの米中正面衝突が発生する可能性すら出てきたということだ。


中国側も軍主導の様相が色濃い。習近平は先の共産党3中全会以降、対日政経分離の動きを強めていたが、軍部の反発が極めて強く、抑えきれない状況となったとされている。この結果軍をなだめ、国民の不満を外に向けるための対日“禁じ手”の一つを打ち出したのだ。


これが何を意味するかといえば中国空軍の「関東軍化」である。トップの意向を無視しての独走が可能になったことを意味する。


というのもスクランブルの判断は自動的に空軍が行い、発表にあるように「防衛的な緊急措置」と称して軍事的な行動による進入阻止に出ることが可能となるからだ。だから自衛隊は抑制気味に動いても米軍は逆の行動に出る可能性を否定出来ない。


既に米中間には2001年に米中空軍機接触の海南島事件が発生している。空軍機が空中衝突した事件だ。中国側の戦闘機は墜落しパイロットが行方不明になり、アメリカ側の電子偵察機も損傷し海南島に不時着したものの中国側に身柄を拘束された。尖閣諸島をめぐってもこのような状況が発生し得る事態となったのだ。


海上での進入に対しては、とりあえず海保が対応しているからいわば間接的な対峙だ。だが、空での進入は空軍対空軍の直接対峙であり、常に墜落の危険性を伴う。したがってひとたび衝突すれば事態はさらに深刻な段階へと移行する。


1937年一触即発の状況で対峙していた日本軍と中国国民革命軍が7月7日に接触して日中戦争のきっかけを作ったようなケースが、いつ発生するかは知れないのだ。まさに空における盧溝橋対峙の構図が現出したのだ。


日本政府がなすべき事は、この常識外れの中国の軍事圧力を正面から見据え、妥協はしないことだ。中国は日本国内の愚かにも平和ぼけして、NSCに不可分の特定秘密法案に反対している一部メディアや有識者と称するノーテンキ集団を“教育”する材料を幸いにも提供してくれているのだ。


反対論者は国の存否がかかわる事態に直面しても反対するのかということだ。もう逡巡する必要などはますます無くなった。民主党や極左政党が国家の存亡の危機であるという認識などないことは分かりきっている。ちゅうちょなく秘密保護法を成立させて、早期にNSCの第一回会議を開催して対応を練るべきであろう。


また国際的に中国の孤立化を図ることが重要ポイントだ。誰が見てもこの防空識別圏の設定は一方的な現状変更であり、あきれるほどの国際常識の無さを露呈している。


日本にとって絶好のチャンスである。米欧主要国はもちろん、安倍と良好な関係のあるプーチンも日本側につく。日本は安保理での中国非難決議に持ち込むべきであろう。戦争の事態を未然に防ぐことは国連安保理の主たる役目であり、尖閣防空識別圏設定問題はまさに重要テーマとなり得る。


高い分担金を長期にわたって払ってきた日本も、その平和志向が各国に理解されている。このチャンスを逃してはならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年11月25日

◆^Pは早期辞任で五輪への影響避けよ

杉浦 正章



居座りはオリンピック憲章に背馳する
 

先に猪瀬直樹を都知事に選出した東京都民のガバナビリティ(被統治能力)欠如を指摘したばかりだが、その^Pの驚くべき有権者への背信行為が明らかになった。5千万円もの巨額な資金をめぐる疑惑である。


検察は徳洲会選挙違反事件の思わぬ副産物への対応を迫られることとなるが、刑事事件化するしないは別にして、少なくとも東京都知事が道義的な責任を問われる事態であることは確実だ。この事態を俯瞰図でみると、紛れもなく東京オリンピックの品格が絡む。


オリンピック憲章は高い道徳性を求めており、招致する都市のトップの顔が泥まみれでは、スポーツの祭典に全くふさわしくない。^Pは自らの責任の重大性を自覚して、潔く辞職して世紀の祭典の成功に結びつけるべきだ。


22日の記者会見をつぶさに分析すれば、うそで塗り固められていることが判然とする。第1のうそは「申し出を断るわけにはいかなかった」とあたかも医療法人「徳洲会」の前理事長・徳田虎雄からの申し出があったから受け取ったような口ぶりだ。


しかし、あらゆる情報が^P側から「1億円」の要請があり、徳田が次男の衆院議員・徳田毅に「とりあえず5000万」と指示したことを裏付けている。いくら徳田でも要請なしに多額の金を渡すはずはない。


ここでクローズアップするのが日本維新の会共同代表・石原慎太郎との“絡み”だ。石原は自民党青嵐会時代から徳田と親しく交わっており、徳田自身の衆院選選挙応援にもたびたび鹿児島を訪れ、知事交際費を使って食事をするなどひんしゅくをかった仲だ。


昨年秋、首相になれると大誤算して知事を突如^Pに譲る判断をしたが、その石原が有力な資金源として徳田を^Pに“引き継いだ”ことは確定的だ。大病院の建設許認可は東京都が握っており、徳田は後々“便利”と算段しても不思議はない。


^Pの第2のうそは午後1時の記者会見で「選挙費用に使った場合は収支報告に書くつもりだった」と漏らした点だ。これは明らかに政治資金と意識して受領したことを物語るものであろう。ところが3時の記者会見では一転して「個人の借り入れ」をしつこいほど繰り返した。


これが何を物語るかと言えば、弁護士など政治資金問題の専門家の助言が入ったことを意味する。「絶対に公選法で義務付けられている資金ではないことを強調する必要がある。個人の借入金とせよ」との“知恵”をつけられたに違いない。もし起訴された場合には、明らかに「借入金」で押し通せると踏んでの法律家の判断である。
 

第3のうそはなぜ徳洲会に強制捜査の入った9月の返済になったかということだ。^Pははっきり言って強制捜査を「やばい。まずい」と感じたに違いない。「こっちもばれる」と思ったのだろう。


慌てて返済した理由について「1月に返すつもりだったが、妻の病気などいろいろあって9月になった」と死んだ妻を言い訳の理由にした。この言い訳は東京都民向けに「奥様が亡くなられてお可哀想」などという同情を買おうという魂胆がありありだが、言い訳になっていない。こじつけそのものである。


こうしてうそで塗り固めた記者会見となった。新聞もだまされてはいない。全社が社説で強く批判している。 朝日「これでは納得できぬ」、読売「個人の借り入れは通らない」、毎日「借入金は通用しない」といった具合だ。


問題は検察が立件するかどうかだが、小沢一郎の政治献金問題で敗北して以来、どうもびびっている。これだけ状況証拠がそろっていても踏み切らない可能性がある。ここは何が何でも社会正義を貫かなければならないときであり、立件に踏み切るべきであろう。


都民からの告発も起きるだろうし、やらなければ小沢のケースと同じように検察審査会が乗り出すケースも考えられる。検察審査会の議決で強制起訴となる可能性も否定出来ない。


一方都議会は無視するわけには行くまい。ちょうどオリンピック予算の審議も始まる方向であり、29日からの定例都議会の最大の焦点となろう。知事の進退に関して議会が出来るのは知事への辞職勧告決議か不信任決議だ。辞職勧告は法的な拘束力はないが、不信任決議が可決されれば辞職か都議会解散かだ。


最大の問題はオリンピックへの精神的な影響である。今後マスコミの追及の矛先は拡大しこそすれ、治まることはない。したがってこの問題は国際的な注目を浴びることになる。


オリンピック憲章はその精神の根本原則として「 オリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造である」と高らかにうたっている。


ところが^Pの行為は教育的価値、社会的責任、普遍的・基本的・倫理的諸原則のいずれにも背馳(はいち)するのである。限りなくクロに近い、つまり政治資金規正法違反に近い知事がオリンピックの顔では、その精神から言っても妥当性に欠ける。^Pの居座りはやがては“国辱”的な事態へと発展する可能性があるのだ。


したがって^Pは、追い込まれて醜態をさらして東京オリンピックのイメージを壊す前に、潔く辞職して、問題の早期決着を図るべきである。子供の教育のためにならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月22日

◆秘密法案修正はまるで「朝三暮四」

杉浦 正章



敗色濃い極左と朝日の反対論


「朝三暮四」という言葉が荘子にある。中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、「朝に三つ、暮れに四つやる」と言うと猿が「少ない」と怒った。このため、「朝に四つ、暮れに三つやる」と言うと、猿がたいそう喜んだという説話だ。


これとそっくりなのが特定秘密保護法案をめぐる与野党の修正協議の合意だ。まず秘密の指定期間について維新の会は当初、「30年以上は認められない」とのスタンスだったが、与党が「最長60年」案を示すと、交渉担当の藤井孝男が「だいぶ詰まってきている」と応じた。


「朝の餌」の「30年の主張」を「60年」に引き延ばされて「詰まってきた」は誰が見ても滑稽話の類いだ。「絶対反対」を主張し野党などをけしかけている朝日新聞が社説で「まるで与党側の焼け太り」とかんかんになって怒るのも無理はない。


もう一つある。みんなとの協議で合意した「首相=第三者機関」論だ。誰が見ても第三者機関は民間人などで構成するものであろうが、合意では首相が「第三者機関的観点からの客観性を担保する」のだそうだ。


これでは民主党幹部が「泥棒に札勘定させるのと同じ」と憤慨するわけだ。まさに維新とみんなは賛成の理由を作るための交渉を続けていたことになる。


さらに滑稽話はまだ続く。維新が主張した特定秘密にかかわる省庁を限定するという主張に、与党側は「5年間秘密を指定しなければ省庁の指定権限をなくす」という修正案を提示、維新はのんだ。


しかしこれは逆効果だ。指定権限をなくされてはたまらないとほぼ確定的に該当省庁は特定秘密を「作る」からだ。行政機関に不必要な秘密指定を促すおそれすらある。


最大の焦点であった検証機関の設置問題では民主党など野党側は、特定秘密の事前チェックを主張している。しかし与党側の回答は「秘密法案の付則で、独立した公正な立場で検証、観察できる新たな機関を検討する」であった。付則には設置の時期やその機能についての言及はない。


政界では「前向きに検討する」は何もやらないことと等しいと言われているがその「前向き」すらもないのでは、単なる努力規定に過ぎない。


こうした付則などはほとんどが野党のメンツを立てるためのもので、まず実現はしない。検証機関という第三者機関の設置拒否は、まさに法案が換骨奪胎されるかどうかのコアの部分である。これに応ずれば秘密が秘密でなくなる恐れがあり、内閣の存在すら無意味になってしまう。


与党が応じないのは当然である。また秘密を漏洩した公務員への罰則を10年にする点も譲歩していない。極左が主張する問題の核心部分は全く変わっていないといってよい。


要するに修正協議は全く与党ペースで進んでいるのだ。朝日がみんなと維新を批判して「補完勢力どころか翼賛野党」と決めつけているのも、自らの主張が敗色濃いことの裏返しであろう。


なぜこのような圧倒的な与党ペースが展開されるかと言えば、安倍政権の志向する「積極平和主義」への支持が国民の意識の根底にあるからだ。日米安保関係を強化し、周辺諸国の軍事攻勢をけん制するというやむにやまれぬ事情を国民が理解し、その結果が総選挙と参院選挙の自民党圧勝となって現れたのだ。


自民党が公明党と共に巨大与党勢力となり、野党が「脳しんとう」を起こして、その後遺症が続いているからでもある。民主党は左傾化して何でも反対党化している。


真っ向から法案に反対しているのは、共産、社民の極左2党と朝日であり、日本の政治はこれら左翼勢力の反対を押し切って戦後の繁栄を成し遂げてきたのである。今回も国の繁栄の瀬戸際を決める判断が要求されているのだ。


全く忘れられているのは中国が尖閣問題で領海侵犯を繰り返し、北朝鮮が核ミサイルでどう喝し続ける極東情勢の激変なのである。特定秘密保護法案は、中国や北朝鮮が行っている機密漏洩は即死刑という国内抑圧型の秘密保護には到底及ばないレベルの制度を導入するだけの話である。


米欧民主主義諸国が通常のこととして行っている国家安全保障会議(NSC)を補完する秘密の保護なのである。


冒頭からるる述べてきた中間政党の苦肉の策の修正妥協も、こうした極東情勢を必然的に反映しているのだ。みんなも維新も政治の方向としては妥協しかないと思っているのだが、一部世論の攻勢に言い訳を作る必要があるのだ。これが「朝三暮四」的な妥協を余儀なくされているのだ。


来週26日にも与党側は衆院を通過させる構えである。民主党の主張は、根底に法案の廃案か継続審議への思惑に満ちあふれている。これにとらわれていたら成立が危うい事態となりかねない。参院での審議約2週間を確保して来月6日の臨時国会閉幕に間に合わせるべきであろう。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月21日

◆隣の「騒音おばさん」の孤立化を目指せ

杉浦 正章



もう日中関係打開先行しかない


韓国は「ただの愚かな国」だろうか。首相・安倍晋三の側近に漏らした発言が週刊文春に掲載され、またまた波風を起こしている。確かに文春の記事には「安倍総理周辺によると、総理は『中国はとんでもない国だが、まだ理性的に外交ゲームができる。一方、韓国はただの愚かな国だ』と語っていたという」とのくだりがある。


筆者はこの発言を「クロ」で、本物だとみる。なぜなら安倍は21日国会で朴槿恵大統領について、「私と大体同世代で、以前は食事をともにしたこともある。非常に優れた指導者だ」と歯の浮くような答弁をしたからだ。まずいと思ったからに違いない。


それにしても「官邸の秘密保護」は一体どうなっているのか。誰がリークしたか知らないが、首相が安心して側近に“本音”を語れないのではどうしようもない。
 

そこで「ただの愚かな国」かどうかを検証してみたいが、結論から言うとやはり「ただの愚かな国」の一言に尽きる。韓国人とは昔から付き合いがあるが、その国民性は情が深く、人が良く、いったん友人になったら決して裏切らないという特筆すべき人間性を有している。


ところがその「国柄」となると話は別だ。昔田中角栄が「半島国家は悪い。大国にいじめられ抜かれた歴史があるから、悪擦れしている」と漏らしていたが、まさに正鵠(せいこく)を得ている。同じ隣人でも中国と比較すると「国柄」の違いは鮮明だ。
 

その姿勢が露骨に出たのが9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まった東京招致への対応だ。中国は何と日中友好を意識した対応をとったのだ。毎日のスクープによると中国は決選投票で4人全員が東京支持に回った。


中国側は「対日関係の重要性を踏まえ、国益を総合的に検討した結果、『東京支持』に回った」のだという。中国は最悪の関係の中でも長期展望に立った対応が出来る国であり、その冷静な判断力は恐ろしいものがあるとみなければなるまい。


一方韓国は何をしたかだが、東京をひきづり降ろす事に専念した。狙いはフクシマの汚染水問題であった。投票直前の9月9日から、汚染水問題を理由に、明確な科学的根拠なしに日本産水産物の輸入禁止を発表した。


ただでさえ汚染水の“風評”問題がIOCの投票に影響することが分かっていながらの究極の「東京つぶし」にでたのだ。幸いにも安倍の演説の信頼性の方が勝って事なきを得たが、この悪意に満ちた陰険な仕打ちは外交史に残るものとして記憶にとどめなければならない。


さらに「愚かな国」の証明はその最高指導者の言動にある。


筆者は朴槿恵の姿がどうしても「奈良の騒音おばさん」のイメージとダブって仕方がないから、「朴槿恵 騒音おばさん」でネットに検索をかけたらいっぱい出てきた。人間考えることは同じである。騒音おばさんの特徴は、根底に「抜きがたい悪意」が存在することだ。


韓国語に言い換えれば朝鮮文化における「恨(はん)の精神」に横溢しているともいえる。恨んで恨み尽くす精神だ。慰安婦と称する女性の肖像を世界中に設置しようとするかと思えば、今度は伊藤博文を暗殺したテロリスト安重根の記念碑をハルビン市内に建設するよう中国国家主席・習近平に直接要請。


「日本の一部の指導者は謝罪する気もなく、慰安婦を侮辱し続けている」と英BBC放送で発言。訪韓した米国防長官ヘーゲルに、歴史や領土問題に絡めて日本を批判。ロシア大統領・プーチンとの共同声明には「歴史に逆行する言動が障害となり、北東アジア地域の協力が実現されていない」と安倍を批判。とどまることを知らない「恨」文化の表出だ。


騒音おばさんのもう一つの特色は隣家と話し合おうとしないことだ。「近隣騒音」の専門家は、「隣家が怖いから騒音を発する」ケースが多く、奈良のおばさんも根底の心理にそれが見られるという。同専門家は「悪意のある騒音だと隣家は耳をそばだてるから、それほど大きくない音でも心理的に動揺を強く受ける」という。


「逆に隣家と仲がいいとテレビの音が大きくても、面白そうだから自分も見よう」という反応に変わるのだそうだ。たしかに日本は隣国の悪意に満ちた騒音に耳をそばだてる傾向がある。問題はこの悪循環をどう断ち切るかだが、奈良のおばさんは最高裁で実刑が確定したが、韓国のおばさんは訴える手段がない。


かつて首相・大平正芳がソ連について「嫌な国が隣にあるからといって国家は引っ越せない」とぼやいていたことがあったが、そのとおりだ。騒音おばさんが一番嫌がることは無視だろう。


中国の諺に「蝦蟇(がま)日夜鳴けども、人之を聴かず」がある。ヒキガエルが一日中うるさく鳴いても、誰も聞いていないというのだ。まずこの状態を作る。無視して、経済で落ち目の韓国を尻目に、アベノミクスを成功させて日本の繁栄を取り戻すことだろう。「隣は泣く、隣はもちつく世の習い」で隣が繁栄すれば、騒音おばさんは手ぬぐいを口にくわえて「ヒー」と悔しがるのだ。


韓国は「ケネディ大使」の華々しい赴任がうらやましくて仕方がないのだろう。朴槿恵がオバマに悪口を言いつけても、その反応は逆であった。日米関係の方が格段に重要であることの証しがケネディ赴任だ。加えて政経分離でまず中国との経済・文化の交流を強める。徐々に政治も改善する。


この流れの意味するものは朴槿恵反日路線の孤立化に他ならない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月20日

◆世界の一大潮流となった原発新設

杉浦 正章



石破も将来の新設に意欲


元首相・小泉純一郎の「原発即時ゼロ」発言がやぶ蛇となって、原発新設への政府・与党の思惑が次第に鮮明になって来ている。


再稼働もままならないのに新設をまともに唱えれば一見「愚論」とみられるが、そうではない。世界の潮流から見るとむしろ「先見の明」の類いとなる。なぜなら世界の原発需要はいまや200基に達しており、その潮流は「フクシマ」を乗り越えて「原発新設ブーム」の様相だ。


1基5000億円、総額100兆円の市場だ。放置すれば中国とロシアの粗悪な原発に席巻されて、それこそ地球規模で卵が崩れる「累卵の危機」に陥る構図だ。日本は原発「再稼働」を早期に実現し、内外の原発の新設・増設・リプレースに動かなければならない。それが歴史的必然であり、国家的な義務だ。
 


最初はもたもたと小泉発言に同調するようなそぶりを見せていた、自民党幹事長・石破茂だが、12日の小泉の記者会見後は吹っ切れたように豹変した。小泉の考え方が鮮明になって、その弱点が露呈したのを読み取ったかのように理路整然とした反論に出たのだ。


一部マスコミが小泉発言を「実は安倍を擁護するためのもの」などというとんちんかんな“邪推”をしているが、石破発言から見るとはっきりと小泉を「自民党に徒(あだ)なす者」と位置づけている。テレビなどで石破は小泉にゼロへの具体論が欠けている事について「具体論がなければ単なるスローガンに過ぎない」と決めつけた。


加えて「小泉さんは現職議員ではない。安全、安心が確認された原発は再稼働するという自民党の方針に責任を持つ人ではない」と言い切った。つまりそこいらの“おとっつあん”の無責任な床屋談義であると紳士的に言っているのだ。


「原発ゼロの場合、中東で何か起きれば国民の生活は奈落の底に落ちる」とも述べた。化石燃料に全面依存していたら第1次中東危機ななどとは比較にならないほどの危機が到来すると警鐘を鳴らしているのだが、もっともだ。電気がすべて止まり日本は地獄の様相を来す。


小泉の即時ゼロ論は原発反対派のスローガンである「トイレなきマンション論」が根底にあるが、これについても石破は「ゼロにしようがしまいが最終処分場はいずれにせよ作らなければならない。ゼロにすれば最終処分場が不要というのは明らかに間違っている」と断じた。


それはそうだ。原発保有国となった以上は最終処分場の確保はいずれにせよ避けて通れる問題ではない。すべての電力会社が利用する「超大型トイレ」をまず作るべきである。それを真っ先に避けて通ったのは、小泉自身である。


最終処分場を決める「原子力発電環境整備機構」は小泉内閣時代に動きだしたものであり、これをフルに動かして最終処分場を決めるのは小泉自身の仕事であったものを、消費税増税と同様に逃げてしまったのだ。郵政改革などよりよほど重要な課題を避けて通ったのが小泉であった。


その上で石破は冒頭述べた「先見の明」発言をした。原発新規増設に踏み込んだのだ。


「新規を認めるときはそれが本当に安全なのか、大震災の津波以上のものが発生してもきちんと止まり、きちんと冷やせ、きちんと放射能を発散しない技術が確認されたとするならば、再稼働であっても新規であっても基本的には理論が変わらない」と述べたのだ。


筆者もかねてから再稼働を認めるならば、それ以上に強化された原発新設が認められなければおかしいと主張してきたが、石破発言は全くこれと軌を一にするものである。


このように石破が原発ゼロへの反論どころか、原発新設論を発信し始めた背景には、国民の支持が根底にある。一部マスコミの喧伝に惑わされている側面があるが、国民の総選挙と参院選挙の2度にわたる選択が、1党だけ「原発ゼロ」に反対した自民党であったことを忘れてはならない。


紛れもない選挙公約で原発ゼロと対峙して勝ったのだ。加えて安倍の本心も、ほとぼりの冷めたころに原発新設という方向にある。安倍の口からは原発依存度を下げる旨の発言はあるが、「ゼロ」だけはない。


安倍は就任直後の12月30日、TBS番組で今後の原発政策をめぐり「新たにつくっていく原発は、事故を起こした東京電力福島第1原発とは全然違う。国民的理解を得ながら新規につくっていくということになる」と述べている。本心はここにあるのだ。


冒頭述べたように世界は原発新設ブームだ。新興国はもちろん北欧や東南アジア、中東、アフリカ諸国まで新設の動きは広がっている。30年新設を避けてきたイギリスまでがついに新設に踏み切った。


これを虎視眈々(たんたん)と狙うのがチェルノブイリの人的ミスで10万人もの死者を出したと言われるロシアと、新幹線墜落事故の中国だ。抜け目なく中国はイギリスの原発建設に資本参加している。世界の潮流は、ハーメルンの笛吹き男のような扇動者小泉とは逆の方向に向かっているのだ。


その意味で安倍が自ら先頭に立って事故を乗り越えた日本製の原発売り込みに成功していることは、地球規模で言って正しい。


朝日新聞は安倍の原発輸出が世界に危険を振りまくと難癖をつけるが、もう少し世界のエネルギー情勢と科学的知見を学んだ方がいい。イデオロギーで新聞を作ってはいけない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月19日

◆修正合意で刮目すべきはみんなの渡辺

杉浦 正章


維新は大阪市役所レベルの発想


国家の命運を左右する機密というものがどんなものであるかについて、政府は他国との関係もあって明示しない。それでは筆者があえて例示しよう。


ある時、北朝鮮との緊張関係が抜き差しならぬ状態まで高まったとしよう。北がかねてから核攻撃の対象としてあげている日本の数都市の内、「名古屋を核ミサイルで攻撃しようとしている」との情報が入った。このため日米は北の基地先制攻撃を決断した。


ところが秘密保持の指定を受けた公務員がこれを漏洩、北は逆に先制攻撃に出て名古屋は壊滅した。国家機密の漏洩とはこういうことを意味する。自民党幹事長・石破茂が18日抽象的に述べた事はこのような事態を意味するのだ。


石破は「公務員が国家にとって極めて重大な影響を及ぼす事態であることを認識しながら、それを漏洩する事態に対して、国家全体の利益の観点から抑止機能が担保されなければならない。一体これに誰が反対するのか」と述べた。


このような国家の命運を左右する重大機密を漏洩する者は、中国では死刑であり、米国でも国家反逆罪として極めて重い刑罰が適用される。米欧諸国は、内乱罪や反逆罪を憲法や刑法で規定し、国家と体制を脅かす犯罪に断固として対処しているのだ。


日本はやっと特定秘密保護法案で懲役1年を10年にするだけのことである。もういいかげんに世界の常識が日本の非常識という状態から離脱しなければならない。その意味で18日、自公とみんなの間で国会の修正合意が達成されたことは、極めて好ましい流れだ。


これにより今国会成立は確実となった。待望の国家安全保障会議(NSC)の設置にとって核心部分に目鼻が付いた形であり、米国を初めとする友好国からの情報がスムーズに入る流れとなった。


すべては14日夜に浮上した首相・安倍晋三とみんな代表・渡辺喜美との会談が決めた形である。官邸側はみんなが一連の権力闘争の結果、渡辺が勝って党内統治体制が確立したと判断。渡辺攻略に焦点を絞って裏工作を続けた結果、会談にこぎ着けたものだ。


渡辺は同夜の段階で首相の関与を拡大する方式での決着を強く主張していたようである。トップ同士の政治判断先行という極めて珍しい形での決着となった。


従ってその内容も吹き出したくなるほど滑稽(こっけい)で政治的である。なんと首相を「第3者機関的」と前代未聞の形容をして、「その観点から関与を明確にする」という合意内容だ。


この核心部分は「首相が秘密の指定、解除、適正評価の基準を作成し、改善を指示し、有識者会議の意見を聞いて第三者機関的な観点からの客観性を担保する」というものであり、第三者機関の直接関与を避けている。


それはそうだろう第三者機関なるものが維新や民主党の主張するように秘密指定に最初から直接関与すれば法律自体がなり立たないことになる。


なぜなら議院内閣制による内閣と違って、第三者機関は責任がない。国家機密の保護どころではない体制を作ってしまうことになる。そこで出てきた苦肉の策が「首相イコール第三者機関的」の表現であろう。


みんなの渡辺がこの線で政治的に妥協したのは、まさに「男子三日会わざれば刮目すべし」であり、これからは渡辺を目をこすって見なければなるまい。なぜなら鳴かず飛ばずのみんなが一目置かれる存在となったからである。


渡辺にしてみればここで存在感を発揮しなければ、未来永劫(えいごう)ヌエ的な政党で終わってしまうと考えたに違いない。左傾化した民主党や、国政を知らない大阪市長が牛耳る維新と同列とみられては存在感がないのである。


その維新とはまだ修正協議が続いているが、みんなに置いてけぼりを食らった形となった。


官房長官・菅義偉ルートが最後の頼みの綱だが、共同代表・橋下徹が妥協を拒み続けているのが原因のようだ。同党は秘密の30年公開にこだわり続けているが、国家の機密を大阪市役所の機密レベルと見ているとしか思えない。


自民党が「原則30年」としたのはぎりぎりの譲歩である。というのも国家の機密というものは、例えば暗号を例に挙げれば、例え30年後でも公開してしまったら相手国の分析によって現段階の暗号解読につながり得るのだ。


また情報提供者の氏名を公開すれば本人はおろか家族にまで他国の「報復」が及びかねない。第三者機関による事前チェックなどは、不可能である事は少し情報という者のハンドリングを知れば分かる事である。
 

もっとどうしようもないのは民主党だ。代表・海江田万里は担当相・森雅子の答弁の揺れを「日替わりメニューで、全く議論は深まっていない。」などと批判しているが、自分が経産相のころ原発再稼働でころころと、毎日どころか朝昼晩と答弁が変わっていたのを忘れたかと言いたい。


修正案ではなく「対案」を作ったのは、あきらかに一部マスコミに踊らされた、昔の社会党そっくりの左傾化路線だ。対案を提示したにもかかわらず、与党が強行突破したという形を作るだけの戦術であり情けないの一言に尽きる。
 

自民党はこの好機を逃してはならない。衆院ではみんなの参加で賛成が342票と過半数を100票も上回る流れとなる。参院でも152票であり過半数の121票を大幅に上回る。


これだけの賛成票を確保した以上、維新が妥協しなければ修正協議もそこそこにして、民主党との修正などは時間稼ぎと看破して、粛々と採決、週内衆院通過に向かうべきである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月18日

◆財界訪中で「政経分離」の流れ急

杉浦 正章



中国側接遇に固唾をのむ首相官邸


日中関係の現状は政治が冷え切ってしまったのとは対照的に経済関係が“尖閣失速” を取り戻すかのように急進展を見せている。日本車販売はV字回復を見せ始め、人的交流も活発さを取り戻しつつある。


こうした中で18日、日中経済協会(会長=張富士夫トヨタ自動車名誉会長)の訪中団が北京へ向け出発する。国家主席・習近平か首相・李克強との会談が実現する可能性があるという。まさしく政経分離が先行して1072年の日中国交正常化へと動いた如く、経済が政治をリードする構図が先行する気配である。


日中関係の冷え込みぶりはまるで氷河期の状態にある。首相・安倍晋三がウオールストリートジャーナル紙に「中国が法の支配ではなく力による現状変更を試みていることに懸念がある」と述べれば、人民日報傘下の国際情報紙・環球時報は「悪意に満ちた言葉だ。日中間で摩擦が続けば戦争だ」と、初めて戦争という表現をつかった。


防衛相・小野寺五典が領海への“侵入”行為を「平和と緊張の間のグレーゾーン」と指摘すれば、環球時報は「中日はもはや何も話すことはない。どちらも自らの強硬な立場を頑なに守り、慎重な摩擦を仕掛けて相手の限界点を探りながら、軍事衝突という最悪の事態への準備を進めている」と今度は「軍事衝突」だ。

まるで突撃ラッパを吹きまくっている様相。


とにかく「口撃」先行のお国柄だから、話半分に聞いた方がよいが、それにしても「戦争」「軍事衝突」とは穏やかではない。日本はますます守りを固めて、秘密保護法の成立を急ぎ、集団的自衛権行使への流れを確立しなければなるまい。


国の安全保障だけは悪夢の共産党独裁体制崩壊に連動した対外軍事攻勢など、何が発生しても盤石な態勢を敷いておく必要がある。しかし、それとは裏腹に経済関係の復旧はお互いのために進めざるを得まい。


既に中国市場での自動車販売は反日デモで販売が大きな打撃を受けた昨年9月と比べると、各社とも60〜120%の大幅増となった。日産が前年同月比83.4%増の11万7100台、トヨタは同63.5%増の7万2100台、ホンダは同118.1%増の7万3990台といった具合だ。


明らかに最悪期は脱した。こうした中で財界訪中団は張のほか、経団連会長の米倉弘昌(住友化学会長)、同副会長川村隆(日立製作所会長)ら財界人77人を含む178人で、2011年度の182人に次ぐ過去最大規模となった。


結団式で張は「日中関係はいまなお厳しい状況にあるが、経済分野の相互補完基調に変化はない。中国の指導者との意見交換を通じて揺るぎない日中関係の構築に貢献したい」と事実上の「経済先行」を宣言した。


これは日中間でかねてから存在した政治と経済を分離して、経済交流だけを先行させる方式であり、戦後の極東における政治・経済史の編み出した知恵である。1962年には訪中経済使節団団長として、大日本水産会会長・高碕達之助が岡崎嘉平太など企業トップとともに訪中し、中国側の廖承志と会談。


「日中総合貿易に関する覚書」が調印され、経済交流が正式に開始されることになった。署名者である廖と高碕のイニシャルからLT貿易協定と呼ばれることになる。


72年の国交正常化までこの政経分離は続いた。最近では小泉純一郎の靖国参拝で冷え切った日中関係打開のために「政冷経熱」方式で経済関係は維持された。


翻って両国の国内情勢を見れば、中国はあきらかに高度成長期を終えつつある。現在の国内総生産(GDP)7.8%が高度成長との見方があるがこれは甘い。専門家の多くの見方は中国にとってGDPの下限はぎりぎり6%であり、これを下回ると破たんに限りなく近づくとされる。従って7%台はまさに薄氷を踏む数字である。


おまけに共産党1党独裁にとってGDPの数字の操作などはお手の物であり、数字そのものが信用できない。習近平は日本の投資と企業進出が、成長率維持のためには不可欠と感じているのであろう。


一方アベノミクスの首相・安倍晋三にとってみても中国との経済関係は良好であるに越したことはない。内閣府が14日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は、物価の変動や季節要因をのぞいた年率換算の実質成長率で1・9%増と前期と比べて伸びが半減した。GDPの6割を占める個人消費や、輸出が減速したためだ。アベノミクスも油断すると失速しかねないのだ。


こうして日中双方の利害が経済関係強化の1点では一致する様相なのである。しかし氷河期の氷が簡単に解けるかどうかは全く予断を許さない。


そこで官邸が固唾をのんで見守るのが財界訪中団に対する中国側の接遇のレベルがどの程度かである。3月の訪中で、財界訪中団と会ったのは国家副主席・李源潮であった。今回の訪中団に習近平や李克強が会うかどうか。会った場合何を言うか。


その発言が日中首脳会談につながるものとなるかどうかなど注目点は極めて多い。今後の日中関係を占うものとなると言っても言いすぎではないのだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年11月15日

◆秘密保護法で左傾民主抱き込みは無理

杉浦 正章



維新、みんなは「半落ち」競争?


昔はこのような場面では、政権側から政治資金が野党とりわけ中間政党に回るのが常であった。当時の中間政党・民主社会党が強硬な反対を唱えたうえに、賛成に回ると「ドカーンがあった」とささやかれた。「ドカーン」とは「巨額な資金が回った」という永田町の隠語だ。


今そんなことが行われたら、大問題になって政権維持も困難になる。しかし「ドカーン」はなくても「頭なぜなぜ」はある。首相動静を見ていたらなんと14日夜は2時間も首相・安倍晋三とみんなの党代表・渡辺喜美が料理屋で会食しているではないか。

渡辺はこれに先立って「情報漏えいの防止策を強化することなどを基本政策に掲げ、選挙戦を戦ってきており、秘密保護法の整備に『総論賛成』が基本スタンスだ」と述べている。いま与党は維新と修正協議の最中であり、渡辺発言は維新を追い越して早くも「半落ちか」ということになる。


一方でその維新は、やはり「半落ち」の様相を深めているかのように見える。修正協議で、与党側が維新の主張に配慮して秘密指定の期間を「原則30年以内」とする見直し案を示した。


維新は持ち帰り、15日改めて3党で協議するが、国会議員団政調会長・片山虎之助は14日「すべて聞き入れてもらわなければ、賛否に大きな影響がある」とすごんでいる。しかしこの正直者は“演技”をしているに違いない。重要ポイントは別ルートで進んでいることを知っているのだ。


官房長官・菅義偉と維新幹事長・松井一郎のルートがこれまでもぎりぎりのポイントで“利き”をみせたし、今度も最大の着目点だ。極右の共同代表・石原慎太郎をはじめ旧太陽系議員らは秘密保護法には大賛成だ。修正に全部応じなければ反対などと言うスタンスにはない。


こうして維新とみんなは与党がうまく誘導すれば「半落ち」が「完落ち」になりうる状況だ。メンツを立ててやり、世間体が成り立つようにすればいいだけのことだ。


生活、社民、共産の左翼3党は「絶対反対」だから最初から修正協議などするまでもない。問題は民主党だ。自民党幹部筋はその対応ぶりに「一番たちが悪い」と漏らしている。なぜかというと、「旗幟を鮮明にせずに引き延ばし、時間切れの廃案か継続審議を狙っている」というのだ。


確かに同党の対応ぶりを見ているとすべてが“引き延ばし作戦”に基本を置いている。問題点を50項目も挙げた上で、その内容を自民党には「全然説明しない」のだそうだ。修正とは名ばかりで別の法案を対案として用意している。その内容を決めるのも来週19日の次の内閣で決めるのだという。


自民党は21日に衆院通過を図る方針であり、それを対案提示を理由に遅らせようとしているのだ。民主党執行部は政権離脱後左傾化が著しく、秘密保護法制そのものに反対する姿勢を強めている。共産や社民寄りといってよい。


自民党の戦略としては、与党だけの強行突破は世間体を考えて避けたいのであり、維新でもみんなでも賛成に回らせるようあらゆる手を尽くす方針だ。民主党については修正協議をしても引き延ばしになるだけで無駄だと判断しているようだ。


こうした中で焦点として台頭しているのが民主、維新、みんなの3党が主張する「第三者機関」と国会議員への情報提供問題だ。第三者機関は閣僚の決めた特別秘密事項が妥当かどうかを検討するためのものだが、これは民主党の主張では明らかに法案の骨抜きを狙っているとしか思えない。


そもそも内閣とは憲法の議院内閣制に基づくものであって、その決定をどこの馬の骨か分からない有識者なるものにチェックされては内閣制度そのものが根幹から覆るのだ。


また国会議員に知らされないのはおかしいという主張と修正構想があるが、国会議員の院内での発言は責任を問われないのが憲法の規定であり、いくら秘密会を設置しても発言されたら秘密保護のすべてが成り立たない。


石破が国会法を改正して秘密会を作り、漏洩には一般公務員と同じ罰則を設けると主張しているのは、百家争鳴となって絶対に実現しないと思っているからに他ならない。


ただ第三者機関については方策が検討されている。担当相・森雅子が「さらなる改善を法案成立後に考えてゆく」と述べているのはなぜかと言えば「付帯決議方式」が念頭にあるからだ。先にNSC法案が衆院を通過した際には、民主党の主張する議事録の作成を付帯決議とすることで同党を納得させて通過を図った経緯がある。


秘密保護法の場合は恐らく民主党はこれに乗らないだろうが、維新とみんなは乗る可能性がある。

朝日の論説委員が報道ステーションで「野党の皆さんに指摘しておきたい。付帯決議だけでお茶を濁して修正に協力して欲しくない。歴史の検証を意識してそれに恥じない協議を」と“大演説”をぶっていたが、朝日の一番恐れている事が流れとなりそうな気配だ。


いずれにせよ衆院における審議は尽くされつつある。首相・安倍晋三はちゅうちょなく来週中の衆院通過にまい進すべきである。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年11月14日

◆「国家安全委」で習の抑圧体制強化

杉浦 正章



改革の“リコノミクス”は敗れた



習近平体制の動向に決定的な方向付けを行う第18期中央委員会第3回総会(3中総会)が閉幕した。その共同コミュニケを分析すれば、焦点の経済改革で「国有経済の増強」を最優先する習派と、民営経済の振興を目指す首相・李克強の“リコノミクス”派との激突の様相がありありと分かる。


結果は日本の政治に似た「両論併記」の形となったが、総じて習派の優勢に終わった。その重要ポイントが中国版NSC「国家安全委員会」の設置である。同委員会を司ることにより習が、その抑圧的な共産党1党独裁体制を強化する流れが顕著となった。


力で国民の不満を抑えつける習路線と、民衆の暴発の構図は解消されないままとなった。「ケ小平の改革解放路線選択以来の大改革」という鳴り物入りの宣伝は不発に終わった。


とにかく日本の新聞・テレビの分析は、秘密会議だけあってまさに「群盲象を評する」感が濃厚で、一つとして会議を的確に切り取った報道がない。このようなケースは1点に絞ってそれが成し遂げられたかどうかを見極めることが重要だ。


その1点とは、民衆の不満に融和を打ち出すか、強権的姿勢を維持するかである。その不満の焦点である貧富の格差、民族間格差の是正に動いたかというと、逆であった。その第1の象徴が国家安全委員会の設置だ。


同委員会は中国の軍、警察、外交部門などの情報・安全保障・宣伝部署などを統合する組織であり、共産党1党独裁体制維持の中核になるものとも言える。各地で起こる暴動が共産党の存立にとって取り返しのつかない様相になるのを懸命に抑えようとする焦りの現れとも言える。


1997年に江沢民が設置しようとして党内の反対にあって断念した経緯があるが、今回実現したのはなぜかと言えば、統一的な体制を作らなければ頻発する治安問題に対処しきれないからに他ならない。もちろん「国家安全」であるから尖閣問題など海洋進出路線の中核ともなるものだろう。


次の焦点は経済改革である。爆発寸前の様相を呈している民衆の不満をどうそらすかだ。そこで問題提起したのがアベノミクスを真似してマスコミが名付けた「リコノミクス」を掲げる李克強だ。国有経済主導型経済からの脱却を目指して市場経済重視の方針を打ち出そうとした。


中国政治のの3大派閥は胡錦濤・李克強の共産主義青年団、習近平の太子党、江沢民の上海閥に大別できるが、その李が主張するのは従来の国営企業と共産党だけが儲かる体制を一変させ、市場経済をより一層導入して社会的な矛盾の是正に動こうとするものである。


胡錦濤の行った国民や民族の間でバランスのとれた社会である、「和諧社会」への回帰を促すものでもある。ところが発表された共同コミュニケでは「市場原理が資源配分の中で決定的な役割を果たす」と述べる一方で、「公有制を主体とし、国有経済に主導的な役割を発揮させる」と、まさに矛盾露呈の両論併記型となっている。


これは3中総会で李克強路線に対して既得権擁護に固執する保守派から強い反発が出された事を意味する。今や国有企業と共産党地方政府は35年間の改革開放政策で「巨大な企業体」へと変身し、利益をむさぼり、貧富の差は拡大して民族間格差とともに中国社会最大の矛盾の根源となっている。


汚職の泥沼はとめどもなく深く、共産党の支配下にある司法は機能しない。ここにメスを入れない限り民衆の不満は募りこそすれ、治まる流れにはならない。コミュニケは司法改革にも言及しているが、弥縫(びほう)策であり根本的な解決に至るものではない。党の介入を禁ずるというポイントが成文化されていない。


こうして中国社会は格差是正どころか既得権重視の指導層の下に、内部矛盾は拡大の一途をたどらざるを得ない流れとなった。国有企業の独占と共産党員だけが儲かり、汚職の裁判は圧力で抑える流れである。


この習近平体制再構築が今後の中国の外交・安保姿勢にどのように反映されるだろうか。恐らく習近平は尖閣問題で対日圧力をかけ続ける方向を担保しながらも、基本的には「友好」にかじを切りたい誘惑に駆られているに違いない。


というのも3中総会で提起された深刻な経済問題解決には、日本の投資や企業進出は垂ぜんの的であるからだ。既に政治の強硬姿勢とは裏腹に経済交流の側面は拡大しつつある。発表された自動車販売は日本製が躍進しつつある様相であり、大型経済使節団も受け入れる流れだ。


安倍は、るる述べてきた中国の「弱い脇腹」を意識しつつ、どの時点で妥協するかに留意しなければなるまい。中国の主張する「尖閣棚上げ」は不可能にしても、筆者がかねてから主張しているように「尖閣は『先送り』で“日中長期研究体制”を作る」しか道はあるまい。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)