2013年04月25日

◆安倍政権、専守防衛から能動戦略へ転換

杉浦 正章



安保環境の激変に抑止を強化


中国発と北朝鮮発の二正面の危機に直面して、安倍政権は戦後の安全保障を支配した専守防衛の思想から離脱して、先制攻撃による国の安全保障を可能にする機動的な能動戦略へと大きくかじを切ろうとしている。


安倍政権が年内に策定する新防衛大綱への自民党提言案には敵基地攻撃能力の保有、集団的自衛権の行使、海兵隊機能の整備などが盛り込まれた。首相・安倍晋三がこの提言を受け入れることは確実であり、日本は自縄自縛の専守防衛からようやく離脱、世界に普遍的な安全保障概念を導入することになる。


民主党政権が打ち出した「動的防衛力」という考えをさらに有事即応の機動的なものへとに発展させる。
 

もともと自民党内には専守防衛では安全保障は確保出来ないとする空気が濃厚であった。しかし歴代政権が維持してきた政策の大転換となり、踏み切れない状態が続いた。


こうした日本の足元を見るかのように中国が尖閣へと触手を伸ばし、北朝鮮は日本の都市を名指しで核攻撃をすると威嚇するなど日本を取り巻く環境は一変した。極東の新事態は相手の攻撃を受けて初めて必要最小限の軍事力を行使していたのではとても生き延びられない情勢となった。


安倍政権は今そこにある危機への対応を迫られた。安倍も幹事長・石破茂も早期対応が必要であるとの認識では完全に一致している。


石破は「北朝鮮からミサイルを撃たれて何万人が死んでからでは遅すぎる」として国民の生命財産を守る手段としての敵基地攻撃能力確保を強調。第一撃甘受という受け身の姿勢を妥当としない方針を打ち出した。


安倍も2月の段階では敵基地攻撃の必要を認めながらも、「現段階では考えていない」と述べるにとどまっていたが、22日の国会答弁では大きく踏み込んだ。


具体的な手段を含めて敵基地攻撃能力確保を明言したのだ。安倍は「敵基地攻撃について言えば、Fー35Aにその能力がある。検討しなければならない」と次期主力戦闘機として逐次42機の導入が決まっているFー35Aを使う可能性に言及した。
 

専門家によると同機をプラットホームとして敵基地を攻撃することは十分可能である。Fー35Aはステルス機である。米国でやはりステルス機のFー22編隊と76年に運用開始されたFー15編隊とが模擬訓練の遭遇戦を展開したところ、Fー15はFー22が通り過ぎるまで分からなかったという。


Fー35Aは同水準の性能を持ち、北は言うに及ばず中国の戦闘機にも「圧倒的な優位性を保つ」(前防衛長官・森本敏)という。


中国国営中央テレビによると国家主席・習近平がロシア訪問を前に、ロシアから最新鋭戦闘機Su-35を24機購入する合意文書に署名したと伝えたが、専門家の間では「Su-35もFー35Aの敵ではない」とされる。敵基地攻撃は戦闘機だけでなく巡航ミサイルや弾道ミサイルも使ったものとなる。


もちろん当面は米軍との共同作戦となる。北も中国もミサイル防御能力に欠けており、併用すれば効果は絶大となる。敵基地攻撃に関する政府の見解は古く、56年の首相・鳩山一郎の国会答弁で「敵基地を叩くことは法理的に自衛の範囲に含まれ、可能である」という方針が確立されている。
 

米国の艦船や米本土に対する北のミサイル攻撃などを、日本が防御する集団的自衛権については、国連も認める世界の常識であり、これまで自粛してきた方がおかしい。改憲が必要との見方があるが、時の政権の三百代言の内閣法制局の見解を首相が変えれば済むことだ。


敵基地攻撃も集団的自衛権も即時の対応には間に合わないが、戦時という緊急事態が発生すれば政府は国内世論からも米国からも“超法規”の対応を迫られよう。


自衛隊に海兵隊機能を持たせることは石破のかねてからの持論である。現状では占領された孤島を奪還する能力は自衛隊には乏しく、敵前上陸を可能とするにはどうしても海兵隊機能が必要だ。
 

こうして「安倍・石破安保路線」の上に防衛政策は大転換する流れとなった。かつて秋葉原の暴漢のような国が別々に二つも存在するのだから、近ごろ幼稚園でも備えている刺股(さすまた)ぐらいは供えるべきだと書いたが、核攻撃まで明言されては刺股ではおさまらない。


暴漢がピストルを撃って暴れ出す前に少なくとも電流が流れると、全身の筋肉が硬直したようになって身動きが取れなくなるテーザー銃くらいの備えは必要だ。国民の生命財産を守るためにはおさおさ準備を怠るべきではあるまい。


半狂乱のような国々には、日本を攻撃すればこうなるという姿を見せておくことが抑止力として機能するのだ。

         <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月24日

◆安倍の外交強気シフトは当然だ

杉浦 正章
 

中韓ともに“歴史の活用”はもうやめよ


痺れを切らしたかのように首相・安倍晋三が強気の外交路線にかじを切った。参院選に向けて封印してきた“右傾化タブー”を次々と、前面に出し始めた。


背景には中国国家主席・習近平の“尖閣活用統治戦略”が当分変わることはないと読み切ったことにある。確かに戦後70年近く憲法の不戦の誓いを忠実に守ってきた平和国家日本に、周辺国との戦争、紛争を続けて来た中国が歴史認識で批判を繰り返し、日本の援助で経済発展を遂げた韓国が“恨みの外交”を前面に出そうとするのはもういいかげんにしたほうがよい。


靖国参拝が財務相・麻生太郎の独断であるかのような批判があるが、そうではない。政府、自民党筋の情報を総合すれば、明らかに安倍路線に沿って政権内部で練りに練った参拝だ。


幹事長・石破茂が初めて明らかにした「中国は首相、外相、官房長官の参拝だけはいけないということだと承知している」という新見解も、政府与党間で密接な調整が行われた結果であることを意味している。23日の史上最多の国会議員による靖国参拝も、その一環である。


ジャーナリストの中には麻生を「外交音痴としか言いようがない」(後藤謙次)と批判する声があるが、浅薄だ。中韓両国の反発も織り込み済みなのである。
 

一方靖国参拝こそしなかったが、ここに来て安倍は躊躇することもなく外交を強気にシフトし始めた。植民地支配へのおわびと反省の村山談話をそのまま継承しないことを明らかにしたかと思うと、中国への封じ込め路線を進め、10日には台湾との間で漁業協定を締結、日台関係を大きく好転させた。


中国に痛烈なる打撃を与えたことは言うまでもない。23日には国会答弁で「尖閣諸島と海域を安定的に維持管理するための具体的な方策として、公務員の駐在や船だまりの建設などの様々な選択肢は常に頭の中にある」とまで言い切った。
 

これは参院選挙までは安全運転とする当初路線を大きく変更したことを意味する。その原因の第一は、習近平の外交路線が、対日強硬方針に貫かれつつあると判断したことが挙げられる。


例えば2年ぶりの中国の国防白書は、臆面もなく「海洋強国」を目指す方針を打ち出し、尖閣を巡る日本の立場を名指しで非難した。この国防白書に基づくかのように、尖閣における領海侵犯はますます頻繁になり、23日には過去最多の8隻もの海洋監視船で“尖閣参拝”を繰り返した。


おりから米統合参謀本部議長・デンプシーが習近平と会談している最中であり、日米同盟を試すかのような狡猾な動きに出ているのだ。習近平に取ってみれば、尖閣問題の発生は自らの国内基盤を固めるための願ってもない好機であり、これを“活用”することで国内に充満する不満のはけ口としているのだ。
 


安倍はこうした習近平の姿勢を読み切ったのだろう。官邸筋は「もう民主党政権のようなおどおどした外交はしない。毅然とした姿勢を貫く」と漏らしている。安倍に強気の外交姿勢をもたらしたものは国内の空気もある。


稚拙な民主党外交は尖閣問題、李明博の竹島上陸など、周辺諸国に「甘く見られる」結果を招き、国民の不満はうっ積した。それが安倍の筋を通す外交姿勢によって、支持率も上昇、これが安倍の自信となって現れているのだ。尖閣、竹島、北方領土は、日本になかった「ごく普通のナショナリズム」を喚起したのだ。これが議員心理にも跳ね返り、かってない数の靖国参拝となって現れた。
 

これに対して日本のマスコミは、相も変わらぬ自虐史観を根底におき、靖国参拝の批判を繰り返している。どうしたことか読売までが、社説で麻生の参拝を「より慎重であるべきだった」と批判している。読売の信頼すべき論説が一瞬朝日の社説かと思った。


その朝日にいたっては2日間にわたり社説で参拝を批判している。中国も、韓国もこの日本の世論を“利用”して、日本の政権に揺さぶりをかけるという、戦後一貫したパターンの繰り返しだ。


朝日は北のミサイル挑発を前にして日中韓が結束して事に当たるべき時に、靖国で事を荒立てるのは方向が逆であると協調している。テレビのコメンテーターたちもこれを真似した“論調”だ。


しかし日中韓が北への外交で結束できたことなど一度もない。北の攻撃を一番懸念すべきは韓国であり、外相が訪日を延期するなどという子供じみた対応をして、いまそこにある国益につながるのか。大統領・朴槿恵も訪日よりも訪中を優先するという説があるが、外交は女の恋の駆け引きではない。


韓国新政権は冷厳に自分の置かれた立場を見極めるべきだ。弱小国韓国が万一朝鮮戦争になれば頼りになるのは米国と日本だけしかない現実を知るべきだ。安倍はこれまで歴代政権が躊躇(ちゅうちょ)していた、強気の外交に出たが、アベノミクスと同じで国民に“やる気”をもたらす効果を生む。内政も外交もいいところを突いている。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月23日

◆民主党分断Vs自公連立分断論争の様相

杉浦 正章



改憲めぐる暴走老人の“暴言”が波紋
 
暴走老人石原慎太郎の投げた「自公分断」の一石がこだまを呼んでいる。安倍が改憲の要件緩和の憲法96条改定に踏み込めば、民主党は「自公連立解消を」とくさびを打ち込む。維新共同代表・石原自身は“改憲再編論議”に火が付いて、してやったりとほくそ笑んでいるに違いない。


しかし石原は物事を“認知”できなくなってきているのだろうか。石原の前提条件を満たすには維新が参院選で圧勝して、自民・維新で改憲の条件である3分の2議席を満たさなければならない。これはまずあり得ない。老人性視野狭窄(きょうさく)発言の勇ましさだけでは物事は動かないのだ。


石原の党首討論における自公分断発言は「あえて忠告しますが、公明党は必ずあなた方の足手まといになりますな」というもの。自民党席から「無礼だろ」「失礼だ」とヤジが飛んでも、「本当のことを言ってんだ」と譲らない確信犯だ。マスコミは忘れているが昨年も同様の発言をして、陳謝している。


石原は11月30日の党首討論で、「憲法大幅改正に幹部が反対する公明党は、あまり評価できない」「自民党が公明党と連立している限り、自民党には期待できない」と発言している。


このときは公明との衆院選選挙協力が大阪で行われている最中であり、維新は慌てて、石原慎太郎代表の名前で「公明党と憲法の考え方についての私の発言が、誤解を招いたことは大変遺憾に思います」と陳謝している。
 

ぼけたのか確信犯なのか。恐らく両方であろう。この老人特有の露骨な短絡表現が、本人の目指す極右軍国主義路線の改憲にプラスに働くとでも思っているなら世話はない。「政治家ではない」と言われるゆえんだ。まさに小説家なのだ。


小説家は空想でものを書くが、政治家は実証主義が基本だ。それでは石原の言うように公明党を切って改憲が可能だろうか。


筆者の予測では参院選後の勢力分野は自民が108議席前後、維新がせいぜい10議席程度であり、3分の2議席の162議席にはほど遠い。みんなの党を加えても届かない。民主党が分裂してその改憲勢力が同調してやっと届く程度だ。


つまり改憲は公明党を切って維新と連携しただけでは無理。自、公、維、みんな、民主の一部が恐らく必要になるのだ。


恐らく石原はまだ維新のブームが続くと思っているのだろうが、もう賞味期限はとっくに切れているのだ。維新共同代表・橋下徹が参院選に立候補すればブームが再来すると思っているようだが、それでもブームは生じない。


最近橋下が焦ってテレビへの露出を増やしているが、維新の支持率は減少傾向をたどっている。幹事長・松井一郎は22日パーティーで「今は完全にアゲインスト。大阪以外はどこも負ける」と正直に賞味期限切れを認めた。
 

しかし、改憲に公明党が慎重であることは確かだ。代表・山口那津男は11日の党中央幹事会で「憲法改正問題は連立政権の合意の枠外の話だ」と強い調子で安倍の対応をけん制している。連立合意に言及したのは、改憲問題で合意を破棄する可能性を警告したものとも受け取れる。


こうした動きに対して官房長官・菅義偉は21日のNHKで「自民党は公明党と連立を組んでいる。まずそこが基本だ」と、連立維持への強い姿勢を表明した。しかし同時に菅は「96条改正に賛成していただけるなら、政党は維新だけでなく、民主党も賛成しなければダメ」と述べている。


これは明らかに筆者の読みと合致している。実態はまず民主党分断による改憲実現しかないのだ。


危機感を感じたか民主党幹事長・細野豪志は「憲法改正を参院選で訴えるなら当然公明党との連立を解消したうえでやるべきだ」と逆襲に出た。事態はまさに「民主党分断対自公連立分断の戦い」の様相を示すに至っている。


公明党内の改憲論議は自民党の目指す国防軍の創設と、集団的自衛権の行使容認に至ると、皆一歩退いてしまうのが実態だ。また、憲法ばかりは「政策ごとの部分連合」は通用しない。各党とも立党の原点が改憲か護憲かに集約されている傾向が強く、安倍が9条など本格改憲にまい進するなら公明党も連立解消へと向かわざるを得まい。
 

だが公明党は過去14年で政権参加の“蜜の味”を覚えた。これまでも自民党とは妥協で政権参加を継続してきたのだ。一方自民党は各選挙区で1万から3万票の公明票がなくては、とても当選者数を維持できない。そういう構図となってしまったのだ。


両党は切っても切れない関係にあり、その原点から妥協が生ずる可能性はある。公明党内でも「96条までなら改正してもいいのではないか」との声が幹部の中にはあるのだ。改憲の要件を3分の2から2分の1に緩和するだけで、どぎつい9条などは先送りする。この線が唯一の改憲実現へのあい路かもしれない。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月22日

◆このままでは確実に短期政権に終わる

杉浦 正章



秘書官は土日に安倍の日程を入れるな
 
首相・安倍晋三は長期戦権どころではない。確実に倒れる。それも政局でなく、病気で倒れる。13年という最長不倒距離の官邸詰め記者だった筆者が言うのだから間違いない。


なぜなら安倍は毎週のように土日を返上の強行スケジュールが続いているのだ。このぺースでは1年と持たないだろう。補佐になれていない秘書官がどんどん日程を詰め込みすぎているのが最大の原因だろう。官邸は何をやってるんだと言いたい。悪いことは言わない。長期政権を目指すなら、スケジュールを半減すべきだ。


日日の首相動静は、政治を予測するための宝庫だ。誰々が首相に会えば「ははーん、あの話しだな」と第六感で分かる。やはり動物的嗅覚の鋭い元官房長官・野中広務も筆者と同様に現在の首相日程の“異様さ”に気付いていた。

野中は21日のテレビで「首相日程のメニューが多すぎる。体が続くかと心配だ。一生懸命やっているのは立派だと思う。しかしこのままではある時突然体を壊す」と心配していた。


たしかに凄まじいスケジュールである。どうも土日の安倍の露出度が多すぎると思って3月16日の土曜日から4月21日まで1か月余りの日程をつぶさに調べた。


週日はいうまでもなく分刻みの日程だ。国会審議も身動き取れないままの激しい質疑が連日だ。ここまではどの首相も同様だが、問題は土日だ。11日間の土日のうち休日は3日だけだった。1か月あまりで休養が3日。


土日は3月16日自民党大会、17日防衛大学卒業式、24日福島視察、30日モンゴル訪問、31日モンゴルから夜帰宅、4月6日盛岡視察、14日硫黄島戦没者追悼式、小笠原視察、20日桜を見る会、山口参院選応援、21日山口遊説といった具合だ。土日の空きに週日に消化できない日程をどんどん埋め込んでいるのだ。


これをみて、「あっ、森田一と同じだな」と思った。大平正芳の娘婿で主席秘書官の森田が、大平の土日の日程をどんどん埋めていたのだ。あまりのきつさに大平も疲れ切った表情をしていた。


筆者が各社キャップ懇談会で大平に「お疲れではないですか」と聞くと、「そうなんだ足の下の方から疲れがわーっと全身に上がってくる」と述べたものだ。後から分かったことだが大平は心臓の持病があり、ニトログリセリンを常用していた。


その大平に娘婿が日程を詰め込んだのだからどうしようもない。そうこうするうちに80年5月30日総選挙の第一声を新宿で上げたが、異常にその声がかん高かった。筆者は仲間の記者らに「ぶっ倒れるぞ」と予言したがその通りになった。心筋梗塞である。選挙の途中で急逝したが、弔い合戦で圧勝した。


安倍は首相・小渕恵三のまねをして福島県郡山市の農園でカブの束を高々と持ち上げて「カブが上がります」とパフォーマンスしてみせた。一瞬悪い予感がよぎった。小渕もやはり休日返上の日程処理を迫られ、公邸に戻ってもおびただしい書類、書籍、新聞の切り抜きに目を通し、徹夜でビデオの録画を見るのが普通だった。


人気のブッチホンを一般人やテレビ局にまでかけて、職務に専念した。しかし小沢一郎の裏切りにあって自由党との連立が決裂、翌日に脳梗塞を発症して、帰らぬ人となった。


まさに2度あることは3度あるのだ。休日返上型首相2人とそっくりな政治日程。おまけに安倍は第1次政権では1年でノイローゼ的な症状となり、持病の大腸炎の悪化で退陣を余儀なくされているのである。


なぜこんな日程ができるかといえば、安倍がアベノミクスの成功と環太平洋経済連携協定(TPP)など主要政策で順調な滑り出しを見せ、本人自身も高揚しているのだろう。日程にクレームをつける者もいないのだろう。


秘書官らは官庁のエリートだが、首相をどう守るかについては全くの素人。次々に出てくる来訪予定や、訪問日程に待ったをかけることなく、どんどん組み込んでしまっているに違いない。秘書官は複数だが首相は1人だ。まったく首相の健康に目が行っていない。本来なら官房長官・菅義偉が気付くべきところだ。


これでは、みんなの党の渡辺喜美が言ったように「3年の長期政権」などまず不可能だ。長期政権の首相は佐藤栄作も休日は鎌倉の前田別邸で過ごすか、ゴルフだ。いまの安倍はまるで戦時下の首相のような日程をこなしている。順風な時は精神的にも高揚感があるが、政治は山あり谷ありだ。谷の時にがっくりくる。


しかし安倍は好むと好まざるとにかかわらず、日本の長期低迷の内政、経済、外交を離脱させるためには不可欠の“人材”なのであり、途中で倒れることは許されない。


官邸は週日はともかく土日に日程を入れない習慣を作るべきだ。そうでなければ、またまた安倍の病気発の政局という嫌な季節が到来してしまう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年04月19日

◆安倍は秋口にも原発再稼働に踏み切れ

杉浦 正章
 

放置すればアベノミクス直撃
 

18日発表の12年度の貿易赤字が過去最大の8.2兆円に達した。最大の理由は円安と原発停止に伴う燃料費輸入の増大だ。経産省の試算では燃料費は3兆円増大しており、この国富流出を放置すれば確実にアベノミクスの成長戦略の足を引っ張る。原発再稼働は急務となった。


おりから原子力規制委員会は原発の新規制基準案を策定、7月から施行される。とりあえず現段階で同規制に適合する原発は半数はある。首相・安倍晋三は安全基準に達した原発の早期稼働を遅くとも秋口には実現すべきであろう。


原発再稼働問題は民主党政権、とりわけ首相・菅直人が確信犯的に再稼働反対路線に踏み込み、再生可能エネルギーへの幻想をばらまいた。野田が大飯原発を再稼働させこれを修正した。


自民党は総選挙最中から再稼働を唱え圧勝した。首相・安倍晋三はオバマとの会談で民主党の原発ゼロ政策の破棄を伝達して、安全が確認された原発から再稼働することが政権の基本方針である。


ところが菅の敷いた脱原発方針の結果、原発50基中48基が、再稼働できないままとなっている。この結果電力会社は燃料費がかさみ、東電が耐えきれずに電気料金に反映させた。近く全国の電力会社も値上げに踏み切る方針である。


家計への圧迫は著しいものとなってきており、企業の海外移転は増加の一途をたどっている。とりわけ太陽光など再生可能エネルギーの電力会社買い入れは、ドイツが事実上破たん状態になっているにもかかわらず、世界でも最も高い価格水準で推進されており、これが電気料金にも跳ね返る。


そもそも全電力の1%にも達さない上に、海の物とも山の物とも分からない再生可能エネルギーを、人気取りで原発に取って変えようとした民主党政権が諸悪の根源であったのだ。


唯一の対処方法は火力発電を増やすことだが、それでは地球温暖化の原因になる二酸化炭素の排出が増えてしまう。国際社会が直面する課題に日本だけ背を向けることはできない。


こうした中で胸のすくような司法判断が出された。大阪地裁が16日、福井県や大阪府などの住民が、大飯原発の運転差し止めを求めた仮処分申請で、申し立てを却下したのだ。住民側の主張はことごとく却下された。


その内容は2基の原発が国の今の基準を満たし、想定を上回る地震が起きても安全は保たれると判断。活断層についても具体的な危険性は認められないとした。「破砕帯」についても現段階の調査では活断層と認めるに至っていないと指摘。安全の限界である11・4メートルを超える大津波が襲来する可能性は認められないとまで言い切った。


東電福島第1原発事故後、原発の安全性を巡る初の司法判断であり、全国の原発訴訟の主張の根幹をことごとく否定したものでもある。総選挙で原発ゼロキャンペーンを行い敗北したマスコミ、とりわけ朝日新聞は司法判断でも敗退したことになる。


さっそく社説で取り上げて「現時点で安全と断言するのは勇み足で期待はずれ」と噛みついているが、一定のイデオロギーの上に立った我田引水の社説だ。同社はもはや不偏不党を社の綱領から外すべきだ。


自民党は再生可能エネルギーの導入に3年間努めて可能性を見極めるとしてきたが、政府部内でも無理との判断が主流を占めつつある。環境相・石原伸晃は経団連会長・米倉弘昌に「再生可能エネルギーは基幹エネルギーに位置づけることはできない」と明言した。


安倍政権は参院選での争点化を避けるかのように見えるが、ここは姑息(こそく)な対応をすべきでない。再稼働を選挙公約として堂々と明言して選挙に臨むべきだ。その上で安倍は規制委基準に適合した原発の最終審査を早期に行い再稼働に踏み切るべきだ。


規制基準に基づけば半数の原発は改善しない限り再稼働できなくなる。東北、東京、中部、北陸、中国、日本原電の計26基は、当面再稼働は難しい状況とみられている。しかし、沸騰水型炉ではない、四国電力伊方原発3号機や九州電力川内原発1、2号機は早期稼働が可能となる。


両電力は7月にも再稼働を申請する予定であり、早期に審査を済ませ遅くとも秋口までには再稼働の許可を出すべきだ。これを皮切りに半数の原発を再稼働させれば、電力事情は確実に好転する。アベノミクスの成長戦略はこの決断なくして達成は不可能と見るべきだ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年04月18日

◆実績背景に安倍の圧勝:党首討論

杉浦 正章
 

民主の底流にダブル選挙への恐怖感
 

最後に最重要テーマで相手を追及して時間切れに持ち込む。まさに党首討論技術の要だが、首相・安倍晋三はこの作戦を踏襲した。


民主党代表・海江田万里は見事に引っかかった。0増5減区割り法案で完敗だ。アベノミクスでも実績を強調する安倍に、架空の論議で追及しても説得力はない。従って安倍は支持率と同じ7割方勝った。総じてダブル選挙などに持ち込まれてはかなわない民主党の及び腰と恐怖感が、追及の矛先を弱めた。


海江田との党論時間は25分間。海江田が質問すると倍くらいの時間を取って安倍が答弁。海江田はいらついて「質問事項だけに答えて欲しい」とクレームをつけ「答弁が冗長だ」と噛みついたが、時間はどんどん過ぎる。ぎりぎりになって安倍が満を持したかのように0増5減の急所を突いた。


「去年の党首討論で、当時の野田首相が『優先順位を考えましょう』と言って、0増5減の優先を約束した。この場で政治を動かそうではないか。国民の声は1票の格差是正を進めよだ。この声に私たちは応えていく責任がある」と噛みついた。


急襲を食らった海江田は「当時の安倍総裁がした約束は定数削減だ。0増5減だけではない。0増5減だけでは、また違憲の状況になってしまう。定数の削減をやると、この国会でやるということを言ってください」と言い返したが、事実に反する上に時既に遅しで時間切れ。


安倍の作戦は周辺によると事前に相当練ったものであったようだ。新聞も0増5減先行処理を主張しており、世論のバックアップのある問題だ。海江田は苦し紛れに事実に反する答弁でその場をしのぐしかなかったのだ。


つまり昨年11月の首相・野田佳彦の「やりましょう」答弁は明らかに解散の前提となる0増5減の先行処理を意味しており 、定数削減に主眼を置いたものではなかった。それを海江田は「定数削減を言ったもの」と言い募った。


しかし野田答弁後に民主党は0増5減法案を成立させており、海江田答弁の矛盾はすぐに露呈する。海江田の嘘はすぐにばれてしまったのだ。
 

アベノミクスを巡るやりとりも実績対架空の論理で海江田は追及し切れなかった。「大変な劇薬を日本は飲んだ。副作用、あるいは落とし穴がある」と迫った海江田に対して安倍は、「副作用と言うが、何もしなければリスクがないと思っていたら大間違いだ」と逆襲。


さらに「3カ月で4万人の雇用を生み出した」「東日本大震災復興対策の原資となるJT株の価格が上昇し4700億円に増えた」と切り返した。 安倍から「日本をおおっていたどんよりした空気が変わった」と言われては、海江田も返す言葉がない。


要するににアベノミクスが成功するかどうかが判明するのはまだ先であり、何ら打つ手もなかった民主党政権の実績欠如を背景にしていては何を言っても説得力がないのだ。概して海江田の追及は官邸が作った想定問答の範囲を出ず、常識的であったのが安倍に余裕を持たせてしまった。


とりわけ注目すべきは底流にダブル選挙への警戒心が野党側にあったことだ。自民党筋によると安倍は15日の自民党役員会で冗談めかして「党首討論はやるが、解散はしない」と奇妙な発言をしている。明らかに永田町に流れるダブル選挙説を意識して野党をけん制したものだ。


支持率70%を越える首相にダブル選挙をやられては民主党は壊滅的な打撃どころか消滅だ。永田町の筋書きは野党の反対で参院で否決された区割り法案を、衆院で再議決して解散するという説だ。これがまことしやかに流れているのだが、実際にはまず97.5%ない。しかしけん制にはなる。


安倍は民主党には水に落ちた犬を叩く戦術を採ったが、維新とみんなに対しては様変わりの協調路線。一方で維新共同代表・石原慎太郎もみんなの党の渡辺喜美も対決姿勢は全く見せなかった。渡辺に至っては「安倍内閣は長期になる予感を持っている」とまで持ち上げた。


しかし石原は改憲に否定的な公明党代表の山口那津男が傍聴しているにもかかわらず「公明党の党首は改憲は国民的課題ではないと発言しているようだが、この問題を乗り越えない限り、日本も自民党も再生しない。あえて忠告するが、必ず公明党が足手まといになる」と敵意丸出しの主張。


あまりの暴言に自民党席から「失礼だ」とヤジが飛んだほどだ。高齢でこらえ性がなくなった老人性短絡症そのものを露呈して、「政治家ではない」(自民党副総裁・高村正彦)ことを証明する一幕であった。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月17日

◆区割り法案は再議決してでも先行処理

杉浦 正章

 

民主党の“扇動ポピュリズム”は見苦しい
 
落ち目の時はジタバタしない方がよいものを、民主党が区割り法案で自分の掘った穴に落ちてしまった。相次ぐ高裁違憲判決に勢いづいて、いったんは賛成して成立させた0増5減法の区割り法案に反対すれば、大向こううけするという誤判断をした結果だ。


ところが世論調査でも新聞の論調でも国民は区割り先行処理が圧倒的。民主党がこびを売るかのように提示した議員定数の大幅削減などは見向きもされない。この際自公両党はたとえ参院で法案が否決されてもちゅうちょなく、衆院で再議決してでも成立を図るべきだ。


衆議院議院運営委員会は、区割り法案の審議入りを巡って与野党が折り合わなかったため、16日夜、民主党などが欠席するなか採決を行い、与党側の賛成多数で、法案の特別委員会への付託を決めた。


19日にも衆院を通過させ26日の成立を目指す。参院で否決されても憲法の60日ルールによって6月26日までの今国会で衆院の3分の2以上による再議決が可能になる。


与党の狙いは今国会で成立を図らなければ最高裁でそれこそ無効判決がでかねないからであり、ぎりぎりの政策判断を迫られた結果だ。これに対して民主党などは早くも審議拒否をしようとしている。


それにしても今回ほど民主党の政治改革推進本部長・岡田克也の国民へのぎょろ目の秋波が気色の悪いことはない。いったん成立させた0増5減法案を反対に回った理由について岡田は、「高裁での判決が0増5減では不十分とした」ことを理由に挙げている。


しかし、これは高裁レベルのしかもエキセントリックな判決を根拠にしており、判決時のマスコミ報道にあきらかに惑わされた結果だ。0増5減批判まで踏み込んだ判決は16判決中3件のみであり、判決の方に無理があるのだ。


加えて岡田は「0増5減ではその後の人口移動で最高裁の指摘した2倍以内にならない」としているがこれは間違いだ。法律では人口変動の反映はあくまで国勢調査の結果に基づくとしており、住民基本台帳は参考にならない。


共産党委員長・志位和夫までが「住民基本台帳では、もう2倍を超えている選挙区が六つもある。0増5減はすでに破綻(はたん)している」と述べているが、共産党も少しは法律を勉強した方がいい。
 

岡田の狙いは一種の扇動ポピュリズムだ。判決を根拠に違憲を声高に主張することで、国民を扇動して参院選を有利に導こうという魂胆が透けて見える。


しかしこの民主党の手法は一度でも政権に就いた党とは思えないほど姑息(こそく)だ。そもそもの経緯を見れば最高裁の違憲判決以来2年間も問題を放置してきたのは民主党である。


少なくとも自民党は0増5減法案を国会提出して対応しようとしてきたが、民主党政権が解散を恐れるあまりに党利党略で引き延ばしをはかり、やっと昨年11月に成立に踏み切ったのだ。それをエキセントリック判決で鬼の首を取ったように反対に回るのは、いくら野党でも卑劣極まりない。
 

だいいち仮に民主党の80減案が今国会で成立しても区割りには1年かかる。秋には最高裁の判決が出るが0増5減すら実現しなかったら、それこそ最高裁まで無効判決を出しかねないのだ。こうした状況は国民の方が理解している。


読売の世論調査では、区割り法案を今国会で成立させるべきだとの回答が65%に上った。衆院の選挙制度の抜本改革案を有識者などによる第三者機関で検討すべきだとする人は75%に達した。民主党の相次ぐ大失政の結果国民の政治への関心はよい方向に転じて、実に政治への監視力が高まっている感が濃厚だ。


つまり新聞をよく読んでいるのだ。全国紙の論調も、とりあえず区割り法案を成立させて事態を一歩前進させ、政党の利害にかかわる抜本改革は選挙制度審議会に図るべきだとの点で全く一致している。
 

民主党はこうした国民の判断すら理解できないようでは、選挙大敗北の脳しんとうが悪化しているとしか思えない。


折から国会は13年度予算案が衆院を通過、焦点は区割り法案に絞られた。岡田は政権側から3分の2で再可決の声が出ていることについて「謝罪して撤回せよ」と声を荒げている。しかし棒を飲んだように審議拒否するなら、渋渋ながらも与党は再議決権を発揮せざるを得まい。


維新も朱に交われば赤くなるだ。悪い見本の民主党を真似て付和雷同すべきではない。与党が審議に徹した上で再議決に踏み切るのなら、今度ばかりは全くやむを得ないことだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月16日

◆市長選惨敗で維新の賞味期限切れ露呈

杉浦 正章


“縮み現象”が鮮明になった

14日投開票された兵庫県伊丹・宝塚両市長選で、日本維新の会の惨敗に終わったことが物語るものは、同党の“縮み現象”である。


安倍政権が安定的支持を維持するのと反比例するかのように維新共同代表・橋下徹の人気が下降、選挙の重圧に耐えられなくなってきたのだ。


要するに浮ついた第3極なるものの出番がなくなりつつあるということだ。これは6月の都議選7月の参院選での不振に直結し、維新を軸とする政界再編は極めて困難になったことを意味する。
 

大阪府外の首長選で初めて公認候補を立て、橋下以下幹部をフルに投入したにもかかわらず、結果は惨敗である。参院選に向けて飛躍を目指した作戦が裏目に出たのだ。


神戸新聞幹部が昔筆者に「大阪とは人種が違う」と漏らしていたことを思い出すが、維新の進出への拒絶反応はこの“人種の違い”に根ざしているところが大きい。大阪の“こてこて”の現実主義に対して、神戸が知的・理性的傾向を持つのだ。


そこに維新が大阪都構想なる者を掲げて乱入、兵庫県知事・井戸敏三をして「領土拡大か」と言わしめるほどの反発を招いた。大阪空港廃港論も猛反発を食らった。こうした地域的な事情は、京都など周辺県にも拡大して行くことが予想される。


加えて問題なのは冒頭述べた維新が抱える“縮み”の流れだ。各種世論調査でも総選挙時より支持率は下降傾向をたどっており、ほぼ半減状態だ。加えて、昨年夏以来メディアが天才的救世主の到来とばかりに騒いだ橋下人気が、ぱたと消えた。まるで筋斗雲(きんとうん)と如意棒をいっぺんに失った孫悟空となったのだ。


なぜ失ったかといえば、ポピュリズムの元祖民主党に懲りた有権者が、やはり究極のポピュリストともいえる橋下を信用しなくなったのだ。もはや橋下1人の人気だけを頼りにして大阪以外の選挙で勝とうとする戦略が甘いのだ。


その傾向は既に総選挙に現れている。維新が小選挙区で圧勝したのは大阪にとどまり、それ以外の選挙区はわずかに旧太陽の党系の平沼赳夫と園田博之しか当選していない。維新54議席の内10議席が小選挙区、後の40議席が比例区当選だ。


この傾向を支持率低下の傾向とあわせ見れば、参院選での圧勝などは夢のまた夢ということになる。維新は「自公の過半数阻止」を旗印にしているが、凋落(ちょうらく)の民主と賞味期限切れの維新では、阻止は難しいだろう。


なぜ賞味期限が切れたかといえば、まず橋下のポピュリズム戦略が飽きられたということだろう。


どぎつい言葉で仮想敵をつくって、その場限りの論戦に勝つという、民放テレビののタレント評論家やコメンテーターのやり口を政治の場に持ち込んでも長続きしないのだ。有権者にはガバナビリティ(被統治能力)が民主党のおかげで育ち始めているのだ。


橋下の神通力喪失に加えて、維新の抱える構造的な問題もある。まず、国会議員団の立ち位置が曖昧模糊としていることだ。もともと自民党を出たものの同党保守派と主張の変わらない旧太陽系は、高齢化が進んで加齢臭ふんぷんの世代だ。革新の気風などどこにも感じられない。


議員団を束ねる共同代表・石原慎太郎は、朝日とのインタビューで「日本は強力な軍事国家になるべきだ。核武装を議論することもこれからの選択肢だ」とついに本音を吐いた。


「軍事国家で核武装」というのは、まさに「日本は北朝鮮になれ」と言っているのと同じだ。石原は維新綱領に現憲法を「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)めた」と書き込ませたが、改憲派も尻込みする“突出”ぶりだ。要するに石原は全く国民感情を掌握出来ていない政治家へと“成長”したのだ。
 

高齢で明らかに極端に走る傾向が一段と濃厚になっており、橋下ではこの“暴走老人”を止める力がない。


この石原を自民党副総裁・高村正彦が15日「『憲法破棄』と言ったら、未来永劫(えいごう)改正できない。私は彼を政治家と思っていない。政治家でない人が心情を吐露しているだけだ」と切った。訪中を前にした、下地作りだろうが言うことは全くもっともだ。
 

こうした大衆迎合型政党は、政権政党に大汚職や大失政がないかぎり居場所を見つけることが困難なのだ。あのロッキード事件で新党結成に成功した新自由クラブは、自民党政権の復調の結果10年で自民へと合流したが、維新の退潮はこれより数段速いテンポで進む感じがする。


学級崩壊が止まらない民主党の議員らも、“逃げ場”を維新に設定することはちゅうちょし始めるだろう。ましてや党を分裂させてまで合流する流れは頓挫だ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月15日

◆「安倍長期政権」が霞ヶ関を完全掌握

杉浦 正章


“サボタージュ”一転“ごますり競争”

民主党政権で“脱官僚”の合い言葉の下に“血祭り”に上げられた、霞ヶ関の官僚が、上も下も競うかのように安倍政権に大接近。まるでごますり競争の観を呈している。「長期政権説」が定着し始めたのが最大の原因だ。


官僚ほど政権の行方に“嗅覚”が鋭い人種はいない。つぶれるとなればすぐに見放すし、長期政権となれば必死になって一角に食い込もうとする。時の政権はこれを活用して政権運営をする。まさに相互利益の相乗効果が久しぶりに安倍政権で発揮されつつある。


その官僚の動物的嗅覚を2002年9月の歴史的な日朝首脳会談実現の立役者となった元外交官・田中均が如実に語った。


13日のテレビで田中は司会者から「いまは北との交渉ができる人がいないのはなぜか」と問われて「1年で代わってゆく政権で誰が真剣に何かを打開しようと思いますか?」と官僚の本音を臆面もなく明らかにした。


田中は霞ヶ関の心理状態について「政治家からひょっとしたらはしごを外されるのではないかと官僚は怖くてしょうがないのだ」といかに官僚が政治家を信頼していないかの“本音”を説明。


さらに自分の北朝鮮との秘密交渉で時の首相小泉純一郎が果たした役割について「小泉首相は秘密交渉に関して確信犯的な人であった。途中でさじを投げ出すようなことは絶対にしないから、交渉する私は楽だった」とも述べた。


総じて発言は官僚がいかに吾が身の保全を第一に考えているかということをはからずも露呈したことになる。


この我が身大事の官僚心理を全く理解しないで、「平成維新だ」(小沢一郎)とばかりに、「脱官僚」という無謀な挑戦をしたのが民主党の3年3か月であった。


まず各省連携の要であった事務次官会議をパーの鳩山由紀夫が廃止してしまった。これで首相官邸と閣僚トップとの絆が壊れた。続いて打ち出したのが事業仕分けなる究極のポピュリズムだ。この実態は官僚いびりであった。


何でも民主党政権を応援したがった朝日新聞が悔し紛れかいまだに「事業仕分け、民主党政権の大いなる遺産」(14日付)と褒めあげているが往生際が悪い。事業仕分け礼賛と原発ゼロの朝日は総選挙で完敗したことがいまだに分かっていない。


その事業仕分けも「パンがなければケーキを食べよ」と言ったマリー・アントワネットのように、とんちんかんな女にスパコン競争を「2位じゃあどうしていけないの」と質問させて馬脚が現れた。要するに無知の上に成り立った「脱官僚宣言」であったのだ。


自民党の場合毎朝の部会、調査会で議員らは必死になって法案、政策を勉強している。そして例えば故山中貞則のように税制に関しては官僚を上回る知識、判断力を持つ議員を登場させた。官僚はこうした政治家には一も二もなく従うのだ。


しかし長屋の熊さん八さんのような議員どもに誇り高いプライドを傷つけられて、「脱官僚だ」とことごとく“いじめ”にかかられては、官僚どもはサボタージュということになる。


例えば外務省は3年3か月の間に何度も事実上のサボタージュをしているとしか思えない現象があった。それを一番象徴したのは2010年の尖閣での中国漁船衝突事件で菅政権がすべてを検事のせいにして船長を釈放した問題だ。なすがままで何の批判もしない。官僚が身を挺していさめたなどという言葉は聞いたことがない。


安倍政権ではその外務省が打って変わったように変わった。安倍とオバマの日米首脳会談には総力を挙げて取り組み、落ち度ゼロを演出した。


他の省庁も活気づいた。原発再稼働で菅直人の横やりとはしご外しに何度もあった経産省も、日米首脳会談で原発ゼロを全面否定した首相・安倍晋三を信頼して、再稼働への準備を着々進めている。


最近霞ヶ関のある中級官僚が明らかにした面白い話がある。安倍政権になってからの霞ヶ関の姿について「幹部は常に大臣の意向にピリピリして大変そうだが、幹部ではない気楽な私が、一国民としての目線で見ると、よい緊張感だと感ずる」そうだ。


どの省庁も、アベノミクスの第3の柱である成長戦略について「この政策で経済成長に貢献できる」という政策の打ち出しに躍起になっているというのだ。


しかしさすがに官僚とあって自民党政権の“圧力”には対処の仕方を心得ている。政策の中身はそう簡単に変えられないものもあるので、説明する言葉を変えたりして工夫しているという。「この3年で失われた○○を取り戻す」と書くのが流行っているのだそうだ。


何となく方針を変えた感じがあってパスしやすいというのだ。だます方もだます方だが、簡単にだまされる方もだらしがない。こうして安倍政権は官僚のサボタージュをおおむね“平定”して、わが世の春を謳歌(おうか)しているのである。筆者の決まり文句の寸前暗黒は当分使えそうもない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月12日

◆ネット選挙初戦は民主党が圧勝

杉浦 正章


山口補選で生き馬の目を抜く
 

参院山口補選は民主党の圧倒的な勝利ーといってもネット活用の選挙運動のことだ。


インターネットを使った選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が、11日の衆院政治倫理・公選法特別委員会で全会一致で可決、月内に成立する見通しとなった。これに目をつけた民主党だけがいち早くホームページを山口補選一色に塗り替えたのだ。


同補選は11日に告示されたから、各政党は追いかけようにも更新はできない。したがってネット選挙だけは民主党の独走を許す結果となった。今後のネット選挙の見本ともなるホームページだ。


ネット選挙というのはこのように、他党を先んじた方が勝ちとなる見本だ。生き馬の目を抜く世界であることを改めて印象づけた。


ネット選挙は次の参院選から適用されるから、山口補選は現行法が適用される。従って選挙期間中のホームページの更新はできない。早い者勝ちであったのだ。民主党のホームページを見ると、民主推薦の平岡秀夫の応援一色だ。


まず動画で党幹事長・細野豪志が応援演説。石原慎太郎の極右改憲路線を批判して、自民党と維新に3分の2議席を与えたら大変だと、平岡への投票を訴えている。なかなかうまい演説だ。


一方平岡も動画で決意表明して、意気込みを表明。ボタンをクリックすると平岡のホームページに移り、さらに詳しく人となりや主張が分かるようになっている。
 

この民主党のホームページに比べると自民党はまるで石器時代だ。やっとみつけた選挙欄では候補者・江島潔の略歴が数行掲載されているだけだ。首相・安倍晋三の総裁としての記者会見も12月25日以来更新がなく、副総裁・高村正彦に至っては9月24日の会見のままだ。


さすがに幹事長・石破茂の会見だけは4月9日のものが掲載されている。総じてネット選挙への対応はゼロだ。これは出だしで民主党にこてんぱんにやられたことになる。これでは先が案じられるが、山口はいまをときめく首相・安倍晋三の地元。まさか負けることはあるまいが。
 

今回の法改正により、政党も候補者も一般有権者もホームページ、ブログ、ツイッター、フェイスブック、動画チャンネルなどを使って「○×候補に投票を」と呼びかけることができるようになった。一般が手軽に選挙運動に参加できる意義は極めて大きく、ネットの伝搬性とも相まって、選挙運動に革命的な効果を生じさせる可能性がある。


一番の変化は候補と有権者の双方向性が成り立つことだ。いままでも小規模の集会などでは双方向性が可能だが、ネットを活用すれば誰もが候補と直接対話することが可能だ。これは公開となるから、第3者も内容を知ることができる。
 

ネット選挙の成否の鍵は「動画」にある。動画でいかに候補者が有権者の心をキャッチできるかがポイントであり、長文の文章などは読まれない。有権者は動画で、主張の内容を知ろうとすると同時に人となりを掌握するのだ。


従っていかに引きつける動画を作るかが鍵となる。ただ漫然と演説会の演説を掲示するだけでは、すぐにスイッチを切られる。いかに短時間に訴求力のある主張をするかだが、これはまさにテレビコマーシャルの世界に近い。ということは宣伝業者の活躍の場が増えたことになる。つまり金がかかるのだ。


さらに自分の選挙運動だけでなく、他候補の「落選運動」も可能となる。「△△候補は絶対に当選させてはならない」といった「落選運動の文書図画」も認められるのだ。もちろん誹謗中傷でなくしっかりとした理由が必要だ。


従って、相手の講演などの動画を入手し、テーマごとに自分の映像を挿入して「論戦」を形成して、最終的には自分が勝つような編集をすることが可能となる。


メールでの「○×候補に投票を」の訴えは、政党と候補者に限られる。一般有権者が不特定多数にメールで投票依頼すると検挙され、禁固2年以下、罰金50万円以下、公民権停止の処分を食らう。
 

実際の選挙となった場合ネット選挙の候補者への負担はかなり重くなることが予想される。細野はその現実について「一日中あちこち回って演説会。夜は9時まで電話で投票依頼、11時頃までやって死んだように寝る。


これにネットが加わるのだから、運動はより厳しくなる。時間の使い方に工夫が必要だ」と述べているが、その通りだろう。移動の車中などでネットにアクセスするしかないだろう。


いずれにせよネット選挙は早い者勝ちの西部劇のような世界が当初は展開することになろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月11日

◆国会は亡国の定数削減競争をするな

杉浦 正章



愚の骨頂のポピュリズムに陥っている
 

衆院の選挙制度抜本改革問題が究極のポピュリズムに陥ってしまった。自民、民主、維新の改革案はいずれも定数の削減数を競っており、民意の吸収が最大の使命である国権の最高機関たる国会の機能が縮減される弊害に目が向いていない。


根底には「政治家無用論」のマスコミに“媚び”を売っているとしか思えない意識が潜在する。自ら無用論に組みしてどうするのか。国会が縮小すれば為政者はより強権を行使できる。極めて危険な方向を向いていると言わざるを得ない。
 

維新の削減数は何と144人減で、小選挙区240、比例区96にするという。その根拠はと言えば「3割削減」という大ざっぱな判断があるだけだ。何でも目立てばいいという共同代表・橋下徹の大衆迎合路線そのままだ。


既に選挙区30、比例区50の削減を主張している民主党は「われわれと極めて近い」(幹事長・細野豪志)と維新にすり寄る構えを見せている。自民党に至っては比例区を30削減し、60の優遇枠を少数政党に設けるという。公明党を抱き込むために1票の価値に差をつけた改革であり、憲法違反の色彩が濃厚だ。


一体なぜ政党が愚かな定数削減競争に陥ったかと言えば、根底に20年にわたるデフレぼけがある。民間企業はリストラに次ぐリストラによる縮小均衡で生存競争をしのいできており、マスコミ、とりわけ大衆におもねる民放テレビが愚かにもその風潮を国会議員に当てはめようとしてきたのだ。


「政治家無能論」を説くことほど視聴率が稼げるものは無い。これが「政治家無用論」と直結するムードを醸成してしまったのだ。
 

しかし政治家は少なくとも、みのもんたよりは有能であることを知らなければならない。しかもOECD加盟34か国中国会議員の数は日本が33番目だ。


人口100万人あたりの議員数ではスエーデンが38人で最多。イギリス22,カナダ12、ドイツ8人といった順で、日本は5人だ。最低は米国の2人だが、これは異常ともいえる。米国の有権者は大統領選に目が行くあまりに、議会への参加権を阻害されていることに気付いていないのだ。
 

明治以来人口は4000万人から1億3000万人に増加したのに議員定数はほとんど変わっていない。国会議員の定数を削減することが、国政にどう響くかだが、削減すれば国会は機能しなくなることが目に見えている。


そもそも政治家の活動とはどういうものかを説明すれば、政権政党である自民党の場合、調査会と部会で法案と政策を決定して上部に上げる構造をとっている。毎朝10を越える調査会や部会が開かれ、ここで審議が行われる。いわば政策特訓の場である。


ところが政権党になれば大臣、政務官などで行政に100人程度が移ることになる。調査会や部会の運営に支障が生じたらどうなるか。あの民主党政権と同じで党論が2分裂3分裂して、政権はにっちもさっちもいかなくなって暗礁に乗り上げるのだ。与党での審議が不十分になれば、それだけきめ細かく民意をくみ上げることはできなくなるのだ。


民間のリストラとは根本的に次元が異なるのだ。国会議員1人にかかる費用は年間1億円だが、その予算などは国家経営においては微々たるものである。削減して民意が反映しない方が弊害が大きいことは目に見えている。


加えて国会のチェックがおろそかになれば、喜ぶのは政府だ。いいかげんな法案、政策がどんどんパスしてしまい、首相は独裁的になり得る危険を秘めるのだ。


おまけに司法の横やりで地方の議員を削るムードが台頭しているが、2倍程度は全くの許容範囲だ。長年筆者が政治家を見る限り、大都会選出の議員より地方選出議員の方が総合力において有能であると断定できる。


先に指摘したように首相の数を人口比で比較すれば東京、大阪、名古屋は極めて少ない。また多様な地方の民意の反映も国政には不可欠である。地方の数だけ削るなら、地方の自治権がバランス上拡大されなければならないが、分権の思想と定数削減は全く結びついていない。
 

従って維新が決めた144人削減案などは、ど素人による究極のポピュリズムの象徴であり、自らの自治権拡大の主張とも逆行する。まさに亡国の定数削減案であろう。


各政党ともどうせ削減など実現するわけがないから、その場しのぎのご都合主義丸出しの削減案を提出する。そして「自ら身を切る案」(自民党幹事長・石破茂)といけしゃあしゃあとテレビで語るが、国民の判断力をなめてはいけない。


もはや小選挙区比例代表制のポピュリズムの弊害ははっきりしたし、政治家が村会議員並みに小粒化する傾向も明らかだ。この際選挙制度を抜本的に改革すべき時である。民間人で構成する第9次選挙制度調査会を早期に発足させて、中選挙区制への復帰を軸に結論を出すべきであろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月10日

◆川柳で馬鹿扱いの3代目

杉浦 正章
 

中国の史書「戦国策」に「乱を以て治を攻むる者は滅ぶ」とある。自分の国を治めることもできないでいる者が政治が行き届いてよく治まっている国を攻めれば、逆に自分の国が滅びることになるという教えだ。


金王朝の刈り上げ殿下・金正恩は、どうもこうした“皇帝教育”を受けずに育ったらしい。もう王朝も3代目ともなると「売り家と唐様で書く3代目」とばかりに、国家・人民を売り飛ばしそうな気配である。よみうり時事川柳には<脅迫文北様で書く三代目>とあった。


ありとあらゆる言葉を使って脅す。休戦協定の破棄など序の口。「ソウルを火の海にする」と宣言し続けて半世紀近くたつが、今度はそれを一挙にワシントンまで広げた。日本も地名を挙げて攻撃対象だ。


“口撃”だけは、父親からしっかり教育を受けていたと見える。その父親は落としどころを知っていたが、豚児はそれを知らない。何をするか分からない秋葉原の通り魔のような不気味さを持つ。<物不足マッチはあるがないポンプ>(読売)で、あちこち火をつけて回っている「愉快犯」の様相でもある。
 

昔から坊ちゃん育ちのやさぐれは、「やるんならやってやろうじゃねえか」とこっちが開き直ると、途端にへなへなとなったものだが、このぼっちゃんは核をおもちゃにしているから始末に負えない。


毎晩<枕辺に核のボタンを置いて寝る>(朝日川柳)のが楽しみなのだそうだ。<ミサイルの寸止めという新戦法>(読売)ならまだいいが、どうも寝ぼけてボタンを押してしまいそうなのだ。それも韓国によると今日やりそうだという。エイプリル・フールはとっくに過ぎたが改めて<危うさに四月馬鹿かと目をこする>(朝日)ということになる。


親分の中国もだらしがない。狂った“殺し屋”みたいな刈り上げ頭ごときに手をこまねいている。国家主席になった習近平も国際社会から自分の能力が問われていることが分かっていない。


熱冷ましの頓服をのませても<正恩に効かない習の解熱剤>(読売)だ。中国は国連の制裁決議も恐らくまともには利かしていないのではないか。中国は北朝鮮問題では一番の“悪”だ。


ここまで金王朝をのさばらせたのは、ひとえに金王朝が倒れて米国の影響下にある国と国境を接したくないという“唯我独尊”の戦略にある。しかし金正恩が核ミサイルを北京に向けることだって十分あり得る情勢になってからでは遅い。


ようやくそれに中国も気付き始めたようでもあるが、薄笑いの習近平はなすがままにしている。援助などすれば<三代目先立つモノを核にする>(読売)となってしまうのだ。みな核に使ってしまうのだ。


要するに金正恩は世界中の目が自分の国に集中するのが面白くてしょうがないのだ。いってみればスター気取りだ。どうみても大きすぎる帽子を被った側近のごますり軍人達も悪い。


ぼっちゃんのすることなすことを褒めそやして、自分の地位にしがみつく競争をやっている。国民が飢えようが、泣こうが知ったことではない。「1年の兵乱は3年の飢饉より祟る」で、そのうちに自らに災難が降りかかることを知らない。


「邪(じゃ)を禁ずるには邪を以てす」というが、北が核を使えば、米国は確実に核で報復する。恫喝と核とミサイルだけにしがみついて、ひたすら亡国の道をたどるしか、金王朝に残された選択肢はないのだろうか。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月09日

◆米、「同害報復作戦」を展開へ

杉浦 正章



北の攻撃に対応


「金正恩第1書記が最後の攻撃命令を下すなら、侵略者たちを火のるつぼに放り込む」と指導部が表明する限りにおいては、北朝鮮の米韓日攻撃準備は整ったのだろう。


本当に戦端を切るかどうかはまだ不明だが、あとは金正恩の命令を待つばかりの状態であると推定される。


まさに狂気の沙汰の臨戦態勢だが米国は「目には目を歯には歯を」の“同害報復作戦”を展開すると7日のニューヨークタイムズが報じた。「対話はすべて失敗」(元国務次官補・カートキャンベル)状態であり、まさに一触即発の状態で事態は推移している。
 

10日にもと予想されている北のミサイル発射がこれまでと著しく異なるのは、落下海域の発表がない事である。それどころか韓国、ハワイ、グアム、日本まで特定して核ミサイルを打ち込むと脅迫している。


ここまで言われて、黙視する国は世界中にない。政府が7日にミサイル破壊措置命令を出したのも当然のことである。具体的内容を公表しないのは、事態を準戦時下ととらえ。敵に手の内を明らかにしないためであろう。


恐らく日米韓3国は具体的な軍事行動の役割分担まで調整しているに違いない。官房長官・菅義偉が、米国に向かうミサイルに日本が集団的自衛権を行使しない方針を明らかにしたのは、米国が独自の警戒網を敷くからに他ならない。


現に米軍はイージス艦の日本海配備などを完了している。米本土に向かうミサイルは下北半島東側に配備したイージス艦で対処する。グアム近海にもイージス艦を配備したことがわかった。
 

3国間の軍事行動は極秘裏に計画が練られているが、その一端をニューヨークタイムズ紙が7日報じている。
内容は、 過剰報復を抑制するために、同程度の仕返しをする思想である「同害報復」を基調としている。


同紙によるとまず、通常兵器による砲撃などには、攻撃源に同様の砲撃を行う。延坪島攻撃の際は、韓国軍は出遅れて対応がもたついたが、今回は万全の反撃態勢を敷いている。


次にミサイルが発射された場合には、数秒以内に軌道が計算できるからその計算結果に基づく判断が下される。韓国、日本、グアムに向かえば撃墜する。同紙は触れていないがその場合は同時にミサイルで同規模の攻撃が加えられるのだろう。


軌道計算の結果公海に向けての発射であれば、日本上空を通過しても対応は取らない。さらに同紙によれば発射台への先制攻撃は核弾頭が装備されているという確認がある場合に行われる。


これも同紙は報じていないが、核攻撃がある場合には当然核ミサイルや核爆撃機で報復するだろう。米韓合同演習で核搭載可能なステルス爆撃機や戦闘機などを展開しているのはそのために他ならない。
 

こうした「目には目を」型の報復作戦を米国が固めた背景には、北へのけん制であることはもちろん、韓国が過剰反応して全面戦争に突入する事への懸念があるためのようだ。


ニューヨークタイムズ紙は米政府高官が「本当の危険は韓国の過剰反応だ。我々はこの問題に対処している」と漏らしている。


当然日本はこの基本線を受けて行動をすることになるが、報復は米韓に委ねて、もっぱら飛び来る火の粉を打ち払う迎撃作戦に徹することになろう。ミサイル攻撃には迎撃態勢を確立して臨むことになる。
 

しかし、このような狂気の指導者の下に狂気の戦時体制に入った国に対処するのに、“専守防衛”などという生ぬるいことは言っていられないのが現実だ。


中距離ミサイル・ムスダンは今のところ2基が配備されているだけだが、過去20年にわたって改良を重ねたテポドンは100基以上が実戦配備されており、確実に日本に届く。


首相・安倍晋三は早期に敵基地攻撃能力を確立するとともに、米国へのICBMも撃墜する集団的自衛権の行使に踏み切るべきであろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)