2013年04月10日

◆川柳で馬鹿扱いの3代目

杉浦 正章
 

中国の史書「戦国策」に「乱を以て治を攻むる者は滅ぶ」とある。自分の国を治めることもできないでいる者が政治が行き届いてよく治まっている国を攻めれば、逆に自分の国が滅びることになるという教えだ。


金王朝の刈り上げ殿下・金正恩は、どうもこうした“皇帝教育”を受けずに育ったらしい。もう王朝も3代目ともなると「売り家と唐様で書く3代目」とばかりに、国家・人民を売り飛ばしそうな気配である。よみうり時事川柳には<脅迫文北様で書く三代目>とあった。


ありとあらゆる言葉を使って脅す。休戦協定の破棄など序の口。「ソウルを火の海にする」と宣言し続けて半世紀近くたつが、今度はそれを一挙にワシントンまで広げた。日本も地名を挙げて攻撃対象だ。


“口撃”だけは、父親からしっかり教育を受けていたと見える。その父親は落としどころを知っていたが、豚児はそれを知らない。何をするか分からない秋葉原の通り魔のような不気味さを持つ。<物不足マッチはあるがないポンプ>(読売)で、あちこち火をつけて回っている「愉快犯」の様相でもある。
 

昔から坊ちゃん育ちのやさぐれは、「やるんならやってやろうじゃねえか」とこっちが開き直ると、途端にへなへなとなったものだが、このぼっちゃんは核をおもちゃにしているから始末に負えない。


毎晩<枕辺に核のボタンを置いて寝る>(朝日川柳)のが楽しみなのだそうだ。<ミサイルの寸止めという新戦法>(読売)ならまだいいが、どうも寝ぼけてボタンを押してしまいそうなのだ。それも韓国によると今日やりそうだという。エイプリル・フールはとっくに過ぎたが改めて<危うさに四月馬鹿かと目をこする>(朝日)ということになる。


親分の中国もだらしがない。狂った“殺し屋”みたいな刈り上げ頭ごときに手をこまねいている。国家主席になった習近平も国際社会から自分の能力が問われていることが分かっていない。


熱冷ましの頓服をのませても<正恩に効かない習の解熱剤>(読売)だ。中国は国連の制裁決議も恐らくまともには利かしていないのではないか。中国は北朝鮮問題では一番の“悪”だ。


ここまで金王朝をのさばらせたのは、ひとえに金王朝が倒れて米国の影響下にある国と国境を接したくないという“唯我独尊”の戦略にある。しかし金正恩が核ミサイルを北京に向けることだって十分あり得る情勢になってからでは遅い。


ようやくそれに中国も気付き始めたようでもあるが、薄笑いの習近平はなすがままにしている。援助などすれば<三代目先立つモノを核にする>(読売)となってしまうのだ。みな核に使ってしまうのだ。


要するに金正恩は世界中の目が自分の国に集中するのが面白くてしょうがないのだ。いってみればスター気取りだ。どうみても大きすぎる帽子を被った側近のごますり軍人達も悪い。


ぼっちゃんのすることなすことを褒めそやして、自分の地位にしがみつく競争をやっている。国民が飢えようが、泣こうが知ったことではない。「1年の兵乱は3年の飢饉より祟る」で、そのうちに自らに災難が降りかかることを知らない。


「邪(じゃ)を禁ずるには邪を以てす」というが、北が核を使えば、米国は確実に核で報復する。恫喝と核とミサイルだけにしがみついて、ひたすら亡国の道をたどるしか、金王朝に残された選択肢はないのだろうか。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月09日

◆米、「同害報復作戦」を展開へ

杉浦 正章



北の攻撃に対応


「金正恩第1書記が最後の攻撃命令を下すなら、侵略者たちを火のるつぼに放り込む」と指導部が表明する限りにおいては、北朝鮮の米韓日攻撃準備は整ったのだろう。


本当に戦端を切るかどうかはまだ不明だが、あとは金正恩の命令を待つばかりの状態であると推定される。


まさに狂気の沙汰の臨戦態勢だが米国は「目には目を歯には歯を」の“同害報復作戦”を展開すると7日のニューヨークタイムズが報じた。「対話はすべて失敗」(元国務次官補・カートキャンベル)状態であり、まさに一触即発の状態で事態は推移している。
 

10日にもと予想されている北のミサイル発射がこれまでと著しく異なるのは、落下海域の発表がない事である。それどころか韓国、ハワイ、グアム、日本まで特定して核ミサイルを打ち込むと脅迫している。


ここまで言われて、黙視する国は世界中にない。政府が7日にミサイル破壊措置命令を出したのも当然のことである。具体的内容を公表しないのは、事態を準戦時下ととらえ。敵に手の内を明らかにしないためであろう。


恐らく日米韓3国は具体的な軍事行動の役割分担まで調整しているに違いない。官房長官・菅義偉が、米国に向かうミサイルに日本が集団的自衛権を行使しない方針を明らかにしたのは、米国が独自の警戒網を敷くからに他ならない。


現に米軍はイージス艦の日本海配備などを完了している。米本土に向かうミサイルは下北半島東側に配備したイージス艦で対処する。グアム近海にもイージス艦を配備したことがわかった。
 

3国間の軍事行動は極秘裏に計画が練られているが、その一端をニューヨークタイムズ紙が7日報じている。
内容は、 過剰報復を抑制するために、同程度の仕返しをする思想である「同害報復」を基調としている。


同紙によるとまず、通常兵器による砲撃などには、攻撃源に同様の砲撃を行う。延坪島攻撃の際は、韓国軍は出遅れて対応がもたついたが、今回は万全の反撃態勢を敷いている。


次にミサイルが発射された場合には、数秒以内に軌道が計算できるからその計算結果に基づく判断が下される。韓国、日本、グアムに向かえば撃墜する。同紙は触れていないがその場合は同時にミサイルで同規模の攻撃が加えられるのだろう。


軌道計算の結果公海に向けての発射であれば、日本上空を通過しても対応は取らない。さらに同紙によれば発射台への先制攻撃は核弾頭が装備されているという確認がある場合に行われる。


これも同紙は報じていないが、核攻撃がある場合には当然核ミサイルや核爆撃機で報復するだろう。米韓合同演習で核搭載可能なステルス爆撃機や戦闘機などを展開しているのはそのために他ならない。
 

こうした「目には目を」型の報復作戦を米国が固めた背景には、北へのけん制であることはもちろん、韓国が過剰反応して全面戦争に突入する事への懸念があるためのようだ。


ニューヨークタイムズ紙は米政府高官が「本当の危険は韓国の過剰反応だ。我々はこの問題に対処している」と漏らしている。


当然日本はこの基本線を受けて行動をすることになるが、報復は米韓に委ねて、もっぱら飛び来る火の粉を打ち払う迎撃作戦に徹することになろう。ミサイル攻撃には迎撃態勢を確立して臨むことになる。
 

しかし、このような狂気の指導者の下に狂気の戦時体制に入った国に対処するのに、“専守防衛”などという生ぬるいことは言っていられないのが現実だ。


中距離ミサイル・ムスダンは今のところ2基が配備されているだけだが、過去20年にわたって改良を重ねたテポドンは100基以上が実戦配備されており、確実に日本に届く。


首相・安倍晋三は早期に敵基地攻撃能力を確立するとともに、米国へのICBMも撃墜する集団的自衛権の行使に踏み切るべきであろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月08日

◆小沢さん、やっぱり政権は夢物語だ

杉浦 正章



もう別荘で釣りがよい
 

船橋競馬で3連単で史上最高19万倍の1900万円が出たことがあるが、賭けてもいい。「小沢の政権獲得」率は25万倍くらいだ。あり得ない。政治家というのは因果な家業で、尾羽打ち枯らしても、決して認めてはならない。


「やるやる詐欺」と言われようが常にやる気を見せていなければ、完全に見放される。だから小沢一郎は6日「もう一度同志を糾合し、政権を目指すのは夢物語ではない。次の衆院選挙で政権交代を目指す」と述べたのだ。
 

もちろん小沢は、当選以来44年の政治家人生が、誰が見てもそろそろ幕引き段階にさしかかっていることなどおくびにも出さない。小沢の政治家人生は自分だけでなく、他人を道連れにした人生だ。側近と言われる人が自民党時代から何人居ただろうか。


政党を作っては壊し、派閥を作っては壊してきたのと同じように、小沢の側近は、「歌手1年側近1年の使い捨て」であった。小沢の側近として“栄える”のはせいぜい1〜2年だ。こうして100人を下だらぬ国会議員が使い捨てにされてきた。
 

使い捨てにする方もする方だが、される方も自業自得ではある。なぜ側近を最後には疎んじ遠ざけるかだが、「側近に忠誠を競わせた結果だ」という見方がある。しかしこれは甘い。政治家は所詮競うのが商売であり、競った結果遠ざけられるのなら生存競争に負けただけだ。


むしろかって小沢が「あまり近寄られすぎるとうざったい」と漏らしたことがある。ここがポイントだ。小沢は政治家が接近しすぎて、思考方法まで察知されて、先を読まれることを極単に嫌う政治家であったのだ。他人に手の内を読まれるのが、肌が粟立つほど嫌いなのだ。小沢は生来の孤独の人なのだ。
 

こうして側近を使い捨てにして生きてきた小沢の政治も、12年には完全に行き詰まった。民主党離党に追い詰められて小政党の党首になったのはいいが、判断力が落ちた。


起死回生と打った手段が、脱原発を利用した女性知事との連携、新党結成である。滋賀県知事・嘉田由紀子をうまいこと持ち上げて、選挙に挑んだが壊滅的な大敗北。


ただちに褒めそやした嘉田を切って、生活の党を立ち上げたが、その勢力は衆院7議席、参院8議席。ちなみに政党支持率は各社ともゼロか限りなくゼロに近い。やっと首がつながっているという状況だ。
 

その小沢が復活のチャンスとみているのが地元岩手の参院選挙だ。自民党は総務会長代理・二階俊博が潜行して民主党離党の前復興相・平野達男を推す動きに出たが、幹事長・石破茂の猛反対に遭ってつぶれそうだ。


自民党は予定通り慶大ラグビー部前監督・田中真一を立てる流れとなっている。平野は「勝手連でも選挙を戦う」と一歩も退かない構えを見せている。


これをみた小沢は6日、岩手入りして「岩手選挙区においても、同志を擁立して戦う予定なので、力強いご支援を重ねてお願い申し上げる」と生活から候補を立てる方針を表明。三つどもえの激戦を宣言したのだ。
 

小沢にしてみればいわば自陣での戦いであり、「小沢一郎ここにあり」の存在感を示す最大のチャンスととらえたのだ。小沢側は平野と田中で票が割れるので、固い小沢票が有利になると判断している。しかし、岩手の現状を見れば小沢王国の崩壊は現実のものとなっている。


総選挙では自民党が4議席を奪回、民主2議席、生活2議席という結果だ。選挙区での小沢離れは急速に進んでいるうえに、岩手でも自民党人気はかってなく高いのが実情だ。しかし、参院選最大の激戦区となることは間違いない。
 

小沢は「こういう時は中央では何をしゃべっても記事にされないから地方からやる。地方では私の発言はまだ地元紙が大きく扱ってくれる」と述べている。田中角栄が「政治家は上流から下流へが基本だ」と教えたのを忠実に守っている。上流の農村部から下流の都市部に向かって攻めるのだ。


しかし、ここにきて小沢は「行け行けどんどん」の人生哲学を変え始めたようにも見える。その兆候の一つは資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる控訴審判決公判で、元秘書3人が再び有罪判決を受けたが、上告を断念したのだ。これまでの小沢だったら最後まで戦うのに、珍しく「退く」ことを選択したのだ。
 

加えてかねてから「老後は沖縄で魚釣りでもして暮らしたい」と述べていた小沢は、沖縄県宜野座村に別荘を建築中なのだ。海岸近くの岬に瀟洒(しょうしゃ)な別荘の全貌が見え始めている。


カジキマグロを狙ったトローリングから、別荘近くでのアジなど小魚釣りまで楽しめる。もう一度同志を糾合して政権を目指すという発言とは逆を行く流れだ。


政界は小泉進次カが小沢を「倒そうとしなくてもいずれ倒れる。過去の人と戦っても自民党は変わらない」と述べているように、はやく「過去の人」にしたいのだ。小沢は「過去の人」になるか、「夢よもう一度」を実現するかのはざまで揺れているのだろうが、取り巻く現実は「過去の人」的になってきた。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月05日

◆一朝有事なら集団的自衛権行使は不可避

杉浦 正章



北ミサイルに“ほおかむり”は許されない


「無慈悲な作戦が決定されたことをホワイトハウスとペンタゴンに通告する」と北がついに米国に核攻撃作戦の通告だ。


日本海側の舞水端里(ムスダンリ)には核搭載可能な中距離ミサイル・ムスダンが配備された。米国も無視するわけにもいかずグアムへのミサイル防衛システムTHAAD(サード)配備を決めた。何をするか分からない狂気の人物には目をこらして“注目”を怠らないのは日本でも武道の常識。


しかし政府筋によれば表には出ないが、米韓両国は、徹底的な反撃作戦を準備しているという。また戦時となれば安倍は直ちに集団的自衛権の行使に踏み切らざるを得まい。
 

狂気の沙汰の北の戦争準備はエスカレートの一方だ。3月6日、アメリカへの核ミサイルによる攻撃に言及したのに始まり、11日には朝鮮戦争の休戦協定の「白紙化」を一方的に宣言。


軍のミサイル部隊が「1号戦闘勤務態勢」に入るとして、横須賀、三沢、沖縄のアメリカ軍基地の名前も出して、「われわれの射撃圏内にある」と威嚇した。まさに金正恩は「撃つぞ撃つぞ」と脅しまくり、言いたい放題の状況にある。


ピストルやドスを相手に突きつけ恐喝する「やくざ国家」そのものだが、逆にドスは太った金正恩の脇腹に突きつけられていることが分かっていない.。唯一の戦争熟練大国米国が手をこまねいていることはありえない。


その一端が3日付の韓国東亜日報が報じた極秘情報に現れている。半島有事の際に北朝鮮の核施設を制圧する専門部隊が在韓米軍に新設されたのだ。北との戦争に際して核ミサイル・爆弾の押収、確保はもちろん、プルトニウムやウランなど核関連物質や技術が第3国やテロ組織に渡るのを防ぐ秘密作戦部隊だ。


現在進行中の米韓合同演習キー・リゾルブでも部隊の訓練が行われたという。また政府専門家筋によると、米韓両軍の巡航ミサイルの照準はあらゆるロケット施設はおろか、金正恩本人、その先祖の金ぴかの銅像にまで向ける訓練が度々実施されているという。当然巡航ミサイルの照準は舞水端里も対象にしている。
 

韓国は、照準が自国に向けられた段階で、先制攻撃でミサイル基地を叩く可能性が高い。同時に38度線からソウルに打ち込むであろう通常兵器を壊滅させる作戦を展開する。


北が核を使用したと判明すれば米軍は小型戦術核の使用も視野に入れるだろう。これまで日本政府は米韓と連絡を密接に取りながらも、北の挑発には乗らない事実上の“だんまり”作戦を取り続けている。刃物を持った気違いは米韓の“警察”に任せるというのが基本方針のように見える。


しかし、ミサイルが飛び交う事態となればほおかむりは許されまい。つまりグアムやアラスカに向かうミサイルをイージス艦がそこにいながら、無視するのは不可能に近い。無視すれば米国特派員は「ジャップが無視」と書き、日米同盟は崩壊する。


当然安倍は集団的自衛権の行使を迫られる。戦端が開かれたら、安倍は直ちに集団的自衛権の行使を宣言することにならざるを得まい。内閣法制局の憲法解釈を首相権限で変えるのだ。
 

こうした戦争準備は黙って、極秘裏に行うべきものであり、本気でやるなら金正恩のようにすべてをしゃべってしまうのは愚の骨頂であろう。だからこそ、金正恩の発言には欺瞞(ぎまん)性が存在するのだ。


いくら北が愚かでも、ろくろくありもしない核兵器を使って戦端を開き、ミサイルやステルス爆撃機による核の洗礼を受けることに思いが届かないわけがないのだ。したがって本格的戦争はあり得ない。あるとすれば延坪島砲撃事件のような地域限定攻撃であり、韓国軍がこれに応戦する“紛争”的な事態にとどまるだろう。
 

従ってムスダンがグアムやアラスカを狙い撃ちにする事もまずない。恐らく先に指摘したように金日成生誕101年の15日ごろに日時と着弾海域を通告した上で“実験”する程度になるのではないか。キー・リゾルブが4月いっぱいで終了すれば、金正恩の遠吠えも静かになるだろう。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年04月04日

◆民主はまるで“馬糞の川流れ”状態だ

杉浦 正章


離党者続出でばらけはじめた
 

民主党がまるで川に捨てられた馬糞のようにばらけて流れ出した。政界ではこれを古くから「馬糞の川流れ」と称する。「崩壊過程に入った」とする声も出始めた。


逆に牛糞は川に流すと固まる。自民党は牛糞で作った筏(いかだ)の如く大河の主流を制して征(ゆ)くのである。民主党は参院選を控えて、難破船から逃げ出すネズミがちょろちょろ出始めたと思ったら、今度は自民党の“工作”が利いて、閣僚経験者まで離党。無能な執行部はなすすべを知らない。


貧すれば鈍するで、民主党の国会質問は代表・海江田万里も幹事長・細野豪志も迫力に欠け、ピントも外れて聞くに堪えない。党幹部に“次善の選択”をするしかなかったことが、響きに響いている。


参院議員・小西洋之のように、憲法を逐条的に取り上げて、その内容を首相・安倍晋三に質すという、愚劣極まりない質問者も現れた。どうしてこんな党になってしまったのか。
 

もともと民主党は虚構の上に成り立っていたのだ。自民党から社会党左派までかき集めた寄り合い所帯であり、選挙互助会であった。これが政権党になりたい一心で固まり、鳩山由紀夫、小沢一郎、菅直人による3頭立て馬車のトロイカが成立した。


09年の選挙はこれに、でたらめのマニフェストが加わり、国民をだましにだまして圧勝した。しかしすぐに馬脚は現れた。トロイカは「とろいか?」でとても一国をまとめられる人材ではなかったのだ。


「トラストミー。最低でも県外」の鳩山。西松献金で限りなく黒に近い小沢。尖閣衝突事件で国を売り、原発事故を加速させた管。最後にまともな首相・野田佳彦が出たが、時既に遅しだった。
 

総括の党大会では報告書で「マニフェストは実現性を欠いた」「官僚との意思疎通を欠いた」と反省。「政権担当能力を身につけ再生するのは容易ではない」と締めくくったが、事の重大さを三流評論家の他人事のように形容して何になるかだ。


こうした中で党内には参院選は民主党では戦えないという空気が横溢し始めた。それもそうだ。政党支持率は読売を例に取れば、自民党45%に対して民主党はたったの5%。9分の1であり、他社の調査も同様の傾向を示している。北九州市議選では第4党に転落した。共産党よりも下だ。
 

3年3か月の民主党政治の体たらくに対して、国民の怒りはおさまっていないのだ。こうして新年になってまず補正予算の参院での採決を巡って離党者が出て、同予算は難なく成立。ねじれの解消現象である。


こうした中で前復興相・平野達男の離党だ。直感的に自民党の働きかけがあると見て、調べると案の定だ。二階俊博が1月から離党の根回しをしていた。自民党としてはにっくき小沢の牙城である岩手を突き崩すチャンスと見たのだ。平野は自民党の刺客となったのだ。


こうして総選挙以来5人目の離党者が出た。民主党執行部は見せしめのために“除名”にしたが、平野は馬糞から外されても、牛糞があるから何の痛痒も感じない。現在民主党は84議席、自民党は83議席。選挙を待たずに逆転する可能性がある。
 

せめて参院選挙では、野党が一致して戦わない限り自民党圧勝の流れは変わらないが、いまの執行部にその根回しをできる人物はいない。民主・みんな・維新の選挙協力ができなければ一人区は勝てない。二人区も維新は自民票を狙うというより、民主票の突き崩しを狙っており、既にみんなと選挙協力を実現させた。


細野はもう選挙協力は無理とみたか、石原慎太郎ペースの改憲綱領に難癖をつけ「憲法観が異なる」と述べて、維新との参院選での共闘を断念する方針を表明した。


ところが維新の国会議員団幹事長・松野頼久から2日、「もともと選挙協力の話はしていない。別々の政党なので、それぞれの立場で戦うのは当たり前」と切り返されては、ぎゃふんとならざるを得まい。
 

逆に維新共同代表・橋下徹から「民主党は憲法を改正すべきかをはっきりすべきであり、改正すべきだと考えている人とは1つにまとまるべきだ」と持ちかけられた。改憲論者は党を割って維新と合流せよとの誘いである。


改憲勢力が合流となれば、ネズミが逃げ出している現状とは異なる。前原誠司や野田佳彦の顔がすぐに浮かぶが、彼らが動けば一挙に政界再編へと発展するのだ。こうして馬糞の流れは川に融け込んでしまいそうになってきている。


最近成長著しいが故に、代表・渡辺喜美からいじめられているみんなの幹事長・江田憲司が「民主党は崩壊過程だ。頑張ってもまた政権交代の一方の雄になれる状況認識にはない」と切り捨てているが、もっともである。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月03日

◆極限の緊張で金正恩は何を狙うか

杉浦 正章



本格戦争の構えにはない
 

北朝鮮最高指導者・金正恩が狂ったように全軍に戦闘態勢入りを繰り返す。米韓どころか日本まで核攻撃の恫喝だ。このままだと本当に朝鮮戦争に突入しかねない側面がある。韓国大統領・朴槿恵も「挑発があれば政治的考慮なしに反撃」を指示。まさに一触即発とはこのことのように見える。


しかし、まず本格戦争はない。金正恩は米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」をフルに活用して全軍掌握の動きを展開しているに過ぎない。過去にゲリラ的な急襲は成功しているが、米韓両軍が待ち構えているところに、戦端を開く度胸はない。
 

とにかく気違いに刃物だ。異常な指導者にはこの形容しかない。戦略ロケット軍を「一号戦闘勤務態勢」なるものに突入させ、引き金を引けばミサイル発射の準備を完了。全軍に米国をミサイル攻撃できるよう待機せよと指示。


30日には「南北関係は戦時状況に入った」とまるで開戦時の大本営発表だ。加えて6者協議で合意した停止原子炉の再稼働まで表明した。


しかし米軍によると、軍隊が戦争準備に入るような動きは見せていない。ではなにか。人間の心理状況はそう複雑に考えない方がいい。まず第一に刈り上げ頭の坊ちゃんは“怖い”のだ。だから負け犬の遠吠えのように吠えまくるのだ。
 

というのも3月11日に始まった米韓軍事演習に米軍は核搭載可能のB2ステルス爆撃機や最新鋭のF22ステルス戦闘機、B52戦略爆撃機などを参加させ、核の恫喝には核で対応する姿勢をはっきりさせた。イージス艦と巨大な海上配備型Xバンドレーダー(SBX)も朝鮮半島方向に移動させた。


まさに西部劇でワイヤット・アープ が相手の抜くのを待っている状況を作り上げたのだ。金正恩の脳裏にはフセイン、ビンラディン、カダフィの末路がよぎる。ひしひしと身の危険を感じざるを得ない状況が出来上がったのだ。


加えて朴槿恵はきつい。まるで極東のサッチャーのようである。戦争を辞さない姿勢を鮮明にさせて、だだっ子に甘い誤算を与えない。「挑発があれば他の政治的考慮を一切せず、直ちに強力に対応する」と宣言した。


2010年の哨戒艦撃沈、延坪島砲撃事件を経験している韓国は、確実に攻撃には攻撃を持って対処する態勢を確立した。軍は「新たな攻撃があれば金日成、金正日の銅像や金正恩第1書記を攻撃の標的にする」と発表した。


巡航ミサイルやステルス戦闘機でピンポイントに、“元凶”は倒せるのだ。さすがに韓国は勘所を押さえている。銅像はいずれ民主革命で倒れるが、先に攻撃で倒せば北の国民は崇拝の対象を失う。北にとってこれほど自らの国の置かれた立場が分かることはないのだ。
 

北の攻撃に対応した反撃を米韓が断行した場合、中国がどう出るかだが、これは黙視するしかあるまい。既に中国は2月には北への石油供給をストップさせたといわれており、度重なるミサイル・核実験に怒りは心頭に発している。


本格戦争にならない限りは、表だった対応はしまい。中国も米韓軍事演習の規模には恐らく目を見張っているに違いない。間違いなく圧力を感じている。


金正恩が“怖い”のに加えて、何を考えているかと言えば、合同演習を活用して全軍の緊張を極限まで高めることにある。緊張をなぜ高めるかと言えば、これも簡単だ。掌握するためだ。


最高指導者になって1年、国民は飢え、経済政策はなにも打ち出し得ていない。逆に国連の制裁による包囲網の輪はじわじわと効いてくる。不満はうっ積する一方だ。全軍を掌握しない限りやがて吾が身に危険が訪れる。まず求心力を確保する必要に迫られているのだ。


したがって強いリーダーを誇示するために、吠えて吠えて吠えまくるのだ。そして米国を交渉のテーブルに引き寄せ、“核大国”同志の“対等の交渉”で平和条約にまでこぎ着けたいのだ。


一方、米国の関心が朝鮮半島情勢にこれほど高まったことは最近ない。国務省や国防省の記者会見では質問が集中、CNNやABCもトップ扱いで報じている。米国の軍事演習への肩入れは二つの側面がある。


一つは北の“誤算”へのけん制である。間違っても韓国や日本に対してミサイルを発射するな。発射すればこうなるという図式を合同演習で北に示しているのだ。


もう一つは同盟国韓国と日本との信頼関係確立だ。国防費の削減で生じている不安感の払拭でもある。またこれは極めて重要なポイントだが、韓国の独断的な軍事行動を押さえる側面があることも見逃せない。
 

とにかく気違いの刃物は、押さえ込まれつつあるのが実態だろう。しかし何をするか分からない国であることは確かだ。とりわけ過去に金正恩は、延坪島攻撃で指揮を執っている。4月15日は金日成の誕生日だ。煽りにあおった軍の士気を維持するためにはミサイル実験か核実験をするかもしれない。


また津波警報馴れのように油断していると、異常なる“狼少年”は何をしでかすかわからないことだけは念頭に置いておく必要がある。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月02日

◆安倍は再可決してでも0増5減を実現せよ

杉浦 正章


民主党ポピュリズムの再燃に踊らされるな
 

一般には分かりにくい衆院の選挙制度に関する与党と民主党の攻防を読み解けば、抜本改革は両方とも実現性に乏しく相打ちでつぶれる流れだ。


残る0増5減の区割り見直し法案については、民主党が昨年末の自公民公約を見事に裏切って反対に回り、阻止に動く構図だ。衆院は0増5減が可決されても、参院で否決される可能性が出てきた。


しかし世論の大勢は0増5減先行処理だ。ここは何でも反対党に“先祖返り”した民主党にかまっているときではない。政府・与党はたとえ参院で否決されても衆院で3分の2の多数で再可決による成立にこぎ着けるべきだ。
 

とにかく、選挙制度を巡る論議は、与野党共に国民をいかに“だます”かが先走っており、不愉快極まりない。民主党にだまされたおかげで、近ごろの国民はガバナビリティ(被統治能力)が養われてきており、そこいらの三流政治家の姑息(こそく)な対応はすぐに見破られるのだ。


見破れない場合は、当ブログが見破るのだ。政党トリッキーのナンバー1は、最高裁の違憲判決が求めているのは「1票の格差是正」であって、選挙制度の抜本改革ではない。それにもかかわらず民主党が「80人減らします」と言えば、自民党が「30人減らす」という、ピントの外れた「身を切る改革合戦」に走ってしまっていることだ。


だれも数が多いからけしからんと言っているものはいない。議員1人年間1億円程度は国家にとって「必要経費」である。多様な民意を反映するには現行の定数程度は必要だ。
 

抜本改革の中身を見れば、自民党案は「比例を30議席削減し、削減後の定数150のうち、90議席は従来通りの方式で全党に比例配分する。残りの60議席は2位以下の政党だけで比例配分する」という内容。


これは比例1位の政党に投票した1票の価値が、2位以下が優遇されることにより低下することを意味しており、憲法違反は明白だ。まさに「違憲判決」に「違憲改革」で対処するという荒唐無稽(むけい)の内容だ。
 

一方で民主党は、小選挙区で30、比例代表で50の定数を削減し、小選挙区は「1人別枠」を完全に廃止して厳密に人口比例で配分するとの新たな案を国会に提出するという。総数80人の“人身御供”を差し出しますというのだ。


確かに民主党に多いポピュリストはいない方がいいが、先の選挙で多くが落選して、いまの数は56人。しかも離党の波はまだ消えていない。その民主党が自分の数より多い、80人も減らすと言っても、他党が「おっしゃるとおり」となるわけがない。説得力がないのだ。


「他人の懐に手を突っ込むな」と言われるのがオチ。できもしないマニュフェストで国民を欺いて罰を食らったことをもう忘れて、今度はできもしない選挙制度改革で国民に“媚び”を売る。この政党の“ビョーキ”は慢性化で全治不能かもしれない。ようするに自民案も民主案も抜本改革案は、互いに批判し合っても目くそ鼻くそを笑うの類いだ。
 

さらに民主党の犯した二重の誤ちが0増5減に反対に転じたことだ。0増5減については昨年春に首相・野田佳彦が賛成したにもかかわらず、当時の幹事長・輿石東が解散を恐れて先延ばしにして、結局年末に法案が3党合意に基づき成立した。


しかし、このポピュリズム政党は高裁判決で「時こそ至れり」と判断、またまた大誤算をした。社会部ペースで新聞紙面に踊る「違憲」「無効」の文字に飛び付いて、「これはいける」と思ったに違いない。


その最大の根拠は11年の判決で最高裁が示した「全都道府県にあらかじめ1議席を配分する1人別枠方式が格差の要因」とする判断を、札幌高裁などが「実態は別枠が維持されている」と批判したことにある。細野はこれで鬼の首を取ったように「また最高裁で違憲判決が出る」と主張して、80減に固執しているのだ。
 

しかし考えてみるがよい。突出した「無効判決」などは言うに及ばず、0増5減までを違憲と示唆する判断は極めて少数である。だいいち年末の法改正で1人別枠は除去されている。最高裁が0増5減を成立させて以降も司法の介入になるような「田舎の目立ちたがり判決」を維持するとはとうてい思えない。


民主党が最後に頼りにすべきマスコミも読売や毎日が社説で0増5減を裏切った民主党の批判に回った。論調の方向は0増5減先行処理だ。民主党はセンセーショナルな当初の新聞や民放の報道だけを判断材料にする主体性の無さを露呈して、置いてけぼりを食らったのだ。


要するに、当初から指摘しているように政党の利害が衝突する抜本改革と格差是正は別物であり、分けて考えるべきなのだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年04月01日

◆石原の極右改憲路線でイメージダウン

杉浦 正章


マスコミに維新叩きの兆候


改憲論のみんなの党代表・渡辺喜美が「このレトリックを聞いて思わず後ずさりした」と述べ、維新との合流を否定した。まさに共同代表・石原慎太郎“丸出し”の改憲綱領が党大会で採択されたのだ。


「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正する」と石原路線を臆面もなく表明している。いくら何でも現行憲法の平和主義思想までも根本から否定する極右国粋主義的な改憲論には驚かざるを得ない。


朝日は社説で初めて維新切り捨ての論調を展開した。維新はこの綱領により“敵”を作った。おそらくこの綱領では参院選挙は戦えまい。
 

筆者が総選挙直後に「維新のピークは終わった。今後支持率は下がり続ける」と予測したとおり、支持率は下降する一方だ。時事の定点調査でも1月4.6%、2月3.3%、3月2.0%と半減している。


焦ったか共同代表・橋下徹は最近タレント弁護士時代の古巣の「行列の出来る法律相談事務所」(日本テレビ)に5年ぶりに出演するなど、テレビの活用に懸命だが、もう維新は賞味期限が切れつつあるのかもしれない。
 

なぜかと言えば、政界は1強3弱の構図が一層定着してきたからだ。何よりも自公政権の内政・外交が国民の圧倒的支持を得て、維新、みんな、民主は出る幕がない状態だ。橋下は「いまの自民党は既得権だ。既得権の打破と政治機構を換える体制を作る」と訴えたが、「既得権」 とはなにか。


いかにも側近の学者や3流評論家が使いそうな文言だ。その受け売りだろうが、国政を担当すればすべて既得権かと言いたい。アベノミクス、普天間移設、TPPが既得権か。むしろ停滞政治の打破ではないか。


一方で橋下は盟友の首相・安倍晋三について「どんどん輝いてきた」と持ち上げた。大会の演説で10数回にわたって安倍の名前に言及した。よほど心酔しているのだろうが、その逆に自民党に対しては「参議院選挙で自民・公明両党の過半数を阻止できるかどうかが、分水嶺(れい)だ」と切り捨てた。それでありながら「参院選で改憲勢力3分の2を目指す」だ。
 

まるで聞いている方が股割きを食らうような言葉の羅列だ。この大矛盾に至るのはすべてが橋下特有のテレビタレント性に起因する。


民間テレビでは発言の整合性は求められない。整合性よりも無責任な瞬間的なインパクトをどう表現するかが重要なのだ。茶の間の興味さえ引けば何を言ってもよい。その習癖が橋下発言の軽さとなって常に現れる。


原発再稼働反対が、すぐに賛成。日銀総裁人事も「反対」で注目を浴びたが、その後は議員団の賛成に妥協した。その場限りの言っただけでは、政治の世界ではリーダーとして通用しない。政治家はその発言が生命であることを知らないのだ。


じりじりと支持率が減少傾向を辿るのも無理はない。橋下の簡易投稿サイト・ツイッターのフォロワー(閲覧者)が31日夜100万人を突破したが、支持率には全く反映していない。


なぜかと言えば整合性がなく、テレビのコメンテーターの発言と同じで、政治家としては異例の“強烈”な言葉の羅列を“聞き流して”いるに過ぎないからだろう。
 

加えて石原の健康不安だ。もともと石原の存在は支持率にはそれほどの影響を与えていない。なぜなら総選挙での「東の大敗」がそれを物語っているからだ。


党大会のテレビ対談や記者会見に現れた石原を詳細に観察すれば、まず6月の都議選や7月の参院選挙には応援には立てまい。対談ではぺらぺらと、とりとめもない長広舌を展開、橋下はまるでインタビュアーの様相であった。注目すべきは右手がけいれんの如く絶え間なく動いていたことだ。


知人の医者によると、脳梗塞の後遺症である可能性が高いという。記者会見には護衛官に支えられて登場、歩行困難を思わせた。ぎりぎり一杯の“肩肘張り”をしてみせたが、これが限界だろう。石原が橋下に参院選出馬を促したのも、自分がまとめていく自信のなさが現れたとも受け取れる。
 

石原の存在感は日日薄れ、遅かれ早かれ橋下と旧太陽系の議員団との食い違いは増大傾向を辿るだろう。加えて冒頭に紹介したドラスティックな改憲路線は有権者の間で不安感を増大させる。


右寄りは安倍までで十分であり、最終的には原爆保有、徴兵制まで行く石原の極右国粋主義路線への改憲を国民は求めていない。朝日は社説で「平和主義を含む憲法の全面否定であり、とうてい容認できない。」と切り捨てた。


これは護憲路線をひた走る朝日が維新と対峙したことを意味する。朝日は今後「参院における3分の2阻止」の論調を展開するだろう。当然民放のニュース報道も影響を受ける。


こうして維新は、橋下がいくらジタバタしても、支持率がマイナスに動き続け、盛り返すことは困難だろう。参院は2人区でみんなとの共闘が実現して、民主党を食う流れだが、1人区で自民党に食い込むには、民主・維新・みんなの共闘が不可欠だ。


しかし今どき民主と組む政党はいまい。従って自公の過半数阻止は難しいだろう。むしろ維新は選挙後は改憲への補完勢力としての役割を果たすにとどまるだろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年03月29日

◆石原入院長期化で維新“きしみ”増大

杉浦 正章

 

政界流動化・再編の兆しも
 
まだどうなるかは断定できないが、石原慎太郎が共同代表としての機能を果たせなくなると言うことは、日本維新の会の国会におけるたがが外れるということだ。


たがが外れれば共同代表・橋下徹の大阪系と国会議員団代表・平沼赳夫中心の旧太陽系の亀裂が強まり、逆に民主党の前原誠司らとの合流の流れも出てきやすくなる。


永田町では政界は維新を軸に再編含みで推移しかねないとの見方が広がっている。その場合、民主党元代表の前原誠司の動きが一番注目される。石原の長期入院がもたらす影響は大きい。
 

慎太郎の入院の経過を見ると、政界大物の最後の入院劇と同じパターンを辿っている。たいていが風邪で入院だ。池田勇人の場合は「前がん症状」だったが、咽喉がん。大平正芳の場合は不整脈だったが心筋梗塞といった具合だ。発表などはまるで当てにならない。


石原の場合怪しいのは2月22日に入院して、分かったのは3月2日だ。風邪なら隠すことはないのにひた隠しにしていた証拠だ。その後3月4日に橋下が電話して通常に会話している。


同19日に平沼が「近々復帰される」と22日の本会議に出席する方針を明らかにしたが、実現せず。最近は「今週いっぱい入院。30日の党大会に出席」が「党大会出席延期」だ。この大阪での党大会に出席出来ないことは、今後の石原の病状を占うキーポイントであるかもしれない。
 

このように揺れに揺れているのはなぜか。まず確かなのは、冗談だが「まだ生きている」ことだろう。いくら「石原天皇」でもいまどき秦の始皇帝のように1か月も死亡を隠せるはずはない。


しかし永田町には脳梗塞説や膵臓がん説といった際どい情報が流れている。元首相・菅直人が小ずるいことに「脳梗塞だってぇ」と、尋ねるようにして情報を流布したという説もある。


だが、病気の詮索などはどうでもよい。まず政治家は動けるかどうかで判断することが先だ。それではどのような状況下で「生きている」かだが、強気と弱気のまだら状態ではないか。「よし、出かけるぞ」と言ったかと思うと「やっぱりやめた」の繰り返しだ。


これが情報を錯綜させているのだ。2月12日の衆院予算委の代表質問を最後に「精神的に燃え尽きた」可能性がある。
 

80歳の石原はかねてから「命ある限り暴走老人でいく」と述べ、しきりに寿命が長くないことを自ら示唆するとも受け取れる発言を繰り返している。


維新の前宮崎県知事・東国原英夫に至っては「石原さんが最初に銛(もり)先になって行く、死んでも行くとおっしゃったから、たぶん、あと数年の命だと思う。」と、いくら石原が嫌いでも“失礼”すぎる発言をしているが、何か情報があったのかも知れない。


週刊新潮が28日報じた中で一番信用出来る部分は、親友で首都大学学長・高橋宏の発言だ。高橋は3月10日に電話して、石原と話をした。石原は「気の合う何人かで酒飲んで学生時代の歌でも歌いたい」と述べていたという。極めて弱気になっていることが浮き彫りとなる。


高橋は「あいつは落ち込んでいて『都知事を辞めたのは間違いだった』と述べていた」「いまは男の美学というか引き際のタイミングを計っているのではないか」とまで述べている。要するに石原は親友には初めて本音で“泣き”を見せたのだ。
 

こうした報道が明らかになった28日、永田町では維新分裂説や政界再編説が一挙に流布し始めた。もともと維新には大阪系と旧太陽系の構造的な対立がある。橋下が内弁慶で大阪にとどまっているから、締まりが利かないのだ。


総選挙後も維新の要職は旧太陽系がほぼ独占した。最近では日銀総裁人事で橋下が反対を唱えて、国会議員団と衝突。もっと深刻なのは選挙制度をめぐって、橋下が小選挙区制を主張しているにもかかわらず、太陽系の園田博が中選挙区案を決定して、抜き差しならぬ対立の側面を見せ始めている。
 

橋下にしてみれば、「西は橋下、東は石原」で選挙をやってみたものの、石原効果は全く生ぜず、大きな誤算を経験した。しかし国会議員団を束ねるには石原の“重し”が不可欠であった。その石原が“男の美学”で引き際を模索しているようでは、たがを一から締め直さなければならない。


永田町ではいまドラスティックな再編構想がささやかれている。橋下が太陽系を切って、民主党の前原系を取り込もうとしているというのだ。前原が手勢を連れて維新と合流するというのだ。


これに前首相・野田佳彦も乗るかも知れないという説までがまことしやかに語られている。前原は否定しているが、棺桶に片足を突っ込んでいる民主党にいては展望は開けない。橋下が呼びかける以上、踏み切った方がいいことは間違いない。
 

いま維新は衆参で57人、このうち太陽系は17人。太陽系は老人ばかりでイメージが暗く、維新の革新気風とは全く相容れないが、前原が合流すれば、イメージが一新される可能性がある。


このような情報が流れる背景には、石原が政治的には“死に体”とみなされ始めた証拠である。落ち目になると風雲児石原が懐かしくなるが、毎度繰り返すとおり、尖閣の火付け役で晩節を汚した。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年03月28日

◆区割り理想主義は政治を壊す

杉浦 正章



民主は0増5減から逃げるな
 
広島高裁の無効判決を即時に「恣意的な突出判決」と書いて孤軍奮闘しようと思っていたら、百万の援軍が来た。読売が27日付社説で無効判決を「無責任」、即時無効判決を「乱暴すぎる」と真っ向から批判した。


さすがにナベツネ王国だけあって、バランスのある判断をする。そもそもマスコミの裁判所担当は社会部であり、社会部は「政治家は悪」の思い込みが激しく、逆に裁判官の声は「天の声」と無批判に押し頂き崇拝する習癖がある。


だから編集局長が愚鈍だと社会部席巻の紙面となる。ほとんどの新聞・テレビがこの傾向を見せたが、さすがに読売は平衡感覚がある。
 

自民党からも判決を下した二人の裁判官に対して「時々おかしな判断をする種族だから」という声が漏れ聞こえる。たしかに、裁判官は時に“法匪”となる傾向がある。法匪とは法律を詭弁的に解釈して、自分に都合のいい結果を得ようとする者だ。


裁判所も一時これを反省して、マスコミに判事を「研修」に出したことがあった。しかしおかしな判断の「種族」が違憲判決を出した14人中2人もいることは、一般社会のおかしな人の割合より格段に高い。困ったものだ。
 

最大の注目点は14の違憲判決の中で1票の格差について何倍までが合憲かときっちり指摘できたケースがない事だ。うやむやのままどんぶり勘定で判断を出せることだろうか。


先に指摘したように76年と85年の最高裁の違憲判決では格差が4倍から6倍もあったのに、「無効」判決はなかった。司法は国権の最高機関たる国会に対して抑制的であったのだ。


「100万の援軍」には山梨県知事・横内正明も参加してくれた。法務副大臣の経験もある横内は「地方は人材を育成して大都市に送っている。大都市が存続するためにも地方は必要不可欠で、地方を大切にするべきだ」と述べている。まさに至言である。我が国の政治にとって地方はまさに人材の宝庫である。


明治以降62人の首相のうち人口密集の大都会出身の政治家は人口比で見て極めて少ない。単純に多い順で山口8人、東京5人、岩手4人、鹿児島3人、大阪2人といった具合だ。首相の出ていない県は、兵庫、奈良、和歌山、鳥取で、その他の県は一人は出している。東京は戦後は菅直人しか出していない。


大震災への対応を間違え、“偉大なる”鳩山由紀夫に次ぐ失政連発首相である。狡っ辛い大都市は、狡っ辛い政治家を生み、大政治家の養成に適さないのだ。従って格差を1倍などにしようものなら、東京や大阪、名古屋出身の馬鹿政治家ばかりが輩出して、我が国政界は手の施しようがなくなる。区割り理想主義は政治を壊すのだ。
 

裁判官はこうした政治のイロハを身につけて、バランスある判断をすべきであり、「1倍」達成を意識した「無責任」判決を出してマスコミにはやされて悦に入っているときではない。


従って、政治の対応は、昨年暮れの与野党合意に基づく「0増5減」で、格差を2倍以下に抑えることで十分だ。28日に政権与党は0増5減法案の提出と早期成立の方針を決める。野党もこれに賛同すべきである。


判断力のない政党はマスコミの“顔色”を見て、方針を決めるが、民主党がその筆頭になりつつある。前副総理・岡田克也がはやくも0増5減に反対ののろしを上げている。正式な与野党合意を踏みにじってまでも、マスコミの顔色をうかがう姿勢は卑しい。


自民党総務会長・野田聖子が「理想を言い出せば切りがない。限られた国会の日程の中でできることをしっかり果たす」と、述べている姿勢が正しい。
 

ただ幹事長・石破茂の選挙制度改革に関する発言には引っかかる。比例30減の案についてテレビで「わが党が一番減る。それでもやるというのは自民党は変わった。自分たちがたとえ損してもやるという案は見識だ」と自画自賛している。


何も知らない国民はだまされる。自民党案などは野党の反対で成立するわけがない。それを承知の上での発言なのだ。ぐちゃぐちゃになって、結局選挙制度審議会任せにする所が落ちだろう。石破や公明党がいつ本音を吐くかが見物だ。


ぐちゃぐちゃになったあと必ず本音を吐く。おまけにここは定数減競争で、バナナのたたき売りをする場面ではない。格差の是正が求められているのであり、場当たり的な定数減とは基本的な方向が違うのだ。


さらなる問題は自民党案が公明党優遇を狙って比例区1位への投票の一部をを2位以下に回すことだ。かねてから指摘しているように、優遇枠の設定は、「1票の価値の平等」という観点から憲法違反の疑いが濃い。


まるで違憲判決に違憲選挙制度で対処する様相であり、誰が見ても噴飯物なのだ。石破は政治をごまかしてはいけない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年03月27日

◆仲井間は普天間移転の原点に戻れ

杉浦 正章

 
マスコミの感情論に流されるな


もともと沖縄県知事・仲井間弘多は、焦点の普天間移転に賛成であった。それがなぜ豹変したかと言えば、一にかかって愚かなる鳩山由紀夫の「海外、最低でも県外」発言にある。これを活用する形で仲井間は10年に再選を果たしたのだ。


しかし、極東情勢は尖閣問題と北の核実験で急変しつつある。日米安保体制に揺らぎが生ずることはいまや危険極まりないものとなっており、一自治体の長であっても、大局を見逃してはならない。


原点は普天間の危険から住民を守ることにあったはずだ。仲井間は要求を拡大せず、感情論でなく時代を見据えた対応を取るべきであり、すべてを「鳩山以前」に戻して、埋め立てに同意すべきだ。
 

防衛省が22日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う公有水面埋め立てを沖縄県に申請した。これを受けて仲井間は今後10か月前後で容認かどうかの結論を出す。


仲井間は県外移転を主張しているものの、即座に反対の発言はせず、「内容をチェックして判断するには8カ月から10カ月かかる。それを経て承認するか、しないかということになる」と一応賛否には踏み込まない姿勢を示している。


だが、現実には仲井間は身動き不能状態に置かれているのであり、いかに鳩山の“放火”が罪深いものであるかを物語るものとなっている。


しかし、仲井間は本当の政治家ならここは原点に立ち返る努力をすべき時である。原点とはまずそもそもの仲井間の立ち位置は普天間移転で当選してきているのだ。


2006年の沖縄県知事選挙に、自民・公明の推薦で当選。2010年11月の知事選は、自民党、公明党・みんなの党の推薦を受け当選している。支持母体が長年普天間移転で沖縄に根回しを続け、民主党政権が打ち壊さなければ、知事も国も移設容認寸前までいっていたはずの話しなのである。


2008年に米軍兵士が暴行・強姦容疑で逮捕された事件でも、仲井間は普天間移設計画には「全く影響しない」と語っているのだ。
 

仲井間の当初の判断の背景には、明らかに沖縄全体の負担減があった。なぜなら普天間移設構想は人口密集地から少ない地域への移設であり、沖縄の悲願でもある。移設と連動して海兵隊の一部のグアム移転が進められ、加えて嘉手納以南の米軍施設の統合整理が実現する。


浦添市の牧港などの先行返還も期待される。紛れもない負担減が沖縄全体で実現するのであり、大きな利益となるものだ。繰り返すがそれをぶちこわしたのが無責任極まりない鳩山発言である。これが感情論を呼び起こし、マスコミに付け入る隙を作った。


もともと現地の琉球新報と沖縄タイムズは、住民への“扇動競争”で生き延びてきている。元防衛相・小池百合子が26日、「戦っている相手は沖縄のメディア。むしろ沖縄のメディアの言っていることが本当に県民をすべて代表しているとは、私ははっきり言って思いません」と述べているが、まさに勇気ある至言だ。


これに朝日新聞が加わっている。その論調は感情論をかき立て、日本のよって立つ基盤である日米安保体制などは眼中にない。
 

著しい例が23日付の朝日社説だ。これこそ感情論の権化のような稚拙な社説であった。さわりを紹介すれば「安倍政権は米国への配慮を重ねながら、沖縄の人々の心情を軽視しているとしか思えない」と感情論を臆面もなく打ち出した。


加えて「政府の小手先の対応で県民が容認に転じるとは考えにくい。知事が『ノー』と言ったとき、その責任を、首相は自ら取る覚悟はあるのか」と開き直りの恫喝だ。怒りを臆面もなく前面に出しているが、そこには説得力がない。


なぜないかと言えば、あえて触れない重要ポイントがあるからだ。尖閣や北の核実験をめぐる極東の危機、かつての仲井間の容認論、民主党政権の大失政、普天間自体の危機的状態の解決策、嘉手納以南の返還の利益、漁協など地元の賛成論など都合が悪いものには一切触れていない。


失敗したときの首相に退陣を迫っているが、朝日は原発ゼロを煽ったものの、総選挙で有権者が逆の原発容認の選択をしたことをあいまいのまま放置している。その責任を取って社長が辞任したかと言いたい。


要するに、沖縄は地政学上の軍事要衝なのであり、何をしでかすか分からない隣国が複数存在する限りにおいては、自治体の長も住民も甘受せざるをえない宿命を負っている。一朝有事の際に本土から出撃していては間に合わないのである。国家あっての自治体であり、いまこそこれを直視しなければならない時なのである。


72歳の仲井間は軽い脳溢血を起こしたり、胆石の手術をしたり、その心身の疲労は耐えがたいものがあるのだろう。立場は同情してもあまりある。


しかし、自ら選んで知事に再選された以上は、矮小(わいしょう)な感情論を排して中央の政治家でも困難な大局的な判断をすべき時だ。


まず最初に原点の「普天間移転ありき」の判断でことを一歩前進させ、歴史に名をとどめるべきである。国と自治体の将来に向けて私利私欲なしの“最後のご奉公”をするときだ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2013年03月26日

◆広島高裁判決は最高裁では維持されない

杉浦 正章

 

恣意的な突出無効判断

いやはや訴訟を起こした弁護士も「勝訴」の垂れ幕も用意せず、「無効のときのコメントは用意していなかった」と述べるほどの 予想外の判決であった。


「違憲かつ無効」とは、まるで昨年の総選挙がクーデターであったとい言わんばかりである。この判決を下した広島高裁裁判長・筏津(いかだつ)順子の顔が見たくなって、ネットを検索したが、ヒステリーとも思えない顔をしていた。ごついが温和そうなフツーのおばさんであった。


しかし戦後初の無効判決は、明らかに突出している。したがって最高裁判決では維持されないだろう。判決は1高裁の「警告」でしかない。それも恣意的な目立ちたがり判決の性格を持つ。政府・与党は、0増5減法案を早く成立させるだけだ。


政治的に見れば広島1区と2区の該当議員は明らかにとばっちりを受けた。両区とも1票の格差は最高裁の判決で違憲とされた2.3倍より遙かに低く、外相・岸田文男の1区で1.54倍、2区は1.92倍だ。合憲の範囲内で選挙をやって「無効」にされたのではたまるまい。


最高裁がこれまで76年と85年の違憲判決で「無効」と断じなかったのは、違憲性は区割り自体にあり、当該選挙区の議員だけが割を食うのは避けたいという判断があったからだ。2区の平口洋が「無効というのはちょっと踏み込みすぎではないか」と不満を述べるのももっともだ。


それどころか自民党内には「 到底受け入れられない不当判決」「国会の独立性を揺るがしかねない行為だ」という批判が生じている。このあたりが本音だ。


最高裁がこれまで「無効」と判断しなかったのは、裁判官の間で司法は国権の最高機関たる国会に対して抑制的に対処すべきと言う思想が定着していたからに他ならない。当時は中選挙区制だったが格差は4倍から5倍もあり、計算方法によっては6倍に達した例もあった。にもかかわらず抑制的であったのだ。


今回の場合、たかがとは言わないが、2.3倍であり、それも昨年末の与野党合意で0増5減法案が成立、これに基づき28日には衆院議員選挙区画定審議会から区割り見直し案が勧告される予定だ。これに基づいて政府・与党は法案を早期に提出、成立を図る段取りになっている。


高裁判決に対して最高裁がどう出るかだが、「突出判決」を維持する流れではない。最高裁が無効判決を出す場合は、1選挙区の違憲性の判断ではなく、区割り全体の違憲性を判断するから、訴訟全選挙区を無効にするというのが一般的な見方だ。


そうなれば、安倍は解散に踏み切らざるを得ないことになり、せっかく安定軌道に乗ろうとしている国政が大渋滞する。さすがに地方の裁判官の近視眼的な判断ではなく、最高裁判事ともなれば“偉い”のだ。正確に言うと総合判断力があるのだ。だから「広島踏み込みすぎ判決」はまず99%維持されない。


政府・与党はもたもたしているときではない。“偉い”最高裁判事の心証を良くするためにはとりあえず、0増5減を早く成立させることが肝要だ。


面白いのは、小沢一郎が、一連の違憲判決を見て首相・安倍晋三が「好機ととらえて夏に衆参ダブル選挙があり得る」という情報を流していたかと思ったら、また党首で発言する者が出てきた。みんなの代表・渡辺喜美が「衆参ダブル選挙も考えなくてはいけない」と述べているという。


自民党支持率40%。内閣支持率70%。いまダブルをやれば自民党単独で300議席突破。相乗効果で参院のねじれも一挙に解消する。まさに絶好の機会ではあるが政治は奇道を選んではならない。


大道を選ぶべきだ。渡辺の軽さは広島高裁の判決に勝るとも劣らない。まさに鴻毛のごとしだ。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2013年03月25日

◆「安倍長期政権」の予感

杉浦 正章


破竹の勢いVs馬糞の川流れ
 

首相・安倍晋三の「野党は10年待て」発言が、早くも自民党政権の“増長の兆し”を示しているが、まだ当分その反動が表だって生じる気配にはない。総じて政権は破竹の勢いである。民主党は脳しんとうのまま、意識は回復しないかもしれない。


野党は馬糞の川流れでばらばらである。マスコミは朝日新聞などが隙あらばと狙っているが、経済が上り調子の政権にはその隙がない。石の上にも3年とはよく言った。臥薪嘗胆3年3か月の歳月が長期政権への基盤を醸成していたのだ。
 

安倍は「運も実力のうち」と述べているが、たしかにアベノミクスは大当たりに当たった。なぜ当たったかといえば、国民が20年ものデフレに飽き飽きしていたからだ。


とりわけ3年3か月の民主党政権は経済への無知蒙昧(もうまい)ぶりをさらけだし、極左政党でも考える“景気の好転”などという文字は自らの辞書から消去してしまっていた。そこに安倍が一年間かけて準備をした景気対策を打ち出したのだ。あの懐かしい自民党の景気対策だ。市場には干天の慈雨のごとくに映った。


「嘘でもいい。“上げ”が欲しい」と市場は飛び付いた。そして嘘から出た誠のように現状が推移しているのだ。民主党の元官房長官・枝野幸男をして「われわれなりに蓄積をしてきた部分はあるけれども、自民党の蓄積とは比べものにならない。自民党はうまい。」と驚嘆したのももっともだ。


経済に加えて安倍がラッキーなのは、悪役を演ずる“外国”の存在である。国家主席に就任した習近平は、就任前から外なる敵を日本に設定して軍部を引き締める動きを展開した。愚昧の見本である右翼・石原慎太郎が火をつけた結果、尖閣問題をフルに活用させてしまったのだ。


習にしてみれば汚職蔓延、貧富の格差拡大、国民の不満爆発寸前の共産党1党独裁体制の“危機”を救ってくれる由一無二の手段が尖閣問題であったのだ。こうして主席となった習は今後ことあるごとに国内向けに「尖閣カード」を切り札に使うだろう。しかし本格戦争には乗り出さない。


現在の中国の海軍力では、自衛隊を相手にしただけでも壊滅的打撃を食らうからだ。一時的にせよ負ければ、それこそ体制の危機が訪れる。だから尖閣問題は「叫べども戦わず」が基本なのだ。
 

この習の基本姿勢は、保守化路線をひた走る安倍にとってはすべてプラスに“逆用”できる。減少し続けた自衛隊予算の増加、憲法改正、集団的自衛権の行使、普天間基地の辺野古への移転など、重要懸案にはことごとくプラスに働くのだ。


そして破竹の勢いが一番顕著な部分は、支持率になって現れる。内閣支持率70%だけでも大変なものだが、自民党支持率が40%というのは驚がくの数字である。いうまでもなくアベノミクスと尖閣問題が国民世論にプラスの反映をもたらしていることになる。“嫌な外国”の存在が国民の憎悪感を外部に向かわせているのだ。
 

問題は経済と外交・安保におけるこのペースが長続きするかどうかだが、予見しうる将来にわたって崩壊する芽は生じていない。民主党政権があの体たらくで首相を代えながらも3年3か月持ったのは、最初に取った308議席の“貯金”があったからだ。


過去の自民党政権では沖縄返還選挙での佐藤栄作、死んだふり解散の中曽根康弘、郵政解散の小泉純一郎などいずれも300議席前後を取った宰相が、長期政権を達成している。安倍は294議席を獲得した。政権維持にとっての決定的要素は「300議席前後」がキーワードになると言ってもよい。


加えてかつて安倍が自ら作った衆参ねじれを7月の参院選挙で解消すれば、破竹の勢いは継続することになる。党内的にも「安倍降ろし」は生じようがない。


さらに民主党政権が反面教師になって、国民のガバナビリティ(被統治能力)を向上させた側面が大きい。この政党を選べば、このように国民生活に跳ね返るという政治の本質を国民が“学習”したのだ。


かねてから国民は馬鹿な民放ニュース番組、タブロイド版や週刊誌などへの対応はそれなりに軽蔑を伴った目で一段と軽く見るようにはなっている。しかし、今回の学習効果は朝日新聞などもろ手を挙げて民主党政権を礼賛、政権交代を煽った“高級メディア”に対しても発揮される傾向が大きいと見る。


原発反対の朝日の主張が、選挙結果にまるで反映せず惨憺たる結果に終わったことが顕著に物語る。国民の見る目が養われれば、安易な政権交代は控える流れが主流となり、安倍政権にはプラスに作用するのだ。いま一番危険なのは冒頭指摘したように政権の“慢心”だけであろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)