2017年03月02日

◆グローバリズムの否定で「強い米国」は無理

杉浦 正章



財源なき唯我独尊路線では迷走不可避
 

トランプの施政方針演説を聴いて
 

議会のしっぺ返しがブーメランとなって帰ってくることを予感させる演説であった。CNNの調査では米国民は8割が好感を持って迎えたが、感情に訴える“演出”に惑わされたに違いない。総じて米国民は人がよい。トランプの施政方針演説の内容を精査すればするほど、アンチ・グローバリズムの保護主義と唯我独尊が目立ち、実施に移せば短期では“目くらまし”できても、長期的には米国のみならず世界の経済秩序に大きな影響を及ばさざるを得まい。


1兆ドルの公共投資と法人税の大減税は、民主党が伝統的に主張する大きな政府と、共和党の小さな政府がトランプ演説の中で相反して存在する矛盾を露呈している。おまけに財源は見えず、予算が組めるのかという疑問すら抱かせる。議会がこれに目を付けないわけがなく、予算案をめぐりトランプは対議会交渉で厳しい局面に立たされるだろう。
 

対日関係については、かつて中国、メキシコと同列においた貿易批判は影を潜めた。逆に「最も緊密な同盟国の中にも、数十年前には、世界大戦で敵と味方に分かれて戦った相手がいる。こうした歴史は、世界がよりよい場所になる可能性があると信じる根拠を与えてくれる」と、日米蜜月を強調している。首相・安倍晋三のトランプへの“先物買い”が効を奏したことになる。


しかし一方で名指しは避けたものの「われわれのパートナーは、財政面での義務も負わなくてはならない。われわれは、NATO、中東、太平洋の地域を問わず、パートナーに対して、戦略、そして軍事の両面において、直接的で意味のある役割を担い、公平に負担するよう求める」と言明した。これはNATOに対してGDP比2%への軍事費増額を求めたのと同様に、日本にも将来求めてくる可能性を示唆している。日本は名指しされなかったが中国は「中国が2001年にWTOに加盟してから、6万もの工場がなくなった。去年の貿易赤字は8000億ドル近くに達した。」と名指しで批判されている。
 

冒頭指摘したように矛盾の最たるものは経済政策だ。「インフラ整備に1兆ドルを投資する法案の承認を要請する。官民の資本から拠出され、数百万の雇用を生み出す。」と言明したことに加えて、減税政策を実施して、財源がどうなるかとの疑問がすぐに生ずる。トランプは「法人税減税のための歴史的な税制改革を策定中だ。企業がどこでも、どんな相手とでも競争し、成功を収めることができるようにする。同時に、中間層に対しても大規模な減税を実施する。」と言明した。


今回は数字を述べなかったがロイターとのインタビューでは、法人税を現在の35%から「15%から20%までの間までさげることを目標にする」と表明している。海外にモノを売って得た収益の課税を免除する国境税を「支持する」とも明言している。さらにに加えて国防費も「私は議会に、軍を再建し、国防費の削減をやめ、アメリカ史上最大の規模となる国防費を増額する予算を要請する。」と述べた。その規模については、事前に「10%540億ドル(約6兆円)」」と述べている。
 

いったいこれだけの大盤振る舞いを何でまかなおうとしているのだろうか。国務省予算や環境予算や海外援助の削減だろうか。また国境税だろうか。このうち国境税については輸入税を増加させて、輸出税を減少させることを考えており、10年間で1兆数千億ドル増収となるとされる。これは航空機産業など輸出に依存する大企業にはプラスに作用するが、輸入で生きている企業はどうなるかということだ。


当然物価は高騰して消費は減少する。金利は上昇して住宅ローンは組めなくなる。ホワイトハウスとは常に共同歩調を取ってきた連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャネット・イエレンが「財政収支が持続可能であることを望む」と悲鳴を上げるのも無理からぬところであろう。


このトランプによるグローバリズムの否定は、長期的には保護主義そのものであり、世界貿易機関(WTO)の基本理念に背くばかりではなく、米国自身の景気悪化を招くブーメランとなることは自明の理である。また本人が唱える「強いアメリカ」への道筋を迷路にしてしまいかねないのだ。
 

演説でトランプは失業者の増加に度々言及、「南部の国境沿いに巨大な壁の建設をまもなく始める」と述べたが、失業者など現在の米国には存在しないに等しい。失業率4.7%の数字は、紛れもなく米国では、希望するものが職を得られる完全雇用を意味している。トランプが何度も主張することで、ちまたに失業者があふれているような印象を受けるが、これはトランプが選挙戦のために作った幻影にすぎない。


要するに演説は選挙演説と同様に、はったりと、独断と、矛盾に満ちたものであるのだ。オバマケアを真っ向から否定しても、それに代わる医療保険制度は提示できないままである。無責任と言わざるを得まい。
 

演説中は共和党席が拍手とスタンディングオベーションを繰り返したが、民主党席はしらけて座ったままで好対照であった。よく言うよと思ったのはトランプが「不和と分断のくさびを打ち込むのではなく、協力と信頼の橋をかけなければならない」と分断に言及した点である。


さらにトランプは「われわれが政策において分断された国であるかもしれない一方で、あらゆる形の憎悪や悪意を非難することにおいては一致団結する国であることを改めて思い出させる」とも述べた。これは自らが国の分断を招き、主要都市では反トランプデモがとどまることなく続き、メディアの“総スカン”を食らっていることを無視する唯我独尊にほかならない。大体トランプは演説の際、右側の民主党席は見ず、拍手をする左側の共和党ばかりを見て演説を続けたが、これこそ分断の象徴でなくて何であろうか。
 

トランプに対して野党・民主党を代表してスティーブ・ベシアが全米に向けてテレビ演説して、「大統領が自分の思いどおりにならないからといって司法やメディア、それに情報機関や一市民を攻撃することはわれわれの民主主義を破壊しているようなものだ」と痛烈に批判。「トランプ氏みずからの言動で国の分断を深めている」と指摘したのはもっともだ。今後来年11月の中間選挙に向けて対立色を強めることは確実だ。


共和党も拍手とスタンディングオベーションは“ご祝儀”的な側面もあり、議会対策はは極めて難航するだろ
う。

         <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2017年03月01日

◆「北」抑圧のカギは米国が握る

〜“米中連携”の様相だが〜

杉浦 正章



金正恩は化学兵器使用で世界的に孤立
 

韓国民全員を殺傷してもあまりある化学兵器を保有する北朝鮮が、これを金正男暗殺に使ったことが、金正恩の大誤算になりつつある。事件がピストルや刃物であったら、衝撃はより少なかったであろうが、原爆に匹敵する殺傷力を持つVX兵器をあえて暗殺に使ったことは、金正日が、禁断の領域に踏み込んだことを意味している。


暗殺手法は、パズーカ砲や最近では高射砲まで使って要人の処刑を断行してきた紛れもない異常性格者のこれまでの手口をそのまま反映したものだ。金の直接指示があったことなどは言うまでもないことだ。


さすがに中国も黙っていられなくなった。石炭年内輸入禁止という北の態勢を崩しかねない瀬戸際政策を打ち出した。米国もトランプが「オバマは北朝鮮を甘やかせてきた」と、何やらすごんでいる。トランプは自らの政権批判に集中するマスコミや国民の目を海外にそらす絶好のチャンスでもある。北にもっとも大きな影響力を持つ米中両国が“連携”ともみえる動きを開始したのだ。
 

北朝鮮の化学兵器保有量は25種、2500〜5000トンにのぼる。米国、ロシアに続き世界第3位だ。韓国国民を全員殺傷しても余る量だ。炭疽菌など生物兵器も13種もある。北朝鮮はこのような生物化学兵器工場を17持っている。韓国の新聞は「より大きな問題は、北朝鮮が有事の際はもとより、平時にも生物化学兵器で韓国の要人暗殺や社会混乱を引き起こす危険性が高いということだ。」と戦慄すべき見方をしている。油断すれば、日本でも同様のテロが発生しうると見なければなるまい。
 

こうした事態を深刻にとらえて米中の接触も頻繁となった。13日の暗殺以来両国は、17日に国務長官ティラーソンと外相王毅が初会談した。会談でティラーソンは「北朝鮮の脅威が高まっている。挑発行為抑制のために中国が可能なすべての手段を使うよう希望する」と発言、北に対する強固な政策を要求した。中国は米中外相会談の2日後にかってない規模の石炭輸入停止という経済制裁を打ち出した。事件の6日後だから素早い対応であった。


輸入停止の理由について中国は「2017年の北からの輸入が国連決議の上限に近づいている」ことをあげた。そしてこの報告もあってか外交最高責任者で国務委員の楊潔チも21日にティラーソンと電話協議した。国連決議は年間4億ドルを上限としており昨年の輸入は約12億ドルである。早くも上限に達したかどうかは疑問があるが、これは中国がようやくにして国連決議の履行に踏み切ったことを意味する。石炭は北の輸出の4割を占め、停止となれば北の経済にとって大打撃となるが、中国との国境線は長い。様々な抜け道があると見なければなるまい。外国経由の輸出もあるだろう。
 

いずれにせよ中国が本格的な制裁に乗り出したことは新局面を意味する。両国メデイアも前代未聞のバトルを繰り広げている。朝鮮中央通信が「大国と称する国が定見もなく米国の拍子に踊り、幾ばくかの金銭を遮断することで我々の核兵器や大陸間弾道ミサイルを作れないと考えること自体この上なく幼稚」と毒づけば、環球時報は「制裁を忠実に実行し北の反応に影響されてはならない。北に中国と全面対決する能力はない」といった具合だ。
 

中国が初めて真面目に国連制裁決議に動いたのは、トランプ政権の動向にただならぬものを感じたからに違いない。オバマが「戦略的忍耐」と称して、中国の南シナ海への進出を許し、北の核・ミサイル開発を野放しにした戦略は改められると感じ取ったのだろう。トランプが中国が後生大事にする「一つの中国」政策に、一時難癖を付けたのも利いたのだろう。楊潔チが2月27日から28日まで米国を訪問することも視野に入れたに違いない。


トランプが28日に初めて議会演説に臨むのを前に中国側の立場を改めて説明する。事前の地ならしというわけである。しかし、中国の北に対する制裁措置は石炭の輸入停止が最大のものであろう。なぜなら北の崩壊は、国境線が米韓軍事同盟と接することを意味しており、これが共産党一党独裁政権にとって最大の脅威ととらえられる事態となるからだ。
 

こう見てくると劇的に朝鮮半島情勢を動かすには中国よりやはり米国がカギとなる。トランプは首相・安倍晋三との会談後の記者会見で「北朝鮮のミサイルからの防衛は極めて高い優先事項」と発言、北の出方によっては軍事行動もあり得る姿勢を示唆した。


ロイター通信には「金正恩のしてきたことには激怒している」とも発言している。こうした発言と合わせて「力による平和」を唱えるトランプは米国防予算を現在の10%に当たる540億ドル(約6兆円)増額する方針を表明した。これが何を意味するかだ。南シナ海や中東をにらんでのことであろうが、北朝鮮も視野にないとは言えまい。何らかの「軍事行動」も辞さぬ構えと受け取れないだろうか。少なくとも中国との裏折衝では、中国が本気で制裁をかけないなら、軍事行動もあり得ることを取引的にほのめかすことはあり得るだろう。
 

対北制裁の動きは世界的な広がりを見せており、欧州連合(EU)も対北朝鮮制裁を決定した。石炭・鉄・鉄鉱石など鉱物取り引きを北朝鮮とは行わないことに加えて、北朝鮮にヘリコプターや船舶も販売しないという厳しいものだ。


北は完全に孤立化した。金正恩はこうした動きに慌てて高官を中国とマレーシアに派遣して火消しに懸命だ。中国に外務次官李吉聖を、マレーシアには前国連次席大使リ・ドンイルら代表団を派遣した。異例の対応は国際社会の反応のすごさに戸惑う姿を垣間見せている。おりから米韓両軍は恒例の合同軍事演習を史上最大規模で開始する。一方、北はICBMの実験を示唆しており、なにやらきな臭さは増す流れとみなければなるまい。

         <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月28日

◆トランプは記者魂の根幹に触れている

杉浦 正章
 


報道の自由の憲法すれすれの抑圧
 

「これがメディアへの弾圧の始まりかどうかの判断は急がなくてもいい」ホワイトハウス記者会会長のジェフ・メイソンは落ち着いている。同記者会の一部に台頭している報道官の記者会見ボイコット論にはくみしないという。ということはどういう状況かと言えば、トランプ政権対メディアの戦いが早くも佳境に入っていることだろう。


ワシントン特派員としてウオーターゲート事件でのニクソン政権とメディアの全面対決を目の当たりにした筆者も、血湧き肉躍る状況の再現である。問題はトランプ側近にメディア対策のプロが存在しないことだ。逆に君側の奸はたくさん居る。その筆頭バノンは「メディアは敵だ」「メディアは黙れ」とけしかけ続けている。トランプはこの人物に依然として全体重を乗せているかのようで危ない。


背景にはトランプの大統領選対策と女性スキャンダルも含めた「ロシア疑惑」がある。FBIは本来大統領を守る核であるにもかかわらず、トランプは「漏洩」を激しく非難する。罵倒と言ってもよいくらいだ。いわく「FBIは漏洩組織ではないはずだ」「FBIは漏洩するものを見つけられない」といった具合だ。これは為政者がツイッターで書くことではない。まるで蛸が自分の手足を食らうような姿であるからだ。あのニクソンですら、やはりリーク源のFBIを直接非難したことはない。裏で必死に見つけようとしたが見つからなかった。
 

トランプの最大の欠点はメディアにリーク源の公表を求めていることだ。これは対メデイア戦を圧倒的に不利にしている。なぜならリーク源を守って匿名記事を書くケースは記者の命であるからだ。本人の了承を得ない限り「政府筋によると」と書いて、「FBIの誰々によると」などとは決して書かないのが記者魂だ。為政者は記者と報道機関の最も基本的な倫理に干渉してはいけない。匿名を自ら暴露することはジャーナリズムの死を意味する。
 

ウオーターゲート事件のリーク報道で社名を上げたワシントン・ポストで「世紀の情報源」の人物を編集局次長が「ディープ・スロート」と名付けた。当時のポルノ映画をもじったものだが、電話でのどの奥深くから声を出したからだという。当時誰かと言うのが最大の関心事となり、キッシンジャーまでが名前に上がったが、ポスト紙は名前を出さなかった。


その後、33年を経て2007年になってFBIの副長官であったマーク・フェルトが自分であったと表明。それを聞いて特ダネを書き続けたボブ・ウッドワードも初めてこれを認めた。33年も取材源を守り通したのだ。トランプの「実名を出さない限り情報源を使うのは許されるべきではない」という発言は、マスコミというものの実態を知らない姿をさらけ出している。
 

商売人トランプの基本的な誤算は、自らが商売敵を叩き潰してきたように、メディアの基本的な報道の姿勢を潰せると思っている事である。だからメディアを「国民の敵」呼ばわりできるのだ。メデイアは「国民の側」に立っているからこそ存在価値があることを理解しない。だからバノンの受け売りで「メディアは野党」などと言えるのだ。トランプの忠実な下部(しもべ)というか、茶坊主のような報道官スパイサーが、通常の記者会見を避け、別室で限られた人数でブリーフをしたことも、ホワイトハウス記者会の激怒を買った。


おべんちゃらのFOXニュース、ネットのブライトバート・ニュースなどを報道官室に招き入れ、ニューヨークタイムズ、CNNを除外したのだ。憤慨したロサンゼルス・タイムズ、AP、BBC、タイム誌などは参加しなかった。こうしたトランプ政権の姿勢は言論弾圧へとすすむ危うさを内包している。トランプにメディア対策を諫言(かんげん)する側近が存在しないことがこの政権最大の弱点だ。 
 

こうしたトランプ政権の対メディア姿勢について米自由人権協会(ACLU)は声明を出し、「政府による検閲の可能性がある」と非難。報道の自由の原則に対するトランプ政権のいかなる脅しも、憲法修正第1条の「力強い防御」に阻まれるだろうと指摘した。修正第一条(the First Amendment)は言論および出版の自由を制限することが出来ないなどと規定している。トランプ政権のさらなる言論抑圧が続けば、言論及び表現の自由を監視する国際的非政府機関である国際新聞編集者協会(IPI)などが動き刺す可能性もある。


IPIは2001年に韓国をロシア、ベネズエラ、スリランカ、ジンバブエ等と並び、「言論弾圧監視対象国」に指定しており、現在米国の有様をかたずをのんで見守っているに違いない。この組織が行動に移せば、トランプの国際的評価は地に落ちる。さらに弾劾要求の動きや、ウオーターゲート事件で懐かしい「特別検察官」任命論も台頭している。正副大統領を捜査できる特別検察官はニクソンが首を切ったが、その後法改正で第3者的権限を一段と強化された。
 

辛辣なメディア批評で知られるジャック・シェーファーはツイッターで「報道陣は罵倒され、おとしめられ、中傷され、侮辱されるものだ。それも仕事のうちだ」と語っており、もっともではある。


しかし多くの米メディアはそんなことは織り込み済みだろう。トランプ側のメディア批判は、批判されたメディアにとっては勲章のようなものであろう。米国のメディアは驚くほど執拗だ。バノンが「メディアとの関係は悪化しており、毎日が戦いとなる」と宣言しているが、最後に笑うのは十中八九メディアであろう。


ただし日本の一部メディアや三流コメンテーターのようにことごとく首相・安倍晋三を目の敵にして「批判のための批判」を繰り返すのは浅薄だ。ツイッターなどでもその傾向が見られるが、国民の支持率が60%を超える政権は久しぶりに日本という国が手にした、貴重なる政治資源であり、トランプとは別次元のものと見るべきであろう。ニクソン辞任劇は田中角栄辞任要求に大きな影響を及ぼしたが、無理に風潮を“伝染”させる必要はない。それを猿まねという。

          <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月23日

◆「ダースベーダー」を潰すか、米政権が潰れるか

杉浦 正章



今をときめくバノンの運命やいかに
 

古くは孝謙天皇の寵愛を受けた弓削道鏡か、それともロシア帝国崩壊の一因をつくった怪僧ラスプーチンか。どうもトランプの懐深く入り込んだスティーブン・バノンの有様を観察すると、その種の陰謀請負人のような感じがする。とりわけトランプがホワイトハウスになかった首席戦略官の地位を与えた上に、国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに抜擢するという異例の人事を断行したことに驚く。別名「極右の火炎放射器」に、戦争と平和を左右しかねないパワーを付与してしまったのだ。


バノンにとって目の上のたんこぶだった国家安全保障担当のマイケル・フリンを失脚させたのはCIA情報だが、バノンが陰で暗躍したというのは常識のようだ。しかし、トランプ政権1か月を見ると、国務・国防両長官は世界中を駆けずり回ってバノン主導による過激な「トランプ発言」の“火消し”に懸命になっている。


フリンの後任になった「物言う軍人」陸軍中将ハーバート・マクマスターはバノンの“強敵”になり得る。米政権内はスターウオーズではないが、邪悪なる別称「ダースベーダー」に対する正義のヒーローには事欠かない。しかしバノン潰しは容易ではない。
 

62歳のバノンは昨年8月にトランプの選対本部長に就任、自らの過激発言を口移しでトランプに発言させ、勝利を得た。メディアはみな選挙判断を間違ったが、バノンは「メディアは負けたのであり、屈辱を味わいしばらく黙っていろ」と反メディア色を鮮明にした。トランプがこのところよく使う「メディアは野党だ」のフレーズも、バノンの受け売りだ。


バノンは、人種差別や反ユダヤ主義の主張が飛び交うネット上の運動であるオルタナ右翼(もうひとつの右翼)「ブライトバート・ニュース」の前会長だ。オルタナ右翼とは右翼思想の一種で、トランプを支持し白人ナショナリズム、白人至上主義、反ユダヤ主義、反フェミニズム、排外主義、アンチグローバリズムなどを中核的な思想としている。
 

トランプは負けると思った選挙に勝ったのはバノンの過激戦略であるから、ちやほやするのは無理もない。大統領執務室に最も近い部屋を与え、いつ何時でも接見を許している。もともとトランプは売ってナンボの世界に生きてきた“商売人”であり、政治信条などさらさらなかった。というより国家の命運を左右する安全保障に関する基礎的なノウハウや、人種のるつぼである米国統治の基礎的な知識などゼロと言ってもよかった。


これに「思想」というものを、吹き込んだのがバノンであった。バノンの右翼ポピュリズム的な思想が、砂漠に染み入る水のごとくトランプの脳内を右寄りに活性化させ、その口からバノンの言葉をおうむ返しのごとく発言し続けたのだ。
 

米国民はこの異質な大統領候補をまるで西部劇のヒーローのごとく受け止め、当選させたのが実態だろう。「メキシコ国境に壁」「在日米軍引き揚げ」「NATOは古い」の“3ばか発言”もバノンからの受け売りだ。さすがに官僚組織は、これを国家的な危機の到来と認識した。日米同盟、米欧同盟は国家の成り立つ基本であり、これを毀損しては対中、対北、対露、対中東戦略が全く成り立たない。だから真っ青になったマティスが最初に日本を訪問、トランプ発言の打ち消しに懸命になったのだ。


国務長官ティラーソンはNATOとの関係を修復。今度はティラーソンと国土安全保障長官ジョン・ケリーが22〜23日にメキシコを訪問し、大統領ペニャニエトや外相のほか、内務、国防相ら複数の関係閣僚と会談する。明らかに「壁」発言で生じた亀裂を再構築しようというものだ。
 

さらに重要なのはバノンが、そのアンチ・グローバリズムの極みである、中東7か国からの移民差し止めの大統領令を出させたことである。結果は、行政は大混乱、司法は違憲と判断して大統領令を差止め、
西欧諸国から総スカンという結果となった。まさに大失態であり、大失政である。日本なら首謀者バノンは真っ先に国会やマスコミに追及されて、辞任に追い込まれるケースだろう。
 

こうしたバノンによるトランプ操縦の失策はニューヨークタイムズをして、痛快にも「スティーブン・バノンほど、自身の権力基盤を厚かましく強化した側近は、これまでいなかった。そして、ボスの名声や評価をこれほど早く傷つけた人物も、かつて見当たらなかった」と書かしめるに至ったのだ。まさに「君側の奸」の実態が明らかになった。


トランプはこうした事態に至ってもバノンを重用し続けるのだろうか。おそらく当分重用し続けるだろう。なぜならいままだ“夢心地”であるからだ。バノンの“催眠術”にかかっている可能性もある。しかしバノンは次第に政権内部で孤立化してゆくだろう。ティラーソン、マティス、マクマスターら正常なる方向感覚を持っている政権幹部も、バノンの尻拭いに甘んじているようなヤワな人種ではない。双方の激突がやがて始まるのは火を見るより明らかだ。


加えてメディアの対バノン戦も一段と苛烈さを増すに違いない。だいいち早く切れば切るほどトランプ政権は長続きするのであり、これに早くトラさんが気付くかどうかにかかっている。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月22日

◆自民は、特例法で早期に退位を実現せよ

杉浦 正章
 


民共は「皇室典範」で“引き延ばし”をするな
 

天皇退位問題はまさに船頭多くして船山に登るがごとき状態に立ち至った。新聞を読んでも誰も分からないその構図を分かりやすく説明すれば、自民党政権プラス読売Vs民主・共産両党プラス朝日の構図が浮き出てくる。焦点も自公維が特例法による一時的措置を目指しているのに対して、民共は皇室典範による永久的な対応を主張していおり180°異なる。背景には政権与党のすることは何でも反対の社会党に先祖返りしたような民進党と、「天皇制」そのものを綱領で否定する共産党の連合による自民党政権との対決の姿勢がある。


民共は退位を支持しながらも、その実は難癖を付けて「引き延ばし作戦」を展開しているとしか思えない。ここは国民の選挙によって「船頭」と決まった、自民党が主導して特例法を軸として、ちょっとだけ民主党の顔を立てつつ今国会中の法案成立を図るしかない。ご高齢の天皇のお言葉に添うにはこれしかない。
 

まず、皇室典範の改正がなぜ難しいかといえば陛下の82歳というご高齢にある。皇室典範改正の迷路に立ち入れば、10年たっても決着のつく話ではない。民間なら「オレも年じゃで家督をせがれに譲る」で済む話だが、ことは天皇の存在そのものを規定する憲法と皇室典範の解釈の問題が絡む。


そもそも人間の「引退」の要件を恒久立法で規定することは極めて困難だ。なぜなら、時代によって変化するからだ。高齢者の定義一つとっても江戸時代は50にもなれば高齢だが、今は「40,50は、はなたれ小僧」で後期高齢は75だ。職務遂行能力にしても、会社なら上司が部下の能力を判断すれば済むことだが、天皇の場合その理由を法律に書くことが可能かということになる。このような議論を延々と始めることは昨年8月に「第二の人間宣言」をされた、天皇の引退表明の意向に背くことになるのだ。
 

反対論を唱える民主党幹事長野田佳彦が自信ありげな理由はどこにあるかと考えていたが、どうも朝日とツーカーである感じが濃厚となった。朝日の“教育的指導”を受けているとすら思いたくなる。朝日は社説で「天皇の退位の意思と皇室会議などの議決を併せて必要とすれば、進退を天皇の自由な判断に委ねることにはならず、憲法の趣旨に反するとは思えない。」と主張しているがこれは民進党の主張と全く同じである。


皇室会議は、日本の皇室に関する重要な事項を合議する国の機関である。皇族、衆参議長、首相、最高裁判事などで構成されるが、問題は天皇のご意思と会議の議決が相反した結果となったらどうするかということだ。退位という極めて人間的、個人的な意思を会議で決められるものだろうか。天皇の退位の意思は会議とは別格なのだ。
 

さらに朝日の社説は特例法に対して「一代限りの退位に道を開けば、この先、政権や多数党の意向で天皇の地位が左右される恐れが生まれ、禍根を残すことになる」と反対している。これも意味不明である。一代限りは一代限りのことで、将来への禍根とならないのではないか。


例えば100年後に今回の例のように天皇が退位したいとの意思を表明すれば、そのときの状況に応じて対処すればよいことであり、制度化して縛る必要はない。それに100年後には今回の例を先例としてスムーズな退位が実現するかもしれない。第一自民党が100年後に多数党であるかどうかは予知できることではない。この主張には民進党が多数党になった場合ならその意向を反映してもよいのだという、政党のエゴイズムが垣間見える。


一方で読売は社説で「仮に、天皇の意思を退位要件とすると、『天皇は国政に関する権能を有しない』と定めた憲法4条に違反しかねない。こうした理由で、制度化に否定的な自民党の姿勢には、うなずける」として、自民党案支持だ。
 

問題は民進党が明らかに引き延ばし戦術を取ろうとしていることだ。同党の長浜博行はテレビで「各党の国会議員はもう一度象徴天皇制の意義とか、憲法とか、皇室典範とかに真正面から取り組んで議論する必要がある」と主張しているが、このような基礎的な問題からとりかかっていては、再び「船山に登る」のは必定である。議員立法による処理も主張しているが、事は天皇の退位問題であり、政府の責任において法案を作成し、国会の議決を経て実施に移すのが憲政の常道だ。
 

こうした中で日本維新の会幹事長の馬場伸行は「皇室典範そのものを改正するのではなく、『特例法を設けて決める』旨を皇室典範の付則として付ければよい」と提案している。皇室典範はいじらないが付則で処理するという案は筆者もかねてから指摘していたが、民進党のメンツも立つのではないか。


ことは自公維で軽く3分の2を超える勢力が推進する問題であり、民共も突っ張ったり、引き延ばししたりする場面ではない。そもそも民共朝による“共闘の構図”は過去の例を見ても概ね失敗に終わるのが政治の宿命だ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)  

2017年02月21日

◆安倍は敵基地攻撃能力保持を決断する時だ

杉浦 正章



狂気の北指導者の前に躊躇している時ではない
 

「疾きこと風の如く」は、今金正恩のお家芸だ。ミサイルと核兵器の開発で孫子の兵法を実践しつつある。叔父殺しに次いで異母兄を殺りくして、狂気の独裁者の本性を現し、ミサイルと原爆小型化は佳境に入った。これに対して日本の防御態勢は整いつつあるものの、同時多発の飽和攻撃に耐えられるのか。一発でも撃ち漏らせば確かに金正恩が公言するごとく東京は火の海だ。その一発が致命傷となるにもかかわらず、日本はいまだに平和は天から降ってくるとばかりに、米国に敵基地攻撃を全面的に頼っていてよいのか。敵基地を殲滅(せんめつ)しない限り、極東の平和は維持出来ない。


専門家によれば敵基地攻撃能力の環境は既に8割方機が熟しており、憲法上可能との見解も61年前から確立している。後は首相・安倍晋三の判断に委ねられているのが実態だ。金正恩に日本攻撃を断念させるためにも早期実施による抑止の確立に踏み切るべきだ。もう国連決議など、北を支える中国がある限り何度繰り返してもムダだ。
 

政府は国民に迅速に情報を伝える体制を整えるため、23日と24日に、都道府県の担当者らを対象にした説明会を開く。説明会では、ミサイルが日本の領土・領海に落下するおそれがある場合、Jアラート=全国瞬時警報システムなどを使って、推定される落下地点などの情報を発信することを説明し、機器の取り扱い方法を確認するよう要請することにしている。国民の尊い命を守るためには必要な措置であるが、なにやら狂った野良犬を放置して、かまれたらどうするを説くようで情けなく感ずる。
 

問題は金正恩が核ミサイルを発射する場合、日本を最優先する可能性があるだろうかということだ。おそらく、対韓攻撃が先行する可能性が大きいが、日米韓を同時に攻撃する可能性もないわけではない。韓国は防ぎようがないから自分で守ってもらうしかないが、日本到達までには最短で約7〜8分とみられ韓国よりは余裕がある。迎撃ミサイルSM-3搭載のイージス艦は、防衛庁の公表資料によると、これまでの試験で20発の迎撃ミサイルのうち16発が命中した。しかしこの確率でいくと、単純計算では200発の日本向けのノドンが発射された場合、40発が到達することになる。
 

また肝心なのは米国が日本を完璧に守ろうとするだろうかということだ。まず本国へ向かうICBMを処理するのに専念し、日本は二の次になる可能性も否定出来ない。一発ぐらいの日本への着弾は仕方がないと考えないだろうか。しかし、日本にとってはその一発が致命傷なのである。国家としてはたった1人でも日本国民から北ミサイルの犠牲者を出してはならないことは、国の有りようの鉄則である。飽和攻撃の際にそれが可能かと言うことだ。おそらく自信のある専門家は皆無であろう。
 

これでは対北ミサイル戦略は成り立たない。ほぼ完全にブロック出来る態勢が確立するのは早くても5年はかかるといわれる。昨年6月のムスダン発射は、通常軌道に比べ高高度に打ち上げ、短い距離に着弾させる「ロフテッド軌道」で発射された。ロフテッド軌道だと落下速度がさらに増すため、迎撃が非常に困難になる。専門家は「現在の自衛隊の装備では撃破は難しい」としている。また昨年9月にはノドン3発を同時に発射し、日本の防空識別圏内に400キロ以上入って日本海に落下したという。まさに飽和攻撃の予行演習を誇示したことになる。
 

こうして傍若無人の核戦略は指導者と同様に増長の一途をたどる。技術は日進月歩だが、矛と盾の原理があって、盾を突き通す矛は常に製造可能と見なければなるまい。そこで誰が考えても必要なのは、矛そのものを殲滅させる戦略であろう。それには敵基地攻撃能力を日本自らが身につけるしかないのだ。もちろん専守防衛の方針は逸脱するが、いまどき専守防衛の空理にしがみつく国は日本以外にない。攻撃こそ防御なのだ。


よく「やられたらやりかえす」(元外相前原誠司)というが、この戦略は核ミサイル時代には成り立たない。「やられる前にやる」しか、国家が生き延びる道はないのである。ただし「やられた」が韓国や米国を指すなら、やがては日本にも発射されるから「やられたらやりかえす」概念は成り立つ。
 

元首相中曽根康弘が会長の世界平和研究所が1月12日に発表した提言は、敵基地攻撃能力の保有を政府に求めており注目される。日本が第三国から武力攻撃を受けた場合、「さらなる攻撃を防ぎ、反撃するため、巡航ミサイルなどを保有し、もって日本独自の抑止力を持つべきだ」と提唱した。


同報告書の発表を主導した東京大学名誉教授北岡伸一は安倍の外交・安保分野の「家庭教師」と呼ばれる人物であり、政府とはツーカーの報告書であろう。もともと政府は、自衛のための敵基地攻撃能力の保有について、憲法上は容認されているとの立場だ。1956年には国会で首相鳩山一郎が「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは、どうしても考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」との統一見解を示している。


なんと61年前からこの見解があるにもかかわらず、社会、共産両党などの反対で実施に踏み切れなかったのだ。敵基地攻撃には弾道ミサイル、巡航ミサイル、ステルス性のある戦闘機F35と空対地ミサイルなどが必要だ。加えて、敵基地を特定できる人工衛星などの情報や、戦闘機の長距離飛行を支援できる空中給油機、これらのすべての作業をコントロールする早期警戒管制機(AWACS)などの装備体系が必要となる。高い金を出してF35を配備する以上、敵基地攻撃能力を備えるべきだ。でないと宝の持ち腐れになる。


これらの装備を備えるには防衛予算を対GDP比1%の上限を突破させる必要があるが、中曽根研究所は「当面はGDP比1.2%を追求すべきだ」としている。米国は北大西洋条約機構(NATO)に2%目標の早期達成を促したが、これをテコにやがて日本にも要求してくる可能性がある。先手を打って1%を突破する方がよい。マスコミの論調も読売と産経が敵基地攻撃能力保持論であり、政党も維新が積極的だ。自民維新で推進すれば、公明党の山口那津男や民進党の一部は後から付いてくるだろう。場合によては安倍は夏に解散・総選挙を断行し、民意を問えばよい。自民党は圧勝するだろう。

          <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月17日

◆「Madman理論」の恐怖政治が佳境に入った

杉浦 正章



金正恩は残酷性と冷静な計算が併存か
 

カインの末裔(まつえい)とは、旧約聖書に登場する兄弟殺しという人間の罪深さを諭すものである。アダムとイヴの息子の兄カインが、弟アベルを殺害した神話だ。有島武郎が同名の小説を書いている。日本の古事記にも海幸彦と山幸彦の骨肉の争いがあるが、最終的には兄と弟は仲直りした。しかし兄源頼朝が弟義経を殺害した例もある。金正恩による尊属殺人は、叔父張成沢殺しに始まって、ついに異母兄弟の長男金正男へと至った。政権樹立以来殺害した朝鮮労働党や軍の幹部は140人あまりに達しており、スターリンによる処刑は約68万人といわれ遠く及ばないが、極東では戦後まれにみる殺りくである。

ニューヨーク・タイムズは、昨年5回目の核実験の後、この金正恩の「恐怖政治」を「狂人理論」(Madman Theory)と説明した。
 

金正恩の殺害指示の状況証拠は数限りないほどあるが、決定的なものは最高人民会議常任委員長金永南が、15日の金正日生誕75周年式典で発言した内容につきる。「偉大な将軍様は後継者問題を完全に解決した。最も偉大な業績である」という発言が、「確信犯」金正恩の全てを物語っているのである。


殺されたマレーシアでは北朝鮮と韓国の「遺体争奪戦」が展開されている。米国の中央情報局(CIA)も絡んでいるが、マレーシア政府は副首相が「北朝鮮に引き渡す」と言明した。マレーシアは、北と外交関係を樹立しており、ビザなしで北朝鮮に渡航できる唯一の国だ。しかし米韓の巻き返しは強く、どうなるかは予測は困難だ。北がクアラルンプールでの殺害を意図したのは、遺体の確保まで計算に入れた可能性が強い。しかしいくら親北朝鮮でもマレーシアは徹底的な調査、分析を国際社会から求められることは必定であろう。
  

NYT紙によるとMadman Theoryとは「好戦性と予測不可能性で武装し、敵に狂人と見せることで交渉を有利な局面に導こうとするという論理」だという。NYTは「残酷性と冷静な計算は矛盾するものではなく、互いに協調関係にある」と解釈した。また「朝鮮半島を一触即発の戦争危機状態に追い込むことが、北朝鮮が体制維持のための唯一の方法として見ているという指摘が多い」と説明し、「力の弱い国家が大国を敵として向かい合ったとき、平和を実現するための理性的な方法」と分析している。


さらに米学者の「北朝鮮の指導者たちの国内外での行動が嫌悪感を抱かせることがあっても、理性的に自国の利益をよく考えている」という見方を紹介している。確かにNYTは冷静で当を得た政治分析である。
 

まさに金正恩は冷徹なる殺りくを繰り返しており、その立場は小国の政治家が大国のはざまで、生き抜く知恵とでもいうことになる。Madman Theoryはなぜ、権力掌握以来金正男を偏執狂のようにつけ狙ったかの問題も解ける。頼朝がそうであったように、家督相続人は少ないほど自らの安全が保てるのであろう。


金正恩は金正男を就任以来つけ狙い続けた。なぜ狙い続けたかと言えば、政権を狙うと見ていたからだ。本人が狙わなくても韓国在住の脱北者は昨年11月に3万人に達しており、祭り上げるには絶好の人物であった。金正男が日本のメディアに「3代世襲には反対だ」と述べたことが金正恩の怒りに火を付けたといわれる。殺害指示は就任早々から始まり、2012年には北京で実行されそうになったが危うく逃れた。


朝鮮日報は、金正男を救うため韓国大統領李明博が12年に正男に対し、韓国への亡命を打診していたことが16日までに分かったと報じている。元高官が「当時、正男氏に対する暗殺未遂があったため『韓国に来た方が安全なのではないか』と打診した。しかし本人が、そのまま海外に滞在することを望んだため、その話は消えた」と述べているという。
 

叔父の張成沢が13年12月に、金正男を担ぎかねないとして「国家転覆陰謀行為」で処刑されてからは、まさに風前の灯となった。金正男はそのころ金正恩に命乞いの書簡を送っている。その内容は「将軍様、私と家族を殺さないでください。私には行くところも逃げるところもありません。自殺するしかありません」という切々たる内容であった。


今後は金正男の長男金漢率(キム・ハンソル21歳)が狙われるとの見方が中韓両国で高まっている。金漢率は2012年フィンランド公営テレビでのインタビュウで「韓半島(朝鮮半島)を二つに分断しているのは政治的な問題にすぎない。だから僕はどちらかの肩を持つということはしない」と発言。さらに「北朝鮮に戻って人々の暮らしを楽にしたい。また、(南北)統一を夢見ている」と将来の夢を語っている。利発な青年のこの発言は金正恩の神経を逆なですることが予想されるものだ。しかし、家族は現在中国の保護下にあるようであり、護衛をしやすい北京に向かいつつあるとの見方もある。
 

最大の焦点は今後日米韓3国がどう動くかだ。とりわけトランプの反応が注目される。Madmanにmaddogマティスがかみついたら大変だ。トランプはオバマと異なり挑発を我慢するタイプではない。こちらも予測不能だ。日米韓外相は日本時間17日未明ドイツ・ボンでの20カ国・地域(G20)外相会合で会談、北に対して3国が連携する共同声明を発表した。暗殺問題も協議したとみられる。岸田文雄、国務長官ティラーソン、尹炳世による話し合いの内容が注目される。


いずれにせよ傍若無人の殺人を国際社会は看過すべきではない。米国は1988年に北朝鮮をテロ支援国家に指定、2008年に解除しているが、当面はこうした政策で圧力をかける可能性がある。また国連でも対応をリードするものとみられる。一方で、北の暴発に中国首脳は怒り心頭に発していると言われ、今回の場合は国連などでかばうことは難しい者とみられる。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月16日

◆中韓、安倍訪米で牽強付会の論調

杉浦 正章



中国は「朝貢外交」と批判、韓国はひがむ
 

どうして中韓両国の論調はかくまでも牽強付会なのであろうか。日米首脳会談をめぐるメディアの論説が15日までに出そろったが、世論を誘導するマスコミが道理をねじ曲げ、都合の良いように理屈を無理にこじつけている。中国が首相・安倍晋三の訪米を「朝貢外交」と決めつければ、韓国の場合はひがみ根性丸出しの論調すらある。中国の論調は誤解、誤認の山だ。これら感情丸出しの論調がいかに自国の民度を低く押し下げているかが分かっていない。
 

まず公的な見解を披露すれば中国外務省の耿爽・副報道局長は13日の定例会見で、トランプが尖閣諸島を日米安全保障条約第5条の適用対象だと確認したことに対し、「誰が何を言おうと、何をしようと、釣魚島が中国のものだという事実は変えられない。国家主権と領土を守るという中国の意志と決心を動揺させることもできない」と全面否定。「日本が不法な領土を主張し、安保条約を名目に米国を抱き込むことに反対する」と言い切った。


東シナ海で古来実効支配もしていない島々を自分のものだと主張し、虎視眈々(こしたんたん)と領土領海を広げようとする自らの主張を棚上げにしてよく言えたものである。
 

中国共産党機関誌人民日報のニュースサイト人民網は15日、「まるで朝貢外交?安倍首相の訪米、経済面で譲歩」との見出しで、「首脳会談の結果、安倍首相は今回の訪問の核心的な目的を達成したようにみえ、米日同盟が変化するのではないかとの外部の懸念をある程度払拭することができた。だが実際の得失を考えると、安倍首相の今回の訪米で採用したまるで『朝貢』のような外交政策は、日本国内からの批判にさらされてもいる」との分析を掲載している。
 

まず「よく言うよ」と言いたいのは、「朝貢外交論」だ。筆者は14年の中国におけるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、習近平が各国首脳を出迎える姿を「APEC史上見たこともないけばけばしい朝貢外交的な演出は国内対策である」と看破したが、「朝貢」とは中国王朝時代に外国人が来朝して、皇帝に三拝九拝して貢ぎ物を奉ることであり、共産党一党独裁国家にはあり得ても、民主主義国間ではあり得ないことである。


トランプは自動車も為替も言及はなく、日本側も提示しなかった。問題は日米の「枠組み」に先送りされたのであり、事実誤認も甚だしい。さらに「日本国内からの批判にさらされてもいる」との指摘は全く当たらない。その証拠に共同の調査によれば日米首脳会談を「よかった」と評価する回答が70.2%、「よくなかった」は19.5%だった。内閣支持率も前回1月より2.1ポイント増えて61.7%となっている。こんな批判のない首脳会談は佐藤・ニクソンの沖縄返還実現会談以来のことである。
 

さらに人民網は14日「同盟関係を盲信、日本は道を誤った」と題して「在日米軍の駐留経費の負担問題はひとまず話題に上らなかったが、トランプ大統領は日本に負担増を求めることを示唆しており、日本を含め同盟国が負担を求められることは確実だ」と大きく誤報している。


なぜ誤報かと言えば、トランプは駐留費問題に関して日本が75%を負担していることを指して「我々の軍隊を受け入れてくれる日本国民に感謝したい」と述べている。米国はさっそく日本の高負担を参考に北大西洋条約機構(NATO)にも負担増を求めている。米国防長官マティスは15日からのNATO国防相理事会に出席、負担問題を協議する。事前の根回してNATO諸国は国防支出拡大に応える方針だ。日本にこれ以上の負担増を求めるというのは誤報だ。
 

一方韓国は朝鮮日報が「北ミサイル発射に米日が蜜月演出、韓国は置いてけぼり」と社説で嘆いた。ミサイル発射と同時に安倍とトランプが共同記者会見に臨んだことについて「トランプ大統領の安倍首相に対する際だった配慮と二人の緊密な関係を目の当たりにするとき、本来韓半島(朝鮮半島)でわれわれが当事者のはずの一連の問題がどこか他人ごとのようにも感じられる。それはわれわれにとってより心配すべきことかもしれない」と論じた。これも偏狭なる“ひがみ”の分析である。


そもそも朝鮮半島の防衛は「日米蜜月」があってこそ成り立つ問題である。日米どちらが欠けても成り立たない構図であることが分かっていない。韓国は「置いてけぼり」と嘆く筋合いではない。


この点中央日報は大人の論調を掲げている。社説は「安倍首相の対米外交をめぐる解釈が分かれている。『朝貢外交』やら『屈従外交』やらと批判する面々があるかと言えば、『実利外交」とは何かを見せてくれた』という評価もある」と韓国内の空気を正直に書いている。そして「韓国の大統領が安倍首相のようにしたら、どのように評価されただろうか。屈辱外交などとさんざん非難を浴びたかもしれない。名分に捕われて外交の基本も逃してしまうのではないか、考える時だ」と結んでいる。韓国も同様の外交をしなければならないと言いたいのだ。


しかし、誰が大統領になっても「安倍外交」ほどの成果を上げあれるかは別だが、まずは釜山の慰安婦像撤去から始めることが外交成果へのカギと心得るべきであろう。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月15日

◆安倍は朝日に勝った、トランプはNYTに負けた

杉浦 正章



リスクの伴う対メディア戦


首相・安倍晋三とトランプの会談を評して、前原誠司が「猛獣に従うチキン」と評すれば、脇から後藤祐一が「ポチだ!」と野次る。


前原は続いて「近づきすぎるとリスクがある」と指摘した。民主党は誰が見ても成功裏に終わった日米首脳会談をこの程度にしかとらえられない政党であったか。猛獣にチキンは従わない。逃げる。「近づきすぎ」と言うが、虎穴に入らずんば虎児を得ずの格言を知らないのか。北のミサイルや中国の軍事挑発は、より大きなリスクではないのか。


衆院予算委の追及は、浅薄でどうもやっかみが先に立つ。「負け犬の遠吠え政党」そのものだった。それにつけても産経の「私は朝日新聞に勝った」「俺も勝った!」のスクープは見事であった。安倍とトランプの意気投合ぶりを端的に言い表している。リークした方も、他の新聞でなく産経を使ったのは、産経しか大きく扱わないからだろう。狙いを定めた「リーク」であろう。
 

産経が11日付けの2面トップで報じた記事の内容は、「大統領選で日本に対しても厳しい発言を繰り返してきたトランプが、これほど安倍を厚遇するのはなぜか」と問いかけ、「実は伏線があった」と続く。


以下は、昨年11月の米ニューヨークのトランプタワーでの初会談で、軽くゴルフ談議をした後、安倍はこう切り出した。「実はあなたと私には共通点がある」。怪訝な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った…」。


これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った「俺も勝った!」と。トランプの警戒心はここで吹っ飛んだと思われる。というものだ。
 

問題は、ここで安倍が「勝った」と胸を張った理由は何かということになるが、直感的には慰安婦強制連行をめぐる安倍と朝日との10年戦争を指すものと推定される。安倍は第一次安倍内閣の2007年に「政府発見の資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を示すような記述は見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定した。


朝日はこれをを無視し続けたが、14年になってついに慰安婦報道をめぐり、朝鮮人女性の強制連行の虚偽を認め、記事を取り消した。社長以下陳謝の記者会見に臨んだものだ。安倍はその後「閣議決定は批判されたが、改めて間違っていなかったことが証明されたのではないか」と強調した。


さらに「報道によって多くの人たちが悲しみ苦しむことになったのだから、そうした結果を招いたことへの自覚と責任感の下、常に検証を行うことが大切ではないか」とも述べた。まさに対朝日戦は安倍の圧勝に終わったことになる。
 

一方トランプの対NYT戦だが、これは選挙中の戦いが選挙後も白熱戦を展開した。朝日などの報道によるとNYTは大統領令で中東・アフリカの7カ国の国民が米国に入るのを禁止した問題を大きく報じ、1月28日の社説では「臆病で危険」と断定した。また、別の社説では「トランプ氏が真実に耐えられるのか」と、迫った。これに対してトランプは29日朝には、NYTを「偽ニュースで経営不振」とこき下ろし、「誰か適性と確信を持つ人が買収し、正しく経営するか、尊厳をもって廃刊させるべきだ」とツイッターで発信した。


トランプはこれを称して「勝った」と唱えたのだろう。もちろん大統領選で勝ったことも確かだ。しかし、NYTは逆に購読者数を伸ばし、昨年11月の大統領選後わずか7日間で約4万人を獲得。電子版の有料購読者は昨年10〜12月期に27万6000人増え、5年ぶりの大幅な伸びとなった。これが物語るものは、その実トランプは勝ってはいないとも言えることになる。おそらくトランプ支持層ではなく、国論分断でインテリ層がNYTに付いたものとみられる。
 

安倍の発言は昔1960年代末から1970年代にかけて日本で発生した言論出版妨害事件を若干ほうふつとさせる「危うさ」がないわけではない。同事件は、新宗教団体・創価学会と同団体を支持母体とする公明党が自らに批判的な書籍の出版、流通を阻止するために、著者、出版社、取次店、書店等に圧力をかけて妨害した事件だ。


当時の日本のマスコミは戦前戦中の軍部による言論抑圧へのアレルギーがなお後を引いており、こぞって批判を展開、公明党がその路線を大きく転換するきっかけとなった。これを他山の石として自民党政権は言論抑圧と受け取られることに細心の注意を払ってきた。
 

安倍のようにメディアの報道を勝ち負けで判断する発言は、ともすれば民主主義にとって「危うさ」が大きいと受け取られやすい。憲法のうたう言論の自由に抵触しかねないからだ。しかし、安倍にそこまでの意図はない。ことの本質は長年の“宿敵”朝日に対する意趣返しであろう。ヒトラーや日本の軍部なら批判などせずに、弾圧を実行に移す。安倍からはその気配など全く感じられない。


一方朝日は報道機関としての中立性を社是で標榜しながらも、実態はそれを否定している。安倍は14年に国会答弁で「安倍政権打倒は朝日の社是」と発言している。この発言は同社の元朝日新聞主筆の故・若宮啓文が、評論家から「朝日は安倍というといたずらに叩(たた)くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか」と聞かれて「できません。社是だからです」と答えたことに立脚している。


朝日がなすべき事は、この「社是」を見直し、自民党政権への“偏見”から脱却することだろう。まあ、無理だろうが。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月12日

◆日米会談は安倍優勢勝ちの様相

杉浦 正章



トランプ、経済ナショナリズムを封印
 

「聞く耳を持つ」側面が出た
 

たった30数分の首脳会談が物語るものは、首相・安倍晋三もトランプも事務当局の作った文書を確認しただけということだろう。従ってアジア太平洋の安全保障では、満額回答。貿易経済に関してはトランプがあえて持ち出さず、新たに作る「財務相麻生・副大統領ペンスらの枠組み」への先送りで激突は回避。欧州、メキシコ、豪州首脳から総スカンで四面楚歌のトランプは明らかに安倍との会談に活路を求めたことになる。


この結果首脳会談から見る限り、6対4で安倍が優勢勝ちした。トランプは選挙中の過激な発言を修正した結果となった。トランプは経済ナショナリズムを封印し、日米安保重視の共和党の姿勢を踏襲したことになる。今後安倍に“つけ”が回ってくることはあっても、日米関係は好調な滑り出しとなった。
 

といっても、尖閣に安保条約適用など極東安保関係はオバマとの合意が踏襲されただけだ。従ってこれはトランプ流の高値をふっかけ、値引きする交渉の術中にあったといえる。しかし、トランプが「我々の軍隊を受け入れてくれる日本国民に感謝したい」と言明したのには驚いた。歴代大統領の基本姿勢は「日本を防衛してやる」であり、トランプ自身も選挙戦で米軍撤退に言及するなど、一番強硬であった。おそらく歴代の安全保障政策を踏襲する国防長官マティスや国務長官ティラーソンが極東情勢の重要さをトランプに進言し、これをを聞いたことが最大のポイントだろう。


つまりトランプは「聞く耳」を持っているということだ。加えて緊迫感を増す極東の情勢への対処は、米国の世界戦略の礎であり、トランプはようやくこれが分かって来たことを意味する。
 

さらに安保関係で重要な点は前日トランプが習近平と電話し、「一つの中国」を確認したことだ。ホワイトハウスによると、両首脳の電話会談は「非常に和やか」なもので、幅広い話題について長時間にわたり意見交換したという。


トランプは、昨年12月、台湾総統の蔡英文と異例の電話会談を行い、米メディアに対して「一つの中国」政策を疑問視する発言をしたが、これを明確に修正したことになる。これは歴代米政権が維持してきた「一つの中国」政策に戻ったことになり、米中関係ののどに刺さったとげは、いとも簡単に抜いてしまった。おそらくキッシンジャーが影響しているのだろう。


ということは日本にとってはニクソンの悪夢「日本頭越しの米中接近」がいつ起きるか分からないことを意味している。警戒する必要がある。トランプとしては安倍と安保上の接近をすることで、中国が「誤解」して暴発することを避けたとも言える。こうしてトランプは選挙でのドラスティックな発言から現実路線へと舵を切りつつあるということになる。
 

一方貿易経済問題は経済閣僚の議会承認が遅れており、本格的に動き出すのはまだ先であろう。安倍の提案した「枠組み」はその意味でトランプの独断専行を阻止することでもきわめて有効な一打であった。「枠組み」は、誰も気付いていないが池田内閣で1961年に発足した日米貿易経済合同委員会と酷似する構想だ。


両国閣僚による同委員会は佐藤内閣では日米繊維交渉が最大の議題になった。当時の通産相田中角栄が、アメリカの主張に譲歩し、繊維業者の機織り機を政府のカネで買い上げて廃棄するという奇策に出てまとめた。その後休止状態にある。「枠組み」は自動車問題、金融為替問題、インフラへの事業協力などを話し合うことになる。日本側としては時間稼ぎになるが、なかなか安倍の目指す「日米の相互利益の追及」というわけにもいくまい。


会談後トランプが「貿易関係では自由で公平を重視し、日米両国が恩恵を受けなければならない」と発言したが、これはかつての赤裸々な保護貿易主義からの明らかなる転換を意味する。会談では円安批判も出ないし、自動車輸出への批判も出なかった。ディールの先送りで安倍、トランプ双方の利益が一致する。安倍にしてみれば時間を稼げるし、環太平洋経済連携協定(TPP)にしても、トランプを翻意させるよう根回しが可能となる。


一方で、トランプは、日米激突の構図を避けることにより、世界的な孤立無援の状況に突破口を開くことができるのだ。今年中と決まったトランプ来日までにめどを付けるよう迫られるかもしれない。
 

こうした中で米国のマスコミは、トランプに“荷担”した安倍にかんかんだ。中東・アフリカ7カ国の国民の入国を一時禁止した大統領令ついて安倍は「入国管理や難民政策は内政問題なのでコメントを差し控えたい」などと突っぱねたのが気に入らなかったとみえる。


朝日によると、 NBCニュースの政治担当ディレクター、チャック・トッドはツイッターで「メイ英首相よりもさらに、日本の安倍首相はトランプ大統領に取り入ろうとしている」と投稿。米タイム誌(電子版)は「首相は記者会見で大げさに大統領をほめた」などと皮肉った。ニュース専門局MSNBCのアナリスト、デビッド・コーンもツイッターで「こんなに大統領におべっかを使う外国の首脳は見たことがない」と述べているという。


これは坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの類いで、他国の首相に対して失礼千万であり、極東の緊迫した情勢下での日米蜜月は米国の利益に直結するという大局など全く頭に入っていないうつけの類いだ。ホワイトハウス記者団も質が落ちたものだ。
 

一国の首相のフロリダの滞在費まで問題にした。問題が提起された背景には、トランプの不動産ビジネスが大統領職と利益相反を起こさないかとの懸念がある。米メディア記者は八日の大統領報道官スパイサーの定例会見で追及したが、ホワイトハウス側は、安倍夫妻の滞在費はトランプが負担し、日本側が支払うことはないとの考えを示した。一国の首相の滞在費まで問題として追及するとは、あきれかえる。大局を見よといいたい。


少なくとも日本の記者はこれほど失礼な発言は恥ずかしくて出来ない。まるで何でも扇情的に報道する米国伝統のイエロー・ジャーナリズムの復活のようだ。

      <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2017年02月09日

◆首脳会談の“陰の主役”は中国

杉浦 正章
 


日米同盟は対中抑止力強化で一致 
 
南シナ海のさらなる侵略は米中激突を生む
 

10日の日米首脳会談の“陰の主役”はどう見ても中国だ。トランプ側近らの対中強硬発言はただ事ではない。対中戦争を公然と口にしてはばからない。来日した国防長官ジェームス・マティスは“狂犬”と呼ばれる紳士だが、ホワイトハウス側は“極右の火炎放射器”スティーブン・バノンを始め“対中主戦論者”が占めている。


トランプは今のところその主戦論に乗っているかに見える。対ソ冷戦における“極東の番犬”と日本を位置づけ岸信介を安保改定に駆り立てたのはアイゼンハワーだが、同じドイツ系移民の子孫トランプも首相・安倍晋三をけしかけ、日米同盟を対中牽制色の強いものとするだろう。その思惑にどこまで安倍が乗るかだが、中国と北朝鮮を意識した場合、懸念の共有は当然であり、東・南シナ海をにらんだ対中抑止力の強化での一致は確定的であろう。
 

誤解を避けるためにマティスの日米安保に関する姿勢を分析すれば、きわめて落ち着いたものだ。記者会見で「外交官による解決がベストであり、今のところ劇的な軍事行動をとる予定はない」と対中戦には否定的だ。しかし「中国は南シナ海で、この地域の国々の信頼を引き裂いた」と批判、オバマの「航行の自由作戦」を引き継ぐ考えを強調した。また北朝鮮に関しては「アメリカと同盟国に対するあらゆる攻撃は撃退され、あらゆる核兵器の使用も圧倒的な攻撃に遭う」と、強い牽制色を打ち出している。
 

威勢がよいのはホワイトハウス側だ。まずバノンは「米国が5年から10年の間に南シナ海で戦争をすることになると思わないか」と発言した。5年から10年とは遠い先のことで、トランプ政権がまだ続いているかどうかは分からない。しかし、南シナ海での戦争に直接言及した大統領側近は初めてであり、いかにもダイナミックな構想を抱いているかのようである。中国がパラセル諸島、スプラトリー諸島にに続いて最後のとりでとして狙っているフィリピン沖のスカボロー礁の軍事基地化に乗り出せば、トランプは黙っていないだろう。


バノンと双璧をなすのが反中国のばりばりで大統領補佐官のピーター・ナバロだ。外交専門誌「フォーリン・ポリシー」で、南シナ海におけるオバマの無策が中国の進出を許した点を強調「アジアの同盟国を支援するためレーガン政権時代の『力による平和構築』に回帰すべき」と主張している。


さらに目をみはるのは、著書『米中もし戦わば−戦争の地政学』で、「世界史を概観すると、1500年以降、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した15例のうち11例において 戦争が起きている」と分析、超大国と新興大国の激突は避けられないとの見通しを述べている。またナバロは「歴史を振り返って分かることは、中国共産党が政権獲得以来60年以上にわたって武力侵略と暴力行為を繰り返してきたという事実である」と看破。


チベットやウイグル、中ソ国境紛争、台湾海峡危機、沖縄県・閣諸島をめぐる日中の緊張などを紹介した上で、軍事力など「力による平和」で日本などの同盟国を守る必要を訴えている。トランプと台湾総統蔡英文との電話会談を実現させ、トランプに「一つの中国」政策の見直しを示唆させたのもナバロであるようだ。怒り心頭に発した中国が厳重抗議したのは言うまでもない。
 

中国側はこれらの発言に関して外務省報道官が「一つの中国の原則は中米関係の政治的基礎であり、交渉は不可能だ」と発言。英字紙チャイナ・デイリーは「トランプ氏が一つの中国の見直し発言を繰り返すなら、中国は本気で立ち向かう」と警告している。しかし習近平以下首脳らは「唖然(あぜん)」として見守っているかどうかは別として、一切沈黙を守っている。まだ、トランプ独特のディールの可能性があると見ているようでもある。


トランプが中国がもっともいらだつ問題をあえて取り上げるのは、貿易、為替などで成果を勝ち取るためのディールであるという判断があるのではないか。事実、中国側が怒れば怒るほどディールは成功へと導かれるのであり、商売人トランプの真価はここで発揮されるというわけだ。米国の貿易赤字の47.3%が中国に対するものであり、日本は8.4%で5分の1にすぎない。「貿易赤字が二番になった」と日本のマスコミや経済界が騒いでいるが、トランプの最大のターゲットは中国にあると見ておいた方がよい。
 

しかし、ディールとだけ軽々に判断することは、読みを間違えるかもしれない。トランプの対中包囲網作りは並大抵ではない。就任前後から欧州諸国首脳やプーチン、蔡英文らとの電話会談などを繰り返しているが、中国とは何の接触もしない。これは無言の対中包囲網へと動いていると見ることが可能だ。中国首脳はひしひしと無言の重圧感を感じているはずだ。そしてトランプは安倍との会談にその流れを収れんしようとしているのだ。


英国首相のメイ、ヨルダン国王のアブドラに次いで3人目の首脳会談だが、その厚遇ぶりはゴルフ会談が象徴しているように並大抵ではない。丸2日の会談は、明らかにメイを大きく上回る待遇だ。この安倍への大接近は、確実に対中戦略での安倍取り込みにある。米戦略は祖父岸を冷戦で取り込み、孫の安倍を対中戦略で取り込むというわけだ。


その危険性を左翼や一部マスコミは指摘するが、中国の軍事大国としての膨張路線の方がもっと危険で現実味がある。日米が親密に結託して初めて抑制できることは言をまたない。北の核ミサイルを事実上容認し、野放しにしている中国の戦略に対抗するためにも日米同盟強化は不可欠の流れであろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月08日

◆日米ゴルフ会談は極東安保の基軸となる

杉浦 正章



首脳会談の最重要ポイントで快挙だ
 

民放のコメンテーターなる者どもが口をそろえて首相・安倍晋三のトランプとのゴルフ会談を批判しているが、方向音痴で浅薄だ。大状況を見失っている。日米ゴルフ会談は祖父岸信介がアイゼンハワーと行って以来の快挙だ。岸はゴルフ会談で日米安保条約改訂の基礎を築いたのだ。日本を取り巻く安保情勢を見るがよい。


国防長官マティスが就任早々日本に駆けつけたのは、中国と北朝鮮による極東の危機がそれだけ切迫していることを意味する。安倍がたとえ短期で終わりそうな不人気大統領でも接触を深めるのは、日米同盟を最重視するからにほかならない。たとえゴルフでも接触時間が長いということは、肝胆相照らす仲になり得るということであり、安保上の問題が発生したときに、この個人的な関係がいかに役立つかは今後の歴史が証明するだろう。
 

ゴルフ会談批判は、中東7か国の移民受け入れ問題批判と絡めたものが多いが、筆者が前から述べているように、移民問題は受け入れている西欧諸国と米国に限定された問題である。おまけに米国内で訴訟の応酬が続いていることが物語るように国内問題である。国内問題を一国の首相が批判すれば内政干渉になる。


コメンテーターらは、批判してシリア難民を日本が受け入れよというのか。冗談ではない。中東の権益で歴史的にあまたの利益と繁栄を享受してきた米欧と、日本とは自ずと異なる対応があってしかるべきなのだ。
 

そこでゴルフ会談だが、安倍が最初の会談でゴルフクラブを贈呈したことが端緒になっているのだろう。四面楚歌のトランプにとっては「安倍はういやつ」との感情が芽生えてもおかしくない。安倍から働きかけたようなことをトランプは言っているが、そうではあるまい。しかしこればかりは鐘が鳴ったか撞木がなったかの類いかもしれない。ゴルフクラブ贈呈には、“布石”があったであろうからだ。官房長官菅義偉も「最初に会談したときに安倍総理大臣からゴルフクラブをプレゼントした。


そういう中で『今度やりましょう』ということになった」と説明している。安倍は、首脳会談のあと、トランプとともにアメリカの大統領専用機・エアフォース・ワンで、大統領の別荘があるフロリダを訪れ、ゴルフや夕食会に臨む。1957年の岸訪米の際と酷似している。違うのが岸のケースはサープライズであったことだ。


産経によると、会談後アイクは「午後は予定がありますか?」と尋ね、岸が「別にありませんが…」と答えると、アイクが、「それではゴルフをしよう!」と誘ったという。昼食後、岸とアイクらはワシントン郊外の「バーニング・ツリー・カントリークラブ」に向かったが、岸の体格にぴったりあったベン・ホーガン製のゴルフセットも用意されていたという。スコアはアイク74、岸99、だった。1ラウンド終えてロッカー室に行くと、アイクは「ここは女人禁制だ。このままシャワーを浴びようじゃないか」と誘い、岸と2人で素っ裸でシャワー室に向かい、汗を流した。


アイクは記者団に「大統領や首相になると嫌なやつとも笑いながらテーブルを囲まなければならないが、ゴルフだけは好きな相手とでなければできないものだ」と最大のリップサービスを行ったという。
 

まさに破格の歓待であった。時は米ソ冷戦時代の初期であり、極東の備えを重視したアイクは、岸の取り込みに好きなゴルフを最大限活用したのだ。これが岸を勇気づけ、不平等条約であった日米安保条約の改訂に乗り出す端緒となったのだ。


そこで、孫の安倍が受ける歓待はまずエアフォース1での同乗である。筆者はフォードによる米大統領初来日の際に日本人記者代表としてただ一人エアフォース1に同乗したが、内部はホワイトハウスの機能がそのままだ。進行方向向かって左の窓際に廊下があり最後尾に記者や随行が数人座れるスペース。テレックスが所狭しと置かれて作動していたが、いまはIT機器の進歩でおそらく別室にこじんまりとしているだろう。


右が大統領の使用する空間だが最前列に会議室、次いで応接室、寝室、浴室などがある。最近写真で内部を見たがほとんど変わりはないとみられる。この応接室で安倍は打ち解けた雰囲気の中でトランプと会談するのだろう。
 

次いでゴルフ会談だ。NHKによるとトランプは5日、アメリカのスポーツ専門のラジオ局のインタビューに答え日米首脳会談のあと、みずからの別荘がある南部フロリダ州で安倍とゴルフを行うことを明らかにした。そのうえで、「すばらしいことだ。ゴルフのほうが昼食以上に親しくなれる」と述べ、ゴルフを通じて安倍と親睦を深めたいという考えを示した。これはアイクの岸に対する対応と酷似している。


また、「安倍総理大臣はいいゴルファーか」と質問されたのに対し、トランプは「わからないが、安倍総理大臣がゴルフを好きなことは知っている。私たちはおおいに楽しむだろう。うまいかどうかは問題でなく、安倍総理大臣は私のパートナーになるだろう」と述べた。これはトランプが、娘のイバンカと同様に安倍に好感を抱いていることを物語る。


トランプはイバンカから「あなたは安倍晋三首相に従っていればいいのよ」と忠告を受けたとの話を、日米電話会談で安倍に紹介したという。イバンカが安倍を「非常にクレバーな人だ」と評価していたとも話したという。一方安倍は側近に「トランプ大統領は民主的な手続きで選ばれた唯一の同盟国の正当なリーダーであり、敬意を持って対応するのは当然だ」と語っている。菅も「少なくとも選挙によって当選した大統領だ。その大統領と信頼関係を築くことは極めて重要だ。」と意義を強調している。
 

日米関係を長年観察しているが、最初の首脳会談前にこれほど、大統領と日本の首相の“対話の環境”が整った例を知らない。安倍がいち早く就任前のトランプと会談したことが奏功したことは言うまでもない。加えて最重要の安保上の問題も安倍・マティス会談でおおむね処理された。大統領との個人的な関係樹立と安保での合意は、トランプ政権下での日米緊密化の方向を確かなものにしたと言える。


もちろん自動車問題、米国の雇用問題、公共事業への参画の問題など通商経済問題の難問は横たわるが、対話の環境が確立した限り、問題の解決策は「後から貨車で来る」くらいのものであろう。言うべきことを言える仲を作るのが先なのである。

         <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年02月04日

◆マチス、中国・北の「誤算」回避を狙う

杉浦 正章



安倍は“切れ者”を味方に付けた


日米関係の急所である安全保障問題が、マッチポンプのごとき米国の対応急転でオバマ政権の方針継承で落ち着いた。首相・安倍晋三にとっては米国防相マチスとの会談は10日の首脳会談に向けて、大きなブレークスルーとなる。まず安保で合意しなければ、経済も通商も進まないからだ。トランプにしてみれば、安保に無知なるが故に核の傘の否定と米軍撤退示唆という高値を吹きかけ、値引きして元のさやに収めただけのことだ。


期せずしてか、それとも狙ったか、一銭もかけずに日本に恩を売る形となった。だから政府はもちろん、マスコミも「尖閣、日米安保適用」などと諸手を挙げて喜ぶ話ではあるまい。人がよすぎる。


もっとも、より重要な側面がある。それは中国と北朝鮮の誤算による武力行使を未然に防ぐという意味だ。極東に「力の空白」ができたという誤算をさせないことが必要なのだ。国防総省は全世界を見渡して、トランプ発言修正の優先度を北大西洋条約機構(NATO)でなく、日米同盟に置く緊急性があったのだ。加えて日本の軍事大国化を未然に防止する意味合いも大きい。
 
日米合意は要約すれば@日米が同盟の強化を確認Aマティスは、対日防衛義務や核の傘による拡大抑止提供などを明言 Bマティスは尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲であると再確認C北朝鮮の核・ミサイル開発への対応では、日米、日米韓の安全保障協力が重要との認識で一致、といったところだろう。国防長官が政権発足2週間で来日した例はない。


最近ではオバマ時代にゲーツが9か月後、ブッシュ時代にラムズフェルドが2年10か月後といった具合だ。政府筋によると来日を早めたのは極東情勢に緊急性があったからだ。同筋はマチスが「日米関係は試すまでもない。米国の政権移行期に乗じて、中国や北がつけ込んでくるのを防ぐためだ。」と漏らしたと言うが、その通りだろう。事実、北はICBM の実験を行おうとしており、中国は尖閣への接近、領海侵犯、空母による示威行動を繰り返している。
 
もともと米国は尖閣問題でのコミットメントを明言してこなかったが、オバマ政権になってから、中国は首相・野田佳彦の尖閣国有化発言への反発とオバマの安保政策の“やわ”なところに目を付けてか公船の尖閣接近が頻繁となった。この結果、安保条約5条の適用を国務、国防両相も、オバマ自身も14年になって初めて明言せざるを得なくなった経緯がある。尖閣を失うと言うことは米国の極東戦略の拠点を失うに等しい象徴性があるのであり、トランプ政権も継承せざるを得ないのは火を見るより明らかなことであった。
 
マチスによるトランプ発言修正のポイントは「日米がともに直面しているさまざまな課題、そして北朝鮮の挑発などにも直面し、私としては1年前、5年前と同じく、日米安全保障条約第5条が本当に重要なものだということを、とにかく明確にしたいと思った。それはまた5年先、10年先においても変わることはないだろう」と述べた点だろう。そこには長期にわたり日米協調で極東、ひいては南シナ海から中東にかけての安全保障の「礎」を確保したいという思惑がある。


トランプの言うように、駐留経費を理由に米軍を撤退させ、日本の核武装が進めばこの基本戦略が成り立たなくなるのだ。とりわけ、日本の核武装は米国にとって極東に軍事大国が出現することを意味しており、米国の基本戦略に甚大な影響をもたらす。だからこそ「5年先、10年先」においても変えたくないのであろう。
 
トランプの「日本の防衛を続けるにしても公平な支払いが必要」という、駐留米軍経費の増額要求については、マチスは言及しなかったといわれる。訪日の狙いはトランプ発言への日本の懸念を掌握するところにあり、米国からの具体的要求は避けたいという気持ちがあったものとみられる。しかし、今後米国が駐留経費の負担像を要求してくるかと言えば、まずないだろう。年間7600億円の分担と負担割合が74.5%は世界の中でもぬきんでており、要求の根拠に欠けるからだ。


もっとも日本の軍事費は世界第8位だが、対GDPの防衛費の割合が1%で世界で102位という現状を、今後米側が指摘してくれば、弱いところを突かれることになる。今後トランプが“禁じ手”の貿易と安保を両天秤にかけて、ディールを求める可能性は依然残っていると見なければなるまい。
 
懸案の普天間基地の辺野古移転についても、トランプ流理論でいけば不要と言うことになるが、マティスは方針を変えなかった。「解決策は二つしかない。一つは辺野古、もう一つも辺野古だ」と明言している。これも米戦略の重要な要(かなめ)を失いたくないのであり、当然だ。


こうしたマチスの姿勢をトランプが支持するかどうかだが、トランプは就任後もマティスを「専門家」として信頼する発言をしており、おそらく極東安保の大きな俯瞰図を変更する可能性はないだろう。いずれにせよ、安倍は切れ者マティスを“味方”に付けた感じが濃厚であり、会談そのものは成功と見るべきであろう。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)