2012年11月30日

◆第3極は小沢と石原の“乗っ取り”状態

杉浦 正章

 

既成政党批判だけで中央政界に食い込もうとする大阪と滋賀のポピュリズム政党は、論争に深入りすればするほど馬脚が現れるという現象を呈するに到っている。日本未来の党は代表・嘉田由紀子の必死の「小沢色」打ち消し発言にもかかわらず、政策も人事構成も「小沢一郎支配」そのものの様相を呈している。


一方日本維新の会は「石原慎太郎支配」の色彩が濃厚となり、選挙公約で自主憲法制定を表明、争点の「脱原発」では「フェードアウト」などとまるで「自然消滅」のような苦肉の表現にとどまった。今後この内部の相克に起因する弱点が一層露呈されてゆくことが予想され、選挙結果にも大きな影響をもたらすだろう。
 

記者団に「小沢新党」を指摘された嘉田は発足早々から防戦一方だ。「そうならないように、女性や若者などの声を反映できるような仕組みを党の中に埋め込んでいきたい」と語るが、女性や若者の声がどうして小沢色払拭なのか意味不明。


29日に発表した衆院選挙向けの政策綱領ではなんと悪名高き「子ども手当」の復活だ。それも月額2万6千円は、09年衆院選マニフェストと同額だ。明らかに小沢が実態は自分が陰のリーダーであることを暗に誇示する意図で挿入したものだ。自民党からばらまき批判を受けて失速した手当を臆面もなく出す小沢も小沢だが、嘉田の政策無知も相当なものがある。
 

肝心の原発政策にしてもドイツのまねをして10年でゼロを目指すとしているが、昨日指摘した通りドイツは頓挫している。野田が「ドイツは2000年から脱原発を進めており、原発も十数基しかない。さらに地続きであり、仮に失敗したり、見通しを誤っても、隣のフランスが助けてくれる。


日本は島国であり、失敗は許されず、着実に進めていかなければならない」と指摘している通りだ。田舎では通用するあいまいな政策も、中央の厳しい視点から洗礼を受ければ破たんは最初から明白だ。


「小沢支配」は人事を見ても明白だ。要所を全部小沢側近で固められてしまった。まず副代表に側近の参院議員・森ゆうこを押し込まれた。金庫を握る財務担当には参院議員・佐藤公治、選挙担当に前衆院議員・川島智太郎だ。要するに未来の首根っこは小沢が完全に押さえた選挙戦となるのだ。


嘉田は「オブラート婆さん」として御輿に担がれるだけの構造だ。元首相・菅直人の「党の実権を小沢さんが握る構造は必ず破綻する」という予言を待つまでもなく、嘉田はやがて小沢に「使い捨て」にされたと悟るときが来るだろう。
 

一方で、維新も石原ペースが著しい。ただ石原の「硬直した中央官僚の支配を壊す」は何か言っているようで、実は何も言っていない。単なるスローガンに過ぎない。


民主党の3年前の主張と同じだが、結局何も出来ず、国にとってはマイナスにだけ作用した。さすがに政権公約には石原の持論の「憲法破棄」は盛り込まれなかったが「自主憲法制定」と文言を変えて挿入された。


肝心の原発では内部で相当なやりとりがあったと見えて、記者会見で「原発ゼロを目標とするのか」と当たり前のことを聞かれただけで石原は、異常なるたかぶりを見せ、ぶち切れた。聞いた記者に「そんなことさんざん言ってきたじゃないか。人の話を何聞いているんだ」と開き直った。


しかし記者は疑問があるから聞くのだ。聞かれて怒るなら記者会見に出てくるなと言いたい。メディアを利用しようとしているのはそっちではないか。はからずも人間の小ささを露呈させた一幕だった。
 

結局原発は「既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする」などという訳の分からない表現に終わった。フェードアウトとは映画や演劇で、場面が次第に暗くなり消えていくこと。溶暗だ。また、音楽などの音が次第に小さくなっていくことを意味する。そこには自ら積極的にゼロにするという意思表示はない。まるで他人任せである。


石原は小説家のくせいに日本語の語彙がなくなると、英語でごまかす癖があるから、石原の発意による表現だろう。背景には原発推進の石原と、「30年代ゼロ」と言いたくてしょうがない橋下徹との葛藤があるが、原発問題は維新の抱えるアキレス腱だ。


こうして、維新は石原色が前面にでてきており、これがインテリ層や女性票の第3極離反を招くことは間違いない。まるで維新には野蛮人が、未来には旧態依然の寝技師が乱入したようなものだからだ。
 

こうして第3極は急ごしらえの政策を軸に、小沢と石原に乗っ取られる構図がいよいよ鮮明になった。


民主党はどっちにしても食われるが、その反面で自民党の“責任政党色”は一段と際立ちつつある。幹事長・石破茂が勇敢にも脱原発のポピュリズムに真っ向から対決し始めたのだ。石破はなんと「原発問題はスローガンだけで国を誤ることはしたくない。


原発は安全と安心が確保されれば必要なものは再稼働する。受けは悪いがそれを語る勇気を持たないでどうするんだ」と発言したのだ。もう吹っ切れている。堂々と国家にとっての死活問題で正論を述べる。この姿勢こそが大衆迎合政党か責任政党かを分けるキーポイントだ。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年11月29日

◆詭弁大王、暴言帝王、甘言老婆が勢揃い

杉浦 正章

 

選挙は弁論で訴えるしかない。したがって政治家の唯一の武器は弁論であるが、この選挙ほど詭弁、暴言、妄言、甘言、迷言がはびこっている例は珍しい。なぜかと分析すれば前回ポピュリズム選挙で成功した民主党の例にならって、第3極が“衆愚”の浮動層を再びだまそうと狙っているからに他ならない。


まさに大衆迎合選挙が展開されているのだ。日本は世界でもめづらしい知的水準の高い国民だが、偽政治家にころっとだまされる点では世界有数の幼児性を兼ね備えている。幼児にさとすように欺瞞(ぎまん)性を解き明かす。
 

まず【口から出任せ大王】は日本維新の会副代表・橋下徹。みんなの党との候補者調整で迷った末「じゃんけんで決めよう」と渡辺喜美に持ちかけた。さすがにアジェンダ渡辺もびっくりしたとみえて「そんなばかなことが許されるのか」と激怒、合流話は立ち消えとなった。代表・石原慎太郎が橋下に「じゃんけんで決めるしかないなぁ」と漏らしたのを、何でもパクってしまう橋下がつい口にしてしまったのが経緯のようだ。


この橋下の発言は維新の特質を物語っている。つまり政策や理念などは必要ない。橋下と石原の人気だけで選挙に勝てるという、有権者を見くびった判断が背景にあるのだ。


橋下は自民、民主の幹部の批判に対して「あーこの人たち、組織のトップとしてギリギリの判断をやったことがない人だなと思った」と反応したが、まさに井の中の蛙大海を知らずだ。自治体のトップの判断などは、政治のぎりぎりの場面の判断と比べれば楽すぎてうたた寝しながらでも出来ることを知らない。


それに、タレント弁護士だけあって、良くしゃべる。しゃべりすぎる。テレビで弁明していたのを聞いたが軽くて長広舌をふるうのには閉口した。寸鉄人を刺すという言葉を知らない。優秀な政治家はすべてこれを信条としているが、橋下にはかけらもない。タレントたるゆえんだ。
  

次に【暴言帝王】は石原だ。「海岸に原発を造ってきたのは基本的な間違い。大津波が来るという指摘もあったのに、政府は聞かなかった」と宣うた。石原の特技は過去の発言をすべて忘れてしまうことにある。高齢者特有のビョーキではないかと思える。


ついこの間まで原発推進の旗振り役を買って出て、「東京湾に立派な原子力発電所を作ってもよいと思っている」と公言し続けて来たのはどこの誰かと言いたい。それとも「東京湾は湾であって海岸ではない」とでも言うのか。


水がなければ冷やせないことぐらい小学生でも知っている。脱原発でなければ人にあらずという誤った風潮の中で「慎太郎よお前もか」と言いたい。ことあるごとに「私は暴走老人。死んでも結構と言うつもりでやっている」と、よわい80を逆手に取った発言を繰り返すが、高齢を理由に同情を買おうとするのは老人特有の“媚び”にすぎない。
 

【迷言大師】は亀井静香。日本未来の党に渡りに船とばかりに飛び乗って「未来は勢力をどんどんでかくする出世魚。ビュンビュン跳ね回って日本の危機、世界の危機を救う」と誇大妄想発言。しかしその実態は行き場なしの自分の危機を救うものに他ならない。政界のつまはじきで膝小僧を抱えていたのに「亀ちゃんとりあえずはよかったなぁ」と褒めてあげたい。
 

何と言っても【甘言老婆】の滋賀県知事・嘉田由紀子の言い回し「このままでは日本は国家としての品格を失う」はひどすぎる。原発ゼロでは2流国になると「第3次アーミテージ・ナイ報告書」が警鐘を鳴らしている。2流国どころか3流国の乞食となって物乞いをすることになる。それで品格が保てるのか。


「ドイツのように2022年にゼロを目指す」と言うが、ドイツのゼロは破たん寸前だ。再生可能エネルギーの技術の壁とコスト高に直面している。


加えて送電網の整備にかかるコストに悲鳴を上げている。2000年に始まった固定価格買い取り制度によって太陽光発電が急速に普及したが、買い取りで財政が成り立たなくなったのだ。また電気料金の高騰で住民生活に大きな影響が及び始めた。日本も電気料金は大幅に上がり、企業も家庭も確実にやっていけなくなる。苦境に立ったメルケルは太陽光発電の買い取り価格を20%から30%引き下げ、3,4年後には中止すると言い出した。


それでもやれるというなら嘉田はまさに亡国の甘言老婆だ。見る人はちゃんと見ている。日経電子版の調査によると未来を66.5%が「政策の違いを無視した野合」と回答。第三極に「失望した」は77.7%だ。
 

【妄言の姫】はみどりの風共同代表の亀井亜紀子。同党から未来の党に移る3人が衆院選で当選したら「みどりの仲間として迎えたい」と、みどりに復帰させる方針を明かにした。いったん未来を名乗らせて当選したら復党するのではまさにヤドカリ。有権者をだますものでもある。未来が選挙互助会であることがはっきりした。
 

それに引き替えて【名言の爺さん】もいる。自民党副総裁・高村正彦だ。未来について「実態を見れば小沢新党」と言い切った。「小沢さんは評判が悪くなると新党を作って目くらましをする。それが生き残りの手段」はまさに当を得ている。嘉田は小沢色を消すのに懸命だ。脱原発だけで時流に乗っている胡散臭い代表代行・飯田哲也に「小沢氏は無役」と言わせて、見え透いた逃げの一手を売っているが、時既に遅しだ。誰が見ても小沢新党と分かってしまうのだ。無役でも裏から手を打つ小沢の怖さを知らない。


おまけに現在73〜4人の候補のうち50人が小沢一派で、会計責任者まで小沢グループでは、小沢への救命ボート以外の何物でもない。これくらいはいくら衆愚の浮動層でも分かるだろう。

            <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年11月28日

◆3極3分裂で共食い共倒れの構図

杉浦 正章
 


「日本未来の党」を煎じ詰めれば船が難破して溺れかかっている小沢チルドレンを、1自治体の長が救命ボートを出して助けるという図式であろう。これが有権者に理解されるかということだ。それも「脱原発」一本に絞って、浮動票を狙うという究極のポピュリズムだ。そこには経済も外交も安保もない。


折から第3極はみんなの党と日本維新の会の合流が破談となり、維新、みんな、未来に3分裂して“共食い”状態に突入する。未来は脱原発色が薄まった維新のアキレス腱を突くことになる。しかし出遅れの未来と賞味期限が切れつつあるみんなは苦戦を余儀なくされつつある。
 

脱原発の琵琶湖宣言なるものに京セラ名誉会長の稲盛和夫の名前が連なっていたのには驚いた。稲盛は言わずと知れた小沢びいき。どうも滋賀県知事・嘉田由紀子と小沢の間を取り持ったのは元農相・山田正彦に加えて稲盛でもあったようだ。


稲盛はかねてから「原発は必要悪」と唱えており、財界人というのはころころと節操もなく信条を変えてもよいもものなのだろうか。「爺殺し」で有名だった小沢の最後の特技発揮に、まんまと乗せられたのであろう。
 

それにしても嘉田が原発維持について「このままでは日本は国家としての品格を失う」という発言をしたのはあきれて物が言えない。原発を推進している中国や韓国に品格があるかどうかはともかくとして、米欧主要国はすべて品格がないのだろうか。


主要エネルギーを日本だけが失えば、日本は間違いなく乞食となって物乞いをすることになる。それで品位が保てるのか。しょせんは田舎知事の戯言レベルの話しである。橋下と並んでポピュリズムの役者はそろった形だ。
 

小沢一郎は、このままではじり貧となる生活をどう立て直すかだけが焦眉の急であって、もとより政策などはどうでも良いタイプの政治家だ。脱原発などは小沢にもっとも似合わない政策だが、最後の勝負のためにはなりふり構わず活用してしまう。背景にはチルドレンたちの悲鳴がある。


もともと「風」だけで当選した連中だから、国会議員を3年3か月もやれただけで有り難いと思わなくてはならないのに、まだ悪あがきをするのだ。そして「生活の名前では選挙を戦えない」という“わがまま”まで言い出す始末となっていた。この埋没感を打破しようと小沢は、今度も「脱原発の風」を利用しようとしているわけだ。


しかし柳の下にドジョウは二匹いない。ほとんどの党が脱原発をお経のように唱えている中であり、「卒原発」と言っても未来の党に風が吹くかというと、難しい。再び脱原発の中に埋没するだけだ。
 

しかし既成政党に飽き足らない浮動層をどう取り込むかは今回の選挙の焦点であり、石原主導の維新の弱点は突くことが出来る。その弱点とは石原の極右国粋主義路線だ。そしてその石原の主張で橋下が脱原発色を薄めたことだ。ここはまさに維新のアキレス腱であり、これに中道脱原発の嘉田を担ぎ出し、利用するのは第3極内では通用する可能性がある。


つまり既成政党には投票したくないが、極右の石原はいやだという層を狙うのだ。とりわけ女性がターゲットだ。これが未来に流れる可能性がある。
 

一方、第三極では比較的ポピュリズム色の少ないみんなの党は維新と決裂状態に陥った。代表・渡辺喜美は「“二本”維新の会では話が進まない」と断念した。みんなと維新は競合区が増える一方の状態であり、現段階で27選挙区が競合している。


舌戦も橋下対嘉田、橋下対渡辺の図式で展開しており、橋下は3極内で挟撃を受ける形に陥った。これが維新の躍進基調に影響を及ばさないわけがない。まさに共食い、共倒れの流れが生ずる結果となったのだ。面白いのは橋下のコメントだ。


「僕は政治グループを束ねてきた自信があるが、嘉田知事はその経験がない。」だそうだ。数人集まった“雑魚”を束ねても、決して束ねたことにならないことが分かっていない。しかし3極が民主党を蚕食する構図には変化は生じないものとみられる。いずれにしても3年3か月の失政は、有権者の中で「怨念」と化しており、民主惨敗の流れは変わらない。
 

シギとハマグリが争いに夢中になっている間に両方とも漁師に取られたという故事を漁夫の利というが、まさに自民党にとっては思うつぼにはまってきたことになる。同党幹部は「小沢様々だ。民主党を分裂させて弱体化してくれた上に、今度は維新を食ってくれる」と漏らしている。


総裁・安倍晋三が「総裁選挙に勝つだけのための政党では、政治の信頼を失わせることにつながる」と未来を批判するのは的中している。選挙は蓋を開いてみないと分からないが、3極の骨肉の争いは、小沢や石原ら政治家が自らの政治的野望のためにあおっている側面が濃厚となってきた。


             <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家) 

2012年11月27日

◆小沢苦肉の「新党」も所詮は“落穂拾い”

杉浦 正章

 

まるでミレーの絵画シリーズだ。「晩鐘」を聞きながら爺さんと婆さんが「落穂拾ひ」をやっている構図だ。聞いてもすぐ忘れるような政党を集めて、ひたすら選挙向けにまるで水戸黄門の印籠のごとく「脱原発」を掲げて、「これが目に入らぬか」と意気込んでいるが、目に入らんのだ。


名前は「日本未来の党」だそうだが、限りなく疑惑に満ちた「無罪の人」小沢一郎(70)や、政界つまはじきの亀井静香(76)、原発ポピュリズムの滋賀県知事・嘉田由紀子(62)らが集まっても、しょせんは“野合”であり、日本の未来を託すわけにはいかない。直撃を受けるのは同じ第3極の日本維新の会だろう。第3極の分裂・共食いだからだ。
 

それにつけても小沢の“寝技”は冴えていると言えば冴えているが、“回天”の事業にはほど遠い。最近永田町には「小沢が最後の仕掛けをする」という観測がしきりに流されていたが、これだった。嘉田はかねてから日本維新の会副代表・橋下徹が裏切って大飯原発再稼働容認へかじを切ったことに不満があった。2週間前も嘉田は橋下が脱原発に踏み切らないことに対して「仲間を失った感じがする」と記者会見で語った。小沢は抜け目なくこうした“亀裂”に目をつけたのだ。


8月頃からあの手この手で接触を試みた。そうして24日の夜の秘密会談で「嘉田新党」で合意したのだ。「自分の党は解党してもいい」とたらしこんだのだ。嘉田も天下の小沢から持ちかけられては悪い気はしない。それに「無罪だから」と回りにも言い訳が立つ。しかしそこには女性特有の「淺知恵」がある。
 

小沢の狙いが分かっていないのだ。小沢の狙いはとりあえず「卒原発の看板借り」だ。看板借りとは芸者が置屋から、屋号や営業権を借りることが語源だが、表向きの名目、見せかけをさす。嘉田は大飯原発再稼働を“活用”して「卒原発」で名前を挙げたが、政界で埋没した小沢はそれをさらに“活用”して党首に祭り上げ、自分は国会議員団の代表として采配をふるうと言う形だ。


まるで維新の会を乗っ取った石原そっくりの手法だ。橋下を利用して自らの政治的野心を達成しようとしている石原のやり口そのままだ。さすがに中央の政治家の“悪さ”は、並大抵ではない。自治体の長など手玉にとれるのだ。
 

小沢にしてみれば嘉田という女性党首を持ってくることにより、今流行の原発ポピュリズムをフルに活用できることになる。自分が訴えても聞く耳持たぬ有権者が、嘉田なら聞く耳を持つのだ。


自らの胡散(うさん)臭ささを嘉田のオブラートでくるんで、落選必至のチルドレンの選挙対策に役立てようというのだ。こうして小沢は第3極にくさびを打ち込み、維新とは一線を画すことに成功したかに見える。
 

しかしことはそう簡単にはいくまい。だいたい小沢は行き場所なしで膝を抱える亀井とうまくいくのか。クリーンが売り物のみどりの風は小沢のダーティイメージと混ざり合っていいのか。原発以外で消費増税、外交・安保、TPP(環太平洋経済連携協定)など焦点の政策はどうするのか。これらの問題を棚上げにして「脱原発」一点に絞って新党を結成しても、まさに非維新野合新党に他ならないのだ。


そもそも弱小政党が集まってインパクトが生ずるのか。26日放送のNHKの世論調査では政党支持率が小沢の生活0.9%、亀井の減税日本0.1%、みどりの風0%だ。朝日でも生活2%で後は0%。いくら「落穂拾い」をやろうとしても、落ち穂は拾われてしまってないのだ。それに今回は組織ゼロではとても戦えない選挙だ。市民運動を巻き込もうとしても、まず間に合わないだろう。
 

だいいち原発対策は賢明にも自民党が3年間様子を見る方針で、最終的には「ベストミックスで入原発」を図ろうとしている。責任政党として見事な対応だ。


これに対して民主党は脱原発を閣議決定出来ないままであったが、どさくさに紛れて最近閣議決定したようで野田は「閣議決定した」とあちこちで吹聴している。他党は口を開けば脱原発だ。いまさら脱原発を唱えても、有権者には訴えない。嘉田が出張って珍しいだけだが、促成栽培はすぐに飽きが来る。


メディアは朝日が異常にこの脱原発新党をはやしている。今後「原発ゼロ」の“社是”達成のためには悪魔とも手を結びかねない姿勢だ。したがって新党はその実力以上に大きく見える可能性があるが、実態を見間違わない方がいい。


小沢の最終的な狙いは「脱原発政権」にあるから、選挙後あわよくば「反自民脱原発政権」での連立を目指そうするのだろう。いくら衆愚の浮動層でもこれに気付けば投票しまい。おまけに野田や、石原が小沢に乗るわけがない。したがって小沢には「晩鐘」の鐘が鳴っているのだ。おとなしく観念して落日に手を合わせた方がいい。

      <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)


2012年11月26日

◆党首討論は右寄り「直球」で安倍が優勢

杉浦 正章

 

解散以来2大政党党首の論戦を観察してきたが、様相は「理屈」の首相・野田佳彦に対して「実戦」の自民党総裁・安倍晋三の立場が浮き彫りだ。そして実戦論の安倍がリードし始めていることが分かる。


その証拠に日銀による国債買いオペ拡大発言は株価を解散直後の8661円から9366円に引き上げ、円相場も79.66円から82.45円へと円安に動いた。野田は「口先介入」と批判するが、これまで口先介入すら出来なかった民主党政権の無策ぶりが返って露わになった。


安倍が「発表してから円は下がり、株価は上がった。『勝負あった』だ」と自賛するのも無理はない。折からのナショナリズム台頭の風潮に安倍の「国防軍」もネットではやされている。街頭演説も安倍には聴衆が集まって沸くが、野田にはヤジが飛んでいる。
 

面白いのは野田の民・自党首討論の呼びかけに安倍が「インターネット番組でやろう」と回答したことだ。野田は「もっと幅広い人たちに見てもらった方がいい」と渋っているが、安倍の狙いは“ネット選挙”にある。いまネットでは「ネトウヨ」でなければ人でないような状況だ。


ネット半可通のために解説すると、ネトウヨとはネット右翼のことで右翼的、保守的、国粋主義的な性向を持つ若者たちをさす。そのネトウヨが安倍や日本維新の会代表・石原慎太郎をはやしにはやしているのだ。そのネット番組でやろうというのは、安倍が野田を自分の土俵に引き込もうという意図があるのだ。


ネトウヨなど視聴者の書き込みもすぐに画面に掲載されるから野田には不利になる。野田は14日の党首討論で勝ったのに味を占めて、これを再現しようとしているが、次回はどんな形式になるにせよまず負ける。
 

そして両党首の主張だが、テレビ朝日が25日野田と安倍の出演による好番組を組んだ。それぞれ別々の出演だが実態は時間差党首討論の形で面白かった。この番組でも安倍が指摘したが、安倍の「建設国債日銀直接引き受け」発言は、経済を知らない政治記者の誤報であったことだ。


別のTV番組で東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋が暴露したところによると、「熊本まで安倍に同行した政治部記者が安倍の発言を日銀が直接引き受けることなのか、通常の買いオペレーションのことか分からないまま、『直接引き受け』にしてしまった」のだという。
 

東京新聞は22日付の社説でも取り上げ「安倍総裁は日銀による国債の買いオペ拡大も求めた。これがメディアで『日銀の国債直接引き受け』と推測交じりに報じられ『財政赤字を日銀が賄うのか』という極端な議論に発展した」と誤報を指摘している。


まさに理路整然と反論して「ウルトラCとか禁じ手を使うことは許されない」と批判した野田や、日銀総裁・白川方明の「現実的でない」「悪影響が大きい」「先進国はどこも行っていない」という鬼の首を取ったような反論は、誤報に踊らされたことになる。あとになって新聞は「安倍総裁が軌道修正した」と安倍のせいにしているが、誤報を誤報と認めないのはフェアでない。


小生は「経済を知らない政治記者は駄目だ」と唱えてきたが、その通りとなった。選挙への影響が強いだけに問題の大誤報だ。
 

さらなる問題は、野田の反論も白川の反論もその“資格”がないことだ。なぜなら民主党政権3年3か月の間で、政治家の発言が株価を引き上げ、円安を誘導したことはまずない。素人集団で自分が打つべき手も打てず、手をこまねいて国家財政と景気をここまで落ち込ませたことに対する責任が問われていることが分かっていない。


安倍が野田の反論を聞いて「びっくりした。こういう認識で政権運営をやっていたから、ここまで惨憺(さんさん)たる結果となった」と嘆いたとおりだ。白川もこれまでデフレ脱却策にすべて失敗し続けた日銀総裁としては、誤報に基づいたスジ論を言う前に、自らの進退をどうするかが先であろう。自民党政権になれば当然責任を問われるだろうし、その前に自ら辞表を提出した方がよい。
 

市場は安倍発言を歓迎しており、このままいけば当然選挙情勢にもプラスに作用するだろう。14日の党首討論の時は野田の解散の“奇襲攻撃”にあって、おたおたした安倍だが、党首討論に向けて態勢を完全に立て直したことが分かる。


外交・安保では「国防軍」構想を打ちだした。野田の批判に対して安倍は「野田さんの攻撃はかつての社会党党首が極端な例を持ち出して不安をあおったのと同じだ」と指摘するとともに、「自衛隊が軍隊でないというのは詭弁であり、軍隊としてちゃんと認め交戦の際は交戦規程に沿って行動し、シビリアンコントロールも憲法に明記する」と明言した。要するに唾棄すべき石原の極右国粋主義まではいかないが、正常なる右傾化路線の公然たる主張である。
 


安倍は尖閣問題で台頭しているナショナリズムの風潮を明らかに意識してとらえている。まさに右傾化で“勝負”に出ている姿であろう。


ネットではヤフーがインターネット利用者に対して、「国防軍の保持」の賛否を調査したところ、24日午後4時現在で「賛成」がなんと72%と、「反対」の25%を大きく上回った。若年層のナショナリズム、そして不況にあえぐ中小企業の悲鳴に似た声を安倍が吸い上げる可能性が高い。


安倍による右寄りの“直球”は、民主党をたじろがせている。加えてこの自・民2大政党の論議が党首討論の形で有権者の耳目を集めれば、最大の収穫は石原や橋下徹らのポピュリズムの存在の影を薄くすることだ。それだけでも2大政党の党首討論はやる意義がある。


           <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2012年11月22日

◆核武装“石原軍事政権”は戦後最大の悪夢

杉浦 正章
 


昔、山田洋次監督、ハナ肇主演の映画に「馬鹿が戦車(タンク)でやってくる」があった。村中から嫌われた主人公が隠してあった戦車を走らせて、村人たちを恐怖のどん底にたたき込むというのが筋だが、62年のキューバ危機直後であっただけに説得力があった。


その映画そっくりの状況が生まれつつある。憲法破棄、核武装、徴兵制導入を主張する日本維新の会代表・石原慎太郎による軍国主義政権復活路線である。「ヒトラーになりたい」と公言し、「軍事政権を作る」とかねてから主張する石原は、まさに時代錯誤の馬鹿がタンクに乗って走り出した姿そのままだ。


尖閣諸島をめぐる短絡したナショナリズムと結びつきつつあるから、始末に悪い。
 

20日の日本外国特派員協会での発言は、これまでに石原が述べてきた発言からいえば序の口に過ぎない。「いまの世界の中で核を持っていない国は外交的に圧倒的に弱い。核を持っていないと発言力は圧倒的にない。シナは核を持って日本の領土を奪おうとしている。核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいいと思う」というものだが、過去の発言をチェックすればこれは氷山の一角である。


11年6月にはもっとはっきり核保有論の目的まで述べている。「日本は核を持たなければ駄目だ。持たない限り一人前には扱われない。日本が生きていく道は軍事政権を作ること。そうでなければ日本はどこかの属国になる。徴兵制もやったらいい」と発言している。臆面もない「軍事政権を目指すための核保有」である。


この石原の主張は右翼もためらうものであり、これ以上の右傾化はない。21日には「シナ(中国)になめられ、アメリカの妾(めかけ)で甘んじてきたこの日本を、もうちょっと美しい、したたかな国に仕立て直さなかったら私は死んでも死にきれない。だから老人ながら暴走すると決めた」とも述べている。


まさに反米国粋主義も窮まれりというところであり、その下品極まりない表現は、聞く者を不愉快にさせる。


先に紹介したように8月の首相・野田佳彦との会談では、尖閣問題に絡んで「戦争になってもいいじゃないか」と述べた。慌てた野田は東京都に所有させては戦争になりかねないと性急な国有化に走ったのも事実だ。
 

問題は、維新にこのタンクで暴走する異常な老人を止める者がいないことだ。止めるどころか橋下徹もその政治姿勢はミニヒトラー的であり、徴兵制一つを取っても「勝つ為には傭兵制なんだけども、責任を根付かせる為には絶対僕は徴兵制は必要」と述べている。


維新の候補になる元宮崎県知事・東国原英夫までが「徴兵制があってしかるべきだ。若者は1年か2年くらい自衛隊などに入らなくてはいけないと思っている」と徴兵制導入論だ。この維新だからこそ石原は安心して結びついたとも言える。
 

問題はこうした極右国粋主義的な動きを迎え入れる衆愚の浮動層が台頭していることだ。尖閣問題を契機に、テレビでも自衛隊や海上保安庁に入って日本のために戦いたいという若者の発言が目立ち始めている。


こうしたナイーブな愛国心を石原が利用する流れとなっていることだ。戦後初めて政界で孤立していた石原が利用できる右傾化の風潮が生じているのだ。


危険なのは暴力満載の劇画で育った世代が安易に扇動され得ることでもある。しかし、憲法を破棄して徴兵制を実施し、核武装して中国と対決する国家戦略が成り立つだろうか。遅れてきた老人石原は、世界情勢を完全に見誤っている。狂気のごとき誤判断である。


核使用も辞さない米ソ瀬戸際外交は62年のキューバ危機が象徴しているが、半世紀も前の話だ。89年のベルリンの壁崩壊以来、核保有で物事が解決できるなどという指導者のいる国は北朝鮮とイランしかない。核保有を目指すが故に世界中からつまはじきされている国々だ。
 

日本が核を保有した場合どうなるか。極東が間違いなく瀬戸際の危機に陥る。中国はさびた核ミサイルを磨き直し、北朝鮮は東京、名古屋、大阪に向けた核ミサイルの発射準備を整える。当然韓国も所有する。


真珠湾の経験があるアメリカは、反米の石原による核奇襲攻撃を警戒して、同盟を破棄して日本に対峙する。政治・軍事・経済的に日本の孤立は目に見えている。核保有の石原軍事政権はまさに平和日本が戦後初めて見る“悪夢”なのだ。
 

石原は最初に都知事選に出馬した際、当時71歳の美濃部亮吉を追い落とそうとして「もう新旧交代の時期じゃありませんか、美濃部さんのように前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったんじゃないですか」と発言している。


いまの石原の年齢は80歳。前頭葉は石ころのように萎縮して、歩くたびにころころ音がしているのではないか。前頭葉石化の石原を礼賛する衆愚の浮動層は、いいかげんに事態の危うさに気付くべきである。マスコミも甘い。極東のヒトラーの台頭を厳しく戒めるべき時だ。

          <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年11月21日

◆野田と選挙区に追い詰められた鳩山引退

杉浦 正章

 

新聞川柳で<いつまでも残って消えぬ鳩の糞(ふん)>といわれてきた元首相・鳩山由紀夫が、ついに総選挙出馬を断念した。<うるさくて電池抜かれた鳩時計>となってしまった。最大の理由は“落選”の憂き目を見たくないというという選挙事情だろう。


鳩山はいわば民主党ポピュリズムの象徴的存在であったが、首相・野田佳彦の「出たい奴は出ていけ」という「純化路線」で最大のターゲットでもあった。これにより野田の「自公民路線」への障害物の一つが除去されることになり、選挙後は同路線へと傾斜する可能性が一段と高まった。
 

鳩山は解散後ひしひしと党執行部の“圧力”を感じていたに違いない。17日も地元で「官邸は鳩山を公認しないことで支持率が上がると踏んでいる。小泉さんと同じ事をしようとしている」と述べたが、これは鳩山の自分に対する過大評価だ。


小泉が2003年の総選挙で元首相・中曽根康弘、宮沢喜一の公認をしなかったことを意識しての発言だ。しかし小泉は高齢を理由に両元首相を公認しなかっただけであり、今回の場合とは全く異なる。


また野田は鳩山を切ったからと言って支持率が上昇に転ずるなどとは思っていまい。 野田にとっての最大の理由は鳩山に選挙活動をされては、民主党が分裂選挙をしている印象が強くなり党全体に影響を与えるということだろう。


鳩山は野田が命をかけた消費増税に反対して党員資格停止処分を受けており、最近では野田が推進しようとしている環太平洋経済連携協定(TPP)についても「反対する考えを変えるわけにはいかない」と真っ向から反対している。


最大の争点に対して党内から反対されては野田としても選挙対策にならない。執行部にに命じて公認の前提条件として党の方針に反対しないとの誓約書の署名を求めさせたのだ。
 


その上で野田は「掲げる政策に賛同しその実現のためにも歯を食いしばって戦う同志というのが公認のけじめだ。重たい立場の人でも守っていただく」と、鳩山を意識した発言をしている。また選挙区の北海道9区も自民党による政権奪還の象徴区となっており、元スケート選手で道議の堀井学に追い詰められて落選必至の状況に立ち至っていた。


自民党幹事長代行・菅義偉も「勝てそうだった。もう出馬を断念すると思っていたが、その通りになった」と述べている。こうして野田に追い込まれ、地元でも追い込まれて出馬を断念せざるを得なくなったのが実情だ。
 

一方で、維新の台頭は既成政党間に緊張感を走らせており、自民党から20日、「自公民部分連合」ののろしが上がった。幹事長・石破茂が自公民路線について「連立という話ではないが、政策が合うのならスピーディーに進めていかないと国民のためにならない。基本的には自公民3党だ」と発言した。とりあえず自公連立を実現した上で、政策面での自公民部分連合を推し進めようということだ。


しかしその最大の障害が消費増税反対の鳩山であったのだ。自民党からも敬遠する声が上がっていた。野田が反対者切り捨ての純化路線を目指すのも、横目で「自公民」をにらんでいることなのだろう。鳩山引退はその障害を除去することになる。


石破はさっそく「民主党が純化された集団として政界再編の一つの核になることは望ましい」と鳩山引退歓迎の意向を表明した。
 

そもそも3年前の総選挙でも筆者は鳩山の欺瞞(ぎまん)性を指摘して警鐘を鳴らし続けたが、衆愚の浮動票が圧勝させてしまった。調子に乗って鳩山は外交では愚かにも日米中の正3角形の関係を唱え、普天間では「最低でも県外」と愚鈍な発言を繰り返した。揚げ句の果てに、「トラスト・ミー」とすり寄ったオバマからは全然信用されない状況を作ってしまった。


内政では事務次官会議を廃止して、これが国政に致命傷とも言える影響をもたらした。事業仕分けなる物も欺瞞のポピュリズムに過ぎなかった。それでも幹事長・輿石東の意向が反映してか、民主党は鳩山を外交担当の最高顧問に任命。


自民党副総裁・高村正彦から17日、「日本には1億人以上も人がいるので、鳩山氏みたいな人がいることはそれほど驚くことではないが、政権与党の外交担当最高顧問に復帰するのは大いに驚くべきことだ」と批判されるという始末。元々鳩山は首相退陣に際して不出馬を宣言していたのだから、そもそもの存在が未練がましかったのだ。


これで「サイテーでも国外」にでも去ってくれるともっとすっきりする。宇宙人だから故郷の宇宙に戻ってくれてもいい。

       <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2012年11月20日

◆【自公維】連立が最悪のケースとなる

杉浦 正章

 

衆院選挙序盤戦の情勢を見て日本維新の会代表・石原慎太郎が「第3極ではなく、第2極にならないとダメだ」と大風呂敷を広げている。明らかに選挙後の政権の枠組みをにらんでの発言だ。連立政権に入り込んで政権運営の主導権を握ろうとする姿勢だ。


問題は1か月間の選挙で維新の“馬脚”がどれほど現れるかにかかっており、即断は極めて難しい。現段階で言えることは政権の枠組みが比較第1党になるとみられる自民党を中心の政権となる可能性が濃厚であることだ。しかし、1党だけで241議席の過半数を制することはまず困難だろう。
 

そこでどのような枠組みがあり得るかをシュミレーションするが、まず有権者の期待度を見てみよう。マスコミ各社の世論調査によると序盤では第3局中心の政権への期待度が意外にも大きいことが分かる。「民主、自民以外の政党中心の政権」への支持が毎日35%、朝日34%でトップ。NHKは「民主・自民連立」の30%に次ぐ26%だった。


読売は「自民、公明、維新」枠が16%でトップ、「民主、自民、公明」15%、「自民、公明」13%の順だった。調査結果が示すものは既成政党への拒絶反応が色濃く反映しており、何も知らない「衆愚」の第3局への期待の強さを物語っている。
 

しかしこの期待値が実際の投票行動と連動するかは定かではない。比例区での投票先を聞くと、朝日が自民22%、民主15%、維新6%。読売が、自民26%、民主13%、維新8%となっている。今後1か月間の選挙戦を通じてどう変化するかだが、政策を棚上げにして石原と大阪市長・橋下徹の人気だけに頼る維新が、石原の言う2極への躍進を果たすことは困難だろう。


今後、原発の是非、消費増税、景気対策が論戦の焦点にならざるを得ず、石原の「小異を捨てる」というまやかしの「野合」路線や、橋下の「何から何まで一致する政党はない」などという問題のすり替えが通用するほど甘くはないのだ。
 

では、あり得る政権のパターンだが、自民党が第1党を取り戻す可能性は依然最大とみられる。そこで実現し得るのが【自公連立】だ。この枠組みが3年3か月にわたる民主党政権の“政治の劣化”から政治が蘇生(そせい)するためには最良の組み合わせだろう。政治に落ち着きを取り戻し、俗受けを狙わず、外連味(けれんみ)のない政治がいまほど期待される時はないからだ。


しかし問題は自公で過半数を達成できるかということだ。達成できなければ、乱立した小政党をかき集める方法と、民主党を引き込む方法がある。これは過半数の割り方にもよる。
 

割り込みが少なければかき集めで事足りるが、大きく割れば【自公民連立】の動きが生ずる。民主党がたとえ70〜80議席まで転落しても自公民となれば300議席は達成できる。既に自公民路線は消費増税、赤字国債発行法案、定数是正で実現しており、この流れを継承するのだ。3年余で首相・野田佳彦を始め、前原誠司、細野豪志、仙谷由人など自民党政権になっても使いたいような人材は成長している。


しかし、ささやかれるように鳩山由紀夫や菅直人が落選すればいいのだが、口幅ったい大しゅうとが付いてきては政権もやりにくいに違いない。純化路線をさらに進めて鳩山を公認しなければ1番良いのだ。そこで苦肉の策としては【自公連立】プラス【民】が考えられる。とりあえず【自公】で連立し【民】とは政策中心の部分連合で閣外協力を求める方策である。【自公民】にせよ【自公プラス民】にせよ次善の策としては最良であろう。
 

もっとも危険で日本を逃げ出したくなるような政権が維新参加の【自公維】政権だ。少なくとも民主党政権は政権のプロではないにしても政治のプロが政権を担った。維新は国政ど素人集団の登場となる。それも極右国粋主義者の石原が率いるのだ。「風」で当選した連中は1票の議員票としての価値しかない。石原の演説に拍手し、他党の演説をやじるための最悪のチルドレンの登場だ。


自公は自民党総裁・安倍晋三が維新の橋下とパイプでつながっており、公明は選挙協力で連携している。したがって連立を組もうとすれば、これまた300議席は可能だが、いったん連立を組んだら石原の「最後のご奉公」に引っかき回される。石原は対中戦争論者だから、中国の習近平政権とは最初から対決路線となりかねない。石原は関係改善に向けては決定的な阻害要因なのだ。
 

細川護煕が実現したのが非自民の連立政権であり、石原は政権を獲得するためにはこの細川方式も脳裏に去来しているのだろう。しかし、それには公明、民主両党を引き込み【維公民連立】政権を作らなければならないが、いくら何でも野田も公明党代表・山口那津男も敬遠するだろう。


とりわけ野田は散々維新に民主党議席を食い荒らされた上のことであり、石原の軍門に下ることはまずない。【維公民】は机上の空論に過ぎない。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家) 

2012年11月19日

◆石原、橋下の野合の合流は“双頭の蛇”

杉浦 正章

 

石原慎太郎の言う「双頭の鷲」は無敵を意味するローマ皇帝の紋章であり、神聖ローマ帝国からオーストリア帝国へと受け継がれた。ナチス・ドイツもそれにならい、ヒトラーは軍服や建築物の随所に双頭ではないが鷲の意匠を施した。


大阪市長・橋下徹も石原も、全体主義的な危うい政治手法を志向しているが、その政策は水と油である。それを覆い隠してひたすら国政進出を狙って合流の合意文書に署名した。石原は憲法破棄、徴兵制導入、原爆保持の持論を表に出さず、隠ぺいした上での国政挑戦である。原発・消費税もあいまいにしたままだ。


そこには双頭の鷲の豪快さはなく、政界に進出してから浮上させる狡猾(こうかつ)さだけが目立つ。双頭の鷲は現実には存在しないが、双頭の蛇は東南アジアではざらに見られる。その陰湿さからいってむしろ合流はおぞましさが先行する双頭の蛇だろう。
 

双頭の蛇は頭が別々の意思を持って動こうとするため、長くは生きらず、せいぜい数か月の命だ。石原は、いったん決めた減税日本との合流をほごにして維新に付くという破廉恥極まりない行動も意に介せずだ。


何も知らない「維新チルドレン」を大量に選出すれば、その数だけを頼りに石原の無責任極まりない独断政治が国政へと移行される。その主義から言えば国政と日本の外交・安保は危機的状態にに陥るだろう。
 
いったいなぜ橋下が日本維新の会のトップの座を石原に明け渡したかだ。そもそも橋下は本来なら先頭に立って立候補すべきところを、立候補せずに自らは“扇動者”に徹している。代表も石原に譲って、自分は一歩下がった。


これが意味するところは、国政への自信のなさだ。強気のようで弱気が交差する橋下の国政への姿勢が垣間見られるのだ。事実、烏合(うごう)の衆を数人集めて政党を結成したが、出だしから主張はかみ合わない。国政のプロが維新の会には必要だが、太陽の党は賞味期限が切れた議員ばかり。ここはヘッドハンティングの必要に駆られていたのだ。
 

「石原代表」では、まず維新のイメージががらりと変わる。維新の“新鮮”さが石原および太陽の党の「老人ムード」に覆われる。「新鮮から老獪へ」と変身を余儀なくされる。石原の知名度がいくら高くても、その主義主張の外交・安保論や、官僚支配打破論は仏壇の中からはたきを掛けて取りだしたような時代錯誤に満ちている。選挙戦を通じてその石原カラーが前面に出ざるを得ない。


石原は首相を目指さないと言っているが、都政13年で裸の王様になり、石もて政界を追われた過去は全く忘却の彼方だ。一定の議席数を取れば、 非自民・非共産連立政権で首相の座を射止めた細川護煕のごとくにあわよくば政権の座に就こうとしているのだ。


橋下に対して石原は「次回は殴ってでも出馬させる」と、橋下擁立の構えを見せているが、これは石原特有の狡猾なる“たらし込み”だ。まんまと引っかかったのが自分であることを橋下は知らない。役者が上手であるのだ。
 

したがってこの紛れもない「野合」の結果、橋下は庇を貸して母屋を取られることになることが明白だ。「野合」は「小異を捨てる」と臆面もなく言い放つ石原の政治感覚がすべてを物語っている。焦点となるべき原発の是非や消費増税問題も、合意文書からは何も方向性をうかがうことが出来ない。首相・野田佳彦が「混ざったらグレーになった」と名言を吐いたが、その通りだ。


こうして維新の会は石原と橋下の知名度だけの選挙を展開することとなった。候補者などはどうでもいいのだ。その辺のあんちゃんでも何も知らない有象無象でも、橋下と石原が応援に行けば当選すると判断しているのだ。候補者には演説集でも渡して棒読みにさせれば当選してくるとでも思っているに違いない。


要するに有権者を「衆愚」ととらえて、知名度だけで勝負に出たのだ。自民、民主両党は維新叩きを展開しようとしているが、これは難しい側面がある。なぜなら自らを維新と対等の立場に置いてしまうからだ。既成の大政党批判票は返って維新に流れかねない。それよりも党首討論の場などにおいて、石原と橋下の浅薄さを浮き彫りにさせる高等戦術の方が得策ではないか。
 
18日付読売は世論調査の結果「第3極失速傾向」と報じているが、果たしてそうなるか。維新と太陽が合流前の調査で断じられるのか。比例選の投票先は、自民が26%、民主が13%で維新が8%と前回の12%から落ちたことが理由だ。


しかし同じ調査で太陽は5%取っており、単純合計では13%ある。朝日の調査でも自民22%、民主15%なのに対して維新は6%であり、第3党になり得る流れだ。毎日は維新が自民の17%に次いで13%となっている。いずれにしても各種調査で40〜50%に達する浮動票の行方が鍵を握る。


しかし3年前の総選挙で民主党を勝たせたようなブームは沸くまい。3年前の「衆愚の選択」が国政にもたらした結果を、いくら何でも知的水準の高い日本の有権者は反省しているだろう。石原と橋下らポピュリズムが背広を着て歩いているような政治家に再びだまされて、維新チルドレンなどを大量に国政に進出させるべきではない。いまほどガバナビリティを有権者が問われている時はないのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

2012年11月16日

◆選挙後は自民中心で再編不可避

杉浦 正章

 

どうみても総選挙後の政界は極めて流動化する様相である。とりわけ自民党の復調がどの程度か、第3極、中でも日本維新の会の台頭が何処まで議席に反映するかなど不確定要素が大きいのだ。しかし自民党が第一党を獲得するのは確実であり、自民党と公明党の連立政権の枠組みにどの党が参加するかが焦点となる。


大きな流れとしては自民党総裁・安倍晋三は自公民路線の民主党を選ぶか、「自公維」路線を選ぶかを迫られるだろう。極右の石原新党を選ぶことは対中関係を考慮すればあり得ないし、あってはならない選択だろう。
 

「離党したい奴は出ていけば言い」と首相・野田佳彦が漏らしているが、いまや野田の本心は民主党を親野田勢力中心に固めたいくらいの心境かも知れない。確かに選挙後の政界再編をにらんだらその方がいい。ところが今のところ寝返って離党するのは雑魚ばかりで、ジブリのアニメの悪漢みたいに顔ばかりがでかい元農相など、どうでもいいのしかいない。


いまや民主党のがんと化している鳩山由紀夫や、支持率低下にだけ貢献している菅直人など肝心な連中がなかなか離党しない。幹事長・輿石東に到っては野田を差し置いて「総選挙の陣頭に立つ」のだそうだ。あの妖怪じみた輿石が陣頭に立ったのでは、ただでさえ減少する票が一層減ることが分かっていない。
 

この民主党内事情が選挙後の政界再編の構図に大きな影響をもたらすのだ。というのも自民党にしてみれば、自公両党で過半数をとれれば問題はないし、赤字国債も3党合意で予算と一体で処理の方向となった。ねじれ国会も前進しつつある。だから自民党にとって自公政権への回帰が1番いいケースなのだ。


しかし自公で241議席を上回れるかというと微妙だ。東京、名古屋、大阪のポピュリズムが衆愚の浮動票をかっさらえば、政権運営安定化のためにもう1党を引き込む必要が出てくるかもしれないのだ。1番良い流れは、自公民で比較第1党が首相を出すことで合意すればよい。政権は1番安定する。


しかし問題は野田に馬鹿丸出しの元首相、市民運動家の前首相、日教組の輿石などがついてくることだ。これらの顔を思い起こす度に、自民党は溜息が出てしまうだろう。連立を組もうにも組めないのだ。消費増税で出来た自公民路線は、野田の解散の約束履行と赤字国債発行、「0増5減」両法案成立で一層強まった側面があるにもかかわらず、それは野田個人との関係と言ってもよい。


民主党政権の迷走を招いた連中が一緒では、大連立も出来たとたんに揺さぶられる。あるとすれば大連立でなく、政策ごとの部分連合の可能性の方が大きいあろう。しかし自公過半数割れの場合には、部分連合では政権基盤が弱い。
 

それでは第3極との連携または連立があるかどうかだ。第3極では維新が世論調査を見ても突出しており、民主、国民の生活が第一などを食い散らかして政界に進出することは間違いない。公明党を上回る勢力となり得る。石原新党も、狙いは尖閣で発生した極右志向の浮動票であり、これに引っかかる衆愚も結構いる可能性があるから、馬鹿には出来ないのだ。


石原は15日には、政界では賞味期限切れの河村たかしが率いる名古屋の減税日本と組む方針を発表したが、まさに政策無視の野合第一号だ。これが橋下徹を怒らせた。橋下は河村と政策の相違で決別状態にあるからだ。


大言壮語の石原は「小異を捨てて大連合」と述べるが、簡単に言えば政界に出てきて「石原首相」に投票してくれと言うことだ。そのための野合路線であり、発言には何一つ核心になる政策がない。官僚支配反対など唱えても、何も言わないのと同じだ。
 

こう見てくると安倍の選択肢には橋下との連携が脳裏に去来しているに違いない。総裁選後は発言を慎重にしているが、水面下では橋下と連絡を取っているといわれる。選挙後に「自公維」路線が浮上する可能性は否定出来ない。橋下が他の第3極と一定の距離を置いているのを見ると、自民との連携が視野にある可能性がある。しかし、究極のポピュリズムの橋下に引っかき回される政権はぞっとする。悪寒が走るのだ。
 

いずれにしても、選挙後の政界は再編含みで推移する可能性が高い。冒頭述べたように安倍は、いくら自分が右寄りでも中国を「シナ」と蔑視し、憲法破棄、核武装、徴兵制に日本を持っていこうとしている石原と組めば、対中関係はくしゃくしゃになることは理解しているだろう。


もちろん中国の習近平政権はより一層の敵対方針を表明、安倍政権は関係打開の糸口を見出すことは不可能となる。新銀行東京の破たんでは都民1人あたり約11000円に達するツケを払わせ、反省の弁はゼロ。尖閣に火をつけて募金までしたが、国有化で宙に浮いたまま。これも責任を取らない。

石原は政界復帰しても陳腐極まりない小説・太陽の季節でナニで障子を破ったような愚行を繰り返すだけだろう。時代錯誤の暴走老人に投票しようとしている衆愚の浮動層は、もう少し真面目に国の将来と政治を考えるべきだ。

        <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年11月15日

◆民主落城の野田“電撃自滅解散”

杉浦 正章

 

押している方がつんのめったような電撃的な解散の表明であった。総選挙惨敗覚悟の自滅解散だ。首相・野田佳彦による14日の決意表明により、16日解散で来月16日の選挙が確定した。選挙情勢をあえて分析すれば自民党が第一党になることは確実で、公明党などとの連立で政権に就く流れだ。


2009年9月16日に発足した民主党政権は、内政・外交に混迷をもたらした迷走の末3年3か月で終止符を打つ。新政権は年内に最終的予算編成に着手、通常国会に臨む。
 

首相がいったん解散の腹を固めると、これほど強くなって主導権を握れるものなのだ。歌舞伎で、口論の末に、両方掛け合いで、「さあさあさあ」と調子を高めていくせりふを「繰り上げ」と言う。ところが党首討論では野田が一方的に「さあさあ」というのに、自民党総裁・安倍晋三は狼狽(ろうばい)してオタオタ状態だった。無理もない野田は直前の国民新党代表・自見庄三郎との会談でも「『解散する』などということは申し上げるつもりはない」と大うそをついていたからだ。


安倍はつんのめって事態が理解できず、野田が解散日程を具体的に提示すると言っているのに「私の質問に答えていない」とピントが狂った反応。野田が通常国会での定数削減と引き替えに「16日解散」を口に出しても「今、私と野田さんだけで決めていいはずはない。議論をすり替えている」と、まるで見当違い。自民党席からメモが入って、野田が子供にも分かる表現で説明して、やっと理解できて「それは約束ですね、よろしいですね、よろしいですね」とよろけんばかりの喜び方だった。


乾坤一擲の場面では野田の方が数段上であった。副総理・岡田克也から「政治家の器の大小がはっきりした」と言われてしまってはどうしようもない。


野田が幹事長・輿石東に漏らしたのは党首討論直前であり、輿石をいかに信用していないかの左証だ。閣僚席を観察すれば岡田だけは知っていた感じだが、前原誠司は知らされていなかった。固唾をのんで聞いていた顔を観察するだけで分かる事だ。事実上「1人の決断」であったに違いない。


野田はうそつき呼ばわりが一番こたえていたとみえて、討論でも小学生時代の秘話をあえて明らかにしている。それは成績が悪い通知表を父親が怒るかと思ったら褒められたというエピソードだ。通知表の生活態度の欄には「野田君は正直な上に馬鹿がつく」と書いてあったというのだ。恐らく野田はこれが一番言いたかったことに違いない。
 

こうして電撃解散となったが、実態は筆者が1年前から一切ぶれずに言い続けてきた話し合い解散そのものである。政策上の3条件で話がついて解散を断行するということは、誰が見ても話し合い解散だ。


野田がここに来て解散に踏み切った背景だが、「うそつき批判の解消」に加えて大きな理由が2つある。1つは党内の「野田降ろし」。もう一つは第3極対策だ。


輿石の小沢一郎とつるんだ動きや、公然と野田降ろしが表面化する事態をこのまま放置すれば、野田にとって事態は悪化の一途をたどる。離党者は続出して、不信任案も可決し得る事態となる。そうなれば野党は手っ取り早く不信任可決に動く可能性が高い。解散反対閣僚も辞任するだろう。
 

解散をめぐって多数派工作が始まれば、野田は手足を縛られてしまうのだ。これには電撃解散で切り返すしか手はない。加えて18日からは東南アジア諸国連合(ASEAN)会議でのカンボジア行きが決まっており、解散しなければ留守中に“クーデター”となるのは必至だ。切り返した結果は党内反対派がひるんだ。ひるんでオタオタしている間にもう明日は解散となる。


選挙になれば、議員は選挙区対策でよほどの馬鹿以外は離党など本当はしていられないのだ。離党したければ何人でも勝手に出て行けというのが野田の解散断行決断だ。もっとも議員バッジがなくなった者が離党しても、もうマスコミもはやさない。鳩山由紀夫が離党すればこんなにすっきりすることもない。要するに民主党政権はもう“落城”なのだ。
 

もう一つは第3極だ。第3極などと言う言葉はマスコミが勝手に作った言葉であり、まだ「3,4,5、6極 」と言った方がいい。民主党議席への食い込みを狙う日本維新の会は、まだ全候補者を決めるに到らず、石原新党との候補者調整はおろか政策調整すら難航している。この虚を突くのが電撃解散の狙いでもあるのだ。


加えて今回の選挙ほど小党が乱立する例は珍しい。15党がしのぎを削るわけだから自ずと票も分散する。新党、小政党の態勢が整わないうちの方が民主党にとって負けが少ないのだ。
 

こうして、1票の格差是正の「0増5減」は実現しても、区割りと周知は間に合わず、違憲状態のままの選挙に突入する。選挙後に最高裁が無効判決を出しても、出す方の状況判断が問われる。有権者の信託を得た新政権が出来、政策の歯車が回り、内政・外交が進展している1年か2年後に無効判決を出しても、いたずらに国政を混乱させるだけだ。ここは衆院の意向として「0増5減」が実現して、次々回の改正に間に合えば十分だ。最高裁も観念するしかない。


それにつけても小沢の党首討論での精彩の無さは異常だ。愚にもつかないご託を並べて質問時間を稼いでいるようにしか見えなかった。小沢のお通夜のような質問は、いよいよ終わりの始まりなのだろう。

          <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2012年11月14日

◆まるで“政権亡者”の悪あがきだ:民主党内

杉浦 正章

 

解散反対の理由で幹事長・輿石東が、「幹事長室に陳情が来なくなる」と強調したのには驚いた。政権党の幹事長の職というのは、“おいしい”ポジションとは聞いていたが、そんなに離れがたい“特典”があるものであったのか。


輿石の扇動で噴出した、民主党内の解散反対論は一言で言えば“政権亡者”の露呈だ。反対論はひたすら国家国民より自分の身分が大切であり、3年あまりにわたる民主党政権の失政に次ぐ失政が解散論の根源にあることに気が付かない。一日でも長く「先生」と呼ばれたいのだ。


一方で民自公路線が赤字国債発行法案をめぐって復活した。野田は消費増税法案の際と同様に党内の反対を押し切り、同路線に乗って解散を断行する構図となってきた。
 

テレビに出て「解散反対」を唱える連中もまさに老いて醜い姿そのものだ。老醜右代表の渡部恒三が任期満了選挙を唱えれば、藤井裕久も任期満了のシュプレヒコールだ。両人とももう高齢で出馬しないのだから、あきらめが肝心であることに思いが到達しない。やはり任期満了論の菅直人の脳裏には原発事故の急場での大失政への責任などはかけらも残っていない。


かねてから一癖あると見ていた中山義活に到っては、公然と「解散するなら代表の頭を代えるべき」と「野田降ろし」を宣言した。「顔」を代えれば選挙が有利に働くという浅はかな考えに、国民がまたまた、だまされるとでも思っているとすれば愚かとしか言いようがない。
 

こうした動きを煽りにあおっているのが隙あらば「野田降ろし」を狙う小沢一郎と連携している平成の妖怪・輿石だ。13日も参院役員会で口火を切って発言し「年内解散をすれば完全に政権を失う。官邸を引き上げて党に戻ることになる。そういう現実が本当に分かっているのか。


幹事長室にも陳情が来なくなる」と強調した。輿石のこの発言も、全く事態を理解していない。世論調査でも明らかなように、「出ると負け」の民主党政権の失政に飽き飽きした国民は、一刻も早い解散による政権交代を望んでいるのであり、3年半も政権の座につけさせてもらえたことが“奇跡”であるのが分かっていない。


いまさら政権にしがみついて何が出来るというのだろうか。確実にこのまま支持率は急落を続け、選挙情勢は悪化するばかりだ。ダブル選挙なら民主党は参院での多数も失う。
 

進むも地獄退くも地獄なら進むしかないのだ。輿石以下民主党幹部は地獄の血の池に落ちてもまだ命乞いをする“政権亡者”そのものの姿となりきっているのだ。永田町では野田が輿石が辞任しなければ「輿石切り」に出たうえで解散を断行する可能性がささやかれている。


野田は消費税でもそうだったがいったん腹を固めると、てこでも動かないところがある。消費税不成立の場合は議員辞職も考えていたことを自ら明らかにしたが、いったん決意したら貫徹するタイプだ。その消費税で実現した民自公協力が解散に向けて再び復活した。民自公3党が13日、赤字国債発行法案の15日衆院通過と、本予算の成立との連動処理で一致したのだ。


今後のねじれ国会の“休戦協定”を意味しており、賢明なる合意だ。野田は、衆院予算委で、「日本の政治にとって大きな前進だ。自公両党の尽力に心から感謝する。解散の環境整備ができるようお互いに努力したい」と言明している。この画期的とも言える民自公路線の復活は、選挙後の自公と民主党“野田支持勢力”との大連立も視野に入れることが可能となるかもしれない。
 


野田は輿石が党内の解散反対を「党の総意」と伝達した会談もたったの17分で切り上げている。会談後輿石が小鬼のような顔つきで出てきたのを見れば内容は明白である。野田は輿石の反対論を一蹴したのだ。もう輿石は年内解散を決めた野田に反旗を翻し続けるなら、幹事長を辞任すべきであろう。こうした政局の動きは解散を遅らせるどころか加速させる傾向を見せている。


野田にしてみれば解散を遅らせるほど、解散反対の包囲網は強まるからだ。やはり老醜の石原慎太郎が、慌ててくだらない極右国粋主義新党を旗揚げしたのも出遅れを懸念してのことだ。石原は旗揚げが新聞のトップで掲載されると予想していたようだが、新聞の扱いの小ささにがっかりしていることだろう。やはり石原主導の「野合新党」ではブームなどは起きない。
 

永田町では「16日解散・12月9日選挙」までささやかれ始めたが、これはいかにも性急だ。少なくとも「0増5減」は、衆院を通過させておかなければなるまい。したがって解散は22日説、またはそれ以降説が有力だが、民主党内の動きによっては一挙に解散となる可能性も否定出来ない。


輿石以下の政権亡者の計算違いは、反対を唱えれば先延ばしできるという甘い考えがあることだ。解散権は首相にある。不信任決議よりも優先されるのだ。


民放テレビ報道ではピントが狂って吠えまくるみのもんたの朝ズバの解散見通しの迷走が一番目立ったが、その張本人の1人が元総務相・片山善博。「同日選挙」と断定を続けて、茶の間レベルの見通しを誤らせた。14日も「会社がつぶれるようなことを平気でやる」と野田に毒づいていたが、自らの判断力の悪さを棚上げにして首相に毒づいてはいけない。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
 

2012年11月13日

◆小沢は「必死」で詰み、不死鳥はない

杉浦 正章

 

2審で無罪判決が出ても、国民の生活が第一代表の小沢一郎は将棋で言う「必死」の状況だ。王手と張られて、受けがなく必ず詰む状態なのだ。


これまで数々の修羅場をくぐり抜け、不死鳥のように返り咲いた小沢も、まさにナイヤガラの滝壺に向かって落ちようとしているとうとうたる解散の流れには抗しきれないのだ。首相・野田佳彦が年内解散に打って出るのは、小沢と幹事長・輿石東の連携による「怪しげな動き」も視野の片隅に入れて、巻き返しに出ている側面があるのだ。
 

政局が読めずにハムレットの悩みを続けて来た朝日が12日夕刊でようやく年内解散に踏み切った。今さら報じても、石を見て「これは石だ」というような記事だ。「心の中も明かさない」と解散への言及を避けてきた野田は12日の国会答弁で、心の中をさらけだした。読める人が深く読めば明らかにさらけだしているのだ。


「解散は責任を持って判断する」と発言、ネックになっていた「0増5減」と定数削減との関係について「削減を決着させないことで解散を先送りする考えを持っていない」と述べた。何よりも「消費増税法案が通らなかった場合、将来の国民に申し訳ない、今を生きる皆さんにあすの責任を果たすことができない。議員辞職するつもりだった」という発言は、自公の協力への感謝の言葉に置き換えられる。もう「年内解散する」と言ったのと同様だ。
 

この発言から逆算すれば11日夜の野田・輿石会談の内容がつぶさに分かってくる。野田は解散に反対する輿石をねじ伏せたのだ。もう離党者など出てもよいという考えだろう。国会答弁では「野田おろし」の動きに関連して「内閣不信任決議案が通った場合以外に総辞職があるのか。ちょっと想像がつかない」とも述べた。


一連の発言は、野田が不信任案が通っても総辞職でなく解散で対処する方針を鮮明にさせたものだ。もっともたとえ小沢から不信任案が提出されてても解散を先に断行してしまえば、未決となって成立は不可能だ。


森喜朗と小泉純一郎は不信任案が本会議上程後の趣旨説明前に解散を断行している。したがって永田町で小沢と輿石が狙っているといわれる「野田降ろし」の解散阻止戦略などは、首相の解散権の前にはまず成り立たないことになる。それでもなお輿石は、小沢との関係について「消費税問題では見解を異にしたが、仲間だったのだから一緒にやれる点もあると言った気持ちに変わりはない」と言明した。


裁判の結果について野党が一斉に「小沢氏は説明責任を果たすべきだ」と反応したのとは好対照に、輿石の小沢への忠誠心は不変だ。
 

輿石は12日も「景気対策や外交防衛を考えれば解散で政治空白をつくれるのか」と空しい“抵抗”を繰り返しているが、うつろに響くだけだ。3年半に渡る民主党政権に終止符を打つ解散こそが、政治空白を早期に回避する道であることに考えが及ばないのだ。日教組の視野狭窄(きょうさく)がそのまま露出しているのが輿石だ。


こうして小沢・輿石による一種のクーデターめいた動きは封じられる方向となったが、なお自民党幹事長・石破茂が小沢の動きについて「今後、内閣不信任決議案とか、野田首相に代えて新しい首相を選ぶとか、いろんなことが考えられる」と警戒心を漏らしているように油断は出来ない。
 

しかし冒頭述べたように小沢には「必死」がかかっている。今後いくらあがいても第3極の中核などに躍り出ることはない。日本維新の会もみんなの党も、今日「太陽の党」として発足する石原新党も小沢に対しては「総スカン」の状態だ。石原に到っては「小沢君とだけは絶対に組まない」と述べており、わずかに鈴木宗男の新党大地が接近する様子を見せている。しかし収賄罪、政治資金規正法違反、議院証言法違反(偽証罪)で有罪が確定して公民権を有しない鈴木とまだ刑事被告人の小沢では“説得力”がない。
 

総選挙では落選必至のチルドレンを中心に37人の党員を抱えて、政党交付金も間に合わない。2審の無罪判決と言っても、国会議員に甘い現行政治資金規正法の抜け穴をすり抜けたことは誰でも知っている。事務所では「紙は裏白の紙を使え」と指示するほど細かい小沢が、4億円が動いた収支報告書を「関心は天下国家。収支報告書は見たこともない」と発言しても、信ずるものはいまい。無罪だからといって選挙が勝つ状態など生ずるわけがない。


本人は「消費税反対と脱原発で勝てる」と意気軒昂だが、実態は空元気だろう。恐らく10人が当選するかどうかの状態だろう。よわいは70に達し、もうご隠居さんの年齢だ。「必死」の王手を逃れて不死鳥となるのは無理だ。14日の党首討論が面白い。


<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)