2017年02月02日

◆安倍は硬軟両様で“トランプ調教”に臨め

杉浦 正章



切り返せば耳を傾ける習性も
 

トランプを理解させるために首相・安倍晋三は子供の絵本のような数枚のペーパーを渡し、やさしく図解して説明する必要があるのではないか。まるでかみつき犬のように手当たり次第に牙をむきだしているトランプが、今度は認識を誤り、筋違いの対日為替政策批判に出た。安倍は予算委できっぱり「円安誘導は当たらない」と全面否定した。これが10日の会談前に伝わる事は言うまでもない。


安倍は硬軟両様を使い分け、自動車、為替、環太平洋経済連携協定(TPP)ではゲーリー・クーパーのごとく毅然として「友情ある説得」を展開すればよい。一方で、ウインウインの関係樹立を目指した前向きの提案を、安全保障、新幹線、橋梁建設技術などの公共事業の面で行うことが必要だ。首脳会談は知性対感情の戦いになりそうであるが、トランプはごまをすれば馬鹿にして、切り返せば耳を傾ける習性がある。


またイスラム圏と「特別な関係にある」西欧諸国首脳の「トランプの移民排除はけしからん」論に同調する必要などさらさらない。安倍とトランプがゴルフをすることは日米連携の大局からはいいことだが、発言に気をつけないと目立ちすぎて、世界のマスコミが“皮肉る”危険性がある。
 

トランプは人の意見をすぐに採用するたちである。誰も気付いていないが対日為替批判もフォードCEOの入れ知恵だ。トランプは先月24日、ホワイトハウスで米自動車メーカー大手3社の首脳と会談した。この席でフォードCEOのフィールズが、自社の対日売り込み努力の欠如を棚に上げて、「TPPは貿易相手国による為替相場への介入に対処していない」と指摘、大統領の脱退決定を高く評価。その上で「すべての貿易障壁の根源は為替操作だ。TPPはこの問題に適切な対応を取っていない。悪い取引からの撤退を決めた大統領の勇気に感謝している」とお追従をしたのだ。


これにトランプは悪乗りして対日批判となったに違いない。だからトランプが「中国や日本がやってきたことを見てみろ。米国が黙って座っている間に為替を操作した。日本は円安に誘導して、われわれはばかを見た」と発言したのであろう。通貨問題は総じて国家主権の問題であり、他国首脳が異例の口先介入すべき問題ではない。
 

安倍は予算委で「通貨安誘導は当たらない。必要があればそういう説明をする」ときっぱり否定した。もしトランプに日銀の異次元の金融緩和を否定する意図があったとなれば、アベノミクスの根幹の否定であり、デフレ脱却という国家目標にまで切り込んだ内政干渉ということになる。世の中には黙認できることとできないことがあることをトランプに“よく分かるように”知らさなければなるまい。一部でささやかれるように貿易協定の中に為替制限条項など挿入すれば、まさに貿易・為替戦争になりかねない事態であり、論外である。
 

安倍は絵本でドイツ車が日本でいかに売れているかを説明する必要がある。15年の数字ではフォルクスワーゲンが前年比4.4%増の68万5,669台、メルセデス・ベンツが5.3%増の28万6,883台、アウディが3.7%増の26万9,047台だ。なぜ売れるかと言えば高級志向が日本の国民性に合致するからだ。だいいち日本の関税はゼロで、米国の関税は2・5%だ。加えて欧州車に比べてアメリカ車のメーカーは日本で全然広告を出していない。米国は最大の自動車市場であり、米国メーカーはわざわざ日本向けに右ハンドルの小型高級車を製造して販売するまでに至らないのだ。ペイしないと見ているのだ。デザインも日本人好みではない。日本車も米国好みのデザインのものは日本でも全く人気が沸かない。デザインも高級感も日本車や欧州車に劣るものを製造しておいて、為替操作のせいにするフォードの根性はあきれる。


筆者はフォードのムスタング・マッハ1で音より早くワシントン市内を駆け回っていたが、70年代のアメ車のような魅力はもう日本人は感じない。ひとえに米国メーカーの努力不足だ。安倍はこの実情を諄々(じゅんじゅん)と説けばよい。自動車メーカーが米国で作り出した雇用は150万人だ。
 

また安倍はトランプにTPPの重要性、とりわけ対中包囲網という戦略的色彩の濃い協定であることを絵本で説明する必要がある。国会で安倍は「1対1のFTAではなく、成長著しいアジア地域においてマルチのルールを作ることの重要性を説く」と説明した。


トランプは「永久に離脱」と意気軒昂だが、安倍が「腰を据えて説明する」としており、長期戦でよい。その間英国との自由貿易協定(FTA)やEUとの経済連携協定(EPA)などを、TPPを参考にどんどん推進して、米国を置いてけぼりにしてしまえばよい。やがてトランプも自らの立脚点が保護貿易でなく自由貿易であることに気付くであろう。途中で政権がつぶれれば新政権に働きかければよい。
 

同盟関係については、電話会談でトランプが国防長官ジェームズ・マティスの訪日について「よろしく」と述べたことが物語るように、かつての核保有論は影を潜めた。おそらく75%を超える日本の米軍基地の負担をさらに求める非常識さも薄れているだろう。


問題は防衛費をGDPの1%以内とする三木武夫が決めた方針の撤回を求める可能性があるが、これには柔軟に応じた方がよい。極東をめぐる環境悪化はそれを必要としているのではないか。
 

また朝日が「トランプ国会首相守勢」と報じたのに乗じてか、民主党が、トランプの7か国移民の入国禁止を安倍が欧州諸国首脳のように批判していない点を、鬼の首を取ったように追及している。しかし、問題の実相をとらえていない。米欧はもともとイスラム圏との結びつきが強く、それこそ「特別な関係」にあるから、トランプを批判するのであって、日本までが同調する必要などさらさらない。難民受け入れが世界の安定につながるように、日本のアジア、中近東、アフリカなどへの政府開発援助(ODA)や各種援助がどれほど難民流出防止に役立っているかを知るべきである。


日本の支出総額は過去10年間で10兆4000億円に達し、対中ODAは、1979年に開始されて以来6兆円を上回る額である。中国難民やフィリピン難民などが発生しなかったのは日本の貢献によるところが大きい。


そもそも中東難民は日本では生きていけない。イラン人の日本への渡航が80年代末期から急増して社会的な混乱を招き、ビザ相互免除協定を終了させて減少させた事は記憶に新しい。難民が生じる前に、経済的に手を打って防止するのがイスラム諸国の住民にとってももっとも幸せなのであって、安倍が明言したようにシリア難民を受け入れる必要などない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)  

2017年02月01日

◆「トランプ政局」はニクソン政局と酷似

杉浦 正章
 


米紙、「側近バノン」で破滅に向かうと予測
 

半世紀前のウオーターゲート事件によるニクソン辞任をホワイトハウス記者団の端くれとして実際に取材した経験から言わせてもらうと、「早くもトランプ政局か」ということになる。さらに加えれば、ニクソン同様にトランプは死んでも国葬にされないのではないかとすら思いたくなる。移民排除の大統領令に端を発した政局は役者には事欠かない。


ニクソンを辞任に追い込んだなつかしい「院内総務」という政党トップの名称も使われ始めた。民主党院内総務チャック・シューマーが活躍し始めた。ニクソンは副大統領にやはり共和党下院院内総務のジェラルド・R・フォードを任命したが、側近は「彼が次期大統領になると思うと追及の手も緩むだろう」とうそぶいたものだ。ところがニクソン政局は「後任は誰でもいい」というところまでに至り、ニクソン辞任・フォード就任となったのだ。


トランプの場合ニクソンと根本的に異なるのは怨嗟の声が米国内だけにとどまらず、西欧、中東、アジアにまで広がり、内外呼応した政局に発展しつつあることだ。さらに異なるのは政権発足早々という異例の政局であることだ。この流れは増幅しこそすれとどまることはないだろう。
 

世界中に高まる批判、そして米国内では違憲訴訟が各地で相次ぐ。司法省ではトップから批判の声が上がり、トランプは同省長官代行イェイツを音より早く「You're fired」とクビにした。イェイツは「大統領令が合法かどうかは確信が持てない」として、省内に「大統領の弁護をするな」と通知したのだ。


さらに火の手は国務省にも及ぶ。省内で大統領令に反対する職員が数百人の署名を集め、反対の声明を打ち出そうとしているのだ。政権内部からの造反は、ウオーターゲート事件と相似形をなす。政権中枢からディープスロートとして、ワシントンポスト紙ににリークし続け、ニクソンを追い詰めた例と似ているのだ。米国の民主主義は衰えていない。ワシントン州では司法長官・ファーガソンが、違憲訴訟を提起した。


同州知事ジェイ・インスリーは「移民の人々が苦しんでいる惨状をトランプ氏が『ナイスでビューティフル』などというのは許せない」と訴えた。異例なことに前大統領オバマまでが我慢しきれないとばかりに、「大統領令は基本的には賛成しない」と、批判の火ぶたを切った。


前述の院内総務・ チャック・シューマーは上下両院の議員100人余りとともに並んで演説し、「この大統領令でアメリカはより危なくなり、アメリカらしさも失われる」と厳しく非難したうえで、「すべての力を使って大統領令を無効にする」と述べ、トランプ政権との対決姿勢を鮮明に打ち出した。シューマーは目に涙を浮かべて演説したが、トランプの反応はゲスの極みのようであった。「誰かが演技指導したのじゃないか。シューマーを知っているが泣き虫ではない。あれは嘘泣きだ」と毒づいたのだ。他人の愛国の涙を臆面もなく「嘘泣き」と批判する神経は異常だ。


このトランプの政治姿勢はきわめて興味深い。なぜなら、その反応は確実に国民やマスコミを挑発して「倍返し」に遭うからだ。普通の正常な政治家はこうした場合は、挑発に出れば批判を増幅してしまうから損だと判断する能力があるが、トランプは逆だ。その判断能力がなく、政治家にとって最大の欠陥となる“感情丸出し政治”を予感させる。


移民排除の大統領令はいみじくも首席戦略官で大統領最側近のスティーブン・バノンの存在を改めて浮き上がらせた。トランプはまるでヒトラーの最側近ハインリヒ・ヒムラーのごときバノンによって、まさに自分こそ“演技指導”を受けているようだ。


バノンは「メディアは負けたのであり、屈辱を味わいしばらく黙っていろ」と反メディア色を鮮明にしており、人種差別や反ユダヤ主義の主張が飛び交うネット上の運動であるオルタナ右翼(もうひとつの右翼)「ブライトバート・ニュース」の前会長だ。オルタナ右翼とは右翼思想の一種で、トランプを支持し白人ナショナリズム、白人至上主義、反ユダヤ主義、反フェミニズム、右翼ポピュリズム、排外主義などを中核的な思想としている。移民排除の大統領令はバノン独走という見方が強い。


本来は国土安全保障長官ジョン・ケリーが担当する問題だが、発表当日はマイアミ主張中で、知らされていなかった。次期国務長官ティラーソンや国防長官ジェームズ・マティスも発表まで知らされていなかったという。いわばクーデター的に大統領令を打ち出したのだ。君側の奸のごとくバノンがホワイトハウスで頭角を現し、米国の政治を牛耳ろうとしているのだ。
 

ウオール・ストリート・ジャーナル紙も社説でバノンを取り上げ「米国の民主主義にとって最悪なのは、白人寄りの不満政治を正当化することだろう。トランプ氏が約束したように、大統領は全国民を代表するべきなのだ。バノン氏が示す政治的傾向を注意深く見守る価値はある。こうした勢力を好きなようにさせておけば、トランプ政権は破滅に向かうだろう」と警鐘を鳴らしている。このバノンとメディアの戦いは、最終的にはメディアが勝つだろう。邪悪対正義の戦いであるからだ。
 

今後の焦点は議会がマスコミと並んでニクソンを辞任に追い込んだように、議会の動きが注目される。議会共和党も、2年後の中間選挙を考えたら、トランプでは勝てないことを早々に悟るだろう。


まず大統領令を阻止するには@大統領令に反対する法律を成立させるA関連予算を認めないBまだ4人しか承認していない閣僚の承認手続きを先延ばしにするーなどの対抗策が考えられる。最終的にはimpeachment
(弾劾)に至るかもしれない。ニクソンは弾劾が成立すると分かって、事前に辞任を表明した。また、最高裁が違憲の判決を下すかどうかも注目点だ。
 

ニクソンはウオーターゲート事件が発覚して辞任に至るまで2年間かかった。ホワイトハウス記者団の追い込みが本格化したのは1974年の1月頃からだから、それから8月の辞任まで半年以上かかった。トランプも容易には辞めない。


しかしニクソンの場合、突っ張りに突っ張ったが、辞めるときは押している記者団がつんのめるほどもろい崩れ方であった。どうも似たようなことになるような気がする。米国のマスコミの執拗さは尋常ではない。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月31日

◆見えてきたトランプの“本性”

杉浦 正章



ディールの“弱点”も露呈
 

世界中がトランプの“本性”を探ろうと躍起になっている。外交ルートはもとより諜報機関を通じて情報を得て、その“真の姿” を描き出そうとしている。CIAのスパイ活動は公になった情報の分析が97%であると聞いたが、それなら筆者の手法と同じだ。


筆者は公開情報を数日かかって集めて、その上で“推理”を働かせる。したがって、記事の90%は推理である。しかも書く記事は情報量の10分の1である。情報収集には1つの記事で7時間から12時間かけている。


そこでまず就任前と就任後10日間のトランプの言動を分析・推理すれば、そこに見えるのは浅ましいほどの商人根性である。多くが「高くふっかけて値引きする」ところにある。それが英国首相メイ、メキシコ大統領エンリケ・ペニャ・ニエトとの会談に如実に表れている。これは早くもトランプの“弱点”が露呈したことになり、首相・安倍晋三を始め各国首脳は、今後この駆け引きの掛け値に引っかからないだろう。


なぜなら世界の名だたる指導者たちは、“政治駆け引き”でぬきんでているから存在しているのだ。ディールは、政治ど素人のトランプの専売特許ではない。まだいかなる会談もしていない中国とのディールが最大の焦点だ。
 

それでは米外交防衛の要である国務長官レックス・ティラーソン、国防長官ジェームズ・マティスら政権中枢は何をしているのだろうか。議会の公聴会を聞く限り、正常な感覚の持ち主だ。この米国の超エリートが、事態を掌握する能力がないはずはない。おそらく今のところは“ご乱心の殿”トランプに世界・国内の「反発」を実感させて、「方向を転換」を悟らせるような対応を基本としているのではないか。


両者共官僚組織の進言を重視している。とりわけマティスは国防総省からのアドバイスで最初の訪問国を日本とした可能性が高い。誰が見ても膨張政策の中国をにらんだ在日米軍基地は、米国の世界戦略の第一の要であり、これを毀損するような発言をしたトランプ路線を引き継げば、より窮地に立つのは日本ではなく米国であるからだ。横須賀の米第7艦隊は中東までをにらんだ存在なのである。
 

それでは、トランプ流「値引き」である譲歩の手法を実際の会談から分析する。まずニエトとの会談である。トランプはニエトに対して国境の壁の建設資金を要求したうえに、譲歩しなければ「会談しない」と脅しをかけていた。しかしハンサムな上に反トランプで世界的に男を上げているニエトは、会談しなくて結構とけつをまくった。トランプがどう出たかと言えば妥協である。両者は電話会談で「壁の負担については協議を通じて解決を目指す」事で合意した。ここにトランプの弱点が露呈した。強く反発すれば折れるのだ。
 

同様に値引きはメイとの会談でも如実に表れた。トランプはかねてから北大西洋条約機構(NATO)の存在を批判し続け、「NATOはテロに対応できていないから古い」などと表明し続けた。しかし、メイはおそらくトランプにNATOの軽視は自殺行為などと警鐘を鳴らしたのだろう。


メイが記者会見で暴露した「大統領、あなたはNATOを100%認めると言いましたね」という言葉は、おそらくトランプの本音であろう。それを公の記者会見で暴露するメイも相当な女だ。トランプがホワイトハウスの回廊で手を握ったくらいでは、“落ちない”のだ。トランプはメイ発言におたおたしていたが、熟練の政治家は単純なトランプを手玉に取るくらいわけもないことを知らされた一幕であった。
 

さらにトランプの変節を挙げれば、日本の核武装論である。選挙中トランプは在日米軍の撤退を示唆したかと思うと、北に対抗して核武装を勧めるといった具合だったが、最近では一切口にしなくなったばかりか、「そんなこと言っていない」と打ち消している。淺知恵で思いつき発言をしたが、日本の核武装は、世界戦略の激動を意味すると、専門家などから忠告を受けたフシがある。忠告したのはキッシンジャーあたりかもしれない。
 

また水責めなど拷問についてトランプは「拷問は間違いなく効果的で有用だと考えている。IS(イスラム国)が中世以来誰も聞いたことのないような行いをしているという時に、水責めがなんだというのか。私としては、『毒をもって毒を制す』べきだと考える」と意気軒昂だったが、マチスが否定的な発言をした。これに対するトランプの反応は「マチス氏は専門家なので尊重する」であった。ここで露呈した弱点は専門家の言辞には左右されるという側面だ。
 

では対日関係でどう出るかだが、トランプは選挙中二つの重要な発言をしている。その第一は「日本が攻撃を受ければ米国は軍事力を全面的に行使しなければならないが、米国が攻撃を受けても連中はテレビを見ている」と発言した点だ。


この誤謬はどこから来ているかと言えば、やはり70年代80年代の「安保ただ乗り論」からだろう。しかし安保条約には5条で米国の日本防衛義務、6条で日本の基地提供義務が明記されており、日本はその線に沿って対応しているだけだ。さらに昨年成立した安保法制で、米国に向かうミサイルの阻止など大きく戦略が転換されたことが分かっていない。無知という弱点をここでも露呈している。


第二は「公平な駐留経費の支払いが必要だ。さもなければ軍を撤退させる」発言だが、これも無知から来る弱点の最たるものだ。日本が駐留経費の75%を分担しており、これが、衰退気味の米国の世界戦略の要になっていることを知らない。これも無知の弱点だ。NATOや韓国が「100%重要」なら、「日本は180%」と言えといいたい。
 

さらにトランプは日本の規制が米国制自動車の輸入を制約していると繰り返すが、無知の弱点もいいところだ。米国製は大きすぎる上に、日本の消費者の精密指向にそぐわない。その証拠には日本車に匹敵する精密指向のドイツ車は売れまくっているではないか。


15年の数字ではフォルクスワーゲンが前年比4.4%増の68万5,669台、メルセデス・ベンツが5.3%増の28万6,883台、アウディが3.7%増の26万9,047台だ。買ってほしかったら他国に文句を付ける前に、米国メーカーに製品向上を指導すべきだろう。関税はゼロで門戸は開かれている。


トランプは克明にメモを取って人の話を聞くタイプであるらしい。見えてきたものは話せば理解出来る能力があると言うことでもある。

      <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)

2017年01月25日

◆安倍、「米国抜きTPP」不採用で“待ち”の姿勢

杉浦 正章
 

トランプ、的外れの「自動車譲歩」を狙う
 

環太平洋経済連携協定(TPP)問題の焦点は、日本がアメリカ抜きで発足に踏み切るか、それとも米国の翻意を促すかに絞られているが、どうやら後者の対米説得路線を取る方向が強まったようだ。24日の閣僚発言もその方向を示している。


一方トランプがTPP離脱の大統領令の中で「アメリカがTPP交渉から永久に離脱することを指示する」と述べていることが判明、少なくともトランプ説得は当面は困難な状況に立ち至った。これにより、TPPは当分実現性がないまま漂流状態に陥り、日本は“待ちの姿勢”で転機をうかがう可能性が強まった。トランプはさらに日本からの自動車輸入にまで無知をさらけ出した要求をし始めた。安倍は2月の首脳会談では言うべきことは言う姿勢を貫かなければなるまい。
 

トランプは日本からの自動車輸入について「日本では我々の車の販売を難しくしているのに、大きな船で数十万台の車が入ってくる」と選挙中の発言を繰り返し、自動車貿易で譲歩を迫る姿勢を示した。しかし、これは事実誤認に基づいた的外れの要求であり、無知をさらけ出している。日本からの対米自動車輸出には2・5%の関税が課せられる半面、米国からの対日輸出の関税は既にゼロであり、売ろうと思えば売れるが性能が悪くて売れないだけだ。おまけに現在ではホンダは9割超、トヨタは7割を米国で生産しており今後75%になる方向だ。日本の自動車メーカーは米国の雇用に大きく貢献していることをトランプは理解していない。


要するに先に指摘したように80年代の思考しかできない大統領であり、たとえ2国間交渉を呼びかけてきても安易に乗る必要はない。交渉の前提がでたらめでは、交渉のしようがないではないか。おみおつけで顔洗って出直して来いと言いたい。
 

一方TPPについて安倍は11月にブエノスアイレスで「米国抜きでは意味がない。根本的な利益のバランスが崩れてしまう」と述べていたが、その意味については米国を説得するつもりなのか別の方途を考えるのか不明であった。トランプの離脱方針決定後、オーストラリア、メキシコ、ペルーなどから米国抜きでも発足させるべきだとの主張が出されていた。


オーストラリアのターンブル首相は23日安倍に電話で米国抜きの発足に同調するよう求めた模様であり、安倍はことわった可能性が強い。その証拠に閣僚らが24日の閣議後の会見で一斉に米国抜き論への否定的見解を述べ始めた。
 

農水相山本有二は「日本としては協定の発効を目指して、粘り強く働きかける方針で、大統領令に署名したことは日本の姿勢に何ら影響していない」と述べるとともに「政権が始まったばかりで、全体が機能してくれば、TPPの考え方もおのずから変わってくるという期待感を持っている」と変化の可能性を強調。TPP参加国がアメリカを除く形での発効を検討していることについて、山本は「そうした道に進む考えは持っていない。アメリカ抜きという判断をした段階で、アメリカのTPP参加の可能性は無くなるので、従来のTPPの枠組みの中で貿易ルールを仕上げたい」と全面否定した。
 

官房副長官萩生田光一も「TPP協定は米国抜きでは意味が無く、米国抜きでは根本的な利益のバランスが崩れてしまうという認識だ。11か国での行動ということを前提として考えていない」と述べた。TPPを担当する経済再生担当相石原伸晃も「腰を据えてアメリカの理解を求めていくということに尽きる」と発言、副総理麻生太郎、外相岸田文男も同様の見解を述べている。
 

安倍自身は明言をしていないが「腰を据えて理解を求めていきたい」と述べるとともに「TPPは今後の通商交渉のモデルとなり、21世紀の世界のスタンダードとなることが期待される」と述べ、日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や中国を含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの交渉に好影響があると説明した。


この首相発言から見る限り、当面は不可能にしてもトランプの説得に当たり、変心か、トランプ政権が早期に行き詰まり新大統領が方針転換するまで待つという“待ちの姿勢”を維持する方針のようだ。逆に安倍はEUとの交渉を促進し、早期に妥結にこぎ着ける方針であり、その土台としてTPPを活用してゆくことになろう。RCEPについては中国主導であり、これを日本主導に切り替えられるかどうかの瀬踏みを続けることになろう。


こうしてTPPは11か国の内部に異なる見解を抱えたまま漂流せざるを得ない状況となった。安倍があくまで対米交渉にこだわり、11か国での発足を選択しない背景には、基本的に損得勘定があるものとみられる。TPPに占めるGDPの構図は米国が60.4%、日本が17.7%で合計2国だけで78%を占める。多国間協定ではあるが日本にとって米国が占める割合がきわめて大きい。


簡単に言えば、オーストラリアの原料で日本が製造し米国に製品輸出すれば、関税はゼロになる図式だ。最大の消費国米国が抜けた場合、他の加盟国ではこれを補うことはできない。2国間交渉では達成できない譲歩を勝ち取ることができた側面もある。加盟していない中国や韓国の製品は低関税とはならないから、日本は有利になる。
 

逆に「米国抜き」なら日本は10か国の食品、原材料を無関税・低関税で輸入しなければならず、製品輸出の市場は限られる。米国が参加してこそ日本の帳尻は合うわけである。安倍が「米国抜きでは意味がない」と述べた謎はこれで解ける。


オバマはそれでも米国は帳尻が合うと判断する能力があったが、感情丸出しの保護貿易主義のトランプは理解する能力に欠けているのが実情だ。加えてTPPのプラス面は安全保障面でも大きなものがあった。膨張政策を続ける中国に対して環太平洋の「経済同盟」は包囲網としての役割を果たすことになったはずだ。いずれにしてもここはTPPの灯は消さないで長期的なスパンで対応すべきであろう。

          <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月24日

◆日欧協調の対米同盟確認で突破口を開け

杉浦 正章



英独首相と安倍は軌を一にしている
 
本会議前に「首相は外交安保を得意分野だと思っている。そこからほころびが生ずる」と漏らして民進党幹事長・野田佳彦が本会議の代表質問に臨んだ。たしかに切り口は鋭かったが、ほころびを見出すまでには至らなかった。なぜほころばないかと言えば、野田発言はことを政争の具にしたいという下心があり、トランプ問題を長期的世界観から俯瞰すべき時という決定的要素に欠けているからだ。


英独など主要国首脳が、首相・安倍晋三と同様に安全保障重視の姿勢からトランプを説得にかかろうとしている。この流れは自由主義諸国にとって不可欠なものだ。日本は日米安保条約重視、欧州は北大西洋条約機構(NATO)重視でロシア、中国の野望を食い止める必要があるのだ。この線でトランプを説得し同盟を再確認する。まずこの突破口ができれば、自由貿易も経済問題もそれほど難しいものではない。
 

野田質問の鋭い部分を挙げれば「TPPでトランプ氏を説得出来るというなら説得出来るという根拠を示せ」「トランプを信頼すべき指導者と述べたが変わっていないか」の部分であろう。安倍の答弁はTPPについて「戦略的、経済的意義について腰を据えて理解を求める」と長期戦で取り組む構えを打ち出した。TPPは今後米国の変化を待つか米国抜きで推進するかの選択を迫られる。オーストラリア首相のターンブルは23日、安倍に電話して米国抜きでのTPP発効について打診しており、いずれにしても野田の「もう無理」との考えは時期尚早だ。
 

「信頼すべき指導者」発言への野田の疑問提示について、安倍は「信頼できる指導者であると確信が持てる会談であり、この考えは現在も変わっていない」と突っぱねた。これは政治感覚の問題であり、野田がさらに予算委などで追及するに値する問題だ。ただし米国民の過半数は安倍と逆の感情を抱いており、一国のリーダーとして今後トランプにサービスしすぎると、将来にわたって禍根を残すだけでなく、世界的に「ごますり首相」とされかねないから注意が必要だろう。トランプにそれほどの義理はない。
 

焦点の安保問題について、安倍は「日米は自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値の絆で固く結ばれた揺るぎない同盟国だ。できるだけ早期に会談し、信頼関係のもとに揺るぎない日米同盟の絆をさらに強化していきたい」と言明したが、この発言は物事を長期的なスパンでとらえている。


1951年に締結された日米同盟の絆は、無知蒙昧大統領が出現しようがしまいが変化するものではなく、変化させてはならないものの中核である。なぜなら南シナ海や台湾を「核心的利益」と位置づけ、東シナ海でも臆面もなく膨張政策を維持する中国と、大ロシア主義で領土を拡張し続けるロシアの存在は地球規模で見ても、看過できないものである。両国との対峙が極東と欧州でぐらつけば、喜ぶのは習近平とプーチンだけであろう。
 

この点でトランプに「NATOは古い」と批判された欧州諸国の首脳の発言を分析すれば、英国首相メイは「イギリスとアメリカが築いてきた特別な関係は、自由や民主主義、利益といった価値観に基づくものだ。我々は現在も、そしてこれからも貿易や安全保障の分野で強力なパートナーであり続けるだろう」と発言している。


移民政策をトランプに批判されたドイツ首相メルケルも「ドイツとアメリカを結びつけているのは、民主主義、自由、そして法律と人の尊厳を大事にする価値観だ。次期アメリカ大統領とは、このような価値観に基づいて緊密に連携したい」と発言している。両者の発言は安倍の発言と軌を一にしており、日米独のこの姿勢は5月のシチリアサミットに向けて、トランプの説得材料になる。


もっともメイはトランプの下品な女性蔑視発言について「女性に関するトランプ氏の発言には受け入れられないものがある。今後そうした発言があれば、ためらわずトランプ氏に指摘する」と強調しており、是々非々の姿勢ではある。
 

欧州では仏大統領オランドが「トランプ氏の行動には吐き気がする」と言っていたが、当選すると「アメリカ国民は、ドナルド・トランプ氏を選んだ。トランプ氏を祝福する」と変化した。筋が通っているのはメキシコの大統領ニエトの発言だ。ニエトは「壁に対する費用は払うつもりはないと」反発しただけではなく、「ムッソリーニやヒトラーはトランプ氏のような手法で台頭し、人間社会が経済危機後に経験していた状況や問題につけこんだ」と発言、警鐘を鳴らした。大国に対しても自国のために言うべきは言うという姿勢は、好感が持てる。31日にもトランプと会談する方向で調整中だ。
 

こうした情勢の下で、日本がどう動くべきかだが、安倍・トランプ会談は早いにこしたことはない。しかし、安倍が「様々なレベルで議論してゆきたい」と答弁しているとおり、外交は首脳外交ばかりではない。国務長官ティラーソンや国防長官マティスらは、議会での証言を見ても常識的な閣僚であろう。閣僚や自民党幹部が首脳会談に先行して訪米するのもいいだろう。政権移行チームへの事務当局同士の接触も頻繁に行うべきだ。こうした総合的な外交を通じて、安倍のいう「主張すべきは主張する」姿勢を貫けばよい。多国間で巻き狩りのように連携を取りトランプを翻意させるのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月22日

◆米国版“がめつい奴”が矛盾撞着を露呈

杉浦 正章

 

虚構の“失業発言”と品位に欠ける国粋主義 


就任演説は選挙のプロパガンダから一歩も出ず
 

「米国第一」と唱えるのは自由だが、すべてを外国のせいにしてはいけない。トランプの大統領就任演説をつぶさに分析すればするほど、菊田一夫の戯曲「がめつい奴」を思い起こす。攻撃的な言葉の羅列、怒りの露骨な表現。そして想像を絶するような国粋主義。アメリカの利益は善であり、不利益は悪。虚構の矛盾撞着演説の根底に潜むのは白人至上主義。白人と言ってもトランプはWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)の国米国では一段下に見られるドイツ系の先祖を持つ。


戦後の大統領ではアイクと親しまれたアイゼンハワーがドイツ系だが、そのモットーは「物腰は優雅に、行動は力強く」だ。トランプは、似ても似つかぬ姿を露呈した。米国の分断を一層深くして、米国人の心の中に「南北戦争」時代をほうふつとさせる、深い亀裂をもたらした。
 

要するに大統領就任演説は、これまでトランプが選挙戦で発言してきた選挙のプロパガンダを国政のプロパガンダに格上げしただけのレベルであった。大統領職に就けば変化するのではないかという期待を見事に裏切り、自らが国民統一の核である事すら気付いていない。これまでの大統領が就任演説で述べてきた、敗者への配慮などかけらもない。


過半数を超えるクリントン支持者を「ドヤ顔」で、押さえつけるかのような品位に欠けるものであった。危険な国粋主義の兆候は紛れもなくその発言から分かる。「アメリカ第一主義」「アメリカ製品を買う」「アメリカ人を雇う」「アメリカを偉大な国にする」などなど、アメリカ賛美だ。
 

きわめて重要で看過できない矛盾撞着がある。それは「政治家は潤ったが、職は失われ、工場は閉鎖された」「工場は錆びつき、アメリカ中に墓石のごとく散らばっている」「こうしたアメリカの殺戮(さつりく)は、今ここで終わる」などと発言した部分だ。そして「雇用を取り戻す」とつながるが、そこには虚構の問題提起がある。なぜなら米国の失業率は昨年12月で4.6%であり戦後まれに見る完全雇用の状態だ。


米連邦準備理事会(FRB)が同月利上げに踏み切った最大の根拠として挙げたのはこの完全雇用である。完全雇用とは自発的な失業はあっても非自発的な失業は存在しない状態を言う。要するに働く意欲のないものが「失業状態」にあるのが現実なのであり、トランプはあたかも米国が失業者で満ちあふれており、これが中国、日本、メキシコのせいだというのだ。
 

中西部のラストベルト地帯から獲得した票を意識したのであろうが、ラストベルト地帯が鉄鋼生産や製造業から離脱、転換し始めたのは半世紀も前だ。70年代の同地域の労働運動の合い言葉はsteel(鉄鋼)とsteal(窃盗)をかけた「ジャップ・スティール」だったが、これが「チャイナ・スティール」に代わり、産業構造の大転換を迫られた結果、さび付いた鉄工所や製鉄炉が残存するのだ。日本ならすぐに片付けるが、国土の広い米国ではいちいち片づけてはペイしない。


トランプは墓石と言うが、問題の上面しか見ていない。アメリカの製造業は労働集約型の生産工程では低賃金の国に負けるのでこの領域から離れ、高付加価値製品の生産と先進的無人化生産方式に移行している。移行に成功したから現在の繁栄があるのだ。ラストベルト地帯はアメリカでも輸出量で一番の地域である。むしろ好況を謳歌しているのだ。トランプは選挙運動でいったい何を見ているのかと言いたい。そもそもの彼の世界観の多くが、対日関係を見ても70年代80年代の発想から成り立っており、認知症老人に多い若い頃の思い込みの幻影かと思えるほどの発言だ。
 

さらに北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しで、メキシコからの輸入に35%の関税をかけるというが、これも矛盾そのものだ。演説でも「保護こそが偉大な繁栄と力に繋がる」と驚くべき保護主義丸出しの方針を示したが、高関税政策はトランプの大切にする白人貧困層を直撃する。物価は高騰し中国製の安物でかすかすの生活をしている貧困層をさらに窮乏させることになるのだ。


もちろん財政出動による公共投資は一時的に景気を上向かせることができるが、せいぜい持って1年という見方が強い。だいいち、閣僚は誰を見ても大富豪か、株屋ばかりであり、これらの閣僚が弱者に対する的確な政策を打ち出せるかは疑問だ。2年後の中間選挙では馬脚が現れて、共和党が惨敗して過半数を割り、トランプがレームダック化するとの見方がある根拠はそこにある。
 

さらに危険な兆候は、政治も軍事も経験のないトランプが、“禁じ手”に出る事だ。それは安全保障と貿易不均衡を両てんびんにかけた得意のディールである。拡張主義の中国に「一つの中国」政策の見直しで圧力をかけ、貿易で譲歩を勝ち取ることはやむを得ない。


しかし同盟国日本に通商問題で脅して、在日米軍の経費負担や防衛費の増額、中東などでの軍事協力などを求めてくる可能性がある。多国間交渉を嫌い2国間交渉を主張する魂胆はその辺にあるのかもしれない。筋違いもいいところであり、首相・安倍晋三はなめられてはいけない。
 

演説はヨーロッパでもトランプへの警戒論を強めこそすれ弱めてはいない。演説で「古い同盟を強化し新しい同盟も作る」とロシアに秋波を送った発言が、EUに衝撃を及ぼしている。イスラム国対策だというが、ロシアと対峙している長年の北大西洋条約機構(NATO)の同盟関係ですら、根底から揺るがしかねない発言だ。ロシアに対する世界観が甘すぎるのだ。


アメリカの世界のリーダーとしての存在すら危うくする同盟国への“揺さぶり”は、必ず自分の頭に落ちてくるダモクレスの剣であることを初歩から教育しなければならないのがトランプだ。言葉をもてあそぶ王者には常に危険がつきまとっているというイロハを悟らせるまでが大変だ。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月19日

◆トランプの2国間貿易協定には応ずる必要ない

杉浦 正章
 


安倍は「友情ある説得」を忍耐強く続けよ
 

ノーベル賞受賞の経済学者ステイグリッツがトランプの保護貿易主義と孤立主義は、トランプを支持した中間層をいっそう窮地に追いやるとダボスで警鐘を鳴らしている。逆効果だというのであるが、もはや映画「馬鹿が戦車でやってくる」レベルであり止まらない。世界各国もはらはらしながらかたずをのんで20日の就任後の政策を見守っている。次期報道官のスパイサーは17日、「就任初日に大統領の権限を使っていくつかのことを行う」と予告した。


また「23日に大きな問題に集中的に取り組む」とも言明した。内容が注目されるが既にトランプは11月22日に、初日に大統領令で行う6項目の政策リストをテレビ放映している。その中で第一に挙げたのが環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退である。撤退して、2国間の自由貿易協定(FTA)締結を求めるというのであるが、日本の場合TPPと比較して格段に不利な立場に追い込まれる事は避けられず、もはや事態は危機管理の段階に入りつつある。首相・安倍晋三は自由貿易の旗を、より一層先頭に立って掲げなければならない状況に入った。
 

トランプは就任時の支持率がオバマのたったの半分の40%でスタートする。トランプは最初の政策のリストに関する演説の冒頭で「貿易に関しては災いとなるTPPからの撤退を通知する。その代わりに雇用と産業をアメリカに取り戻すために公正な2国間の貿易協定の交渉を行う」と明言している。これに加えてオバマが推進した医療保険制度改革いわゆるオバマケアの撤廃、メキシコ国境の壁などで具体的方針を打ち出す可能性が高い。


TPPに関しては、最後の望みの綱はトランプの翻意だが、米議会などでも悲観論が強い。TPPの実現度を探るため訪米した自民党政調会長茂木敏充は17日、米共和党の上院軍事委員会海軍力小委員長ウィッカーと会談したが、ウィッカーもTPPについて「トランプ次期大統領は脱退すると言っており、すぐに動かすのは難しい。辛抱強くやっていく必要があるのではないか」と助言した。
 

多国間のFTAは2国間のFTAが壁にぶつかったから推進されてきたのであり、2国間のFTAに巻き込まれるのは実に危うい。多国間なら一方で譲歩をしても別の部門で成果をあげて総合的にはプラスに持ち込むことができるが、2国間だと要求が正面からぶつかる。一方的な市場開放要求を突きつけてくる可能性がある。トランプはほぼ確実にTPPで日本が譲歩した水準を2国間でも要求してくることが目に見えているからだ。従って日本は安易に2国間交渉に応じる必要はない。条約、協定優先の国際法を縦に蹴飛ばせばよい。
 

まずどう対応すべきかだが一番影響を受ける日本が先導して、各国に自由貿易推進、保護貿易排除の国際世論を盛り上げることだろう。安倍はまずアメリカを除くTPP加盟11か国の団結を維持してトランプに翻意を促してゆく必要があるのだろう。トランプ政権短期説や「4年を全うするのがせいぜい」という見方も出ており、早まってTPPを漂流または空中分解させてはならない。11か国でも維持することによって、さらなる発展が期待できるからだ。


その点では安倍が東南アジア4か国を歴訪して、豪州、ベトナムなどとTPP推進を確認したのは正しい動きだ。とりわけ豪州は資源ブームの終息で経済減速に苦しんでおり、TPPを景気回復の起爆剤としたい思いが強い。議会では近くTPP関連法案の審議が始まるが、首相ターンブルは安倍との会談に勇気づけられたのか「 TPPに反対する野党はポピュリズムの保護主義だ」と激しい論戦を展開している。
 
さらに重要なのは欧州連合(EU)とのFTAだ。EUは貿易量が10%に達しており、メガ交渉の中で現在唯一の野心的で希望が持てる対象である。英国の単一市場脱退など保護貿易の動きがあるが、早期に
合意に至る必要がある。

とりわけドイツ、フランス、オランダは選挙の年であり、保護主義が台頭しつつある。これを食い止める一助にするためにも早期実現が不可欠だ。安倍は「TPPの成果を礎としてRCEP(東アジア地域包括的経済連携)などより大きな協定を目指す」と発言しているが、RCEPは国営企業が50%を占める中国主導であり、自由化の度合いも低い。TPPと融合させるなら、日本が主導権を取るくらいの覚悟が必要だろう。
 

このような動きを日本が率先して展開することにより、トランプの保護主義・孤立化をけん制し、食い止めるべきである。従って早期に日米首脳会談が行われる場合は、明確にトランプ路線を否定する必要がある。ゲイリー・クーパーではないがそれが何よりの「友情ある説得」になるのだ。
【明日は休みます。先に連絡したように以後午前7時前後に記事がないときは休みです

2017年01月18日

◆トランプ“暴言路線”に変化の兆し

杉浦 正章



すべてはDeal(取り引き)と見た方がよい
 

そもそも平家物語や漢書にある「綸言(りんげん)汗のごとし」などという東洋の考えはトランプには通じないのだろう。一度口に出した君主の言葉は汗が再び体内に戻らないように取り戻すことはできないという思想だが、むしろトランプは人気ドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」ではないが「変わるを恥じねば役に立つ」の方だろう。


確かにそのトランプが変化の兆しを見せ始めた。議会における閣僚の証言との間で齟齬(そご)が生じているが、ワシントンポスト紙も、「選挙中の過激な発言は閣僚が押さえるだろう」と分析している。トランプ自身も整合性の問題について「閣僚にはありのままでいてほしい。私の考えではなく、彼ら自身の考えを述べてほしい」と発言している。これは柔軟姿勢であると同時に、「聞く耳」を持っていることを意味している。


ワシントンポスト紙は、トランプと閣僚は全く意見のすりあわせをしていないようだと分析しているが、あえてしないのは逆に軌道修正の兆しとも受け取れる。自らの著書「Art of Deal」(取り引きの仕方)でトランプは、商売のコツについて「最初は高くふっかける」と説いているが、トランプにとっては外交も安保もすべてが「高くふっかける取り引き」と解釈すれば分かりやすい。
 

ツイッターにおけるトランプの選挙中の暴言は大統領上級顧問となる娘婿のジャレッド・クシュナーの入れ知恵であったとされている。選挙後に周辺から「暴言を修正した方がいい」との声が出たが、クシュナーは暴言路線の維持を主張した。その代わり閣僚が修正してゆけばよいとの判断が背後にあったとされている。急変したら支持層から見放されることを意識したものとみられる。それではその変化の兆しはどこに現れているのだろうか。
 

まず対日関係では選挙中トランプは在日米軍の撤退を示唆したかと思うと、北に対抗して核武装を勧めると行った具合だったが、最近では一切口にしなくなったばかりか、「そんなこと言っていない」と打ち消している。対日関係では次期国防長官ジェームズ・マティスが「同盟国とは緊密に連携を進める」と発言すれば、国務長官になるレックス・ティラーソンは尖閣防衛について「我々は日本との約束に沿って対応する」と従来の路線を堅持する方針を打ち出した。こうした発言がトランプ政権の本音であろう。
 

また対露関係でトランプは「 ロシアと良好な関係を持つのは良いことだ。悪いことだと言うのはバカか愚か者だけだ」と書き込むかとおもえば、プーチンとの関係を「資産」と称してG7による対露制裁を独自に撤廃する方針を述べた。しかしその肝心の対露制裁についてトランプは13日付ウオールストリート・ジャーナル紙に「制裁は少なくとも当面の間は維持する」と述べるに至っている。変化と受け取れる。


閣僚らの「今のロシアは危険をもたらす原因だ。ロシアは自身の行動に責任を持たねばならない」(ティラーソン)「ロシアとは対立する分野が増えつつある。プーチンはNATOを壊そうとしている」(マティス)といった発言や議会共和党の反露ムードに寄り添ったとみられる。しかし対露制裁解除と引き替えに核兵器削減交渉を実現させるという基本方針は変えようとしていない。
 

対中関係については基本的に強硬姿勢に変化は見られない。ウオールストリート・ジャーナル紙には「為替や貿易の問題で進展がなければ、中国と台湾を不可分とする『1つの中国』の原則に縛られない」と発言してぶれていない。中国が一番痛がる台湾との関係強化を武器に、対中譲歩を迫る姿勢を維持している。ただし、トランプは「就任初日に中国を為替操作国に認定する」としてきた方針を「まずは中国と協議する」に和らげた。いずれにしても日本は頭越しの妥協を警戒した方がよい。
 

欧州との関係についてもトランプ発言で激しい対立が続いたままだ。欧州連合(EU)についてトランプは「英国以外の国々も離脱するだろう」と、予言したが、フランス大統領オランドは「部外者の助言は不要だ」と切って捨てた。トランプのEUによる移民受け入れ批判についてもオランドは「紛争を逃れて他国に移住する権利はそもそも米国で培われたものだ。欧州には固有の利益と価値観がある」と激しく反論した。


トランプはドイツ首相メルケルの難民受け入れ政策を「破滅的な過ち」と批判したが、メルケルは「トランプ氏とはあらゆるレベルで協力していく」と述べ、大人の対応をしている。
 

一方トランプは環太平洋経済連携協定(TPP)に関して選挙確定後も「就任日に脱退を通告する」と立場を変えていない。商務長官に指名されたウィルバー・ロスも「TPPはひどい契約だ」と述べ、認めない考えを表明しており、トランプと歩調を合わせている。従って当面は悲観的な空気が漂う。
 

こうしてトランプは硬軟織り交ぜた路線を取りつつも、次第に現実路線へと舵を切りつつあるように見える。先に筆者はこのままでは4年持たないと予測したが、米国でも著名なジャーナリストマイケル・ムーアが最近「トランプは4年の任期をまっとうできないはずだ。彼にはイデオロギーがない。彼がもつイデオロギーは、自分に対するものだけ。そういうナルシストだから、彼は、意図せずして、いずれ法律を破るだろう」と断言している。加えてモスクワでのセックス・スキャンダルもある。閣僚や側近が方向転換をよほどうまく運ばない限り政権は綱渡りの様相で推移するだろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月17日

◆“真剣”抜いた「小池正雪」に自民の優柔不断

杉浦 正章



このままでは都議会自民の大敗必至
 

「女由井正雪の変」(自民党幹部)が発生しているのにもかかわらず、安倍徳川幕藩体制は太平の夢をむさぼっているかのようである。安泰政権4年で平和ぼけしているかのようだ。自民党都議に刺客を擁立すると小池正雪が公言して、挑発しているのにただひたすら穏便にと低姿勢で、何とかまるくことを納める方策は無いかと松の廊下を右往左往している。自民党都連は、優柔不断を絵に描いたような存在になりつつある。目を覚ませと言いたい。小池百合子は真剣を抜いているのだ。
 

小池の都議会自民党に対する怨念はただ事ではない。小池戦略は豊洲市場の有害物質を天佑の選挙テーマに据えて、自民党都政の責任を問う形だ。難破船からネズミが逃げ出すように会派を別にした3人をのぞく自民党54人の選挙区が、小池の擁立する候補に火の海とされる。しまいには江戸城本丸に火をかけられかねない状況に至っている。
 

16日のNHKで小池は有害物質の検出について「いったい何なんだろうとても不可解に思っている」と言明、これまでの調査が「疑惑の調査」であるかのような口ぶりであった。突然ベンゼンが79倍、シアンが初めて検出という事態は業者が変わって初めて出てきた数字だ。豊洲市場の汚染問題は新局面を迎えたのだ。市場関係者だけでなく、検証する専門家会議、そして小池自身にとっても想定外の事態となった。


これまでは基準値すれすれだったものが、業者が変わるとこれほど変化するものなのだろうか。ただでさえ一部販売が開始されている豊洲市場には客足が閑散、汚染が想像を絶する高倍率とあってはもう豊洲市場は成り立たないのではないか。市場関係者が安心して生鮮食品を売り買いできる数字ではない。再調査を行うが、今後、移転断念論が強まる可能性がある。
 

小池はこの状況を喜々として“活用”しようとしている。豊洲市場は、2004年の「豊洲新市場基本計画」から始まって、一から十まで石原慎太郎の在任中にやったことである。小池は石原と、これと組んだ都議会自民党による移転推進を正面から突く材料を入手したことになる。小池は「豊洲市場のあり方が大きな争点になるべきだ」と発言、都議選を待たずに千代田区長選から選挙の最大の争点として持ち出す構えだ。都議会自民党は弱り目に祟り目の窮地に追い込まれつつある。
 

これまでも、小池はかさにかかって挑発している。「都議選に立候補するに当たって進退伺いを預けている。首を切る切らないはあちらの問題」と開き直り、「どうぞお決めになれば」と、まるで歌舞伎で口論の末に、「さあさあさあ」と調子を高めていくかのような土壇場に自民党を追い詰めている。


これに対して都連会長下村博文は「石原(伸晃)前会長から進退伺いの引き継ぎがあったわけではない」などと、理由にならないことを口走って逃げの一手だ。だいたい石原伸晃は都知事選の冒頭の街頭演説で「今日をもって小池候補は自民党の候補ではない」と宣言しているではないか。千代田区長選挙の総決起大会もメディアをシャットアウトして、人気の沸きそうもない自民党候補を官房長官・菅義偉が激励したが、公開しないのは小池を刺激しないためだという。
 

要するに自民党は小池の動きが読めていないとしか思えない。小池の第一の狙いは、自民党を挑発して、自らのクビを切らせ、「悪役自民党にいじめられた正義の女性都知事」を演じて、民度の低い都民の同情を買おうとしているのだ。進退伺いなどは無視して、自分から離党届けをたたきつけないのは、老獪(ろうかい)の老獪たるゆえんである。


小池はすべての発想がポピュリズムなのだ。やたらと不適切な英語を使うのもポピュリズム。追及されて作り笑いで気色の悪い流し目を使うのもポピュリズム。連日ファッションショウをやっているのもポピュリズム。そのポピュリズムの権化に、このところけんかをやったことのない自民党が、いいように操られているのが現状だ。
 

小池を見抜いている政治のプロの多くは、この種のポピュリストは必ず高転びに転ぶと信じているが、小池は運がいいからまだ転ばない。まだろくなスキャンダルも出ない。小池都政への都民の支持率はJNNの調査で81%とプーチン並みだ。オリンピックの準備を全く意味のない3会場移転問題で停滞させたことくらいでは、魔術にかかった都民の支持率は下がらない。
 

こうした小池のつくりつつある都議会自民党との激突の構図を前にして、自民党本部も都連もまだもみ手で小池をなだめようというつもりなのだろうか。明確な党規違反にいつまで目をつむるのか。先の都知事選で自民党票はなんと49%が小池に流れ、自民党が推した増田寛也には40%しか行かなかった。都議選も小池が刺客40人を擁立すれば、伏魔殿的と見られている都議会自民党は攻撃にさらされて、壊滅的打撃を被る恐れすら出てきている。組織も崩される恐れが十分ある。ここは、もみ手をしているときではない。


自民党は体勢を立て直して、本来の戦う自民党として小池を切って、激突の構図をつくった方がよい。激突の構図の中で全党挙げての対小池の背水の陣を敷くべき時だ。あいまいなままでは小池に食い散らかされるだけだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月13日

◆トランプとメディア激突の構図が浮上

杉浦 正章
 


スキャンダルまみれで政権の前途多難
 

筆者がモスクワゲート事件と名付けた次期米大統領トランプをめぐるセックス疑惑が、11日の記者会見でいよいよ具体的に米メディアの俎上にのぼった。これまで選挙中に公表された数々のトランプのセックススキャンダルと異なり、プーチンに情報を握られたこの事件は、米大統領がスキャンダルをネタに敵対する国の大統領から“ゆすられる”危険を伴う驚がくの内容である。


真偽はまだ霧の中だが、記者会見でのトランプの激高ぶりは尋常ではなく、確実にトランプとメディアの対立の構図ができあがった。筆者がつぶさに取材した72年に発生し、74年のニクソン辞任につながるウオーターゲート事件とそっくりの激しいやりとりが43年ぶりに復活した。権力とメディアの激突の幕開けとなった。
 

政策をほとんど棚上げでなぜロシア問題に質問が集中したかは、記者会見を聞いただけでは分からない。しかし、裏を見れば前日にCNNテレビが報じ、これを機に満を持していたウェブサイトBuzzFeedが、ワシントンの一部に出回っていた疑惑の文書を全文報じたことに端を発している。


文書はトランプと選挙で対立する敵対陣営が英国のスパイ組織・情報局秘密情報部(MI-6)の元情報当局者クリストファー・スティールに依頼して作成したものである。報告書は35ページにわたるがCNNによるとその要約の2ページが、米情報機関の幹部によってオバマに5日、トランプに6日に提出されたという。
 

内容は@ロシア政府は長年にわたって、トランプ氏に「近づき、支持し、支援している」Aロシア情報機関は、モスクワのホテルで隠し撮りされたトランプのセックスビデオを持っているBトランプ次期大統領陣営の幹部は選挙の数ヵ月前から、ロシアの高官と秘密裏に会合を持っていたーなどと記載されている。2013年にモスクワのホテルにおけるトランプと売春婦とのセックスビデオが存在するという内容である。隠ぺい工作もうかがわせる。
 

記者会見でトランプは最初からけんか腰で「おそらく情報機関から漏れたいくつかのナンセンスな情報を調べてくれた報道機関に感謝する」と切り出した。そして報道したBuzzFeedを「ゴミの山」と決めつけた。「彼らは結果に苦しむことになるだろう」とすごんだ。記者団から「プーチンはあなたを選挙に勝つように助けたといわれるが」との質問が出ると「すべてが嘘のニュースだ。そのようなことは起きていない。我々の対抗勢力が集めた情報だ」と全面否定。


しかしCNNの著名なリポーター、ジム・アコスタが「次期大統領、我々の報道機関を攻撃しているなら、質問の機会をいただけませんか」と質問すると、「あなたには質問はさせない。あなた方は偽ニュースだ」と拒否した。「関係者がロシアとコンタクトを取っていたのか」というもみ消し工作をうかがわせる質問には、聞こえないふりをして逃げた。
 

会場の脇にはトランプ一家が陣取り、トランプの発言ごとに声援を送ったり、拍手をしたりしたが、これが意味するものはトランプの小心さが家族の助けで補われているという現実であろう。2か月にわたり会見を拒否し続けたのも、モスクワゲートが取り上げられるのを恐れてのことと受け取れる。事態は議会にも波及しつつあり、BuzzFeedによると、民主党幹部が、疑惑の調査実施を求めた。上院議員ディック・ダービンも、議会または特別委員会による調査が必要との見方を示したという。
 

しかし、米国家情報長官のクラッパーは「この文書が信頼できると判断していない」と信憑性への疑問を表明した。BuzzFeedは文書公開にあたり反対意見も報じている。メディア研究機関ポインターのケリー・マックブライドは、「文書の全文公開はジャーナリズムではない」と批判。トランプ支持者で保守的なラジオ番組の司会者、ローラ・イングラハムは、「ジャーナリズム倫理の驚くべき崩壊」と表現したという。


一方でニューヨークタイムズも事件を報道しながらも、「ロシア側はホテルの部屋でまずい行動をする秘密のテープなど持っていない。なぜなら海外のホテルに行くたびに、トランプ氏は同行者に『気をつけろよ、ホテルの部屋ばかりかどこにいこうとカメラに狙われているかもしれない』と警告していた」と強調。「記者会見でトランプ氏が言ったことのうち、これはおそらく最も説得力のあるものだった」と肩を持っている。しかし「気をつけろ」と言ったことで疑惑が消えるとも思えない。
  

この議会とマスコミを巻き込んだ政権との激しい対立の構図は冒頭述べたようにウオーターゲート事件とそっくりだ。ニクソンが命じて民主党の選挙対策本部を盗聴した事件は、FBIの副長官であったマーク・フェルトが、ディープ・スロートと呼ばれた情報源となってワシントンポストの記者2人に情報をリークし続けた。米国の民主主義は政権内部でも正義を貫き通す人物が現れるのだ。


今回のリークも同じ構図であり、これからも様々な情報が政権内部から漏れる可能性が高い。ウオーターゲート事件ではリークに呼応するかのようにホワイトハウスの記者団が報道官らを追及し続けた。その執拗さも尋常ではなく、とくに74年8月に辞任を表明する半年前からは午前の報道官による会見が2時間3時間と続くケースもあった。この構図が20日に発足するトランプ政権でも続くのだ。


それにつけても記者会見と同じ日にオバマのさよなら演説が行われたが、品の良さとジョークの巧みさは、下品きわまりないトランプと好対照であった。国民統合の中心であるはずのトランプが、国論分裂のキーマンとなってしまった。米国の漂流が始まろうとしている。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月12日

◆年前半は“奇想天外”解散の傾向ー戦後の解散

杉浦 正章



「安倍解散」の本命は秋以降年内だろう
 

朝から晩まで解散がいつだろうかと考えるのが解散専門業の私の仕事だが、今年の見通しを聞かれれば「常在戦場」と答えるしかない。首相・安倍晋三の解散戦略は意表を突くことを旨としており、下手な判断をすると朝日のように昨年暮れに1月解散とトップで書いたと思ったら、一か月もたたないうちに「秋以降」などと訂正することになるからだ。


考えあぐねて、解散の歴史をひもとけば、一見ランダムに見える戦後24回の解散も、一定の定理・法則があることを発見した。それは年前半6月までは思いも付かない奇想天外の解散が圧倒的に多く、年後半はまじめに内政・外交上の政策を問う解散が3分の2を占める事に気付いたのだ。また年前半は解散がきわめて少なく8回であるのに対して、年後半は16回と倍に達する。
 

年前半の政策をテーマにした解散は、1月に海部俊樹の消費税解散があるだけで、後は鳩山一郎の「天の声解散」(1月)、吉田茂の「バカヤロー解散」(3月)、岸信介の不信任案可決を前提にした「話し合い解散」(4月)、大平正芳の思いがけない自民党反主流の反乱で不信任案が可決された「ハプニング解散」(5月)、中曽根康弘の「死んだふり解散」、宮沢喜一の「嘘つき解散」、森喜朗の「神の国解散」(いずれも6月)という結果となっている。
 

なぜこうなるかと言えば、年前半の通常国会においては次年度予算案や、重要法案の処理がひしめいており、ただ1人解散権を持つ歴代首相の多くは、党利党略より国政を優先させるからだ。解散・総選挙による通常国会の空白による国政の停滞を避けるのだ。従って年前半の解散は堪忍袋の緒が切れたケースや、激突による衝動、謀略などに限定されているのだろう。


逆に後半は7月から順に麻生の「政権選択解散」、小泉「郵政解散」、大平「増税解散」、橋本「小選挙区解散」、池田「安保解散」「所得倍増解散」、田中「日中解散」などなどと外交、内政上の重要な政策をテーマとする解散が多いのだ。
 

もちろん、政治は生き物であり、安倍政権に当てはまるものではない。それでは解散の可能性を探れば、まず2月はないだろう。戦後史にも2月の解散がないのは、予算委審議が始まったばかりであることが大きく作用している。3月の可能性だが民放番組で司会が「予算は衆院を通せば自然成立する。衆院で可決してから解散はないか」と自民党幹事長・二階俊博に聞いていたがあきれた。政治のイロハを知らない。解散をすれば国会は機能を停止し、すべての法案、予算案、条約案は廃案となるのであって、参院の審議中でも解散と同時に廃案だ。


したがって3月の解散は安倍が蓮舫に「バカヤロー」と自席でつぶやきでもしない限りないのだ。安倍はテレビで「不信任が可決されれば躊躇(ちゅうちょ)なく解散する」 と明言したが、大平の二の舞の同案可決は自民党内情勢から見てもあり得ない。不信任案を否決して解散することも可能だがまずないだろう。
 

予算成立後の4月の解散はありえないものではないが、天皇の退位を決める特例法が連休前後には審議入りすることを考えれば、解散しては「恐れ多い」ことにもなりかねない。そこで会期末6月の解散だが、これも難しいが可能性はある。例えば犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」関連法案で、会期末にあえて野党と激突して解散するケースだ。オリンピックを控えてテロを未然に防止するのだから、有権者には説得力がある。
 

最近、カジノ法案の強行採決でぶんむくれた公明党が、都議会公明党に命じて自民党との連係を反故にするという嫌がらせに出たが、これは公明党の「都議選があるから夏の解散はすべきでない」という主張が成り立ちにくいことを物語っている。


そもそも解散様は一番偉いのであって、もともと都議選ごときに左右されるものではない。都議会公明党が反自民の小池百合子と連携するなら、「解散するな」は成り立たないことになるからだ。都議選と衆院選のダブル選挙だって可能性がないわけではないが、都議会自民党の都民からの嫌われ方のひどさを見れば、衆院選までマイナス効果が出かねない要素がある。
 

こう見てくると秋の臨時国会における解散・総選挙が本命となるが、まだ油断はできない。それは安倍内閣の支持率が驚異的に高いからだ。最近のNHKの調査では支持55%、不支持29%。政党支持率は自民党38.7、民進党8.7と大きく差がついたままだ。自民党は年明け早々に選挙情勢調査を行ったが、その内容は極秘になっている。


しかし自民党幹事長・二階俊博はテレビで「今の情勢ならいつ解散があっても有利であり、自民党が勝つ」と述べており、安倍への支持率の高さを反映したものである公算が強い。しかし民進、共産など4野党共闘がまだ確定していない状況下でもあり、調査は共闘をすべて織り込んだものとはなっていないだろう。


いずれにしても、通常国会は何でもありだ。解散もありだし、今年中にはもちろん解散がある。来年では追い込まれ解散になってしまうから、安倍は今年中に解散を選択せざるを得ない。

      <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2017年01月11日

◆慰安婦像が「極東村八分」の国にもたらす構図

杉浦 正章
 


撤去など未来永劫に無理
 

安倍は早々に大使を復帰させよ


一昨年暮に全マスコミが「日韓合意」と沸き立っていたときに、筆者だけが慰安婦像問題が抜けていると指摘して「韓国によるやらずぶったくりの危険性を伴うガラス細工の合意」と警鐘を鳴らしたが、まさに「超核心」を突いていた。


今になって安倍側近が「振り込めのような状況」(朝日)と言っても遅い。合意は10億円供与などの明文化と比較して外相・岸田文男の詰めが甘かったのだ。事実、慰安婦問題に関しては「韓国政府は在韓国日本大使館前の少女像への日本政府の懸念を認知し、適切な解決に努力する」とあいまいであった。


外相・尹炳世(ユン・ビョンセ)の記者会見における見解でも「関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する」と、やはり確約ではない。努力目標であった。それを安倍のように「慰安婦問題の日韓合意は最終的かつ不可逆的な合意だとお互いに確認している。日本は誠実に義務を実行し10億円をすでに拠出している」と確たる合意とあいまいな合意をごちゃ混ぜにすることに無理がある。


国論を不必要にかき立てるポピュリズム合戦をしてはなるまい。もう慰安婦像の撤去などは未来永劫に無理だ。国家も国民も慰安婦像などは無視する時だ。ここは大使の一時帰国など早々にに切り上げて復帰させ、大局的な見地から関係正常化を図るべきだ。
 

慰安婦像などどんどん設置させておけばよい。実は慰安婦合意以降も韓国各地で設置が進んでおり、現在は36体に達している。これが10倍の360体にでもなれば、まるで日本の向こう横丁のお稲荷さんのような宗教文化となる。毎日献花と祈りを捧げる“慰安婦教”が成り立つことになる。その実態が売春婦であるにもかかわらず、美化して祈り続ける。


朝日の「さらわれて強制的に慰安婦にされた」という大誤報をいまだに鵜呑みにして、空虚な祈りを捧げ続けるのだ。もう宗教文化である以上国際法での説得は利かない。「外交関係に関するウィーン条約」第二十二条2は「接受国は、公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」と定めているが、そんなものを持ち出しても馬耳東風にすぎない。


日米など一流国家は、国際法順守は国内法に優先するとして、条約、協定、2国間合意を守ることを国際関係の基本に据えているが、韓国にそれを説いても八百屋で海鼠腸(このわた)をくれというに等しい。
 

それにつけても度しがたい国家と国民が隣にいることはいかんともしがたい。大平正芳が「引っ越すわけにはいかない」と嘆いたことがあるが、向こうが引っ越してくれるのを待つしかない。それに加えて朴槿恵は紛れもなく死に体であり、大統領代行を務める首相黄教安(ファン・ギョアン)は無力で当事者能力がない。


こうした中で韓国の置かれた状況を俯瞰すればまさに「極東村八分」という状況になる。今はほとんど聞かないが、日本の悪習である村八分は「村の十の共同行為のうち、葬式の世話と火事の消火活動という、放置すると他の人間に迷惑のかかる場合の二分以外の一切の交流を絶つ」というもので度量の狭い島国根性の国民性を物語っていた。
 

その「極東村八分」は、それぞれ国家の戦略意図に月とすっぽんの差があるが、「韓国いじめ」だけは一致している。まず中国が先頭に立っている。朴槿恵が習近平にすり寄っていたときは、べたべたしていたが、米国の韓国に対する踏み絵であるTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備に朴が応じた結果、口も聞かない状況に陥った。


中国は対韓輸入制限の動きを見せており、韓国製化粧品の輸入まで規制しようとしている。つぎに北の刈り上げ頭が核とミサイルで韓国を脅しまくっている。それに加えての日本の大使、総領事の一時帰国だ。一方で国内は朴を引きずり下ろしたまではいいが、半年も大統領なしで、紛れもなく権力の空白が生じている。真空地帯となってしまっているのだ。
 

こうした四面楚歌プラス内憂外患の状況は韓国自体の安全保障にとってきわめて重大な結果をもたらしかねない要素である。つまり刈り上げ頭が誤算して「南進」しかねない状況すらあるのだ。ここで重要なことは北の南進があった場合に慰安婦像問題が、極東の安保に大きな心理的な影響をもたらすことだ。


つまり軍事条約がある米国はともかく、日本が親身になって助けるだろうかということだ。村八分の“火事”に相当するから助けることにはなるだろうが、消火が積極的なものにならないのだ。慰安婦問題は戦争という非常事態にあってはならない“躊躇(ちゅうちょ)”をもたらすのだ。


だいいち自衛隊員の戦意が高揚するだろうか。戦時におけるわずかな躊躇は莫大なる被害を韓国にもたらす。もうすこしコテンパンにやられてから助けようかということになりかねないのだ。
 

それに真綿で首を絞めるような状態が円安である。韓国を覆う大不況、若者は大学を出たけども職はないという状況は、日本が意図はしていないが円安がもたらした要素が大きい。輸出が日本に取られて全く振るわないのだ。日韓経済関係の円滑化は韓国にとって生命線だが、日本にとってはワン・オブ・ゼムにすぎない。


金融危機などの際にドルを融通しあう通貨交換(スワップ)は16年8月に協議再開で合意したが中断する。これは日本にとって何の痛痒もないが、韓国経済にとっては致命傷になりかねない。いかに慰安婦像問題が深刻な打撃を韓国の外交・安保や経済にもたらすかに韓国政府も国民も早く気付くべきだ。どんどん慰安婦像を設置するのは誠に結構だが、慰安婦像の数に正比例して自らのクビがしまっているのを早く気づくべきだ。


これも魚屋でニンジンをくれといった類いか。日本国民はもう慰安婦像などに目くじらを立てるべきではない。相手は痛がれば痛がるほど、図に乗る国民性だ。「まだやってるよ。本当に本当にご苦労さん」くらいが1流国家の対応だと心得るべきだ。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2017年01月10日

◆世界を覆う孤立・保護主義の暗雲

杉浦 正章

 

危うい虚飾のトランポノミクス 

任期はせいぜい4年しか持つまい
 

まさに暗雲漂う世界情勢である。ことは尋常ではない。臆面もなく孤立主義と保護主義を打ち出す米次期大統領。オランダ、フランス、ドイツの選挙で極右の台頭不可避の形勢。まるで第二次大戦前夜にも匹敵する空気が世界中をおおっている。


すべてが移民問題にその根源を発している。激動の核となる存在が次期米大統領トランプにほかならない。波乱が目に見える新年は珍しいが、幸いなことに移民問題が存在しない日本は、極右が台頭する気配がない。右寄りの首相・安倍晋三が右の不満を吸収しており、米欧に比べれば国民の不満は比較にならないほど小さい。人手不足は切実だが、安易な移民への依存政策は行うべきではない。


しかし自由貿易の旗は生命線であり、日本は降ろすわけにはいかない。反グローバリズムの台頭は先進国首脳会議が率先して押さえるべき課題であり、安倍は5月のシチリア・サミットなどで訴え続ける必要がある。米、露、中のはざまで、安倍外交のしたたかさと、真価が問われる年だ。 
 

過去3代の米大統領が連続で8年の任期を果たしたため、20日に就任するトランプも長期政権になるような錯覚があるが、大統領の任期は1期4年で2期までとなっている。過去にも評判が悪く、国内世論を対立させ、失策続きの大統領は4年またはそれ以下の任期で辞任している。


歴代では45人中26人が、戦後も13人中5人が4年以内に辞めるか暗殺されている。トランプの場合は選挙結果を見れば有権者の過半数がクリントンに票を投じており、国内世論も統一どころか分裂を招き、それに加えてモスクワゲート事件まで発生している。


プーチン直々の選挙干渉である。昔なら戦争に発展してもおかしくない大陰謀だが、これは尾を引いて政権を陰に陽に直撃する。筆者はウオーターゲート事件を取材して、米国のマスコミの執拗さは尋常でないことを知っている。トランプが軽く「選挙に関係ない」などと言える性格の問題ではない。重要なことは、トランプが4年しか持たなければ環太平洋経済連携協定(TPP)も慌てて断念する必要もさらさらないということだ。
 

それでは、かつて一世を風びした少年漫画「銭ゲバ」ではないが、トランプの「銭ゲバ」路線は現実のものになり得るのだろうか。何を言おうとしているのか分析不能にもかかわらず、早くもその経済政策に「トランポノミクス」などというもっともらしい呼称が付いたが、筆者に言わせれば「トランポノフールミクス」にすぎない。経済諸原則から見ても成り立ち得ない矛盾と自家撞着に満ちているからだ。


株屋は利用してもうければいいから今のところは「買い」に走っているが、暴落の時が必ず来る。株屋は売り逃げできても大衆は丸損という構図は目に見えている。就任当初は意気軒昂でも、トランポノミクスはその性質上一進一退を繰り返し、最後は死に至りかねない病でもある。世界有数の信頼すべきメディアである英エコノミスト誌が「『米国第一』を声高に叫ぶドナルド・トランプは、危険なナショナリズムの新兵だ」と看破しているのは宜(むべ)なるかなである。
 

矛盾撞着の核心部分はメキシコとの関係に表れている。トランプはメキシコでの新工場設立をフォードに断念させたことに味を占めてトヨタにも断念を迫ったが、さすがにトヨタは蹴飛ばした。政府の入れ知恵か、独自の分析かは不明だが、メキシコからの自動車輸入に35%の関税をかけるなどということは現実的に不可能であるということが分かっての対応だろう。


そのトランポノフールミクスの核心部分を解けば、関税引き上げには北米自由貿易協定(NAFTA)を解消させることが不可避となる。メキシコ、カナダとその交渉をしても一挙にことは進まない。時間がかかる。メキシコは米国からの大量の穀物、牛肉輸入に対しても高関税を要求するだろう。勝手に脱退することは可能だが、脱退しても関税は最大2.5%にとどまる。なぜなら米国は世界貿易機関(WTO)のメンバーであり、35%の関税をかけるならWTOから脱退しなければならない。


そもそも米国が強く関与したWTOの基本原則は@自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)A無差別(最恵国待遇、内国民待遇)B多角的通商体制であり、これを米国自身が打ち壊せば、世界は高関税の応酬合戦となり、それこそ経済戦争、強いては本格的な世界大戦へと発展しかねない。戦前の歴史を見れば、その危険は十分あり得ることだろう。これを承知でトランプが突っ込めば、まさに事態は「トランポノマッドミクス」に変容する。トランプにその度胸はあるまい。
 

外交安保では対中関係が当面の焦点となる。最大のポイントはトランプが、米政府が1979年以来堅持してきた「一つの中国」政策を続けるべきか疑問視する発言をしたことであろう。トランプは「通商を含めて色々なことについて中国と取り引きして合意しない限り、どうして『一つの中国』政策に縛られなきゃならないのか分からない」と驚くべき発言をしている。


米国は1979年に台湾と断交して以来、台湾を分離した省とみなす中国の「一国二制度」方針を尊重し、台湾を独立国家として扱うことは避けてきた。トランプ発言はこれに真っ向からさおさすものである。台湾総統の蔡英文と電話で会談。中国はこれに正式抗議したが、トランプはさらに中国の為替政策や南シナ海での活動を批判するツイートで反論した。これから見る限り、トランプの反中政策はかなり筋金入りのように見えるが、いつ商売人根性が顔を出すかは余談はできない。


最初は対中強硬路線で、途中からがらりと変わる例は米大統領の専売特許だ。ニクソンではないが、いつ日本頭越しの外交を展開するかは予断を許さない。
 

こうした世界情勢の中での日米関係だが、トランプは在日米軍基地の費用分担を最近は唱えていない。日本は経費の75%を負担しており、これまでも指摘しているようにこれ以上の負担をするということは米軍が日本の傭兵になることを意味する。


トランプは日本の基地が米世界戦略のみならず、通商も含めた米国のアジア太平洋におけるプレゼンスの要石になっていることを、早急に悟らなければならない。日本の基地あってこその米国であり、中国の膨張政策で両国はいわば運命共同体の側面がいよいよ濃厚になって来ているのである。
 

いくら何でも大統領就任演説は、選挙中の発言をそのまま主張することはあるまいが、世界の外交・安保、通商・経済問題は、トランプが何を言うかによって、大きな影響を受けるに違いない。

      <今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)