2012年05月30日

◆野田は原発再稼働を直ちに決断せよ

杉浦 正章


一茶の句に「蝸牛そろそろのぼれ富士の山」があるが、首相・野田佳彦が大飯原発3,4号機再稼働で「そろそろ」といいだして10日以上立つ。しかし、いまだに「そろそろ」と言っている。


夏の電力確保が間に合わないと関電社長がしびれを切らして対応の遅れを批判し始めた。29日には原子力規制庁関連法案も審議に入り、与野党修正で今国会成立のめども立ちつつある。前首相・菅直人がくしゃくしゃにした再稼働問題の環境は整ってきている。この機会を逃さず、月内にも判断すべき時だ。
 

野田の「そろそろ」の始まりは17日。再稼働を最終判断する時期について、「そろそろ、その判断の時期は近い」と述べた。28日にはインタビューがあるから再稼働を発表するかと思ったら「福井県のご意見などもお伺いしながら、もうそろそろ判断をしていかなければならない時期に近づいていると思う」と「そろそろ」に「もう」を付けただけだ。


原子力規制庁の審議入りや国会の事故調査委員会、小沢との会談などをにらんでのことだろうが、慎重も度が過ぎると民主党政権の「決められない政治」がまたまた露呈する。
 

夏の需給見通しを見れば、7月からの電力消費のピーク開始にはもう間に合わない状態となりつつある。というのも3号機を動かすのに3週間、それに続く4号機も3週間、合計で1か月半が不可欠だからだ。今稼働を決断してもフル稼働は7月中旬になってしまう状況だ。


関電社長の八木誠が「時間がずるずるとたっている」と、遅遅として出ない野田の最終決断にいら立ちを表明するのも無理はない。「ただちに再稼働できても、7月2日からの節電期間に間に合わない」と指摘して、「早急に、国のご英断をお願いしたい」と述べているのは責任者として当然のことだ。


原発を抱える地方自治体や京都、滋賀、大阪など周辺自治体の長からも要望の強かった原子力規制庁の創設を柱とする原子力規制庁関連法案と、自民、公明両党による対案が衆院本会議で審議入りした。同法案に関しては既に政調会長代行・仙谷由人が自民、公明両党と水面下で根回しを続けている。


民主党は自公の対案に盛り込まれた国家行政組織法3条に基づく「原子力規制委員会」の創設を受け入れ、政府案を大幅修正する方向である。来月12日にも衆院を通過する可能性が出てきた。再稼働に向けての障害の1つが取り除かれる方向にある。
 

現地もおおい町議会が圧倒的賛成多数で再稼働容認を決めた。独自に安全性を検証してきた福井県の専門家委員会も、安全性を確認している。福井県知事・西川一誠も野田が原発の重要性を国民に自ら訴えることを条件として求めてきたが、29日の本会議では野田が「電力供給の3割を担ってきた原子力を直ちに止めては日本経済、国民生活は成り立たない」と強調した。


これは知事に対するシグナルと受け取られている。ただ野田は「最終的に政府として責任を持って判断する」とも付け加えている。国民への電力供給確保は「エネルギー政策基本法」でうたわれた政府の根幹的な義務であり、地元の「理解」は「政治」としては必要であるものの、国はむしろ地方自治体をエネルギー政策に沿って指導しなければならない立場にある。原発再稼働はまず「国の判断ありき」なのだ。
 

自民党も29日の総務会で、今後のエネルギー政策を了承したが、原発再稼働についても「安全第一主義の徹底」を前提に容認している。同党は、ずるがしこくも選挙を意識して原発再稼働で前面に出ず政権任せの姿勢を取っている。しかし、さすがに大飯原発再稼働で反対する方向にはない。国会の事故調査委員会も菅直人らからの聴取を終え、山を越えた。


マスコミも読売、日経、産経、NHKが再稼働推進または容認であり、表だっての反対論は少数となってきた。要するに再稼働を取り巻いて鼎は静かに煮えたぎってきたのだ。野田はこのチャンスを逃すべきではあるまい。ここでためらえば、またまた大阪市長・橋下徹のように、すきあらば自らの得点にしようという“疝気筋”の“活用”を許すのだ。


国家百年の計を考えるなら、大飯原発再稼働を地域住民の生活確保はもちろん、国のエネルギー政策再構築への突破口と考えて早急に踏み切るときだ。


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月29日

◆パドックでみれば“一擲”の野田に勝算

杉浦 正章

 

乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負と言えば83年の田中角栄と時の首相中曽根康弘の会談を思い出す。首相対刑事被告人というパターンも全く同じだ。


28年前、田中は一審有罪判決を受けたばかりで、中曽根は澎湃(ほうはい)たる世論を受けて、田中に議員辞職を迫るかに見えた。しかし田中に首相の座に座らせてもらって、まだ1年。「田中曽根内閣」と呼ばれていただけあって、田中には全く頭が上がらない。結局会談は中曽根が田中にボコボコにされるだけに終わった。


首相官邸からは中曽根が議員辞職を求めるような前宣伝が流布されていたが、何が何だか分からないような、うやむやな会談となった。田中から後日聞いたところによると、中曽根は「辞職のじの字もしゃべらなかった」という。
 

政治家としての格が違うから中曽根の一方的な負けで終わったのだ。その後、未練たらしく中曽根は、田中の秘書だった故佐藤昭子に手紙を出して議員辞職を勧めてくれるように頼んだが、佐藤は田中には一言も報告しなかった。無視したのだ。


中曽根はその後解散・総選挙に踏み切ったが、自民党は大敗。田中だけは空前の22万票の得票で当選した。2年後の2月に田中が脳梗塞で倒れたとき、中曽根が恩人の病気であるにもかかわらず、1日中上機嫌で、はしたなくも冗談を飛ばしていたのを思い出す。作家・平林たい子は中曽根を「カンナ屑のようにペラペラ燃える男」と評したが、中曽根 は「うまいこと言うもんだなあ」と感心したという。


その後乾坤一擲の大勝負はとんとお目にかからない。10年12月の首相・菅直人と小沢の会談は、菅が小沢に政治倫理審査会出席を求めたが、小沢はこれに応じず決裂に終わっている。テーマも小さく、とても大勝負などと言える会談ではない。


野田・小沢会談について朝日の社説が24日「この仰々しさは何なのだ。こんな田舎芝居じみたやり方が、国民の政治へのうんざり感をいっそう強めていることに、国会議員たちは気づくべきだ」「欧米のメディアでは、一党員が党首に来週にも会うという記事は、まず目にしない」と書いた。


せいぜい社説だけは読んでコメントする民放のコメンテーターたちが、一斉におうむ返しで同じセリフを繰り返している。これは状況把握能力に全く欠ける論議だ。朝日の政治部は論説に対して「机上の空論を書くな」と怒るべきだ。今は落ち目の「欧米」などはどうでもいいのだ。
 

言うまでもないが、焦眉の急の消費増税法案の行方を左右するまぎれもない超重要会談なのだ。会談の意味するところはまさに乾坤一擲であろう。乾坤は天と地をさす。すべてを運に任せて賭のさいころを1度だけ投げることが一擲だ。思い切って勝負するわけで、野田にとってはのるかそるかの戦いだ。


語源となった楚の項羽と漢の劉邦の戦いは劉邦が勝ったが、どうも小沢は関羽になりそうな気配だ。パドックで馬の下見をするように見ると、色つやといい気迫といい野田の方が勢いがある。一方小沢は風邪を引いてマスクをして辛気くさい。関ヶ原の戦いの朝、石田三成が「しくしくと腹が痛くなった」(司馬遼太郎)と言われるような気配が小沢にはある。
 

30日午前11時の会談内容の予測をすれば、野田が消費増税法案を党内でとりまとめた経緯を説明、成立への協力要請をする。小沢はマニフェストの原点に立ち戻り「国民のための政策実現」を目指すべきで、消費増税は時期尚早とはねつけるだろう。


このままでは紛れもなく決裂だ。そこを幹事長・輿石東がどう取り持つか。決裂の印象を避けるために再会談を言いそうな雰囲気だが、野田は「1回で決まればいいが、そうでないことはあまり考えないようにしたい。基本的には、一期一会のつもりで説明したい」と、輿石の引き延ばし作戦には乗らない決意を表明している。
 

問題は、決裂しようが、輿石調整で「次の会談」を設定して煙に巻こうが、その後の戦いは野田が有利に展開できることであろう。つまり野田はいずれにしても小沢の呪縛(じゅばく)から解き放たれるからだ。野田には消費増税法案成立への“王道”があり、これを錦の御旗に「小沢切り」を勧める自民党への接近を強めることができるのだ。小沢問題のネックを取り除けば、急速に展望が開けるのだ。
 

小沢が消費増税法案に反対投票に出ようが、党内にとどまるために棄権をしようが、野田が成立を図るには自民党と手を組むしか道はないのだ。その代償としての解散・総選挙をどうするかだが、法案を成し遂げれば、歴史に残る首相となる。野田は多くを望むべきではない。


ここまで来ると解散を先延ばしにしても、民主党が勝てる展望は開けない。堂々と消費増税法案成立の成果を問う解散・総選挙に果敢に打って出るべきだ。そうすれば道は自ずと開ける。


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
 

2012年05月28日

◆野田は“破邪の剣”を抜くときだ

杉浦 正章

 

今週実現する首相・野田佳彦と元代表・小沢一郎との会談は煎じ詰めれば消費増税法案という「大局」と、自らの保身という「個利個略」との戦いだ。消費増税法案の民主党内手続きは正規に終了しており、野田はもう小沢に安易な譲歩をすべきではない。またずるずる会談を重ねることも小沢の引き延ばし戦略に乗ることになる。

あくまで一発会談で決着を目指すべきである。小沢が反対の方針を曲げない限り、ここの選択肢は「決裂と解散」の決断しかないだろう。もう野田は“勝負”に出るしかないのだ。
 

こと消費増税法案に関する限り、野田は一貫してぶれていない。これに対し小沢は会談前から「私自身の考え方は変わっていないので、議論は平行線になるかもしれない」と事実上の“決裂宣言”をした。27日も「我々が総選挙で何を国民に訴え、何を約束し、政権を任せてもらったのかを忘れてしまったら政権交代の意味がない」と述べ、マニフェストに盛り込まれていない消費増税法案に改めて反対する姿勢を示した。

小沢は破たんしたマニフェストでまだ国民を欺けると思い込んでいるように見える。野田は動ぜず、「腹を割って、大局観に立って、理解をいただくような会談にしたい」とあくまで説得する構えをくづしていない。しかし首相周辺は「もう説得は効かないだろう」という見方を強めている。

税制調査会長・藤井裕久は「平行線」発言について、「それでいいと思う」と述べた。決裂で結構というのだ。政調会長代行・仙谷由人に到っては小沢にはほとほとさじを投げたような発言をしている。「政策判断というよりも、いろんな理由から大きな声を出して反対している。少々思慮の足りない方がいらっしゃるにすぎない」と語った。「思慮の足りない」とはよく言ったもので、まるで愚か者扱いだ。
 

小沢が強硬に反対姿勢を崩さない限り、野田にとっての会談は、儀式のプロセスを踏むこと、簡単に言えばアリバイ工作なのであろう。それならそれで致し方あるまい。なぜなら妥協は小沢の“術中”にはまる危険があるからだ。幹事長・輿石東は小沢の先兵である姿勢を露わにしており、野田は信用すべきではない。


小沢・輿石戦略は解散先送りを最大の目標として、解散につながるあらゆる要素を除去しようとしている。大阪城の外堀を埋めるかのように、衆院の定数是正を先延ばしにし、消費増税法案の審議遅延をはかり、通常国会を9月の代表選をまたぐ大幅延長にしようとしているのだ。


特に定数問題では朝日が28日の社説で「輿石氏の無責任さにはほとほと、あきれる」と指摘し、小沢が党を割らずに済むように行動していると看破している。
 

この遅延作戦の一環として野田・小沢会談を見れば、輿石はあたかも決裂を避けるふりをして、再会談を繰り返す意図があるかに見える。


しかし、ここで再会談ができる余裕があるかといえば、もうない。今週で6月に入り、会期切れ21日までは実質で半月程度しか審議日程がない。1日も早く衆院の通過を図らなければならない段階であり、再会談などをしているひまはない。話がまとまりそうならぎりぎり翌日に再会談という手があるが、まとまらないまま無為に日を送る余裕はないのだ。すべてをずるずる遅延させる輿石の“狡知(こうち)”に踊らされてはならない。
 

要するに野田は言葉ではなく決断をここで求められていることに他ならないのだ。決断とは消費増税法案という政策が大局になっている現実を掌握して、成立へと突き進むことしかあるまい。ここは旧制一高寮歌でいくべきだ。「行途(ゆくて)を拒むものあらば、斬りて捨つるに何かある。


破邪の劍を抜き持ちて、舳(へさき)に立ちて我よべば、魑魅魍魎(ちみもうりょう)も影ひそめ、金波銀波の海静か」というではないか。「小沢切り」とはまさに破邪の剣を抜くことだ。抜けば魑魅魍魎は引き下がる。
 

したがってまず野田は藤井が言うように決裂を避けるべきではない。決裂覚悟で最初にして最後の会談と位置づけて臨むべきだ。次に野田がなすべきことは解散を決断することだ。野田自身が言うように法案成立後消費税実施までの間に解散するというのは、論理矛盾だ。大衆が消費税に反対の投票行動に出て、選挙結果が「増税ノー」を突きつけたら、成立した消費税を実施に移せるのか。時の政府は窮地に陥る。


したがってここは消費増税法案の成立と直近に連動しての解散に踏み切るしか手はない。衆参同日選挙を主張する輿石は反対するだろうが、いよいよとなれば問責2閣僚と共に改造によって幹事長を更迭するしかない。野田の選択は小沢との会談を契機に、いよいよ「小沢切り」「内閣改造」「解散」しかなくなってきているのだ。


これに踏み切る決断だけが袋小路の政局に活路を見いだせるのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月25日

◆古希の小沢がすがる「蜘蛛の糸」

杉浦 正章


「老い木は曲がらぬ」というが、24日に70歳の古希を迎えた民主党元代表・小沢一郎は近ごろますます強情になってきたようだ。チルドレンを前に首相・野田佳彦との会談について「議論は平行線になる」と、消費税反対の立場が変わらないことを強調した。「今後、お互い力を合わせて行動しなくてはならないことが起き得る」とも述べ、“決裂”の事態への結束を求めだ。

会談前から、得意の“脅し”に出ているのだ。これでは、野田もさじを投げて「小沢切り」となっても仕方がないところだが、なお「腹を割って、大局観に立って、理解をいただくような会談にしたい」と一縷(る)の望みを託している。しかし「年寄りの強情と昼過ぎの雨はたやすく止まらぬ」の例え通り、説得するのは容易ではあるまい。


古希という言葉は、唐の詩人杜甫の詩・曲江(きょっこう)に「酒債は尋常行く処に有り 人生七十古来稀なり」とあることに由来している。「酒代のつけは私が普通行く所には、どこにでもついてくる。だが、七十年生きる人は古くから稀である」というのだ。今は長寿化社会で70歳などざらだが、昔は稀だった。だから60歳は赤いちゃんちゃんこ、70歳は紫のちゃんちゃんこで祝ったものだ。

したがって古希を越えれば周りは若い者ばかりだから、自ずと考え方も、行動も老熟してくる。孔子は「吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順(したが)い、七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず(従心)」と説いている。70歳になったらのりを越えてはならないという。
 

ところが小沢は、のりを越えないどころか越えっぱなしだ。加えて自らの「業(ごう)」に沈んでいるように見える。その「業」とは自分が繰り返してきた「力による政治」だ。多数を背景にして力で押し切ってきた政治家人生だった。

この政局でもその方式を踏襲しようとしているが、今度ばかりは難しい。というのも消費増税法案成立は、解散・総選挙に直結せざるを得ない側面があり、そうなれば小沢チルドレンが政界に再び顔を出す確率は10%だ。

小沢の「業」は、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」でカンダタが釈迦の垂らした蜘蛛の糸にすがろうとする“哀れさ”までも感じさせる。小沢は自ら推進してきた消費増税の信条を臆面もなく撤回して、既に誰の目にも破たんが明確になった「マニフェスト」という「蜘蛛の糸」にすがろうとしてるのだ。

チルドレンもこの細い糸に我がちにすがりつく。しかし重さに耐えきれず、糸が切れることを知らない。まさに小沢は孔子の言うのりを越えているのだ。

「寿(いのちなが)ければ則ち辱(はじ)多し」と述べているのは荘子だ。長生きすれば恥を受けることが多いというのだ。1審裁判では無罪となったが、この無罪判決自体が、小沢の「辱」を物語る。

事務所では「紙は裏白の紙を使え」と指示するほど細かい小沢が、4億円が動いた収支報告書を「見たこともない」と証言する。判決は「およそ信用出来ない」と断定しているのだ。各種世論調査でも小沢が説明責任を果たしていないとする反応は8割に達する。
 

「年寄りの居る家は落ち度がない」というが、民主党にしてみれば、“年寄り”が「落ち度」を一人でばらまいているようなものであろう。まるで「70の3つ子」のように駄々をこねまくっている。


小沢と誕生日が同じで、昨年は合同誕生会を開いた党最高顧問・渡部恒三は24日で80歳。同日急性十二指腸潰瘍で入院したが、かつて「小沢君は足るを知らない。少しは党の迷惑も考えるべきだ」と述べていた。

たしかに民主党にしてみれば「年寄りと仏壇は置き場所がない」というていたらくである。25日の朝日川柳に「一兵卒にお話ししたいと師団長」とあったが、古希の一兵卒・小沢は、55歳の誕生日を迎えた師団長・野田との会談を前に早くも“決裂”とばかりに勇み立っている。

「もう少し枯れよ」と小沢に言っても無駄か。それではもっと強く「年寄りと釘の頭は引っ込むがよし」となる。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月24日

◆野田は「0増5減」先行で輿石を押さえよ

杉浦 正章

 
これだけ“派利派略”丸出しの公党の幹事長を知らない。消費税政局が佳境に入ってきて、幹事長・輿石東が、“小沢別動隊長”としての“真価”を発揮しだしたのだ。衆院の定数是正と選挙制度を話し合う23日の幹事長・書記局長会談を、事実上ぶちこわす主役を演じた。「定数是正」がなければ「解散なし」とする元代表・小沢一郎の思惑通りに動いているのだ。会談の早期とりまとめを指示した首相・野田佳彦は結局コケにされた形だ。
 

野田は解散への主導権を確保するには衆院の定数を「違憲状態」とする最高裁の判決をクリアする必要に迫られている。首相の解散権は絶対で、「違憲状態」で解散・総選挙をした例はいくらでもあるから、ぎりぎりの局面では解散できないことはない。だが、政治的には問題視される。それには小選挙区議席の「0増・5減」だけは、決着をつけておかねばならない。


ところが 輿石は、幹事長代行・樽床伸二に命じて作らせたずさんきわまりない「私案」に固執、譲ろうとはしない。「私案」が一票の格差是正のために、小選挙区の定数を5減しているのは当然だが、比例区がはちゃめちゃだ。比例区を11ブロックから全国区にして、定数は75減だ。


素人が民主党と各党の要求をつぎはぎしたような安易な内容であり、野党の総反発でいったんお蔵入りになったものだ。公明党に到っては議席が半減する。激昂するわけで、まるで与野党協議を壊すための案かと勘ぐりたくなる。
 

本来なら、とりあえずは自民党も主張している「0増5減」だけを先行させて、比例区などの問題は制度の抜本改革に委ねるのが筋だ。野田はこれを意識して、輿石に幹事長レベルでの調整を指示したのだ。22日も「何としても消費税増税関連法案の衆院採決前に結論を出さなければならない」と意気込んでいる。


ところが輿石は野田の指示など馬耳東風と聞き流し、小沢の解散回避戦略の上で“踊り”始めたのだ。与野党会談の席でも、輿石は言わずもがなの特例公債法案や公務員制度改革関連法案の早期処理を求め、石原を「そういうことまで言うなら、私はここにはいられない」と退席させた。


さすがに日教組で磨きをかけた政治駆け引きのプロとあって、石原程度の“若造”を手玉に取るのはわけはないのだろう。怒らせた狙いは定数是正の処理を遅らせ、消費増税法案を継続審議に持ち込むことにある。どこ吹く風と輿石は記者団に「野党もやりたくなくて、わたしのせいにしている」とうそぶいているという。
 

要するに新聞向けには「党内融和第一。分裂回避」をいいながら、その実は解散先延ばしという小沢戦略の上に乗っているのだ。野田が肝心のポイントで「ダダ漏れ」では、輿石のいうがままとなり、定数是正もできないまま解散への動きをけん制され、主導権を握れなくなってしまうのは目に見えている。加えて輿石では野党の信頼を得られない。


したがって成案を得られる見通しは立ち難い。ここは、一刻も早く谷垣との党首会談を実現して大筋を決めるなど、自ら事に当たるしか解決策はあるまい。
 

方向はとりあえず自民党と一致している「0増5減」だけを先行させ、違憲状態を解消することだ。選挙制度は政治停滞の根源である小選挙区比例代表併用制から中選挙区制に戻すことだ。


小選挙区制はその時々の「風」で政権が左右され、死に票が多すぎて民意が反映されない。議員の質も比例当選者も含めて悪すぎる。一見「偏差値」の高そうな“優等生”ばかりが増えて、実行力を伴う「政治家」が出ない。まさにドングリの背比べだ。だから物事を「決められない政治」が定着してしまったのだ。
 


逆に中選挙区は“政治家”が輩出する。「合法的手段」を「がっぽうてきてだん」と読んだ国対委員長・中野四郎(故人)が、国対根回しに関しては右に出る者がいない。こういう政治家が中選挙区では一杯出てくる。“一芸”に秀でる議員が集まり、政権を支える形だ。日本型政治には2大政党制よりも民意をより正確に反映させる中選挙区による多党制が好ましい。
 

このように、1994年に導入が決まった現行制度は弊害のみが目立つようになった。推進した前衆院議長・河野洋平がその弊害を認め、国民に陳謝しているが、大それた失敗をしたものだ。これだけは謝って済む問題ではあるまい。朝日新聞を始め小選挙区制をはやし立てたマスコミも反省すべきだ。


樽床程度の政治家が作った案ではなく「選挙制度審議会」に専門家を集めて審議させ、中選挙区制度に戻すべきだ。定数が是正済みであれば次の選挙に間に合わす必要はない。次の次の選挙に間に合わせればよいのだ。 
 

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月23日

◆小沢サイドから「代表選決着」説の流布

杉浦 正章


首相・野田佳彦と元代表・小沢一郎による「直接会談」の成り行きが焦点となる中で、小沢サイドから「代表選での決着」説が流されている。9月の代表選挙で野田自身と小沢が擁立する候補が消費税の是非をかけて争い、野田が勝てば小沢も納得するというものだ。


消費税は代表選を越えた大幅延長国会か、代表戦後の臨時国会で決着というわけだ。党分裂を回避するにはこれしかないというのだが、野田周辺は消費増税法案の成立が危うくなるとして警戒している。


まず、会談が野田、小沢、幹事長・輿石東の3者会談であることに野田は懸念を持つべきだ。輿石は明らかに小沢の先兵として動いており、2対1となって不利だ。ここは副総理・岡田克也を交えて2対2とすべきところだろう。「直接会談」だから、野田が1人では後で言った言わないで問題になる恐れがある。


会談は来週にも行われるとみられるが、野田は輿石の時間引き延ばし作戦に乗せられる恐れがあり、言われているように何回も会談を重ねる方式にはよほどの確証がない限り応ずるべきではないだろう。
 

そこで野田と小沢のスタンスだが、どう見ても小沢が状況的には追い込まれている。というのも野田にとっては小沢が消費増税に応じなければ、「小沢切り」で自民党と手を組むという最終手段があるからだ。「話し合い解散」の選択肢だ。一方小沢にしてみれば最大の狙いは野田との「話し合い」で解散を先延ばしにすることであり、まずここで野田に主導権を握られている。「話し合い解散」と「話し合い」で「解散なし」の戦いである。
 

よく言われるように、小沢が党分裂のカードを握っているとは思えない。なぜなら、小沢が新党を作っても発展性がないからだ。チルドレンなどの烏合(うごう)の衆は再当選する見込みがなく、また小沢と手を組もうという政党もない。新党を作れば孤立・消滅の道をたどるだけなのだ。だから民主党内での“体制内闘争”しか道はない。ここも小沢の弱点だ。尻が割れているのだ。
 

したがって、小沢の取り得る戦術は、ひたすら“強面(こわもて)”で、消費増税法案の採決を先延ばしにし、解散を遅らせて自らの政治的“寿命”を1日でも長くすることであろう。


この小沢の路線上をうごめいているのが側近中の側近輿石である。輿石は小沢の党員資格回復で、まず小沢の強い信頼を得ており、次の狙いは消費増税法案の継続審議であるに違いない。したがってこの野田・小沢会談は、野田にとって危ういことこの上ないものであろう。
 

こうした中で冒頭述べたように9月の「代表選決着」説が小沢サイドから出ているのだ。腰石もこれに1枚かんでいる可能性がある。消費増税法案は筆者が指摘しているように今国会中はせいぜい衆院通過の日程しか見通せない。成立させるには少なくとも8月の旧盆前か昨年のように8月末までの延長が不可欠である。輿石はこれをさらに延長して、何と民主党代表選後までとしようともくろんでいるというのだ。
 

この“妥協案”の意味するところは、野田・小沢会談では双方の主張が並行してとても妥協点に到らない。したがって、「会談決裂ー小沢切りー党分裂」という事態を回避するためにも、ことを代表選での決着に持ち込もうというわけだ。小沢自身は刑事被告人であり、立候補は控えるだろう。代表選をやって野田陣営と小沢陣営の対決となれば、おそらく野田が勝つ。それをみて小沢も矛を収めるという図式だ。


小沢も秋以降の解散となれば受け入れざるを得ないというわけだ。野田にとってみれば、党分裂は避けられるし、小沢の協力は得られるしで悪い話ではない。ついふらふらと迷い込みかねない“おいしい”道である。
 

しかしようやく綱渡りで審議入りに持ち込んだ肝心の消費増税法案成立は半年も遅れかねない。今どき半年も遅れればどんな落とし穴が待っているか分からない。野田にしてみれば代表選による決着などはとても乗れない話しであろう。


一方野党も民主党内事情による大幅会期延長などにはまず応じない。なりふり構わぬ“野合”として猛反発する。参院で問責決議を成立させる絶好の口実ができ、政局を解散・総選挙に直結させられるのだ。
 

したがって、野田が代表選での決着などという見え透いた“落とし穴”に乗せられる可能性は極めて少ない。野田・小沢会談は平行線で終わり、せいぜい決裂の印象を避けるために再会談の可能性を残すぐらいが“落ち”かもしれない。筆者が野田の「アリバイ作り」と書いたゆえんである。


野田ははっきり言って消費増税法案に「賛成する自民党」を選ぶか「反対する小沢」を選ぶかの選択であり、最終的に「反対する」小沢を選ぶ選択はあり得ないだろう。

<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)

2012年05月22日

◆原発容認にみる「橋下政治」破たんの兆し

杉浦 正章
 

大阪市長・橋下徹が、まるで加藤茶の「ちょっとだけよ」とばかりに大飯原発再稼働問題のお茶を濁そうとしている。 ハナ肇ではないが「アッと驚く為五郎」だ。口を極めて再稼働反対を唱えているはずが、旗色悪しとみたか主張を夏季限定の「時限稼働」に転じた。


官房長官・藤村修は21日これを全面拒否。スピッツのように吠えまくる割りには、橋下はケンカの仕方を知らない。原発再稼働問題はイエスかノーかの勝負だ。時限的にせよ再稼働を容認したら負けなのだ。橋下流ポピュリズムも、崩壊の兆しが見え始めた。
 

政府が決めた再稼働方針について橋下は当初「絶対に許してはいけない。次の選挙で民主党政権は代わってもらう」と威勢のよい倒閣宣言を発した。ところが、たんかを切ったまではよかったが、関電の15%以上の節電の意味するところがようやく分かったとみえて、方針を絶対反対から容認路線に転じた。


橋下は19日の関西広域連合の会議で、大飯原発について「原発がどうしても必要だという場合にも、動かし方はいろいろある。安全基準ができるまで、1〜3カ月の臨時運転という方法もあるのでは」と提案したのだ。それもそうだろう、中小企業は生きるか死ぬかの問題だ。人工呼吸器が止まって死人が出たら、自分の責任になってしまうのだ。
 

しめたと思ったのは政府だろう。明らかに再稼働容認に転じたととれる発言だからだ。かねてから「命の問題に関わる」と橋下を批判してきた藤村は、「再稼働した原子炉を直ちに止めれば、燃料コストの増加による電気料金引き上げは避けられない。電力需給の厳しさだけを踏まえた臨時的稼働を念頭に置いているわけではない」と全面否定した。


この発言は首相・野田佳彦自身が17日に「判断の時期はそろそろ近い」と再稼働を明言したのと合わせて考えれば、政府の再稼働に向けての決断は動かないであろうことを物語る。福井県の同意が得られれば、直ちに関係閣僚会合を開き、再稼働の最終判断をする考えだ。


橋下は時限稼働について「少しでも食い止めるためにこういう考え型があるのではないかということを論理的に説明しただけで、容認はしていない」と述べたが、「論理的に」とは聞いてあきれる。むしろ「絶対反対」から「容認」に転じた「論理性」の方が問題ではないか。


なぜなら原発再稼働問題で「ちょとだけよ」はあり得ないからだ。そもそも一時的に動かすという発想は、橋下が否定してきた「政治家が再稼働を判断すべきでない」という主張と矛盾する。まさに足して二で割る“永田町”流の取引ではないか。原発は軽自動車ではない。止めたり、動かしたりできるものではない。いったん動かしたら次の点検作業までは動かし続けるのだ。要するに橋下は、原子力技術も政治の駆け引きも知らないのだ
 

橋下の発想にはエネルギー問題がすぐれて国家戦略に属するものであるという感覚がない。ひたすら、選挙で勝つにはどうすべきかという低次元の発想しかない。物事を善悪の二元論に分けて、自らを大衆の側につくスーパーマンと位置づける。かつて「自民党は敵だ」と決めつけて、敵を作って自らの支持率の糧とした小泉純一郎流のポピュリズムの真似であろう。


正義の味方の役割を演じてみせる劇場型の政治スタイルだ。しかし、原発再稼働は、仙谷由人が「集団自殺」と形容したとおりに、支持層とみなす大衆が被る不利益は計り知れない。停電や使用制限となれば、大衆の非難は市長に向けられる。二元論のポピュリズムが原発に関しては効かないのだ。
 


ここに橋下流ポピュリズムの破たんの芽がみられる。連合会長の古賀伸明は、「威勢のいい主張を掲げ、二者択一的な政治を行おうと する人もいる。しかし、敵を作って民意をあおる政治手法は決して長続きしない」と批判したが、確かに長続きしないのだ。こうしたポピュリズムは危険な側面を併せ持っている。政党のポピュリズムの象徴である民主党マニフェストの破たんがそれを如実に物語る。


国民はポピュリズムの「風」にあおられて、真贋を見抜けず、3年間の政治空白を作ってしまったのだ。野田が国民に詫びるとしたら物事を「決められない政治」から「決められる政治」へと転換して、政党政治への信頼を回復しなければならない。


それが原発再稼働であり、消費増税法案の成立なのだ。安易なポピュリズム跋扈(ばっこ)を戒める道はこれしかない。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月21日

◆金環食 撮ったぞ!

杉浦 正章

神奈川県南部は厚い雲。もうダメかと思いましたが時間になると雲の切れ目から突如金環食が。「奇跡だ!!」とばかりにスチルで数枚撮影。ビデオに切り替え、終わるまで雲の切れ目を狙って取り続けました。

下記のyoutubeでも動画が見られます。
http://youtu.be/bY49PIOl1Z0

◆会期内衆院通過が消費税政局の焦点

杉浦 正章

 
最近は見通しのよい記事や評論にはとんとお目にかからない。大胆な見通しを立てれば恥をかくと、マスコミが事なかれ主義で萎縮をしているように見える。政局と呼吸を合わせていれば、ある程度は読み解くことができるものなのだが、それをしようとしない。特別委でようやく野党質問が始まる今日(21日)で残る会期は1か月となる。


シュミレーションすれば、首相・野田佳彦が野党の攻勢、元代表・小沢一郎の“放逸邪険”を振り切って、消費増税法案を6月21日の会期切れまでに成立を図ることはまず絶望的という流れだろう。消費増税法案は他の重要案件ともつれたまま延長国会に先送りとなる流れだ。
 

そこでシュミレーションだが民主党国対が期待しているように、6月4日の週までに特別委員会の審議が100時間に達して、同月半ばまでにどうにか衆院を通過させても、残る1週間で参院に送付して会期内成立を図れるのかだ。参院は馬鹿にするなとストライキを起こす。連日10時間も審議して、途中でハプニングが起きずに、野田が自民党の言うことをすべて聞き入れれば話は別だ。「聞き入れよ」と言っているポイントは明瞭だ。


まず問責閣僚を更迭し内閣を改造する。次に民主党マニフェスト崩壊にけじめをつける解散を確約する。もともと不可能な「国民すべてに7万円の年金を支給する最低保障年金制度」創設を撤回する。定数をとりあえず「0増5減」で処理する。これらはすべて「小沢切り」につながってくる流れであり、野田が要求を飲めばことは一挙に解決する。逆転会期内法案成立も夢ではないが、ラクダを針の穴に通すのと同じだ。
 

しかし野田が踏み切れば民主党内は白兵戦の段階に突入する。小沢は“野田203高地”を目指して突撃を繰り返し、野田陣営と肉弾相打つ戦いとなり、死屍累累、民主党はボロボロとなる。したがって野田はぎりぎりの段階で結局妥協はするにしても、現段階での自民党の主張を受け入れることは難しい。一定の時間をかける動きに出るに違いない。
 

そこでシュミレーションは会期末までに消費増税法案の衆院通過を図れるかどうかが勝負となる。会期末までに衆院を通過した場合会期延長への説得材料ができるわけであり、野田は会期を延長して激突をそらして時間をかけた対応が可能となる。もちろん会期末までに衆院も通らない可能性はあり、その場合も野田は解散・総選挙か会期延長かの決断を迫られることになる。
 

会期末までに衆院を通らないということが何を意味するかだが、自民党が全く攻勢一点張りであるというこを物語る。自民党は野田が求める小沢との会談が実現するかどうか、実現した場合小沢が妥協するかどうか。小沢が妥協しなかった場合野田が「小沢切り」に踏み切るかどうかを見ているのだ。その経過を見ながら衆院への内閣不信任案、参院への首相問責決議案上程の機をうかがうことになる。


同党幹事長・石原伸晃は20日、「野田総理大臣が小沢氏と会って、『消費税は、党が分裂するので通常国会ではなく、党の代表選挙が終わってからにしよう』となれば、野田内閣はもたない。野党として重大な決意を持って対処する」と早くも決議提出の“脅し”をかけている。公明党は消費税反対の立場から消費増税法案を廃案に追い込み、解散・総選挙を実現するのが基本戦略だから、自民党の強硬戦略に手を貸し続けるだろう。会期内に両決議上程となれば政局は直ちに行き詰まることになる。
 

この自民党の問答無用、政局一点張りの国会戦略にはマスコミが待ったをかける。とりわけ参院執行部のなりふり構わぬ突出ぶりには批判が強い。自民党が衆院も通過させずに解散・総選挙だけを目指すならば批判の矛先は自民党総裁・谷垣禎一に向かうだろう。


谷垣は、石原と明らかに申し合わせた表現で「野田首相が、小沢氏や輿石氏と話をして『採決を先送りしよう』と判断することはありうる。しかし、これは決まらない政治を推し進めるだけで、首相が立ち腐れる道だ」と野田“立ち腐れ”論を展開した。谷垣にも会期末には不信任・問責決議で、解散を勝ち取る戦略も見え隠れする。


しかし、自民党内には消費増税法案反対論は少数派であり、むしろ賛成論が長老を中心に台頭してきている。谷垣が参院の強硬路線だけに乗っていれば、「立ち腐れ」は自分であることが分かっていない。
 

いくら早期解散を目指すといっても、谷垣は少なくとも衆院を法案が通過していない段階で野党の伝家の宝刀である不信任・問責決議案上程は避けるべきであろう。民主党政権をひっくり返しても消費増税法案は残って、たとえ自民党政権になっても最初から祟(たた)り続けることは目に見えている。


いずれにしても処理せざるを得ないのだ。谷垣は野田との党首会談について20日のテレビで「最後にどこかの時点で総理と話し合わなければならないことになる」と述べており、やはり延長国会での「話し合い解散」を目指そうというのが“本音”なのかもしれない。


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月18日

◆野田、指示連発で「輿石政局」にブレーキ

杉浦 正章

出口なしの消費税制局の中で、首相・野田佳彦から幹事長・輿石東に「指示」の連発だ。元代表・小沢一郎との会談準備と選挙制度改革での野党との調整を求めたのだ。加えて原発再稼働も近く決断するという。幹事長・輿石東の言いたい放題となっている現状を打破して、自らの手にリーダーシップを取り戻そうという反転攻勢に出たのだ。


しかしこの政局打開には最終的に「小沢切り」や問責2閣僚の更迭に直面せざるを得ないとみられるが、野田にその覚悟ができているのだろうか。「暗中模索」が実態なのだろう。
 

久しぶりに「指示」という言葉を聞いた。野田がなぜこの言葉を使ったかと言えば、輿石の“独走”にブレーキをかける必要が生じてきたのだ。幹事長が、首相の専権事項である「衆参同日選挙」や「解散先送り」を言い、首相が「幹事長とは齟齬(そご)はない」と“言い訳”をするといった異常な状態にピリオドを打とうとしたのだ。上下関係を明らかにしておく必要があるというわけだ。逆を言えば「指示」の言葉は輿石が手に負えなくなってきていることを物語る。
 

消費税制局は野田が、解散回避で小沢を立てれば自民党総裁・谷垣禎一が立たず、「小沢切り」を求める谷垣を立てれば小沢が立たずという“ど壺”にはまった形となっている。これに小沢一派の輿石が茶々を入れて混迷し、まるで「輿石政局」の様相ですらある。このまま放置すれば野田は「負けが込んでいる」との印象が強まる一方なのだ。


そこで輿石押さえ込みの意味もあって、指示の連発となったのだが、まず小沢との会談がどうなるかだ。もともと野田・小沢会談は輿石が言い始めたことだ。いみじくも筆者が指摘したとおり、野田も17日 「小沢氏は大局観を持っている方で、消費税増税に絶対反対の立場ではない。」との見方を表明した。


「ただし、いろんな考えがあると思うので、その考えをお聞かせいただきながら、法案を推進をする立場で協力いただきたいということを腹を割ってお伝えをしたい」とも付け加えた。
 

要するに小沢との妥協の道を探りたいということだ。ところが最大の妥協の道は政策にはない。政局だ。小沢にとって何より避けたいのが早期の解散・総選挙だ。これに野田が言質を与えられるかどうかが説得のカギなのだ。野田が小沢の消費税賛成を取り付けるには、早期解散回避を言うかどうかなのだ。


輿石の一連の解散先送り発言も、野田・小沢会談の実現に狙いがあるのだ。しかし野田にとっては「解散権」は政局を運ぶ唯一無二の武器であり、これを小沢の意向通りに手放せば、野党が猛反発する。衆院は賛成多数で消費増税法案を通すことは可能となるが、参院で可決成立しない。小沢・輿石ラインの狙いはここにある。つまり参院段階での「継続審議」だ。輿石の「党内融和」の本質は、小沢の戦略への“迂回接近”に他ならない。
 

しかし野田は、「今国会の成立に政治生命をかける」と言っているとおり、継続審議でも解散で信を問う動きに出るだろう。そうでなくても野党は今国会での解散・総選挙実現を目指して目の色が変わってきている。


自民、公明両党は、16日の党首会談で内閣不信任案や首相問責決議案の提出も視野に終盤国会に臨む方針を確認している。谷垣は17日、両決議案について「ポケットの中にある。政治生命をかけると言ったことが実現できないなら、考えなければならない」と言明している。消費増税法案は成立せず、問責は成立するでは、まさに野田が憲政の常道として伝家の宝刀を抜かざるを得ない局面となる。
 

野田にとっては小沢を取るか消費税を取るかの決断をいずれ迫られる構図に変化はないだろう。ぎりぎりの場面で野田が小沢を取ることは考えられず、小沢との会談の指示は最終的な「小沢切り」に向けてのアリバイ作りにあるかもしれない。


それにつけても民主党幹部や閣僚は間が抜けている。自民党政権では大事を進めようとするときには、あちこちから推進論が出てムードを盛り上げる戦術に出るものだが、他人事のように黙っている。自分の選挙が怖いのかと言いたい。


野田だけに任せず、政権全体が消費増税法案で討ち死にも辞さぬ動きを見せてこそ、野党への説得力が生じ、国民を目覚めさせることができるのだ

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月17日

◆極秘会談失敗で大幅会期延長不可避の流れ

杉浦 正章


不成立に終わった民主党と自民党の第二回極秘党首会談と、実現した極秘幹事長会談の結果から見えてくるものは、終盤国会における消費税政局の展望が全く開けなかったことであろう。消費増税法案の会期内成立は極めて困難となり、大幅会期延長が必至の流れだ。


通常国会の会期延長は国会法の規定に基づき1回しかできないから、短期間では法案不成立の危険がある。ここは昨年と同様に8月までの大幅延長が不可避となりそうだ。それでも成立しない場合は1日だけ開けて臨時国会を召集するという非常手段もあるがまだ未知数だ。
 

2月25日に次ぐ第2回極秘党首会談が成立しなかった過程を見ると、野田の心理状態が浮き彫りになって面白い。野田が自民党総裁・谷垣禎一と元代表・小沢一郎の間で揺れ動いていることが分かる。


会談不成立をスクープした毎日の報道によると、野田からの再会談の打診は消費増税法案に反対する小沢に対して政治資金規正法違反事件の無罪判決が出た4月26日頃のようだ。官房長官・藤村修が自民党副総裁・大島理森に「首相が訪米から戻る連休後半に党首会談をお願いしたい」と5月3〜5日の日程を提示したという。藤村はこの記事について16日「なぜああいうカギかっこ付きの発言にされたのか意味が分からない。抗議している」と怒って見せた。


しかし谷垣が「自民党内で『連休中に首相と会ったらどうか』と言う人がいたが、問責決議が片付いておらず、『談合はできない』と言った記憶がある」と、事実上認めている。いくらばれたからといって藤村はカギかっこが付いていると言って怒るのも大人げない。 


そこで野田の心理状態だが、野田は無罪判決を受けた小沢の党員資格停止処分を解除する幹事長・輿石東の方針を黙認している。しかし、これで小沢がまた嵩(かさ)にかかって反消費税の動きを強めると思ったに違いない。そこで、野田は2月の極秘会談を思い出した。

会談では野田が「話し合い解散」をほのめかした結果、谷垣も上機嫌で成功裏に終わっている。野田はこれを再現しようと思ったか、極秘会談の日程を提案した。しかし両党関係は2閣僚への問責決議可決で冷え切っており、「小沢切り」に出られない野田への不満が自民党側にうっ積していた。2月のようにことは進まないことは最初から分かっているはずだった。


とりわけ谷垣は輿石が小沢の意向を受けて消費増税法案の継続審議を指向していること、これを野田が抑え切れていないことに不満を募らせていた。いくら野田が柳の下の2匹目の“ドジョウ”を狙っても無理があったのだ。
 

一方で、この極秘会談実現失敗を知った輿石は喜んだに違いない。今度はおれの出番だとばかりに、14日に自民党幹事長・石原伸晃と極秘に会談、打開策を見いだそうとした。しかし、谷垣と歩調を合わせる石原が、あわよくば継続審議を狙う輿石と話が合うわけがない。


会談はとても展望が開けるようなものではなかったに違いない。輿石がその後頻繁に解散先送りの発言を繰り返し始めたことからもうかがえる。かくして野田と輿石の自民党との接触は、いずれも終盤国会の展望を切り開けないままに終わった。
 

折から特別委員会における消費増税法案の審議も遅れがちだ。17日から質疑に入るものの、野党質問は21日からとなった。会期末の6月21日まで残りはわずか1か月間。民主党国対委員長の城島光力はかつて、「連日、委員会を運営すれば、6月4日の週あたりに審議の100時間が見えてくるので目安が付く」と述べているが、そうは問屋が卸さない状態となって来た。


懸案は消費増税法案だけでなく、宙ぶらりんの2閣僚問責問題、赤字国債発行法案、定数是正、原子力規制庁設置法案など重要案件がひしめいている。その上に、参院では首相問責決議の上程もささやかれ始めている。
 

野田は消費増税法案の実質審議が始まる前から会期延長の話はないとしているが、ひしめく課題を解決するにはとても時間が足りない状況に立ち至っている。


昨年は首相・菅直人が窮地に追い詰められて6月22日で終わる会期を70日間延長して8月31日までとした。今年は9月には民主党も自民党も党首選挙を控えており、大幅延長と言っても8月いっぱいが限度だろう。いずれにせよ、土俵を広げての勝負にならざるを得ないものとみられる。


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月16日

◆野田は石原を制して尖閣を購入せよ

杉浦 正章

 

1日3000万円のペースで伸び続けている都知事・石原慎太郎の「尖閣諸島寄付金」が、都のホームページによると15日現在4万5000件で6億円を突破した。石原は欣喜雀躍で小躍りしているが、首相・野田佳彦はこの問題を放置したままでいいのか。


13日の日中首脳会談では、石原の諸島購入構想を背景に激しい応酬が交わされた。石原発言はついに首相・温家宝をして尖閣問題を「中国の核心的利益」とまで表現させてしまったのだ。一自治体の長が「政府にほえ面かかせる」と発言したとおりの事態としてしまったのだ。野田はまるで“暴走族の総長”のいいなりになっているかのように見える。このまま暴走を野放しにして武力衝突にでもなったら一体誰が責任を負うのか。
 

石原への寄付金が続く背景には、国民の間に10年の尖閣漁船衝突事件への民主党政権の対応に不満が根強く残っているのだろう。船長釈放を一地方検事の責任に転嫁して、政府の責任を逃れようとした当面糊塗策は、紛れもなく民主党政権最大の失政であった。その国民の政権への不満を蒸し返して、火をつけるのが石原発言の狙いであろう。一般大衆は政府が何も反応を示さないから、素朴な愛国心もあって寄付行為に出るのだろう。


しかし、石原の行為は一介の自治体の長でありながら国家の専権事項である外交・安保に身を乗り出して、これを蹂躙することを意味する。ノンフィクション作家・佐野眞一が毎日の紙面で「ほえづらをかかせるという言い方は“チンピラ”と同じだと思った」と述べているが、まさにチンピラと言うより暴走族だ。


寄付行為は石原の増長ぶりを促進させ、日中関係にとってマイナスだけの意味しかないことを寄付者たちは知るべきだ。暴走族の総長に暴走行為を繰り返させるだけの意味しかないのだ。
 

それにつけても、野田の無策ぶりには近ごろあきれて物が言えない。原発再稼働への躊躇(ちゅうちょ)、消費増税法案や定数是正を幹事長・輿石東の継続審議の意図を知りつつ放置。輿石が「衆参同日選発言」を繰り返しても、なぜか黙認している。そして尖閣で温家宝からドスを突きつけられて反論をしたものの、石原をたしなめることに思いが及ばない。
 

そもそも石原発言が出た後、政府は尖閣諸島を国が買う方針を鮮明にさせているではないか。官房長官・藤村修が「今は政府が借りているが、必要なら国が購入する発想の下に前に進めることも十分ある」と述べ、国有地化する可能性に言及した。野田も国会で「所有者の真意をよく確認し、あらゆる検討をする」と国有化に前向きな答弁をしている。それにもかかわらず石原が募金を開始しても何らこれを止めようとはしない。
 

石原と野田は4月27日、34分間会談しているが尖閣諸島購入問題については話題にならなかったとしている。しかし石原発言があり、野田が国有化に前向きな発言をしたばかりの時点での会談である。尖閣が話題に上らなかったことはあり得ない。


逆に購入について野田と石原の間で何か“密約”のようなものがあってもおかしくない。石原は会談後「国に譲ってもよい」とも述べている。にもかかわらず石原は寄付金募集をやめようともしない。善意の寄付が宙に浮くようなことを、この男ならやりかねないのだ。
 

いずれにしても暴走族の総長は取り押さえねばなるまい。言うまでもないが、尖閣問題は石原の無責任な大風呂敷で処理できる問題ではない。石原の路線を突っ走れば、武力衝突の事態が発生してもおかしくない。中国をシナと呼び、「日本核武装論」の石原にしてみれば、まさに思うつぼなのだろう。


もちろん中国共産党副主席・トウ小平が「次の世代に任せる」と発言した“棚上げ方式”は、漁船衝突事件が象徴するように中国の海洋進出で既に不可能となっている。しかし日本の実効支配は継続しているのであり、中国は軍事的対応を避けている。石原の暴走でこのバランスを崩してはならない。尖閣問題はすぐれて日本政府が処理すべきことであり、尖閣諸島は政府が地権者から購入して、その責任において処理すべき問題だ。
 

ところが最近の野田はまるで政調会長・前原誠司の「言うだけ番長病」が伝染したかのように思える。二人の首相たちと同様のレベルに見えてきた。何かの1つ覚えのように「消費増税法案に政治生命をかける」と言っていれば、首相としての役割を果たせると思ったら大間違いであることを肝に銘ずるべきだ。


とにかくもう民主党政権の統治能力は十分すぎるほど分かった。早期に解散して国民の信を問うべき時だ。

<<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年05月15日

◆野田は、原発再稼働で動け

杉浦 正章
 

〜電力制限令を避け〜

政府から関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働同意要請を受けていたおおい町議会は14日、11対1という圧倒的賛成多数で再稼働容認を決めた。おおい町長・時岡忍がこれを受けて再稼働容認に踏み切るのは時間の問題となった。首相・野田佳彦はこの機会を逸してはならない。一気に再稼働へと動くべきだ。


再稼働に動かずに電力使用制限令などを出せば、政権の無責任ぶりを露呈するだけである。憲法が保障する営業の自由、財産権の保障など経済的自由権確保に抵触する。また政府に電力供給を義務づける「エネルギー基本法」を無視する無策内閣として末代までたたるだろう。
 

おおい町議会の論議を聞いて、実に大局観のある論議をしていることが分かった。「日本の活力を取り戻すためにも現行安全基準で再稼働すべきだ」という発言などは、いまだに「原発は過渡的なエネルギーだ。新エネルギーに転換していかなくてはならない」などと机上の空論を唱える民主党元代表・小沢一郎に聞かせてやりたいくらいだ。


独自に安全性を検証してきた福井県の専門家委員会も近く、安全性確認の報告書を提出する。野田は先にワシントンで再稼働の是非について、「あくまで地元の一定の理解があるかどうかだ」と述べて地元の対応を見守る意向を明らかにした。また自分が先頭に立って地元説得に当たる意向も表明している。
 

ここで野田にとって重要なことは、国民への電力供給確保は憲法ばかりでなく、「エネルギー政策基本法」でうたわれた政府の根幹的な義務であることだ。同法は国及び地方公共団体の電力供給確保への責務等を明示するとともに、地方自治体には第六条で「国の施策に準じて施策を講ずる責務を有する」と規定されている。


要するに国は責任を持ってリーダーシップを発揮して電力を確保し、地方自治体を指導しなければならないのだ。自治体は本来「反対」を言える立場にない。一方、電気事業法に基づく電力使用制限令などはあくまで例外中の例外の措置である。大飯原発が再稼働すれば関電の抱える問題のすべてが解決するにもかかわらず、使用制限に動けば政治が自らの立場を放棄するに等しい。
 

したがって、野田政権には再稼働による電力確保の法的義務が課せられているのであり、そもそも地元の意向を最優先すべき問題ではないのだ。しかも地元が賛成に踏み切ったのであり、ここは野田自身が他の周辺自治体を含めて自ら説得に動くべき時であろう。


福井県知事・西川一誠もそれを同意の条件としている。周辺の府県のトップは総じて再稼働に反対である。しかし政府が再稼働を決定したときの激昂型反発は影をひそめてきた。電力危機の実態がようやく分かってきたうえに、地元財界などからの猛反発を受けてトーンダウンしたのだろう。
 

倒閣宣言までした大阪市長・橋下徹も元気がない。発言は相変わらずとんちんかんで「電力制限令をやって電力とはどういうものか身にしみて感じて、どういう供給体制を構築してゆくかだ」と述べた。まるで企業活動の成否や人命に関わる電力制限令を「理科の実験」扱いしている。


滋賀県知事・嘉田由紀子はおおい町議会の決定を「まるで出来レースだ」と茶化したが、自らのマスコミうけポピュリズムを棚に上げている。この種の自治体トップは脱原発と言うより、ポピュリズムに根ざした原発即時破棄論に近く、説得しても翻意はしまい。
 

しかし、これまで再稼働手続きで失敗を重ねてきた野田には、手続き上説得する義務があり、これまでのように副大臣クラスでことを処理すべきではない。自ら「脱原発だ」と公言する経産相・枝野幸男はこの場面においては信用ができないし、説得力にも欠ける。野田が自ら説得に当たり、その手続きを踏んだ上で再稼働に踏み切るべきであろう。
 

民主党政調会長・前原誠司は「再稼働しなかった場合、計画停電を関西地域はやらなければいけなくなる。これは医療機関などでは人の命に関わる」と発言している。確かに、電力制限令で救急救命センターへの電力供給がストップすれば、たちまち人命に関わる。自家発電など電力確保のすべがない中小企業は、倒産の危機に瀕する。


大企業は世界一高い電気料金の日本脱出にますます拍車をかける。失業率は高くなる一方だ。一般家庭は消費増税より一足先に電力料金の値上げという“増税”を食らう。要するに原発再稼働で確保出来る電力供給を放棄して、安易に電力制限令などに動けば、国の活力の根幹を喪失することになるのだ。


野田は消費税に全力投球もいいが、電力確保にちゅうちょしているときではあるまい。それも速い動きが必要だ。再稼働までには準備に1か月かかり、月内に決断しないと、電力需要がピークにさしかかる7月以降に間に合わない。まさに正念場だ。

<<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

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