2014年03月09日

◆きょう告示 大阪市長選挙

早川 昭三


橋下徹前大阪市長(44)に辞職に伴う出直し市長選挙が、今日9日告示される。橋下氏は、地域政党「大阪維新の会」の公認で立候補する。

ところが、今度の市長選挙には、限りなく異例過ぎる選挙様相を見せている。

第一 出直し選挙をやろうと橋下氏が決意したのは、橋下氏の目指す「大阪都構想」を協議してきた法定協議会で野党から否決されたため、事実上「逆切れ」し、市民に直接「都構想」を訴えて賛意を得たいとして、市長を辞任・選挙を強行したことだ。

第二 出直し市長選の原因にされた府市野党各党は「出直し市長選そのものこそ不義選挙」だと決めつける異例の対決姿勢を崩さない。

第三 維新の会が、市民各家庭に「特集:府市再編!!大阪都構想」説明パンフレットを、これまでに4冊も投げ込んでいる。しかし市民の間ではサッパリ内容が分からず、こんな分からないことが選挙の争点に成るとは、異例との声が多い。

第四 市長の独自決意で施行される市長選挙に、何と選挙経費が6億円超も掛かるということには、「税金の無駄遣い」そのものであり、全く納得が行かないという意見が方々で聴かれる。

第五 先般行われた大阪府の政令都市「堺市長選挙」で、争点だった「大阪都構想」巡り、反対派の現堺市長に敗れた。なのに、大阪で「都構想を掲げての市長選挙」で挑戦するとは、政治的見地からも異例なことだ。

第六 政令市長選にもかかわらず、主要政党が軒並み候補擁立を見送ることも、異例そのもの。それは政治的に行き詰まった時の打開に打って出ようとする橋下氏の手法に、各党が距離を置き始めているためだ。

第七 市民の賛意を得たとして橋下氏が当選しても、議会での多数野党の反対体制は不変で、これを承知の上で選挙に対応する思惑も異例だ。

いずれにしても異例の様相はきりがない。肝腎なことは、橋下氏が共同代表を務める日本維新の会が意気も上がらないことだ。選挙戦の行方にかかわらず橋下氏の政界での求心力が低下しそうなことも否定できない。

ところで、橋本氏が選挙に打って出た時、抜群の人気を集めたことや、最近になって評価落ちに繋がり出した経緯は、下記の様だ。(毎日新聞ニュース)

<橋下氏は、行政組織や既存政党を「既得権益者」などと位置付けて敵に仕立て、激しく対決する手法で支持を集めてきた。市長就任後も、前市長を選挙応援したとして市職員労働組合を庁舎から退去させた。相手との交渉で打開を図るのではなく、敵を作り出しては選挙に訴え、「民意」のお墨付きで突破してきた。

しかしその手法も限界に来つつある。代償として政敵を増やし続け、他党との調整が難しい政治状況を自ら作った。追い詰められて出直し選に打って出たものの、公明も含めた4党が黙殺で歩調を合わせ、標的を失った。得意の「ケンカ」に持ち込めなかった橋下氏は計算が狂った。

経済団体などが予定していた公開討論会も相次ぎ中止になっている。再選されたとしても投票率が大きく下がるなどすれば、構想推進の後ろ盾となる「民意」も色あせ、橋下流の打開策が不発となる可能性もある。

ある維新府議も「敵を作り出して戦ってきたが、今回は苦しい」と焦燥感を漂わせている。橋下氏が勝負をかける大阪市長選だが、「もう橋下氏の影響力はなくなってきている」。大阪選出の当選1回の衆院議員は市長選に打って出た橋下氏への失望感を隠さない>。

序でながら、2月22、23の両日・毎日新聞とMBSが、市内有権者を対象に世論調査の実施を行った結果、<橋下氏が提唱する大阪都構想の議論加速を図る出直し選には、これに対する「反対」が、63%に上っていることが分かった>という。

いよいよ、今日9日が市長選の告示。橋下市長は23日の投開票日に向けて、市内3000余か所で「都構想に市民賛意を得るための演説」をする方針だ。

だが、今度の選挙で「不義だ」と、「説明不足だ」との市民意向を解消するのは、中々難しい情勢のようだ。

<★追記>

出直し大阪市長選 市民団体が監査請求
(2014年3月8日  大阪日日新聞)

橋下徹前大阪市長の辞職に伴って行われる出直し市長選挙(9日告示、23日投開票)をめぐって、市民団体の「市民の為の行政を求める会」(代表・辻公雄弁護士)は7日、同選挙への公金の支出差し止めと支出済み分の返還を市に求めて住民監査請求した。

橋下前市長について、同団体は「行政を私物化するものとして批判の声が大きい」と指摘した。

同団体は監査請求書で「橋下徹大阪市長は大阪都構想の特別区分割案の決議が遅れ過ぎるので、自らが市長を辞職することにより出直し市長選挙の措置を講じさせた」と指摘。その上で「分割区分や住民投票への可否を議決するのは議員の権限であり、市長選挙の結果で議員の議決を左右させることは二元制民主主義を定める地方自治法の趣旨に違反する」としている。

市役所で会見した辻代表は住民監査請求書の監査請求人に500人分を超える署名が集まったと説明。「多くの人のこの問題をけしからんという怒りが表れている証明」と話した。

約6億円が見込まれる選挙費用については、橋下氏個人が返還すべきだとした。


2014年02月25日

◆出直し大阪市長選の賛成 極端に低調

早川 昭三


大阪市の橋下徹市長(大阪維新の会代表)は、2月27日に市長を辞任し、辞職に伴う出直し市長選は、3月9日告示、23日投開票が行われる。

この市長選に大阪有権者がどのように見ているかが、目下各方面の注目を集めている。

そんな中、22、23の両日・毎日新聞とMBSが、市内有権者を対象に世論調査の実施を行った。その結果、驚いたことに、<有権者の「選挙への賛成」が、29%に止まっていることが分かった。

しかも、出直し選は、橋下氏が提唱する大阪都構想の議論加速を図る狙いだが、何とこれに対する「反対」が、63%に上っていることも分かった。>

この回答は、有権者の間で、「都構想」の実態が全く分からず、大阪に一体何のメリットがあるのかさえ明確でない「選挙」であるかぎり、「選挙の意義を喪失させた有権者軽視の選挙」そのものだという声が、広がる一方だった。それが結果として現れたのだ。

こうした中、大阪の議会野党、公明・自民・民主・共産の各党は、この「出直し選挙」は、議会を無視した「不義選挙」そのものであると強烈に反発して、対立候補を出すことはしない。これに賛同する有権者も多い。

これに対して橋下徹市長は、出直し選について「自民、民主、公明、共産各党は僕が横暴だと言うなら、誰か1人(統一候補を)立てれば向こうが勝つ。なんでやらないのか」と述べ、改めて候補者擁立を見送った各党への批判を展開した。

橋下氏は、大阪府と大阪市を統合再編する「大阪都構想」に関して、「都構想を止めたいなら市長選で落としてください。止められないなら手続きに従って進める」と強気の発言をした。再選すれば、都構想実現へ向けた作業を加速させる考えを示している。

これにも有権者の間では、「独り勝手な論理」で、その分「市長選挙」に賛成する意欲は湧かないとの反発が目立っている。

ところで、こうした中、意外な情報が出始めた。

何と出直し市長選に、同市北区の中川暢三区長が出馬の検討中である情報が出てきた。近く区長を辞職し、出馬を最終判断するという。中川氏は、橋下市長に推薦され、北区長に就任している。出直し選を無投票選挙にせず、「選挙戦」にする裏工作だろう。「都構想」に賛成の論陣を張るに違いない。

序でながら、冒頭の毎日新聞とMBSの世論調査で、<橋下氏への支持率は48%で、大阪府知事時代も含めて初めて5割を切った。論争に掲げている「都構想実現」については、賛成44%、反対43%と拮抗していた。>としている。

3月9日告示、23日投開票に向けて、橋下徹市長(日本維新の会共同代表)の市長辞任は、いよいよ27日に迫って来た。

恐らく「無投票当選」選挙にはなるまい。ここ数日が、大阪で激動が奔る。

2014年02月08日

◆大義はあるのか、橋下氏の出直し選挙

早川 昭三


出直し選を望む日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が7日、木下吉信大阪市議会議長に辞職届を提出した。

「大阪都構想」の制度設計を議論する法定協議会から否決を受けたため、「法定協の反対を乗り越えるなら市長選以外ない」と、出直し選挙で巻き返しを図るのが狙いみたいだが、果たしてこの論理は大義だろうか。

橋下市長の出直し選挙に臨む意向に、いまだ市民の間では疑念が蔓延している。大阪府・大阪市の法定協議会で27回も協議した上で否決されたことにぶち切れし、市長辞任をして市民に直接賛意を求める姿勢には、納得が行かないという声が、7日からも更に巻き上がっている。

市民のほとんどが分からない「大阪都構想」の説明設計書を、今年夏までに作るための同意を市民から得た上で、否決した法定協議会の再編に踏み切るという案は、橋下市長がコントロール可能な法定協議会に変革させる、正に裏工作だ。

しかも市民に一番重要な今月からの市議会審議を始める新年度予算案の審議を後回しにしてまでも、選挙を強行するということは、市政運営放棄であり、独自色の強い事業を盛り込むのも困難であり、不義意外の言葉は見当らない。

こうした市民の動静を受けて橋下氏が唱える「民意が必要」に対しは、議会各会派の対応は冷ややかだ。公明、自民、民主系の主要3会派は辞職届に不同意とする方針で、共産も不同意の方向で調整している。ここでも不義論が強い。

市長選で勝利しても都構想が速やかに進む状況にはない。時間を掛けて、根強く構想をまとめ、市民一人一人の理解を求めるべきなのが正しい市政運営の筋道だと各会派は主張している。

各党本音は、候補者を出さずに敗れる方が、橋下市長を選挙後に反攻しやすいと判断しているからだ。言い換えれば、「橋下市長の独りよがりな選挙によって、税金を無駄遣いした」という批判に民意を向ける一種のテクニックだ。

税金の駄遣いとは、市選挙管理委員会事務局によると、2007年の市長選で5億6700万円、知事とのダブル選挙となった11年でも6億3500万円かかったが、今回も6億円もの経費が見込まれる。確かに高額経費はかかる。

橋下市長は「選挙のコストとして当たり前だ」と強調し、意に介さない様子だが、「不義」の選挙だと批判する市民の間では、膨大な市民財源の無駄遣いをする橋下市長には納得出来ないと、特に反発が強まっている。

ところで、橋下市長が出直し市長選への立候補をすることで、中央の維新の会でも波紋が広がった。首相官邸との関係も野党再編に向けた動きも、橋下氏の個人的発信力に頼ってきた面が強いだけに、低迷する党勢にどのような影響を与えるのか懸念する声も上がっているという。
橋下氏に近い大阪維新の会系の若手議員は「市長選をやることで、橋下氏がまたパワーを持つことになる」と期待感を示す。

しかし石原慎太郎共同代表に近い旧太陽の党系の幹部は、大阪都構想で大阪市議会の他会派の支持を得られなかったことを「公明党が相手にしないということは求心力がないということだ」と切り捨てたという。
いずれにしても、不義を感じる市民対象の出直し選挙で、大阪が発展する懸念は捨てられない。

繰り返すが橋下市長は、「この出直し選挙は、都構想の是非を問うのではなく、都構想の設計図をつくらせてもらいたいというものだ。最後は住民投票で判断してもらいたい」と主張し、その背景には「民意」が必要だと訴えている。

だが各会派の勢力は、選挙後も維新の会を上回る多数野党のままであり、市長意図がこの出直し選挙結果で想い通りになるとも思えない。選挙は「不義」だと市民に思わせている限り、税金の無駄遣いであり、政治のもて遊びではないだろうか。(了)            2月7日

2014年02月04日

◆橋下氏市長辞任 「独り芝居」か

早川 昭三


日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は3日午後2時すぎ、大阪知事公邸で維新幹事長の松井一郎大阪府知事と共に記者会見し、「大阪市長を辞職し、出直し選挙に臨む意向」を正式に表明した。

この会見で橋下氏は、「市長を辞任し出直し選挙をするのは、都構想の是非を市民に問うのではなく、この夏までにまだ不十分な都構想の説明設計図を作り、市民に理解を深めて貰うために行うのが趣旨だ」と述べた。

更に、1月31日に都構想の説明設計図を議会野党多数に否決されたことで市長職を辞任するのではなく、この夏までに作る詳細な同説明設計図を作ることには市民の後押しが必要だ。

今度の市長選挙では『説明設計図を作らせてほしい』『最後は住民投票で決めてほしい』ということを訴え、選挙で市民の同意を得たら、急いで『住民投票』を決めたいと繰り返し述べた。住民の後押しがあれば、議会の議決は必要がない。

その上で、都構想の説明設計図は、あくまで無駄使いの二重行政を解消して、巨大役所をつくることが狙いであり、出直し選挙に5億円の費用が掛かっても、それを上回る効果を上げて行くことは可能で、ムダではないと付け加えた」。

ところで橋下氏は、上記都構想の説明設計図を議会野党多数に否決された直後に、市長職を辞任することを表明したことは既に触れている。

その際、否決は公明党の裏切りと、他の野党の協調否決があったからだと厳しく非難して、そのため「市長を辞任」すると言及していたことは間違いない。

しかし、今日の会見では「辞任表明」理由はそうではなく、今後夏に向けた説明設計図作製の段取りによるものだと述べ、辞任理由をすっかり言い換えに転じた言及を見せた。これを聴いていて聊か驚かされた。

こうした中で、橋下氏の「市長辞任」を非難している自民、公明、民主、共産党では、対立候補の擁立を見送ることで一致しており、橋下氏の「独り選挙芝居」を演じさせる方向を固めている。市長選を無意味なものに終わらせるのが狙いだ。

「独り芝居」で、出直し市長選に無投票で当選し、議会に戻って来ても、与党維新の会を凌いだままの多数野党勢力は変わらない。「都構想」に合理性と、大阪市民のメリットが無ければ、否決の立場は引き続き貫くことになる。

だから、慌てて「候補者」擁立する必然性は全くない。橋下氏のペースに巻き込まれるだけで利点はない。

むしろ、今回の出直し選挙では「候補者」を出すことは見送るべきで、次回橋下市長と争う時に、実力と人気のある有能な「候補者」を擁立した方が得策であることは決まっている、との判断が野党間では多い。

これに対して橋下氏は、「説明設計図さえ作らせないのが自民、民主、公明、共産だ。対立候補を擁立しないのはおかしい」と記者団の質問に答えた。

その上で「市長選挙に対立候補が出なければ、都市構想の1つの案に絞ることが了解されたことと同じだ。絞るのがだめだと言うなら、対立候補を立てて私のやり方にストップをかければいい。

市長選挙で再選されたら、1つの案に絞った設計図作りを指示し、ことしの夏までに完成させる」と述べた。このように今日の記者会見では、野党の動きを厳しく牽制した。

<もはや戦闘モード全開の橋下は、1日の大阪維新の会の会合で「自分個人で戦いたい」と語り、「負けたら(松井氏とともに)2人とも政界から身を引こう」と覚悟のほどを示した。(産經)>

出直し選に大義はあるのか、ないのか−。高まっている「市長辞任表明」の驚きと疑念に対する世論の動向がこれからの大阪での政治風潮として盛り上がってくるだろう。

公職選挙法の規定では、市長から辞職の申し出を受けた市議会議長が、市の選挙管理委員会に5日以内に通知し、その翌日から50日以内に市長選挙が行われることになっている。

橋下市長は、市長を辞職する時期について、今後、市の幹部らと協議して決めることにしているという。(了)      2月3日

2014年02月03日

◆橋下市長辞任表明に疑念広がる

早川 昭三


日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が1日午後、東京都内のホテルで開かれた大阪維新の会の会合で「大阪都構想」の是非を問うため市長を辞職し、自ら再出馬する意向を表明した。

同会合で橋下氏は「わがままを許していただき、一政治家としてやらせてほしい」と訴え、知事選とのダブル選は否定した。ただ自らが市長選で敗北した場合、松井一郎氏も知事を辞職することになると説明したという。<共同通信>

ところが、この突然の「市長辞任表明」に対して大阪市民の間では、大きな驚きと疑念が巻き起こっている。

1月31日の「大阪都構想」について制度設計を話し合うため、大阪府庁で開催された法定審議会で議会多数野党の否決を受けたことから「市長辞任」を決意したのであれば、それは「ギャク切れ」であり、「市政放棄」そのものだと、非難の声が上がっている。

直ちに市長辞任を強行されたら、大阪市の26年度予算編成を審議する「2月市議会」が開会されない異常事態が起こる。暫定予算で一時は凌げるが、市政運営には多大な影響が懸念される。橋下氏はそれに心配りを持っていないのだろうか。

そうだとすれば、本当の「行政首長」ではなく、中央の政治家を夢見ているだけの単なる辞任表明に過ぎないと厳しく批判する市民もいる。

中でも、市民が特に疑念を抱いているのは、「大阪都構想」によるメリットが大部分の市民が全くわかっていないということである。むしろデメリットが多いという見方の市民が横溢して来ている。

橋下市長は、「大阪都構想」が実現すると、「お金のムダ、時間のムダ、人のムダ。そんな二重行政のムダをなくして豊かな大阪取り戻そう」と主張してきた。

しかし、府市が一体となると、市財政の市民税、法人税、都市計画税の半分以上を大阪府主体に吸い上げられ、そのあと大阪市に再配分されるのは僅か6割程度。

大阪市にとっては、それこそ市税の無駄使いとなるデメりットそのものであり、「豊かになる」とは、欺瞞ではないかと疑念を投げかける人もいる。

また橋下氏は、「都構想」で大阪市各区を集約し「5区に縮小」すれば、「お金のムダを極端に省ける」としている。

しかし縮小すればそれだけ業務量とそれに伴う人件費の増え、予想以上のコストが必要となる。このことが理解されていないようで、コスト高を招聘する「区縮小」自体は好ましくないと指摘する専門家もいる。

つまり、大阪府が豊かになるメリットはほとんど感じられず、大阪市にはメリットに逆行するデメリットばかりだという印象が強いと、不安を述べる財界人もいる。

もともと橋下市長は、市政改革者という印象が強く、市民生活の充実を図ってくれる期待の首長と思い込んで支援していた市民が多かった。

ところが、「都構想」の市民説明には充分時間をかけず、テレビでメリットのみを強調して実現を目指すケースが目立ったのは、改革者ではなく、「独裁者」だと指摘されている。

いずれにしても、「大阪都構想」の姿が不透明なうちに、野党多数から否決されたことで、「市長辞任」を表明して「延命を託す姿勢」とることには、市民の間で驚きと疑念が急激に湧いてきている。

法定審議会で議会多数野党の否決は、市民が選んだ政党の議決であり、「不義否決」ではない。

これに「逆ギレ」した形で、他の市政運営を放置したまま、「市長辞任」して、直接市民に「大阪都構想」の是非を問うというのは、議会軽視であると同時に、市政混乱を一考だにしない浅薄な首長と云われても、仕方がないだろう。

ところで、こうした市民の想いと共に注目される野党各党は、橋下市長の「市長辞任」に、以下のような強い批判をしている。(2日 読売新聞)

<橋下徹市長が出直し選という手段を選んだことに、各党は「今後は政策が止まるたびに選挙するのか」と一斉に批判。焦点となる対抗馬については、「選挙は橋下氏1人でさせておけばいい」と不戦敗が望ましいとの考えが広がっている。

1日の党大会で橋下氏から離反を批判された公明党府本部幹部は「法定協が進まないから選挙するなんて考えられない手法で、政治をバカにしている。出来ないからワーワー叫ぶ子どもみたいなものだ」と怒り心頭の様子。

自民党市議団幹部も「歳出削減に取り組んできた橋下市長が大義のない選挙で税金の無駄遣いをするのか」と批判した。

共産党市議団幹部も「市民生活に密着した新年度予算を審議する2月議会を放棄するほどの意味があるのか。破れかぶれの選挙」と突き放した。

降って湧いた出直し選に、民主党府連幹部は「各党ですりあわせる必要はあるが、橋下氏1人で勝手に選挙をさせれば、有権者にその無意味さが伝わる」と不戦敗が望ましいとの考えを示した。

自民、公明も取材に、同様の考えを明らかにしており、共産党府委員会幹部も「維新の会に一番ダメージを与える方法が何なのか、一点共闘で考えていく」と柔軟な姿勢を見せている。>

3日橋下市長は、「市長辞任」を表明する予定だ。市政対策や自己表明を豹変させることが得意だといわれる橋下市長だが、「市政運営」に停滞が生じないように気を配って欲しいと願う市民が多いことを念頭に置いて欲しいものだ。(了)    2月2日


2014年01月26日

◆維新の会 分断強まる?

早川 昭三


維新の会が「分断」する様相を見せてきた。

日本維新の会の松井幹事長は、25日、記者団に対し、来年春の統一地方選挙で「関西の選挙区には、来月開講する政治塾の塾生を中心に」積極的に候補者を擁立していく考えを示した。

日本維新の会は、来年春の統一地方選挙に向けて、来月8日に橋下共同代表を塾長とする政治塾を大阪で開講し、関西2府4県の選挙区で擁立する候補者の養成を始めることにすることを述べた上で、「結いの党」との結束を固め勢力を進捗させる意向を強調する姿勢を見せたのだ。

ところが26日の 読売新聞によると、
<日本維新の会と「結いの党」の政策協議などを巡り、維新の会内部の亀裂が深まりだしたと報じている。石原共同代表は、原子力政策に関する党の対応次第で離党する可能性にも言及しており、党内のきしみは当分続きそうだ。

25日に東京と大阪を結ぶテレビ会議方式で行われた執行役員会で、石原氏は橋下共同代表(大阪市長)に「結いの党」との政策協議について尋ねた。橋下氏は、「(「結いの党」は)時代に合わせて憲法を改正すべきだと言っているし、地方分権改革も一致している」と説明した。

これに対し、憲法改正に前向きな石原氏は、「結いの党」を「護憲政党」と批判しており、石原氏は役員会終了後、記者団に「あくまでも『協議』ということだから了承する」と語り、「結いの党」との連携に否定的な姿勢を強調した。

前日の24日には、政府が国会に提出した日本とトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の原子力協定に関し、昨年12月に党として反対を決めたことについて、記者団に「原子力政策を(「結いの党」に合わせて)すべて否定するなら、党を辞めないわけにはいかない」と、「離党の可能性」を口にしている。

党内では、石原氏ら旧「太陽の党」系と、橋下氏ら大阪維新の会系の間で、野党再編や原子力政策などの基本方針に関する「認識のズレ」が目立ち始めている。大阪系にはもともと、原発に否定的な意見が根強い。石原氏の「離党発言」は、こうした党内の状況を念頭に置いたものだ。>

こうした動きを念頭に置いてか、松井幹事長は25日、記者団に対し「関西では政治塾の塾生を中心に擁立していく」ことで、関西選挙区に力点を置いて、政治塾の塾生を中心に積極的に候補者を擁立していく考えを示したようだ。

また松井氏は、統一地方選挙での維新の会、「結いの党」、それに減税日本の選挙協力について「地方議員どうしで情報交換しながら、提案をあげてもらい検討して決定したい」と述べ、「結いの党」との結束を改めて力説している。

このように石原氏が、政策協議などを巡り見解の異なる結束の党を批判して、「離党の可能性」を口にしたことで、維新の会は内部の亀裂が深まり「分断」するする可能性は一段と強まってきた。

大阪維新の会の大阪都市構想の実現も揺れ動いていることも重なり、維新の会内部も動揺が走っており、これから橋下共同代表(大阪市長)が、どう立ち向かうのか注目が集まる。

2013年09月30日

◆橋下維新 堺市長選挙で完敗

早川 昭三


「大阪都構想」の是非が最大の争点となった大阪堺市長選が29日に投開票され、無所属現職の竹山修身氏(63)=自民支持、民主推薦=が、大阪維新の会公認の新人で前市議の西林克敏氏(43)を破り、再選を果たした。

得票は、・無所属現職の竹山修身氏=自民支持、民主推薦=が198、431票、
・大阪維新の会公認の新人で前市議の西林克敏氏が140、569票で、竹山修身氏が西林克敏氏に、57、862票の差をつけ圧勝した。

今度の堺市長選は、従前の様相とはまるで異なった。橋下代表が大阪府と大阪・堺両市を再編する「大阪都構想」の是非を争点とし、勝利を収めた上で、大阪維新の会を躍進させ、中央政界にも指揮権を握るという大きな目論見を抱え、市長選に臨んだ。

ところが、堺市有権者は、橋下維新の「大阪都構想」に「堺市は参加しない」と主張する竹山修身氏を支持して再選し、その結果、橋下維新は完敗した。政党躍進の目論見を外される憂き目に遭わされた。

大阪維新が存亡を賭けた堺市での「大阪都構想」激戦で、なぜ「完敗」したのか。一体その背景は何だったのか。

堺市の有権者や政治関係者から、その理由を聴いてみた。
その意見のほとんどは、当初耳触りが良かった「大阪都構想」が、選挙が近づくにつれ、橋下維新の「大阪都構想」へ参加すれば、堺市全体がデメリットに落ち込んでしまうということが明らかになって来たからだということだった。
(本誌9月24日に竹山氏が主張する「大阪都構想」参加デメリット内容を掲載。)

つまり、大坂維新が、大阪府と大阪・堺両市の再編による「利度内容」の具体性を示さないのは、感覚的、感情的に訴えてきただけで、少なくとも「都制度」を導入して仕舞うために、あえて市民に真実を明らかにせず、維新の自分たちに「白紙委任」を迫ってきているのに違いないと、疑心を感じ取ったからだという。

維新では「大阪都構想」で、再編したら大阪府と大阪・堺両市を20の特別区に区割りする案を作っていた。この中で「堺市」では、9番目の特別区として堺区、西区。10特別区として北区、東区、美原区区。11番目として中区、南区を、それぞれ再編するとしていた。

ところがただそれだけのことで、肝心の特区の姿、実際のモデルについても具体的内容は、「中核市並み」という以外は、区割り、財源配分、権限配分など、最も重要な市民に何のメリットがあるのか、一切明らかにしていない。

政令都市・堺市市民生活に直結している「行政サービスの配分の仕方」が、再編の目玉にならければならないのに、これも明らかになっておらず、市民は困惑するばかりだった。

市民が不信と疑心を自然と抱くのは、当然だったと、皆は口を揃える。

話は遡るが、竹山市長は、橋下維新代表(当時大阪府知事)の全面支援を受けて、先の堺市長選で大阪府副知事から「堺市長」に当選している。謂わば、橋下維新の傘下だった。

ところが竹山市長は、2010年以降変わった。堺市が「都構想」に組み込まれることについて、「堺市は二重行政はない」と、再三にわたり否定的見解を述べ出した。これにより両者の確執は深まり、堺市の「大阪都構想」は、破綻する方向に急速に向かい出した。

これがもとになって、竹山氏の「大阪都構想は堺市の為にならない」主張が市民の理解を得ることになり、橋下維新がいくら大きく声を出して街頭演説をしても、市民の支持は大坂維新から外れて行ったという。

竹山氏は選挙最終日の28日、「大阪都構想は、すでに破綻している。堺にとって、まやかしの都構想は必要なく百害あって一利なしだ。わたしは皆さんに寄り添った行政を進めていきたい。堺はひとつ、堺をなくしてはならない」と訴えている。この訴えが市民の心を捉えた。

こうした中、選挙期間中の毎日新聞などの世論調査では、「都構想への堺市の参加反対」が42%で、賛成の27%を上回っる結果が既に出ていて、早くも大阪維新を委縮させていた。

そこでもう一つ、大坂維新の敗北につながった重要な事象を上げて置く。

それは、橋下代表が24日、堺市長選に関し、厳しい情勢認識を示した上で、大阪府と大阪、堺両市を再編する「大阪都構想」をめぐり「争点の設定を失敗した。選挙に突入する前の準備不足があった」と記者団に語ったことだ。

現職陣営が都構想に反対していることを踏まえ「堺がなくなる、府や大阪市の借金を背負わされると批判があるが、住民投票があるから市民の不利益にならないというプロセスをきっちり説明しなかった。代表としてのミスだ」と語っている。

これについて、石原氏が「堺市長選敗北でも橋下氏辞めさせない」と発言したり、大阪維新の会の松井一郎幹事長も27日、維新候補が敗北した場合でも、橋下徹代表は辞任しないとの見解を示すなど、内部激震が走った。

こんな「争点の失敗」を維新代表が公言する事自体、「敗戦」をいち早く自ら認めたことと同じで、これが「完敗」の理由に繋がったと伝えてきた友人が居た。

そう云えば、こういった代表者による「失敗宣言」が選挙中に飛び出す事例は、過去の選挙で耳にしたことはない。

この公言について畏敬の先輩から、「公認候補の得票は、橋下発言によりさらに減る。橋下氏は政治家ではない。弁護士の域を出ていない。大阪府民は橋下氏が東京で認められないことに気づき落胆して支持をやめたのだ。本人は、そこが読めない。政治家の素質が無い。」という意見をこの時点で貰った。まさにその通りになった。

要は、橋下維新の「大阪都構想」が、堺市長選で敗れた意味は大きい。大阪維新にとっては大打撃であることに間違いはない。

竹山氏は「大阪都構想は、すでに破綻している。堺にとって、まやかしの都構想は必要なく百害あって一利なしだ。わたしは皆さんに寄り添った行政を進めていきたい。堺はひとつ、堺をなくしてはならない」と訴えている。

この堺市長選挙で、大坂維新が完敗したことは、維新の会が存亡をかける「大阪都構想」を、今後どうするのだろうか。橋下代表は「住民投票」に頼らざるをえなくなると云っているが、これも実現するだろうか。

また橋本代表自身、これからの進退の行方は考えないと開票後の記者会で語ったが、堺市長選の完敗の重さを、軽視する訳には行くまい。




2013年09月24日

◆橋下維新、堺市長選で敗退か

早川 昭三


日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が掲げる「大阪都構想」に、現職と新人が争う大阪・堺市長選は、29日投開票だ。都構想に反対する現職に対して新人を擁立する維新は、敗れれば党の存亡にも関わるとして総力戦で取り組んでいる。

立候補しているのは竹山修身氏(63)=無現=と、西林克敏氏(43)=維新=で、文字通り一騎打ち。両候補は「大阪都構想」に参加が是か非を有権者に訴えており、この有権者選択が「勝敗」を決めるのだ。

ところで、産經新聞が両候補に「大阪都構想」をどう思うか、メリットはあるのかを訊いた。そうすると下記の答えが帰って来ている。

<◆竹山氏:「大阪都構想」には参加しない。二重行政のない堺市にメリットはない。デメリットは、(1)まちづくり、教育、福祉などの重要な権限と財源が奪われ、堺のことが堺で決められなくなる。サービスが低下する(2)堺市の健全財政が、大阪府・市の莫大な借金の穴埋めに使われる(3)膨大な導入・維持コストがかかる(4)堺がバラバラにされ、地域の連帯感が喪失する。

◆西林氏: 賛成だ。堺は人口も面積も大きすぎ、1人の市長で運営することは不可能。住民に身近な特別区に再編し公選の区長と議会を設置する。(中略)一方で経済対策、観光政策などを堺単独で実施するには、予算規模が少なく力不足。広域行政を府へ一元化して堺を含む大阪都市圏全体で、成長戦略を実施する>。

以上が、両候補の「大阪都構想」への見解だが、竹山氏のデメリット主張が分かり易い。

筆者も、堺市の複数の有権者に聴いてみた。そうすると橋下維新の掲げる「大阪都構想」で堺市が如何なるメリットがあるのか、具体性に欠けているので「賛成」の気概は湧かないという意見ばかりだった。その所為か、維新の動静は伸びていないように見えるとの見方が多かった。

こうした中、橋下維新の趨勢に大きな影響を与える「堺市長選」の中間動静を探る世論調査の結果が、読売新聞、毎日新聞、共同通信から出た。

まず、読売新聞によると、
<堺市長選の告示(15日)を前に、読売新聞社が5〜7日に実施した世論調査では、最大の争点となる「大阪都構想」について、統合再編の対象に堺市を含めることに否定的な回答は63%で、同市内の人に限ると60%だった。

都構想推進を掲げる地域政党・大阪維新の会代表の橋下大阪市長の支持率も府内で58%と、前回調査(2012年6月)より14ポイント低下。

堺市内では、「橋下大阪市長が推進する構想だから」が、反対した人の4割を超えた>。

次に、毎日新聞によると、
<堺市長選について、毎日新聞は21、22の両日、MBS(毎日放送)と合同で堺市の有権者を対象に世論調査を実施し、取材結果と総合して中盤情勢を分析した。

再選を目指す無所属現職の竹山修身氏(63)=自民支持、民主推薦=が先行し、大阪維新の会新人で前市議の西林克敏氏(43)が追っている。ただ、4割が投票先を決めておらず、終盤で情勢が変わる可能性がある。

同市長選では、大阪府と大阪、堺の両政令指定都市を再編する大阪都構想に、堺市が参加するかが最大の争点となっている。構想に反対する竹山氏を、自民、民主に加え、共産と社民も自主的に支持する。西林氏は構想の実現と堺市の参加を公約に掲げ、維新代表の橋下徹大阪市長が連日、堺市内で支援を訴えている。

調査結果では、重視する争点として「都構想の是非」が最多の32%を占め、構想への「反対」が40%で「賛成」の26%を上回った。竹山氏に投票すると答えた人の8割が都構想に「反対」し、西林氏に投票すると回答した人の8割が「賛成」していた>。

共同通信によると、
<共同通信社は堺市長選を前に、21、22両日に電話世論調査を実施し、取材結果を加味して情勢を探った。

再選を目指す現職の竹山修身氏(63)=民主推薦、自民支持=が先行し、日本維新の会傘下で、橋下徹大阪市長率いる政治団体「大阪維新の会」公認の元堺市議西林克敏氏(43)が追っている。
ただ3割近くが投票する候補を決めていない。

最大の争点になっている大阪府と大阪、堺両市を再編する「大阪都構想」に関し、「反対」「どちらかといえば反対」は合わせて5割を超え、「賛成」「どちらかといえば賛成」の3割強を上回った。竹山氏は反対、西林氏は賛成を表明している>。

以上の様に、中間世論調査では、堺市長選は、現職の竹山修身氏が先行しており、「維新の都構想に反対」が過半数近く占めていることが、3社で共通して明らかになっている。

確かに、未だ3割〜4割が、投票する候補を決めていないという。参院選以来、大阪維新の会代表の橋下大阪市長の支持率は大きく下落しているので、これから「大阪維新の存亡」を賭けて、連日堺市に宣伝車に繰り出して「支持」を訴えることは間違いない。

しかし、堺市民にとって、「大阪都構想で堺市が糾合されると、市民のデメリットが多いことになる」ことに強烈に抱いているアレルギーを、急転させることは、難しいと言わざるを得ない。

だとすれば、やはりこのままの情勢で移行し、堺市長選で橋下維新敗退の可能性があるのは間違いないことではないだろうか。
 

2013年09月09日

◆大阪維新 進退を賭けた堺市長選

早川 昭三


橋下徹氏の率いる大阪維新の会が実現を目指す「大阪都」構想への是非が争点となる、9月15日告示、29日投開票の「大阪府堺市長選」は、維新の会の進退を賭けた戦いになりそうだ。

同市長選は、都構想を否定する竹山修身市長(63)=1期=に対して、維新の会メンバーの西林克敏元堺市議(43)が挑む選挙戦の一騎打ちとなる見通しで、大阪の在り方を大きく左右する分岐点となるほどのものだ。

しかも、大阪維新の会の代表・橋下徹氏は、先の参議院選挙で「維新の党」の実績を、地元大阪では上げたものの、全国で狙っていた躍進は果たせず、党運営自体に事実上苦境の状態に追い込まれている。

もしこの「市長選挙」で、橋下氏が維新の原点政策ともいうべき「都構想」を争点に敗北すれば、大阪維新の会の進退、更には自らの「政治生命」の行方にも追い込まれかねないことになる。

大阪を左右する「橋下維新・都構想」とは、どのようなものか。

<大阪都構想とは、大阪府と政令指定都市の2市(大阪市・堺市)を解体し、10〜12の特別自治区からなる大阪都を新設するという構想。府と市の二重行政の無駄を省き、産業基盤の整備と経済的競争力の強化によって、地盤沈下が著しい大阪の再生を図るというのが狙いだとしている。

特別自治区には、公選の区長・区議をおき、住民自治を促進させる一方、府と市が重複していた事業や広域行政は、新都の首長に全権移譲される。

これにより、これまで府と市が競合していた府営水道、ごみ処理施設。大学や文化施設なども統廃合し、財政の安定化を図る。

しかし、「都への格上げ」には、地方自治の流れに逆行するという声もあり、実現までのハードル決して少なくない。維新方針の最大のテーマの行政区の区割りと財政の分配には、不透明のままだ>。

ところが、「橋下氏の都構想」だが、橋本氏が先駆的に進めようとしていた「府・水道の統合」は、先の市議会で否決され、早くも躓いている。

従って、橋本市が新たな表舞台で「政治生命」を賭けて「都構想の是非」を争うのが、この「堺市長選挙」ということになる。

こうした中この6日、<立候補を表明している竹山市長と大阪維新の会の元市議会議員・西林克敏氏が民放のラジオ番組で、早くも大阪都構想などをめぐって討論を行っている。
 
竹山市長は「都構想の本質は二重行政の解消だが、大阪府と堺市の間に二重行政はない。都構想によって堺市の権限や税源を奪われ住民サービスは低下するので堺市の廃止・分割は絶対に許さない。堺のことは堺で決める」と述べた。

これに対して西林氏は「都構想によって住民サービスは低下しない。行政の役割分担を明確にするだけだ。住民に身近なことは、特別区でしっかり決められるようにする。ぬるま湯感覚の今の市政にメスを入れて新しいまちづくりを目指す」と反論した。<NHK関西ニュース>

ところで、読売新聞の「世論調査」<8日掲載>が注目された。

<堺市長選の告示(15日)を前に、読売新聞社が5〜7日に実施した世論調査では、最大の争点となる「大阪都構想」について、統合再編の対象に堺市を含めることに否定的な回答は63%で、同市内の人に限ると60%だった。

都構想推進を掲げる地域政党・大阪維新の会代表の橋下大阪市長の支持率も府内で58%と、前回調査(2012年6月)より14ポイント低下。

理由(二つまで)は「独裁的だ」(52%)、「発言に問題がある」(45%)の順だった。5月の橋下氏のいわゆる従軍慰安婦問題を巡る発言で「印象が悪くなった」とした人は35%。

市長選では、参加反対の竹山修身市長(63)と、大阪維新の会が擁立する西林克敏・前市議(43)との間で、「都構想を巡る舌戦」が激しさを増しそうだ>。

こう見て行くと、前述のように、「堺市長選挙」で橋下氏も、維新の原点政策ともいうべき「都構想」争点に敗北すれば、大阪維新の会の進退、更には自らの「政治生命」にも追い込まれることに繋がるかも知れない。
注目される「堺市長選挙」だ。(了)

2013年06月07日

◆訓練移転に反発の大阪・八尾

早川 昭三


米軍普天間飛行場(沖縄県)のオスプレイ訓練の一部を、大阪八尾市の八尾空港に移転できるかどうか、安倍政権が検討に入ったことに、地元八尾市民の間では、大きな反発が出ている。

事の発端は6日、日本維新の会の橋下共同代表が安倍総理大臣と総理大臣官邸で会談し、沖縄の基地負担を軽減するため、沖縄配備のアメリカ軍の新型輸送機、オスプレイの飛行訓練の一部を大阪の八尾空港で受け入れる意向を伝えたことからだ。

この中で、「本州でしっかりと負担を分かち合うため、まずは大阪の八尾空港を検討のテーブルにあげてほしい。日本政府とアメリカ軍でしっかり検討してもらいたい」と述べている。

これに対して、安倍総理大臣は「沖縄の負担の軽減は全国で考えるべき課題だ」と述べた。その上で安倍首相は、小野寺防衛相を首相官邸に呼び、沖縄県の米軍普天間飛行場に配備されている新型輸送機MV22オスプレイについて、訓練の一部を大阪府八尾市の八尾空港で行うことが可能かどうか検討を指示している。

小野寺氏は首相と会談後、防衛省で記者団に「研究していく」と述べた一方で、「地元の様々な声もある。少し見守りたい」と慎重に検討する考えを示した。

このようなオスプレイ訓練の一部を、大阪八尾市の八尾空港に移転できるかどうか、安倍政権が検討に入ったことに対して、早くも地元八尾市では、大きな反発が起きている。

八尾市の田中誠太市長は、6日夕急遽記者会見し、「八尾空港の安全性、合理的な理屈がない中で、事前説明も全く、発言が行われている事は遺憾だ」と述べ、不満を顕わにした。

また、同市長は「住民や企業が密集しているところで安全か。本当に行けるのかなというのが、率直な僕の考え」と述べ、あらためて反対理由を説明した(朝日新聞ニュース)

こうした中、八尾市の企業の間では、「八尾空港では、過去に小型飛行機の事故があり、企業が被害を受けることにおおきな不安を感じている。安全性の保障もないオスプレイ訓練が八尾空港で行われことには、大反対だ。事故が起きたら八尾市は自滅する」との反発の声が多い。

また、市民の間でも、「オスプレイの安全性には特に不信感があり、小中高11校もある八尾空港周辺の密集地への被害の恐れも考えると、絶対に反対だ」という。

更に、「なぜ橋下市長が、八尾市の安全性を考えず、いきなり阿部政権に提案したのか分からない。恐らく慰安婦問題や沖縄米軍の風俗営業問題から逃げ、この新提案で、迫って来た参院選で維新の会を有利にしたいのではないか」との声もある。

要は、地元八尾市での「オスプレイ八尾空港受け入れ」の反発は、益々高まるだろう。(了)         2013.0607

◆本稿は、6月7日刊のメルマガ全国版「頂門の一針」に掲載されました。
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                            (netmo 編集部 )   



2013年06月02日

◆庁内「維新案内メール」に厳罰を

早川 昭三


〜市長の「政治目的ではない」発言も奇異〜

大阪市職員が「庁内の公用メール」を使い、庁内の同僚職員約100人に対して「日本維新の会の参院選立候補予定者の決起集会案内」を送ったことが明らかになった。

ところで、橋下徹市長は、昨年7月に成立した「職員の政治的行為制限条例」で、政治的目的で文書を配ることを禁じており、違反すれば免職を含め、懲戒処分の対象とすることにしている。

しかし、今回職員の「庁内公用メール使用」は、まさに「職員宛の文書使用」と同類行為であり、「職員の政治的行為制限条例」に明らかに反しており、免職を含め、懲戒処分の対象に相当するものだ。

ところが、大坂市は5月31日、メールを送った係長(43)と、送信を承認した課長(50)を文書訓告処分だけに止めた。

今回のケースについて大阪市は、「係長は議会などの日程を周知する業務に携わり、今回もその一環だった」として、懲戒にはしなかったとしている。

しかも 橋下市長は記者会見で、「政治目的ではない」と擁護している。【共同通信】

問題は、「日本維新の会の参院選立候補予定者の決起集会案内」を、庁内公用メールを利用して、日本維新の会の政治集会に参加を呼び掛けたのを、「政治目的ではない」とする橋下市長発言は、正に奇異そのものだ。

つまり、「職員の政治的行為制限条例」に反していることは、明らかだからだ。

メール送信した係長が誰の指示に基づいて行ったかも不明だが、大阪市が「議会などの日程を周知する業務に携わり、今回もその一環だった」と、訳の分からない説明で終結させようとしているのも奇怪な展開だ。

橋下市長の「政治目的ではない」との擁護発言も撤回して貰いたいし、「職員の政治的行為制限条例」を制定した以上、「庁内公用メール使用」も「文書配布」と同類だから、処分のやり直しを求め、厳罰処分の敢行を求めたい。

2013年05月31日

◆橋下市長の問責決議案は否決

早川 昭三


大阪市の橋下市長のいわゆる従軍慰安婦の問題などの発言を巡り、大阪市議会の自民党など野党3会派は、市議会最終日の30日の夜、橋下市長に対する問責決議案を提出した。

しかし、公明会派が「橋下市長を辞職させるのが目的ではない」として反対したため、結果的に野党3会派が提出した同議案は「否決」された。経過は追々。

もともと、自民党など野党3会派は、「市長としての職責を全うしているとは言い難い状況の中で、自ら政治的責任を自覚した言動をすべきだ」と強く求め、今回の事案を猛省して「市長辞任」すべきだとの決議案にする方針だった。

しかし公明会派は、「辞任」の要求が本来の目的ではなく、「市長としての公人の立場での責任を自覚させることが狙い」だとして、「市長辞任」ではなく、「問責決議」にするべきだと主張し、これに3会派も同意したため、事実上「問責決議案」は可決する見通しだった。

ところが、事態が急転した。日本維新の会の幹事長で、大阪府の松井知事が、30日の午前「仮に問責決議案が可決されたら橋下市長は辞職し、参議院選挙と同日に出直し市長選挙を行う」と発言し、市議会野党各会派をけん制したのだ。

つまり問責決議そのものには法的拘束力はないものの、国政政党党首に対して議決されれば、市長辞任避けられず、そうなると大阪市政は停滞することになるというのが、松井知事の橋下支援論だった。

これを契機に「問責決議」の是非を巡って、各野党会派の間で緊迫感が走った。

こうした中で、
<公明会派は「問責決議案が可決され、橋下市長が辞職する事態は避けるべきだ」として、問責決議案には同調せず、橋下市長に「政治的責任を自覚した言動を求める」などとする、独自の決議案を提出する方針を決めました。

だが、自民党など3会派は「当初の方針を貫くべきだ」として、橋下市長に対する問責決議案を提出したが、反対多数で否決された。>(NHKニュース)

大阪市議会会派の有力筋によると、いわゆる従軍慰安婦の問題などを巡る発言の追及は、これで一応収まったとしている。しかし「大阪市民に対して謝罪を求められたり、市政を大きく混乱させるような新たな諸言動が出た場合は、改めて問責決議案を提出する」と述べている。

ところで、大阪府の松井知事は、<30日夕方、記者団に対し、「市長として認めてもらい、不信任ではないということなので、出直し市長選挙をする必要はない。公明党が大人の対応をした。公明党が言っているとおり、まさに発言には気をつけなければならないということだ。

市営地下鉄の民営化や大阪都構想などの改革については、これからもしっかり進めていこうということは、再確認させてもらえたと思っている」と述べました。>(NHKニュース)

大阪市政始まって以来の異例の「市長問責決議案の否決」騒ぎは、松井知事の“支援”が事実上事態を収束させるという、予想外の効果を上げたことに大きな波紋を投げかけている。

ところで、市議会本会議場の傍聴席(定員140名)はほぼ満席で、午後2時予定の本会議開会前から従軍慰安婦の問題などの市長発言を巡る「市長問責決議案」の行方に関心が溢れていた。

しかし、開会時間が何と5時間余も伸びた上、閉会自体も午後9時過ぎになったことに、傍聴者は疲れ果てていた。傍聴者は、各会派間の折衝舞台裏等が分からなないだけに、開会延長の事態に困惑・不満が出ていた。そんな中、品性を保つ橋下市長の言動に今後期待できるだろうかと囁く傍聴者の声も聞こえていた。

いずれにしても橋下市長は、一応の「混乱」からは抜け出せた。ただ新たにノーベル平和受賞女性5人が非難をしたり、国内外からの追及も依然絶えない状況にあり、今後も引き続き不穏な情勢は続きそうだ。
                                     (了)


2013年05月24日

◆橋下市政 苦境化浮き彫りに

早川 昭三


維新の会の共同代表である橋下市長は、慰安婦を巡る発言に対して現在開会中の5月大坂市議会でも批判が相次いでいる。

こうした中、橋下市長が「大阪都構想」と共に最大公約に掲げていた「大阪市営地下鉄と市バスの民営化に必要な条例案」が、公明・自民が先送りに合意したことにより、5月市議会で継続審議の見通しとなった。

「民営化が市民生活の利益につながるのか」「バス過疎地帯を生じさせてまでも、民営化の必要性があるのか」などの意見が相次ぎ、議論不十分の状況の中で、今すぐ結論を出すのは早計すぎるという雰囲気が充満している

従って大坂市交通局の民営化は、3月市議会でも継続審議となっていることから、この事態を踏まえて、可決されるかどうかは、最短でも9月議会に持ち越されたことになる。

橋下市長は、重要公約に上げていた「大阪市と大阪広域水道企業団の水道事業の統合に必要な条例案」も、この5月市議会で「否決」される見通しとなっている。

「広域水道事業の統合」と「私鉄・市バスの民営化」を実現させ、橋下市政の権勢の拡大手段に使い、維新の会の勢いの加速にも役立てたいと考えていた橋下市長の思惑だったに違いないが、想像もしていなかった「苦境」に追い詰められる結果となった。

なぜ、「苦境」に追い詰められてきたのか。

橋下市長が全国に向けて訴えている「大阪都構想」の具体策に上げている、「水道事業統合」と「私鉄市バス民営化」の真意と内容自体が、さっぱり地元大阪では分からないというのが主因となっている。

東京都でも難問題が顕著化しているのに、大坂を「大阪都構想」にすることによって府・市を編成し直した場合、府民・市民にどのようなメリットがあるのか、今の市長説明では全く理解できないとの意見が議会筋や市民から出ている。

こうした中、大阪府の竹山修身堺市長が、結果的には見送ったものの、「大阪都構想」で堺市を特別区に再編する是非を「住民投票」したいとの旗を揚げていた。堺市長は「都構想」の橋下方針に真っ向から反対する動きを見せている。

つまり、「大阪都構想」実現の是非に、中核都市の堺市長が反対の旗印を上げる事態になっていることが、橋下市政の揺らぎのきっかけとなったことは否定できない。勿論橋下市長は、堺市長選で竹山堺市長と「勝負」すると強気だ。

加えて、前述のように「慰安婦を巡る発言」問題が起きた。大阪市議会の自民・公明両会派からは「市長が慰安婦問題の対応に追われているので、都構想や民営化の議論をする環境にない」と厳しい批判が飛び出している。

どうやら、慰安婦問題を抱えた橋下市長は、維新の会の目玉にしている「大阪都構想」を抱えたまま、市政運営の面でも、さらに苦境化していきそうだ。
                    2013.05.24

 ★本稿は、5月24日 (金)刊のメルマガ全国版「頂門の一針」2964号に
掲載されました。
 ★頂門の一針」2964号の
 <記事目次>
        
・橋下市政 苦境化浮き彫りに:早川昭三
・日韓ともにヘイトスピーチは止めよ:杉浦正章
・あまりにも無知な韓国メデイア:古澤 襄
・安倍首相、ミャンマーに空前の大盤振る舞い:宮崎正弘
・せめぎ合う内科と外科:石岡壮十

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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