2022年10月28日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6302号
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2022(令和4年)年 10月27日(木)


     
        経済対策の財源捻出も可能だ:高橋洋一

         英国で新自由主義が復権?:室伏謙一

           22年9月の新宿区の人口:前田正晶      

    〈特報〉露ミサイル攻撃「恐れない」:黒川信雄

           中国軍を特訓していた:宮崎正弘 
                 

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 経済対策の財源捻出も可能だ 
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           高橋洋一


【日本の解き方】「外為埋蔵金」の含み益37兆円、為替介入によって「実現益」になる 


政府の外国為替資金特別会計(外為特会)をめぐり、筆者は含み益を捻出すべきだと主張している。ここで改めて説明しよう。

筆者からみれば、外為特会の含み益は「霞が関埋蔵金」の一つであり、かつて小泉純一郎政権で財源として捻出した経験がある。当時は、政府内で調整が行われたが、岸田文雄政権で埋蔵金を指摘するようなスタッフはいないと思われるので、国会で議論されるのだろう。いずれにしてもできないという理由は分からない。

国民民主党の玉木雄一郎代表が6日の衆院代表質問で、外為特会の含み益が37兆円あることを指摘し、円安メリットを生かすのなら、その含み益を経済対策の財源に充ててはどうかと提案した。

これに対し岸田首相は「財源確保のために外貨を円貨に替えるのは実質的にドル売り・円買いの為替介入そのもの」などと述べ、否定的だった。

18日の衆院予算委員会では、鈴木俊一財務相も、外貨資産の評価益を経済対策の財源とする提案について「その時々で変動する外国為替評価損益を裏付けとして財源を捻出することは適当でない」と語った。

一方で鈴木財務相は、円安を食い止めるための為替介入も辞さないと繰り返して主張している。

財源とするのは否定するが、介入は行うという。この2つの発言は矛盾している。

というのは、含み益を実現益とするためには、外為特会で保有しているドル債を売却するわけだが、その行為自体が為替介入そのものだ。実現益は出したくないが為替介入するという発言を同じ人が言うとは理解できないし、マスコミや国会はこのような矛盾点を指摘しなければいけない。

為替介入は1回あたり大きくとも数兆円程度の規模だ。1日の為替取引は大きい。国際決済銀行の2019年のデータでは、1日の平均取引量は6・6兆ドル(1ドル=140円とすれば約1000兆円)である。ドル・円の取引はシェア13%なので130兆円程度だ。これでは、当局が介入しても、量的にはスズメの涙であり、1、2日は介入効果はあるように見えてもすぐになくなる。

であれば、どんどん為替介入すればいい。そのたびに為替評価益は実現益に変わる。その実現益を経済対策の財源にすればいい。鈴木財務相が述べた「評価益は予算財源にできない」というのはその通りだが、予算化する前に実現益にしたらいいだけだ。

為替介入する際、実際のドル債の売却は財務省が日銀に指示して、日銀が売却事務を金融機関相手に行う。このため、相手の金融機関から為替介入があったことが分かるので、マスコミで報じられる。もちろん、少ないドル債売買で市場に影響させるために、この手法をとる。

含み益を実現益にするためには、ドル債の売却は金融機関相手でなく政府内の会計間取引でもいい。その場合、為替介入は事後的に分かるが、その時には分からない。国際的な為替操作を気にするのであれば、この手法でもいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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   松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月25日号採録
            
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 英国で新自由主義が復権?
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          室伏謙一
 

 Party-gateスキャンダルを(表向きの?)理由として辞任したボリス・ジョンソン元首相の後任として選出されたリズ・トラス首相が、2月と経たずに辞任を表明したことを受けて、今週次期保守党党首選が急遽行われました。(英国では、多数党の党首が国王からの任命を受けて首相に就任することとされています。したがって保守党党首選=英国の首相選出手続なのです。ちなみにトラス首相はエリザベス2世女王が任命した最後の首相であり、今週選出される新首相はチャールズ3世国王が任命する最初の首相です。)

 今回の党首選、ジョンソン元首相の出馬が取り沙汰されていましたが、直前で断念、ジョンソン政権で財務大臣を務めていたリシ・スナック(Rishi
Sunak)氏が最有力候補とされて、最終的に立候補の締切までに届出をしたのがスナック氏のみだったため、無投票で同氏が保守党党首、すなわち英国の首相に就任することとなりました。スナック氏は前回の党首選にも出馬し、決選投票でトラス首相とその座を争い、敗れた人物です。

 スナック氏はインド系移民、しかも英国への移民という点で言えば移民2世であり、史上初のインド系、しかも日の浅い移民出身初の首相ということになるでしょう。(なお、アングロ・サクソン系ではない移民出身の首相としては同氏が初めてではなく、19世紀後半に二度首相になったディズレイリがいます。)

 おそらく日本では大手メディアや左翼リベラル系のネットメディアを中心に、その点ばかりが注目・強調されて、英国も変わった、日本も変わるべきだと言った頓珍漢な方向に議論が進められるのではないでしょうか。

 この点はこの点として議論する必要があると思いますが、スナック氏の最大の懸念材料は彼が根っからの新自由主義者であり、記者会見(日本時間の24日)において明確に、小さな政府を目指すこと、そして移民受入を拡大すること(入国管理の緩和)を明言していたことです。後者については、「高度人材」である移民の受入拡大は英国におけるイノヴェーションにもつながるとまで語っていました。どこかで聞いたことがあるような話ですね。これが大きな間違い、誤った認識であることは『西洋の自死』あたりを読んでいただければわかると思います。

 スナック氏はインド系であると説明しましが、彼の祖父の時代はインドは英国の植民地であり、その時代にインドから同じく英領東アフリカに移住し、東アフリカ諸国の独立を前に英国に移住してきたようで、スナック氏の父親が医者であったことも考えると、根っからのAnywhere的な性格の持ち主であると言えるでしょう。(この辺りの関係性を詳しく知りたい方は、
“The Road to
Somewhere”という本をお読みいただければと思います。もしかしたら翻訳本が出ているかもしれません。)

 それが新自由主義的な考え方をより一層強めていると思いますが、問題はそのこと、すなわち新自由主義者であり、今更大失敗した小さな政府推進論者であり、これまた大失敗した移民の受入拡大を進めようとしている政治家が英国の首相になったことで、日本の新自由主義者たちが、小さな政府が大好きで、ということは緊縮財政が大好きな連中が、移民受入を拡大したくて仕方がない連中が、英国に倣え、英国で移民出身のインド系の首相が誕生し、新自由主義政策を推進しようとしているのだから、日本でもやはり新自由主義政策で成長を目指すべきだ、などと頓珍漢というか完全に間違った主張をして大騒ぎをするに至るのではないかということ。

 それはとりもなおさず、緊縮をさらに推進すること、国としての役割、地公体としての役割を事実上放棄して自己責任社会を進めることにつながります。そうなれば、我が国の貧困化は更に進み、格差は拡大し、日本の技術や技術者は買収されて海外に流出し、不動産は買い漁られ、インフラは老朽化どころか朽ちていき、日本の発展途上国化が一気に進むことになりかねません。

 是非皆さん、スナック氏が英国の新首相就任を受けて、インド系であることや若いこと(42歳)等、日本の大手メディアが好んで報道する、喧伝する話に惑わされることなく、彼の主張は間違っていて、彼の政策を進めれば英国は不況のどん底へ突き落とされる、日本は絶対に真似をしてはいけないということを認識いただいた上で、周りに広めていただければと思います。(今後スナック氏の主張や政策の詳細な内容が明らかになっていくと思います。日本でどこまで正確に報道されるか分かりませんが、そちらも要注意です。)

 ちなみに対抗馬とされながら、推薦人を規定数集められず出馬を断念したPenny
Mordaunt女史も小さな政府推進論者なのです・・・

        
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22年9月の新宿区の人口
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前田正晶


22年9月の新宿区の人口は対前月比0.16%増加して346,273人だった

22年9月の新宿区の人口は、8月から576人増加して346,273人だった。日本人は277人の減少で306,759人となった。一方では外国人が853人の増加で39,514人に達していた。この増加で区全体の人口に占める外国人の比率は11.41%と、8月の11.18%を超えて来た。因みに、7月は11.16%で6月の10.76%と5月の9.7%よりも増加していた。要するに、彼らは増えているのだ。

夏休み中だった8月には大盛況の山手線の内側のKorea
townでの活況は、9月にも変わることはなかった。若き女性たちの韓国産化粧品と彼らの趣向に合わせた韓国料理の人気の高さを、イヤと言うほど見せ付けてくれていた。この現象は何も特筆大書するほどのものではないが、偶にJR山手線・新大久保駅に降り立った人たちを驚愕させている。即ち、敢えて言うが、ここでは低次元の日韓の友好関係は着実に実現しているのだ。この現象を岸田総理や林外相は何処まで認識できているのだろうか、イヤイヤご存じあるまい。

一般の方もマスコミに引き摺られたのか、百人町と大久保一帯を「新大久保」と呼んでおられる。だが、何度でも言うが「新大久保」という地名はないのだ。しかも、韓国商店街は大久保にあるのだ。しかも、この界隈では不可解なことに、何故か韓国語を話している通行人に出会うことは極めて希なのである。

上記のように外国人が増えてきたとの統計はあるが、彼らがCOVID-19の最盛期よりも増えたとの実感はない。だが、数多ある日本語学校に出入りする若者は確実に増えてきた。彼らが新規入国者なのか、あるいは何処か他の地域からやって来たのかと不思議に感じている。彼らが低賃金で働けば、それが賃金水準の上昇を阻む結果になっているとのニュース解説もあったが。

未だ未だ東京都内では第7波が本格的に収束するようには見えないし、第8波に備えよという専門家もおられる。それでも、新宿駅西口周辺や高田馬場辺りはウイルス感染流行期前の賑わいを取り戻している感があるが、景気は一向に回復してこない。9月には通院の機会が多かったので、身の安全を図って何度かタクシーを利用したが、運転手さんたちは相変わらず「岸田さんは何をやってくれたか」と嘆いていた。
参考資料:新宿区広報 10月25日

           
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〈特報〉露ミサイル攻撃「恐れない」
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            黒川 信雄

勝利誓うキーウ市民

ロシアが今月10日から、ミサイルやドローン(無人機)を使ったウクライナ全土への大規模攻撃に乗り出した。インフラ施設などが標的とみられ、同国の約4割の電力インフラが損壊するなど打撃は大きい。厳しい冬を前に生活基盤を攻撃し、ウクライナの社会に深刻な混乱を引き起こす露側の狙いが浮かび上がる。市中心部で住宅などが破壊された首都キーウ(キエフ)を訪れると、人々がロシアへの激しい怒りを募らせていた。(キーウ 黒川信雄)

ロシアこそテロリスト
今月10日に露軍の攻撃を受けたキーウ市中心部の大型商業ビルに、23日午後、記者が訪れた。地上部分が激しく損壊し、上層部まで窓ガラスが吹き飛んだ無残な姿をさらしていた。

「この光景を目の前にして、話す言葉がありません。このビルは軍の施設でも何でもない。プールやスポーツジムもある、ごく普通のビルだったのです」

向かいのバス停に立っていたキーウ在住のワレンチナさんはそう語り、「ロシアこそテロリストです」と厳しい表情で話した。

ビルの前の通りを進むと、黒焦げになり、全壊した住居もあった。近くの道路にも着弾し、走行していた車が炎に包まれ死者が出たという。

2月下旬にウクライナへ侵攻した露軍だが、物資補給の失敗などにより進軍は停滞。今月10日からミサイルなどを駆使した遠隔攻撃を本格化した。キーウも断続的に攻撃され、被害を受けたショッピングモールでは死者が出た事例もあったという。


国民は恐れていない
ただ、攻撃は市民の士気をくじくのではなく、ロシアへの一段と強い怒りを呼び起こした。

「僕らは絶対にロシアに勝つ。そのために、これだけのものを失ってきたのだから」

10日に攻撃を受けた市中心部に近い家電量販店で働くパブロさんは、露軍の攻撃再開に対する思いをそう語った。

パブロさんは当時、地下鉄で職場に向かっていたが、攻撃で足止めされ「6時間、地下から出られなかった」という。パブロさんは、露軍に徹底的に破壊され、占領された東部マリウポリからキーウに避難してきた。そのキーウが攻撃を受けたことに、強い怒りをあらわにし、ロシアの侵略には決して屈しないとの決意を口にした。

元在日ウクライナ大使館員で、現在はキーウ市内の大学に勤務するユーリー・クシナリョフ氏は、「2月24日の露軍による全面攻撃開始時と違い、国民の多くは、今回の攻撃に恐れを抱いていない。交流サイト(SNS)を見ればわかる」と話す。

同氏によるとSNSへの投稿は、「人々が、避難の方法や、ケガをした際に適切な処置を受けられることを、しっかりと認識している」ことが分かる内容が多い。恐怖心より、冷静に事態に対処しようとの国民の意識が見て取れるのだ。


キーウ在住で、現地の通信社で編集者として働く平野高志氏も「ウクライナ軍が南東部で攻勢をかけるなか、多くの人々は『いよいよ、戦争に勝てる』との思いを強めているこの程度の攻撃では、決してひるまないだろう」と指摘する。


冬場に向け不安もただ、懸念されるのは、露軍による電力インフラへの集中攻撃と、本格化しつつある冬に向けた人々の生活への影響だ。

ウクライナではこれまでに、電力インフラの約4割が破壊され、数千の集落で電力供給が止まったと伝えられている。キーウ市内では厳格な節電が呼びかけられ、一部地域では計画停電も始まった。

クリチコ市長は、電力を多く消費するエアコンなどを利用しないよう市民に要請するとともに、温水による建物などへの集中暖房システムを20日から稼働させると表明した。そのための作業は順次、進められているもようだ。

ただ、別の都市では温水施設も攻撃を受けており、どこまで安定供給できるかは不安が残る。一段と厳しい電力需給の逼迫(ひっぱく)も想定される。


ウクライナ経済に詳しい北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの服部倫卓(みちたか)教授は「冬の暖房が使えなくなれば、人々は再び他地域などに避難せざるを得ない。電力施設を修理するにも、戦時中で、海外からの機材搬入や労働力の確保は決して容易ではないだろう」と厳しい見方を示している。


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 中国軍を特訓していた
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月20日(木曜日)
         通巻第7497号  
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(休刊のお知らせ)小誌は明日10月21日〜23日休刊となります!
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英国空軍パイロット(退役)30人が中国軍を特訓していた
 豪パイロット(退役)も中国経営の軍学校で教えていた
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 西側にとって衝撃的なニュースである。英米豪が「オーカス」を組織して軍事的に中国を脅威と捉え、対抗政策に転じているときに、英国空軍パイロット(退役)30人が中国に招かれ、中国軍を特訓していたという。世界のメディアが一斉に報じた。

豪空軍パイロット(退役)も南アの中国経営の軍学校で教えていた。豪国防相のリチャード・マーレスは「すぐに調査を開始する」と記者会見した。豪紙『ジ・オーストラリアン』が伝えた。

 もとより時期が明示されていないので、英中、豪中関係が蜜月時代のときにはあり得たはなしではある。
なにしろ豪は鉄鉱石から石炭まで、中国が最大の顧客だったし、ラッド豪首相(当時)は世界的に有名な親中派だった。英国は中国がAIIB(アジアインフレ投資銀行)を打ち上げたときに米国の牽制を袖に、まっさきに加盟を申請した。

現在のウクライナ兵の特訓にしても、米軍はポーランドのNATO基地などでウクライナ兵猛訓練の最中、英国はウクライナ兵200名を英国基地へ呼んで特殊訓練をしている最中である。さきの大戦でもアメリカは宣戦布告前に「義勇兵」を装って湖南省のフライングタイガー基地で中国兵の特訓にくわえ、自らがパイロットとなって対日戦に参戦していた。
  □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□      
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(休刊予告)小誌、10月21日〜23日休刊となります!   
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著最新刊の『徳川家康 480年の孤独』を拝読しました。読書時間は存分にあり、充実した論者に接したときの常として、況んや首題が家康公なのですから読んだ者の精神的財宝がひときわ増大したかのごとく豊かな気分になることが出来ました。洵に有り難う御座いました。不一。(小堀桂一郎)

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(読者の声2)17日の産経新聞「正論」(キヤノン・グローバル戦略研究所研究主幹 杉山 大志)によると、あとわずか10年余りで核融合発電が始まる段階が迫っている由です。拉致被害者帰還後20年経過したことを思うと10年などもうすぐのことです。(以下要約)
 1.核融合は今や手の届く技術になった.設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っていて、後は実証を積み重ねてゆくだけである。
 2.大型の核融合実験炉ITERの完成は2020年代後半で35年には火力発電所と同等の出力に達する予定。 建設コスト2・5兆円前後。事前に2兆円ほどかけて発電を試す「原型炉」を造る必要があるが実用段階になれば発竃コストは、既存の原子力発竃と比べても全く遜色がない10円kwと推計される。 
 3.実用化すれば安価でC02を出さず、無尽蔵で国産の発電技術が手に入り、原理的に安全だ。原子炉で用いる核分裂・反応は、起こすのは簡単だが、止めるのに失敗すると炉心溶融による事故が起き得る。 核融合は起こすのは難しいが、何かあるとすぐ反応が止まってしまう。
 4.宇宙開発における民間企業「スペースX」の成功は、アポロ計画やスペースシャトル計画で開発した技術で実現した。核融合開発では、ITERやそれに次ぐ原型炉が、宇宙開発でのアポロ計画にあたる。 これは予算規換が大きく時間もかかることから国家が投資する他ない。
 5.日本政府は20兆円を国債で調達し、向こう10年程度で脱炭素技術に投資する方針を検討中だが、相当なコスト高のものが多い。それよりも核融合へ投資すべき。
原発抜きの再生可能ネルギーなどで脱炭素を進める場合2050年の試算発電コストは25円(日本エネルギー経鋒研究所)。発電コストが10円の核融合炉は魅力的だ。
柏崎刈羽7号機と同じ出力であれば年間合計で1800億円もの差。15年間で優に2兆円を超える
 原型炉2兆円の開発費用もすぐに元が取れる核融合が実現すれば、脱炭素問題もエネルギー問題もすべて解決するこれは何としても日本の手で成し遂げ、新たな基幹産業としたい。
 6.日本は、充電産業、プラント産業、情報産業など必要な技術を幅広く有しており、単独で核融合を開発できる稀有な国だ。
 7.世界ではいま中国が先行していて、2030年代には原型炉で発電実証をする計画だ。
「ITERなどの経験を活かして、原型炉に巨額の投資をし、実用化を目指す」という王道を着々と歩んでいる、日本や欧米が2兆円という金額にたじろいで、安上がりに済すアイデアばかり追い求めているうちに、逆転されつつある。このままでは、核融合が中国の進める経済覇権構想「一帯一路」の切り札になってしまう。日本は巻き返すだけの技術力はあるが、一刻の猶予もない。
いまが決断の時だ。(要約終わり)

 私は通巻7496号で「結局のところ米国も中国同様に国家主導総力型であることは同じだなと感じ、今の岸田内閣ではとても太刀打ちできぬと思う」と書きましたが、本件は単にエネルギーの問題に留まらず世界中の経済構造を、金本位制からドル本位制と死活的価値本位制を経て、核融合エネルギー本位世界の到来へと、地殻変動的に転換させ、さらにMMTの根本的弱点を補う事を予感させてくれます。
正論の「核融合 乾坤一擲で日本が勝つ」は正にふさわしい表題だと思います。(SSA生)


(宮崎正弘のコメント)はなしは突拍子もない事柄に飛びますが、杉山氏の所属するキヤノンはキャノンとは書かない。もともと同社の前身はグァンノン(観音)の由です。
 
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(読者の声3)豊臣秀吉の朝鮮出兵、気まぐれだとか評判はよくない。だが秀吉は、朝鮮出兵時韓国釜山に日本杉の植林を行ったことから、長期的な戦略を持っていたことがわかる。豊臣秀吉と韓国の杉林の関係は? 戦略と兵站、戦国時代最強の軍事物資の調達術。
https://www.youtube.com/watch?v=hceQFZlA3QI
  ( TA生、川崎市 )

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(読者の声4)第12回アジアの民主化を促進する東京集会のお知らせアジア自由民主連帯協議会は、発足以来、アジア各民族の現状を訴え、アジアの民主化の促進を求める集会を開催してまいりました。しかし、現状は中国政府による国内の各民族へのジェノサイド政策と、国外への覇権主義は強化され、アジアのみならず世界的にも民主主義が危機にさらされています。第12回を迎えるアジアの民主化を促進する東京集会では、第一部にて、ドイツ在住で、古くから南モンゴル(内モンゴル自治区)の民主化と民族自決を、中国民主化運動とも連携して訴えてきたジョショープト・テムチルト氏(クリルタイ会長)をお迎えし、南モンゴルにおけるジェノサイドの歴史と現状を訴えます。
また、モンゴル共和国において、南モンゴルの運動を同胞として支援してきたムンケバヤル氏が、不当に逮捕されている実情についても、テムチルト氏及びクリルタイ幹事長のオルホノド・ダイチン氏による、裁判状況と救援活動についての報告が行われる予定です。第二部では、ウイグル、チベット、カンボジア、ミャンマー・ベトナム、北朝鮮など、各アジアの民族から、現状と民主化への展望が報告される予定です。今回のアジアの民主化を促進する東京集会は、下記の通り参議院議員会館にて開催されます。会議室の都合上、参加希望の方は、10月23日までに、必ずメールにて申し込みください。定員に達した場合は締め切らせていただきます。
      記
日 時 10月25日(火) 午後1時半開場2時開会
場 所 参議院議員会館102号室 (午後1時より入館証を配布します)
      東京都千代田区永田町2丁目1
https://goo.gl/maps/A9ikkS2v7vxfsPM17
参加費 無料
主催  アジア自由民主連帯協議会
申し込み info@freeasia2011.org
 参加希望の方は、必ず10月23日までに、メールにて参加申し込みをお願いします。また、会議室の都合上、定員に達した場合は締め切らせていただくことをご了承ください。(アジア自由民主連帯協議会)

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(読者の声5)7月8日に安倍総理が暗殺され、10日に以下の様な投稿を致しましたが、事態は更に悪化している。国会議員としては、ただ一人、青山繁晴氏だけが、事件を追及しているが、近日「警察庁の幹部」から、やんわりと「青山君、こんな事をしていると、自分の為にならないよ。」と親切な忠告を受けた。この様な発言は、無論、法的にも「脅迫」と見なされるが、政府内部の強い機関から出ている事は、日本の荒廃が真髄に至っている査証。 
https://www.youtube.com/watch?v=LV97q8SDZUk&t=2212s
在米であるので、当然複数の武器を所有しておりますので山上徹也容疑者よりは、知識、経験は多い。以下引用。
「殺人容疑者の使用した武器は、素人目でもこれは兵器武器としては使えず、単に花火のような爆音と煙硝を吹き出した道具と思われる。その理由は1。銃口の直径が
1
2センチと極めて大きく、これでは散弾銃のような複数の鉛の粒を放射するための大きさである、2。銃身(弾が通過するパイプ)が極めて短く、おそらく20センチ
以下、これでは、球がどこへ飛んでいくか制御不可、3。通常、銃身の内部にはゆるい螺旋状の溝が切ってあり、弾丸を高速で回転させ方向性を確保するが、この工作は素人ではできない、4。単発(散弾ではなく)であるとすれば、とてつもなく大きな弾丸となり、(例えば50口径)この弾の殺傷力は巨大であり、頭に当たれば首から上が散乱する。以上の理由で、このDIY銃では、ごく至近距離、2,3メートル以内でないと、当たらない。散弾であれば、数百の細かい粒が発射されるので、被害者の衣服、体には無数の粒を体内に残すが、そのような医師の報告はない。結論。故安倍氏が受けたとされる首の傷は、この自家製の銃からのものでは無いと思われる。もし、警察、自衛隊が事件を「真摯に受け止め」るのならば、この銃を使って実験をしてみれば、歴然であろう。山上容疑者のいた位置、総理の位置が正確に測定できるので、(約5メートル)何度繰り返しても、弾は当たらないだろう。既に、「陰謀論」が始まった。不思議なことに、1963年11月22日第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された事件に類似している。犯人・容疑者の身元、経歴、動機などが即時明らかになった事も。以後、多くの謎が生まれ、複数の真相解明の努力がされたが未だに闇の中(在米のKM生)


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重 要 情 報
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◎岸田総理、時と場合では即断即決が
          必要でしょう:前田正晶

山際大志郎大臣が辞職したが、岸田文雄総理の政治姿勢については、以前に失礼をも顧みずに「決断力が必要では」と指摘してあった。これは、裏を返せば「決断力が無い」と言ったのと同じである。これ即ち、私が「検討使」と日頃から揶揄されていた岸田文雄総理を真っ向から批判したのだった。

私が見るところでは岸田文雄という政治家の思考体系は典型的な日本式回路であり、如何なる重要事案でも二者択一で「バラリズン」と「イエスかノーか」を即決即断されるのではなく、それこそ慎重に四方八方に思考を巡らしてから決定される型なのである。アメリカ式というか西欧式の二進法で進んでいくのではないという事。

この度の山際大志郎大臣が巻き起こした案件にしても、多くの政治評論家やジャーナリストたちが早くから指摘していたように、もっと早い時点で辞任勧告なり、自発的退任に持って行けたはずだろうと思われた問題だった。山際氏その人が何故優柔不断なのか往生際が悪かったのか知る由もないが、あのような不鮮明な答弁を繰り返しているのを聞いた時点で、総理は決断が出来ていたはずだと思ってしまう。

事があそこまでの騒ぎになり、内閣支持率が下がる一方なのに、重要案件が目白押しとなってから、新聞に「実質的な更迭」と書かれてからの辞表提出では“Better
late than
never.”だったというだけのことになってしまった。それでは、何事につけても内閣を悪し様に罵る安住某に絶好の内閣攻撃と非難材料を与えただけになってしまうかも知れないのが残念だ。

岸田総理のように「常に慎重に検討されてから重要な案件を処理される」のも個性だろうから、殊更に非難すべき事柄でもないとは思う。だが、今回の山際大臣の件などがその典型的な事例だが「本降りになって出ていく雨宿り」の誹りは免れまい。岸田文雄総理にも時には「即断即決」で事に当たっていく、慎重ではない決断力が必要なのではないのか。

何事につけても進歩と変化の速度が非常に速くなった現代にあっては、一時の逡巡が取り返しのつかない事態を招く恐れもあると思う。総理自身の決断力もさることながら、側近(周囲?)には官房長官、副長官、秘書官等が補佐役や相談役として仕えているのではないのか。彼らは総理に進言できないのだろうか。何も西欧式思考体系を真似ろとは言わないが、これから先は「遅きに失した」という事態は避けて欲しいものだと願っている。


◎北村維康

コロナ禍の為延期されてゐた、天皇陛下のご即位をお祝ひする提灯パレードが、市長選挙の投票日の前夜の10月22日、那覇市の国際通りで行はれ、急な決定にも拘はらず、700人が参加した。天候にも恵まれ、自衛隊音楽隊の国歌吹奏、子供たちの空手演武などが雰囲気を盛り上げ、大勢の参加者が提灯と日の丸の小旗を手に、那覇市の目抜き通りである国際通りを練り歩いたのは、洵に壮観であった。


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身 辺 雑 記
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27日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

2022年10月27日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6302号
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2022(令和4年)年 10月27日(木)


     
        経済対策の財源捻出も可能だ:高橋洋一

         英国で新自由主義が復権?:室伏謙一

           22年9月の新宿区の人口:前田正晶      

    〈特報〉露ミサイル攻撃「恐れない」:黒川信雄

           中国軍を特訓していた:宮崎正弘 
                 

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 経済対策の財源捻出も可能だ 
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           高橋洋一


【日本の解き方】「外為埋蔵金」の含み益37兆円、為替介入によって「実現益」になる 


政府の外国為替資金特別会計(外為特会)をめぐり、筆者は含み益を捻出すべきだと主張している。ここで改めて説明しよう。

筆者からみれば、外為特会の含み益は「霞が関埋蔵金」の一つであり、かつて小泉純一郎政権で財源として捻出した経験がある。当時は、政府内で調整が行われたが、岸田文雄政権で埋蔵金を指摘するようなスタッフはいないと思われるので、国会で議論されるのだろう。いずれにしてもできないという理由は分からない。

国民民主党の玉木雄一郎代表が6日の衆院代表質問で、外為特会の含み益が37兆円あることを指摘し、円安メリットを生かすのなら、その含み益を経済対策の財源に充ててはどうかと提案した。

これに対し岸田首相は「財源確保のために外貨を円貨に替えるのは実質的にドル売り・円買いの為替介入そのもの」などと述べ、否定的だった。

18日の衆院予算委員会では、鈴木俊一財務相も、外貨資産の評価益を経済対策の財源とする提案について「その時々で変動する外国為替評価損益を裏付けとして財源を捻出することは適当でない」と語った。

一方で鈴木財務相は、円安を食い止めるための為替介入も辞さないと繰り返して主張している。

財源とするのは否定するが、介入は行うという。この2つの発言は矛盾している。

というのは、含み益を実現益とするためには、外為特会で保有しているドル債を売却するわけだが、その行為自体が為替介入そのものだ。実現益は出したくないが為替介入するという発言を同じ人が言うとは理解できないし、マスコミや国会はこのような矛盾点を指摘しなければいけない。

為替介入は1回あたり大きくとも数兆円程度の規模だ。1日の為替取引は大きい。国際決済銀行の2019年のデータでは、1日の平均取引量は6・6兆ドル(1ドル=140円とすれば約1000兆円)である。ドル・円の取引はシェア13%なので130兆円程度だ。これでは、当局が介入しても、量的にはスズメの涙であり、1、2日は介入効果はあるように見えてもすぐになくなる。

であれば、どんどん為替介入すればいい。そのたびに為替評価益は実現益に変わる。その実現益を経済対策の財源にすればいい。鈴木財務相が述べた「評価益は予算財源にできない」というのはその通りだが、予算化する前に実現益にしたらいいだけだ。

為替介入する際、実際のドル債の売却は財務省が日銀に指示して、日銀が売却事務を金融機関相手に行う。このため、相手の金融機関から為替介入があったことが分かるので、マスコミで報じられる。もちろん、少ないドル債売買で市場に影響させるために、この手法をとる。

含み益を実現益にするためには、ドル債の売却は金融機関相手でなく政府内の会計間取引でもいい。その場合、為替介入は事後的に分かるが、その時には分からない。国際的な為替操作を気にするのであれば、この手法でもいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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   松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月25日号採録
            
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 英国で新自由主義が復権?
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          室伏謙一
 

 Party-gateスキャンダルを(表向きの?)理由として辞任したボリス・ジョンソン元首相の後任として選出されたリズ・トラス首相が、2月と経たずに辞任を表明したことを受けて、今週次期保守党党首選が急遽行われました。(英国では、多数党の党首が国王からの任命を受けて首相に就任することとされています。したがって保守党党首選=英国の首相選出手続なのです。ちなみにトラス首相はエリザベス2世女王が任命した最後の首相であり、今週選出される新首相はチャールズ3世国王が任命する最初の首相です。)

 今回の党首選、ジョンソン元首相の出馬が取り沙汰されていましたが、直前で断念、ジョンソン政権で財務大臣を務めていたリシ・スナック(Rishi
Sunak)氏が最有力候補とされて、最終的に立候補の締切までに届出をしたのがスナック氏のみだったため、無投票で同氏が保守党党首、すなわち英国の首相に就任することとなりました。スナック氏は前回の党首選にも出馬し、決選投票でトラス首相とその座を争い、敗れた人物です。

 スナック氏はインド系移民、しかも英国への移民という点で言えば移民2世であり、史上初のインド系、しかも日の浅い移民出身初の首相ということになるでしょう。(なお、アングロ・サクソン系ではない移民出身の首相としては同氏が初めてではなく、19世紀後半に二度首相になったディズレイリがいます。)

 おそらく日本では大手メディアや左翼リベラル系のネットメディアを中心に、その点ばかりが注目・強調されて、英国も変わった、日本も変わるべきだと言った頓珍漢な方向に議論が進められるのではないでしょうか。

 この点はこの点として議論する必要があると思いますが、スナック氏の最大の懸念材料は彼が根っからの新自由主義者であり、記者会見(日本時間の24日)において明確に、小さな政府を目指すこと、そして移民受入を拡大すること(入国管理の緩和)を明言していたことです。後者については、「高度人材」である移民の受入拡大は英国におけるイノヴェーションにもつながるとまで語っていました。どこかで聞いたことがあるような話ですね。これが大きな間違い、誤った認識であることは『西洋の自死』あたりを読んでいただければわかると思います。

 スナック氏はインド系であると説明しましが、彼の祖父の時代はインドは英国の植民地であり、その時代にインドから同じく英領東アフリカに移住し、東アフリカ諸国の独立を前に英国に移住してきたようで、スナック氏の父親が医者であったことも考えると、根っからのAnywhere的な性格の持ち主であると言えるでしょう。(この辺りの関係性を詳しく知りたい方は、
“The Road to
Somewhere”という本をお読みいただければと思います。もしかしたら翻訳本が出ているかもしれません。)

 それが新自由主義的な考え方をより一層強めていると思いますが、問題はそのこと、すなわち新自由主義者であり、今更大失敗した小さな政府推進論者であり、これまた大失敗した移民の受入拡大を進めようとしている政治家が英国の首相になったことで、日本の新自由主義者たちが、小さな政府が大好きで、ということは緊縮財政が大好きな連中が、移民受入を拡大したくて仕方がない連中が、英国に倣え、英国で移民出身のインド系の首相が誕生し、新自由主義政策を推進しようとしているのだから、日本でもやはり新自由主義政策で成長を目指すべきだ、などと頓珍漢というか完全に間違った主張をして大騒ぎをするに至るのではないかということ。

 それはとりもなおさず、緊縮をさらに推進すること、国としての役割、地公体としての役割を事実上放棄して自己責任社会を進めることにつながります。そうなれば、我が国の貧困化は更に進み、格差は拡大し、日本の技術や技術者は買収されて海外に流出し、不動産は買い漁られ、インフラは老朽化どころか朽ちていき、日本の発展途上国化が一気に進むことになりかねません。

 是非皆さん、スナック氏が英国の新首相就任を受けて、インド系であることや若いこと(42歳)等、日本の大手メディアが好んで報道する、喧伝する話に惑わされることなく、彼の主張は間違っていて、彼の政策を進めれば英国は不況のどん底へ突き落とされる、日本は絶対に真似をしてはいけないということを認識いただいた上で、周りに広めていただければと思います。(今後スナック氏の主張や政策の詳細な内容が明らかになっていくと思います。日本でどこまで正確に報道されるか分かりませんが、そちらも要注意です。)

 ちなみに対抗馬とされながら、推薦人を規定数集められず出馬を断念したPenny
Mordaunt女史も小さな政府推進論者なのです・・・

        
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22年9月の新宿区の人口
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前田正晶


22年9月の新宿区の人口は対前月比0.16%増加して346,273人だった

22年9月の新宿区の人口は、8月から576人増加して346,273人だった。日本人は277人の減少で306,759人となった。一方では外国人が853人の増加で39,514人に達していた。この増加で区全体の人口に占める外国人の比率は11.41%と、8月の11.18%を超えて来た。因みに、7月は11.16%で6月の10.76%と5月の9.7%よりも増加していた。要するに、彼らは増えているのだ。

夏休み中だった8月には大盛況の山手線の内側のKorea
townでの活況は、9月にも変わることはなかった。若き女性たちの韓国産化粧品と彼らの趣向に合わせた韓国料理の人気の高さを、イヤと言うほど見せ付けてくれていた。この現象は何も特筆大書するほどのものではないが、偶にJR山手線・新大久保駅に降り立った人たちを驚愕させている。即ち、敢えて言うが、ここでは低次元の日韓の友好関係は着実に実現しているのだ。この現象を岸田総理や林外相は何処まで認識できているのだろうか、イヤイヤご存じあるまい。

一般の方もマスコミに引き摺られたのか、百人町と大久保一帯を「新大久保」と呼んでおられる。だが、何度でも言うが「新大久保」という地名はないのだ。しかも、韓国商店街は大久保にあるのだ。しかも、この界隈では不可解なことに、何故か韓国語を話している通行人に出会うことは極めて希なのである。

上記のように外国人が増えてきたとの統計はあるが、彼らがCOVID-19の最盛期よりも増えたとの実感はない。だが、数多ある日本語学校に出入りする若者は確実に増えてきた。彼らが新規入国者なのか、あるいは何処か他の地域からやって来たのかと不思議に感じている。彼らが低賃金で働けば、それが賃金水準の上昇を阻む結果になっているとのニュース解説もあったが。

未だ未だ東京都内では第7波が本格的に収束するようには見えないし、第8波に備えよという専門家もおられる。それでも、新宿駅西口周辺や高田馬場辺りはウイルス感染流行期前の賑わいを取り戻している感があるが、景気は一向に回復してこない。9月には通院の機会が多かったので、身の安全を図って何度かタクシーを利用したが、運転手さんたちは相変わらず「岸田さんは何をやってくれたか」と嘆いていた。
参考資料:新宿区広報 10月25日

           
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〈特報〉露ミサイル攻撃「恐れない」
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            黒川 信雄

勝利誓うキーウ市民

ロシアが今月10日から、ミサイルやドローン(無人機)を使ったウクライナ全土への大規模攻撃に乗り出した。インフラ施設などが標的とみられ、同国の約4割の電力インフラが損壊するなど打撃は大きい。厳しい冬を前に生活基盤を攻撃し、ウクライナの社会に深刻な混乱を引き起こす露側の狙いが浮かび上がる。市中心部で住宅などが破壊された首都キーウ(キエフ)を訪れると、人々がロシアへの激しい怒りを募らせていた。(キーウ 黒川信雄)

ロシアこそテロリスト
今月10日に露軍の攻撃を受けたキーウ市中心部の大型商業ビルに、23日午後、記者が訪れた。地上部分が激しく損壊し、上層部まで窓ガラスが吹き飛んだ無残な姿をさらしていた。

「この光景を目の前にして、話す言葉がありません。このビルは軍の施設でも何でもない。プールやスポーツジムもある、ごく普通のビルだったのです」

向かいのバス停に立っていたキーウ在住のワレンチナさんはそう語り、「ロシアこそテロリストです」と厳しい表情で話した。

ビルの前の通りを進むと、黒焦げになり、全壊した住居もあった。近くの道路にも着弾し、走行していた車が炎に包まれ死者が出たという。

2月下旬にウクライナへ侵攻した露軍だが、物資補給の失敗などにより進軍は停滞。今月10日からミサイルなどを駆使した遠隔攻撃を本格化した。キーウも断続的に攻撃され、被害を受けたショッピングモールでは死者が出た事例もあったという。


国民は恐れていない
ただ、攻撃は市民の士気をくじくのではなく、ロシアへの一段と強い怒りを呼び起こした。

「僕らは絶対にロシアに勝つ。そのために、これだけのものを失ってきたのだから」

10日に攻撃を受けた市中心部に近い家電量販店で働くパブロさんは、露軍の攻撃再開に対する思いをそう語った。

パブロさんは当時、地下鉄で職場に向かっていたが、攻撃で足止めされ「6時間、地下から出られなかった」という。パブロさんは、露軍に徹底的に破壊され、占領された東部マリウポリからキーウに避難してきた。そのキーウが攻撃を受けたことに、強い怒りをあらわにし、ロシアの侵略には決して屈しないとの決意を口にした。

元在日ウクライナ大使館員で、現在はキーウ市内の大学に勤務するユーリー・クシナリョフ氏は、「2月24日の露軍による全面攻撃開始時と違い、国民の多くは、今回の攻撃に恐れを抱いていない。交流サイト(SNS)を見ればわかる」と話す。

同氏によるとSNSへの投稿は、「人々が、避難の方法や、ケガをした際に適切な処置を受けられることを、しっかりと認識している」ことが分かる内容が多い。恐怖心より、冷静に事態に対処しようとの国民の意識が見て取れるのだ。


キーウ在住で、現地の通信社で編集者として働く平野高志氏も「ウクライナ軍が南東部で攻勢をかけるなか、多くの人々は『いよいよ、戦争に勝てる』との思いを強めているこの程度の攻撃では、決してひるまないだろう」と指摘する。


冬場に向け不安もただ、懸念されるのは、露軍による電力インフラへの集中攻撃と、本格化しつつある冬に向けた人々の生活への影響だ。

ウクライナではこれまでに、電力インフラの約4割が破壊され、数千の集落で電力供給が止まったと伝えられている。キーウ市内では厳格な節電が呼びかけられ、一部地域では計画停電も始まった。

クリチコ市長は、電力を多く消費するエアコンなどを利用しないよう市民に要請するとともに、温水による建物などへの集中暖房システムを20日から稼働させると表明した。そのための作業は順次、進められているもようだ。

ただ、別の都市では温水施設も攻撃を受けており、どこまで安定供給できるかは不安が残る。一段と厳しい電力需給の逼迫(ひっぱく)も想定される。


ウクライナ経済に詳しい北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの服部倫卓(みちたか)教授は「冬の暖房が使えなくなれば、人々は再び他地域などに避難せざるを得ない。電力施設を修理するにも、戦時中で、海外からの機材搬入や労働力の確保は決して容易ではないだろう」と厳しい見方を示している。


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 中国軍を特訓していた
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月20日(木曜日)
         通巻第7497号  
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(休刊のお知らせ)小誌は明日10月21日〜23日休刊となります!
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英国空軍パイロット(退役)30人が中国軍を特訓していた
 豪パイロット(退役)も中国経営の軍学校で教えていた
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 西側にとって衝撃的なニュースである。英米豪が「オーカス」を組織して軍事的に中国を脅威と捉え、対抗政策に転じているときに、英国空軍パイロット(退役)30人が中国に招かれ、中国軍を特訓していたという。世界のメディアが一斉に報じた。

豪空軍パイロット(退役)も南アの中国経営の軍学校で教えていた。豪国防相のリチャード・マーレスは「すぐに調査を開始する」と記者会見した。豪紙『ジ・オーストラリアン』が伝えた。

 もとより時期が明示されていないので、英中、豪中関係が蜜月時代のときにはあり得たはなしではある。
なにしろ豪は鉄鉱石から石炭まで、中国が最大の顧客だったし、ラッド豪首相(当時)は世界的に有名な親中派だった。英国は中国がAIIB(アジアインフレ投資銀行)を打ち上げたときに米国の牽制を袖に、まっさきに加盟を申請した。

現在のウクライナ兵の特訓にしても、米軍はポーランドのNATO基地などでウクライナ兵猛訓練の最中、英国はウクライナ兵200名を英国基地へ呼んで特殊訓練をしている最中である。さきの大戦でもアメリカは宣戦布告前に「義勇兵」を装って湖南省のフライングタイガー基地で中国兵の特訓にくわえ、自らがパイロットとなって対日戦に参戦していた。
  □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□      
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(休刊予告)小誌、10月21日〜23日休刊となります!   
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著最新刊の『徳川家康 480年の孤独』を拝読しました。読書時間は存分にあり、充実した論者に接したときの常として、況んや首題が家康公なのですから読んだ者の精神的財宝がひときわ増大したかのごとく豊かな気分になることが出来ました。洵に有り難う御座いました。不一。(小堀桂一郎)

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(読者の声2)17日の産経新聞「正論」(キヤノン・グローバル戦略研究所研究主幹 杉山 大志)によると、あとわずか10年余りで核融合発電が始まる段階が迫っている由です。拉致被害者帰還後20年経過したことを思うと10年などもうすぐのことです。(以下要約)
 1.核融合は今や手の届く技術になった.設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っていて、後は実証を積み重ねてゆくだけである。
 2.大型の核融合実験炉ITERの完成は2020年代後半で35年には火力発電所と同等の出力に達する予定。 建設コスト2・5兆円前後。事前に2兆円ほどかけて発電を試す「原型炉」を造る必要があるが実用段階になれば発竃コストは、既存の原子力発竃と比べても全く遜色がない10円kwと推計される。 
 3.実用化すれば安価でC02を出さず、無尽蔵で国産の発電技術が手に入り、原理的に安全だ。原子炉で用いる核分裂・反応は、起こすのは簡単だが、止めるのに失敗すると炉心溶融による事故が起き得る。 核融合は起こすのは難しいが、何かあるとすぐ反応が止まってしまう。
 4.宇宙開発における民間企業「スペースX」の成功は、アポロ計画やスペースシャトル計画で開発した技術で実現した。核融合開発では、ITERやそれに次ぐ原型炉が、宇宙開発でのアポロ計画にあたる。 これは予算規換が大きく時間もかかることから国家が投資する他ない。
 5.日本政府は20兆円を国債で調達し、向こう10年程度で脱炭素技術に投資する方針を検討中だが、相当なコスト高のものが多い。それよりも核融合へ投資すべき。
原発抜きの再生可能ネルギーなどで脱炭素を進める場合2050年の試算発電コストは25円(日本エネルギー経鋒研究所)。発電コストが10円の核融合炉は魅力的だ。
柏崎刈羽7号機と同じ出力であれば年間合計で1800億円もの差。15年間で優に2兆円を超える
 原型炉2兆円の開発費用もすぐに元が取れる核融合が実現すれば、脱炭素問題もエネルギー問題もすべて解決するこれは何としても日本の手で成し遂げ、新たな基幹産業としたい。
 6.日本は、充電産業、プラント産業、情報産業など必要な技術を幅広く有しており、単独で核融合を開発できる稀有な国だ。
 7.世界ではいま中国が先行していて、2030年代には原型炉で発電実証をする計画だ。
「ITERなどの経験を活かして、原型炉に巨額の投資をし、実用化を目指す」という王道を着々と歩んでいる、日本や欧米が2兆円という金額にたじろいで、安上がりに済すアイデアばかり追い求めているうちに、逆転されつつある。このままでは、核融合が中国の進める経済覇権構想「一帯一路」の切り札になってしまう。日本は巻き返すだけの技術力はあるが、一刻の猶予もない。
いまが決断の時だ。(要約終わり)

 私は通巻7496号で「結局のところ米国も中国同様に国家主導総力型であることは同じだなと感じ、今の岸田内閣ではとても太刀打ちできぬと思う」と書きましたが、本件は単にエネルギーの問題に留まらず世界中の経済構造を、金本位制からドル本位制と死活的価値本位制を経て、核融合エネルギー本位世界の到来へと、地殻変動的に転換させ、さらにMMTの根本的弱点を補う事を予感させてくれます。
正論の「核融合 乾坤一擲で日本が勝つ」は正にふさわしい表題だと思います。(SSA生)


(宮崎正弘のコメント)はなしは突拍子もない事柄に飛びますが、杉山氏の所属するキヤノンはキャノンとは書かない。もともと同社の前身はグァンノン(観音)の由です。
 
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(読者の声3)豊臣秀吉の朝鮮出兵、気まぐれだとか評判はよくない。だが秀吉は、朝鮮出兵時韓国釜山に日本杉の植林を行ったことから、長期的な戦略を持っていたことがわかる。豊臣秀吉と韓国の杉林の関係は? 戦略と兵站、戦国時代最強の軍事物資の調達術。
https://www.youtube.com/watch?v=hceQFZlA3QI
  ( TA生、川崎市 )

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(読者の声4)第12回アジアの民主化を促進する東京集会のお知らせアジア自由民主連帯協議会は、発足以来、アジア各民族の現状を訴え、アジアの民主化の促進を求める集会を開催してまいりました。しかし、現状は中国政府による国内の各民族へのジェノサイド政策と、国外への覇権主義は強化され、アジアのみならず世界的にも民主主義が危機にさらされています。第12回を迎えるアジアの民主化を促進する東京集会では、第一部にて、ドイツ在住で、古くから南モンゴル(内モンゴル自治区)の民主化と民族自決を、中国民主化運動とも連携して訴えてきたジョショープト・テムチルト氏(クリルタイ会長)をお迎えし、南モンゴルにおけるジェノサイドの歴史と現状を訴えます。
また、モンゴル共和国において、南モンゴルの運動を同胞として支援してきたムンケバヤル氏が、不当に逮捕されている実情についても、テムチルト氏及びクリルタイ幹事長のオルホノド・ダイチン氏による、裁判状況と救援活動についての報告が行われる予定です。第二部では、ウイグル、チベット、カンボジア、ミャンマー・ベトナム、北朝鮮など、各アジアの民族から、現状と民主化への展望が報告される予定です。今回のアジアの民主化を促進する東京集会は、下記の通り参議院議員会館にて開催されます。会議室の都合上、参加希望の方は、10月23日までに、必ずメールにて申し込みください。定員に達した場合は締め切らせていただきます。
      記
日 時 10月25日(火) 午後1時半開場2時開会
場 所 参議院議員会館102号室 (午後1時より入館証を配布します)
      東京都千代田区永田町2丁目1
https://goo.gl/maps/A9ikkS2v7vxfsPM17
参加費 無料
主催  アジア自由民主連帯協議会
申し込み info@freeasia2011.org
 参加希望の方は、必ず10月23日までに、メールにて参加申し込みをお願いします。また、会議室の都合上、定員に達した場合は締め切らせていただくことをご了承ください。(アジア自由民主連帯協議会)

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(読者の声5)7月8日に安倍総理が暗殺され、10日に以下の様な投稿を致しましたが、事態は更に悪化している。国会議員としては、ただ一人、青山繁晴氏だけが、事件を追及しているが、近日「警察庁の幹部」から、やんわりと「青山君、こんな事をしていると、自分の為にならないよ。」と親切な忠告を受けた。この様な発言は、無論、法的にも「脅迫」と見なされるが、政府内部の強い機関から出ている事は、日本の荒廃が真髄に至っている査証。 
https://www.youtube.com/watch?v=LV97q8SDZUk&t=2212s
在米であるので、当然複数の武器を所有しておりますので山上徹也容疑者よりは、知識、経験は多い。以下引用。
「殺人容疑者の使用した武器は、素人目でもこれは兵器武器としては使えず、単に花火のような爆音と煙硝を吹き出した道具と思われる。その理由は1。銃口の直径が
1
2センチと極めて大きく、これでは散弾銃のような複数の鉛の粒を放射するための大きさである、2。銃身(弾が通過するパイプ)が極めて短く、おそらく20センチ
以下、これでは、球がどこへ飛んでいくか制御不可、3。通常、銃身の内部にはゆるい螺旋状の溝が切ってあり、弾丸を高速で回転させ方向性を確保するが、この工作は素人ではできない、4。単発(散弾ではなく)であるとすれば、とてつもなく大きな弾丸となり、(例えば50口径)この弾の殺傷力は巨大であり、頭に当たれば首から上が散乱する。以上の理由で、このDIY銃では、ごく至近距離、2,3メートル以内でないと、当たらない。散弾であれば、数百の細かい粒が発射されるので、被害者の衣服、体には無数の粒を体内に残すが、そのような医師の報告はない。結論。故安倍氏が受けたとされる首の傷は、この自家製の銃からのものでは無いと思われる。もし、警察、自衛隊が事件を「真摯に受け止め」るのならば、この銃を使って実験をしてみれば、歴然であろう。山上容疑者のいた位置、総理の位置が正確に測定できるので、(約5メートル)何度繰り返しても、弾は当たらないだろう。既に、「陰謀論」が始まった。不思議なことに、1963年11月22日第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された事件に類似している。犯人・容疑者の身元、経歴、動機などが即時明らかになった事も。以後、多くの謎が生まれ、複数の真相解明の努力がされたが未だに闇の中(在米のKM生)


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重 要 情 報
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◎岸田総理、時と場合では即断即決が
          必要でしょう:前田正晶

山際大志郎大臣が辞職したが、岸田文雄総理の政治姿勢については、以前に失礼をも顧みずに「決断力が必要では」と指摘してあった。これは、裏を返せば「決断力が無い」と言ったのと同じである。これ即ち、私が「検討使」と日頃から揶揄されていた岸田文雄総理を真っ向から批判したのだった。

私が見るところでは岸田文雄という政治家の思考体系は典型的な日本式回路であり、如何なる重要事案でも二者択一で「バラリズン」と「イエスかノーか」を即決即断されるのではなく、それこそ慎重に四方八方に思考を巡らしてから決定される型なのである。アメリカ式というか西欧式の二進法で進んでいくのではないという事。

この度の山際大志郎大臣が巻き起こした案件にしても、多くの政治評論家やジャーナリストたちが早くから指摘していたように、もっと早い時点で辞任勧告なり、自発的退任に持って行けたはずだろうと思われた問題だった。山際氏その人が何故優柔不断なのか往生際が悪かったのか知る由もないが、あのような不鮮明な答弁を繰り返しているのを聞いた時点で、総理は決断が出来ていたはずだと思ってしまう。

事があそこまでの騒ぎになり、内閣支持率が下がる一方なのに、重要案件が目白押しとなってから、新聞に「実質的な更迭」と書かれてからの辞表提出では“Better
late than
never.”だったというだけのことになってしまった。それでは、何事につけても内閣を悪し様に罵る安住某に絶好の内閣攻撃と非難材料を与えただけになってしまうかも知れないのが残念だ。

岸田総理のように「常に慎重に検討されてから重要な案件を処理される」のも個性だろうから、殊更に非難すべき事柄でもないとは思う。だが、今回の山際大臣の件などがその典型的な事例だが「本降りになって出ていく雨宿り」の誹りは免れまい。岸田文雄総理にも時には「即断即決」で事に当たっていく、慎重ではない決断力が必要なのではないのか。

何事につけても進歩と変化の速度が非常に速くなった現代にあっては、一時の逡巡が取り返しのつかない事態を招く恐れもあると思う。総理自身の決断力もさることながら、側近(周囲?)には官房長官、副長官、秘書官等が補佐役や相談役として仕えているのではないのか。彼らは総理に進言できないのだろうか。何も西欧式思考体系を真似ろとは言わないが、これから先は「遅きに失した」という事態は避けて欲しいものだと願っている。


◎北村維康

コロナ禍の為延期されてゐた、天皇陛下のご即位をお祝ひする提灯パレードが、市長選挙の投票日の前夜の10月22日、那覇市の国際通りで行はれ、急な決定にも拘はらず、700人が参加した。天候にも恵まれ、自衛隊音楽隊の国歌吹奏、子供たちの空手演武などが雰囲気を盛り上げ、大勢の参加者が提灯と日の丸の小旗を手に、那覇市の目抜き通りである国際通りを練り歩いたのは、洵に壮観であった。


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身 辺 雑 記
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27日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

2022年10月26日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6301号
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2022(令和4年)年 10月26日(水)



     財務省よ、国防力強化を妨げるな:櫻井よしこ

        【変見自在】プーチンの思考:高山正之

       尊敬する人の話を直接聞く方法:北野幸伯

       トラス英首相、岸田より不人気:宮崎正弘

           冷静なる評論家として:前田正晶          

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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 財務省よ、国防力強化を妨げるな
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          櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1020回

9月は25、28、29の計3日、10月に入ってからも1、4、6、9の計4日、北朝鮮の金正恩総書記が弾道ミサイルを発射した。10月16日に開幕する中国共産党大会が終わる頃には核実験も行いかねない。金氏は9月8日、「核戦力政策に関する法令」を採択し、自身・自国に核や通常兵器による攻撃がなされる場合、或いはその危険が差し迫ったと判断される場合、即、核で反撃するとした。

ロシアによるウクライナ侵略戦争では、現地時間の10月8日早朝、戦略上重要なクリミア大橋が爆破された。ロシア軍は急遽補修し、10日にはウクライナ全土に猛攻撃をかけた。プーチン氏も核の先制使用を2020年6月に「ロシアの国家の存在が脅かされた場合、核使用の権利を有する」という核ドクトリンで内外に明らかにしている。北朝鮮もロシアも追い込まれるにつれて核攻撃に踏み切る可能性は高くなると見るべきだ。

10月7日の「言論テレビ」で元防衛相の小野寺五典氏、防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏と共に、核について語り合った。高橋氏が小野寺氏に質した。

「ロシアが核兵器を使った後で、アメリカが独断で決めなかったら、つまり、同盟国と相談して決めると言われた時、日本はどう答えるか。アメリカに核で撃ち返して欲しいと日本は思うか、それを明確に自分の言葉として、アメリカ側に返せるか、政治家は覚悟を決める訓練を重ねてほしいと思います」

実は小野寺氏は、本年5月13日の言論テレビで同じ議論をしていた。

「連休でワシントンを訪れ、多くの人々と意見交換しました。そこで、ウクライナ戦争でロシアが核を使った場合、アメリカはどう戦うのかと尋ねると、アメリカが核を使う必要が生じた場合、アメリカ単独では決めない。NATO、日本など同盟国にも相談して決めると言われたのです」

この件を聞いて、安倍晋三元総理が即、言った。――「それは日本も責任を分担してくれという意味です」

小野寺氏が改めて語った。

「核を使ってでも日本を守ってくれ、むしろ使ってくれと言っているのが核の傘なんです。ですから、日本も共同責任を負うことになります」

5年間も待てるのか

中国では来たる共産党大会で習近平国家主席が任期三期目に入る。恐いものなしとなった終身権力者が台湾侵攻をはじめ対外強硬策に踏み切る可能性もある。中露北朝鮮の専制独裁者は核とミサイルを両手に持ち、恫喝外交を継続するだろう。

その脅威の前に立つわが国の現状の厳しさをまず自覚しておきたい。日本人全員が肝に銘ずるべきことの第一は、日本は経済大国でありながら、その中で唯一、軍隊を持っていない国だという点だ。自衛隊は憲法上も自衛隊法上も警察権の枠内に閉じ込められており、通常の軍隊ではない。行動は極端に制限され、軍隊としての動きはとれない。本来なら憲法を改正して自衛隊を縛っている法的な軛(くびき)を解かなければならないが、それが中々出来ないために、いま、眼前の問題、5年かけてGDP比2%にまで国防費をふやすという問題に取り組んでいるのが実情だ。

戦後70年以上、日本国全体が軍事に背を向けてきたツケは深刻で、自衛隊は隊員、武器装備、修理、備蓄、部品供給など、どこを見ても足りない。斯(か)くして自衛隊には継戦能力がないのだ。ミサイルも砲弾も半日で尽きると言われている。この空白は全力全速で埋めなければならず、5年間も待てるのかと思う。

国の基本は健全な経済と十分な国防、つまり強い軍だ。この二つを両立させるには国防費捻出のために増税するのではなく防衛国債を発行すべきだと言ったのが安倍元総理だった。増税すればまたもや経済が落ち込むのは目に見えているからだ。

にもかかわらず、国防力強化の財源を巡っておかしな動きがある。プライマリーバランス(PB)を重視する結果、防衛国債の発行に反対する財務省が暗躍しているのである。

9月26日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が分科会を開き、鈴木俊一財務相が防衛力強化について「赤字国債に依存すれば有事の際に経済を不安定化させる」と語った。防衛国債発行論の牽制であり、PB重視の主張だ。

続いて9月30日には財務省主導の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が開かれた。名目は「総合的に考える」だが、初回会合を受けた記者への説明では防衛力強化のための財源を論ずるのが目的だと強調され、「財源の安定的確保」という表現が複数回使われている。会議には日経、読売などメディア代表も入っている。消費税引き上げは避けられない、といったキャンペーンを張ってもらおうとの財務省の意図が透視される布陣ではないか。

財務省の言いなり

しつこいようだが、現在わが国が直面する国防の危機は国家の存亡に関わるものだ。危機対処のためには考え得る全ての手を打つべきだ。それも一刻も早く、である。そうした一連の力強い対処は元気な経済なしには不可能だ。しかし財務省は国防費増額は増税で賄う、それが嫌ならその分、福祉予算などを削ると主張する。財政赤字がふえれば国債が暴落し、国債が発行できなくなるなどとも警告する。だが、国債の安定性はその国がしっかりしていることによって保たれるものであろう。また、増税で経済の足を引っ張れば経済の安定を損なうのは当然だ。

産経新聞特別記者の田村秀男氏の指摘に沿って日本の実態を見てみよう。円安などでわが国の企業の内部留保は前年比で49兆円ふえ、全体で約500兆円となった。家計の金融資産は1000兆円、企業と個人で1500兆円のお金を持っているのがわが国だ。

日本人にはお金があるのだ。その一部を防衛国債に充ててもらうことも考えてよいのではないか。国防費を5年間でGDP比2%にするにはざっと見て5年間で5兆円ふやす、つまり年に1兆円が必要である。わが国の人口は1億2600万人、1兆円なら1人当たり毎年8000円弱の国債を買ってもらえばよいことになる。

現在国民1人当たりの国防費は、日本人は4万円、米国人は21万円、韓国人が12万円、英国人が10万円だ。企業と国民が力を合わせて自衛隊を強くし、経済も順調に成長させることができれば、やがて増税にも耐え得る強い経済になるだろう。

少なくとも財務省がPBにこだわって増税し、またもや果てしないデフレの泥沼に深くはまるよりよいはずだ。

国の基盤を保ってこそ暮らしも命も守られる。財務官僚の思考には国益がないように思える。あるのは頑なな省益か。財務省の言いなりで国防の方向を見誤れば強く繁栄する国など創れないことを岸田文雄首相は肝に銘ずるべきだ           


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【変見自在】プーチンの思考
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         高山正之
『週刊新潮』

 子供のころ、ヒトは猿から進化したものと教わった。
では上野動物園の猿たちはなぜ進歩をやめたのか。よく分からなかった。そのうち女性が持つミトコンドリアで祖先が辿れるという話が出てきた。

 どんどん遡るとアフリカにいた。たった一人の女性イブに行きついた。彼女が子を産み、子は孫を産む。人類は近親相姦ので増えていったのか。イブはアフリカ育ちだから黒い肌をしていたと人類学者は言う。

 その母からなぜ白人や黄色人が生まれたか。それはもう少し大人になったとき、アルビノという言葉と一緒に説明された。アルビノとは色素欠乏症を言う。イブの子孫の中にある日、真っ白な子供が生まれた。

 メラニンがないから強い日差しは深刻な火傷を起こす。それに目立つから野獣にも襲われる。アルビノは1万人に一人生まれる。アフリカの人口が100万人になれば100人はいた計算になる。彼らは生きるために日差しの弱い欧州を目指して白夜のある北欧に落ち着いたと言われる。

 実際、そうかなと思わせるように北欧の人は髪の毛が色素の少ないシルバーブロンドで、肌は白い。瞳の虹彩の色素も少ないからいわゆるブルーアイズだ。いずれもアルビノの特徴と似通う。アフリカに黒人が分布し、欧州に白人がいることをこの説はうまく説明しているから、そう信じていたら、欧州には別種のネアンデルタール人がいたという話が出てきた。

 白人の間で「ネアンデルタール野郎が」という罵り言葉がある。彼らはより猿に近く、醜く、残虐だったと本にあった。人類にとって幸いなことに彼らは2万年前には絶滅したが、ではなぜアルビノに先駆けて欧州に彼らがいたのか。どこから来たのか。誰も詮索しなかった。

 まあ邪悪な連中だし、滅んでしまっているし、どうでもいいじゃないかと言われていた。そしたらスウェーデンの人類学者スバンテ・ペーポが「人類はネアンデルタール人と交雑し、欧州人のほとんどは彼らのDNAを持っている」と言い出した。ペーポはまたそのDNAを持っていると「武漢発のコロナに滅法弱く、重症化し死亡例も多い」と報告して今回のノーベル賞を受賞した。

 凶暴なネアンデルタール人の遺伝子を白人たちが持っている。そうか、それでヒットラーはホロコーストをやった。第一次大戦では戦死者が1000万人を超しても白人たちは嬉々として戦い続けたのも納得がいった。ところがペーポ説をよく読むと、そもネアンデルタール人が醜く狂暴だとする説は間違いらしい。

 彼らは現人類より大きな脳を持ち、肌は白く、金髪で瞳はブルーだったという。ドイツで発掘されたネアンデルタール人の骨からDNAが採れた。その解析で判明した新事実だ。実際、彼らの生活痕跡を見ると火を使い、壁画も描き、仲間が死ねば葬式もしていた。断じて狂暴凶悪な種族ではなかった。

 だいたい狂暴凶悪だったら南から来たアフリカの弱者集団に負け、犯されて絶滅するはずもない。そうすると「イブの白い子供たちが欧州に行った」と昨日まで信じていた人類の歩みはどうも誤りのように思える。今回のノーベル賞が示唆するのはむしろ人類の方が狂暴粗野で、彼らが北上し白いネアンデルタール人と遭遇したと思える。

 そして狂暴にも襲いかかり殺し尽くした。金髪碧眼の女は犯し、そのとき白人種の形質を獲得したのではないか。なぜなら人類の賢者とされるモーゼは旧約聖書の中で「敵の男はみな殺せ。男を知った女も殺せ。ただ処女は神からの贈り物だからお前らが好きにするがいい」と言っている。略奪殺戮強姦こそ白人キリスト教徒の生き方だと。プーチンを見ているとそうかなと思えてくる。

高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。

『変見自在バイデンは赤い』(定価1650円)絶賛発売中。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 
『週刊新潮』令和4年10月27日号採録
            

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北野が世界一尊敬する人の話を直接聞く方法
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               北野幸伯


ここ数年、客観的に「しんどい年」がつづいています。
2020年と21年は、新型コロナパンデミック。
外に出れない、旅行にいけない、帰省できない。
2022年は、ロシアによるウクライナ侵略。
安倍元総理暗殺。インフレなど。
いつよくなるのでしょうか?

世界情勢については、本当のことをいわざるを得ません。
後数年は、しんどい時がつづくでしょう。現在懸念されているのは、二つのことです。
一つは、ウクライナ戦争で劣勢のプーチンが、戦術核を使
用すること。 ロイター9月30日。

<ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナ東・南部
4州の併合を宣言する演説で、米国が第二次世界大戦末期
に広島と長崎に原爆を落とし、核兵器使用の「前例」を作
ったと指摘した。プーチン大統領は最近、自国の領土を守るために核兵器を使用する用意があると述べ、核兵器使用が懸念されている。プーチン氏は演説で「米国は日本に対し核兵器を2回使用した」とし「米国が核兵器使用の前例を作った」と述べた。>


「アメリカが使ったから、ロシアが使ってもいいよね」というトンデモ論で、使用を正当化しています。実際、プーチンやロシア政府高官(たとえば、メドベージェフ前大統領やラブロフ外相など)は、これまで「核兵器使用」に言及している。

そして、プーチンが、世界を敵にまわすウクライナ侵攻を
決断したことを考えると、「プーチンは絶対核を使わない」とは、誰も断言できない状況なのです。ロシアが戦術核を使えば、アメリカやNATOは、「破滅的結果を与える」と、プーチンを逆に脅しています。

「破滅的な結果」を与えるのは、ウクライナ軍ではなく、
NATO軍がやるのでしょう。そうなると、ウクライナ対ロシアの戦争は、NATO対ロシアの戦争になる。つまり第三次世界大戦勃発です。ロシア、通常兵器では絶対NATOに勝てないので、戦術核を多用するかもしれません。

そうなると、NATOも核を使う可能性が出てくる。すると、「核の撃ち合い」になり、人類が滅亡する可能性もでてきます。こういう話をしても「トンデモ」といわれないほど、現状は緊迫している。大げさではなく「人類史上最大の危機が起こるかどうかの瀬戸際」に私たちはいるのです

もう一つの懸念事項は、台湾問題です。習近平の3期目がスタートしました新体制について、中国に詳しい宮崎正弘先生は、ご自身のメルマガで、こう書かれています。

<新執行部は全員が茶坊主、軍事委員会は『台湾侵攻派』
が勢揃いとなった。習近平三期目の特色は「暴走皇帝に無能側近、戦争推進軍人」という畸形の誕生である。これで台湾侵攻の時期は早まる可能性がでた。>(10月24日号)

同感です。
中台戦争がはじまれば、日本はアメリカと共に参戦する可
能性が高い。そうなると、ウクライナ戦争とはまったく異なる次元の破滅的影響が国民生活にでてきます。

▼それでも日本と世界はよくなっていく短期的にみると、なかなかしんどい時代がつづきそうです。しかし、長期的に見ると、日本も世界も必ずよくなっていくでしょう。これは、過去を振り返ってみればわかります。今から100年前、世界のほとんどは欧米列強の植民地でした。

人種差別は、今より過酷だった。その当時、「黒人と白人のハーフがアメリカ大統領になるよ」とか「イギリス王室に嫁ぐよ」といったら、狂人扱いされたことでしょう。

世界は、時と共に、より自由で、より平等になっています私自身、ときどき昔を振り返り、今と比較してみることが
あります。そして、「世界は、どんどんよくなっている」と確信するのです。

まず、物質面。パソコン、インターネット、スマホ。
これは、私が生まれたころ、「SFにしか存在しないの」
でした。人権面。私が子供頃、学校で体罰は日常茶飯事でした。今、先生が体罰すると、全国ニュースに出てしまいますね。



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トラス英首相、岸田より不人気
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月19日(水曜日)
         通巻第7496号  
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あたかも「シェーン、COMEBACK!」トラス英首相、岸田より不人気。与党内でも55%が辞任要求
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「習近平やめろ!」横断幕が北京に出現し、世界に映像が流れだした。中国全土にこの動きが広がっているという。しかし国民の声を無視して、かの独裁者は三期目にはいる。

 サウスチャイナモーニングポストは、序列五位の王戸寧が躍進し、政治局トップ7名のうち四名が引退し、後釜に習の茶坊主たちが就く。政治局25名も半分がいれかわるだろうと予測した(10月19日、電子版)

 アメリカでは、インフレが迅速に昂じ、90%の家庭で満足な食事をとれないという衝撃ニュースとともに、来月早々の中間選挙で民主党大敗という予測をNYタイムズまでが報じている。

 そこへ「ジョンソン・カムバック」という英国の変わり身の早い世論。
 不人気で辞任においこんだばかりなのに新首相のリズ・トラスがあまりにも無能、はやくとも与党内で55%が彼女の辞任をもとめていることがわかった。
 ひょっとしてトラス支持率は岸田首相より低い?
 
 ならば「誰が?」。ジョンソン前首相の復帰を望む声があり、与党内の調査で55%だという。ちなみに前回善戦したスナク(元保健相)は23%、ベン・ウォレス国防相が10%。
名作映画の最後の場面を連想した。「シェーン、COMBCK」
   ☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆      
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(休刊予告)小誌、10月21日〜23日休刊となります!
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆  書評 しょひょう BOOKREVIEW 
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 ピルスベリーは「50年、中国に欺されていた」と悔やんだが「百年」の間違いである1922年、日本を不当に批判した本書が日米開戦の伏線となった

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ポール・S・ラインシュ著、田中秀雄訳
『日米戦争の起点をつくった外交官』(扶桑書房出版)
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 本書の原版は1922年、ちょうど百年前の本である。
ピルスベリーは「50年、中国に欺されていた」と言ったが、半世紀ではない。「百年」に亘ったアメリカの間違いである日本を不当にけなす本書が日米開戦の伏線の一つとなった。著者のラインシュは植民学の学者だったが、ウィルソン大統領の指名によって初代中華民国駐在公使となった。六年間、当時の中華民国に滞在し、袁世凱など歴史上の人物を交流し、外交の舞台裏で活躍した。中国人のエリート層と交流を深めるうちに、なぜかシナ贔屓となり、日本を嫌うようになった。つきあった中国人たちはアメリカ留学組が多く、知識階級で庶民の感覚とは無縁であり、しかもデモクラシーを志向していた。野党指導者が多く、また孫文や黄興らと交わった知識人たちとラインシュは交流していたである。

▲中国人は日本の行動をつねに「陰謀」と捉えていたとする観

 本書は辛亥革命から十年後の、百年前に書かれた外交官に精密な記録であり、当時の中国の社会の底辺や権力者の動向、底流に流れる民衆の民度なども詳細に、精密な観察によっていきいきと描かれている。それゆえに多くの学者や歴史家が、この本から引用しているが、日本では今日まで翻訳がなかった。反日的とはいえ翻訳することには学術的な、歴史考察の参考としておおいに意義がある。ただし通読して中国人の人生観や宗教観など表面的で浅薄な観察も目立つ。とくに印象的なのは、中国人が日本の行動をつねに「陰謀」と捉えていたとする観察である。米国の外交官の偏見が混じるにせよ、考えさせられるのだ。

 曰く。
 「(日本の軍備拡張は)日本がこの機会に東亜の支配を実際におこなうことを意味すると解釈された。中国人は日本と理解を深めれば、必然的に中国が隣国の政治的
支配に完全に服従することになると考えていた。中国人は、日本のあらゆる友好宣言に不信感を抱いている。私が中国と日本の間の率直な理解が望ましいと主張しようとするたびに、中国は日本を信用できない、日本はその公言によってではなく、過去の行動によって判断されるべきだ。それらすべてが安心させる宣言によって覆い隠された決定方針、政治的進撃をしめしていると言われた。このように、中国人はあらゆる場面で日本の陰謀を恐れていた」(124p)。

 ▲袁世凱は民主主義に関心がなく、弾圧の対象だった

 ラインシュは近代史の知識は豊富であり、英国の植民地政策がいかなるものだったかを知っていても日中関係の本質が、威嚇か土下座か、冊封体制に入って朝貢するか、させたかという歴史を知らず、嘗て日本が中国に朝貢していたか歴史感覚の郷愁を含めて、自分ならこういう陰謀をめぐらすという思考を日本にあてはめ、なんでもかんでも日本雄の陰謀と短絡させるあたり、その中国人の特徴的な思考傾向の考察までは至っていない。学者の限界だろうか。
 本書の原題は「シナにおけるアメリカ人外交官」で、日本の対華二十一箇条、袁世凱の台頭と失脚、ドイツの参戦、孫文と広東政府の対立、五四運動とめまぐるしく激動した状況の中で、著者はすっかり北京寄りとなって日本を批判した。つまり反面教師であり、タウンゼントとは真逆の感覚でシナとつきあったのだ。あまつさえ、この本が米国の対日外交に影響したのである。袁世凱は民主主義に関心がなく、というより民主派は弾圧の対象であって、自らは古代皇帝と同様な存在と過信しており、冬至には天壇に登って天子としての儀式を行い、その場には外国人多数も招待した。
つまり「軍事独裁政権が古い清王朝の後を継いだ。それだけのことである」(中略)「彼(袁世凱)には冒険家の面影もなければ、戦場を連想させるものもない。彼はいま、軍の指揮官というより管理者のようだ。彼が権力を手にしたのは、無限の忍耐力、人間に対する優れた知識、政治的な洞察力、そして何よりも無節操であっても、常に安全なゲームを行ってきたからに他ならない」(25p)

 社会に目を転じたラインシュはこう言う。
 「この広大な国の人口は、政治的な意味で均質なものではない(中略)。社会の単位は何世紀にもわたってそうであったように、国家ではなく家族である」そのうえ「中国人は驚くほど自意識がなくそれゆえに優れた役者である。通りを行き交う何千人もの人々を見ていると、彼らもまた演技をしているのだと感じる」(37p)
 そして指導者といえば張作霖は匪賊出身、張懐芝はクーリーあがり、軍混は行商人だった。王占元は馬丁だった。これらの人々が政治、軍事を掌握し、袁世凱の周りを囲んだのだ。「富と権力という個人的な野望の目標だけを見据えていた」(234p)。

 ▲西原借款は返金されなかった。戦後の日中友好で吸い取られたのが6兆円

 かくして鍛え上げた外交術では、はるかに狡智に長ける中国指導層は、むしろ日本の善意と無知を利用して、かの「西原借款」をだまし取った。武器供与を含めると合計一億七千万円! 今日の貨幣価値にしていったい、幾らになるのか?西原借款は大正6、7年の頃だから、当時の日本政府の歳入が約11億、15億円すなわち西原借款は歳入の一割を超えていたのだ。当時は戦争景気で日本はバブルそのもの、ウハウハ潤っていた時代だったため中国に金を貸せるのは日本とアメリカしかなかった。中国との交渉役は寺内正毅内閣で首相側近だった西原亀三があたり、日本興業銀行・朝鮮銀行・台湾銀行が資金を拠出した。八八艦隊(大正九年度からの八ヵ年計画で艦艇103隻建造。予算総額は5億6484万9280円)が完成した場合、建造費用だけではなく年間維持費が6億円と見積もられていた時代である。
しかし中国は、これを日本が中華民国の貨幣を「円ブロック圏」にひきこむ陰謀だと難癖をつけ、返済に応じなかった。日中友好で吸い取られたのが6兆円。いまも昔も日本人は底抜けにお人好しだ。

   ☆□☆ど□☆☆□く☆□☆□し☆□☆□や 
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌17日7494号では、マスク氏がウクライナでのスターリング使用の提供をやめるとかやめないとか・彼の判断次第でウクライナ・ロシア戦争の帰趨が決まる様で、なんだか彼が世界を仕切っているような顔をしているように見えます。でも「テスラの成長は誰のおかげだったの?」と問う声は起きてこないのかと思いました。A:「ミッション・エコノミー」マリアナ・マツカート著 )には「歴史を振り返ると、国家や政府が基礎研究に公共の資金を投じたおかげで新しい産業が生まれ、経済に莫大な波及効果を生み出した例は枚挙にいとまがない。
グーグルのウエブ検索アルゴリズムは米国の政府機関である国立科学財団の助成金によって開発された。創業当初資金調達に困っていたテスラは、米エネルギー省からの5000億円を超える融資を受けている。イーロン・マスクのテスラ・太陽光発電のソーラーシティ・宇宙開発のスペースXを合わせると約5300億円を超える公的資金が投入されている。だがグーグルにせよテスラにせよ、その成功話の中で、『最初の投資家』としての政府の役割が取り上げられることはない。その莫大なリターンが納税者に分配されるわけでもない」とあります。


B:「経済学に騙されるな」(トマ・ポルシェ著 )では、「個人の成功には社会の環境が大きく影響している。それは国が実施する政策や、制度や、生産資本・人的資本・社会資本に左右されるからだ。i・Phoneの成功は、ジョブズのすぐれた資質だけによるものではない。
インターネット、タッチパネル、GPS、音声認証などの新しいテクノロジーがなかったら実現していなかっただろう。こうした技術革新の生みの親はみなアメリカの公的部門で、インターネット、GPS、音声認証は国防総省の研究プログラムの一環として開発され、タッチパネルは公的融資を受けた大学教授と彼の研究生によって発明された。
IPhoneはスディーブ・ジョブズの才能たけでなく、前もって公的に行われていた長年の研究と投資があって実現した・・・また、ジョブズのように卓越した経営者がいたとしても、創業の地がアメリカ以外の国であったらアップルは成功できなかったはずだ。テクノロジーの分野でアメリカが他のどの国よりも成功しているのは、一連の技術革薪に先立って公的投資がなされ、起業家が先端技術を利用して商品化できるような市場を早い時期から国が作り、整えていたからである。起業家たちは高い税金を嫌悪するが、実際には、彼らの繁栄は税金によって支えられている。彼らの成功に必要な環境は、国家がよく吟味して政策を実行することで作られるのだ。」と。以前(在米のKM生)様は、アメリカという国がテスラを育てたともいえると述べておられました・・「インターネットはもともと米国防省から生まれた。米国のFOXニュースは、1996年に豪州のルパート・マードック氏が始めた保守系の非地上波テレビ。・・・・マ氏が、外国から来た異端者であったという事実もある。移民の国には、異物を許容し機会を与える仕組みが建国以来存在してきた。現在世界を争覇しているIT起業家たちの殆どが、移民、あるいは移民の子供である事も、この仕組みが健全であることを示している。
その1例、イーロン・マスク氏は南アフリカからの移民。17年前、氏がテスラを始めた時、同時にSPACE
Xという宇宙産業も始めた。その実績が認められてNASAは、50年以上依存していたボーイング社などの既得権益集団とさっさと縁を切るという非情な仕打ちもして、氏に全権を任せてしまう・・・」私はアメリカでもマスクの政治的発言に違和感を感じる意見がもっと出てくるのではと思いましたし、結局のところ米国も中国同様に国家主導総力型であることは同じだなと感じ、今の「新しい資本主義」の岸田内閣ではとても太刀打ちできぬと思いました。(SSA生)

   ♪
(読者の声2)「イスラエルのテレビ番組がイエスの磔刑を嘲笑う」という記事。The
crucifiction of
Jesus:キリストの磔の場面を抜粋したもの。お前はナチだと女優(Toffee)が笑いながらゴリラを十字架に打ち付ける。
https://www.bitchute.com/video/OykXno0EUrU/
 「Toffee and the
Gorilla」はイスラエルのテレビ番組で、イスラエル人作家のロイ・アラッドが脚本を担当し、2007年に放送されたものらしい。ネットではほとんど見ることができない。品のなさにかけては韓国といい勝負。アメリカ回では
Toffee
はソファに広げた大きな星条旗の上に座っているが、イスラエルがアメリカを下に見ている現れなのだろう。アメリカ人は知恵と勇気の2つの資質を持ち、それが彼らが日本に2度も原爆を投下した理由だ、と始まる。サダム・フセインとブッシュの話では、ブッシュは「**マニア」から69の話になり、ゴリラはアメリカ人になりたい、イラクの赤ん坊の油と血を飲みたいと叫ぶ。

 つぎのシーンでは「奴隷制はアメリカの発明でした。素敵なアフリカ系の人々を連れてきて。彼らをバスケットボール選手にしました」、そして囚人服を着た男と奴隷の歌を歌う。さらにアメリカについて、旅行者には巨大なディズニーランドに見えるかもしれないがそうではない。
アメリカは世界で2番めに危険な国だ、黒人は嫉妬しているから暴力に訴える、アメリカはスリの楽園だと続く。再びフセインの話に戻り、あなたは反ユダヤ主義者であり、あなたを殺すべきだ。私はあなたがスワスティカのパズルをしているのを見ました、といってToffee
はゴリラの首を締める。https://www.youtube.com/watch?v=ta7GJV-pEKk奴隷を運んだのも奴隷売買をしたのもBLMで黒人を煽っているのもユダヤ人なのだが、反ユダヤ主義とナチを攻撃していれば正義の被害者を演じていられたのもそろそろ賞味切れだろう。(PB生、千葉)


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 冷静なる評論家として
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         前田正晶

日本シリーズ第3戦の前に言っておこうと


先ずはスワローズには問題点があると見ている。それは2試合で8点を取ったのは良かったとしても、そのうちで私が常に言っている「流れの中で」の得点が1回戦の1回裏のオスナのタイムリー2塁打による2点だけで、残るは皆ホームランによるものだったのだったのは、私は3回戦から先の懸念材料だと見ている。即ち、既に指摘したように、チャンスは業界の専門語でいう「状態が良くない」村上宗隆と山田哲人のところに巡ってくるので、打点(RBI)にならないのだ。


しかも、昨年の日本シリーズでは大活躍だったサンタナの状態が悪いだけではなく、再三ライトの外野守備で失策を演じていた。だが、第3戦はDH制の試合なのでサンタナはDHにして、新人の(「ルーキー」なんていう間抜けなカタカナ語は使わない)丸山和郁か40歳の青木宣親を守備に使った方が良いだろう。この問題よりも重大なのが山田哲人だ。高津監督がどのように決断するかだが、守りの要である彼を外す訳には行くまいと思う。


バッファローズも吉田正尚は兎も角として、杉本裕太郎をどう扱うかが難しいところではないのか。こちらも、この二人を抑えてさえいれば、他の伏兵的な打者たちに打たれても大怪我にはならない感があるのが、中島監督の腕の見せ所ではないのか。第2戦までのところでは、宗佑磨が昨年ほど当たっていないのが辛いところのようだ。勝負の難しい点は「当たっていない者の所に好機が回ってくる」辺りにある。

私はこのまま事が進むと、スワローズはバッファローズの速球派の中継ぎ投手たちを打ち崩せるか否かが勝敗の鍵になってくると見ている。また、比嘉幹貴が村上(とオスナにはアウトサイドになる)にインサイド低目の変化球で三振に斬って取った辺りにも着目する必要があるだろうし、山崎福也の速球があれほど通用した点も、セントラルリーグの野球の弱点を示していた。


と言うことは「ここから先はバッファローズの速球派対スワローズの打線の勝負になる」のだろうから、山田哲人と村上宗隆が何処まで「状態」を修正してくるかではないのか。スワローズの場合は中村悠平が全幅の信頼を置けない先発投手たちをどのようにリードしていくかに懸かってくるだろう。


最後は矢張り英語というかカタカナの野球用語に触れておきたい。「タイムリーヒット」という我が国独得の野球用語がある。英語で表記すれば“timely
hit”となるが、私はこれを和製語と断じたい。私の記憶では、戦後間もなくラジオの野球中継放送で「タイムリーヒット」即ち「適時打」が導入された。それが普及したかと思えば、直ぐに頭だけ取った「タイムリー」が普通になった。

だが、アメリカではそうは言われていないと、現地のテレビの中継放映で知った。彼らはRBI(=run(s)
batted in)と称し、単打による場合には「RBI
シングル」のように言っている。だからと言って、私はアメリカに倣いなさいなどと言うつもりなどない。「タイムリー」と聞けば誰しもが何のことか解るようになっているのだから、「それで良い」としようと思っている。


でも、どうして戦後間もなく「タイムリーヒット」が使われるようになったのかは寡聞にして知らない。なお、timelyはジーニアス英和には「時を得た」とある。



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重 要 情 報
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◎念の為にお知らせしておくと:前田正晶

小室圭氏が3度目の挑戦でニューヨーク州の弁護士試験に合格した件は、アメリカではさして関心を呼んでいなかったのだったようだ。私の元の同僚でワシントン州に住むL氏も、この件についての現地の無関心の度合いを簡単に知らせてくれたので、引用しておこうと思う次第。


「こちらでは日本の皇室関連の事が報道されるのは極めて希である。と言うことは、私にそういう先入観があるからかも知れないが、一般論でも日本関係のニュースは非常に少ないのが現実である」


彼が伝えてくれたことも、実質的には先日のSM氏からの便りと同じことである。長い年月アメリカの会社で過ごしてきた私も、全く同じ感覚で捉えている。何故そうなっているかは、何時かは別途考えて見ようとは思うのだ。



◎国を守るとは、どういふことか 北村維康

テーマ:ブログ

 日本を襲った、コロナウィルスは、当初は大分恐れられたが、いまではそれほどでもない。ただ、ワクチンを接種するか否かが、のどに刺さった魚の骨のやうに、国民の心を不安にさせてゐる。「密を避ける」とか、「ソーシャルディスタンスを守れ」とかいふ、変な日本語も、いずれは風化してゆくのかもしれない。

 しかし我々日本国民が気が付いてゐないのは、コロナウィルスよりも何万倍も恐ろしく、危険なものが、ずっと我々国民に付きまとってゐるといふことだ。それは日本弱体化ウィルスである。それ等は、日本国憲法であり、極東軍事裁判であり、天皇の人間宣言であり、国語改革であり、七千冊以上にも及ぶかつては日本国民の常識的な思想の中核であった書籍の焚書であり、これらが皆、自己増殖を図って、わが国の言語空間、教育空間に跋扈しつつあるのである。

 上記のものは、かつては日本の常識を支へてきたものであり、日本の開闢以来、古事記、日本書紀、聖徳太子の17条の憲法、から始まって、わが国の歴史の中核をなすものばかりである。それらが、基礎となって、わが国の不文憲法を形成し、一種の雰囲気を作ってきたのである。勿論、大日本帝国憲法も、その雰囲�気の中で成文化された。そして不足するものを補ふべく、教育勅語として駄目押しに国民へのメッセーヂとして、明治天皇より下されたのである。いはば純粋培養された日本精神は、この小さい日本列島の中で咲き誇ってゐたのだ。しかし、黒船が来航し、日清戦争、日露戦争でも奮戦して勝利し、ますますアメリカおよびその他の外国から脅威と警戒の目で見られるやうになり、遂にはABCD包囲陣の罠にかかって、真珠湾を攻撃し、武運拙くして敗戦の憂き目を見た。さあ、其処からは、「こんな厄介な国はなくなってくれたほうが、余程われらは枕を高くして寝られる」と、連合国は考へるやうになった。しかしこんな国でも亡くならずに済んだのは、ひとへに昭和の天皇陛下の英邁な先見の明とご指導のおかげである。

  さて、日本は敗戦のショックで、アメリカさんの言ふことには何でも飛びついた、文部省はじめとする当時の日本人は、あらうことか教育勅語の無効決議をしてしまった。それは思想的コロナウィルスに対するワクチンを、捨てることに匹敵する。従って、われらは危険な反日思想的、文化的、教育的、政治的ウィルスに対して、完全に無防備なのだ。だから、天照大神以降、代々伝へられた、地球上の、否、宇宙全体を救ふ、尊い日本民族の使命が、なほざりにされてゐる。如何に無知から出たこととはい

へ、アメリカはじめ連合国から出された文化的侵略は、これは日本民族の死活をかけて、徹底的に防戦し、排除しなければならない。

 こんなことを書くと、多くの諸氏は、「また極右がたはごとをいってらあ」と自分自身をごまかして、「いやいや、心を澄ませて、虚心坦懐に聞くべきだよ」との内心の良心の囁きを、敢へて無視しようとするかもしれない。でも、本当にそれでよいのだらうか。戦後七十数年が経ち、大東亜戦争敗戦直後の我が国の破壊は、既に修復可能な線をはるかに超えてしまってゐる。然しそれを何とかして、本来の日本に戻さなければならぬ。霊界、冥界の諸神、諸霊よ、よろしく導き給へ。


2022年10月25日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6299号
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  2022(令和4年)年 10月24日(月)


    勇武の精神なければ亡国:“シーチン”修一 2.0

        日本シリーズ第1戦の観戦記:前田正晶

 台湾統一の使命を負う習近平:勝又壽良

        年内までに1億ドルが不払い:宮崎正弘

    自民党は許されないが身内は許される:伊勢雅臣
         
                 

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 勇武の精神なければ亡国
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【雀庵の「大戦序章」102/通算534 2022/10/22/土】2000年振りに祖国を再興したユダヤ人国家のイスラエル。それには日本も貢献したが、今、同じユダヤ人が先頭になってプーチン・ロシアの侵略と戦っているウクライナに対してイスラエルは距離を置いている。「なぜ助けないのか、あまりにも冷淡ではないか?」と小生はいぶかっていた。

猪突猛進が大好きな吶喊小僧の小生は「義理と人情を 秤(はかり)にかけりゃ
義理が重たい
男の世界」。イスラエルは人情としてはウクライナを支援したいがロシアへの義理とか遠慮があり敵対したくないのかなあと思っていたが、それほど単純ではないようだ。


10/17の佐藤仁氏(学術研究員・著述家)の論稿「ウクライナ軍『イラン製軍事ドローンの次の標的になるのはどこ?』 イスラエルへの軍事支援要求を示唆か」は日本ではあまり報道されないイスラエルの事情、本音(?)を論じており勉強になった。以下転載。


<【13時間で37機のイラン製軍事ドローン迎撃】 2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。


2022年9月からはロシア軍はイラン政府が提供した攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」と「マハジェル6(Mohajer6)」を頻繁に使用している。さらに最近では「シャハド136」よりも搭載している爆弾量が少ない攻撃ドローン「シャハド131(Shahed131)」も使用してウクライナ軍だけでなく、キーウの民間施設や一般市民も標的に攻撃しているとウクライナ軍も発表している。


2022年10月に入ってからも首都キーウの民間施設や一般市民を標的としたイランの軍事ドローンの攻撃は続けられており、ウクライナ軍は13時間で37機のイランの軍事ドローンと3発のミサイルを迎撃して防衛したと公式SNSで伝えていた。


またウクライナ軍はイランの軍事ドローンによるキーウへの攻撃の被害の様子を伝える写真も公式SNSでアピールしている。そして「イランとロシアの2か国は“ならずもの国家”です。イランの軍事ドローンの次の標的になってしまうのはどこの国ですか? 今こそイランの軍事ドローンの攻撃をやめさせる時です」と訴えていた。


【イスラエルへの軍事支援要求を示唆か】 イランの兵器のほとんどは1979年まで続いた王政時代にアメリカから購入したもので、現在はアメリカとの関係悪化による制裁のためアメリカから購入できないので、特にドローン開発に注力している。


イランの攻撃ドローンの開発力は優れており、敵国であるイスラエルへも飛行可能な長距離攻撃ドローンも開発しており、イスラエルにとっても脅威である。イスラエルのガザ地区の攻撃の際に(イラン)はパレスチナにドローンを提供してイスラエルを攻撃していたと報じられていた。またイランでは開発したドローンを披露するための大規模なデモンストレーションも行ってアピールもしていた。


イラン製の軍事ドローンはロシア軍のウクライナ侵攻のために開発されたものではなく、イランにとっては敵国であるイスラエルを標的にして使用することを念頭に開発されたものだ。そのためロシア軍がウクライナで使用しているイラン製の軍事ドローンの攻撃力、破壊力についてはイスラエルのメディアも強い関心を示している。


ウクライナ軍は「イランの軍事ドローンの次の標的はどこでしょうか?」と公式SNSで伝えていたが、念頭にあるのはイランの敵国であるイスラエルだろう。


そしてウクライナ軍もイスラエルへ軍事支援の協力を呼びかけるかのように、あきらかにユダヤ人の出で立ちをした人の写真とともに「我々はどのようなテロリストにも屈しない。ウクライナは強く戦っている」とアピールしていた。


イスラエルにはドローン迎撃のためのアイアンドームなどが既にある。2021年5月10日から約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃していたと報じられていた。実戦においてもアイアンドームの精度の高さを見せつけていた。アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることができて、ハマスからの攻撃ドローンやミサイルを迎撃してイスラエル国土防衛に貢献していた。そのようなイスラエルの軍事技術はウクライナにとってもすぐにでも欲しいだろう。


【イランの軍事ドローンには強い関心を示すが一枚岩でないユダヤ社会】 イスラエルはロシア、ウクライナそれぞれとの関係を考慮してウクライナ紛争については中立であり、表面上は冷静である。ウクライナのゼレンスキー大統領はユダヤ人ではあるが、イスラエルはウクライナに肩入れもしていない。


イスラエルには戦後に主に欧州やソビエト連邦(ロシア)からのユダヤ人らがやってきた。ロシアから来たユダヤ人、ウクライナから来たユダヤ人がイスラエルには多くいる。彼らは自分たちや祖先が住んでいた国を支援しているわけではない。


例えばポーランドやリトアニア、西欧諸国からイスラエルに来たユダヤ人の多くは今回の紛争ではウクライナに同情的だ。ロシアから来たユダヤ人はロシア人から迫害、差別されていたし、ウクライナから来たユダヤ人はホロコーストの時代にはナチスドイツだけでなく多くのウクライナの地元住民も殺害に加担していたこともあり、ロシアやウクライナに対する感情もそれぞれの出自や家族の経験によって複雑である。


ナチスドイツの親衛隊は誰がウクライナ人で、誰がユダヤ人かの区別がつかなかったので、地元のウクライナ人らにユダヤ人狩りをさせて連行させ、射殺させた。ウクライナでは根強い反ユダヤ主義が歴史的に続いていたため、多くのウクライナ人がナチスドイツに協力したし、ナチスドイツの命令を断ることができなかったウクライナ人も多かった。


そしてホロコースト時代最大の大量虐殺と言われているバビ・ヤールでは3万人以上のユダヤ人が射殺されたが、このような組織的大量虐殺も地元のウクライナ人の協力があったから遂行できた。


そのためホロコースト時代にウクライナに住んでいたユダヤ人にとっては、ナチスドイツの手先となってユダヤ人殺害に加担していたウクライナ人は大嫌いで思い出したくもないという人も多い。当時の生存者らの多くが他界しているが、生存者らの経験や証言はデジタル化されて今でも語り継がれている。


このようにイスラエルのユダヤ人と言っても決して一枚岩ではなく、ウクライナとロシアに対してそれぞれの複雑な思いがある。イスラエルの国土防衛と安全保障の根底には「二度とホロコーストを繰り返さない。二度とユダヤ人が大量虐殺の標的にされない」という強い信念がある。


イスラエルでは徴兵に行く若者たちがホロコースト博物館でホロコーストの学習をしたり生存者の体験を聞いたりして、ユダヤ人国家防衛の重要性を学んでいる。戦後にイスラエルを建国してから、二度とホロコーストの犠牲にならないという想いで陸海空サイバーの全ての領域における安全保障と国防、攻撃から防御まであらゆる防衛産業を強化してきた>(以上)


「愛は一時的、憎しみは永遠」という言葉がある。憎しみがいつしか友情になったという小説「恩讐の彼方に」って現実にあり得るのか。作者の菊池寛は苦労人だったが、この小説などによって作家として名を挙げ、文藝春秋社を興し、実業家としても大成功した。


現実の世界では「恩讐の彼方に」とはならず、「奴らを絶対許さない、あの世に逝っても呪ってやる、恨み晴らさでおくものか」・・・憎しみ、憎悪、敵意は永遠のようで、一番激しい感情ではないか。「中露北とは共に天を頂かず、撃ちてし止まん!」、小生はほとんどビョーキだ。


調べたら人間には8つの感情があるそうだ。不安、怒り、嫌悪、恥、悲しみ(以上が生存感情)、喜び/興奮、愛情/信頼(以上が愛着感情)、そして驚き(強化感情)。驚き(強化感情)というのは――


<「驚き」を引き起こす神経伝達物質としてノルアドレナリンが考えられます。感情を強化する働きがあり、「生存感情」を「愛着感情」に、逆に「愛着感情」を「生存感情」に変換する働きもあります。


例えば、恋人の浮気が発覚し、驚いた結果として、突然不安や怒りを感じたり、また、いままで嫌悪感を感じていた人が、実は裏で自分のことを守ってくれていたと知って驚いた結果として、その人に対して今度は喜びや信頼を感じるといったようにです>(ライフハックアニメーション)


「驚く」というのは大体、「こうあって欲しい」「こうはならないだろう」という期待/予想がはずれることによる。「勝てないまでも負けはしないだろう、それなら御の字だと思っていたら圧勝! まったくびっくりした」といった朗報は人生でもあまりないのではないか。


小生は第一志望の高校受験に受かった時、草むらに大の字になって感動した。最初の期末試験でけつっぺたであるのを知り、これまたびっくりして焦りまくったが、それ以外は「驚く」というのはあまりない。

締め切りだ! どうしよう? ええい、徹夜すればなんとかなる!
ちょっとだけガソリン入れるか!? 気が付いたら朝だったり・・・いちいち驚いている暇がない、驚いていても進展しない、何の救いにもならない、驚く暇があったら焦りまくって原稿書け! 大人になるというのはそういうことだろう。


今の小生は中露北への「怒り、憎悪」がエネルギーになっている感じ(何となく生き甲斐リストの上位)。中露北殲滅を目指す同志が少しでも増え、皆が警鐘を鳴らすようになれば日本でも世界でも大きなパワーになり、共産主義独裁を一掃、さらに小生の余命が尽きなければ過熱化した銭ゲバ資本主義も修正できればと願っている。


「恩讐の彼方に」ということでイスラエルはウクライナを支援できないものだろうか。憎しみの連鎖をどこかで断たなければ永遠に続いてしまう。プーチン・ロシアのウクライナ侵略は現代のホロコーストではないか? プーチンは己の野心「偉大なるソ連帝国復活の英雄」として称賛されたいために戦争を仕掛けたのだ。私利私欲、名誉欲のために隣国を侵す・・・こんなことが見過ごされたら世界秩序はなりたたない。マキアヴェッリ曰く――


<自国の近辺の二大勢力が戦争になった場合、中立を守るより、はっきりした態度をとった方が、たとえ敗者側になったとしても有利である。自国の態度を明らかにしないとか、中立を守る、距離を置くというのは一見良さそうだが、現実はそうはならない。


勝者は「中立」を唱えるその手の国家を「姑息な軟弱者め、有事の際に助けにはならない信用できぬ奴」と軽侮し、やがては勝者の餌食にされやすいのだ。


同時に敗者は、進んで剣を手にして自分と運命を共にしなかった中立国を侮蔑し、当然、中立国が有事の際には協力しないし、中立国が負ければ「いい気味だ」と嘲笑するのである。


中立国は戦争当事者の双方からバカにされ、軽侮され、やがては落ち目になるのだ。


風雲急を告げる戦時には当事国は周辺国に「是非我が方にお見方を」と工作する。外交の使者となった古代ローマの武将曰く「この戦に、中立を守ることが貴国に有利であるというのはもってのほかの下策。何となれば、中立によって貴国は何ら感謝されることもなく、面目を施すこともなく、ただ勝利者の好餌になるのみ」>(以上は日本語訳が原文に忠実過ぎて分かりにくいので小生が咀嚼した)


ウクライナの指導者、ゼレンスキー大統領はユダヤ教徒で、側近にもユダヤ教徒が多いようだ。それならイスラエルがもっと支援しても良さそうだが、ロシアには少数ながら(14万人ほど?)ユダヤ教徒がおり、また中東情勢でプーチンを敵に回したくないという思惑もあるので「触らぬプーチンに祟りなし」という曖昧外交のよう。


イスラエルは歴史的な背景からウクライナに速攻でなびくわけにはいかないという事情があるにせよ、小生のような猪突猛進の単細胞人間には「どっちつかずの姑息な外交」に見えるし、イスラエルの最大の友好国である米国もイライラしているとか。米国も単細胞? 2022/3/20ロイター「イスラエルは武器供与を、ウクライナ大統領が国会で演説」から。

<ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、イスラエル国会でビデオ演説し、ウクライナへのミサイル防衛システムの提供やロシアへの制裁発動を求めた。イスラエルのラピド外相はゼレンスキー氏に対し、ウクライナの人々に「できる限り」の支援を続けると表明した。


ウクライナ・ロシア危機の調停役を務めるイスラエルは、ロシアのウクライナ侵攻を非難しているが、イスラエル軍が親イラン武装勢力をたびたび攻撃している隣国シリアに対して影響力を持つロシアとの関係が緊迫化することを懸念している。ウクライナに野戦病院やその他の人道支援は提供している。


ユダヤ系であるゼレンスキー氏は「イスラエルのミサイル防衛システムが最高であることは誰もが知っている。あなた方は間違いなくウクライナの人々、ウクライナのユダヤ人の命を救うことができる」と強調。


さらに「なぜ、あなた方から武器を受け取れないのか。なぜ、ロシアに強力な制裁を科したり、ロシア企業に圧力を掛けたりしていないのか」と質問を浴びせた。ゼレンスキー氏は、パレスチナ自治区ガザで過激派が発射したロケット弾の迎撃に使用されているミサイル防衛システム「アイアンドーム」に言及した。


また、ロシアのウクライナ侵攻を第二次世界大戦中のナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)になぞらえ、ロシアが「最終的解決」というナチスドイツが使用した言葉をウクライナ人問題に対して使用していると訴えた>(以上)


産経2022/4/12「ゼレンスキー大統領が批判する『兄弟』国イスラエルの事情」でも取り上げられている。


<世界には現在、ユダヤ教徒が国家元首である国は2つしかない。一つはユダヤ人が人口の7割以上を占めるイスラエル。もう一つはロシアの侵略を受け、ユダヤ系のゼレンスキー大統領が国民を鼓舞し続けるウクライナである。


ゼレンスキー氏はイスラエル国民を「兄弟たち」と呼び、強硬な対露制裁や優れた兵器の供与を求めているが、イスラエルは制裁には消極的で、ウクライナ支援も人道分野にとどめている。背景には、ロシアとの関係も悪化させられないというイスラエル独自の事情が垣間見える。


ゼレンスキー氏は先月来、欧米諸国や日本などの議会でオンラインで演説して支援を求めており、3月20日にはイスラエル国会に向けて演説した。各国での演説内容はそれそれの事情に合わせた工夫が凝らされ、おおむね好意的な印象を与えているが、イスラエル国会での演説は批判色が濃く、驚きをもって受け止められた、云々>


イスラエルの歴史的な背景によるとしても、今のどっちつかずの外交は、やがてはマキアヴェッリの指摘する「中立国は戦争当事者の双方からバカにされ、軽侮され、やがては落ち目になる」のではないか。


実際、イスラエルでは長期政権を担ってきたネタニヤフ首相が下野してから政権が安定せずに、3年半でなんと5回目の総選挙が来月(11月)に行われるという(NHK
2022/7/1)。


今のイスラエルの政界はまるでレームダックのようで、ウクライナどころではないようだが、ウクライナ人ばかりでなく世界中のイスラエル&ユダヤ人応援団をがっかりさせているのではないか。


欧州から遠い日本もウクライナとの共通の敵はプーチン・ロシアであり、日本ももっと積極的にウクライナを支援すべきではないのか。義を見てせざるは勇無きなり、その支援さえ満足にできなければ北方四島の奪還なんて永遠にできやしないし、日本の存続自体もすこぶる危うい、と小生は悲観的だ。


しかし、だ、同志諸君、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」、イザッ!という有事の際に日本人は勇武の精神を取り戻すと小生は信じている。松陰先生の言う「狂」、そのDNAは有事にあって目覚めるに違いない。(まあ、そう思わないとやってられない、というのが本心だけど・・・)


            
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日本シリーズ第1戦の観戦記
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         前田正晶


スワローズ対バッファローズの日本シリーズ第1戦の観戦記


冷静なる評論家としては、日本シリーズ第1戦の観戦の弁を述べておきたい。偽らざる所をいえば「スワローズの二連覇となる方が面白いだろうが、どちらが勝つかの予想はつかない」のである。


1回の裏に現れたパシフィックリーグの投手4冠王の山本由伸の表情を一目見て「これは駄目ではないか」と閃いた。案の定、一球目を塩見に叩かれてレフト前ヒット。何となく「これで勝敗の行方が決まったのではないか」と感じた。山本由伸は優れた投手であるのは論を待たない。だが、私が気になっている事は「体の開きが早く手投げになっている」と見える点だ。「あれでは、打者に球の出所(リリースポイント)が見えてしまうのではないのか」と気になっていた。


昨夜の彼の不安に見えた表情からは「何か身体的か物理的な不安材料があるのか、または過度に緊張していて制御できていないのか」の何れかと見た。それでも不調が続く山田は三振に取れたが、村上宗隆にはストライクが入らず四球の後に、オスナに三塁線を破られて二失点。私はスワローズがこの得点を守れるとすれば、勝負あったかとすら感じていた。山本の不安げな自信がない表情は変わることなく、4回、4失点で自分から降りてしまった。


スワローズはまともな先発投手がいなくても優勝できたのが特徴だ。昨日の小川も決して良い出来ではなく、バッファローズに沢山ヒットを打たれていたし、押し出しの四球などと褒められた出来ではなかった。だが、何とか5回を2失点で投げきって、優れた救援投手陣に後事を託していた。中継ぎに良い投手がいるのはバッファローズも同じ事。皆が150km以上の速球投手だ。


結果的には解説の工藤公康が指摘していたように、スワローズの5得点のうちの3点はソロホームランでの流れで、全部を適時打で取れた訳ではない。本日の2戦目の先発が誰かは知らないが、バッファローズは宮城大弥だろうから、塩見やオスナをどうやって抑えるかに懸かってくるのではないか。私は村上宗隆が56本目を打つまでの不振から未だ立ち直れていないと見ている。もしかすると「3冠王」が重荷になって緊張し過ぎたか、相手投手に手の内を読まれたかの何れではないか。


昨夜の二人の解説者、工藤公康と谷繁元信は良かったと思う。両者とも打者と投手の心理と駆け引きを読んで聞かせてくれたのが興味深かった。解説者はこうあって欲しいと思っている。今夜はテレ朝が中継するのだが、前田智徳が解説に登場と聞いて早々と、敬遠してNHKのBSで見ると決めた。前田智徳は恐らく全テレビ局が使う解説者の中で最悪と査定している。喋ることに中身がないし、その上に声も悪く何を言っているか聞き取りにくい。


スワローズとバッファローズの何れがこの日本シリーズを制するのかは未だ解らない。と言うか閃きが来ていないだが「頼りにしていたはずの山本由伸で第1戦を落としたバッファローズが精神的に劣勢では」という気がする。

        

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台湾統一の使命を負う習近平
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勝又壽良



異例の3期目で武力行使へ。「第2のプーチン」確実

習近平氏の異例でもある国家主席3期目が、23日に正式決定される見通しだ。3選理由は、中国社会主義の実現とされている。これは、表向きの理由であろう。武力による台湾統一が最大のテーマなのだ。習氏は台湾侵攻に踏み切れるだろうか。その見本は、ウクライナへ侵攻したロシア経済のその後の状況が示唆している。(『
勝又壽良の経済時評 』勝又壽良

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。
この記事の著者・勝又壽良さんのメルマガ

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習近平、異例の3期目で「台湾侵攻」に現実味
中国は、10月16日から共産党大会を開催している。習近平氏の異例でもある国家主席3期目が、23日に正式決定される見通しだ。

習氏の3選理由は、中国社会主義の実現とされている。これは、表向きの理由であろう。武力による台湾統一が最大のテーマなのだ。もちろん、平和的統一をお題目に上げているが、その可能性はゼロである。民主主義を謳歌している台湾が、専制主義の中国へ組み込まれることを受け入れるはずがない。

こうなれば最終的に、中国は武力を用いた統一という血なまぐさい蛮行に訴えざるを得まい。だが、ロシアによるウクライナ侵攻の例が見せているように、21世紀の現在、武力を用いた領土併合は国際的にも否定されている。

先の国連総会で、ロシアのウクライナ4州を自国領とする決定は、142ヶ国から反対意思が表明された。台湾についても同様の事態が予想されるのだ。

台湾が日清戦争の結果、日本の植民地になったのは、清国にとって渡りに船であった。当時の台湾は、「化外(けがい)の地」で首狩りの蛮族が横行していた島である。清国は、この台湾統治に手を焼いており、日本へ譲渡したのは「厄介者払い」に等しかった。その台湾が、日本の近代化教育で見事に発展して、今や収益面で半導体世界一にまで成長している。中国は、ハイレベルな半導体を製造できないだけに、台湾が垂涎の的に違いない。

「台湾を手に入れたい」これが本音であろう。中国共産党は、この大任を習氏に任せたのである。

習近平は批判許さない存在
10月12日に閉幕した、中国共産党の第19期中央委員会第7回全体会議(7中全会)は、コミュニケに習近平氏の絶対的な地位を確認する文言を盛り込んだ「2つの確立」と「2つの擁護」という風変わりな文言が挿入されたのである。

「2つの確立」とは、習氏の党の核心としての地位と、習氏の政治思想の指導的地位を確固たるものにする。

「2つの擁護」とは、習氏の党の核心としての地位と、習氏を中心とする党中央の権威を順守させる目的だ。

共産党大会では、党の憲法ともいわれる党規約を改正して、前記の「2つの確立」と「2つの擁護」を盛り込む方向とされる。つまり、習氏の考えや方針に公然と異を唱えれば、党規約違反で取り締まり対象になるとみられる。個人崇拝の極致だ。

こうして習氏は、自らへの批判をすべて封じ込めることに成功したが、これで安泰と言えるだろうか。           

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年内までに1億ドルが不払い
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月17日(月曜日)
         通巻第7494号  
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スターリンクの端末セット二万台でウクライナ軍の通信網
   年内までに1億ドルが不払い、これ以上の慈善事業は出来ないとマスク
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 世界一の金持ち、ビジネスの英雄にも限界があった。ウクライナから英雄と讃えられたマスク、一転してケチと批判され始めた。
過激派のサイトでは「暗殺リスト」に入った。

「スターリンクの端末セットを二万台、ウクライナ軍の通信網のために供与した。費用は   年内に1億ドルに達するが、ほぼ不払いとなっていて、これ以上の慈善事業は出来ない。したがって、「慈善事業」をこれ以上、単独で続けられない」とイーロン・マスクが発言した。

 ウクライナの通信網を確保するためにスペースXのスターリンクを、マスクは無償で提供して来た。もはや衛星サービススターリンクの費用を私たちが支援し続けることができないと主張し、ペンタゴンに支援を求めた。衛星インターネット端末はウクライナ軍にとって不可欠な通信手段で戦争を維持できた。ミカン箱の半分ほどの大きさで、どこへでも戦場に携行できる。
 
 マスクは「米軍が毎月数千万ドルを寄付しない限り、SpaceXがウクライナでのサービスのサポートを停止する可能性がある」と国防総省に警告してきた。 
すでにマスクは九月に国防総省に通知しているが、数百万ドルの輸送費を負担しただけだった。

 ウクライナのミハイロ・フェドロフ(デジタル大臣)は直ちに記者会見し、「スターリンク通信の継続を希望する。そうなると期待している」と発言した。
フェドロフは、マスクと交渉し、戦争前から段取りを組んでいた人物である。  
     □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き  
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2435回】             
 ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習101)       ▽
 1961年、彼に思いがけない幸運が舞い込む。毛沢東の著作を、村に進駐してきた人民解放軍兵士から学ぶことになったのである。

 「ランプの光が明るさを増すほどに、彼の心はいよいよ輝く。食事を摂らず、睡眠を取らずとも、毛主席の著作の学習は止めるわけにはいかない」。学習の効果というものだろう、村一番の働き者でもあった彼は、やがて毛沢東思想の導き手となって文革の活動家へと成長する。「虚仮の一念」と言うのは失礼だ。やはり「意思あるところに道あり」と言いたい。

 18歳の彼に向って村人が将来の希望を問うと、「彼は毛主席像を真正面に見据え、壁に貼られた世界地図を指差して『銃を手に毛主席の歩哨となり、プロレタリア階級のために広い世界に飛び出し、全人類を解放したい』と熱く語った」のであった。

 1969年3月2日、念願が叶い、彼は人民解放軍の新兵に。
 その時、「憎っくき社会帝国主義が我が領土を侵犯したとの情報が入った」。彼は連隊本部に駆けつけるや、「連隊長ドノ、前線に急行し祖国防衛の任に当たらせて戴きたいであります」。すると連隊長は彼の両腕を強く掴み、「祖国防衛の真の戦士になるためには、毛沢東思想を活学活用しなければならない」と熱く説いた。

 以来、彼は「毛主席の著作を読み、毛主席の話を聞き、毛主席の指示に従って事をなせ」という林彪の『金言』を忠実に励行することになる。苦労を厭わず、働きに働く。ケガなんかで弱音は吐かない。ケガを押して軍務に励む。やがて連隊長の推薦をえて共産党への入党を申請する。69年12月29日に提出された申請書の最後は、「全人類を解放するため、燃え滾る真紅の血で地球全体を染めあげたい」と結ばれていた。

 年が明けた70年1月25日午後、作業を誤って電線を切ってしまった戦友を救うために、彼は電線を掴んだ。その刹那、高圧電線の先から火花が飛び散る。かくて人々の願いも虚しく、「胡業桃の心臓が再び元気良く動き出すことはなかった」。それにしても高圧電流が流れる電線を素手で掴むとは、いかな百戦百勝の毛沢東思想で完全武装したとしても、無謀が過ぎる。古来、「暴虎馮河、死して悔いなきを匹夫の勇・・・」と言うではないか。

 「胡業桃は偉大な一生を送った。生前、革命の青春は燃え盛る炎に似て、死後、英雄的な行いは四海(せかい)に伝わる」。その結果、「1970年12月、中共中央は光栄ある党員として追認し、併せて『模範共青団員』の光栄ある称号を授与した」のである。

 「憶苦思甜」は、全国民に毛沢東政治の正しさを植え付ける魔法の4文字だった。建国と共に国境が閉じられたことから、国民は他国との横の比較が出来ない。些か旧い表現だが、建国の瞬間から中国全土は巨大な『毛沢東思想サティアン』と化したのである。

全国民の生殺与奪の権を一手に握った毛沢東は、他国とではなく自国の過去と比較することで自らの正しさを国民の頭に叩き込んだ。過去の「苦」しみを「憶」い起こせ。現在の「甜(うるわし)」い生活をもたらした共産党にこそ感謝せよ、というリクツである。

 『罪悪的収租院』は「憶苦」を表象化した連環画であるだけに、「階級闘争とは、ある階級がある階級を消滅させることである。これこそが歴史であり、数千年の文明史である」との『毛主席語録』の一節が巻頭に置かれている。だが次の頁には、奇妙にも「階級闘争のなんたるか。搾取のなんたるかが判らないということは、革命が判らないということだ。過去の苦しみを身に沁みて感じていないということは現在の幸運を知らないということであり、ましてや今日の喜びを苦しみと誤解してしまうということだ」との林彪の言葉が記されている。

 出版は71年3月だから、『罪悪的収租院』は毛沢東と林彪の権力闘争が顕在化する以前に企画され、決定稿が定まり、印刷に付されたと考えてほぼ間違いないだろう。
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 << 今月の拙論予定 >>
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「ウクライナ戦争と宗教」(『WILL』12月号、松本佐保さんとの対談。26日発売)
「金本位制復帰議論、再燃」(『北国新聞』コラム、北風抄、10月31日)
「一帯一路大幅に軌道修正へ」(『月刊日本』、11月号、10月23日発売) 
「習近平三期目で中国は何処へ行くか?」(『夕刊フジ』10月31日〜11月4日日連載)           
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著の『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店)を読んで、長年疑問としてきた謎が一気に解けた気になりました。「ときはいま天のしもしる五月かな」が檄文にかわるメッセージだという御説、なによりも驚きました。そういえば「天のしもしる」は天皇が治めるという意味ですし、五月は端午の節句、尚武の精神です。「しらす」、「うしはく」の相違は歴史学では常識でした。
 明智の蹶起は尊皇攘夷を目指したクーデターだったという宮崎正弘さんの解析。これまでの歴史家の解釈とはいったい何だったのでしょうか?
 というわけで、近刊『徳川家康 480年の孤独』(ビジネス社)を時間をかけて熟読しました。
家康の国家百年の計がなって、日本が世界史ではじめて法治国家、近代国家となり、また秀吉も出来なかった通貨の統一、儒学の政治利用など目から鱗の連続。通説を覆す御論と思いました。(CH生、船橋市)

   ♪
(読者の声2)友人に唆されて初めて株を買ったが、当時は電話で「x社の株をxの値段でx株を買え」と指示すると、数時間後に電話が入り、xの値段で買えましたと報告が来た。
 暫くするとコンピューターが入り、即時に売買が成立する様に進歩した。
ほとんどの大手企業、債券、国債などは極めて流動性が高く、例外なく、瞬時に売買が成立し決済される。
大変便利になりましたが、それにつれて巨額な金が世界を駆け巡る。その多くはコンピューターが自動的に機会を見つけて売り買いをしている。 
親戚の娘が美術学校で手織りの布を専攻し、展示会を開き、かなり高価な値段を付けていたが、全く売れず、憐憫の情をもって母親が内緒で何点かを購入した。
世界第3位の先進国日本政府が発行する国債が「過去4日間、連続して全く売れない」という極めて異常な事態が出現した。
つまり、日銀以外の買い手が、とうとう「円の切れ目が縁のツキ」で不買運動を始めた。これは地質学的に見れば、大地震の予兆に当たる。経済学の世界では、MMT信者が危篤状態になった。 
上記の母親にあたるのが、日銀、その祖父・保護者FRBであるが、日本、英国、そしてスイスに大量のドルを緊急事態供給している。
毎日の国際間の決済に必要な少額の貸し出しはあったが、今回スイスには$6.3BILLION,
(9000億円)もの融資を行なっている。金利は3.3%と、安くしてあげている。
この様な事態の後進国では、金利が20とか50%とかになる。
https://www.zerohedge.com/markets/cue-dollar-squeeze-panic-fed-sends-record-63-billion-switzerland-swap-lin
今、日銀とFRBが、どんな会話をしているか、罵り合いをしているのか、分からないが、一蓮托生を避けているらしい。
飛行機事故は、「落ちていく者が、周りを引き込む、という原理で連続する」という仮説があるので兎に角、事故を避けなければならない。最期に聞こえたのは乗務員の「みなさま、しっかりとシート・ベルトをしてくださいませ。では、またの日に」(在米のKM生)

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(読者の声3)16日から北京で共産党大会が始まりましたが、長い長い習近平の演説でした。みなはメモをとったりして、おわったら拍手と、まるでしゃんしゃん大会ですが、注目の人事は何時でしょうか?(DD生、岐阜)


(宮崎正弘のコメント)人事は23日、あるいは24日でしょう。
 党大会は実況されており、ネット画面を見ていましたが、習の次に入場してきたのは胡錦濤でした。白髪の爺さんでしたね。李克強の前です。江沢民は欠席。
ひな壇に昔の顔ぶれがずらり、曽慶紅、李徳江、李長春、温家宝らに混じって105歳の宋平が曽の右隣に。そしてテニス選手とのセクハラ疑惑の張高麗も何食わぬ顔で並んでいました。李瑞環も画面で確認できましたが、朱容基の出席は確認できなかった。
 長老を立てた演出ですが、この雰囲気から推すと人事に劇的なことはなさそうです。

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(読者の声4)イギリスでは、はやくも、トラス首相降ろしが激しく、かつての日本のよう。今週を乗り切れるかが鍵、とてもクリスマスまで持ちそうもない。
ジュークライナと揶揄されるゼレンスキーの50億ドルクレクレ攻撃に FOX News
タッカー・カールソンがブチ切れる様は面白かった。(日本語字幕付)
https://twitter.com/Jano661/status/1580975386321903616

 フランスは製油所のストライキで給油に大行列。欧州の鉄道・航空も人手不足とストで大混乱。チェコの学校では生徒はブランケットで寒さをしのぐ。トルコは炭鉱事故とリビアとのエネルギー協力、東地中海の海底資源をめぐってエジプト、ギリシャ、イスラエル、レバノンと縄張り争い。
 アフリカはマリをはじめロシアのワグネルが進出し反仏感情を煽る。ウクライナではスターリンクの運用が復活? 
ロシア版GPSのGLONASSは新衛星を打ち上げ、南米でもサービスを開始するという。
 世界的な金融危機で経済は減速見通し、穀物・油脂などの先物相場はかなりの下落。クリスマス商戦も期待できず、太平洋航路のコンテナ船は運賃下落、FedExは多くの機材が運行停止。
 中国の富裕村として有名だった華西村は2017年に債務が問題化していたが、実質破綻していた?
という記事。放漫経営で破綻というのは日本のバブル時代の後追いだが中国はさらにひどい。BBCの中文記事がよくまとまっている。
https://ameblo.jp/hagure1945/entry-12769445963.html
https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-56563870(PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)タッカー・カールソンが、ゼレンスキーを批判する画面ですが、これがアメリカの保守派が抱く心情を象徴していますね。トランプは「わたしの任期中、ウクライナ援助は3億ドル台だった。ウクライナが返せる金額だった。バイデンが520億ドル! バイデンは狂っている」という発言の延長線上とみます。


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自民党は許されないが身内は許される
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          伊勢雅臣

立憲民主党、旧統一教会との接点があった議員17名。でも「自民党は許されないが身内は許される」

立民は旧民主党時代から、ブーメラン政党といわれてきた。今回の問題をめぐっても、旧統一教会との接点が判明した所属議員は17人に上り、今後も増える可能性がある

つい最近も、辻元清美参院議員が旧統一教会の関連団体勉強会に出席し、会費を支払っていたことが明らかになった。その辻元氏は9月の沖縄県知事選では、有権者にこう呼びかけていた。

「(旧)統一教会と関係している方を知事に選ぶことは、みなさん絶対に避けなければなりません。油断しないでください」

「あの人はブーメランのプロだ」(日本維新の会の馬場伸幸代表)と評されるだけのことはある。一方、この件について立民の逢坂誠二代表代行は3日のBSフジ番組で、視聴者に「自民党は許されないが身内は許されるのか」と問われ、自民の事例とは異なると強調した。

「全く質が違う。知人に誘われた勉強会で会費を払った。しばらくたって領収書をみるとあれ、これはもしかして…ということなんです。質が全く違う」

とはいえ、立民はこれまで自民議員が「関連団体とは分からなかった」と説明したらそれで納得してきただろうか。辻元氏が勉強会に出席した平成24年4月は民主党政権時代であり、辻元氏は与党の一員だったのである。

それが今では、自分は知らずに巻き込まれただけの被害者のような口ぶりで、「細田氏を見過ごすわけにはいかない」と言うのには開いた口がふさがらない。



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重 要 情 報
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◎病み上がりのストーイック(stoic)な食生活:
前田正晶

これから、あらためて語って行こうとする私の食生活の内容を聞かれた方が「貴方は意志が強い」と褒めて下さった。私は謙遜でも何でもなく「いえ、いえ。私はそれほど意志強固ではありません。ただ単に未だ死にたくないので、主治医の指示に従っているだけのこと」と答えた。その内容はストーイックかも知れないが、そうする以外の選択肢は無いと思っているだけ。


先ずは「カフェイン」を極力避けること。これは、2006年1月の最初の心筋梗塞で入院したときに看護師さんに厳しく告知されたことだった。「どんなにコーヒーが好きだったとしても1日1杯が限度。理由は「カフェインが血管を収縮する効果があるから」だった。退院してからは家では「カフェインレス」と表示されているインスタントコーヒーのみを飲んでいる。外では付き合いで本当のコーヒーを飲まざるを得ない場合もある。なお、カフェインレスはアメリカでは“decaf“と言われていて、発音は「ディーキャフ」である。


次なる課題は「減塩」だった。これは既に述べてあったように半年は続けた。その手法としては減塩醤油、減塩サラダドレッシング、減塩出汁のもと、インスタントの減塩味噌汁等々だった。探せば未だあったかも知れないが、味気ない食べ物の追及だった。最も極端な例では、寿司には一切醤油をつけずに食べることだった。これも馴れれば生の魚の味が分かって面白かったと言うのは「負け惜しみ」かも知れない。


「脂肪分抜き」にも挑戦していた。これは病院食の中にあった例で、ハンバーグで一切脂肪分を抜いて調理した物が出てきたのに倣った。塩分と脂肪分を抜いたハンバーグがどのような味になるか、想像して見て頂きたい。でも、これで「動物タンパク」が摂れるのだ。


麺類を忌避すること。どうやら「饂飩」は小麦粉で構成されているので炭水化物であるから宜しくないようで、蕎麦なら良いようだった。饂飩がダメならば、ラーメンも好ましくないようだった。従って、退院後は殆ど外食ではラーメンを避けていたが、偶には懐かしくて食べることもあった。その際には汁を飲むことは避けるようにしていた、栄養士からは「塩分の塊」と聞かされた記憶があったから。この原則は今でも守っている。

カフェインの話に戻ると、先頃の入院まではCoca
Cola等にはカフェインが含まれていると知って避けてきた。だが、入院中に栄養士さんから「あの程度のカフェインの含有量では、少しくらいなら飲んでも問題ない」と聞かされたので、先日恐る恐る飲んでみた。炭酸飲料の爽快感はあったが、その時だけにして今でも無難な麦茶にしている


しかし、ビーフステーキやトンカツ等の動物タンパクは高齢者には必要と聞いた気がするので、月に数回は積極的に食べるようにしている。こうすることで、食生活に少しは彩りがあるようになると思うのだ。なお、私はアルコールが体質に合わないので飲んでいないし、飲みたいとも思わない。ではあっても、夏になれば「昔はビールを飲んでいたこともあったな」と、懐かしくテレビCMを見ている。



◎人間が作ったAIやロボットは、人間の心(情緒、感情、倫理観など)を持ち得るか。

テーマ:ブログ=北村維康

 数年前に、私が見たユーチューブで、ブルガリアの女性物理学者が、タイムトラヴェルをやってみたくて、タイムマシンを尋ねて世界中を歩き回ったが、何のことはない、自分の国のブルガリアのある科学者が、すでにそれを開発し、すでに30回も過去や未来に行ってゐた事を知った。そこで彼女も、タイムトラヴェルを体験させて貰ったのであるが、その時は、その女性科学者は、自分が体験し、見聞きした、西暦3800年のの未来が、余りにも人類にとって絶望的なものだったので、敢へてその写真や解説文の公開を控へてゐたが、最近その考へ方が変って、寧ろ積極的にそれらを公開することによって、その絶望的な未来の到来を、少しでも中和する為には、今ここでそれらを公開したほうが良いとの考へを持つに至ったのだといふ。


 その西暦3800年の未来では、人工頭脳が人間より遥かに頭が優秀で、人間を凌駕してゐるのであるが、此処でふと思ひ出すのは、手塚治虫の創作した『鉄腕アトム』は、人造人間ではあるのに、人間の心、つまり感情、愛情、正義感、などを持ってゐると言ふことが、時の読者には、新鮮に映った。私も含め、多くの人たちが、この漫画を夢中になって読んだものである。未来にアトムは生存できるか否か?未来に希望を繋ぎたいものですね!↓

(585) 西暦3800年にタイムトラベルをした女性が衝撃の写真を公開! -
YouTube
URL: https://youtube.com/watch?v=8MYrEyhdDLE


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身 辺 雑 記
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24日の東京湾岸は曇り、雨。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

2022年10月24日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6299号
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  2022(令和4年)年 10月24日(月)


    勇武の精神なければ亡国:“シーチン”修一 2.0

        日本シリーズ第1戦の観戦記:前田正晶

  台湾統一の使命を負う習近平:勝又壽良

        年内までに1億ドルが不払い:宮崎正弘

    自民党は許されないが身内は許される:伊勢雅臣
         
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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 勇武の精神なければ亡国
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       “シーチン”修一 2.0


【雀庵の「大戦序章」102/通算534 2022/10/22/土】2000年振りに祖国を再興したユダヤ人国家のイスラエル。それには日本も貢献したが、今、同じユダヤ人が先頭になってプーチン・ロシアの侵略と戦っているウクライナに対してイスラエルは距離を置いている。「なぜ助けないのか、あまりにも冷淡ではないか?」と小生はいぶかっていた。

猪突猛進が大好きな吶喊小僧の小生は「義理と人情を 秤(はかり)にかけりゃ
義理が重たい
男の世界」。イスラエルは人情としてはウクライナを支援したいがロシアへの義理とか遠慮があり敵対したくないのかなあと思っていたが、それほど単純ではないようだ。


10/17の佐藤仁氏(学術研究員・著述家)の論稿「ウクライナ軍『イラン製軍事ドローンの次の標的になるのはどこ?』 イスラエルへの軍事支援要求を示唆か」は日本ではあまり報道されないイスラエルの事情、本音(?)を論じており勉強になった。以下転載。


<【13時間で37機のイラン製軍事ドローン迎撃】 2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。


2022年9月からはロシア軍はイラン政府が提供した攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」と「マハジェル6(Mohajer6)」を頻繁に使用している。さらに最近では「シャハド136」よりも搭載している爆弾量が少ない攻撃ドローン「シャハド131(Shahed131)」も使用してウクライナ軍だけでなく、キーウの民間施設や一般市民も標的に攻撃しているとウクライナ軍も発表している。


2022年10月に入ってからも首都キーウの民間施設や一般市民を標的としたイランの軍事ドローンの攻撃は続けられており、ウクライナ軍は13時間で37機のイランの軍事ドローンと3発のミサイルを迎撃して防衛したと公式SNSで伝えていた。


またウクライナ軍はイランの軍事ドローンによるキーウへの攻撃の被害の様子を伝える写真も公式SNSでアピールしている。そして「イランとロシアの2か国は“ならずもの国家”です。イランの軍事ドローンの次の標的になってしまうのはどこの国ですか? 今こそイランの軍事ドローンの攻撃をやめさせる時です」と訴えていた。


【イスラエルへの軍事支援要求を示唆か】 イランの兵器のほとんどは1979年まで続いた王政時代にアメリカから購入したもので、現在はアメリカとの関係悪化による制裁のためアメリカから購入できないので、特にドローン開発に注力している。


イランの攻撃ドローンの開発力は優れており、敵国であるイスラエルへも飛行可能な長距離攻撃ドローンも開発しており、イスラエルにとっても脅威である。イスラエルのガザ地区の攻撃の際に(イラン)はパレスチナにドローンを提供してイスラエルを攻撃していたと報じられていた。またイランでは開発したドローンを披露するための大規模なデモンストレーションも行ってアピールもしていた。


イラン製の軍事ドローンはロシア軍のウクライナ侵攻のために開発されたものではなく、イランにとっては敵国であるイスラエルを標的にして使用することを念頭に開発されたものだ。そのためロシア軍がウクライナで使用しているイラン製の軍事ドローンの攻撃力、破壊力についてはイスラエルのメディアも強い関心を示している。


ウクライナ軍は「イランの軍事ドローンの次の標的はどこでしょうか?」と公式SNSで伝えていたが、念頭にあるのはイランの敵国であるイスラエルだろう。


そしてウクライナ軍もイスラエルへ軍事支援の協力を呼びかけるかのように、あきらかにユダヤ人の出で立ちをした人の写真とともに「我々はどのようなテロリストにも屈しない。ウクライナは強く戦っている」とアピールしていた。


イスラエルにはドローン迎撃のためのアイアンドームなどが既にある。2021年5月10日から約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃していたと報じられていた。実戦においてもアイアンドームの精度の高さを見せつけていた。アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることができて、ハマスからの攻撃ドローンやミサイルを迎撃してイスラエル国土防衛に貢献していた。そのようなイスラエルの軍事技術はウクライナにとってもすぐにでも欲しいだろう。


【イランの軍事ドローンには強い関心を示すが一枚岩でないユダヤ社会】 イスラエルはロシア、ウクライナそれぞれとの関係を考慮してウクライナ紛争については中立であり、表面上は冷静である。ウクライナのゼレンスキー大統領はユダヤ人ではあるが、イスラエルはウクライナに肩入れもしていない。


イスラエルには戦後に主に欧州やソビエト連邦(ロシア)からのユダヤ人らがやってきた。ロシアから来たユダヤ人、ウクライナから来たユダヤ人がイスラエルには多くいる。彼らは自分たちや祖先が住んでいた国を支援しているわけではない。


例えばポーランドやリトアニア、西欧諸国からイスラエルに来たユダヤ人の多くは今回の紛争ではウクライナに同情的だ。ロシアから来たユダヤ人はロシア人から迫害、差別されていたし、ウクライナから来たユダヤ人はホロコーストの時代にはナチスドイツだけでなく多くのウクライナの地元住民も殺害に加担していたこともあり、ロシアやウクライナに対する感情もそれぞれの出自や家族の経験によって複雑である。


ナチスドイツの親衛隊は誰がウクライナ人で、誰がユダヤ人かの区別がつかなかったので、地元のウクライナ人らにユダヤ人狩りをさせて連行させ、射殺させた。ウクライナでは根強い反ユダヤ主義が歴史的に続いていたため、多くのウクライナ人がナチスドイツに協力したし、ナチスドイツの命令を断ることができなかったウクライナ人も多かった。


そしてホロコースト時代最大の大量虐殺と言われているバビ・ヤールでは3万人以上のユダヤ人が射殺されたが、このような組織的大量虐殺も地元のウクライナ人の協力があったから遂行できた。


そのためホロコースト時代にウクライナに住んでいたユダヤ人にとっては、ナチスドイツの手先となってユダヤ人殺害に加担していたウクライナ人は大嫌いで思い出したくもないという人も多い。当時の生存者らの多くが他界しているが、生存者らの経験や証言はデジタル化されて今でも語り継がれている。


このようにイスラエルのユダヤ人と言っても決して一枚岩ではなく、ウクライナとロシアに対してそれぞれの複雑な思いがある。イスラエルの国土防衛と安全保障の根底には「二度とホロコーストを繰り返さない。二度とユダヤ人が大量虐殺の標的にされない」という強い信念がある。


イスラエルでは徴兵に行く若者たちがホロコースト博物館でホロコーストの学習をしたり生存者の体験を聞いたりして、ユダヤ人国家防衛の重要性を学んでいる。戦後にイスラエルを建国してから、二度とホロコーストの犠牲にならないという想いで陸海空サイバーの全ての領域における安全保障と国防、攻撃から防御まであらゆる防衛産業を強化してきた>(以上)


「愛は一時的、憎しみは永遠」という言葉がある。憎しみがいつしか友情になったという小説「恩讐の彼方に」って現実にあり得るのか。作者の菊池寛は苦労人だったが、この小説などによって作家として名を挙げ、文藝春秋社を興し、実業家としても大成功した。


現実の世界では「恩讐の彼方に」とはならず、「奴らを絶対許さない、あの世に逝っても呪ってやる、恨み晴らさでおくものか」・・・憎しみ、憎悪、敵意は永遠のようで、一番激しい感情ではないか。「中露北とは共に天を頂かず、撃ちてし止まん!」、小生はほとんどビョーキだ。


調べたら人間には8つの感情があるそうだ。不安、怒り、嫌悪、恥、悲しみ(以上が生存感情)、喜び/興奮、愛情/信頼(以上が愛着感情)、そして驚き(強化感情)。驚き(強化感情)というのは――


<「驚き」を引き起こす神経伝達物質としてノルアドレナリンが考えられます。感情を強化する働きがあり、「生存感情」を「愛着感情」に、逆に「愛着感情」を「生存感情」に変換する働きもあります。


例えば、恋人の浮気が発覚し、驚いた結果として、突然不安や怒りを感じたり、また、いままで嫌悪感を感じていた人が、実は裏で自分のことを守ってくれていたと知って驚いた結果として、その人に対して今度は喜びや信頼を感じるといったようにです>(ライフハックアニメーション)


「驚く」というのは大体、「こうあって欲しい」「こうはならないだろう」という期待/予想がはずれることによる。「勝てないまでも負けはしないだろう、それなら御の字だと思っていたら圧勝! まったくびっくりした」といった朗報は人生でもあまりないのではないか。


小生は第一志望の高校受験に受かった時、草むらに大の字になって感動した。最初の期末試験でけつっぺたであるのを知り、これまたびっくりして焦りまくったが、それ以外は「驚く」というのはあまりない。

締め切りだ! どうしよう? ええい、徹夜すればなんとかなる!
ちょっとだけガソリン入れるか!? 気が付いたら朝だったり・・・いちいち驚いている暇がない、驚いていても進展しない、何の救いにもならない、驚く暇があったら焦りまくって原稿書け! 大人になるというのはそういうことだろう。


今の小生は中露北への「怒り、憎悪」がエネルギーになっている感じ(何となく生き甲斐リストの上位)。中露北殲滅を目指す同志が少しでも増え、皆が警鐘を鳴らすようになれば日本でも世界でも大きなパワーになり、共産主義独裁を一掃、さらに小生の余命が尽きなければ過熱化した銭ゲバ資本主義も修正できればと願っている。


「恩讐の彼方に」ということでイスラエルはウクライナを支援できないものだろうか。憎しみの連鎖をどこかで断たなければ永遠に続いてしまう。プーチン・ロシアのウクライナ侵略は現代のホロコーストではないか? プーチンは己の野心「偉大なるソ連帝国復活の英雄」として称賛されたいために戦争を仕掛けたのだ。私利私欲、名誉欲のために隣国を侵す・・・こんなことが見過ごされたら世界秩序はなりたたない。マキアヴェッリ曰く――


<自国の近辺の二大勢力が戦争になった場合、中立を守るより、はっきりした態度をとった方が、たとえ敗者側になったとしても有利である。自国の態度を明らかにしないとか、中立を守る、距離を置くというのは一見良さそうだが、現実はそうはならない。


勝者は「中立」を唱えるその手の国家を「姑息な軟弱者め、有事の際に助けにはならない信用できぬ奴」と軽侮し、やがては勝者の餌食にされやすいのだ。


同時に敗者は、進んで剣を手にして自分と運命を共にしなかった中立国を侮蔑し、当然、中立国が有事の際には協力しないし、中立国が負ければ「いい気味だ」と嘲笑するのである。


中立国は戦争当事者の双方からバカにされ、軽侮され、やがては落ち目になるのだ。


風雲急を告げる戦時には当事国は周辺国に「是非我が方にお見方を」と工作する。外交の使者となった古代ローマの武将曰く「この戦に、中立を守ることが貴国に有利であるというのはもってのほかの下策。何となれば、中立によって貴国は何ら感謝されることもなく、面目を施すこともなく、ただ勝利者の好餌になるのみ」>(以上は日本語訳が原文に忠実過ぎて分かりにくいので小生が咀嚼した)


ウクライナの指導者、ゼレンスキー大統領はユダヤ教徒で、側近にもユダヤ教徒が多いようだ。それならイスラエルがもっと支援しても良さそうだが、ロシアには少数ながら(14万人ほど?)ユダヤ教徒がおり、また中東情勢でプーチンを敵に回したくないという思惑もあるので「触らぬプーチンに祟りなし」という曖昧外交のよう。


イスラエルは歴史的な背景からウクライナに速攻でなびくわけにはいかないという事情があるにせよ、小生のような猪突猛進の単細胞人間には「どっちつかずの姑息な外交」に見えるし、イスラエルの最大の友好国である米国もイライラしているとか。米国も単細胞? 2022/3/20ロイター「イスラエルは武器供与を、ウクライナ大統領が国会で演説」から。

<ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、イスラエル国会でビデオ演説し、ウクライナへのミサイル防衛システムの提供やロシアへの制裁発動を求めた。イスラエルのラピド外相はゼレンスキー氏に対し、ウクライナの人々に「できる限り」の支援を続けると表明した。


ウクライナ・ロシア危機の調停役を務めるイスラエルは、ロシアのウクライナ侵攻を非難しているが、イスラエル軍が親イラン武装勢力をたびたび攻撃している隣国シリアに対して影響力を持つロシアとの関係が緊迫化することを懸念している。ウクライナに野戦病院やその他の人道支援は提供している。


ユダヤ系であるゼレンスキー氏は「イスラエルのミサイル防衛システムが最高であることは誰もが知っている。あなた方は間違いなくウクライナの人々、ウクライナのユダヤ人の命を救うことができる」と強調。


さらに「なぜ、あなた方から武器を受け取れないのか。なぜ、ロシアに強力な制裁を科したり、ロシア企業に圧力を掛けたりしていないのか」と質問を浴びせた。ゼレンスキー氏は、パレスチナ自治区ガザで過激派が発射したロケット弾の迎撃に使用されているミサイル防衛システム「アイアンドーム」に言及した。


また、ロシアのウクライナ侵攻を第二次世界大戦中のナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)になぞらえ、ロシアが「最終的解決」というナチスドイツが使用した言葉をウクライナ人問題に対して使用していると訴えた>(以上)


産経2022/4/12「ゼレンスキー大統領が批判する『兄弟』国イスラエルの事情」でも取り上げられている。


<世界には現在、ユダヤ教徒が国家元首である国は2つしかない。一つはユダヤ人が人口の7割以上を占めるイスラエル。もう一つはロシアの侵略を受け、ユダヤ系のゼレンスキー大統領が国民を鼓舞し続けるウクライナである。


ゼレンスキー氏はイスラエル国民を「兄弟たち」と呼び、強硬な対露制裁や優れた兵器の供与を求めているが、イスラエルは制裁には消極的で、ウクライナ支援も人道分野にとどめている。背景には、ロシアとの関係も悪化させられないというイスラエル独自の事情が垣間見える。


ゼレンスキー氏は先月来、欧米諸国や日本などの議会でオンラインで演説して支援を求めており、3月20日にはイスラエル国会に向けて演説した。各国での演説内容はそれそれの事情に合わせた工夫が凝らされ、おおむね好意的な印象を与えているが、イスラエル国会での演説は批判色が濃く、驚きをもって受け止められた、云々>


イスラエルの歴史的な背景によるとしても、今のどっちつかずの外交は、やがてはマキアヴェッリの指摘する「中立国は戦争当事者の双方からバカにされ、軽侮され、やがては落ち目になる」のではないか。


実際、イスラエルでは長期政権を担ってきたネタニヤフ首相が下野してから政権が安定せずに、3年半でなんと5回目の総選挙が来月(11月)に行われるという(NHK
2022/7/1)。


今のイスラエルの政界はまるでレームダックのようで、ウクライナどころではないようだが、ウクライナ人ばかりでなく世界中のイスラエル&ユダヤ人応援団をがっかりさせているのではないか。


欧州から遠い日本もウクライナとの共通の敵はプーチン・ロシアであり、日本ももっと積極的にウクライナを支援すべきではないのか。義を見てせざるは勇無きなり、その支援さえ満足にできなければ北方四島の奪還なんて永遠にできやしないし、日本の存続自体もすこぶる危うい、と小生は悲観的だ。


しかし、だ、同志諸君、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」、イザッ!という有事の際に日本人は勇武の精神を取り戻すと小生は信じている。松陰先生の言う「狂」、そのDNAは有事にあって目覚めるに違いない。(まあ、そう思わないとやってられない、というのが本心だけど・・・)


            
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日本シリーズ第1戦の観戦記
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         前田正晶


スワローズ対バッファローズの日本シリーズ第1戦の観戦記


冷静なる評論家としては、日本シリーズ第1戦の観戦の弁を述べておきたい。偽らざる所をいえば「スワローズの二連覇となる方が面白いだろうが、どちらが勝つかの予想はつかない」のである。


1回の裏に現れたパシフィックリーグの投手4冠王の山本由伸の表情を一目見て「これは駄目ではないか」と閃いた。案の定、一球目を塩見に叩かれてレフト前ヒット。何となく「これで勝敗の行方が決まったのではないか」と感じた。山本由伸は優れた投手であるのは論を待たない。だが、私が気になっている事は「体の開きが早く手投げになっている」と見える点だ。「あれでは、打者に球の出所(リリースポイント)が見えてしまうのではないのか」と気になっていた。


昨夜の彼の不安に見えた表情からは「何か身体的か物理的な不安材料があるのか、または過度に緊張していて制御できていないのか」の何れかと見た。それでも不調が続く山田は三振に取れたが、村上宗隆にはストライクが入らず四球の後に、オスナに三塁線を破られて二失点。私はスワローズがこの得点を守れるとすれば、勝負あったかとすら感じていた。山本の不安げな自信がない表情は変わることなく、4回、4失点で自分から降りてしまった。


スワローズはまともな先発投手がいなくても優勝できたのが特徴だ。昨日の小川も決して良い出来ではなく、バッファローズに沢山ヒットを打たれていたし、押し出しの四球などと褒められた出来ではなかった。だが、何とか5回を2失点で投げきって、優れた救援投手陣に後事を託していた。中継ぎに良い投手がいるのはバッファローズも同じ事。皆が150km以上の速球投手だ。


結果的には解説の工藤公康が指摘していたように、スワローズの5得点のうちの3点はソロホームランでの流れで、全部を適時打で取れた訳ではない。本日の2戦目の先発が誰かは知らないが、バッファローズは宮城大弥だろうから、塩見やオスナをどうやって抑えるかに懸かってくるのではないか。私は村上宗隆が56本目を打つまでの不振から未だ立ち直れていないと見ている。もしかすると「3冠王」が重荷になって緊張し過ぎたか、相手投手に手の内を読まれたかの何れではないか。


昨夜の二人の解説者、工藤公康と谷繁元信は良かったと思う。両者とも打者と投手の心理と駆け引きを読んで聞かせてくれたのが興味深かった。解説者はこうあって欲しいと思っている。今夜はテレ朝が中継するのだが、前田智徳が解説に登場と聞いて早々と、敬遠してNHKのBSで見ると決めた。前田智徳は恐らく全テレビ局が使う解説者の中で最悪と査定している。喋ることに中身がないし、その上に声も悪く何を言っているか聞き取りにくい。


スワローズとバッファローズの何れがこの日本シリーズを制するのかは未だ解らない。と言うか閃きが来ていないだが「頼りにしていたはずの山本由伸で第1戦を落としたバッファローズが精神的に劣勢では」という気がする。

        

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台湾統一の使命を負う習近平
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勝又壽良



異例の3期目で武力行使へ。「第2のプーチン」確実

習近平氏の異例でもある国家主席3期目が、23日に正式決定される見通しだ。3選理由は、中国社会主義の実現とされている。これは、表向きの理由であろう。武力による台湾統一が最大のテーマなのだ。習氏は台湾侵攻に踏み切れるだろうか。その見本は、ウクライナへ侵攻したロシア経済のその後の状況が示唆している。(『
勝又壽良の経済時評 』勝又壽良

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。
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習近平、異例の3期目で「台湾侵攻」に現実味
中国は、10月16日から共産党大会を開催している。習近平氏の異例でもある国家主席3期目が、23日に正式決定される見通しだ。

習氏の3選理由は、中国社会主義の実現とされている。これは、表向きの理由であろう。武力による台湾統一が最大のテーマなのだ。もちろん、平和的統一をお題目に上げているが、その可能性はゼロである。民主主義を謳歌している台湾が、専制主義の中国へ組み込まれることを受け入れるはずがない。

こうなれば最終的に、中国は武力を用いた統一という血なまぐさい蛮行に訴えざるを得まい。だが、ロシアによるウクライナ侵攻の例が見せているように、21世紀の現在、武力を用いた領土併合は国際的にも否定されている。

先の国連総会で、ロシアのウクライナ4州を自国領とする決定は、142ヶ国から反対意思が表明された。台湾についても同様の事態が予想されるのだ。

台湾が日清戦争の結果、日本の植民地になったのは、清国にとって渡りに船であった。当時の台湾は、「化外(けがい)の地」で首狩りの蛮族が横行していた島である。清国は、この台湾統治に手を焼いており、日本へ譲渡したのは「厄介者払い」に等しかった。その台湾が、日本の近代化教育で見事に発展して、今や収益面で半導体世界一にまで成長している。中国は、ハイレベルな半導体を製造できないだけに、台湾が垂涎の的に違いない。

「台湾を手に入れたい」これが本音であろう。中国共産党は、この大任を習氏に任せたのである。

習近平は批判許さない存在
10月12日に閉幕した、中国共産党の第19期中央委員会第7回全体会議(7中全会)は、コミュニケに習近平氏の絶対的な地位を確認する文言を盛り込んだ「2つの確立」と「2つの擁護」という風変わりな文言が挿入されたのである。

「2つの確立」とは、習氏の党の核心としての地位と、習氏の政治思想の指導的地位を確固たるものにする。

「2つの擁護」とは、習氏の党の核心としての地位と、習氏を中心とする党中央の権威を順守させる目的だ。

共産党大会では、党の憲法ともいわれる党規約を改正して、前記の「2つの確立」と「2つの擁護」を盛り込む方向とされる。つまり、習氏の考えや方針に公然と異を唱えれば、党規約違反で取り締まり対象になるとみられる。個人崇拝の極致だ。

こうして習氏は、自らへの批判をすべて封じ込めることに成功したが、これで安泰と言えるだろうか。           

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年内までに1億ドルが不払い
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月17日(月曜日)
         通巻第7494号  
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スターリンクの端末セット二万台でウクライナ軍の通信網
   年内までに1億ドルが不払い、これ以上の慈善事業は出来ないとマスク
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 世界一の金持ち、ビジネスの英雄にも限界があった。ウクライナから英雄と讃えられたマスク、一転してケチと批判され始めた。
過激派のサイトでは「暗殺リスト」に入った。

「スターリンクの端末セットを二万台、ウクライナ軍の通信網のために供与した。費用は   年内に1億ドルに達するが、ほぼ不払いとなっていて、これ以上の慈善事業は出来ない。したがって、「慈善事業」をこれ以上、単独で続けられない」とイーロン・マスクが発言した。

 ウクライナの通信網を確保するためにスペースXのスターリンクを、マスクは無償で提供して来た。もはや衛星サービススターリンクの費用を私たちが支援し続けることができないと主張し、ペンタゴンに支援を求めた。衛星インターネット端末はウクライナ軍にとって不可欠な通信手段で戦争を維持できた。ミカン箱の半分ほどの大きさで、どこへでも戦場に携行できる。
 
 マスクは「米軍が毎月数千万ドルを寄付しない限り、SpaceXがウクライナでのサービスのサポートを停止する可能性がある」と国防総省に警告してきた。 
すでにマスクは九月に国防総省に通知しているが、数百万ドルの輸送費を負担しただけだった。

 ウクライナのミハイロ・フェドロフ(デジタル大臣)は直ちに記者会見し、「スターリンク通信の継続を希望する。そうなると期待している」と発言した。
フェドロフは、マスクと交渉し、戦争前から段取りを組んでいた人物である。  
     □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き  
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2435回】             
 ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習101)       ▽
 1961年、彼に思いがけない幸運が舞い込む。毛沢東の著作を、村に進駐してきた人民解放軍兵士から学ぶことになったのである。

 「ランプの光が明るさを増すほどに、彼の心はいよいよ輝く。食事を摂らず、睡眠を取らずとも、毛主席の著作の学習は止めるわけにはいかない」。学習の効果というものだろう、村一番の働き者でもあった彼は、やがて毛沢東思想の導き手となって文革の活動家へと成長する。「虚仮の一念」と言うのは失礼だ。やはり「意思あるところに道あり」と言いたい。

 18歳の彼に向って村人が将来の希望を問うと、「彼は毛主席像を真正面に見据え、壁に貼られた世界地図を指差して『銃を手に毛主席の歩哨となり、プロレタリア階級のために広い世界に飛び出し、全人類を解放したい』と熱く語った」のであった。

 1969年3月2日、念願が叶い、彼は人民解放軍の新兵に。
 その時、「憎っくき社会帝国主義が我が領土を侵犯したとの情報が入った」。彼は連隊本部に駆けつけるや、「連隊長ドノ、前線に急行し祖国防衛の任に当たらせて戴きたいであります」。すると連隊長は彼の両腕を強く掴み、「祖国防衛の真の戦士になるためには、毛沢東思想を活学活用しなければならない」と熱く説いた。

 以来、彼は「毛主席の著作を読み、毛主席の話を聞き、毛主席の指示に従って事をなせ」という林彪の『金言』を忠実に励行することになる。苦労を厭わず、働きに働く。ケガなんかで弱音は吐かない。ケガを押して軍務に励む。やがて連隊長の推薦をえて共産党への入党を申請する。69年12月29日に提出された申請書の最後は、「全人類を解放するため、燃え滾る真紅の血で地球全体を染めあげたい」と結ばれていた。

 年が明けた70年1月25日午後、作業を誤って電線を切ってしまった戦友を救うために、彼は電線を掴んだ。その刹那、高圧電線の先から火花が飛び散る。かくて人々の願いも虚しく、「胡業桃の心臓が再び元気良く動き出すことはなかった」。それにしても高圧電流が流れる電線を素手で掴むとは、いかな百戦百勝の毛沢東思想で完全武装したとしても、無謀が過ぎる。古来、「暴虎馮河、死して悔いなきを匹夫の勇・・・」と言うではないか。

 「胡業桃は偉大な一生を送った。生前、革命の青春は燃え盛る炎に似て、死後、英雄的な行いは四海(せかい)に伝わる」。その結果、「1970年12月、中共中央は光栄ある党員として追認し、併せて『模範共青団員』の光栄ある称号を授与した」のである。

 「憶苦思甜」は、全国民に毛沢東政治の正しさを植え付ける魔法の4文字だった。建国と共に国境が閉じられたことから、国民は他国との横の比較が出来ない。些か旧い表現だが、建国の瞬間から中国全土は巨大な『毛沢東思想サティアン』と化したのである。

全国民の生殺与奪の権を一手に握った毛沢東は、他国とではなく自国の過去と比較することで自らの正しさを国民の頭に叩き込んだ。過去の「苦」しみを「憶」い起こせ。現在の「甜(うるわし)」い生活をもたらした共産党にこそ感謝せよ、というリクツである。

 『罪悪的収租院』は「憶苦」を表象化した連環画であるだけに、「階級闘争とは、ある階級がある階級を消滅させることである。これこそが歴史であり、数千年の文明史である」との『毛主席語録』の一節が巻頭に置かれている。だが次の頁には、奇妙にも「階級闘争のなんたるか。搾取のなんたるかが判らないということは、革命が判らないということだ。過去の苦しみを身に沁みて感じていないということは現在の幸運を知らないということであり、ましてや今日の喜びを苦しみと誤解してしまうということだ」との林彪の言葉が記されている。

 出版は71年3月だから、『罪悪的収租院』は毛沢東と林彪の権力闘争が顕在化する以前に企画され、決定稿が定まり、印刷に付されたと考えてほぼ間違いないだろう。
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 << 今月の拙論予定 >>
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「ウクライナ戦争と宗教」(『WILL』12月号、松本佐保さんとの対談。26日発売)
「金本位制復帰議論、再燃」(『北国新聞』コラム、北風抄、10月31日)
「一帯一路大幅に軌道修正へ」(『月刊日本』、11月号、10月23日発売) 
「習近平三期目で中国は何処へ行くか?」(『夕刊フジ』10月31日〜11月4日日連載)           
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴著の『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店)を読んで、長年疑問としてきた謎が一気に解けた気になりました。「ときはいま天のしもしる五月かな」が檄文にかわるメッセージだという御説、なによりも驚きました。そういえば「天のしもしる」は天皇が治めるという意味ですし、五月は端午の節句、尚武の精神です。「しらす」、「うしはく」の相違は歴史学では常識でした。
 明智の蹶起は尊皇攘夷を目指したクーデターだったという宮崎正弘さんの解析。これまでの歴史家の解釈とはいったい何だったのでしょうか?
 というわけで、近刊『徳川家康 480年の孤独』(ビジネス社)を時間をかけて熟読しました。
家康の国家百年の計がなって、日本が世界史ではじめて法治国家、近代国家となり、また秀吉も出来なかった通貨の統一、儒学の政治利用など目から鱗の連続。通説を覆す御論と思いました。(CH生、船橋市)

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(読者の声2)友人に唆されて初めて株を買ったが、当時は電話で「x社の株をxの値段でx株を買え」と指示すると、数時間後に電話が入り、xの値段で買えましたと報告が来た。
 暫くするとコンピューターが入り、即時に売買が成立する様に進歩した。
ほとんどの大手企業、債券、国債などは極めて流動性が高く、例外なく、瞬時に売買が成立し決済される。
大変便利になりましたが、それにつれて巨額な金が世界を駆け巡る。その多くはコンピューターが自動的に機会を見つけて売り買いをしている。 
親戚の娘が美術学校で手織りの布を専攻し、展示会を開き、かなり高価な値段を付けていたが、全く売れず、憐憫の情をもって母親が内緒で何点かを購入した。
世界第3位の先進国日本政府が発行する国債が「過去4日間、連続して全く売れない」という極めて異常な事態が出現した。
つまり、日銀以外の買い手が、とうとう「円の切れ目が縁のツキ」で不買運動を始めた。これは地質学的に見れば、大地震の予兆に当たる。経済学の世界では、MMT信者が危篤状態になった。 
上記の母親にあたるのが、日銀、その祖父・保護者FRBであるが、日本、英国、そしてスイスに大量のドルを緊急事態供給している。
毎日の国際間の決済に必要な少額の貸し出しはあったが、今回スイスには$6.3BILLION,
(9000億円)もの融資を行なっている。金利は3.3%と、安くしてあげている。
この様な事態の後進国では、金利が20とか50%とかになる。
https://www.zerohedge.com/markets/cue-dollar-squeeze-panic-fed-sends-record-63-billion-switzerland-swap-lin
今、日銀とFRBが、どんな会話をしているか、罵り合いをしているのか、分からないが、一蓮托生を避けているらしい。
飛行機事故は、「落ちていく者が、周りを引き込む、という原理で連続する」という仮説があるので兎に角、事故を避けなければならない。最期に聞こえたのは乗務員の「みなさま、しっかりとシート・ベルトをしてくださいませ。では、またの日に」(在米のKM生)

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(読者の声3)16日から北京で共産党大会が始まりましたが、長い長い習近平の演説でした。みなはメモをとったりして、おわったら拍手と、まるでしゃんしゃん大会ですが、注目の人事は何時でしょうか?(DD生、岐阜)


(宮崎正弘のコメント)人事は23日、あるいは24日でしょう。
 党大会は実況されており、ネット画面を見ていましたが、習の次に入場してきたのは胡錦濤でした。白髪の爺さんでしたね。李克強の前です。江沢民は欠席。
ひな壇に昔の顔ぶれがずらり、曽慶紅、李徳江、李長春、温家宝らに混じって105歳の宋平が曽の右隣に。そしてテニス選手とのセクハラ疑惑の張高麗も何食わぬ顔で並んでいました。李瑞環も画面で確認できましたが、朱容基の出席は確認できなかった。
 長老を立てた演出ですが、この雰囲気から推すと人事に劇的なことはなさそうです。

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(読者の声4)イギリスでは、はやくも、トラス首相降ろしが激しく、かつての日本のよう。今週を乗り切れるかが鍵、とてもクリスマスまで持ちそうもない。
ジュークライナと揶揄されるゼレンスキーの50億ドルクレクレ攻撃に FOX News
タッカー・カールソンがブチ切れる様は面白かった。(日本語字幕付)
https://twitter.com/Jano661/status/1580975386321903616

 フランスは製油所のストライキで給油に大行列。欧州の鉄道・航空も人手不足とストで大混乱。チェコの学校では生徒はブランケットで寒さをしのぐ。トルコは炭鉱事故とリビアとのエネルギー協力、東地中海の海底資源をめぐってエジプト、ギリシャ、イスラエル、レバノンと縄張り争い。
 アフリカはマリをはじめロシアのワグネルが進出し反仏感情を煽る。ウクライナではスターリンクの運用が復活? 
ロシア版GPSのGLONASSは新衛星を打ち上げ、南米でもサービスを開始するという。
 世界的な金融危機で経済は減速見通し、穀物・油脂などの先物相場はかなりの下落。クリスマス商戦も期待できず、太平洋航路のコンテナ船は運賃下落、FedExは多くの機材が運行停止。
 中国の富裕村として有名だった華西村は2017年に債務が問題化していたが、実質破綻していた?
という記事。放漫経営で破綻というのは日本のバブル時代の後追いだが中国はさらにひどい。BBCの中文記事がよくまとまっている。
https://ameblo.jp/hagure1945/entry-12769445963.html
https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-56563870(PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)タッカー・カールソンが、ゼレンスキーを批判する画面ですが、これがアメリカの保守派が抱く心情を象徴していますね。トランプは「わたしの任期中、ウクライナ援助は3億ドル台だった。ウクライナが返せる金額だった。バイデンが520億ドル! バイデンは狂っている」という発言の延長線上とみます。


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自民党は許されないが身内は許される
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          伊勢雅臣

立憲民主党、旧統一教会との接点があった議員17名。でも「自民党は許されないが身内は許される」

立民は旧民主党時代から、ブーメラン政党といわれてきた。今回の問題をめぐっても、旧統一教会との接点が判明した所属議員は17人に上り、今後も増える可能性がある

つい最近も、辻元清美参院議員が旧統一教会の関連団体勉強会に出席し、会費を支払っていたことが明らかになった。その辻元氏は9月の沖縄県知事選では、有権者にこう呼びかけていた。

「(旧)統一教会と関係している方を知事に選ぶことは、みなさん絶対に避けなければなりません。油断しないでください」

「あの人はブーメランのプロだ」(日本維新の会の馬場伸幸代表)と評されるだけのことはある。一方、この件について立民の逢坂誠二代表代行は3日のBSフジ番組で、視聴者に「自民党は許されないが身内は許されるのか」と問われ、自民の事例とは異なると強調した。

「全く質が違う。知人に誘われた勉強会で会費を払った。しばらくたって領収書をみるとあれ、これはもしかして…ということなんです。質が全く違う」

とはいえ、立民はこれまで自民議員が「関連団体とは分からなかった」と説明したらそれで納得してきただろうか。辻元氏が勉強会に出席した平成24年4月は民主党政権時代であり、辻元氏は与党の一員だったのである。

それが今では、自分は知らずに巻き込まれただけの被害者のような口ぶりで、「細田氏を見過ごすわけにはいかない」と言うのには開いた口がふさがらない。



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重 要 情 報
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◎病み上がりのストーイック(stoic)な食生活:
前田正晶

これから、あらためて語って行こうとする私の食生活の内容を聞かれた方が「貴方は意志が強い」と褒めて下さった。私は謙遜でも何でもなく「いえ、いえ。私はそれほど意志強固ではありません。ただ単に未だ死にたくないので、主治医の指示に従っているだけのこと」と答えた。その内容はストーイックかも知れないが、そうする以外の選択肢は無いと思っているだけ。


先ずは「カフェイン」を極力避けること。これは、2006年1月の最初の心筋梗塞で入院したときに看護師さんに厳しく告知されたことだった。「どんなにコーヒーが好きだったとしても1日1杯が限度。理由は「カフェインが血管を収縮する効果があるから」だった。退院してからは家では「カフェインレス」と表示されているインスタントコーヒーのみを飲んでいる。外では付き合いで本当のコーヒーを飲まざるを得ない場合もある。なお、カフェインレスはアメリカでは“decaf“と言われていて、発音は「ディーキャフ」である。


次なる課題は「減塩」だった。これは既に述べてあったように半年は続けた。その手法としては減塩醤油、減塩サラダドレッシング、減塩出汁のもと、インスタントの減塩味噌汁等々だった。探せば未だあったかも知れないが、味気ない食べ物の追及だった。最も極端な例では、寿司には一切醤油をつけずに食べることだった。これも馴れれば生の魚の味が分かって面白かったと言うのは「負け惜しみ」かも知れない。


「脂肪分抜き」にも挑戦していた。これは病院食の中にあった例で、ハンバーグで一切脂肪分を抜いて調理した物が出てきたのに倣った。塩分と脂肪分を抜いたハンバーグがどのような味になるか、想像して見て頂きたい。でも、これで「動物タンパク」が摂れるのだ。


麺類を忌避すること。どうやら「饂飩」は小麦粉で構成されているので炭水化物であるから宜しくないようで、蕎麦なら良いようだった。饂飩がダメならば、ラーメンも好ましくないようだった。従って、退院後は殆ど外食ではラーメンを避けていたが、偶には懐かしくて食べることもあった。その際には汁を飲むことは避けるようにしていた、栄養士からは「塩分の塊」と聞かされた記憶があったから。この原則は今でも守っている。

カフェインの話に戻ると、先頃の入院まではCoca
Cola等にはカフェインが含まれていると知って避けてきた。だが、入院中に栄養士さんから「あの程度のカフェインの含有量では、少しくらいなら飲んでも問題ない」と聞かされたので、先日恐る恐る飲んでみた。炭酸飲料の爽快感はあったが、その時だけにして今でも無難な麦茶にしている


しかし、ビーフステーキやトンカツ等の動物タンパクは高齢者には必要と聞いた気がするので、月に数回は積極的に食べるようにしている。こうすることで、食生活に少しは彩りがあるようになると思うのだ。なお、私はアルコールが体質に合わないので飲んでいないし、飲みたいとも思わない。ではあっても、夏になれば「昔はビールを飲んでいたこともあったな」と、懐かしくテレビCMを見ている。



◎人間が作ったAIやロボットは、人間の心(情緒、感情、倫理観など)を持ち得るか。

テーマ:ブログ=北村維康

 数年前に、私が見たユーチューブで、ブルガリアの女性物理学者が、タイムトラヴェルをやってみたくて、タイムマシンを尋ねて世界中を歩き回ったが、何のことはない、自分の国のブルガリアのある科学者が、すでにそれを開発し、すでに30回も過去や未来に行ってゐた事を知った。そこで彼女も、タイムトラヴェルを体験させて貰ったのであるが、その時は、その女性科学者は、自分が体験し、見聞きした、西暦3800年のの未来が、余りにも人類にとって絶望的なものだったので、敢へてその写真や解説文の公開を控へてゐたが、最近その考へ方が変って、寧ろ積極的にそれらを公開することによって、その絶望的な未来の到来を、少しでも中和する為には、今ここでそれらを公開したほうが良いとの考へを持つに至ったのだといふ。


 その西暦3800年の未来では、人工頭脳が人間より遥かに頭が優秀で、人間を凌駕してゐるのであるが、此処でふと思ひ出すのは、手塚治虫の創作した『鉄腕アトム』は、人造人間ではあるのに、人間の心、つまり感情、愛情、正義感、などを持ってゐると言ふことが、時の読者には、新鮮に映った。私も含め、多くの人たちが、この漫画を夢中になって読んだものである。未来にアトムは生存できるか否か?未来に希望を繋ぎたいものですね!↓

(585) 西暦3800年にタイムトラベルをした女性が衝撃の写真を公開! -
YouTube
URL: https://youtube.com/watch?v=8MYrEyhdDLE

2022年10月23日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6298号
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   2022(令和4年)年 10月23日(日)




    安倍総理の死で歴史を書き換えるな:櫻井よしこ

         円安メリット生かす好機だ:高橋洋一
      
         北野の基本的立場は親欧米:北野幸伯      

          ミサイルは中国にも照準:宮崎正弘

            編集長ピックアップ:中村 将

         

  
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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         頂門の一針(まぐまぐ)
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安倍総理の死で歴史を書き換えるな
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          櫻井よしこ


日本ルネッサンス 第1019回

NHKの看板番組のひとつ、「クローズアップ現代」(クロ現)が9月14日、「日朝首脳会談20年 元外交官が語る北朝鮮との秘密交渉 その舞台裏」と題して、小泉純一郎首相の訪朝を実現させた田中均アジア大洋州局長の証言を伝えた。

私自身、拉致問題には長年関わってきた。それもあって注意深く見たが、田中氏の発言にもクロ現のまとめ方にも重大な偽りがあると感じた。そこで拉致問題の第一人者、「救う会」会長の西岡力氏、安倍晋三元首相に最も食い込んだ記者、産経新聞編集委員の阿比留瑠比氏と共に「言論テレビ」で田中発言を検証した。

田中氏は2001年9月、アジア大洋州局長に就任、小泉首相の許可を得て、同年秋から02年9月までの1年間、北朝鮮と30回近く交渉した。クロ現は田中氏の構想をこう描いた。

「田中は、拉致問題や核・ミサイル問題、国交正常化、その後の経済協力などをパッケージにして包括的に解決し、朝鮮半島に『大きな平和』を作ろうと呼びかけ続けた」

田中氏が番組内で語っている。

「拉致の問題をクリアしないと、先には行けない。日本からの資金の提供というのも、拉致とか核の問題を解決しないで、進むことはできませんと。だから、その『大きな道筋』を作りたいんだと。これはもう全部パッケージなんだという話を交渉の間ずっとしていました」

私は拉致について20年以上取材してきたが、田中氏や外務省が「拉致、核、ミサイル、国交正常化、経済協力」をひとまとめにして解決を目指し、拉致問題に真剣に取り組んだとはどうしても信じられない。

阿比留氏が語った。

「当時、私は官邸担当で拉致問題を取材していました。小泉さんも福田康夫官房長官も古川貞二郎官房副長官も拉致問題は全く二の次でした。古川さんは記者会見で、小泉さんの訪朝は拉致問題解決のためかと質され、そうではない、まずは国交正常化だと、ハッキリと言いました。小泉さんも自民党議員との夜の会合で、拉致であまり期待されても困ると言っていた。政治家にとって国交正常化はこの上ない外交上の手柄です。外務官僚にとっても同じです」

「めぐみちゃんは生きています」

ちなみに当時、世論も拉致問題には冷たかった。冷たい世論作りの先頭に立ったのが朝日新聞だった。朝日は1999年8月31日の社説で「日朝の国交正常化交渉には、日本人拉致疑惑をはじめ、障害がいくつもある」と書いた。横田早紀江さんら拉致被害者のご家族が、拉致問題は障害だと言うのかと憤ったのは当然だった。

西岡氏は、2002年9月17日、小泉首相が訪朝して北朝鮮外務省が5人生存、8人死亡説を日本側に伝えたときのことを振り返った。拉致問題についての田中氏らの冷淡さが拉致被害者の安否情報の扱いに反映されている。

「何言ってんだと。彼が本気で拉致問題を解決しようと思っているのなら、9月17日の朝、北朝鮮外務省の局長から8人死亡、5人生存のペーパーが出てきたとき、なぜ確認作業をしなかったのか。北朝鮮の言葉を鵜呑みにして横田さんたちに、お亡くなりになりましたと断定形で伝えたのです」

「死亡」を通告された当日、ご家族の記者会見を記憶している人も多いだろう。滋さんが泣き崩れ、皆が8人の死亡を信じそうになった。そのとき、早紀江さんが声を振り絞って言った。

「いつ死んだのかも分からず、めぐみちゃんが死んだなんて信じません。絶対に信じません。めぐみちゃんは生きています」

愛する家族の生死に関する情報でご家族の側に立ったのが安倍氏だったと西岡氏は言う。当時、北朝鮮との交渉は田中氏、福田官房長官、古川官房副長官らが中心になっており、安倍晋三官房副長官は蚊帳の外だった。その安倍氏がこの局面で動いたのだ。

9月18日の朝、安倍さんが、政府の公式の説明会ではないのですが、家族のところに来てくれました。家族みんなが、いつ死んだんですか、死因は何ですかって聞いた。安倍さんは分からない、分からない、と言うのです。安倍さんが、政府は確認していない、と教えてくれた。安倍さんの話で平壌で蓮池さん夫婦、地村さん夫婦、めぐみさんの娘と言われる人に会った外務省の人間がいることが分かった。その人をつかまえて聞いた。すると彼も死亡の確認はしていませんと言ったのです」

田中氏以下外務省の面々、小泉氏も福田氏も誰一人、拉致された日本国民の安否情報を確認しようとさえしなかった。田中氏らの頭を占めていたのは日朝国交正常化だけだった。田中氏らが「拉致」をトップ項目に掲げて解決に向けて努力したというのは真実ではない。他方いま、私たちはめぐみさん達が生きているというより確かな情報を持っている。

「安倍さんが反撃した」

田中発言の次なる嘘は、同年10月15日に日本へ帰国した5人を再び北朝鮮に戻すか否かの動きについてである。田中氏はそれは「政治判断」だと語り、自身は意見は言っていないととれる説明をしている。だが、当時、政府内には5人の処遇について明確な対立があった。

田中氏や福田氏は北朝鮮に「5人の滞在は2週間と約束した」と主張し、北朝鮮に戻すべきだという立場だった。それに対して安倍氏と内閣官房参与だった中山恭子氏らは明確に、日本にとどめるべきだと主張した。

阿比留氏が語る。

「今になって安倍さんが5人の北朝鮮行きに反対しなかったと示唆したり断定したりする発言が出てきています。酷いものです。田中氏が顔を真っ赤にして北朝鮮に返すべきだと言っていたことを私は安倍さんだけでなく、中山参与、谷内(やち)正太郎内閣官房副長官補からも聞いています」

西岡氏も証言する。

「福田さんが北朝鮮に返すと言ったとき、安倍さんが反撃したのです。5人を北に返して、二度と(日本の)家族と会えなくなったら、責任とれるんですかと言ったんだよと、直接安倍さんから電話で聞きました」

クロ現は田中氏の発言のファクトチェックを行って報道すべきだった。田中氏の言わなかったことについての闇も探るべきだ。田中氏は日朝交渉の議事録の最後の2回分を提出していない。日朝首脳会談を実現に導いた交渉の、恐らく山場であったであろう最後の2回、田中氏は北朝鮮側と何を話し、何を譲歩したのか。明らかにする責任があるが、そんな点にはクロ現は全く触れていない。

拉致を国際社会に周知徹底させ、どの政治家よりも拉致問題に力を注いだ安倍氏の功績を無視することでクロ現は一体、何を訴えようとしているのか。政治家安倍氏を貶めることが目的ではないかとの思いが拭えなかった。
        


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円安メリット生かす好機だ
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          高橋洋一

【⽇本の解き⽅】円安メリット生かす好機だ 古今東西、自国通貨安はGDPにプラス要因 金融引き締めで不況招いた「平成の失敗」を繰り返すな 

外国為替市場の円相場が一時、1ドル=150円近辺と1990年以来の水準となった。

円安は国内総生産(GDP)にとってプラス要因だ。これは、古今東西、自国通貨安は「近隣窮乏化政策」(Beggar thy neighbour)として知られている。

通貨安は輸出主導の国内エクセレントカンパニーに有利で、輸入主導の平均的な企業に不利だが、全体としてプラスになるので、輸出依存度などに関わらず、どのような国でも自国通貨安はGDPにプラス要因だ。もしこの国際経済常識を覆すなら、世紀の大発見だ。

このため、海外から文句が来ることはあっても、国内から円安を止めることは国益に反する。これは国際機関での経済分析からも知られている。ちなみに、経済協力開発機構(OECD)の経済モデルでは、10%の円安で1〜3年以内にGDPが0・4〜1・2%増加する。

その証拠に、最近の企業業績は好調である。直近の法人企業統計でも、過去最高収益になっている。これで、法人税、所得税も伸びるだろう。

しかし、マスコミ報道は、こうしたマクロ経済ではなく、交易条件の悪化などごく一部の現象のみを取り上げて「円安が悪い」と印象操作をしている。

「32年ぶりの円安」というが、1990年はバブル経済の絶頂から崩壊を迎えた時期だ。

当時のマクロ経済指標はどうだったのか。名目GDP成長率が7・6%増、実質GDP成長率が4・9%増、失業率2・1%、消費者物価指数上昇率3・1%と文句のつけようもない数字だ。

バブル期というと、ひどいインフレと思い込んでいる人もいるが、そうではない。

頭の体操だが、もし当時、今の「インフレ目標2%」があったらどうなのか。昨今の欧米の例をみても、4%くらいまでは金融引き締めをしないのが通例なので、金融引き締めをしてはいけないとなる。

実際には、マスコミが三重野康日銀総裁(当時)を「平成の鬼平」ともてはやして、金融引き締め(金利引き上げ)を後押しし、日銀もそれに従ったが、それは間違いだった。筆者の見解では、日銀はこの間違いを「正しい」と言い続け、間違いが繰り返されたので、平成不況の元凶になった。

90年と今との違いは対外純資産だ。90年末は44兆円だが、2022年6月末(1次推計)は449兆円。円安メリットは大きくなっている。その中でも最大のメリットを享受しているのは外国為替資金特別会計を持つ日本政府だ。

GDPをドル換算して「日本のGDPランキングが下がった」と言い、円安を悪いものとして煽る論調もあるが、円払いの給与がほとんどである日本人には無意味なことだ。むしろこれまでの円高で成長が阻害された結果を表しているとみたほうがいい。

しかし、外貨債を持っている日本人にとって円安メリットは現実のものだ。最近の円安によるGDP増加要因で、日本経済は1〜2%程度の「成長ゲタ」を履いており、他の先進国より有利になっている。

1990年の失敗を繰り返さず、この好機を逃してはいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月21日号採録
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★北野の基本的立場は親欧米、親中、親ロではない
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          北野幸伯


●黒化する世界〜民主主義は生き残れるのか?
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世界の現状と未来(たとえば中国、ロシアの未来も)
を知りたい方は、迷うことなくご一読ください。

今回は、ちょうどいい機会ですので、
私の基本的立場を明確にしておきたいと思います。
私は、親欧米でしょうか?
 違います。
私は、親中国でしょうか?
 もちろん、違います。
私は、親ロシアでしょうか?
 全然、違います。
私は、親欧米でも、親中国でも、親ロシアでもない?

 では、なんなのでしょうか?
私は、【親日本】です。
【日本の国益のみ】を考えて、情報を発信しています。

▼北野の情報発信、基本的な流れ?
実際にどんな情報を発信してきたのでしょうか?
メルマガ創刊から23年。メインテーマは、時と共に変わってきました。1冊目の本「ボロボロになった覇権国家アメリカ」を出版した2005年当時。

私のメインテーマは、「アメリカ発の危機が起こって、ア
メリカは没落する」でした。実際、2008年に危機が起こり、アメリカ一極時代は終わったのです。ちなみにこの本には、「中国は、08〜10年に起こる危機を短期間で克服し、2020年頃まで成長をつづける」とあります。

実際に、08年に危機が起こった。中国は短期間で危機を克服した。そして、2020年まで成長をつづけたのです。
さて、既述のように、08年の危機で「アメリカ一極時代」
が終わりました。そして、「米中二極時代」がはじまったのです。私は、08年出版の「隷属国家日本の岐路 〜 今度は中国の天領になるのか?」の中で、

「尖閣から日中対立が激化する」と書きました。

実際、2010年に「尖閣中国漁船衝突事件」があり、
2012年の「尖閣国有化」で、日中関係は戦後最悪になった
のです。

▼反日統一共同戦線戦略との戦い
ここから、次の大きなテーマに移っていきます。
中国は2012年11月、ロシアと韓国に

【反日統一共同戦線創設 】を提案しました。
@証拠↓
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf

中国は、ロシアと韓国に
・中ロ韓で、反日統一共同戦線を創ろう!

・中ロ韓で、日本の領土要求を断念させよう!

・日本に断念させる領土は、北方4島、竹島、尖閣、
【 沖縄 】である!

・日本に沖縄の領有権はない!!!!!!!

・反日統一共同戦線には、【アメリカ】を引き入れる!

私はこの情報を知って、「嗚呼!日中戦争がはじまった!」と思いましたそして、中国の【 反日統一共同戦線戦略を無力化させること】が私の大きなテーマになったのです。具体的にはなんでしょうか?中国の戦略は、日米関係、日ロ関係、日韓関係を破壊し、日本を孤立させ、破滅させることです。

だから、日本がとるべき大戦略は明らかでした。日米関係、日ロ関係、日韓関係を改善することで、中国の反日統一共同戦線戦略を無力化できるのです。日米関係はともかく、日ロ関係を改善すること、日韓関係を改善することには、強い抵抗があります。

それでも私は、ブレることなく、同じ情報を発信しつづけ
てきました。そして、安倍総理は、まさに「反日統一共同戦線戦略を無力化するために」行動してくださったのです。2015年4月、「希望の同盟」演説で、日米関係は最良になりました。

安倍総理は、リベラルのオバマさん、保守のトランプさん
お二人と親友になったのです。2015年12月、慰安婦合意で日韓関係が一時改善されました。「どうせ韓国が裏切る」と反対の声も多かった。しかし私は、「反日統一共同戦線を無力化する」という立場から、支持を表明しました。


2016年12月、プーチンが訪日し、日露関係は劇的に改善
されました。安倍総理について、背景を知らない人は、
「結局、北方領土は戻ってこなかった」などと批判します。しかし、そもそもプーチンは、北方領土を返す気が全然全然ありません。

だから、誰がやっても結果は同じです。それでも安倍総理は、ロシアとの関係改善に尽力されました。反日統一共同戦線戦略を無力化するためです。そして、安倍総理は、成功したのです。

2018年10月、ペンス副大統領の「反中演説」から「米中
覇権戦争」がはじまりました。安倍総理の功績で、日中戦争は、米中戦争に転化しました。日本は救われました。
しかし、油断はできません。日本には、親中派の政治家がたくさんいて、油断するとすぐ中国の方に行ってしまうからです。

私は、感情的反中派ではありません。ですが、中国が、
【 日本には沖縄の領有権はない!!! 】
と宣言していることを知っています。
だから、親中にはなれません。

▼北野は、「親ロシア、親プーチン」なのでは?
 さて、私は、
・アメリカの没落を予測し

・中国の反日統一共同戦線戦略の存在を暴露し、その無力
化戦略を提示したということで、私がファナテックな親米や親中でないことは、ご理解いただけるでしょう。

ところが、一つ疑念が残ります。
「北野は、親ロシア、親プーチンなのではないか?」です
私は、親ロシア・親プーチンなのでしょうか?
それとも親日本なのでしょうか?ウクライナ侵攻に対する私の言説を見れば、はっきりわかります。

私は、ウクライナ侵攻がはじまる前から、二つのことを主
張しつづけてきました。

・ロシアがウクライナに侵攻する可能性がある

・ロシアがウクライナに侵攻すれば、ロシアの【戦略的敗
 北】は不可避である


実際、ロシアはウクライナに侵攻し、戦略的敗北を喫する
ことが確実な情勢になってきています。ウクライナ戦争がはじまった時、もし私が親ロシア・親プーチンであれば、ロシアを支持したことでしょう。

実際、日本にも「親ロシア」の論陣をはっている人がたく
さんいます。彼らのロジックは、「プーチンは、悪のグローバリスト(あるいはディープステイト)と戦う、ナショナリストの英雄だ!」というものです。

私は、プーチンがグローバリストと戦っていることは否定
しません。ですが、「プーチンが善だ」という主張には絶対同意できません。もしプーチンがグローバリストに勝利し、新世界秩序をつくる権限を得たとしましょう。
彼は、どんな新世界秩序を作るのでしょう?

もちろん、「彼がロシアを支配しているように、世界を支
配する」となるでしょう。つまり、言論の自由が全然ない世界。「反戦」と書いたプラカードをもって外に出れば、逮捕され、最長懲役15年の実刑を受ける世界。

私は「親プーチン派」に問いたいと思います。
「日本が、ロシアみたいな国になっていいのですか?」
「ロシアみたいな世界になっていいのですか?」と。

というわけで、どうも北野は「親ロシア、親プーチン」で
はなさそうです。私は、ロシア外務省附属モスクワ国際関係大学を卒業しました。そこで、「国益をすべての中心に据えて考える習慣」をつけさせられました。

私は、「ロシアの国益」ではなく、「日本の国益」を常に
第一に考えて情報を発信しています。そして、その国益は、「長期的」「大戦略的」「大局的」なものです。
今、日本は岐路に立たされています。日本国内には、親中派と親ロシア派がたくさんいます。もちろん、日本には言論の自由がありますから、何をいってもいいでしょう。

しかし、日本が独裁国家側につけば、日本は
【また敗戦国】になります。私は、日本が戦勝国になり、真の自立を成し遂げる方法を常に示しつづけていきたいと思います。           


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 ミサイルは中国にも照準
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
   令和四年(2022)10月15日(土曜日)弐
         通巻第7493号  
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●小誌、明日(10月16日、日曜日)は休刊となります!
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軍事地政学からいえば北朝鮮のミサイルは中国にも照準
  北京は金王朝の暴走をいかなる歴史感覚で認識しているのか?
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 北朝鮮の核ミサイル、数十発が日本海へ、日本のEEZへ、そして本土を越えて太平洋まで飛翔し、つまりは日本列島全体を蔽う攻撃能力を誇示する。日本の議論は、北朝鮮がいずれ韓国を従えて、日本攻撃を狙うという軍事脅威論が主流である。

 はたと考えた。ミサイルの射程地図を『あちら側』に伸びしてみよう。すると樺太(サハリン)、沿海州、旧満州国の殆ど(現在の中国遼寧省、吉林省、黒竜江省、内蒙古、河北省から山東省、山西省、河南省、湖北省まで、つまり北京、天津、鄭州、洛陽、太源、青島、済南を超えるのだ)。南へ転ずれば、上海から寧波を飛翔して、はるか温州あたりまでが北朝鮮の核ミサイルの射程内だ!

 中国が安全保障上の基本として、隣国の軍事力は脅威という認識を体質的に持っており、「この野郎、生意気な」と金親子三代のことを思っているに違いないが、すでに核開発を終え、実験を繰り返し、小型化に成功したという情報もある。ミサイルに小型核を装填したと推定されている。ならば最大の脅威を感得するのは韓国であるべきだが、感度が鈍い。日本は非常事態にあるにも関わらず防空壕もシェルターもない。防御ミサイルがアリバイ証明的にちらほら。つまり国防意識がゼロに近い。

さて北朝鮮の核を中国がなぜ脅威と認識するのか。
 簡略ながら歴史を辿ってみよう。高句麗の建国は紀元前、668年に滅亡するまで栄えた。軍事力に突出していた。二世紀に後漢で起きた黄巾党の乱で、シナの王朝が衰えた隙に乗じた高句麗は、北部へ進出し、あちこちに山城を造成し、現在の吉林省集安を拠点とした。集安はこじんまりとした街だが、鴨緑江をこえるとすぐ北朝鮮であり、広開土王の石碑は、この地で発見されたのである。

 高句麗は最盛期に現在の北朝鮮から沿海州、中国吉林省南部と遼寧省から、韓国の北部半分を抑えていた。当時の地域大国だった581年に隋が建国され、冊封体制に入るものの高句麗は隋に従う気配はなく、590年に最初の抵抗を示した。文帝が死ぬと隋は煬帝となって、598年に水陸30万の遠征軍をおくりこんだ。ころが。燎河の洪水で隋軍の進撃が阻まれてしまい、撤退した。また突厥の台頭があって隋は高句麗だけを相手にしている場合ではなかった。

 612年、隋の煬帝は満を持して百万の軍を派遣したが苦     戦の末に撤退した。 
 613年 進撃途中に兵站が切れて、又撤退した。
 614年 軍派遣するも隋国内に反乱が起こり退却する。
 617年 煬帝はまたしても軍派遣を準備したが沙汰止みとなる。さんざん手こずって、結局、随は高句麗に勝てなかった。

 日本では百済、任那府との関与が深く、隋と高句麗の戦線状況を把握していた筈である。645年に大和朝廷は乙巳の変で蘇我氏が滅亡したが、この同じ年に、唐の太宗は十万を高句麗に派遣し、激戦しつつ進撃をしたが、やはり撤退を余儀なくされた。新羅が唐に援軍を求めた。

 647年、648年に 唐は遠征に失敗したが、660年に13万の軍をおくり、大々的に百済を攻撃し、662年に百済は事実上滅んだ。日本に亡命していた王子に5000の兵をつけて、天智天皇は百済救済に立つが、白村江海戦で唐海軍に敗れ、撤退した。
 
 高句麗が滅亡したのは668年である。
そこで新羅が恩ある筈の唐に造反し、失敗して遺臣等は日本に亡命してきた。彼らを武蔵国に集団移住させた。その名残が、高麗神社である。

 高句麗にかわって30年後に渤海国が698年に建国された。渤海は安全保障のため遠交近攻策をとり、じつに72
7年から919年の間に34回、「朝貢」のため日本に来た。現在ロシア沿海州のポジェト港あたりから出向し、前半は出羽、佐渡島などに漂着した。後半は能登以西の港に着岸した。ヤマト王朝は最初歓迎したものの「朝貢」というからには日本の方が負担が大きく、夥しい土産、物資が必要となり、やがて12年に一度の制度としたうえ、最後は「もう来なくても良い」となった。かれらは情報収集の傍ら朝貢の返礼品が目的で、交易で巨富を得ていたのだ。(渤海使の一覧は拙著『葬られた古代王朝「高志国」と継体天皇』(宝島社新書)にあります)。

 つまり、中国の皮膚感覚としての高句麗の脅威は、現在の北朝鮮の核戦力の脅威に連結している。
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●小誌、明日(10月16日、日曜日)は休刊となります!
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 ラオスが99年リースを認めた北部「経済特区」は一帯一路絡み 中国マフィアの犯罪の巣、すべての犯罪がカジノ地区につながっていた
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 メコン河流域、ラオス、タイ、カンボジアの流域にはなんと240軒ものカジノホテルが立ち並んでいる。とくに「黄金の三角地帯」には、マカオやラスベガスに匹敵する「ロイヤルロマンカジノ」が店開き、建物、装飾品、天井絵画、調度品など豪華さを競うが、これらはマカオのカジノそっくりである。

 ラオスのポケオ空港に近い場所3000ヘクタールを、ラオス政府は中国企業に99年のリースを認めた。特別経済特区(GTSEZ)は習近平の目玉「一帯一路」との連結と謳われた。やって来たのは趙偉。知る人ぞしる、「14k」のボス(14kは「新義安」などとならぶ中国マフィアの最大やくざ集団)。何がおこなわれていたか。誘拐、人身売買、ドラッグ、マネロン、ビットコイン取引、そしてオンライン詐欺だった(サウスチャイナモーニングポスト、10月14日)。

「麻薬は2021年に172トンが押収され、ラオスでの取引が6倍になった」(アジアファイナンス、6月26日

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)15日放映のフロントジャパン(宮崎正弘 vs 大高未貴)は、下記のサイトでご覧になれます。「桜チャンネル』別館のほうです。
https://www.youtube.com/watch?v=HCYx-vfpj58


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 編集長ピックアップ
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         中村将

 原則5年に一度の中国共産党大会が北京で開かれています。習近平総書記(国家主席)の3期目続投は確実で中国は今後も「強権」を世界に示していくことになるでしょう

 習氏は党大会初日(16日)に行った政治報告で、「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と宣言しました。武力による台湾統一も選択肢から排除しない姿勢を鮮明にしました。習氏はまた、新疆ウイグル自治区や香港における「強権」統治に自信を深めており、力で抑止する政策を一層強化するでしょう。
▼習氏、「強大な戦略抑止力構築」 核戦力強化へ

 週末の22日に党規約を改正し、中央委員らを決定。党大会は閉幕する運びです。党大会期間中、側近らの口からは習氏を礼賛する発言が相次いでおり、権力基盤はより強固なものになりつつあります。翌23日には最高指導部が選出され、3期目の習指導部体制が発足する見通しとなっています。
▼習氏側近多数、最高指導部入りか 党大会で忠誠アピール相次ぐ

 中国の動向、特に東・南シナ海を含むインド太平洋への野心的な海洋進出は周辺国にとっての大きな脅威となっています。党大会閉幕と同じ22日、岸田文雄首相はオーストラリア・パースでアルバニージー首相と日豪首脳会談に臨みます。

 中国を念頭に置いた新たな安全保障宣言を両国が打ち出すべく調整が行われているもようです。「強権」に屈しない枠組み作り、同盟に準ずる関係強化を世界に発信できるかが注目されます。今週末もニュースから目が離せません。
▼<独自>日豪首脳、新安保宣言発表へ 「準同盟国」 中国念頭に連携強化
▼【宮家邦彦のWorld Watch】日豪、第3の「島国同盟」なるか


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重 要 情 報
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◎国の内外の話題からー小室圭氏がニューヨーク州の司法試験(bar
exam)に合格他:前田正晶

三度目の正直か:

この小室氏の合格は何と言って評したら良いか解らなかった。今週発売の週刊新潮も週刊文春は、ともに小室氏が不合格になった事を前提にしたかの如き前提の記事を掲載していた。私自身は小室圭という人物には余り好感を持っていなかったのだが、それでも「この両誌は随分と大胆なことを言っているな」程度に捉えて読んでいた。彼らは弁護士となった小室氏と真子さんに「名誉を傷付けた」とでも訴訟でもさることもあろうかとは考えていなかったのかと、一寸だけ考えた。

私の感想は「小室氏は鉄の如き意志を以て眞子内親王と結婚し、アメリカに渡って司法試験に何度でも挑戦して弁護士の資格を獲得して、ニューヨーク州で華々しく活躍するとの目標を立てて、形振り構わず挑戦して結果を出した大変な立志伝中の人物」なのか、あるいは「単なる向こう見ずの皇室の内親王の夫となる事の是非も当否も顧みずに、秋篠宮ご夫妻の了解もなしにアメリカに渡ったおかしな人物か」に過ぎないのかは理解不能なのだ。


私は恐れを知らずにアメリカの会社に転進し、事業部内のただ一人の日本人というかアジア人として、異文化の中で異国の言語を使って20年以上も働いた経験がある。それが簡単な場合もあるにはあったが、それほど容易な道ではなかったことは身に染みて解っている。小室氏はアメリカの大学で勉強しただけで、法律事務所で新参の弁護士として異国で働く事の大変さを、どのようにして切り抜けてlawyerとしての地位を確立するかが、今後の重大な課題のように思える。

リズ・トラス首相が辞任:

先週のことだったか、ジムのサロンで僅かな時間を作って、暫く振りにNew York
Timesの一面だけをザット見て(「読んだ」とは言えない)みた。一面のトップに「UKのトラス首相は減税政策を撤回したので困難な事態に直面している」というのがあった。「なるほど。新首相は困難な事態に直面しているのか」と知り得た。それが、アッという間に現実となって、在職45日で辞任となったそうだ。

昨日、今となってはめっきり衰えた英語の聞き取り能力を駆使してトラス首相の辞任の弁を聞いていた。面白いなと感じたことは、彼女は「保守党の党首を辞任する」と言っただけで、総理大臣を辞めるとは聞こえなかった点だった。首相の辞任はその先のことだとの解説もあった。私がもう一つ面白いと受け止めたことがあった。それは、トラス氏はsituationを「シチュアイション」と発音されたこと。これは余り高級とは看做されないLondon
cockneyなのだったから。

旧名統一教会関連の問題:

立憲民主党の参議院議員・打越さく良氏が山際大志郎大臣に「統一教会の信者か」と質問したことが、「憲法違反である」と物議を醸していると報道されている。打越さく良とは聞き慣れぬ名前なので検索すると、東大出身の弁護士とあった。そういうお方が憲法違反の廉を問われる質問をするとは如何なものかと言うよりも「他人の信仰を問うことが憲法違反になる」のが印象的だった。


所謂「ミッションスクール」ではない上智大学には、私の在学時には「神学生」、「信者」、「一般学生」の別があった。我々というか私のような一般学生の間では、ごく自然に「君は信者かい」と尋ねたものだった。そういう事を訊くのが憲法違反になるとは知らなかった。


私には打越さく良氏が軽率だったのか、それとも何か信念があって岸田内閣の問題児の如き存在となった山際大臣を追い詰めようとされたのかなどは知らない。だが、旧名統一教会の処理問題の核心はこんな所にあるとは思えない。岸田総理が一大決心の下に(支持率の回復を企図されたとの報道もあるが)質問権の行使までに踏み切られたのだから、野党としてもより広い視野で物事を見て質問をして貰いたいものだと思っている。

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身 辺 雑 記
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23日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年10月22日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6297号
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2022(令和4年)年 10月22日(土)



    バイデンの学費借金免除をストップ:AndyChang
     
      米で提唱、あと5年「日本再軍備」:有本香

        バイデン氏、マリフアナ所持:渡辺浩生

       国民を救わない政府はいらない:三橋貴明        

          明日から中国共産党大会:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
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バイデンの学費借金免除をストップ
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          AndyChang


AC 論説No. 914

中間選挙の投票日まであと20日となったが毎日のニュースは候補者の応援ばかりで新しいニュースがな
いが、今日はウイスコンシン州の納税者グループがバイデンの大統領命令で学生の学費借金を免除する
とした大統領命令をストップするよう最高裁に緊急提訴した。ウイスコンシン州はリベラルが多い州で
知られているが、サヨク州でも納税者がバイデンの大統領命令に反対するようになったのだ。

バイデンは一ヶ月ほど前に、政府の学生ローンで多額の借金を負っている年収12万5千ドル以下の独身
者、或いは年収25万ドル以下の夫婦の卒業生が返済を続けているローンのうち、1万ドルから2万ドルの
免除をすると言う大統領命令に署名した。バイデンの命令は明らかに就職している若者の選挙票を獲得
するため、つまり若者の票を買う違法行為である。

年収12万ドルのサラリーマンなら生活に充分な余裕があるのに、彼らの借金を免除したツケは多くの年
収12万ドル以下の貧乏人を含む一般納税者が負担することになる、甚だ不公平である。

ウイスコンシン州の納税者グループが最高裁に提訴した理由は、国家の税金収入や財政支出は国会の任
務と権利であり、国民の税収をどのように使うかは国会が決める。大統領には国の財務を左右する権利
はないから大統領命令で国家の金を左右するのは憲法違反である。

バイデンの借金免除令は既に発表した直後の9月からアーカンソー、アイオワ、カンサス、ネブラスカ及
びサウスカロライナの共和党州が連名で大統領命令をストップすると発表していたが、サヨク州はス
トップしていなかった。それで今回はサヨク州の納税者グループが最高裁に提訴したのである。

アメリカの学費ローンプログラムは膨大な赤字を抱えている。大抵のローン保持者は大学を卒業してサ
ラリーマンとなった後も政府が決めたギリギリの最低額しか返済しない。返済する能力があるけれどな
かなか返さないのだ。

報道によると学生ローンを抱えている人数は4300万人で、バイデンの大統領命令で彼らのローンを1万ド
ルから2万ドルほど免除すれば総額で4.3億ドルが免除され、その金額は国民全体の負担となる。バイデ
ン大統領が国会の税務捜査に介入すれば4億ドル以上が学生ローンを抱えていない国民の肩にかかって来
るのである。


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米で提唱、あと5年「日本再軍備」
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【有本香の以読制毒】米で提唱、あと5年「日本再軍備」は間に合うのか 萩生田氏「ミサイル」抑止の提言も無視 あきれた日本の大メディア報道の腐敗 


安倍元首相の最側近だった萩生田政調会長は国会質問で日本の危機を直言した「分析=日本が2027年をめどに再軍備急ぐ―中国の台湾への野望」(筆者訳)

19日の朝、ロイターの(ネット・英語版)が、こんな見出しの記事を掲載した。
記事の概要はこうだ。16日から中国・北京で共産党大会が開かれるなか、日本は、5年後(27年)の次の党大会までの間に起こる可能性のある東アジアでの戦争(=中国の台湾侵攻から始まる)を抑止するため、第二次世界大戦以降で最大の軍備増強に着手する―。

筆者がつかんでいる「防衛費議論の中身」とはかなり違うが、ロイターの記事は、日本の大転換を詳述した重要な内容である。しかし、不思議と同日夕方になっても、日本語訳はアップされない。日本人研究者、防衛省関係者のコメントが載り日本人記者2人の記名記事にもかかわらずだ。

わが国においては、外国メディアですら、「軍事を横に置く」傾向が強い。そして、純日本のメディアはと言えばさらにひどく、世界がかくも緊張し、とりわけ東アジアが一触即発に向かうかという中にあってもまだ、「統一教会ガー」とわめいている。

特に驚き、あきれたのは、17日の衆院予算委員会で、自民党の萩生田光一政調会長が質疑に立った直後の報道だ。

萩生田氏は、中国がわが国のEEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイル5発を撃ち込み、北朝鮮も弾道ミサイル発射の頻度を上げているいま、「安倍総理がご存命ならどうされていただろうか、と思わない日はありません」と、安倍晋三元首相の不在を嘆いた。

そのうえで、萩生田氏は、ジョー・バイデン米政権が先週発表した「国家安全保障戦略」に触れ、「最も差し迫った課題は、権威主義的な大国による国際平和と安定への挑戦だ」と明記したと強調した。さらに、「(中国や北朝鮮に対して)抗議を繰り返すだけでは、国民の命と平和な暮らしを守りぬくことはできません。必要なのは、言葉ではなく抑止力であります。『撃つなら撃つぞ』という能力を明確に示すことで、わが国へのミサイル攻撃を抑止する。これこそが国民の命と暮らしを守る道」と言い切っている。

与党の幹部が、これほど明瞭に、わが国の危機的な現状と、国防の現実論を国会で述べたことは、良い意味での大事件だ。しかし、直後の時事通信ネット版は、萩生田氏の質疑をこう速報≠オた。「旧統一教会との関係陳謝 自民・萩生田氏」

萩生田氏の「ミサイル抑止」の提言は無視。そして、またも「統一教会ガー」である。

昨今の地上波キー局での、「悪質な虚偽報道」の顚末(てんまつ)などと合わせてみると、日本の大メディア報道の腐敗、これ極まれりの感すらある。

一方、米国では、アントニー・ブリンケン国務長官から、台湾危機について重要な発言が飛び出した。

カリフォルニア州のスタンフォード大学で17日に開かれたイベントで、ブリンケン氏は「中国の台湾に対するアプローチには近年変化があった」と発言した。中国は「現状維持は、もはや受け入れられないという基本的な決定を下しており、かなり急ピッチなタイムラインで統一を目指す決意を固めている」という認識を示したのだ。中国の台湾侵攻「前倒し論」である。

そんな中でも、日本の国会内には、「国葬ガー」「統一教会ガー」という騒音だけがこだまする。

ロイターが言う、「再軍備」も決して順調ではない。自衛隊のみならず、海上保安庁の予算まで含めて計上し、「防衛費GDP(国内総生産)比2%」にしてはどうかという、筋悪な議論まで起きている。そんな「ゴマカシ」をするのなら、まず海保を公明党の大臣が座り続ける国交省から切り離して自衛隊の下につけ、海保法を改正、他国の海上警察並みに武器使用できるよう改組するのが先だ。

16日のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」放送中のアンケートでは、日本は「強力な反撃能力が必要」と答えた国民が、実に87%を超えた。サンプル数5万超の調査、信頼に足る「国民の声」と見ていいだろう。

岸田文雄首相におかれては、財務省よりこの声に対し、「聞く力」を発揮していただきたいものである。

■有本香(ありもと・かおり)ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月21日号採録

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バイデン氏、マリフアナ所持
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          渡辺 浩生


「免罪」 中間選へ表明

【ワシントン=渡辺浩生】11月8日の米中間選挙を前にバイデン大統領がマリフアナ(大麻)の所持で逮捕された国民を免罪する考えを示した。逮捕率が黒人に偏っているという人種問題を是正する狙いがあるが、マリフアナ合法化を求める若者層の支持を得たい思惑も指摘されている。政権は社会問題化した学生ローンの返済減免も発表。中間選を控えた¢蜚ユ振る舞い≠共和党側は問題視する。

「多くの人生がマリフアナへの誤った取り組みで翻弄された」。免罪が発表されたのは選挙約1カ月前の今月6日。各州知事に同様の措置を促した。

ホワイトハウスによると、免罪されるのは1992年から2021年までに連邦法により逮捕、有罪判決を受けた約6500人。現在マリフアナ所持のみで刑務所に収監された者はいないとしており、逮捕歴の消去が主な恩恵となる。

バイデン氏は「大勢が雇用や住宅、教育の機会を否定された可能性がある」とし、白人と黒人でマリフアナの使用率が同程度なのに逮捕率は黒人の方が高い状況を改める考えも示した。

1980年代以降の麻薬取り締まり強化により、マリフアナ所持で黒人が集中的に逮捕されたとして、人権団体などが是正を求めてきた。全米自由人権協会(ACLU)によると、黒人の同所持の逮捕率は白人の3・64倍という。

マリフアナは政府麻薬取締局により、ヘロインや合成麻薬LSDとともに危険度が最も高い薬物に区分されており、バイデン氏はその見直し検討も保健福祉省に指示した。

背景にはマリフアナ合法化の流れがある。現在40州近くで医療目的の使用が認められ、19州とワシントン特別区は嗜好(しこう)目的を合法化。中間選で合法化を問う住民投票が5州で行われる。


米ピュー・リサーチ・センターの世論調査では18〜29歳の70%が合法化を支持。米紙ワシントン・ポストは社説で「(バイデン氏の)政治的思惑を探るのは難しくない」とし、若者の支持を得る狙いを指摘した。

ただ、犯罪対策を重視する共和党には「バイデン氏は犯罪の荒波の最中で麻薬犯罪者に全面的免罪を与えた」(コットン上院議員)との批判がある。レーガン政権で教育長官を務めたウィリアム・ベネット氏も米紙ウォールストリート・ジャーナルへの共同寄稿で「悪いときに悪いサインを与えた」と他の犯罪を助長する危険性を指摘した。


バイデン氏は8月、最大4300万人を対象に学生ローンの返済を減免する措置も発表した。議会予算局は今後、約4200億ドル(約62兆円)の歳出が必要と試算。議会を通さず大統領権限で決めたことを共和党や保守層は「憲法違反」と批判し、訴訟にも発展した。
        

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国民を救わない政府はいらない
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           三橋貴明

経済対策の取りまとめ期限が迫ってきておりますが、
話はシンプルで、日本国民が、「コストプッシュ型インフレにより、国民が可処分所得減少に苦しんでいる」という問題を抱えている以上、

1.短期的に国民の可処分所得を増やす
 1A 消費税の廃止(最低でも減税)
 1B ガソリン税廃止 
 1C 電気代高騰対策(※ガス代も)
 1Ca 再エネ賦課金徴収停止
 1Cb 燃料費調整額徴収停止
 1D 給付金(※給付金は
色々なパターンがあるため、細部は省略)
2.長期的に食料・エネルギー自給率を引き上げる政策が「正しい政策」になります。

 とりあえず自民党は1Aの消費税廃止は「絶対に」やらないでしょう。1Bのガソリン税についても、「燃料油価格激変緩和補助金」を一応、継続しているため、やらない言い訳はある。となれば、焦点は1C「電気代」と1D「給付金」に絞られるわけですが・・・。

『自民が経済対策提言電気代負担軽減重視
首相「国民に安心を」自民党の萩生田光一政調会長は18日、首相官邸で岸田文雄首相と面会し、今月内に政府が取りまとめる総合経済対策に向けた党の提言を手交した。

電気料金の負担軽減を「一丁目一番地」と位置付け、前例にとらわれない思い切った対策を講じるよう求めた
(中略)エネルギー価格の上昇に関しては、電気料金の負担増を直接的に緩和する対策のほか、ガス料金高騰についても電気とのバランスを踏まえて対応するよう求めた。

 円安のメリットを生かした訪日外国人観光客(インバウンド)需要回復の環境整備や、スタートアップ(新興企業)への重点投資といった「新しい資本主義」を加速させる取り組みなどを訴えた。

  党の提言に具体的な必要経費は盛り込まれなかったが、総合経済対策の規模をめぐっては、自民の世耕弘成参院幹事長が18日の記者会見で「真水(国の財政支出)で30兆円が発射台だ」と改めて強調。

 萩生田氏も首相と会談後、記者団に30兆円を目安に積み上げていく考えを示した。「規模も中身も大事だという認識で(首相と)一致した」とも語った。』この期に及んで「インバウンド」って・・本当に情けない国に落ちぶれたいつから我が国は途上国になったんだ(なったのか・・)

 本来は、昨日のエントリーのように政府が「製造業の国内回帰」のためのインフラ整備、エネルギー供給安定化のために支出し、さらには上記の2の「自給率を引き上げる政策」をするべきなのですが、「政府がカネを出す」政策は、どうしても嫌!だからこそカネを出していただくのは「外国人様に」という理屈でインバウンドなのです。


よくよく考えてみると、「安全保障はアメリカ様に」とやっている日本が、経済政策で「自主独立」などできない
という話
なのかも知れません(インバウンドでなくても、外需大好きだし)もっとも、電気料金負担を「直接的に緩和する対策」という方向性や、「真水30兆円が発射台」という姿勢は評価します。


 100%の政策は求めません(日本だし・・・)。
せめて、現在、コストプッシュ型インフレに困窮し、未来を絶望視している国民が一息付け、将来不安を多少なりとも払しょくできるような政策を望みます。

国民を救わないならば、
国家も政府も政治家もいらないんだよ!
           

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明日から中国共産党大会
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月15日(土曜日)
         通巻第7492号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜明日から中国共産党大会。習近平三期目は確実だが
 「習を罷免せよ」の横断幕が北京の高速道路橋桁に登場
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北京市内の高速道路交差の橋桁に「習近平、辞めろ!」などと大書された横断幕が出現し、たちまちネットに拡大した。当局が気付いてネットから削除したが、全世界に映像が流れ出したあとだった。

10月13日の出来事で、習近平批判の横断幕には「領袖不要、投票用紙要」などと書かれていた。独裁者はいらない、民主的な選挙をという意味である。
また「独裁国賊習近平を罷免せよ!」「文革はいらない、改革が必要だ!」などと痛烈な批判の出現は中国民衆の強い欲求が現れている。習を「国賊」と表記したことも珍事といえるだろう。

 おりから共産党大会直前、北京市内は厳戒態勢にあり、習を「領袖」と呼ぶ党規約の改正も取りざたされている。側近ばかりで周りと固める習の強権ぶりから、文化大革命の再来への懸念も云々されている。

 横断幕が貼られた現場は海淀区で警戒地域からは遠く、朝陽区など中心街からはバスで一時間ほどかかる地域なので警備の隙をついて複数の活動家が行動したと推測される

民衆の不満は第一に経済、とりわけ猛烈なインフレだ。九月速報で豚肉が36%上昇。ガソリンが19%、果物が18%、生鮮野菜が12%の値上げとなった。
 
 経済政策策定の中心だった劉鶴が定年で政権を去るため、あたらしい経済担当部署には福建省時代からの習近平のバレーボール友達が就くという観測があがっている。それは何立峰(国家発展改革委員会主任)で、厦門時代の習近平の部下。

また公安筋を握るトップの座に就くとされるのは福州時代の部下だった王小洪で、すでに2021年11月から公安部党委員会書記のポストにある。
党大会直前、まだまだ異変が続出しそうである。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)新刊『徳川家康 480年の孤独』(ビジネス社)、すごく面白かったです。日本史には暗いので、わからないことばかりで、家康に関しても、私はバイアスのかかった認識を持っていたのだと痛感しました。
世の中、人間が権力や覇権を求めるのは古今東西どこも同じですが、昔はそれを武力やインテリジェンスの能力で勝ち取ったのに対し、今ではまず選挙で勝たなければならないため、人間に備わっている各種能力が、選挙で勝つことにばかり使われて、全くダメになってしまいました。
戦国時代の武将たちの知恵や作戦や謀略や情報収集能力を知ると、「民主主義」こそが害毒のような気がしてきます。家康がハイテク情報将校を持っていたというのも面白かった。東京を家康が作ったという認識も、今の今までありませんでした。
それからプーチンのウクライナ侵攻の原因の一つとして、ウクライナがロシア正教から離れたことを指摘なさっているのも、面白いと思いました。プーチンには信仰がありますよね。そうは思っていない人が多いと思いますが。。。
また、戦国時代の出来事を、今の事象に重ね合わせて、あちこちで比較なさっているのが、とても面白かったです。その通りと思うことが満載でした。
  (EK子、杉並)

   ♪
(読者の声2)「ウクライナ戦争について雑感」
 一、核兵器対応
ウクライナ戦争は、劣勢のプーチンが小型核の攻撃を何度も持ち出すので、西側では核兵器の実際的な効果が論じられるようになった。この結果、今ではロシアがウクライナの都市に原爆を落としても戦争は終らないということになってきた。伝家の宝刀が効かなくなってきたのだ。
そしてロシアや中共では核兵器が通常兵器と区別されていないという。核の使用を決めるのは外国だから、日本は核攻撃に備えなければならない。それはシェルターの整備と反撃能力による抑止だろう。これは戦後の国防発想の大転換になる。憲法九条は何の意味もない騙しだったのだ。

 二、地政学の見方
ロシアは欧亜にまたがる大国なので、ウクライナの戦争は日本も当然影響を受ける。

第一は地政学だ。ウクライナと日本は地政学的にロシアという共通の敵を持つから、間違いの無い友邦である。日本にとってウクライナは今後重要な国になるだろう。ウクライナ人は、過去の大戦争、大災害にめげずすぐに立ち上がる日本民族に強い関心を持っており、今後の復興のノウハウを知りたいという。戦後の混乱を体験した母は、日本人は大変な能力のある民族だから、多少のことでは負けないとよく言っていた。今回の危機にあたっても日本人は大いに自信を持って対応したい。
 
第二は寝ていた子を起こしたことだ。
戦後日本はソ連に文化的に支配されてきた。政治、教科書、新聞、出版、演劇などに左翼の影響が有り今も続いている。健全な日本民族主義が抑圧されているのだ。それがウクライナ戦争で封印が解けた。それを象徴するのがウクライナによる北方領土の日本帰属決議とこれに対するS議員のありがた迷惑論だ。折角日本人を騙して安楽死させるところなのに、目を覚ましてしまう、という意味だ。恐ろしいことだがこれが日本の国会議員の発言なのだ。この戦争は日本正常化の契機になるかもしれない。そのためには、新しい愛国集団が必要に思われる。それは欧米啓蒙主義の自由や平等では無く、実績のある日本民族の生態を綱領とする集団になるだろう。
  (落合道夫)

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(読者の声3)ウクライナ問題ですっかりイスラエルの動向が伝わりませんが、総選挙が近いのではないですか? ウクライナ問題で立場が曖昧なイスラエルは現在の政権が野党の野合でなにごとも決められないからだといわれます。(SD生、足立区)


(宮崎正弘のコメント)イスラエルの総選挙は11月1日です。まもなく次期政権がきまりますが、リクード優勢のながれですね。この三年半で五回目の選挙です。
 10月12−13に行われたイスラエルの世論調査では、リクードが3議席増やして、32議席で第一党となり、連立工作を開始、ネタニヤフと連立を組む政党を併せ、62議席獲得の模様と言います(国会は一院制で120名)。
 ということはネタニヤフ政権の復活が政治日程にはいってきたという状況でしょうか。

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(読者の声4)英国のサイトを見ていたら Kwasi Kwarteng
財務大臣解任のニュース。9月6日組閣から40日足らず、激しいインフレ、緊縮予算と富裕層の減税公約取り下げ、国債の買い入れ停止、ポンド安といいことなし。
後任は Jeremy Hunt 。BBCや Guardian の記事では財務大臣は
chancellorでありGoogleでは首相と翻訳されてしまう。どうも米語に特化しているのか英国その他の国の英文翻訳では意味が取りづらいことがある。14日のロンドン・ナショナル・ギャラリーでは「JUST
STOP
OIL」と書かれたTシャツを着た2人の若い女がゴッホのひまわり(8200万ドル:120億円)にトマトスープを投げつける事件発生。
https://tass.com/society/1522787
https://www.theguardian.com/environment/2022/oct/14/just-stop-oil-activists-throw-soup-at-van-goghs-sunflowers

 動画を見るとHEINZのスープを投げつける前からカメラが待ち構え、絵はガラスで保護されており、アメリカや日本のデモなどと同じく仕込であるとわかる。ニュージーランドでは牛のゲップに対する課税案、オランダでは無茶苦茶な脱炭素で農家を圧迫、欧米では人造肉やら虫を食べましょうとのキャンペーンまで始まっている。これもまたグレートリセットの一環かもしれない。(PB生、千葉)

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(読者の声5)長い間、人類は天動説を信じていたが、ひとたび地動説が「科学的に証明」されると、天動説を流布し、人民を惑わす偽科学者が再起することはない。故に、科学、科学者は尊敬され信じられ、人類が進歩する。近未来に世界的な飢餓が予想されるが、かつて日本でも娘が売られた、つまり売春婦となり本人は犠牲となって、親、兄妹を飢餓から救った。最近では、気が変わって、高校生が援助交際で得た金で高級ブランド物を自分の見栄のために使う。同じ交際・行動でも、倫理観によって善と悪の違いになる。とにかく、とりあえず、今、「欲しいものが欲しいわー」社会主義・共産主義においても経済学があり、完全自由資本主義、無政府主義の経済学もあり、色々な経済学説が存在し、場所、時に応じて、自由に選択ができる。
つまり本人、人民を説得し、国を運営するための「手段」脚本の様な便利な道徳規範的な役割を演じているのが経済学であり、経済学者とは、その様な文学を書き、但し書き、統計、証明、や解釈を与える。彼らの主な購入者・客は政府の指導者であるので、「評判の良い売れる」作家になるには、客・政治家の望んでいる事をやらねばならない。巨大な金融業界も大切な客、天下り先でもある。 
 
その様な雇用状況で勝ち残った者に、今回の経済ノーベル賞がバーナンキ氏に与えられた。あらゆる賞は、遅延性であり、「業績」が確定され評価が確立した段階で、与えられる。しかし高名な俳優の過去の悪行が発掘され、評判が落ちることもある。現在、世界中で一般化した大変便利で効果のあるMMT理論を生み出した教祖の一人がバーナンキ氏である。2000年、2008年と二回も世界金融危機から救った経済理論が、今回も機能すれば、氏の受賞はしばらくの間正当化されるが、世界が崩壊すれば、賞が取り消しになるかも。 氏の前任者グリーンスパン氏からFRBが、独立性を失い政治に迎合し荒廃しズルくなった。しかし最近になって、その前任者の善人ヴォルカー氏の亡霊の主張・処方箋が聞こえるようになってきた。

つまり、その違いとは、バ、グ両氏は強力な痛みどめの麻薬を患者に与え、先送りし、ヴォルカー氏は苦しいが厳しい外科手術を断行し患者を救った(病気が末期では、手術中に患者がお亡くなりになる事もあるので、麻薬で安楽死を勧める日本の医師もいる。麻薬をたくさん与えれば必ず病気が治る、という珍説を有難がる信者も多い。或いは戦中の軍部の心理、自己の間違い失敗を認めるよりは、集団心中・1億総玉砕で凄惨な精算を望んでいるのかも。 政治家、教祖様、経済学者に従っていると、破産したり敗戦する)
https://www.zerohedge.com/markets/ben-bernanke-winning-nobel-prize-economics-sick-joke(英文、バーナンキ氏の悪口)。
(在米のKM生)


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重 要 情 報
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 ◎北村維康
*NHKのやり方を見てゐると、これは本気で日本を潰さうとしてゐるやうである。それをしてゐる主体は、日本が台湾と仲良くすることを蛇蝎のやうに嫌ふチャイナ共産党とか、自分の国の建国の理念が日本と闘って勝利したといふ全くの妄想である韓国とか、その他日本の優秀性に嫉妬してゐるアメリカとか、様々であるが、また日本国内にもそれらの手先が盤踞してゐて、反日活動に勤しんでゐるのである。


 フン、何を言ってやがんでい!と我らは対抗策を講じなければならぬ。11月23日(水曜日、祝日)には、渋谷でスクランブル・デモをやるさうだ。スクランブルとは、WOWOWの画面を見ると、未契約なら画像が来ないから、画面はシャカシャカで、何も見えない。NHKも受信料を取りたければ、見たい人と契約して、その人から金を貰ひ、その人だけが見られるやうな電波を送れば良いのである。そのシャカシャカが、フライパンの上で卵をかき回して作ることを、スクランブル・エッグといふ。それに似てゐるから、渋谷駅前の交差点も、スクランブル・交差点と言ふ。一回の青信号で、何と3千人が横断するといふ、マスコミにも良く登場する、あの交差点である。くつざわさんのスクランブル・デモも、要するにNHKへの抗議デモなのであるが、NHKのおひざ元の渋谷区のあちらこちらに寄るやうである。中秋の日本晴れの下、皆さんには沢山の人がお集まり下さるやうにお知らせ致します。

 現在のNHK(日本放送協会)が、CHK(チャイナ放送協会)や、KHK(韓国放送協会)ではなく、本物の「日本」放送協会に早くなるやうに、御一緒に祈り、また行動致しませう。


2022年10月21日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6296号
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  2022(令和4年)年 10月21日(金)


            無策で低レベル:上久保誠人

        呆れた「北方領土」発言:小林よしのり

      ゼロチャイナ・リスクと安全保障:三橋貴明

          旧名統一教会の処理問題:前田正晶

          中国が介入して政情不安:宮崎正弘 
                 

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                 身 辺 雑 記

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         頂門の一針(まぐまぐ)
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 無策で低レベル
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       上久保誠人



なぜ野党はいつも「ここ一番」で必ず自滅するのか?

旧統一教会との不適切な関係や安倍元首相の国葬実施を巡り、支持率の急落に見舞われている岸田政権。しかし野党第一党である立憲民主党は迷走を続けるばかりで、国民の支持を得るには遠い状態にあると言っても過言ではありません。そんな野党の体たらくを厳しく批判しているのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、野党が自民党一強の状況を作り上げてしまった理由を考察するとともに、日本の未来のため彼らが自覚すべき役割を提示しています。


プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

政権支持率低下にも動けず。自民党の失策活かせぬ野党の体たらく
立憲民主党と日本維新の会が「国会内共闘」を進めている。臨時国会の要求がある場合、内閣が20日以内に召集に応じることを義務付ける「国会法改正案」や、衆院選挙区の「10増10減」を含む公職選挙法改正案の成立など6項目を合意した。また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題についても、被害者の救済や防止策といった協議を両党で進めるとした。

しかし、地域政党「大阪維新の会」大阪府議団が、共闘に反対を表明した。立憲民主党も臨時国会での協力が選挙協力に発展するかについて、曖昧な表現を繰り返している。この共闘の将来は不透明だ。


旧統一教会と政治の関係や、安倍晋三元首相の国葬実施で、岸田文雄内閣の支持率が急落しており、野党は一致して攻勢を強めている。だが、これまで「政策」でうまく共闘できなかった野党が、「宗教」「国葬」で共闘しているとはしゃいでいる姿に、国民は冷ややかは視線を向けている。岸田内閣への不支持が、野党への支持にまったく向かっていないのだ。

立民と維新の共闘も評判が悪い。端的にいって、立民は「左派」、維新は「右派」の政党だ。政策志向が真逆なのは、国民の誰もが知っている。

立民は、共産党とのいわゆる「野党共闘」路線を追究してきた。政策的には民主党政権までの「中道左派」路線は事実上捨てて、共産党に引きずられて「左傾化」してきた。特に、安倍晋三政権が「アベノミクス」で左傾化していく中、違いをみせるために立民は「極左化」してきたと言っていい。そして、安全保障政策の推進には消極的だ。

しかし、「野党が候補者を一本化できれば自民党に勝てる」と期待された成果はなかった。泉健太代表が就任した後、路線修正を試みているが、共産党との共闘打ち切りは中途半端なままで、参院選に敗北してしまった。

一方、維新は昨年11月の衆院選、今年7月の参院選と国政選挙での躍進が続き、立民に代わって野党第一党の座を奪おうという勢いだ。維新は大阪を中心とする地域政党から、全国政党への脱皮を図ろうとしている。そのアピールは、自民党よりもラディカルな「憲法改正」「安全保障政策」だ。

この両党が、どのように共闘を進めていくというのか。「国会法」「公職選挙法」「旧統一教会」は、誰もが賛同できるものである。いわば、「宗教、国葬で共闘」とはしゃいだ延長線上にあるものだ。


だが、インフレに悩み、格差の拡大に苦しむ国民生活に密接にかかわる経済財政政策や、中国の軍事的急拡大、北朝鮮のミサイル開発など悪化する安全保障環境に対応するための政策という、厳しい現実に向き合わねばならない政策で、この両党は共闘できるのか。「共闘」「共闘」と浮かれる前に、少しは真剣に考えてみろといいたい。            


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呆れた「北方領土」発言
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小林よしのり氏が猛批判。ロシアを擁護する鈴木宗男氏の呆れた「北方領土」発言


これまでもロシアの立場を代弁するかのような発言で、たびたび炎上騒ぎを巻き起こしてきた鈴木宗男参院議員。ウクライナ戦争勃発後もロシアを擁護する姿勢を貫いていますが、ここに来て日本の国益を毀損しかねない主張を展開し始めています。

鈴木宗男の呆れた北方領土発言
いよいよ23日は『ゴーマニズム宣言SPECIAL
ウクライナ戦争論』の発売日だ。これはウクライナ戦争を他人事としか思わず、「どっちもどっち」などと平気で言っている平和ボケ日本人に「覚悟」を迫る書である。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日夜、ビデオ演説の冒頭で「本日重要な決定がなされた。歴史的だ」と述べた

その歴史的に重要な決定とは、「ロシアに一時的に占領された北方領土を含め、日本の主権と領土の一体性を尊重することを再確認する」というものだった!

そしてゼレンスキー大統領は同じ趣旨の大統領令に署名し、ウクライナ最高会議(議会)も同じ内容の決議を採択したことを明らかにした。

確かにこれは、歴史的な決定である!

ウクライナ議会の決議は、「日本の北方領土は1945年にソ連が何の法的根拠もなく占領した」「全ての日本の市民を強制的に追放した」と強調した上で、「(北方領土は)ロシアの占領下にあり続けている」として、ロシアに返還を求める日本の立場を支持し、国際社会が解決のためにあらゆる手段を講じるように訴えている。

そしてゼレンスキー大統領も演説で北方領土について、「ロシアはこれらの領土に何の権利も持っていない。世界中の人々がよく知っている。我々は行動しなければならない
私たちはロシアが占領する全ての土地を解放するため行動しなければならない」と重ねて述べ、こう訴えた。

「ウクライナと国際法秩序に対する今回の戦争によって、かつてロシアに奪われたものすべてが真に解放されるのも時間の問題になった。ロシアはこの状況に自ら陥った」

「侵略者は敗北しなければならない。戦争が再び起きないように。そして平和が本当に長く続くために。侵略者には何も残すべきではない。我々のパートナーの国々のために正義が復活すると信じている」

よくぞ言ってくれた、ゼレンスキー大統領!

ロシアに領土を不法占拠されているという点においては、ウクライナも日本も同じである。

現在ロシアと領土問題を抱えている国は、他にもジョージア、モルドバがあり、さらに歴史をさかのぼれば、フィンランド、ポーランド、バルト三国など、ロシアに侵攻され、泣く泣く領土を放棄させられた国は数多い。

このようなロシアの横暴は、今度こそ終わらせなければならない。これは、世界史的な転換点となる戦争である。

ロシアに対するウクライナの戦いは、日本にとって決して他人事ではない。むしろ積極的にウクライナと共闘し、日本もロシアから北方領土を取り返し、世界に正義を復活させるための戦いを展開すべきなのである!
        

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ゼロチャイナ・リスクと安全保障
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           三橋貴明

 グローバリズム(モノ、ヒト、カネ、
サービスの国境を越えた移動の自由化)
の本質は、もちろん「利益中心主義」です。


 ビジネス上の利益が、国家の安全保障よりも優先順位が高くなってしまう。結果、非常事態が発生した際の「国民の危険」が高まる。1991年のソ連崩壊以降、世界はグローバリズムの下で、相互依存を高めてきた。結果、非常事態が発生すると、途端に「対処不能な危機」が勃発する。


 青木泰樹先生の資本移動の自由化の問題についての図です。先進国から後進国に資本(工場など)が移転し、先進国では賃金水準が下がっていく。逆に、後進国では雇用が生まれ、同時に「人件費削減分」の余剰利益が創出する。
利益が投資家、経営者、金融業者、そして「先進国の消費者」に分配されることになる。「安く供給する」ことで。


 良質な雇用が失われ、実質賃金が下がっていく先進国側の消費者は、「安く買える。助かった・・・」と、むしろグローバル化を喜ぶ。デフレで所得が伸び悩んでいる以上
「安いは善」なのです。そして、外国の安い製品を買い進めることで、ますますデフレが進む。全体的に貧困化していく。

この種の「底辺への競争」が進むと、先進国側で生産性向上の投資が進まず、「低賃金のサービス」ばかりが増える。資本集約型から、労働集約型に経済構造が転換してしまう。まさに、90年代後半以降の日本で起きたことですが上記には一つ欠けている視点があります。すなわち、安全保障です。資本を移動した先の国と、敵対したらどうなるのか?


『分断・供給網(上)「世界の工場分離の代償ゼロチャイナなら国内生産53兆円消失ホンダ・アップルが備え米中対立の激化やウクライナ危機で世界のサプライチェーン(供給網)が分断されつつある。一体化していた供給網が民主主義と権威主義の国家間で引き裂かれ、機能不全が進む。
日米欧は中国を世界経済から切り離す動きを強めるが、中国を外せば、あらゆる製品のコストが大きく上がる。世界に「ゼロチャイナ」への備えはあるのか。今夏、ホンダで極秘のプロジェクトが本格化した。中国製の部品を極力使わずに乗用車やバイクを造れないか探る供給網の大規模な再編計画だ。(後略)』


『部品など中国から日本への輸入の8割(約1兆4000億円)が2カ月間途絶すると、家電や車、樹脂はもちろん、衣料品や食品もつくれなくなる。約53兆円分の生産額が消失する。』散々に中国投資を煽っていた日経新聞が、今更何を・・・・、という感じですが、日本のマスコミは戦前からこんな感じで腐っています。


 いずれにせよ「中国から部品(等)が来なくなり、53兆円の生産ができなくなる」ということは、その分、国内が需要過多(供給不足)になるという話です。供給不足を埋めるために、日本国内で投資が進めば「労働集約型経済⇒資本集約型経済」への転換になります。


 投資が起きず、転換されない場合は、
1.生産できない発展途上国
2.資本財を供給してくださる中国様への属国1か2、もしくは双方を満たす国へと落ちぶれることになります。


 中国の属国という悪夢の未来子供たち、孫たち、その先の子孫に残したくないならば、傷を負ったとしても国内生産を取り戻さなければならない。そのためには、まずは「ここ」に至った構造転換の経緯を、日本国民は理解する必要があると思うのです。
           
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 旧名統一教会の処理問題
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    ー専門家会議への疑問:前田正晶


昨19日夜のPrime
Newsは興味を持って聞いていた。それは、テレビも新聞も岸田内閣が旧名統一教会に対して質問権を行使して本格的な審査を開始するとの態度を鮮明に(されたのだろう)するや否や、明日にも解散命令が出されるかのような報道をしていた。そして、解散させられても、団体としては存続し活動は続けられることまで取り上げたのだった。これだって宗教の組織としての税金の免除がなくなる程度のことだ。

それはそれとして、私が疑問に感じていることがある。それは政府が何かというと「専門家会議」を設けて何でもかんでも諮問することである。この手法は私には程度が悪い責任逃れとしか思えないのだ。それは各省庁の大臣に任命される議員の諸先生方は、官僚の上に立たれるのだから、その地位に相応しい知識と経験をお持ちのはずなのに、何が故に専門家に頼るのかということ。

最近の例を敢えて挙げれば西村康稔氏は全て「尾身茂氏率いる専門家会議に訊く」と責任逃れの一点張りだった。後難を恐れずに言えば、西村康稔氏は旧通産省の出身だが、この官庁におられても製造・販売の実務に携わっておられた訳ではないのだし、彼が感染症の臨床医でもなかったのだから、分科会に依存したのは解るが、責任逃ればかりのお利口さん的な姿勢は見苦しかった。

昨夜も、司会者の反町がフリップ(この先に「チャート」が付くのが本来の英語だが)を出して、今回の旧名統一教会の処理の段階を見せていた。そこには先ず「専門家会議」を設けて質問の内容を十二分に討議し、その先(下)の実行会議だったかに回すのだそうだが、この会議は専門家会議と同一の顔ぶれになるとあった。

すると、紀藤正樹弁護士の発言が凄かった。それは「その専門家会議に入りたいし、その会議は私の意見を聴取して欲しい」というものだった。「何と言うことを言われたのか」と、呆れる前に驚いた。紀藤弁護士はもう何十年もこの問題に真っ向から取り組んでこられた経験も理論とも十分な存在だと思う。それにも拘わらず、専門家会議には入れない(入らない)と決めつけたことを言われていたのだ。彼が専門家でなくて、誰が専門家なのだろうか。

私はCOVID-19対策の専門家集団であるはずの分科会を真っ向から批判しておられた、何名かの臨床を専門とされる医師に出会っていた。先生方の指摘は「分科会長は臨床医ではない上に、最早政治家の如き事ばかり言っている。政府は実際に現場で患者を診て、接している医師たちの意見を訊くべきだ」だった。

私の年来の主張は「実務の現場を経験せずして、何か知った風なことを言って欲しくない」であるので、全くその通りだと思って拝聴してきた。ズバリと言えば「机上の空論の尊重を控えて、実務者の声をも良く聞いてから対策を立てよ」なのである。今回の専門家会議には宗教者が入るのだと指摘されていたが、旧名統一教会を処理する会議に、紀藤弁護士のような実務に携わってこられた方を排除して学者や理論家ばかりを集めようというのであれば、見当違いの怖れなきにしもあらず、と言いたくなる。

昨夜も野党代表の長妻昭は「何時になれば解散命令を出せるのか。年内と唱えておられるが、果たしてそうなるのか」との疑問を呈していた。検察出身の高井弁護士の発言も懐疑的だったし、専門家会議を設けることにも肯定的ではなかった印象だった。私はこの件に関してだけのことではなく、政治家全体に本当の意味での専門的知識や実務の経験に乏しいか、あるいはないことを問題にしたいのだ。

彼らがもし専門分野を持っていれば、何も現場を知らない学者や大学教授等を集めた会議など要らなかったのではないのかと思っている。例えば、日本大学危機管理学部の福田教授は「尾身茂氏を長とする分科会に危機管理の専門家が入っていないこと」を非難しておられた。この指摘も尤もだと思うが、政府は何かの専門家会議を設置するのであれば、実務の世界というか企業社会から現場を経験してきた権威者をも加えるべきではないのかとずっと考えてきた

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 中国が介入して政情不安
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月14日(金曜日)
         通巻第7491号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜アフリカのGDP一位はナイジェリア、石油で富む筈だったのに
  中国が介入して政情不安。経済は伏魔殿、ややこしい状況が複雑化
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 ナイジェリアと言えばビアフラ戦争。石油リッチで「アフリカの巨人」と言われたが、GDP成長はマイナスに転落。ひとりあたりのGDPは統計上@3082ドルだが、年収が300ドルに満たない未開地域がある。

 面積は日本の2・5倍、人口も比例して2億1100万人を超え、歳入の七割が石油に依存している。その大半が賄賂など使途不明金となる。

 2014年に中国企業CCECC(中国土木行程集団)はナイジェリアの沿岸鉄道(総延長1385キロ)の建設を受注した。受注額は131億2200万ドルだった。
 ナイジェリアの石油は、嘗てOPECランキング11位で日量180万バーレルだったが、陸上油田が枯渇し、深海の沖合油田が主力となって開発に手間取り150万バーレルに減少したと言われている。ナイジェリア石油輸出の激減により、経済の発展速度がにぶった。

 2016年7月に
アブジャ〜カドゥナ間(187キロ)の鉄道が開通し、21年6月には前首都のラゴスらイバダン間(156キロ)が開通した。現在の首都はアブジャ。これらは部分開通で、2018
年 7月にはアブジャ空港駅に延長された。

 問題は「その後」である。カドゥナから終点のカーノ(305キロ)は一年以上も中断されている。 
 10月11日、ナイジェリア運輸大臣は、「中国からの融資が1年以上遅れており、アブジャ・カノ鉄道とポート・ハーコート・マイドゥグリ鉄道の建設が中断した」とのべた。
中国は、ナイジェリアの鉄道プロジェクトへの資金提供を大幅に遅延させている。
世界的に批判される「借金の罠」に対する配慮というより、外国へ貸し出す資金の枯渇が表面化した。中国輸出入銀行は両線の建設資金の85%を提供するとしていた。

 中国の積極的な海外進出は「走出去」。とくに習政権は、アフリカに力をいれてきたため、アフリカ諸国には
3,000 社を超える中国企業が進出し、100 万人の中国人が移住したとされた。
コロナ禍で帰国した中国人も夥しく、現在の詳しい情勢は不明な点が多い。
     □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き   
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2434回】     
 ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習100)

     ▽
 ここで中共中央弁公室が72年7月に発表した『粉砕林彪反党集団反革命政変的闘争(材料之三)』に基づいて、『心紅似火』が出版された前後の北京最上層における権力闘争の経緯を追ってみたい。それというのも、「紙の爆弾」の企劃・出版・販売と権力闘争の間の時間差が気になるからである。

 失脚した劉少奇が押さえていた国家主席ポストの取り扱いをめぐって、毛沢東は必ずしも必要ないと持論を展開。これに異を唱えたのが69年の第9回共産党全国大会で公式に毛沢東の後継者とされた林彪で、同ポストの存続を強く主張した。
さらに林彪派が「毛沢東天才論」を持ち出すや、これを自らに叛旗を翻す前兆と警戒した毛沢東は、71年1月には北京軍区の改組を断行した。林彪の権力基盤である第4野戦軍系を編成変えし、「親密なる戦友」の力を殺ぐことを狙ったのだろう。

 一連の毛沢東の動きに危機感を抱いた林彪系は、林彪の長男である林立果を中心に空軍内に秘密裏に「連合艦隊」なる林彪親衛隊を組織化した。71年3月になると、「五七一工程紀要」と名づけたクーデター計画を作成し、万一の場合には毛沢東暗殺による権力奪取まで企図した。かくて9月、毛沢東暗殺に失敗した林彪はソ連への亡命を企てたものの、乗っていたジェット機とともにモンゴル領内に墜死した。

 ──以上の中共中央弁公室、つまり共産党の公式見解に照らすなら、『心紅似火』は林彪が「親密なる戦友」と見做されていた頃に企劃され、挿画で林彪後継を示そうとした。ところが出版1か月前には、すでに林彪の命運は尽きていた。だが、それを公式に明らかにするわけにはいかない。そこで已むなく予定通りに出版してしまった。
 『心紅似火』が香港の学生書店の店頭に並んだ頃、林彪一派は起死回生の生き残り策を求め、考えられる限りの手段を講じていたはず。
こう前後関係を追ってみると、林彪事件で総称される一連の権力闘争は、どうやら突然に火を噴いたようにも思える。

そこで興味を持つのだが、林彪事件が発生した後、この本が中国国内でどのように扱われたのか。そのまま販売されたのか。はたして全面的に廃棄処分になったのか。『心紅似火』の「行く末」と共に、どのようなルートで香港にもたらされたのかも知りたいところ。

 それにしても、当時の中国には『心紅似火』の主人公のような誠心誠意の人が実在していたのだろうか。同じ体裁の『雄鷹征途煉紅心』は、悪天候を衝いて被災農民支援に向かう輸送機のパイロットや乗務員の沈着冷静な戦闘振りを描いている。
彼らを鼓舞したのは「決心を固め、犠牲を恐れず、万難を排し、勝利を勝ち取る」との毛沢東の言葉だった。

 次に連環画を紹介しておく。全て上海人民出版社の出版である。『「模範共青団員」胡業桃』の主人公である胡業桃は、1970年1月25日、「為人民利益而死、就比泰山還重(人民の利益のための死は泰山よりさらに重い)」と、20歳の若い命を捧げた。
 安徽省で彼が育った家庭は極貧を絵に描いたような農家であった。
「祖父は数十年を地主の家で牛馬のようにこき使われ、両親は幼いころから乞食をしていた」。彼の3歳の姉と1歳に満たなかった兄は、両親が街で物乞いをしている間に餓死していた。1947年のことだ。

 毛沢東が導いた新中国に生を享ければこそ、胡業桃は「幼い頃から旧社会に対する大いなる恨みを心に刻み、偉大なる領袖・毛主席への無限の熱愛を抱いていた」そうだ。
 両親を失いながらも、胡少年は「物心つくようになると、貧農下層中農と人民解放軍の心からなる教育を受け、毛沢東思想の陽光と慈雨になかですくすくと成長した」というから、幼いながらもリッパな毛沢東思想サイボーグ戦士に育っていたことになる。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)外国人観光客が入国する人数の上限撤廃で個人旅行も解禁。ゼロコロナのシナ人観光客は共産党幹部関係者も、ほとんど来日できないは別にして、欧米人は多数押し寄せそう。
 何しろ、アメリカの物価は日本の約3倍で、二けたインフレです。
アメリカインフレ率:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220913/k10013816811000.html
NYのラーメン一杯5000円:
https://www.rbbtoday.com/article/2022/07/15/200255.html

1989年天安門の翌月、私は香港旅行しました。体感物価はおよそ日本の三分の一か?!
ユーマティのYMCAホテルはたしか5000円位(朝食食べ放題付)でしたが、現在は同じ建物を改装して名前も変えて高級ホテルに変貌しています。
お昼はホテルの飲茶。おばさんが運ぶワゴンの料理を指さし注文で、当時20代の私がおなか一杯に食いまくっても1200円程度だったと記憶しています。
高級飲茶の陸羽茶室でもその倍程度で安かった。当時は、OLが週末に香港までブランド品を買いに行く時代でした。
「因果応報!」
円はリーマンショック後の天井圏の75〜80円のレンジから予想通り2倍の150〜160円へ移行するでしょう。財務省が金利指値オペを止めない限りは「円安」です。
そして、指値オペはいったんスタートさせた以上、もうよほどのことがないと、止められない、止まらないのです。・・・(実は「アメリカへ資金供給しろ」という米国の指令だったのかも?)
日銀からはどんどん資金が流出することになりますが、「止める」となれば、株式市場への負のインパクトは強烈です。
 こんなことじゃ、その内、日本は「香港大乱」のように、中共と英米のパワーに挟まれて、香港と同じ運命になるのかもしれないですね。
 日本ではシナ人爆セックスツアーの後遺症で梅毒が流行中。次々と変な病気が流行しています。ベトナムではアデノウイルス(強い風邪)が現在流行中。
外国人観光客解禁の後遺症でまた、変な病気が日本に蔓延してくると予想します。
 「中間色」で「透明」な日本には嫌気がさします。原油高、円安・・・指値オペ、すべてインフレ要因です。
OXYチャート:https://www.tradingview.com/x/cyWF4Yb7/
円安は米国の利上げ(年内にあと2回)の影響が8割、原油高は米国が国内産原油を消費しない影響が強い。ノルドストリーム爆破もXXXか? プーチン氏、ガス管損傷は「米欧側のテロ」認識示唆
https://news.yahoo.co.jp/articles/4890af561a83086693d8dfc92b6b63bcc6eb06c2?fbclid=IwAR
149jJ3V6aMvnRrdF51CekZzQmmYaWTZv2yTmRmCZeIlKZU2nkuP2Du_Jk
 ウクライナ戦争は長期戦と化したが、中国はロシア製武器のひっ迫で、中東・東欧へ武器輸出。イランもドローン輸出。精密機械のなかには、日本製の規格品半導体やコンダクターもたくさん入っていることでしょう(Z生逗子)



(宮崎正弘のコメント)香港の油痲地(ユーマティ)にあった「YMCAインタナショナル」に小生も1973年だったか、三週間ほど滞在しました。一泊1800円(会員はさらに一割引)でした。半世紀前のことですが(苦笑)。
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(読者の声2)ウクライナ情勢は英米論調のコピー&ペーストにすぎない日本のメディアは見るに値しないようだ。
ロシアメディアのRT(ロシアの宣伝機関でもある)ではウクライナのテロリスト逮捕の動画がある。
 便利な時代になったものでページ翻訳まで自動でしてくれる。Chrome系のブラウザならdeeplのページ翻訳もある。上記記事ではモスクワとキエフのほぼ中間に位置するロシア・ブリャンスク市での逮捕劇の一部始終の動画。TNT火薬
3kg相当の爆弾を押収、対戦車ミサイルの弾頭を改造したもの。
 ウクライナ反攻の快進撃はイーロン・マスクのスペースX
衛星利用のスターリンクが担っていた。ところがなぜかウクライナ軍のスターリングシステムが稼働しない。
ウクライナ側の説明では進撃が速すぎてスターリンクが地上の座標を更新しきれていないためとされた。
ロシア政府はなにも言っていないが、外野筋はロシアの Tirada2
軌道妨害システムによるもの、さらにはレーザー兵器による衛星破壊だろう、あるいはイーロン・マスクが制限したとまで騒いでいる。
 ウクライナはイーロン・マスクが裏切ったと思ったのか、オデッサではキエフを支持してきた国際的な有名人の広告看板から削除した。
 ウクライナのやり口を見ると本当に半島国家と変らない。ウクライナが騒げば騒ぐほどウクライナ支持はなくなっていくのだろう。(PB生、千葉) 


(宮崎正弘のコメント)拙著『ウクライナ危機後に、中国とロシアは破局を迎える』(宝島社)にも書きましたが、ゼレンスキー大統領の隠し口座が知れ渡ってきたようですね。

(読者の声3)米国ハーヴァード大学の人気教授マイケル・サンデル氏は、倫理、法、経済を担当し、NHK教育テレビでも「ハーバード白熱教室」として紹介されている。邦訳の本もある。歴史家の伊勢雅臣氏が紹介していたので、講義の動画を見てみた。
https://www.youtube.com/watch?v=kBdfcR-8hEY
 英語、1時間、(実に3500万回再生されているタダの授業。同大学のかなりの講座が動画になっているので、世界中の貧乏人の子供でも米一流大学教育が受けられる。かつて白人の裕福な家庭の男の子ばかりだったが、今、白人男子学生は少なく、有色人種、女が多い。)
この講義の序論で、学生との応答が頻繁に行われる。
日本では学生は寝ているか聞いておらず、教授も独り言を毎年繰り返す。考えることも発言する練習もなされない。長い受験勉強で疲労困憊なのだろう。 
閑話休題、
暴走する電車の前に五人の線路整備員がいる。そのままでは全員即死。しかし脇道に逸れると、そこには一人の整備員がいる。運転手は、五人を選ぶか、一人を犠牲にするか、の倫理の選択を迫られるという極めて具体的な例題をあげ、学生の意見を聞いていく。
つまり人が他人の運命を如何なる理由、倫理、基準で決めるべきか、という命題である。(余談。正解が存在しないのが世の中だが、東大生は、必ず最後に、「先生、では正解を教えてください」と聞いて失笑を買う。)
 人類がこれまで発明した道具、機械、兵器、ロボットは、自らの判断で作動、行動することは無かった。常に人が、目的を持って価値、倫理観に基づいて使用・操作してきたが、近年のA
I は、そろそろ、状況に応じて独自の判断で行動する未来が近づいてきた。
例えば、既にテスラの自動運転では、8台のカメラが近付いてくる車・障害物などの動きを予測し、それに応じた回避行動を起こす仕組みが備わっている。
そこで、上記の例のような現実の事態が出現する。つまり、突然に現れた子供を避けようとすると、自分が怪我、致死に至る、あるいは、高価な車が大破する。
「どっちにしようかな?」
人間の脳、神経、筋肉は瞬時に、これらを把握し判断し結論を行動に移すには時間がかかるが、AI
は数十分の1秒で、正確に作動できる。では、その判断基準をあらか
じめ教えておかなければならない。子供ではなく、犬であったら、あるいは死期の近い老人、乞食、で、一方、テスラに乗っている自分は若く、妻子もある有能な人材だったら、などなど。この議論は今の所机上の空論であるが、そのうち政府が規則を決めるかも知れない。テスラ社内部で、AIにどんな教育をしているか分からないが、「とにかく大切なお客様を優先的に扱う」と決めても、進化したAI
は勝手に倫理的な「正しい」判断をする、なんという未来の日も遠く無いだろう。
「戦争というものは、軍人たちに任せておくには重要すぎる」と故クレマンソー仏首相が言った。過去2年間、世界中の政府の反科学・反医学的な非人道的な残酷な判断、行動を鑑みると、「医療、製薬会社、政府の人間」に任せておけない、という結論になる。 このままでは「人類の味方A I 様」礼賛者が増える、だろう。
(余談。サンデル教授は素晴らしい講義をなされ、学生に如何に思考するかを教えるが、自身の思考には無頓着らしく、典型的な文化系大学世界の価値・倫理観で社会を批判している。切れる刃物、とは敵にも味方にも危険である。 
https://www.youtube.com/watch?v=_NbChMEoGFE&t=7s
(在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)高山正之氏の著作に『変見自在
 サンデルよ、「正義」を教えよう』(新潮社)があります。 

(読者の声4)通巻7488号で「ウクライナの大統領と議会は、『北方領土は日本のモノだ』と国会決議したようだ。
この意図はロシア軍の兵力をウクライナ方面できるだけ集中させないようにするために、『日本がこの機会をとらえて北方4島を奪還するべく動き出すかもしれないよ』とロシアに示したいのであろうし、彼らからすれば日本だってせめてこんな『後方支援』を日本がしてくれてもいいのではないか、このチャンスを日本はなぜ利用しないのか? と思っているのだろう。」と申しましたが、こんなニュースが伝わってきました。
 ロシア外務省=モスクワ(AFP時事)(c) 時事通信 提供
ロシア外務省=モスクワ(AFP時事)ロシア外務省は12日、陸上自衛隊矢臼別演習場(北海道)で高機動ロケット砲システム(HIMARS)を用いた日米共同訓練が実施されたとして、在ロシア日本大使館に「断固抗議した」と発表した。
声明は「ロシア国境に近い」ことを問題視しており、ロシアが実効支配する北方領土を射程に収める場所での日米共同訓練に過度に反応した形だ。
「ロシア極東の安全保障への脅威と見なし、こうした行動の即時停止を求める」と強調した。また、外務省のザハロワ情報局長も談話を出し、岸田文雄政権の非友好的な措置には適切に対処すると警告した。
 どうやら、どさくさまぎれに武力行使や自国主張を成就する事が「常識」であるロシアにとっては、他国にとってもそれが「常識」であると思いこんでいることを、上記の報道は示しているようです。
 尚ここにきてサウジが米国のメンツを破り石油の減産をするなど、米国離れの兆候を見せ始めましたが、これは(「王政維持サービスに対する石油ドル建て料ディール」を廃止するということになり)王政転覆などの動きに繋がりかねず、さらなる金融・資源などの世界変動を惹起しかねないとおもいます。(SSA生)

(宮崎正弘のコメント)米国ではサウジアラビアとのギクシャクを問題視している記事が多いのですが、日本では日本経済新聞のコラムに時折でる英誌『エコノミスト』論説の翻訳記事くらいでしょうか。

(読者の声5)第二次大戦後日本は台湾及び澎湖島の領有権は放棄しましたが、その帰属先告げていませんので、現在でも領有権の所在が確定しておらず、所在を確定するためには改めて国際会議開催等の何らかの手続きが必要です。
 1943年11月27日のカイロ宣言では、「満洲、台湾及び澎湖諸島のように日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還する」とあり、ポツダム宣言では「カイロ宣言の条項は履行さるべきである」と規定されています。しかし、国際法上の権利の移転は、その条約に政府代表者が署名したうえで、議会が批准しなければ効果は生じません。ポツダム宣言の受諾はあくまでも同宣言の内容の履行義務を負ったということであって、領有権移転の法的効果が生じたということではありません。
 もし移転が法的に行われていたなら、サンフランシスコ条約の第2条b項の規定は意味がないことになります。
 2条b項では、日本による台湾及び澎湖島の領有権の放棄を規定していますが、放棄された地は無主地となります。領有権を放棄された無主地について国際法上認められている法理が先占の法理です。無主地は、他の国家に先んじて支配を及ぼすことによって自国の領土とすることができるわけです。
 台湾及び澎湖諸島が無主地になった時この地を占有していたのは中華民国(台湾政府)です。ただし、中華人民共和国(中国政府)がこの地の領有を主張していますので、平穏に台湾政府が「支配を及ぼす」状況にあったとはいいがたいので、台湾政府がこの地を領有したとするには疑義があるのです。
 一方で、中国政府は、この地に「支配を及ぼす」前提となる占有すら行っていません。先占の法理からすれば中国政府には台湾を領有する法的資格は全くないものと言わざるを得ないのです。
 さらなる議論については本文をお読みください。
台湾の法的地位未定新論──中国は台湾領有の法的資格を有せず(国際歴史論戦研究所上席研究員 河原昌一郎氏の論文)
・日本語原文: http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Legal.pdf
・英訳文: http://www.sdh-fact.com/CL/Legale.pdf
   (「史実を世界に発信する会」会長 茂木弘道)


(宮崎正弘のコメント)河原氏の論文は問題点をすべて系統的に整理されていて、参考になりました。

(読者の声6)通巻第7490号の読者の声1、DD生さんの投稿に刺激されての投稿です。
プーチン大統領は冬一杯まで戦争を続ける気ではないかと私は思っています。
そうすれば、欧州は冬の燃料不足で悲鳴をあげる。欧米の結束が揺らぐ。それを狙っているのでは? なにしろ、寒さを利用するのがロシアの伝統のようですから。(ナポレオンも、ヒトラーも、確かロシアの寒さにやられたのでは?)(HK生)



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重 要 情 報
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◎元商社マンと円安の影響等を語り合った:前田正晶


時が経つのは早いもので、私がこれまでに何度も取り上げて語って来た商社マン(輸出入の専門家)は定年延長も終わって、先頃引退していた。彼と親しく付き合うようになったのが1997年だったのだから、あれから25年も経っていたのだった。


だが、彼の感覚は現職時代の儘なので、色々と尋ねてみた。何といっても私の最大の関心事は「極端な円安の下にあって、輸出入はどうなっているのか」だった。彼は「在職中はマスコミ報道にもあったことで、輸出は全般的に動いていた。だが、事が輸入となれば話は別だ。特に紙パルプ産業界では絶望的だったし、パルプの相場が高騰しているので、メーカーは苦しめられている。


国内市場ではコスト上昇分(原材料とエネルギー価格の高騰)を製品の価格に転嫁もままならず、無理に生産するよりも売れる分だけを作っている状態。印刷用紙の需要が衰退している状況は、近頃頻繁にテレビCMを流すようになったTOPPAN(印刷)が一言も「印刷」に触れていないことが物語っている」と聞かせてくれた。


「印刷(紙)媒体の衰退は何も今に始まったことではないが、現在のようにパルプ価格が紙の価格よりも高いのでは」と思わせられる事態では、製紙産業の苦境は察するに余りある。「円安」問題はこれ以上余り深く語り合わずに終わった。


次に私の興味を惹いた話題は、UKでのインフレーションだった。話は本筋から外れるが、後輩の一人がロンドンの系列会社に転勤になったのだが、そこの社長はその人物よりも数年後の入社だったこと。その後輩がロンドンで暮らすようになって驚かされたことがあったそうだ。それは強烈なインフレーションで、手近な例ではラーメン一杯が円換算では\3,500にもなっているので、日本からインスタント麺でも送って貰いたい思いだとメールが来ていたそうだ


彼が強調したことは「マスコミ報道では余り取り上げられていないが、インフレは何もアメリカだけのことではないのだと認識すべきだとのこと」だった。彼ともある程度考えが一致したことは「ロシアのウクライナ侵攻で欧米の諸国がロシアに制裁を科した結果が、エネルギーコストの上昇等の原因となった上に、アメリカではFRBが繰り返して利上げしたためでもあるだろう」だった。某元大使が「返り血を浴びる制裁を科すのは得策ではないのでは」と指摘されたのを思い出した。


次は彼が失業保険の手続きにハローワークに行ったときの話だった。これは、私が嘆く「スマートフォンの包囲網」にも似た事だった。そこでは、窓口の係員と話し合う前に、指定されたQRコードをスマートフォンに読み込んで、指示されたように登録しなければならないようになっていたそうだ。当然のことながら、私が1994年2月に恐る恐る訪れたときとは大違いだ。


そこから話がマイナポイントに飛んで行って「モバイルSuica」になり、私が持っているらくらくスマートフォン(アンドロイド)を早く止めて、息子さんたちも言われるiPhoneのか型落ちにでも切り替えないと不便だと忠告された。そこで、先ほど取り上げた「モバイルSuica」を自宅であらためて検索してみたが、どうも私の手には余る気がしたのだった。この他にもdポイントというかdカードのこともあるのだが、ドコモショップに行かねばと考えただけで、億劫になる。


元商社マンは「マイナポイントの手続きに区役所に行かれるのは良いが、良く準備して置くこと。即ち、そうでないと『また、面倒くさい高齢者が来た』と窓口の係員に思われないように」と警告されてしまった。何の事はない、彼にもスマートフォンで包囲されてしまうことになったのだった。因みに、新宿区役所の係員には「記名式スイカでJREポイントを受けられるようにして来て下さい」と教えられたが、これからして良く解っていないのだ。「高齢者は辛いぜ」の時代だ。


◎江戸時代へタイムスリップした会社員の話

テーマ:ブログ=北村維康

偶々ユーチューブで見つけたが、この話は随分前、一年くらい前か、に初めて聞いたが、とても話が劇的で、且つ真に迫ってゐたので、覚えてゐた。その後も、二、三回、別のナレーターの吹き込みで聞いたことがあり、今回はまたその次だが、内容はすべて同じである。↓
(580) 【朗読】江戸時代へのタイムスリップ - YouTube
URL: https://www.YouTube.com/watch?v=VqQ8g-KIv3K


創作かもしれないが、それであったとしても、作者の想像力は、大したもので、真に迫ってゐる。


自分も、家の近所を野良猫のやうにうろついてゐたら、トンビの鳴き声が聞こえるかもしれない。ここで不思議に思ふのは、タイムスリップした人の中には、元ゐた場所と、環境的に似たところへ飛ばされてゐることだ。この話の場合は、H市の街角から、同じH町の片田舎へであり、またアルゼンチンの高速道路を車で走ってゐた夫婦は、同じスペイン語圏のメキシコの、高速道路の上へとタイムスリップしたのである。しかも同じ時代だったので、後で、飛行機で、アルゼンチンに還ってゐる。つまり、何らかの知的なものによる判断が加へられて、間違っても、深海の底とか、エヴェレスト山の頂上などへは飛ばされてゐないのだ。しかし、まあ、そんな場合なら、飛ばされた人は死んでしまふので、このタイムスリップの体験を、後で述べることもできない筈ではあるが。




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身 辺 雑 記
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21日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎


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渡部 亮次郎

2022年10月20日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6294号
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   2022(令和4年)年 10月19日(水)


         安保法制と細野氏の反省:阿比留瑠比
      
           史上最悪の外交的敗北:伊勢雅臣

     私の夢、事業部の夢:前田正晶

         「安倍路線の継承、堅持」:岩田 温

        国慶節連休に九寨溝観光初日:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
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 安保法制と細野氏の反省
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【阿比留瑠比の極言御免】


 以前から何度も感じてきたことだが、政治家は「民主党的なるもの」から距離を置けば置くほど客観的に常識的になり、どんどんまともになっていく。最近は特に民主党で幹事長まで務めた後に離党し、現在は自民党に所属する細野豪志元原発事故担当相の言動に、刮目(かつもく)することが多い。

[「判断間違っていた」]

 細野氏は「日本戦略研究フォーラム季報」(10月1日秋号)で、安倍晋三元首相の「わが国の安全保障で果たされたご功績に報いる」との決意を記し、反省を込めて訴えていた。

 「安倍元首相の最大の功績は数多くありますが、中でも2015(平成27)年の安全保障関連法の制定はその最たるもの」「国民世論の反対はあっても安保関連法を制定するという判断が正しく、当時の私を含む野党の判断が間違っていた」

 細野氏は民主党政調会長時代、集団的自衛権の行使を限定容認し、米国との同盟関係の実効性を高める安保関連法案についてどう言っていたのか。「憲法違反の法律」とまで酷評していたのである。

 この点について細野氏は同じ季報で当時、国会前で同法案反対集会で自身が演説した内容と思いを次のように振り返っていた。

 「『憲法違反』という表現は使わないと決めていましたが、聴衆の反応に合わせて最後は『法案の成立を阻止する』と発言しました。自分が目指してきたものと自らの現実の姿のギャップを痛感しました。元来楽天家の私ですが、あの街頭演説の後は自己嫌悪で落ち込みました。

 民主党とその周囲に漂いまとわりつく「空気」にあらがえなかったのか。細野氏は当時、安保関連法成立で徴兵制が復活するともあおっていたが、それも反省していることだろう。

[再び同じ対決路線]

 同様に29年4月に民主党の後裔(こうえい)である民進党を離党した長島昭久元防衛副大臣が離党記者会見で、こう述べたのを連想する。

 「特定秘密保護法も安保関連法も憲法改正論議も共謀罪もすべて反対、徹底抗戦、廃案路線で突き進む。行き詰まると、院外のデモ隊の中に飛び込んでアジる、あおる、叫ぶ。そこには熟議も建設的な提案もない」

 提案路線を引っ込め、再び対決路線に戻った現在の立憲民主党も、似たようなものか。こうして党内の中道派は居場所を失い、左派政党へと純化していく。

 ともあれ、細野氏は菅直人政権の一員として自身が関わった東京電力福島第1原発事故対応に関しても、反省の弁を述べている。例えば昨年、事故から10年となる前には率直にこう記した。

 「10年前の反省の一つは、科学に反する報道に対して、『反論』しなかったこと。政府には原発事故の責任があったので『説明』に留めた。結果として風評が拡散し復興は遅れた。同じ過ちを繰り返してはならない」(令和3年2月21日のツイッター)
 菅直人氏ら5人の首相経験者が「(原発事故により)多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」と、事実と異なる書簡を欧州連合(EU)に送った際も、事故当時上司だった同氏を批判した。

 「菅直人元首相は避難範囲の決定をした責任者だ。原発事故により甲状腺がんが増えたと主張するなら自らの政治責任をどう取るのか」(今年1月30日ツイッター)

 論語に「過ちては改むるにはばかることなかれ」とある。現在も立民に所属する数少ない保守系議員は初心に立ち返り、自由に発信する細野氏らを見習ってはどうだろうか。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年10月13日号採録
         

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「日中友好50年」〜史上最悪の外交的敗北
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           地球史探訪:伊勢雅臣

「中国共産党が言っていることを信じているレベルでは、日本人は将来、とてつもない不幸を背負うことになる」

■1.モンスター国家を育ててしまった「日中友好50年」

 本年9月29日は「日中国交正常化50周年」の記念日でした。50年前、1972(昭和47)年のこの日、田中角栄、周恩来両国首相が日中共同声明に署名しました。ちょうど半世紀の区切りの年で、一応、記念式典も開かれましたが、国民の間ではしらけムードが支配的でした。

 なにしろ、日中共同の世論調査では、日本で「中国に良くない印象、またはどちらかといえば良くない印象」を持つ人が90.9%、中国側でも66.1%の人が日本に対して、同様の印象を持っています[NHK]。この数字だけ見ても、「日中友好50年」の歴史は、大失敗だったことが分かります。

 国民感情だけではありません。尖閣海域での傍若無人な領海侵犯、台湾に対する武力威嚇、チベットやウイグルでの人権弾圧、世界の発展途上国を債務の罠に陥れている一帯一路、等々、中国は今や世界の平和と安定を脅かすモンスター国家に育ってしまいました。

 この「日中友好50年」の間に、3兆7千億円近くのODA(政府開発援助)を貢ぎ、また日本企業の対中投資残高は2020年時点で約19兆円にも上っています[Wedge]。我が国の政府・企業は身を削ってモンスター国家を育て、国際社会に大きな危険と損失を与えてしまいました。

 最近のベストセラー、門田髀ォ氏の『日中友好侵略史』では、「おわりに」で「国交正常化五十年を機に、その歴史を日本は振り返り、これを教訓とし、二度と同じ失敗をしてはならない」と述べています。今回は同書を頼りに、失敗の原因の一端を見ておきましょう。


■2.「国交正常化をできるのは、田中だ」

 かつて自民党内で「元帥」と畏怖されていた木村武雄という衆議院議員がいました。佐藤栄作首相にも直言できる大物議員でした。中国共産党中央委員で対日工作の責任者・廖承志(りょうしょうし)は早くから木村武雄と接触し、二人は何度も会って、日中国交回復について議論を交わしていました。

 やがて田中角栄が頭角を現すと、木村は田中を首相にして、日中国交正常化を進めようとします。木村の秘書を務めていた息子の木村完爾は、当時をこう回想しています。

__________
国交正常化をできるのは、田中だ、日中国交正常化を武器にすれば政権がとれる、それをしなければならない、と田中さんを説得していました。ライバル福田(赳夫)さんは台湾派のほうに連なっていますからね。私には俺が田中政権をつくる≠ニよく話していましたよ。[門田、p111]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 木村の後押しを得て、田中軍団は「中国」を前面に押し出して、自民党総裁選に突き進みました。「いま中国に舵を切らなければ、欧米に遅れをとってしまう」「かつての大戦で迷惑をかけた日本だからこそ、中国に目を向けなければならない」、、、。

 田中は「日中国交」を旗印にして、福田を破り、政権を取りました。しかし、それによって田中政権は「日中国交」で失敗も後戻りも許されない状況に、自らを追い込んでしまったのです。


■3.「なにか仕組まれているような気がした」

 田中政権の誕生が昭和47(1972)年7月6日、そして9月29日には北京を訪問し、共同声明で日中国交正常化が発表されました。

 一方、アメリカは電撃的なニクソン訪中を田中訪中の7ヶ月前に果たしたものの、正式な国交樹立は7年後の1979年でした。米国の7年に対し、田中政権は3ヶ月。国際的な外交常識から言っても、異常な「拙速」でした。

 北京の迎賓館に到着した田中角栄首相と大平正芳外相の一行十数人を、周恩来首相が出迎えて、一人ひとりと握手していきました。大平の秘書官・森田一は、その時の驚きをこう語っています。

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 中国側は秘書官の名前も全部、わかっていたんですよ。だって、周恩来さんは、僕に森田さん≠ニ言ったんです。事前に勉強しているんですよ。一人一人について全部わかっているような感じでしたね。途中で、この交渉を通じて、なにか仕組まれているような気がしたのは事実ですね。[門田、p221]
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 後に、門田氏は森田氏にこう聞いています。

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「中ソ対立が極限まで達し、北京や上海では、当時、ソ連の核攻撃に備えて避難訓練もおこなわれていました。また、文化大革命による破壊で、あらゆるものが機能不全になり、中国全土が荒野≠ニ化していたことはご存じでしたか」

 森田の答えは、こうである。
「いま分析すると、中ソ対決の情報が欠けていたと思いますね。それに文化大革命で中国が荒廃しつくしていることも知りませんでした。橋本中国課長がそういう情報を取っていなかったか、上げていなかったかということでしょう。[門田、p221]
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 ソ連との対立、文化大革命による荒廃と、日本を味方につけ、日本の力での経済再建を切実に必要としてのは中国でした。一方、日本は「欧米に遅れるな」という程度の動機しかありませんでした。これほど拙速に動く必要はなかったのです。

 この立ち位置を全く生かせなかったのは、外務省の橋本中国課長が中国側の状況の「情報を取っていなかったか、上げていなかったか」でした。取っていなかったとしたら信じられないほどの無能の極み、上げていなかったとしたら日本の国益よりも中国の国益を優先する「背信」です。


■4.「賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ」

 訪中前に田中が心配していたのは、戦争の賠償問題でした。とてつもない金額を要求されたら、日中国交正常化への国民の期待も一挙に失われ、それを旗印にしていた田中政権が吹き飛ぶことは間違いありませんでした。

 その状況を把握していた周恩来は、公明党の竹入義勝委員長を北京に招待しました。公明党・創価学会は中国がかねてから重点目標として、池田大作・名誉会長には120以上の名誉教授などの称号を贈りつづけ、また竹入委員長も周恩来首相自ら日中国交の希望を伝えていた人物でした。

 周恩来は竹入と会って、直接、賠償問題を持ち出しました。「毛主席は賠償請求権を放棄すると言っています。賠償を求めれば、日本人民に負担がかかります。そのことは中国人民が身をもって知っています」と言って、日清戦争後に日本に払った賠償の重さを語りました。後に竹入はこう書いています。

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 私は五百億ドル(注=十五兆円以上)は払わなければと思っていたので、全く予想もしない回答に頭がクラクラした。周首相は「田中さんに恥をかかせませんから、安心して中国に来てください」と自信たっぷりにいった。[門田、p160]
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 竹入の帰国後、この報告を受けて、田中は訪中を最終的に決断したのです。

 この点について、佐藤慎一郎・元拓殖大学特任教授は門田氏にこう語っています。佐藤教授は、辛亥革命で孫文を助けた山田良政、純三郎兄弟の甥で、満洲や支那大陸に深く潜行して晩年の純三郎を助け、戦後も内閣調査室で中国情報の分析をおこなって、時々の総理大臣に中国情勢の解説を行った人物です。

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 賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ。これで際限なく日本から資金を引き出せるわけだからね。一度で終わらせるのではなく、延々とつづけさせる。実際、日本が中国に対して出すお金には、かぎりがないでしょ。こういう彼らのやり方を知らないまま田中と大平は中国に乗り込んだ。日本にとって、この交渉は本当に悔やまれる。[門田、p259]
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■5.「中国で千数百万人、二千億ドルの損失を与えながらご迷惑≠ニは何事か」

 田中総理一行が北京につき、最初の会談が行われた後、約6百人が参加して周恩来首相主催の歓迎夕食会が開かれました。周恩来の歓迎挨拶の後、田中総理の挨拶が始まりました。

 この時、大きな問題が起こりました。田中が「我が国が中国国民に、多大なご迷惑をおかけしたことについて、私は改めて深い反省の念を表明するものであります」との言葉が、中国語に翻訳された時のことです。

 それまで「角栄」節の一区切り毎に翻訳されて満場の拍手が響き渡っていたのに、この時は急に場内が異様な沈黙に包まれました。その後の会場は明らかに盛り上がりが失われました。

 周恩来はその時は黙っていましたが、宴会が終わり、田中と握手して別れる時に、「田中さん、"ご迷惑をかけました”という日本語は軽すぎます」と抗議をしました。翌日2日目の日中外相会談では、中国側はこの問題を蒸し返しました。

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 日本軍国主義は、中国で千数百万人、二千億ドルの損失を与えながらご迷惑≠ニは何事か。言葉が軽すぎるし、誠意がない。これは受け入れるわけにはいかない。[門田、p230]
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 日本側は「あれはきちんとした謝罪だった」としか言えませんでした。この部分の、中国語の翻訳は「添了麻煩」で、誤って女性のスカートに水をこぼしてしまい、「あっ、すいません」という程度の謝罪だといいます。この言葉で、満場の中国人が黙り込んでしまったとは、明かな誤訳です。

 スピーチの翻訳は橋本中国課長に任されており、彼は戦前にハルピンに生まれた、外務省でも一番、優秀な翻訳官に任せていたそうです。そんな翻訳官が、満場の中国人がみな不快に思うような明かな誤訳をする、などと言うことがあるでしょうか? そんな初歩的な誤訳に中国課長が気がつかない、というのも異様です。それも、もっとも日中間の機微に触れる謝罪問題で。

 門田氏は「中国側にとっては、『添了麻煩』問題は『しめた』というものだったろう」と述べて、あくまで不作為のミスと捉えているようですが、筆者個人としては、ここにも森田一秘書官の言った「なにか仕組まれているような気」がするのです。

 二回目の首脳会談でも、周はこの問題を厳しく追及してきました。ここで攻勢に出た中国側は、台湾問題でも日本側を押しまくります。最終的には、台湾との外交関係は解消されること、「二つの中国」の立場はとらないことなど、橋本中国課長が書いた文書を大平外相が読み上げて、なんとか共同声明にこぎ着けました。

 大平は、最後には「これらのことについて中国側のご理解を得たい」と、悪さをして叱られた生徒が先生に謝るような口ぶりになってしまいました。


■6.「日本がこの方面で一歩先んじていくように仕向けていた」

 こうして、本来なら日中国交正常化を急ぐ必要もない日本側が、いつのまにか「中国側のご理解」をいただいて、その後の膨大な援助を「させていただく」という形になってしまいました。

 こうした「史上最悪の外交的敗北」をもたらした責任が、日中国交回復を政権奪取の旗印とした田中角栄の私心だけでなく、橋本中国課長を代表とする外務省の無能、または背信にあったことは明らかです。

 この橋本課長は、1989年の天安門事件の際には、中国大使に出世しています。自国の多くの学生青年たちを戦車で虐殺する残虐さに欧米諸国が一致して対中非難に結束していた中で、橋本大使と、あの慰安婦に関する河野談話で悪名高き河野洋平官房長官が、対中制裁解除に奔走します。そして天皇訪中まで実現して、対中制裁の輪を崩してしまいました。

 当時の中国の外交部長(外相))銭其しん(王へんに深のつくり、せんきしん)は、回想録『外交十記』でこう書いています。

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 日本は西側の対中制裁の連合戦線の最も弱い輪であり、中国が西側の制裁を打破する際におのずと最もよい突破口となった。
 当時、われわれは日本がこの方面で一歩先んじていくように仕向けていた。西側の対中制裁を打ち破るだけではなく、さらに多くの戦略的な配慮があった。すなわち双方のハイレベル往来を通じて、日本の天皇の初めての訪中を実現させるよう促し、中日関係の発展を新たな段階に推し進めることだった。[門田、p283]
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■7.「とてつもない不幸」をもたらした日本外交の失敗

 ここでも日本外交は中国外交に操られていたことが分かります。天安門事件で、モンスター国家はその正体を世界にさらけだしたのです。欧米諸国とともに、日本が対中制裁に加わっていれば、少なくとも率先してその輪を崩したりしなければ、モンスターの成長を止められたチャンスでした。日本外交はそのチャンスも台無しにしてしまったのです。

「賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ」と喝破した佐藤翁はこうも語っていたそうです。

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 日本人は中国人のことを知らなさすぎる。そしてもっと日本人が知らないのは、私たちが思っている中国人と中国共産党の人間がまるで違うことだ。中国共産党が言っていることを信じているレベルでは、日本人は将来、とてつもない不幸を背負うことになる。[門田、p260]
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 外務省の本来の仕事は、この佐藤翁のように交渉相手をよく理解して、我が国の国益のための外交政策を考えることでしょう。それをまったくしていなかった外務省の無能または背信によって、「日中友好50年」が日本人だけでなく、世界にとっても「とてつもない不幸」をもたらしたのです(文責 伊勢雅臣)



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 私の夢、事業部の夢
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前田正晶

「夢」には色々な意味があるが、ここでは「将来実現したい願望、理想」を言うのだ。

昨夜は実に不思議な夢を見た。それは、家内と外出するので(現実には先ずしないことだが)タクシーを呼んだのだった。やって来た車からは運転手さんが降りてきてドアを開けてくれた。乗り込むと運転席には誰もいないにも拘わらず車は動き出した。後方を見ても誰もいないのに、何処からともなく声が聞こえて操縦を指示してくるのだった。「なるほど、これが未来の自動車だった自動運転か」と納得して、動くが儘に任せていた。

車は何の問題もなく走り、カーブは無理のないスピードでキチンと曲がるし、道路に街路樹の枝が突きだしていれば淀みなく避けてくれた。実に快適だった。だが、信号があった記憶はなかった。そして、目的地に到着したところで目が覚めてしまった。不思議だったとする理由は「当方は運転免許を取ろうとしたことはないし、車の運転の仕方すら知らないし、自動車産業の動向には殆ど興味も関心もないのに、自動運転の車に乗ることが夢に出てきたこと」なのである。「何でこうなったのだろう」だった。

屡々人々を驚かせていたことはと言えば「車の運転をしないで、良くアメリカで仕事ができていたものですな。不便だったでしょう」という点だった。自動車とは「何処かの方が運転してくれて、自分はその方に任せておけば良い乗り物」だったのだ。

話題を変えよう。「夢を見るのは熟睡していないからだ」と何処かで読んだ記憶があるが、私は前立腺肥大のために夜間の頻尿に悩まされながら、その僅かの間隔しかない睡眠の間でも必ず夢を見ているのだ。その夢の特徴はと言えば「昭和16年に転地療養のためにほんの僅かの間住んでいた家に帰ろうとしても、どうしても帰れずに彷徨っている」か「勤務先である日本の会社の事務所に戻ろうとすると、先ほどまであったはずの私の席がなく、あてどなく事務所の中をウロウロしている」の何れかだ。

私自身が不思議だなと感じているのは、先ずウエアーハウザーの頃のような、アメリカ人たちが「オフィス」(=office)と呼ぶ「個室」に帰ろうとする場面が出てくることが全くない点なのだ。一大決心で辞めてしまった日本の会社時代のことしか夢に出てこないのは、余程アメリカの会社が性に合わなくて、元の勤務先が恋しくて戻りたいのだという、自分では意識していなかった願望があったのかと疑っている。

ここで「夢」(=将来実現したい願望、理想)を語って見よう。実は、件名に取り上げた夢は広辞苑では最後に出てくるアイテム(これがitemの本来の意味の項目だと思うのだが)である。そして、マスコミ式にいえば「貴方の夢は」とは「将来実現したい願望、理想」を指しているのだ。思うに、彼らマスコミが言いたいことは「誰しもが将来自分はこうありたいとの願望を持って生きているのだ」のようだ。

振り返ってみれば「戦時中から終戦後の何もない時代を経て、復興期を過ごしてきて、昭和20年4月の空襲で家から何から一切を失ってしまっていた私には「夢」などを思い描いている余裕も暇(イトマ)もなかった。アルバイトで学費を賄って早く大学を卒業して就職して、早い時点で未亡人になっていた母親を楽にしようと日夜考えていたのが「夢」と言えば夢だっただろう。そこを目指していたので、苦労したとか大変だったとの感覚が無く、ひたすら時が過ぎるのを待っていた。

では、39歳になってからアメリカの会社に転進したのは、そのような「夢」があったのかと問われれば「全くそんな事はありませんでした」と答える他ないのだ。何処からともなく自分に向かって流れてきた運命と運に身を任せて、自分の為と家族を養うためのより良き手段だと考えた結果だった。ではあったが、ウエアーハウザーに移ってからは、部門全体と全員の「夢」というか目標があった。

それは「液体容器原紙の日本市場における#1のシェアーホールダーになること」だった。この大目標を達成するためには、大袈裟に言えば、辛酸をなめざるを得なかった。だが、副社長以下全員が結束して如何なる困難をも踏み越えて目標を達成した。この「夢」が私の人生でたった一度思い描いた願望であり理想だった。しかしながら、それは私個人の夢ではなく、会社であり事業部の目標だったのだ。だが、良く解ったことは「目標があってこそ生き甲斐がある人生になる事」だった。


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「安倍路線の継承、堅持」
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           岩田温


【日本の選択】「国葬」への献花の列は異常批判に怒り覚えた人々 岸田政権が決断すべき「安倍路線の継承、堅持」 重要なのは岩盤支持層を失わないこと 


報道各社の世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率が続落している。理由は明らかだ。一部メディアによる、「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題追及」の名を借りた、安倍晋三元首相や自民党、そして、安倍氏の「国葬(国葬儀)」批判の影響だ。

旧統一教会の霊感商法などが問題であるならば、法治国家として、法に従って粛々と対応を進めればよい。だが、わずかでも旧統一教会の人間と接点があった政治家が、テロリスト以上の極悪人のごとく非難されるのは、中世の「魔女狩り」のようで、異常な光景だ。

左派メディアは、いわゆる「モリカケサクラ」で、執拗(しつよう)な安倍批判を展開した。しかし、ワイドショーを妄信する人々を除いて、大多数の国民がそれらの非難に扇動されることはなかった。一方、今回は多くの日本人が、一部メディアの口車に乗せられているかのように見える。

だが、もう一度、考えてみよう。

安全保障法制(平和安全法制)を整備しようとした安倍内閣が徹底的にたたかれたときのことだ。「戦争法」「徴兵制がやってくる」「戦争に巻き込まれる」…。いずれも事実に基づかない言われなき中傷だった。

この時も、多くの国民が一部メディアに煽られていた。シールズと称する若者たちが注目され、安倍批判一色のように見えた。だが、安倍政権を支持し続けた人々がいたことを閑却(かんきゃく=なおざりにすること)すべきではない。彼らこそが自民党の岩盤支持層に他ならなかった。

自民党の政治家にとって重要なのは、自民党の岩盤支持層に見放されないことだ。彼らの声にこそ、耳を傾けるべきなのだ。自民党の岩盤支持層とは、決して過激な右翼や軍国主義者ではない。

安倍氏の「国葬」の日、献花に訪れた多くの人々が存在した。都心に数キロにもわたる追悼の列ができた。彼らは「死人に口なし」とばかりの、異常な安倍批判に静かな怒りを感じていた人々であろう。

民主主義の根幹である選挙の最中に、テロリストの凶弾に倒れた名宰相を見送りたいと願っていた市井の人々だ。彼らこそ、まさに自民党の岩盤支持層だろう。

国葬実施は岸田首相の英断だった。「聞く力を発揮して国葬を取りやめよ」と主張する一部メディアに対して、毅然(きぜん)とした態度を示した。さまざまな批判があろうが、良識ある国民は国葬を支持していた。彼らの声に耳を傾けたのが今回の決断であろう。

政治において「聞く力」が不要であると主張するつもりはない。だが、より重要なのは「決断する力」である。岸田政権が決断すべきは「安倍路線の継承、堅持」の一言に尽きる。

香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧が指摘され、軍事的覇権拡大を続ける中国といかに対峙(たいじ)するか。これが日本の将来を決定する。国内の些末な問題に拘泥し、大局を見誤ることがあってはならない。

■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。大和大学准教授などを経て、現在、一般社団法人日本歴史探究会代表理事。専攻は政治哲学。著書・共著に『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『エコファシズム 脱炭素・脱原発・再エネ推進という病』(扶桑社)、『政治学者、ユーチューバーになる』(ワック)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。

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  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月18日号採録

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国慶節連休に九寨溝観光初日
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)10月13日(木曜日)弐
         通巻第7490号  
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共産党大会前、ゼロコロナ解禁できず中国国内観光にも
異変   国慶節連休に九寨溝観光初日、たった一人しか     観光客がなかった
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 日本は外国人のツアーを解禁し、国内ではクーポンを発行するなどして死に体にあった観光産業の復活を企図している。日本の観光業界がもっとも期待する中国人ツアーはまだ実現しない。なにしろ習近平のゼロコロナ政策を党大会までにひっこめるわけにはいかないのだ。皇帝がいちど言い出したことをそう簡単には改められないのが中国独裁体制における硬直性である。
 さてゼロコロナの影響は中国の国内観光でも如実に出た。国慶節の連休を利用して四川省の世界遺産「九寨溝」を訪れた観光客がたったの211人だったそうな。例年なら数万が押しかける名勝地である。今年は厳しい新型コロナウイルス感染対策が導入され、閑古鳥が鳴いたのもコロナ対策の徹底ぶりが影響したという。なにしろ九寨溝に行くには(1)出発前の5日間で3回、(2)]到着後の3日間で3回のPCR検査を義務付け、それまでは入場券を購入さえできないとういう体勢が取られた。このため九寨溝への連休初日の来訪者はたった1人だった。昨年同期の観光客は17万人を超えていた。連休中、例年なら凄まじい人出があるチベット自治区や新疆ウイグル自治区、雲南省、海南島など観光地でも、観光客が激減した。

 九寨溝はユネスコの世界遺産で、標高3400mから2000mの高地に百を超える棚田風の湖沼が連なる。岷山山脈から流れ出た水が滝を形成し、この作用で、棚田のような独特な湖沼風景が出現するのである。エメラルド色の水は透明度が高く、日中に青、夕方にオレンジとかの色の変化を楽しめる。またパンダの生息地の一つでもある。二十年ほど前に筆者も九寨溝へ行った。当時は成都からバスで11時間を要した。2003年に九寨黄龍空港が開港し空港から90分で行けることになったが、気象条件がわるく欠航ばかりとういう鉄道では成都から蘭州への成蘭線が建設中。開通すると成都東駅から九寨溝鉄道駅まで2時間に縮小されるが、そのころまで観光客が回復しているだろうか? 

     □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き    
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 
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イスラエルの起業家、発明家の特質をあらわす七つのキーワード生存本能を賭けた、積極的にリスクをとる起業家精神あればこそだが

オスナット・ラウトマン著 新井均訳『イスラエル人のビジネス文化』(ミルトス)
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 建国前夜にイスラエルにいたユダヤ人は四万人を欠けた。それが2017年には879万人、2020年7月の統計で923万人と、加速度的に人口が増えているのは移民である。このうちの75%がユダヤ人、21%がアラブ人という構成である。ユダヤ人と一口に言っても原理主義、アシュケナージ、セファルディに分かれ、したがって議会は少数乱立。ミニ政党が八つ野合したのが現在の政権で、次の選挙でネタニヤフ復活を予測する人が多い。イスラエルは2035年に人口が1130万人を超える。世界に散らばったユダヤ人はおよそ1400万人。過半がイスラエルで暮らすのだが、共通語はヘブライ語だとおもっていたら、言語状況は違う。ヘブライ語は語彙が少なく7万語(英悟は100万語)、日常会話、じつは殆どが英悟である。道路標識はヘブライ語、英語、そして地域的にはロシア語。それほどロシアからの移民が多いからだ。ヘブライ語を母国語とするユダヤ人はおそらく百万人だろう。評者(宮崎)自身、40年ほど前まで貿易会社を経営していたので、多くのユダヤ人とつきあったし、また米国の知り合いやインタビューをした対象もユダヤ人が結構多く、そのうえイスラエルの外務大臣に或る雑誌の企画でインタビューのためエルサレムへ行ったとき、イスラエル外務省の人たちともつきあい、いずれも個性が突出しているという特徴があった。とはいえ、イスラエルが過去の戦争をすべて勝ち抜いてきたのは徴兵制、その軍隊での創造的教育である。商人の国だったイスラエルは、いまや尚武の精神にあふれ、嘗て武士道の国だった極東のある国は商人になって国防を忘れた。直近の話をすれば、ウクライナが喉から手が出るほど欲しいのがイスラエルの「アイアンドーム(防御システム)」である。しかしイスラエルは供与しない。またイスラエルの暗号解読技術や傍聴機材も各国が垂涎の的である。このようなハイテク製品がなぜ、あのような小さな国から生まれたのか。それは生存本能を賭け、積極的にリスクを取る起業家精神のたまものとも言える。本書は欧米人、とくにアメリカ人を相手にイスラエルとビジネスを展開するときのイスラエル人の特質をのべており、一種コンサルティングのテキストでもある。まず表題のイスラエル(ISRAELI)だが、てっきりイスラエル人のことと思いきや、二重に表記していて、イスラエルのビジネスマン、起業家、発明家の特質をあらわす七つのキーワードの頭文字をならべたものなのだ。すなわち
 I informal(形式張らない)
 S straightforward(単刀直入な)
 R risk taking(リスクをとる)
 A ambitious(野心的な)
 E entrepreneurial(起業家精神に富む)
 L loud(声が大きい)
 I improvisational(即興的な)
  だからISRAELI(イスラエル人)はISRAELIというわけだ。

 もうひとつ本書を読んで参考になったのは日本と対比的な上下関係の認識でこれをパワーディスタンスという。
 長幼の序という儒学の教えは戦前までの日本で常識、上下関係を気にしないなどという規律違反は通用しなかった。いまの日本に長幼の序はあるか?
 世界比較でグラフ化したチャートが本書の61ページにあるが、上下関係を重んじ上役の言うことを素直に聞く世界一はフィリピン、もっとも聞かないのがイスラエル。
 指数であらわすとフィリピンのパワーディスタンスが94.ロシア93、中国は80.さて日本はと言えば54、対してイスラエルは13だ!国際派ビジネスマン、ウォール街研究家、ユダヤ人に興味の深い読者にお勧め。
   
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)クリミア半島とロシアを繋ぐ橋梁が爆破され、その報復でロシアは百発のミサイルをウクライナに撃ち込みました。これもロシア人特有の復讐ですかね。
 停戦の呼びかけをする一方で、攻撃は止めない。戦争の定石とは言え、この戦争はアフガニスタンのように長引く可能性か濃厚ですね。(DD生、岐阜)

(宮崎正弘のコメント)長引かせてロシアをふらふらにして、プーチンの退場まで追い込むのが米国の戦略です。
ところが、すでに米国は援助疲れ、世論が換われば、戦争介入をいつまで続けられるか、中間選挙で回答がでるように思えます。

(読者の声2)ウクライナのプロパガンダは相変わらず、「ロシアのミサイルで負傷したウクライナ市民」のメイキング動画があります。
ttps://twitter.com/nanyfrail02/status/1579940926461382656?s=46&t=AfLJq9NL1qyFt12ES0m-cw


 英米の特定の政治的問題に関してはロンドンもワシントンもエルサレムもデリーも東京も同じ論調となる。
クリミアのケルチ橋爆破事件はトラックに積んだプラスチック爆弾説やら橋脚に仕掛けた爆弾説やらあるが、トラックの移動経路はブルガリアからクリミアまで明らかになっている。プーチンの誕生日プレゼントで爆破と記念切手発行だから英米ウクライナによるものなのだろう。

 今回のケルチ橋爆破の報復でロシアは数十発のミサイル攻撃。ウクライナ西部を攻撃したミサイルはモルドバ上空を通過したというから黒海から発射されたもの。キエフの映像ではかなり限定的な攻撃にみえる。500キロ爆弾ならビル一つ崩壊させられるが、今回のミサイル攻撃は警告なのかもしれない。

 ウクライナ各地の発電所・変電所攻撃でウクライナは停電が相次ぎ、ウクライナの貴重な外貨獲得手段だった電力輸出もストップ。ウクライナ西部ではポーランドから電力を融通してもらうありさま。

 9月末からのウクライナ大攻勢、精鋭部隊をつぎ込んで奪回したのは数千平方キロで人口わずか数万人の人口希薄な平原地帯。ある人は第二次世界大戦のバルジ大作戦といい、多くの識者は「ピュロスの勝利
(Pyrrhic victory)」
とよぶ。紀元前3世紀のギリシャと新興国ローマとの戦いで、損害が過大な「割りに合わない勝利」という慣用句にまでなっている。アメリカは石油の戦略備蓄を取り崩してガソリン価格を下げようとしているが、石油会社は石油もガスも高く売れる欧州に輸出しボロ儲け。OPEC+はアメリカの石油増産の要望に減産で応え、UAEは今年第三四半期のヴィラやアパートメントは22〜26%の値上がりと富裕層の逃避先となっている。ドイツは遅ればせながら2000億ユーロのエネルギー対策、フランスは1000億ユーロのインフレ対策だという。欧州はかつてソ連のゴルバチョフと「欧州共通の家」構想を提唱した。欧州とロシア、恐露病の欧州とナポレオン・ヒトラーの記憶が残るロシア。ソ連崩壊と東西ドイツ統合ではNATOを東に拡大しないと約束したが、欧米もロシアも都合の悪い約束は破るもの。たちまちポーランドからバルト三国までNATO勢力圏となった。ごく最近ドイツは国防大臣がリトアニアでNATO軍の駐留部隊増を発表した。こうやって第三次世界大戦の種がまかれていくのかもしれない。(PB生、千葉)

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(読者の声3)「目からウロコ」という表現が盛んに使われるが、鱗とは「視力、知力を増加させる」透明なコンタクトレンズでは無く、赤くドス黒く濁った「真実を隠蔽する」大規模な組織的な仕組みである。つまり賎脳工作の一部。近世になって科学、技術の分野では、最近まで、ウロコは排除された故に飛躍的に進歩した。しかし近年になって「温暖化、脱炭素、武漢菌」などで、科学者、医学者、報道陣が世界同時に自ら堅牢なウロコを目ばかりか、耳、口にも装着している(いまだに日本人全員がマスクを着けているが、それは、口、鼻ばかりか、実際には目、耳脳までも覆っていると理解するのが正しいと思ふ。イスラム原理諸国の女が全身を黒のマスクで隠してるのに近い。)
鱗よって濾過・捏造された「事実」を元にした「間違った解決方法」は巨大な被害を生み出しているが、同様なウロコが「経済、金融、貨幣」の分野でも存在し、よって膨大な無駄、不公平、不幸、停滞、が作られている、と経済学者Richard
Werner
、リチャード・ワーナー氏は過去30年間、啓蒙されている。以前にこの欄で紹介したが、氏は日本のバブルを東京で体験し政府、日銀などに提言したが、日本の指導者のウロコは取れず、以後10、20年が失われ、30年を超える。
  
興味深い点は、経済・金融学は高等数学などの数式を使い科学的な印象を与えるが、他の人文系の学問と同様に、事実、実証性、客観性を軽んじ、各学派は机上の空論・仮説・宗教を展開しているだけだ、という。
氏は経済学者として、初めて現実の銀行で、如何に「通貨が誕生する」かを実験で確かめ、既存の定説が嘘だった、と証明した。個人が、民間企業の社長が、変な宗教の教えに従い繁栄したり破産したり、は勝手だが、国家、日銀、財務省などがあやふやな経済学を信じて定期的に不可避的に「人体実験の被害」を国民に押し付ける。
恐ろしい事に、30年前日本政府の実験をバカにしていた西欧が、近年、特に武漢菌対応などを理由に、真似をする様になった。一蓮托生の運命が近づいてきた、らしい。論理・科学を否定すると人類は忽ちに中世暗黒時代に戻る。
https://www.youtube.com/watch?v=llb58LePo1I
 英語動画、20分。
「ノーベル物理学賞」「ノーベル化学賞」などと比較すると、「ノーベル経済学賞」は、極めて政治的なノーベル文学賞・平和賞などに含まれるべきであり、ノーベル
財団はこの賞を単に「経済学賞」とのみ認識している。1974年に受賞したフリードリヒ・ハイエク氏は、経済学賞の設立には「断固反対しただろう」と述べ「ノーベル賞は個人に大きな権威を与えるが、これは経済学者には不適当だ。これが自然科学なら問題ない。なぜなら影響力が及ぶ範囲は同分野の専門家たちなので、もしそれが過大ならすぐ実力相応に改まるからだ。ところが、経済学者は政治家やジャーナリスト、官僚、公衆全般と言った非専門家に大きな影響を及ぼす」と。幸いにも、日本人はまだとっていないが、今回米国FRBのバーナンキ氏が受賞したので、次は日銀文学の著者・黒田氏などが候補になる、かも。優秀な成績でトルコから国費留学をされそのまま居座ったエミン・ユルマズ氏が「年末に向けての世界経済と株式市場を予想」を語っておられる。かなり楽観的だと思うが、統計資料の使い方などの参考になる。正直な現実の解析と恐ろしい予測では、視聴者がソッポを向いてしまうのかも知れない。五感を遮るウロコとは「観たく無い、聴きたくない、知りたくない」という防御装置であるらしいが、日本の医師が末期患者に与える不誠実な「親切」にも通じる。
https://www.youtube.com/watch?v=tZ8l-GAlRT4
 日本語50分。(在米のKM生)

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重 要 情 報
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◎何故、我が国の大学では英語での論文の発表が少ないのか:前田正晶

この問題にズバリと明快に答えられる方はそう多くないと思っている。それは「native
speakerの学者(査読者でも良いか)に評価して貰え、合格点を取れる英語の文章を書くのは、我が国の学校教育で英語を学んだ方にとっては至難の業になっているから」なのである。

先ず、その難しさの手っ取り早い例を挙げてみよう。私が昭和26年(1951年)に上智大学に入学して、教授である何人かの神父様に「試験の答案は何語で書いても宜しい」と言われた。ところが、サッカー部の上級生に「絶対に英語で書いてはいけない。日本語で漢字を沢山使って書きなさい」と教えられた。英語の答案がダメな理由は「ドイツ人等々の外国人の神父様たちは英語に文法的誤りや言葉の誤用があれば直ちに減点するから」だった。

では、何故日本語の答案が良いのかと言えば「神父様たちの日本語の能力は君等の想像以上に高いが、事が漢字となると流石に十分な語彙がないので、減点することがなく通ってしまうから」であるそうだった。この英語の答案で失敗をした同級生はかなりの数いたのだった。ここでの教訓は「母国語ではない言語では、幾ら勉強してもnative
speakerか、それに準ずる人たちには通用しないので、十分に注意すること」だった。

この正反対(「真逆」?)を考えて見れば解ることで、如何に日本語で会話が達者な外国人でも、厳格に審査する査読者から合格点を貰えるほどの人が少ないだろうということ。「外国語での読み書きがnative
speakerに劣らない水準に達している人がどれほどいるか」だとご理解願いたい。ウエアーハウザーに在職中の私は周囲に大学院のマスターが何人もいたので、解らないときは「聞くは一時の恥」で、幾らでも質問ができたし、誤りがあれば指摘して貰えるという好条件があった。

英語を母国語している人たちの中にいれば解ることは「日本語とは根本的に発想が違う英語では『そういう表現の仕方があったのか』と嘆息させられる慣用句や口語体があるし、ビジネスの世界で使う公用語の語法等があるので、我が国の学校教育で習い覚えた英語などは通用しないし、ましてやTOEICで高得点だったという程度では追い付かないのだろうと、経験上も認識している。

その難しさは、既に何度か述べたことで、アメリカのその学界の最高権威である学術誌に、某大学のST教授が権威者である教授に勧められて無記名で国籍も知らされない形で投稿された論文は、3人の査読者に「内容は合格だが、話法の時制の一致と定冠詞と不定冠詞の使い方に誤りがあるので訂正の上再提出を」との条件付きで返ってきた事が雄弁に物語っている。多少お手伝いをした私は承知していたとでも、その厳格さに他人である私でさえ震え上がる思いだった。

尤も、私が周囲にいる知識階級の者たちに訊いても「定冠詞と不定冠詞を誤りなく使うのは至難の業」と聞かされていたし、高校の頃には「文法の神」と偽称していた私だが、アメリカ人たちに「英語で何が面倒か」と尋ねられて「時制の一致」と躊躇なく答えたものだった。だが、その裏には「彼らに通じるような正確な言葉遣いができているかどうかは常に不安で、何か突拍子もない珍妙な言葉で表現してしまってはいないか」と何時も不安だった。

上記のような厳格さは、我が国の学界にも企業社会にもあることだと思う。だが、事は英語で母国語の人たちに評価されるような論文を書くことは、かなり難しいことではないのだろうか。私には仮令重荷であっても、英語の論文を数多く発表する必要があるか否かは解らない。と同時に言えることは、UKの“Times
Higher
Education”のランキングに一喜一憂する必要はないと考えている。あれは白人の世界における彼らのための評価なのだから。極論だが、だからOxfordが最上位に来ているのだ。

とは言って見たが、矢張り英語を母国語にしている人たちの世界にも通用するような英語力を養う必要はあるだろう。その大目的の為には、現在の我が国の英語教育では到底そこまでの水準には容易に到達しないだろう。改善の必要がある。但し、万人がそういう高度な次元の英語力を養う必要はないと断言する。

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身 辺 雑 記
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19日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

2022年10月19日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6294号
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   2022(令和4年)年 10月19日(水)


         安保法制と細野氏の反省:阿比留瑠比
      
           史上最悪の外交的敗北:伊勢雅臣

     私の夢、事業部の夢:前田正晶

         「安倍路線の継承、堅持」:岩田 温

        国慶節連休に九寨溝観光初日:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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 安保法制と細野氏の反省
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【阿比留瑠比の極言御免】


 以前から何度も感じてきたことだが、政治家は「民主党的なるもの」から距離を置けば置くほど客観的に常識的になり、どんどんまともになっていく。最近は特に民主党で幹事長まで務めた後に離党し、現在は自民党に所属する細野豪志元原発事故担当相の言動に、刮目(かつもく)することが多い。

[「判断間違っていた」]

 細野氏は「日本戦略研究フォーラム季報」(10月1日秋号)で、安倍晋三元首相の「わが国の安全保障で果たされたご功績に報いる」との決意を記し、反省を込めて訴えていた。

 「安倍元首相の最大の功績は数多くありますが、中でも2015(平成27)年の安全保障関連法の制定はその最たるもの」「国民世論の反対はあっても安保関連法を制定するという判断が正しく、当時の私を含む野党の判断が間違っていた」

 細野氏は民主党政調会長時代、集団的自衛権の行使を限定容認し、米国との同盟関係の実効性を高める安保関連法案についてどう言っていたのか。「憲法違反の法律」とまで酷評していたのである。

 この点について細野氏は同じ季報で当時、国会前で同法案反対集会で自身が演説した内容と思いを次のように振り返っていた。

 「『憲法違反』という表現は使わないと決めていましたが、聴衆の反応に合わせて最後は『法案の成立を阻止する』と発言しました。自分が目指してきたものと自らの現実の姿のギャップを痛感しました。元来楽天家の私ですが、あの街頭演説の後は自己嫌悪で落ち込みました。

 民主党とその周囲に漂いまとわりつく「空気」にあらがえなかったのか。細野氏は当時、安保関連法成立で徴兵制が復活するともあおっていたが、それも反省していることだろう。

[再び同じ対決路線]

 同様に29年4月に民主党の後裔(こうえい)である民進党を離党した長島昭久元防衛副大臣が離党記者会見で、こう述べたのを連想する。

 「特定秘密保護法も安保関連法も憲法改正論議も共謀罪もすべて反対、徹底抗戦、廃案路線で突き進む。行き詰まると、院外のデモ隊の中に飛び込んでアジる、あおる、叫ぶ。そこには熟議も建設的な提案もない」

 提案路線を引っ込め、再び対決路線に戻った現在の立憲民主党も、似たようなものか。こうして党内の中道派は居場所を失い、左派政党へと純化していく。

 ともあれ、細野氏は菅直人政権の一員として自身が関わった東京電力福島第1原発事故対応に関しても、反省の弁を述べている。例えば昨年、事故から10年となる前には率直にこう記した。

 「10年前の反省の一つは、科学に反する報道に対して、『反論』しなかったこと。政府には原発事故の責任があったので『説明』に留めた。結果として風評が拡散し復興は遅れた。同じ過ちを繰り返してはならない」(令和3年2月21日のツイッター)
 菅直人氏ら5人の首相経験者が「(原発事故により)多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」と、事実と異なる書簡を欧州連合(EU)に送った際も、事故当時上司だった同氏を批判した。

 「菅直人元首相は避難範囲の決定をした責任者だ。原発事故により甲状腺がんが増えたと主張するなら自らの政治責任をどう取るのか」(今年1月30日ツイッター)

 論語に「過ちては改むるにはばかることなかれ」とある。現在も立民に所属する数少ない保守系議員は初心に立ち返り、自由に発信する細野氏らを見習ってはどうだろうか。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

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  松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年10月13日号採録
         

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「日中友好50年」〜史上最悪の外交的敗北
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           地球史探訪:伊勢雅臣

「中国共産党が言っていることを信じているレベルでは、日本人は将来、とてつもない不幸を背負うことになる」

■1.モンスター国家を育ててしまった「日中友好50年」

 本年9月29日は「日中国交正常化50周年」の記念日でした。50年前、1972(昭和47)年のこの日、田中角栄、周恩来両国首相が日中共同声明に署名しました。ちょうど半世紀の区切りの年で、一応、記念式典も開かれましたが、国民の間ではしらけムードが支配的でした。

 なにしろ、日中共同の世論調査では、日本で「中国に良くない印象、またはどちらかといえば良くない印象」を持つ人が90.9%、中国側でも66.1%の人が日本に対して、同様の印象を持っています[NHK]。この数字だけ見ても、「日中友好50年」の歴史は、大失敗だったことが分かります。

 国民感情だけではありません。尖閣海域での傍若無人な領海侵犯、台湾に対する武力威嚇、チベットやウイグルでの人権弾圧、世界の発展途上国を債務の罠に陥れている一帯一路、等々、中国は今や世界の平和と安定を脅かすモンスター国家に育ってしまいました。

 この「日中友好50年」の間に、3兆7千億円近くのODA(政府開発援助)を貢ぎ、また日本企業の対中投資残高は2020年時点で約19兆円にも上っています[Wedge]。我が国の政府・企業は身を削ってモンスター国家を育て、国際社会に大きな危険と損失を与えてしまいました。

 最近のベストセラー、門田髀ォ氏の『日中友好侵略史』では、「おわりに」で「国交正常化五十年を機に、その歴史を日本は振り返り、これを教訓とし、二度と同じ失敗をしてはならない」と述べています。今回は同書を頼りに、失敗の原因の一端を見ておきましょう。


■2.「国交正常化をできるのは、田中だ」

 かつて自民党内で「元帥」と畏怖されていた木村武雄という衆議院議員がいました。佐藤栄作首相にも直言できる大物議員でした。中国共産党中央委員で対日工作の責任者・廖承志(りょうしょうし)は早くから木村武雄と接触し、二人は何度も会って、日中国交回復について議論を交わしていました。

 やがて田中角栄が頭角を現すと、木村は田中を首相にして、日中国交正常化を進めようとします。木村の秘書を務めていた息子の木村完爾は、当時をこう回想しています。

__________
国交正常化をできるのは、田中だ、日中国交正常化を武器にすれば政権がとれる、それをしなければならない、と田中さんを説得していました。ライバル福田(赳夫)さんは台湾派のほうに連なっていますからね。私には俺が田中政権をつくる≠ニよく話していましたよ。[門田、p111]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 木村の後押しを得て、田中軍団は「中国」を前面に押し出して、自民党総裁選に突き進みました。「いま中国に舵を切らなければ、欧米に遅れをとってしまう」「かつての大戦で迷惑をかけた日本だからこそ、中国に目を向けなければならない」、、、。

 田中は「日中国交」を旗印にして、福田を破り、政権を取りました。しかし、それによって田中政権は「日中国交」で失敗も後戻りも許されない状況に、自らを追い込んでしまったのです。


■3.「なにか仕組まれているような気がした」

 田中政権の誕生が昭和47(1972)年7月6日、そして9月29日には北京を訪問し、共同声明で日中国交正常化が発表されました。

 一方、アメリカは電撃的なニクソン訪中を田中訪中の7ヶ月前に果たしたものの、正式な国交樹立は7年後の1979年でした。米国の7年に対し、田中政権は3ヶ月。国際的な外交常識から言っても、異常な「拙速」でした。

 北京の迎賓館に到着した田中角栄首相と大平正芳外相の一行十数人を、周恩来首相が出迎えて、一人ひとりと握手していきました。大平の秘書官・森田一は、その時の驚きをこう語っています。

__________
 中国側は秘書官の名前も全部、わかっていたんですよ。だって、周恩来さんは、僕に森田さん≠ニ言ったんです。事前に勉強しているんですよ。一人一人について全部わかっているような感じでしたね。途中で、この交渉を通じて、なにか仕組まれているような気がしたのは事実ですね。[門田、p221]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 後に、門田氏は森田氏にこう聞いています。

__________
「中ソ対立が極限まで達し、北京や上海では、当時、ソ連の核攻撃に備えて避難訓練もおこなわれていました。また、文化大革命による破壊で、あらゆるものが機能不全になり、中国全土が荒野≠ニ化していたことはご存じでしたか」

 森田の答えは、こうである。
「いま分析すると、中ソ対決の情報が欠けていたと思いますね。それに文化大革命で中国が荒廃しつくしていることも知りませんでした。橋本中国課長がそういう情報を取っていなかったか、上げていなかったかということでしょう。[門田、p221]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ソ連との対立、文化大革命による荒廃と、日本を味方につけ、日本の力での経済再建を切実に必要としてのは中国でした。一方、日本は「欧米に遅れるな」という程度の動機しかありませんでした。これほど拙速に動く必要はなかったのです。

 この立ち位置を全く生かせなかったのは、外務省の橋本中国課長が中国側の状況の「情報を取っていなかったか、上げていなかったか」でした。取っていなかったとしたら信じられないほどの無能の極み、上げていなかったとしたら日本の国益よりも中国の国益を優先する「背信」です。


■4.「賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ」

 訪中前に田中が心配していたのは、戦争の賠償問題でした。とてつもない金額を要求されたら、日中国交正常化への国民の期待も一挙に失われ、それを旗印にしていた田中政権が吹き飛ぶことは間違いありませんでした。

 その状況を把握していた周恩来は、公明党の竹入義勝委員長を北京に招待しました。公明党・創価学会は中国がかねてから重点目標として、池田大作・名誉会長には120以上の名誉教授などの称号を贈りつづけ、また竹入委員長も周恩来首相自ら日中国交の希望を伝えていた人物でした。

 周恩来は竹入と会って、直接、賠償問題を持ち出しました。「毛主席は賠償請求権を放棄すると言っています。賠償を求めれば、日本人民に負担がかかります。そのことは中国人民が身をもって知っています」と言って、日清戦争後に日本に払った賠償の重さを語りました。後に竹入はこう書いています。

__________
 私は五百億ドル(注=十五兆円以上)は払わなければと思っていたので、全く予想もしない回答に頭がクラクラした。周首相は「田中さんに恥をかかせませんから、安心して中国に来てください」と自信たっぷりにいった。[門田、p160]
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 竹入の帰国後、この報告を受けて、田中は訪中を最終的に決断したのです。

 この点について、佐藤慎一郎・元拓殖大学特任教授は門田氏にこう語っています。佐藤教授は、辛亥革命で孫文を助けた山田良政、純三郎兄弟の甥で、満洲や支那大陸に深く潜行して晩年の純三郎を助け、戦後も内閣調査室で中国情報の分析をおこなって、時々の総理大臣に中国情勢の解説を行った人物です。

__________
 賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ。これで際限なく日本から資金を引き出せるわけだからね。一度で終わらせるのではなく、延々とつづけさせる。実際、日本が中国に対して出すお金には、かぎりがないでしょ。こういう彼らのやり方を知らないまま田中と大平は中国に乗り込んだ。日本にとって、この交渉は本当に悔やまれる。[門田、p259]
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■5.「中国で千数百万人、二千億ドルの損失を与えながらご迷惑≠ニは何事か」

 田中総理一行が北京につき、最初の会談が行われた後、約6百人が参加して周恩来首相主催の歓迎夕食会が開かれました。周恩来の歓迎挨拶の後、田中総理の挨拶が始まりました。

 この時、大きな問題が起こりました。田中が「我が国が中国国民に、多大なご迷惑をおかけしたことについて、私は改めて深い反省の念を表明するものであります」との言葉が、中国語に翻訳された時のことです。

 それまで「角栄」節の一区切り毎に翻訳されて満場の拍手が響き渡っていたのに、この時は急に場内が異様な沈黙に包まれました。その後の会場は明らかに盛り上がりが失われました。

 周恩来はその時は黙っていましたが、宴会が終わり、田中と握手して別れる時に、「田中さん、"ご迷惑をかけました”という日本語は軽すぎます」と抗議をしました。翌日2日目の日中外相会談では、中国側はこの問題を蒸し返しました。

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 日本軍国主義は、中国で千数百万人、二千億ドルの損失を与えながらご迷惑≠ニは何事か。言葉が軽すぎるし、誠意がない。これは受け入れるわけにはいかない。[門田、p230]
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 日本側は「あれはきちんとした謝罪だった」としか言えませんでした。この部分の、中国語の翻訳は「添了麻煩」で、誤って女性のスカートに水をこぼしてしまい、「あっ、すいません」という程度の謝罪だといいます。この言葉で、満場の中国人が黙り込んでしまったとは、明かな誤訳です。

 スピーチの翻訳は橋本中国課長に任されており、彼は戦前にハルピンに生まれた、外務省でも一番、優秀な翻訳官に任せていたそうです。そんな翻訳官が、満場の中国人がみな不快に思うような明かな誤訳をする、などと言うことがあるでしょうか? そんな初歩的な誤訳に中国課長が気がつかない、というのも異様です。それも、もっとも日中間の機微に触れる謝罪問題で。

 門田氏は「中国側にとっては、『添了麻煩』問題は『しめた』というものだったろう」と述べて、あくまで不作為のミスと捉えているようですが、筆者個人としては、ここにも森田一秘書官の言った「なにか仕組まれているような気」がするのです。

 二回目の首脳会談でも、周はこの問題を厳しく追及してきました。ここで攻勢に出た中国側は、台湾問題でも日本側を押しまくります。最終的には、台湾との外交関係は解消されること、「二つの中国」の立場はとらないことなど、橋本中国課長が書いた文書を大平外相が読み上げて、なんとか共同声明にこぎ着けました。

 大平は、最後には「これらのことについて中国側のご理解を得たい」と、悪さをして叱られた生徒が先生に謝るような口ぶりになってしまいました。


■6.「日本がこの方面で一歩先んじていくように仕向けていた」

 こうして、本来なら日中国交正常化を急ぐ必要もない日本側が、いつのまにか「中国側のご理解」をいただいて、その後の膨大な援助を「させていただく」という形になってしまいました。

 こうした「史上最悪の外交的敗北」をもたらした責任が、日中国交回復を政権奪取の旗印とした田中角栄の私心だけでなく、橋本中国課長を代表とする外務省の無能、または背信にあったことは明らかです。

 この橋本課長は、1989年の天安門事件の際には、中国大使に出世しています。自国の多くの学生青年たちを戦車で虐殺する残虐さに欧米諸国が一致して対中非難に結束していた中で、橋本大使と、あの慰安婦に関する河野談話で悪名高き河野洋平官房長官が、対中制裁解除に奔走します。そして天皇訪中まで実現して、対中制裁の輪を崩してしまいました。

 当時の中国の外交部長(外相))銭其しん(王へんに深のつくり、せんきしん)は、回想録『外交十記』でこう書いています。

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 日本は西側の対中制裁の連合戦線の最も弱い輪であり、中国が西側の制裁を打破する際におのずと最もよい突破口となった。
 当時、われわれは日本がこの方面で一歩先んじていくように仕向けていた。西側の対中制裁を打ち破るだけではなく、さらに多くの戦略的な配慮があった。すなわち双方のハイレベル往来を通じて、日本の天皇の初めての訪中を実現させるよう促し、中日関係の発展を新たな段階に推し進めることだった。[門田、p283]
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■7.「とてつもない不幸」をもたらした日本外交の失敗

 ここでも日本外交は中国外交に操られていたことが分かります。天安門事件で、モンスター国家はその正体を世界にさらけだしたのです。欧米諸国とともに、日本が対中制裁に加わっていれば、少なくとも率先してその輪を崩したりしなければ、モンスターの成長を止められたチャンスでした。日本外交はそのチャンスも台無しにしてしまったのです。

「賠償を放棄するというのも、彼らのやり方なんだよ」と喝破した佐藤翁はこうも語っていたそうです。

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 日本人は中国人のことを知らなさすぎる。そしてもっと日本人が知らないのは、私たちが思っている中国人と中国共産党の人間がまるで違うことだ。中国共産党が言っていることを信じているレベルでは、日本人は将来、とてつもない不幸を背負うことになる。[門田、p260]
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 外務省の本来の仕事は、この佐藤翁のように交渉相手をよく理解して、我が国の国益のための外交政策を考えることでしょう。それをまったくしていなかった外務省の無能または背信によって、「日中友好50年」が日本人だけでなく、世界にとっても「とてつもない不幸」をもたらしたのです(文責 伊勢雅臣)



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 私の夢、事業部の夢
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前田正晶

「夢」には色々な意味があるが、ここでは「将来実現したい願望、理想」を言うのだ。

昨夜は実に不思議な夢を見た。それは、家内と外出するので(現実には先ずしないことだが)タクシーを呼んだのだった。やって来た車からは運転手さんが降りてきてドアを開けてくれた。乗り込むと運転席には誰もいないにも拘わらず車は動き出した。後方を見ても誰もいないのに、何処からともなく声が聞こえて操縦を指示してくるのだった。「なるほど、これが未来の自動車だった自動運転か」と納得して、動くが儘に任せていた。

車は何の問題もなく走り、カーブは無理のないスピードでキチンと曲がるし、道路に街路樹の枝が突きだしていれば淀みなく避けてくれた。実に快適だった。だが、信号があった記憶はなかった。そして、目的地に到着したところで目が覚めてしまった。不思議だったとする理由は「当方は運転免許を取ろうとしたことはないし、車の運転の仕方すら知らないし、自動車産業の動向には殆ど興味も関心もないのに、自動運転の車に乗ることが夢に出てきたこと」なのである。「何でこうなったのだろう」だった。

屡々人々を驚かせていたことはと言えば「車の運転をしないで、良くアメリカで仕事ができていたものですな。不便だったでしょう」という点だった。自動車とは「何処かの方が運転してくれて、自分はその方に任せておけば良い乗り物」だったのだ。

話題を変えよう。「夢を見るのは熟睡していないからだ」と何処かで読んだ記憶があるが、私は前立腺肥大のために夜間の頻尿に悩まされながら、その僅かの間隔しかない睡眠の間でも必ず夢を見ているのだ。その夢の特徴はと言えば「昭和16年に転地療養のためにほんの僅かの間住んでいた家に帰ろうとしても、どうしても帰れずに彷徨っている」か「勤務先である日本の会社の事務所に戻ろうとすると、先ほどまであったはずの私の席がなく、あてどなく事務所の中をウロウロしている」の何れかだ。

私自身が不思議だなと感じているのは、先ずウエアーハウザーの頃のような、アメリカ人たちが「オフィス」(=office)と呼ぶ「個室」に帰ろうとする場面が出てくることが全くない点なのだ。一大決心で辞めてしまった日本の会社時代のことしか夢に出てこないのは、余程アメリカの会社が性に合わなくて、元の勤務先が恋しくて戻りたいのだという、自分では意識していなかった願望があったのかと疑っている。

ここで「夢」(=将来実現したい願望、理想)を語って見よう。実は、件名に取り上げた夢は広辞苑では最後に出てくるアイテム(これがitemの本来の意味の項目だと思うのだが)である。そして、マスコミ式にいえば「貴方の夢は」とは「将来実現したい願望、理想」を指しているのだ。思うに、彼らマスコミが言いたいことは「誰しもが将来自分はこうありたいとの願望を持って生きているのだ」のようだ。

振り返ってみれば「戦時中から終戦後の何もない時代を経て、復興期を過ごしてきて、昭和20年4月の空襲で家から何から一切を失ってしまっていた私には「夢」などを思い描いている余裕も暇(イトマ)もなかった。アルバイトで学費を賄って早く大学を卒業して就職して、早い時点で未亡人になっていた母親を楽にしようと日夜考えていたのが「夢」と言えば夢だっただろう。そこを目指していたので、苦労したとか大変だったとの感覚が無く、ひたすら時が過ぎるのを待っていた。

では、39歳になってからアメリカの会社に転進したのは、そのような「夢」があったのかと問われれば「全くそんな事はありませんでした」と答える他ないのだ。何処からともなく自分に向かって流れてきた運命と運に身を任せて、自分の為と家族を養うためのより良き手段だと考えた結果だった。ではあったが、ウエアーハウザーに移ってからは、部門全体と全員の「夢」というか目標があった。

それは「液体容器原紙の日本市場における#1のシェアーホールダーになること」だった。この大目標を達成するためには、大袈裟に言えば、辛酸をなめざるを得なかった。だが、副社長以下全員が結束して如何なる困難をも踏み越えて目標を達成した。この「夢」が私の人生でたった一度思い描いた願望であり理想だった。しかしながら、それは私個人の夢ではなく、会社であり事業部の目標だったのだ。だが、良く解ったことは「目標があってこそ生き甲斐がある人生になる事」だった。


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「安倍路線の継承、堅持」
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           岩田温


【日本の選択】「国葬」への献花の列は異常批判に怒り覚えた人々 岸田政権が決断すべき「安倍路線の継承、堅持」 重要なのは岩盤支持層を失わないこと 


報道各社の世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率が続落している。理由は明らかだ。一部メディアによる、「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題追及」の名を借りた、安倍晋三元首相や自民党、そして、安倍氏の「国葬(国葬儀)」批判の影響だ。

旧統一教会の霊感商法などが問題であるならば、法治国家として、法に従って粛々と対応を進めればよい。だが、わずかでも旧統一教会の人間と接点があった政治家が、テロリスト以上の極悪人のごとく非難されるのは、中世の「魔女狩り」のようで、異常な光景だ。

左派メディアは、いわゆる「モリカケサクラ」で、執拗(しつよう)な安倍批判を展開した。しかし、ワイドショーを妄信する人々を除いて、大多数の国民がそれらの非難に扇動されることはなかった。一方、今回は多くの日本人が、一部メディアの口車に乗せられているかのように見える。

だが、もう一度、考えてみよう。

安全保障法制(平和安全法制)を整備しようとした安倍内閣が徹底的にたたかれたときのことだ。「戦争法」「徴兵制がやってくる」「戦争に巻き込まれる」…。いずれも事実に基づかない言われなき中傷だった。

この時も、多くの国民が一部メディアに煽られていた。シールズと称する若者たちが注目され、安倍批判一色のように見えた。だが、安倍政権を支持し続けた人々がいたことを閑却(かんきゃく=なおざりにすること)すべきではない。彼らこそが自民党の岩盤支持層に他ならなかった。

自民党の政治家にとって重要なのは、自民党の岩盤支持層に見放されないことだ。彼らの声にこそ、耳を傾けるべきなのだ。自民党の岩盤支持層とは、決して過激な右翼や軍国主義者ではない。

安倍氏の「国葬」の日、献花に訪れた多くの人々が存在した。都心に数キロにもわたる追悼の列ができた。彼らは「死人に口なし」とばかりの、異常な安倍批判に静かな怒りを感じていた人々であろう。

民主主義の根幹である選挙の最中に、テロリストの凶弾に倒れた名宰相を見送りたいと願っていた市井の人々だ。彼らこそ、まさに自民党の岩盤支持層だろう。

国葬実施は岸田首相の英断だった。「聞く力を発揮して国葬を取りやめよ」と主張する一部メディアに対して、毅然(きぜん)とした態度を示した。さまざまな批判があろうが、良識ある国民は国葬を支持していた。彼らの声に耳を傾けたのが今回の決断であろう。

政治において「聞く力」が不要であると主張するつもりはない。だが、より重要なのは「決断する力」である。岸田政権が決断すべきは「安倍路線の継承、堅持」の一言に尽きる。

香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧が指摘され、軍事的覇権拡大を続ける中国といかに対峙(たいじ)するか。これが日本の将来を決定する。国内の些末な問題に拘泥し、大局を見誤ることがあってはならない。

■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。大和大学准教授などを経て、現在、一般社団法人日本歴史探究会代表理事。専攻は政治哲学。著書・共著に『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『エコファシズム 脱炭素・脱原発・再エネ推進という病』(扶桑社)、『政治学者、ユーチューバーになる』(ワック)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。

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  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年10月18日号採録

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国慶節連休に九寨溝観光初日
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)10月13日(木曜日)弐
         通巻第7490号  
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共産党大会前、ゼロコロナ解禁できず中国国内観光にも
異変  国慶節連休に九寨溝観光初日、たった一人しか観光客がなかった
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 日本は外国人のツアーを解禁し、国内ではクーポンを発行するなどして死に体にあった観光産業の復活を企図している。

 日本の観光業界がもっとも期待する中国人ツアーはまだ実現しない。なにしろ習近平のゼロコロナ政策を党大会までにひっこめるわけにはいかないのだ。
 皇帝がいちど言い出したことをそう簡単には改められないのが中国独裁体制における硬直性である。
 
 さてゼロコロナの影響は中国の国内観光でも如実に出た。
国慶節の連休を利用して四川省の世界遺産「九寨溝」を訪れた観光客がたったの211人だったそうな。例年なら数万が押しかける名勝地である。今年は厳しい新型コロナウイルス感染対策が導入され、閑古鳥が鳴いたのもコロナ対策の徹底ぶりが影響したという。

 なにしろ九寨溝に行くには(1)出発前の5日間で3回、(2)]到着後の3日間で3回のPCR検査を義務付け、それまでは入場券を購入さえできないとういう体勢が取られた。
 このため九寨溝への連休初日の来訪者はたった1人だった。昨年同期の観光客は17万人を超えていた。
連休中、例年なら凄まじい人出があるチベット自治区や新疆ウイグル自治区、雲南省、海南島など観光地でも、観光客が激減した。

 九寨溝はユネスコの世界遺産で、標高3400mから2000mの高地に百を超える棚田風の湖沼が連なる。岷山山脈から流れ出た水が滝を形成し、この作用で、棚田のような独特な湖沼風景が出現するのである。

エメラルド色の水は透明度が高く、日中に青、夕方にオレンジとかの色の変化を楽しめる。またパンダの生息地の一つでもある。

二十年ほど前に筆者も九寨溝へ行った。当時は成都からバスで11時間を要した。2003年に九寨黄龍空港が開港し空港から90分で行けることになったが、気象条件がわるく欠航ばかりとういう。

鉄道では成都から蘭州への成蘭線が建設中。開通すると成都東駅から九寨溝鉄道駅まで2時間に縮小されるが、そのころまで観光客が回復しているだろうか? 

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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 
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イスラエルの起業家、発明家の特質をあらわす七つのキーワード
  生存本能を賭けた、積極的にリスクをとる起業家精神あればこそだが

オスナット・ラウトマン著 新井均訳『イスラエル人のビジネス文化』(ミルトス)
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 建国前夜にイスラエルにいたユダヤ人は四万人を欠けた。
それが2017年には879万人、2020年7月の統計で923万人と、加速度的に人口が増えているのは移民である。このうちの75%がユダヤ人、21%がアラブ人という構成である。
ユダヤ人と一口に言っても原理主義、アシュケナージ、セファルディに分かれ、したがって議会は少数乱立。ミニ政党が八つ野合したのが現在の政権で、次の選挙でネタニヤフ復活を予測する人が多い。
 イスラエルは2035年に人口が1130万人を超える。
世界に散らばったユダヤ人はおよそ1400万人。過半がイスラエルで暮らすのだが、共通語はヘブライ語だとおもっていたら、言語状況は違う。ヘブライ語は語彙が少なく7万語(英悟は100万語)、日常会話、じつは殆どが英悟である。道路標識はヘブライ語、英語、そして地域的にはロシア語。それほどロシアからの移民が多いからだ。ヘブライ語を母国語とするユダヤ人はおそらく百万人だろう。
 評者(宮崎)自身、40年ほど前まで貿易会社を経営していたので、多くのユダヤ人とつきあったし、また米国の知り合いやインタビューをした対象もユダヤ人が結構多く、そのうえイスラエルの外務大臣に或る雑誌の企画でインタビューのためエルサレムへ行ったとき、イスラエル外務省の人たちともつきあい、いずれも個性が突出しているという特徴があった。
 とはいえ、イスラエルが過去の戦争をすべて勝ち抜いてきたのは徴兵制、その軍隊での創造的教育である。
商人の国だったイスラエルは、いまや尚武の精神にあふれ、嘗て武士道の国だった極東のある国は商人になって国防を忘れた。
 直近の話をすれば、ウクライナが喉から手が出るほど欲しいのがイスラエルの「アイアンドーム(防御システム)」である。しかしイスラエルは供与しない。
またイスラエルの暗号解読技術や傍聴機材も各国が垂涎の的である。このようなハイテク製品がなぜ、あのような小さな国から生まれたのか。それは生存本能を賭け、積極的にリスクを取る起業家精神のたまものとも言える。

 本書は欧米人、とくにアメリカ人を相手にイスラエルとビジネスを展開するときのイスラエル人の特質をのべており、一種コンサルティングのテキストでもある。
 まず表題のイスラエル(ISRAELI)だが、てっきりイスラエル人のことと思いきや、二重に表記していて、イスラエルのビジネスマン、起業家、発明家の特質をあらわす七つのキーワードの頭文字をならべたものなのだ。
 すなわち
 I informal(形式張らない)
 S straightforward(単刀直入な)
 R risk taking(リスクをとる)
 A ambitious(野心的な)
 E entrepreneurial(起業家精神に富む)
 L loud(声が大きい)
 I improvisational(即興的な)
  だからISRAELI(イスラエル人)はISRAELIというわけだ。

 もうひとつ本書を読んで参考になったのは日本と対比的な上下関係の認識でこれをパワーディスタンスという。
 長幼の序という儒学の教えは戦前までの日本で常識、上下関係を気にしないなどという規律違反は通用しなかった。いまの日本に長幼の序はあるか?
 世界比較でグラフ化したチャートが本書の61ページにあるが、上下関係を重んじ上役の言うことを素直に聞く世界一はフィリピン、もっとも聞かないのがイスラエル。
 指数であらわすとフィリピンのパワーディスタンスが94.ロシア93、中国は80.
 さて日本はと言えば54、対してイスラエルは13だ!
 国際派ビジネスマン、ウォール街研究家、ユダヤ人に興味の深い読者にお勧め。
   
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)クリミア半島とロシアを繋ぐ橋梁が爆破され、その報復でロシアは百発のミサイルをウクライナに撃ち込みました。これもロシア人特有の復讐ですかね。
 停戦の呼びかけをする一方で、攻撃は止めない。戦争の定石とは言え、この戦争はアフガニスタンのように長引く可能性か濃厚ですね。
  (DD生、岐阜)


(宮崎正弘のコメント)長引かせてロシアをふらふらにして、プーチンの退場まで追い込むのが米国の戦略です。
ところが、すでに米国は援助疲れ、世論が換われば、戦争介入をいつまで続けられるか、中間選挙で回答がでるように思えます。

(読者の声2)ウクライナのプロパガンダは相変わらず、「ロシアのミサイルで負傷したウクライナ市民」のメイキング動画があります。

ttps://twitter.com/nanyfrail02/status/1579940926461382656?s=46&t=AfLJq9NL1qyFt12ES0m-cw

 英米の特定の政治的問題に関してはロンドンもワシントンもエルサレムもデリーも東京も同じ論調となる。


 クリミアのケルチ橋爆破事件はトラックに積んだプラスチック爆弾説やら橋脚に仕掛けた爆弾説やらあるが、トラックの移動経路はブルガリアからクリミアまで明らかになっている。プーチンの誕生日プレゼントで爆破と記念切手発行だから英米ウクライナによるものなのだろう。

 今回のケルチ橋爆破の報復でロシアは数十発のミサイル攻撃。ウクライナ西部を攻撃したミサイルはモルドバ上空を通過したというから黒海から発射されたもの。キエフの映像ではかなり限定的な攻撃にみえる。500キロ爆弾ならビル一つ崩壊させられるが、今回のミサイル攻撃は警告なのかもしれない。

 ウクライナ各地の発電所・変電所攻撃でウクライナは停電が相次ぎ、ウクライナの貴重な外貨獲得手段だった電力輸出もストップ。ウクライナ西部ではポーランドから電力を融通してもらうありさま。

 9月末からのウクライナ大攻勢、精鋭部隊をつぎ込んで奪回したのは数千平方キロで人口わずか数万人の人口希薄な平原地帯。ある人は第二次世界大戦のバルジ大作戦といい、多くの識者は「ピュロスの勝利
(Pyrrhic victory)」
とよぶ。紀元前3世紀のギリシャと新興国ローマとの戦いで、損害が過大な「割りに合わない勝利」という慣用句にまでなっている。
 アメリカは石油の戦略備蓄を取り崩してガソリン価格を下げようとしているが、石油会社は石油もガスも高く売れる欧州に輸出しボロ儲け。OPEC+はアメリカの石油増産の要望に減産で応え、UAEは今年第三四半期のヴィラやアパートメントは22〜26%の値上がりと富裕層の逃避先となっている。
 ドイツは遅ればせながら2000億ユーロのエネルギー対策、フランスは1000億ユーロのインフレ対策だという。
 欧州はかつてソ連のゴルバチョフと「欧州共通の家」構想を提唱した。欧州とロシア、恐露病の欧州とナポレオン・ヒトラーの記憶が残るロシア。ソ連崩壊と東西ドイツ統合ではNATOを東に拡大しないと約束したが、欧米もロシアも都合の悪い約束は破るもの。たちまちポーランドからバルト三国までNATO勢力圏となった。ごく最近ドイツは国防大臣がリトアニアでNATO軍の駐留部隊増を発表した。こうやって第三次世界大戦の種がまかれていくのかもしれない。(PB生、千葉)

  ♪
(読者の声3)「目からウロコ」という表現が盛んに使われるが、鱗とは「視力、知力を増加させる」透明なコンタクトレンズでは無く、赤くドス黒く濁った「真実を隠蔽する」大規模な組織的な仕組みである。
つまり賎脳工作の一部。近世になって科学、技術の分野では、最近まで、ウロコは排除された故に飛躍的に進歩した。しかし近年になって、「温暖化、脱炭素、武漢菌」などで、科学者、医学者、報道陣が世界同時に自ら堅牢なウロコを目ばかりか、耳、口にも装着している。(いまだに日本人全員がマスクを着けているが、それは、口、鼻ばかりか、実際には目、耳、脳までも覆っていると理解するのが正しいと思ふ。イスラム原理諸国の女が全身を黒のマスクで隠してるのに近い。)
鱗よって濾過・捏造された「事実」を元にした「間違った解決方法」は巨大な被害を生み出しているが、同様なウロコが「経済、金融、貨幣」の分野でも存在し、よって膨大な無駄、不公平、不幸、停滞、が作られている、と経済学者Richard
Werner
、リチャード・ワーナー氏は過去30年間、啓蒙されている。以前にこの欄で紹介したが、氏は日本のバブルを東京で体験し政府、日銀などに提言したが、日本の指導者のウロコは取れず、以後10、20年が失われ、30年を超える。
  
興味深い点は、経済・金融学は高等数学などの数式を使い科学的な印象を与えるが、他の人文系の学問と同様に、事実、実証性、客観性を軽んじ、各学派は机上の空論・仮説・宗教を展開しているだけだ、という。
氏は経済学者として、初めて現実の銀行で、如何に「通貨が誕生する」かを実験で確かめ、既存の定説が嘘だった、と証明した。個人が、民間企業の社長が、変な宗教の教えに従い繁栄したり破産したり、は勝手だが、国家、日銀、財務省などがあやふやな経済学を信じて定期的に不可避的に「人体実験の被害」を国民に押し付ける。
恐ろしい事に、30年前日本政府の実験をバカにしていた西欧が、近年、特に武漢菌対応などを理由に、真似をする様になった。一蓮托生の運命が近づいてきた、らしい。論理・科学を否定すると、人類は忽ちに中世暗黒時代に戻る。
https://www.youtube.com/watch?v=llb58LePo1I
 英語動画、20分。
「ノーベル物理学賞」「ノーベル化学賞」などと比較すると、「ノーベル経済学賞」は、極めて政治的なノーベル文学賞・平和賞などに含まれるべきであり、ノーベル
財団はこの賞を単に「経済学賞」とのみ認識している。1974年に受賞したフリードリヒ・ハイエク氏は、経済学賞の設立には「断固反対しただろう」と述べ「ノーベル賞は個人に大きな権威を与えるが、これは経済学者には不適当だ。これが自然科学なら問題ない。なぜなら影響力が及ぶ範囲は同分野の専門家たちなので、もしそれが過大ならすぐ実力相応に改まるからだ。ところが、経済学者は政治家やジャーナリスト、官僚、公衆全般と言った非専門家に大きな影響を及ぼす」と。
幸いにも、日本人はまだとっていないが、今回米国FRBのバーナンキ氏が受賞したので、次は日銀文学の著者・黒田氏などが候補になる、かも。
 優秀な成績でトルコから国費留学をされそのまま居座ったエミン・ユルマズ氏が「年末に向けての世界経済と株式市場を予想」を語っておられる。
かなり楽観的だと思うが、統計資料の使い方などの参考になる。正直な現実の解析と恐ろしい予測では、視聴者がソッポを向いてしまうのかも知れない。五感を遮るウロコとは「観たく無い、聴きたくない、知りたくない」という防御装置であるらしいが、日本の医師が末期患者に与える不誠実な「親切」にも通じる。
https://www.youtube.com/watch?v=tZ8l-GAlRT4
 日本語50分。
  (在米のKM生)
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重 要 情 報
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◎何故、我が国の大学では英語での論文の発表が少ないのか:前田正晶

この問題にズバリと明快に答えられる方はそう多くないと思っている。それは「native
speakerの学者(査読者でも良いか)に評価して貰え、合格点を取れる英語の文章を書くのは、我が国の学校教育で英語を学んだ方にとっては至難の業になっているから」なのである。

先ず、その難しさの手っ取り早い例を挙げてみよう。私が昭和26年(1951年)に上智大学に入学して、教授である何人かの神父様に「試験の答案は何語で書いても宜しい」と言われた。ところが、サッカー部の上級生に「絶対に英語で書いてはいけない。日本語で漢字を沢山使って書きなさい」と教えられた。英語の答案がダメな理由は「ドイツ人等々の外国人の神父様たちは英語に文法的誤りや言葉の誤用があれば直ちに減点するから」だった。

では、何故日本語の答案が良いのかと言えば「神父様たちの日本語の能力は君等の想像以上に高いが、事が漢字となると流石に十分な語彙がないので、減点することがなく通ってしまうから」であるそうだった。この英語の答案で失敗をした同級生はかなりの数いたのだった。ここでの教訓は「母国語ではない言語では、幾ら勉強してもnative
speakerか、それに準ずる人たちには通用しないので、十分に注意すること」だった。

この正反対(「真逆」?)を考えて見れば解ることで、如何に日本語で会話が達者な外国人でも、厳格に審査する査読者から合格点を貰えるほどの人が少ないだろうということ。「外国語での読み書きがnative
speakerに劣らない水準に達している人がどれほどいるか」だとご理解願いたい。ウエアーハウザーに在職中の私は周囲に大学院のマスターが何人もいたので、解らないときは「聞くは一時の恥」で、幾らでも質問ができたし、誤りがあれば指摘して貰えるという好条件があった。

英語を母国語している人たちの中にいれば解ることは「日本語とは根本的に発想が違う英語では『そういう表現の仕方があったのか』と嘆息させられる慣用句や口語体があるし、ビジネスの世界で使う公用語の語法等があるので、我が国の学校教育で習い覚えた英語などは通用しないし、ましてやTOEICで高得点だったという程度では追い付かないのだろうと、経験上も認識している。

その難しさは、既に何度か述べたことで、アメリカのその学界の最高権威である学術誌に、某大学のST教授が権威者である教授に勧められて無記名で国籍も知らされない形で投稿された論文は、3人の査読者に「内容は合格だが、話法の時制の一致と定冠詞と不定冠詞の使い方に誤りがあるので訂正の上再提出を」との条件付きで返ってきた事が雄弁に物語っている。多少お手伝いをした私は承知していたとでも、その厳格さに他人である私でさえ震え上がる思いだった。

尤も、私が周囲にいる知識階級の者たちに訊いても「定冠詞と不定冠詞を誤りなく使うのは至難の業」と聞かされていたし、高校の頃には「文法の神」と偽称していた私だが、アメリカ人たちに「英語で何が面倒か」と尋ねられて「時制の一致」と躊躇なく答えたものだった。だが、その裏には「彼らに通じるような正確な言葉遣いができているかどうかは常に不安で、何か突拍子もない珍妙な言葉で表現してしまってはいないか」と何時も不安だった。

上記のような厳格さは、我が国の学界にも企業社会にもあることだと思う。だが、事は英語で母国語の人たちに評価されるような論文を書くことは、かなり難しいことではないのだろうか。私には仮令重荷であっても、英語の論文を数多く発表する必要があるか否かは解らない。と同時に言えることは、UKの“Times
Higher
Education”のランキングに一喜一憂する必要はないと考えている。あれは白人の世界における彼らのための評価なのだから。極論だが、だからOxfordが最上位に来ているのだ。

とは言って見たが、矢張り英語を母国語にしている人たちの世界にも通用するような英語力を養う必要はあるだろう。その大目的の為には、現在の我が国の英語教育では到底そこまでの水準には容易に到達しないだろう。改善の必要がある。但し、万人がそういう高度な次元の英語力を養う必要はないと断言する。

2022年10月18日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6293号
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   2022(令和4年)年 10月18日(火)


              大東亜戦争の夢:加瀬英明

           【変見自在】変声人語:高山正之

            北方謙三氏は言った:前田正晶
 
         第3次世界大戦へのシナリオ:北野幸伯

       防衛力強化を言い訳にした増税:三橋貴明

             
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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大東亜戦争の夢 両親の面影をみる幼少期
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      加瀬英明

 
 アジア解放に憧れて

 今年、月刊『文藝春秋』誌が創刊100周年を迎えた。今から30年ほど前だろうか。『文藝春秋』誌が新聞に社主・故菊池寛以下、創刊以来の執筆者を寄稿回数が多い
順に並べた1ページ広告をのせたことがあった。
私は自分でも驚いたが、70数番目という上位にあった。

 『文藝春秋』にいまでも「おやじ」、「おふくろ」という、それぞれ1ページのコラムがある。私は「おやじ」の平成13年2月号に寄稿しているが、「おふくろ」のほう
は気が乗らなかったので、書くことがなかった。

 父親は仕事に没頭していたから私を叱ったことがなく、ペットもどきに扱ったので兄のようだったが、母親は私の一挙一動を意にそわせようとして躾け、教育に煩く、好意
をいだけなかった。

 父はエリート外交官だったが、外交官は身のまわりの出費が多いから、裕福な家の娘を娶る者が多かった。父もその一人だった。母は典型的なお嬢様だった。有名銀行の頭取の娘で、“バター臭い”家庭で育ち、敬虔なキリスト信者だった。

 私は母のお嬢様のようなところが、友人たちに恥しかった。まさか随筆に母を嫌っていたとは書けなかった。いって母を嫌っていたわけではない。そりが合わなかったのだ。もっとも外から見たらふつうの母と息子だったろう。

 私はアメリカに留学した時に、アメリカに「マイ・マザー、ドランク・ノア・ソバー(泥酔していても、シラフでも、わたしの母(マザー))」という諺があるのを知って
その通りだと思った。

 私が幼稚園に通っている時に、英米に対する戦争に突入していた。コロナによって2年中断されているが、毎年、クラス会を開いてきた珍しい幼稚園だ。クラスメートのな
かに、東大総長になった蓮實重彥がいる。

 戦時下の小学校へあがった。「贅沢は敵だ」というスローガンを信じていたので、母親の西洋気(か)触(ぶ)れの派手な服装がうとましかった。「和魂洋才」と和魂

 当時の世界は、白人至上主義のもとにあった。

 アメリカではトランプ政権からBLM(ブラック・ライブス・マター)運動が全土を風靡したが、私が生まれ育った世界では、世界の大半を占める有色人種が白人の支配下
にあって、ブラック・ライブス・マターの逆境を強いられていた。私が物心がついたことから、支那事変(左が日中戦争と呼ぶ)が続いていた。

 アメリカが日本にけしかけていると教えられたが、いまから振り返っても、多分に正しい見方だった。私も子供たちも、日本がアジアを白人から解放する使命を授かっていると信じていた。

 終戦の年に国民学校(小学)3年生だったが、いまでも「興亜の大業」という難しい言葉を覚えている。母親の西洋気触れを嫌ったのは、浅薄なことだった。日本が近代化を遂げて先進国になれたのも、西洋の主要国と戦うことができたのも、国をあげて西洋を模倣したからだった。

「和魂洋才」といわれたが、洋才を駆使するためには、洋魂を取り入れねばならなかった。私が高校生のころも、欧米へ渡るのを「洋行」といって憧れたし、試験でよい成績をとると、「上等舶来(じょうとうはくらい)」と叫んだ。

 連合国と国連

 日本陸海軍は観閲式で指揮刀を抜いて、唇の前に立てて鞘に収めることを行ったが、これは十字軍の礼式だ。刀身と鍔が交差しているのを十字架に見立てて、接吻したの
だった。皇軍がキリスト教の礼法を用いたのは、滑稽だっただろうか。

 アメリカのルーズベルト政権は日本が屈服した後に、白人至上主義の世界支配を続けるためのシステムをつくろうと思い立った。「ユナイテッド・ネーションズ」(日本訳
で、国際連合)を創設することだった。

 ルーズベルト大統領は日本が真珠湾を攻撃した翌月の1942年1月1日に、日本と戦っていた諸国をワシントンに招集して、「これから私たちの同盟を『ユナイテッド・
ネーションズ(連合国)』と呼ぼう」といって、「連合国」の名称が決まった。

 日本軍が第2次大戦の最後の年となった1945年5月に、沖縄に来攻した米軍を迎えて勇戦していた時に、急死したルーズベルトに代った、トルーマン大統領が、サンフ
ランシスコに国連を創設する会議を招集した。新しい国際組織の名称は「ユナイテッド・ネーションズ」とすることが決定された。日本と戦っていることが、加盟国の条件
とされたために、慌てて日本に宣戦布告した国が多かった

 昭和20年の朝日新聞を読むと、十月まではサンフランシスコで誕生した『ユナイテッド・ネーションズ』を正しく「連合国」と呼んでいるが、11月から、突然、「国際連合」「国連」に変更している。

 国連が「連合国」であっては、日本を敵とする機構であるのがみえみえだ。広島、長崎に爆弾を投下したのも、「連合国(ユナイテッド・ネーションズ)」ではなかったか。だが、今日の世界のどこを探しても、“国際連合”という名称の国際機関は存在していない。

 中国では国連を「連合国」、韓国も「ヨンハプグク(連合国)」同じ敗戦国のドイツ、イタリアも「連合国」とそのまま使っている。アジアの独立戦争勝利が世界戦争の終結私の事務所はいつも千客万来で賑わっている。議員、作家、芸能人、労働組合幹部、外国の学者など、あらゆる職種の人たちが集まってくるから楽しい。『カレント』の矢
野弾先生も、その一人だった。今年急逝されたが、惜しい人を失った。

 矢野先生の縁で事務所に立ち寄られたのか覚えていないが、Aさんという高齢美形の女性がおられる。みるからに良家の令嬢で、仏教伝来について学術書も出版されており私がその本の内容を批判したことから、会話のよき伴侶となるようになった。

 私はAさんにお目に掛かるたびに、生真面目、教養人で、西洋に憧れてキリスト信者でおいでのところも、母によく似ているのに驚いた。最後にお会いした時に、Aさんが「世界戦争が終わって、国連、国連機関のユネスコが生まれ、ユネスコ憲章は気高い」といわれたので、「ユネスコ憲章はクズみたいなものです。ユネスコは平和に有害です」と答えた。

 私がその直後に入院したので申し上げる機会がないが、先の世界戦争はまさか日本が降伏した時に終わっていない。その意味で、日本が第2次大戦に参入した時に、「大東亜戦争」と名づけたのは正しかった。日本が降伏した後に、アジアを再び植民地とするために、連合国軍がインドネシア、ベトナム、マレーシアなどに攻め込んだ。

 日本が剣を捨てた時に、アジアの同胞が日本の大東亜戦争を戦い続けた。先の世界戦
争は、インドネシア、ベトナムなどが独立戦争に勝った時にようやく終わった。アフリカ大陸も呼応して、次々と独立していった。

 緒戦で日本が勝っていたころは、私もアジア太平洋につぎつぎと日の丸が書き込まれるのを見て、狂喜した。開戦時に決定した「大東亜戦争」という戦争の呼称も使ってい
たが、サイパン島が失陥したあたりから、しだいにアジアの解放の夢が語られなくなり、「本土決戦」「一億総特攻」に変わってしまった。

今日の日本では先の戦争を白人優位主義史観に従って、「太平洋戦争」と呼ぶのが良識で「大東亜戦争」だと時代遅れの右翼だとみられる。「大東亜戦争」のほうが正しい

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【変見自在】変声人語
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       高山正之
 

 ポルポト派がカンボジアの首都プノンペンを制圧したとき、朝日新聞の和田俊記者は「アジア的な優しさが溢れていた」から、きっと明るい社会主義国家ができるだろうと書いた。その翌日から170万人の大虐殺が始まった。

 すぐばれる嘘を書いた理由は一つ。朝日の記者どもは取材しない。当てずっぽうで書くからだ。その大虐殺を裁く特別法廷が先日、最後の大物キュー・サムファンに終身刑を言い渡して閉廷した。

 そしたら天声人語がよせばいいのに、それをネタに一文を書いた。キュー・サムファンが虐殺を始める前、周恩来から「小さくてもいい。きらりと光る共産国家になれ」と武村正義みたいなことを言われたとか。

「でも忠告は無視された」と天声人語は続ける。

 以下、ポト派は「都市人間を農村に下放し、強制労働させ、知識人を殺し、ついには国民の4人に1人を殺すキリングフィールドを脱出した」と、まあ十年一日というか、昔から言われてきた話を並べる。

 余りに新鮮味がないと本人が思ったか「スパイをでっち上げ、処刑した背景には困難を誰かのせいにする統治の手法が窺える」と鹿爪らしく結ぶ。

 そんなものは毛筋ほども窺えない。

 執筆者は最後の法廷の訴因すら読んでいないらしい。そこには「チャム族などの虐殺を問う」という件がある。

 それはポト派大虐殺が「極端な共産主義思想」(朝日の社説)などではないことを十分に仄めかしているが、天声人語の筆者にはそれが分からない。

ここで言うチャム族とはベトナムに滅ぼされたチャンパ国の民のこと。今はベトナム南部からカンボジアにかけて分布する亡国の民で、彼らが織る絹絣(きぬかすり)は世界的に知られる。

 ポト派はクメール・ルージュを名乗るが、その主張は共産主義より前に、民族自決がくる。まずよそ者のチャム族や仏領時代に入り込んで彼らの国の政治経済を壟断するベトナム系住民を絶滅し、クメール人の国を取り戻すことにあった。

 天声人語の執筆者は知らないが、キュー・周恩来会談と同じ時期にもっと大物のヘン・サムリンが毛沢東に会っていた。

 会見の主題は淘汰すべき「よそ者」の線引きだった。一口によそ者と言ってもベトナム人もいれば華僑系もある。現にヘン・サムリン自身もフン・センも父親は華僑だった。それに純粋華僑も12万人はいた。

 彼らをどうするか。毛の答えは「構わないからみんなやっちまえ」だった結果外人はみな粛清の対象とされた。

 最初に淘汰されたのはメコン川に沿う一帯のベトナム系農民とチャム族たちで、その日からメコン川は死体で埋まった。次に都会に住むベトナム系がやられ、華僑もやられた。彼らの処刑場チュンエクは皮肉にも華僑の墓地だったところだ。

 カンボジア外交官と結婚した内藤泰子も右に同じ。下放され、夫と子はみな死亡。彼女もタイ国境の村で救出されるまで丸4年間の地獄の辛酸を嘗めた。

 ポト派は民族自決を掲げ、カンボジアを蚕食するベトナム人を標的にして大量虐殺をやった。後に中越紛争を仕掛けるくらいベトナムを憎む支那がそれで早くからポト派を支援した。

 自身も華僑系ゆえに粛清を察知したフン・センがベトナムに寝返り、ポト派は潰された。入り乱れる民族間の憎悪。それを抜きにポト派を語れないのに、この天声人語には民族のミの字もない。おまけに文章は超へたくそとくる

 先日の天声人語は安倍さんの国葬に「10億円以上」かかるとか埒もない文句を並べていた。朝日の慰安婦の嘘で日本は韓国にもう100億円を超す国費を使っている。それを弁償してから言え。

 そしたらこの秋から執筆陣がやっと変わると社告があった。嘘と不勉強と傲慢はもうやめてほしい。

〈新潮社編集部より〉
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。

『変見自在バイデンは赤い』(定価1650円)絶賛発売中。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

『週刊新潮』令和4年10月20日号採録

           
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 北方謙三氏は言った
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「日本語に愛を持てない者は去れ」と:前田正晶


以下は私が昨年の10月15日に発表したものである。今になって読み返してみると、今日でもそのまま主張したい内容である。そこで、少し手を加えて再録してみようと思った次第だ。願わくは、熟読玩味して頂き、私の主張をご理解願いたいのである。

北方氏は週刊新潮に連載しておられるコラム「十字路が見える」で件名のように明快に指摘しておられた。21年の10月21号に掲載された分である。私にしてみれば「カタカナ語排斥は孤軍奮闘ではなかった。有り難い」との思いで読んだ。言うまでもない事でカタカナ語に関して、である。カタカナ語(北方氏は「横文字」と表現しておられる)については、2ページ目に書いておられることが我が意を得たりなので、少し引用してみようと思う次第だ。

>引用開始
まず、訊きたい。インバウンドとはどういう意味なのかな。もし外国人旅行者のことを言うのなら、そのまま日本語で言った方が、はるかにわかりやすくないか。多分、日本語では表現できない、深い深いところで大いなる意味を持っているのだろうが、それならそれで、遣っている人たちがきちんと説明しろよ。しかし、必然性の問題だな。横文字にするのに必然性があるとしたら、日本語の方にそうとう大きな問題がある、ということだろう。日本語で言えないので、インバウンドなどと言ったりするのだろう。インバウンドが外国人旅行者だとしたら、それほど日本にとって不都合な人たちになるのか。

いやだなあ。私は、ほんとうにいやだよ。テレビのニュースでも、平然とインバウンドと言っている。せめて公共放送ぐらいは、率先して日本語を破壊するようなことは、やめてくれないかな。疫病関係の言葉も、横文字で表現して、括弧の中で日本語で説明するという滑稽さである。三密を、人流を、横文字にしてくれ。できないなら、ほかのもするな。特に公共的な立場にいる人、日本人だろう。日本語を遣おうよ。君もだぞ。
<引用終わる

「北方様、よくぞ言って下さいました」と心の底から賛成すると同時に感謝申し上げたい。私が長年主張してきたことが「日本人だろう。日本語を遣おうよ。君もだぞ」なのであるから。北方氏のようなカタカナ語にすれば「インフルエンサー」とでも言えるだろう著名人で、横文字(=カタカナ語で良いと思うが)を排斥しておられる方は極めて少ないと思っていたし、自分自身は孤軍奮闘であると思ってきた。何分にも「嫌味だ」とまで言われた経験まであるのだから。

念の為に振り返っておくと、私は「インバウンド」は既に批判していた。それは、北方氏も指摘しておられたように“inbound”という単語には「外国人旅行者」などという意味はないのだから。もしかして“inbound
traveler”とでもいう熟語があって、flip
chartのflipだけを切り取って「フリップ」にしてしまったのと同様な手法かも知れない。「ウイルス感染の再拡大」を簡単に言えば「はね返る」という意味のreboundから取って「リバウンド」としたのも同様な手口だ。「リバウンド」だけでは何が跳ね返ったのか、再度拡大したのか特定できていない。


私は1990年からカタカナ語というべきか、英語の単語をそのまま日本語の中に組み込んで「粋がっていたり、格好が良いと錯覚したり、時代の先端を行っているとでも思い込んでいる現象を批判してきた。そんな格好の良さなど不要だ」と言って。ところが、この格好付けの傾向は拡大する一方で、21世紀の初め頃には私が一寸集めてみただけで200語近くにも増えていた。2008年に行ったプリゼンテーションでは、大雑把に「造語(和製英語)」、「ローマ字式発音」、「言葉の乱造・濫用・借用」、「合成語・複合語」に分類しておいたが、これらのどの分野でも新語が続々と現れている。

このようなカタカナ語化された英語の単語の例はこれまでに数限りなく取り上げてきた。「インバウンド」も勿論そのうちに入っていた。そこで、今回は近頃特に気になっている例を一つだけ挙げておこう。それは「メイン」である。これは既に解説したことで「如何なる辞典を見ても『名詞の前に使う』形容詞」とある。即ち、main
streetやmain dishやmain entryのような形だ。

だが、多くの方は「主に」や「主として」や「主体にして」の意味で、言わば名詞形に使っているのだ。また同じ事を言うかと思われるだろうが「このような過ちは単語の意味だけを覚えさせて、文章の中でどのように使うべきか」を教えていない英語教育の欠陥であると思う。第一、日本語化してしまったとは言え、何も「主に」を「メイン」と言う必然性はないと思う。

一つだけとは言ったが、もう一例挙げたくなった。それは「ウインウイン」である。この表現は故安倍元総理が好んで使っておられた印象が濃厚だ。これも「名詞の前に使う」のが正しい英語の在り方だ。即ち、We
were in win-win
situation.のような文章になるのだ。「ウインウイン」単体で「双方が満足できる状態」という名詞形で使ってはならないのだ、英語では。

私はこういう現象が起きる最大の原因に「我が国の至らざる英語教育、就中単語を覚えさせようとする教え方」を挙げてきたし、この見解を変える気はない。単語を沢山覚えさせることは結構なことだ。だが、単体で覚えさせるだけで、流れの中での使い方を教えず、口語体、文語体、俗語、慣用句等に分けて覚えさせないのが困るのだ。長い年月アメリカの大手企業の中にいて、支配階層の人たちと語り合い話し合っていても、collaboration,
overshoot, quest, renewal
openなどと見たことも聞いたこともない表現が、スラスラと出てくるのには恐れ入るだけだ。日本語にしようよ。

参考資料:週刊新潮 21年10月21日号


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★第3次世界大戦へのシナリオ
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          北野幸伯


今回は、予測というか、「可能性」に関するお話です。
私自身、「絶対に起こってほしくないシナリオ」について。それでも「可能性がある」ので書かないわけにはいきません。

▼追い詰められたプーチン

私は以前から「プーチンは、戦略家ではなく戦術家。だから進めば進むほど苦しくなっていく」と書いてきました。
今回のウクライナ侵攻がはじまる前から、「プーチンの戦
略的敗北は不可避」と書いてきました。

実際、何が起こったのでしょうか?
2月24日、プーチンは、ウクライナ侵攻命令を下します。
当初は「3日でキーウを攻略して終わらせる」予定だっ
た。それで「戦争」ではなく、「特別軍事作戦」という用語を使ったのです。ところが、キーウは落ちませんでした


3月末、ロシア軍はキーウ攻略を断念します。新たな目標は、「5月9日の対ドイツ戦勝記念日までに、ルガンスク州、ドネツク州を完全制圧し、勝利宣言すること」になりました。5月9日、ロシア軍は、ルガンスク州、ドネツク州を制圧できていませんでした。


7月3日、ロシア軍はようやくルガンスク州を完全制圧した
と発表しました。プーチンは歓喜し、「次はドネツク州だ!」と小躍りしたことでしょう。ところが、ロシア軍の進撃は、ここでストップ。以後、ウクライナ軍が反転攻勢を強めるようになっていくのです。

プーチンは弱気になり、「停戦交渉派」になっていきます
プーチンの停戦条件は、

・ウクライナは、クリミアをロシア領と認めること。

・ウクライナは、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共
和国の独立を認めること。

・ザポリージャ州、ヘルソン州をロシア領と認めること。

ゼレンスキーは、こんな無茶な要求を呑めるわけがありま
せん。それで、停戦交渉再開を拒否していた。そうこうしているうちに9月11日、ハリコフ州の戦いでロシア軍が大敗した。ウクライナ軍は5日間で、東京都よりも大きな土地を奪還することに成功しました。

この敗北は、ロシアの支配者層に大きな衝撃を与えました。プーチンは、「このままでは、ロシア軍が実効支配している、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州も維持できないかもしれない。ロシアは負けるかもしれない!」と思ったことでしょう。

つづいてイメージされるのは、プーチン自身の未来です。
辞任に追い込まれるのはまだマシで、捕まったり、殺され
たりすることもイメージできたでしょう。プーチンは「自分の体面、権力、命を守るために」この戦争に勝利しなければならない。

▼プーチンに残され二つの選択肢

でも、どうやって?二つしか方法は、ありません。

・動員をかけて、兵士の数を激増させること。

・戦術核を使うこと。

それで9月21日、プーチンは、「部分的動員令」を出した
のです。「部分的」といいますが、ロシア全土で大々的に動員が行われています。「部分的」という言葉は、「戦争」を「特別軍事作戦」言い換えたのと同じ詭弁です。

国民がパニックを起こさないよう「総動員」という言葉を
避けた。実際は、「総動員」と変わりません。


▼戦術核使用のロジック

9月30日、プーチンは、東部ルガンスク州、ドネツク州、
南部ザポリージャ州、ヘルソン州を併合しました。併合したからといって、ウクライナ軍が攻撃をやめることはないでしょう。何が変わったのでしょうか?

ロシア側のロジックでは、4州は、すでに「ロシア領」で
す。ウクライナ軍が4州を攻撃することは、「ロシア領を攻撃している」ことになる。そうなるとこれは、ロシア側によると、「ウクライナ軍がロシア領を侵略している」
ことになるのです。

かなり異常な論理ですが、プーチンのロジックは、まさに
そういうことになります。そして、ロシアの軍事ドクトリンによると、
「自衛のためなら核を使用することができる」のです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ロイター9月30日。

<ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言する演説で、米国が第二次世界大戦末期に広島と長崎に原爆を落とし、核兵器使用の「前例」を作ったと指摘した。プーチン大統領は最近、自国の領土を守るために核兵器を使用する用意があると述べ、核兵器使用が懸念されている。プーチン氏は演説で「米国は日本に対し核兵器を2回使用した」とし「米国が核兵器使用の前例を作った」と述べた。>

要するにプーチンは、「アメリカも核を使ったよね。
だから、俺が使っても文句ないよね」と主張している。

▼ロシアが戦術核を使ったらアメリカは?

その時、アメリカはどう動くのでしょうか?
サリバン大統領補佐官は9月25日、核を使えば「ロシアに
破滅的な結果を与える」と警告しました。彼は、ロシア政府に、直接同様の警告を繰り返ししているそうです。

「破滅的な結果」とは何でしょうか?

サリバンさん自身は語っていません。しかし、ホッジス元米陸軍欧州司令官は以下のように語っています。
<米国の反撃は核兵器ではないかもしれない。しかしそう
であっても極めて破壊的な攻撃になるだろう。例えばロシ
アの黒海艦隊を殲滅させるとか、クリミア半島のロシアの
基地を破壊するようなことだ。>
(FNNプライムオンライン10月3日)


ロシアが戦術核を使えば、「黒海艦隊をせん滅させる」そうです。実際にそうなるかわかりません。しかし、それをするとすれば、米軍・NATO軍が黒海艦隊を壊滅させるのでしょう。そうなると、ウクライナ対ロシアの戦争ではなくなります。NATO・ウクライナ 対 ロシアの戦争になる。

第3次世界大戦勃発です。

▼最悪のシナリオ

NATO軍の攻撃で、黒海艦隊が全滅した。プーチンは、「やべえ!やっぱNATOにはかなわねえ。降伏しよう!」となるでしょうか?ならない可能性が高い気がします。そうなると、「黒海艦隊のかたき」を討たなければならない。
どうやって?

たとえばNATO加盟国であるバルト三国やポーランドに対する戦術核使用。これは、NATO加盟国への核攻撃ですから、当然NATOも核で反撃する可能性がでてくる。核の撃ち合い最悪です。そうなると今度は、「プーチンは、いつ戦略核の使用を決断するのか?」といった話になってきます。


▼超最悪のシナリオ

さらに悪いシナリオもあります。欧州で、NATO対ロシアの戦争がはじまった。アメリカは、ロシアとの戦いで忙しい。その時、習近平は、「アメリカが欧州方面で戦っている今がチャンスだ!」と考えないでしょうか?

習は、「千載一遇のチャンスを活かさなければ!」と考え
台湾に侵攻する。そうなると、日本と中国の戦争もはじまってしまいます。なんとも、恐ろしいシナリオでした。
しかし、このシナリオの最初の部分、「プーチンが戦術核を使う可能性がどんどん高まっている」というのは、事実です。クリミア大橋が爆破された。

これでまた、「プーチンが戦術核を使用する可能性が高ま
った」と見るべきなのです。私には夢がある。「第3次世界大戦が起こっていない世界で、2023年を迎えること」
戦術核が使われませんように。

        
           
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 防衛力強化を言い訳にした増税
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           三橋貴明


予想通りとはいえ、非常にまずい流れになってきました。
とにかく、財務省は緊縮財政特に増税ができればいいわけで、そのためには、

1. 有識者会議(と称する御用会議)で増税、
支出抑制を議論させる

2. 有識者会議の決定を
「総理指示」として閣議決定する

3.自民党に「党方針」とさせる
 というプロセスで進めてくるわけです。

 防衛予算の増額と引き換えの「増税」については、
そろそろ「1」の段階が終わろうとしています。
『防衛費増額の財源「国民全体で負担を」
有識者会議の議事要旨政府は9月30日に開いた「国力としての防衛力を
総合的に考える有識者会議」の初会合の議事要旨を発表した。

 防衛費を増額する財源について国債に頼らず、国民全体で負担すべきだとの主張が相次いだ。会議は座長の佐々江賢一郎元外務次官ら10人の有識者が参加する。

「歳出改革の取り組みを一層進めるとともに現役世代の負担が必要」「恒久的な財源の確保を」との声があった。
有識者の発言者名は記さなかった。(後略)』

 ちなみに「歳出改革」とは、日本では「歳出削減」を意味します。歳出削減と同時に、「現役世代の負担」を増やす。「恒久的な財源を確保」する。

 これ、下手したら防衛費増額をきっかけに、消費税増税の議論にまで進みかねませんよ。というか、財務省が「あわよくば」を狙っているのは確実です。

 タイミングを合わせたように、財務省の飼い犬の一人、経済同友会の桜田謙悟が「消費税率を現行の10%から
13%に引き上げるべき」と提言しています。 

 防衛費増額と引き換えの増税については、法人増税が取りざたされていますが、これは「経済産業省」の権益と激突するので、一筋縄ではいきません。

 それに対し、消費税の増税は、霞が関的には楽なのですよ。何しろ、どの省庁の権益も侵さない。(国民の困窮と引き換えになりますが)そもそも、「恒久的な財源」は「政府の貨幣発行」すなわち「国債発行」です。

「政府の国債発行は財源になり得ない」と、主張する人は日本政府の債務残高(2015年時点)は名目の金額で1872年の3740万倍! 実質でも1885年の546倍!になっている。
それにもかかわらず、「何の問題も起きていない」現実を説明してくれ。
http://mtdata.jp/data_53.html#Seifusaimu

 一体、いくらまで「クニノシャッキン」とやらを
膨らませれば、破綻するんだ?などと、今さら叫んでもむなしい限りですが、とにかくやれることをやりましょう。
この悪夢の事態を変えることができるのは、国会議員しかいません。

 国会議員、さらには国民の「貨幣観」を正す。残念ながら、それ以外に「防衛力強化を言い訳にした増税」を回避する術はないのですよ。



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重 要 情 報
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◎10月16日のスポーツからー勝った者が本当に強いのか:前田正晶


昨16日は天皇杯のサッカーと女子の富士通レディースのゴルフを掛け持ちで見ていた。忌憚のない感想を述べていこうと思う。

J2が優勝した天皇杯のサッカー:

申し訳ない次第だが、最近のサッカーの動向にはさして注意していないので、テレビを見るまでJ2の甲府とJ1の広島の対戦とは知らなかった。先ず気が付いたことは、A代表のサッカーとは大いに異なる点があったこと。それは「責任逃れの無意味なパス回しがないこと」と「ピッチを広く使った、恰も思い切ったかのようにGKにまでも含めた後方へのバックウワード・パス(バックパス)が非常に少ないこと」だった。歓迎したい流れだった。


何故か知らないが、寄せ集め世帯であるA代表にサッカーには、昨日の試合のように「何とかして皆で頑張って勝ってやろう」という直向きな攻撃精神(当節流行りのカタカナ語では「アグレッシブ」だが)が見られないのだ。ところが、甲府も広島も全員が「勝とう、優勝したい」という精神を前面に出してイエローカードどころかレッドカードを出されそうな当たり方をして見せたのだった。


「何故、A代表はこういうサッカーができないのか」と思いながら見ていた。特にJ2の甲府には「技術の至らざるところは闘志で補っていこう」とでも形容したいような試合振りだった。その気迫は特に守りに現れて、先取得点をして広島を焦らせていたと見た。広島が後半の終わり頃になって綺麗なシュートを決めて同点にしたのを見ていると、何となく甲府に勝たせてやりたいという気分になっていた。


しかし、ゴルフと掛け持ちだったために、甲府のGKが延長に入ってからのPKを止めた場面も、PK戦でも止めた場面も見損なってしまった。見終わってからの正直な感想は「J1とJ2の差が何処にあるのか」だった。それは、「甲府がJ2のリーグ戦で18位だったというのに、広島が負けてしまったのは何故か」ということ。直向きだったアグレッシブさに、上位リーグのティームが負けるのは何故かと思っていた。もう一つは「A代表には何故直向きさがないのか」という率直な疑問。

アメリカ帰りが勝った女子のゴルフ:

アメリカに行って1回優勝した古江彩佳(22歳、153cm)が18番ホールでバーディーを決めて、1打差で優勝して見せたのは見事だった。アメリカというか世界の強豪が集う中で揉まれてきた成果だろうと、解説者たちは言っていた。その通りだろうとは思う。だが、女子のプロのゴルフ界は古い表現を使えば「群雄割拠」であり、21世紀生まれの若いゴルファーが次から次へと現れて優勝を浚っていっている。男子の世界とはえらい違いだ。


特に私の目に付くのは「昨年の覇者たちが、今年に必ずしも覇者たり得ない状態」であること。アナウンサーたちが「東京オリンピックの銀メダリスト」と紹介する稲見萌音は、今季は一度優勝して見せただけで、昨日も上位10者には顔を見せていなかった。これなどはほんの一例であり、今年になってからは20歳以下の言わば無名の優勝者が何名か現れて、高い身体能力と技術と「恐れを知らない強み」を見せてくれている。


私はこのような若手の台頭の意味するところは「前年度に勝って見せていた若手には、本当の意味での『真の技術に裏付けされた強さ』が備わっていたのではなく、怖い物知らずの勢いがあっただけだったので、同じような勢いだけで上がって来た新人たちに勝てないのでは」と疑いたくなった。だから、「岩井明愛はアメリカで揉まれてきた古江に最後の最後で追い抜かれたのではなかったか」と考えながら優勝スピーチを聞いていた。


そこで思い出したことがあった。それはウエアーハウザージャパンにいたスポーツ通が1980年代に指摘していた「女子の個人種目の選手たちが強いのは、女子にはプロ野球も相撲もないので、優れた人材が限られた種目に集中して集まるから」だった。あれから40年近くなった現代にも通用するのではないだろうか。



◎馬鹿は死ななきゃ治らない。愛国馬鹿もその一つ。

テーマ:ブログ北村維康

『森の石松』だったか、浪曲の最後に、「馬鹿は死ななきゃ治らねえ」といふのがありましたね。

実はこの三日ほど、那覇市の市長選挙で、保守系の知念候補の応援のために、那覇市にチラシ配布に行ってゐて、家を留守にしてゐたものですから、皆さんからいただいたメールは、本日、15日の夜に初めて拝見しました。

GHQから時の内閣に突き付けられたのは、非常識極まりない、言はば驚天動地の代物でした。そのため、日本国憲法そのものが成立した後、清水澄枢密院議長は、熱海の錦ヶ浦に投身自殺して、大日本帝国憲法に殉じました。その事の痛みを少しでも感じるならば、それが日本人です。三島由紀夫氏も、沼山光洋さん(靖国神社の職員であった方ですが、天皇陛下の靖国神社への御親拝が叶はず、その責任を取って、靖国神社の前で自決されたました)も、精神的な意味では、私の先輩です。私は、かつて、谷口雅春先生の薫陶を受け、先生の烈々たる憲法改正論は、骨の髄まで沁みとおってゐます。


餅は餅屋に、と言ふ諺があります。国家としての日本は、それなりの成文憲法を持つべきなのは勿論ですが、成文憲法を持たずに、不文憲法だけでフォークランド紛争を闘ひきったイギリスに、われらは多くのものを学ぶべきです。勿論、イギリスにも、様々な瑕疵はあり、かつては植民地を沢山抱へて、苛烈な政治をも行ひました。しかし、物事は是々非々で捉へなければいけません。そして私もこの一生を終る時には、「あいつも愛国馬鹿だったよなあ」と言はれることが、最大の賛辞だと受け止めます。天皇陛下万歳!



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身 辺 雑 記
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18日の東京湾岸は雨。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち 寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

2022年10月17日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6292号
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   2022(令和4年)年 10月17日(月)



     統一教会問題、報道の責任を問う:櫻井よしこ

         世界の大学ランキング #2:前田正晶
        
        「無敵の人」になる人の傾向:伊勢吉継

「無言館」外伝:馬場伯明

      偽情報をばらまく演習もしていた:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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統一教会問題、報道の責任を問う
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            櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1016回

9月13日、「朝日新聞」は1面で「岸田内閣支持 最低41%」と題し、不支持が47%となり初めて支持・不支持が逆転したと報じた。世論調査から読みとる内閣支持率低下の原因は、1。安倍晋三元首相の国葬、2。旧統一教会をめぐる対応のまずさ、だと朝日は解説した。

岸田文雄首相が国会で行った説明は不十分で、自民党による党所属国会議員と旧統一教会との関係についての調査も「疑念」を晴らすには至らなかったと朝日は切り捨てた。

私は「モリカケサクラ」についての朝日の狂騒曲のような報道を思い出した。どんなに説明しても「納得がいかない」「不十分だ」と責めるのだ。しかし、朝日をはじめとする報道機関がもう少し公正で客観的な報道さえしていたら、そもそもこんな状況は生まれていないと私は考えている。だからこそ、朝日は岸田氏を批判する前に、自らの過去の紙面を検証して、統一教会の犯罪事実の実態を掘り下げて正しく伝えることだ。

志半ばで暗殺された安倍総理は一番の被害者だ。そのいたましい死を悼むこともせず、朝日は心ない「貶め報道」に走る。他の論者も安倍氏や自民党が統一教会と「ただならぬ関係」(後藤謙次氏、『週刊ダイヤモンド』9月10日号)にあったなどと、具体的根拠も示さずに非難する。

再度強調したい。朝日をはじめとするメディアは統一教会による霊感商法などの違法かつ反社会的犯罪が現在も続いているのか調べ、続いているのならその実態を事実をもって示す責任を果たすことだ。その調査報道は少なくとも、第一次安倍政権に始まり、福田・麻生政権、続く民主党政権、安倍氏が復権した第二次政権発足から安倍氏暗殺の2022年7月8日までを対象とすべきだろう。

だが、巨大メディアはこのような基本的調査をしていない。そこで旧統一教会の犯罪について、報道を辿って調べてみた。対象は朝毎読日経産経と東京・中日の6大全国紙だ。調査期間は先述した期間とした。

統一教会、世界平和統一家庭連合、霊感商法、巨額献金、トラブル、関連イベント等をキーワードに記事を抽出し、霊感商法や売買契約トラブル等の反社会的事案とは直接関係がないと思われる事例を除いて、各紙の各年毎の記事件数を調べた。

全紙でゼロ

それを見ると07年には、統一教会関連会社の社員がパラグアイで身代金目的の誘拐事件に巻き込まれた事案について、各社が数多く報道している。しかしそれがおさまると、09年から10年にかけて教団が印鑑等を売りつける霊感商法事件の記事が突出してふえた。ちなみにこのときの政権は民主党である。

11年以降は霊感商法などを訴えた裁判で教会側に賠償命令の判決が下されたとの内容が報じられているが、各紙の報道件数は激減した。

いま、テレビのワイドショーは統一教会と安倍氏の関係を口角泡を飛ばす勢いで取り沙汰しているが、3年3か月にわたる民主党政権後の12年12月26日に誕生した第二次安倍政権から、22年7月8日の安倍氏死去までの間に出た統一教会関連の記事を見れば驚くだろう。メディアはまるでこの世に統一教会問題など存在しないかのように静かなのだ。

全国紙6紙が12年に報じた統一教会の記事は計4件(産経2件、読売1件、朝日1件)だった。13年は東京・中日が1件のみ。14年は読売、朝日が各々1件ずつ。15年は毎日、朝日が各々1件、16年は産経2、読売2、朝日2だ。17年は朝日、読売、東京・中日が各々1である。

18年、安倍政権の下で消費者契約法が改正され、騙しとられたお金の取り戻し策が強化された。霊感商法も明確な取り締まり対象として法律に盛り込まれた。結果、大きな事件発生はなかったのであろう。統一教会報道は18年、19年の2年間を通じて全紙でゼロだ。20年には産経が1件、21年は読売が1件であとはゼロ。22年は安倍氏死去まで報道はない。

ワイドショーは連日報道を垂れ流し、統一教会と関連団体を邪悪視し、これらの団体と政治家の関係はいかなる形であっても許さないとするかのような姿勢だが、これこそおかしい。そこまで問題の多い団体ならば、なぜメディアはここ何年間も実質的に放置してきたのか。なぜ、事実上全く、報道しなかったのか。

理由は、メディア自身が、統一教会も関連団体も、過去はともかく、今は問題なしと見ていたからではないのか。だからこそいま、統一教会の実態を取材して示す責任がメディアの側にあると思う。

選挙戦術

霊感商法や巨額献金の強要などは決して許されない行為だ。しかしそのような問題行動はすでに法によって罰せられ、反社会的行動はおさまっているのではないのか。メディア報道がなかったのはその結果であろう。ならば政治家、たとえば萩生田光一氏が、日常の政治活動の中で国連が認定しているNGO「世界平和女性連合」と接点を持ったからといって非難するべきことではないだろう。

次に選挙で自民党は統一教会に頼りきりだという指摘もある。教団票は全国で6万から7万票と言われている。今夏の参議院議員選挙で比例代表における自民党の得票数は1825万票余りだった。

6万票が1人の議員を当選させる上乗せ票として必要だったのは確かだろう。かといって自民党が統一教会と「ズブズブ」でその票にふり回されているかのような指摘には疑問符がつく。田原総一朗氏は『サンデー毎日』9月25日・10月2日合併号で安倍氏が「教団票を参院比例区候補の上乗せ票として誰に配分するかの采配をしていた」と論難している。

ベテラン記者、田原氏の指摘、つまり選挙における票の割り振りはどの政党も選挙戦術として行っている。共産党は、立憲民主党と組めば思想信条や長期の国家像について根本的に相容れない点があっても、党員に指示して立憲民主の候補者に票を回す。労働組合「連合」の票に頼る立憲民主党は、どの組合の票をどの候補者に回すのかを、党の幹部らが連合側と相談して決定する。選挙の総責任を負う指導的立場の政治家が票を正確に予測して割り振るのは、どの政党でも当然の戦術である。

安倍氏の国葬儀について、閣議決定だけで法的根拠がないのは憲法違反だと立憲民主党などが反対している。産経新聞編集委員の阿比留瑠比氏が指摘した。

「8月15日の全国戦没者追悼式、東日本大震災十周年追悼式、天皇陛下御在位三十年記念式典、国賓をもてなす晩餐会、沖縄復帰50周年記念式典なども全て、閣議決定だけで別の法的根拠があるわけではありません」(「言論テレビ」9月9日)

立憲民主党の政治家は閣議決定で行われるこれら式典も憲法違反であり欠席すると言うのだろうか。            



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世界の大学ランキング #2
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          前田正晶


我が国の大学では何故英語の論文が少ないのか

この件では、昨日やや簡単に取り上げてしまったので、我が国の大学の先生たちを及ばずながら擁護しようと思うのだ。昨日引用したST教授が指摘しておられた事は、拡大してみれば「一度日本語で発表された論文を、その都度英語に訳して発表している訳ではないので、海外から見れば論文が少ないことになる」のである。

だが、これだけでは未だ説明不足だろうと思う。論文について、私が何人かの先生方の論文をお手伝いした経験から言えることは「参考文献一覧」が大変な量になっていることを先ず取り上げたい。引用した文献を詳細に記載するこれを怠ると「剽窃」になって大問題になってしまうのだ。これらを間違いなく掲げるだけでも大いなる労力を要する作業になる。それらを英訳せよとなると、別な問題も生じるのだ

即ち、他者の論文か著作の題名から正確に英語にしなければならないのだ。既にそれらの英語訳があるかどうかも調べねばならず、無い場合には自分で正確な英語に訳さなければならないのだ。容易ならざる大変な作業である。言うまでもない事は、英語を母国語にしている人たち並みの英語力が必要になってくると言う点なのである。

論文本体を英語に訳すのであれば、英語の専門語などに誤りがあってはらないのだ。だが、それ以上に重要なことは絶対に文法的に正確であり、如何なる誤りも許されない点なのである。これまでに何度か回顧したことだが、2002年に私がお手伝いした某教授がアメリカの権威ある学術誌に寄稿された論文が「内容は合格だが、時制の一致と定冠詞と不定冠詞の使い方に誤りがある」と訂正を求められ、差し戻されたことが、その内容のみならず文法を疎かにすることは許されないことを実証していた。

この点は、仮令native
speakerの学者たちにとっても難しい課題なのだ。念の為に確認しておくと「定冠詞と不定冠詞を正確に誤りなく使うことは、native
speakerたちにとっても非常に難しい問題」なのである。「時制の一致」にしたところで、私の経験の範囲内でも、余程注意していないと誤りを指摘されてしまう結果になった。

このような難関があれば、我が国の大学教授や学者の方々が一度日本語で書いて発表された論文を、上述の条件を満たした英語にして発表されないのも無理はない事ではないかと思うのだ。このような事情を知るだけに、私は日本の教授や学者の方々に同情的にならざるを得ないのだ。このように言えば、我が国の先生方を庇い立てしていることになるのかも知れないが、実情を知れば知るほど擁護したくなる次第だ。


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「無敵の人」になる人の傾向
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伊勢吉継


2ちゃんねるの開設者のひろゆきさんが、自分は死刑になってもいいからなんでもやってやるとか、何やっても怖くない、だからどんな犯罪行為でもできてしまう人のことを「無敵の人」と呼んでいる。
近年こういう種の人による犯罪が多い、大阪クリニック放火26人殺人事件とか、山上容疑者もそうなのではと言われている。

この無敵の人になる人の傾向というのが、自分なりにこうじゃないかなと思った。

それはまず、
1)自分がこれだけやったのだから、これだけのリターンを受けとるべきだと考えがちな人である。
人間関係というものは、返してくれるからやってあげるわけではないし、ときには見返りを求めずやってあげることが必要なときもある。
だから、自分はこれだけ会社のために尽くしてきたのにこの仕打ちかよと怒りが止まらなくなるパターンである。

2)学歴にこだわりすぎる、執着する人である。
普通の人はそんなに学歴に執着しないので、そんなにガリガリ勉強しないが、勉強が
好きでもないのにガリ勉あったり、学歴がない人だったら、コンプレックスがすごい。

3)物質主義である
人、人生を学歴、年収、地位とかだけで評価する。人、人生というものは必ずしもそれだけではなく、精神的な面、精神的なつながり、向上だって大事なことだが、そういうことを重視しないし、価値を置かない。

4)もしかすると反省、向上ができない
 のと自分を客観視できない人というのは若かりし頃はひどいし、大したものではなく、だからうちのめされて、自省して変わっていって成長していくものだと思う。人というのはそういう機能があるものだが、こういう人はそれができないのかもしれない。

それに自分を客観視できれば自分に落度があったと自覚でき、自分のせいだと思え、世の中が悪いという結論にはならないだろうし、

もし反省、向上ができたら、周りの環境も変わっていき、いい人にも出会え、いいこともあるかもしれないし、
過去の良くなかった出来事もあれがあったから今の自分はこれだけ進歩できたと感じ、そういう悪いことをしようとはならないだろうからである。

以上が自分の観測であるが、こういう種の人に出会ったら、あまり近寄らない方がいいかもしれない。


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「無言館」外伝
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    馬場伯明

2022.8.28に日本テレビ系が放送した「24時間テレビ『愛は地球を救う』の中で、ドラマ「無言館(むごんかん)」があった。いいドラマだった。

私は長野県上田市の「無言館」にまだ行ったことがない。絵が掲載されている本は何冊か読んだ。長野市や佐久市出身の古い友人がいながら、また、小諸の藤村の「千曲川旅情の歌」の歌碑なども何回も巡り、無言館の近くまで行ったことがあるのに。早い機会に訪問し鑑賞したい。

本稿の表題を「無言館・外伝」とした。「外伝」とは《伝記の主となる部分から漏れた、その人物に関する周辺の逸話。Side Story。「義士―」(Goggle日本語辞書)》とある。「無言館」につながる私の周辺の断片的な出来事や話題を綴る。各話の間に強い関連性はない。

【桑原喜八郎さん】
桑原喜八郎さんは、叔父(父の弟)馬場孟臣(たけおみ)の東京美術学校日本画科の同級生である。静岡県掛川市生まれ。昭和19年9月卒業予定であったが、昭和18年12月学徒出陣、昭和20年2月ビルマで戦死。24歳。叔父とは親しい友人であった。叔父は身体が弱く学校に残っており出征はしていない。

戦後すぐ昭和21年に叔父たち同級生が協力し「桑原喜八郎君遺作展」を掛川市で開催した。展示会場での写真には、弟の桑原十四郎さんと、同級生の馬場孟臣、加倉井和夫、竹山博二、渡辺定夫、そして、桑原さんの家族の人たちの姿がある。

1970年代の頃か、喜八郎さんの弟の桑原十四郎さんが、仕事で長崎県小浜町雲仙に来られた折、「孟臣さんの仏前に参りたい」と、南串山町の実家を突然訪問された。当時、父母(馬場賀臣:孟臣の兄・ミスエ)が応対した。孟臣の写真アルバムを繰りながら、戦死した喜八郎さん(24歳)と早世した孟臣(28歳)の2人の思い出を語り合ったという。

「私は昭和18年に東京の学校へ進学しました。5歳年上の兄(喜八郎)に連れられ友人の馬場孟臣さんに会い、可愛がっていただきました。孟臣さんは優しい人でした。今日孟臣さんの仏前に参ることができ、兄の遺作展(昭和21年)を主導してくださった孟臣さんへの恩返しができました」と。

2015年6月6日〜7月19日、「没後70年戦没画学生『桑原喜八郎展』」が掛川市の二の丸美術館で開催された。孟臣の兄である父の子供ら(孟臣の甥と姪)5人(姉妹弟と私〈長男〉)は、この間掛川市へ出かけ、喜八郎さんの弟の十四郎さんの奥さんと娘さんのご案内で喜八郎さんの絵を鑑賞し語り合い交流した。無言館への喜八郎さんの絵の提出は最後まで逡巡したとおっしゃっていた。

展覧会のポスターには喜八郎さんの、明るい「夢の話」があった。
《「おい、俺はゆうべいい夢をみたぞ」「何の夢?」「ラジオの臨時ニュースで、本日をもちまして戦争は終わりましたっていうんだ。俺たちはもう兵隊にゆかないですむぞって。みんなで乾杯した夢を見たんだよ」》。この話から「自由にもっと絵を描きたい」という喜八郎さんの思いが痛いほどわかる。

【長崎・無言館展】 
2018年6月3日から7月8日まで、長崎県美術館で無言館展が開催されていた。帰省していた私は幸運にも観ることができた。長野県上田市郊外の無言館には132人700点が所蔵されているそうであるが、長崎ではその内の140点が展示されていた。戦時下であったが自然体で描かれた絵が多かった。時代はその絵の作者や遺族を無残に翻弄した。数十年後の今もその絵は私たちに人間の命の尊さを訴えとている。

孟臣所縁(ゆかり)の戦没画学生では同級生の桑原喜八郎さんと大竹武雄さんの絵が展示されていた。関連の図書を購入した。野見山暁治先生のご講演は日程が合わず拝聴できなかった。

【金子孝信さんの東京の青春】
金子孝信さんは、旧沼垂町(現
新潟市中央区)の古社・蒲原神社神官の三男として生まれた。東京美術学校を昭和15年主席で卒業し、将来を期待されながらも、昭和17年、26歳の若さで戦没した。26歳。洋画風の表現も取り入れながら、モダンな東京の街頭風景を好んで描いた(HPより抜粋)。(この昭和15年に馬場孟臣は東京美術学校へ入学した)。

平成6年に「ある戦没画家の青春 : 金子孝信の絵日記
全5巻」(金子孝信の絵日記刊行会)が刊行された。この著作を私は購入し父へ送った。東京美術学校の頃の東京の日々を、瑞々しい感性と新しい感覚で描いた。金子孝信の青春の息吹が私たちの前にぐんぐん迫って来る。

【大竹武雄さんの学徒出陣】
叔父の馬場孟臣は東京美術学校日本画科を昭和19年9月に半年繰り上げ卒業した。卒業式に出たのは日本画科からは18人の卒業者のうち、孟臣と信太金昌、大竹武雄の3人だけである。私が2002年8月にインタビューした信太先生(当時:82歳)の話がある。

「馬場と大竹、私の三人は卒業まで学校に残っていた。卒業制作を描いたのもこの三人だけだった。若いために遅れていた大竹が学徒出陣で出征することになった。大竹は亀戸に住んでいた。宇都宮の部隊に入るというので、馬場と私は大竹を上野駅で見送った。馬場が言った

『死んだらだめだ。帰って来い!』。あのときの馬場の言葉が今でも私の耳に残っている(早世の画家『馬場孟臣』2014出版86頁)」。大竹武雄さんは昭和20年9月4日、21歳で、中国奉天で戦病死した。敗戦直後の死だった。痛恨事である。そして今、無言館に絵だけが残る。

【生誕100周年記念  馬場孟臣展】
2021年11月、馬場孟臣生誕百周年展覧会を長崎県諫早市の美術・歴史館が開催された。長崎在住の姉や妹らが尽力した。多くの来場者があり大盛況であった。無言館の開設を提唱された画家の野見山暁治先生からはお手紙をいただいた。また、桑原十四郎さんの娘さんお二人が静岡県と東京都から来てくださり、姉が応対した。十四郎さんの奥さんは90歳を超えられたが健在であるとのことであった。

馬場孟臣は大正14年南串山村(現雲仙市南串山町)に生まれ旧制諫早中学校を卒業後、東京美術学校日本画科に進み、才能を開花させ、日本画壇を背負う逸材として期待された。だが、病のため28歳という若さで亡くなった。出征はしなかったが、早世した弟の無念さを偲び、父(馬場賀臣)は何らかの形で足跡を残してやりたいとの思いから、私設美術館自彊館(じきょうかん)を自宅に併設し開設した。
また、姉を中心に、私たち甥姪5人は、孟臣の遺作を整理し「早世の画家 馬場孟臣」(2014・非売品)を制作した。

【テレビドラマ「無言館」】
冒頭のTVドラマにもどる。太平洋戦争により命を落とした画学生が生前に遺した作品を展示する無言館(長野県上田市)を題材に、窪島誠一郎が画家の野見山暁治とともに設立するまでの歩みを描く。


美術館を営む窪島誠一郎は、戦死した画学生の伊澤洋の兄、民介の家を訪ね、洋の描いた絵に目を奪われる。それは意外にも普通の絵だった。その絵に「見つけられた」と感じた窪島は、戦没画学生の絵を全国から集めて新たな美術館を設立しようと決意、野見山と共に絵を集める旅に出る。莫大な建設費や非難に疲弊しながらも「無言館」設立に奔走する。(HPより抜粋)劇団ひとりの脚本で、浅野忠信(窪島役)と寺尾聰(野見山役)の掛け合いの演技は絶妙であった。

戦没画学生のエピソードが次々と披露された。2つ挙げる。
井澤洋さんの絵の1枚は「家族」。一家団欒の食卓風景である。決して裕福ではなかったが、このような食卓風景を希求した想像家族画である。また、出征直前に描いたという故郷の「風景」を目に焼き付けたいと思ったのであろう。

女性(雪江:檀ふみ)が、画学生の恋人(日高安典さん)が描いた自分の裸婦像の絵を上田市の無言館に観に行く。清楚な裸婦の絵である。「生きて帰ってきたら必ずこの絵の続きを描くから・・・と‥言い残し戦地へ発った」という。昭和20年4月19日ルソン島で戦死、27歳。


ここまで、無言館を続けてこられた昭和18年の生まれの窪島誠一郎さんも、すでに高齢者であり、さらに老いてゆかれる。
今後、無言館はどうなるのだろう。先の戦争で若くして亡くなった絵画の俊英たちの貴重な遺産が、適切な形で後世に受け継がれ守られていくことを心から祈念する。(2022/10/13 千葉市在住)


(追記)

叔父馬場孟臣の同級生の卒業写真(昭和19年9月)は写真館が消失したため存在しないとされていた。「東京藝術大学百年史東京美術学校篇 第三巻(平成9年)」にも掲載がない。ところが、じつは、卒業写真の試し焼きの点検を写真館から頼まれた当時在京の孟臣がその1枚だけを持っており、その後長崎へ持ち帰っていた。

私は、卒業写真の写しを、「藝大百年史(美校篇第三巻)」の発刊後にはなってしまったが、本巻執筆者の吉田千鶴子先生に届け、その後、遺族で制作した「早世の画家馬場孟臣(2014・非売品)」を吉田先生と東京藝大図書館へ贈呈した。(了)

           
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偽情報をばらまく演習もしていた 
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月12日(水曜日)
         通巻第7488号
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 中国軍の台湾侵攻演習でミサイルは11種類を飛ばした
  同時にオンラインの偽情報をばらまく演習もしていた
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 10月10日は台湾の双十節である。
蔡英文総統は双十節祝賀式典で、「中国による軍事威嚇や外交的圧力は懸念される。台湾海峡の平和と安定を維持するため、双方が受け入れられる方法を見つけたい」と述べた。
「台湾人と与野党の共通認識は主権と民主主義、自由な生活を守ることにあり、この点で妥協の余地はない。したがってミサイルや海軍の艦船など武器製造を推進し、中国軍の弱点を突いて侵攻を阻止する『非対称の戦闘』への備えを急ぐ」とした。

蔡英文総統の「理性的で対等な対話」呼びかけに対して、中国共産党は蔡政権が「一つの中国」を認めていないとして対話を拒否し、軍事的威嚇を続けている。

中国人民解放軍は、8月2日のペロシ議長訪台直後から台湾周辺海域の六カ所で実弾射撃訓練を行うと発表したが、この演習は党大会前に予め計画されていた。

というのも習近平国家主席兼中央軍事委員会委員長は 2015 年から着手してきた軍事改革がすでに
7 年を閲していたので、統合された戦闘能力を証明する必要があった。
 6
つの演習海域のうち、台湾の南と北東の海域は、台湾との間の船舶交通の遮断をシミュレートする目的があり、また台湾海峡の中央線に近い西側の演習地帯は弾道ミサイルを発射演習だった。
 同時に台湾海峡長距離砲ロケットを発射し、台湾東部の演習地帯に関しては準備段階を示した。
 演習は 8 月 4
日に開始され、複数の東風シリーズの弾道ミサイルが台湾沖の海域に向けて発射された。東風11(DF11)、DF15、DF16など、合計11発の異なる種類の弾道ミサイルが標的地域に向けて発射された。

 軍事演習に加えて、中国は偽情報キャンペーンを展開した。
偽情報と真実を大量に混ぜ合わせ、台湾当局に対する国民の信頼を損なうことを目的としたデマをオンラインで広めた。例えば、「桃園国際空港は中国からのミサイル攻撃で被害を受けている」

 台湾政府の Web サイトがハッキングされたとする偽情報も加味された。
これらは台湾危機に際して、情報セキュリティが修復不可能なほど危険にさらされる危険性を提示したが、偽情報キャンペーンと認識する台湾人はパニックに陥入らなかった。むしろ中国の手口をしることができた。

 台湾有事に対応する日米は共同演習が新段階に入った。
10月10日から14日まで、米海兵隊と陸上自衛隊は合同実弾射撃訓練を行う。
日米両軍は連携を深め、台湾の状況に対応した、日本の南西諸島と島嶼を防衛する「離島防衛作戦」をシミュレートしつつ、抑止力、抵抗力、対応力を強化する。米海兵隊はハイマース(高機動多発ロケットシステム)も24発使用した。この作戦名は「レゾリュート・ドラゴン22」  

   □☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き  
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 ユダヤ人を救った動きを影でささえた将軍がいた
   直筆の回想録を再検証、復刻新版は日本人必読

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樋口季一郎『陸軍中将 樋口季一郎回想録』(啓文社書房)
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 歴史にのこる二つの偉業がある。
 第一はナチスの魔手から逃れてきたユダヤ人を樋口季一郎の主導で、極寒の満州で救済したこと。これは「樋口ルート」と呼ばれた。
樋口は外国語学校でロシア語を専攻し、またポーランド駐在武官としてウクライナ、ドイツなどを視察している。
 樋口はシベリアにあって諜報活動にも従事していたため、ロシア人、ユダヤ人を観察していた。

 彼はこう書き残している。

 「ロシア人は本質的にユダヤ人を好まぬ。これを軽蔑する特種の感情をもっていた。彼らユダヤ人は、一方においてユダヤ人を含むロシア過激派を蛇蝎視するかたわ
ら、一般ロシア人に対する反感を抱いている。ところが日本人は、昔からユダヤ人に対する特別の交渉ももたず、ユダヤ民族を同胞として待遇せざるべからざる何らの歴史をもたない関係からただ彼らを『外国人』として平等に待遇したのみでなく、金力に富む彼らを一般外国人の上位に置いて考えたものである。否、特別にこのような意識をもった訳ではないにしても結果的にそのような待遇を与えたのであった」(106p)。

 第二の樋口の偉業はポツダム宣言受諾後に北海道を狙って侵攻をつづけたソ連軍を食い止めたことだ。

 この将軍には篤い日本人の熱血と人道主義があった。あの北海道防衛戦がなければ、ソ連は千島どころか北海道も占領していただろう。
 樋口は大東亜戦争中の1942年8月1日、札幌に司令部を置く北部軍(のち北方軍・第5方面軍と改称)司令官として北東太平洋陸軍作戦を指揮した。
 1943年5月、アッツ島守備隊は玉砕した。
しかしキスカ島撤退は成功した。キスカ島撤退作戦に際しては中央の決裁を仰がず樋口の一存で撤退作戦を遂行した。

日本の降伏直前、1945年8月10日、ソ連が対日参戦し、樋口は占守島、南樺太におけるソ連侵攻軍への抗戦を指揮し、成功させた。
 スターリンは当時軍人として札幌に在住していた樋口を「戦犯」に指名したが「世界ユダヤ人会議」が、世界中のユダヤ人組織を動員しロビー活動を展開した。

 連合国軍最高司令官マッカーサーはソ連からの引き渡し要求を拒否、樋口の身柄を保護したのだった。
樋口は戦後、宮崎県小林、神奈川県大磯、大阪豊中、そして長男の転居に伴い、最後は東京に暮らしながら、戦友たちの慰霊をつづけ、昭和四十五年没。
享年82歳だった。

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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2433回】 
   ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習99)

   ▽
 文革は小児病棟すら「毛沢東思想の学習・宣伝のための大教室」にしてしまう勢いだったわけだが、どう考えても正常ではない。だが子供の読者に向かって、その異常事態を正しいこととして教えるのだから、やはり異常が常態化した超異常な時代だったことになる。

 今(2022)年2月に出版された『中国共産党簡史』は、文革は「社会主義建設に関する多くの正しい思想が貫徹されず、最終的に内乱になった」と記す。
ならば「(小児)病棟を毛沢東思想の学習・宣伝のための大教室」にすることが「社会主義建設に関する多くの正しい思想を貫徹」することなのか。
はたまた「病院は静かに病気を治すところ」との考えは「社会主義建設に関する多くの正しい思想」には組み込まれないのか。

 このような社会環境において、現在の、そしてこれからの中国を導こうとする世代が幼少年期を送ったことを、やはりハッキリと記憶しておくべきだろう。
 とは言うものの、時代は文革の真っ盛り。これまでも見てきたように、上海人民出版社から「社会主義建設に関する多くの正しい思想」に導かれた『紙の爆弾』がまるでキンタロー飴のように出版され、子供の世界で炸裂し続けるから、じつに恐ろしい話である。

 先ずは『心紅似火』(上海港工人業余写作組編)だ。体裁は16cm(縦)×13cm(横)で20頁前後の小冊子風。2410回で示しておいた『夜航石頭沙』、『胸懐朝陽戦冰雹』、『宋師傅学外語』、『優秀的共産党員 ──陳波』、『為革命読書』と同類だ。
 時は文革渦中のある年の7月。上海某埠頭案内所で旅客案内係を勤める主人公の魏心剛は私心を捨て、奇跡的と思えるほどに旅客のために働く。まさに「為人民服務」の『権化』としか言いようはない。

 行く先の住所を書いたメモを失くし途方にくれる老婆と孫の2人連れを見れば、まさに天啓のように、耳元から「べチューン同志は自らのことなど寸毫も考えず専ら他人に尽くす精神をもって、仕事に対する極端なまでの責任感、同志と人民とに対する熱情を表現した」との「毛主席の暖かく親切な声が聞こえて」くる。毛沢東信仰極まれり、である。べチューンとは共産党革命のために誠心誠意尽くしたとされ、文革当時、「為人民服務」の象徴として全人民が学習すべき模範だと、毛沢東が極端に持ち上げたカナダ人医師である。

 ある列車に乗っているはずの妻を捜してくれとの長距離電話を受けるや、魏心剛は出発間際の列車の通路を走り回る。だが見つからない。焦るばかりの心に、今度は「事に当たっては細心であれ。大雑把は失敗の元だ」との毛沢東の声、いや『お告げ』が聞こえてくると言う寸法だ。かくて落ち着いて周囲を観察すると、それらしい女性を発見する。

 事の仔細を告げ、荷物を持って急いで列車から降りる。その刹那、汽車は動き出す。すると「我われに必要なのは熱烈にして冷静な心であり、緊張しつつ秩序だった仕事ぶりである」との毛沢東の教えが頭の中に浮かんでくるというのだから、やはり尋常ではない。有り体に表現するなら、恐るべし毛沢東思想教育、である。

 毛沢東思想教育が涵養する『社会主義聖人君子物語』でもある『心紅似火』は、旅客や同僚の輪の中で、主人公である魏心剛が「我々は全て五湖四海(せかいかくち)からやってきて、共同の革命という目標のために手を携えて一緒に進もうではないか・・・」との『毛主席語録』の一節を朗々と読み上げるところで幕となる。

──かくも見事な予定調和物語はともかく、気になったのが魏心剛の上司の執務姿を描いた挿画である。絵の中の上司の後ろの壁には、「大海渡るには舵取りに頼る。革命は毛沢東思想に頼る 林彪「一九六七年十一月廿九日」との林彪の揮毫が張られているのだ。

 『心紅似火』の奥付けには「1971年2月第1次出版」と記されている。出版から4か月後の同年6月に香港の中国系の学生書店で購入したものだ。

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)10月14日(金曜日) 午前11時からのニュース解説生番組「FRONT 
JAPAN」は宮崎正弘氏と大高未貴さんのコンビでお送りします。
テーマは「半導体、5G通信、中国猛追に息切れ」の予定です。(日本文化チャンネル桜)
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(読者の声2)
貴誌連載中の「知道中国【2432回】──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習98)」を読んで。
 毛沢東が少年・少女を介して人民に訴えたかったのは「滅私奉公」・「利己より利他」ではなかったでしょうか。
徹底的な自己中で自分の利の為なら他人が死のうがどうなろうが構わない精神、そこが中華人民の最大の弱点であると見抜いたからこそ、その様にあって欲しいと願った毛沢東の心情が判ります。督戦隊がないと闘わないで逃げ出す人民を知っていたのです。
この紅少年・少女の物語は、特攻兵であり樺太真岡電信局女性の中華版です。
 では、その「偉大な中華民族」は変身したでしょぅか?
 共産主義は、歴史上になかった滅私奉公の人民に生まれ変わらせることが出来たでしょうか? そうでないから、毛沢東を引き合いに出して米国との戦争を前に必死にその様にあれと訴えているのが、習近平同志ではないでしょうか。
 自衛の装備を充実して来る台湾進攻に備えるのも必要ですが、中華人民の弱点を附く情報戦も有効です。
 人民は「張り子の虎」で強がり、相手が弱いと見たら居丈高になり情け容赦なく攻めて来ますが、相手が強い・自分が死ぬかもしれないとなれば恥も外聞の気にせず即座に逃げ出します。督戦隊を必要とした訳です。(細谷清)

   ♪
(読者の声3)62年前、10月12日には社会党書記長・浅沼稲次郎氏が暗殺された。舞台の上での現場を報道陣のカメラが記録する。故山口二矢氏は、古風にも短刀で日本国体の赤化・崩壊を防ぐ為に、陽明学的に行動する。裁判を待たず、独房で、古風にも自決する。故三島由紀夫氏は、18歳の彼を高く評価していた、らしい。小説、評論、劇、映画、テレビ出演、の無力、無駄を痛感していたのだろう。10年後、氏は市ヶ谷で、古風な自決をする。
 62年後の今、浅沼氏より数倍、数百倍の害を犯している左、右の売国奴・政治家官僚は、安心安全な暮らしをしている。が、ひょっとすると、安倍総理暗殺・葬儀がきっかけとなる、かも知れない。
自決とは、極めて情報発信量が高く、時空間を超えて消滅しない。故福田赳夫首相は「人の生命は地球より重い」と述べ、「超法規的措置の発動」という貴重な前例を残した。翻訳すると、命をかけるべき大義のためには、超法規、違法行為も認める、という意味にも解釈できる。全ての戦争は超法規であり、当事国にとっては、必要な善なる戦いである。(在米のKM生)

   ♪
(読者の声4)今年の米国中間選挙では大きな変動が予想されます。それは日本にも少なからず影響があるものと思われます。そこで長年ワシントンDCで活動されているジャーナリストを講師にお招きし、そのような問題に関して詳細に語って頂きます。貴重な機会ですので多くの方々の御参加を待ち申し上げております。
       記
  日時 11月16日(水)午後6時〜7時45分(受付:5時30分〜)
  会場 憲政記念館(代替施設)1階 第2会議室 (永田町1─8─1)
  講師:古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長を歴任。ボーン国際記者賞、日本新聞協会賞、日本記者クラブ賞を受賞。著書は「ODA幻想=対中国政策の大失態」「米中対決の真実」「韓国の奈落」「アメリカの悲劇!」など多数)。
 参加費 2,000円/40名(定員に達しお断りする場合があります。マスク着用をお願いします)
お申込み・お問い合わせは全て下記メールアドレスのみ。緊急連絡先(09086785518)
参加ご希望の方は、お名前、メールアドレス、お電話(携帯番号)を、尾崎財団アドレスinfo@ozakiyukio.jp
まで11月14日(月)までにお送りください。
  (グローバル・イッシューズ・インスティチュート)

   ♪
(読者の声5)『日本の息吹』の安倍元総理追悼特集号は各界代表凡そ150名ほどの追悼記事が並んでいます。とくに政治家、文化人の記事がおおい保存版です。
https://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/15214#header
 さて殆どの人が追悼の思い出と、交際逸話、そして安倍さんとの距離を表していますが、なかで際だって異色なのが宮崎正弘先生のコメントでした。
 ヤマトタケルの悲劇と比較された上、増上寺から永田町を霊柩車が通過するときに雨に降られたことを「古代の神々の涙」と比喩されました。
悠久の歴史認識から発せられた文章と感銘を受けました。とともに宮崎先生が、この数年、中国論に平行して歴史物シリーズをさかんに出され、明智光秀、徳川家康の近世、吉田松陰、西郷隆盛の幕末ものもさりながら、近年は古代史だけでも古事記、神武天皇、古志など数冊を矢継ぎ早に出されましたね。
書店に並んでいても手に取ったことがなかったのですが、追悼文の意味の深さを思い、これから順番に、この先生の歴史シリーズを拝読させていただこうと考えています。
   (HD生、さいたま市)

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(読者の声6)ウクライナの大統領と議会は、「北方領土は日本のモノだ」と国会決議したようだ。
 この意図はロシア軍の兵力をウクライナ方面できるだけ集中させないようにするために、「日本がこの機会をとらえて北方4島を奪還すべく動き出すかもしれないよ」とロシアに示したいのであろうし、彼らからすれば日本だってせめてこんな「後方支援」を日本がしてくれてもいいのではないか、
このチャンスを日本はなぜ「利用」しないのか?と思っているのだろう。
この動き対して、あの鈴木宗男氏は「戦後の国際的諸手続き(ヤルタ協定、国連憲章、ポツダム宣言、サンフランシスコ平和条約)等で、ロシアが現在実効支配しており、二国間で解決すべき問題であり、ロシアを刺激しても何も得るものはない。」
「この問題は多国間で協議する話ではなく、日本とロシアの二国間の問題だと結論付けられ、その後、G7でも取り上げられる事はなかった。今回、ウクライナが日本を表向き支持する姿勢を示しているが、国際的には何の影響も与える事は出来ない。表面だけを見るのではなく、歴史的経緯、事実を踏まえて判断して戴きたい」
と述べたと報じられている。
でも「戦後の国際的諸手続き」を「今回も」根元から破壊し武力行使を始めたのはいったい誰なのか?どさくさまぎれに北方4島を奪いとったのは誰なのか?ロシアという国のいつものやり方を鈴木氏は「歴史的経緯、事実を踏まえて判断」して発言をしていただきたいと思う。


 それにしても何かが起きると「最も強い言葉で非難する」を連発する岸田総理の連休中の動きをみると、台湾(尖閣問題)・北朝鮮(拉致/核武装)・ロシア(北方領土)など、わが国の安全に関して深刻な国際情勢がひたひたと迫ってきている緊迫感が全く感じられない。ウクライナに示唆されるまでもなく、ウクライナ・ロシア戦争を我が国の外交にどう生かすかを、強かに考える人物はいないのだろうか?
これが私の「徳川家康480年の孤独」の読後感想となりました。(SSA生)

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重 要 情 報
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◎ 編集長ピックアップ=宇田川尊志

 身勝手な人間は尽きないものです。最近起きた、あるいは発覚した事件を振り返るにつれ、その思いは強まります。

 7月8日に奈良市内で起きた安倍晋三元首相の銃撃事件は、3カ月がたち、現場で取り押さえられた容疑者の人生が明らかになってきました。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に母親が多額の寄付を繰り返し、家庭が崩壊。教団に恨みを募らせた容疑者は当初、教団トップの襲撃を考えていたそうです。しかし、なかなか接触できないなどハードルが高く、教団関連団体のビデオあいさつに出演した安倍氏を狙うようになったようです。

 自らの家庭が崩壊した経験から、安倍氏の家族の悲しみ、憤りに考えが及ばなかったのでしょうか。国葬で涙した昭恵夫人、言葉に詰まりながら弔辞を読んだ盟友の菅義偉前首相…。容疑者の身勝手さは決して許されることではありません。
▼「しっかり者」憎しみ募らせた末に 教団元幹部が見た山上容疑者
▼菅義偉前首相「真のリーダーでした」 友人代表の追悼の辞全文

 東京地検特捜部による東京五輪汚職事件の捜査は続いています。受託収賄容疑で3回逮捕された東京五輪・パラリンピック組織委員会元理事は、五輪のスポンサー企業や広告会社に便宜を図る見返りに、自身が経営するコンサルタント会社や知人のコンサル会社に資金提供させたという疑いを持たれています。

 新型コロナウイルス禍が収まらない中、全力プレーをしたアスリートや大会を支えたボランティアスタッフらの努力を無にする身勝手さと言わざるをえません。事件によってこれほど不審の目でみられた五輪はあったでしょうか。当時の組織委幹部が考えを発信したり、自ら調査を始めたりといった行動があってもいいものですが、見えてきません。自浄作用が働かなければ、札幌市による2030年冬季五輪・パラリンピック招致にも影響が出てくるでしょう。
▼【スポーツ一刀両断】スポーツ界よ、もっと怒れ 増田明美

 回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」の社長が、ライバルの「はま寿司」から営業秘密を持ち出したとして、不正競争防止法違反容疑で逮捕された事件。はま寿司を運営するゼンショーホールディングスからカッパ社に移籍時の犯行とされています。根底には、容疑者自身の立場や保身を第一に考えた身勝手さがあったのでしょう。あきれるばかりです。
▼【衝撃事件の核心】競争激化のすし業界 カッパ社長に魔が差した瞬間


◎◇◆◇唸声の気になるニュースとストリートビュー 2022年10月16日◇◆◇

▼唸声一行日誌/今週の気になったことを一日一行に

10/10(月) ロシア前大統領のメドベージェフをウクライナ指名手配、プーチンは?


10/11(火) クリミア橋破壊テロでロシアミサイル報復、今までは何のテロ報復?


10/12(水) サイゼリヤ「値上げしません」宣言、海外店が円安で増益のため

10/13(木) マイナ保険証義務化、そうしないとマイナカード登録が進まない

10/14(金). 北朝鮮軍機、10機南北境界線飛行、またミサイルも挑発三昧

10/15(土) GDP2%海保も入れる?でも海保は軍隊ではない!自衛隊も同じ!

10/16(日) トルコ炭鉱事故41名死亡、原因はメタンガス?石炭も貴重な資源


今週号は以下をご覧下さい
https://ameblo.jp/unarigoe/entry-12769602571.html

今週の一言
ある事件で60代の高齢者と言う件がありましたが、69歳であれば高齢者と分かりますが、61歳で高齢者はどうでしょうか?自分も60歳を優に超え、四捨五入すれば70歳、しかし高齢者と言う感覚はありません。若い人たちから見れば、高齢者なのかもしれませんが・・・。



年金問題ですが、給付延長となりますかね。65歳も何年続くか?すぐに70歳になりそうです。今の年金制度じゃダメだと話は出てきますが、具体的な改革案はどうなっているのでしょうか?単純に原資が少なくなれば、配分を減らすか配分を遅らせる。もしくは原資を増やすとなります。もう一つ忘れてならないのは、事務経費が掛かり過ぎているのではないかと言うこと。コロナの時のような莫大な事務経費は掛かっていないのかもしれませんが、それでも見直しは必要ですね。一般企業であれば、考えられないような経費が掛かっているのではないでしょうか?ちなみにコロナ関連の給付10事業、総額28兆2962億円のうち事務経費は6756億円、マイナンバーカードがもっと普及していればどれくらい事務経費は削減できたでしょうか???


唸声千流<ねを上げて減るのは腹と給付金>

2022年10月16日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6291号
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  2022(令和4年)年 10月16日(日)


      
            アジア解放に憧れて:加瀬英明

危機の時代に備えよう:“シーチン”修一 2.0

           ウクライナ戦争を見る:北野幸伯

         世界の大学ランキング2022:前田正晶
          
          「FLEXIT」を訴え:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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アジア解放に憧れて
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        加瀬英明

 大東亜戦争の夢 両親の面影をみる幼少期

 
 今年、月刊『文藝春秋』誌が創刊100周年を迎えた。今から30年ほど前だろうか。『文藝春秋』誌が新聞に社主・故菊池寛以下、創刊以来の執筆者を寄稿回数が多い
順に並べた1ページ広告をのせたことがあった。

 私は自分でも驚いたが、70数番目という上位にあった。『文藝春秋』にいまでも「おやじ」、「おふくろ」という、それぞれ1ページのコラムがある。私は「おやじ」の平成13年2月号に寄稿しているが、「おふくろ」のほう
は気が乗らなかったので、書くことがなかった。

 父親は仕事に没頭していたから私を叱ったことがなく、ペットもどきに扱ったので兄のようだったが、母親は私の一挙一動を意にそわせようとして躾け、教育に煩く、好意
をいだけなかった。父はエリート外交官だったが、外交官は身のまわりの出費が多いから、裕福な家の娘を娶る者が多かった。父もその一人だった。

 母は典型的なお嬢様だった。有名銀行の頭取の娘で、“バター臭い”家庭で育ち、敬虔なキリスト信者だった。
私は母のお嬢様のようなところが、友人たちに恥しかった。まさか随筆に母を嫌っていたとは書けなかった。いって母を嫌っていたわけではない。そりが合わなかったのだもっとも外から見たら、ふつうの母と息子だったろう。

 私はアメリカに留学した時に、アメリカに「マイ・マザー、ドランク・ノア・ソバー(泥酔していても、シラフでも、わたしの母(マザー))」という諺があるのを知って、その通りだと思った。

 私が幼稚園に通っている時に、英米に対する戦争に突入していた。コロナによって2年中断されているが、毎年、クラス会を開いてきた珍しい幼稚園だ。クラスメートのな
かに、東大総長になった蓮實重彥がいる。戦時下の小学校へあがった。「贅沢は敵だ」というスローガンを信じていたので、母親の西洋気(か)触(ぶ)れの派手な服装がうとましかった。

 「和魂洋才」と和魂
当時の世界は、白人至上主義のもとにあった。
アメリカではトランプ政権からBLM(ブラック・ライブス・マター)運動が全土を風靡したが、私が生まれ育った世界では、世界の大半を占める有色人種が白人の支配下
にあって、ブラック・ライブス・マターの逆境を強いられていた。

 私が物心がついたことから、支那事変(左が日中戦争と呼ぶ)が続いていた。アメリカが日本にけしかけていると教えられたが、いまから振り返っても、多分に正しい見方だった。私も子供たちも、日本がアジアを白人から解放する使命を授かっていると信じていた。

 終戦の年に国民学校(小学)3年生だったが、いまでも「興亜の大業」という難しい言葉を覚えている。母親の西洋気触れを嫌ったのは、浅薄なことだった。日本が近代化を遂げて先進国になれたのも、西洋の主要国と戦うことができたのも、国をあげて西洋を模倣したからだった。

「和魂洋才」といわれたが、洋才を駆使するためには、洋魂を取り入れねばならなかった。私が高校生のころも、欧米へ渡るのを「洋行」といって憧れたし、試験でよい成績をとると、「上等舶来(じょうとうはくらい)」と叫んだ。

 連合国と国連

 日本陸海軍は観閲式で指揮刀を抜いて、唇の前に立てて鞘に収めることを行ったが、これは十字軍の礼式だ。刀身と鍔が交差しているのを十字架に見立てて、接吻したの
だった。皇軍がキリスト教の礼法を用いたのは、滑稽だっただろうか。

 アメリカのルーズベルト政権は日本が屈服した後に、白人至上主義の世界支配を続けるためのシステムをつくろうと思い立った。「ユナイテッド・ネーションズ」(日本訳
で、国際連合)を創設することだった。

 ルーズベルト大統領は日本が真珠湾を攻撃した翌月の1942年1月1日に、日本と戦っていた諸国をワシントンに招集して、「これから私たちの同盟を『ユナイテッド・
ネーションズ(連合国)』と呼ぼう」といって、「連合国」の名称が決まった。

 日本軍が第2次大戦の最後の年となった1945年5月に、沖縄に来攻した米軍を迎えて勇戦していた時に、急死したルーズベルトに代った、トルーマン大統領が、サンフ
ランシスコに国連を創設する会議を招集した。新しい国際組織の名称は「ユナイテッド・ネーションズ」とすることが決定された。日本と戦っていることが、加盟国の条件
とされたために、慌てて日本に宣戦布告した国が多かった

 昭和20年の朝日新聞を読むと、十月まではサンフランシスコで誕生した『ユナイテッド・ネーションズ』を正しく「連合国」と呼んでいるが、11月から、突然、「国
際連合」「国連」に変更している。国連が「連合国」であっては、日本を敵とする機構であるのがみえみえだ。広島、長崎に爆弾を投下したのも、「連合国(ユナイテッド・ネーションズ)」ではなかったか。

 だが、今日の世界のどこを探しても、“国際連合”という名称の国際機関は存在していない。中国では国連を「連合国」、韓国も「ヨンハプグク(連合国)」同じ敗戦国のドイツ、イタリアも「連合国」とそのまま使っている。

 アジアの独立戦争勝利が世界戦争の終結

 私の事務所はいつも千客万来で賑わっている。議員、作家、芸能人、労働組合幹部、外国の学者など、あらゆる職種の人たちが集まってくるから楽しい。『カレント』の矢
野弾先生も、その一人だった。今年急逝されたが、惜しい人を失った。

 矢野先生の縁で事務所に立ち寄られたのか覚えていないが、Aさんという高齢美形の女性がおられる。みるからに良家の令嬢で、仏教伝来について学術書も出版されており、私がその本の内容を批判したことから、会話のよき伴侶となるようになった。

 私はAさんにお目に掛かるたびに、生真面目、教養人で、西洋に憧れてキリスト信者でおいでのところも、母によく似ているのに驚いた。最後にお会いした時に、Aさんが「世界戦争が終わって、国連、国連機関のユネスコが生まれ、ユネスコ憲章は気高い」といわれたので、「ユネスコ憲章はクズみたいなものです。ユネスコは平和に有害です」と答えた。

 私がその直後に入院したので申し上げる機会がないが、先の世界戦争はまさか日本が降伏した時に終わっていない。その意味で、日本が第2次大戦に参入した時に、「大東亜戦争」と名づけたのは正しかった。日本が降伏した後に、アジアを再び植民地とするために、連合国軍がインドネシア、ベトナム、マレーシアなどに攻め込んだ。

 日本が剣を捨てた時に、アジアの同胞が日本の大東亜戦争を戦い続けた。先の世界戦争は、インドネシア、ベトナムなどが独立戦争に勝った時にようやく終わった。

 アフリカ大陸も呼応して、次々と独立していった。

 緒戦で日本が勝っていたころは、私もアジア太平洋につぎつぎと日の丸が書き込まれるのを見て、狂喜した。開戦時に決定した「大東亜戦争」という戦争の呼称も使ってい
たが、サイパン島が失陥したあたりから、しだいにアジアの解放の夢が語られなくなり、「本土決戦」「一億総特攻」に変わってしまった。

今日の日本では先の戦争を白人優位主義史観に従って「太平洋戦争」と呼ぶのが良識で、「大東亜戦争」だと時代遅れの右翼だとみられる。「大東亜戦争」のほうが正しい。


           
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危機の時代に備えよう
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“シーチン”修一 2.0


【雀庵の「大戦序章」100/通算532 2022/10/14/金】あっという間に晩秋の風情、ここ3週間ほど朝の室温が9度以下の一桁になり、夜は暖房(22度)しないと鼻水が出てしまう。秋子がグズグズしているから冬子が勢いを増し、「さあ、私の季節! 温暖化した地球を冷やさなければ。よくって、いくわよ!」。

寒くなると「温暖化から地球を守ろう」と騒いでいた連中が静かになるのは面白い。巣ごもりか。環境汚染の元凶は人間だが、とにかく人間増え過ぎ、30億人で十分なのにまるで恐竜のように増えまくって緑を破壊した。

地球という奇跡の生命体はそろそろ人間を駆除するのではないか。それとも少子化、飢餓、自然破壊、乱獲、貪欲、戦争で人間は自滅するか? 22世紀、2200年代はあるのかどうか・・・人間の季節は終わっているような気がする。

初期、中期、後期、後退、衰退、そして絶滅期へ。人間、人類が消えても誰も惜しまない、猿人が消えたから残念だなんて誰も思わなかったように。200年前にイギリス史上初めての経済学教授となったマルサスは過剰人口の抑制を訴えて反発されたが、せめて1960年頃の30億人あたりで「持続可能な繁殖抑制策」を研究し実行していたら、と悔やまれる。

<2022年7月11日に発表された国連の報告書によると世界の人口は2022年11月15日に80億人を突破する。ただし、人口増加はここ数十年で最低の水準にとどまっている。

現在の世界人口は79億4200万人で、2011年に70億人を突破したと国連は推定している。2020年に世界の年間人口増加率は1950年以来初めて1%を下回ったとしていて、これは主に出生率の低下による。

それでも国連は人口が2030年には85億人、2050年には97億人、2080年代には104億人に達すると予測している>(フォーブス2022/7/14)

恐ろしい話だ。一般的に繁殖=現役を終えた長寿は結構なこととされているが「無為徒食の長生きし過ぎ」は地球にとって良くないのではないか。逆に若者世代の未婚化は進み、所帯を持っても「少子化」傾向である。先進国では少子高齢化と人口減が進み、一方で途上国・後進国では人口増が進んでいる。イビツどころか異常だ。

地球という生命体にとって今現在の諸悪の根源は人間である。緑の地を農地に、農地を都市に変え、やがて環境破壊、砂漠化をもたらしてきた。大昔から文明→人口増→環境破壊のよう。

そういう時代には疫病や戦争、天変地異で人間が淘汰されてきたのではないか。ユダヤ教聖書にある「ノアの箱舟」や末法思想、末期思想などの「終末論」はそうした危機の折に広く信じられたようだ。

芥川は自殺の際に「ぼんやりした不安」「生きる為に生きている人間の哀れさ」という言葉を遺した。哀れで愚かな人間・・・物質文明は進んでもオツムは我利我利亡者のままだから詮方なし。人類は貪欲な現代版恐竜、地球の敵か? 考え過ぎると虚しくなる。

今の小生は躁状態だから「自殺? 自死については天命を全うしてからの話だ、まずは中露北を殲滅すべし」と元気がいいが、人口10万人当たりの自殺者数は以下のようにアフリカなどの貧困国がトップを占めているとか(兼島剛氏/フリーランスライターによる。出典不明)。

1位レソト87.4人、2位ガイアナ40.8人、3位エスワティニ40.4人、4位:キリバス30.5人、5位ミクロネシア28.9人

貧困による生活苦は、福祉政策がなさそうな国では「飢餓」そのもので「死んだほうがまし」となりやすいのか。乞食はならないという名誉心もあるかもしれない。

厚労省によると日本の2021年の人口10万人当たりの自殺者数は0.1人増の16.8人。総数は2万1007人で男は女の2倍ほど。原因・動機別では「健康問題」が9860人で全体の47%を占め最多。続いて「経済・生活問題」3376人、家庭問題3200人。

「病気が辛いし治る見込みもないから死ぬ」・・・日本人は生への執着が薄いとか「潔く死ぬ」という美学のようなものがあるのかもしれない。兼島氏によるとG7諸国の自殺率(世界保機関調べ)は日本が1位。フランス、米国、ドイツ、カナダ、英国、イタリアと続く。日本以外はキリスト教の国だ。

のびのびとした多神教の古代ギリシャが農地不足などで弱体化するようになるとギリシャ人は新興のローマ帝国(イタリア中心、これまた多神教)に移住していく。

イエス・キリスト(一神教のユダヤ教徒)死後、厳格な一神教の新興宗教「キリスト教」が創られたが、元気な多神教のローマ帝国では「300年近くキリスト教はほとんど浸透しなかった」(塩野七生先生)という。

キリスト教は民の不安を癒す宗教だが、世の中の秩序を取り戻すために、良い子にしていないと天罰が下るぞ、地獄に落ちるぞ、神はお見通しだと説いた。ここまでは良いが、キリスト教徒だけが人間で、それ以外の宗教を信じる者は人間ではない、畜生だという、恐ろしく自分勝手な論理を振りかざす。

塩野氏曰く「多神教のローマ帝国では一神教のキリスト教は邪教と思われただろうし、300年の前の5年ほどは弾圧を受けたが、基本的には自由な活動ができた。それでも人気はなかった」。

不安感、終末観から急遽、厳格な一神教の新興宗教「キリスト教」が創られ、欧州に広まっていった。新興宗教は新しいもの好きの人や既成の宗教に満たされない人、虐げられた人々には魅力的なのだろう。キリスト教に帰依した国々は豊かなローマ帝国へ移住したいのか領土を奪いたいのか、布教のためでもあったのか、ローマの国境を突破しようと侵攻を重ねる。160年前後からローマ帝国は防戦に追われていったようだ。

その模様は「哲人皇帝」マルクス・アウレリウス(在位161〜180年)の遺した随想録によるとかなりの消耗戦、モグラ叩きである。「晩年は各地の反乱や災害やゲルマン人ら異民族の侵入に悩まされ、各地を転戦、陣中で没した」(WIKI)

結局、ローマ帝国は313年にキリスト教を公認、388年には古代ローマの伝統宗教の廃絶を決め、キリスト教は国教となった。それ以降は見る影もなく、イスラームとの宗教戦争もあり帝国は衰退していったが、一神教に淫する、洗脳されるとまったく悲劇だ。

日本人は「鰯(いわし)の頭も信心から」で、神道のお陰で八百万神(やおよろずのかみ)が定着しているから特定宗教、特に新興宗教に淫する人は少ない。大いに結構なことだと思うが、自殺率で日本と韓国は上位を競っていたが、今は日本は8位とか。自殺と宗教は関係があるのか?

「韓国における自殺率はOECD30ヶ国の中で最も高く、2002年以降の自殺率で日本を超えて以来、2019年まではほぼ一貫してOECD加盟国中で最悪の自殺率。2位以下はリトアニア、スロベニア、エストニア、ベルギー、ラトビア、ハンガリー、そして日本」(兼島氏)。

これまた日本以外はキリスト教の国だ。キリスト教は自殺を戒めているが(命は神からの賜物)、自殺≒病気≒哲学?には効き目はなさよう。牧師さんまで自殺している。

日本と韓国は大昔から孔子様の儒教の影響も受けているが、日本は学問・哲学・思想として受け入れ、その一派の朱子学(君主に従え=秩序を守れ)と陽明学(正義に従え=革命を辞さず)が武士階級に好まれた。「勇武の精神」を培ったと言える。

一方で支那の影響・圧迫を大きく受けている韓国(朝鮮)は儒教を「反論を許さない宗教」として受け入れ、絶対王政と絶対身分制の正当性を民に植え付けたようだ。大国、身分の高い者、年配者、親など「強者に従う」という道徳が重んじられることになったよう。

結果的に支那のことわざにあるように「良い鉄は釘にならない」(まともな人間は兵士はならない)、軍人・兵士・武を軽視する風土になったのではないか。半島にとって最大の脅威である支那の属国になり三跪九叩頭すれば安全保障を得られるのだからメリットは大きい。

しかし、それは一人前の独立国家の名誉を放棄したようなもので、体よく支那に牙とキンタマを抜かれ去勢されたようなものだ。敗戦後の日本は米国に洗脳されて戦争アレルギーになり、国防は“宗主国”の米国依存だから朝鮮人を嗤えやしないが・・・

半島人にとって国家の序列は「中国は父、韓国は兄、日本は弟」らしい。兄から見ると弟はちっとも弟らしくなく、「礼儀をわきまえないし素行不良でどうしようもない出来損ない、いつか張り倒さなければならないゴロツキ」のように思っているのではないか。弟の方も「半島人はどうしようもないバカ、つける薬なし、関わるとロクなことにならない」と愛想を尽かしている。韓国と日本は米国を軸に表向きは友好の素振りをしているが、本心では互いに嫌っているだろう。

小生は李相哲(りそうてつ)氏は韓国人と思っていたが、戦後の朝鮮民族の複雑な歴史の生き証人のような方だった。WIKIによると――

<中国出身のメディア史学者。龍谷大学社会学部教授。本名は竹山相哲。

1959年9月6日、中国東北地方・黒竜江省に生まれる。両親は朝鮮半島慶尚道出身で、1930年代に中国に移民していた。朝鮮系中国人としては2世(中国では「朝鮮族」という)にあたる。

1982年7月、北京・中央民族学院(現・中央民族大学)を卒業後、中国共産党機関紙黒龍江日報(ハルビン、日刊紙)記者となる。

1987年9月、留学のため渡日。1995年3月、上智大学文学研究科新聞学専攻にて博士(新聞学)学位取得。その後、上智大学国際関係研究所客員研究員となる。

1998年、日本国籍を取得。姓を「竹山」としたが、旧本名の「李相哲」をそのまま通称として使っている。4月、龍谷大学社会学部助教授。2005年4月、同大社会学部教授となる。

2015年、韓国の朴裕河教授(著書「帝国の慰安婦」)が在宅起訴された際、他の日本人学者らと抗議声明を発表した。2019年8月より「李相哲TV」(YouTube)を開局。産経新聞「正論」メンバー>(以上)

氏にとって北朝鮮、韓国、中国、日本は「4つの祖国」のよう。緊張感がなくおっとりしている日本は、氏から見れば居心地は良いが「大丈夫なのか?」と心配になるようだ。産経2022/10/4の氏の論稿「正論 現実を直視しない日本が心配だ」から後半を引用する。

<私は学生に対し「1年だけ死ぬほど頑張って外国語一つでもマスターすれば人生が変わるよ」ということもあるが、「なぜ変えるんですか」と反問される。

おそらく多くの日本人は人生を変える必要性を感じないはずだ。その潜在的意識には、日本は永遠に今のように平和で安全、少々努力すれば食うに困ることはない、病気で治療を受けられない心配もない国であり続けるという前提がある。

【日本は分岐点に立っている】しかし、ロシアのウクライナ侵略が物語るのは、国際社会は今なお弱肉強食のジャングルのような世界だということではないか。日本だけが危険にさらされることもなく、いつまでも今のような平和で安全な環境が保障されているとは到底言えない。

日本は様々な意味で歴史の分岐点に立っている。

住み心地さえよければ良いか。国際的地位を維持すべきか。韓国に負けても中国に少々横暴な扱いをされても戦争さえ回避できれば良しとするのか。国家の安全保障、安危を大国に委ねるべきか、自分の国は自分で守り抜く実力を備えるべきかの分岐点にさしかかっている。

李氏朝鮮末期の啓蒙思想家たちは日本の明治維新に倣って朝鮮を改革、開化させようと、日本を訪れては福澤諭吉先生に教えを仰いだ。すると先生は「教育、新聞、軍事」の3つを起こせと話されたそうだ。

国家の基本はこの3つにあると考えたのだろう。今の日本はまさにこの3つにメスを入れるべきではないか。

【福澤先生の教えにヒント】*教育の問題:筆者が体感する大学教育の最大の問題は、日本の学生は成績をあまり気にしないことだ。いや、採用する企業が成績を気にしない、期待していないということだろう。ならば大学教育の存在意義をそろそろ考えるべきではないか。

*メディアの問題:メディア企業の多くは大学の専門、成績と関係なく人材を採用する。日本では会社が人を育てるという「良き」伝統がある。今はそのように悠長に構えられる余裕はないはずだ。グローバル規模で職業の選択が自由になり、会社が優秀で戦力になる人材を育てても、その企業に居続けるとは限らない。

また国民の平均的な素養に絶大な影響を及ぼすテレビは、お笑いなど「娯楽」に傾倒、一億総白痴化を加速させていると指摘されて久しい。

*軍事の問題:安全保障分野はより深刻だ。今の若者は「国防や国家の安危に責任を感じ、義務を負わなければならない」という意識がないようだ。少なくとも「自由を謳歌するには義務が伴う」ということを知る必要がある。

そのための教育なり制度設計が必要だ。若者が一定期間、国家のために無条件奉仕する制度はどうだろうか。

日本の防衛予算は規模の上で既に韓国に追い越されてしまったが、ハード面でも決して優位とは言えない。昨今の日本では研究者が武器の研究を忌避することを良しとする風潮があるからだ。

衰退を食い止め、未来においても住み心地の良い平和で安全な国であり続けるためには3つの分野だけ建て直せばよいというものではない。必要なのは現実を直視し、危機感をもって現状を変えるため果敢に挑戦することだろう>(*の小見出しは修一)

誠に正論である。福翁の指摘した「教育(人材育成、先端技術)、新聞(内外情勢の報道、分析、提言、世論形成)、軍事(戦略、戦力、装備、戦術、インテリジェンス)」を怠る国は結局、侵略され亡国の民になるか併呑されるのが大昔からの歴史であり、それは今も変わらないということだ。

塩野先生曰く「宗教は人間が自信を失った時代に肥大化する。宗教が人々を助け合うという本来の姿であり続けるべきだと思うなら、政治、経済など(インフラの)俗事が機能していなければならない。民主政が危機に陥るのは、独裁者が台頭してきたからではない。民主主義そのものに内包されていた欠陥が表面に出てきた時なのである」。

戦後の国際秩序はタガがかなりゆるんで今や共産主義独裁のプーチン・ロシアがウクライナ侵略を進めている。同じく共産主義独裁の習近平・中共も熱戦の機会をうかがっている。中共のポチである北朝鮮は核ミサイルで日米を露骨に恫喝している。

「民主主義そのものに内包されていた欠陥が表面に出てきた」世界情勢。日本はハード、ソフトの両面で「戦時」への備えができていない。全力を挙げてまずは核兵器装備、核シェルター整備を進めるべきだ。それは抑止力、外交の切り札にもなる。


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ウクライナ戦争を見る際絶対必要な視点とは?
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            北野幸伯

・世界は黒化している,黒化とは独裁化のこと。黒化した
国家の典型例は習近平独裁下の中華人民共和国。

・ロシアは独裁者プーチンの下で黒化してきたが、ウク
ライナ侵攻によって「真っ黒」になった。

・黒化の脅威は日本のすぐそばまで来ている。

・プーチンは露宇戦争を始めたが、戦略的敗北は不可避。

・ロシアの経済は経済制裁によりボロボロになり、ロシ
アは自業自得の負け組になる。

・白化(民主主義)陣営(日米欧州など)と黒化陣営の戦いは
白化陣営が勝利する。

・日本は民主主義陣営に留まった。安倍総理、岸田総理
は正しい選択をした。


2 平井宏治さんの「経済安全保障のジレンマ」

平井さんは外国企業の日本企業に対するM&Aに従事して
いる経済安全保障の専門家です。本書の目的は「中国による超限戦の実態を過去の事例などを通じて明らかにすること」です。平井さんは、M&Aの実務を通じて、中国が日本の技術をいかに盗み、それを軍事利用しているかを赤裸々に書いています。是非読んでみてください。

なお、平井さんは渡部の本や論考を読んでくれていて、
本書でも渡部の主張を引用してくれています渡部にとって北野さんも平井さんも戦友だと思っています。
共通の目的は独裁国家から日本を防衛することです。>

【転載ここまで▲】

特に最後の部分、
渡部にとって北野さんも平井さんも戦友だと思っています
共通の目的は独裁国家から日本を防衛することです。>
の部分は、とても感動しました。

▼「平和ボケ」の日本

今回の戦争がはじまった時、「日本の平和ボケは深刻だ」
と感じました。日本には、ウクライナに「早く降伏しろ!」と勧める人がたくさんいたからです。「ロシアに支配されることになっても、命が大事だ」と。しかし、今となっては、「降伏しなくてよかったよね」ということでしょう。

ロシア軍は当初、首都キーウを目指した。ウクライナが降伏せず戦うことを選んだので、ロシア軍を東部と南部に撤退させることができました。ハリコフ州で大敗を喫したプーチン。苦し紛れに、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を併合した。

しかし、ウクライナ軍の攻勢は止まらず、4州のみならず、2014年に失ったクリミアすら奪還できる可能性がでてきています。日本の「降伏論者」のいうことを素直に聞いていれば、首都キーウが陥落。ウクライナ全土が、ロシアに支配されることになったかもしれません。


そして、「降伏論者」は、ロシアの本当の怖さを知らない
のでしょう。ロシアの国営メディア「RIAノーボスチ」4月3日に「ロシアはウクライナに何をすべきか」という驚愕の記事が掲載されています。

そこには、
・ロシアは、ウクライナを「非ナチ化」しなければならな
い。

・ウクライナ国民の大部分も、受動的なナチス、ナチスの
共犯者であり、有罪である。

・ロシアは、「イデオロギー的弾圧」と「厳格な検閲」に
よる「再教育」で、ウクライナの「非ナチ化」を実現しな
ければならない。

・ロシアは、ウクライナの「非ナチ化」プロセスを、最低
1世代(30年)つづけなければならない。

・「非ナチ化」プロセスがつづいている間、ウクライナに
主権を与えてはならない。
と書かれています。

詳しく知りたい方は、こちらの記事をご一読ください。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94223

「降伏論者」は、中国が攻めてきたら、きっと「日本政府
は人命を守るために早く降伏しろ!」というのでしょう。

そして、私たちは、中国の「1少数民族」に転落する。
皇室はなくなり、日本語を話すことは禁止され、神社、お
寺は破壊される。日本人女性は、不妊手術を強制され、ウイグルで行われているようなジェノサイドが起こる。
これ、「大げさだな〜」と思う方は、ニューズウィークの
こちらの記事をご一読ください。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93907.php

ウクライナ侵攻が起こり、何がわかったか。「巷で話されていることは、解決策にならない」ということです。

▼日本の教訓

日本にとってのウクライナ侵攻とは何でしょうか?
「西と東がリンクしている」ということです。プーチンがウクライナに侵攻した。もし西側が武器を提供せず、制裁もしなければ、ウクライナはもう負けていたでしょう。

習近平はプーチンの勝利を見て考えたはずです。「欧米は怖くない。台湾に侵攻しても、大した制裁はされない」そして、安心して台湾侵攻に踏み切ったはずです。
しかし、欧米は、

・ウクライナに際限なく武器を送っている

・ロシアに地獄の制裁を科した

これで、プーチンは、短期間で勝利することができません
でした。習近平は、「俺が台湾侵攻を決断すると、こういうことになるのか。やらなくてよかった・・・・」と思っていることでしょう。いずれにしても今回の事態に関しては、「全然違う視点からの見方」が必要です。
どんな視点?

【軍事の視点】です。

結局、ウクライナ侵攻を見た私たちが議論すべきなのは、
「どうすれば日本を守ることができるのか?」です。
「攻められたら降伏すればいいじゃん」それだと、日本が消滅します。最良なのは、「日本は十分強いので、攻撃できないな」と思わせることです。それでも攻撃されたら、勝利できる実力をつけておくことです。
          
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世界の大学ランキング2022
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         前田正晶

ー東京大学が36位から35位に

イギリスの高等教育専門誌“Times Higher Education(THE)”が毎年発表している、「The
Times Higher Education World University
Rankings(THE世界大学ランキング)」は世界的にも影響力がある指標である。これの22年度版が公開された。掲題のように東京大学が前年の36位から上がって35位になり、京都大学は61位だった。しかし、中国の北京大学と清華大学は同率の16位なのだった。

この中国よりも低い評価だっただけではなく、東京大学は21位のシンガポール国立大学よりも下位にあったのだ。私はこの評価の件でマスコミが自虐的な報道をしていたかどうかは未だ知らない。だが、今朝ほど某有名私立大学法学部の教授と懇談した際の重要な話題の一つだった。このTHEの評価の基準は先頃も取り上げたことで、その大学内で発表された論文とそれらが引用された数が重要な部分を占めているのだ。

教授は苦笑されて「論文の数が少ないのは、英語等の外国語の論文の数で評価されるからという点がある。日本語で発表された論文が少ない訳ではないが、それを発表する度ごとに英訳していないということなのだ」と指摘された。外国ではそのような英訳してはいないという事情までは解るまいと思う。

私はオーストラリア人の学者がメルボルン大学に提出される博士論文のお手伝いをしたことがある。そこで知り得たことは、論文の質というか内容もさることながら、そこに必ずつけるbibliography(引用した参考文献一覧)の精密さと膨大な量には圧倒された。正確さが求められているのだが、俗な表現をお許し願えば「半端じゃない」作業の量だった。

他には、上記の教授の学術論文に協力した経験があるので「高度に知的な作業であることは言うに及ばす、時間的にも大変な労働量なのである」と言えるのだ。教授が言われたことは「研究留学されたアメリカのイリノイ大学で指導して貰った有名な教授には秘書が付いていた」そうだった。私がこれまでに知り得た範囲内では、秘書が付いていた教授はおられなかった。


私はこの教授以外の先生からも「大学教授という仕事には、講義と研究の活動をする以外に相当な量の雑務があるので・・・」と嘆息されたのを聞いたことがある。そこで言いたいことは、上記のTHEのランキングを見ただけで、『何だ、東大も京大もそんな低評価か』など自虐的にお考えにならないように」なのである。


因みに、第1位はオックスフォード大学、2位はハーバード大学、3位はカリフォルニア工科大学で、ソウル大学が54位だった。日本の大学は199位までには上記の2大学のみだった。何となく、矢張り英語での論文の数が鍵なのかなと感じさせられていた。


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「FLEXIT」を訴え
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月11日(火曜日)
         通巻第7487号
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 フランスの保守陣営が「FLEXIT」を訴え
   NATOとEUからフランスは脱退せよ
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 メディアの偏向はドイツ、フランスでも顕著。左翼に不都合なことは無視する。「報道しない自由」という権利を行使する。フランスで大がかりなデモが頻繁に行われ、数万の人々が整然と行進する。メディアはこの動きを黙殺している。

 保守派が訴えているのは[FLEXIT]だ。EUのロシア制裁はザル法で効き目がないばかりか、物価上昇、生活苦、そのうえ冬にガス不足になると暖房をどうするのか電力危機は真冬の停電を将来するだろうと危機を訴える。

またNATOのウクライナ武器支援も事実上の参戦であり、こうした姿勢を変えなければならないとする。

 マリーヌ・ル・ペンの全国集会の元副党首フロリアン・フィリポが率いる「レ・パトリオット(愛国者)党」が組織し「全国的なレジスタンス集会」と呼ばれる。彼らはマクロン大統領の辞任を要求し国会議事堂周辺を行進した。
 
 デモ隊は、NATOが「戦争挑発」したのであり、経済の「混乱」、「エネルギーと健康の制限」を非難し、ウクライナ戦争でEUがロシアに課した制裁が問題としている.
ル・ペンもフランスは厳しい冬を迎えるだろう。EUのロシア制裁は機能していないばかりか、むしろフランス経済を損傷させていると主張している。英国のBREXITにつづいてFLEXIT運動が社会の底辺から起きてきた。
 
□☆◎☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□   
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
【知道中国 2432回】   
 ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習98)        ▽
 『在毛沢東思想哺育下成長』には湖南、内モンゴル、河南、北京、上海、江蘇、遼寧、寧夏など中国の各地で「毛沢東思想の哺育の下で成長」した『立派すぎる子どもたち』が次々に登場し、手を変え品を変えて超人的な政治活動を報告する。たとえば10歳の少女の戴碧蓉チャンは、1968年9月14日、父親の職場である湖南省株洲駅の操車場において、3人の「小朋友」に命を救った。

 その日、彼女は籠を手に線路脇を歩きながら、向こうから走ってくる貨車を認めた。手前の線路には夢中で遊んでいる3人の子ども。「危ないよ。早く逃げてェー」と声を限りに叫ぶのだが、どうにも聞こえそうにない。このままでは3人とも轢き殺されてしまう。

「どうしよう。どうしよう。その時、『人民のために死ぬことは、(中国最高の霊山である)泰山よりさらに重い』という毛主席の教えを思い出す」。もちろん、線路に飛び込んで1人を助ける。ずんずん近づいてくる貨車。そこで、またまた戴チャンに勇気を奮い立たせたのは、「『我らは人民のために死ぬなら、まさに死に場所を得たというものだ』という毛主席の教えだった」。

 最後の1人を救おうとしたが、「10歳の私に余力は残っていなかった」。それでも死力を尽くして助けた瞬間、無常にも疾走してくる貨車は彼女を巻き込んでしまった。病院に担ぎ込まれ手術だ。「痛い。だけど決して泣かないワ。だって毛主席の紅小兵だもん。どんな困難にだって音をあげないワ」。「毛主席語録を読めば全身に力が漲り、痛みなんか忘れちまうの」であった。

 半月が過ぎれば10月1日。国慶節だ。その夜、彼女は人民大会堂で居並ぶ大人たちの最前列で、毛沢東の接見を受けるという飛びっきりの栄誉に浴す。「私は、この最高の幸せを永遠に記憶しておこう。毛主席の指導に従って永遠に革命を続けるの」と、日記に記した。

 ここで思うのだが、その時から半世紀と4年が過ぎた。戴碧蓉が実在の人物で存命なら、彼女は60代半ばになっているはず。天安門での「最高の幸せを永遠に記憶し」、「毛主席の指導に従って永遠に革命を続け」ているに違いない。ならば習近平3期目突入を毛主席の再来と歓迎している・・・のだろうか。

 『紅小兵報』社の編集で、お馴染みの上海人民出版社が出版した『向陽紅花 紅小兵革命故事選』は、巻頭に毛沢東揮毫の「児童們團結起来學習做新中國的新主人(子供らよ、団結して学習し新中国の新たな担い手となれ。なお旧漢字は原文のまま)」の文字を掲げ、「我ら中華民族は敵とは徹底して戦い抜く気概を持つ」子供たちの「一に苦労を厭わず、二に死を恐れない」姿を感動的に描く8つの「故事(ものがたり)」を収める。

 第1話は「左手で『毛主席語録』を高く掲げ、右手の鞭で線路上に立ち往生する牛を急き立てて線路の外に押し出すが、驀進する汽車を避けきれずに犠牲になった農村の少女・朱小春チャンの英雄的な死を称える「向陽紅花」で、最終第8話は伝令となって共産党軍(八路軍)を手引きし、日本軍とその犬(「日本鬼子」と「漢奸隊伍」)を殲滅するうえで軍功を挙げた小柱頭クンの八面六臂の活躍を説く「小柱頭送情報」である。

 どの故事も当時の共産党政権が求める「理想的な子供」を描いているわけだがわけても興味深いのが上海の某病院小児専門病棟での「闘争」を描く「病房里的闘争」だろう

 入院している子供たちは「我ら毛主席の紅小兵は、病棟を毛沢東思想の学習・宣伝のための大教室にしよう」と立ち上がる。

 病室で子供の患者が毛沢東賛歌を唱ったり、『毛主席語録』を大声で読み上げたり。ある日、仲間の1人のおじいさんがこの光景を目にして「病院は静かに病気を治すところ」と注意する。すると子供たちは「こいつは劉少奇の仲間だ」と追い掛け捉まえる。かくて「我ら毛主席の紅小兵」の意気は蒼天を突き破る勢いだ。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)三島由紀夫研究会、つぎの「公開講座」は富士学校で三島と一緒に訓練をうけた富沢暉氏が講師です
           記
とき   10月28日(金曜)午後六時
ところ  市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」
https://www.arcadia-jp.org/access/
講演   富沢暉(元陸幕長)
演題   「三島由紀夫と私  富士学校における訓練」
略歴(父は第4回芥川賞受賞作家の冨澤有爲男、妻はた藤原岩市(元陸将)の娘。
日比谷高等学校を経て、昭和35年、防衛大学校(応用物理)卒業と同時に陸上自衛隊入隊。戦車部隊での勤務の後、第13普通科連隊長、第1師団長、北部方面総監等を歴任し第24代陸上幕僚長に。著書に『軍事のリアル』(新潮新著)など。
参加費  2000円(会員ならびに学生は千円)
●どなたでも予約無しで御参加いただけます。
問い合わせ(090)1611−9839
     (三島由紀夫研究会事務局)
  ♪
(読者の声2)貴誌7485号の「ルーブル決済が史上最高記録。ロシア経済はしぶとい 天井知らずの米国のウクライナ支援に米国民に不信感広がる」を拝読して、私は以下のように考えました。
 1.
金本位制=ドル本位制(石油代金はすべてドルベース)=死活的価値本位制(エネルギー・食糧・安全保障力などなど)と世界が移行しつつある事がドル高の原因であろう。
 2.
「通貨の信用力減退は発行量が増えすぎるから」というのが既存経済学の通説となっているが、本当の信用喪失の原因は、通貨の量ではなく質の問題である。その質とは、当該通貨の死活的価値を得る手段(力)の有無である。ドルはいまも死活的価値を得ることのできる最強通貨として存在しているし、ルーブルが予想以上に強いのは、ロシアがエネルギー資源を豊富に持っているから。それに金の保有量も多い。
 3.
そして巨額の財政赤字のドルがまだ堅調なのは米国が世界最強の軍事力を保有し、その軍事力を背景に、他国に対して「安全保障サービス」とでもいえる「死活
的価値=商品」を「大量に輸出」できるからである。アメリカはウクライナに巨額の軍事援助をしているが、この実態は、安全保障という死活的価値そのものの支援(輸出)であり、ウクライナの勝利でウクライナという食糧の宝庫をアメリカは(実物として)手に入れることにあり、決してドルという(印刷された)通貨を返してもらうということではなかろう。換言すれば今アメリカは、安全保障力でウクライナの食糧供給力などの死活的価値を購入(支配)しようとしているのだ。もしウクライナが、戦後ドル紙幣でアメリカに返済すると言えば、アメリカは戸惑うはずだ。なぜならアメリは印刷された「価値をはこぶ道具」より価値そのものを求めるからだ。要するに世界は既存通貨体制に「失望」し始め、価値そのものから目を離さずに、「通貨という価値代用品ではなく生の価値」でモノやサービスの取引を始めるようになったのである。さらに私が感じるところは、仮に軍事力にはるかに劣るウクライナがロシアを破った場合、「軍事大国中国はそれほど怖くはないのかも」と周辺国は思い、(死活的価値の脆弱な=エネルギー・食糧の少ない)中国自身は、「兵員数はいくら多くても(ロシア人の兵役忌避の現状をみれば)いざとなった時に、『人民』はあまり頼りにはならず、中国中枢の命じるところに忠実であろうロボット兵器の増強に力を注ぐ」だろう、ということです。(SSA生)


(読者の声3)10月6日のNHK BSの番組「元寇激突! モンゴルVS鎌倉武士どっちが
強い」を観た方はいますか。この番組の最後の結論は間違っていたと思います。

番組では、第2次蒙古襲来で神風(台風)が来ず、そのうえで、蒙古船団の半分以上が有明湾に回りそこから上陸して博多に集結している鎌倉武士団に背後から襲いかかれば鎌倉武士団は壊滅するであろうと言っていました。ここまではこの通りだと思います。
その後、蒙古軍は北九州を占拠して北九州に蒙古の国ができるであろうと言っていました。しかしこれは違うと思います。
博多にいた鎌倉武士がいなくなっても、本州、四国にはまだまだたくさんの武士はおり、これらの武士が逐次、蒙古軍に攻撃をかけると思います。蒙古軍は矢がつきます。食糧もつきます。そして日本側の一般の農民は、蒙古軍に従うような行動はとらず、山に逃げ込むでしょう。中国大陸の中国人はどんな武力集団でもそれが強ければ従います。また大陸は大方が平原なので、武力を持った支配の側は、武器や食糧は必要に応じて補給することができます。ここに易姓革命の伝統のある中国の歴史の展開が起こります。これに対して、天皇の存在する日本の歴史の展開では、支配する側も支配される側も一体感があります。すべての日本人が蒙古軍に従順に従うということはないでしょう。
結局、蒙古軍は、船で長い航海をして日本にたどり着くわけで武器や食糧は限定されており、そして山の多い日本ですから、最終的には勝つことはできないのです。>
これは近時の戦争で、沖縄戦で見たときも、最初に上陸したアメリカ軍がそのとき携帯した武器、弾薬、食糧、薬剤だけで戦うのであったら日本軍は負けなかったでしょう。日本軍には必要な物資の補給がなく、アメリカ軍には無尽蔵といってよいほどに必要な物資の補給があれば、日本軍がどのような作戦を立てようと、日本軍は最後に負けるのです。ところで、第1次蒙古襲来で、蒙古軍は日本人をとらえて殺し、手に穴をあけて紐を通して船と船の間に吊るしたのを、単に残虐行為として紹介していましたが、これは人間を干して人間の干し肉を作って食糧にするためだったという意味が加わっています。つくる会の歴史教科書を作っているとき、知りました。(杉原誠四郎)


(読者の声4)「ウクライナ戦争の行方:冬将軍とマスク氏の和平案」
 ◆追い込まれるプーチン◆
ウクライナ戦争の鬩ぎ合いは、ロシア劣勢の流れとなっている。プーチンとしては、東部2州とクリミアへの回廊となる南部2州を併合し、戦線を絞り言わば将棋の穴熊囲いの構えを取り、下記のような図式の持久戦で勝機を見出そうとしていた感があった。

【ウクライナ + NATO vs ロシア + 冬将軍】
だが、ロシアは併合したはずの地域まで複数の箇所で奪回されている。また上記で言う「冬将軍」には、食糧・エネルギー輸出を人質に取ってEU諸国の首根っこを掴み厭戦気分で停戦交渉に持ち込む事も含まれていたはずたが、天然ガスパイプライン「ノードストリーム1・2」の破裂によりそれも儘ならなくなった。パイプライン破裂は、何やら第一次大戦時のUボートによる商船撃沈作戦も連想させ、ほぼ人為的破壊と見られているが、その実行者はロシア自身、米英、その他の名が挙げられており真相は藪の中となっている。EUは果たして冬を越せるのかが懸念されるが、パイプラインは計4本中1本は辛うじて残った。9月末には、ノルウェーからデンマーク経由でポーランドへ北海ガスを輸送する「バルティック・パイプ外部サイトへの開通記念式典が行われた。また米国は液化天然ガスをエネルギーに瀕したドイツ等に供給するようである。破壊はロシア自身によるギリギリの自作自演かも知れないが、だとすると背水の陣としてもかなり倒錯した世界ではある。

◆マスク氏の和平案◆
さて、そんな中、4日、実業家のイーロン・マスク氏がTwitterのアンケート機能を使い、下記のような和平案を提示した。
・国連の監視下で、併合地域の選挙をやり直す。ロシアは、それが民意であるならば、離脱する
・クリミアは1783年からニキータ・フルシチョフの過ち、つまりウクライナへのクリミア半島割譲まで正式にロシアの一部だった
・クリミアへの水の供給は保証される
・ウクライナは中立を保つ
これに対して、ウクライナ側は当然反発した一方、ロシア側は歓迎を示した。

この波紋が消える間もなく、マスク氏は今度はフィナンシャル・タイムズが7日に報じたインタビューで、台中問題について「合理的に受け入れ可能だが、おそらく誰もが喜ぶわけではない台湾の特別行政区を検討してはどうか」とし、「香港よりも寛大な取り決めがおそらくできると思う」と語った。
 
https://jp.reuters.com/article/china-taiwan-musk-idJPKBN2R3028
 歴史的にも中国共産党政府は台湾を支配した事が無い上に、香港での人権弾圧を見れば荒唐無稽な事に加えて危険な発言だが、自身のテスラ社が上海に工場を構え広大な中国市場も狙っているため、中国へのビジネス上のリップサービスの要素も強いのだろう。こう考えると、先のウクライナ和平案は、台湾特区案の単なる前振りに過ぎなかったのかも知れない。だが、ウクライナ戦争は核戦争、第三次世界大戦に発展しかねない。マスク氏の提案は自身の台中発言で随分軽くなった感もあるが、何らかのウクライナ和平案が各国を巻き込んで早急に形成されるべき事に変わりはない(佐藤鴻全)


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重 要 情 報
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◎円安が更に進んで¥147に達したとマスコミが悲観的に報道:前田正晶


回顧談である。32年前とは1990年のことである。その頃はウエアーハウザーにとっての対日輸出の絶頂期で、アメリカの会社の中で対日輸出の金額がボーイング社に次いで第2位だったし、私の液体容器原紙事業部は我が国の市場における占有率が45%に達していて、断然たる第1位だった私もお陰様で大変多忙となって、年間に6回も7回もアメリカ出張を繰り返していた。


その当時の為替レートが¥147だったとの報道だ。だが、幾ら思い出そうとしても、当時に「大変な円安だ」というような危機感はなかったのだ。当時の私は殆どの身の回りの生活必需品は¥140代の為替レートを有効活用して、国内で買うよりも遙かに経済的であるアメリカで買っていた。だが、仕事上の必需品であるスーツだけは国産だった。それは、日本人の中でも小柄な私に合うアメリカサイズ「エキストラ・ショート」には滅多に店頭に出ていることがなかったからだ。


現在のように何処かのエコノミストが「¥150も視野に入ってくる」と悲観的なコメントをされれば、FRBが更に金利の引き上げに打って出るとの観測があるので、日本経済は更に弱くなってしまうかのようなムードが漂ってくるのだ。32年も前の事ともなれば、記憶力を誇る流石の私にも、在職中の1990年に「円安」を嘆く声があったとはどうしても思い出せないのだ。


尤も、アメリカの会社では為替レートがどのように変動しようと、アメリカドルがアメリカドルである事は変わらないので、何ということはなかったのだ。但し、取引先の我が国の企業にとっては原材料費が円安のために高騰してしまうのは大事なので、輸入代行を勤めていた商社と共に、常に敏感に反応しておられ、その傾向を絶えず予測して対処しておられた。


当時でも、牛乳パックのように原材料である原紙を輸入に依存している加工業界では、為替変動分を乳業会社や流通業界向けの販売価格に転移することは容易に受け入れては貰えなかったので、紙器加工業界は常に苦戦を強いられて為替の変動には過敏にならざるを得なかった。


それだけではなく、我々アメリカの企業はコストが上昇すれば、当然のことでその分を遅滞することなく販売価格に転移しようとするので、我々にとっても日本市場向けの値上げ交渉は極めて難事業だった。その値上げ交渉の際に、当時の¥140代後半の為替レートが障害(今風に言えば「高いハードル」か)になっていた記憶が何故かないのだ。不思議な事だなどと考え込んでいる。矢張り、成長期と不況期との違いかなと思うのだ。


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