頂門の一針 6166号
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2022(令和4年)年 6月12日(日)
ロシアはプーチンに引導を渡せ:“シーチン”修一
自衛隊に「共食い」させるな:阿比留瑠比
プーチン絶体絶命:内田誠
豪の大型訪問団がインドネシアへ:宮崎正弘
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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ロシアはプーチンに引導を渡せ
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」52/通算484 2022/6/8/水】先週末にカミサンが鹿
児島で一人暮らしの89歳の叔母さん(亡母の妹)を見舞いに行った。叔母
さんの子供は男2人で、長男は関西で、次男は鹿児島でそれぞれ所帯を
持っている。次男は足腰の弱っている叔母さんを時々訪ねて、家の掃除や
補修、買い物をしているが、奥さんが病弱で介護しなければならないの
で、結局、叔母さんは歩くのもやっとという不自由な体で炊事洗濯ゴミ出
しをしているという。
戦争に負け、家制度を破壊された結果がこの有様である。こんな老後なら
結婚も出産も育児もしなくなる。日本民族はやがて絶滅危惧種になりそう
だが、災い転じて福となす、日本人は目覚めていくと信じたい。
子供を産み育てる、これは天による初期設定で、人も動物も同じだ。雀を
5年間観察しているが、子供が自立できるまでに育つと、親鳥は使命を終
えて墓場、多分、多摩丘陵の森の中に消えて行く。動物は皆そうだろう。
子供の頃「神聖な象の墓場」とかいう絵本を読んだが「静かに去る」とい
う感じ。
人間は幸か不幸か、子供が大人になっても年金生活の隠居とか老人として
長生きする。定年退職は戦前は50歳だったが、55歳、60歳、今は65歳で、
看護婦のカミサンは70歳になる今秋にリタイアするという。「呆けるから
週に1日、2日とかでも続けたら」と提案したが、「十分やったし、薬を間
違えたりとかのミスが怖いから」と言う。天命を果たした、後は余生、と
いうことだ。「ご苦労さまでした」とパーティを開こう。
長生きはそれ自体は意味がない。パワーが残っているなら、いわゆる「第
2の人生」に何を成すかが大事ではないか。そう言えば産経2022/6/7「朝
晴れエッセー 99歳の現役職人」にはびっくりした。
<わが工場には99歳の現役職人がいる。わが社は昭和14年からヤスリを作
り続けている小さな町工場だ。彼女はこの工場でヤスリの目を刻む目立て
職人を60年続けてきた。小学生のときは健康優良児だったと聞く。ドッジ
ボールの代表選手として隣町の小学校まで歩いて試合に行ったスポーツ
ウーマンで、生来丈夫な体の持ち主だ。
性格は真面目で負けず嫌い。昔、他の職人が今日は500本、目立てをした
と聞けば、翌朝が来るのももどかしく、誰よりも早く出勤して600本仕上
げてみせたと誇らしげに話してくれた。90歳のときには新商品の開発にも
携わった。評判となりローカルテレビで紹介された。翌日は会社の電話が
鳴りやまず一躍時の人となった・・・
そんな彼女の口からとうとう「引退」の言葉が出たのは99歳の誕生日の前
だった。60年やり尽くして彼女が出した決断であったから慰留はしなかっ
た。代わりに新人が技術を覚えるまで週1日でいいから指導に来てほしい
と提案したところ「私はそんな中途半端な仕事、嫌いです。最後の日まで
今まで通り毎日来ます」。大正生まれの、ちょっと頑固だけれど筋金入り
の職人魂、あっぱれとしか言いようがない>
人間はこうありたいが、なかなかできるものではない。「奇跡の人」は無
理としても最後まで中露北などアカの絶滅を「天命」として努めたいもの
だ。世界の動きを知り、咀嚼し、的確に勝つための方策を練る、これは生
き甲斐でもあり、毎日の勉強は欠かせない。まあ、勝手な思い込みかも知
れないが、古人曰く「嫌な予感はよく当たる」。油断大敵だ。
情報収集のため海外メディアでは英国「BBC」を以前からチェックしてい
たが、プーチン・ロシアのウクライナ侵略以降、Web版「ニューズウィー
ク日本版」(NW、米)もチェックするようになった。それまでNWはリベラ
ル≒アカモドキ臭くて好きになれなかったが、戦争になると米国人は俄
然、戦意高揚するのだろう、小生好みの記事が増えてきた。NWについてほ
とんど知らなかったので、同社サイトの自己紹介を覗いてみると――
<国際ニュース週刊誌『Newsweek』は1933年に米国で創刊。日本版は1986
年に創刊されて以来、世界のニュースを独自の切り口で伝えることで、良
質な情報と洞察力ある視点とを提供するメディアとして一目置かれてきま
した。
近年は日本版オリジナルの記事を大幅に増やし、本国版以上に国際色あ
ふ れる誌面に。また、中国や韓国などのアジア情勢の分析の深さや鋭さ
は、 第一線で活躍するビジネスパーソンや論壇、政府関係者など政財界
の要人 から高く評価されています。
国内外のメディアが伝える「日本」とは一線を画す独自の視点、そして日
本と世界の関係を冷静に見つめる報道姿勢もまた、論壇などで信頼を得て
います。テレビや新聞、ネットでは得られない深い追求、多角的な視点。
それが、ニューズウィーク日本版のバリューです。発行:株式会社CCCメ
ディアハウス>
メディアハウス?・・・小生が編プロ(編集プロダクション)「メイル
ボックス」を起業した1984年頃、日本一の編プロと言われていたのが確か
「メディアハウス」だったが、今はCCC=カルチュア・コンビニエンス・ク
ラブの傘下に入ったのだろう。CCCはレンタル事業の「TSUTAYA」、書店の
「蔦屋書店」で知られているそうで、「ライフスタイルに革命を起こすよ
うな仕組み、カルチュアを創り、編集し、提案する」のが理念だという。
小生は起業の際に「理念」を掲げなかった。カッコイイ理念を掲げたとこ
ろで3年後に生き残っているのは3割しかないし、理念で仕事が来るはずも
ない。良い仕事をしていれば自ずと仕事は来ると思っていたが、確かにそ
うなった。ところが入金されるのは納品してから2〜3か月後、手形払いだ
と5か月後で、起業から半年間は金欠病できつかった。知らぬが仏で、ど
うにか耐えたが、知っていたら起業しなかったかもしれない。結婚、主
産、育児もそうか?
「知らぬが仏」・・・知らないから人間は突き進む、進めば明るい明日が
あると信じている、大方は努力すればそれなりに報われるが、残念ながら
地獄への道だったということも・・・うーん、考えてみればそれは珍しく
ないパターンかもしれない。
登山家の野口健氏が「引き返す勇気」、つまり、運を天に任せるのではな
く、状況をしっかり見て、リスクが高い時は「下山を選ぶ勇気」が必要だ
と説いている。山岳登山の場合は失敗はイコール「死」が多く、再チャレ
ンジはできない。痛恨のミスになりやすい。
狡猾なはずの独裁者プーチンが戦略、戦術を誤ってウクライナ侵略を始め
てしまった。側近の中には「今はまずい」という異論もあったが、聞く耳
持たずどころか「臆病者め!」と罵倒し、その場面をニュースで流し、
「力強く頼もしいプーチン大統領」をアピールして見せた。
こうなると最早「引き返す勇気」の出番はないし、それなりの「戦果」を
得られなければ停戦も休戦もできなくなった。引くに引けずの八方ふさが
り、泥沼にはまったような・・・マスコミが「長期戦になる」と言うのは
そういうことだろう。
「ニューズウィーク日本版」2022/6/4、ウィリアム・アーキン(ジャーナ
リスト、元陸軍情報分析官)氏の「プーチンは4月に進行がん治療、3月に
暗殺未遂 米機密情報のリーク内容」から。
<プーチンは病んでいるようだ──そんな最新の分析結果が5月末に情報機
関から上がってきて、バイデン米大統領とその政権内部では、ロシア大統
領の健康状態が大いに話題になっているらしい。
もちろん機密扱いの情報だが、プーチンは既に進行癌で、4月に治療を受
け、どうにか持ち直したようだという。米情報機関の幹部3人が本誌だけ
に明らかにした。去る3月にプーチン暗殺の試みがあったことも、この報
告で確認されたという。
本誌への情報源は、国家情報長官室(ODNI)と国防総省情報局(DIA)の
幹部、そして空軍の元幹部。いずれも匿名を条件に、本誌の取材に応え
た。3人とも、プーチンが権力への妄執を強め、ウクライナ戦争の先行き
が読みにくくなったことを懸念しつつも、ロシアが核兵器の使用に踏み切
るリスクは減ったとみている。
「プーチンの支配力は強いが、もはや絶対的ではない。プーチンが実権を
握って以来、これほど主導権争いが激しくなったことはない。みんな、終
わりが近いと感じている」と情報源の1人は述べた。
ただし3人とも、今はプーチンがほとんど姿を見せないため、彼の立場や
健康状態を正確に把握するのは難しいと指摘した。「氷山があるのは確か
だが、あいにく霧に包まれている」と、ODNIの幹部は電子メールで伝えて
きた。
プーチンが他国の誰かと接触すれば、それが「ベストな情報源の1つ」に
なるが、「ウクライナ戦争のせいで、そういう機会がほとんど干上がって
しまった」と言ったのはDIAの幹部。対面でしか得られない貴重な情報
が、現状では不足していると指摘した。
そもそも「こちらの願望に基づく臆測は危ない」と言ったのは空軍の元幹
部だ。「ウサマ・ビンラディンやサダム・フセインのときも、私たちは恣
意的な臆測で痛い目に遭った。その教訓を果たして私たちが学んだかどうか」
【マッチョな男が今では】上半身裸で馬に乗ったりして、プーチンは男ら
しさを誇示してきた。それはロシア政府が綿密に作り上げたペルソナ(人
格)であり、西側の大統領とは違うぞというメッセージを世界にばらまく
のに役立った。しかし、今はどうだ。外国の首脳と会ったときの、あの異
様に長いテーブルは何だったのか。どう見てもウイルス感染と身体的接触
への異様な恐怖心の反映ではないか。
ウクライナ侵攻に先立つ2月7日、フランスのマクロン大統領と会談したと
きも、この長テーブルが使われた。その様子から、諜報のプロはプーチン
の衰えを読み取った。「握手もしない。抱擁も交わさない。なぜだ、と私
たちは思った」。ODNIの幹部はそう言う。
そして4月21日、プーチンは国防相のセルゲイ・ショイグと会ったが、こ
のときのテーブルは狭かった。外国メディアは、長らく表舞台から遠ざ
かっていたショイグに注目したが、実はプーチンも4月にはほとんど姿を
見せていなかった。この日のプーチンは体調が悪そうでだらしなく足を投
げ出し右手でテーブルの端をしっかりつかんでいた。
プーチンはパーキンソン病か、という説が流れた。いや、あれはKGB(旧
ソ連の諜報機関)時代の訓練で染み付いた姿勢だとする見方もあった。妙
にしっかりした姿勢や歩き方、そして右腕の位置は、上着の内側に隠した
銃をいつでも取り出せるようにするためのものだと。
アメリカの情報機関はこの映像を精査した。遠隔診断のプロも、精神医学
の専門家も加わった。そして大統領府に上がってきた結論は、どうやら
プーチンは深刻な病気で、おそらく死にかけているというものだった。
プーチンはずっと、巧みにマッチョな自分を装ってきた。しかし実は、新
型コロナウイルスの感染予防を口実に長期にわたって姿を見せなかった間
に、深刻な病が進行していたことが疑われるのだ。
次にプーチンが姿を現したのは5月9日の「戦勝記念日」。顔はむくみ、前
かがみに座っていた。プーチンの健康状態とウクライナでの戦況は同時進
行で悪化していた。米情報機関は、プーチンの健康状態が従来の推測より
も深刻であり、ロシアという国も同じくらい疲弊していると判断した。
その3日後、ウクライナの情報機関を率いるキーロ・ブダノフ少将がイギ
リスのテレビで、プーチンは「心理的にも肉体的にも非常に悪い状態で、
病状は重い」と述べ、政権内にはプーチンを引きずり降ろす計画もあると
語った。
「プーチンは病気か? もちろんだ」とも元空軍幹部は言った。「しか
し、だからと言って早まった行動を起こしてはいけない。プーチン後の権
力の空白は、この世界にとって非常に危険だ」
【病状の深刻度を覆す新たな報告】そして5月末、バイデン大統領の下に
情報機関からの最新の報告が届いた。その内容は、プーチンの病状は深刻
だとする2週間前の報告を覆すものだった。実際、5月25日にはプーチンが
モスクワの軍病院を視察する映像が流れた。翌26日にはイタリアのドラギ
首相と電話会談し、国内の実業界の会議にもビデオで姿を見せた。
30日にはトルコのエルドアン大統領と電話で会談し、ウクライナのゼレン
スキー大統領と対面で協議する可能性にも言及した。つまり当座の健康
には自信ありということだ
ロシアの外相ラブロフも、5月末にフランスのテレビでプーチンの重病説
を一蹴した。最近の精力的な活動を引き合いに出し、「分別のある人な
ら、彼に何らかの病気の兆候を見いだすことは不可能だろう」と述べた。
だがDIAの幹部に言わせると、「何も問題はないというラブロフの主張は
客観的な診断ではなく、単にプーチンへの忠誠を誓う発言にすぎない」。
ならば今も、プーチンは肉体的にも政治的にも難しい状態にあるのだろうか。
プーチンはクレムリン内部の政敵を排除し、自分の配下にある情報機関さ
え信用していないのか。彼は本当に死にかけているのか。そうだとして、
プーチン後には何が起き、誰が台頭するのか。バイデン政権は、表向きは
プーチン重病説を「単なる噂」と一蹴しつつ、実際にはこれらの問題を精
査している。
「仮に、その情報は信頼できると判断したとしても彼の賞味期限がいつ切
れるかは分からない」と、ODNI幹部は言う。「プーチンなきロシアに(早
まって)支持のサインを送るわけにもいかない」
【口を滑らせたバイデン】ちなみにバイデン大統領とオースティン国防長
官は口を滑らせ、ロシアつぶしの意図をほのめかしてしまったが、2人と
もその後に慌てて撤回している。「プーチンが元気だろうと病気だろう
と、失脚しようとしまいと、ロシアが核武装している事実に変わりはな
い。こちらがロシアをつぶす気でいるなどと、向こうに思わせるような挑
発はしないこと。戦略的安定の維持にはそれが不可欠だ」とこのODNI幹部
は付け加えた。
DIAの幹部も、プーチンが病気で死にかけているとすれば、それは「世界
にとって好ましい」ことだと言いつつ、「ロシアの未来やウクライナ戦争
の終結につながるだけでなく、あの狂人が核兵器に手を出す脅威が減るか
らだ」と説明した。「弱くなったプーチン、つまり盛りを過ぎて下り坂の
指導者は、自分の補佐官や部下を思いどおりに動かせない。例えば、核兵
器の使用を命じた場合とかに」
確かに、全盛期のプーチンなら閣僚や軍部の反対を押し切って思いどおり
の決断を下せただろう。しかし傷ついたプーチンは「もはや組織を完全に
牛耳ってはいない」ようだから、そう好きなようにはできないという。
「プーチンが病気なのは間違いない・・・が、死期が近いかどうかは臆測
の域を出ない」。このDIA幹部はそうも言った。「まだ確証はない。こち
らの希望的観測を追認するような情報ばかり信じて、自分の疑問に自分で
答えを出すのは禁物だ。今もプーチンは危険な男であり、もしも彼が死ね
ば混乱は必至だ。私たちはそこにフォーカスしている。君も、備えは怠る
な」>(以上)
独裁者はナンバー2を育てない。いつの日か自分を駆逐する敵になるかも
知れないからだ。家康の後継者はすべて徳川家の血筋である。男系男子の
子孫を大量に生み育てるのが大事だから、11代将軍家斉は「種まく人」、
正室、側室、“お手付”合わせて40人以上の畑にタネを蒔き、53人(男子26
人、女子27人)の子を成した。当時は子どもの死亡率が高かったこともあ
るが、それでも無事に成年になったのは28人だという。
プーチンは表向きはロシア正教会の信者であり一夫一婦が原則だから、あ
ちこちにタネを蒔くわけにはいかないし、世襲制もない。自分が死ぬまで
独裁を続けなければ後任から何をされるか分かったものではない。
日々、病気は進行するし、カリスマ性は低下するし、求心力は衰えていく
し、貯め込んだユーロとドルは封印されているし、国際社会から孤立を深
めていくし、短期決戦のはずだったウクライナ戦線は泥沼化しつつあ
る・・・上記のODNIの幹部は「かつては無敵に見えた男が、今は未来、と
りわけ自分の未来と格闘しているようだ」と評したという。
小生ならこの重圧には耐えきれず、「裸にて 生まれてきたに 何不足」、
病気を理由にさっさと引退するが・・・歴史に名君として名を刻みたい妄
執の人、プーチンはそれができない。ロシア人がプーチンに引導を渡す勇
気がなければ、ロシアが三流国に堕ちることは間違いない。ロシアは岐路
にある。
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自衛隊に「共食い」させるな
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【阿比留瑠比の極言御免】
政府は7日に閣議決定した予算編成の土台ともなる経済財政運営の指
針「骨太の方針」で、防衛力を5年以内に抜本的に強化すると目標年限を
明記した。同時に、北大西洋条約機構(NATO)が対国内総生産
(GDP)比で2%以上の防衛予算を目標としていることも本文に書き込
んだ。
この方針について、「軍事国家そのものだ」(共産党の小池晃書記局長、
東京新聞のインタビュー)と批判する向きもあるが、的外れもいいところ
である。単に今までの防衛予算が非合理的なまでに低く抑えられてきただ
けだろう。
[中身が空の戦闘機]
5月26日の衆院予算委員会では、小野寺五典元防衛相が中身がすかすか
の骨組みとなった航空自衛隊のF2戦闘機の写真を示し、自衛隊の窮状を
訴えていた。
「何でこんな姿をしているのか。部品どり、隊員は共食いと言ってい
る。部品が足りないから、1つの戦闘機を犠牲にして部品を取り出し、他
の戦闘機につけて飛ばす。また部品が壊れたら、犠牲の戦闘機をもう1機
増やし、他につける」
「新しい装備を買うために、部品や整備する予算にしわ寄せがいく。防
衛予算が(長年横ばいで)減らないからいいじゃない。自衛隊に国を守れ
というなら、それにふさわしい防衛費を持たせたい」
共食いに関しては、1日発売の月刊『正論』7月号で、岡部俊哉・元陸
上幕僚長もこう実情を明かす。
「部隊では『共食い』」をやっている。動かなくなった装備品から部品
を外して、動くものを作っていく」
村川豊・元海上幕僚長もこんな事例を語っている。
「海賊対処行動のような実任務につく護衛艦の艦橋の窓ガラスが取り付
けられるが、任務を終えて帰国すると外して次に行く艦艇に取り付けられる」
以前から指摘されてきたこととはいえ、お寒い現状である。本来、少々
防衛費を増額した程度で解消できる問題ではないだろう。
[弾薬「もって数日」も]
ロシアによるウクライナ侵略以前は、こうした自衛隊の厳しい運用状況
に多くの国民の目は向かなかったかもしれないが、現在では違うはずであ
る。そして深刻なのは、共食いや使い回しだけではない。
安倍晋三元首相は5月20日のインターネット番組「言論テレビ」で、そ
もそも弾薬備蓄が不十分だと言及した。
「機関銃の弾からミサイル防衛の(イージス艦搭載型迎撃ミサイルの)
『SM3』に至るまで十分とはいえない。継戦能力がない」
例えば南西諸島における自衛隊の継戦能力は「もって数日間」だとされ
る。日本は島国であるため、ウクライナに比べ他所からの補給も難しい。
ジャーナリストの西村幸祐氏の新著『九条という病 憲法改正のみが日
本を救う』によると、西村氏が取材した陸上自衛隊の小隊長は「弾がなく
なった」悪夢でうなされると告白したのだという。
防衛予算の増額に対しては、自民党内からも「自衛隊は必要最小限度で
なければならない」とか「金額目標を掲げるのはおかしい」などの奇妙な
意見が出るが、実際には必要最小限度の武器弾薬も足りないのが実情である。
予算が足りないというのなら、いわゆる「防衛国債」を発行すればいい無
利子でも買いたい国民はたくさんいよう。
自衛隊に対し、不自由しないだけの装備・弾薬も与えず、憲法に存在を
明記することもせずに、いざとなったら戦えというのは、あまりにも筋が
通らない。
(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
mobilkubota@po.mcci.or.jp;
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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プーチン絶体絶命
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内田誠
紛争さなかに飛び込んできたロシア関連の衝撃ニュース
時として目を背けたくなるような映像とともに、刻一刻と伝えられるウ
クライナ紛争の戦況。そんな中、今後の展開を大きく変えうるニュースが
世界を駆け巡りました。今回その出来事を取り上げているのは、ジャーナ
リストの内田誠さん。内田さんは自身メルマガ『uttiiジャーナル』で、
ロシア国債がデフォルト認定されたという衝撃的な事実を紹介するととも
に、それが意味することを解説した上で、この先ロシアを襲うと思われ
る、彼らにとって好ましからざる未来を予測しています。
大変な勢いで変化しているウクライナの状況:「デモくらジオ」(6月3
日)から
雷どころではなく、ウクライナの状況が大変な勢いで変化をしているよう
ですね。今日あたりから少し伝えられ方が変わってきているように思うの
ですが、きょうの午前中くらいまで伝えられていたことは何だったかとい
うと、ほとんど、東部、ウクライナ東部の激戦地の様子で、特にロシア軍
が激しい攻勢に出ていて、ウクライナ軍はかなり追い詰められている状
況。で、どうもお互いの精鋭がぶつかっているようでして、ウクライナ軍
はうまく撤退しないと部隊が壊滅させられてしまうという、大変厳しい状
況に立ち至っているという報道でした。
これは、キーウ方面の、首都を陥れることに失敗したロシア軍が再編成を
して、東部2州の掌握を目指してフル稼働してきている状況なわけです
ね。当然ですけど、そこにはウクライナ軍のかなり鞏固(きょうこ)な陣
地が築かれていて、そう簡単に落ちるわけはないという状況だったのです
が、ロシア軍はなんとしても落とさなければいけないということだったの
でしょう、相当ヤバい兵器を使っていますね。核は使っていないですけれ
ど、おそらくこの件に関心のある方はテレビなどでも繰り返し報道されて
いましたので、ちょっと遠目のドローンから撮った映像で、5、6発の爆弾
が衝撃波を放ちながら爆発している様子、ご覧になったのではないかと思
います。
ちょっと前に、レバノンのベイルートで、硝酸系の薬品か何かが大量に積
まれているところが一気に爆発したときの…そのおかげでレバノンは今大
変なことになっているわけですが…映像をご記憶かと思うのですが、衝撃
波が出ますよね。ぶわーっと、空気が歪むというか。その状況を見て、こ
れは普通の爆弾ではないと。どーんと音がして火が出る、煙がもわもわっ
と上がるというふうな爆弾ではなくて、もっと激しい爆発。おそらく気化
爆弾という奴だと思うんですね。これ。
いわゆる核保有国からすると、なんとか使える核を作れないか、小さな
核、限定的な核、戦術核、そういうものの開発を進める方法と同時に、核
ではないけれども、さながら核兵器のような大きな効果を生む巨大な爆
弾。こういう方向の開発もあるわけですね。
で、これ、何度か申し上げたことかもしれませんが、湾岸戦争で、イラク
のフセイン大統領が「この戦争はすべての戦争の母である」と。つまりこ
こからアラブ対西側世界の激しい戦いが始まるのだという予告のようなこ
と、そういう発言をした。それをからかうように(アメリカが)「すべて
の戦争の母」ではなくて、「すべての爆弾の母」と名付けた兵器があった
んですね。当時は使われることはありませんでした。馬鹿でかい爆弾で、
これが1発爆発すると、半径500メートルくらいの範囲内で、いや、もっと
1キロくらいじゃないかと思いますが、非常に広い範囲で酸欠が起きて、
中にいる生きとし生けるものが命を奪われるというような大変な爆弾な訳
ですね。後に、アフガニスタンで米軍が何度か使ったようです。地下壕を
掘って迷路のようになったタリバンの陣地を攻撃するのに使ったようです
が、その効果がどうだったかという話はとんと聞かないので分かりません
が、今回、それに近いものをロシアが使ったのではないかと思います。そ
れが大変な衝撃波を生じていく。これで陣地を守っているウクライナ兵を
殺害するということが目的だったのではないか。
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豪の大型訪問団がインドネシアへ
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)6月7日(火曜日)
通巻第7360号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜豪の大型
訪問団がインドネシアへ「中国の脅威」が共通認識アルバニージー新政
権、11月のAPECバリ島を重視
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アルバジーニー新首相以下、外相、財務、国防など主要閣僚にインドネ
シア財界を代表する経営者等からなる大型のインドネシア訪問団が6月6
日、首都のジャカルタへ到着した。
アルバニージー首相はすぐさまジョコ・ウィドド大統領と会見し、中国
の脅威(とくに直近おきた豪偵察機RAAPへの中国戦闘機の妨害行
為)、貿易ならびに留学生のヴィザ条件緩和などに関して、「現在20万人
もいる豪へのインドネシア留学生へのヴィザ条件緩和」は喫緊の問題だと
した。
また豪勢府はインドネシアへ4・7億ドルの援助を表明した。アルバジー
ニー首相とウィドド大統領はインドネシア製の自転車で大統領官邸の周囲
をまわる等のパフォーマンスを見せ、両国の親密度をアピールした。
豪とインドネシアは「隣国」である。ジャカルタから豪北部ダーウィン
まで2000キロ、シドニーへ5493キロ、歴代豪政権のアボット、ターンブ
ル、モリソンは新政権発足後、すぐにジャカルタ訪問が定石となっている。
豪が国際政治において「大国」のイメージがあるが、実態は逆で、人口
比で豪の2600万人にたいしてインドネシアは2億7000万人。GDP比較は
豪1・4兆ドルに対してインドネシアは1・1兆ドルと見劣りがするものの
面積は豪が日本の20倍、インドネシアは五倍。兵力は豪6万、インドネシ
ア40万である。
秘めた狙いは何かと言えばAPECが11月にバリ島で開催され、プー
チンが出席を表明、またゼレンスキー大統領も出席の意向を示しているこ
とだ。
モリソン前政権はプーチン出席に反対を表明していたが、アルバジー
ニーは「何事も話し合いからが第一歩」と反対をしていない。またゼレン
スキーはオンラインによるオブザーバー参加というスタイルになりそうだ。
豪訪問団は、ジャカルタの予定をすませるとスラワジ島のマカッサルへ
足を伸ばす。マカッサルは戦前、日本人が1万人以上住んでいた原油、ガ
スの戦略拠点で、現在、日本は領事館を置いているが、町は華僑が集中す
る商業区がある。
マカッサル重視の豪訪問団に注目があつまる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『借
金の罠』の最悪例がスリランカ
ラジャパクサ一族への反感、ゴダバヤ大統領はどうする?
******************************
ゴダバヤ、マヒンダ、バジル三兄弟と一族が政権を独占し、腐敗した利
権争奪が中国のBRIプロジェクトだった。ハンバントタ港は、中国の軍
港に化けた。スリランカは負債返済が出来ず五月にとうとうデフォルトと
なった。
食料不足、燃料切れ、停電の頻発。。。。日本は緊急援助に踏み切り、
医療、食料などの無償援助が300万ドル。インドは食料を緊急に輸送し
た。スリランカは人口2200万人、面積は北海道の80%程度で、国民の七割
が仏教信者のため、日本の仏教界との交流は深い。
借金の罠にはまって、中国から借りた金は返せない。
ちなみに中国の条件は金利3・3%、18年。日本はちなみに金利0・7%で34
年の返済期間を設けている。
暴動が連続し、まずバジル財務相が辞任、ついでマヒンダ首相が辞任に
追い込まれ、ベテラン政治家のウィクラマシンハと交代した。
国民は政権にまだ居座るゴダバヤ大統領の辞任をもとめて連日連夜、抗
議デモを開催している。
「こまったときに日本は助けてくれた。中国は借金のカタに港を取り上げ
た」。
中国は南アジアのドバイ、国際金融センターにしようとスリランカに持ち
かけ、コロンボ沖合を埋め立てた人工島が完成した。ビルはまだ一件も建
設されていない。
この島は、そのまま廃置されるだろう
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★読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声★
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(読者の声1)貴誌が予想した通りの展開です。マスクはツィッター買収
取りやめに動き出しています。下記は時事通信配信の記事です。
(引用開始)「米ツイッター買収をめぐり、偽アカウントや個人情報を
盗み取るスパム(迷惑)アカウントに関する必要な情報をツイッターが提
供しなければ、買収破棄もあり得るとの考えを表明した。同社宛ての書簡
で明らかにした。書簡は、マスク氏が求めている情報が得られていないと
して「ツイッターが買収契約の義務順守を明らかに拒否している」と批
判。「(マスク氏には)買収契約を破棄する全ての権利がある」と強調し
た』(引用とめ)(DD生、岐阜)
(宮崎正弘のコメント)アナウンス効果だけでも、ツィッターが極左とい
う実態がわかって、これから流れが変わると思います。
(読者の声2)自動車のエンジン対EV論争、なにか意味があるのだろうか。
100年前に馬車が自動車に変わったのは革命的だったがエンジン対電気
モーターの違いなどPCやスマホのOSの違い程度でしかない。そもそも火力
発電の電気を使っているEVなどCO2の発生源を路上から発電所に移しただ
けでなんの意味もない。ネットワーク化やソフトウェアによるアップデー
トなどパソコン関連機器を使っていれば日常のことで自動車もやっと追い
ついてきたかという程度。
テスラについていえば国策なのだろうが、レベル2程度の自動運転技術
を誇大広告し、ドライバーはソフトウェアのベータ版のテスターである。
こういった点では中国が圧倒的に有利で、いずれ中国企業が自動運転技術
のトップになるのかもしれない。
事故死しても使い方が悪かったで済んでしまうアメリカや中国、数々の
日本企業叩きを思えばアメリカのジャイアニズムには勝てないのだろう。
だがEVに必須のバッテリー生産技術は日本や韓国・中国が抑えている。
TOYOTAのトヨタイムズにこんな記事があった。
【エンジンで脱炭素!?EVだけじゃないもう一つの選択肢】
https://toyotatimes.jp/report/hpe_challenge_2022/005.html
この記事ではエンジン車の脱炭素にはいろんな道筋があり、バイオエタ
ノールなどの合成燃料を取り上げている。2017年のIEA(国際エネルギー機
関)の見通しとして電気自動車(バッテリーEV)と燃料電池車をゼロ・エ
ミッション車(ZEV)としているが、その割合は2030年で9%、2040年でも
16%である。
パソコンが生まれて40年以上、IBMのPCからDOSが生まれアップルとの2
大勢力となった。DOSはマイクロソフトのWindowsとなりアップルの i-OS
のシェアは15%程度。PCの絶対強者だったマイクロソフトも携帯端末では
まったく振るわずスマホOSではグーグル対アップルが8:2とも7:3ともいわ
れる。先進国ではアップルが強いから電気自動車でも同じような構図にな
るのかもしれない。
IEAによるゼロ・エミッション車比率の2040年予測がちょうどパソコン
のアップルのシェアと同じ。EVのシェアなどいくら頑張ってもそんなもの
だろう。現行プリウスのバッテリー重量は約40kgだが燃費はどんなに下手
に運転してもリッター20km、少し講習をすれば30kmはあたりまえ。プリウ
スの10倍も重いバッテリーを積んだEVなど資源のムダ使いかもしれない。
(PB生、千葉)
(読者の声3)貴誌前々号(桑港老亀)氏による嘆願書の件。小生、米国
シアトルの領事館には偶に行きましたが、「。。。使館に用事で訪ねる
と、、、外務省の事務官が、日本を喰い詰めて来た百姓どもめと言う態
度」は、現在も改まっておらず、商社の社員などはお客様として扱うが、
移民、留学生などには、あたかも武士が百姓に対する態度であからさまに
言葉遣いも違う。友人などからも同様な評価を側聞した。 官尊民卑の伝
統文化。
領事は高台の高級住宅街の広大な官邸に住み、住み込みの料理人、運転
手、使用人などを抱え、少なくとも資産100億円ほど無ければ維持できな
い程の優雅な生活をし、2−3年で何処かへ消えて、また新人が移ってくる。
いわば長期の外地別荘生活の様だが、心は常に東京の本家に向いているの
だろう。支那やロシアの大使館、領事館は諜報機関として活躍している
が、そんな様子は見えないどころか外務省は日本国益よりも相手国・お得
意様の代弁者、擁護者として機能しているように見える。
敵は時々、どうでもいい「貴重な機密情報」を餌として与えると、これ
を本部に努力の「成果」として報告する。そんな「餌付け」によって飼い
慣らされ、関係を維持し、とても敵に不都合な事実、秘密など、仮に得ら
れても報告しない。もちろん、金や女などが絡む。特に永遠に出世の可能
性の無い者は妬み、嫉み、復讐心から敵に与する。
(桑港老亀)氏による嘆願書には、果たしてどんな反応があったのだろ
うか。書面で返答すれば記録になり、誰かの汚点、責任問題になる。故に
何もしない、無視するのが役人の正しい対応。
(在米のKM生)