1936年、二・二六事件発生。陸軍将校たちが政治・経済の改革を叫んで政府転覆を狙った事件。これにより戒厳令が敷かれた後、同年3月19日付けで治安維持を目的とする内務省警保局通牒が発せられた。
「集会及多種運動の取締方に関する件」(「多衆運動ハ従来慣行ニ依リ許容サレツツアルモノト雖(イエド)モ右期間中ハ凡テ之ヲ禁止スルコト、従テ愛国労働祭又ハメーデー等の計画アル向ニ対シテハ予メ之ヲ中止スル様諭旨スルコト」)が発せられたのである。
3月24日に予定されていたメーデーが開催禁止された。体制は共産中国でも明らかなように大衆が纏まって動く事を嫌う。しかしこれに反対する無産政党や日本労働組合全国評議会(全評)の組合らは3月26日にメーデー禁止措置反対行動を起こし、内務省や警視庁へ抗議。
4月27日に全評の山花秀雄が組合幹部個人の名義でメーデー実施を指令し、当日は小規模ながらも全国で様々な形の集会やデモが開催された。
指令を発した山花はメーデー終了まで愛宕署に検束拘置された。この年から1945年まで日支事変激化などの理由で開催されることはなかった。
私は全くの子供だったし、当時は新聞が読めない。ラジオもテレビもない時代だったから、こうして改めて勉強するまではメーデーの歴史など知る由もなかった。
大東亜戦争敗戦翌年の1946年、「働けるだけ喰わせろ」をスローガンに掲げ、11年ぶりのメーデーが通算で17回大会として盛大に開かれた(別名「食糧メーデー」または「飯米獲得人民大会」)。小学校5年生。草深い秋田では何も知らなかった。
1951年の第22回大会では、サンフランシスコ講和条約締結を控えて反対運動の盛り上がりを恐れた政府とGHQは中央メーデーの皇居前広場の使用を禁止したため、総評は中央メーデーを中止し、一方で統一メーデー促進会が「全面講和をかちとれ」「再軍備に反対せよ」のスローガンを掲げて芝公園で実質的な中央メーデーを開催し、戦後初の分散メーデーとなった。
日本の主権回復後に行われた1952年の第23回大会では、サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約への抗議も主張に含まれた。その際に皇居前広場へ向かおうとしたデモ隊の一部が警官隊と衝突した(血のメーデー事件)。
米軍政下で琉球政府時代の沖縄でもメーデーは開催されていた。1951年に恩納村万座毛に300人が集まったのが沖縄で初のメーデーであった。
1952年には「即時本土復帰」「サンフランシスコ講和条約第3条撤廃」などを掲げた本格的なメーデーとなり、これをもって第1回沖縄メーデーという。昭和27年、高校生だった。
1954年の場合、労働運動から反米運動への展開を恐れた米民政府はカール・マルクスの実際の誕生日は5月5日であるにもかかわらず、「5月1日はマルクスの誕生日であるため、非共産主義者はメーデーに参加しない
ように」という声明を出し、開催阻止に向けて圧力をかけた。
東京で大学生だったが労組や社会党が大嫌いだったから近付かなかった。1度も参加しないまま、無縁になった。
高度成長期には総評、同盟などの共催で統一メーデーが続けられ、1984年の第54回大会では特別決議としてメーデーの祝日化要求が採択された。
「時短(労働時間短縮)元年」と位置づけられた1985年の55回大会ではサブスローガンで「週40時間制」、前年の祝日化要求決議を引き継ぐ「太陽と緑の週」の法制化など、労働時間短縮(時短)の実現が掲げら
れた。
新たに「スポーツ祭典」が併催されて「お祭りメーデー」と呼ばれる家族ぐるみの行事に発展したが、他方で労働運動としての意義の喪失に繋がると社会党や共産党、日本高等学校教職員組合(日高教)などいくつかの労組から反対や再検討を求める批判がなされた。
その後、労働組合の全国中央組織の再編による組織対立の激化で、1989年以降は統一メーデーの開催ができなくなり、連合と非連合系の全労連や全労協による分裂開催となった。
また、前後がゴールデンウィークで長期休暇を取る例が増え、労働組合活動が低調になってきて参加者数が減少したことを理由に、連合系メーデーは2001年以降4月29日や土曜日に行うようになった。
一方で全労連や全労協のメーデーは5月1日開催を続けており、その分裂と対立の構図は解消されていない。
2008年、連合は4月26日土曜日、東京の代々木公園で中央大会を開き、主催者発表で約4万5千7百人が参加した。「暫定税率の復活による増税反対」「後期高齢者医療制度廃止」などののぼりが立ち並んだ。
一方、平日の5月1日に同じ場所で開かれた全労連系中央大会は「貧困と戦争をなくせ!」を主テーマとし、主催者発表で約4万4千人が参加した。
連合と全労連のメーデーは、どちらも1920年からの通算回数をカウントしており、2009年で第80回目を迎えたとしている。
出典「ウィキペディア」2009・04・24
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