一連の地方におけるいわゆる官製談合事件は、摘発はあっても消滅策はありえないから、頼むから新聞の社説よ、論説よ、取り上げるなと祈っていたのに、産経新聞(2006/12/05 05:01)が「主張」(社説)で取り上げてしまった。
3年前のことだが、各社の姿勢は「綺麗ごと」である事、不変だから今でも似たような論説を読まされているはず。私は新聞そのものをなるべく読まないし、論説は特に読まない。
3年前のは、先ごろ判決の出た宮崎県知事(当時)による汚職に関するもの【主張】宮崎県知事辞職 不正の構造に決別はかれ と題した。
<官製談合による自治体トップの逮捕、辞職が相次いでいる。福島、和歌山県に続いて、宮崎県の安藤忠恕(ただひろ)知事が辞職した。まさに“談合列島”といえる異常事態を招いている>。
<それにしても、安藤知事の辞職表明は遅きに失した。先月29日に県ナンバー3の出納長が逮捕された時点で、県民の大半は安藤知事が「道義的責任」をとり、辞職するものと予想していたのではないか>。
ここまでは駆け出しの記者でも書ける「経過」。問題は結論である。
<福島、和歌山、宮崎県の官製談合事件の検察・警察当局による摘発で、地方自治体の談合体質が同じ土壌にあることが浮き彫りになった>。
地方自治体でなぜ首長を頂点とした汚職事件が起きるのか、談合体質が同じ土壌となっているのかの事実解明が記述されていない。
<知事と個人的に親しいフィクサーが県政に暗躍する。和歌山の場合は元ゴルフ場経営者であり、宮崎は元国会議員秘書だった。これらの人物は選挙の時に知事に業者を紹介、恩を売って、その見返りに公共工事の入札に業者を参加させるという仕組みのようだ>。
<このような談合構造は、他の自治体でも似たり寄ったりであろう。いまこそ、政官業が巧みに癒着した談合体質からの脱却を図る必要がある>。
そんなことは論説委員殿に指摘されなくても分っている。当事者の首長こそ談合体質から脱却したいのは山々だからだ。他に選挙資金を調達する方法があれば、絶対的なこの泥沼から這い上がりたいはずだ。だが方便がない。
無いからこうして捕縄につながる汚辱の危険を冒してまで調達したのだ
<知事は予算と人事権を握る絶大な権限を握っている。業者との関係には自らを厳しく律しなければならない>。
なにを目出度いことを言ってるのだ。自らを厳しく律してなおかつ選挙資金の入る方法があるというのなら教えて貰おうじゃないか。空虚な論は休みやすみにしたまえ。
<公共事業の入札には特定業者が入り込まないような透明性のあるシステム作りが求められる。全国の自治体の首長は、一連の事件を“対岸の火事”とせず、早急に入札制度を改善し、不正根絶に邁進(まいしん)してもらいたい>。(2006/12/05 05:01)
そんなことは簡単だ。しかし選挙資金はどうやって調達するかも教えてくれ。それが無いならこの「主張」は空理空論だ。読むんじゃなかった。
2006.12.05
(追記)安藤忠恕被告には2009年3月、懲役3年半の判決があった。
◆本稿掲載の全国誌・「頂門の一針」平成21年4月1日(水)1498号
<目次>
・社説は空しいから読まない:渡部亮次郎
・農業は国の基・豊かな国土を生む:加瀬英明
・「親北勢力」を見極めよう:花岡信昭
・IMFで中国が態度を豹変:宮崎正弘
・話 の 福 袋
・反 響
・身 辺 雑 記
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