頂門の一針 6289号
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2022(令和4年)年 10月14日(金)
世界最強国をあきらめないアメリカの業病:加瀬英明
自衛隊法改正が危機対応の前提だ:櫻井よしこ
日本をミサイルからどう守る?:高橋洋一
嘘つきは誰?高市早苗氏:きっこのメルマガ
住民投票の結果のロシア併合:宮崎正弘
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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世界最強国をあきらめないアメリカの業病
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加瀬英明
米国のバイデン政権が発足してから、11月で2年目の折り返し点を迎え
るが、米国が世界のナンバー・ワンの地位を失いつつあると取沙汰されて
いる。
私はそう思わない。20年、30年たっても、米国が世界のナンバー・ワン
であり続けよう。つねに世界の最強国でいたいのが、米国の業病である。
米国人であれば、誰もが1960年にニクソン副大統領と、ケネディ候補が
大統領選挙を戦った時のテレビ討論を見たことがある。これが最初のテレ
ビ討論となったが、ソ連がこの3年前に米国に先んじて人工衛星『スプー
トニク』を地球一周する軌道に乗せたために、米国民がソ連に追い越され
ると深い衝撃を受けた。
ケネディが「このままではソ連に追い抜かれる」と危機を煽り立てたの
に対して、ニクソンがソ連の経済や、技術力からいってありえないと理を
尽して反論したが敗れた
米国が衰退しつつあるという警告は、新しいものではない。米国民をそ
のつど奮起させてきた。米国民が常用している、精力増強剤のサプリのよ
うなものだ。
米国は1970年代に日本に追い越されるという恐怖心に駆られた。日本が
今日の中国のようなものだった。
日本が米国経済の誇りあるニューヨークのロックフェラー・センターを
買収するかたわら、エズラ・ボーゲル・ハーバード大学教授が『ジャパ
ン・アズ・ナンバー・ワン』という著書を発表して、ベスト・セラーに
なった。もっともボーゲル教授に気の毒なことにこの本が出版された直後
に、日本のバブル経済が破裂して、日本が萎(しぼ)んでしまった。日本国
民はこのころのことを忘れて健忘症を患っている。
1980年の大統領選挙で、レーガンが民主党のカーター大統領が弱腰外交
を行ったと攻撃して、「強いアメリカ」をつくり国防費を大幅に増額する
ことを訴えて勝った。米国は息を吹き返した。
これまで米国では衰退してゆくという閉塞的な気分から、自信を取り戻
すシーソーゲームを繰り返してきた。
オバマ大統領は2011年の年頭教書演説のなかで、「これはわれわれの世
代における”スプトニク(危機の)モーメント”だ」と訴えた。このままゆ
くと、中国に追い越されると、危機感を露わにした。
オバマ大統領のあとを継いだトランプ大統領のスローガンは、「アメリ
カ・ファースト」「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!」(米国を
再び偉大な国家としよう!)というものだ。泡沫候補でしかなかったの
に、このスローガンによって大統領候補の金的を射止めた。
米国民は“ナンバー・ワン”の地位を保つために、衰退論を好んでいる。
達磨人形のような起上り小法師(おきあがりこぼうし)だ。米国はベトナム
戦争や、アフガニスタン戦争の失敗によって鼻血をだして、一時、畏縮す
るが、傲慢無礼な態度を改めることがない。
なぜ、米国は“ナンバー・ワン”の力を失わないのか。米国は自由で、熾
烈な競争社会だ。地縁、人縁を捨てて集まった国だから、自分の力と金
(かね)の力しか頼るものが
ない。米国は活力が溢れているから混乱しているようにみえる。
いま、ウクライナ戦争という突発事によって“グローバリゼーションの
時代”が中断されているが、グローバリゼーションは世界の大きな流れ
だ。誰でも米国を訪れれば、肌で感じることができるが、米国はグローバ
リゼーションにもっとも適している。
ところが、米国衰退論は困ったことに、ソ連や、中国のような国を鼓舞す
る。ブレジネフ書記長はソ連圏が米国を凌駕しつつあると誇って、失敗し
た。中国のこの轍を踏むのではないか。
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自衛隊法改正が危機対応の前提だ
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櫻井よしこ
日本ルネッサンス 第1015回
ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を機に、台湾を巡る軍事情勢が大
きく変化した。中国軍機はほぼ連日、台湾海峡の中間線を越えて飛行し威
嚇を続ける。中国に近い台湾の離島、金門島と馬祖島には中国軍の無人機
(ドローン)が侵入を続ける。台湾側は遂に9月1日、中国の無人機を撃ち
落とした。台湾情勢は確実に緊張激化の方向に進んでいる。
また、ロシアが極東で行う4年に一度の軍事訓練、「ボストーク2022」で
は中露両軍が北海道沖の日本海で実射訓練をした。台湾有事のとき、ロシ
アは北方領土や北海道周辺で軍事行動を展開し、日本が南西諸島と台湾に
集中できないように、力を分散させる戦略が見てとれる。
危機が迫るいま、有事で押し潰されないように自衛力を強め、理に適った
軍事行動をとれるように自衛隊法の欠陥を正して部隊行動基準(ROE)
を定めることが急がれる。元空将の織田邦男氏が、空における軍事的緊張
の危険性について次のように警告した。
日本も中国もどの国の空軍も戦闘機にはミサイルを搭載し、機関砲を装備
して飛ぶ。フル装備の戦闘機同士がミサイルの射程圏内で遭遇する場合、
明確なルールに従って行動しなければ空中衝突やミサイル発射という重大
事に至りかねない。地上や海上とは異なり、戦闘機の動きは超高速で、危
機は瞬時に有事に発展する。あらゆる意味で一触即発の危機に満ちている
のが空だという。
にもかかわらず、日本には危機をエスカレートさせないための法的整備が
ない、つまりROEがないと、織田氏は憂える。
陸も海も同様の不備に直面している。法律の土台になっている憲法が、日
本国は軍事力(戦力)を持ってはならないと規定し、自衛隊を軍隊ではな
く警察権の範疇にいれていることが元凶である。憲法は、国民、国土、領
海、領空を守るにしても、力の行使は最小限にとどめ、最後の最後になっ
ても軍事的手段はとらないとする考え方で作られている。それゆえに有事
対応の法律が整備されていないのは当然であろう。
軍と警察の大きな違い
その結果、台湾・日本有事のとき、与那国、宮古、下地、石垣などの沖縄
の島々の住民避難は「武力攻撃事態」が認定されてからようやく指示が出
せる状況だ。それでは遅すぎて住民は命の危険に晒される。
なぜもっと早めに武力攻撃事態を宣言できないのかという疑問は当然だ。
元陸上幕僚長の岩田清文氏は、これを国レベルで考えると全く別の様相が
見えてくると語る。
「もし日本政府が沖縄・台湾を巡る情勢が武力攻撃事態に至ったと認定す
れば、中国はこれを敵対的宣言と受けとめ事態がエスカレートしかねませ
ん。その場合、中国在住の邦人10万人は人質にされ、日本企業の資産も凍
結されかねない。国民と企業を守るために武力攻撃事態の認定が出来ない
という矛盾に陥るのです」
ならば、宣戦布告ととられるような宣言を出さずとも、眼前の状況判断に
基づいて住民避難を指示できるようにするのが政治であり、通常の軍の法
体系であろう。しかし、日本国の法律はこのような臨機応変の判断を自衛
隊には許していない。
これは軍のおよそ全てを否定する憲法の精神から生まれた悪しき結果であ
る。前述のように反軍思想に貫かれている憲法で自衛隊は軍隊でなく警察
法の体系下に置かれている。軍と警察の大きな違いはネガティブ・リスト
とポジティブ・リストである。日本を除く国々では軍はネガティブ・リス
トに基づいて行動する。これはしてはならないことのリストだ。非戦闘員
を殺してはならない、学校や病院を攻撃してはならない、捕虜を虐待して
はならないなどがその典型例だ。軍隊はこのネガティブ・リストを守った
うえで、状況に応じて司令官の判断で最善の方法をとって使命を達成する。
一方、警察はポジティブ・リストにあたる警察官職務執行法によって、し
てよいことを法律として明記している。逆に言えば、リストにないことは
一切してはならないのだ。
有事が迫ったとしても現場判断で住民に避難指示ができないのはこのポジ
ティブ・リスト、つまり警察ルールゆえだ。政府が武力攻撃を認定して初
めて、法制化されたルールに従って住民への退避の指示が許されるという
わけだ。自衛隊も国際社会の軍と同様、ネガティブ・リストを行動基準と
するのがよいのだが、それができていない。繰り返すが元凶は憲法だ。織
田氏が語る。
「どの国のどの軍隊も、いつでも命令一下、自衛権行使の権限を与えられ
ています。ただ、軍がやたらに軍事行動に走らないように制御するROE
があり、ROEが厳守されているかを監視するのが政治の役割です。日本
は命令を下すための法律論議が複雑で、命令が下ってからはROEのかわ
りに、警察法に基づくポジティブ・リストで自衛隊を縛っているのです」
ひたすら逃げるしか
全てが流動的になる有事のとき、現場でとるべき最善の行動を、永田町で
作った法律で時々刻々に、的確に把握し対応するのは困難だ。いま迫りつ
つある危機に現行法のままの体制で対応すれば、すでに述べたように住民
避難のための宣言が事態を逆にエスカレートさせかねない。
この本末転倒を避けるためのルールがROEなのである。ROEの設定に
よって、実は自衛隊員の直面する危機はより適切に管理され、結果として
隊員の命も守られることになる。織田氏が2016年に、東シナ海上空で発生
した危機について語った。
「当時、海上では日米印の共同軍事訓練が進行中で、海上の動きに呼応す
るように中国人民解放軍(PLA)の戦闘機が南下してきたのです。当
然、航空自衛隊はスクランブルをかけました。それに対して中国機が突然
挑発行動を取った。空自機をミサイル標的としてロックオンし、空自機は
撃墜されかねない危機に陥りました」
他国の空軍ならROEに基づいて空中戦(ドッグファイト)で逆転し、相
手の戦闘機にミサイルをロックオンできる位置をとることなどが可能だ。
しかし、日本国にはそれがない。結果として空自機はひたすら逃げるしか
なかった。
「ミサイルの目眩ましになるフレアを出しながら、一挙に何万フィートも
降下するという命がけの危機回避行動でベテランの空自パイロットはよう
やく逃げきりました。けれど状況をふりかえれば、撃墜され、危機がエス
カレートして日中紛争が起きてもおかしくなかったと思います」
緊張が高まる今だからこそ、危機対応は現場の状況を踏まえなければなら
ない。現行の法の隙間を埋めるために、どの国の軍にもあるROEの設定
が急がれる。諸悪の根源である憲法改正の実現は言うまでもない。
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日本をミサイルからどう守る?
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高橋洋一
【⽇本の解き⽅】日本をミサイルからどう守る? まともな防衛論議がで
きなかった不幸 米国からの退役原潜購入など抜本的対策が求められている
北朝鮮のミサイル発射が相次ぎ、核実験も予想されている。北朝鮮の行動
を抑止するために、日本はどのような対応が必要となるだろうか。
筆者は外交・安全保障について考える際、「相互主義」をまず考える。外
交的にはいわゆる「挨拶(あいさつ)」である。
今回の場合、対抗してミサイルを発射するというのが考えられるが、日本
はふさわしいミサイルを事実上持っていないので、応じられない。
ミサイルが日本を襲ってくるとしよう。どの段階でどのような行動をすべ
きか。ミサイルが来ると察知した段階で、事前に相手を叩くことができれ
ばベストだ。相手がミサイルを発射する前に叩くと、先に攻撃したと言わ
れるので、発射した段階で叩くのがいいが、それは至難の業だ。
ミサイルが発射されたら、それが日本に来る前に迎撃する。これが今の日
本の基本戦略だ。しかし、考えればすぐわかるが、大量のミサイルをすべ
て迎撃するのは無理だ。さらに、最近のように変形・変則軌道になると技
術的に迎撃が困難になる。となると迎撃できなかったミサイルは日本に来る。
ここでの対応は大量報復だ。いわゆる「3倍返し」を行う。こうして、@
発射段階で叩くA発射後に迎撃するB迎撃できなかった場合には大量報復―
という3段階での対応にならざるをえないが、日本ではAしか策がない。
いくら北朝鮮に頼んでみても、ミサイルの発射をやめてくれない。となる
と、@ABを用意し、万が一に備えるしか方策がないが、@やBを日本が準備
しているとも思えない。戦後、専守防衛というとAだけだと思い込んでき
た平和ボケの「お花畑論」が続いてきたからだ。
@もBも長射程のミサイルが必要であるが、そうした議論が出てきたのはつ
い最近である。日本は、技術もあるのに、まともな防衛論議ができなかっ
たことが不幸だ。Bについて、最も有効なのは潜水艦発射弾道ミサイル
(SLBM)だ。そのためには、日本が米国の退役した原子力潜水艦を購
入するなどの手を打つべきだった。@Aは技術的に困難だが、Bは準備さえ
していれば対応可能で、しっかりした抑止力になる。
現段階で、日本にはBがないとなると、他国の応援を求めるしかない。い
まのところ筆頭は米国だが、米軍基地が日本国内にあってもいざというと
きに日本を守るかどうかは分からない部分もある。一方で、米軍基地がミ
サイル攻撃を受けると、ひょっとしたら米国への攻撃とみなして報復攻撃
をするかもしれないというのは、かなりの抑止力になる。
結局、いろいろと考えると、Bをまっとうに行うためには、米国との核共
有や、米国から退役原潜を購入・運用することが最も効果的かつ低コスト
の国防になる。そうした抜本的な対策なしでは、いつまでたっても北朝鮮
や中国、ロシアからの恐怖から脱出できない。
国防とはいかにあるべきか。北朝鮮のミサイル発射は、この根本問題を日
本に突きつけている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
夕刊フジ令和4年10月12日号採録
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添付ファイル:
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嘘つきは誰?高市早苗氏
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「8割が大陸から」発言を無かった事にする自民党
『きっこのメルマガ』
その開催の是非に関して世論が二分する中で強行された、安倍元首相の国
葬。それから5日後にSNSに投稿された、高市早苗経済安全保障担当相の発
言を巡る内容がまさに「大炎上」しましたが、自民党はこれまでの諸問題
同様、真相究明なき幕引きを図る考えのようです。今回の『きっこのメル
マガ』では人気ブロガーのきっこさんが、この騒動の一部始終を詳しく誌
上で紹介。その上で、発言の責任を取ろうともしない高市氏の無責任な姿
勢を強く批判しています。
高市早苗氏「8割は大陸」発言、嘘つきは誰か?
ことの発端は自民党の三重県議、小林貴虎県議(48)が、10月2日に投稿
した以下のツイートでした。
小林貴虎 @eternalhigh
国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ていると
いう。今日の講演で伺った話。ソースは以前三重の政治大学院でもご講演
頂いた事のある現職。
2022年10月02日 15:33
すると、当然のことながら、「そんなわけねえだろ!」「デマを流す
な!」と批判が殺到し、小林県議は炎上しました。それで「これはソース
を明確にすべき」と思ったのか、2日後の4日に、次のツイートを投稿した
のです。
小林貴虎 @eternalhigh
皆さん非常に関心が高い様なのでお答えすることにしました。
私が総理大臣になって頂きたいと強く願っている高市早苗先生が、政府の
調査結果としてお伝えいただいた内容です。ウクライナ戦争で明らかに
なった様に情報戦争の時代です。我が国も安全保障上取り組むべき課題だ
と言うお話でした。
2022年10月04日 12:25
小林県議は、騒動後に自身のツイッターアカウントに鍵を掛けたため、現
在は閲覧できません。これらは当時の魚拓から書き起こしたものです。
ちなみに、小林県議の言っている講演とは、10月2日に名古屋市で開催さ
れた「日本会議東海地方議員連盟設立総会」です。午前中は後援会役員会
が行なわれ、午後からはメインゲストである安倍晋三元首相の講演が予定
されていました。しかし、安倍元首相がご不幸に遭われたため、「安倍氏
の志を引き継ぐ」という形で、経済安全保障担当大臣の高市早苗氏が登壇
し、「日本の針路について」という講演を行ないました。
小林県議は、その講演の中で、高市早苗氏が該当の発言をしたと言うので
す。そうであれば、この悪質なデマの発信源は、現職の大臣である高市早
苗氏だったということになります。この小林県議のネタバラシによって、
批判の矛先は高市早苗氏へと向きました。すると高市氏は、その日のうち
に次のツイートを投稿したのです。
高市早苗 @takaichi_sanae
腕の耐え難い痛みでMRI検査を受けている間に、不正確な情報が。日本
には情報操作(偽情報)対策の法律が無いので、政府が調査をすることは出
来ません。海外機関による調査情報の収集は可能ですが。国防上の懸念も
あり、法整備検討の必要性は3年前に党から提案しました。
午後10:03 2022年10月4日
自身の現状報告の体(てい)を取りつつも、「不正確な情報が」「政府が
調査をすることは出来ません」と、小林氏が「高市大臣から聞いた」とす
る内容をやんわりと否定しています。小林氏としては、完全にハシゴを外
された形になってしまいました。
翌5日、小林県議が委員長を務める三重県議会の委員会が開かれました
が、委員から辞任を要求され、小林県議は委員長を辞めさせられました。
そして、翌6日、小林県議は記者会見を開きましたが、これが何とも言え
ない酷いものでした。
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住民投票の結果のロシア併合
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)10月6日(木曜日)
通巻第7484号
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東ティモールの住民投票後の独立を国連は認めたが
ドネツク、ルガンスクの住民投票の結果のロシア併合は認められない
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『ジャカルタ・ポスト』(インドネシアの有力な英字紙)の10月5日
付け「社説」に注目した。大意は次のごとし。
「嘗てインドネシアは27番目の州として東ティモールを統治した。な
ぜなら旧宗主国のポルトガルが植民地を放棄したため、力の真空が生ま
れ、『領土保全』を維持する必要があった。
インドネシア軍が駐屯した。しかし1999年に国民投票が行われ、圧倒
的多数が独立を希望した。インドネシアは西側に移住する人々を受け入
れ、独立を承認した。このケースはロシアのウクライナ東部四都市併合と
酷似するポイントと非類似点がある。
東ティモールは、ポルトガルが植民地支配を放棄したため権力の空白に
直面したのだ。 ロシアのプーチン大統領は主権国家であるウクライナに
侵攻した。
インドネシアの場合、1975年時点では共産主義分子が地域支配に動い
ていたため、米豪の支援を得ていた。 しかし国連は東ティモールをイン
ドネシアの正当な一部として認めたことはない。2002 年 5 月、東ティ
モールは独立国となり、国連に加盟した。
ロシアがヘルソン、ドネツク、ルハーンシク、ザポリージャの四地域を併
合したことは、理由の如何を問わず、国際法違反だ。たとえ地域住民の過
半数がロシア人であっても、『国民投票』は言い訳に過ぎない。
プーチン大統領は世界の強力な指導者であって重要な役割を果たしてき
た。ロシアは、国連安全保障理事会常任理事国である。ロシアのウクライ
ナ侵攻と四地域併合は、遅かれ早かれ、ロシアへの評価を否定的にしてし
まうだろう。
インドネシアは、ロシアが支援する四地域での住民投票を『国連憲章違
反』と認識しており、プーチン大統領は東ティモールの例を教訓にするべ
きだろう」(以上、拙訳)。
西側が全面支援したのはコソボと東ティモールの独立だった。そしてウ
クライナを支援し、プーチンの東部四地域併合を認めないのが西側である。
ロシア制裁に加わっていないインドネシアは、国内でまだ東ティモール独
立を認めないナショナリズムが潜在するが、影響力のあるメディアがこの
ような社説を掲げたことに刮目した次第である。
□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 書評 しょひょう
BOOKREVIEW 書評
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ウクライナの状況は120万同胞が中国に殺されたチベットに似ている
重要警告「第三次世界大戦はすでに始まっている」
♪
ペマ・ギャルポ『中国が仕掛ける東アジア大戦争』(ハート出版)
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副題がある。「安倍晋三が提唱したインド太平洋構想が世界を救う」。
安倍不在の日本はインドに学べと説く。
120万人のチベット同胞の生命が中国に奪われたからこそ強い警告が
出来るのだ。
「1950年代、中国の侵略に直面したチベットも、ある意味ウクライ
ナと極めて近い状況にあった」。
チベットは世界に救援を求め、国連にも訴えたが、「同情してくれる国は
インドなどあったにせよ軍隊を送ってまで助けてくれる国はなく、国連は
非難決議はしても、実効力はもたなかった」
ペマ氏は少年難民として国境を越え、インドに亡命し、1965年に日本
にやってきた。滞日中、あろうことか、民主主義の守護神だったアメリカ
が独裁中国と手を組んだ。豊かになれば中国も自由化するという呪縛は、
その後の中国の振る舞いによって簡単に破られた。
しかし、ニクソン訪中とカーターの国交樹立という米中接近は副次的に不
幸をもたらした。それは「中国と戦っていた(チベットやウィグルの)自
由の闘士たちを見捨てることにつながった。」(82p)
災禍がはじまったのだ。
現在はどうなったか。私たちの最大の脅威として中国の軍事的脅威が目の
前に現れ、香港の自由は殺され、つぎに台湾の自由が失われようとしてい
るではないか?
戦後レジームに決別し、中国を囲む静かな戦略を実行してきた愛国政治家
は突如、兇弾に仆れた。
インド太平洋構想を主導した安倍晋三は不在となったが、日本のメディア
はどこも「暗殺」とは表現しなかった。
ペマ氏は大事なポイントを衝いている。
「打破しようとした戦後レジームの問題点なのだが、今の日本社会が、た
とえ立場は変わっても、偉大な人物を尊敬する重いが薄れてきているので
はないだろうか。またさらに言えば、偉人を尊敬する思いとは、人間社会を
超えた神仏の存在を敬う心と共通したものである。人間は弱い生き物であ
る。だからこそ私たちは強くあろうとし、何事かの理想を成し遂げようと
した人への敬意を失ってはならない。それは現世において充分報われるこ
とが無く、非業の死を遂げて終わったとしても、神仏からは報われ、讃え
られる存在なのだ。
戦後日本はこの宗教観を失ってしまったことで、自由や民主主義を、命を
懸けて守るべきものだとういう意識も失ってしまったのである」(38p)
これが本書の肯綮である。
靖国神社に参拝しない日本人がいる。墓地は不要、海に撒けという日本
人がでてきた。国葬に反対した左翼新聞に煽られて献花しない日本人がす
こしばかりいる。つまり、日本にはいま大多数の静かなる愛国者と、少数
ながらけたたましい売国奴的な人々と奇妙に共存していることになる
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●樋泉克夫のコラム ●樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
知道中国 2431回】
──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習97)
▽
ヴェトナム訪問団の半年ほど前に訪中したニコラエ・チャウシェスク書
記長夫妻を筆頭とするルーマニアの共産党・政府代表団の記録である『中
羅両国人民的戦闘友誼万歳』と『中越両国人民牢不破的戦闘団結』を読み
比べてみると、またまた外交文書のカラクリだ。
各頁に記された「羅」の文字を「越」に換えれば、内容がほぼ一致してし
まうのである。
だが両書の間で一か所だけ明確に違っている部分がある。
『中羅両国人民的戦闘友誼万歳』に記されている「親密なる戦友の林彪副
主席」への言及が、『中越両国人民牢不破的戦闘団結』には一切見当たら
ない。まるで林彪という人物が中国共産党内には存在してはいなかったか
のように。
そこに確実にいたはずの「親密なる戦友の林彪副主席」が、半年後には
存在したことすら公式に完全に否定されている。中国の権力闘争における
敗者の悲哀と形容するには、余りにもミジメだ。
このように負ければ賊軍以下だから、断固として負けられない。だから闘
争は陰謀渦巻き、自ずと陰湿な形を取る仕組みになっている。
振り返って見れば、劉少奇以来、林彪、四人組、華国鋒、胡耀邦、趙紫
陽と権力闘争の敗者を並べてみると、敗北後の扱いはほぼ同じ。四人組以
降の敗者は「生きた死体」とでも形容できそうな状況に置かれたまま。名
誉も矜持も剥ぎ取られながらも、それでも生き続ける。
それもまた、強靱な意志に支えられた厳しくも凄まじい余生と考えるべき
だろう。
以前、湖南省の片田舎の山中の旧い寺を訪れた際、「ここが西安事件を
引き起こした後に?介石に逮捕された張学良が1年間幽閉されていた場
所」と教えられた。本堂裏手の窓が小さく、薄暗く、湿気を含んだネット
リとした空気の淀む小さな建物だった。
こんな劣悪な環境で、明日の命も判らないままに、なにを支えに敗残の身
を生きながらえたのか。
その時、権力闘争における敗者の執念のようなものに加え、一気に処罰
するわけでもなく、ひたすら敗者をネチネチと苛め抜く勝者の強靱で執念
深い精神が、その小さな建物に渦巻いていたように痛感し、慄然たる思い
に駆られたものだ。
閑話休題。
ここからは児童少年向けの書籍に移り、先ず『在毛沢東思想哺育下成
長』(人民出版社)を取り上げたい。
劉少奇抹殺を文革の第1段階とするなら、『在毛沢東思想哺育下成長』
が出版された当時は第2段階だったといえるだろう。
つまり毛沢東は劉少奇殲滅の先兵として用済みとなった紅衛兵をお払い箱
にして都市から追放し、返す刀で林彪を葬り去ってしまった。次は人民解
放軍内の林彪系を排除し、その影響力を極力殺ぐ段階に突き進んだのでは
なかったか。
その一方で、毛沢東は紅衛兵に代わる新しい支持勢力を育てることに腐
心する。そこで登場するのが、年端も行かない子どもを煽てあげて作り出
された紅小兵である。
なんせ彼らは、紅衛兵たちのように理屈を弄ばないし反抗もしない。素直
そのもの。右向けといえば右を向き、アイツが敵だと指差せば遮二無二突
撃する。毛沢東思想で純粋培養された、無邪気であるがゆえに残酷で凶暴
さを備えた「最新・最強兵器」であった。
表紙を開くと、毛沢東の筆跡で「好好学習、天天向上(よく学び、日々
向上)」のアリガタ〜い8文字が。頁を繰って目次に目をやると、「毛主
席は私に力を与えてくださった」「集団の財産はこれっぽっちも失っては
ならない」
「石のように硬い心は、さらに紅く」「お父さんのように、革命の車を
一生懸命引っ張るぞ」「小学生から思想教育を」「革命のために学習だ」
「毛主席の教えに従って事を為せ」「敢えて『私』と戦うぞ」「解放軍の
おじさんの教え」「貧農・下層中農に学ぶ」「革命の後継者となることを
誓う」──各章の表題から毛沢東の教えに忠実たらんと努める紅小兵の激情
が迸るが、痛々しくも虚しいばかり。
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重 要 情 報
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◎高齢者の2割負担は大袈裟で言い方ではなくて「恐怖」だった:前田正晶
10月に入ってから、先月の入院のフォローアップ(病院の用語だと思って
いるが)で検査と診察が続いている。即ち、7日、11日、12日と病院及び
調剤薬局に出掛けてきた。昨日までで既に約7千円の負担となった。来週
にも更に3回の検査が入っているので、1万円超えが見込まれる。報道によ
れば、具体的なことは良く意味が解らないが「窓口負担が5千円を超えれ
ば、3千円還付される?」とあったが、院内にもそのような貼り紙がして
あった。
今回の後期高齢者の数百万人の20%に2割負担を課すとの決定は、守税
奴?の財務省が発起人となって厚生労働省を突き動かしたのだろうと疑っ
ている。だが、この5千円超えの場合に云々と言い、僅か20%に2割負担を
強いるという措置が産み出す軽減策で、財政的負担がどれほど助かるのか
という疑問が生じる。
昨日の国立国際医療研究センターの採血室には、担当の看護師さんが
「今日は580人の予約があるので」と語っていた大混雑で、50分もの待ち
時間となった。言うまでもない事で、平日の午前中ともなれば、そこは高
齢者で溢れかえっていた。しかし、その大混雑の中でも20%しか2割負担
の方はおられないのではないのか。
敢えて言うが、私にはおかしな健康保険料の財政負担軽減策であるとしか
思えないのだ。悔し紛れに言えば「我が国の高度成長期を懸命に担ってき
た企業戦士(古いか?)である我々が、今日まで努力して生き長らえてき
たことに対する報いがこれか」なのだ。勿論、20%の中には「2千万円ど
ころでは蓄財があって、2割や3割負担など何のその」という方々がおられ
るだろう事くらいは承知で言っている。
だが、私には「2割負担」は姑息的であり、他に何かもっと有効な手段
があったのではないのか」としか考えられないのだ。先日も病院の健康保
険証確認の窓口で、つい「2割になりました」と言ってしまったところ、
係の女性に「そういう不満を仰しやる方が多いのです」と返された。不満
なのは私だけではなかったと確認できた。岸田さんの「新資本主義」も結
構だろうが、「他にも何か具体的な国民を豊かにする施策があるのではあ
りませんか」と申し上げたくなるのだ。
◎今こそ古事記が分かった!
テーマ:ブログ北村維康
私が子供の時、母は、古事記の話をしてくれました。素戔嗚尊が、川の
ほとりを歩いてゆくと、箸が流れてきました。「これはきっと、上流に人
が住んでゐるに違ひない」と、素戔嗚尊は思った。と言ふくだりが、私に
は強烈な印象でした。「箸が流れてくる。それはきっと人がゐる」と、な
んでそれが強烈な印象を与へたのか判りませんが、兎に角、私の中の数千
年来の潜在意識が、触発されたのです。
今、日本は、危機の真っ最中です。危機に直面してゐるどころぢゃな
い。危機の真っただ中にゐて、今夜にも八岐大蛇が、我らを食べにくるか
もしれないといふ、切羽詰まった状態なのです。この危機から脱する、最
良の方法は、この本を読むことです。
写真の貼り付けの仕方が判らないので、首を左に90度傾けてご覧下
さい。著者は稲田千明(山陰神話研究会会長、但し奥さんとの夫婦一体で
の著作です)出版社は、アメージング出版、お値段は定価1320円(本
体1200円+税10%)です(キンドル版もあります)。なぜ殆ど裸の
女性が踊ってゐるのかと言ふと、これはアメノウズメノミコトが天照大神
が岩戸に隠れてしまったので、それを呼び出すために、岩戸の前で、おも
しろをかしく、踊ったのです。それを見た神々が、ワッハッハッハと笑っ
たので、岩戸の中に入ったアマテラスオオミカミは、「はて、私がゐない
ので、みんな嘆き悲しんでゐる筈なのに、この騒ぎは一体何なのかし
ら?」と不審に思って、そっと岩戸を開けて外を見たといふ、あのくだり
の場面です。(それかあらぬか、最近、ユーチューブのカットに、Hな写
真が並んでゐるのでちょっと閉口してゐるのですが、これも国難に何か関
係があるのかもしれません)それはともかく、是非ともこの本をお読みく
ださい。買って頂かなくても、要するに読んで頂くことに意味があるので
すから、図書館に問い合はせて頂き、もしなければ、購入の申請を出して
頂くのも、一つの手です。
◎あなた、本当に私の事、愛してる?
テーマ:ブログ=北村維康
こんな言葉を、奥さんから突き付けられた旦那さんは多いだらう。
確か、パウロだったかと思ふが、復活したイエスから、同じ事を訊かれ
た。パウロも、さう言はれて見れば、自信がなかった、しかし、さうとも
言へないから、「私はあなたを愛してゐることは、あなたは良くご存知で
はないですか」しか言へなかった。そこへイエスはまた畳みかけるやう
に、同じことを訊いた。そして、「命を尽くして、汝の神を愛せよ」と言
ひ放ったのである。
我ら日本人にとって、神様は天照大神である。われらは、イエスと同じ
ことを、天照大神から訊かれてゐる。
我らは、日ごとに、日本が嫌ひになるやうに、皇室が嫌ひになるやうに、
マスコミを通じて、洗脳されてゐる。
自分は愛国者かどうか、自分に自問して、「そりゃ、おれは愛国者に
決ってゐるぢゃないか」と開き直っても、本当に胸に手をあてて、自問し
たとき、「勿論だ、何時でもお国の為に死ねるわい」と自答できるだらうか。
憲法論とは、勝れて、愛国論である。また愛皇論である。私も自分自
身、100%愛国者かと言はれると、その自信はない。ないけれども、自
分の全存在を日本に捧げて、丁度、神様が来訪して下さったときに、何も
おもてなしするものが得られないので、「この私を食べて下さい」と言っ
て、火中に身を投じた、兎のやうになりたいと、念願してゐるのである。
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身 辺 雑 記
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14日の東京湾岸は晴のち曇り。
渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。
元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。
仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。
兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。
渡部 亮次郎
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渡部 亮次郎