2006年12月20日

◆合理的は正しいか



        渡部亮次郎

合理的が真理と考えている人が案外、多いが、「合理的」に反対することが日本の労働運動の主流を形成していた時期があったことをご存知か。

戦後、工場におけるロボット反対闘争のことである。労働を無条件に際限なくおこなうロボットが職場に導入されれば、低賃金に喘ぐ労働者は排除されると言う誤れる論理に根ざした労働運動の流れだった。

言葉の面白い引例で解説する辞書で有名な「新明解 国語辞典」によれば合理化とは「人員整理・労働強化や具術導入により生産性を向上させようとすること」とずばり言っている。

労働組合はアメリカ製憲法を遵守せよと合理を迫りながら経営者にはロボット導入による合理化には断固反対と矛盾した要求を続けたものだ。

間違いだったから、跡形もなく消えたが、「合理化」はアメリカの思想として日本でも生きき続けている。労働の合理化はロボットに代わられると言う総評の主張も狂っているが、経営者側も確実に反論できなかった事は情ない。

合理化という言葉は日本にはもともと無かった言葉だったからではないか。日本人は言うなればすべて以心伝心で意思伝えてきた。「目は口ほどにものを言い」で用が足りてきた。

ところがアメリカとの戦争に負けた。日本人が戦争に負けるのは有史以来初めてだったから、進駐軍としてのアメリカを平穏のうちに迎えたが、進駐軍の持ち込んだ哲学こそが「合理的」だったように思う。

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◆談合根絶?笑わせるな



         渡部亮次郎

中央高級官僚の知事、市長への立候補が目立つようになった。福島、和歌山、宮崎の3県で知事がいわゆる官製談合にかかわったとして逮捕、辞職に追い込まれたが、後任に和歌山で経済産業省役人が当選し、宮崎では代議士落選中の元経済産業省課長の立候補が決まった。

<宮崎県知事、自民推薦候補持永氏に 19日正式決定

来年1月4日告示の出直し知事選へ向け、自民党県連と友好関係にあるJA宮崎中央会など経済10団体は18日、元経済産業省課長で党県第3選挙区支部長の持永哲志氏(46)を県連への推薦候補とすることを決めた。> (宮崎日日新聞 2006年12月18日

一方の和歌山でも経済産業省の局次長が当選した。

<談合事件で逮捕された前知事の辞職に伴う和歌山県知事選挙は、17日の投票の結果、自民・公明両党が推薦する元経済産業省製造産業局次長の仁坂吉伸氏が初当選を果たした。

投票率は35・21%と前回04年知事選の37・29%を割って過去最低となり、県民の3人中2人が投票を忌避、「出直し選挙」による県政建て直しに不信を突きつけたのだ。>「頂門の一針」663号

そうしているうちに北海道札幌市の市長選挙には国土交通省の元No.3が立候補すると言う。

<札幌市長選に前国交省技監・清治氏が立候補を表明

前国土交通省技監で新顔の清治真人氏(58)が18日、来年4月の札幌市長選に立候補する意向を明らかにした。自民党などが支援する予定。民主党などが推す現職の上田文雄氏(58)も近く出馬表明する見通し。 (Asahi Com 2006年12月18日22時52分)>

役人がにわかに地方政治に目覚めたのではない。民間への天下りの旨味がどんどん無くなって行くので、「地方政界への天下り」を志しはじめたのである。

また、受け入れる地方としても地元に残っている人材に適材が見つからないから、どうしても目は地元出身の中央官僚に向かってしまう。

大抵は可も不可もない県政、市政を敷いて終わるが、地元との復縁に手間取る官僚は選挙資金や集票作戦を特定の人物に頼るあまり、事件を起こして暗転と言うことになりかねない。

そういう観点から<全国知事会が談合根絶宣言、指名入札の早期廃止で指針>と言う記事を冷ややかに読んだ。

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2006年12月18日

◆東京で食べられない物



          渡部亮次郎

東京では全国至る所の食べ物や食材が入ってくる。最近も秋田沖の荒波で育った真鱈を宅配便で取り寄せて鍋にして食べた。秋田では「ざっぱ汁」とか「じゃっぱ汁」とか言う臓物の鍋である。脂が乗っていて格別に美味である。

これは国鉄がなくなったお陰である。トラックによる民間の宅配便なる手段が普及して、秋田市の市場から午後3時までに送り出してもらえば、翌朝9時には東京に到着する。国鉄は役人だったから、こうしたサービスを考えることすら出来なかった。

かくて「じゃっぱ汁」会は盛り上がり、男3人でビール2缶、紹興酒4合、剣菱1升、麦焼酎4合を空けた。

ここで「じゃっぱ汁」について。冬の秋田沖には大量の雪が降る。水面下300Mのところを泳いでいる真鱈は予め防寒のため脂を大量に巻いている。太平洋ではこうは行かない。

真鱈の身は普通の人が買ってゆく。通は「じゃっぱ」を買ってくる。頭や鰓(えら)など、要するに捨ててしまう部分である。秋田杉から柱を製材した後の皮の部分を「じゃっぱ」ないしは「ざっぱ」と秋田弁では言うことから捨ててしまう魚の部分もそのように呼ぶ。

ところが真鱈の「じゃっぱ」は鍋にして食べると実に美味であることを漁師たちは早くから知っていた。焚き火の中で音を立てて煮あがる大きな鍋に塩を一掴み入れ「じゃっぱ」を投げ込む。有れば葱、白菜、豆腐も入れる。これで完成。津軽の「じゃっぱ」は味噌味だそうだが。

私の亡くなった義母は殿様に血縁を持つ人だった。「わたしは食べたことのない物は食べません」といって「じゃっぱ汁」を初めは拒んだが、娘に奨められて食べた。無言になった。

翌日、浅草の料亭に納めている魚屋へ行ったらしく、真鱈のそれらしき物を買ってきて「じゃっぱ汁」を作った。美味かったということだろう。

だが真鱈は真鱈でも太平洋の鱈。脂がさっぱり乗っていなくて美味しくない。だから日本の表を自称し太平洋岸に住まいする人々が真鱈の頭や臓物を食べようとしないのは当然なのである。

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2006年12月15日

◆ウォシュレット2000万台

                         渡部亮次郎

ウォシュレット(Washlet)とは、東陶機器(以下、TOTO)が発売する、温水洗浄便座の名称である。世界のある地域では考え付かないものである。用便後は左手で砂を尻に巻き上げて終わりだからである。

1980年6月に発売以来、2005年6月には累計販売台数が2000万台を突破した。温水洗浄便座では高いシェアを誇り、INAX(同社の名称は「シャワートイレ」)や他社製の同種のものも含め、ウォシュレットと呼ばれるほど、名称も定着している。

TOTOでは、1960年代に米国からの輸入によって温水洗浄便座(ウォッシュエアシート)の発売を行っていた。主に病院向けに医療用や福祉施設用に導入されていたものである。

1969年にはこれを国産化したが、当時は販売価格も高く、なおかつ温水の温度が安定しないために火傷を負うユーザーもいた。某大女流作家も大火傷を負ったと聴いた記憶がある。呼び出されて謝罪させられたが、問を出てから大笑いしたそうだ。不謹慎!

TOTOは独自に研究開発を進め、清潔好きな土壌がある日本での普及が見込めることなどから、1980年に2機種の設定によって発売を開始した。

特に、肛門部分については、体格などの個人差なども考慮する必要があるため、社員などの協力を得て噴出位置を設計するという苦労があった。

のちにビデ機能の追加では、着座時の局部の位置を確定するために、女性社員や家族などの協力を得たほか、ストリップ劇場などでダンサーの局部を確認するなどの研究もあった。

温水貯蔵式でおしり洗浄のほか、乾燥と暖房便座機能を持つ「Gシリーズ」(Gはゴージャスの意)と、水を瞬間式で温水にし、おしり洗浄と暖房便座機能に絞った「Sシリーズ」(Sはスタンダードの意)の2種類があり、以後現在まで基本モデルはこの2種類で、これにコンパクトシリーズが1992年以降追加されるようになった。

また、便器の大きさによって、レギュラー(標準)サイズとエロンゲート(大型)が用意されている。外国出身の某力士が六本木で座ったのは大の方だったろうが、肉が挟まって身動きが取れなくなったことがあった。

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2006年12月14日

◆最も衰退するのは秋田

渡部亮次郎

私も執筆陣に加わっている会員制月刊誌『カレント』2006年10月号に出
た「成長する都市・衰退する都市」と言う巻頭論文の一節である。

筆者は経済学と工学と2つの博士号を持つ佐貫利雄さん。面識は有しない
が、うすうす感じていたことをずばり指摘した。最も衰退すると言われ
た秋田県はわが生まれ育ったところである。

佐貫さんはこれを最近の国勢調査から、少子高齢化現象を分析したもの
で、現存する2217市町村のうち成長都市(人口が増えた市町村)は611都市
27・6%に過ぎず、残り1606都市は衰退市町村だと言う。72・4%に上る。

地域別に見ると衰退市町村比率が高い順で東北89・3%、北海道88・4%、
四国85・1%、と9割近い市町村が人口減により衰退している。

さらに県別に衰退都市比率が高い5つの県に焦点を当てると第1位が秋田
県で96・5%だ。以下青森県95・8%、新潟県93・0%、高知県91・2%、福
島県 90・2%となっている。積雪寒冷地に集中している。同じ東北でも岩
手、山形、宮城がワースト5に入っていない。

ついでに羨ましい成長市町村比率の高い地域は東京だろうと思ったら違
う。第1位は名古屋を中心とした中京都市圏で、トヨタ・グループに支え
られているのだそうだ。

東京都市圏は政治、経済、情報など中枢管理機能が桁違いに集中してい
るとは言いながら第2位である。

当然のことながら大阪を中心とする京阪神都市圏は地盤沈下が顕著だと
佐貫博士は口を濁している。

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2006年12月12日

◆「正しい和食」認定は愚挙

                  渡部亮次郎

馬鹿な役人は農林水産省にも結構いるのだね。世界の笑いのもになっいる。何とかこれは止めないと、馬鹿役人と一緒に我々全部が世界から馬鹿、と笑われる。

というのは、農水省が世界に広がる和食レストランを「正しい和食」と認証する制度を実施しようと、有識者会議を設置。11月下旬に初会合を既に開いたというのだ。

これを聞きつけたワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムズ、VOAなどが、さながら「バッカジャナカロウカ」と軽蔑しながら反発しているのである。

これは産経新聞が12月10日付け紙面の1面トップで報じたもので、
「和食(認)マーク 米が待った」「スシ・ポリス派遣」と農水省に反発と報じた。ばかばかしいネタを1面トップで報じたとは、産経これに反対、と見た。

産経ニューヨークの長戸雅子記者によると、全米には「日本食」を掲げるレストランは9000店あるそうだ。10年間で2・5倍に増えた結果だ。顧客の90%がアメリカ人。

ところが店のオーナーが日本人または日系人と言う店は10%もない。経営者の多くが中国、韓国などアジア系の移民だ。そこで農水省が「食材や調理法が本来の日本食とかけ離れた日本食レストランが増えているため、マル認制を始めたいという。ちょっと飛躍しすぎではないか。

確かにNY市の和食激戦地たるマンハッタン・ミッドタウンにある小さな和食食堂はオーナー初めスタッフ全員が中国人。スタッフの1人は「レストランは地元産業。地元の人が好む味に合わせ、創作するのは当然」と述べ、日本政府の好みに合わせても無意味と言っている。

NYでは2000年に入ってから300席ほどある日本食の大型高級店が続々とオープン、人気を博しているが、メニューは何処も和食一辺倒ではない。ヨーロッパや米国の風味も取り入れた「モダン・ジャパニーズ」として定着しているそうだ。

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◆談合絶滅で清潔政治?

                 渡部亮次郎

12月11日朝8時台のNHK・BSTVをホテルで見ていて仰天した。女性解説委員が出てきて「談合が無くなれば知事の汚職がなくなるから、談合を無くせば清潔政治になる」と言う趣旨のことをコメントしていたからだ。

解説委員ドノ、真実は逆なんですよ。汚職をやるために官製談合をしているのであって、官製談合を止めたって汚職のタネはなくならないのです。知事選挙や市区町村長選挙にかける厖大なカネを調達するために官製談合が生まれたのです。

それなのに官製談合を潰したら知事や市区町村長は選挙資金を何処からどうやって調達するのですか。問題は談合がなくなるより前にカネの掛かりすぎる選挙をどうかしなければ解決しないのです。

あなたみたいなコメントは単なるきれいごとで、世の中の進歩には関係のない「世迷いごと」に過ぎません。こんな解説委員のいるメディアには視聴料を払う意欲は出ませんね。

政治に掛かるカネをどうするか。国会のセンセイたちは遂に政治資金を税金から強奪して解決を図っています。カネのかかる原因には手をつけずにです。それなのに知事や市区町村長へは何の手当てもせず、では片「手落ち」も甚だしい。同じ国民の代表じゃないですか。

あなたみたいにきれいごとを言い続けても何も解決しません。国民を混乱させるばかりです。A紙の社説とそっくり。論説委員の自己満足だけであって、社会のためにはクソの役にも立たない。ホントにハラが立つ。空しい電波が更に空しく流れ去った。

2006年12月11日の私のメルマガ「頂門の一針」で毛馬一三(仮名 元政治記者)は次のような事実を暴露しております。

<「あの時の大阪府知事選挙には15億円かかった」と、数期前の知事選で参謀を勤めた府庁幹部0Bからそんな事実を聞いたと、同僚特別職OBが証言する。

御堂筋や北浜など目立つところに設置する選対事務所は、関係の深い大手テナントビル会社から3〜4ヶ月前から無償で借り上げるのが慣例。慣例といえば大阪市長選挙でも前回前までは大手ゼネコンから回り持ちで事務所敷地とプレハブ事務所を廉価で長期調達してきている。

問題は資金の調達だ。15億円もの資金を首長候補者が事前に準備できるはずが無い。有力首長候補者は、OB幹部の選挙参謀を伴って、大手、準大手ゼネコン・設備業界・コンクリート業界・マリコン・大手設計事務所などの代表に「どうかよろしく」と立候補の挨拶回りに専念。全業界が腹を括って走りだせば、15臆円の調達はさほど難しいことではない。

これを突破口に「支援金拠出の要請」に先の参謀たちが日参するのだが、「支援金を出せば見返りは実行される」という阿吽の“見返り契約”が建設業界と候補者・選挙陣営の間で交わされたのだ。>

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2006年12月10日

◆干上がって行く大陸



           渡部亮次郎
「穀物菜食を広めるアートグレン」主宰者井村睦明氏が会員制月刊誌『カレント』2006年12月号に執筆された「バーチャル・ウオーターの現実」によると麦を1トン生産するに要する水は約2000トンだそうだ。

だとすると日本が輸入する野菜の半分は中国からだそうだから、中国の水渇れに日本も相当、責任を感じなければならない、ということにならないか、と井村氏は指摘している。

何しろ、中国の有名な詩人が「白日 山に依って尽き 黄河海に入って流る」と読んだ黄河が途中で干上がってしまう「断流」と言う現象が1972年以降、頻繁に起こっているそうだ。

最も大きな原因は、全長4500キロの流域のあらゆるところで農業用水や工業用水として勝手に大量に採水したから。特に農家は輸出用の野菜だけでなく、急激に発展する大都市向けの野菜、穀物栽培用に大量の水を黄河から採水している。

かくて黄河の断流現象が河口近くで起これば地下水盆に淡水が供給されなくなり、代わって海水が浸入して、河口の土地が塩性化するという新たな問題が起きると言う。

中国では加えてこのところ日照り続きで年に10万トンの食糧が失われている。これは国営通信社新華社が12月8日に明らかにしたものだ。

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◆世にも恐ろしい話

                     渡部亮次郎

2006年12月6日夜、中国研究の権威宮崎正弘さんと話していて「中国のエ
イズ患者が18万人と新華社が報道していましたね」と言ったら「ほんと
は1,000万と国連が推定していますよ」との恐ろしい話。

隣にいた加瀬英明さん(国際問題評論家)が「それじゃ北京オリンピック
の観客に伝染して大問題になるんじゃないの」と指摘したら、宮崎さん
は、中共当局は売春婦を北京以外のどこかに隔離するでしょう、会期中
は、ということだった。

それから2日後の12月8日。アメリカに飛び掛って行った記念日であるが、
産経新聞を見て仰天しながら宮崎さんの話を思い出していた。

<売春婦ら100人「市中引き回し」…庶民反発 中国・深セン市(=土ヘ
ンに川) >という世にも恐ろしい人権無視の話ではないか。

さらし者にするとは「恥を知れ」と言う意図だろうが、恥の文化が中国
にあるとは思えないから、当局の意図が分らない。

<【北京=福島香織】中国広東省深セン市で公安当局が摘発した売春婦
ら100人を「市中引き回しの刑」に処した。売春はもちろん違法だが、
これまで当局も大目に見てきたところがある。

しかも売春婦は貧農からの出稼ぎ組が多く、公権力で見せしめにするや
り方に「ひどすぎる」「人権侵害だ」と同情が集まっている。>

これは後進国。少なくとも最近のアジアでは聞いたことがない。

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2006年12月05日

◆社説は空しい

                  渡部亮次郎

一連の地方におけるいわゆる官製談合事件は、摘発はあっても消滅策はありえないから、頼むから新聞の社説よ、論説よ、取り上げるなと祈っていたのに、産経新聞が5日の「主張」(社説)で取り上げてしまった。

【主張】宮崎県知事辞職 不正の構造に決別はかれ と題したもの。

<官製談合による自治体トップの逮捕、辞職が相次いでいる。福島、和歌山県に続いて、宮崎県の安藤忠恕(ただひろ)知事が辞職した。まさに“談合列島”といえる異常事態を招いている>。

<それにしても、安藤知事の辞職表明は遅きに失した。先月29日に県ナンバー3の出納長が逮捕された時点で、県民の大半は安藤知事が「道義的責任」をとり、辞職するものと予想していたのではないか>。

ここまでは駆け出しの記者でも書ける「経過」。問題は結論である。

<福島、和歌山、宮崎県の官製談合事件の検察・警察当局による摘発で、地方自治体の談合体質が同じ土壌にあることが浮き彫りになった>。

地方自治体でなぜ首長を頂点とした汚職事件が起きるのか、談合体質が同じ土壌となっているのかの事実解明が記述されていない。

<知事と個人的に親しいフィクサーが県政に暗躍する。和歌山の場合は元ゴルフ場経営者であり、宮崎は元国会議員秘書だった。これらの人物は選挙の時に知事に業者を紹介、恩を売って、その見返りに公共工事の入札に業者を参加させるという仕組みのようだ>。

<このような談合構造は、他の自治体でも似たり寄ったりであろう。いまこそ、政官業が巧みに癒着した談合体質からの脱却を図る必要がある>。

そんなことは論説委員殿に指摘されなくても分っている。当事者の首長こそ談合体質から脱却したいのは山々なのだ。他に選挙資金を調達する方法があれば、絶対的なこの泥沼から這い上がりたいはずだ。だが方便がない。

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2006年12月04日

◆分類すれば「ゲテモノ」

                         渡部亮次郎

メイルマガジン「頂門の一針」の1愛読者から、以下の投書を戴いた。霧島昇・松原操夫妻の3女でソプラノ歌手の大滝てる子さんが両親の遺作をオペラ調で歌ったことを咎めたことに対するご「感想」なのである。

<演歌は日本の文化に根ざしている。ご維新から昭和まで突っ走った歴史の裏で泣いた庶民の哀歓が日本の歌調を生んだ。

ワインも日本酒もそれぞれの土壌、文化から生まれており、ブレンドする事は考えない。それぞれに味わうことが普通だろう。

最近、外国の歌手でも日本の歌曲をすばらしく歌う人がいるが(ロスチャイルドの一族の女性)、さすがに演歌は歌わない、いや歌えない。

ワグナーに「夕星の歌」という哀切きわまりながアリアあるが、小節を利かせて歌っても感動は呼ばない。

演歌を音吐朗々とバリトンで歌うことは罰せられはしないがそれは1回だけでお許し願う「座興」に過ぎない。分類すれば「げてもの」に入る。(長岡新太)>

この方は昭和1桁。幼少の頃から、78回転、モノーラルでクラシックを聴き続け、長じてはナマの演奏会を梯子し、多分、家を1軒建てるほどにつぎ込んだという人である。

それほどなのに演歌に関する理解も深いこと。音楽というものを高いところから俯瞰しておられること、日本人としては最高のレベルと言っても過言ではあるまい。

オペラ歌手となった霧島・松原の遺児たちが「旅の夜風」初め両親の遺作を有料で歌うことについて、私は私のメルマガ「頂門の一針」11月10日号で強く非難した。

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2006年12月03日

◆官製談合もはや必要悪

渡部亮次郎

和歌山県知事にして官製談合事件の総括者として逮捕された前知事木村良樹に少なからぬ興味を持つ。汚職をなぜメモにしていたのか、なぜ捜索前に廃棄しなかったのか。

木村前知事は、自治省から大阪府に総務部長として着任。同知事をよく知る大阪府の複数の幹部OBによると、人柄にはなかなかいいものがあったが、やはり中央官僚に有り勝ちな過剰な自負と顕在欲は人一倍のものがあった。それが災いしした。地元における知人友人など人脈構築には一向に気を配らなかったそうだ。自己過信そのものだったわけだ。

総務部長在任中、横山ノック知事の不祥事で知事選挙となった。このとき木村は知事候補に推戴されるのは自分だと信じ込んでいた。
だが、友人も支援組織も出来ていないのだから無視された。結局通産省から大田房江現知事が落下傘候補として出馬し当選。この時木村は「夢破れたり」と極度に落ち込んだそうだ。世間一般からすると落ち込む方がどうかしているが。

エリートを自称する人はどうして世間馬鹿になるのだろうか。エリートじゃない者にとっては分らない。世間が分らない人だからエリートというのだろうか。非エリートとしては、この世は四方八方に引っ張り上げてもらって遊泳できるものだと信じているから、周囲には人一倍、気を遣う。

だがエリートは自分しか信じないものらしく、他人に対する気遣いなどは無駄な努力と映るのだろうか。下で気を遣ってもらえない部下は次第にひそかな敵になって行くものだという世間の構造にも気付かないまま老化して行くようだ。

木村の例で見ると、大阪で「夢破れたり」としょぼくれている時、大阪府に着任直後から親密になったゴルフ場の元経営者の井山義一容疑者(56)が救いの手を差し伸べた。和歌山に地縁の深い井山容疑者の全面的支援を受けて和歌山県知事に当選できた。

世間でゴルフ場経営者というのはウサン臭い人、というのが一般的な評価ではないか。案の定、井山は知事と土建屋の仲介役となり1億7000万円もの仲介手数料をとっていた。そのうちのいくらかを知事に渡していたと自供した。このため木村は今度は収賄容疑で再逮捕されることとなった。

あの絶望の境遇から抜け出させ、知事就任の夢を叶えてくれた井山容疑者は、木村知事に取り最初の「命の恩人」だったというが、真実は吸血鬼が恩人という化けの皮を被っていたに過ぎない。

保守王国の和歌山県での木村県政は、悪評さくさく。再選を阻止する動きが俄に動き始めた。そこで県政界に殊の外実力のあるという海南市の建設会社丸山組の田淵利都会長(80)に頼った結果、木村知事は楽々、再選を果たした。但し田淵は工作に2000万円を使ったから、木村に反対給付を求めた。そこから犯罪が始まった。

この「命の恩人」2人に木村知事は、天の声による公共工事の参入や口利き謝礼の受領役などで、俗にいう「お礼」を施している。井山、田淵という2人の命の恩人は木村の命取りと化したのである。

それにしても木村はなぜ悪業の詳細をメモしていたのだろうか。なぜ捜索前に廃棄しなかったのだろうか。単なるチョンボだろうか。証拠として残し、将来、恩人たちを脅迫でもする心算だったろうか、それとも勉強のクセが抜けなかったのだろうか。

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2006年12月02日

◆宮崎県知事 絶体絶命


                渡部亮次郎

宮崎県官製談合事件で、逮捕された出納長江藤隆容疑者が、談合の指示は安藤知事からのものだった自供したことにより、宮崎県警本部は近く知事の強制捜査に踏み切ることを決めた、と2日付の産経新聞が報じた。

この結果、安藤知事は前門の虎(県警)後門の狼(不信任決議案可決)という絶体絶命の状態となり、自ら「選択肢は3つある」と述べ、10日後の「失職」もあることを1日、示唆した。

<宮崎県議会(坂元裕一議長・42人)は1日、県官製談合事件の一連の責任を問い、安藤知事に対し、本県史上初の不信任決議案を全会一致で可決した。

これを受け、知事は地方自治法178条により10日以内に辞職または議会解散の選択を迫られることになる。いずれの判断も示さない場
合は、10日後に自動的に失職する。

知事は「非常に残念ことだが、議会の判断だから厳粛に受け止める。今後の対応については熟慮したい」としている。>(宮崎日日新聞Web 2006年12月1日)

知事への不信任決議は、岐阜県(昭和51年)、長野県(平成14年)、
徳島県(15年)に次いで今回が4例目。全国都道府県議会議長会によると、過去に都道府県議会が解散されたケースはない。
(Sankei Web 2006/12/01 20:14)

<同決議案は11月29日に決議した辞職勧告を知事が拒否したため、1日午前から全4会派が党議を開き、提出について協議。知事の出納長任命の責任、県政混乱の責任は重大だとの見解で一致し、提出に合意した。決議案は各会派の5議員が連名で提出した。

本会議は午前11時45分に開会した。

提案議員を代表し、徳重忠夫議員が「今回の事件では出納長、土木部幹部職員が逮捕され、県庁舎が家宅捜索されるなど、県行政に大きな混乱を生じさせた」などと提案理由を説明。「最高責任者の知事が自ら辞職する意思がないとするなら、県民を代表する県議会の意志として辞職することを求める」とする不信任決議案の採択に入った。

採択は記名投票で行われた。この結果、全会一致で可決された。11月29日の辞職勧告決議案を採決した際、「知事は関与を否定している」などとして欠席した自民党の2議員だけが今回も出席を見送った。

関与を全面否定している安藤知事は終始、淡々とした表情。閉会後、
「県民の皆さんに再度、おわび申し上げる。知事としての監督責任を痛感している。辞職、解散、失職の3つの選択肢がある。後援会などと相談し、熟慮して結論を出したい」と今後の対応について態度決定を保留した。

坂元議長は「議会の総意、県民の意思として受け止めてほしい。問責決議のときに、できれば出処進退を明らかにしてほしかった。議会は解散も想定している。県民に議会の姿勢を示すことができた」と語った。>(宮崎日日新聞Web 2006年12月1日

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