2006年12月12日

◆「正しい和食」認定は愚挙

                  渡部亮次郎

馬鹿な役人は農林水産省にも結構いるのだね。世界の笑いのもになっいる。何とかこれは止めないと、馬鹿役人と一緒に我々全部が世界から馬鹿、と笑われる。

というのは、農水省が世界に広がる和食レストランを「正しい和食」と認証する制度を実施しようと、有識者会議を設置。11月下旬に初会合を既に開いたというのだ。

これを聞きつけたワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムズ、VOAなどが、さながら「バッカジャナカロウカ」と軽蔑しながら反発しているのである。

これは産経新聞が12月10日付け紙面の1面トップで報じたもので、
「和食(認)マーク 米が待った」「スシ・ポリス派遣」と農水省に反発と報じた。ばかばかしいネタを1面トップで報じたとは、産経これに反対、と見た。

産経ニューヨークの長戸雅子記者によると、全米には「日本食」を掲げるレストランは9000店あるそうだ。10年間で2・5倍に増えた結果だ。顧客の90%がアメリカ人。

ところが店のオーナーが日本人または日系人と言う店は10%もない。経営者の多くが中国、韓国などアジア系の移民だ。そこで農水省が「食材や調理法が本来の日本食とかけ離れた日本食レストランが増えているため、マル認制を始めたいという。ちょっと飛躍しすぎではないか。

確かにNY市の和食激戦地たるマンハッタン・ミッドタウンにある小さな和食食堂はオーナー初めスタッフ全員が中国人。スタッフの1人は「レストランは地元産業。地元の人が好む味に合わせ、創作するのは当然」と述べ、日本政府の好みに合わせても無意味と言っている。

NYでは2000年に入ってから300席ほどある日本食の大型高級店が続々とオープン、人気を博しているが、メニューは何処も和食一辺倒ではない。ヨーロッパや米国の風味も取り入れた「モダン・ジャパニーズ」として定着しているそうだ。

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◆談合絶滅で清潔政治?

                 渡部亮次郎

12月11日朝8時台のNHK・BSTVをホテルで見ていて仰天した。女性解説委員が出てきて「談合が無くなれば知事の汚職がなくなるから、談合を無くせば清潔政治になる」と言う趣旨のことをコメントしていたからだ。

解説委員ドノ、真実は逆なんですよ。汚職をやるために官製談合をしているのであって、官製談合を止めたって汚職のタネはなくならないのです。知事選挙や市区町村長選挙にかける厖大なカネを調達するために官製談合が生まれたのです。

それなのに官製談合を潰したら知事や市区町村長は選挙資金を何処からどうやって調達するのですか。問題は談合がなくなるより前にカネの掛かりすぎる選挙をどうかしなければ解決しないのです。

あなたみたいなコメントは単なるきれいごとで、世の中の進歩には関係のない「世迷いごと」に過ぎません。こんな解説委員のいるメディアには視聴料を払う意欲は出ませんね。

政治に掛かるカネをどうするか。国会のセンセイたちは遂に政治資金を税金から強奪して解決を図っています。カネのかかる原因には手をつけずにです。それなのに知事や市区町村長へは何の手当てもせず、では片「手落ち」も甚だしい。同じ国民の代表じゃないですか。

あなたみたいにきれいごとを言い続けても何も解決しません。国民を混乱させるばかりです。A紙の社説とそっくり。論説委員の自己満足だけであって、社会のためにはクソの役にも立たない。ホントにハラが立つ。空しい電波が更に空しく流れ去った。

2006年12月11日の私のメルマガ「頂門の一針」で毛馬一三(仮名 元政治記者)は次のような事実を暴露しております。

<「あの時の大阪府知事選挙には15億円かかった」と、数期前の知事選で参謀を勤めた府庁幹部0Bからそんな事実を聞いたと、同僚特別職OBが証言する。

御堂筋や北浜など目立つところに設置する選対事務所は、関係の深い大手テナントビル会社から3〜4ヶ月前から無償で借り上げるのが慣例。慣例といえば大阪市長選挙でも前回前までは大手ゼネコンから回り持ちで事務所敷地とプレハブ事務所を廉価で長期調達してきている。

問題は資金の調達だ。15億円もの資金を首長候補者が事前に準備できるはずが無い。有力首長候補者は、OB幹部の選挙参謀を伴って、大手、準大手ゼネコン・設備業界・コンクリート業界・マリコン・大手設計事務所などの代表に「どうかよろしく」と立候補の挨拶回りに専念。全業界が腹を括って走りだせば、15臆円の調達はさほど難しいことではない。

これを突破口に「支援金拠出の要請」に先の参謀たちが日参するのだが、「支援金を出せば見返りは実行される」という阿吽の“見返り契約”が建設業界と候補者・選挙陣営の間で交わされたのだ。>

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2006年12月10日

◆干上がって行く大陸



           渡部亮次郎
「穀物菜食を広めるアートグレン」主宰者井村睦明氏が会員制月刊誌『カレント』2006年12月号に執筆された「バーチャル・ウオーターの現実」によると麦を1トン生産するに要する水は約2000トンだそうだ。

だとすると日本が輸入する野菜の半分は中国からだそうだから、中国の水渇れに日本も相当、責任を感じなければならない、ということにならないか、と井村氏は指摘している。

何しろ、中国の有名な詩人が「白日 山に依って尽き 黄河海に入って流る」と読んだ黄河が途中で干上がってしまう「断流」と言う現象が1972年以降、頻繁に起こっているそうだ。

最も大きな原因は、全長4500キロの流域のあらゆるところで農業用水や工業用水として勝手に大量に採水したから。特に農家は輸出用の野菜だけでなく、急激に発展する大都市向けの野菜、穀物栽培用に大量の水を黄河から採水している。

かくて黄河の断流現象が河口近くで起これば地下水盆に淡水が供給されなくなり、代わって海水が浸入して、河口の土地が塩性化するという新たな問題が起きると言う。

中国では加えてこのところ日照り続きで年に10万トンの食糧が失われている。これは国営通信社新華社が12月8日に明らかにしたものだ。

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◆世にも恐ろしい話

                     渡部亮次郎

2006年12月6日夜、中国研究の権威宮崎正弘さんと話していて「中国のエ
イズ患者が18万人と新華社が報道していましたね」と言ったら「ほんと
は1,000万と国連が推定していますよ」との恐ろしい話。

隣にいた加瀬英明さん(国際問題評論家)が「それじゃ北京オリンピック
の観客に伝染して大問題になるんじゃないの」と指摘したら、宮崎さん
は、中共当局は売春婦を北京以外のどこかに隔離するでしょう、会期中
は、ということだった。

それから2日後の12月8日。アメリカに飛び掛って行った記念日であるが、
産経新聞を見て仰天しながら宮崎さんの話を思い出していた。

<売春婦ら100人「市中引き回し」…庶民反発 中国・深セン市(=土ヘ
ンに川) >という世にも恐ろしい人権無視の話ではないか。

さらし者にするとは「恥を知れ」と言う意図だろうが、恥の文化が中国
にあるとは思えないから、当局の意図が分らない。

<【北京=福島香織】中国広東省深セン市で公安当局が摘発した売春婦
ら100人を「市中引き回しの刑」に処した。売春はもちろん違法だが、
これまで当局も大目に見てきたところがある。

しかも売春婦は貧農からの出稼ぎ組が多く、公権力で見せしめにするや
り方に「ひどすぎる」「人権侵害だ」と同情が集まっている。>

これは後進国。少なくとも最近のアジアでは聞いたことがない。

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2006年12月05日

◆社説は空しい

                  渡部亮次郎

一連の地方におけるいわゆる官製談合事件は、摘発はあっても消滅策はありえないから、頼むから新聞の社説よ、論説よ、取り上げるなと祈っていたのに、産経新聞が5日の「主張」(社説)で取り上げてしまった。

【主張】宮崎県知事辞職 不正の構造に決別はかれ と題したもの。

<官製談合による自治体トップの逮捕、辞職が相次いでいる。福島、和歌山県に続いて、宮崎県の安藤忠恕(ただひろ)知事が辞職した。まさに“談合列島”といえる異常事態を招いている>。

<それにしても、安藤知事の辞職表明は遅きに失した。先月29日に県ナンバー3の出納長が逮捕された時点で、県民の大半は安藤知事が「道義的責任」をとり、辞職するものと予想していたのではないか>。

ここまでは駆け出しの記者でも書ける「経過」。問題は結論である。

<福島、和歌山、宮崎県の官製談合事件の検察・警察当局による摘発で、地方自治体の談合体質が同じ土壌にあることが浮き彫りになった>。

地方自治体でなぜ首長を頂点とした汚職事件が起きるのか、談合体質が同じ土壌となっているのかの事実解明が記述されていない。

<知事と個人的に親しいフィクサーが県政に暗躍する。和歌山の場合は元ゴルフ場経営者であり、宮崎は元国会議員秘書だった。これらの人物は選挙の時に知事に業者を紹介、恩を売って、その見返りに公共工事の入札に業者を参加させるという仕組みのようだ>。

<このような談合構造は、他の自治体でも似たり寄ったりであろう。いまこそ、政官業が巧みに癒着した談合体質からの脱却を図る必要がある>。

そんなことは論説委員殿に指摘されなくても分っている。当事者の首長こそ談合体質から脱却したいのは山々なのだ。他に選挙資金を調達する方法があれば、絶対的なこの泥沼から這い上がりたいはずだ。だが方便がない。

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2006年12月04日

◆分類すれば「ゲテモノ」

                         渡部亮次郎

メイルマガジン「頂門の一針」の1愛読者から、以下の投書を戴いた。霧島昇・松原操夫妻の3女でソプラノ歌手の大滝てる子さんが両親の遺作をオペラ調で歌ったことを咎めたことに対するご「感想」なのである。

<演歌は日本の文化に根ざしている。ご維新から昭和まで突っ走った歴史の裏で泣いた庶民の哀歓が日本の歌調を生んだ。

ワインも日本酒もそれぞれの土壌、文化から生まれており、ブレンドする事は考えない。それぞれに味わうことが普通だろう。

最近、外国の歌手でも日本の歌曲をすばらしく歌う人がいるが(ロスチャイルドの一族の女性)、さすがに演歌は歌わない、いや歌えない。

ワグナーに「夕星の歌」という哀切きわまりながアリアあるが、小節を利かせて歌っても感動は呼ばない。

演歌を音吐朗々とバリトンで歌うことは罰せられはしないがそれは1回だけでお許し願う「座興」に過ぎない。分類すれば「げてもの」に入る。(長岡新太)>

この方は昭和1桁。幼少の頃から、78回転、モノーラルでクラシックを聴き続け、長じてはナマの演奏会を梯子し、多分、家を1軒建てるほどにつぎ込んだという人である。

それほどなのに演歌に関する理解も深いこと。音楽というものを高いところから俯瞰しておられること、日本人としては最高のレベルと言っても過言ではあるまい。

オペラ歌手となった霧島・松原の遺児たちが「旅の夜風」初め両親の遺作を有料で歌うことについて、私は私のメルマガ「頂門の一針」11月10日号で強く非難した。

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2006年12月03日

◆官製談合もはや必要悪

渡部亮次郎

和歌山県知事にして官製談合事件の総括者として逮捕された前知事木村良樹に少なからぬ興味を持つ。汚職をなぜメモにしていたのか、なぜ捜索前に廃棄しなかったのか。

木村前知事は、自治省から大阪府に総務部長として着任。同知事をよく知る大阪府の複数の幹部OBによると、人柄にはなかなかいいものがあったが、やはり中央官僚に有り勝ちな過剰な自負と顕在欲は人一倍のものがあった。それが災いしした。地元における知人友人など人脈構築には一向に気を配らなかったそうだ。自己過信そのものだったわけだ。

総務部長在任中、横山ノック知事の不祥事で知事選挙となった。このとき木村は知事候補に推戴されるのは自分だと信じ込んでいた。
だが、友人も支援組織も出来ていないのだから無視された。結局通産省から大田房江現知事が落下傘候補として出馬し当選。この時木村は「夢破れたり」と極度に落ち込んだそうだ。世間一般からすると落ち込む方がどうかしているが。

エリートを自称する人はどうして世間馬鹿になるのだろうか。エリートじゃない者にとっては分らない。世間が分らない人だからエリートというのだろうか。非エリートとしては、この世は四方八方に引っ張り上げてもらって遊泳できるものだと信じているから、周囲には人一倍、気を遣う。

だがエリートは自分しか信じないものらしく、他人に対する気遣いなどは無駄な努力と映るのだろうか。下で気を遣ってもらえない部下は次第にひそかな敵になって行くものだという世間の構造にも気付かないまま老化して行くようだ。

木村の例で見ると、大阪で「夢破れたり」としょぼくれている時、大阪府に着任直後から親密になったゴルフ場の元経営者の井山義一容疑者(56)が救いの手を差し伸べた。和歌山に地縁の深い井山容疑者の全面的支援を受けて和歌山県知事に当選できた。

世間でゴルフ場経営者というのはウサン臭い人、というのが一般的な評価ではないか。案の定、井山は知事と土建屋の仲介役となり1億7000万円もの仲介手数料をとっていた。そのうちのいくらかを知事に渡していたと自供した。このため木村は今度は収賄容疑で再逮捕されることとなった。

あの絶望の境遇から抜け出させ、知事就任の夢を叶えてくれた井山容疑者は、木村知事に取り最初の「命の恩人」だったというが、真実は吸血鬼が恩人という化けの皮を被っていたに過ぎない。

保守王国の和歌山県での木村県政は、悪評さくさく。再選を阻止する動きが俄に動き始めた。そこで県政界に殊の外実力のあるという海南市の建設会社丸山組の田淵利都会長(80)に頼った結果、木村知事は楽々、再選を果たした。但し田淵は工作に2000万円を使ったから、木村に反対給付を求めた。そこから犯罪が始まった。

この「命の恩人」2人に木村知事は、天の声による公共工事の参入や口利き謝礼の受領役などで、俗にいう「お礼」を施している。井山、田淵という2人の命の恩人は木村の命取りと化したのである。

それにしても木村はなぜ悪業の詳細をメモしていたのだろうか。なぜ捜索前に廃棄しなかったのだろうか。単なるチョンボだろうか。証拠として残し、将来、恩人たちを脅迫でもする心算だったろうか、それとも勉強のクセが抜けなかったのだろうか。

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2006年12月02日

◆宮崎県知事 絶体絶命


                渡部亮次郎

宮崎県官製談合事件で、逮捕された出納長江藤隆容疑者が、談合の指示は安藤知事からのものだった自供したことにより、宮崎県警本部は近く知事の強制捜査に踏み切ることを決めた、と2日付の産経新聞が報じた。

この結果、安藤知事は前門の虎(県警)後門の狼(不信任決議案可決)という絶体絶命の状態となり、自ら「選択肢は3つある」と述べ、10日後の「失職」もあることを1日、示唆した。

<宮崎県議会(坂元裕一議長・42人)は1日、県官製談合事件の一連の責任を問い、安藤知事に対し、本県史上初の不信任決議案を全会一致で可決した。

これを受け、知事は地方自治法178条により10日以内に辞職または議会解散の選択を迫られることになる。いずれの判断も示さない場
合は、10日後に自動的に失職する。

知事は「非常に残念ことだが、議会の判断だから厳粛に受け止める。今後の対応については熟慮したい」としている。>(宮崎日日新聞Web 2006年12月1日)

知事への不信任決議は、岐阜県(昭和51年)、長野県(平成14年)、
徳島県(15年)に次いで今回が4例目。全国都道府県議会議長会によると、過去に都道府県議会が解散されたケースはない。
(Sankei Web 2006/12/01 20:14)

<同決議案は11月29日に決議した辞職勧告を知事が拒否したため、1日午前から全4会派が党議を開き、提出について協議。知事の出納長任命の責任、県政混乱の責任は重大だとの見解で一致し、提出に合意した。決議案は各会派の5議員が連名で提出した。

本会議は午前11時45分に開会した。

提案議員を代表し、徳重忠夫議員が「今回の事件では出納長、土木部幹部職員が逮捕され、県庁舎が家宅捜索されるなど、県行政に大きな混乱を生じさせた」などと提案理由を説明。「最高責任者の知事が自ら辞職する意思がないとするなら、県民を代表する県議会の意志として辞職することを求める」とする不信任決議案の採択に入った。

採択は記名投票で行われた。この結果、全会一致で可決された。11月29日の辞職勧告決議案を採決した際、「知事は関与を否定している」などとして欠席した自民党の2議員だけが今回も出席を見送った。

関与を全面否定している安藤知事は終始、淡々とした表情。閉会後、
「県民の皆さんに再度、おわび申し上げる。知事としての監督責任を痛感している。辞職、解散、失職の3つの選択肢がある。後援会などと相談し、熟慮して結論を出したい」と今後の対応について態度決定を保留した。

坂元議長は「議会の総意、県民の意思として受け止めてほしい。問責決議のときに、できれば出処進退を明らかにしてほしかった。議会は解散も想定している。県民に議会の姿勢を示すことができた」と語った。>(宮崎日日新聞Web 2006年12月1日

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◆辞任必至 宮崎県知事

                渡部亮次郎

<宮崎県議会(坂元裕一議長・42人)は1日、県官製談合事件の一連の責任を問い、安藤知事に対し、本県史上初の不信任決議案を全会一致で可決した。これを受け、知事は地方自治法178条により10日以内に辞職または議会解散の選択を迫られることになる。いずれの判断も示さない場合は、自動的に失職する。

知事は「非常に残念ことだが、議会の判断だから厳粛に受け止める。今後の対応については熟慮したい」としている。

同決議案は11月29日に決議した辞職勧告を知事が拒否したため、1日午前から全4会派が党議を開き、提出について協議。知事の出納長任命の責任、県政混乱の責任は重大だとの見解で一致し、提出に合意した。決議案は各会派の五議員が連名で提出した。

本会議は午前11時45分に開会した。

提案議員を代表し、徳重忠夫議員が「今回の事件では出納長、土木部幹部職員が逮捕され、県庁舎が家宅捜索されるなど、県行政に大きな混乱を生じさせた」などと提案理由を説明。「最高責任者の知事が自ら辞職する意思がないとするなら、県民を代表する県議会の意志として辞職することを求める」とする不信任決議案の採択に入った。

採択は記名投票で行われた。この結果、全会一致で可決された。11月29日の辞職勧告決議案を採決した際、「知事は関与を否定している」などとして欠席した自民党の由利英治、内村仁子議員は今回も出席を見送った。

関与を全面否定している安藤知事は終始、淡々とした表情。閉会後、「県民の皆さんに再度、おわび申し上げる。知事としての監督責任を痛感している。辞職、解散、失職の三つの選択肢がある。後援会などと相談し、熟慮して結論を出したい」と今後の対応について態度決定を保留した。

坂元議長は「議会の総意、県民の意思として受け止めてほしい。問責決議のときに、できれば出処進退を明らかにしてほしかった。議会は解散も想定している。県民に議会の姿勢を示すことができた」と語った。>(宮崎日日新聞
Web 2006年12月1日

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2006年11月30日

◆小沢原理主義の悲鳴

                 渡部亮次郎

「紀伊民報」(11月29日)によれば、木村良樹知事の辞職に伴う和歌山県知事選(12月17日投開票)の告示(11月30日)を目前に、民主党和歌山県連(岸本周平代表)が27日、候補者擁立を正式に断念した。

この結果、知事選は事実上、自民、公明党が推薦する経済産業省OB、仁坂吉伸氏(56)と共産党推薦の元銀行員、泉敏孝氏(69)の一騎打ちとなる公算が強まった。

民主党には、第3の選択肢を期待した有権者から批判が出ている。

独自候補の擁立をあきらめ自主投票とした民主党県連は27日の常任幹事会で、岸本周平代表が党本部の鉢呂吉雄・選挙対策委員長と協議した結果、串本町議の清水和子氏(60)の擁立を断念することになったとの結論を報告した。

岸本代表は清水氏擁立断念の経緯について「知名度が非常に低く短期間の選挙で戦うのは難しい」「惨敗する危険性がある」「負け方によっては致命的なダメージを受ける」などの意見があり、意見を集約することができなかったと説明した。

岸本代表は候補を擁立できなかった責任を取り、県連代表を辞職した。

水面下では清水氏の擁立に向け、紹介する号外ビラ約4万枚を用意し告示前までに配ろうとしていた。ポスターも8000枚印刷する準備を進めていた。県連役員の1人は「有権者に選択肢を与えられなかった責任は大きい。選挙に向けた動きは、これで終わり」と肩を落とした。

民主党県連には27日までに「候補者を出せ」など約100件の抗議の電話があったいう。

紀伊民報は
<民主党の「脱落」で、知事選が低調に終わることも懸念される。自民党県連の下川俊樹幹事長は「うちは粛々とやるだけ。多くの人に仁坂氏の顔と名前を知ってもらえるようにしたい。議員一同精いっぱい頑張っている」と話す。告示日には、石原伸晃・党幹事長代理が応援に駆け付ける予定。

一方、自民党への批判票取り込みで民主党の動向を注視していた泉氏の陣営は「出ると出ないとでは戦略に影響する。談合事件への県民の怒りをどう支持に結びつけるかが課題」と話す。>と報じている。

連絡をうけた民主党本部では、小沢一郎代表が27日、菅代表代行、鳩山幹事長と会談。28日付の産経新聞によれば「残念だったと肩を落とした」そうだ。自縄自縛を露にしたからである。

小沢代表ら3人がが今年5月、知事選や政令指定都市の市長選で、自民党、公明党との「相乗り禁止」を打ち出した結果、組織の弱さに加えて候補者に適材の無い「人材難」を直ちにさらけ出したわけだ。

民主党が政権奪回のきっかけと位置づける来年の参院選では、決め手の1人区で勝利するためには知事選と選挙区が重なるため、自民や公明の支持を持たない知事を作っておくのが先決という理屈。

理屈はその通りなのだが、このように和歌山県の場合は人材難を露呈し、「巨大与党に勝負を挑みたくても、土俵に上がれないのが現状だ」(産経新聞)。

そもそものきっかけは7月の滋賀県知事選で相乗りした候補者が敗北を喫したことだった。このため8月の長野、香川両知事選で独自候補の擁立を断念。今回も和歌山で見送りとなり、戦わずして敗戦という情けないことになった。

そんなことはない、11月12日の福島知事選では勝ったというだろうが、あれは民主党の勝利とは言えない。元は自民党田中派幹部だった渡部恒三の甥で永年、秘書として自民党時代からして30年も地元の面倒を見てきた人物が勝ったのであって、民主党勝利とは牽強付会というものだ。

それでも民主党の相乗り禁止は続く。30年以上も相乗りだった来年2月の愛知県や4月の岩手県知事にも独自候補を出す。小沢代表の地元岩手での勝利は可能性大だろうが愛知の事は分らない。

産経新聞(28日)によれば相乗り知事に支持者を後援会に抱える国会議員からは「あまり相乗り禁止を徹底させないで欲しい(若手)という「悲鳴」が漏れているという。小沢原理主義の犠牲者といえるだろう。2006・11・29

2006年11月29日

◆宮崎県知事の進退



        渡部亮次郎

土木部の談合汚職で揺れる宮崎県では、県議会が11月29日午後、全会一致で安藤知事に対する辞職勧告決議可決したが、当の安藤知事は「知事としての任期をまっとうしたい」などと述べ、辞職の意思がないことを改めて強調した。さて行く末は。

<宮崎県議会は29日の本会議で安藤知事に対する辞職勧告決議を全会一致で可決した。

決議は「県土木部幹部職員が逮捕されたうえ、出納長の事情聴取や家宅捜索で重大な支障が生じている」と指摘。「政治的、道義的責任は極めて重い」としている。>(宮崎日日新聞Web 2006年11月29日)

<これに先立ち安藤知事は29日午前、口頭で辞職を勧告した県議会の坂元裕一議長らに対し、「私も事情聴取を受けるかもしれないが、まったく身に覚えのないこと。少なくとも出納長に指示はしていない。私の責任の取り方は入札制度の改善をしていくことだ。知事としての任期をまっとうしたい」などと述べ、辞職の意思がないことを改めて強調した。

宮崎県庁が再び家宅捜索を受ける中、報道陣の取材に応じる安藤忠恕知事は宮崎市の県庁で、出納長が事情聴取を受けたことについて「非常に残念。管理監督者として責任を感じます」と語った。

官製談合への出納長の関与については「これまで本人に何度も確認したが、『指示はしてませんし、談合にも関与してません』と言うから、私は信じてるよ、と言っていた」。

知事から出納長への指示の有無を問われると、「そんなことするわけがない。機会あるごとに、談合はいかんよ、天の声なんて一切ないんだからね、とずっと言ってきた」と否定した。>(Asahi Com 2006年11月29日14時09分

宮崎県官製談合事件、江藤隆・県出納長を逮捕

 
宮崎県発注の橋梁(きょうりょう)設計業務を巡る官製談合事件で、県警は29日午後7時1分、県出納長の江藤隆容疑者(63)を競売入札妨害(談合)容疑で逮捕した。

県ナンバー3の出納長の逮捕により、県側の逮捕者は土木部長らに続いて4人目、事件での逮捕者は計12人になった。

調べによると、江藤容疑者は、昨年11月に県宮崎土木事務所が発注した県道災害復旧事業の橋梁設計業務の指名競争入札で、二本木由文容疑者(56)(競売入札妨害容疑で逮捕)が社長を務めるヤマト設計(本社・東京)に落札させるよう県土木部長藤本坦(ひろし)容疑者(59)(同)に指示した疑い。

県警は、これまでに藤本容疑者ら県土木部幹部3人と二本木容疑者ら業者7人、元国会議員秘書、石川鎮雄容疑者(68)(同)の計11人を逮捕。土木部長藤本容疑者は「次長だった昨年、ヤマト設計に落札させるように言われた」と、江藤容疑者からの指示を認める供述をしていた。
(読売新聞) - 11月29日19時33分更新

果たして出納長がすべてを被る(身を捨てる)覚悟が出来ているのか。出来てなければ最悪の事態になる。

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◆人生須らく未完成

                       渡部亮次郎

未完成交響曲は、文字通り完成されていない音楽である以上、作曲者が自身の「作品」として発表したことは基本的にはない。また、未完成である以上、「作品」として演奏されることは一部の例外を除き皆無である。

むしろ、交響曲というジャンルにおける未完成作品は、各々の作曲家を研究する上においての資料として扱われる場合の方が多い。

単に「未完成交響曲」と言った場合、普通はフランツ・シューベルトの交響曲第7番ロ短調D.759のことを指すが、シューベルトは有名なこの曲を含めて、交響曲を6曲も未完成ニにして31歳の生涯を終えた。

シューベルトは、現在楽譜が残っているものだけで14曲の交響曲の作曲を試みて6曲が未完に終わっている。

よく演奏されるのは、「未完成」と最後の完成された交響曲である「ザ
・グレート」である。それ以外では第5番もかなり親しまれている。

「未完成」はその名の通り、第2楽章で終わっていることからこう呼ばれるようになった。なぜ未完成となったかは不明である。それにしても美しい曲として人口に膾したので、後世、様々な「説」を成して人々が楽しんでいるといったほうがいいだろう。

私が「未完成」に生涯初めて出合ったのは高校の物理の授業をエスケープして秋田市内の映画館で見たモノクロの外国映画「未完成交響楽」だった。麦秋に白く光る畑を散歩するシューベルト。役者がだれだったかは忘れた。

今でも3日に1度はMDで聴きながら散歩する。本当に美しく、心を洗ってくれる楽曲である。聴きながら人生、須らく(すべからく=すべて)未完成で終わるのが普通だと考えてしまう。

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◆小沢一郎の軌跡

                  渡部亮次郎

昭和60年(1985年) 12月18日 自治大臣兼国家公安委員長(第2次中曽根内閣第 2次改造内閣)就任(初入閣。しかし、以後入閣なし)。

田中角栄に反旗を翻した竹下登、金丸信らとともに派内勉強会「創政会」を結成。のちに経世会(竹下派)として独立する。

昭和61年(1986年) 7月6日 第38回衆議院議員総選挙(旧岩手2区・自民党公認)7期目当選。

竹下内閣では内閣官房副長官に就任(非閣僚)。官房長官に指名されたのは小渕恵三だった。

平成元年(1989年)海部政権で自民党幹事長就任。自由主義体制の維持を名目に経済団体連合会(経団連)傘下の企業から選挙資金300億円を集め、第39回衆院選に勝利するなどの実績から「豪腕」と称された。竹下、金丸が後ろに控えていたから出来たこと。

小沢は党・政府の要職を歴任し竹下派七奉行の1人に数えられルようになった。(皮肉なことだが一時的に担いだはずの竹下登はやがて闇の領袖となり田中支配が竹下支配に衣替えしただけのことになってしまう)。

湾岸戦争に関連し国会で公明党の協力を得るため、東京都知事選挙で党都連が推す現職に代わりNHKキャスター磯村尚徳を擁立したが敗北したため責任をとり党幹事長を辞任。

しかし直後に経世会会長代行に就任。名実とともに派閥のNo.2となり、姻戚関係である竹下、金丸と共に「金竹小(こんちくしょう)」と称される。

だが次第に金丸は小沢に派閥を譲ろうと企図するようになり、竹下との確執を深めていった。

平成2年(1990年) 1月24日 第39回衆議院議員総選挙(旧岩手2区・自民党公認)8期目当選。

海部内閣が政治改革を巡り総辞職を余儀なくされると、金丸から後継首相になるよう説得される。金丸の意を受けた渡部恒三なども必死に説得し、また渡辺美智雄や宮沢喜一などには俺たちは降りるからおまえがやれと言われたそうだが、当時49歳であり若すぎる事を理由に、これを固辞する。

また6月に心臓病(狭心症)で倒れ健康不安説が一時期出た。当時の自民党の力学から言って、小沢が受諾さえしていれば総理になれたといわれる。小沢の政治家人生でもっとも総理に近づいた時であった。

本人は数年後に「あの時はまだ若すぎたし、健康面での不安もあった」と回顧している。

平成3年(1991年)10月10日、自由民主党総裁選挙において派閥として支持する候補者を決定するために、出馬表明していた宮沢喜一、渡辺美智雄、三塚博と自身の個人事務所でそれぞれ面談した。

しかし宮澤や渡辺のような当選回数・年齢も上の者(三塚は年齢こそ小沢より上だが、当選回数は小沢よりも1少ない)を自分の事務所に招いたことは傲慢であると批判された。

このことは後々まで「経世会支配」「豪腕小沢」の象徴的シーンとして取り上げられた(小沢は、「当日はホテルの会場が満室でどこも予約できなかった」と弁明し、宮沢は後に私の履歴書の中で、「支持をこちらからお願いしているのだから出向くのが筋であった」と回顧している)。宮沢内閣成立。

平成4年(1992年)、東京佐川急便事件を巡り金丸が世論から激しい批判を受けて派閥会長を辞任、議員辞職した。後継会長に小沢は竹下派七奉行のうち金丸に近かった渡部恒三、奥田敬和らとともに羽田孜を擁立し、竹下直系の小渕恵三を推す橋本龍太郎、梶山静六らと対立。

当初中立であった参院竹下派に派閥オーナーである竹下自らが関与して小渕支持を決定、この結果として後継会長は小渕に内定した。政争に敗れた小沢は羽田、渡部、奥田らと改革フォーラム21(羽田・小沢派)を旗揚げし、竹下派は分裂した。

野党から宮沢内閣不信任案が上程され、平成5年(1993年)6月18日、羽田・小沢派ら自民党議員39名が賛成、16名が欠席する造反により不信任案は255対220で可決された。宮沢内閣は衆議院を解散した。

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