渡部亮次郎
【北京8日新華網】 胡錦濤・国家主席は8日午後、人民大会堂で安倍
晋三・総理大臣と会談した。(中国政府の公式発表)
http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100002970<胡錦濤主席は、中日国交正常化以来の中日関係の発展を評価。前総理
の靖国神社参拝問題などで悪化した中日関係を修復し、双方の努力で、
長期的に健全かつ安定した関係を築いていきたい、と語った。
胡錦濤主席は今後の両国関係の方向性として、歴史問題や台湾問題を適
切に解決し両国関係の政治的基盤を固めること、投資や技術面での経済
交流を拡大すること、政府および民間の人的交流を強化して双方の理解
を深めること、地域的・国際的な立場からより高度な関係を築いていく
こと、などを挙げた。
就任後初の訪問先に中国を選んだ安倍総理は、中日関係を高く重視して
いることを強調。過去の戦争で中国国民に多大な損害と苦痛を与えたこ
とを深く反省し、平和の道を歩むことを表明した。
「中日経済は相互に影響しあっており、中国の発展が日本の経済回復を
後押ししている。今後は経済だけでなく、文化・教育・人的交流など幅
広い分野での連携を強化し、中日関係を高度な次元に高めていきたい」
と語った。
中日首脳は会談の成果を「日中共同プレス発表」と題した合意文書にま
とめた>。
その第3項が気に入らない。
<3.双方は「日中共同声明」(田中内閣)「日中平和友好条約」(福
田内閣)「日中共同宣言」(小渕内閣)の原則を順守し、歴史を教訓に
しながら共に平和な未来を築いていくことで合意した。>とある。
私はこのうちの日中共同声明と日中平和友好条約については直接関係し
たのだが、声明・条約・宣言いずれも空文化したのが日中関係の現状。
いくらそんなものをまとめても意味がない。極端に言えば、双方の役人
たちがその時々の思惑を形式という包み紙で包んだ空約束の羅列に過ぎ
ないのではないか。
共同声明1972年、平和友好条約1978年、共同宣言1998年。何の変化も改
善も進歩もなかった。まさに賽の河原。それなのに、それを守ることを
今回(2006年)誓い合った、だから訪中成功?冗談も程ほどにしろ。
「日本の進路」(日本戦略の研究会)で佐藤ライザ xkl@104.neさんと
いう方が「北京共産党政権と一般のChinese とを区別して付き合え」と
次のように指摘している。
http://www.geocities.jp/npnxr/<◇ 日本の外交・経済交流(貿易・China 国内への投融資等)に関し
て、相当多くの日本人は、北京共産党政権と一般のChinese とを、ごち
ゃ混ぜ(混同)しているように思われます。
◇ China は1949年来、北京共産党政権が、蒋介石の国府軍等を制圧
(駆逐)して、自分達がChina の主(ぬし)の如く振る舞っています。
彼等は建国後十数年と叫んでおり、過去のChina とは無関係を自ら宣言
しています。
◇ つまり、北京共産党政権のChina は、太平洋戦争(第2次世界大戦)
勝者では、決してありません。理由は、(日本が敗けた)1945年当時、
北京共産党政権のChina は、未だ誕生していないからでありま。かかる
政権が、United Nations(戦勝国連合)の場で、拒否権を有するのは完
全に矛盾しております。
◇ 「現代版封建領主」と言える北京共産党政権は、その権力が強大な
ため、これに反発(反対)している非常に多数のChinese が、「没法子」
(メイファーズ、仕方がない)と当面我慢しているに過ぎません。
◇ Chinese は本質的には「商」の民です。「モノ造り」ではなく「交
易」で財を為(な)すのです。その源流は「史記」の「貨殖列伝」にあ
ります。「カネ」を愛好し本来「共産主義」とは全く相容れません。い
つの日か隙あれば、刷新(革命)をして北京共産党政権を打倒する「切
々たる意欲」に燃えています。
(注) 貨殖列伝: 史記の最後「第69」にあります。Chinese 金銭哲学
の基盤をなす宝庫です。この中に、「農は工に及ばず、工は商に及ばな
い」とあります。しかし日本民族なら、農をバイオ・遺伝子・種子産業
で進展させ、工をハイテク科学技術によって、商を凌駕することが可能
であります。
◇ 日本民族は、かかるChinese と北京共産党政権との水面下の暗闘を
熟知して交流する必要があります。当面、北京共産党政権は中長期に強
いと思われている反面、あっと言う間に崩壊する危険性を孕(はら)ん
でおります。極めて強大であった「秦帝国」は、始皇帝の没後わずか4年
にして崩壊(BC206年)した事実を肝に銘じて置くべきであります。
◇ 同じ「金銭集団」と言われているユダヤ人との最終的な勝負が、そ
れ程遠くないと予測しております。日本民族は、China 国内に踏み込ん
で、投融資・製造販売の拠点を中国に移してはなりません。大損害の危
険が迫っています。シーパワー日本の活路は、海浜(港湾・沿岸)止ま
りの交流に留めるべきであります。>2006/10/10
改めて両国が交わしてきたその文書を読み直すと、約束とくに主権及び
領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び
互恵並びに平和共存の諸原則をいつも破ってきたのは中国であったこと
を改めて知る。
安倍総理の訪中実現で、外務省や政府関係者にはやや楽観的な空気が流
れているやに聞くが、反日をやらなければならない理由が中国側にあり、
それが解消していない以上、警戒をゆるめてはならない。
胡総書記は上海派の排除など、江沢民勢力の追放に成功しつつある。し
かし内部の権力争いは共産党政権の特質であ利、永遠である。「喧嘩は
済みましたか、喧嘩をしなければ互いを理解する事はできません」とか
つて毛沢東は田中角栄首相に言ったではないか。
櫻井よしこさんが「週刊新潮」の連載コラム「日本ルネッサンス」
第234回(2006年10月12日号)で述べている。
<胡錦濤政権は、江沢民前政権より柔軟かつ前向きの対日姿勢をとるだ
ろう。中国はそれでも、国際社会で展開してきた反日情報工作を止める
ことはない点を忘れてはならない>。2006・10・10