頂門の一針 6265号
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2022(令和4年)年 9月19日(月)
Special Masterは任命された:Andy Chang
【変見自在】北海道を守れ:高山正之
“有り得る”レベルを越えた台湾有事:山崎和邦
変わる世界、変わらない日本:三橋貴明
向こうが止めると言わないのだ:前田正晶
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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Special Masterは任命された
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Andy Chang
AC 論説No.910
DOJ/FBIがトランプのマーララーゴ別荘を家宅捜査した事件について、
Special Master(特別裁判官)を任命すると決定したAileen Cannon裁判
官は、DOJ側とトランプ側の主張を勘案した後、双方が任命に同意したNY
州のRaymond Dearie判事を特別裁判官に任命すると発表した。
DOJ側 はDeearie特別裁判官の任命に際し、押収した100件余りの機密文書
の独自調査を継続したいと要求したがCannon判事は要求を却下した。つま
りSpecial Masterが調査している間、DOJは押収した文書を調査すること
や調査結果を理由にトランプを起訴することはできない。一般にDOJ/FBI
は押収した資料をもとにして中間選挙の投票日の前にトランプを起訴する
だろうと言われていたが、それができなくなった。
但し任命されたDearie特別裁判官はDOJが押収した11,000件以上の資料を
概括調査し、資料の重要性と以後の調査の順序を11月30日までに報告する
とされた。FBIが押収した10000件以上の資料のうち、100件ほどは機密資
料とされている。
DOJはトランプ元大統領の個人資料と、大統領特権による所持資料に包括
されない100件ほどの資料は政府のものだから独自に継続調査したいと主
張した。少し詳しく説明すると、トランプ側の主張は大統領は一国の最高
司令官であるから、いかなる文書でも機密を解除する権利があることを憲
法で定められているという。DOJ側は文書の機密設定は文書を作成したそ
れぞれの機関が設定したもの(例えばヒラリーとFBIがデッチ上げたロシ
アゲートの資料?)であるから、機密解除の権限はそれぞれの機関にある
というのである。これが本当なら大統領には機密解除の権限はなくなる。
DOJはこの100件の文書の調査を継続したいと要求したのだが、Cannon裁判
官が下した判定では「もしもDOJが要求するように、これら100件以上の資
料が政府の所有でトランンプの特権ではない。だからSpecial Masterの調
査は意味がないと主張するなら、本官(Cannon)はDOJの主張を却下す
る。」つまりDOJが勝手に独自の調査をしたい要求は受け付けられないと
した。
Cannon法官は更に、「本官はDOJがこのように重要で論争の的となってい
る資料を、第三者が中立で中正な立場で調査しないでもよいというDOJの
結論を受け付けることはできない。」と判定した。DOJ側の決定的敗北で
ある。
この判決の結果、DOJは押収した資料を調査することも、それを使ってト
ランプを起訴することもできなくなった。Special Masterの調査結果の発
表は投票日(11月7日)の後の11月30日である。
しかもこの判決では、DOJ/FBIが家宅捜査で取った行動(30人以上の武装
人員を使った家宅捜査)の調査を続けることができる。しかもトランプ側
の弁護士は、FBIが押収した100件あまりの機密資料の詳細がどんなものか
を調べることができる。つまりDOJが主張している機密資料の中にはトラ
ンプが既に機密解除をした文書があるかもしれないからである。
トランプ側の弁護士によると、FBIが押収したトランプの個人資料、パス
ポートや納税記録、健康検査記録や訴訟問題で弁護士とやり取りしたプラ
イベート資料などは未だにトランプに返還されていない。
FBIはマーララーゴでトランプの弁護士や家族人員を屋外に追い出して9時
間も密室作業で調査したがこの際にFBIが屋内の監視カメラをストップ す
るよう要求してトランプの弁護士に拒絶された。監視カメラの記録はトラ
ンプ側が所有しているがいずれ公開するだろうと弁護士は述べた。
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【変見自在】北海道を守れ
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高山 正之
ロシア辺りに棲むスラブ民族は哀しいほど不幸な歴史を編んできた。
ボルガ川流域に生息した彼らは、西から来た連中に捕獲され、奴隷に売
られた。スラブという民族名はそのまま奴隷(slave)の語源にも
なった。明日の幸せすら信じられない奴隷民族はそれでも頑張ってキリス
ト教に 帰依しキエフに国を建てた。
しかし試練は続く。今度は東からモンゴルが襲ってきて、男は殺され、
女は犯された。米大陸では白人がインディオを犯し、中南米をメスチゾの
国にした。ロシアはその真逆というか、白人がモンゴルに犯され、生まれ
てくる子 はみなレーニン顔になった。
ロシア人はそれも耐えて、白人国家らしく植民地帝国主義の覇者を目指
した。しかしそこでぶつかった日本に大負けして「非白人国家に負けた唯
一の 白人国家」の不名誉を背負った。で、根性悪のロシア人どもは日本
を背後から襲った。世に言うノモンハン事件だが、結果はロシア側の戦車
群がまるまる破壊 され、航空兵力は全滅、将兵1万が戦死した。
対独戦では負けを知らなかったジューコフは「かってない困難な戦い
だった」と敗北を認めた。そこでスターリンはもっと狡い作戦を立てた。
日本がポツダム宣言を受諾し、武装解除するのを待って襲えばロシア軍
でも勝てるはずだと。作戦は武装解除の最終期限、昭和20年8月18日に開
始された。
まず先遣部隊がカムチャッカから千島列島を北から制圧していって釧路
に上陸占領する。ここでロシアの悲願だった太平洋への不凍港出口となる
はずだった。別の一隊は南樺太を制圧したあと、ウラジオストックに待機
中の本隊と いっしょに留萌に上陸。19か所の飛行場を抑えて青森を攻め
津軽海峡を掌 握する。
北海道を盗ったあとは日本海を南下し、明治維新前夜のポサドニック号
以来となる対馬を占領する。これにより「対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡
を抑えて日本海をロシアの 内海とする」(斎藤勉『スターリン秘録』)
予定だった。しかし作戦は先遣隊の緒戦となる千島列島北端の占守島攻略
で躓いた。
「ロシア軍攻撃」の報を受けた第五方面司令官樋口季一郎は「自衛のため
の敵軍撃退」(『樋口季一郎の遺訓』)を命じた。守備隊は再武装し、上
陸するロシア人を叩き、数千人を死傷させた。戦死者は3000人を超し、イ
ズベスチア紙は「甚大な被害」を認め、千島 から釧路への攻略戦は一時
的に止まった。
この間に樋口は「連合軍最高司令官マッカーサーに国籍不明の連合国軍
の不法侵犯を伝えた」(同)電文はソ連を抑えられなかった総司令部を露
骨に非難していた。困った総司令部はAP通信に情報を漏らし、世界にソ
連の非道を知らせた。スターリンは8月22日、北海道占領を諦め、腹いせ
に樺太から留萌に戻 る小笠原丸など引き揚げ船3隻に魚雷をぶち込んで
1700人を殺した。
一方、占守島で後れを取った先遣隊は9月1日、国後に上陸。ミズー
リー号艦上での降伏調印式を挟んで9月3日、「チェチェリン大佐らが歯
舞占拠に出発し、9月4日に上陸した」(同)ロシア軍は降伏調印後に歯
舞色丹を盗ったのだ。
安倍首相はプーチン訪日の折にその辺の時系列を詳らかにしたと聞く。
それでプーチンの機嫌がやたら悪くなった説明がつく。彼は帰国後、9月2
日の対日戦勝記念日を「歯舞を視察した」9月3日にずらしてもいる。ロシ
ア人プーチンの性格の悪さが丸見えだ。
ユダヤ人を救い、そして北海道も救った樋口季一郎。
その偉業を称え、生地の淡路島に彼の顕彰像が建てられ、この10月11日、
除幕される。戦後初の軍服の像だ。
〈新潮社編集部より〉
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在バイデンは赤い』(定価1650円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
『週刊新潮』令和4年9月22日号採録
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“有り得る”レベルを越えた台湾有事
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山崎和邦
日中国交正常化50周年、打ち上がるのは花火かミサイルか?中国の包囲演習で
米国のペロシ下院議長の訪台に激しく反発した中国は台湾包囲演習を行っ
た。もはや台湾有事発生は“有り得る”のレベルを越えたこの緊迫した状況
にも日本には具体的な策が用意できていない(「週報『投機の流儀』」山
崎和邦)
中国の台湾包囲演習が意味するもの米下院議長が台湾を訪問することは過
去にもあったことであり、大騒ぎするほどのことではないと筆者は思って
いたが今回は違った。
中国当局が例の台湾訪問は「座視しない」と公言したために、米中開戦の
端緒かとまで緊張が走った。「中国当局は別の目的があって、この騒ぎを
誘導したはずだ」と言うのは、益尾知佐子・九州大学准教授である(週刊
東洋経済誌9月3日号)。
何故に習近平は、ここで騒ぎを起こそうとしたのか?7月末に中国の中央
省庁の主要幹部を集めて開かれた専門部会では習近平は「闘争意識を堅持
せよ」と幹部にハッパをかけたそうだが、数百人の参加者は誰もメモをと
らずに聞き流した感じだったそうだ(前掲誌の「中国動態」による)。
中国共産党の幹部たちは、習近平の非科学的なゼロコロナ政策や経済政策
に、反感を募らせているという。よって習近平は、党大会に向けて求心
力を高めるために、大衆の支持を集めなければならないから、外部に敵を
作って世論に火をつけるという、ナショナリズムの常套手段をとったのだ
ろう。
今年は中国と日本の国交正常化50周年の年になる。ところが、国交正常化
50周年の現実は、非情に重苦しいものとなるであろう。今後、中国は東シ
ナ海でも日本が主張する中間線を否定するような動きをするであろう。日
中防空識別圏の重複地域と、南西諸島の南方地域が、日中対峙の最前線に
なるのであろう。
台湾有事は日本にも当然、影響を与える中国が台湾を侵略した場合、日本
では“有事へ巻き込まれ論”が出て、米軍を支援しなければ日米同盟は崩壊
することになる。日米同盟が崩壊すれば、日本の安全保障は事実上なくな
る。台湾有事の場合の日本の対応を、現実に考えなければならない時期に
来ている。ロシアという核保有国によるウクライナへの侵略が、半年前に
現実に起きている。台湾有事も「あり得るというレベル」ではない。
ロシアのウクライナ侵略は、台湾有事に直結する。安倍元首相は二十数回
もプーチンに会って親ロ方針を外見上は示したが、今は対ロ経済制裁の主
力な一員となっている中国に対しても貿易上は最大顧客であるが、安全保
障上は日米同盟を重視しなければならないことが当たり前であるから、台
湾有事の場合に、日本にも当然に経済的影響が及ぶ。日本の対応を現実的
に考えなければならない。
そうすると前段階として、米国が検討している中距離ミサイルの日本への
配備の議論をする必要が出てくるこれを日本に配備すると引き金に指を掛
けさせろと主張すべきなのかこのテーマは安全保障の議論の最も上位に存
在する。
現実には中国が南西諸島に攻撃を仕掛けてきた場合の島民の避難計画は今
のところない。中国のミサイル発射を想定して、沖縄にシェルターがある
かというと、それも今は無い。核保有に関する議論は非現実的であるか
ら、それよりも先に避難計画やシェルターを配備するという議論が最優先
である。人口当たりの核シェルター保有数は、日本は西側諸国の中で最も
少ない。
中国は常に軍事力で領土を拡大して来た中国は二千数百年にわたって、全
ての王朝を通じて統一問題に苦しみ、領土的野心を実現できない時代の方
がずっと多かった。紀元前の殷周の時代から今日までの約3000年間の中
で、中国全土が統一された期間はその期間の3分の1以下しかなかった。
そして中国が統一を達成し、領土を拡大した期間は、それは全て軍事的な
力によるものだった。漢民族には団結する一体感がなく、異民族を統合す
る。今日でいうところのソフトパワーも全く無かった。
西洋の場合は、その帝国は中国の場合よりも、民主的で自由な体制に移行
したが、中国はそういう体制に移行しなかった。そのため表面的には統一
を達成して、領土拡張した後も、力による支配が続いていた。現在でもチ
ベットやウィグル自治区にはそういうことが続いている。第二次世界大戦
後のサンフランシスコ講和条約で、台湾の地位を曖昧にしておいたのは、
この複雑な歴史に負うところが大きいと筆者は思う。
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変わる世界、変わらない日本
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三橋貴明
多くの人が気が付いていないでしょうが、本当に、2022年2月24日以
降、世界は様変わりしてしまいました。これまでは「市場に任せればい
い」と、アメリカを覇権国とするグローバリズムの下で「政府の機能を小
さくする」のが当然とされていたのが、一気に巻き戻しが始まった。
EU(欧州連合)のフォンデアライエン委員長は、9月14日、電気料金
の値上げで利益を得ているエネルギー企業から、総額1400億ユーロ(約20
兆円)超を「徴収」し、消費者還元や企業支援に充てると発表しました。
フォンデアライエン委員長は、「消費者の陰に隠れ、戦争で桁外れの利
益を得ることは間違っている」と、発言しましたし、そりゃその通りだと
思いますが、そもそも「市場原理」とやらに従うならば、エネルギー企業
がどれほど巨利を得たところで、問題視する方がおかしい。
エネルギー価格高騰で国民や企業が困っても、そりゃ「自己責任」という
話じゃないの?と、皮肉の一つでも言いたくなります。結局のところ、
我々人間は、国家という共同体のパワー無しでは、現在の生活レベルを維
持することは不可能なのです。
わたくしがボートをこぎ出し、インドネシアやオーストラリアに赴き、天
然ガスを液化し、LNGとして日本に持ち帰り、発電機に投入して、電気
を使う、などということはできないのですよ。
電気を使うためには、「他の日本国民」に発電はもちろん、送電、配電
までをも依存するしかない。この種のサービスを維持するためには、「国
家」という共同体が「権力」を振るうしかない。この「リアル」に、日本
に蔓延する「市場原理主義」「小さな政府主義」の連中は、いつまで抗え
るのでしょうかね。
現在の日本のコストプッシュ型インフレは、輸入財の「価格高騰」と
「円安」と、二つの理由で起きています。(大ざっぱに言うと、価格高騰
と円安の影響は6対4程度です)。根本に立ち返って考えると、「輸入財
の価格高騰」が問題だというならば、食料自給率やエネルギー自給率の引
き上げのために、政府が財政支出するしかない。
円安が問題だというならば、財務省が外貨準備で介入すれば済む。日本
の外貨準備は1.3兆ドルにも達しています
もっとも、本当の問題は「コストプッシュ型インフレ」により、我々の可
処分所得が減っていることです。というわけで、可処分所得減少を補う消
費税減税(できれば廃止)ガソリン税廃止、給付金といった議論を始めな
ければならない。何しろ、他の国は普通にやっている。
『自民幹部、30兆円超の対策必要 物価高、 円安で自民から注文相次ぐ
物価高や急激な円安を受け、自民党から政府への注文が相次いでいる。自
民の萩生田光一政調会長は15日の党会合で30兆円超の対策が必要だとの認
識を示した令和3年度補正予算が「真水」と呼ばれる政府支出額で30兆円
規模だった ことを挙げ、「物価高、世界経済の後退、円安を踏まえる
と、昨年よりき め細かい対策が必要だ」と主張した。
物価高をめぐり、党内では政府の対応にいらだちがくすぶっており、今
後、岸田文雄首相に対する圧力が強まりそうだ。政府は10月に総合経済対
策をまとめ、4年度第2次補正予算案を編成する方針だ。萩生田氏は15日の
会合で、こうした政府対応を踏まえ、政調の各部会長に対し議論を始める
よう求めた。
萩生田氏によると、首相は今月末に「柱」を含めた対策の策定を指示し
た後、党の議論を始めるスケジュールを描いていた。だが、萩生田氏は14
日夜、首相と都内で会談した際に「一刻の猶予もない」と直談判し、議論
の前倒しを提案。首相の了承を得たという。関係者によると、15日の安倍
派(清和政策研究会)の会合で、世耕弘成参院幹事長が「物価高対策 の
スピード感が遅すぎる。補正予算は30兆円が『発射台』だ。安倍晋三 元
首相がここにいたら『大規模な補正予算を迅速に』と論陣を張ってい
た」と強調した。(後略)』
財務省は、概算要求の「事項要求」の予算が積みあがるのが確実な状況
で、さらなる補正予算など「とんでもない」と、財政破綻論の拡散をやっ
てくるでしょう。通常予算における防衛費の拡大にしても「つなぎ国債」
にして「増税」で償還するというスタイルを(全く意味がないというか、
有害であるにもかかわらず)採ってくると確信しています。
皆様、是非とも今後、直接的に国会議員に質問する機会があれば(その
気になれば、意外とある)、「国債を発行して、国民を救わないのはなぜ
なのか?」と、質問してください。相手は、「いや、国の借金をこれ以上
増やすのは〜」と返してくるでしょうから、
「日本銀行が買い取れば終わりでしょ。というか、実際に2013年以降、
400兆円以上買い取ったでしょ。何が問題なのですか?」と、追及してく
ださい。相手は、吃驚するくらい「数字」を知らない。数字を知らずに、
印象で話しているに過ぎないのです。(正直、日本人って、ここまでバカ
なのか・・・・、と、毎度毎度思う)
結局のところ、ポイントは先日の城内実議員のセリフの通り、「気が付
くか、否か」なのです。
http://mtdata.jp/data_81.html#kokusai
これが現実であるにもかかわらず、「クニノシャッキンは返済しなけれ
ばならないんだ〜っ!」といった思い込みで日本国が亡びるとなると、さ
すがに先祖にも子孫にも顔向けできませんよ。
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向こうが止めると言わないのだ
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前田正晶
プーチン大統領は「向こうが止めると言わないのだ」と言った:
私はこのプーチン大統領がインドのモディ首相に向かって言ったと報じら
れた一言に興味を感じた。我々と欧米人(白人としても良いと思うが)と
の思考体系と物事の考え方の違いが非常に良く現れていたからだ。
プーチン大統領は「ウクライナとの戦争を止めなさい」と言われて「向こ
うが止めると言わないのだ」と答えたと報道されたことを取り上げたの
だ。我々の理解と認識では「侵攻を開始したのはロシア側」である。その
ような状態で始まった戦争を、ウクライナが「止めない」と宣言すること
があり得るとは思えないのだ。それでも、プーチン大統領は「ウクライナ
側」の責任の如くに言うのだ。
私はこの辺りに白人の世界というか、ヨーロッパやアメリカの人たちの我
が国の思考体系にはあり得ない「自らの非を潔く認めずに、悪いのは先方
である」と決めつける物の考え方が見えていると思って聞いた。拙著「ア
メリカ人は英語がうまい」の中でも「海の向こうの謝らない面々」と題し
て、この辺りの文化と思考体系の違いを表現した。
即ち、プーチン大統領は事がここまでに及んでも「戦争を止めない非はウ
クライナ側にある」と平然としてインドの首相に言うのだ。私はこのこと
はプーチン大統領が途方もない鉄面皮であるのではなくて、彼らの世界で
は当たり前のことであり、彼らはそのように物事を考えているのだという
思考体系の表れに過ぎない。マスコミもこの発言を取り上げるのならば、
この彼らの「自らの非を認めず、謝罪などしない文化の表れ」と解説して
おいて欲しかったと思っている。
ここで強調しておきたかったことは、「我が国のように常に潔く綺麗に対
処して『自らの非を認める』のは、我が国の文化であり美徳であると思
う。だが、この綺麗な姿勢は先ずヨーロッパやアメリカの人たちには「美
しいとは認識されず、矢張り非を認めたか」と解釈されるのだと考えてお
くべきだろう。
“I am sorry.”と言うな:
彼らの思考体系には「自分たちが悪う御座いました」と認めることは先ず
ないのだ。この思考体系が最も良く現れているのが“I am sorry.“という
謝り方はしない点だ。それは、ビジネスの場以外でもそう言ってしまう事
は「私が悪かった。如何なる経済的な補償要求にも応じるから、お許し
を」と認めたのと同じ事になるからだ、彼らはこのように考えているのだ。
彼らの自分たちの過ちを認めない態度は、彼らが傲慢な訳でも、責任感が
無いからでもなく、自分たちを防御するためにそう言い方しか出来ない頭
脳造になっているだけのことだと認識しておく必要あるのだ。
私は別に「彼らはそういう人種だから認めてあげなさい」などと言うつも
りはない。彼らの我が国とは正反対の思考体系を承知した上で交渉に臨ま
れれば、腹を立てること無く、彼らを説得して話し合いを進めることが出
来ると言いたいのだ。私は彼らが“We regret such an accident
happened.“と言ったならば、最大限自らの非を認めたと解釈して頂きたい
と、我が国の取引先に申し上げてきた。
だから、例えばアメリカにでも行って、何か事件にでも出会ったしまった
ときに、素直に自分から“I am sorry.”などと言ってはならないのである。
こういう違いがある以上、プーチン大統領がインドの首相に勧められても
「では、戦争(侵略)を止めましょう」と言わないのは、ごく普通の現象
であり彼が傲慢である事にはならないとは思う。
アナウンサーは“Gone!”と絶叫する:
これは大谷翔平がホームランを打ったときに、アメリカのアナウンサーが
叫ぶ台詞。即ち、我が国のアナウンサーが「打球が入りました」とホーム
ランを形容するのに対して、アメリカでは「ボールが行っちゃった」と形
容するのだ。この辺りは私が「逆さの文化」と表現してきた物の考え方の
違い出ていると思って聞いている。
アメリカでは「観客席にボールが行ってしまった」と言うのに、我が国で
は「観客席に入りました」と正反対(誰が何時から「真逆」と言う事にし
たのか)の見方をしているのが興味深いのだ。
この一言だけで断じるのどうかなとは思うが、ダルビッシュがMLBに行っ
て2〜3ヶ月経ってから「何か異種の競技をやっているのかと思った」と
語ったように、彼はMLBではbaseballをやっているのに対して、NPBでは
「野球」をやって来たことに衝撃を受けたのだった。
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重 要 情 報
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◎◇◆◇唸声の気になるニュースとストリートビュー 2022年9月18日◇◆◇
▼唸声一行日誌/今週の気になったことを一日一行に
09/12(月) カナダで山火事拡大、バンクーバーの大気汚染世界一、中国は?
09/13(火) NY連銀ガソリン価格急落でインフレ懸念低下、どこが電気自動
車・・・
09/14(水) 米上院議員、ロシアをテロ支援国家に指定する法案、バイデン
は反対
09/15(木) 北朝鮮の駐英大使が女王の国葬へ参列、国交有るので・・・
09/16(金). IAEA理事会、ロシアにザポロジエ原発撤退要請 露中反対
09/17(土) 漂白剤カレー先生を生み出す日本の教育界?自衛隊研修が必要か
09/18(日) 防衛費財源に法人税 金融所得、たばこ増税も検討と考え浅し
今週号は以下をご覧下さい
https://ameblo.jp/unarigoe/entry-12764874323.html
今週の一言
岸田首相は就任時に金融課税強化を話して株価を落としたことを忘れてし
まったのでしょうか?今回の防衛費に関しては国民が等しく負担すべきこ
とです。取りやすいところから取るのであれば、国防債でも発行してはど
うでしょうか?法人税を上げるのであれば、日本企業がさらに弱くなり、
世界と勝負ができなくなりますし、共産党と同じやり方では岸田首相の支
持率は益々ダウンします。特に貯蓄から投資へとのキャッチフレーズは岸
田首相の資産所得倍増プランだった筈、それなのにそこから税金を取ると
言うのは、あまりにもセンスがなさすぎですね。
唸声千流<扇子なき岸田首相の夏終わる>
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身 辺 雑 記
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19日の東京湾岸は晴。
渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。
元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。
仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。
兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。
渡部 亮次郎
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渡部 亮次郎