2022年08月25日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6240号
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   2022(令和4年)年 8月25日(木)


            セピア色の平和主義:兼原信克     

      左翼ウイルスから国民を守る方法:伊勢雅臣

        コロナ禍の自殺者増の「救い」:桂春蝶

       予測される執行部入りの顔ぶれ:宮崎正弘 
                 

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「セピア色の平和主義」
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        兼原信克


【令和の国難】冷戦中と同じ議論を反芻するだけの国会は「セピア色の平
和主義」米国も一蹴できない中国の実力行使令和の国難≠ナ問われる日
本人の目覚め 

習近平主席率いる中国軍は、日本のEEZに弾道ミサイルを撃ち込んでき
た(共同)

1945年8月、日本は敗戦した。大日本帝国は崩落した。国土を灰燼(かい
じん)に帰した第二次世界大戦は、日本人の心に赤心の平和主義を生ん
だ。GHQ(連合国軍最高司令部)は、日本を完全に非武装化しようとし
て、ダグラス・マッカーサー元帥は憲法9条2項の完全非武装条項を書いた。

朝鮮戦争に慌てた米国は、日本再武装にかじを切るが、最盛時1000万人を
動員した帝国陸海軍の復活には警戒心を緩めなかった。その一方で、ソ連
は、米国との同盟断絶と自衛隊の徹底した弱体化を望んだ。

冷戦の強い磁場の中で独立を果たした日本では、ソ連の利益を代弁する日
本社会党が立ち上がり、対抗して日米同盟を基軸とする自由民主党が立ち
上がった。東西ドイツ、南北朝鮮のような国家分断を幸いにも免れた日本
であったが、国内政治が真っ二つに割れた。安全保障に関する限り、国民
的コンセンサスは生まれようがなかった。

日本社会党は、ソ連の利益を代弁して「非武装中立」を掲げた。大戦中、
200万人の将兵と100万人の民間人の命を奪った米国に対する怒りは、日米
同盟締結を強行した吉田茂首相の決断にもかかわらず、灰の下の炭火のよ
うに熾り続け、左派の反米スローガンと結びついた。戦後の平和主義には
「ソ連の利益」と「反米感情」が紛れ込んだ。

あれから三四半世紀がたつ。昭和は終わり、平成から令和へと時代は移っ
た。北朝鮮は核武装した。超大国・ソ連は崩壊し、後を襲ったロシアはウ
クライナを侵略し、核の恫喝(どうかつ)さえいとわなくなった。

そして何より、貧しく小さかった中国が日本の3倍の経済力を誇るように
なった。その軍事費は25兆円を超え、日本の5倍である。2030年までには
核弾頭を1000発保有すると言われている。もはや米国でさえ一蹴できる国
ではない。

その中国が、台湾への野心を公言するようになった。沖縄県・尖閣諸島に
対する実力行使も始まった。ケ小平氏の遺訓を破り、習近平国家主席は
「3期目」に突入しようとしている。フィリップ・デービッドソン前米イ
ンド太平洋軍司令官は、数年のうちに中国は米国と軍事的に勝負する力を
蓄えると議会証言した。

日本の若者は、自分の将来を見据えている。そして、急速に現実主義化し
ている。「自分の国を自分で守る」にはどうしたらよいのかと、真剣に考
え始めている。

しかし、国会では冷戦中と同じ議論が反芻(はんすう)されるだけであ
る。色とりどりの官公労の旗が国会を取り囲み、シニアな活動家のシュプ
レヒコールが叫ばれる。すべてがセピア色に見える。日本はどうやって
「令和の国難」に対処するべきなのか。日本人の「目覚め」が問われている。

■兼原信克(かねはら・のぶかつ)1959年、山口県生まれ。81年に東大法
学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策
局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副
長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、
同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール
勲章受勲。著書・共著に『戦略外交原論』(日本経済新聞出版)、『安全
保障戦略』(同)、『歴史の教訓』(新潮新書)、『日本の対中大戦略』
(PHP新書)、『国難に立ち向かう新国防論』(ビジネス社)など。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年8月23日採録

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左翼ウイルスから国民を守る方法
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           伊勢雅臣


 我が国の政治経済の停滞は、左翼ウィルスに感染した不幸な国民が多い
から。

■1.「どう見ても不幸そうにしか見えない左翼老人たち」

 安倍元総理の暗殺事件から、いつのまにかテレビのワイドショーは自民
党と旧・統一教会の関係一色になりましたウクライナの戦争、中国の台
湾威嚇など世界にはもっと多くの深刻な問題があるのに、それらには目も
くれず、何週間も微に入り細に入り論じ続けている様を見ると、たいした
新情報もないのに、これだけ時間を持たせるのは、さすがに「プロは凄い
な〜」と感心してしまいます。

 ひな壇には何人ものゲストが並んで、「こういう点はもう少し事実を明
らかにしないと」などとしたり顔で述べていますが、司会者や解説者も含
めて、どこか不満げな表情です。

 こういう光景を見ると、数年前にベストセラーになった森口朗(もりぐ
ち・あきら)氏の『左翼老人』の次の一節が思い浮かびます。
__________
どう見ても不幸そうにしか見えない人の群れがあります。それが左翼老人
たちです。町で「憲法改悪反対!」「9条を守れ!」「戦争法制定反
対!」「安倍独裁を許さない!」と言いながらビラを配っている人を見か
けたら、その人たち(大抵は老人です)の顔を見てみてください。私には
皆さんの顔が、幸せとは無縁のように見えてしまいます。[森口H31、1,769]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 町で「9条を守れ!」というビラを配っている人たちと、テレビのワイ
ド・ショーで旧・統一教会ばかり論じている人々は、「幸せとは無縁」と
いう意味で、よく似ています。森口氏の本は新型コロナウイルスの前に出
ましたが、両者とも「左翼ウィルス」の患者であると考えると、その原因
がよく理解できる、と思われました。


■2.「幸せな老人は『世界の中で相対的に良い日本を益々良くしたい』
と言う人」

 左翼ウィルスにかかると、人は不幸になります。そもそも利他心の強い
人ほど左翼ウィルスに感染しやすいのです。しかし、共産主義革命とは実
現不可能な空論のため、感染者たちの利他心は決して満たされません。共
産主義で利他心を鼓舞されながら、決して満たされない。これが左翼ウイ
ルスに罹った人が不幸になってしまう原因です。

 それに対して、森口氏は「幸せな老人は『世界の中で相対的に良い日本
を益々良くしたい』と言う人」と定義しています。[森口H31、1,916] 
「世界の中で相対的に良い日本」という肯定感を持ちつつ、さらに「良く
していこう」という利他心を持ちます。そして自分の周囲の「一隅を照ら
す」ことで、他者に感謝され、達成感、貢献感を持つことができます。

 こういう小さくとも幸福への確かな道に比べると、左翼ウイルスは宿主
に、現状に対する怨嗟と未来に対する絶望をもたららすことがよく分かり
ます。


■3.左翼ウィルス感染による症状

 左翼ウィルスに感染すると、どのような症状に苛(さいな)まれるのか、
森口氏の著書を参考にして、弊誌なりにまとめてみましょう。以下の4つ
の症状が現れます。

1)自分たちだけが正しいと信じて疑わない

 左翼、厳密に言えばマルクス主義者は、これを「科学的共産主義」と称
して、自分だけが正しい「科学的」な理論を知っていると信じて疑いませ
ん。そのため、自分に反対する人間は、どうしようもない馬鹿者か、魂胆
のある悪者か、と見えてしまいます。そこで共産主義国家は例外なく一党
独裁を敷き、反対者は処刑するか、収容所に入れます。

 左翼ウイルスが蔓延してしまった国では、議会制民主主義そのものが存
在できません。我が国においても、たとえば「憲法改正」を封じるため
に、改正の議論そのものを封じたりします。

2)目的は手段を正当化する

 共産主義革命を実現するという「目的」のためには、すべての「手段」
は正当化されます。革命のための「反動」勢力を打倒することは、どんな
手段を使っても「正しい」とされます。「人に暴力を振るったり、嘘をつ
いてはいけません」という道徳的判断は、封建的道徳に縛られた「遅れ
た」態度と軽蔑されます。

 朝日新聞が頻繁に誤報、虚報をまき散らしているのも、「嘘をついては
いけない」という「封建的道徳」に縛られていないからでしょう。

3)敵を作り、憎悪を燃え上がらせる

 労働者階級が貧しい生活をしているのは、資本家階級に搾取されてい
る、と信じ込みます。大企業、資産家、自民党、アメリカは打倒すべき敵
です。自衛隊や警察は彼らの「手先」です。これら資本家階級とその手先
を打倒しなければ、理想の社会は実現できません。

4)社会的弱者は利用するが、助けない

 社会的弱者、たとえば貧困者は、現在の政治の問題点を糾弾するための
格好の事例となります。森口氏はこう指摘しています。
__________
 格差が広がり人々が貧困で苦しむことが革命のパワーですから、下手に
福祉で暮らしが楽になられると困るのではないでしょうか。それゆえ左翼
政党は弱者のために基本的には働きません。彼らは自分たちの活動を支持
してくれる組織化された人々、具体的には労働組合のために働くのです。
そして、日本の労働組合の組織率は官公庁や大企業で圧倒的に高い。労働
組合を持たない零細企業の労働者やフリーターなど、彼らの眼中にはない
のでしょう。[森口H31、983]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 左翼ウイルスに掛かると、こうして他者の違いを許さず、伝統的道徳を
否定し、憎悪を燃え立たせ、弱者に対する思いやりも忘れた人間になって
しまいます。そんな人間が幸福になれる訳がありません。


■4.左翼ウイルスが国全体を不幸にする

 このように、左翼ウィルスはその宿主を不幸に追い込んでしまうのです
が、そうした感染者が社会の多数を占めるようになると、国自体が不幸に
なります。森口氏はこう指摘します。
__________
日本は、先進国なのに老人が左翼思想から卒業できない異様な国です。そ
れだけならば世界の笑いもので済みますが、少子高齢化のせいで老人の投
票数が多いままのため、政治が停滞し、行政は古臭いまま、経済も発展で
きない国になってしまいました。[森口H31、2,296]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 政府は左翼老人の票が離れることを恐れて、自らが採るべきと考えてい
る政策を大胆に打ち出せず、野党は政府の揚げ足とりしかできない。それ
が政治と経済の停滞の原因だというのが、森口氏の見立てです。


■5.データが示す年代別感染状況

森口氏は「左翼老人」を、データによって裏付けようとしています。氏が
示している朝日新聞の2018年8月時点の第二次安倍政権への内閣支持率を
まとめると、こうなります

 29歳以下  支持率56%、不支持率22%
 30〜39歳 支持率39%、不支持率32%
 40〜49歳 支持率38%、不支持率41%
 50〜59歳 支持率34%、不支持率49%
 60〜69歳 支持率28%、不支持率54%
 70歳以上  支持率38%、不支持率45%

 この分布を見ると、「左翼老人」という呼び方は概括的に過ぎると思わ
れます。60〜69歳を底として、それより高齢の70歳以上は安倍政権 支持
率が高く、またそれより若い層は、わずかづつですが支持率が上昇 し、
29歳以下で跳ね上がっています。

 安倍政権に対する支持率の最も低い60〜69歳は、左翼ウイルスが最 も
猛威を振るっていた時代に青春時代を迎えた、気の毒な世代です。69歳を
例にとると1949年生まれの団塊の世代で、1968〜69年の大学紛争、そ し
て翌1970年の安保闘争の年に大学生でした。

 20歳前後の多感で利他心も旺盛な年代に、多くの青年が左翼ウイルスに
感染し、明日の共産主義革命を夢見て、大学紛争や安保反対運動に走った
のです。そしてソ連が崩壊した1989年には40歳前後。すでに左翼ウイルス
が骨髄まで浸透して、立ち直りもできなかったのでしょう。

 この年代以降は、安倍政権支持率が徐々に上がってます。若かりし頃に
ソ連崩壊を目撃し、その後の1999年の国旗・国家法や徐々に進んだ歴史教
育の正常化などの効果が、少しづつでも現れているように見えます。

 これが29歳以下の青年層は一挙に56%と15ポイントも上がっています
が、1989年以降の生まれで第二次安倍政権誕生の2012年末には23歳以下。
ちょうど大学を卒業する頃に、アベノミクスが生み出した失業率の劇的な
低下の恩恵を被った層です。経済的にも恵まれただけでなく、精神的にも
左翼ウイルスの感染からかなり免れることができた幸運な世代です。

■6.「オールド・メディア」が左翼ウイルスの主要感染源

 左翼ウイルスの感染者は確実に減少しつつありますが、その感染源を断
つことが、さらに不幸な感染者を減らしていく為に必要な手段です。その
感染源は主に、以下の二つであると考えます。

・学校教育
・新聞、テレビなどの「オールド・メディア」

 学校教育では弊紙で何度も論じているように、左翼ウイルスをまき散ら
している歴史教育の正常化が必要です。若年層の感染を予防するには、学
校教育という感染源から、子供たちを隔離することが必要なのです。この
面では、弊誌1276号、77号「歴史物語による歴史教育再生(上・下)」をご
覧ください。

 また、新聞やテレビをオールド・メディアというのは、インターネット
のニュー・メディアに対してです。幸い、ニュー・メディアはオールド・
メディアほど左翼ウイルスまみれではなく、若いほど安倍政権支持率が高
かったのも、オールド・メディアとの濃厚接触が少ないことも一因でしょう。

 森口氏は「情報ソースによる支持率格差」をデータで示しています[森
口H31、1,233]。朝日新聞が2018年7月に発表したデータでは、政治や社会
の情報入手先によって、安倍内閣支持率が大きく変わっている、という実
態が明らかになっていました。

 SNS          支持率48% 不支持率22%
 インターネット・ニュース 支持率42% 不支持率38%
 テレビ          支持率38% 不支持率41%
 新聞           支持率32% 不支持率54%

 森口氏はこのデータから「新聞、とりわけ朝日新聞のような偏ったメ
ディアからしか情報を得ていないから反安倍報道に騙される」と解釈して
います。朝日新聞の過去の数々の誤報虚報の歴史から見て、私も同感で
す。[JOG(1216)、JOG(1181)]

 ここから、特に高齢者層に多い左翼ウイルス感染者を治療するには、ま
ずは主要な感染源たるオールド・メディアとの濃厚接触を避けることだと
いうヒントを得られます。[森口H31、1,983]

■7.左翼ウイルス感染者への治療薬

 オールド・メディアからの感染をどう防ぐか。まず、左翼ウイルス感染
者は、自分が感染しているという自覚がないので、いきなり「あなたは感
染者だ」と注意しても、反発を買うだけです。

 そこでテレビのワイド・ショーを好きな感染者の方には、森口氏はフジ
テレビの「ワイドナショー」をお勧めしています。この番組では、かつて
ダウンタウンの松本人志氏が登場して、安全保障政策に対して「ただ反対
しているだけで対策が全然見えてこない。このままでいいと思っているの
なら、完全に平和ボケ」などと発言していたそうです。[森口H31、1,983]

 もう一つお勧めしたのは、読売テレビの「そこまで言って委員会NP」
です。こちらはインターネットで公式無料動画を視聴できます。

 たとえば最近では、ウクライナ戦争をテーマに、「戦場カメラマン」宮
嶋茂樹氏の迫力ある現地取材レポートに対して、別のゲストが「戦争を早
く止めるために、西側の武器供与をやめるべきだ」などという日本的平和
論者が論戦を挑んだりしています。こういう論戦は、左翼ウイルスによる
平和ボケには格好の治療薬です。[ytvMyDo!]

 また左翼ウイルスまみれの新聞、たとえば朝日新聞を長年購読してきた
人には、森口氏は新聞の購読時に配られる景品を利用する方法を提案して
います。「今ならこの新聞に切り替えれば、こんな景品を貰えますよ。つ
まらなければ3カ月後に朝日新聞に戻ればよいじゃないですか。その時
は、朝日新聞からも景品がもらえるのですよ」とお勧めするのです。

 この方法で氏から他の新聞を勧められた人は、改めて朝日新聞の偏りに
気がついて、「前までは日本中に市民団体が沢山あると思っていたけど、
あれって朝日新聞が数十人程度の集会を大げさに報道していただけなんだ
ね」と嬉しそうに話してくれたそうです。

 左翼ウイルスは感染者が減っていけば、自ずから感染力も減っていきま
す。こうして現在の朝日新聞の購読者、すなわち濃厚接触者を減らしてい
くことが、日本全体を少しでも健全な状態に戻すための「一隅照らし」と
なります。朝日新聞もこうして購読者を減らしていくことで、いつか左翼
ウイルスから立ち直るかも知れません。

 主要先進国で、共産党が国会で議席を持っている国は日本とフランスの
みで、フランス共産党はすでに衰亡の危機にあると言います。それだけ、
我が国は左翼ウイルス対策で、主要先進国から何周も遅れをとっているの
です。

 左翼ウイルスに汚染されて政権の揚げ足とりしかできない左翼政党や
オールド・メディアから早く解放されることが、政治・経済を活性化し、
国民、なかんずく青少年が活き活きとそれぞれの人生に前向きに取り組
む、幸福な国になる近道なのです。

            
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コロナ禍の自殺者増の「救い」
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        桂春蝶

【桂春蝶の蝶々発止】コロナ禍の自殺者増の「救い」とは極限の中の極限
「千日回峰行」を2度満行酒井雄哉師の噺 

「比叡山千日回峰行」を2度達成した大阿闍梨、酒井雄哉さん

2020年3月から今年6月にかけて、新型コロナウイルスが流行した影響
で、国内で自殺者が約8000人増えた―という試算を東京大学などのチーム
がまとめたそうです。コロナ禍で、先行きに不安を覚えたことも理由と思
われます。

私は、孤独や不安を抱えた方々の「救い」とは何だろうと考えます。もち
ろん、「笑い」はその1つでしょうし、何かしら「安心する言葉」に触れ
ていただくのもいいと思います。

よくあるポジティブ論もいいですが、私は「悲しい時は、悲しい言葉が寄
り添うべきだ」という思想の持ち主です。

『置かれた場所で咲きなさい』というベストセラーもありますが、置かれ
た場所が、自分が選んだ場所でなかったらどうでしょう? 理不尽に厳し
い場所に置かれた…それを我慢して自己実現しろというのは、逆にこの言
葉が人を追い詰めていくことになる気もします。

「乗り越えられない壁はない」とも言いますが、乗り越えられないのでは
なく、乗り越えたくない壁もある。

同じような苦しみを抱えた人が、死の一歩手前で感じた境地、それは多く
の人々に共感を届けると思います。

大きな悩みを抱えている方々に知ってほしい、ある僧侶の話があります。
北嶺大行満大阿闍梨、酒井雄哉さんです。

みなさんは、「比叡山千日回峰行」をご存じでしょうか? 比叡山に点在
する260カ所の礼拝場を7年かけて回る行です。3年目までは1日30キロを
100日間(=とてもアップダウンが厳しい山道です)。4、5年目は1日30
キロを200日間。6年目は1日60キロを100日、7年目は「京都大回り」と
いって1日83キロを100日間。その間に「堂入り」といって、9日間の飲ま
ず食わず、寝ず、横にならず、読経を繰り返す儀式もあり、常に「死」と
隣り合わせの行があるのです。

酒井さんは、「この行で何か得たものは」と問われ、「特にない、しか
し、満行したから今の自分がある」という言葉を残されました。

酒井阿闍梨は戦争体験や、度重なる事業の失敗、妻の自死など、俗世での
諸々を経て、40代から千日回峰行に挑まれた。そして、50代で2度目の千
日回峰行を修(しゅう)されます。

私はこの方の人生に惹きつけられ、約90分の創作噺をつくりました。極限
の中の極限を超えた人だからでこそ、見える景色、伝えられる言葉があ
る。哲学の詰め合わせとも言えるこの一席は、大団円に「気付きの涙」へ
と帰結します。
9月27、28日、午前10時から、大阪市北区の天満天神繁昌亭で、『行と
業〜わたしは千日回峰行を生きました』という一席を心を込めて演じま
す。詳しくは私のホームページまで。あなたの心を癒す処方箋となること
を約束いたします。

■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二
代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目
桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風
で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市
の「咲くやこの花賞」受賞。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年8月23日採録

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予測される執行部入りの顔ぶれ
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月23日(火曜日)
         通巻第7436号  <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
中国共産党大会目前、予測される執行部入りの顔ぶれ
  蔡奇、李強、李希、胡春華、陳敏爾、李鵬忠らが政治局常務委員入り?
*******************************

 8月22日時点のチャイナウォッチャーたちの予測で複数重複人名があ
り、政治局常務委員会入りに有力な政治家は以下の六人。
 蔡奇(北京党委員会書記)
 李強(上海同)
 李希(広東省同)
 李鵬忠(天津市同)
 陳敏爾(重慶市同)
 胡春華(副首相)
  この六名に加えて習近平のお気に入りは丁辟祥(中央弁事処主任)も
有力と言われる。 現在の政治局常務委員会は習近平がトップで、以下、
李克強、王洋、王こ寧、栗戦書、韓正、趙楽正の七名。大半は勇退となり
そう。

中央委員に加わりそうな顔ぶれは以下の通り。
 陳小紅(統一戦線工作部次長)
 鳳 飛(海南省省長。前浙江省副省長)
 和 龍(国家発展改革委委員長)
 黄坤明(宣伝部長)
 江金泉(政府系シンクタンク)
李樹雷(習のスピーチライター、王こ寧と交代か)
 劉海星(外交部幹部)。
 劉建超(国際連絡部長)
 劉 潔(次期外相に有力。王毅と交代か)
 馬興瑞(ウイグル自治区党委員会書記)
 林 澤(甘粛省前省長。「澤」は「金」篇)
 王文傑(商務部長)
 シェン・イーチン(少数民族パイ族。女性。孫春蘭の替わり)
 王小洪(公安部長。福建幇で習のお気に入り)
 易 鋼(中央銀行総裁)
 趙 劉(福建省省長)
 鄭山傑(安徽省省長)
鄭新彬(マカオ行政長官)
 ほかに軍人がふたり指定席があるが、郡内の調整次第だ。したがって中
央委員25名(常務委員7名を含む)だから、いま列挙したリストから、
何人かは脱落し、ダークホースの浮上は大いにあり得る。なお、王毅外相
は68歳なので外相続投はないが、国務委員留任はありうるかもしれない。
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き  
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  ☆⌒☆⌒☆⌒☆ ☆⌒☆⌒☆⌒☆  ☆⌒☆⌒☆⌒☆     
  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読
者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)日本李登輝友の会から講演会、懇親会のお知らせです。
日 時:2022年8月27日(土)午後2時〜4時(1時30分開場)
会 場:文京区民センター 3C会議室
     【交通】都営地下鉄:三田線・大江戸線 春日駅 A2出口 徒
歩2分
         東京メトロ:丸ノ内線・南北線 後楽園駅 4b出口 
徒歩5分
         JR総武線 水道橋駅 東口 徒歩10分
演 題:台湾の日本人
*会場で新著『台湾の日本人』を販売します。
講 師:喜多由浩氏(産経新聞編集委員)立命館大学卒業後、産経新聞社
入社。韓国・延世大学留学。社会部次長、月刊『正論』編集部次長、文化
部編集委員などを
経て、現在、編集委員。主な著書に『満州唱歌よ、もう一度』『北朝鮮に
消えた歌声─永田絃次郎の生涯』『野口健が聞いた英霊の声なき声─戦没者
遺骨収集のいま』『日本から男の子を育てる場所が消えていく』『アキと
カズ─遥かなる祖国』『「イムジン河」物語 封印された歌の真実』『満
洲文化物語─ユートピアを目指した日本人』『韓国でも日本人は立派だっ
た─証言と史料が示す朝鮮統治の偉業』『消された唱歌の謎を解く』『旧
制高校物語─真のエリートのつくり方』『台湾の日本人』など多数。
参加費:1,500円(会員)2,000円(一般)1,000円(学生) 
       *当日ご入会の方は会員扱い
申込み:お名前、ふりがな、メールアドレス、性別、ご住所、お電話番
号、会籍(会員・一般・入会希望のいずれか)、懇親会への出欠」を明記
のうえ、メールもしくはFAXにて下記の本会事務局までお申し込み下さい
<8月26日(金)が締切です>
懇親会:講師を囲んで会場の近くにて開催予定
     [参加費=3,000円 学生:2,000円]
メールでのお問い合わせ info@ritouki.jp
FAX(03)3668−2101
電 話(03)3868−2111
(日本李登輝友の会)

  ♪
(読者の声2)「ドーギン暗殺未遂、直前に父の車を運転、帰宅を急いだ
娘のダリヤが爆殺さる。」について。
 ドーキン氏、親子とも親露、親プーチンであるため、「当然に」敵、ウ
クライナ、米国が関与した暗殺である、という判断になり、露国内での
プーチン戦争支持が高まる、という結果が生まれる、という予測の元に、
敢えて、あるいは当然の戦略として「戦時中の必要な犠牲」として暗殺し
たのだろう。本人は貴重なので、娘を犠牲にした。
 この様な露の人民賎脳工作の水準は世界一であり、かつ、それを「実
行」できる国は少ない。
 かつてプーチン氏が無名のモスクワ市長であった頃、野望を満たすべ
く、市民の住むアパートを数回深夜に爆破し、数百名の犠牲者を出し、こ
れは「明らかに」チチェンのテロであると断定され、怒れるロシア人民を
戦争に駆り立て、氏は英雄となり、これを機会に男を上げ、やがて大統領
となる。KGBで訓練を受け、かつその人脈を持った人間でないと可能では
ない。
 倫理も人道も人権も無視し、悪魔でも「目的のためには手段を選ばな
い」ヤクザでも敵わない支那、露、朝鮮、そして米国の行動は、「結果と
して、誰が利を得たか」という視点から観察する必要がある。
 先日の故安倍氏の暗殺についても、同様な動機から犯人を特定すべきで
あるが、日本の警察、司法などにはその能力も意図も無いらしい。当時の
動画を見ていると、
1発目による爆音、爆風に反応して、ほぼ全員が立ったまま後ろを振り返
るが、ただ一人が、即座に地面に触れ臥した。「タイアの爆発」だっただ
ろう、と思った、という説明であったが、そんな音を聞いて、大の大人が
「きゃーこわい」としゃがみ込むだろうか。ちなみに、元総理には一人SP
が配属される、という。この一人の怖がりの男は、次に予定されていた複
数の銃弾を避けるためにした行動であろう、と思われる。私見によれば、
この男は自殺、病死などで自白する機会を失う、だろう。
 安倍氏の死体は、明らかな死因の証拠が刻まれており、最新のMRIを使
えば、確実に「失われた」弾、弾道などが明確になるが、早々と荼毘に臥
された。無論、証拠隠滅。明らかに内部の総合的な連携が有った。NHKを
はじめとするマスゴミも、「真実を国民に伝える義務」を放棄している。
 (在米のKM生)

  ♪
(読者の声3)バイデンのぶざまなアフガニスタン撤退から一年を経て、
タリバンはかの国を治めているように見えますが? 中国の銅鉱山への進
出は本格化して居るのでしょうか?タリバンは外国の武装グループはいな
いと言っていたのに、アルカィーダのザワヒリが隠れ住んでいました。秩
序は存在しないように見えます(DD生、岐阜)


(宮崎正弘のコメント)米国はアフガニスタンの外貨70億ドルを凍結し
たまま。EU諸国は人道援助の目的のためボランティア組織の支部をわず
かに存続させているだけ。
 米国保守派の総括は「米国の敗北のみならず政治秩序を破綻させた」と
するもの。
 パンジシール渓谷に盤踞する「北部同盟」や旧政府軍残党、さらにはド
スタム将軍派やヘクマチアル一派などが納める地域があって、地域的には
タリバンの統治ならず、というよりカブールにしてからが、無秩序、公共
サービスにタリバンはまったく無能。支援してきたパキスタン軍もお手上
げ。中国は鉱山開発どころが、ETIMがアフガニスタンに潜伏している
と睨んでいます。
 ハッカニ集団の思想指導者が殺害されたように各派の内ゲバが続き、平
和が戻ることはないでしょう。というよりアフガニスタンが平和だった時
代は歴史を振り返っても、ないのでは?


━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎事改めて旧統一教会の問題ー岸田内閣にとっての危機ではないか:前田正晶

今朝の新聞に掲載された週刊誌の広告では、恰も岸田総理が深く旧統一
教会との関係があったかのようだった。その週刊誌は後で買って読んでみ
ようとは思っている。

それ以前に、私は8月13日にこの旧統一教会(世界平和統一家庭連合)
について下記のように述べてあった。

"私は既に指摘してあったように、山上徹也が安倍晋三元総理を殺害し
て、パンドラの箱を開けたのだと思わずにはいられなかった。彼らマスコ
ミはあらためて、統一教会の実態と我が国で何をしたったのかと何をした
かを詳細に世間に報じ始めたのだった。

だが、同時に「何故か?」と痛感したことがあった。それは「我が親愛
なるマスコミは山上徹也の件がなければ、家庭連合について取材してあっ
た、あれほどの膨大な(とでも言いたくなる)情報を流す意図が無かった
のか」ということなのである。如何に無知な私であっても、合同結婚式と
それに伴う哀しい話や霊感商法や教会に吸い上げられる寄付のことくらい
は承知していた。だが、今回報道し始めた政治との関連などは、関西風に
言えば「聞き初めや」なのだった。”

言うまでもない事で、私は「報道機関は当時の統一教会については十分
に取材が出来ていて、多くを語れる(報道する)にたる材料を持っていた
はずだろう」と見ていた。それにも拘わらず、山上徹也があの大事件を起
こすまでは、全くと言って良いほどこの関連の報道はしていなかったよう
だった。私などは不勉強にして「世界平和統一家庭連合」という名称に変
わったことすら知らなかった。

だが、彼らは今となっては連日連夜の如くに自民党議員と旧統一教会と
の関連の旧悪(なのだろう)と萩生田光一政調会長の現悪までを、堰を
切ったかのように報道しているのだ。そこまで承知していたのであれば、
何故もっと早く警鐘を鳴らして、自民党に彼らとの関係を断つべしと伝え
なかったのかと、奇異に感じている。その何もしてこなかった彼らマスコ
ミの姿勢を見ると、彼らの関連性も疑いたくなる方もおられるのではない
のかな、などと考えている。

ある事情通の方からは「現在の公職選挙法がある限り、無償で働いてく
れる人たちを送り込んでくれる彼らの存在が立候補者にとっては、何物に
も代え難いほど有り難いのだ。だから依存するので、それを止めようがな
いだろう」と聞かされていた。また、彼らは当然のように政権を持ってい
る方の支援をするが、立憲民主党以下の野党に対してはつれない動きしか
していないようだ。だからこそ、野党どもは平然として鬼の首を取ろうと
動き出せるのだろう。

私如きが時の総理総裁に「こうなされば宜しいでしょう」などと申し上
げる立場にはないので、岸田総理がCOVID-19から極力早期に回復され、十
分に慎重に検討された「世界平和統一家庭連合」と、COVID-19への対策と
を同時に打ち出されて、直ぐそこに迫ってきたのではないかと怖れている
国家・国民の器機を回避する為に可及的速やかに行動を開始して頂きたい
のだ。そうすることが、ご自身の危機をも解消する最上の手法となるのだ
から。





◎アメリカは普段は「分断の国」だが、時として一挙に一丸となる。その
特性を踏まえた日米同盟維持を=伊勢雅臣


(安倍元総理暗殺の)現地のニュースが第一報を報じたのはアメリカ東部
時間の7月7日夜だったが、直ちに大統領令が出され、翌8日朝には米政
府関係の建物はもとより、中心にある公園緑地「ナショナルモール」、銀
行、大手ハンバーガーチェーン「マクドナルド」など目に入るビルに軒並
み半旗が掲げられた。全米各州でも同様だったと思われる。

「バイデンからトランプまで」一丸としての反応だった。ホワイトハウス
などからの弔問要請もいたって速く、日本の対応が間に合わないほどだっ
たと聞く。

日本へのブリンケン国務長官の「緊急特使」としての派遣決定も素早かっ
た。さらに上院で20日に行われた安倍元総理の功績顕彰決議の採択も迅速
だった。

何かの機会に一挙に一丸となるアメリカの特性を理解しておくことが極め
て重要だと改めて思った。

アメリカの「未曽有の分断」というフレーズがいき交って久しい。それは
一面事実でもあるが、アメリカは建国の時に遡(さかのぼ)って「分断」
の国である。

1801年のトーマス・ジェファソンの大統領就任に至るまで議会で36回の投
票が必要だった。その後、南北戦争、大企業と独占禁止法、大恐慌、ベト
ナム戦争。アメリカを第一次、第二次大戦に参戦させるまでヨーロッパは
大変に苦労した。

実際のところ、「米ソ冷戦時代」以外にアメリカが「分断」の国でなかっ
たことはあったのだろうか?

安倍元総理逝去への反応一つをもって全てを論ずることはしないが、上述
のアメリカの特性を念頭に置いて、いざというときに日本の防衛に一丸と
なって初動も速いアメリカを確保するための常日頃からの同盟強化の心構
えと行動とがますます肝要になるだろう。


━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━
25日の東京湾岸は曇り。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月24日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6239号
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   2022(令和4年)年 8月24日(水)


「ザワヒリ容疑者」殺害報道の怪:飯山陽

反米BRICS連合の内実:北野幸伯

        KGBにも「良心」はいた:斎藤勉

          直前に父の車を運転:宮崎正弘 
                 

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「ザワヒリ容疑者」殺害報道の怪
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【新聞に喝!】イスラム思想研究者・飯山陽 



国際テロ組織アルカーイダの指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者(AP)

バイデン米大統領は1日、イスラム過激派テロ組織アルカーイダの2代目
指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者をアフガニスタンで殺害したと発表した。

エジプトの首都カイロに生まれたザワヒリ容疑者は、初めてイスラム過激
派として逮捕されたのが15歳という筋金入りのテロリストだが、父はカ
イロ大学教授、祖父はエジプトのイスラム教最高権威者であるアズハル総
長、大おじの一人はアラブ連盟初代事務局長という名門一家の出である。
本人も医師で、妻は裕福な政治家の娘だ。貧困や差別がテロリストを生む
というメディアの「常識」を覆す。

実はザワヒリ容疑者は1997年のルクソール事件の首謀者でもある。エ
ジプト南部にあるナイル川沿いの観光地ルクソールの古代遺跡のひとつ、
ハトシェプスト女王葬祭殿で11月17日、日本人10人を含む62人が
惨殺されるテロ事件が発生した。自動小銃やナイフなどによる攻撃は30
分以上に及び、周囲が血の海となる極めて凄惨(せいさん)な事件だった。

日本人被害者のほとんどが新婚カップルだったことも、衝撃的に受け止め
られた。犯行声明を出したのは、イスラム過激派テロ組織「イスラム集
団」の分派とされる「征服の前衛」を名乗る組織である。米国務省はザワ
ヒリ容疑者をその指導者と名指しした。

ところが今回、「ザワヒリ殺害」を伝える朝日、毎日、読売、産経、日経
という五大全国紙の記事中に、彼がルクソール事件の首謀者だと言及した
ものはなかった。

毎日は2017年11月、「エジプト・ルクソール事件20年 テロとの
戦いやまず」という記事を出しているが、そこでもザワヒリ容疑者との関
係は触れられていない。当時既にアルカーイダ指導者の地位にあり、記事
を書いているのがカイロ特派員であることを考慮すると、その事実を知ら
なかったとは考えにくく、知っていて書かなかったならばなおさら奇妙で
ある。ザワヒリ容疑者は2001年9月11日に発生した米中枢同時テロ
の計画立案者ともされる。同テロでも24人の日本人が犠牲になった。

アルカーイダやイスラム過激派と聞いても、どこか遠い世界の話でピンと
こないという日本人は多い。しかしこれまでに数多くの日本人が、そのテ
ロの犠牲となり命を失っている。米軍が殺害したザワヒリ容疑者も、複数
の日本人殺害の責任を負っている。無念のご遺族がおられるのは論をまた
ない。日本の新聞ならば、その事実を知らしめる記事を書いてしかるべきだ。

         ◇
【プロフィル】飯山陽

いいやま・あかり 昭和51年、東京都生まれ。イスラム思想研究者。上
智大文学部卒、東大大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に
『中東問題再考』など。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年8月21日採録

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━━━━━━━━━━━
★反米BRICS連合の内実
━━━━━━━━━━━
        北野幸伯


<プーチンロシアは経済制裁で追い詰められていると言わ
れるが、制裁している国は欧米日など限られた国だけで実
際は制裁不参加の国が多く、無茶な脱炭素政策で自分の首
を絞めつつある欧米に対して、逆に割安なエネルギー資源
を武器にBRICS連合が形成されつつある、との見方を紹介
されています。これについては、どう思われますか。>


前半の「ロシアが経済制裁で追い詰められているか」につ
いては、これまで何度も触れてきました。ロシアの友人、知人に聞くと
「実害があるのはインフレだけ」と答えるその一方で、ウクライナ侵攻
後、ロシアの自動車生産台数
は【96%減少した】という事実もあります。私は、前々から書いています
が、制裁の影響は長期で見る必要があります。そして、今回の制裁は、
【地獄の制裁だ】といいつづけています。

いずれ、数字でわかるようになるでしょう。この問題、気になる方は、以
下の記事も参考になさってください。

●生産台数96%減少の衝撃。露の自動車業界が経済制裁
で瀕死状態に↓
https://www.mag2.com/p/news/544857

●プーチンまた激怒。「二次的制裁」恐れ露を見放す覚悟
を決めた習近平↓
https://www.mag2.com/p/news/544526

●プーチンのハッタリ「経済制裁は効いていない」は大嘘。
ロシアに待ち受ける地獄↓
https://www.mag2.com/p/news/542847

というわけで今回は「反米BRICS連合」について触れます

▼BRICSとは

まず基本から抑えておきましょう。BRICSとは何でしょうか?ブラジル、
ロシア、インド、中国、南アフリカ の頭文字ですね。BRICSという言葉
は、いつ出てきたのでしょうか?ゴー ルドマンサックスが2001年に出し
た、『Building Better Global Economic BRICs』というレポートがはじ
めです。要するに、「ブラジル、ロシア、インド、中国は、これから成長
します。投資して大儲けしましょう」と。この時点で、南アフリカ は含
まれていません。さて、2003年頃からアメリカとロシアの関係が急速 に
悪化していきました。

理由は、二つあります。一つは、ユコス事件。
アメリカ(エクソンモービルとシェブロンテキサコ)は、
ロシアの石油最大手ユコスを買収しようとした。
ところが、プーチンがユコス社長のホドルコフスキーを逮
捕させ、買収を阻止した。

もう一つは、旧ソ連諸国で次々と起こった革命。03年ジョージア、04年ウ
クライナ、05年キルギスで革命が起こっています。プーチンは、「革命の
背後にアメリカがいる!」と確信していました。プーチンは05年、アメリ
カと戦うことを決意。中国と「事実上の同盟関係になること」を決断しま
す。「中国ロシア同盟」今なら、誰も違和感を感じない言葉です。しか
し、「中ロ同盟」ができたのは、05年だったのです。ちなみに私の2冊目
の本のタイトルは、「中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」といいます。

出版されたのは07年。読まれた方からは、「全然古さを感じません」と褒
められます。成立した中ロ同盟。仮想敵は、もちろんアメリカです。そし
て、中ロは「もっと仲間を増やそう」と考えました。その為に、二つの方
針ができました。

一つは、上海協力機構を反米の砦とすること。
もう一つは、BRICを反米の砦にすること。


09年、はじめてBRICの首脳会談が開かれました。11年、南アフリカが加わ
り、BRICは、現在のBRICSになりました。
時代的背景も少し知っておく必要があるでしょう。

アメリカのイラク戦争は、自衛戦争ではなく、国連安保理の許可も得てい
ない、という意味で、明らかに【 国際法違反の戦争 】でした。国連安
保理常任理事国のうちフランス、ロシア、中国がこの戦争に反対しています。
(フランスが反対というところが重要です。)

さらに、ドイツも反対でした。それで当時、世界中で反米意識が、大いに
高まっていたのです「アメリカ一極世界は嫌だ!多極世界を創ろう!」と
いう考えを支持する国がたくさんあった。その核となったのが、BRICだっ
たのです。

▼BRICSの実力

BRICSの実力は、どの程度なのでしょうか?まず、気になるのは、世界人
口1位中国と2位インドが入っていることです。BRICSの人口は、世界人口
の約42%を占めています。経済力は、どうでしょうか?GDPで、中国は世
界2位、インドは6位、ロシアは11位、ブラジルは13位、南アフリカは33
位。こう見ると、BRICSの経済力は、中国とインド以外「たいしたことな
い」ことがわかります。

しかし、インドについてはこれからも成長をつづけ、近い
将来、「世界3大国」の一つになるでしょう。「世界3大国」とは、アメリ
カ、中国、インドのことです。

▼反米BRICSの問題点

確かにBRICSには、大きな潜在力があるのでしょう。
しかし、「反米の砦」としての問題点もあります。
「一体化していない」ということ。どういうことでしょうか?一番大きな
問題は、中国とインドの関係でしょう。
2020年5月、中印国境紛争が再燃。20人のインド兵が死亡したことで、中
印関係は最悪になりました。

それで、インドは、「反中包囲網」である「クアッド」
(=日本、アメリカ、インド、オーストラリア)
との関係を深化させたのです。どうでしょう?
BRICSで、人口でも経済力でもナンバー2の実力をもつイン
ド。そのインドは、「反中包囲網」クアッドのメンバーである。その
BRICSが「反米の砦」になり得るでしょうか?

(逆にいうと、「BRICS」や「上海協力機構」に参加し
ているインドがいる「クアッド」は、「反中包囲網」とし
て機能するのかという懸念が出てきます。)さらに、BRICSは「反米の
砦」といいますが、中国は激安のロシア産石油を買う以外、特にロシアを
助けていません。

(激安の石油を買うのは、ロシアを助けるためではなく、
自国の利益のためでしょう。ロシアを助けたいなら、国際市場価格並の値
段で買えばいい。)これに関連して、
ダイヤモンドオンライン6月30日を見てみましょう。


<54カ国のデータを分析したピーターソン国際経済研究
所の調査レポート「Export controls against Russia are
working─with the help of China(ロシアに対する輸規
制は中国の協力の下で機能している)」によると、2月24日の侵攻開始か
らおよそ2カ月間で、制裁対象国のロシアへの輸出は約60%減少し、非制
裁対象国の輸出は約40%減少したという。中でもロシアの友好国であり、
ウクライナ戦争前の2021年にはロシアの総輸入の4分の1を供給していた中
国の対ロ輸出も激減している。>

「制裁対象国」、たとえば欧米日の対ロシア輸出は60%
減少した。「非制裁対象国」、たとえば中国、インド、中東、アフリカな
どの対ロ輸出も40%減少している。
では、中国の対ロシア輸出は、どうなのでしょうか?


<「米国の輸出管理・制裁法では、中国企業がロシア向け
機密品の販売禁止に違反すると、重要な技術、商品、通貨
(主要な基軸通貨発行国は全て制裁に参加している)を入
手できなくなる可能性があるとされている。中国の行動はこのリスクを反
映している。侵攻後の対ロ輸出は、2021年後半と比較して38%減少し、非
制裁国の平均と同水準となっている」(同レポート)>(同上)

つまり中国は、「二次的制裁」を恐れて、ロシアへの輸出
を38%減らしている。中国は、自国の利益を犠牲にしてまで、ロシアを助
ける気はさらさらないのです。

▼最大の問題は、「正義の喪失」

BRICS最大の問題は、「正義の喪失」だろうと思います。
かつてプーチンは、「イラク戦争は国際法違反だ!」と
アメリカを非難していました。既述のように、これは「その通り」です。
世界中で一部の人が、「プーチンは、ナショナリストの英雄だ」と考えて
います。

その大きな理由は、「プーチンがアメリカのイラク戦争は
国際法違反だ!」と堂々と主張したからです。ところが2022年、プーチン
はウクライナ侵略を命じました。ロシア擁護派の人は、いろいろいいます
が。しかしこの問題、【国際法的】には、議論の余地はまったくありません。

国際法で合法とみなされる戦争は二つしかありません。

一つは、自衛戦争です。ウクライナは、ロシアを攻撃していないので、こ
れは自衛戦争ではありません。しかし、ウクライナ側にとっては、自衛戦
争なので合法的戦争になります。


もう一つは、国連安保理が認めた戦争です。たとえば、湾岸戦争は、安保
理が認めた合法的戦争でした。ロシアのウクライナ侵攻は、国連安保理が
認めていません。だから、ウクライナ戦争は【100%国際法違反の戦争】
なのです。

かつて「イラク戦争は国際法違反だ!」と堂々と主張した
プーチン。今彼は、自分自身が国際法違反の侵略戦争を開始した。その時
点でプーチンは、「国際法を無視する悪いアメリカから世界を守る」とい
う「BRICSの正義」を失ったのです。それでも、BRICSは首脳会議を開いた
りしています。最近では、6月24日、オンライン形式で首脳会談が行われ
ました。

首脳会談では、「BRICS拡大の可能性」についても、話
しあわれました。そして、実際BRICS加盟国が増えていく可能性もありま
すしかし、加盟する国の狙いは、「経済的利益」でしょう。つまり、「実
利を求めて」入ってくる。

プーチンは、BRICSを「反米の砦」として利用したい。
ところが、彼自身が、「アメリカのイラク戦争と同じ悪の
行動」を選択したことで、BRICS内でロシアの求心力が低下したのです。
現状ロシアを本当に支持している国は、二か国だけです。北朝鮮とシリ
ア。そこそこ支持している国は、ベラルーシとエリトリア。

「制裁に参加していない国は多い」といいますが、
実際は、ほとんどすべての国が「二次的制裁を恐れて、事
実上制裁に参加させられている状況」なのです。

私は、この戦争が始まる前から、「ロシアがウクライナとの戦闘に勝利し
ても、地獄の制裁はつづいていく。ロシアの戦略的敗北は不可避だ」言い
つづけてきました。
情勢は、予想通りに進んでいます。



━━━━━━━━━━━━━
KGBにも「良心」はいた 
━━━━━━━━━━━━━
 
【日曜に書く】論説委員・斎藤勉 


ソ連国家保安委員会(KGB)元大佐、アレクセイ・キリチェンコ氏(遠
藤良介撮影)

[スターリンの悲劇的過ち]

ロシアでは詩人・作家として今でも一番人気のプーシキンらが活躍した帝
政ロシアの1830年前後を「金の時代」と呼ぶことがある。その伝でい
けば、「言論の自由」の「金の時代」は疑いなく、ソ連最後のゴルバチョ
フ治世に満開となった1980年代後半以降の「グラスノスチ(情報公
開)」だろう。その本質は独裁者の恐怖政治を否定する「非スターリン
化」にあった。56年のフルシチョフによる「スターリン批判」後の「雪
解け」世代の子供たちが大粛清や歴史改竄(かいざん)の真実など国家犯
罪の数々を暴露していった。

ソ連が崩壊した91年の正月、モスクワ特派員だった私の元へ『スターリ
ンの二つの悲劇的過ち』と題する「特別手記」が寄せられた。ロシア科学
アカデミー東洋学研究所国際協力部長のアレクセイ・キリチェンコ氏から
だった。前年からスターリンが北方領土強奪とともに仕出かしたシベリア
抑留問題の真相解明に奔走し始めていることは仄聞(そくぶん)していた
が、手記の内容は衝撃的だった。

「終戦時、ソ連全土の収容所に囚人があふれていた時になぜ、スターリン
は日本の捕虜を必要としたのか」と問いかけ、「それは結局、共産主義と
いうおとぎ話のような社会を世界中に建設しようとしたからだ。しかし、
それは偽りであり、偽りの前提に立って建設された体制は崩壊した」と断
じた。

その上で「スターリンが犯した、あってはならなかった二つの過ち」を指
摘。一つは「粗末な食事や過酷な自然なども労働効率性に影響したが、抑
留した日本人捕虜利用は経済的に全く非効率的だったこと」、二つ目は
「収容所で日本人捕虜を革命の戦士に仕立て上げようと洗脳教育を行った
が、ほとんどが失敗したことだ」と結論づけた。

さらに衝撃的といえば、キリチェンコ氏がソ連崩壊翌年の92年、自ら
「私は86年まで21年間、(ソ連時代の巨大な秘密警察)KGB(国家
保安委員会)の要員で、最後は大佐だった」と明かしたことだ。しかも防
諜を管轄する「第二総局」の日本担当で、ソ連国内の日本人の動向監視・
尾行追跡・摘発が主な工作対象だった。
[「非はソ連側にあり」]

その裏でソ連が完全にタブー視していたシベリア抑留問題の内部告発を進
めていたのだ。

「KGB時代から東洋学研究所時代を通じて、上司の圧力を受けながら、
ソ連の不法な対日参戦から生じた北方領土占領もシベリア抑留も非はソ連
側にあり、完全に誤りだったと訴えて、裁判も恐れない態度を貫いたと聞
いています。キリチェンコさんこそロシアの良心です」

キリチェンコ氏と長年、固い連帯でシベリア抑留問題の究明に取り組んで
きたロシア専門家、川村秀氏(89)は語る。

キリチェンコ氏はプーチン恐怖体制下でも勇気ある発言を続けた。月刊
「正論」(2005年7月号)の『東京裁判へのクレムリン秘密指令』で
「ソ連検察団の主要任務は、日本の系統的な侵略の暴露」にあったと、訴
追リストに日露戦争やシベリア出兵まで動員した非理を痛烈に批判した。

プーチン政権は北方領土返還交渉を「領土抜き平和条約締結交渉」にすり
替え、ウクライナ侵略後は交渉の「中断」を通告してきた。シベリア抑留
問題では「国際法には違反していない」と歴史にも稀(まれ)な冷酷さだ。

ガルージン駐日露大使は今月4日、広島の原爆死没者慰霊碑に献花した
が、自国の国際犯罪である北方四島強奪とシベリア抑留の膨大な数の日本
人犠牲者の慰霊はお忘れなのか。
[「日本人に生まれたい」]

キリチェンコ氏は13年、人生の集大成ともいうべき『知られざる日露の
二百年』を上梓(じょうし)、ロシアの対日政策の誤りを糺(ただ)し
た。テロの凶弾に斃(たお)れた安倍晋三元首相は同著を贈呈された際、
丁寧な礼状を送っている。

ベラルーシ生まれのキリチェンコ氏は、2019年9月25日、心不全の
ため82歳で世を去った。次女のマリアさんに「生まれ変われるなら日本
人で生まれたい。日本こそおとぎ話のような国で、いつまでも滅びないだ
ろう」と話していたという。

日露戦争後の1907年から革命前年の16年まで日露にも「黄金の友好
の十年間」(川村氏)があった。今は日露関係もロシアの言論状況も「暗
黒の時代」だ。だからこそ、KGBにも日本の歴史の正義に生涯を懸けた
「良心」がいた奇跡を忘れまい。(さいとう つとむ)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年8月21日採録

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直前に父の車を運転
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)8月22日(月曜日)
           弐通巻第7435号
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「プーチンのラスプーチン」と呼ばれるドーギン暗殺未遂
   直前に父の車を運転、帰宅を急いだ娘のダリヤが爆殺さる。
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8月20土曜日の夜。現地時間2135.モスクワへあと40キロのハイウェイを
走行中だった。車が突然火を噴いて爆発、その破片が道路に飛び散った。
運転席の下部に爆弾が仕掛けられていた。プロの殺し屋の仕業と捜査当局
はいう。

 被害者がダリア・ドーギンと判明したためNYタイムズ等、世界中のメ
ディアが騒ぎ出した。つい先週にも『悪魔の歌』を書いたサルマン・ラ
シュディがNYで講演中に襲われた。ロシアの一部メディアは「ウクライ
ナの工作員が仕掛けたテロだ」と分析している。

 ダリア(29歳)はジャーナリストでもあり、プーチンのウクライナ侵
攻を支持する政治コメンティターとして頻繁にテレビに登場し、親子して
英米の制裁リストに載っていた。
 アメリカが早くからドーギンの存在に留意したのは、プーチンが
2021年に発表した「ユーラシア連合構想」のバックボーンがドーギン
の思想に裏打ちされていたからである。

 アレキサンドル・ドーギンは超民族主義に立つロシア至上主義を鼓吹す
る思想家で、プーチンとの共鳴度が高く、メディアは「プーチンのラス
プーチン」と呼ぶ。ちなみにプーチンは最近『ガスプーチン』と呼ばれる。
 クレムリンが正式の助言者としてドーギンを登録してはいないが、ロシ
アで「反ユーラシア連盟」を樹立し、青年部も発足させるなどその影響力
は強く、一時はプーチン思想を確立した思想家などと言われたイワン・イ
リインは単なるアジテーターにすぎない。

 ドーギンの主張は「ロシア語を喋り、共通の精神の絆で結ばれる人々は
強く連帯し、西側と対決すべきだ」とする。ソルジェニツィンがプーチン
と共鳴したようにロシアの土壌、その精神の価値観に重きを置く思想である。

 事件の起きた夜はドーギンが『伝統の家族』大会で講師に招かれてい
た。愛車は豊田のランドクルーザー。予定がかわってドーギンが別の車に
乗ると決まったのは数分目だったという。つまりテロの標的はドーギン自
身だった。

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BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  歴史
家たちは蘇我氏を悪く書いた。しかし真実もそうだったのか?「悪玉」=
蘇我氏の虚像と実像を活写。「蘇我氏的なるもの」は藤原氏が再現
   ♪
倉本一宏『蘇我氏 古代豪族の興亡』(中公新書)
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 日本史で「これほどの悪人はいまい」と評価最悪の蘇我稲目、馬子、入
鹿、蝦夷ら蘇我一族。権力をほしいままに天皇家に娘たちを嫁がせてまつ
りごとを操り、天皇と溝ができると蘇我馬子は東漢氏をそそのかして崇峻
天皇を殺害し、次に蘇我蝦夷も加わって、敵対した大伴氏、物部氏を軍事
制圧し、皇位継承の展望では邪魔となった山背大兄皇子(聖徳太子の皇子)
を斑鳩に葬った。
 この悪辣さ、むき出しの権力欲はシナの遣り方と殆ど変わらない。
 山背王子を殺害後、皇極天皇を退位に追い込もうと企て、蘇我氏の意の
ままに動くとされた古人大兄皇子を立てようとしていた。政局はこうした
緊張に包まれていたのだ。
ところが乙巳の変で中大兄皇子と中臣鎌足に誅せられた。
蘇我入鹿は宮中で斬られ(倉本氏は「前庭」だったとする)、蝦夷は自邸
に火を放って自裁した。惜しむらくは天皇記、国紀が同時に焼却されたこ
とだった。
後年、同じく権力欲望にとりつかれて、蘇我氏と同じことを企て、天皇の
心変わりで吉備真備と道鏡らに追い込められたため反乱を企てて失敗し、
湖西高島あたりで斬となるのが藤原仲麻呂(恵美押勝)だった。ちなみに
道鏡への悪意的な評価もおかしいが、これは拙著(宮崎正弘『歪められた
日本史』、宝島社新書)を参照されたい。
蘇我氏四代(稲目、馬子、蝦夷、入鹿)と藤原四代(鎌足、不比等、四兄
弟、仲麻呂)はじつに相似形だ。
蘇我氏を討った藤原初代(中臣鎌足)の曽孫が蘇我氏と同様に討たれると
いうのは、なんという歴史のパラドックスだろうか。

本書は、蘇我氏の謎に挑んだ意欲作で、蘇我本家は乙巳の変で潰えたが、分
家は石川、宗岳と家名を変えて壬申の乱以後もしっかりと生き延び、平安
時代末期まで長く存続した。その系譜と時代の変遷をダイナミックに描く。
さて蘇我の出自は多くの歴史家、たとえば中西進は『天智伝』のなかで
「渡来人」と断定した。評者(宮崎)もそう思っていたが、倉本氏は渡来人
説を否定し、葛城、河内にかけての地元の豪族出身でいつしか葛城氏を超
える勢力になった。蘇我氏はむしろ夥しい渡来人たちを効率的に駆使し、
いちはやく新情報と技術を寡占できる位置にいたため、富を築いたのだと
する。
 すなわち「蘇我氏はいきなり登場したのではなく、葛城集団の主要部分
が独立したのであり、記紀に見える『蘇我氏』とは、すなわち蘇我氏が作
り上げた祖先伝承だった」(18p)。
 そして「文字を読み書きする技術、鉄の生産技術、大規模灌漑水路工事
の技術、乾田、須恵器、錦、馬の飼育の技術など大陸の新しい文化と技術
を伝えた渡来人の集団を支配下において組織し、倭王権の実務を官掌する
ことによって政治を主導することになった」(22p)という。
 中大兄皇子と中臣鎌足がたちあがった動機は蘇我氏の専横に対する反撥
だが、まず中大兄皇子は蘇我氏の次の排除対象となっていて、山背のあと
に確実に排斥されることは明瞭であり、まさに『やられる前にやれ』とい
う状況にあった。
 中臣鎌足の場合は出自が神祇であり、神道の日本に蛮族の邪教を持ち込
むことなど許せることではなく最初に軽王子(のち孝徳天皇)に接近し、
その人物に失望し、次に中大兄皇子に接近して意気投合し、蘇我一門だが
入鹿と仲の悪い蘇我石川麻呂を同志にひきづりこむのである。

 後年、「新たな『蘇我氏的なる者』が生まれてきた(中略)。藤原氏
は、鎌足・不比等以来、天皇家とミウチ的結合によって結ばれ、相互に補
完、後見し合って、律令国家の支配者層のさらなる中枢部分を形成してい
た。そして王権の側から準皇親化が認められ、律令管制に拘束されない立
場で王権と結びついて内外の輔政にあたった権臣を次々と生み出していっ
た」のである(252p)
 倉本氏は蘇我氏の悪玉論をしずかに退け、「蘇我氏は元来、けっして旧
守的な氏族ではなかった。それどころか、蘇我氏は、倭国が古代国家への
歩みを始めた六世紀から七世紀にかけての歴史に対して、もっとも大きな
足跡を残した先進的な氏族であった」と評価する

この点で保守陣営はいかなる反応をするだろうか?
 本書はことほどさように、蘇我氏を客観的に評価するのだが、それなら
北畠親房と?山陽はいかに蘇我氏を評価したかが気になって書架から『神
皇正統記』と『日本政史』を取り出して比較してみた。
 『神皇正統記』では崇峻暗殺は「天皇横死」となっていて「或人のいわ
く。外舅蘇我ノ馬子大臣ト御中アシクシテ、彼大臣ノタメニコロサレ給キ
トモイヘル」とあくまで伝聞のかたちにとどめている。
しかし乙巳の変の箇所あたりで非難の文言となっていわく。
 「蘇我蝦夷、その子入鹿、朝権を専らにして皇家をないがしろにする心
あり、その家を宮門といい、諸子を王子となむ言いける。上古よりの国紀
重宝みな私家に運びおきてけり。中にも入鹿悖逆の心甚だし。(中略) 蘇
我ノ一門久しく権をとれりしかども、積悪のゆえにやみて滅びぬ」(岩佐
正校注『日本古典文学大系87 神皇正統記、増鏡』、岩波書店)

 『日本政史』(?山陽は『日本外史』のほうが有名だが、『日本政史』
は心血を注いだ歴史論である)では、中大兄皇子礼賛の評価で次のようで
ある。
 「国朝の建は、神武に創まり、崇神・景行に開け、そして応神・仁徳に
成る。その後、徳衰え、加うるに雄略・武烈の酷虐を以てす。敏達・用明
に至りて大権、下に移り、奸臣国を専らにす。天智なかりせば、王業ある
いは熄むに近からん。天智、宗室の中を奮い、謀をめぐらし、機を決し、
親ら大姦を玉座の下に斃す」(植手通有『?山陽 日本思想体系49』。
岩波書店)
 北畠の時代、下克上時代が始まっており、武士は天皇の権威にやや懐疑
的な時代だった。?山陽は江戸時代ゆえに倫理、道徳が儒学を基盤として
価値観の主流となっていた。とはいえ、ともに『日本書紀』の史観に近い
と言える
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「台湾での米中代理戦争:戦略無き米国の覇権喪失と日本
の義務」
 8月2日に米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問し、蔡英文総統
と会談した。これについて若干の分析を以下に試みたい。
 ●ペロシ訪台は、米国が台湾の民主主義を支持する表明にはなった。
 ●だが、中国のリアクションを招き、海・空域及びミサイル発射等の軍
事演習は海上封鎖のシミュレーションとなると共に、その実行意思の顕在
化を招いた。
 ●訪台後の8月10日、ペロシは中国を「強力な民主主義」「世界で最も自
由な社会のひとつ」と動画の一部で発言した。文脈からすると台湾を中国
と言い間違えたのではとも思われるが、現時点では訂正しておらず、バラ
ンスを取るためか何らかの脅迫をされたのかは判らぬが、意図的だった可
能性は残る。何れにしても、結果として訪台は中国の台湾進攻や海上封鎖
等の可能性を却って高めた。
https://twitter.com/i/status/1557026658527346689
 ●これを抜きにしても、ペロシ訪台とそれを黙認したバイデン政権に
は、具体的な戦略は無く、ペロシのレガシー作りとペロシ自身と民主党の
中間選挙対策であったと推察される。
 ●実際に台湾進攻等があれば、曖昧戦略や直接防衛力行使示唆にも拘わ
らず、バイデン政権はウクライナ型の代理戦争をするか、何もしないかの
どちらかだろう。
●米国はウクライナでロシアとの核戦争を避けるため直接参戦を留保して
いる事を鑑みれば、ウクライナよりも核戦争に繋がる可能性が高い台湾で
直接参戦する事はまず考えられない。
 ●ウクライナ型の代理戦争なら、当然ながら軍産複合体にとってウェル
カムである。
 ●日本は台湾への武器弾薬物資供給の拠点になるのみならず、存立危機
事態として直接参戦を強いられる可能性が高い。
 ●中国は、尖閣諸島等日本の領土を台湾進攻等に前後して取りに来る可
能性もある。
 ●代理戦争といえども、ウクライナ、台湾で2正面作戦を戦う事は無理が
あり、米国が勝ち抜ける可能性は微塵もないだろう。
 ●中露疑似同盟を強化させた時点で米国は負けており、戦略無き挑発は
単なる火遊びに過ぎない。米国は覇権を失うだろう。
 ●米国を中心とした大戦略は、中露分断を画策し人類最大の脅威である
中共政権に対しシームレスな包囲網を築き、戦わずしてその牙を抜く事で
なければならない。
 ●これを実現するためには、恐らくは少なくとも共和党政権実現を待た
ねばならないだろう。

さて、こうした状況に対し、現時点で日本が直接に影響を与え動かせる余
地には限りがある。
 先ず日本がすべきは、危機対応体制にシフトする事である。防衛力倍
増、核武装又は核レンタルの具体化、食糧安保(自給率倍増等)、原発再
稼働、最新式小型原発の建設、因果関係不明なCO2地球温暖化説への過度
な対応の停止、地熱発電等エネルギー開発による電力自給率増加、民間医
療機関の再編公立化等による即応体制構築等々。
 また、これらを推進する事により相対的かつ絶対的にも国力が増す事
は、国土の価値が上昇すると共に経済安全保障にも資するだろう。進んで
はバーゲニングパワーを高め外交発言力強化にも繋がり、国際情勢を動か
せる範囲が広がる。
日本には、これまでのような受動的態度で、木の葉のように国際情勢に翻
弄され続けるのではなく、国際的大義を伴う長期的国益の追求を通し、混
沌とした世界情勢に方向性を与え、新しい世界秩序をデザインし形にする
義務の一端があるだろう。(佐藤鴻全)



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重 要 情 報
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◎野球の場合に打ちまくった翌日の試合では打撃不振に陥るのはジンク
ス:前田正晶

仙台育英高校の優勝はジンクス(jinx)とは無縁だったのだ。一昨21日
のことで、日大フェニックスが故篠竹幹夫監督の指揮の下にライスボウル
を三連覇したときの一員だった二男に「甲子園の決勝戦では仙台育英高校
は準決勝で聖光学院を19安打18得点と打ちまくっていたので、中1日置い
たとしても見出しのようなジンクスに遭って打てなくなるのではないか」
と、問いかけたところ「それをジンクスというのは違うのではないか」と
言われた。

彼が言うには「それはフットボールでも同じ事だろう。攻め続けて大量
得点をすることは、相手ティームが強いか弱いかに関係ないこと。特に強
敵の場合には失敗することなく攻め続けるときには、異常とも言える失敗
が許されない緊張感の下に攻撃を続けているし、得点してベンチに戻って
も強力なディフェンス陣が相手を直ちにパントに追い込むので、休んでい
る暇も無く直ぐに緊張感に曝されるオフェンスに出ていかねばならなくな
り、勝利に終わっても意外なほど心身共に疲労感が残っているもの」なの
だそうだ。

彼は更に「フットボールではオフェンスとディフェンスでは別の組織に
なっているが、野球では大谷翔平の例が示すように攻守両面を同じ選手た
ちがやっているので、多分フットボールよりも多くの疲労が蓄積されるの
ではないか」とも指摘した。要するに、彼はジンクスではなく、攻め続け
なければならない緊張感による疲労の蓄積の問題ではないのかと言ってい
たのだ。

そう聞いてみれば、春の選抜の優勝校・大阪桐蔭高校と準優勝の近江高
校を倒して決勝戦まで上がってきた下関国際高校は、強豪を破る極めて難
しい試合を二つも続けてきた間に蓄積してしまった疲労に苦しんでいた模
様だったと解った。事実、監督さんは「決勝戦での状態は目一杯だった」
と回顧していたではないか。私が見るところでは、下関国際高校の選手た
ちが蓄積してきた疲労の量が、準決勝で打ちまくっていた仙台育英高校の
それよりも大きかったことが、勝敗を分けたのだろうとなる。

私が見た限りでは、あの背番号6を付けた仲井は準決勝ではあれほど見
事に決まっていた落ちる球が、決勝戦でリリーフに立った場面では殆ど効
果が無かったし、球速も上がってこなかった。仙台育英高校の監督が立て
られたのだろう作戦も、解説者の説明に従えば見事に嵌まっていたようだ
し、私の試合前の閃きでは「下関国際高校に仙台育英高校の厚みを感じさ
せる攻撃力を凌げるのかな」までで、何れが勝者になるかは読み切れてい
なかった。



◎感動呼んだ安倍氏追悼コンサート=矢板 明夫

台北市中心部にある国際会議センターホールで20日夜、「台湾の真の友
人、安倍晋三・元首相追悼コンサート」が盛大に行われた。頼清徳副総
統、蘇嘉全・台湾日本関係協会会長、李永得文化部長(文部科学相に相
当)、林鴻聯・聯邦銀行会長ら、台湾の政財界関係者が多く出席し、会場
の約3100席は老若男女でほぼ埋め尽くされた。

コンサートの冒頭、頼副総統は7月12日に東京・増上寺で行われた葬儀
に参列し、安倍氏に最後の別れを告げたときの心境を報告した。これまで
台湾への新型コロナウイルスのワクチン提供や、台湾産パイナップルが中
国から禁輸措置を受けたときの支援など、安倍氏の日台関係への貢献を振
り返りながら、「安倍氏に対する感謝の気持ちは、安倍氏の死によって変
わることはない。われわれは安倍氏の信念と理想を引き継いで、台日関係
をさらに発展させたい」と頼氏が語気を強めると、会場から大きな拍手が
湧き起こった。

その後、医師で歌手の劉立仁氏による「千の風になって」著名な歌手、曽
心梅氏による「涙そうそう」など日本の人気歌曲が披露された。台北市の
日本人幼稚園の園児による台湾童謡の合唱などもあり、若者の間で高い人
気を誇るロック歌手、朱約信氏の熱唱による安倍氏にささげる台湾語の新
曲「街路灯」が大きな感動を呼んだ。


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身 辺 雑 記
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24日の東京湾岸は曇.

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

2022年08月23日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6238号
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   2022(令和4年)年 8月23日(火)


    家宅捜査の理由を言わない司法部:Andy Chang

          「退かない」プーチン老:加地伸行         

   岸田Japanは倭人自治区になる?:シーチン”修一

       中国の金融秩序を破壊したトカ:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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家宅捜査の理由を言わない司法部
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           Andy Chang

AC 論説No.906

今月8日にトランプの別荘を高く操作した司法部は、一週間経ってようや
く捜査令状の目的を発表したが、令状にはトランプのスパイ活動嫌疑
(Espionage)のため書類を押収するとしただけだった。国家の元大統領が
スパイ行為をしていたとはあり得ない嫌疑だが司法部長は詳細を公開しな
かった。このためトランプ側だけでなく民間でも実情を公開すべきと言う
声が高まった。

ガーランド司法部長は押収した書類の内容や捜査の理由を公表すれば調査
に影響すると主張したので18日になってフロリダの地方法廷でラインハル
ト裁判官(令状を発布した裁判官)がトランプ側と司法部側の主張を聴取
した。

双方からの事情聴取の結果、ラインハルト裁判官は司法部は家宅捜査の理
由書(Affidavit)を公開すべきだが、司法部が反対するなら「公開できな
い部分を消した理由書」を一週間以内に提出し、ラインハルト裁判官は消
去部分の理由と妥当性を調べてから公開を決定すると裁定した。

捜査令状の理由書(Affidavit)とは、FBIがトランプのマーララーゴ別荘
を家宅捜査してトランプが所有していた文書を押収する理由、文書の種
類、調査する箇所などを宣誓詳述した説明書である。

理由書が発表されれば司法部とFBIがどんな書類を探していたのかがわか
ると共に、家宅捜査の際にFBIが令状の範囲を超えた捜査、例えばトラン
プの金庫を開けたことや、トランプのパスポートを没収した違法行為が
ハッキリする。

この二週間の間トランプ側は司法部とFBIの捜査が違法であると主張し、
司法部側は捜査を決定したのはトランプのスパイ行為の重大性と緊急事態
のため令状を発布したと主張した。しかしその後のニュースでは司法部と
FBIは令状発布まで二週間も討論していたことや、FBIは今年6月にトラン
プの別荘を訪れ、トランプが資料庫を公開して検査させたあと、FBIの
Benjamin Brattエージェントが資料庫に余計に鍵をつけることを提案した
のでトランプは新たに二つの鍵を取り付けたことがわかった。

それなのに2ヶ月後にFBIが30人の武装警護員を連れて別荘の家宅捜査を
行ったのは説明がつかない。明らかに司法部とFBIはトランプの罪名を
デッチ上げて2024年の再選を阻むためであると言われている。

司法部は押収した書類の内容を発表しない。それなのに左翼メディアはト
ランプがトップシークレット文書を隠匿したと報道した。FBIが押収した
書類がどんなものかもわからないのに、機密文書を別荘に隠匿した罪の重
さを喧伝し、(若しも)機密文書を隠匿したなら重大犯罪だと書きまくっ
ていた。これに対しトランプ側は大統領には憲法により全ての機密書類を
解除する権利があることを主張し、彼が保持していた書類は彼の大統領時
代に機密解除された種類であると主張している。そしてトランプ側はFBIが
押収した書類と押収した理由の説明を求めている。

FBIが押収した書類の種類や内容を発表しないのに、メディアは盛んに核
機密に関する極機密だとか、トランプ陣営の内部に告発者(スパイ)が居
て、FBIに機密文書の内容と在処を通報したので司法部が捜査に踏み切っ
たと報道している。

このような根拠のない左翼メディアの報道に惑わされて外国でも反トラン
プ報道をする記事もあった。日本のメルマガに発表されたある記事では、
トランプのパスポートがFBIに没収されたので安倍元総理の国葬に参加で
きなくなったとか、トランプ陣営のスパイは二人居る;一人はトランプの
娘イバンカで、もう一人はトランプのメラニア夫人であると書いていた。
事実なら大問題だがアメリカ国内でスパイ問題を取り上げた報道はなかった。

FBIが押収した書類の種類や内容は発表されていない。しかしトランプの
大統領時代にカウンターテロリズムの主任だったKash Patel氏の発表によ
ると押収された種類の一部(少なくとも一部)はトランプが大統領に就任
した後にヒラリーの金でデッチ上げた「ロシアゲート」の書類であると言
う。パテル氏は反トランプの流した偽情報を扱う主任だったからロシア
ゲートの偽情報は知悉している。FBIが押収した文書の一部、または主要
部分だったかどうかはいずれAffidavitが発表されればわかることであ
る。ロシア
ゲートはダーハム特別検察官が調査中の事件で、クリストファー・ス
ティール、コイ法律事務所だけでなく、司法部やFBIの人員が多く関わっ
ていった事件、つまり多数の民主党人物と司法部やFBIなどの政府の要員
がDeep Stateの反トランプ陰謀に加担した証拠である。

つまり民主党の主要人物と司法部、FBIが共謀してトランプ降ろしを計画
し、ロシアゲートからマラー検察官の調査、二度にわたるトランプ弾劾な
どに政府の人員が関わっていた。だからパテル氏がマーララーゴ家宅捜査
の主要目的はトランプが所有していたロシアゲート関連の書類であったと
言ったのは納得できる。

ロシアゲートの書類を押収し、調査を続けると称して、後々まで返さなけ
ればトランプは彼らの犯罪証拠を証拠だてて暴くことができない。つまり
6年前から反トランプ陰謀に加担していた民主党員、司法部、FBIの人員な
どの多数人員の犯罪証拠を隠すため、Deep State の反トランプ陰謀を闇
に葬るためだったと考えられる。政府側がワシントンポスト紙に流した
「核機密文書」とか「トップシークレット文書」などは実情を隠蔽するウ
ソ隠れ蓑に過ぎない

これを裏書きする新しいニュースでは宣誓理由書(Affidavit)を作成した
のは司法部の人員ではなくFBI内
部で嘗てロシアゲートに関わっていた人たちだったと言う。

8月19日のThe Epoch Timesの記事、”FBI Unit Leading Mar-La-Largo
Probe Earlier Ran Trump-Russia
Discredited Investigation” によると、マーララーゴの家宅捜査令状と
宣誓理由書を作成したのは司法部で
はなくFBIの主要人物であった。ロシアゲートの陰謀に加わっていたのは
Brian Auten、Benjamin Bratt、
Timothy Thibaultなどと実名を挙げて報道した。彼らはロシアゲートに関
連した人物でトランプの家宅捜査の主要人物でもある。FBIグループは己
の罪を隠すために新たな陰謀を企てたと言える。

これは嘗てのロシアゲートよりも大きな陰謀だから短期に終結することは
ないだろう。FBIと司法部の「トランプの犯罪調査」は2024年の総選挙や
それ以後まで続く可能性がある。司法部とFBIは押収した文書をトランプ
に返還しないが、来年度の新国会で共和党多数となれば状況は変わってく
るかも知れない。来年の新国会で共和党側の調査が進み、ガーランド司法
部長とレイFBI長官が免職処分になるかも知れない。

Deep Stateと民主党の目的はトランプを政治的に抹殺することである。だ
から今の民主党多数の国会は2024年の総選挙にトランプが再出馬するのを
ストップするため、今年中に機密文書隠匿を理由にして「国家反乱罪でト
ランプを今後政治に参加させない」法案を提出するかも知れない。

            
━━━━━━━━━━━━
「退かない」プーチン老 
━━━━━━━━━━━━
 【古典個展 大阪大名誉教授 加地伸行】


暑い―この一言に尽きる。老生の20代、すなわち60年も昔、天気予報
で、「明日は30度」と告げられると話題となったもの。今となっては、
もう昔話。

昔話と言(い)えば、『老子』9章に、こうある。「功(こう)成(な)
り名(な)を遂(と)げて、身(み)を退(しりぞ)くは、天の道なり」
と。にもかかわらず、プーチン老(69歳)は、遂(つい)に隣国のウク
ライナに攻め込んだ。しかも苦戦。となると、老残いや老惨と評するほか
ない。老子の名言は死語と化したのか。

ロシア軍の行動を見ていると狩猟民族的である。すなわち、目の前の取れ
るものは可能な限り取る。後は野となれ山となれ、ロシア軍の暴行や略奪
は日本の敗戦時、満州(現中国東北部)において行っていたことと同じで
今もそれを行っている。

こういう狩猟民族的行動を、われわれ農耕民族が叱っても、彼らは理解で
きない。

となれば、日本はロシアに対して、用心して準備すべきものは準備し、防
衛を堅くすることが第一である。ロシアに対しては、「まさか」などとい
う呑気(のんき)な台詞(せりふ)は通用しない。

しかし、現実は厳しい。或(あ)る調査では、外国からの日本侵略に対し
て、戦うという日本の若者は2割、様子を見るが4割、あとの4割は外国
へ行き、状況が落ち着いたら帰国とのこと。

この集計、日本人の誰がわらうことができようか。現実、そして心すべき
ことを教えてくれている。

平和―美しいことばである。しかし、残念なことに、日本の防衛力の現状
を見た場合、それは相当部分、米軍の力に依(よ)る<平和>にすぎな
い。独立国家であるならば、平和は自主防衛力で得るべきものであろう。

『論語』衛霊(えいのれい)公に「遠き〔先(さき)〕の慮(おもんぱか
り)(配慮)なくば、必ず近き憂(うれ)いあり」とある。準備は、なに
も起こっていない時にこそしておくべきである。わけても軍事というの
は、その準備に時間がかかるので、相当の時間を充(あ)てなくてはなら
ない。

その準備の中で最も時間がかかるのが、将兵という人間の準備である。将
官は、長時間の訓練が必要なので、日本は防衛大学校のさらなる充実と定
員増を図らなくてはならない。

問題は兵である。ただ数を集めればよいというわけではない。相当の訓練
が必要なのである。もしそういった配慮がなくて、ただやたらと人数を集
めて部隊を編成しても、実際は役に立たず、戦闘(防衛)能力が低く、無
(な)いに等しい。

『論語』子路(しろ)に、こういう話が出ている。「教えざる民を以
(もっ)て戦うは、是(こ)れ之(これ)(民)を棄(す)つと謂(い)
う」と。

この「教えざる」の「教え」について老生は軍事訓練と解釈している。す
なわち軍事訓練をしていない兵を使って戦闘するのは、軍事(防衛)力が
なく、兵を棄てるようなものだの意。

となると、祖国防衛の基礎訓練は、中・高校あたりから始めるべきではな
いか。

戦いは死に直結する。『論語』述而(じゅつじ)に曰(いわ)く「子
(し)(孔子)の慎む所は、斎(さい)(祭祀(さいし))・戦・疾(し
つ)(病)と」(かじ のぶゆき)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 松本市 久保田 康文 
産経web令和4年8月21日採録



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岸田Japanは倭人自治区になる?
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    “シーチン”修一 2.0



【雀庵の「大戦序章」83/通算515 2022/8/21/日】11月の米国中間選挙を
控えて米国民主党とその支持者によるトランプ叩きが凄い。そのトランプ
が大統領時代に、彼を世界で一番恐れ嫌っていたのは習近平とプーチン、
金正恩という赤色独裁3傑のワルである。

トランプの2016年大統領選のスローガンは「Make America Great
Again(米国を再び偉大に)」だった。「企業は海外投資を控え、米国内
にこそ投資し、雇用を増やすべきだ。中国ばかりが潤い、米国の工場は閉
鎖されてサビ(ラスト)ついている。まるでラストベルトで、多くの国民
が失業の憂き目に遭っている。米国を再び偉大な国、元気な国にしよう、
Make America Great Again!」とハッパをかけた。

誠に正論である。多くの米国企業が国外生産を止めたり縮小して米国に
戻り、日本企業も米国で現地生産を増やし、それにより失業率も改善して
いった。中共との共存を優先して世界の警察官を辞任したヘタレのオバ
マ・民主党が消え、元気なアメリカが戻ってきたのだ。

トランプ政権で一番割を食った国は主敵とされた習近平中共で、なす術
もなくバッシングを受けた。トランプは中共を恐れないし、「誰のお陰で
今の中国があると思ってるんだ」という態度だった。中露北にとってトラ
ンプは、何をするか分からない「怖さ」があった。

安倍氏とトランプ・共和党は相性が良かった。リベラルを自称する人は
概ね容共だが、この二人は「共産主義独裁は悪であり、中露北は国際秩序
を破壊しかねない不倶戴天の敵」という認識で一致していた、と小生は思う。

トランプ政権は一期4年で終わってしまったが、50州からなる連邦国家
の米国では州の権限が保護されているため、大統領選挙でも日本のような
全国一律の厳格なルールがあるわけではない。

「アメリカの大統領選は国民の直接投票ではなく、州ごとに異なる制度
で選挙人団を選ぶ間接選挙になっており、やや複雑だ」(東洋経済)とは
知っているが、調べてみると「かなり複雑」で、州により「細則」が異な
り、郵便投票などは時の州知事や州議会多数派が意のままに変えることが
できるようだ。大体、日本のような厳格な「住民登録」制度がなく、投票
所スタッフの選任経緯も曖昧など、不正の温床になりやすいのではないか。

こうした曖昧さ故にトランプは「選挙が盗まれた!」と不信感を募らせ
ているのだろう。日経2022/8/14「米大統領選にルール変更論 共和は郵
便投票縮小も探る 州議会権限、最高裁が判断」から。

<米国の共和党が大統領選挙のルールを決める権限は州議会にあると主
張し、実現に動き出した。州議会の決定は裁判所の介入を受けないとの考
えで、連邦最高裁が来夏までに合憲性を判断する。合憲になれば、郵便投
票の大幅な制限などに道を開くとされ激戦州で議会多数派を握る共和党に
追い風となる>

USA、United States of America・・・日本語にすれば、複数の国から
なる「アメリカ連邦」だろう。50の各州はそれぞれが州法を持つ独立した
「国家」であり、日本の都道府県のような「自治体」とは全く違う。

共和党と民主党の対立はオバマ政権以降は年々激しくなっている印象だ
が、我が国の明治の教育勅語「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無
窮の皇運を扶養すべし」のように、米国民は有事の際には党派や宗派を超
えて大結束、大団結するというのは凄い。イザ!となれば中露北との戦争
も辞さないだろう。これこそが世界有数の強みになっている。

奥山真司/地政学・戦略学者の「日本は防衛費を3倍に! 注目の米戦略
家が断言する理由とは」SAKISIRU 2022/8/7から。

<「日本は防衛費を増額すべきだ、しかも(GDP比)2%ではなく、3倍
の3%も目指すべきだ」

実に刺激的な提案をする人物と、先日都内で意見交換をしてきた。エル
ブリッジ・コルビー(42)氏である。コルビー氏はトランプ政権で国防次
官補代理を務めていた時に2018年の「国防戦略」(NDS)をまとめ、それ
までのアメリカの大戦略でテロ組織を最大の脅威としていたものを、「大
国間競争」の時代に入ったとして方針転換させた張本人だ。

彼は元官僚として、現在は「マラソン・イニシアチブ」という小さなシ
ンクタンクを立ち上げてワシントン界隈でアクティブに活動している。去
年の2021年9月には自身の戦略論をまとめた『拒否の戦略』(The
Strategy of Denial)を出版し、日米の国防関係者の間でも話題になって
いる(邦訳は日経新聞社が準備中)。

このコルビー氏から、知人のつてで突然「8月初頭に訪日するから一緒
に昼飯でも食べないか」と提案があり、急遽都内で意見交換をすることに
なった。

もちろん公式なインタビューではないので、彼と私の詳しい会話の内容
はここで紹介するつもりはない。すでに日本のいくつかのメディアで見解
を発表しているので、詳しくはそちらを見ていただきたい(参考1「朝日
新聞デジタル」、参考2「日経電子版」)。

しかしそれでは物足りないという方々のために、私がすでに読んでいた
彼の本から読み取った、日本の今後の戦略を考える上でカギとなるものを
以下の5点にしぼって紹介しておきたい。

【(1)世界秩序の安定に必要なのは】「平和」といえば日本では一般
的に「武力衝突のない安定して穏やかな理想的な状態」であると解釈され
がちだ。しかし国際政治を研究する学問(国際関係論)の伝統的な学派の
うちの一派で「リアリズム」(現実主義)という学派の学者たちは、「平
和」とは国家間で力のバランスがとれている「次の戦争までの小康状態」
のことだと解釈することが多い。

この考え方は「勢力均衡」(バランス・オブ・パワー)という概念とし
て説明されることが多いのだが、この概念については学者たちの間でも考
えが二派にわかれており、上述したような「平和は、国家間の力が均衡し
ている時に実現する」というものの他に、「平和は、一国が圧倒的な力を
持った不均衡な状態の時に実現する」という、いわば「勢力不均衡」の場
合のほうが実現しやすいと説くものもある。

コルビー氏は後者の立場をとっており、自身をリアリズムの古き良き伝
統を継承した考えに立ちながら、「アメリカは圧倒的な力を維持して世界
秩序の安定に寄与しなければならない」とする立場をとっている。

【(2)アメリカの力には限界がある】ところがコルビー氏は「アメリ
カにはその圧倒的な立場を維持するだけの力がもう残されていない」との
厳しい認識を持っている。

コルビー氏の厳しい現状認識の前提には、イギリス出身のポール・ケネ
ディ氏が世界的ベストセラー『大国の興亡』(草思社)などで展開した、
いわゆる「帝国の過剰拡大」(Imperial Overstrech)という概念がある。

つまり現在のアメリカは、権益と支配が過剰拡大するという覇権国が陥
りやすいワナにハマっているという認識だ。

たしかに現在のアメリカは、世界各地に300を超える基地や拠点を持っ
ており、それらは「三大戦略地域」と言われる西欧、中東、東アジアのそ
れぞれの地区を睨んだ形で置かれている。だが、ようやく撤退できたアフ
ガニスタンやイラクだけでなく、リビアやイエメンなど、現在でも中東や
アフリカなどで手広く軍事介入を行っている。

そうなると、いくら世界最大の軍隊を備える国家であっても、大戦略に
おいて優先順位の立て方を間違えてしまうとリソースをうまく活用できな
いことになる。それぞれの方面で手薄になってしまうからだ。

【(3)アメリカは大戦略を間違えていた】それぞれの方面で手薄にな
る、ということは、つまり「気が散る」(distracted)という状況に陥りや
すいのだが、コルビー氏はここ20年間のアメリカは実際にこのような状態
にあったのだと断言する。

たとえば2001年9月の連続多発テロ事件をきっかけとして始まったアフ
ガニスタンやイラクへの侵攻だが、コルビー氏にとって、これは大戦略の
選択の大間違いとなる。

なぜならアルカイダのようなテロ組織というのは、アメリカにとっては
覇権や国家の存続そのものを脅かすような存在ではなく、国家の威信をか
けて戦略を考えるような相手ではないからだ。

アメリカにとっての脅威はあくまでも覇権を脅かす「大国」であり、中
東で行っていた「テロとの戦い」(the Global War on Terror:GWOT)や
「対テロ作戦」(Counter Insurgency:COIN)などは、まさに「気を散ら
す」存在以外の何者でもないことになる。

【(4)中国こそが最大の脅威である】ではアメリカは大戦略の焦点を
どこに置けば良いのか。コルビー氏はそれをアメリカにとってライバルと
なる「大国」、とりわけ中国であると主張して譲らない。

なぜ中国なのかといえば、アメリカの覇権と、それが形成してきた現在
の世界秩序を作り変えるポテンシャルを、経済面でも軍事面でも最も高く
持っているからだという。これは同国を「戦略的競合相手」と位置づけた
歴史的なアメリカの国防戦略の文書をまとめた人物としては当然の結論か
もしれない。

もちろん東アジアに生きる我々にとって、世界最強の軍隊を持つアメリ
カの国防関係者が「中国の脅威に集中せよ」と言ってくれることは頼もし
い限りではあるが、だからといって手放しで喜ぶことはできない。

というのも、前述したようにコルビー氏は「アメリカの力には限界があ
る」という現実を自覚しており、だからこそ冒頭で紹介したように、日本
にも相応の防衛費増額の負担を求めるからだ。

つまり現在の世界秩序を維持したければ、余裕のないアメリカに一方的
に頼るだけではなく、日本もそれ相応の負担をすべきだ、という以前から
繰り返されている議題なのだが、コルビー氏によれば、日本にはついにそ
の「年貢の納め時」が来たということだ。

【(5)ロシア対応に割くリソースはない】そうなると一方の「大国」
であるロシアはどうなるのか。

コルビー氏はロシアがウクライナに侵攻していることは問題であること
は認めつつも、基本的にそれは現地の当事者である欧州諸国が主導すべき
問題であり、アメリカは武器や資金の提供はしつつも、決して兵力を派遣
するような形で直接介入すべきではないとしている。これは中国の問題か
ら「気をそらす」ことにつながるからだ。

当然ながらこれはウクライナの惨状に同情すべきだとする人々からは反
発を受ける意見であり、本人もそれを自覚しているが、それでもリソース
を集中させるべきは東アジアの中国であり、それこそがアメリカの大戦略
の進む道なのだという。

【冷戦後のアメリカの「過ち」とは】以上のように、コルビー氏の思考
は極めて明晰である。アメリカの大戦略の方向性と、その論拠に関する議
論について一点の曇りもない。

もちろん彼の思考が「タカ派すぎる」というものや、あまりにも「帝国
主義的だ」という点から批判されそうなのは、私にとっても気になるとこ
ろだ。

ただしそのような問題点を超えて私が本質的に同意したのが、なぜアメ
リカが長きにわたって戦略を間違えていたのか、という理由についての彼
の分析であった。コルビー氏はそれを「ソ連との冷戦に勝ってから世界は
一極状態となり、アメリカは戦略を真剣に考えなくなったからだ」と主張
している。

つまりアメリカは冷戦における戦略に成功してしまったからこそ、その
後に油断してしまい、対テロ戦のような寄り道をして、真剣な戦略思考を
持つ人間を育てられなくなってしまったのである。

【日本が主体的に戦略を考えるべき時】ここで、読者はお気づきになら
れるはずだ。戦略を最も考えてこなかったのは、そのアメリカの戦略に
乗っかったまま、これまで真剣に考える必要のなかった日本そのものでは
ないか、と。

もちろん「インド太平洋」という概念を国際的に広めて日本の安保制度
の変革への一歩を踏み出していた故安倍元首相という例外的な存在はあっ
たが、それはあくまでも例外である。

もし日本が防衛費を増額したくないというのであれば、コルビー氏の主
張に対抗できるような説得力のある戦略を積極的に打ち出すべきではないか。

いずれにせよ、先日のペロシ下院議長の訪台とその後の中国による軍事
演習で日本のEEZ内に中国のミサイルが着弾するような事態も発生してい
る。いよいよ戦略を必死に考える時期が来たと言えるだろう>(以上)

「戦略を必死に考える」・・・習近平・中共に威嚇、恫喝されても「中
国の弾道ミサイルがEEZを含むわが国近海に落下したことは、わが国の安
全保障、国民の安全にかかわる重大な問題だ。中国の行動は地域および国
際社会の平和と安定に深刻な影響を与える。軍事訓練の即刻中止を求め
る」(外務省・森健良事務次官)。

一方、中共は「中国の主権や領土保全を侵犯するいかなる行為にも中国
人は必ず倍返しする」(産経2022/8/4)

中共の弾道ミサイルが日本のEEZに着弾したのは初めてというのに岸田
政権は通り一遍の“遺憾砲”、ただの空砲でご挨拶。出自がパンダハガーの
宏池会。それなら中共を真似て「日本の主権や領土保全を侵犯するいかな
る行為にも日本人は必ず倍返しする」と言ったらいい。

「存在が意識を決定する」。圧迫されていると解放されたいと思う。そ
の逆に満足していると現状を変えようという意欲は湧かない。「なにく
そ」というハングリー精神は起きない。マキアヴェッリ曰く――

「建国間もない新君主は側近に慣れ親しんだものを置く傾向があるが、
今の境遇に満足しているイエスマンばかりが側近だと国家はやがて堕落、
弱体化していく。

一方で新君主により追放された旧政権の幹部の中には不遇をかこつ者が
多い。こういう不満居士を登用すると、当初は新君主への反発もあって可
愛気がないが、ハングリー精神から「なにくそ、目にものを見せてやる」
とばかりにいい仕事をする者が結構いる。当初の恨みつらみは恩讐の彼方
となり、彼らはやがて良き側近になったりする」(君主論第20章「君主が
常に頼りにすするもの」のキモ)

艱難汝を玉にす、そんな経験のないだろうチヤホヤ育ちの岸田首相で大
丈夫か。一点突破、全面展開、まずは安倍氏の「アメリカとの核シェアリ
ングをタブー視せずに(実現に向けての)議論をすべきである」を断行す
べきだ。

<しかし、安倍氏の発言に対して、岸田首相や岸防衛大臣は「非核三原
則を遵守するという日本政府の立場からは、核シェアリングは認めること
はできない」と直ちに火消しに回った。

核シェアリングの議論を封じるそうした日本国内の動きに対して、アメ
リカからは「日本防衛当局はこの機会を潰してしまうのか」と不満の声も
上がっている(北村淳:軍事社会学者、JPpress 2022/3/10)>

脳内お花畑、危機感もなさそうな羊が1億日本のリーダー・・・このまま
の無為無策が続けば日本は間違いなく「倭人自治区」になる。


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中国の金融秩序を破壊したトカ
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月22日(月曜日)
         通巻第7434号  <前日発行>
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肖建華に懲役13年、会社に81億ドルの罰金
  中国の金融秩序を破壊したトカ。インサイダー取引のスケープゴート
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 中国のインサイダー取引のチャンピオンだった肖建華は江沢民派の資金
源にもなったという。
香港を舞台に派手に繰り広げられた金銭ゲームの中枢にいた肖建華は2017
年1月に香港の豪華ホテルから拉致され、五年間消息がなった。カナダ国
籍を持っていたため、カナダ政府が屡々安否を確認してきた。

 8月19日、中国の裁判所は肖建華に懲役13年、彼が率いた明天証券に81
億ドルの罰金を科した。中国金融界の安定を破損させ、多くの投資家が被
害に被ったというのが罪状だった。明天証券グループの九社は国有化され
またカネの引き出しとして駆使した包商銀行も国有化された。

これで中国バブルの「四悪」とされた海航集団と安邦保険は倒産、生き延
びたのは大連万達集団一社だけとなった。
 この類いのボンジスキーム(ネズミ講)、或いは金融詐欺は、デリバ
ティブ金融商品の複雑な投資スキームがあって犯罪の立証が難しい。

 過去、資本主義の本場アメリカでもエンロン、ワールドコム、そしてア
ルケゴスという『三大金融詐欺犯罪』があった。

 エンロンは石油先物取引などエネルギーや天候の金融商品で、デリバ
ティブ商品として混ぜてしまうので被害は国際的に広がる。州の年金や日
本の投資集団もひっかかった。エンロンは本社見学をするとずらっと並ん
だコンピュータで社員たちが懸命に取引していた(あとで、これは演技と
判明した)。

 エンロンは不正商法がばれて破産、被害総額は160億ドルだった。つい
で「ワールドコム事件」が2002年7月、被害総額は410億ドルとなった。

 直近は投資集団「アルケゴス」だろう。ボンジスキームの実態を隠し、
複雑はデリバティブ商品をまぜあわせて成績を上げ、一時は全米の有名人
も投資していた。
往時、レバレッジによる取引は邦貨換算で11兆円、21年3月に倒産し
たが、被害額は360億ドルだった。
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ++++++++++++++++++++++++++  樋泉克夫
のコラム 樋泉克夫のコラム  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@
【知道中国 2409回】 
  ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習75)

   ▽
 次に『珍宝島英雄賛』(本社美術通訊員編絵 上海人民出版社)だが、
巻頭に「警戒を厳に、祖国を防衛せよ。人民のために戦に備え、飢えに備
えよ」との『毛主席語録』をドカーンと掲げる。
その本の内容に相応しい一節を『毛主席語録』から引っ張り出し巻頭に掲
げるようになったのは上海人民出版社が最初で、1970年辺りから本格化し
たように思う。

 「警戒を厳に、〔中略〕飢えに備えよ」との『毛主席語録』からの一節
に次いで、「偉大なる領袖の毛主席と彼の親密なる戦友の林副主席の批准
により、中共中央軍事委員会は珍宝島におけるソ連修正主義の武装挑発を
反撃する自衛戦争において鮮血と生命を盾に偉大なる祖国の神聖な領土を
防衛した孫玉国ら十人の同志に『戦闘英雄』の光栄ある称号を授与した。
人民に、党に、偉大なる領袖の毛主席に無限に忠誠を尽くした英雄たちの
気高い心栄えを、よりよく学習するために」と記している。

 『珍宝島英雄賛』は、67年から69年にかけて起こった中ソ国境を限る珍
宝島(ロシア名でダマンスキー島)の戦場において「一不怕死、二不怕死
(断固として死を恐れず)」に戦った10人の「戦闘英雄」を顕彰し、「彼
らの断固として戦い抜く輝かしき戦闘作風を学習する」ために出版された
連環画である。

 連環画とは中国伝統の解説付きの絵本式読み物で、『三国志』『水滸
伝』『西游記』なども、こういった形で子供たちの間に広まったのであ
る。いわば連環画という伝統的メディアを使って、子供たちの脳裏に毛沢
東思想万歳と祖国防衛の意義を徹底して刷り込もうとした。共産党が利用
するほどに、伝統は宣伝(洗脳)力を秘めているということだろう。

 67年11月24日、酷寒の中で最前線警備に当たる孫玉国と3人の戦士は、
国境を侵犯する7人の完全武装したソ連修正主義兵士を発見した。
そこで直ちに「中国人民に対する重大な挑発だ。即刻立ち去れ」と厳重に
抗議する。
 すると厚顔無恥にもソ連兵は雪の上に1つの島を描いて「1868」と記
し、この島が1868年からソ連(ロシア)領だと主張する。そこで孫は強く
抗議し、雪の上に記された島と1868の上に大きく「×」を印した。孫玉国
が右の胸にシッカリと抱いていたのは、もちろん赤いビニール製表紙の
『毛主席語録』だ。真っ赤な表紙が白雪に鮮やかに映えたことだろう。

 『珍宝島英雄賛』は、孫がは「1868年当時、ここは島ではなく中国側の
河岸の一部だった。土砂が堆積し、20世紀初頭になって島となったのだ。
1860年にロシアの老いぼれクソ皇帝が中露北京条約を中国人民に強要し
た。ここは一点の疑念の余地もない中国の領土だ」「これは断固として改
竄することのできない歴史的事実だ」との思いを込めて雪の上に「×」を
記した、と解説する。

 それにしても僅か1個の「×」印ながら、左程までに深い歴史的主張が
込められていたとは驚きである。想像するに、さぞやソ連兵士も戸惑った
に違いない。
 時移り69年3月2日、ソ連機甲部隊が狂ったように国境を侵犯する。
烈火のごとく怒る孫は敵機甲部隊の進路を敢然と立ち塞いで、「止まれ。
ここは中国の領土だ。お前らの強盗のような所業は中華人民共和国への重
大な挑発だ。直ちに撤退せよ」と一喝する。

 だがソ連軍の前進は止まず、戦端が開かれた。
孫は、右手にシッカリ持った『毛主席語録』を銃の代わり打ち振りなが
ら、「我らは毛沢東思想で武装している。筋金入りだ。天が崩れてきても
支えることが出来るぞ」と兵士を督戦する。こうして「ソ連修正主義の戦
車、装甲車、武装部隊による狂気の侵攻を粉砕し、祖国の神聖なる領土を
勝利のうちに防衛した」のであった。

 弱々しく描かれるソ連兵士に対して中国兵士は雄々しく勇ましい。中国
の子供ならずとも、中国兵士に憧れるはずだ。洗脳工作はイケイケドンド
ンで深化して行く。

【知道中国 2410回】(76)

 『紅山島』の舞台は東南沿海に位置する貧しく小さな「紅山島」であ
る。解放(建国)前、ここでも蒋介石勢力は横暴を極め、貧しい漁民は苛
斂誅求に泣くばかり。人々は「共産党と毛主席が領導する人民解放軍は我
ら貧乏人のために戦っている。ほどなく紅山島は解放される。我ら貧乏人
が恨みを晴らす時はもうすぐやってくる!」との思いを胸に耐え忍ぶ。そ
の中には、貧しい家庭の娘である海英もいた。

人民解放軍が島に上陸するや、彼女は案内役となって解放軍を勝利に導
く。その功績に報いるべく解放軍が贈った毛沢東の肖像画を捧げ持ち、彼
女は「毛主席! あなたは我ら貧乏人にとって大きな、とても大きな救い
の星です!」と賛嘆の声を上げる。

 やがて彼女は民兵に志願し、島の奪還を企てる蒋介石一派の残党に対す
る殲滅戦に獅子奮迅の活躍を果たすのであった。
 『紅山島』の最後の頁に描かれた彼女は男と見紛うようだ。太い眉に厚
い唇。ガッチリした体を民兵の軍服で包んでいる。彼女の背後には男の民
兵と解放軍の兵士が立つ。3人の背後は波打つ紅旗で埋め尽くされてい
る。3人は「政権を産み出す銃」を手に東方洋上を見つ、視線の先に雲間
から顔を覗かせた真っ赤な太陽を捉える。

かくて「太陽が昇り、輝ける陽光が空いっぱいに広がる。海英と解放軍兵
士は共に海上防衛の前線に立ち、守りを固める。我々を侵そうとする一切
の敵を完全に、徹底して、キレイさっぱりと殲滅すべく常に備えを固め、
社会主義の赤い大地を守り、プロレタリアの赤い政権を守り、偉大なる領
袖・毛主席を守ろう!」と結ばれる。

『永遠緊握手中槍』の舞台は『紅山島』と違って山村だが、ここでも人民
解放軍は貧しい村人を救うために大活躍である。
主人公の猛子の父親は抗日武装勢力の連絡員として働くが、日本軍と通じ
ていた村の顔役に殺されてしまう。父親の恨みを晴らそうと、猛子は解放
軍への入隊を志願する。先ずは少年連絡員として働くことになるが、「美
●反動派殲滅戦」の戦場で大人顔負けの軍功を挙げたことから、正規の解
放軍兵士として入隊が許される。

 最後の頁には銃を手に、両脇を部隊幹部に守られた猛子の雄々しい姿が
描かれ、「猛子よ、毛主席は我々に『世界は銃によってこそ改造できるの
だ』と教えておられる。
銃を永遠にシッカリと握り、毛主席に従い、中国全土に紅旗を翻すの
だ!」との言葉が添えられる。

 次いで連環画とは体裁の異なる『夜航石頭沙』、『胸懐朝陽戦冰雹』、
『宋師傅学外語』、『優秀的共産党員 ──陳波』、『為革命読書』を見て
おきたい。共に16cm(縦)×13cm(横)で20頁前後の小冊子風で、イラス
トに簡潔で調子よく読める文章で構成されている。内容は毛沢東式勧善懲
悪、あるいは毛沢東思想を活学活用しての刻苦勉励物語といったところ。

 先ずは『夜航石頭沙』だが、秋も深まった一夜、長江の河口を白波蹴立
て進む航標五号は、やがて崇明島の北部海岸に碇を下ろした。静まり返っ
た船内では、その日の作業を終えた党支部副書記の程志敏が、いつものよ
うに灯火の下で一心不乱に毛沢東の著作を学習している。
と、そこに「近くの呉淞口に停泊中の外国船が折からの強風に座礁し船体
破断の危機。大至急救援に向かうべし」との緊急電報が飛び込む。早速、
乗組員全員が非常呼集され、幹部からの命令を待つ。

 呉淞口は上海港の喉元に位置するだけに、事態を早急に収拾できなかっ
た場合、多くの船舶の航行にとって障害となるばかりか、「中国革命と世
界革命とに大きな損失をもたらす」と程志敏は考えた。救難作業を急行す
べきだが、安全な通常航路を航行していたのでは現場到着は明日の明け方
にズレ込んでしまう。

最短航路の石頭沙水路を抜けることを提案したが、そこは穏やかな天候で
も航行が容易ではない難所中の難所であった。
    □☆●□☆●□☆●☆□☆●□☆●□
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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   ♪
(読者の声1)宮崎正弘先生の次回生放送ニュース解説番組の「フロント
 JAPAN」への出演は8月31日午前11時の予定です。
ホストは上島嘉郎(元『政論』編集長)。テーマは未定です。(日本文化
チャンネル桜)



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重 要 情 報
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◎「カリスマ経営者の言行録」への反響に思う事ー経営者の質が変化した
のか:前田正晶

昨21日にPresident氏から引用して取り上げた「経営者の言行録」につ
いて、北欧を代表するかのような多国籍企業の日本法人で副社長を勤めら
れた論客のK氏から、下記のようなご意見が寄せられた。

「皆、亡くなった人ばかり。彼らの時代が黄金時代だったのか。それと
も、その後に、歴史をつくれる人が出ていないのか。共通しているのは、
官僚的な人は皆無。80年代以降、新卒入社、年功の階段を上がり上に気に
入られた人が、経営陣になる。経営とは無縁の評価基準ハングリーな外国
人に負けていく。」

誠に尤もな見解であると思って読んだ。確かに現代大手企業で経営陣に
おられる方々はPresident誌が採り上げた故人とは違って、新卒での入社
から能力と年功序列等の我が国独得の企業社会の文化の中で努力を積み重
ねて経営陣に入ってこられたと思って見ている。私はそういう方々は、例
えば松下幸之助氏などとは異なっていて、自分の資金で会社を創立し運営
しておられるのではない「経営担当者ではないのか」と指摘してきた。

更に、新卒で入社されてからK氏の指摘のように努力を積み重ねられて階
段を上り詰めてこられたので、地位が上がるほどにその地位を守ることに
も懸命の努力を傾注されたので、ともすると「守り」の態勢に入られたの
ではないのかと、勝手に外部から視察してきた。その態勢にあっては、あ
のような言行録に入るような思想や経営の哲学を語られる精神的な余裕も
暇(イトマ)がなかったのかなどと考えている。

だが、現代の世界のように諸々の情勢が時々刻々と変化していく時代に
あっては、あのPresident誌が引用した方々の20世紀の経営理念が通用し
なくなったのかも知れないのだろうかとも言える気がする。上述のような
経営者の質の変化については、大手製紙の元社長の某氏は冷ややかに「経
営者の劣化だろう」と決めつけておられた例もあるが。

私はリタイア後に恵まれた1990年代末期頃の機会に、数社の上場企業乃
至はそれに準ずる会社の若手の精鋭たち(現在40歳台後半から50歳台前
半)から、「現在の我が社の部課長級が役員になる頃には、当社が没落し
ている危険性が見えるので不安だ。そう言う根拠はあの年齢層は自分たち
の地位を守ることに汲々としているだけで、何ら時代に即応した新機軸を
産み出していない。何とかしてあの年齢層(団塊の世代)を追放しておか
ないと」と聞かされたものだった。

そう言ってしまえば、何処の会社か容易に分かるだろうある商社では、
社長の大英断の下に「団塊の世代に1億円の退職を出すから」と、早期退
職を勧誘して一掃していしまった例もあった。その社長さんは「辞めて欲
しくない. 将来当社を担うだろう有望株が辞めていくことは承知で打った
手だった」と聞かされていた。その商社のその後の躍進振りは夙に知られ
ているところだ。

この例から見えてくることは「質の劣化」と言うよりも「一個人の能力
だけで対応して即応していくのが非常に困難になっていく一方の時代の変
化と、それに加えて進歩発展の大きな促進の材料となっている情報化と
ICT化とAI等の急速な普及があり、一個人のカリスマ性では対応しきれな
いのではないのか」と思うのだが、如何だろう。


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身 辺 雑 記
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23日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月22日

和歌山市長選 現職の尾花氏が3選

和歌山市長選 現職の尾花氏が3選
08月22日 00時23分

現職と新人の2人による争いとなった和歌山市長選挙は、現職の尾花正啓氏が3回目の当選を果たしました。

和歌山市長選挙の開票結果です。
▼尾花正啓、無所属・現。
当選。
6万4721票。
▼吉本昌純、無所属・新。
2万9711票。

無所属で、自民党、立憲民主党、公明党、国民民主党が推薦した、現職の尾花氏が、新人の吉本氏を抑え、3回目の当選を果たしました。
尾花氏は69歳。

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6237号
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   2022(令和4年)年 8月22日(月)



        麻生元総理の弔辞:友人代表 麻生太郎

  習近平は「赤い星」を目指す:“シーチン”修一 2.0

        ウクライナ戦争の現状と大局:北野幸伯 

          「半導体超強大国」戦略:勝又壽良

            
      
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☆麻生元総理の弔辞
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安倍先生、今日はどういう言葉を申し上げればよいのか、何も見つけられ
ないまま、この日を迎えてしまいました。参院選の街頭遊説のさなかに凶
弾に倒れた。いくら何でもそれはなかろう。この事態は私にとって、到底
受け入れられるものではありませんでした。そしてまた、多くの国民もや
り場のない怒りや悲しみに暮れております。誰もがどうお悔やみを申し上
げればよいのか、その言葉すら知りません。

 ただただ、ご冥福(めいふく)をお祈りするばかりであります。振り返
りますと、先生と私は随分長い時間、お付き合いをさせて頂いたことにな
ります。時に官房副長官と政調会長、時に総理と幹事長、時に総理と副総
理として、先生とは政策、また政局において様々な課題に取り組んで参り
ました。そこにありましたのは、先生との信頼関係。いかなる局面におい
ても、日本という国、及び国益を最優先する信念、先生と私をつなぐ一番
の絆であることを確信しております。

 少々、かっこよく言い過ぎたのかも知れません。普段はお酒を酌み交わ
し、ゴルフ場で冗談を言いながら回る。むしろ、そんないつもの光景の、
そこにあった安倍先生の笑顔が目を閉じれば浮かんでまいります。

 総理としてのご功績は今更私が申し上げるまでもなく、多くの方々の知
るところであります。内政はもちろんのこと、外交において、間違いな
く、戦後の日本が生んだ最も優れた政治家ではなかったか、そう確信する
ものであります。

 戦後最長となられた在任期間を通じ、積極的な安倍外交は、あなたの持
ち前のセンスと、守るべき一線は譲らない類まれなる胆力によって、各国
の首脳からも一目置かれ、日本のプレゼンス、存在を飛躍的に高めたと確
信しております。

 あなたが総理を退任された後も、ことあるごとに「安倍は何と言ってい
る」と、各国首脳が漏らしたことに私は日本人として誇らしい気持ちを
持ったものであります。

世界が今、大きな変革の下に、各国が歩むべき王道を迷い、見失い、進む
べき羅針盤を必要とする今この時に、あなたを失ってしまったことは日本
という国家の大きな損失にほかならず、痛恨の極みであります。

 先生はこれから、(父親の)晋太郎先生の下に旅立たれますが、今まで
成し遂げられたことを胸を張ってご報告をして頂ければと思います。そし
て、(祖父の)岸信介先生も加われるでしょうが、政治談議に花を咲かせ
られるのではないかとも思っております。

 ただ先生と苦楽を共にされて、最後まで一番近くで支えて来られた昭恵
夫人、またご親族の皆様もどうかいつまでも温かく見守って頂ければと思
います。そのことをまた、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂きました友
人の一人として心からお願いを申し上げる次第であります。

 まだまだ安倍先生に申し上げたいことがたくさんあるのですが、私もそ
のうちそちらに参りますので、その時はこれまで以上に冗談を言いなが
ら、楽しく語り合えるのを楽しみにしております。正直申し上げて、私の
弔辞を安倍先生に話して頂くつもりでした。無念です。

 令和4年7月12日 元内閣総理大臣 友人代表 麻生太郎

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

「日本国を守る会」FBより採録

            
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習近平は「赤い星」を目指す
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    “シーチン”修一 2.0



【雀庵の「大戦序章」82/通算514 2022/8/19/金】8/16の送り火を子供3
人、孫5人、小生夫婦の10人で賑やかに済ませてお盆明け。亡き父母も安
心してあの世へ戻ったろう。


今年のお盆は「我が家でキャンプ!」ということで、ベランダでBBQ、室
内にテントまで張って焼き肉の臭いが充満、まさしくキャンプ場のバンガ
ローみたいになった。上は42歳の長女から下は4歳の孫娘までがハシャギ
まくって、凄い迫力。若さに圧倒される。いやはやヂイヂにとっては刺激
的で、何もしないのに疲れてしまった。

一夜明けて、いつもの日常、つまり戦場に戻った気分だ。敵を罵倒しま
くるという殺伐としたリアルの世界・・・他者から見ればバーチャルの妄
想世界?で中露朝を殲滅する戦いを再開するのである。イザ戦わん、イ
ザ! 立つんだ、ジョー!

夏彦翁曰く「人みな飾ってモノを言う」。小生なら嫌な奴を「飾らない
モード」で罵倒するときはこんな具合だな。

「あいつ、トンデモ野郎、箸にも棒にも掛からないクズどころか、足を
引っ張る下司、ロクでもない奴だ。それでいてプライドは高くて、自分で
は頭がいいと思っているんだからどうしようもないね。最低。いない方が
いい。ああいうのは人類の敵だな。殺処分した方がいいんでね、保健所に
電話して引き取ってもらったらいい。

大卒だって言うけれど知性のカケラもありゃしない。大学で何やってた
んだって聞いたら、ゴルフと麻雀、映画だと。暴れまくっていた俺より健
康かも知れないけど、学問とか知性とか、カケラもありゃしない。軽佻浮
薄のおべんちゃら、まるで幇間。こんなバカと仕事をするなんて俺は嫌だね」

本音はそうであっても、満座の中でこんな“正論”は言えやしないから、
気の置けない同僚や先輩と飲んでいる時にはオブラートにくるんでチョロ
チョロと言うくらいだったけれど・・・大体、そんな話では酒がまずくな
るぜ、「おねえさん、ダラ燗で2、3本!」。

「人みな飾ってモノを言う」、記者とか識者の書く記事、論稿も露骨な
表現は避ける。“オブラート糖衣錠式表現法”が普通だ。「バカ」「キ〇ガ
イ」「クズ」なんていう言葉を使うと訴訟沙汰になりかねない。日弁連は
アカの巣窟、法匪みたい。国際勝共連合を運営する統一教会もまるで銭ゲ
バナンミョーそっくり、小生はがっかりした・・・

そう言えば韓国在住の産経・黒田勝弘氏によると「旧統一教会は韓国系
だが信徒数は韓国(約30万)より日本(約60万)の方が多い。宗教事情で
いえば逆に韓国にも日本系が進出していて、古くは天理教、新しいところ
では創価学会がそうだ。特に創価学会は信徒数160万(2018年、韓国政府
統計)に上る」(産経8/6)

カネ、カネ、カネ・・・人間はカネが好きだが、私欲が高じると人生を
誤るのではないか。ほどほどにしないと晩年になってお縄を頂戴したりする。

独裁統治は建国初期には概ね必要だが、熱気が冷めてくると私利私欲の
利権の温床になりやすい。人間の性(さが)のようで、それを抑制するの
が民主主義というシステムなのだろう。

チャーチル曰く「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられて
きた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」。民主主義はろくで
もないが、それ以上のマシな統治法が今のところないのだからしようがな
い、ということだろう。まあ、そのようだ。「普通選挙の功罪」、そのう
ち書いてみよう。

「人みな飾ってモノを言う」、独裁国家を近年では「権威主義国家」な
んて言う。変な言葉だが、WIKIによると、

<権威主義(Authoritarianism)とは、権威をたてにとって思考・行動
したり、権威に対して盲目的に服従したりする個人や社会組織の態度を指
す。政治学においては、権力を元首または政治組織が独占して統治を行う
政治思想や政治体制のことである。

全体主義よりも穏健な体制、あるいは非民主主義の総称として独裁政
治・専制政治・神権政治を含めた用語として使用されている。

権威主義的な統治の下では、国や地域における政治権力が一人または複
数の指導者に集中しており、その指導者は典型的には選挙されず、排他的
で責任を負わない恣意的な権力を持つ。

政治学上の用法では、権威主義体制を民主主義体制と全体主義体制の中
間とする立場や、権威主義体制は非民主的な体制の総称として独裁・専
制・全体主義などを含むとする立場などがある>

つまり全然根付いていない、定義がアイマイな言葉だ。新しい物好きな
記者や論者は「権威主義」とか「専制主義」という言葉をやたらと使いた
がるが、小生には軽佻浮薄な言葉に見える。

習近平・中共は昨年あたりから「我が国には我が国の民主主義がある」
なんぞと言い出しているが、白を黒、黒を白というのは昔から共産主義者
の常套手段だ。こういうマヤカシがいつまで通るのか・・・マスコミは中
共を「個人独裁」「一党独裁」となぜ言わぬのか!と小生は思うのだが、
NHKは報復(取材拒否)を恐れて中共が反発する表現は自主規制している
そうだ。民放も新聞も似たようなものだろう。忖度野郎、下司みたいなメ
ディアが多過ぎる。

在日中国人ライター・馬克我(マー・クウォー、少数民族)氏の「中国
の若者たちはアメリカの『ゴミ』の向こうに何を見たのか 反米プロパガ
ンダに反感を抱く『打口』世代」JBプレス2022/8/16から。

<1980年代、改革開放政策により中国は再び門戸を開き、大量の海外文
化がどっと流れ込んだ。中国共産党政府はこの状態を受け入れる一方で、
注意深く統制を行ってきた。

例えば、海外のテレビ番組もかつては中国に入ってきたが、中国共産党
が認めない内容を放送するとすぐさま中止された(詳細は本コラム「日本
のアニメを見て育った中国『改革開放』世代の嘆きと絶望」を参照)。ハ
リウッド映画も中国で上映するには厳しい検閲を受けなければならず、輸
出映画本数も制限されている。

しかし、中国共産党政府も全てを統制できるわけではない。かつて、彼
らが思いもよらないところで、アメリカのある文化製品が絶えず中国に
入ってきていたのだ。

【アメリカの廃プラスチックに埋もれていた「宝物」】2018年初頭、中
国は新しい輸入規制を施行し、廃プラスチックを含む24種類の固形廃棄物
の輸入を中止した。

長い間、主に先進国から輸入したゴミは、中国製造業の低コスト原材料
の源であった。十数年前、私は温州にある企業を見学し、海外から輸入さ
れた廃プラが洗浄、加熱、成型を経て、最終的にスニーカーの部品になる
という全工程を見たことがある。

廃プラの輸入禁止は、当時ただの経済ニュースにすぎなかった。しか
し、一部の中国人からすると、そこには海外の特別な文化の波及に関する
歴史が隠されていた。

中国は80年代から海外の廃プラの輸入を開始した。90年代初めには、廃
プラの中にアメリカで売れ残った音楽製品が含まれるようになった。初め
は全てカセットテープだったが、その後、CDが多くなっていった。アメリ
カから輸入したカセットテープはケースの1箇所に切り込みを入れられ、
中のテープは切断されていた。CDには5ミリほどの小さな丸い穴が開けら
れていた。

これらの廃プラは、通常、広州と廈門(アモイ)、汕頭(スワトウ)の
税関を通過して上陸した。一時は工業原材料として使用されていたが、そ
の音楽価値に気付いた人がいたのだろう。カセットテープはケースを分解
し、切れたテープをセロハンテープでつなげれば、命を吹き返す。CDは、
穴が空いた部分の1〜2曲が聞けないだけである。徐々に多くの人がこのよ
うなカセットテープやCDの音楽を聴くようになり、これらは「打口(ダー
コウ、「穴あき」という意)」と呼ばれた。

【「打口」によって開かれた音楽の世界】90年代中期、私は中国西部の
都市で中学時代を過ごした。海岸から2000キロ以上離れた場所にも「打
口」は入ってきており、路上では若者が「打口」のカセットテープを並べ
て売っていた。

アメリカで売れ残ったカセットなので、タイムラグがかなりあった。最
初は、ビートルズ、ドアーズ、ボブ・ディラン、ピンク・フロイド、ロー
リング・ストーンズ、イーグルス等といった60〜70年代の音楽が入ってき
て、その後、ガンズ・アンド・ローゼズ、ニルヴァーナ、レディオヘッド
など80〜90年代のロックも徐々に露店に並んだ。

こうした人気ロックアーティストのほか、クラシックや日本のポップスな
ども出回り、「打口」は60年代から2010年くらいまでの間にアメリカで発
売された全ての音楽ジャンルをカバーしていた。

私がよく通った「打口」の店は、当時1つのカセットテープを5元(現在
のレートだと約100円)で販売していた。毎月広州まで買い付けに行って
いた店主によると、広州の卸売商は、大量の廃プラが堆積する港の倉庫の
中から「打口」を選び、その代金は重さで決まっていたという。

これらの音楽製品は中国のあらゆる都市に浸透し、徐々に「音楽好き」
の巨大な集団が出現するようになった。最初にこの層に目を付けたのは、
中国の海賊版業者だ。彼らは洋楽に詳しい人物にコンタクトを取り、当時
流行っていたアルバム(全てCD)を大量にコピーして販売した。海賊版の
価格は、3枚で10元(約200円)。これにより海外の音楽を聴くコストはさ
らに安くなり、ロックファンがますます拡大していった。

【廃プラスチックがもたらした反骨精神】「打口」世代の成長に伴い、
中国でも、『非音楽』『自由音楽』『我愛揺〇楽(I Love Rock、〇は日
本にない文字)』といったロック好きのための雑誌が登場した。これらの
雑誌は、単に音楽を紹介するだけでなく、音楽批評の中で社会問題に対す
る批判を織り交ぜたり、民主や自由等の価値観に関しても言及した。

『我愛揺〇楽』の発行部数は一時期、毎号10万部を超えていた。個人的
な感覚だが、中学から大学に至るまで「打口」音楽を熱心に聞いていた人
は、同級生全体の10分の1を占めていたと思う。

「打口」世代は、西側の音楽と価値観の影響を深く受け、のちにミュー
ジシャンとなった一部の人々もこの精神を引き継いだ。例えば、ピンク・
フロイド好きな李志(リー・ジー)は、『広場』という楽曲で、天安門事
件で亡くなった人を偲んだ。

ボブ・ディランを愛する周雲蓬(ジョウ・ユンポン)は、『中国孩子
(中国の子)』という楽曲で、1994年に新疆ウイグル自治区で発生した火
災を歌った。当時、現地の教育機関の高官が、礼堂で小・中学生の出し物
を観ていた際に火災が発生。誰かが「まずリーダーを先に!」と叫び、高
官たちは真っ先に現場を離れたが、288人の生徒が逃げ遅れ、命を落とし
てしまったという事件だ。

両者は共に中国で著名なシンガーソングライターだが、このような楽曲
を制作したことで音楽活動が長期的に制限されるという大きな代償を払った。


【政府の反米プロパガンダに反感を抱く「打口」世代】2006年頃、中国で
はMP3プレイヤー等のデジタル音楽の視聴スタイルが徐々に広がりはじ
め、多くの音楽サイトが出現した。CDなどを買わずに、デバイス画面上の
ボタンをいくつかクリックするだけで音楽が聴ける時代になった。

音楽好きからすると非常に便利になったように見えるが、一方で中国共
産党政府も管理しやすくなった。90年代より続いた、アメリカのゴミがも
たらした「自由に音楽を聴く」という環境は、終わりを迎えたのだ。2014
年前後、習近平政権発足から間もなく、ロックを紹介する中国の雑誌も全
て休刊となり、今は電子版ですら存在していない。

ここ最近、中国人は多くの問題において意見が分裂する。例えばアメリ
カに関しては、中国共産党政府のプロパガンダにより、大部分の人がアメ
リカは世界平和における最大の脅威であり、中国最大の敵であると認識し
ている。

今回、ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問したことにより、中国
共産党政府はアメリカ脅威論のプロバガンダをさらに強化し、中国人がア
メリカを憎むよう扇動している。

しかし、中国にいる私の友人に意見を聞いてみると、多くの友人が反米
プロバガンダに対し反感を抱いている。面白いことに、これら友人のうち
大部分がかつての「打口」世代であり、同時に日本のマンガ・アニメを好
んで見ていた世代だ(本コラム「日本のアニメを見て育った中国『改革開
放』世代の嘆きと絶望」を参照)。

彼らは幼少期の頃からアメリカ文化や日本文化に慣れ親しみ、好感を抱
いている。70年代中期〜90年代初めに生まれた彼らは、現在30〜50歳であ
り、まさに中国社会を支える中核世代と言える。彼らは自分の考えを持っ
ており、中国共産党のプロパガンダに服従しない揺るぎない強い心を持っ
ている。

遺憾なことに、習近平政権発足以来、海外の文化コンテンツは厳しく統
制され、中国の門戸は再び閉められている。もしこのまま十数年の間に変
革が起こらなければ、反骨の「打口」世代は年老いていき、中国社会に大
きな反対勢力が現れることはおそらくないだろう>(以上)

中国では、男はマンションを用意しないと結婚する資格を得られないの
だという。武漢肺炎もあって経済がピークを終え“中進国の罠”で低迷ある
いは下降する中国で所帯を持つにはハードルが高くなるばかりだろう。若
者は明るい未来を描けない。

そのためだろう、近年「寝そべり族」という「無理して結婚することは
ない」とか、「自分の代で家系は終わりになる“最後の世代”でいい」とい
う若者が増えているようだ。上述の「打口」もそういう世代だろう。

♪「三畳一間の小さな下宿」「狭いながらも楽しい我が家」・・・日本
なら貧しくても温かい愛の巣があった、その夢を多くの人が持てた時代が
あった。今は生涯未婚率が男23.4%、女14.1%と高くなっている(国立社
会保障・人口問題研究所/2021年度版「50歳時の未婚割合」)。

それが20年後の2040年には男29.5%、女18.7%になり、男の3人に1人、
女の5人に1人が未婚になるという(内閣府「少子化社会対策白書」)。

総務省「令和3年労働力調査年報」によると、 2021年の労働人口(15歳
以上人口のうち、就業者と完全失業者=職安に通う就業希望者を合わせた
人口)は、年平均6860万人で前年比8万人減少し、2年連続の減少になった。

結婚しない人が増え、結婚しても子供を儲けないとか少子化も進み、結
果的に労働人口も減る、その一方で福祉のバラマキが進む、現役を引退し
た老人は手厚い医療で長生きする・・・これでは国力の強靭化どころか、
衰退するばかりではないか。中露北同様に日本などG7諸国なども明るい未
来を描けないようだ。

トウ小平の「改革開放」による資本主義的経済発展政策は、毛沢東流共
産主義への復帰を目指す習近平によってほぼ潰された。しかし、それに反
発する勢力は「打口」世代や李克強派(共青団派)、江沢民派(上海閥)
など少なくないだろう。

習近平は権力を固めるために台日侵略戦争を必要としている。秋の党大
会前に台日を屈服させ、毛沢東と並ぶ偉大なる「中国の赤い星」になるの
が“習近平の夢”なのだ。さらにアジア、インド、太平洋へ「偉大なる道」
を進み、制覇し歴史に名を刻む壮大な世界帝国を目指しているだろう

“習近平の夢”は世界の悪夢だ。ただ、習近平が夢を実現するためには弱
点が多過ぎる。最大の弱みは、紅軍には内戦や小規模の戦争経験はあって
も、近現代の本格的な戦争経験が全くないことだ。長くなるから、それは
またの機会に紹介する。同志諸君「戦」の一字を忘れることなかれ



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★ウクライナ戦争の現状と大局
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            北野幸伯

ロシアがウクライナに侵攻して、もうすぐ半年になります。現状はどう
なっているのでしょうか。

▼戦局
まず戦局を見てみましょう。

約半年が経過し、現状ロシア軍は、
ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州
を支配しています。ただ、ドネツク州、ザポリージャ州は、州全域を支配
できているわけではありません。


ウクライナ軍は現在、クリミアのすぐ北にあるヘルソン州
を奪還しようとしています。そして、最近クリミアで、爆発が相次いでい
ます。これは、クリミア→ヘルソンの補給をたつためのウクライナ軍の攻
撃を見られています。


プーチンは当初、FSB第5局からの情報を基に、「3日で首
都キーウを落とせる」と考えていたそうです。しかし、現実は、かなり厳
しいことがわかってきました。


▼停戦へのウクライナとロシアの立場


停戦について、ウクライナとロシアは、現状どのような立
場なのでしょうか?ロシア側は、積極的に停戦交渉したいと考えていま
す。ただ条件は、「ロシア軍が占領した土地は、ロシアのもの」。つま
り、ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンは、ルガンスク、ド
ネツクのように独立するか、あるいは、ロシア領になる。

なぜ、こういう話になるのでしょうか?

ロシア国民は、ウクライナ侵攻前から、ルガンスク人民共
和国、ドネツク人民共和国は、「ロシアの属国」であるこ
とを理解していました。ですから、「ルガンスク、ドネツクの独立を勝ち
取った」だけでは、数万人のロシア兵が死んだ意味がわかりません。だか
ら、ザポリージャ、ヘルソンも必要なのです。


ただ、ロシアがザポリージャ、ヘルソンを編入すると、世
界中のロシア擁護派が困ることになります。

なぜでしょうか?ロシア擁護派は、「プーチンがウクライナに侵攻した理
由は、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民をジェノサイドから守りたい
だけだ。プーチンに領土的野心はない!」などと主張していたからです。

彼らは、ロシアがザポリージャ、ヘルソンを併合したら、
今度はどうやってプーチンを擁護するのでしょうか?
一方、ウクライナは、停戦交渉を拒否しています。

なぜでしょうか?ゼレンスキーは、大統領として、

・クリミアはロシア領
・ルガンスク、ドネツクは、独立国
・ザポリージャ、ヘルソンはロシア領

といったロシア側の条件を受け入れることは、決してでき
ません。いえ、もしロシア軍が各地で圧勝していて、ウクライナ軍は手も
足もでずボロボロであれば、受け入れるかもしれません。

しかし、ウクライナ軍は、欧米からの軍事支援で、ロシア
軍と互角に戦っている。「勝ち目がある。クリミアも取り戻すことができ
る!」と多くのウクライナ人が考えているので、停戦交渉の必要性を感じ
ないのです。ウクライナもロシアも、「勝ち目がある」と考えている。そ
れで、ウクライナ戦争は長期化しています。


▼欧米の立場


ウクライナを支援する欧米ですが、大きく二つの陣営にわ
かれています。すなわち、「プーチンロシアを打倒せよ派!」と「停戦交
渉派」です。「プーチンロシアを打倒せよ派!」は、アメリカ、イギリ
ス、ポーランド、バルト三国などです。アメリカ、イギリスは現在、ウク
ライナ戦争が原因のインフレで苦しんでいます。

しかし、「ウクライナが勝つまで支援する」という立場は
揺らがないでしょう。イギリスのボリス・ジョンソン首相はまもなく引退
しますが、新首相が誰になっても変わらないはずです。ポーランドとバル
ト三国は、なぜ強硬なのでしょうか?

「ロシアがウクライナに勝てば、次はポーランド、バルト
三国に攻めてくる」と恐れているからです。そして、その恐れは正当なも
のでしょう。「停戦交渉派」は、ドイツ、フランス、イタリアです。彼ら
は、「ウクライナが領土の一部をロシアに譲ってもいいから、早く停戦し
てほしい」と願っています。

理由は、エネルギー(特に天然ガス)のロシア依存度が高
いからです。2020年時点で、ドイツは58%、イタリアは40%、フランスは
20%でした。ユーロ圏のインフレ率は7月、前年同月比で8.9%でした。そ
れでも、バルト三国やポーランドのように、「ウクライナが負ければ次は
俺たちだ」という危機感があれば、ロシアに対して強気を維持できるで
しょう。

しかし、ドイツ、フランス、イタリアは、「ウクライナが負けても、ポー
ランドがある。ポーランドはNATO加盟国。
ロシアでも、NATOを敵に回すようなことはしないだろう」
と考えている。それで、ドイツ、フランス、イタリアは、ロシアに融和的
なのです。

▼中国、インドは?

中国とインドは、しばしば「ロシアの味方」と報じられま
すが、「中立」といえるでしょう。中国のロシア産原油輸入は5月、前年
比で55%も増加しています。

インドは、もっとすごいです。
インド商工省によるとロシアからの原油輸入は2021年の
日量9万バレル(輸入の2%)から、2022年4月には日量
39万バレル(同8%)に増加しました。こちらは、4.3倍増です。なぜ、中
印はロシア産原油を買うかというと、安いからです。

〈 平時であれば、中国の原油の輸入価格はロシア産もサ
ウジ産も大きな差はない。
だがロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、両者の価
格差は月を追うごとに拡大している。
具体的には、中国が6月に輸入したロシア産原油の平均価
格は1バレルあたり94.6ドル(約1万2946円)と、サウジ
産の同116.6ドル(約1万5957円)より18.8%も安かった。〉

(東洋経済オンライン2022年8月9日)
一方、中国は、対ロシア輸出を減らしています。
ロイター7月13日を見てみましょう。<中国の6月の対ロシア輸出は4カ
月連続で減少した。ロシアからの輸入は高い伸びを維持した。中国税関総
署が13日発表した統計を基にロイターが算出した。>

<6月の中国の対ロ輸出(ドル建て)は前年同月比17%
減。5月は8・6%減だった。6月のロシアからの輸入は56%増。5月も80%
増加していた。>輸入が高い伸びなのは、原油、天然ガスの輸入が増えて
いるから。

では、対ロ輸出は、なぜ減っているのでしょうか?
<国際的な対ロシア制裁が響き、低い伸びにとどまった。>

(同前)そうなのです。

中国は、欧米からの「二次的制裁」を恐れ、ロシアへの輸
出を減らしているのです。要するに中国は、ロシア産原油は安いから買
う。でも、二次的制裁のリスクがある製品は、ロシアに輸出しないという
のが基本的な立場です。

中国は、ロシアを助けているのではなく、中国自身をたす
けているのでしょう。元モスクワ国際関係大学教授ソロヴェイ氏による
と、「プーチンは、習近平が助けてくれないので激怒している」そうです。

▼まとめ

ここまでをまとめてみましょう。

・ロシア軍はルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘル
ソンを支配している(ただし、ドネツク、ザポリージャは州全土を支配し
ているわけではない。)

・ロシアは、「今支配しているところは、ロシアのもの」
という原則で停戦交渉を行いたい。

・一方、ゼレンスキー政権は領土を譲る気が全然なく、
「クリミアも奪還してやる!」と決意している。

・当然、ウクライナは、停戦交渉に消極的。

・ウクライナ政府と同じ強硬な立場なのが、アメリカ、イ
ギリス、ポーランド、バルト三国など。

・一方、停戦交渉をすべきと考えているのが、ドイツ、フ
ランス、イタリア。

・中国、インドは、ロシアの味方ではなく中立。

・中国、インドは、ロシア産原油の輸入を増やしているが、それは単に
「ロシア産が今安いから」。

・一方、中国は、二次的制裁を恐れ、対ロシア輸出を減ら
しているとなります。


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「半導体超強大国」戦略
━━━━━━━━━━━━━
            勝又壽良

夢に終わる韓国「半導体超強大国」戦略。日本から盗めなかったシステム
半導体に“世界シェア3%”の壁

韓国半導体は、メモリーと非メモリー(システム半導体)を合計すると世
界2位だが、先端分野の非メモリーではたったの2.9%のシェア(2020年)
に過ぎない。恥ずかしくて、とても「半導体強国」とは言えないのだ。な
ぜ、このようなアンバランスな発展をしたのか?(『勝又壽良の経済時
評』勝又壽良)

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学
博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取
締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴
任して独立。
この記事の著者・勝又壽良さんのメルマガ

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日本の半導体技術を盗んで成長した韓国
韓国半導体は、メモリーと非メモリー(システム半導体)を合計すると世
界2位だが、メモリー分野では56.9%のシェア(2020年)を占めている。む
ろん、世界一の「強国」である。だが、先端分野の非メモリーでは、たっ
たの2.9%のシェア(同)に過ぎない。恥ずかしくて、とても「半導体強
国」とは言えないのだ。

なぜ、このようなアンバランスな発展をしたのか。

それは、韓国半導体の歴史にある。日本の半導体技術者が毎週、土日の休
日を使ってソウルへ行き「アルバイト指導」した結果だ。サムスンは、こ
ういう違法な形で日本の半導体技術を窃取した。これは、私がサムスン創
業者の李秉普iイ・ビョンチョル、1910~87年)から、日本の私的会合で
直接聞いた話である。間違いはない。

1回の出張料は、1ヶ月の月給に匹敵したという。月に4回サムスンへ出向
けば、1ヶ月で実に4ヶ月分の月給に匹敵するアルバイト収入が、「無税」
で日本の技術者の懐に入った勘定である。日本の給料を含めれば、1ヶ月
で5ヶ月分の収入になった。札束で頬をひっぱたかれた形だった。

韓国が「非メモリー」分野で大きく劣るワケ
日本の技術者の懐は大いに潤ったが、日本の半導体産業は後にメモリー分
野で韓国に圧倒されることになった。

ただ、日本の技術者は非メモリーの技術を教えることはなかった。こうし
て、韓国は、先端半導体であるシステム半導体を自力で開発せざるを得
ず、その結果が世界シェア3%に止まっている背景だ。

韓国半導体は、歪な形で発展してきただけに、「半導体神話」などと仰々
しく言えるはずはない。

現実に、非メモリーでは台湾企業に大きく出遅れている。97.1%は台湾企
業の世界シェア(2020年)だ。メモリー分野でも、中国が「ロウエンド」
(低級品)分野のシェア向上を狙って、巨額投資を行なっている。世界中
から中古の「ロウエンド」半導体製造装置を買い集めているのだ。

韓国は将来、メモリー分野で競合しかねないだけに、安閑としていられな
いだろう。


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重 要 情 報
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◎実は、今朝ほどこの肝心な点を書き漏らしておりましたので、お詫びし
て改めて投稿します。失礼いたしました。

「国際人とは」を私なりに定義すれば:前田正晶

私が考える国際人とは「自ら現地において他国の文化と思考体系がどのよ
うになっているかを身を以て時間をかけてでも体験し、更に自国の文化と
比較対照して、その違いを十分に認識出来ていて、尚且つその違いを誰に
も解って貰えるように語れる者のこと」である。それに加えて、外国語の
中でも、少なくとも英語だけででも、自分の考えと物の見方を思うままに
表現できるだけの能力を備えているのも必須条件であろう。外国の文化を
知るためには、その国の言語で意思の疎通を図れることが必要な条件にな
ると思っている。

私は更に諸外国の主たる宗教とその歴史を心得ておくことも、国際人たる
者にとっては必要だと思っている。それは、ヨーロッパの諸国を歩いて見
れば、そこで出会うのは圧倒的な存在感を示すカトリックとその歴史であ
るからだ。余談だが、キリスト教信者ではない私は、バチカンのサンピエ
トロ寺院の中に一歩踏み込んだだけで、その荘厳な雰囲気に圧倒されて、
何故か自然に涙が出てきたのには、我ながら驚いていた。同じ集団にいた
カトリック信者の若き母親と娘さんは、それこそ「涙があふれ出て止まら
ない状況」だった。


◎◇◆◇唸声の気になるニュースとストリートビュー 2022年8月21日◇◆◇

▼唸声一行日誌/今週の気になったことを一日一行に

08/15(月) 靖国参拝、韓国高官が一定の理解?騙されてはいけない!

08/16(火) コロナ感染の全数把握見直しへ動くには一日感染数世界一では?

08/17(水) オリンピックは金まみれ、小モノではなく本体をやらねば!

08/18(木) ロッテ百貨店最後の一店舗も中国から撤退へ、愛国消費?

08/19(金). 北朝鮮、韓国の支援案を一蹴「愚の骨頂」と与正、悪口は超一流

08/20(土) クリミヤ半島の黒海艦隊司令部へドローン攻撃。ロシアは認め
ず?

08/21(日) ダイソー真似た中国のメイソウが日本風を止める?名前変えた
ら!


今週号は以下をご覧下さい
https://ameblo.jp/unarigoe/entry-12759901602.html

今週の一言
ハウステンボスが900億円で香港の投資会社に売却だとか。HISがV字回復
させた当時、澤田氏の講演でハウステンボスへの思いを聞きました。手放
してしまうには惜しいとも思いますが、コロナ下でHIS本体も厳しいので
しょう。数十億円の投資が900億円に化けるのですから、ビジネスとして
は申し分ないのでしょうが、かつての香港ではなく、中共香港ですから、
日本の名所を中共に売り渡すようなものです。日本企業にそんな元気はな
いのでしょうか?それともそれほどの価値はないと考えているのでしょう
か?スリランカの心配をしている場合ではありませんよ!

唸声千流<基地近しシナノテンボス規制なし?>


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身 辺 雑 記
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22日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月21日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6236号
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   2022(令和4年)年 8月21日(日)



   呆れた居直り・・立民・石垣のり子議員:花田紀凱

              世界の米国不信:高野孟

        「無差別テロリストの精神」:室谷克実
        
        北戴河会議が終了したようだ:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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         頂門の一針(まぐまぐ)
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呆れた居直り・・立民・石垣のり子議員
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【花田紀凱 天下の暴論プラス】
 

 だから立憲民主党はダメなのだ。

 誠実さのカケラもない。

 安倍晋三元総理暗殺事件をキッカケに朝日新聞や毎日新聞、テレビそれ
に週刊誌までもが、いっせいに統一教会(世界平和統一家庭連合)叩きに
狂奔している。

 この際、統一教会を叩くためなら、どんなことを書いても許されるとい
う風潮だ。

 これに乗って、誤報をタレ流ししながら、てんとして恥じないどころ
か、居直っているのが、立憲民主党の石垣のり子参院議員だ。

 事の発端は7月20日。

 石垣議員は自らのツイッターで、自民、国民民主、日本維新の会3党の
幹部へのインタビューを掲載した『世界日報』の記事を引用「改憲3党統
一教会の機関紙に揃い踏み」と書いた。

 これに対し、翌21日、世界日報は「弊誌は統一教会の機関紙ではありま
せん」と抗議文を送り、投稿削除を求めた

 この場合、石垣議員がまずやるべきは『世界日報』が旧統一教会の機関
紙かどうかを自らチェックすることだろう

 ところが、石垣議員はこの抗議文をツイッターにそのまま掲載。

 「このような脅しに屈し、私が発言を撤回することはありません」

 「舐めてもらってはこまります」

などとツイート。

 「抗議」を「脅し」というのも失礼な話だが、そういうからには十分な
根拠があるかと思えば「世界日報を統一教会の機関紙と扱う学術書や辞書
類は複数存在します」

 他が書いているから、では何の根拠にもならないことすら、お分かりで
はないらしい。自分で調べたらどうか。

 これに対し、『世界日報』側は2014年10月の予算委員会で、当時の
民主党、小川淳也議員(現立憲民主党政調会長)が、「『世界日報』は統
一教会の機関紙」を発言、抗議を受け、「事実誤認があった」と謝罪、訂
正したことを例にあげて、再抗議。

 これに対して、石垣議員は、「統一教会がなんといおうと、私は発言を
撤回しません」

 「統一教会と同じ土俵で話をするつもりもありません」

 まるで駄々っ子だ。

 「舐めている」のは石垣議員、あんただろう。

 国会議員だから、今、いっせいに批難を浴びている統一教会だから、何
を言っても許されると思いあがっているのではないか。

 こんなことは立憲民主党の幹部たちが本人に注意すべきだと思うが、蓮
舫参院議員など、逆に拡散している始末

 思い出すのは同じ立憲民主党の森ゆう子議員(今回参院選で落選)が国
会質問で原英史氏(政策工房代表取締役)を誹謗中傷した件だ。

 国家戦略特区WG委員だった原氏が特区提案した福岡の学校法人から約
200万円を受領したと誤解を与えるような、実にいやらしいミスリード記
事を毎日新聞が報道。

 森氏は、毎日の記事をそのまま真に受けて、国会で「国家公務員だった
ら、斡旋利得、収賄で刑罰を受ける」と発言。

 この件で原氏は毎日新聞と森氏を別々に訴えて係争中。ブログで森氏と
同様のことを書いた立憲民主党の篠原孝議員を訴え、勝訴が確定している
(220万円の損害賠償)

 森氏は国会内での発言は「免責特権」の対象であるのをいいことに責任
を逃れ、口をつぐんだままだ。

 自党議員のこういう無責任な言動を黙認している立憲民主党に国民が愛
想をつかすのも当然だ。

 最後に余談。

 石垣議員、昨年、女性週刊誌に自らの不倫を書き立てられた時も居直っ
ていた。お相手はかの著述家・菅野完氏。

(月刊『Hanada』編集長)

出典:夕刊フジ2022年(令和4年)8月18日(17日発行)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年8月18日付採録

            
━━━━━━━
世界の米国不信
━━━━━━━
    高野孟


サウジ皇太子がバイデン大統領に放った一言が示す、

ウクライナ戦争は、まもなく半年になろうとする今も終わりが見えませ
ん。この戦争の原因の一つが、冷戦後にも「NATO東方拡大」を進め、それ
まで同様の「排除の論理」を振り回した米国にあるとするのは、ジャーナ
リストの高野孟さんです。今回のメルマガ 高野孟のTHE JOURNAL 』で
は、米国の世界観、時代観の錯誤を指摘。サウジアラビアを訪問したバイ
デン大統領がムハンマド皇太子に浴びせられたとされる痛烈な一言や、南
北アメリカ大陸においても米国の振る舞いが各国から批判され、米国不信
が高まっている現状を紹介しています。

世界が納得しない「民主主義vs権威主義」の時代観/「排除の論理」の振
り回しに誰もがうんざり
米国のバイデン政権は、明らかに戦略論的知性を喪失していて、ウクライ
ナの戦争を煽るだけ煽ってロシアのプーチン大統領を全世界的な極悪人に
仕立て上げる宣伝戦には半ば成功したとはいえ、その戦争そのものをどう
やって収めるかの展望を描けずにいる。

ウクライナには、米国からミサイルはじめ武器・弾薬を湯水の如く供給し
てもらう以外に継戦能力を維持する道はなく、そのため同国のゼレンス
キー大統領は「もっと武器を」と叫び続けているものの、流石の米国にも
予算に限界があり、永久に戦争を続けさせるわけにはいかない。

こんなことになってしまう根本原因は、現今の世界が「民主主義vs権威主
義」という原理的な対決軸で動いているとする、完全に誤った世界認識、
時代観──そう捉えることで「自由主義vs共産主義」の戦いという冷戦時代
の図式が亡霊のように蘇り、米国が前者の盟主として君臨し得た懐かしい
過去が戻ってくると思う幻覚──にある。

さらに、それが誤解であり幻覚であるとすると、それをそのまま東アジア
に横滑りさせて、台湾危機を煽ってそれに雄々しく立ち向かう米日筆頭の
インド太平洋のクアッド軍事同盟を形成しようとするバイデンと岸田文雄
首相の努力方向も、また虚しいものとなる。

そこまで遡って論じないと、米国のこの戦略論的な大混乱を克服すること
はできないだろう。

NATOは冷戦の遺物
本誌がこれまでも繰り返し主張してきたように、NATOは冷戦の遺物であ
り、本来は、相手方のワルシャワ条約機構(WPO)をゴルバチョフ=旧ソ
連大統領が1991年に潔く解散したのに対応して解散すべきものであった。
そうならなかったのは、当時のブッシュ父米大統領が冷戦終結の世界史的
意味をまるで理解せず「米国は冷戦という名の第3次世界大戦に勝利し“唯
一超大国”となった」という錯覚の下、NATOを存続させ、それを梃子とし
て引き続き欧州・ユーラシア大陸への関与を維持しようと欲したからである。

当時、独仏を中心とする西欧には、1975年にヘルシンキで始まった「全欧
安保・協力会議(CSCE)」にNATO諸国はじめ西欧の中立国、旧東欧、旧ソ
連まで参加していることを活用して、これを全欧の新しい地域安全保障の
中心的な枠組みとし、それを過渡的にバックアップするものとしては独仏
中心の「欧州共同防衛軍」を編成してNATO軍に置き換えるという構想が芽
生えていた。なお、CSCEは1995年に常設機構となり「全欧安保・協力機構
(OSCE)」となったものの、依然としてNATOに不当に頭を押さえつけられ
ていることに変わりはない。


━━━━━━━━━━━━━
「無差別テロリストの精神」
━━━━━━━━━━━━━
        室谷克実


【新・悪韓論】なぜ日本のマスコミは伝えなかった 韓国・尹大統領が
「無差別テロリストの精神」を称賛 日本人2人が死亡した上海爆弾テロ
事件 

日本のマスコミは、なぜ伝えなかったのだろうか。韓国の尹錫悦(ユ
ン・ソンニョル)大統領が、光復節(8月15日)の記念演説の冒頭で述
べたことを―。尹大統領は、1932年の上海爆弾テロ事件の実行犯であ
る「尹奉吉(ユン・ボンギル)の独立精神」を称賛したのだ。

このテロ事件では、日本人2人が死亡し、5人が重傷を負っている。

尹大統領は「光復節」の演説で、「尹奉吉(写真)の独立精神」を称賛し
た=15日、ソウル(共同

尹大統領は「光復節」の演説で、「尹奉吉(写真)の独立精神」を称賛
した=15日、ソウル(共同

尹大統領は、独立運動を「自由を求める精神に基づく」と規定して、
「(独立運動は)韓国で現在も進行中」と述べた。そのうえで、「日本は
ともに力を合わせて進むべき隣人です」と。

こうした論理の組み立てを知れば、光復節演説に共感する日本人はほとん
どいないだろう。

尹大統領は2021年6月、大統領選挙出馬を宣言する場所として、ソウ
ル市内にある尹奉吉記念館を選んだ。父親(=元延世大学教授)は尹奉吉
奉祝会の役員を務めた。

同姓・同族の英雄なら、無批判に信奉する韓国人はとても多い。しかし、
尹大統領と尹奉吉は同じ「尹」姓でも、本貫(=伝説上の発祥地)が違
う。別の家系だ。尹錫悦父子の「尹奉吉への入れ込み」は異様であり、そ
の理由は謎だ。

安重根(アン・ジュングン)は、伊藤博文1人を狙った。尹奉吉は天長節
(天皇誕生日)の祝典の演壇にいた多数の民間人も死傷させた。まさしく
「無差別爆弾テロ」の実行犯だ。

安重根は一応、『東洋平和論』なる外国勢力の分析と対処を考えた論文を
残した(これも思い違いした箇所が多いが)。しかし、尹奉吉には著作も
ないし、今日に語り継がれるような名言もない。

そうした人物の「精神」とは何なのか。「日帝に無差別爆弾テロをした」
ことだけではないか。

その「精神」を、検事出身の大統領が公式の演説で称揚するとは、理解し
がたい。日本のマスコミが、その発言を伝えなかったことも理解できない。

もしかしたら、尹大統領は「新たな尹史観」の定立化を目指しているのか
もしれない。

前任の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、産業化勢力(財閥)を「名前を変
えた親日派」と規定し、「新たな主流」が彼らにとって代わるのは「歴史
の正統性」だとする韓国型唯物史観≠展開した。

これに対して、尹大統領は記念演説で、「自由民主主義の土台である経済
成長と産業化を成し遂げる」勢力を、「現在も進行中の独立運動」の一翼
に位置付けた。文在寅史観に対する明確なアンチテーゼの提出だ。

そうしたこともあろう。さらには慰安婦問題に何らの言及がなかったこと
に、韓国の左翼陣営は「尹非難」の姿勢を強めている。

尹氏が「もはや慰安婦問題は語る価値がない」との信念をもって、あえて
言及せず、粛々と15年慰安婦合意の復活を進めるのなら、それは日本と
して歓迎すべきことだ。

しかし、そうではなさそうだ。

別の発言を見れば、尹錫悦グループは依然として「歴史問題の解決の前提
は、日本の謝罪」とする立場を崩していないからだ。

もう一つの歴史問題である徴用は、現金化実行の日限が刻々と迫ってい
る。韓国最高裁が政府の意見を聞き入れて控訴棄却の日取りを伸ばすとし
ても、時間的には切迫している。

尹大統領が光復節の演説で、この問題にまったく触れなかったのはなぜ
か。訪韓した米下院議長と会談しなかったのと同様に、「勇気があるか、
ないか」の問題だろう。

「正義感あふれる優秀な検事」だった人物が、「暗愚の政治家」の烙印
(らくいん)を押される日は近いのかもしれない。 (ジャーナリスト・
室谷克実)



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ令和4年8月18日付採録
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添付ファイル:
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北戴河会議が終了したようだ
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)8月17日(水曜日)弐
          通巻第7433号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ)明日(8月18日)から22日まで小誌は休刊です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北戴河会議が終了したようだ
共青団、勢力を盛り返したのか? 最高幹部等の結論は?
****************************

 中国共産党最高幹部とOBらが集まる北戴河会議が16日までに終了し た
ようである。
 というのも、8月16日、中国のシリコンバレーといわれる深センに李 克
強首相が現れたからだ。
 トウ小平の南巡講話(92年春節)も、広東省の深センで行われた。李
克強は、これを意識して、会議後初の訪問地を選んだ筈である。

 深センで李克強首相は党幹部や企業幹部を集め、「中国の技術ハブは、
低迷する経済を安定させる上で大きな責任を負う」と呼びかけた。

 この訪問は、経済の冷え込みが懸念される環境にあって、南部工業地帯
の現地視察をなし、一方で李は広東の幹部らと面談した。またオンライン
で江蘇省、浙江省、山東省、河南省、四川省の幹部と話し合い、「政府の
政策を最大限に活用し、経済を安定させ、雇用を確保するために市場の原
動力を堅持する」と発破をかけたという。

 ところが、上海と福建省の幹部はオンライン会議には出席しなかった。
つまり習近平の影響がつよい地区の党委員会は李克強には非協力という態
度を示したことになる

 李首相は深センの「ギャラクシー ・インダストリアル・ グループ」も
訪問し、起業家グループに会った。「広東省は中国の輸出の鍵。深センは
半導体製造とデジタル化のハブだ」と李はくり返した。こうした一連の行
動に何を読み取るべきか。
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
リズ・チェイニー、共和党予備選で敗北
  党内トランプ批判の急先鋒、無名の新人に敗れる
*****************************

 11月の連邦議会下院議員選挙で四期目を目指したリズ・チェイニーが8
月16日に開催されたワイオミング州の共和党指名大会で、トランプ前大統
領が推薦した無名の新人候補に敗れ去った。
全米メディアは、このリズ敗北が一面トップニュースだ。

 リズは元副大統領ディック・チェイニーの娘。共和党にありながらトラ
ンプ弾劾を主張し、党内主流派から嫌われていた。予備選で敗れるとは、
いかにトランプの人気が根強いかを物語る。

父親のチェイニーはブッシュ・ジュニア政権の重鎮で、殆どの外交はチェ
イニーが主導し「最強の副大統領」といわれた。もともとは政治志向の法
律家で、ニクソン政権で法律顧問、フォード政権では大統領首席補佐官、
そして下院議員六期を経て、レーガン政権で国防長官。95年から2000年の
ブッシュ政権誕生まではハリバートン社の重役を務めた。

副大統領八年、引退後も政界に強い影響力を持ち、「ディープステートの
黒幕」とも「ネオコンの闇将軍」とも言われたが、過大評価だろう。

 アラスカ州ではトランプ支持のサラ・ペーリンが共和党予備選で下院議
員候補に当選の勢い、指名獲得が射程に入ったという。ペーリンは熱心な
ティパーティ運動活動家としてもしられる。
ペーリンは元アラスカ州知事で、2016年には熱烈にトランプを支援した。
2008年の大統領選挙ではマケイン共和党候補の副大統領候補となった。

 2024年の大統領選で「副大統領」候補に有力視されているのはニッ
キー・ヘイリー元国連大使(元サウス・カロライナ州知事)である。
 2022年の中間選挙結果次第だが、FBIのトランプ別邸捜索にもかかわ
らず、トランプ人気はまったく衰えを見せていない。
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆   書評 しょひょう 
BOOKREVIEW 
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乙巳の変はクーデターだが、背後の首謀者は誰だったのか?乱の本当の狙
いは違うところにあったのではないか?
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遠山美都男『新版 大化改新──乙巳の変の謎を解く』(中公新書)
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 大化の改新を歴史教科書は必ず扱い、横暴を極めた蘇我一族を葬りさ
り、律令制度のあたらしい政治に向かうバネとなった改革だったと乙巳の
変を肯定的に捉えている
 主役は中大兄皇子と中臣鎌足、学問的なバックボーンが南淵請安だった
とする学説も多い。これは蘇我氏を悪役とした日本書紀と藤原家家伝によ
り、イメージが固定してしまったからだ。
とくに乙巳の変の現場の挿絵は蘇我入鹿の首が飛び、簾のなかにいた皇極
天皇は驚き、陪席していた古人大兄皇子はさっと自宅へ逃げて門を閉ざし
た。この絵画は江戸時代になってから、住吉如慶と具慶の合作で談山神社
所蔵の「多武峰縁起絵巻」。後世の後智恵で描かれている。
実際の暗殺現場は、特定されていない。
これまでの通説に対して、ふつふつと疑問がわいてくる。
 第一に殺害現場は本当に大極殿だったのか? 第二に三国(高句麗、新
羅、百済)からの外交使節がならんでいた儀式の最中だったというのも怪
しい。いや、外交儀礼はあったのか。
第三に息子の入鹿が討たれたのに、すぐ近くの甘樫丘の要塞のような豪邸
にいた蘇我蝦夷はなぜ迅速に反撃しなかったのか? 軍勢は中大兄皇子側
より多かった筈だ。
 第四は中大兄皇子側の軍事作戦立案は中臣鎌足ひとりだけだったのか。
すぐに甘樫の丘から飛鳥側を挟んで対岸に位置する飛鳥寺に本陣を構え、
蝦夷側に使いして投降を呼びかけた。この意表を突く戦略は誰が立案した
のか。なぜ中大兄皇子の本陣は飛鳥寺だったのか?
 第五に皇位を継承した軽皇子(孝徳天皇)はいかなる役目を果たしたの
か? なぜ中大兄皇子は皇位をすぐに継承できなかったのか? のちに天
武天皇となる大海大兄皇子は、このとき何処で何をしていたのか?

 著者の遠山氏はこうした疑問点を整理し、まず暗殺場は殿中ではなく、
門を閉鎖した中庭あたり、外交使節は難波周辺に滞在していたが新羅使は
来ていなかった事実を述べる。
遠山説によれば、黒幕は軽皇子である。
蘇我蝦夷は情報を誰よりも早く掌握できる立場にありながら迅速な対応が
取れなかったのは、入鹿との連絡が円滑に取れていなかったからだと評者
(宮崎)は推定するが、すぐに反撃できないのは自軍の豪族等の動揺が激
しいこともあった。
真ん前の飛鳥寺に古人大兄皇子が赴き、仏門に帰依すると武器を捨てたこ
とを見たからだ。つまり蝦夷は古人を次期皇位継承の最有力とみて、大い
に工作してきたのだから総てが無になった失望が大きかったのだ。後智恵
で皇位が継げたのは軽皇子だから、彼が首謀者という論理展開になる。

戦後の歴史教育はでたらめな史観の横溢、神話否定、こうなると資料のな
い古代史は「一人一党」の世界となって、奇想天外な騎馬民族説がでたか
と思えば、太安万侶は不比等だったとかいう梅原猛のチンドン屋、左翼の
本山は網野善彦、永原慶二あたりか。
 近年、錯綜した歴史解釈もしだいに落ち着きを取り戻し、さすがに戦前
の皇国史観的な天皇絶対を唱える論客はまれとなって論理的推測の論考が
増えてきた。
 本書は、そうした流れの一冊で、客観的に精密に大化の改新の実像にせ
まる。当時の豪族間の力関係などの問題を提議している点も、有益な観点
が多い。
 たしかに乙巳の変はクーデターだが、背後の首謀者は中大兄皇子と中臣
鎌足を操った人がいたかもしれない。
また本当の乱の狙いは政治の刷新ではなく、違うところにあったのだと著
者は力説する。 
 横暴にふるまった蘇我入鹿を討ち、蘇我蝦夷を自殺に追い込んだ結果、
何が鋭角的に変わったか? 
皇極天皇はその場で退位を決め(史上初めての譲位)、本命だった皇統後
継は蘇我系の古人大兄皇子でなく、軽皇子(孝徳)へ遷った。つまり古人
大兄の皇位継承を阻止することが、乙巳の変の最大の眼目であり、皇極天
皇を自然なかたちで退位していただき軽皇子が皇位を継ぐ(実際にその通
りになった)。
 乙巳の変で蘇我宗家は全滅した。
ところが石川麻呂など蘇我別家は生き残り次期政権でも大幹部となった。
蘇我分家はその後の壬申の乱で大友皇子側に付いたため滅亡への道を歩む。
時系列で整理すると、622年(推古天皇30年)に聖徳太子が死亡し、 蘇我
氏の権勢はますます横暴となった。六年後に推古天皇は後継指名せず に
崩御された。有力後継者は聖徳太子の息子=山背大兄皇子と田村皇子
だった。蘇我氏は山背大兄皇子の最強の支援者だった境部魔理勢を滅ぼ
し、力づくで田村皇子(舒明天皇)を即位させた。
641年(舒明天皇13年)舒明天皇が崩御され、皇后だった皇極が即位 し、
蘇我氏は古人大兄皇子を次期皇統後継にするため、いよいよ山背大兄 皇
子が邪魔になる。蘇我入鹿は斑鳩を攻め、ついに山背を自殺へ追い込んだ。
これで古人大兄皇子の次期後継は固まった。こうした横暴きわまる蘇我一
族を許しがたいと決意したのが中大兄皇子と 中臣鎌足だった。密議が進
んだ。
「入鹿とかねてより不和の噂のある蘇我倉山田石川麻呂が謀議に引き込ま
れた。鎌足の建言により、まず中大兄が麻呂の娘を娶り、両者の間に姻戚
関係が結ばれた後、謀議の全容が麻呂に打ち明けられたのである。麻呂は
一党への加担に同意した。さらに鎌足の推挙によって弐名の刺客、佐伯子
麻呂と葛城推犬飼網田が選抜された」を遠山氏は解説を続ける。蘇我蝦夷
の周辺にあった漢東直らは、さっと立場を変え中大兄皇子側に 投降する
か、逃亡した

戦略的見地からみた場合、もっと愚劣な行動をとったのが古人大兄皇子だ
ろう。直ちに蝦夷の要塞に駆けつければ、クーデターを不首尾に終わらせ
ることが可能だった。とっさに、そうした判断ができないばかりか、古人
大兄皇子は、飛鳥寺というクーデター側の本陣へ駆けつけ、自ら髪を下ろ
し、武器を捨て仏門に入った(後日、殺されるが)。学僧の南淵請安は乙
巳の変とは無関係だった。
乙巳の変へと至る前段は聖徳太子の皇子、山背大兄皇子を蘇我が滅亡に追
いやった悲劇で、これは乙巳の変の一年半前のことだった。
この惨劇を契機として中大兄皇子側の計画は入念に練られ、時間をかけて
仲間を増やしていく。謀議の中心は中臣鎌足(後の藤原鎌足。このころは
鎌子と名乗った)。
 鎌足は中大兄皇子と蹴鞠の場で偶会し、意気投合したことになってい
る。密議の場所は南淵塾のあった談山神社だとされたが、これも嘘くさ
い。というのも評者は桜井駅から談山神社へ歩いてみたことがあるのだ
が、緩い山道で、かなりの時間がかかり、頻繁に密議を行った場所とは思
えないからである。

また帰国後の南淵請安が拠点としていたのは、石舞台のかなり南の集落
で、談山から更に南方向である。ということは密談、謀議の過程はかなり
の部分がフィクションだろうならば討たれた蘇我氏とはいかなる存在だっ
たのか?
 「あくまで世襲王権に依存・寄生する存在として誕生した。王権の身内
的存在として、いわば王権の補完的な要素として、王権内部に組み込まれ
て存在することが蘇我氏の特質であり、その最大の存在意義であった(54p)
 王権の簒奪ではなく、内部に寄生して王権を事実上左右できる立場をえ
るのが蘇我の野心であり、後年、類似パターンを繰り返すのが藤原不比等
以後の四兄弟と藤原仲麻呂ということになる。まさに「歴史は繰り返す」
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(休刊のお知らせ)明日(8月18日)から22日まで小誌は休刊です。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム  
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2408回】     --
習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習74)
  ▽
前回書名を示した文革版砲兵工廠ともいえる上海人民出版社の出版物は、
どれもが毛沢東思想の正しさを徹底して、繰り返して子供の柔らかな脳ミ
ソに刷り込もうとする「紙の爆弾」そのもの。
内容は全てが似たり寄ったりで毛沢東思想に基づく勧善懲悪物語だから、
全部を紹介するまでもないだろう。そこで適当に2、3冊を択んでみること
にする。

 先ずは『英雄機智的紅小兵』である。建新小学校6年生の仲良し少年4
人組の茅、唐、李、謝クンは、今日も革命大批判工作についての相談を終
えるや家路に。校門に向かって歩いていると、誰もいないはずの校庭で何
やら怪しげな物音がする。そこで茅クンは「すぐさま、『断固として、如
何なる時も階級闘争を忘れるな』との偉大なる領袖・毛主席の教えを思い
出す」見事なまでの条件反射。

 遠くを見ると、怪しげな人影が。「あッ、兪一平!」。兪は「教師の間
に潜り込んだ反革命分子であり、人民が断固として許すわけにはいかない
犯罪を重ねてきた」。つまり文革で批判された元教師である。だから尊敬
の念は消え、呼び方にも侮蔑と憤怒の思いが込められる。「兪一平のヤ
ロー、川の畔で・・・何か落としたな」。茅、唐、李の3少年は兪を追い
かけ、残る謝クンは貧宣隊と先生に報告するために走った。

 3人が後を追うと、兪は小屋の中に潜り込み戸をしっかりと閉め、中で
寝たふり。ドンドンと戸を叩きながら、「開けろ。死んだフリをしてもム
ダだぞ」。すると「兪一平はゴロッと体を動かし、またも死んだフリを装
う」のであった。
 怒りに燃えた3人は何としても小屋の中へ入ろうと「革命的」に智慧を
絞る。先ず茅クンが壁をよじ登って高いところの窓から入り内側から戸を
開けて2人を招き入れた

 「耄碌ヤローの兪一平は目を開け小屋の隅にうずくまり、弱々しく『何
をする』『どうするんだ』。すると茅クンの眼からは階級の敵に向けた怒
りの視線が迸り、兪一平を詰問する。『おいッ、川で何をしていたん
だ』」。3人が交代で問い詰めても口を開かない。そこで茅クンがリード
役となって「正直に白状しろ。抵抗は無駄だ」「飽くまで抵抗するなら、
残された道は死だけだゾ」と問い詰める。

 3人の子供が元教師を激しく糾弾する姿を「3人と数は少ないが、彼ら
の叫び声は天をも揺るがし、一言一言がまるで原子爆弾のように階級の敵
の心臓を抉る」と表現する。それにしても小学6年生が元教師に向かって
「死」を突きつけるとは、空恐ろしい時代だ。

 「陰険で狡猾な階級の敵は顔を引きつらせ、一転して凶相となり
『オッ、オレをどうしようッてんだ』」。すると「反動派の勢いに断固と
して呑みこまれてはならない」との毛沢東の教えを思い出した茅クンは一
字一字ハッキリと、「お前の悪行を天下に暴露してやる」。斧を手に少年
に襲い掛かろうとした刹那、背後から「兪一平、斧を捨てろ」と大喝が。
貧宣隊の胡隊長が民兵や革命的な教師や生徒を引き連れて駆けつけてきた
のである。

少年らは隊長に報告する。その時、息を切らせて走ってきた謝クンの手
から証拠の品が隊長に渡された。
 彼が川から拾い上げた包の中には、「国民党の蒋介石一味が兪一平に与
えた何枚かの委任状のくたばり損ないの名前が刻まれた短剣が1本。
なんと兪一平は長い間これらの悪事の証拠を隠し持ち蒋介石の天下が戻っ
てくることを妄想していた」そうだ。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)16日放映分のフロントJAPANは下記サイトでご覧いただ け
ます。
https://www.youtube.com/watch?v=q1KJuTvLdtU
 生放送から24時間で2・3万回ヒットしております。
なお、宮崎正弘先生の次回フロントJAPANの出演は8月31日午前11時の予定
です。ホストは上島嘉郎(元『政論』編集長)です。(日本文化 チャン
ネル桜)


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重 要 情 報
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◎国際人とどのような人物を指して言うのか:前田正晶

実は、8月19日の「頂門の一針」にあった伊勢雅臣氏の「国際派日本人」
について述べておられたのに刺激されて、伊勢氏のご指摘とは離れた話題
になると思うが、「国際人とは」を考えてみた。それと言うのも、私が在
職中に何人かの商社のアメリカ駐在員の方々が身内の人たちに向かって私
を指して、「この方は国際人だから」と紹介されたことがあったからだ。

その頃には「国際人」の定義等を全く知らなかったし、まして自分が国際
人だなどとは考えたこともなかったので、褒めていただけだと言うよりも
寧ろ小恥ずかしい思いをした経験があった。そう感じた訳は、私は国際派
も何も17年間日本の会社で培った紙パルプ業界の経験と知識がどれほど活
かせるかと、家族を養うためにアメリカの会社に転進したに過ぎなかった
のだし、国際人になろうなどは梅雨ほどにも目指していなかった。ヨー
ロッパの国などは1990年まで覗いたこともなく、80年代には年に2〜3度ア
メリカに出張してくるだけの経験しかなかったので、国際化されていたと
は思っても見なかったから。

そこで、今回は初めて「国際人」の定義とはどのような人を言うのかと検
索してみた。すると、Gooには「ベストアンサー」があったので、その冒
頭だけを引用すると「世界に目を向ける事が出来る人・可能な人とは、自
国の文化や習慣や言語にも造詣(学問芸術技術衣食風俗などに深く通じて
いること)が深い人だと思います。英語の音楽が好きだから欧米の音楽に
は詳しいですなんていうのは少しも国際人ではありませんね。」とあった。

「なるほど。これならば少しは自分にも当て嵌まるてんもあるか」と感じ
た。だが、私の場合には一寸違う点があると思っている。それは、これま
でに何度も述べたことで「アメリカの会社の一員として懸命に仕事をして
きた」との記述なのである。そう言う意味は「単に外国に駐在したとか、
外国の大学等に留学して勉強してマスターなりドクターを取られた方々と
はかなり異なる海外での経験をしていると」という意味での表現なのだから。

だが、残念ながら、何人かの方に「一員の意味が解らない」と言われてし
まった。重ねて言うが、アメリカ人の一員になろうとは勤めていたが、国
際人になろうなどという大それた考えはなかった。

これは確かに尤もな指摘であると感じたと同時に、言葉足らずだったかと
反省した点もあった。言いたかった事は「何とかして彼らに同調して、彼
らの思想・信条・哲学・思考体系に従って彼らの文化を弁えて仕事をし
て、彼らとはアメリカ人とは彼らの一人として、彼らの流儀に従って、彼
らの家庭にも入って家族たちとも親しく付き合ってきた」なのである。こ
うすることで彼らの文化(仕来り)にもより深く触れることが出来たのだ。

即ち、「彼らを外側から観察しているのではなく、彼らの内側に入って彼
らの日常生活というか生き方を経験し、飽くまでも彼らの一人として彼ら
を理解し、彼らの価値観を知り、我々との相違点を見出して、彼らに合わ
せられる限りは合わせて来たのだ。だが、ここで非常に重要な要素だと言
いたいことは『絶対に日本人としての矜持を失うようなことはしない』過
ごし方をしてきた点」なのである。即ち、彼らとの違いを皮膚感覚で経験
し、自分が何者であるかを自覚していたのだった。

そういう経験をしてきたので、「違い」を語ることが出来るようになって
きたのだ。長くアメリカに駐在しておられる方々に「これがアメリカの会
社の在り方であり、システムなのです」と語ると「全く知らなかった。外
から見ているのとは非常に違っている。これからはそういう視点に立って
付き合おう」と言われた事も何度かあった。要するに「外国人として見聞
きするアメリカと、内側に入って見るアメリカとは違うのだ」なのであ
る。しかし、内側から見たことが「国際人」の必要条件ではないとも思う
のだが。

だが、物事を外から見るのと内側から見るのでは大違いなのは当然で、私
は内側に入っていたからこそ、外部からは見えないアメリカをジックリと
経験したからこそ、その実態と我が国との相違点を纏めて語れるように
なったというだけのことではないのだろうか。このように相違点というか
文化の違いを認識して語れることは、国際人でも何でもないことではない
かと思うのだ。

私は何も国際人になりたいとか、なろうと目指していた訳ではなく、彼ら
の世界に入った以上、彼らの規範に従って考えて、それに合わせて行動し
てきただけのこと。その私がアメリカを語れば、当然外からしか見ること
が出来なかった方の理解というか解釈とは異なったアメリカという世界
と、その国の会社となるのは当たり前ではないか。それだからと言って、
私が国際人であるとは思っていない。私は言うなれば、ジャーナリスト的
ではないアメリカ通だと自覚しているが、如何なものだろう。

私が語る「アメリカとは」や「アメリカの会社とは」や「アメリカの文化
とは」と「それと我が国の文化との相違点」に余り賛同者が出てこないの
も、仕方がないことだと思う。それは、一般の方々は「アメリカを私のよ
うに内側に入って経験することは先ずないだろう」と思っているし、まし
てや、マスメデイアが発信する情報や、権威ある方々の著作や、公になっ
ている統計資料から判断されるアメリカが、内側で経験した者が語るアメ
リカとは異なっているのは当然だろうと思う。

結論的に言えば「私はある程度までは国際人である」というだけのことで
はないだろうか。敢えて言えば「どれだけの国々を内側に立ち入ってまで
見てきたか、文化の相違点まで自分で経験して理解し認識できていたか、
それらの国々の言語で思うままに自分が表現したいことを伝えられる次元
に達していたか」が、「国際人とは何か」の主たる基準になるのではない
だろうか。

後難を恐れずに言えば「駐在や留学の経験から見える外国は、一時の過客
として観察できた外国ではないのかな」と考えている。ではあっても、こ
ういう方々は私とは異なる型の立派な国際人であり、私のような内側人と
は異なる経験をしておられたのだと思って尊敬して、機会がある度にご意
見を伺ってきた。


◎国際派日本人の情報ファイル:伊勢雅臣



米国の原則: 中国との戦争を防ぐ方法は「想定される戦争への準備をし
て、勝利できる能力を保持する」


「中国の政策の挑戦」と題する公聴会はペロシ下院議長の台湾訪問を踏ま
えての議論が熱を高めた。私も朝から夕方まで傍聴したが、主題はやはり
軍事だった。同委員会のランディ・シュライバー議長(元国防次官補)の
「台湾問題は、中国が加工した『激怒』の背後でどんな軍事戦略を立てて
いるかが最大焦点だ」という総括がその集大成だった

翌4日に民間の大手研究機関のヘリテージ財団が開いた「台湾の将来」と
題する討論会もまず軍事だった。基調報告者のジャック・キーン退役陸軍
大将が「今回の中国の台湾包囲の大軍事演習は中国が年来の台湾上陸作戦
から海空での台湾封鎖へと基本戦略を変え始めた兆候だ」と指摘した。

歴代大統領の軍事顧問をも務めた同将軍は「米国軍部は一貫して中国が台
湾を攻撃した場合の戦争計画を保持してきた」と明言した。その米中戦争
の模擬演習である戦争ゲームに何度も参加してきた、とも述べた。

軍当局は常に戦争遂行の計画を保持するという基本姿勢である。日本にと
り想像を超える悪夢のような米中戦争という事態も実際にありうるとする
構えなのだ。基盤にはトランプ前政権が2018年の国家防衛戦略で最も
直(ちょく)截(せつ)に表現したような中国との戦争を防ぐ最善の方法
は「想定される戦争への準備をして、勝利できる能力を保持する」という
抑止の原則がある。


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身 辺 雑 記
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21日の東京湾岸は曇りのち雨。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月20日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6235号
□■■□──────────────────────────□■■□
       
        

   2022(令和4年)年 8月20日(土)


        受け継いでほしい保守の志:阿比留瑠比
 
           【変見自在】日本人像:高山正之

         国民を救うための政策転換:三橋貴明

        英霊の嘆きが聞こえてくるで:宮嶋茂樹

      ペトロ・ロンダリングでインドは:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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受け継いでほしい保守の志
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    【阿比留瑠比の極言御免】 


 中川昭一元財務相が立ち上げ、平成21年10月の中川氏の急逝に伴い、安
倍晋三元首相が後を継いだ自民党の派閥横断型の保守系議員連盟「創成日
本」が、月内にも活動を再開する。安倍氏の遺志を継承するため、生前の
取り組みを学ぶ勉強会を始めるのだという。

[「死せる安倍」が]

 それを伝える17日の本紙朝刊記事を読み、深い感慨を覚えた。こうし
て、日本を守るという志は次代に受け継がれていくのだと―。

 同時に、中川氏の葬儀で麻生太郎元首相が読んだ弔辞の言葉を思い浮か
べた。麻生氏はこう語った。

 「『死せる中川 生ける保守を走らす』。それがあなたが最も望んでい
ることでしょう。残されたわれわれは歯を食いしばって頑張ります」

 すでに死んでいた諸葛孔明が、司馬仲達を動かした三国志のエピソード
の引用だろう。実際、中川氏の盟友であり、中川氏が首相となることを期
待していた安倍氏はその死をきっかけに、再び自ら立つしかないと思い定
めたのではないか。

 そして安倍氏は、派閥ではなくこの創成日本の同志たちを背景に、その
3年後の24年9月、党総裁選に出馬する。事前の下馬評では安倍氏は5人
の候補のうち3番手か4番手だと言われていた。当時の民主党政権から日
本を取り戻すため、安倍氏は文字通り決死の覚悟だったはずである。

 総裁選に際し、安倍氏は衆院議員会館の事務所に幕末の志士、高杉晋作
が決起を決意した際の次の言葉を掲げた。

 「奉家(日本)の為(ため)に正義を起こさんことを要す 雲となり雨と
なり天地を揺るがさんとす」

 それから10年後の今、今度は「死せる安倍」が、休眠状態にあった創成
日本のメンバーらを突き動かしたのだといえる。

[国会議員130人の力]

 拉致問題、偏向教科書問題、永住外国人への地方参政権付与や言論・表
現の自由を侵しかねない人権擁護法案への反対、近隣諸国に過剰に配慮す
る外交・安全保障の正常化・・・。ここ四半世紀、自民党の保守系の諸活
動は、常に中川、安倍両氏が中心にいた。

 中川氏の死去後は、その2人分を安倍氏が担ってきた。自民党内で意見
が割れた選択的夫婦別姓問題や、性的少数者への理解促進を求める
LGBT法案び関しても、安倍氏が慎重論を唱えなければ保守派の意見は
無視され、拙速にことが進んでいた可能性がある。

 そうなれば自民党は、ただでさえ減らしつつある保守派の支持をさらに
失い、ますます時々の世論動向に付和雷同したり、支持団体の集票力をあ
てにするしかなくなっていただろう。

 安倍氏は以前、中川氏が亡くなる10日前に2人で話したときに、中川氏
から元気な声でこう言われたと話していた。

「保守再生のために安倍ちゃん、頑張ろう」

安倍氏は中川氏の葬儀での弔辞で、こう呼びかけていた。

 「まだまだ国家のために一緒に闘ってほしかった。私たちはあなたを必
要としていました」

 その2人は、今やともにいない。もう残された者が、歯を食いしばるし
かない。安倍氏は中川氏亡き後に再起を果たし、憲政史上最長の政権を維
持して数々の功績を積み重ねた。

 近年は目立った活動はしていないとはいえ、創成日本には、130人の自
民党国会議員が所属する。政策提言でも国民運動でも、政府への突き上げ
でも、やろうと思えばさまざまなことができる。安倍、中川両氏の志に続
いてほしい

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 
令和4年8月18日付産経新聞採録


━━━━━━━━━━━
【変見自在】日本人像
━━━━━━━━━━━
         高山正之

 日航機の御巣鷹山事故があったとき、テヘラン行きの飛行機に乗っていた。

 まだイラン・イラク戦争の最中で、戦争特派員として駐在するためだった。

 着いて最初にバザールを訪ねてみた。

 鍋釜やシャンプーを買うためだが、行ってみてその臭気に閉口した。

 まず香料がすごい。食品も衣料も何でもサフランやクローブが匂い立っ
ていた。

 イラン人の体臭もきつかった。オレは清潔漢だという助手も風呂は2週
間に1度入るだけだから、みな三日目の靴下並みに臭った。

 それに硝煙の臭いも混じる。毎晩、イラク機が飛んできて爆弾を落と
す。昨夜もこの近くに250キロ爆弾が落ちたという。

 そんな臭気に辟易していたら売り子が「ショマ、シネ、コリエ」とい
う。支那人か朝鮮人かという意味だ。「ナー、ジャポネ」と答える。日本
人だと。

「えっ」と周りが驚きの声を出してこちらを見る。

 驚きに些かの念も感じられる視線で、その理由を助手が話してくれた。

 それはパーレビ皇帝の皇太子時代に遡る。エジプト王女フォージュとの
結婚式に日本機がはるばる祝賀に飛んできたのだ。

 当時、イランは英ソに脅かされ、実際、その翌々年に分断占領されてし
まう。

 そんなとき日本機が来た。かってソ連ことロシアを叩きのめし、今も白
人列強に屈せず頑張っている。

 国王は日本機に祝賀飛行への参加を求め、その雄姿は多くの人の記憶に
残った。

 そして開戦。あの日本機と同型の96式陸攻が英戦艦プリンス・オブ・
ウェールズを沈めた。

 イラン国民は今一度、祝賀飛行を舞った日本機の姿を思い出していた。

 戦後、パーレビ皇帝は工業化の指針として「アジアの西の日本たれ」と
言った。

「日本人」と聞いて、そんな昔話を思い出したのだろうが、ただ、目の前
にいる小柄で髭も薄いアジア人とどうもイメージは馴染まない風だった。

 似たようなことはシリアの外れのチャイハナに行ったときにもあった。

 日本人だというと彼らは顎を突き出してチッと舌打ちした。もろ否定す
る仕草で「お前は日本人なんかじゃない」と言っている。

 彼らの意見をまとめると日本は、アメリカ大陸近くに位置する工業国家
で「大きな白人」のイメージなのだという。

 そんな印象の根っこは日露戦争の時代にまで遡る。

 中東研究家でチャーチルの信任が篤かったガートルド・ベルは「シリア
縦断記」の中で「夜、荷駄の世話をするベドウインの若者たちが集まって
は、いま戦われている日露戦争について熱っぽく語り合っていた」と記し
ている。

 メッカへの巡礼が行き来するイスラム世界では情報は予想以上に早く伝
わる。

 ベル女史はその若者たちの話の輪に加わり、日本には日露戦争前夜の
1903年を含めて2度訪ねたことがあると言ったら、彼らから日本につ いて
根堀り葉掘り聞かれたとある。

「顔は見えないけれど聡明で、逞しく、正義感の強い日本人像が勝手に作
られていった風だった」と。

 英領ビルマ時代、日露戦争の記録映画を見たラングーン大名誉教授タ
ン・タットは「日本人がものすごい巨人に見えた」という。

 だから先の戦争で進駐してきた日本軍が「小柄なのに驚いた」と。

 日本人はロシアを倒した。鋼鉄の戦艦も燃やす火薬を発明し、世界一強
い戦闘機も生み出した。

 強いだけでなく人種平等を説き、人類を苦しめたペスト禍も解決した。
集積回路を発明し、ディーゼルもクオーツも小型化して社会を豊かにした。

 日本人はいつも大活躍してきた。そんな日本人がどんな顔をしているの
かは案外知られていない。

 安倍元首相が倒れたとき、アバダンで同首相の顔がビルの壁面に映し出
された。タイム誌が同じ顔を表紙に置き、それを見てタリバンが弔辞を寄
せてきた。

 世界を引っ張ってきた日本人に相応しい顔を世界はやっと見つけたようだ。

〈新潮社編集部より〉

高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。

『変見自在バイデンは赤い』(定価1650円)絶賛発売中。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

『週刊新潮』令和4年8月25日号採録

            
━━━━━━━━━━━━
国民を救うための政策転換
━━━━━━━━━━━━
         三橋貴明

財務省の緊縮財政とは、
要するに「政府がおカネを使わない」
という意味になります。

おカネを使わないとは、
国民を助ける、守るためであっても
支出しないという話です。
それが、小さな政府です。

例えば、科学技術分野は、
投資(支出)したところで成果が出るのか、
いつ出るのか、事前には判断がつきません。

短期的に成果が確実に出る
科学技術分野があるならば、教えて下さい。
三橋が投資しますので。

現実には、科学技術分野は支出をしたところで、
成果が出るかどうか不明。
つまりは「リスクが高い」投資分野なのです。

だからこそ、政府が予算を組み、
支出をしなければならない。
ところが、日本は二十一世紀に入って以降、
科学技術分野への政府支出について、
当初予算を増やさなかった。

そして、予想通り
「上位10%引用論文件数ランキング」で、
韓国に抜かれた。
(三橋は何度も「そうなる」と言ってきました)

さらには、
LNG価格の高騰を受けた
電気代の上昇についても、
コスト引き下げの支援はできない。

「値上げすればいい」
これが、日本政府のやり方なのです。

三橋は、あまり文科省やエネ庁を
批判したくはないのです。
何しろ、現実に「緊縮財政」が続き、
政府の支出を増やせない以上、
どうにもならない。

科学技術分野について、
現在の「短期主義」「成果主義」を転換し、
選択と集中も廃止。
「数打てば当たる」方式で
政府が安定的に予算を拡大していけば、
日本の科学技術力はいずれ復活するでしょう。

また、LNG価格高騰を受け、
電気代が高騰しているならば、
政府が輸入企業に助成し、
価格を引き下げればいい。

できないとは、言わせません。
何しろ、ガソリンに対しては、
卸売企業に1リットル40円超の
助成をしている。
結果的に、ガソリン価格は
1リットル160円台で収まっている。
助成金が無ければ、とっくに
1リットル200円を突破していたでしょう。

政府は国民を救うことができる。
とはいえ、そのためには小さな政府路線、
緊縮財政を改めなければならない。

1990年代後半から続く小さな政府路線、
緊縮財政路線が、いよいよ日本国を
追い詰めつつあります。
逆に言えば、
転換の絶好のチャンスなわけです。


━━━━━━━━━━━━━━
英霊の嘆きが聞こえてくるで
━━━━━━━━━━━━━━
  【直球&曲球】宮嶋茂樹  


デモ隊に向けて「静かに」と書かれたカードを掲げて無言の抗議を行う
「静かな8月6日を願う広島市民の会」のメンバーら=6日午前、広島市中
区(矢田幸己撮影)

デモ隊に向けて「静かに」と書かれたカードを掲げて無言の抗議を行う
「静かな8月6日を願う広島市民の会」のメンバーら=6日午前、広島市中
区(矢田幸己撮影)

今年の夏は例年にない暑い夏らしい。しかし、エアコンが普及してな
かった戦争中の内地はもっと暑かったはずである。いや南方の島では新型
コロナウイルスよりも恐ろしいマラリア、アメーバ赤痢などの伝染病が蔓
延(まんえん)、治療や予防に必要な薬もワクチンも、いや食料や水さえ
もままならなんだのである。

くしくも今年は、太平洋の戦いでも最も激しい戦闘が繰り広げられたガダ
ルカナル島の戦いから80年である。飢えと渇きと病に苦しめられた日本軍
将兵はこの島を「餓島(がとう)」と呼んだ。それほど悲惨な戦いが原爆
の悲劇ほど日本の若者たちに伝えられていないことが残念である。

原爆投下の8月6日と9日の間に、ガダルカナル島には海上自衛隊の護衛艦
「きりさめ」が入港。現地ソロモン諸島政府はじめ、日米豪からも軍民合
わせた高官らが参列して、しめやかに慰霊祭が開かれたことはあまり知ら
れていない

一方、その前の6日、広島での原爆犠牲者を悼む慰霊式(平和記念式典)
でのことや。地元選出の岸田文雄首相も参列したが、よりによってその式
典の最中に、おごそかな雰囲気をブチ壊すかのように会場近くでデモ
ごっこ≠繰り返していた団体から、「安倍(晋三元首相)は殺されて当
然だ」などという趣旨のシュプレヒコールが繰り広げられていた、という
のである。

国連の事務総長をはじめ、世界中からVIPが集い、原爆で犠牲となった
女性や子供を含む多くの市民を追悼し、平和を祈念する式典である。

ちなみに、式典には招かれなかった駐日ロシア大使もこれに先立って広島
を訪れ、慰霊碑に献花したという。

この大使、戦争前には「侵攻はない」と日本人に大ボラ吹いて、侵攻後も
プーチン大統領の代理人として日本でロシアの戦争犯罪まで正当化しとっ
た人やで。何で、デモ隊は「死ね」やの「帰れ」やの安倍元首相に向けた
ような、きっついヤジは浴びせんの? 日当出んから?

情けない光景を見た英霊の嘆きは察して余りある。「これが命を賭してま
で守ろうとした祖国なのか」と。

◇【プロフィル】宮嶋茂樹
みやじま・しげき カメラマン。昭和36年、兵庫県出身。日大芸術学部
卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、
北朝鮮の金正日総書記(いずれも当時)をとらえたスクープ写真を連発。
新刊は『ウクライナ戦記』。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

産経新聞令和4年8月18日採録
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添付ファイル:
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ペトロ・ロンダリングでインドは
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月17日(水曜日)
          通巻第7432号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ロシア制裁の効き目はまるでなかった?  
  ペトロ・ロンダリングでインドは「ペトロ・ヘブン」に化けていた
******************************

 ロシアのウクライナ侵攻から半年。西側の制裁はかえって西側の経済を
痛めつけた。ドイツは原発再開にむけて走り出した。中国は、制裁に加わ
らず堂々とロシアから石油とガスの輸入を拡大した。
 制裁規制からはずれた資源は欧州列強、知らぬ顔をしてロシアからの輸
入を増やしていた。ちなみに2月24日の侵攻以後、ドイツがロシアから輸
入したエネルギーは122億ユーロ、イタリアが79億ユーロ、以下、数字 だ
け並べるとオランダ78,トルコ68,フランス44,ポーランド43となる。

 留意すべきはインドである。
 侵攻前、インドのロシア石油輸入は微々たる量だったが、前年比8倍に
「躍進」していた。報道によれば、グジャラート州の港にはいったタン
カーはロシア出資の製油所に運ばれ、ガソリンに精製される。これは「イ
ンド産ガソリン」となって、各地に転売が可能。つまりペトロ・ロンダリ
ングだ。

 マネーロンダリングはタックスヘブンで国籍を変えるように、インドは
「ペトロ・ヘブン」に変身したというわけだ。

 拠点はグジャラート州の港。西インドは紀元前から中東、アフリカとの
交易で栄えた。中東の湾岸諸国や東アフリカの沿岸地帯から南アフリカに
かけてインド人の進出が目ざましい。
 グジャラート州はモディ首相の出身地であり、安倍晋三元首相も、習近
平主席もわざわざ訪問した土地、しかもガンジーの拠点だったから、かな
らずガンジー記念館にも立ち寄る。

州都のアーメダバードは国際色豊かで経済繁栄にまっしぐら。日本は、こ
のアーメダバードから南のムンバイまで新幹線工事を展開している。

 したがって日本企業のグジャラート州への進出は刮目すべき増加ぶりで
2013年には84社だったが、2017年に221社、2018年に383社となっている。
スズキを筆頭に豊田通商は工業団地も建てた。

 ことほど左様に国際情勢は複雑怪奇、日本人の善良さや法治主義は、彼
等にとっては綺麗事の建前に過ぎないことが分かる。
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆  書評 しょひょう 
BOOKREVIEW  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 江戸の開発
と新旧キリスト教による大航海時代の覇権争いとが同時進行
老舗商家の創始者たちを地球規模の舞台で躍動させた快著

   ♪吉田誠男『遠き海原──世界都市「江戸」誕生の物語』(サンダー
アールラボ)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
     評:上野善久

 浮世絵の版元として、広重などの版画を世に出した老舗扇子商の14代目
の手になる一冊。
内容を一言でいえば、同郷だった徳川家康の求めに応じて、三河・遠州の
地から、まだ開墾前の江戸に出てきた著者の先祖とその後裔たちの夢と苦
労の物語である。
 夢とは、まだ江戸の真ん中を石神井川が氾濫を繰り返し暴れていて、江
戸湾の奥の日比谷入り江が駿河台下あたりまで入り込んでいたころに、江
戸を世界一の都市にしてみせるという、それこそ夢のような野望。
苦労とは、洪水、台風、地震、大火など繰り返し襲いかかる天災に店舗と
住居のみならず身内や番頭まで失いながら何度も立ち向かい、都市と家業
の基盤を築いた創業家3代の奮闘の姿である。
 それだけ聞くと、よくある「ファミリーヒストリーもの」でしかないの
だが、豈に図らんや、そこになんとオランダ人ヤン・ヨーステンとイギリ
ス人ウィリアム・アダムスが終始絡んでくるところが、並のプライベー
ト・ヒストリーとはまったく別物といえる。
 八重洲の地名にもなったヤン・ヨーステンは、当時世界最高の土木技術
を誇ったローマ帝国統治下で培ったオランダの港湾都市整備の技術を家康
に伝授し、実際に施工にあたったのが著者一族の創始者だったという。
関ケ原の合戦も大阪夏の陣・冬の陣も実は豊臣家に食い込んでいたスペイ
ン・ポルトガルのカトリック国家から、世界有数の銀の産出国である日本
での利権を奪取して世界の覇権国家に躍り出たいプロテスタントの英蘭連
合が糸を引き、ウィリアム・アダムス(三浦按針)による戦術指導と台湾
配備のオランダ艦船による砲撃支援によって決着したという、目を丸くす
るような発想である。
 実話のような物語なのかと思って読み進めると、いつしかフィンクショ
ンではなく壮大な世界的歴史ドキュメンタリーになっている。

不思議な構成が実に新鮮だ。江戸・日本橋地区の都市整備の話と、新旧キ
リスト教による大航海時代の覇権争いとが同時進行しながら、地球規模の
舞台装置に著者の先祖が常に物語の中心に躍動している。家康をはじめと
する実在の登場人物たちが、すぐそこで喋っているような写実的な文体を
伴って、こんな斬新な話が違和感もなくすらすらと展開していく。身内を
語りながら、微塵も嫌みを感じさせないのは著者の技量だろう。
読んでいて心地よく、いつまでも浸っていたい読中感を覚える本というの
は、なかなかお目にかかれるものではない
 著者は大学で原子力工学を修め、大手カメラメーカーで原子炉内部の監
視カメラの開発に従事していたと聞いてまたびっくり。いわれてみれば、
関ヶ原の合戦や島原の乱の戦況描写、江戸湾内埋め立てや運河開削の土木
技法などの記述に、技術者ならではの緻密で整然とした視点が感じ取れ、
文字だけの文芸書でありながら俯瞰的なビジュアルを読み手の脳裏に投影
している。
よそ様の社史だと思って軽い気持ちで読み始めると、極めて独創的な発想
と筆致のせいで、知らないうちに引き込まれているという手痛い仕打ちを
受ける。
「荘周の夢(胡蝶の夢とも)」の故事を彷彿とさせる構成も小憎いばかり。
全体を通して、物語の端々にファミリーの発祥の地である三河に対する深
い愛惜の念がほとばしる。ファミリービジネスの後継者難が報じられる昨
今こそ、このように先祖の事績を顕彰し、自家の今あるのも先祖各代の血
と汗の賜物であることを意識して伝承する必要がある。その継いでいくべ
きナラティブ(語り)として、本書は稀にみる好例といえる。
家業を営む家に生まれたことに対する誇りと感謝の念が、ことさら言わず
とも終始行間に滲み出ている。
エンターテイメントとして誰が読んでも面白いが、とりわけ日本全国のあ
らゆる商売人とその子女たちに、自分の家を見直すきっかけとして是非一
読を薦めたい。
                
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ☆⌒☆⌒☆⌒☆ ☆⌒☆⌒☆ ☆⌒☆⌒☆⌒☆      
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)あらゆる生命体は「もらう」と「あげる」の代謝機能を
持っている。
どうやら「代謝機能を有するモノが生命体である」ということが(ニー
チェに至る哲学者達の思考の後ろ盾として)先端分子生物学や人類学の
『総括』となりつつあるのではなかろうか。
この「あげる」と「もらう」は一定の関数の仲介で常にイコールを指向し
ていて、それがある時点で総体として「均衡」した状態がその時点での生
態系の全体図となる。
植物はCO2をもらい、酸素をあげている。ヒトも何かをもらえばそれに
等しい何かを与えることこそが、すべての行動基盤となっている。
つまり生命体すべてが何かと何かが等しいか否かにかかっわっていて、ヒ
トの関心も何かと何かを同一視してもよいか?否か?に全て集中している
が、それに気づく人は少ない。
この文脈にある「何かと何か」こそが根源的な「価値」と定義できる。も
し何かと何かが等しくないとか、その等しさに疑義を生じる場合に、「価
値紛い」が「争いごと」を生み、人間社会を混乱に陥れる。
マネー(通貨・貨幣)は金本位制までは曲がりなりにも、「価値=マ
ネー」で社会はやりくりできてきたが、ニクソンショック以来、「価値イ
コールマネー」とは認めがたいと気づく人間がふえてきてしまった。
なぜなら印刷さえすればマネーという「価値紛い」が「価値あり」とみな
されている(=同一視されていること)に疑問を感じるからである。今では
それを原因として多くの「争いごと」が社会・世界を「覆う」ようになった。
この傾向に弾みをつけたのは「世の中の様々な情報がデジタルデータに
よって変換され、経済契約・金融商品化できるものに変わり、市場取引に
埋め込まれる流れが加速したことにある。・・・
例えば 未来に存在しうる『幻想』に無理やりに経済価値を与える資本主
義の機能は、世の中に存在する純金と株式会社は40年前にはほぼ同じ時価
総額であったが、今は後者が前者の10倍になっているほど、純化してい
る」と経済学・データ科学者の成田悠輔氏はVOICE 9月号でいっている。
 ウクライナ戦争の特徴は何か?
「マネーイコール価値である」を前提とする「欧米諸国」と、「価値イ
コールマネーではなくエネルギー資源や食糧などのことである」とするロ
シアの思想の違いである。
「プーチンはこれからの経済は『亡霊的な価値』から抜け出さねばならな
いと言った」とエマニュエル・トッド氏はVOICE 9月号で書いているが、
プーチンは佐伯啓思氏の「さらば欲望」(幻冬舎新書)を理解し、成田氏
の言われる「未来への幻想を商品化して取引の対象とすることによって、
何もないところに無理やり価値を創りだし、レバレッジを大量に効かせて
儲ける『中身のない』資本主義」(VOICE 9月)の「汚染された価値」か
ら「欲望」を洗い落とさねばならないと言っているはずだ。
つまりプーチンも西側の「(抜本的)新しい資本主義」を唱える人達や佐
伯・成田氏と同じ方向を向いているのかもしれない。でも悲しいかな、岸
田政権の「新しい資本主義」は低レベルの別物のようにしか聞こえない
(SSA生)

(宮崎正弘のコメント)そういえば、貴論との脈絡はありませんが、トマ
ス・ピケティが最近猛烈に批判されていますね。
    

━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎大阪桐蔭高校の敗退に思う事ー矢張りそうなってしまったか:前田正晶

私の持論は「多くのスポーツの大会で、マスコミというかテレビと新聞に
持て囃され過ぎたティームには碌な結果が出ないのである」と何度も述べ
てきた。現在進行中の甲子園の野球でも、昨日は正しくこれに当て嵌まる
結果が出ていた。それは「春夏の連覇」とテレビも新聞も過剰に騒いでい
たというか、今にも達成するかのような報道姿勢に疑問を感じていたの
だった。

そして、その懸念が現実のものになって最有力の優勝候補だった大阪桐蔭
高校が下関国際高校に最後の最後にひっくり返されて、1点差の敗退と
なったのだった。そういう見方をしていたので、この試合だけは最初から
最後まで見ていた。

この辺りが昨日も取り上げた「トーナメントという勝ち抜き方式の恐ろし
さ」なのだ。それは「たった1回の対戦であれば、弱者と看做された方が
勝ってしまうこともあるだろうが、下関国際高校が10回も大阪桐蔭高校と
試合をしたら、果たして何度勝てただろうか」と思わせてくれた試合だっ
た。野球はアメリカ発祥のモメンタムの競技であるだけに、下関のあのト
リプルプレーの為に大阪桐蔭はモメンタムを失っていたのだと思う。

大阪桐蔭は14日に埼玉県代表の聖望学園との対戦で、25安打で19点という
大勝利だった。私はこの結果を見て「大阪桐蔭は打ち過ぎで、私が主張す
るジンクスで、次の試合では打てなくなる危険性が」と指摘したが、安打
数は減ったが無事に勝ち上がっていた。尤も、私は偶々埼玉県予選での聖
望学園の試合振りを見ていたのだが「これで良く県代表になれたな」と
思ったほど次元が低い野球をやっていたので「大阪桐蔭は弱敵に勝って過
信するのではないか」とすら感じていた。

私はマスコミの過剰な持て囃し方という問題以外に指摘しておきたいとい
うか、1990年頃から指摘し続けてきた甲子園の野球の問題点を挙げておき
たいのだ。それは、高校野球の指導者たちは、このトーナメント方式の予
選を勝ち上がり、甲子園でも優勝するための「小さく纏める野球の技巧と
技術」を高校生に仕込んでいるという点だ。その極端な例が「優勝投手が
プロ乃至は大学に行って成長し大成功した例が、ごく少数の例外を除いて
は、殆どないではないか」なのだ。

大阪桐蔭も西谷監督は優れた体格の運動能力が極めて高い高校生たちを沢
山集めて、高校野球としては非常に高い水準にあるティームに仕上げてこ
られたと思う。だが、間違っていたらご免なさいだが、大阪桐蔭の出身者
で先頃のオリンピックの優勝ティームに何名いたのだろうかという問題を
指摘したい。

「いや、何を言うか。高校球児は甲子園に出るのが最高の目的であり夢で
もあるので、血と汗と涙の努力をしているのだ」と言われれば敢えて反論
はしない。だが、私だって「サッカーで全国制覇を目指して国体の決勝戦
まで行った高校の一員だった」と言うし、その主将だった早川さんはオリ
ンピック代表に選ばれたし、仲間からは慶応と早稲田の主将が出ていた」
とだけ申し上げて終わる


━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━
20日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月19日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6234号
□■■□──────────────────────────□■■□
       
        

   2022(令和4年)年 8月19日(金)


           
           APが報じたソ連の蛮行:岡部伸

       コロナ禍と地方衰退に襲われる:冷泉彰彦
              
              トランプ土俵際:浜田和幸

           鎮魂の日の平和記念公園:桂春蝶

      史上最悪のハイパーインフレの国:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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━━━━━━━━━━━━
APが報じたソ連の蛮行
━━━━━━━━━━━━
    【一筆多論】 岡部伸 


AP通信が伝えた占守島でのソ連の奇襲上陸の記事(防衛研究所戦史研究
センター史料室所蔵)

「連合国軍が占守島に侵攻している」

千島列島最北端の占守島にソ連が侵攻してから18日で77年となる「終戦」
後のことだ。だが、このソ連の蛮行を米AP通信がいち早く報じたことは
あまり知られていない。

「わが軍(日本軍)は自衛のために武器に頼らざるを得ない。両者間の敵
対行為が禁止された以上、早急に敵対行為を停止することが切に望まれ
る」という、日本の主張をそのままAPが世界に伝えたのである。

昭和天皇のご聖断で、日本がポツダム宣言受諾を決め8月15日に終戦の詔
書が出された3日後だ。ソ連が「北海道の占領」を目指して奇襲上陸を始
めた。

大本営は16日、即時停戦命令を下す一方で、自衛戦闘も「18日午後4時ま
で」と命じていた。しかし、侵攻するソ連軍に対し、「断乎(だんこ)反
撃」を命じ、撃退したのが第5方面軍司令官、樋口季一郎中将だった。

樋口中将は、独自の判断で自衛戦闘を指示すると同時に18日、大本営に
「停戦公表後に侵略するソ連軍は不都合で、関係機関と折衝を」と米軍に
抗議するよう緊急電で要請した。不都合とは、国際法違反という意味であ
ろう。

大本営は直ちにマニラのマッカーサー司令部に占守島を侵略するソ連に停
戦を求めるよう電報を打った。マッカーサーは戦闘中止を求めたが、ソ連
は無視した。そこでAPがマニラ発で伝えた。侵攻日を18日と記してお
り、日付は20日か、21日とみられる。

APは、「通報では、上陸した連合国軍の国籍は不明」としたが、状況か
らソ連の犯行であることは明らかだ。敗戦国が戦勝国の米国といち早く連
携し、武装解除で丸腰となった日本を侵略するソ連の蛮行を国際社会に訴
えた意味は小さくない。国際法を守らず、力による現状変更を狙う侵略国
家ソ連の本性を速やかに発信したのは、プロパガンダにたけたソ連に情報
戦で一泡吹かせたといえる。

北千島、南樺太で日本軍が激しく抵抗した結果、ソ連軍は22日、北海道占
領を断念する。第5方面軍の抵抗と情報発信がなければソ連軍は北海道に
なだれ込んでいただろう。

樋口中将が「反ソ」で米軍と連携したことについて、孫の樋口隆一明治学
院大学名誉教授は「対露情報将校だった祖父は、ソ連軍が千島、樺太から
北海道まで侵攻することを察知していた。そこで米軍と共闘し、立ち向か
う対策を考えていた」と指摘する。

手記によると、(ソ連参戦)数カ月前、参謀本部第2部ロシア班参謀が札
幌の第5方面軍を訪れ、数カ月後にソ連が対日開戦すると告げたという。
ストックホルムから参謀本部に届いたとされる小野寺信(まこと)武官の
ヤルタ密約も伝わっていたかもしれない。終戦1カ月前の7月、阿南惟幾
陸相も同所を訪問している。

隆一氏によると、8月17日、札幌郊外の千歳空港に米軍のB29が飛来した
が、樋口中将は驚かず、知っていた様子だった。ソ連の北海道侵攻への米
軍の警告と解釈できる。樋口中将が大本営を通じ米軍と連携していた可能
性もある

ウクライナで侵略戦争を続けるロシアは今も北海道侵攻の野望を隠さない。

ソ連の侵略を撃退し「分断国家の悲劇」から救った樋口中将のインテリ
ジェンス(諜報)と決断のひそみに倣いたい。(論説委員)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   松本市 久保田 康文 

令和4年8月16日産経新聞採録
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コロナ禍と地方衰退に襲われる
━━━━━━━━━━━━━━
          冷泉彰彦


終戦時と同じ。コロナ禍と地方衰退に襲われる「統治の空白」ニッポン

大都市圏での新型コロナウイルス新規陽性者数は減少傾向にあるとされる
ものの、全国規模で見れば1日あたりの死者数が急増中と、未だ第7波の只
中にある日本。なぜ政権はこれまでの経験を生かすことができないので
しょうか。今回のメルマガ『 冷泉彰彦のプリンストン通信 』』では著者
で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、終戦前後における我が国の「統治の空
白」について考察するとともに、現政権のコロナへの一連の対応を「統治
の放棄」として厳しく批判。その上で国民に対して、この状況を乗り切る
ための議論の展開を促しています。


8月15日に考えた「権力の空白」について
今年も8月15日がやってきて、そして過ぎて行きました。この戦争終結の
日付ですが、米国では降伏文書に調印がされた9月2日のことを「VJデー」
としています。また、中国やロシアの場合は、どういうわけか1日後の9月
3日を戦勝記念日としているようです。

では、日本の場合はどうして9月2日ではなく、8月15日という日付を大切
にしているのかというと、それは日本軍が無条件降伏したことが悔しいと
いうよりも、軍の降伏により戦闘が終結したからだと思います。具体的に
は、冷静に考えると不思議なのですが、その直前まで核攻撃、大規模空
襲、機銃掃射などといった連合国の攻撃により、非戦闘員でも「死と隣り
合わせ」であったのが、その恐怖から解放されたからであると考えられます。

不思議というのは、この日を境に当時の日本人が「連合国が攻撃を停止す
る」ことを無条件に信頼し、また「日本軍が武装解除する」ということ
も、その裏返しとして信頼していたという問題です。いくら鈴木貫太郎内
閣が、昭和天皇の肉声録音という「奥の手」を使ったにしても、生きるか
死ぬかの大問題について、その放送により全ての日本人が「一発で信用」
したというのは、にわかには信じられません。

勿論、45年の8月に入ってからは、ポツダム宣言に関する新聞記事は出て
いたし、原爆による壊滅的被害の問題、そしてソ連の条約無視と参戦とい
う事態の中で、勘のいい人々を中心に「残るは時間の問題」という「空
気」は濃厚にあったのだと思います。これに加えて、やはり「負け戦を止
められない」軍部への根本的な不信感というのは、相当に広がっていたの
でしょう。

そんな中で、やはり8月15日というのが「死の恐怖からの解放」であり、
同時に「嘘で固めた戦時体制からの解放」であったのだと思います。ま
た、これは恐らく鈴木貫太郎と、昭和天皇などが個人的に判断したことな
のかもしれませんが、盂蘭盆のその日を無条件降伏として、その後は、毎
年この日に死者への追悼を重ねるという「設計」がされたということも記
憶しておいていいと思います。

ちなみに、この日のことを終戦とするのか、敗戦とするのかという「言い
方の問題」が戦後ずっと議論されてきました。勝利の見通しのない戦争を
始めたことへの反省を含めて、この結果を厳粛に受け止める立場からは
「敗戦」とする、一方で、占領軍を「駐留軍」と呼び変えるなど、「戦争
に負けたことをあまり強く言わないで、アメリカと協調し、共産圏と敵対
する」立場からは「終戦」とするという考え方のズレが長くあったように
思います。

この点については、昨今の情勢を考えると、「敗戦」という言い方の方が
「悔しいからもう一度」的な危険性を帯びてきており、むしろ「終戦」と
いう言い方の方が、軽武装と専守防衛で永久平和をという現実主義に近い
ような語感を持っているのですが、これはあくまで個人的な感想です。皆
さまそれぞれに、語感という点からどう考えるか、ご教示いただけると有
難いです。            


━━━━━━━━
トランプ土俵際。
━━━━━━━━
      浜田和幸

FBIの「ガサ入れ」に見るアメリカ司法省の本気度
8月8日、ドナルド・トランプ前大統領の別荘を家宅捜索した米連邦捜査
局(FBI)。トランプ氏はこれを「魔女狩り」として強く批判しています
が、果たして真実はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『浜田かず
ゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜
田和幸さんが、FBIが突然の家宅捜索に踏み切った背景を解説。さらにFBI
に元大統領を立件できる確証がなければ「ガサ入れ」などできることでは
ないとして、この先トランプ氏が被るであろう大きな痛手と、宿敵である
ペロシ氏の反応を紹介しています。

FBIのガサ入れを受けたトランプ前大統領:生き残れるのか?ぶっちゃ
け、トランプ前大統領は「不動産王」と呼ばれていた頃から、好き勝手な
言動で話題を巻き散らしてきていました。そして、今週は大統領経験者と
しては初の不名誉な称号を得たのです。

何かと言えば、FBIによる「家宅捜査」と「不正疑惑の証拠没収」に他な
りません。司法省のお墨付きの下、FBIの捜査官がフロリダ州にある別荘
に踏み込んだのです。その時、トランプ氏はニューヨーク近郊でゴルフ三
昧でした。

ガサ入れの知らせを受けて、本人は「バイデン政権による違法行為だ。ア
メリカは腐敗国家になってしまった。この悲惨な状況を克服するには、自
分がホワイトハウスを奪還するしかない」と、新たな闘志を燃やしている
ようです。

しかも、「秋の中間選挙で民主党を追い出し、共和党が議会多数派となれ
ば、今回のような非合法な活動を容認した司法省や実行犯のFBIのトップ
の首を挿げ替える」とまで公言。

共和党内のトランプ支持派やバイデン政権に不満を抱く熱心なトランプ教
の信者の間では、「そうだ!そうだ!バイデンは地獄行きだ」と拍手喝采
しています。

では、そもそもなぜFBIは前大統領の家宅捜査に踏み切ったのでしょう
か。それなりの立件に向けての確証がなければできない話です。実は、ト
ランプ氏の不正疑惑は長年に渡ってくすぶっていました。

不動産王の時代にも、土地や物件の評価額を不正操作し、金融機関から法
外な融資を引き出し、更には税金逃れに血道を上げていたとのこと。

また、政治家を動かし、公的な土地をあり得ない安価で落札し、自分の名
前を冠したゴルフ場や別荘地に作り替えたりしていました。その他、セク
ハラで訴えられた案件は枚挙の暇がありません。有名なポルノ女優には莫
大な口止め料を支払っていました。

今回の家宅捜査の直接の引き金になったのは、ホワイトハウスを去る際に
国家機密文書を大量に持ち出したという疑惑が内部告発されていたためで
す。アメリカの法律では「大統領はその職にあった際に目にしたり、使っ
た文書は全て返却し、公文書館が保管すること」が決められています。
後々、歴史的な検証が公平公正に行われるようにするためです。

しかし、トランプ氏はホワイトハウスからそうした機密文書をごっそりと
別荘に持ち出し、金庫に保管していたわけです。この違法行為が立証され
ると、トランプ氏は罰金で終わらず3年の禁固刑に処され、当然、2024年
の大統領選挙には立候補できなくなります。

ぶっちゃけ、いかなる手段を講じても来る中間選挙で共和党が議会多数派
となり、トランプ氏の無罪を勝ち取るしか、トランプ教の生き残りはあり
得ません。先に台湾訪問で話題の主となったペロシ下院議長は「私のこと
を批判してたけど天罰が下ったようね」と、ほくそ笑んでいるようです。


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鎮魂の日の平和記念公園
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         桂春蝶


【桂春蝶の蝶々発止】目的や方向性失った大人と尾崎豊の「15の夜」鎮魂
の日の平和記念公園、拡声器で安倍氏罵倒平和から最も対極にある暴力の
肯定 

平和記念式典で原爆慰霊碑に献花する参列者ら。奥は原爆ドーム=6日午
前、広島市の平和記念公園

8月は「平和」について考え、先人や先祖に感謝する、日本人にとって
大切な月です。「祈り月」と呼んでもいい。しかし、そんな静かな祈りと
ほど遠いことが、広島に原爆が投下されてから77回目の「原爆の日」であ
る6日広島の平和記念公園で起こりました。

産経新聞によると、同日午前6時ごろから、反戦・反核を叫ぶ団体が原爆
ドーム前でデモ集会を開き、拡声器を使ってシュプレヒコールを上げたそ
うです。マイクを握った男性は「安倍(晋三元首相は殺されて当然
だ!」などと言い、周囲には「国民の戦争動員への道アベの国葬反対!」
と書かれたカードを掲げる人もいたそうです。

記事を見て、私は思うことがありました。高校生の多感な時期私はよく尾
崎豊さんの曲を聞いていました「15の夜」という名曲があります。バイク
を盗んで走り出す少年がいて、その行き先は分からない…そんな内容の歌
詞でした

私はいま47歳になりますが、年齢を重ねるほどに歌詞の解釈は変わってい
きます。1つのワードに対して深く洞察し、思考するのです。

この少年はなぜバイクを盗んだのか? シンプルに答えますが、それは
「行く先が分からないから」でしょう。自分の夢や方向性、生きがい…。
そんなものを持っていたら、犯罪的奇行には走らないと思います。大人に
なると、精神的にも社会的にも、ある程度「道」が舗装されていって、バ
イクを盗まなくなる。

では、大人になって特異な行動をとる人は、「15の夜」に出てくる少年の
ように、目的も方向性も見当たらないのでしょうか? 社会の中で自暴自
棄になっているのでしょうか?

産経新聞によると、「デモの主催者は、過激派の強い影響下にあるとされ
る労働組合などで構成」とありました。なるほど、だから8月6日に拡声
器デモに参加したのですね。岸田文雄首相のあいさつ中にも、「岸田は帰
れ!」などと連呼していたのですね。

私には、彼らが「平和」や「鎮魂」などを考えているとは思えません。自
分たちの主義・理想を実現するためなら、手段を選ばない方々なのでしょ
う。「殺されて当然」などと公言するのは、暴力の肯定です。平和から最
も対極にいる人々といえるでしょう。

マザーテレサの言葉ですが、まず思考に注意する、言葉に注意をする、行
動に注意をする、習慣を注意する、習慣はいつか性格になる…そして、そ
の性格は運命となる。

間違った平和を掲げることが「運命」になってしまった大人は、それを修
正するのはかなり難しいでしょう。

いま真っ当に「歩んでいる道」があるなら、それを大切にすべきです。そ
の道を大切に踏み締めていくことこそ、私は「平和への一歩」だと思って
います。

■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二
代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目
桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風
で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市
の「咲くやこの花賞」受賞。

  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
    松本市 久保田 康文 

夕刊フジ【zakzak】ニュース採録
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史上最悪のハイパーインフレの国
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)8月16日(火曜日)弐
          通巻第7431号  
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史上最悪のハイパーインフレの国ジンバブエが「金貨」を発行
  100兆Zドルでパンが半斤しか買えないのに?
******************************

 独裁者ムガベの国、中国がその選挙を支え、そろいのシャツやポスター
印刷も引き受けた。人民元はジンバブエの「法定通貨」だった。
不正投票も反対派虐殺もなんのその。ロバート・ムガベがジンバブエを破
産させ、人民を奈落の底へ突き落とし、欧米はムガベ夫妻の入国を禁止した。

ムガベ夫妻は四回の来日履歴があり、政治家との交流もあったが、ムガベ
夫人は浪費癖があって、娘は偽名で香港へ留学(これも中国の斡旋か)。
頻繁に香港へ「買い出し」に出かけ、ブランド品を買いあさった。ムガベ
は法学博士、経済学博士だったのだが。。。。

 2017年、ムガベはクーデターで追われ、最後はシンガポールに入院、そ
こえ死んだ。それでもジンバブエのインフレは収まらず、年に300%とい
う人類史上まれな猛烈ハイパー。過去に四回も「新札」と切り替えたが、
そのたびに通貨単位は増えつづけ、ちなみに現在のジンバブエ・ドルは
500億ドル札(50000000000Zドル)で食パン二切れ。

 街には両替、そして闇ドルの世界。平均年収が260ドル(BBC)に達
しないのも、鉱山、ダイヤモンド、宝石類しか産業はなく、農業も振るわ
ず、都市は荒廃している

 ジンバブエ政府は、インフレ対策のため一1ンス金貨の発行を発表した。
最初に4475枚を発行したが、ドルでしか買えず、また金価格は1オンス
1800ドル以上だ。つまり庶民とは無縁の通貨である。誰のため、何のた
め、庶民が使えない金貨なのかと不満が固まっている。
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆   書評 しょひょう 
BOOKREVIEW  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 日本史の
四、五世紀は文献資料的に空白だが。。。。
  実態は巨大古墳が乱立するほどにイノベーションが進んだ繁栄の世紀
だった

 ♪水谷千秋・監修『空白の日本古代史』(宝島社新書)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 考古学から古代史を見直すと、これまで謎と言われ、「王朝空白時代」
とされた四世紀から五世紀の不明な事実。重大事件が明らかになる。
 遺跡からの出土品が、歴史の闇を照らし出し、戦後の歴史学者がとなえ
た仮説の多くが虚説と判明した。
 天皇譜でいえば、第十五代応神天皇から、仁徳、履中、反正、允恭、安
康天皇、そして雄略、清寧、飯豊女帝の称制を経てイチハノオシハ皇子の
遺児ふたり顕宗、仁賢、その皇子だった武烈天皇の時代。第二十六代の継
体天皇は即位が西暦507年、六世紀初頭で同時に古墳時代の終わりでも
あった。この時期はシナの史書が列記した「倭の五王」の時代でもある。
 空白の世紀は文献がないけれども、遺跡は山のようにある。古墳の副葬
品などを炭素測定し、また年代測定には当該地のボーリング。貝塚や排便
の解析、同時期の人骨のDNA鑑定、出土品の時系列、流行別の判別など
が進歩したうえ、栄養学、医学、薬学、解剖学、地質学、食品学のポイン
トが加わる。ちなみに松本清張の『清張通史』第二巻のタイトルも「空白
の世紀」である。四世紀から五世紀の歴史が空白なおもな理由は文字で記
した文献がないからだ。たしかに日本史の四、五世紀は文献資料的に空白
である。だが、実態は巨大古墳が林立、イノベーションが進んだ繁栄の世
紀だった。世界でも珍しい古墳の世紀でもあり、全国に巨大古墳が林立し
た。豪勢な軍勢や経済力を誇示するために前方後円墳などの巨大な土木作
業に没頭し、たとえば仁徳天皇陵といわれる大山古墳はピラミッドより大
きい。歴史がなかったという文脈での空白ではない。無文字時代ゆえに記
録がない。いや、あったのだが、蘇我蝦夷が乙巳の変で仆れたときに天皇
記、国記、上宮記などを燃やしてしまったのである 国記の一部だけが火
災から持ち出され、その逸文がのこるのみである。
 「空白」期を戦後の左派歴史家は「卑弥呼からヤマト王権の誕生」まで
に時間だとしてきた。
神武天皇を架空の存在とみており、そのうえ外国の文献に依拠してああだ
こうだの侃々諤々に浸ってきた。そうした誤謬と偏見の時代が考古学の検
証によって終る。
 考古学の発見は鏡、埴輪、金のブレスレットやイヤリング、琥珀の腕
輪、勾玉、指輪、金銅製鞍、冠、甲冑、武人の埴輪、矢立て、弓矢、刀
剣、槍。。。。
 とくに刀剣に印字された語句が、古代史の謎を解く有力な手がかりと
なった。紀元前に倭の一部地域の酋長らしき存在が楽浪郡(朝鮮半島にお
けるシナの飛び地)と交渉をもっていたこと、西暦57年に奴國(伊都國の
東にあったとされる地域豪族)が光武帝から金印を受けたと『後漢書』が
書いていること、同書東夷伝では西暦107年に「倭」国王の師弁が奴隷を
献上した事、147年から188年にかけて倭国大乱があったこと、238年に卑
弥呼が魏に使者を送ったので、明帝から金印を授かったこと(この金印は
発見されていない)。391年に倭が高句麗と交戦したこと。これらは総て
シナの書物に依拠し、しかもその記述を歴史的事実として疑いを入れずに
戦後の日本の歴史家が受け入れてきた。考古学的見地から、従来の解釈は
覆った。
実際には朝鮮半島南部から夥しい日本製の甲冑が出土しており、日本から
軍隊の派遣が行われていた事実が浮かんでくる。広開土王の石碑に書かれ
たことは大部分が正しかったのだ。もっとも古い古墳は桜井市の箸墓で、
第七代孝霊天皇の皇女、ヤマトトトビモモノソヒメの墓と宮内庁は比定し
た。これを卑弥呼の墓だと主張する学者がまだ多い。地元桜井市も観光用
の幟、看板が随所にあるが、「卑弥呼の故郷」と宣伝している。この「空
白の世紀」に日本にやってきた技術革新、産業革命に繋がるイノベーショ
ンは、窯業、鉄器、金細工、紡績、馬の生産と飼育だった。須恵器、埴輪
の加工技術、鉄材料、鍛治、鞍などが渡来人によってもたらされ、迅速に
技術革新がなされた。
 これは重要なポイントである。地方豪族がそれなりに競合しヤマト王権
とは遜色もない状況から、渡来人技術を活用したヤマト王権が統一王朝の
魁を演じることになったからである。これら渡来人を、弓月国からの亡命
者だった秦氏、ヤマト豪族の新興勢力となった蘇我氏が率いた。とくに蘇
我氏の台頭が凄まじかった。空白期の文明を代弁するのはなんといっても
古墳であり、出雲型は前方後円墳ではなく、四隅突出型墳丘墓だ。この出
雲型は中国地方から古志の越中にも及んでいた。古墳をみる限り、日本海
側(出雲、古志)はヤマト王権と十分に張り合っていた。それだけの財力
と軍事力があった。ヤマト王権の前方後円墳型は新潟から福島県にも及ん
でいる。つまり全国各地に古墳をつくり領民を動員できるほど有力な豪族
たちがしのぎを削っていた。
 評者(宮崎)も『歪められた日本史』(宝島社新書)で指摘したよう
に、村々を束ねて地域の王が生まれ、その連立勢力のトップが「大王」と
なった。ヤマト王権とは近畿豪族連立王権だった。そして統一政権の企て
をはじめて企図したのが近畿豪族連合だった。地方豪族の連合体から中央
集権国家を目ざす。空白期の日本史は貧困期ではなく未曾有の繁栄期であ
り、惜しむらくは無文字時代であったため、これまでは文献解釈が歴史の
主流だから、適当な解釈でお茶を濁されてきたのである。
ベルグソンの次の言葉を思い出した。
 「言語が定着できたのは、愛や憎しみの、さらには心を揺さぶるような
無数の感情の、客観的で非個人的は相だけなのだ」(ベルグソン、中村文
郎訳『時間と自由』、岩波文庫。197p)
近年の考古学の夥しい発見と解析が、歴史の真実に近づくために重要になる。
 技術的先進性を早くに導入し、氏姓の制度を確立し、臣や連、宿祢、國
造、県主、伴部、品部をおいて、加えて勾玉、鏡などの威信財を配り、王
権の権威付けを実施し、古くから伝わった伊弉諾・伊弉冉から天照大神、
天孫降臨、神武東征という神話を拡げるために古事記と日本書紀が編まれた。
 ヤマト王権は中央集権国家の中枢という合法性を得た。
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  ☆⌒☆⌒☆⌒☆ ☆⌒☆⌒☆ ☆⌒☆⌒☆⌒☆      
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)前号に「中国製自動車が中東で販売を伸ばしたという不思
議。「安かろう、悪かろう」など構わない低所得者層が買っている」とあ
ります。
 ベトナムでは125ccバイクのことを「ホンダ」と呼びますが、2000年
代前半にシナ製バイクが非常に安くて売れまくったことがあります。
 しかし、シナ製バイクはすぐに故障するということが知れ渡るとまった
く売れなくなりました。私がみたところ、細かい部品(小さいネジなど)
でケチっているのです。そして、その部品を取り換えようとするとバイク
屋で高くて小さい部品を購入する必要があるうえに、バイク屋での待ち時
間もかかります何度も通えば、安くシナ製を買った意味がなくなってきま
すが、それがレピュテーションとして知れ渡るのに時間はかかりませんで
した。
自動車ですが、日本の自動車業界の売り上げはトヨタがダントツで、その
三分の一がホンダと日産。その三分の一がマツダ、スズキ、スバル。内、
アジアに特化しているのはスズキでしょう。スズキは販売台数ではトヨタ
に次ぐ2位です。「先進国はトヨタなど3社に任せた、自分らは新興国・途
上国で販売する」という戦略です。
スズキはアジアを中心に各地(インド・パキスタン・シナ・ミャンマー・
タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピン)に製造工場を保有し、世界
各地へ輸出しています。海外売上比率は65%位。そのうえで各地域に一個
ずつ工場を保有しています。欧州(ハンガリー)、中南米(コロンビ
ア)、北米(アメリカ)、アフリカ(エジプト)などに一カ所ずつ。「小
さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、コスパの高い日本車とし
て、原材料高を円安効果で跳ね返しています。日本仕様の「軽」ではあり
ません。
鈴木修相談役はかつて、「貧乏人のための車」と云ったようですが、原油
高でサウジやUAE・カタールの富裕層以外の方々もシナ車よりも、スズキ
車が良いということが数年でわかるはずです。
ということは、スズキのマーケットがそこにあるということですね。な
お、トヨタと提携してインド市場用EV車製造のために投資中です。(Z
生、逗子)
  ♪

(読者の声2)9月は911テロの起きた月です。また最近はアフガンやウク
ライナの問題など外務省の邦人保護活動に関する関心の高まる出来事も多
いかと思われます。
そこで今回は外務省の邦人保護活動担当者の方を講師にお招きし、テロや
戦争、大規模災害等の場合における外務省の邦人保護活動に関して御講演
いただくことと致しました。貴重な機会ですので多くの方々の御参加を待
ち申し上げております。
       記
日時 2022年9月16日(金)午後6時〜8時(受付:5時30分〜)
会場 憲政記念館(代替施設)1階 第2会議室 (永田町1−8−1)
講師:三角崇人(みすみたかひと)外務省領事局海外邦人安全課長
2010年外務省入省。アフリカ部、経済局、国際協力局、在オーストラリア
大使館、在エジプト大使館、内閣官房国家安全保障局にて勤務後、本年7
月から現職。
演題 「テロや戦争、大規模災害等の場合における外務省の邦人保護活動」
参加費2000円/40名(定員に達しお断りする場合があります。マスク着
用をお願いします)
《お申込み・お問い合わせについて》全て下記メールアドレスのみ。緊急連
絡先(09086785518)。参加ご希望の方は、お名前、メールアドレス、お
電話(携帯番号)を、尾崎財団アドレス info@ozakiyukio.jpまで9月14
日(水)までにお送りください。
なお、※建替工事のため一時的に移転している「憲政記念館・代替施設」
で行います。これまでの場所のほぼ向かい側(徒歩0分)「国会参観バ
ス駐車場横(北)」に建てられています。会場へは1階正門からお入りく
ださい。


━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎「ファインプレー」と「身体能力ショー」とを混同しないように:前田正晶

今回の要点は「本物を見抜く目を養って頂きたい。無闇やらにファイン
プレーなどと感心して貰いたくない」ということなのだ。先ほどもテレ朝
で、甲子園の野球での高校生の素晴らしいプレー「ファインプレー」の特
集のようなものを流して、本日の準々決勝が素晴らしい試合になるだろう
との予告をしていた。「また、あんな浅はかなことを言っているな」と
思って聞いていた。

私は以前からアナウンサーが何かと言えば「ファインプレー」と叫ぶこ
とを批判してきた。また、アメリカのメイジャーリーグの野球が近年「身
体能力ショーのようになってきたこと」も批判してきた。また、MLBが流
している今週だったかの素晴らしいプレー50例の大半は、私に言わせて貰
えば「身体能力ショー的」なのである。

これだけでは何を言いたいのか解り難いだろうから、他の競技の例を挙
げておこう。それは、サッカーでゴールキーパー(GK)が素早く宙に飛ん
でセービングをすると「ファインプレー」と褒め称えるのを指摘したいの
だ。多くの場合、ファインでも何でもなく、ただ単にGKが守っていた位置
が悪かったので、最終的手段で飛び付いた身体能力に過ぎないのと同じな
のだ。

これでも未だ解りにくいと思うので言えば、本当に上手いGKは予め何処
にシュートが来るかを的確に読んでいるので、どんなに凄いか難しい
シュートでも、何でもなかったようにストライクで捕ってしまうのだ。こ
れを「本当に上手いGKとは」を知らぬ人が見れば、何処が上手いのかは解
らないと思う。

これでも未だ説明不足だと思うので、卑近な例を挙げてみよう。それ
は、ジャイアンツが今シーズンから使っている2人のアフリカ系の外野手
の何れかの目に見えない「ファインプレー」だ。彼は左翼を守っていた。
何処の誰が打ったかなどはどうでも良いが、凄い大飛球が左中間に飛んで
いき、私は「最悪でも2塁打にはなるか」と感じたところが、あに図らん
や彼は最初から左中間に寄っていたので、何ということなく2〜3歩走って
捕ってしまった。

これこそがファインプレーなのである。彼がそこまで読んでいたかどう
かは知らないが、その打者の打球の傾向のデータを承知していて左中間に
寄っていたと解釈すれば、その上手さが分かってくると思う。往年の広岡
達朗氏は捕手が出すサイン(正しくは「シグナル」だが)を見て、打席に
立っているものの打球の方向を予測して、他の内野手に立つべき位置の指
示を出していたと聞いた。この指示が当たれば「ファインプレー」はなく
なるということだ。

もっと「ファインプレー否定論」の根拠を挙げておこう。故野村克也氏
がその著書で指摘していたことは「往年の南海ホークスの監督だったド
ン・ブラッシングゲーム氏は我が国独得の千本ノックという一見厳しいか
のような練習を否定していた」のだそうだ。その根拠は「ノックの際に野
手の横を抜けていくようなゴロを、宙を飛んで捕れるのは身体能力の問題
であり、捕球を上手くする練習とは別問題」と教えられたと言うのだ。

野村氏は「本当の訓練は、如何にして真正面に飛んでくるゴロを、腰を
落として正確に捕球できるように訓練することであり、真正面に来ないゴ
ロに対しては素早くそのゴロ(球)の線に入って、体の真正面で捕れるよ
うな練習を積み重ねるべきである」と教えられたと指摘していた。

野球でもサッカーでも、余程観戦に馴れているか、本当の事は何かが
解っている方でない限り、野手が何時の間にか守備位置を変えて(「シフ
トして」とでも言うか)いることまでは見ていないものなのだ。外野手が
難しい飛球を「スライディング・キャッチ」などをした場合には、スター
トが遅れていたか、あるいは守っていた場所が良くなかったので、窮余の
策で飛び込んだことがあると思って頂きたいのだ。

それこそが「身体能力発揮」の瞬間なのだ。言いたかった事は「本物を
見抜く目」を持って頂きたいのである。



◎ 国際派日本人の情報ファイル=伊勢雅臣


戦国時代の軍事大国・日本が鉄砲を捨ててから、火薬技術は花火に向かった

日本人が火薬の製造法を知ったのは天文12(1543)年、種子島に漂
着したポルトガル人が火縄銃を携えていたことに始まる。大金を投じて2
丁の銃を買い取った島の領主が刀匠に銃の複製を命じて以後、日本は瞬く
うちに鉄砲の一大生産国になっていく。しかも西洋の銃より品質が良い。
現代にまで継承されてきた日本人の優秀なモノづくり精神のたまものとい
えようか。

「アラビア人、インド人、中国人いずれも鉄砲の使用では日本人よりずっ
と先んじたのであるが、ひとり日本人だけが鉄砲の大量生産に成功した。
そればかりか、みごと自家薬籠中(じかやくろうちゅう)の武器とした」
「鉄砲の絶対数では、十六世紀末の日本は、まちがいなく世界のどの国よ
りも大量にもっていた」(いずれもノエル・ペリン著『鉄砲を捨てた日本
人』/中公文庫)

鉄砲の大量生産によって戦国時代の合戦スタイルは大きく変化し、織田信
長から秀吉、家康へと続く天下統一の動きが加速した。鉄砲の数だけでな
く国家的に統率された多数の職業軍人(武士)の存在もあって当時の日本
は世界一の軍事大国だったとの指摘もある。

時まさに欧州各国が世界征服を目指して海外進出を競った大航海時代で、
アジア諸国を次々と植民地化したスペインやポルトガルは、キリスト教へ
の改宗を足がかりに日本も支配せんと企てていたといわれる。が、そんな
両国に対しても秀吉や家康が禁教など強気の外交を展開できたのは、背景
に強大な軍事力があったからに違いない。

やがて徳川の長期政権下で政情が安定してくると、国内における鉄砲の需
要が激減し、火薬を扱う技術の開発は鉄砲から花火へと移っていった。大
和国から江戸へ出た初代鍵屋弥兵衛が創設した鍵屋は仕掛け花火の草分け
的存在となり、後に鍵屋から分家した玉屋と「両国の川開き」(現在の隅
田川花火大会)で技を競い合うようになる。

ブログ「国際派日本人のためのお勧め記事切り抜き帳」は、伊勢雅臣のお
勧めする新聞・雑誌記事の要約をほぼ1日1回、掲載しています。そちらも
ご覧下さい。
https://ameblo.jp/jog-info


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身 辺 雑 記
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19日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--
渡部 亮次郎

2022年08月18日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6233号
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   2022(令和4年)年 8月18日(木)



          抑止力高め平和を次世代へ:榊原智

      暴走プーチンが握る世界の命運:島田久仁彦
          
      経済統計を公表しなくなった理由:北野幸伯

     古森義久氏に学ぶ人生哲学:“シーチン”修一

      

 :宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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抑止力高め平和を次世代へ
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【主張】終戦の日に 抑止力高め平和を次世代へ、首相と閣僚は靖国参拝
を 論説委員長 榊原智 


77回目の終戦の日を迎えた。先の大戦で軍人、民間人合わせて310万人の
同胞が亡くなった。全ての御(み)霊(たま)安かれと、心から祈りたい。

その上で、問いたい。この方たちを、気の毒な犠牲者だと捉えるだけでい
いのだろうか―と。

「17/8/05」
この数字をご存じだろうか。本紙で紹介したことがあるが、改めて取り上
げたい。

これは、ジャカルタの独立記念塔に収められたインドネシア独立宣言書の
日付で、「05年8月17日」を意味する。05年とは日本紀元(皇紀)2605年
のことだ。昭和20年、西暦1945年に当たる。

独立運動の指導者で、後にインドネシアの初代大統領と副大統領に就くス
カルノとハッタの2人がこの独立宣言書に署名した。スカルノはテレビ番
組で活躍するデヴィ夫人と結婚した人だ。そう知れば、歴史が身近に感じ
られるかもしれない。[独立宣言の意外な表記]

スカルノらはインドネシア人だけで宣言書を起草した。強制されていない
のに、先の大戦に敗れた直後の日本の紀年法を独立宣言書に用いた意味は
重い。日本を侵略国と断罪する自虐史観では説明できまい。

日本は先の大戦で、植民地支配していたオランダをインドネシアから追い
出し軍政を敷いた。愚民化政策のオランダと違って、日本は官吏育成学校
や師範学校などを設け、国づくりに必要な教育を始めた。

祖国(郷土)防衛義勇軍(略称PETA)をつくり、3万8千人のインド
ネシア青年を訓練した。彼らは大戦後、再び支配しようと乗り込んできた
オランダ軍を相手に独立戦争を戦う中心となった。日本へ引き揚げずにイ
ンドネシア独立の戦いに身を投じた日本軍将兵は1千人から2千人いたと
される。

平成27(2015)年のことだ。安倍晋三首相(当時)はインドネシアで開か
れた「アジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念首脳会議」出席
の際、国立英雄墓地を詣(もう)で、残留日本兵の墓前に献花した。その
静かな意味をきちんと報じたメディアは見当たらなかった。

昭和30(1955)年に同国で開かれた第1回アジア・アフリカ会議に日本代
表団が招かれ、「よく来たね」「日本のおかげだよ」と引っ張りだこと
なって歓迎された史実もほとんど知られていない。

これは、代表団の加瀬俊一代表代理(初代国連大使)が後に講演で次のよ
うに明らかにしている。

「『日本が大きな犠牲を払ってアジア民族のために勇戦してくれたから、
今日のアジアがある』ということだった」(楊素秋著『日本人はとても素
敵(すてき)だった』桜の花出版)

アジア・アフリカの新興国の多くの代表が、わずか10年前の日本の戦い
を、独立に貢献したという文脈で語っていた場面があったわけだ。

日本では自国の歩みをあまりにも否定的に捉える言説が今も多く、それと
食い違う史実は顧みられない。公平さを欠いていないか。戦争はできる限
り避けるべきもので、先の大戦にさまざまな評価があるのは当然だが、人
種平等や欧米植民地支配打破をめぐって、日本を評価する見方があること
も知っておきたい。[分水嶺に立つ自覚持て]

戦争で亡くなった人々を悼むなら彼らが営んだ当時の日本を侵略国と決め
つけ、断罪していいものか。岸田文雄首相と閣僚には、全国戦没者追悼式
出席に加え、靖国神社に参拝してほしい。それは、現代日本の防衛意志を
内外に示すことにもなる。何より、最も大切な天皇陛下のご親拝再開につ
ながる。

靖国神社で永くお祀(まつ)りするのは、英霊との国の約束だ。英霊を気
の毒な犠牲者としか見ないようでは話にならない。追悼とともに、日本の
ために尊い命を捧(ささ)げたことを顕彰し、日本が侵略されれば、今の
世代も子孫のために日本の国と国民を守り抜くことを誓うべきである

日露戦争の英霊も靖国神社に祀られている。負ければ日本という国が消
え、アジア・アフリカの植民地支配はもっと続いたかもしれない。それな
のに日本は、日露戦争終結100年の平成17年に国として記念行事をしな
かった。ウクライナ国民が侵略者ロシアと戦う姿を見た今なら明治の人々
が必死に戦ったから現在の日本があると分かるだろう

特に幕末維新後、どの世代も子孫に立派な日本を引き継ごうと努めてくれ
た。今はわれわれの番だ。中国や北朝鮮など専制主義の差し迫った脅威か
ら目をそらしてはご先祖さまに申し訳ない。戦う前に抑止力で侵略を防ぐ
時代になった。防衛力の抜本強化と同盟国との協力で平和を守りたい。そ
れができるかどうかの分水嶺(れい)にわれわれは立っている。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

産経新聞採録

            
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暴走プーチンが握る世界の命運
━━━━━━━━━━━━━━
          島田久仁彦


核による“人類の自殺”まで秒読み段階。

2021年に核兵器の法的禁止を謳う「核兵器禁止条約」が発効するも、プー
チン大統領の核使用をちらつかせる威嚇等もあって、核軍縮の流れが大き
く停滞しています。このまま世界は核軍拡の方向に傾いてしまうのでしょ
うか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コ
ミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、現在国際社
会が直面しているさまざまな危機を詳説。さらにロシアの核兵器が今後の
核軍縮・核廃絶の動きを大きく左右するとしてその根拠を解説するととも
に、ウクライナ戦争の即時停戦の重要性を説いています。

核兵器は過去の遺産か?それとも現在進行形の未来に向けた脅威か?
8月1日には国連本部(ニューヨーク)でNPT再検討会議が開幕し、8月6日
には広島で、8月9日には長崎で原爆投下から77年目の式典が開催された
「核兵器ウィーク」となりました。

それらすべての会議や式典で岸田総理は演説を行いましたが、その中で
【77年前の原爆投下の悲劇と記憶を忘れてはならない】という過去から現
在、そして未来に向けてのメッセージと【核なき世界の実現に向けた決
意】が述べられました。

同時に【現在進行形で継続しているロシアによるウクライナ侵攻(ウクラ
イナでの戦争)において、常にロシアによる核兵器使用の脅威が存在して
いることへの“懸念”と“非難”】が強調されました。

今年の2月24日以降、ロシアのプーチン大統領が再三、核兵器の使用を厭
わないといった趣旨の発言を行い、世界は核軍縮から核軍拡へと進むので
はないかという脅威が、再度、私たちの意識に上ってきました。

グティエレス国連事務総長は広島の式典で「第2次世界大戦後、20世紀の
間、国際社会は核軍縮、そして究極的に核廃絶に向けた機運を高めてきた
が、ロシアによる核兵器使用の可能性の強調は、21世紀に入って再度、核
軍拡が進みかねない禁断の扉を開けてしまう可能性がある」と強い懸念を
表明しました。

私も昨年4月以降、へいわ創造機構ひろしま(HOPe)のプリンシパル・
ディレクターとして「核なき世界の実現」に尽力し、「核兵器が存在する
未来は決して持続可能な社会ではない」と訴えかけ、ユースを含む様々な
ステークホルダーと共に未来に向けたトレンドづくりに携わっています
が、【どのようにして核なき世界を実現するか】という具体的な道程につ
いては、まだ明確に描けずにいます。

その中でも【核保有国を核なき世界の実現に向けて巻き込むにはどうすれ
ばいいか?】【新たに核保有国となったインド、イスラエル、北朝鮮、パ
キスタンなどを同じく巻き込むためにはどのような要素が必要か】【核廃
絶の問題を、持続可能な未来づくりという観点とどう結びつけ、橋渡しを
すべきか】といった問いにまだ答えを見つけられずにいます。

そのような時に、現状の国際社会では【核なき世界の実現】に向けた機運
に冷や水を浴びせかけそうな状態が起きています。

1つ目は【ウクライナでの戦争を機に鮮明になった国連安全保障理事会常
任理国(間での不可逆的な分断】です。

現在、ニューヨークの国連本部で開催中のNPT再検討会議でも、米英仏陣
営の論調は、自らが保有する核兵器の削減や軍縮に言及しないにもかかわ
らず、核兵器使用をちらつかせるロシアと核軍拡を進める中国への非難一
色ですが、中国とロシアは【自国の国家安全保障上の権利と義務という観
点から、米英仏などからの脅威に対するために核兵器は“まだ”必要】との
主張を繰り返し、会議そのものの話し合いを妨害しているようにも見えます。

そして今週に入って、ロシアはアメリカと延長で合意した新START(新戦
略兵器削減条約)で定められた“相互査察”を一方的に停止する旨、アメリ
カに通告し、今後、ロシアの真の核戦力の姿がベールに包まれて把握しづ
らくなるという不穏な事態を招いています。


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経済統計を公表しなくなった理由
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          北野幸伯

★ロシア政府が経済統計を公表しなくなった理由

ウクライナでは、相変わらず戦争がつづいています。

約6か月経って、ロシア軍は、東部ルガンスク州、ドネツ
ク州、南部ザポリージャ州、ヘルソン州を支配しています。しかし、ドネ
ツク州、ザポリージャ州は、全部支配できているわけではありません。

ヘルソン州に関しては、ウクライナ軍が奪還作戦を行って
います。ロシア軍、ウクライナ軍とも、まだ「自分たちは勝てる!」と考
えているため、なかなか停戦交渉は進展しません。ところで、ウクライナ
に侵攻したロシア経済の現状はどうなのでしょうか?

「制裁は、あまり効いてない」という報道を、見かけたこ
とがあるでしょう。実際、ロシアの友人、知人に確認すると「目に見える
影響は、インフレだけ」といわれます。
「インフレ」はどの程度なのでしょうか経済発展省によると、7月1日時点
で、前年同期比16.19%だそうです。

日本人には驚きの数字ですが、インフレ慣れしたロシア人
にとって、「致命的打撃」とはいえません。では、本当に「制裁は効いて
いない」のでしょうか?これについて私は、2月から同じことをいいつづ
けてきました。「制裁の影響は、長期で見なければならない」ということ
です。

なぜ?

2014年3月、ロシアがウクライナからクリミアを奪いまし
た。そして、日欧米は制裁に踏み切った。この時もロシア国民は、本気で
「制裁は効かない!」と考えていました。
根拠は、「ロシアは、食糧を自給することができ、エネル
ギー大国であるから」です。つまり、「自給自足できる体制だ」というの
です。ところが、時が経つにつれ、実はめちゃくちゃ制裁が効いていたこ
とが明らかになってきました。もう皆さん忘れていると思いますが、

プーチンの1期目2期目、つまり2000年から2008年まで、
ロシアのGDPは、年平均7%の高成長をつづけていたので
す。ロシア経済は絶好調で、ロシア政府高官は07年ぐらいになると、
「ルーブルを世界通貨にする!」などと豪語するようになっていました。

ところが、2014年3月のクリミア併合以降はどうでしょう
か?2014年から2020年までのGDP成長率は、年平均0.38%です。つまり、
「制裁はバリバリ効いていた」のです。

今回の制裁は、クリミア併合後の制裁より、とても厳しい
ものです。私は、「地獄の制裁」と呼んでいます。だから、ロシア経済へ
の長期的影響は避けられないのです。

先日のメルマガで、一つの例を挙げました。ロシアの自動車生産が、ウク
ライナ侵攻前と比べ、【96%減少】したという話です。詳細はこちら
https://www.mag2.com/p/news/544857

これ、どうでしょう?自動車生産が、ウクライナ侵攻後96%減少した。そ
れでも、「経済制裁の影響はない」といえるでしょうか?

▼ロシア政府が経済統計を公表しなくなった!

もう一つ、「ロシア経済は相当ヤバイのだろうな」と感じ
たできごとがあります。それは、ロシア政府が、「経済統計を公表しなく
なったこと」です。4月14日付のLENTA.RUは、ロシアエネルギー省が、原
油生産と輸出量の統計公表を止めたことを報じています。

https://lenta.ru/news/2022/04/14/sekret/?ysclid=l6sxnrfbnu207965133

4月19日付のRBCによると、ロシア中央銀行は、対外債務データの公表をス
トップしました。↓
https://quote.rbc.ru/news/short_article/625ed75c9a79473e58d2de38?ysclid=l6sy1owloa17394997

4月21日のRBCは、ロシア税関が、輸出入統計の公表を止めることを報じて
いました。↓
https://www.rbc.ru/economics/21/04/2022/6261ab2b9a7947b9f8975965?ysclid=l6sx6ntfy951135471

5月12日付RBCによると、ロシア連邦航空輸送局が、航空輸送に関する情報
公開を停止しました。↓
https://www.rbc.ru/business/12/05/2022/627c464c9a7947cd6b10db12?ysclid=l6sy6jx8fm619386567

6月14日のRBCは、ロシア財務省が、支出の詳細を公開しなくなったことを
報じています。↓
https://www.rbc.ru/economics/14/06/2022/62a8921b9a7947d68c240d3e?ysclid=l6swyvwkmc112169087

問題は、「なぜロシア政府は、経済統計の情報を公開しな
くなったのか?」です。もしプーチンがいうように、「制裁の影響はほと
んどない」のであれば、逆にどんどん情報を公開し、そのことを数字で証
明するでしょう。しかし、ロシア政府は逆に、経済情報に関するデータを
公開しなくなっている。

つまり、「公開すると、ロシア経済の苦しい実態が国際社
会にバレてしまうので公開できない」ということなのでしょう。こんなと
ころからも、「制裁は効いていない」というのが、「ただの強がり」であ
ることがわかるのです。
私は、ロシアがウクライナに侵攻する前から、

「侵攻すれば、ロシアの戦略的敗北は不可避だ」と書きつづけてきまし
た。意味は、「ロシアはウクライナとの戦闘に勝つかもしれないし、負け
るかもしれない。たとえ戦闘に勝っても、地獄の制裁はつづいていく。そ
れで、ロシア経済は壊滅的打撃を受ける。それを戦略的敗北とよぶ」とい
うことです。
結局、事態は予想通りの結末にむかっているようです。


━━━━━━━━━━━━
古森義久氏に学ぶ人生哲学
━━━━━━━━━━━━
      “シーチン”修一 2.0


【雀庵の「大戦序章」81/通算513 2022/8/16/火】小生が「古森義久」と
いう特派員の存在を知ったのは「目撃者 近藤紘一全軌跡 1971〜1986よ
り」(遺稿集、1991年初版の文庫本)を読んだときだったと思う。近藤氏
は「産経新聞」(当時はサンケイ)の、古森氏は「毎日新聞」の特派員
だった。「目撃者」の編集にあたったのは沢木耕太郎氏で、沢木、近藤の
両氏は1979/昭和54年の「第10回 大宅壮一ノンフィクション賞」同時受賞
した縁から、家族を交えた付き合いをしていたようだ。

沢木氏は「目撃者」の編者として編集後記にこう書いている。「(近藤
氏の遺した)膨大な原稿の中からどれを選ぶかという作業を進める中で、
近藤紘一氏の友人である古森義久氏には極めて大きな力添えをしていただ
いた、云々」

1991年当時、小生は40歳の働き盛り、子供3人がピーピー言っていた頃
で、カミサンはヒーヒーしながら家事と仕事をこなしていた。小生は毎日
が締め切りで焦りまくっていたが、それでも忙中閑あり、と言うかスケベ
心も盛んで、よくもまあ多動児みたいに動きまくっていたものだと可笑し
くなる。ウサギ歳のせいか、アリスに出てくる「ああ忙しい!」のウサギ
みたいだ・・ウサギは繁殖力旺盛のよう

現役時代は新聞を読んでも政治・外交・経済など自分の仕事(海外旅行
産業)に影響するものしか読まないし、趣味の読書も「売らんかな」の
ハードカバーの新刊本はまず読まないで、何年何十年も読み継がれ、夏彦
翁のような先輩が勧める古典≒ロングセラー本を読むようにしていたか
ら、世事全般には疎かったろうと思う。平日にTVを見る時間はほとんどな
かったが働き盛りはそういうものだろう。

だから「古森義久」という名前を気に掛けるようになったのは、小生が
リタイアして2003年頃から産経新聞を読み始めてからだと思う。2005年の
1年間は月刊誌の「正論」「WiLL」「諸君!」なども購読していた。古森
氏が月刊誌に寄稿するようになったのは2005年頃からのようで、氏は1941
年生まれだから当時は65歳前後、定年退職で、とりあえず締め切りに追わ
れっぱなしで、他社の記者との「抜いた、抜かれた」の競争もある地獄の
記者家業から解放されたことによるのだろう。

WIKIによると古森氏の職歴は――

<1983/昭和58年:「毎日新聞」東京本社政治部編集委員、1987/昭和
62:外信部副部長、同年「産経新聞」に移籍、ロンドン支局長、1989/平
成元年:ワシントン支局長、1990/平成2〜1998年:ウイルソン・センター
フェロー、1993/平成5年:「ロンドン・ワシントンからの6年間にわたる
国際報道」により、日本記者クラブ賞受賞、1994/平成6年:ワシントン駐
在編集特別委員兼論説委員

1995/平成7年:『大学病院で母はなぜ死んだか』(中央公論連載)によ
り第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞受賞、1998/平成10
年:9月より中国総局長(31年ぶりに産経新聞北京支局再開)

2001/平成13年:ワシントン駐在編集特別委員・論説委員、2005/平成17
年:杏林大学客員教授、2011/平成23年: 国際教養大学客員教授(兼任 現
職)、2013/平成25年:産経新聞ワシントン駐在客員特派員>(以上)

英(欧州)米(アメリカ) 中(アジア)という、世界的なホットスポッ
ト、最前線で激動のナマを40年近くも報道しまくったというのは「凄
い!」という他ない。2005年に定年退職しても「できる人材」は引っ張り
だこだし、かつ柔道家でもあるので頭脳明晰+気力体力の文武両道、あと
最低10年は現役でディープな報道を期待できるに違いない。

古森先生の「中国への日米の対応の違い」Japan In-depth 2022/8/10も
大いに勉強になった。以下抜粋する。

<7月末に東京からワシントンに戻った。ワシントンは私の本来の報道
活動の拠点である。このところコロナウイルスの世界的な大感染のために
日本で過ごす時間が増していたから、久しぶりのワシントンだった。

そのワシントン復帰のタイミングはニュースを追う人間にとっては幸運
だった。アメリカ連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問し、
その訪問に反発した中国が大規模な軍事演習という形で抗議を表明し、さ
らにアメリカ政府がその軍事行動を非難して、と、米中関係が一挙に緊迫
を増したからだった。

米中関係のこうした緊迫はもちろん日本にも直接の大波をぶつけること
になる。日本も中国の乱暴な軍事行動にはアメリカとともに批判の姿勢を
明確にするわけだ。日本はアメリカの同盟国なのだからその立ち位置はそ
う変わるはずはない。

しかしそれでもなお日本とアメリカとでは中国に対する姿勢や態度が異
なる。その相違は今のような危機の状態でこそ、より明白となる。いや、
そもそも中国に対する日本とアメリカとの基本的な姿勢の違いだともいえ
よう。

今回、東京からワシントンに戻って感じたのはとくに日米両国間での中
国論議の重点の違いだった。いま日米両国とも中国の威迫的な言動に反発
を高めてはいるが、対中関係の核心の議論では、日本では「軍事」という
要素の追及があまりに薄い。つまり中国との関係における軍事という特殊
な局面に対するアメリカと日本のアプローチは大きく異なる、ということ
なのだ。

日本では中国との関係を考え、中国の言動を論じる際に軍事という要素
が大きな課題にはならない、のである。大きな課題にはしない課題にする
ことを避ける、ともいえよう

一方、アメリカでは中国への対処の究極の重点を軍事という局面におく
よう。中国が軍事力をどう使うか、そして米中両国の戦争となればどうな
るか、という具体論にまですぐ発展していくのだ。

この点を私自身のワシントンでの8月冒頭前後のほんの数日間の体験か
ら報告しよう。

「習近平氏が中央軍事委員会の主席としてその委員会の副主席の人民解
放軍代表に『明日から台湾攻略作戦を始めれば、目的を達成できるか』と
もし問えば、『達成できるが、その結果、わが海軍力の半分を失うかも知
れない』と答えるだろう」

アメリカの歴代政権で対中政策に関与してきたボニー・グレイザー氏が
8月3日の米中経済安保調査委員会の議会公聴会でずばりと軍事を衝くこん
な言葉をさらりと述べた。グレイザー氏は中国の軍事や戦略を長年、研究
してきた著名な女性学者である。

グレイザー氏は「中国の政策の挑戦」と題する公聴会で証人として発言
したのだった。この公聴会ではペロシ下院議長の台湾訪問を踏まえての議
論が熱を高めた。私も朝から夕方まで傍聴したが主題はやはり軍事となっ
たのである。

同委員会のランディ・シュライバー議長(元国防次官補)の「台湾問題
は中国が加工した『激怒』の背後でどんな軍事戦略を立てているかが最大
焦点だ」という総括がその集大成だった。

日本では中国について官でも民でも、軍事の動向について、ここまで直
接的に議論することは絶対といってほどない。

翌8月4日に民間のヘリテージ財団が開いた「台湾の将来」と題する討論
会もまず軍事だった。私もこの討論会に出かけて、じっくりとその展開を
追った。

基調報告者のジャック・キーン陸軍大将が「今回の中国の台湾包囲の大
軍事演習は中国が年来の台湾上陸作戦から海空での台湾封鎖へと基本戦略
を変え始めた兆候だ」と指摘した。

歴代大統領の軍事顧問をも務めたキーン大将は「アメリカ軍部は一貫し
て中国が台湾を攻撃した場合の対中国戦争計画を保持してきた」と明言し
た。彼自身がその米中戦争の模擬演習である戦争ゲームに何度も参加して
きた、とも述べた。

実際に私も長いワシントン駐在の間に国防総省や国防大学での米中戦争
のシミュレーション(模擬演習)について頻繁に聞かされてきた。数十人
の専門家に米中双方の軍事関連当事者の役割を与え、数日間をかけ戦争遂
行をさせ、その結果を検証する作業である。

米中関係を考えるうえでの最初の入り口、あるいは最大の要素は軍事で
あることを示す一例なのだ。中国は軍事力を使う意図がどこまであるの
か。その中国の軍事力はアメリカの軍事力と衝突した場合どうなるのかこ
うした領域での思考が米中関係における軍事の要素という意味なのだ

アメリカが最終的に中国との戦争に踏み切るか否かは大統領レベルの政
治決定だとはいえ、アメリカ軍当局は常にその戦争遂行の計画を保持する
という基本姿勢である。日本にとって想像を超える悪夢のような米中戦争
という事態も実際にありうるとする構えだ。

この基盤にはトランプ前政権が2018年の国家防衛戦略で最も直截に表現
したような中国との戦争を防ぐ最善の方法は「想定される戦争への準備を
して、勝利できる能力を保持する」という抑止の原則がある。

この点、日本では中国の軍事力について、そもそも国会でもまずまった
く言及しない。まして中国軍が日本の自衛隊と衝突した場合にどうなる
か、などという議論はタブーのように避けられる。これこそが中国に対し
てのアメリカと日本との姿勢の決定的な違いなのだ。

アメリカ側の民間研究機関でも「米中戦えば」の具体的な研究は多い。
ついこの7月下旬、ワシントンの大手研究所の「AEI(アメリカン・エン
タープライズ・インスティテュート)」も「中国との長期戦争に備える」
という長大な報告書を発表した。2016年にランド研究所が出した「中国と
の戦争」という調査報告も大きな話題を呼んだ。

米中両国の対立にはこうした軍事衝突への危険が現実の可能性としてか
らむのである。この現実はこと中国への対応では、軍事という要素があた
かも存在しないかのごとく、軍事忌避を通してきた日本もついに認識せざ
るをえないだろう。ワシントンではまずそんなことを痛感させられたの
だった>(以上)

「抜粋する」つもりだったが、目からウロコが落ちまくってカットする
ところがない、いやはや、時代の今、世界の現状、日本の課題を実に上手
く伝えている。一流の国際ジャーナリスト・・・小生は少しでもそれに近
づきたいと思うが、勉強していけば“何となくアジテーター”になれるかも
しれない。

歴史を振り返れば、人も国家も文化文明も常に前進、挑戦し続けないと
オシマイになる。安逸に安住して酒池肉林を謳歌した国家は亡びた。西郷
南洲曰く「戦の一字を忘れるな」。独楽(コマ)みたいに止まったら終わ
りだ。中露朝撃ちてし止まん、多動老人でいくべし。


━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎また野球の話題からー「読みが当たるかな」と思って見ていた2試合:前
田正晶

昨16日は結果を読もうとする私にとっては、面白い展開になった野球が昼
間と夜にあった。それは、甲子園の野球の第4試合だった大阪桐蔭と東京
の二松学舎の試合と、夜間のスワローズ対タイガースとベイスターズ対
ジャイアンツの試合だった。

高校野球:
先ずは甲子園の方だが、これは「手に汗握らない」と予想した通りの展開
で、大阪桐蔭の圧勝だった。何故関心があったかと言えば、春と夏の連覇
を狙っているとアナウンサーが騒ぎ立てている大阪桐蔭は前の試合で19対
0と打ちまくって大勝していたので、この試合では調子が落ちるのだろう
が、東京の代表がとこまで抵抗できるのか、何点取られるのかに興味が
あったのだった。

結果的には二松学舎はヒットこそ打てたが、とうとう1点も取れずに順当
に負けたとは言え、その出来る限りのことをやっていた直向きさは褒めて
上げて良いと思った。大阪桐蔭は矢張りジンクスの通りに近い状態で、
ヒットを9本しか打てずに終わった。大阪桐蔭の強さばかりが目立った試
合だった。だが、果たして噂通りに春夏の連覇が出来るのか否かは「下駄
を履くまで解るまい」と思う、何分にもトーナメント方式の大会なのだから。

NPB:
2試合ともBSで、NHKでは宮本慎也の解説でスワローズの方で、TBSは槇原
博巳の解説でベイスターズの方の担当だったこの二つの試合で私の興味を
惹いた点は9回の「果たしてスワローズとベイスターズの逃げ切りがなる
かどうか」という点だった。それに、この試合は両方とも同じ時間帯に
一寸ハラハラさせられる展開になったので早寝を忘れて忙しくチャンネル
を動かして懸命になって見ていた。

と言うのも、スワローズは7連敗の後の2連勝がかかっている、何とか天敵
の青柳を引っ込めさせた安全圏であるかの4点差でも不安が残っていた。
TBSでは2位に上がってきたベイスターズは、5位から3位に上がってきた
ジャイアンツを押し切れるかという僅か2点のリードだったのだ。私はス
ワローズが9回にマクガフではなく田口を出してきたので「大丈夫かな」
と思わせてくれたし、ベイスターズではまた山崎康晃が何時もの危なっか
しい逃げ切り方をするのではないかと心配だったのだ。

どっちもどっちで、田口は必死で追いすがるタイガースに2点も取られて
「あわや逆転?」と思わせる走者を残して、マクガフを使わざるを得ない
ようにしてしまった。ベイスターズはと見れば、ここでも「イヤだな」と
思わせる吉川尚輝の前に四球を与え「もしかして吉川がホームランを打て
ば同点で延長か」と、ジャイアンツ嫌いをハラハラさせてくれていた。

その「ハラハラ」からNHKに切り替えると、マクガフが何とか逃げ切って
いた。山崎も最近原監督が重用し始めた重信を外野フライで食い止めて逃
げ切っていた。この間に何回リモコンを使ってチャンネルを切り替えてい
たか解らないほど面白かったのが、これらの9回の展開だった。気になっ
たことは、スワローズの投手陣が手薄なことと、ジャイアンツでは復帰し
てきた菅野はもはや真っ直ぐは通用しない「外すだけの投法」の投手に
なってしまっていたことだった。

明るい材料はと見れば、タイガースの佐藤輝明がどうやら長いトンネルの
先に灯りが見えてきたようなスゥイングをしていることと、スワローズの
本山や丸山という補欠的な存在が何とか使えるようになってきたこと辺り
かと思う。タイガースは中野、近本、大山を欠けば、流石の青柳でも勝て
ないので大変だと見ている。でも、十分に楽しむことが出来た2試合の9回
の攻防だった。結果としては「勝った方が強いのだ」と思う。



◎公示前の候補者氏名張り出しは選挙違反・駄目なものは駄目!北村維康

テーマ:ブログ

 今日の『沖縄の声』は、なかなか見応へがあった。いままでは行政も、
違反を見て見ぬふりをしてゐるのか、候補者はお構ひなしに突き進んでゐ
るやうに見えたが、そもそも選挙とは「法律上の」土俵で、正々堂々と戦
ふものである。違反者にはビシビシと違反である旨通告して、是正をさせ
ることは選挙の常道である。その意味でも、爽やかな選挙結果に期待した
い。↓

(466) 【沖縄の声】天王山の沖縄県知事選まであと一か月!各候補者の
訴えは?/知事選挙を前にすでに違法行為だらけの沖縄/ブライダル支援事
業に異議あり![桜R4/8/11] - YouTube
URL: https://www.youtube.com/watch?v=r58Qn3Priaw


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身 辺 雑 記
━━━━━━━
18日の東京湾岸は曇りのち雨。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

2022年08月17日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

 わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6232号
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   2022(令和4年)年 8月17日(水)



  ペロシ氏訪台「自制すべきは米国」に違和感:小谷賢

     国際インテリジェンス機密ファイル:北野幸伯

         「日本人の真価」はどこに:馬場伯明

    「自分の国は自分で守る」覚悟と行動:野口健 
    
             中国国有企業五社:宮崎正弘


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ペロシ氏訪台「自制すべきは米国」に違和感  
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         日本大教授・小谷賢

【新聞に喝!】
米国下院議長のナンシー・ペロシ氏が台湾を訪問したことが、米中関係に
一石を投じている。今回の訪問は外交的に練られたものというよりは、氏
の政治的なスタンド・プレーのようだ。中国からすれば、共産党大会を控
えたタイミングの訪問は最悪で、習近平国家主席はバイデン米大統領に強
い口調で警告したとされるが、大統領は三権分立を理由にペロシ氏を制止
しなかった。こうしてメンツを潰された形の中国は、台湾を囲む形での軍
事演習を強行した。今回は初めて中国人民解放軍が中台の中間線を越え、
かつ日本の排他的経済水域(EEZ)にもミサイルを落下させるというか
なり挑発的なものとなった。

今回のペロシ氏の台湾訪問に対して、中国は軍事力で応えた形となる。
さらに言えば今後、中国は台湾周辺での軍事演習や、台湾対岸での部隊展
開を常態化させる可能性もあり、訪問はその口実を中国側に与えたことに
なる。ただ今回の件がなくとも中国は台湾侵攻に向けた布石を着実に打ち
続けており、焦点は米国やその同盟国が中国を抑止できるかにある。これ
に対して朝日新聞は「いたずらに緊張を高め、地域を不安定化させる行動
は慎むよう日本は米国にも強く働きかけていく必要がある」とするが、緊
張を高めているのは中国側であるため、米国に自制を求めるのは違和感を
覚える。産経新聞や日経新聞が論じているように、日本としては米国と連
携して中国を抑止する方向に進むべきだろう。

米軍は世界最強の軍隊であるが、東アジアに限定すれば、中国優位の状
況になりつつある。今、中国が台湾に侵攻すれば、米軍がそれを押しとど
められるかは微妙だ。そこで米国は東アジア地域での軍事力の増強や同盟
再編によって、対中軍事バランスを均衡させようとしている。6月には米
上院議員2人が台湾支援強化法案を提出、台湾の防衛力強化を促した。ま
た昨年9月には米英豪で軍事同盟となるAUKUS(オーカス)を結成
し、豪州へ原子力潜水艦を供給することで、中国の海洋進出にも備えてい
る。今後は、日本にもそれなりの軍事的貢献が求められることになるだろう。

今回、岸田文雄首相は訪日したペロシ氏と直接会談を行うことで、日本
の旗幟(きし)を鮮明にした。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領
が直接会談を避けたのとは対照的だ。昨年、故安倍晋三元首相が「台湾有
事は日本有事」と発言し、中国側の怒りを買ったとされるが、われわれも
台湾問題に対して真剣に向き合う時が来ている。

【プロフィル】小谷賢(こたに・けん)

昭和48年、京都市生まれ。京都大大学院博士課程修了(学術博士)。専
門は英国政治外交史、インテリジェンス研究。著書に『日本軍のインテリ
ジェンス』など。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

産経新聞採録

            
━━━━━━━━━━━━━━━━━
国際インテリジェンス機密ファイル
━━━━━━━━━━━━━━━━━
        北野幸伯

★要旨

・令和・日本の国際戦略環境は厳しい。
原因は、天翔ける龍となった中国の台頭にある。

・今の中国には、工業化初期の国が陥りがちな過ち、すなわち過剰なナ
ショナリズム、力への過信、領土と勢力圏の拡張への野心といった症状が
見て取れる。

・中国は、私たちと同じ自由主義的な価値観を共有しない

・既に中国の経済規模は日本の3倍、米国の7割を超えた。

・最早、米国の周りに団結する以外、日本をはじめとする西側諸国が中国
と対峙するすべはない。中国が政治的に成熟し、責任ある国家となるのは
当分先のことだろう。

・この圧倒的な圧迫感は、日本が明治時代に帝政ロシアに怯えたり、三国
干渉時に独仏露の欧州列強から感じたりしたものと同じである。日本の安
全保障環境は、100年ぶりに切迫してきている。

・明治の日本は、日英同盟を支えにして帝政ロシアとの関係をのりきり、
戦後は日米同盟を支えにしてソ連邦との関係をのりきった。

・日本は、同盟国である米国とともに地域の戦略的安定を確保し、自衛隊
を祖国防衛と国際平和のために戦える軍隊に鍛え上げ、自由貿易の旗を高
く掲げ、地域の経済統合を進め、個人の尊厳の絶対的平等に立脚した自由
主義的な価値観を守り、世界史を導くことのできる戦略を提示せねばなら
ない。

・そうして初めて、超大国化しつつある中国との関係を安定させ、中国と
諸々の利益調整が可能となる。それが21世紀の大戦略である。

・安全保障、危機管理は、日ごろの備えがすべてである孟子が言うように
国は憂患に生き、安楽に死するのである

・今日の若い政治家に、あるいは若い日本人に、世界最高水準にあるわが
自衛隊最高幹部の考えを聞いてほしい。

・また、日本を代表する一流の軍人の意見が、外交、政治、経済を担う第
一線の人々の意見と常日頃から混ざり合って、日本政治の「一般常識」に
なって欲しい。



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「日本人の真価」はどこに
━━━━━━━━━━━━━━
       馬場伯明

好きな人が書いた新刊本が店頭に並んだらすぐ買うことが多い。「図書館
で借りて読んだらいいのに・・・」と妻に言われるが、図書館に入荷して
も、予約する人が多いので、順番を待てず買ってしまう。だから、本棚・
本箱から溢れ家が本だらけになってしまう(笑)。

「文藝春秋」は毎月講読している。毎月10日、いつも、(以下、藤原さん
という)の冒頭の「古風堂々」から一気に読む。先日新聞広告に藤原さん
の「日本人の真価」(文春文庫・850円2022/7/20)があった。

17年前に「国家の品格(新潮新書・2005)」を書き、日本国民に衝撃を与
えた藤原さんの新刊本である。帯の表には「この国は再生できる」「美意
識と武士道精神で危機の時代を生き抜く」とある。さらに、裏には「ウク
ライナ戦争、コロナ禍、中国の覇権主義など、現代の難問を一挙に解決す
る!」とある。「おお、そうか、どれどれ」と購入し、読書開始だ。

ところが・・・である。ページを捲れば、「あれ、れれれ〜〜、こりゃ、
なんだ」。既視感(!)でで、じゃぶじゃぶ・・。文藝春秋に載った巻頭
エッセイ「古風堂々」の1(2019/6)〜36(2022/5)やその他の掲載物の
再録である。2022/8/10 に買った文藝春秋2022/9特別号の「古風堂々」が
40(!)なのに・・・。ちと、早まったか。

でも、買ってしまったものはしょうがない。もう1回読もうと本を開く。
「古風堂々」もまとめたものをまとめて読めば、牛の胃袋の反芻にも似た
二度喰いの新鮮さがあり、文章や論旨への共感もある。気になった箇所を
引用・抜粋し、感想等を記す。

まず、何と言っても、最後の「第9章父・新田次郎と母・藤原てい」が圧
巻である。「2016/11/15、母が亡くなりました。98歳の誕生日を迎えたと
ころでした」で始まる。藤原さんは母上には絶対に頭が上がらない。敗戦
後、夫(藤原寛人・作家:新田次郎・父)が満州に残りシベリア抑留とな
る中で、26歳の藤原ていさん(母)は兄(5歳)・自分(2歳)・妹(生後
1か月)の3人の子供を満州から一人で日本へ連れ帰った。

「流れる星は生きている(藤原てい・1949)」はその苦難の1年1ヶ月にわ
たる逃避行と日本への帰還の歴史に残る実録である。この母がいなかった
ら子供3人のその後の人生はなかった「38度線を越えた1946/8/11」頁は
何回読んでも感動的であり自分の家族のことのように嬉しくなる。

両親は夫婦喧嘩が多かったとある。読めば「なるほど」とそのわけを納得
できる。ていさん(妻)が怒って箸や木のお椀を藤原さん(夫)へ向かっ
て投げつける。猛女である。「喧嘩の終盤、母の決め台詞は、『誰が38度
線を越えて子供たちを連れて帰ったか!』『お父さんは新京の駅で、なん
だかんだきれいごとをいって、一緒に来なかったじゃないか。家族を見捨
てたじゃないか!』。この言葉がでると、父は何も言わず押し黙り、二階
の書斎にこもってしまう。反論できなかったのです(269p)」と。う〜〜
ん、母は強く、女性はしぶとい。

次は音楽の話。《小学校の合唱団に選ばれ、課題曲『かっこうワルツ』を
猛特訓中、武蔵野音大声楽科出身の女性教師が・・・私のそばでふと足を
止め・・・耳元で「あなたは口真似していればいいわよ」と囁いた
(229p)》。藤原さんは音痴だったのだ。《父は・・ひどく調子っぱずれで
もあった。母はめったに歌わなかった(228p)》。しかし、その後いろい
ろな努力により、多様な分野で相当上達されたようだ(103p〜104p・
231p・232p)。

じつは私にも屈辱の経験がある。大学教養部のとき大学祭の合唱コンクー
ルに参加した。女子大との混声合唱で指揮者の級友M君に「馬場は口パク
で!」と指示された。リズム音痴の私の出だしのフライングを阻止したの
だ。クラスは優勝。M君は京都市交響楽団のコンサートマスターで、その
後本業(法学部)の司法試験も在学中に合格し有能な弁護士となったが、
海難事故で妻子3人を残し早世した。残念至極!天才は早死にする。合掌。

《二十代末に渡米。孤独と激しい郷愁に襲われた後、小学校の校庭のブラ
ンコに一人揺られながら、ビリーバンバンの「白いブランコ」を歌った
(230p》《先年、ビリー バンバン(菅原孝 進の兄弟デュオ)と食事をし
た時は「さよならをするために」を歌った。初めの八小節だけ。「この歌
は出だしが難しいんですがお上手ですね」とほめられた。「歌手の持ち歌
を当人の前で歌うなんて凄い度胸ね」と女房に呆れられた(232p》。

旧知の菅原孝(兄)さんが2014年脳梗塞で倒れ、その後必死のリハビリの
末復帰した。コロナ禍の終息を期待し11月頃に、昔の仲間たちといっしょ
に彼らを囲んで新宿南口の居酒屋「天狗」に集まる予定だ。「また君に恋
してる」を誰が歌うのか。藤原さんをお誘いするか(笑)。

手許に「茨城のり子詩集(2014岩波文庫)」がある。藤原さんが「もののあ
われ」の例に「さくら」を引用する。《「さくらふぶきの下を ふららと
歩けば一瞬 名僧のごとくにわかるのです 死こそ常態 生は愛しき蜃気
楼と」と(彼女は)詠んだ。現代の我々の胸に響くのは、日本人の胸に深
く「もののあわれ」が埋め込まれているからだ。この高貴な美意識
(103p)》私も深く共感する。

「居酒屋にて(「詩集」159p)」。《へべれけの男は源さんとよばれてい
た だみ声だったが なかみは雅歌のようにもおもわれる 汽車はもうじ
き出るだろう がたぴしの戸をあけて店を出れば 外は霏霏(ひひ)の
雪》。酒好きの私には心地よい霏霏の雪、「もののあわれ」をなつかしむ。

《記憶力だけはよかった。5歳の時には九九を、6歳までには世界各国の首
都から将棋、以後、麻雀まで覚えてしまった(223p)》と。天才藤原少年
だったのだ。私も、5歳のとき一緒に寝ていた祖母が布団の中で掛け算の
九九を99=81まで教え込み、1年生入学直後担任の先生を驚かせたとい
う。しかし、その後数学は苦手科目で大学受験では苦労した。

一方、小中高(長崎県立口加高)の同級生の酒井勝弘君は旺文社全国高校
統一模擬試験の数学で100点を連発。東北大(工学部・院)・大阪大
(Dr)。高速増殖炉「もんじゅ」炉心の設計に携わった。埼玉工大名誉教授。

《大切な仕事は、長編の執筆、講演や・・・華麗な女性関係にともなう隠
密親密濃密な活動、さらには、・・・女房との海外旅行である(4p)》と
ある。日常業務の密閉・密集・密接の「三密」よりも、そんな美女たちと
の「三密(!)」のほうがいいな。私もそこへ加えてほしい。

妻(奥さん)の美子さんをダシにして、落語風の漫才か、漫才風の落語な
のか、オチに使われている。どぎついところもあるが、この随筆のキモと
も言えるかもしれない。つまるところ、真実(!)奥さんを心から愛して
いなければ、奥さんとの微妙で意味深な会話などを著名雑誌の冒頭に公然
と書くことはできない。

《妖艶官能の美女とのディナーをした日には、帰宅したとき、女房に「編
集者との打ち合わせ」と噓を言う。今も私に首ったけの女房を悲しませま
いという、やさしさから・・》(126p)。
《女房に非難されたり問い詰められたりすると、一歩下がって眺めてみ
る。すると諍いを別の視点で捉えられる。女房の言い分がやはり浅慮狭量
頓珍漢であることがよく分かる》(156p)。

《いろいろなこと(悪事)をやった。恥ずべき過去を今後清く正しく生き
れば水に流せると言う(三千院・極楽往生院で)。勇気凛々、帰宅し女房
に伝えたら、ひとしきり後「でも、あなたこれから清く正しくなんてでき
るの」と言った》(183p)。
《アメリカの女友達からの手紙を捨てていたら、女房が口を開いた。「そ
の程度の女性しか貴方なんかに興味を示すはずがないもの。鴎外の舞姫の
ように追ってきてくれる人がいなくて気の毒だったわね」と憐れんだ。忘
れ得ぬ人からの(隠し持つ)手紙には気づいていないようである。いい気
味だ》(247p)。

活動的で魅力的な奥さんである。《数多い友達とのおしゃべり、コンサー
ト、映画、美術展、テニス、ゴルフ、登山などにうつつを抜かしていた女
房(p179)》とある。本書で「ゴルフ」の文字が出てくるのはこの一か所
のみである。藤原さん(夫)は数学の研究に明け暮れていたからゴルフは
しないのだ。ゴルフは数学や物理学の理論が適用される競技と言われるの
に。また、藤原さん好みの女性たちとの親密なお付き合いにゴルフは最適
なのだけどなあ。19番ホールもある。

ここで自慢話。山梨県大月カントリークラブ6番パー5、492ヤードのハン
ディキャップ1番のホール。2022年4月に私(77歳)はグリーンの4mに2オ
ンしイーグル逃しのOKバーディだった。ゴルフをされる奥さんにご報告し
たい。この事実の稀有な価値をわかってくださるはずである。「ごいっ
しょにラウンドを」とお誘いがかかるかもしれない。

文藝春秋を読んでいない人にとり、本書は「古風堂々」を手軽にまとめて
読めるので都合がいい。さて、終わりに嫌味なことも少し述べたい。

(株)文藝春秋は二番煎じ!のこの「まとめ本」の出版により藤原正彦さ
んの高名と人気を利用して「文藝春秋」の拡販を狙っているのか。「そう
は問屋がおろさない」のか、「千載一遇のチャンス」なのか。その推移と
結果が見ものである。

藤原さんは1943年生まれ、私は1944年生まれであり同世代だ。二人とも頭
の毛も少なく結構な老人である。だから、本人が古稀(77歳)を越えてい
るのに、ご両親の昔のことなどをいつまでも書くのはどうかという気もす
る。ご立派なご両親だったからなのであろう。

私の場合、父(94歳没)も母(93歳没)も終生長崎県島原半島の田舎で暮
らし、2男3女を大学へやり(私は長男)、90歳を過ぎてもボケもせず長生
きした普通の人であった。藤原さんのご両親の業績などへの拘りを、「価
値があること」と頭では理解しても「連綿といつまで・・・」という嫉妬
にも似た曖昧な感情を抑えることがなかなかできない。

本書を購入し読んだことは無駄ではなかった。しかし、非常に役に立った
わけでもなかった。藤原さんにぜひお願いしたい。「後世にまで燦然と輝
く長編の執筆(4p)」をすると宣言されたように、名著「国家の品格」に
匹敵する作品を、人生をかけて書き下ろしていただきたい。

「猪突猛進八面六臂頭寒足熱(7p)」で素敵な作品を・・・。全国民がそ
れを待っている。(2022.8.15 千葉市在住)

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「自分の国は自分で守る」覚悟と行動 
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【直球&曲球】野口健 


防衛省オピニオンリーダーを拝命してから駐屯地を視察、先日、防衛省
にて「令和4年版防衛白書」についてレクチャーを受けた。説明を受けて
愕然(がくぜん)とした。中国が公表している国防費の増加スピードはこ
の30年間で約39倍。それに対し、日本の防衛関係費は約20年間で微
増。今年度の日本の防衛関係費が5兆円強に対し、中国政府が公表してい
るだけで国防費は約25兆円。ざっと5倍である。

報告を受けた直後に中国は台湾をグルリと囲むような大規模軍事演習を
展開。ロシアによるウクライナへの侵略戦争が勃発してから中国による台
湾への軍事介入もリアリティーを帯びてきた。台湾有事は日本の安全保障
にも直結している。すぐに陥落すると思われていたウクライナは多大な犠
牲を払いながらも善戦し、必死に持ちこたえている。西側諸国からの武器
提供による戦力強化も関係しているのだろうが、それを可能にしたのはゼ
レンスキー大統領の「1ミリたりとも領土を譲らない」という毅然(きぜ
ん)とした姿勢だろう。

以前、自衛隊関係者から「自衛隊は、弾が不足している。仮に海自と中
国海軍の軍艦が鉢合わせしても海自の船は戦えるほどの弾を積んでいな
い。いざとなったらUターンするしかない」と聞かされ、心底驚いた。防
衛省でレクチャーを受けた際、このエピソードの真相を尋ねたら「手の内
は明かせないが、弾が不足していることは認めざるを得ない」という。

安倍晋三元首相は防衛費の大幅な引き上げを訴えていたが、賛否両論が
飛び交っている。この間、ドイツのアクションは早かった。防衛力強化の
ため、特別基金(約13兆円)を実現させようと、ドイツ基本法を改正す
る法案を3月に議会に提出し、6月に成立。今後の国防費は対GDP比
2%以上を維持していくと表明している。

この手の問題提起をすると「戦争をしたいのか!」との意見が寄せられ
るが、ウクライナが証明しているように「まずは自分の国は自分たちで守
る」という強い覚悟と行動がなければ、いざというときに他国からの助け
も得られにくい、と心得た方がいいだろう。

【プロフィル】野口健

のぐち・けん アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大
卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレ
スト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題など、幅広いジャンルで活躍。
新刊は『父子で考えた「自分の道」の見つけ方』(誠文堂新光社)。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 

産経新聞採録

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中国国有企業五社
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月16日(火曜日)
          通巻第7430号  <前日発行>
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「複合不況」ではなく「破局前夜」の中国
   中国国有企業五社、ウォール街から脱落
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 経済紙は中国経済の現状を「複合不況」と命名したが、そうではない。
「破局前夜」ではないのか。
 8月12日、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)と中国石油化工集団
(シノペック)、中国アルミ、中国人寿(中速最大の生保)など五社は、
米株式市場上場を廃止すると発表した。
そもそも会計検査がいい加減で、上場基準をみたしてなかったのだから、
「監査強化」を口実に逃げ出すのである。

 中国には米国の会計監査法人が進出しているが、不明瞭な会計を公開せ
ず、また不透明な決算報告も、「企業機密を海外に持ち出さない」という
契約上、中国国内で切歯扼腕の業務を続けてきた。
くわえて中国ではインサイダー取引が株式市場の常識だから、ウォール街
が、中国企業の上場を認めたこと自体がおかしいのである。

さて新疆ウイグル自治区で 8 月 9 日から 11 日にかけて、降雨と高温の
融雪の影響を受け、タリム川と支流のイェルキアン川など 21 の河川で洪
水が発生した。
一方で、揚子江流域は干ばつである。中国は広いなぁ。
安徽省、江西省、湖北省、湖南省、重慶、四川省が含む干ばつに見舞わ
れ、およそ百万ムーが被災した。三峡ダムは「下流が乾いているときは水
を貯め、下流が洪水被害となると、放流する」と皮肉られる。

 こういう状況下、バルト三国のなかで、リトアニアに続いて、ラトビア
とエストニアが中国主導の「17+1」(「中国・中東欧諸国協力」)か
ら離脱する発表した。これでバルト3国は全て脱退するから『14+1』
となる。

旧東欧を「一帯一路」に巻き込もうとした中国のもくろみの一角が崩れた。
 ラトビア外務省は「外交・通商政策の優先順位」を考慮し、「ルールに
基づく国際秩序や人権」の尊重を礎とするとし、他方で中国との「建設的
かつ実用的な関係を築く努力は継続したい」とした。
 外交も破局前夜?
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆
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中国製自動車が中東で販売を伸ばしたという不思議
  「安かろう、悪かろう」など構わない低所得者層が買っている
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 中国製自動車がサウジアラビアで2020年に9%増、21年に13%
増加となった。カタールでは10%の販売増となり、UAEに至っては
20%増だ。
 2021年統計で中国製は湾岸諸国全域で20万台の販売となり、22
年上半期には強気で販売増を見込み、すでに15万台を輸入した。

 抵所得や中産階級、出稼ぎ組などは安かろう、悪かろうはかまわない。
ちなみに販売価格は日本車が2・9万ドルから3・4万ドルの価格帯であ
るが、中国製は1・8万ドルから2・1万ドル。

 この趨勢が継続するとは思えない。なぜなら砂漠の状況では砂との闘
い、さらに熱帯との闘いであり、富裕層が中国製に見向きもしないのはた
とえばとトヨタのランドクルーザーが砂漠でも故障知らず耐久性の良さか
らである。
     □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム  
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2407回】          
 ──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習73)
  ▽
 筆者が香港に到着したのは1970年の秋。当時、香港には商務印書館、中
華書局、三聯書店、南方書店などの中国系書店があり、いずれも店頭は大
陸で出版される文革派の「紙の爆弾」で溢れかえっていた。
数多く足を運んだのは三聯書店と南方書店であった。かくして文字通り掛
け値なしに、手当たり次第に買って、買って、買いまくった次第である。

 本題に入る前に先ず押さえておくべきは、70年を境にして文革もさるこ
とながら中国の進むべき方向が大きく切り替わった点だろう。それまで劉
少奇・?小平を頂点とする実権派打倒で団結していた文革派であったが、
劉少奇失脚後、棚上げにされていた国家主席ポスト復活、さらに対ソ問題
とは表裏一体の対米関係の取り扱いについて意見の対立が顕在化してきた。
となると、それでは文革とは何だったのか。厄介なことになったものだ。

 国家主席復活に関して毛沢東は反対で、林彪は積極推進派。対米関係構
築に毛沢東は強い意欲を示すが、林彪はむしろソ連との関係修復・構築に
前向きだったようだ。「ようだ」と曖昧にしておくのは、翌71年9月に発
生したモンゴルでの林彪夫妻墜落死を含む「林彪事件」によって一切の真
相が封印されてしまっているから。つまり「死人に口なし」である以上、
目下のところは共産党の公式見解を記しておくしかなさそうだ。

 それに拠れば、年初から林彪とその周辺は、毛沢東に対し国家主席の復
活と毛沢東の国家主席就任を呼び掛ける。だが3月17日開催の中共中央工
作会議において、毛沢東提案の国家主席不設置が承認されてしまう。これ
以後も林彪陣営からの働きがあったようだが、毛沢東の考えは国家主席不
設置で一貫していた。その裏に毛沢東後継を早期に確実にしたい林彪側の
思惑があり、その一方で党内No.2となり力を蓄えつつあった林彪の影響力
を殺ごうとする毛沢東の狙いがあったことは否定しようがないだろう。

対米関係を見ると接近へのシグナルが双方から示された。
 10月1日の国慶節において、毛沢東は親中派ジャーナリストのエド
ガー・スノー夫妻を伴って天安門楼上から建国祝賀パレードを眺めてい
る。4日後の10月5日、ニクソン大統領は『Time』誌で中国大陸訪問の希望
を明らかにした。12月18日、毛沢東はエドガー・スノーに対し「どのよう
な身分であれ、ニクソンの訪問を歓迎する」ことを語った。

 かくして林彪失脚、ニクソン訪中へとつながっていくわけである。以上
を踏まえた上で、70年に出版されたものを読み進もうと思うが、先ずは子
供向けの絵本を取り上げたい。そこで書名を記しておく。なお*は連環画
である。

『英雄機智的紅小兵』(上海人民出版社) 
『珍宝島英雄賛』(本社美術通訊員編絵 上海人民出版社)*
『夜航石頭沙』(上海港工人業余写作組 上海人民出版社)
『十万個為什麼』(上海人民出版社)
『胸懐朝陽戦冰雹』(上海人民出版社)
『我們是毛主席的紅小兵』(上海人民出版社)
『宋師傅学外語』(上海人民出版社)
『優秀的共産党員 ──陳波』(上海人民出版社)
『為革命読書』(上海人民出版社)
『紅山島』(上海人民出版社)*
『永遠緊握手中槍』(上海人民出版社)*

 香港の中国系書店の店頭に並べられた70年出版の子供向読み物はもっと
多かったはずであり、であればこそ以上の11冊で断定するわけにはいかな
いが、文革派のメディア拠点である上海人民出版社は子供向けにもセッセ
と「紙の爆弾」を製造したと考えられる。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「日本文化チャンネル桜」からのお知らせです。8月16
日のニュース解説番組「フロント JAPAN」は、経済評論家の渡辺哲也さ
んと宮崎正弘さんでお送りします。主要テーマは「ウクライナ戦争のどさ
くさに紛れて」の予定。
 8月16日1100−1200。生番組です! 後刻、ユーチューブでご覧になれ
ます。(「日本文化チャンネル桜」)
  ♪
(読者の声2)聞くところによると、東京では、安倍晉三元首相の国葬に
向けて、蔡英文総統を招請しようという動きがある由。これは頗る拙い事
態になりそうです。次期総統選で、台灣の希望の星である頼清?の當選を
あやうくしますね。
 蔡英文総統が二期目の副總統に自派とは違う「真の台灣派」頼清?を選
んだのは、總統選の前の「九合一」地方選挙で大敗したからです。蔡英文
とは派閥が違う頼清?は、次期総統當選を狙うなら、蔡英文の副總統にな
らぬ方が良かった。それを、「台灣のために」敢えて引き受けたので、蔡
英文は二期目の當選を果たせたのです。
 頼清?副総統が安倍晉三元首相の弔問に來日したのは、獨自に動いたか
らです。そしてその行動により、次期総統選での当選が身近かになりまし
た。蔡英文総統は事後に察知して悔しがった模樣です。蔡英文は第一期の
副總統だつた自派の陳健仁を派遣したかったのではないでしょうか。
 日本側が蔡英文総統に訪日を要請しても、現下の情勢では實現は無理で
しょう。蔡英文は自分が訪日できぬ場合は、頼清?ではなく、自派の陳健
仁を派遣すると思われます。そうすると、次期総統には、頼清?より陳健
仁の方が有利になります。つまり、蔡英文総統への訪日要請は、頼清?の
総統当選を難しくするのです。
 我國では、蔡英文総統を無條件で信頼する人が多いのですが、二期目の
大統領選挙の前の2019年1月3日に、獨立派の四元老(彭明敏、??
培、高俊明、李遠哲)が「自由時報」に二期目出馬辭退と引退を勸告した
ことを知る人は少いようです
議會で國民黨が壓倒的多數であった陳水扁政權と違い、蔡英文政權では民
進党が多數を占めたのに、台灣派らしい政策をしっかり打ち出せていない
ので、四元老の二期目辭退勸告となったのです。
蔡英文には、父が国民党特務と繋がっており、蔡英文は?介石・宋美齢夫
妻に可愛がられたという話もありますし、博士論文を出していないという
話もくすぶっています。
だから次期総統には、蔡英文系統の人より、明確な台湾獨立派である頼
清?になって貰う方が遙かに望ましいのです。くれぐれも蔡英文総統の訪
日要請をせぬようにと望みます。(奈良、伊原吉之助)


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重 要 情 報
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◎私の座右の銘:前田正晶

President誌の22年9月29日号に、故人を含めた有名な財界人の座右の銘が
特集されていた。有名人とは、例えば土光敏夫氏、本田宗一郎氏、盛田昭
夫氏、井深大氏、稲盛和夫氏のようなカリスマ経営者の方々である。実際
に読んでみれば、私には座右の銘というよりも「なるほど」とか「流石に
こういう方々が言われることは、凡人には考えられないほどの優れたとい
うか凄い教えがある」と感じさせられた言行録の感があった。

興味か関心がおありの方は、同誌の46頁をご参照願いたい。齢89歳となっ
てしまった私には「今頃になって読んでも遅いのが残念だ」というところ
だ。だが、この歳になって読んでも大いに勉強になるのだ。

そこで、それでは「この俺にも座右に銘があっただろうか」と考えてみた
が、ついぞ思い当たるものが無かった。と言うよりも、そういう事に思い
を致して外に向かって発表するような余裕がないような過ごし方をせざる
を得なかったという方が正確だろうと思ったほど22年ほどのアメリカの会
社暮らしは「艱難辛苦」の連続の時だったのだ。

「何故そう言うのか」と問われれば「アメリカの我が国から見れば想像も
出来ないような労働力の質の低さが産み出す製品を、さしたる苦情も言わ
ずにその製品としての機能を果たし、ユーザー側の生産効率を高めてさえ
いれば苦情を言わずに受け入れているアメリカの需要家と消費者の寛容さ
があるから」と答える。「それでは何のことか解らない」と言われれば、
「我が国の需要家と消費者の受け入れ基準からすれば、到底通用しない製
品がアメリカ市場に受け入れられていること」と答える。

もっと解りやすく言えば「アメリカの市場で通用している品質では、我が
国の高水準の技術力を誇る製造業や加工業者には通用しないので、四六時
中クレームに対応して、処理していなければならなかった」ということに
なる。「それは御社だけの問題ではないのか」と言われるだろうが、その
辺りも敢えて説明しておこう。

それは、我が方よりも優れた品質を維持していて「御社もあの会社並みの
物を作りなさい。そうできれば黙って受け入れるよ」と、需要者側が高く
評価していた厳しいというよりも細かい点まで等閑にしない日本の需要家
が受け入れていた製品を輸出していた最大のcompetitorの日本代表者です
ら「何故、アメリカ市場では絶対に認めることがないようなクレームを受
け入れてまで、日本に売る必要があるのか」と本社で嘆いていると語って
いたと聞こえてきていたのだ。

その世界で最も品質と生産効率に厳格な基準を設けている高い技術水準に
ある日本市場から突きつけられる高い品質の基準と、そこに発生する「品
質不良に対する細かいクレームの話し合いと補償」の、尋常ではない精神
的な負担を如何にして乗り切るかが、常に最大の重要課題の中で最も優先
順位が高かったのだった。その負担には動もすると負けそうになってしま
うのだった。だが、負担に負けて諦めて、唯々諾々と補償要求に応じてい
て改善の努力をしなければ進歩はないし、事業部の存続もかかってくるのだ。

特に、1985年10月に発生した事業部どころか会社全体でも前例がなかった
ほどの最大の品質と労働力の質のクレームは、私がシアトルの郊外で自動
車の貰い事故で重症を負ったときに起こっていたのだった。その大変な事
故の補償交渉と工場の労働力の改善の二つの未だ嘗て無い重大な問題を解
決できたのは、1986年の4月だった。頸椎損傷と肋骨2本骨折というかなり
の重傷だった私は、今で言う「ワンオペ」の担当者だったので、苦しさに
堪えてでも出勤して折衝を続けなければならなかったが、その間には2度
も入院して治療していた。

その時に私が考えていた対処の姿勢とは「止まない雨もないし、明けない
夜もない。問題の大きさに負けていても仕方がない。自分か置かれた立場
は『俺以外に事に当たる者がいないのだから、頭から突っ込んでいくしか
ない』と自覚していたので、後先考えないで突っ込んでいけば必ずトンネ
ルの先に灯りは見えてくるはずだ」だった。だが、おかしな事に「解決で
きない」とは、ついぞ考えていなかったという、ある意味で楽観的だった
のだ。

私の文章の書き方の欠陥だと認識しているのだが、こんな終わりの方に
なってから結論が出てくるのだ。即ち、如何なる難局か難関に直面しても
「真っ向から事に当たって駆け引きをせず理屈を言わずに懸命に対応して
いれば、長い長いトンネルの先に灯っている灯りが必ず見えてくるもの
だ。それが見えればしめたものだ」というのが、私なりの信条なのである。

この「一所懸命に事に当たっていれば必ず何とかなる。悪い結果など考え
ずにおこう」という考え方があったので、3回にも及んだ心筋梗塞、主治
医が家内に「今度は保証できない」と言われたと後になって聞いた2度の
重度の心不全での入院でも、当人は「そのうち退院できるだろうよ」と暢
気に気楽に構えていた。そこには「必ず何とかなる」という「閃き」が来
ていたのだった。もしかすると、これは「ポジティブ・シンキング」
(=positive thinking)の姿勢で座右の銘なのかも知れない。「何だ、
結局は回顧談か」などと言わないようお願いしたい



◎無知の底なし沼に沈みゆく日本 誰か投げぬか一枚の浮き輪を

テーマ:ブログ 北村維康

 今日は77回目の終戦記念日である。しかし今年ほど、日本が再没落す
る虞が大きいことは、洵に未曾有である。誰か一枚の浮輪を投げないか。
否、その浮輪をさへ盗んで、日本を溺死させんと企む百鬼夜行の有様を、
日々我らは目撃してゐるではないか。

 日本の行く末を憂へる識者であれば、必ずこのやうな悲観的な言葉
で、正論欄に投稿するであらう。私も目が覚めてから、真っ先に浮かんだ
のはこの言葉であった。我が国の宰相経験者が衆人環視の中、無慈悲にも
殺害され、その国葬もあらうことか妨害する日本とは、何処の時代の習ひ
ぞかし。敗戦後一貫して我が国がたどってきたこの負のスパイラルを、何
とか食ひ止めんと、靖国神社に出でたつこの老の身を、嗤はば嗤へ。こと
はそれほど焦眉の急を要するのである。



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身 辺 雑 記
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17日の東京湾岸は曇りのち雨。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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2022年08月16日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6231号
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   2022(令和4年)年 8月16日(火)


         問われるべき文科省の対応:高橋洋一

      マーララーゴ別荘の家宅捜査:Andy Chang

     “安倍ロス”を乗り越えよう:シーチン”修一

         電力最終保証供給の値上げ:三橋貴明
          

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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         頂門の一針(まぐまぐ)
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問われるべき文科省の対応
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         高橋洋一


【日本の解き方】旧統一教会の名称変更問題、行政を歪めたのは誰!? 
問われるべき文科省の対応、官僚の裁量なくす法律通りの手続きを 

旧世界基督教統一神霊協会(統一教会)が2015年、世界平和統一家
庭連合に名称を変更した経緯などについて、野党が前川喜平元文部科学事
務次官の合同ヒアリングを行った。前川氏は名称変更について「何らかの
政治的な力が働いた」と発言したというが、適切な行政手続きとはどのよ
うなものか。

宗教法人法での手続きを復習しておこう。設立について「宗教法人を設立
しようとする者は(中略)規則を作成し(中略)所轄庁の認証を受けなけ
ればならない」(12条)と認証主義だ。これは、NPO法人と同じ形式
で、行政の裁量はかなり少ない。

認証された規則のなかに名称がある。規則に基づき宗教法人登記をする
が、その名称変更など登記内容に変更があった場合には、変更登記をし
(53条)、所轄庁へ届け出なければならない(9条)とある。

宗教法人の名称変更は認証手続きでの「届け出」なので裁量の余地はない。

1993年に制定された行政手続法では、「事務所に到達したときに、当該届
出をすべき手続上の義務が履行されたものとする」(37条)とされ、役所
側に届け出受理を拒む権限はない。なお、添付書類で軽微なミスがあって
も本書類ではなく不受理とはいかない。

97年当時、前川氏は受理しなかったとされているが、その報道通りなら行
政手続法との関係はどうなっていたのか。宗教法人側に頼んで届け出をし
なかった可能性もある。その場合は文科省の行政指導となるが、行政手続
法では法令の根拠や原則的に文書によって行政指導しなければならない。
そうした適切な手続きはあったのだろうか。

届け出をさせないのはまずい。そうした権限は文科省にはないし、届け出
により不利益を被る可能性を言っていれば、行政手続法に抵触しかねない。

いずれにしても97年の文科省の対応そのものが適法がどうかがまず問
われるべきだ。もしそれが違法であれば、「行政が歪(ゆが)められた」
との見方もできる。その後、名称変更が受理されたのは「歪められた行政
が正された」という言い方もできるだろう。

この構図は「加計学園問題」と全く同じだ。その時も、獣医学部の新設
申請を受け付けないという営業の自由を保障する憲法に対する違反にもな
るような歪んだ行政について、安倍晋三政権で新設申請を認めるとの正し
い行政をしたら、マスコミのバッシングがあった。

長年マスコミは疑惑を訴えながら、安倍政権で何の違法行為も出てこな
かった。

そういえば、加計問題の発端は、文科省による文書のリークだった。その
文書を意図的に一部のみ掲載した新聞もあったが、政権誹謗(ひぼう)の
悪意なしとはいえないものだった。

適切な行政手続きとは簡単で、法律どおりに行うことだ。それが官僚の裁
量をなくすので、政治介在もなく、国民にとって望ましいものだ。

宗教法人による霊感商法などの行為については、安倍政権でやったような
訴訟特例や消費者契約法改正などで対処すべきだろう。一部官僚による裁
量を許して歪んだ行政行ってはいけない(元内閣参事官・嘉悦大教授、高
橋洋一)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ【zakzak】ニュース採録

            
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マーララーゴ別荘の家宅捜査
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      Andy Chang


AC 論説 No.905

月曜日8日に起きた、FBIのトランプのフロリダにあるマーララーゴ別荘
の家宅捜査事件は共和党議員
けでなく、一部の民主党員や大半の国民の大きな反感を買って、捜査令状
にサインしたガーランド司法
長官とレイFBI 長官が厳しい批判に晒されている。

マーララーゴ捜査の目的はガーランドが署名した捜査令状の内容が公開さ
れていないので、FBIはどんな
資料を探しているのかが不明だった。今日までにわかったことは司法部、
FBIはトランプがホワイトハウ
スから持ち出した機密資料を保持していた疑いであると言う。
後述するがこの疑いは左翼メディアの報道でその後少しづつ変わっていく。

機密資料を押収するだけならFBIが30人の武装人員を使ってマーララーゴ
に入る必要はない。しかもFBI
は別荘の人々や、トランプの法律顧問をみんな屋外に追い出して捜査した
上に監視カメラをストップす
るように要求した。そのようにして9時間も密室捜査を続け、メラニア夫
人の衣裳室や金庫をこじ開け
て捜査したのは、明らかな越権行為である。つまり今回の捜査は2024年の
トランプ再選を阻止するため
「中立であるべき司法部とFBIが」Deep State民主党を助ける「法を政治
闘争の武器にした違法」である。

30人もの装警察を動員した家宅捜査でFBIは何を探していたのか?捜査
令状をみればFBIが何を探して
いるのかわかるはずである。捜査令状を公開しなかったので批判が相次い
だ挙句、木曜日の記者会見で
ガーランド司法長官は彼が令状にサインしたことを認め、マーララーゴの
捜査にサインしたフロリダ法
院のラインハルト裁判官に捜査令状の内容公開を求めた。ガーランド氏が
令状にサインしたなら彼が公
開すべきなのにラインハルト氏に公開を求めたのは明らかな責任回避であ
ると言える。

ラインハルト氏は令状の公開はトランプ氏の同意が必要であると答えた。
トランプは「私は捜査に全面
的に協力してきた。令状の公開にも協力する」と述べた。明らかに司法部
長は責任を回避したがってい
る、ラインハルト氏も責任の蹴り回しをしている。

FBIの大規模捜査の理由はなにか、何を探しているのか、捜査令状を書く
ための証拠は何だったのか。こ
の記事を書いている金曜日までに分かったことをできるだけわかりやすく
書いてみる。
トランプがホワイトハウスを去った時に多くの資料をマーララーゴに移送
した。それで国家資料保全局
(National Archives Record Administration)のDavid Ferriero局長(今
年4月に引退)がトランプに資料の
返還を求めたので、トランプは今年2月に15箱の資料をアーカイブに返還
したが一部の資料はまだ返し
ていなかった。するとFerriero氏はトランプが返還していない資料がある
と国会監察委員会(House
Oversight Committee)に報告したのである。

明らかにFerriero氏は反トランプだから機密資料を隠している疑いを報告
したのである。過去にヒラリー
が大量に機密資料を保存してしかも中国のハッカーに盗まれた時は報告し
ていないし、ハンターバイデ
ンがのパソコンにも機密資料があったのは誰でも知っていることだが
Ferrerio氏は報告していない。それ
はともかくガーランド司法部長はこの報告を理由にトランプの別荘を捜査
する令状にサインしたのであ
るとされる。

それでは今回のマーララーゴ別荘の家宅捜査でどんな機密を捜査し押収し
たかが問題になる。
トランプはNARAの返還要求を受けたあと、今年2月に15箱の資料を返還し
たが、一部はまだ別荘に
残っていた。NARAの人員はトランプの別荘に資料を保存するのは安全に疑
問があると言ったので、トラ
ンプ側は別荘の資料庫に新たに二つの鍵をつけたと言う。

今回の家宅捜査では資料庫の新しくつけた二つの鍵を壊して12箱の資料を
押収したと言う。しかし令状
に書いていった捜査の目的が機密資料を探すことならどうしてメラニア夫
人の衣裳室やトランプの金庫
(中は空だったそうである)までこじ開けて捜査したのは明らかに行き過
ぎである。しかもFBIの人員は
別荘の人々を外に追い出して延々9時間も密室捜査を続けたのである。

トランプは捜査令状をもらっているので司法部が何を探していたか分かっ
ている。しかし家宅捜査で司
法部が押収した資料は令状に明記した資料の他、例えば噂に上がっている
Jan6事件の資料をトランプ降
ろしに使うことはできないと言われている。トランプが核機密に関する資
料を隠し持っていたと言う報
道もあったが、トランプはこれを一笑に付した。

今朝のワシントンタイムス最新情報によるとFBIは11セットの機密資料を
押収したそうである。この事件
はこれからも新しいニュースが出るに違いないが、要するに民主党と司法
部、FBIが違法に結託してトラ
ンプの再選を阻もうとしているのである。

ここまで書いていたら新しいニュースが入って来た
The Hillの報道によると、トランプのマーララーゴ別荘の家宅捜査令状に
は「スパイ活動法違反の可能性
及びその他(Possible violations of the Espionage Act and other
laws)」が捜査の目的だと書いてあった。
2時間前の最新情報だが、この令状には証人や証拠の陳述が欠けているよ
うに思われるので、今日から
新争論の大発展になるのは間違いないだろう。


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“安倍ロス”を乗り越えよう
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     “シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」80/通算512 2022/8/12/金】夏バテなのか、図書
館に行って本を返却し、いつものように「軍事・戦争」コーナーの棚を物
色したのだが、今一つ戦意が高揚せず手ぶらで帰宅した。前日、換気扇掃
除などでハシャギまくったため、心技体が萎えて戦意喪失なのかと思った
が・・・これはどうも“安倍ロス”のせいかも知れない。ポスト安倍が全然
見当たらないというのは、やはり不安である。

帰宅して産経新聞を開いたら国家基本問題研究所・櫻井よしこ理事長の
「意見広告:岸田首相よ 安倍晋三の遺志を継げ」があった。

<安倍晋三元首相が亡くなったあとの日本にはぽっかり大きな穴があい
ています。岸田文雄首相に安倍さんの遺志を継いで前進するとの気概が感
じられないからです。

いまにして思えば、安倍さんは「戦後レジーム」からの脱却を堂々と唱
え、支持率を大幅に下げながらも平和安全法制を実現しました。自由で開
かれたインド太平洋戦略という大旗の下に安全保障、外交を展開し、内政
では経済成長政策を果敢に進めました。最終目標が戦後レジームの元凶で
ある憲法改正にあったのは言うまでもありません。

国民にはわかっていました。逝去を悼み、弔事に参加した人々がどれだ
け多かったことか。

核保有国の中国、ロシア、北朝鮮に囲まれた我が国は非常時にありま
す。最新の防衛白書も、いまの安全保障環境を「戦後最大の試練」と形容
しました。軽武装の経済大国などという無意味な古証文は全く通用しませ
ん。だからこそ岸田首相は米国との間で、防衛費の相当な増額を公約した
のでしょう。

岸田首相は安倍さんの唱えた戦後レジームからの脱却をいまこそ実現
し、大きな穴を埋めるべきです。新時代に沿った安倍路線の実現を求めま
す>2022/8/10

“安倍ロス”・・・♪娘盛りを渡世にかけて 張った体に緋牡丹燃える、の
お竜さんみたいな櫻井先生でも「同志喪失」の悲しみ、無念の想いは深い。

安倍氏は60年安保騒動の際祖父の岸信介の膝の上で当時の流行語「アン
ポはんたい、キシをたおせ」と言ったら、岸が「安保賛成と言いなさい」
と苦笑いしたと回顧していた

<1960年1月、岸信介はワシントンに赴き、日米旧安保条約の問題で
あった部分を明確化した日米相互協力及び安全保障条約と日米地位協定に
調印した。これを一般に日米新安保条約という。

内容は、日米経済協力と日本の防衛力強化の協調/共同防衛義務/在日米
軍の重大行動に関する事前協議制/国内争乱への米軍出動条項削除/条約期
限は10年(自動延長)。

これに対して、革新団体や全学連などは安保改定阻止国民会議に結集。
国会の周りでデモ隊と警察官のぶつかりあいがおこり、5月20日に10万
人、5月27日は17万5000人が国会を包囲したとも言われる。

1960年6月19日、衆議院の優越に加えて、採択から1ヶ月が経ったので、
新安保条約は自然成立。岸内閣はその責任を負うかたちで総辞職した>
(歴史総合.com)

岸が新・日米安保条約を結ぶことで日本はカネのかかる国防・軍事を米
国に依存し、経済成長にひたすら励むことができた。

<(岸の後継に就任した池田隼人は)軍事費をできる限り節約して、経
済で身を立てる――これはまさに、師匠・吉田茂が夢見た「通商国家・日
本」だ。池田はその実現に向けて精力的に政策目標に取り組み、経済立国
に必要な成長基盤を築き上げた。その結果、日本経済は池田退陣後も成長
を続け、わずか4年で名目GNPを2倍増、10年でなんと4倍増を達成した>
(ダイヤモンドオンライン2015.8.10「蔭山克秀:今、戦後史から知って
おきたい日本を「経済の国」へと変えた男)

かくして日本は米国の軍事力に依存して自由世界第2位の「経済大国
ニッポン」にのし上がったが、一方でオバマ政権は「最早米国は世界の警
察官ではない」と宣言した。それでも日本は「共産主義独裁の中露を刺激
せずに友好を深めれば熱戦にはならないだろう」と、軍事力の強化を控え
てきた。一方で米国をなだめるような「思いやり予算(在日米軍駐留経費
負担、2021年から同盟強靱化予算)」で茶を濁してきた。

安倍氏も首相在任中は「米国のオバマ、トランプ政権との友好強化」、
同時に「中露を刺激せずに友好を深める」ことに努めていたが、2020年9
月に持病の悪化ため辞任すると、3日後の9月19日には靖国神社に参拝し
た。英霊に長の無沙汰を深く詫びたのだろう。

安倍氏は多くの言葉を遺した「台湾有事は日米の有事」は50年前から台
湾を兄弟と思っている小生は「よくぞ言ってくれた」と溜飲が下がる思い
だった。産経2021/12/1『台湾有事は日米同盟の有事』安倍元首相が講
演」から。

<安倍晋三元首相は1日、台湾の研究機関が主催するイベントでオンラ
イン講演し、軍備増強と海洋進出を進める中国と台湾の間で高まる緊張関
係について「台湾への武力侵攻は地理的、空間的に必ず、日本の国土に重
大な危険を引き起こさずにはいない」との認識を示した「台湾有事は日本
有事だ。すなわち日米同盟の有事でもあるこの認識を習近平国家主席は断
じて見誤るべきではない」と指摘した。

また、安倍氏は台湾が目指すTPPへの加入やWHOへの参加について全面的
に支援する考えを示した。「台湾の国際的地位を一歩一歩向上させるお手
伝いをしたい」と語った>(以上)

「名言・語録・格言」サイトによると、安倍氏は1回目の総理の時は体
調不良のため政権を投げ出す形で辞任したが、民主党政権の無責任な政治
を見て、昭恵夫人にこのように語ったという。

「今、日本は、国家として溶けつつある。尖閣諸島問題を見ろ。北方領
土問題を見ろ。北朝鮮の拉致問題を見ろ。政治家として、このまま黙って
見過ごしておくわけにはいかない。俺は出るよ。もし今回失敗しても、次
の総裁選に出馬するよ。負ければ、また次に挑戦する。俺は、自分の名誉
や、体のことなんて構いはしないんだ。国のために、おれは戦い続けるよ」

以下のような言葉も遺している。

「私は政治家を見るとき、こんな見方をしている。それは『闘う政治
家』と『闘わない政治家』である。内閣が崩壊するときは、内部から崩れ
ることが多い。闘わない政治家とは、『あなたの言うことは正しい』と同
調はするものの、けっして批判の矢面に立とうとしない政治家だ。私は常
に『闘う政治家』でありたいと願っている」

「『闘う政治家』とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批
判を恐れず行動する政治家のことである」

「未来に思いをはせれば、戦後生まれの世代が、今や人口の8割を超えて
います。あの戦争には何の関わりのない子や孫、その先の世代の子どもた
ちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」

「歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく。その責
任を果たしていくこと(が私たちの使命)だと考えています」「戦後レ
ジームからの脱却を」「自由で開かれたインド太平洋」「日本は戻ってき
た」「美しい国へ」・・・

古森義久先生は日本戦略研究フォーラム(JFSS)最高顧問も務めている
が、安倍氏へ改めて弔意を表して「安倍晋三氏と日本、そして世界」の講
演をした。とても感動的だが長いので、ごく一部を転載する。

<[著名なエコノミストの武者陵司氏が主宰する「武者リサーチ」が
2022年7月21日、安倍元首相追悼セミナーを赤坂・紀尾井フォーラムで開
催しました。その際に当JFSS顧問の古森義久氏が基調講演をしました。安
倍氏はJFSSの最高顧問でした。その安倍氏への改めての弔意を表する意味
でも、本フォーラムとして武者氏のご了解を得た上で、この古森氏の安倍
晋三論の内容を紹介いたします]

【アメリカでの安倍評価の急上昇】安倍さんのアメリカでの評価は少しず
つ少しずつ変わっていきました。彼自身も何回もワシントンにいってアメ
リカの議会で戦後70年の談話を発表した。日本の民主主義を強調し、対米
協調路線を明示して、戦争についても単に謝るという態度はもうみせな
かった。

安倍氏の英語はかなり上手です。流暢ではないけれども自分で英語で話
す時は事前に十二分の準備をして、本当に一生懸命に話します。普通の英
米のネイティブの人たちによく通じる英語です。

(米国)議会の合同会議で語った戦後70年談話は、歴代の日本の首相の
同じような談話と違って、戦前の日本が全部悪かったというようなことは
もう一切言わなかった。それからもう謝ることはもうこれで終わりにしよ
うと。日米両国は全力で戦い、アメリカが勝ったのだ、という素直な総括
を示しました。だからもう決着はついているのだ、というような表現でした。

この率直なメッセージは意外なほどアメリカ側で好感を招きました。そ
の種の前向きな安倍氏への反応はどんどん広がっていきました。

時代を少し前に戻しますが、安倍氏は2007年に体調を悪くして総理大臣
を辞めるわけです。そして野党の領袖となる。実はアメリカでの安倍晋三
評というのが大きく変わり始めたのは、この安倍氏の在野時代からだった
のです。

安倍さんが野党の代表としてアメリカへ行っていろいろな人と話す。ア
メリカ側ではちょうど二代目ブッシュ政権の時ですけども、まず保守派の
人たちが安倍氏のよいところを見て、民主主義そして日米同盟という共通
項によって共存していくよきパートナーは安倍晋三なのだという認識を明
らかに深めていきました。政権の座にいない安倍晋三を快く丁重に迎えて
くれたのです。

二代目ブッシュ政権にいたチェイニー副大統領とかラムズフェルド国防
長官とか、民間ではハドソン研究所のワインシュタインという所長、彼は
トランプ大統領に次の駐日大使に任命されたけれども大統領選挙でトラン
プ氏が負けたため実現しませんでした。しかしそうした要人たちが、在野
の安倍さんを招いて非常に丁重に扱うということが何度もありました。

そうした共和党側に多かった安倍氏への高い評価や温かいもてなし、さ
らには安倍氏自身のワシントンでのアメリカ一般への語りかけが、アメリ
カ官民で好感の輪を広げ、民主党側にも波及していきました。


その間、日本では民主党政権の鳩山由紀夫首相らが米側の民主党オバマ政
権を失望させる言動を重ねたことも在野の安倍晋三評価を米側で高める要
因の一端になったと言えます。

【安倍氏の「インド太平洋」構想がアメリカの主要政策に】安倍晋三氏が
国際的にはっきりと評価を上げたのは、彼が他の諸国の誰よりも早く説い
た「インド太平洋構想」です。この構想は安倍氏自身の説明によると、日
本と中国との緊迫した状態を、側面から、あるいはもっと高い次元から変
えようというような発想で打ち出したそうです。この点は今年4月の私と
の対談でも彼自身、はっきりと述べていました。

安倍氏は実際に2つの海、つまり太平洋とインド洋はやはり2つ一緒に考
えるべきだということを2006年から主張していました。最終的には2016年
のアフリカでの経済開発関連の国際会議で明確に「自由で開かれたインド
太平洋」という表現を使い、その構想を国際的に公表したわけです。

この「自由で開かれた」という部分に、中国に対するかなり露骨なメッ
セージが入っています。中国が一帯一路とか、その他のインフラ構想で国
際的な膨張に努めているが、その内容は自由でも開かれてもいない、とい
う意味を込めて「自由で開かれた」と言ったわけです。

トランプ政権がこれはいいということで、中国の独裁制や排他的慣行を
非難するときの材料に使い始めました。

そのトランプ政権を一貫して非難をしてきたバイデン政権が登場した時
に、どうするかな、と私は興味津々に考察していました。バイデン政権に
は前のトランプ政権がやったことはほとんど全部排除していくという傾向
があったのですが、結局バイデン政権もトランプ政権と同じ「自由で開か
れたインド太平洋」という安倍さんが言い始めた言葉を使って現在に至っ
ています。

中国に対してインド太平洋へと地理的に広げる地政学的において、イン
ドという存在に焦点を当てる。インドは非常に微妙な存在だけれども中国
に対しての警戒とか不信がものすごく強い。それを引き込んでとくに中国
への加重の圧力とする。そんな総合的な戦略をプッシュしていくという部
分がアメリカ側にすごくアピールしたようです。ちょうどオバマ政権の終
わりから、中国がどうしてもアメリカにとってはこれほど敵視せざるを得
ない存在となりました。

その結果、トランプ政権になって、歴代政権がずっと一貫してとってき
た中国に対する関与政策というのは間違っていたという宣言が出された。
中国に向かっての対決対立の政策になった。

バイデン政権もほぼそれと同じ政策をとっています。ただしところどこ
ろに“穴ぼこ”があります。中国とはやはり協調しなければ、仲良くしなけ
ればいけない部分もあるのだと、中国に対する「まだら外交」もバイデン
政権の特徴ではあります。しかしいずれにしても安倍晋三という人物のイ
ンプットはバイデン政権にもはっきりとうかがえるのです。

【安倍氏の最後の笑みへの痛恨】私は長年にわたり、安倍さんを国際的
な角度から見ていて、今から思うとなんとなくこの人がいる限り、日本国
がある程度の水準以下に落ちていくことはない、日本が奈落に落ちていく
ことはないだろうと、心の中で感じてきたことをいまになって意識しまし
た。簡単にいえば、わが日本は安倍晋三氏が健在な限り、大丈夫だろうと
思ってきた、ということです。その希望の星のような安倍さんが亡くなっ
てしまった。

前記の安倍氏との対談で最後の最後に私が彼に告げたことは日本の世間
には「やはり安倍さんだ、という声が多く、それを無視はできないでしょ
う」という言葉でした。その意味は、もう一度総理大臣やってもいいん
じゃないかっていう趣旨です。

その言葉に対して安倍氏はなんとも言えない笑みを浮かべて、「いや、
いまは岸田政権を全力で助けていく、それに尽きます」と、答えたので
す。私は勝手に、この人はいざという時はまた国政のトップに就く意欲は
あるなと解釈しました。しかしいまやその期待も虚しくなりました。返す
返すも残念だという思いです。痛恨であります。

最後にワシントンでの安倍さんへの礼讃を報告します。日本の中でいろ
いろ毀誉褒貶があるけれども、ワシントンではびっくりするぐらいネガ
ティブな反応はありません。私自身も、リベラルで安倍さんに対して無関
心とか、批判的に見えたような友人知人からお気の毒だなとか、日本に
とっての重大な悲劇だというメッセージが多数届いたので、びっくりしま
した。

世界での安倍晋三の悲劇ということのインパクトの巨大さは、おそらく
皆さん日本のマスコミでみられている以上に大きいのだと、私は実感します。

最後に、安倍さんのご冥福を祈りつつお話を終わらせていただきます。
ご静聴どうも有難うございました>(以上)

“安倍ロス”で喪に服しているからと言ったところで中露北は「それでは
我々もしばらくは矛を収めましょう」とはならない。それどころか「安倍
なき日本は恐れるに足らず、日本攻略のチャンスだ」と襲いかかるのが共
産主義者なのだ。

1917年のロシア革命でウクライナ人は「ロシア帝国が崩壊した、二度と
独裁政府は御免だ、自由な地方自治を基礎とした小さな中央政府の国を創
ろう」と喜び勇んだが、レーニンとトロツキーは一党独裁の敵だとして無
慈悲に弾圧した。アカは敵が隙を見せれば一気に本性を現し強殺するのが
常套手段である。油断大敵。

海行かば水漬く屍 山行かば草生す屍 大君の辺にこそ死なめ かへり見
はせじ

さあ、涙をぬぐったら中露北との前線に戻ろう。



━━━━━━━━━━━━━━━━
末期的! 
電力最終保証供給の値上げ
━━━━━━━━━━━━━━━━
           三橋貴明


「護防(ごぼう)の党」奥野卓志代表登場!
日本国を守れ![三橋TV第584回]
奥野卓志・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/-wXRR97a1cI

自民党の萩生田・新政調会長が、「国内総生産(GDP)比2%以上を念
頭に防衛力を増強するとした党の公約を
速やかに実行に移す」と表明したことを受けて思いついた財務省ジョーク。


財務官僚「萩生田政調会長が防衛費を
対GDP比2%にしろと言ってきました」

上司「そんなカネ、出せるわけないだろ!」

財務官僚「じゃあ、どうするんですか?」

上司「(ピコーン!)良いことを思いついた。
GDPを半分にしてしまえばいいんだ。そうすれば、出すカネは同じでも、
2%を達成できる」

財務官僚「素晴らしいアイデアです、局長!」


 というわけで、猛暑が続く中、コストプッシュ型インフレに苦しめられ
ている日本国民の皆様、いかがお過ごしでしょうか。今年もお盆の季節が
やってきました。

 ガソリン価格は政府の「1リットル40円超」という卸売りへの補助金の
おかげで、何とか1リットル160円台(全国平均)で収まっています。補助
金なしならば、とっくに200円を超えていました。


 それに対し、電気代の方には「節電ポイント」という、「クズ政策」と
しか表現のしようがない対応しか表明していない日本政府でございます。
電気代高騰についても、政府は対処することができるのですよ。ガソリン
と同じように、LNG輸入企業に大々的な補助金を出し、発電会社が購入す
る際の燃料費を押し下げればいいのです。


 無論、中長期的にはFIT廃止、さらには発送電分離や
電力小売り自由化の見直しという「電力再改革」が必要ですが、短期的に
はLNG購入への補助金、及び原発再稼働が
(直接給付をしないならば)政府が採れる、あるいは採るべき政策になり
ます。


 なぜ、ガソリンには補助金を出し、LNGには出さないのか? もちろ
ん、ガソリン側は「ガソリン税」という
悪税問題があるためです。財務省としては、ガソリン税を廃止させられる
よりは、補助金を出す方がましなのです。
何しろ、減税は恒久的なものですが、補助金は予算を組まなければ終わり
ます。


 それに対し、LNGについては「廃止させられる可能性がある税」がほぼ
ない(※石油石炭税がちょびっとだけありますが)。となれば、財務省と
しては知ったことではない。頑張って、エネ庁もっとも、エネ庁としては
「予算を使えない」となれば、できることは一つしかないのです。「値上
げを認める。あるいは推進する」これだけです。


 国民生活や企業経営の困窮? 知りませ〜ん。


『電力最終保障、9月から値上げ 東京電力など9社東京電力ホールディン
グス(HD)など大手電力9社は9月から、電力小売りとの契約を持たない企
業に必ず電気を届ける「最終保障供給」の料金を引き上げる。最終保障は
割高な料金で一時的に電力を供給する仕組み。燃料高で通常の電気料金よ
り割安になる逆転現象が起きており、経済産業省が是正に動いていた。沖
縄電力を除く9社が10日、経産省に届け出た。9月以降の検針分から新料金
を適用する。従来は企業向けの標準料金の1.2倍に設定していたが9月以降
は卸電力価格の上昇分を最終保障の価格に上乗せする。
料金の下限は各社の標準料金に定め、卸電力価格が下落しても最終保障が
通常の契約より割安にならないようにする。(後略)』

 レント・シーキング新電力ビジネスモデルが崩壊し、
見捨てられた形になった企業は「最終保証供給」
(通常の電気代の1.2倍程度)に頼っていました。
とはいえ、そもそも「最終保証供給」は新電力の顧客の駆け込み寺ではな
いのです。というわけで、エネ庁は新電力モデルを見直し、さらに「政府
支出」により発電会社(東京電力HDなど)のLNG購入を支援し、適正な価
格で最終保証供給を受けている企業の「通常の契約への移行」を支援する
べきなのです。

 ところが、何と「最終保証供給」の価格を引き上げるという手段に打っ
て出た。確かに、最終保証供給の価格が
市場価格を下回っているのはおかしい。とはいえ、それは市場価格がLNG
高騰により引き上げられてしまったためなのです。国民や日本企業のこと
を真剣に考えるならば、
「市場価格を引き下げるために政府が支出しよう」となるはずなのです
が、緊縮日本では、「最終保証供給の価格を引き上げよう」と、やって来
たわけです。

こんな有様では、電気代の高騰は「産業(特に製造業)」にも悪影響を与
えることになりそうです(すでに与えていますが)結局のところ、財務省
の緊縮財政は電気代を通じ、日本の様々な産業に破壊的なダメージをもた
らすことになるのです。

いい加減にしろ!日本政府!という声を上げて下さい。

━━━━━━━
重 要 情 報
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◎ワンオペの国で永年過ごしてきて「お盆休み」という文化に思う事:前
田正晶

近頃良く聞こえてくるようになったこの「ワンオペ」なる言い方は、私の
ようにjob型雇用のアメリカの会社に勤務していた者には「何だ。それっ
て俺たちがやって来たことと同じじゃないか」と思わせられるのだった。
ワンオペとは恐らく「ワンマン・オペレーション」辺りを短縮したカタカ
ナ語だろうと推察するが、私は将にこの方式で働いてきたのだった。

それは、何から何まで自分一人で対応し、処理していく方式であり、秘書
さん以外に誰も手助けしてくれる人はいなかったのだ。そういう秘書さん
に助けて貰っているという点を考慮すれば「two men operation」(=
トゥーオペ)かも知れない。一人で処理するという事は休暇でも取るか、
病気にでもなってしまえば、その欠勤した間の業務の処理をしてくれる人
などいないという意味だ。周りにいる者たちも皆「ワンオペ」なのだから。

秘書がいるではないかというのは誤認識で「秘書はボスの仕事を代行する
ような給与は貰っていない」のだから、その不在の間に起きたことのメモ
くらいは取っておいてくれても、処理をする責任も義務もないのだ。この
点が「我が国の企業社会との正反対とでも言いたいほどの文化の相違点」
であるのだ。

導入部が長すぎたかも知れない。何が言いたかったのかと言えば「アメリ
カの企業では当然の権利としての有休休暇を取ることは各自の自由裁量に
任せられているが、休暇を取る場合にはその休暇の間に生じる如何なる仕
事でも処理されずに残っているので、休暇を終えて出てきた後ではその処
理を自己責任で済ませねばならないという、物理的には大変な作業が待っ
ていること」なのだ。換言すれば、秘書さんは「ボスが担当する判断業務
には手を出すことはない」のである。

それだけの覚悟をして有休を取るのだが、不思議と彼乃至は彼女が不在の
場合でも何とか回っているようなのだった。その背景には取引先か得意先
も同じアメリカの会社だから、休暇で担当者が不在になる事に対して理解
があるのだ。その不在の間のことだが、人によって準備の仕方が違うの
だ。それは「何処に行っているか、連絡の方法は」を知らせて置く人と、
全く音信不通になる人とに別れているのだ。彼らの中には「音信不通で
あってこそ本当の休暇だ」と主張する者もいた。

ここまででお解り頂けたと思うが、彼らアメリカの会社員たちは一斉に休
んでしまうということはせずに、各自が有休を取りたいときに1週間とか2
週間とか休んでしまうのである、休暇明けにどれほどの滞貨の山ができて
いるかを承知の上で。であるから、我が国で動もすると「アメリカ人たち
は優雅にハワイなどに出掛けて休暇を楽しんでいる」などと思われている
のは、殆ど誤解なのである。中には、LCCを利用してリゾート地に出掛
け、予め貸しアパートを予約し、自炊している者もいるのだ。

今でもそういう制度があるか知らないが、1990年代までは、日本などの海
外に駐在している者たちには「ホーム・リーブ」(=home leave)という
制度があって「4週間から1ヶ月は会社の経費でアメリカに帰るか、何処か
避暑地で過ごして良い」という制度があった。将に優雅であると思って、
羨ましい思いで見ていた。

ある時に、そのホーム・リーブの感覚を日系人の駐在マネージャーに尋ね
てみた。そこには、必ずしも我々が羨むほどの優雅なことではないような
面もあった。彼が言うには「完全に不在の間に秘書の負担にならないよう
な準備はしてきても、最初の1週間は不安で不安で堪らない。2週間目に
やっと休暇を楽しもうかという気持ちが整うのだ。3週間目は完全に何も
かも忘れて休暇をエンジョイできている。そして、不思議なことに4週間
目にもなると、早く東京に帰って仕事をしたいと思うようになる」となっ
ていた。本当に休んでいたのは1週間程度のように聞こえた。

改めて、我が国とアメリカの休暇に対する文化の違いを考えてみると、矢
張り「皆で一緒に出勤して仕事をして、休暇を取るのも皆で一緒に」とい
う文化というか慣習に対して、アメリカのように「全てとまでは言い切れ
ないが、個人とその能力を主体にしたワンオペのようなシステム乃至は会
社の運営の仕組みが出来ている」のであるから、誰が何時休暇を取ろうと
上司も周囲も気にしないのである。

私もこの異文化の中に入っていって感じたことは「休暇を取って周囲に迷
惑はかからないし自己責任だとは解るが、得意先に迷惑をかける事は出来
ない」との責任感に縛られて、1週間も休めるまで割り切れるには10年近
くも要していた。アメリカの組織では、私の上司は本部の副社長兼事業部
長だけだったが、我が国の組織では上には課長、部長、担当役員がいて、
周りには同僚がいて、更に後輩がいるという形であるから「明日から休暇
を頂きたいのです」と届け出て許可を貰わねばなるまい。

一方のワンオペの国の会社では、簡単に言えば秘書さんに「何時から何時
まで休むから宜しく」と伝えれば十分で、秘書さんが「休暇を取ります」
と言ってくれば「はい、解りました」と言うだけのこと。だから、彼らに
は「お盆休み期間中」の交通渋滞や飛行機や鉄道の混雑は理解できないのだ。

これほどの文化というか慣習の違いという深い溝は、私の生存期間中に埋
められることは一寸考えられない。



◎ミステリー・サークルの話:北村維康

テーマ:ブログ

ミステリー・サークルは本当に我々を不思議がらせます。
ミステリー・サークルについて、どう思ふか、ある私の米国の友人に訊い
てみました。

その人の答へは、かうです。

「地球は生きてゐる命です。それは我々地球人に向って、ミステリー・
サークルを通じて、ある大きなメッセーヂを送ってゐるのです。其のメッ
セーヂは、聖なる幾何学により、我々がその暗号を解かなくてはならない
のです」

なるほど、一つ勉強しましたね。



◎世界の水産業は成長を:伊勢雅臣

国際派日本人の情報ファイル
世界の水産業は成長を続けているのに、なぜ日本だけ減り続けるのか?

5月に農林水産省から2021年度の年間水揚量が発表されました。困ったこ
とに417万トンと記録が残る1956年以降で過去最低を更新しています。サ
ンマ、サケ、スルメイカを始め、かつての国内水揚げの主力魚種が次々に
消えて行く傾向が鮮明になっています。

 ところが、対照的に世界全体の水揚げ数量は増加傾向にあります。実は
海水温の上昇は魚が減って大きな社会問題となりつつある日本も、魚 の
資源管理が成功し、水産業も漁業も発展を続けるノルウェーやアラスカ
(米国)でも、傾向は同じなのです。

 サバでは、漁獲枠が大きすぎて、日本はジャミ、ローソクと呼ばれる幼
魚まで、見つけたら容赦なく獲ってしまう仕組みです。対照的に北大西洋
では、同じく海水温上昇の影響を受けているにもかかわらず、幼魚の漁獲
を避ける仕組みができています。

 ノルウェーなど北大西洋では、漁業者や漁船ごとに漁獲枠が割り振られ
ているので、価値が低い幼魚は漁獲しません。このため親魚の資源量はサ
ステナブルです。

1972~1988年もの長きに渡り世界最大の漁獲量を誇った日本。悲しいこと
に、数量が年々減り続け、今では遠い昔のことになりつつあります。ただ
し日本には世界3大漁場の一つである海が残っています。そこで水産資 源
を復活させるかどうかは他でもないわれわれ日本人次第なのです。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27343?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20220721

━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━
16日の東京湾岸は晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

--

2022年08月15日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6230号
□■■□──────────────────────────□■■□
       
        

   2022(令和4年)年 8月15日(月)


            日米同盟の存在意義:加瀬英明

          韓国が採るべき対応とは:室谷克実

       トランプ氏と旧統一教会の癒着:今市太郎

       中国人の日本への渇仰は消えた:宮崎正弘 
                 

                 重 要 情 報
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━━━━━━━━━━
日米同盟の存在意義
━━━━━━━━━━
 
   加瀬英明


アジアの平和維持における日米同盟の存在意義5月に米国のバイデン大統
領が、5日かけて就任後はじめてアジアを歴訪 した。韓国、日本を巡った
が、台湾には立ち寄らなかった。だがアジア歴訪の目的は台湾にあった。

 アジア訪問中に、バイデン大統領は東京における記者会見で、「中国が
台湾を侵攻した場合に、台湾を守るか」と質問されて、「かならず守る」
と断言した。

 もっとも、これは1979年に米中国交正常化が行われて以後、米国が台湾
に防衛兵器を供給しても、中国を刺激しないように台湾を軍事的に守るか
どうか、曖昧にすることが対中戦略の柱になっていた。ホワイトハウスが
直ちに大統領の発言を 訂正した。

 これはバイデン大統領の本音だったろう。政権の中枢にある人々や、大
多数の連邦議会議員の意志でもあった。
もし、台湾が失われることがあったら、日本も、韓国も、中国に靡(なび)
かざるをえない。そうなれば、アジアが中国の覇権のもとに置かれて、長
い「アメリカの世紀」が終わってしまうことになる。

 台湾を中国へ手渡すのを傍観することがあったら、米国はアジアを失う
こととなる。ロシアのプチン大統領が始めたウクライナ戦争を、2つの国
が凝視している。中国と台湾だ。中国はロシアの失敗から、慌てて教訓を
学ぼうとしていよう。

 中国は台湾を攻略するために、平均して幅150キロある台湾海峡を渡
らなければならない。ロシアが誇る黒海艦隊旗艦『モスクワ』を、ウクラ
イナの対艦ミサイルによって撃沈されたのや、ウクライナ兵が携行用の
ジェベリン・ミサイル、スティンガー・ミサイルによって、ロシアの機甲
部隊に大きな損害を与えているのを、苦々しい思いでみていよう。

 台湾は中国に大型兵器をもって対抗できないことを、知っている。中国
の国防予算は公表しているだけでも、台湾の12倍だ。そこで台湾は対艦
ミサイルを積んだ、多数の小型舟艇を配備している。小さな漁港に隠れて
いるから、ミサイルなどによって破壊しにくい。

 私はプチン大統領がウクライナを、長蛇の戦車と装甲車輌の列をつくっ
て侵攻するのを、第二次大戦型の戦いと呼んできた。ウクライナはそれに
対して、小型の携行ミサイルを主役とする21世紀型の戦いを行っている。

 中国が台湾に対して渡洋作戦を行う場合に、対岸に大兵力を集結しなけ
ればならず、奇襲できない。険しい崖によって囲まれた台湾の地形は、防
禦側に有利だ。大兵力を上陸させるのに適した海岸が、14ヶ所しかない。

 そのうえ、台湾海峡を渡るためには気象条件によって3月末から4月
いっぱい、9月末から10月いっぱいに限られる。ウクライナ戦争は、ロ
シア対ヨーロッパの戦いを、専制主義対自由主義の戦いに変えてしまった。

 今日、台湾はアジアにおける模範的な民主主義国家である。台湾は国民
の努力によって、先進工業国となっている台湾が世界の半導体の90%あま
りを生産している。中国が台湾に襲いかかったら、世界の同情が台湾に集
まろう。

 中国は米本土から救援部隊の主力が台湾に到着するまでに、台湾を制圧
しなければならない。だが、台湾攻略に失敗すれば、政権が倒れることに
なろう。そのために、台湾侵攻に容易に踏み切れまい。

 中国を抑止するためには、自由主義諸国の固い結束、とくに日米同盟が
台湾防衛に当たって機能することが必要である。中国が台湾に襲いかかる
ことによって、台湾有事が発生した場合に日本をかならず捲き込む局地戦
争になろう

 もし、日本が自衛隊を台湾に対する後方支援だけにとどめようとした
ら、世界の物笑いとなる。そして、日米同盟関係が崩壊してしまおう。


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韓国が採るべき対応とは
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         室谷克実


【新・悪韓論】「コウモリ外交」支える功利的な国民精神 つかえる強国
が2つ、韓国が採るべき対応とは 半導体同盟の予備会談参加は「米国説
得のため」か 

事大主義とは、大(強国)に事(つか)えることが「絶対に正しい」と
する外交思想だ。長らく事大主義を国是としてきた民族にとって、事大す
べき国が2つ現れると、採るべき対応は「コウモリ外交」しかない。現在
の韓国の姿だ背後には、「コウモリ対応により利を得るべきだ」と考える
功利的な 国民精神≠ェある。

振り返れば、韓国が中国という「泥沼」に足を取られたのは朴槿恵(パ
ク・クネ)「保守・反共政権」の時だった 韓国の貿易構造に占める中国
の比重が高まるなか、朴氏は米国の反対を 押し切り、中国の戦勝記念式
典に出席し、中露首脳とともに天安門に立っ た。韓国世論は「誇らしい
姿だ」と大歓喜した。

朴氏は、習近平国家主席に「安重根(アン・ジュングン)の慰霊施設を
つくって」とおねだり≠オて、肯定的反応を得るや、中国を「事大すべ
き国」と信奉した。
ところが、中国は、朴氏が期待した「北朝鮮抑止」に動かなかった。北
が核実験をしたとき、朴氏は中韓ホットラインを握ったが、中国側は応答
すらしなかった。

それで朴政権は「事大すべきは米国だった」と、米国の高高度防衛ミサ
イル(THAAD)の韓国内配置を認めた。今度は中国が激怒した。

次の文在寅(ムン・ジェイン)政権は「従北・親中・反米」だが、「親
米」を装った。韓国の利益が左右される課題に直面するや、「韓米は血の
同盟」「困ったときに助けてくれるのが真の友」などのセリフを振りまい
た。国内には「経済は中国、安保は米国だ」と。

「卑怯(ひきょう)なコウモリ」と見る日本人が多いだろうが、実は、韓
国の多数派が支持する外交路線だ。

朝鮮日報社とソウル大学が2015年に実施した国民意識調査では「韓中関係
を強化し、米中両国との等距離外交をしいくべきだ」との意見が 57・1%
だった(朝鮮日報15年8月14日)。韓国メディア「アジア経済」(22年1
月3日)が伝えた国民意識調査では、 「政府は米中両国に対して戦略的
あいまいさ≠維持すべきだ」とする 意見が60・3%に達した。

「等距離外交」も「戦略的あいまいさ」も同じ意味だ。要は、米中双方に
取り入って利を得よう―こうした発想こそ国民精神≠ネのだ。尹錫悦
(ユン・ソンニョル)氏は今年2月(大統領に当選前)、ロシアの ウク
ライナ侵攻が始まると、「経済制裁より、韓国企業が被害を受けない よ
う、備えなければならない」と反応した。侵略の是非より、大切なのは
韓国企業の利だった。

尹氏は大統領に就任すると、選挙中に見せた「親米」の色彩を抑制し、
「親中」を示し始めた。訪韓した米下院議長に会わなかったのは、中国へ
のゴマすりだ。韓国政府は、米国主導の半導体同盟「チップ4」の予備会
談への参加を発 表した。が、大統領側近は「中国を排除することがない
よう米国を説得する」と語った。

コウモリではなく「バランサー」か「仲裁国」と呼ばれたいらしい。矜持
(きょうじ)なき国・国民だ(室谷克実)

主な著書に『悪韓論』(新潮新書)、『反日種族の常識』(飛鳥新社)、
『呆韓論』(産経新聞出版)、『韓国のデマ戦法』(同)など多数。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

夕刊フジ【zakzak】ニュース採録

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トランプ氏と旧統一教会の癒着
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        今市太郎


米紙がトランプ氏と旧統一教会の癒着を一斉報道。バイデン陣営の追求で
岸田首相も「ど壺」にハマる可能性

政治と旧統一教会の「癒着」が問題視されているのは日本だけではありま
せん。米国でも主要メディアが猛烈な勢いで叩き始めたのが、誰あろうト
ランプ前大統領です。相当額の献金や集票を指摘して批判をはじめてお
り、それを掘り下げたいバイデン政権の動き次第では、岸田政権へも甚大
な影響が出てきます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

トランプ氏の裏にも旧統一教会?
米国のあのトランプ前大統領が、2024年の次期大統領選挙に再出馬する意
向を示唆する発言をして俄然、注目を浴びることになりました。

そして、時を同じくするように主要メディアが猛烈な勢いでトランプ叩き
を始めたのが、米国における「旧統一教会」の関連組織との癒着関係の問
題で、相当額の献金や集票・支持を指摘して批判をはじめています。

これはトランプ大統領がほとんど安倍元首相と同様に、このカルト集団の
米国組織をいいように利用していたことを十分に米国のメディアが理解し
ていることによるもの。


昨年9月に旧統一教会の友好団体である「UPF(天宙平和連合)」がオンラ
インで開催したイベントで演説し、創設者の文鮮明氏と、文氏の妻でUPF
総裁の韓鶴子氏を絶賛していたことなどがすでに詳細に報道されはじめて
います。

米国では、フランスのように「反カルト法」といった法律があるわけでは
ないので、即座に法律違反ということにはなりません。

しかし、日本国内で凄まじい悪徳商法を行ったその資金そのものがトラン
プのところに還流しているという点は、まったく見逃すことのできない事
態に陥っている様子。

ここからの米国での動向が非常に気になるところとなってきました。

特に「トランプ憎し」を貫いている米国の主要メディアは、この件につい
ても深堀して報道する気満々。本邦の腰砕け忖度メディアとはまったく姿
勢が異なる点は、ある意味大注目の状況になってきています。

Next: 岸田政権にも影響大。トランプ別荘の家宅捜索で何を探している?

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中国人の日本への渇仰は消えた
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月8日(月曜日)
          通巻第7425号
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北京五輪から14年を閲し、中国人の日本への渇仰は消えた
   「上から目線」で日本を完全に馬鹿にしている中国
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 我が国のEEZにミサイルを撃ち込み、日中外相会談を突如、一方的に
中止し、謝罪どころか居丈高に日本を批判する國がある。2008年8月8日の
北京五輪から、ちょうど14年を閲したが、中国人の日本への渇仰は消え
た。上から目線で馬鹿扱いする中国は、どうやら日本を朝貢國とみている
ようだ。日本は少なくとも次のような報復措置にうってでるべきではないか。

 ●岸田首相以下、内閣全員で靖国神社参拝
 ●台湾要人を日本に招待し、各地で歓迎行事を催行
 ●日本の大型国会議員団の訪台
 ●習近平来日を正式に断る
 ●ダライラマ猊下、ラビア・カディール女史来日時に首相が面談
 ●尖閣海域に自衛艦隊を常時派遣
 ●中国撤退の日本企業への助成促進強化
 ●13の日本の大學にある孔子学院の廃校
 ●米国のブラックリストにもとづき、中国企業との取引を禁止
 ●公務員、自衛官のファーウェイ携帯電話の使用禁止
 ●土地使用法を適用し、シナ人所有の土地を厳重審査、違反はただちに接収
 ●日中通貨スワップの停止
 ●スパイ容疑の中国人(とくに大使館員、メディア)を一斉に国外退去命令
 ●ヴィザ発給を暫時停止し、中国人の偽留学生の多い日本語学校を立ち
入り監査
 ●税関は中国からの輸入貨物検査の徹底
 ●日本の配偶者あるなしにかかわらず帰化した中国人の再調査
 ●中国語メディア、放送などのモニター、監視強化など。。。。
    □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆   書評 しょひょう 
BOOKREVIEW  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 戦後世界の
ブレトンウッズ体制とはドル基軸の決済システム
  ロシア、中国、イラン、そしてサウジもトルコもインドも離脱を準備

♪マリン・カツア著、渡邊惣樹訳『コールダー・ウォー』(草思社 文庫)
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 本書は原書が2015年刊。翻訳もほぼ同時にでて、先月に増刷になっ た
ばかりなのに、早くも文庫になった。
 COLDER WARとは、ずばり「冷戦より冷たい冷戦」という意味
だ。原書の副題は「アメリカの支配する世界のエネルギー貿易がいかに崩
れるか」である。それだけでも全体の概要が掴める。
 戦後世界のブレトンウッズ体制とは表向き、IMF世銀体制を意味する
が、実際には英国ポンドを代替した米ドル基軸の決済システムであり、こ
れを不快とするロシア、中国、イラン、そしてトルコもインドも離脱を準
備しはじめた。
 つまりベトロダラー体制が、ロシア、イラン、中国、そしてインドの
「変節」で壊れ、ドル基軸体制は崩壊の危機に直面するというのが基本の
予測、それを防ぐためにアメリカは、石油代金決済をユーロ、そのほかに
替えようとしていたサダム・フセインとカダフィ大佐を殺害した。
 「ペトロダラー」とは言うまでもなく、1974年にキッシンジャーが サ
ウジと密約したもので、石油代金をドルで支払い、余剰金が出たら米国
国債を買え、交換条件にアメリカはサウジの体制を保障し、同時にサウジ
が必要な武器を供与し続けるという内容である。
 イランはドル決済から外された。ところが中国は兵器などと交換で、イ
ンドとトルコは金(ゴールド)で決済し、韓国もほかの手段を講じてい
る。アメリカの言われるままにイランから石油を輸入できない日本とは異
なる。
 したがって本書刊行後におきたウクライナ戦争でも、制裁に加わらない
中国、印度、トルコはロシアからルーブル建てで石油を輸入している。こ
の意味はドル基軸体制に亀裂が入っているという何よりの証左となる。
 SWITIにかわって中国はCIPSという決済体制を構築した。
BRICSは、相互決済の銀行システムをつくろうとしている。
アメリカには、かつて日本が構想したアジア通貨基金を壊したような、圧
倒的な政治力はもはやない。
中国を締め上げるには、香港ドルと米ドルの交換を停止すれば致命的打撃
を中国に与えられるが、返り血が怖くて出来ないで居る。
七年前に、小覧でも本書を書評した記憶があるのだが、当時の読後感と、
今回とで、印象がすっかり違った。文庫と旧本とに内容的な差違はない。
しかし読後感として何が異なるかといえば、この間にウクライナ戦争が挟
まったからだ。
本書の予言的な記述が不気味な響きを伴って的中しはじめているのは、第
5章のウクライナのチャプターがいきいきと浮かび上がるからである。
 「ウクライナの経済事情はソ連崩壊後とほぼ同じで『にわか成金』(新
興財閥)がでた。ロシアではプーチンが登場し新興財閥を制御したが、ウ
クライナにはプーチンのような人物はでなかった。新興財閥は、二十年間
にわたり、好き放題の経営を進め、官僚は賄賂をむさぼった」
(116−117p)
 ウクライナは私兵とマフィアとが猖獗した。しかし、
「アメリカは、ネオナチグループが(マイダン)革命に関与していること
には目をつむった(中略)米国務省とネオナチグループとの関係は一般に
は知られてはならないことだったが、アメリカ政府にとって彼等は便利な
存在だった」(124p)
 ウクナイナ戦争まで気がつかなかった実態が、本書には書かれていた。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2404回】        
 習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習70)
   ▽
 表紙を開くと「雷鋒同志に学ぼう」(毛沢東)、「全軍の同志は雷鋒同
志を手本として学び、毛主席の立派な戦士になるべきだ」(林彪)、「雷
鋒同志から、明確なる階級の立場、言行一致の革命精神、滅私奉公の共産
主義の風格、自らを顧みないプロレタリア階級の闘志を学ぼう」(周恩来)。
60年代末の北京の最高首脳陣が寄せた讃辞の後に、トラック整備中の雷鋒
の「英姿」を捉えた写真が配されている。

 彼が毎日きちっと記していたかは不明だが、「一九五八年×月×日」から
亡くなる直前の「一九六二年八月十日」までの日記が収められている。最
も多く収録されているのが61年、62年の分で、他の年は抄録といったとこ
ろ。なにはともあれ、興味深い記述を拾うと、

 ■58年×月×日=「河の流れは滔々と海に注ぎ、海上に真っ赤な太陽が昇
る。六億人民が頭を上げて望めば、毛沢東の光が四方を照らす。どんなに
暗い隅っこでも、暖かい太陽に再会する。嗚呼、偉大なる領袖・毛沢東。
宇宙の万物をしてすくすくと成長させる。偉大なる領袖・毛沢東は、我ら
を勝利と解放に導いた。我らを生産建設に教え導き、困難と貧困とを葬り
去った。我らを教え導き敵に勝利し、祖国を繁栄と富強に変え給うた」

 ■59年×月×日=「毛主席よ、父のようだ。毛沢東思想は、まるで太陽
だ。父は常に私を心に抱き寄せ、太陽は私を成長させてくれる」

 ■60年1月8日=「今日は一生忘れることができず、我が生涯最大の幸福
と光栄の日だ。新しい戦の持ち場に着任し、黄色の軍服を身に着け、光栄
にも人民解放軍に入隊した。今日、数年来の願いが実現したのである。形
容しようのない心の高鳴りと万感の喜びを痛感する。我が生涯最高の幸福
だ。〔中略〕この革命の大家庭において首長(=毛沢東)は両親に勝り、
戦友は兄弟より親しい。党が導く人民の軍隊であればこそ、である」

 ■60年11月8日=「我が人生で永遠に忘れられない一日だ。今日、光栄に
も偉大なる共産党に入党し、自分にとって限りなく崇高な理想を実現した
のである。〔中略〕全人類の自由、解放、幸福を実現するため、どんなに
高い山岳でも、大海でも、大きな河川をも恐れず、党と人民の事業のた
め、たとえ火の海であれ刀の山であれ、敢えて立ち向かおう。頭は断たれ
骨は砕けようが、紅い体と赤い心は永遠に変わらない」

 ──完璧な洗脳から造り出されるのは『毛沢東教の殉教徒』であり、毛沢
東思想でプログラミングされた人間サイボーグだ。3期目突入を目前にし
た習近平政権の国民に対する姿勢から判断して、どうやら習近平は雷鋒的
人間像の拡大再生産を望んでいるような。

 中国で出版されたわけではないが、ここで『中国政策』(エレン・H・
バーネル編 サイマル書房)を紹介しておくのも一興だろう。それという
のも、民主世界の中国に対する「ユルい見方」が往々にして、いや確実に
後世に、それも「超弩級」の禍根を残すからである。

 中国全土を疾風怒濤の渦に巻き込んで激しく展開されていた文革の帰趨
が毛沢東派の勝利で定まった頃の1969年1月末、日米政界の要人らはロス
アンゼルスに近いサンタ・バーバラで豪雨と嵐の2日間を過ごしながら、
「ASIAN DILENMA」について熱く語り合った。『中国政策』(英語原題は
『ASIAN DILENMA』)は「サンタ・バーバラ会議」の内容を「1970年の課
題・中国問題の歴史的総括と問題提起」との副題を付して公表したものだ。

 同書は(1)中国封じ込め策は冷戦時代の悪しき産物。(2)北京政府
を国連から締め出す方針は時代錯誤──と強く批判し、日米両政府に両政策
の放棄を強い調子で提言している。

 日本側の参加者は藤山愛一郎を団長に、赤城宗徳、宇都宮徳馬、江崎真
澄、黒金泰美ら当時の佐藤政権下で反主流派を形成していた自民党AA研究
会の中核メンバー。
対するアメリカ側はウィリアム民主制度研究センター理事長を団長にフル
ブライト上院外交委員長、エドワード・ケネディ上院議員など民主党リベ
ラル派の重鎮たちである。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)中国が日本の排他的経済地域にミサイル5発を発射・着弾
させた。与那国島から近いところ。彼らはどこもかしこも自分の領土であ
るとか、境界線は決まっていないなどとその正当性を主張している。
 そういえば、つい先月に東京地裁は、東電の幹部が「予測されていた津
波に備えて十分な対応策を備えていなかった」を理由として、東電という
企業経営のトップたる被告個人に兆単位の賠償を命じた。
となると、小野田元防衛大臣が国は反撃能力を急ぎ整備しないといけない
と言っているが、中国は日本の島嶼諸島を侵略したり占領したりしたら、
東京地裁は『中国が軍事行動を起こすと十分に予測できたにもかかわらず
国家経営のトップたる岸田総理個人に対して、十分な防衛体制をほどこし
ていなかった責任を負う」という判決を岸田総理個人に出すのが筋ですよね?
いったい賠償額は何兆円になるんだろう?(SSA生)


(宮崎正弘のコメント)くだんの裁判官は個人プレイの売名行為であり、
当然、被告側は上告するでしょうが、問題は現在の司法界が左翼裁判官で
占められていることです。
 東電幹部が無罪であることは誰もが承知していること。それより、電力
不足をいかなる努力で乗り切っているかを評価しなければならないでしょう。

(読者の声2)安倍神社の話がありましたが「もえるあじあ」というサイ
ト記事によるとエジプトには「安倍晋三」という名のガソリンスタンドが
あり見た目はまさに鳥居
https://www.moeasia.net/archives/49706178.html
 Adobe Stockに多くの画像が掲載、道路にまで Sinzo Abe Axis と名付
けられている。歩道橋は日本風というより中国風。
https://stock.adobe.com/search/images?load_type=search&native_visual_search=&similar_content_id=&is_recent_search=1&search_type=recentsearch&k=Shinzo+Abe+highway

 エジプトのシシ大統領は大の安倍首相好きであり、安倍首相辞任直後に
道路に安倍晋三にちなんだ名前をつけるよう指示したという。エジプトの
道路は右側通行、
英国統治以前にフランスの統治があったためと言われる。欧州大陸はもと
もとは左側通行だったがナポレオンが右側に変えたのだとか。ナポレオン
に抵抗して左側通行を維持していた国々も、(1)ポルトガルは、実用的な
観点を考慮して1920年代に、(2)旧オーストリア・ハンガリー帝国の諸国
は、ヒットラーに支配されて、それぞれ右側通行に変更。ウィーン軍事史
博物館のサラエボ事件の車両は右ハンドル。欧州で最後まで左側通行だっ
たスウェーデンは1967年に変更、当時のNHK海外ニュースで見た記憶がある。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=54349?pno=2&site=nli
「道路交通政策史概観」によるとアメリカ占領下の昭和22年、道交法制定
について立案している段階でGHQから極めて厳しい要請として「自動車
の通行を右側に変更する」よう求められた。しかし日本側では、「自動車
を右側通行に変更する」ためには、道路上の施設の変更、車両(例えばバ
ス)の乗降口の変更等「天文学的な財政支出」を必要とし、また長期の時
間を要する等、種々理由を挙げて反論した。その結果「今回の法制定につ
いては見送る」ということで、在来通りの通行方法を規定した。
http://www.taikasha.com/doko/chapt2x.htm
 道路交通ひとつにもいろいろな歴史があるものです。
   (PB生、千葉)

(読者の声3)先日、某民放で「李克強さんがNo Maskで民衆の前に現れ
て歓迎されていました」。側近もNo Maskで、習近平をあざ笑っている感
が十分でした。
 今日の、毎日新聞で「李上習下」の言葉を初めて見ました。習近平の体
制は、このまま続くのでしょうか? 
反対勢力は全く存在しないか、無視されるレベルなのでしょうか?
 習近平が、教育産業を弾圧していますが、これって共産党家系の保護。
党員は美味い汁を吸い続ける構造の堅持のように見えます。ますます
「1984」の世界のような気がしています。(HM生)

(宮崎正弘のコメント)習近平の権力基盤は、日本のメディアが伝えてい
るほど盤石ではないです。いずれ人事で明らかになるでしょう。

  ♪
(読者の声4)実はヨーロッパではベルギーが、朝鮮・韓国に倣って事大
主義と言われており、フランス人など、それを軽蔑しています。企業グ
ループの会議に出た時、フランス人がそっとささやいたものです。「見て
ろ、やつらは、優勢なほうの意見に、意見を変えるから」と。地政学的な
類似性(強国に挟まれている)からくるものだと思います。ベルギー人を
馬鹿にするフランス小話も多いです。(関野通夫)
  ♪
(読者の声5)この機会に靖国参拝というアイディア、実に妙案と感心し
ました。
我国が何をしても自分の気に入らなければ、大仰にケチをつけてくる国だ
から、世界がウクラナイな問題や、コロナに気を取られえいるうちに、
精々我が国も好きなことをやり、既成事実を作り上げる位のしたたかさを
もたないと、中国に対抗できない。
大義名分もある。ウクライナ人は祖国の為に戦っている。
「大東亜戦争」も日本軍の兵士は、やはり祖国のために戦った。祖国のた
めに戦っているウクライナ兵士の応援と戦死した兵士の鎮魂と言えば堂々
たるもの(士魂商才)


━━━━━━━
重 要 情 報
━━━━━━━
◎我感じる、故に我あり:前田正晶

旧統一教会と関連する国会議員が106名とか:

その106名のうちの82名が自民党だったと報じられていた。中には「底な
し」という見出しがついている例もあった。自民党が多いのは当たり前
じゃないのだろうか。それは彼らとしては政権があるところに寄って行く
という選択をしただけで、反対するだけしか能がないかのような野党を手
伝ってもメリット(meritという英語の意味は「長所、賞賛に値する美
点」を意味していて、カタカナ語のような「有益」とか「有利」とか「価
値」を意味しない)がないくらいは解っているのではないのか。こんな報
道は「犬が人を噛んだ程度」の価値しかないじゃないのか。

お盆休みの人出:

何処に行っても人また人という現象は、おかしくはないのかな。と言うよ
りも岸田内閣は何で少しでも阻止するために、行動規制のような何らかの
手を打たないのだろうか。恐らく「経済を回すこと」に重点を置いている
のだろう。

だが、第7波の新規感染者は一向に減らず新記録を続け、感染者が続出
してプロや高校の野球の試合開催が難渋したり、感染者が多くて店が開け
られなくなった飲食店が出たり、かと思えば郵便局が営業不能になったり
している状況を、心配しなくても良いと言うのだろうか。私には良く解ら
ない感がある。

一方では「BA.5株は単なる風邪」と断じる専門家がおられ、「人と対話
しなければマスクをしないでも良い」とテレビ画面に表示されている。か
と思えば医療が逼迫して「救急患者を受け入れられない」と電話に答えて
いる医師の悲痛な声を報じていたし、救急搬送に何十時間もかかったと
か、救急車を要請した交通事故の被害者を事故現場に戻したなどと報道さ
れている。病床使用率に余裕があるかのような報道があるが、空きがある
のは医療従事者の不足で空けておく選択しかないのだとの報道があった。

こうなってしまうことは、これまでの2年以上の経験で解っていたので
はないのだろうか。それでも現在のような状況になってしまったのは、私
には内閣における中心となって対策を考えて指示し命令するはずの司令塔
的存在が不在なためのように思えてならないのだ。その他に私が気になる
事は「何故皆が一斉に『お盆なり』と言って休んで行動するのだろうか」
なのだ。

私は「在宅勤務とか、テレワークとかの導入が始まったのだから、誰し
もが自分の好きなときに休暇を取って休養か遊びに出掛けられるような勤
務態勢に移行したらどうかな」と、無理だろうなと承知で考えている。無
闇矢鱈に休日を増やして「連休」を創り出したことの功罪を検討してみた
らどうだろうか。

無理だろうと思う根拠は「我が国の会社組織は個人が主体で仕事を進め
る文化が無いからだ」と見ている所にある。「自分が休めば周囲に迷惑が
かかる」と気兼ねをしてしまう心理作用が働くからだと見ている。それが
我が国独得の美風であるが、もうそろそろ新型コロナウイルス感染の蔓延
を奇貨として、美風の在り方を変える事を考えても良くはないだろうかと
考えるのは、誤りかな。



◎ミステリー・サークルについて:北村維康

 イギリスの麦畑に、突如、様々な模様が描かれ、これを人々は「ミステ
リー・サークル」(謎の輪)と呼んでゐるが、その意味についてなんの理
解もできてゐないと言ふことは、オカルト好きのひとなら大抵は知ってゐ
るだらう。

 この不思議な現象について、特筆すべきは、その形の完璧な美しさで
ある。それは、殆ど、芸術的ですらあるのだ。これはだれが何の目的で
作ったのかは、当然詮索されてゐるが、私の考へは、かうである。つま
り、我ら地球人よりも、はるかに知的に優れた宇宙人が、「一緒にこれか
らの宇宙の行政について、相談しようぢゃないか」と持ち掛けてきてゐる
のだ。

 かれら宇宙人は、われら地球人が、核兵器を沢山作って、戦争に遣は
うとしてゐることに、非常な危惧を抱いてゐるらしい。しかしそんなこと
を知らない幼稚な地球人は、その危険な核兵器を、オモチャのやうにもて
あそんでゐるのである。岡潔先生も、「人類は相対性理論を発明してか
ら、50年も経たないうちに、原爆を作ってしまった」と、その馬鹿さ加
減にうんざりしてをられた。

 この話に、ご興味のある方は、コメントをお願ひ致します。↓
(467) 24年後に返ってきた宇宙へのメッセージ!そこに刻まれた宇宙人の
正体… - YouTube
URL: https://www.youtube.com/watch?v=OEXYLp9Ws40

2022年08月14日

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6229号
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   2022(令和4年)年 8月14日(日)


       戦後レジーム脱却、最後の機会:渡辺利夫

          アメリカの大戦略的ミス:北野幸伯 
           
        山上容疑者について思うこと:伊勢吉継
 
        趙立堅報道官は「吠える犬」:花田紀凱

                  

                 重 要 情 報
                 身 辺 雑 記

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 戦後レジーム脱却、最後の機会
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【正論】この夏に思う:拓殖大学顧問・渡辺利夫 


[検閲で萎縮した言論]

江藤淳氏が昭和54年の秋から55年の春にかけてワシントンのウィルソン研
究所を中心に行った、GHQ(連合国軍総司令部)の検閲に関する研究の
成果が『閉(とざ)された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本』(文藝春
秋)である。この著作のあとがきを、氏は次のように結んでいる。

「日本の読者に対して私が望みたいことは、次の一事を措(お)いてほか
にない。即ち人が言葉によって考えるよりほかない以上、人は自らの思惟
(しい)を拘束し、条件付けている言語空間の真の意味を知ることなしに
は、到底自由にものを考えることができない、という、至極簡単な原則が
それである」

GHQの検閲により日本の言論は一気に萎縮し、やがて日本の言語空間そ
のものがGHQのそれへと置き換えられていくさまを江藤氏は精細に書き
込んでいる。GHQが日本のメディアを検閲していることは完全な秘匿事
項とされ、この義務を怠れば新聞や出版物は発行停止処分の対象となった。

GHQという絶対的権力者の隠然たる、そして執拗(しつよう)な検閲圧
力に日本のメディアは抗することができなかった。権力集団の構築した大
規模、かつ水も漏らさぬ周到さで張り巡らされた検閲網から逃れるすべは
ない。検閲者の意に沿うよう言語を操作し、この操作をしばらくつづける
うちに、被検閲者の思考そのものが検閲者のそれとほとんど変わらない方
向へと転じ、やがて思想や歴史観のすべてがGHQ的なるものへと変換し
ていったのである。

日本がサンフランシスコ講和条約に調印し、これが昭和27年4月28日に発
効した。GHQの占領が解かれ、検閲それ自体も消滅した。しかし、占領
時代にGHQ的なるものへと変わってしまった日本のメディアの言説は、
講和条約発効後も、いやむしろ発効後にいよいよ強く歴史学会や教育機関
などで声高に主張され、そうして今日にいたる。
[自己否定的な歴史認識]

私の大学在学中には安保闘争があった。しばらくしてベトナム反戦運動が
高まりをみせ、大学紛争が頻発する騒々しい時代であった。その後、昭和
50年代に入ってにわかに頭をもたげてきたのが歴史教科書、従軍慰安婦、
南京事件、首相の靖国参拝などを巡る歴史認識問題であった。

冷戦が崩壊して平成の時代が始まり、時をおかずに日本のメディアが繁
(しげ)く発信するようになったのが、自己否定的な歴史認識問題であ
る。この問題が中国や韓国の対日姿勢に変化をもたらした。冷戦下にあっ
て抑制されてきた周辺諸国の反日の情念が、冷戦崩壊とともに露(あら)
わとなって、日本のメディアの反日が中韓の反日と共振し合うという、実
に厄介な構図がここに生まれるにいたった。冷戦崩壊によって打ちひしが
れた左翼偏向的な日本のマスコミは、その挫折感を歴史認識問題によって
振り払おうとしたのであろう。少なくない数の知識人や政治家がマスコミ
への迎合の中に、自分の生きる道を求め始めたかにみえた。

回顧して慚愧(ざんき)に堪(た)えないのは、反日が日本の国内問題と
いうだけでは済まされず、中国や韓国、そして欧米のクオリティーペー
パーまでを巻き込んで展開されたことであった。岡崎久彦氏はかつて次の
ように記していた。

「通常、戦争の記憶というものは戦後一世代を経ると、恩讐(おんしゅ
う)を離れて歴史の問題となる。戦後一世代あまりを経た1980年という年
をみても、その一年間、日本、外国のあらゆるメディア、論説、公式、非
公式の言明のなかに、この問題を取り上げたものを一つでも見出すことは
不可能である。それはもう済んだ問題だった」

「現在論じられているこの問題はすべて、1982年の教科書問題を発端とし
て、日本人の側から外国に問題を持ち込んで外国の否定的な反応を引き出
し、それを日本の国内問題とさせ、さらにそれを改めて国際問題としてエ
スカレートさせたものである」(『吉田茂とその時代』PHP研究所)
[呪縛から解き放つ責務]

強大な権力者による検閲の時代にあって歪(ゆが)められ、そして新たに
注ぎ込まれたGHQ的な思想と歴史観が、権力者が不在となってもなお強
く後の時代を拘束したのである。この名状し難い日本の言語空間、これこ
そが「戦後レジーム」に他ならない。そのレジームからの脱却をみずから
に課した安倍晋三氏が史上最長の政権を築きながら、道半ばで凶弾に倒れ
てしまったことは無念このうえない。

憲法の前文と第9条の中にくっきりとその存在を証すGHQなるものの呪
縛から、どうやってみずからを解き放つか。衆参両院で改憲勢力が3分の2
以上を占め、またよほどのことがない限り、今後3年間は大型の国政選挙
はないという。ひょっとして、これが日本のラストチャンスなのかもしれ
ない。政治指導者よ、臍(ほぞ)を固めてほしい。(わたなべ としお)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  松本市 久保田 康文 

産経新聞採録
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添付ファイル:
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ペロシの台湾訪問とアメリカの大戦略的ミス
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           北野幸伯

さて、今回は、ペロシさんの台湾訪問と、アメリカの大戦
略的ミスについてです。アメリカのペロシ下院議長は8月2日、台湾を訪問
しました。3日、蔡英文総統と会談しています。激怒した中国は4日から7
日、台湾を取り囲むように6か所で軍事演習を行いました。

皆さんご存知のように、私は台湾の味方です。しかし、アメリカのやって
いることがすべて「大戦略的に正しい」とは思いません。今回は、アメリ
カの「大戦略的ミス」について考えてみましょう。

▼NATO拡大とアメリカの大戦略的ミス
「リアリズムの神」ミアシャイマー教授は、ロシアのウク
ライナ侵攻について、「アメリカに責任がある!」と断言しています。要
するに、「プーチンを無視して、NATOを拡大しつづけたアメリカの責任
だ」というのです。
証拠↓
https://www.youtube.com/watch?v=cZaG81NUWCs

「あのミアシャイマーが、アメリカを批判し、ロシアを擁
護している!」これは、ロシア擁護派、反米派に大いに利用されていま
す。しかし、大昔からミアシャイマーの言動を追いつづけてきた人たちに
は、彼の真意がわかるでしょう。ミアシャイマーは、2001年に「大国政治
の悲劇」を出版した当時から、「アメリカ最大の仮想敵は中国である」と
主張しつづけてきました。

今になって、ミアシャイマーの予測が正確だったことがわ
かります。そして彼は、一貫して「中国に勝つために、ロシアと組め!」
と語っていたのです。かつて、アメリカは、ナチスドイツに勝つために、
ソ連と組みました。

戦後はソ連に勝つために、かつての敵ドイツ(西ドイツ)
、日本と組みました。それでもソ連が優勢なので、70年代初めに共産中国
と組んだのです。これが、「アメリカ流リアリズム大戦略」です。繰り返
しますが、2001年時点でミアシャイマーは、

・アメリカ最大の仮想敵は中国である

・中国に勝つためにロシアと組め!
と主張していたのです。ちなみに私の07年の本は、
「中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日 〜 一極主義対
多極主義」といいます。

この本の中で私は、「日本は、中ロを分断しよう」と書い
ています。要するに、ほとんどのリアリストは、「最大の脅威は中国」
「中国に勝つためには、ロシアと組んだ方がいい」と考えていたのです。
ちなみに世界一の戦略家ルトワックさんも、日本は「中国とロシアを分断
すべき」と主張していました。

ところが、アメリカ政府はどう動いたのでしょうか?
NATOを拡大することで、プーチンは危機感を強めていっ
た。そして、プーチンは、どんどん中国に接近していったのです。まさ
に、私の07年の本「中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」の方向に向
かっていったのです。

ミアシャイマーは、
・最大の仮想敵は中国
・中国に勝つためにロシアを味方につけた方がいい

という基本的認識を20年前から持っていた。それで、今回のウクライナ侵
攻について、「アメリカの責任だ」というのです。別にミアシャイマーが
「親ロシア」だとか「ロシアの行動を擁護している」わけではありません。

ただ、アメリカ政府がやっていることが「大戦略的に愚か
だ」ということなのです。考えてみてください。ロシアが、いわゆる西側
陣営に加わっていれば?西側陣営は、楽勝ではないですか?

▼ペロシ訪台という大戦略的ミス
同じように「大戦略的視点」からペロシさんの台湾訪問を
見てみましょう。考えなければならないのは、欧米と日本は現在、「ロシ
アと戦っている」ということです。

もちろん、戦場はウクライナです。もしプーチンが逃げ切れることができ
れば、習近平はどう考えるでしょうか?
「プーチンは、ウクライナに侵攻して逃げ切った。俺が台湾侵攻を決断し
ても逃げ切ることができるだろう!」
と考えるでしょう。

プーチンが逃げ切れれば、台湾侵攻の可能性が高くなりま
す。では、どうすればいいのでしょうか?ウクライナへの支援をつづける
ことで、ロシアに勝てるようにしなければならない。もちろん、厳しい制
裁は継続していきます。

プーチンを失脚に追い込めたらどうなるでしょうか?
習近平は、「ウクライナ侵攻に失敗したプーチンは失脚した。台湾侵攻に
失敗すれば、俺も失脚だ。」となり、台湾侵攻を決断しないでしょう。だ
から、アメリカは今、ロシアとの戦いに全集中すべきなのです。当然、中
国とは、プチ和解すべきです。ところがペロシさんが台湾に訪問した。激
怒した中国は、大規模な軍事演習をした。


これで、本当に戦争がはじまったら、アメリカはどうする
つもりなのでしょうか?西でロシアと戦い、東で中国と戦う?こんな愚か
なことはありません。ヒトラーは1939年、西と東、同時に戦わないため
に、独ソ不可侵条約を結びました。スターリンは、西のドイツ、東の日本
と同時に戦わないために1941年、日ソ中立条約を結びました。「二正面作
戦を回避すること」は、戦略の基本です。

アメリカは、「自ら二正面作戦を誘発するような行動をし
ている」という意味で、ペロシ訪台は愚かです。ミアシャイマーのいうこ
とを聞かず、NATOを拡大。中国とロシアを一体化させてしまったのも、愚
かでした。しかし、過去を悔やんでも仕方ありません。ロシアがウクライ
ナに侵攻した。ロシアと戦いながら、中国を挑発してどうするの?という
ことです。

バイデンさんは、ブレることなく、ロシアとの戦いに集中
していただきたいと思います。(バイデンさんは、ペロシ訪台に反対した
と報じられていますが。)
            


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山上容疑者について思うこと
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   ペンネーム 伊勢吉継

毎日の報道でこの容疑者がどういう人生を送ってきたか、どういう人物で
あるのかということが少しずつ明らかになってきているが、

安倍さんというのは、現代日本の幸福、発展のいわば象徴であり、アイコ
ンであると思う。

そのアイコンをぶっ潰したかったのではないか、日本なんかいい国だ、幸
せだなんて嘘だ!俺はコテンパンな目にあってんだぞ!こんなクソみたい
な社会をぶっ潰してやると思い、そのアイコンを潰し、そのことによって
日本、日本国民をも自分の道連れに奈落の底に引きずり落としたかったの
ではないか。俺をことごとくいじめぬいた社会なんかクソ食らえと。

今、主にテレビだと統一教会に恨みを持ってというのが動機としている
が、もしそうなら安倍さんを撃つ前に、統一教会の施設を夜中の3時,4時
に試し撃ちしたとのことだがもし統一教会の人を狙うのなら、こんなこと
はしない、3時,4時に撃ったって誰にも打撃を与えられないし、そのあ
と、統一教会側は警戒するだろうから、容疑者は狙いにくくなる。コメン
テーターの人も、これはアリバイ作りで、他に本命はあるという、統一教
会の人に恨みがあり、狙っていると見せかけるためのものだと言ってい
る。私もそう思える。統一教会に恨みがあるというなら他にもつながりの
ある政治家はいる。

あえて安倍さんをターゲットにしたというのが、この容疑者の悪どさ、思
想、哲学が全部集約されているものだと思う。現代日本のアイコン、日本
の救世主であり、この人がいなくなったら、日本国民は困り果てる、そこ
を狙ってやっているというこの悪どさ。

無論そうだとしたら、警察の聴取でそんなことは言えないはずである。世
論はけしからんとなり、この人は一生日本で生活できない。統一教会を恨
んでと言えば、そんなに反発を受けないし、同情さえされる、だから嘘を
言っているのではないか。

周到に、事件の前に、統一教会批判のフリージャーナリストの人に、統一
教会に私は恨みを持ってましてという事件の動機を書いた手紙を送ったり、

これも、自分が捕まったら、この手紙がマスコミに公表されるだろうと計
算して、
本当の動機とは別の動機を書いて送っているように思う。
犯人があえてわざわざ本当の動機をジャーナリストの人に送るなんて普通
しないと思う。そこにはそういう計算があるとしか思えない。

そういうところとか、この人は凄い緻密にやっている、安倍さんを撃った
ときも大騒ぎせずに、取り押さえられても抵抗しないし、そういう凄い冷
静で緻密なところが、逆にこの人の思想の悪どさを凄く感じさせる。

ここまでだとあまり説得力がないように思う、理由が弱すぎるので、ここ
でNEWSポストセブンの
作家の橘玲(あきら)氏の記事を引用します。


記者─山上容疑者が橘さんの書いた映画『ジョーカー』に関する記事をリ
ツイートしていました。続けて別のユーザーとのやりとりの中で〈ええ、
親に騙され、学歴と全財産を失い、恋人に捨てられ、彷徨い続け幾星霜、
それでも親を殺せば喜ぶ奴らがいるから殺せない、それがオレですよ。〉
という書き込みもありました。これは、犯行に至る背景を語っているよう
にも思えますがいかがでしょうか。

橘:銃撃事件とその直後の報道で、映画『ジョーカー』と似ていると感じ
ていたので、容疑者が私の記事を読んでいたというのは驚きました。
『ジョーカー』では、主人公のアーサーには政治的・思想的な背景はなに
もありません。たしかに格差拡大への怒りで群衆が反乱を起こす場面が描
かれてはいますが、アーサー自身にはエリートや富裕層に対する憎悪もな
ければ、アンチ・グローバリズムや反資本主義などのイデオロギーもまっ
たくありません。 同様に今回の容疑者も、安倍元首相の政治信条にはな
んの関心もなく、カルト宗教団体に人生を破壊されたという個人的な恨み
が犯行の動機とされています。しかし、背後からなんのためらいもなく2
発の銃弾を浴びせるというのは、自分の行為が絶対的に正しいという確信
がなければ不可能です。報道でもそこがよくわからなかったのですが、
〈ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許さない。〉という投稿を見
て、自分とジョーカーを重ね合わせていたのではないかと感じました。

記者─容疑者も「真摯な絶望」を感じていた?

橘:今回の容疑者の特徴は、“絶対的な孤立”ではないでしょうか。すべて
のメディアが彼の過去を追っているわけですが、2週間ちかくたっても、
高校時代と自衛隊入隊、最後に勤めていた京都府内の倉庫のこと以外はわ
からない。海上自衛隊を退職したあとは、ファイナンシャルプランナーや
宅地建物取引士などの資格を取り、複数の会社で派遣社員やアルバイトと
して働いていたとされますが、

その間のことを証言する友人などはまったくいない。 秋葉原で起きた無
差別殺傷事件(2008年)の犯人も孤立していましたが、それでも親身に相
談に乗ってくれる故郷の友人や年上の女性がいた。映画『ジョーカー』で
は、アーサーは「自分はまるで存在していないかのようだ」と繰り返し訴
えるほど孤独で、その“絶望”から狂気と妄想にとらわれ、ジョーカーへと
変わっていきます。容疑者がアーサーに感情移入したのは、そこに自分と
同じ「とてつもない孤独」を見たからではないでしょうか。

ハロウィンの日にジョーカーの仮装をした24歳の男が、京王線内で男性
の右胸を刺し、ライターオイルをまいて車内に火をつけた事件(2021年)
がありましたが、日本の社会にはアーサー(ジョーカー)の造形に強く惹
きつけられる男が一定数いるのでは、とも思います。

記者─元記事では「非モテのテロリズム」にも言及しています。アメリカ
で「インセル(Incel)」と呼ばれる性愛から排除された若い男性による
無差別銃撃事件が立て続けに起こったことを、橘さんは「社会への復讐」
と分析しています。

橘:今回、投稿を読んではじめて「恋人に捨てられ」ていることがわかり
ましたが、フェミニズムへの批判やミソジニーへの言及もあることから、
容疑者が自分をそこに加えていたかどうかはともかく、“インセル/非モ
テ”を意識していたことは間違いないでしょう。

若い男の最大の絶望は、社会的・経済的に排除されることではなく、性愛
から排除されることだと『無理ゲー社会』などで述べてきました。容疑者
は、そうした怒りが社会への憎悪に向かっていくことを自覚していた可能
性はあると思います。

ただ投稿を見ると、容疑者はジョーカーをたんなる「非モテ」ではなく、
もっと巨大な存在だと考えていたようです。「憎む対象は社会全て」とい
うのは、今回の行動がより大きな物語のなかでの「復讐」であることを示
唆しているようでもあります。

すでに報道されているように、新興宗教団体に家庭や人生を破壊されたと
いう強い怨恨があるのは明らかです。しかし、これを単純な因果関係で考
えていいのかは疑問です。この教団に家庭を壊されたひとはたくさんいま
すが、そのほとんどは犯罪など起こしたりしないわけですから。

だとしたら、逆の因果関係もあったのではないか。自衛隊を退職したあ
と、頑張って資格を取ったにもかかわらず、40歳を前にして、社会からも
性愛からも排除されているという現実を突きつけられた。“とてつもない
孤独”のなかで、なぜ自分の人生はこんなことになったのかを考えていく
うちに、人生をさかのぼって教団を悪魔化するようになっていった。 す
べての困難の原因が教団にあり、自分は純粋な被害者(善)だとするなら
ば、その教団とかかわっていた(とされる)元首相が絶対的な「悪」とし
て立ち上がってくるという構図は理解できます。

確信があったわけではありませんが、容疑者の『ジョーカー』への思い入
れがわかったことで、今回の事件も、京アニ事件(2019年)や大阪の診療
クリニック放火事件(2021年)などと同じく「下級国民のテロリズム」の
範疇に入るのだろうといまは考えています。

以上ですが、今テレビなどで原因は統一教会だと言わんばかりであるが、
この文に書いたことが理由だと一概には言えないとしても、ここに書いた
ように少なくとも、統一教会を憎んで安倍さんにというのは無理筋ではな
いかというのは言えるのではと思えます。

  

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趙立堅報道官は「吠える犬」 
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    【花田紀凱 天下の暴論プラス】

 一国のリーダーともなれば、それなりの品位もマナーも兼ね備えている
のが当然だろう。ところが、中国の習近平総書記、バイデン大統領との電
話会談(7月28日)で、言いも言ったり。「火遊びすれば必ず焼け死ぬ」

 ペロシ下院議長の訪台を牽制して発した言葉だろうが、チンピラヤクザ
の脅しにも劣る。ちなみにこの訳は産経新聞のものだが、朝日新聞は「火
遊びすれば必ず自らを焼く」。読売新聞は「火遊びすれば必ず身を焦がす」。

 毎日新聞は、本文記事ではこの発言に触れていないが、社説で「火遊び
すれば身を滅ぼすことになる」。「焼け死ぬ」と「身を滅ぼすことにな
る」では日本語のニュアンスはずいぶん違う。「身を焦がす」は「恋に身
を焦がす」なんて言葉もあるし、ちょっと中国に慮(おもんばか)りが過ぎ
るのでは。

 バイデン大統領の通訳はいったいどう訳したのだろう。
石平さん(評論家)に伺うと、中国語では「遊火自焚」。
「ちょっと強い気もしますけれど、まぁ、『焼け死ぬ』と言ってもいいで
しょう」で、思い出したのが、中国外務省の趙立堅報道官のことだ。

 この人、顔からしてヤクザまがいで、「戦狼外交官」と呼ばれ、会見で
の発言を聞いていると、いつも腹立たしい。ことにひどかったのは
2020年11月、ファイブアイズ(アメリカ、イギリス、カナダ、ニュー
ジーランド、オーストラリア5カ国が機密情報を共有するための同盟)
が、香港問題で中国を批難した時。

 趙立堅報道官は、会見でこう言い放った。「大胆にも中国の主権、安
全、発展利益を損なうなら、目を突かれて失明しないように注意しろ」
「たとえ目が5個あろうが、10個あろうが関係ない」「中国人は決してト
ラブルを起こさないし、決して恐れることもない」

 ロシアのウクライナ侵攻に関しては会見で、ロシアと中国の関係をしつ
こく問われてイラ立ちを見せ、「中国は平和の側に立ち、戦争に反対す
る。中国は対話と交渉の側に立ち、一方的制裁に反対する。中国は情勢緩
和の側に立ち、火に油を注ぐことに反対する」

 5月5日、アメリカ側が「中国はロシアに協力して虚偽情報を流してい
る」と言ったことに対しても、すぐに趙立堅報道官が反論。「米国こそ
が、その名に恥じない、最大の『嘘製造機』である」そういえばコロナウ
イルス発生の初期、20年3月、趙立堅報道官は、英語と中国でこうツイー
トしていた。

 「ゼロ号患者(初めて感染した患者、病原体を初めて外部から持ち込ん
だ患者)はいつ米国で発生したのか? 何人が感染? 病院名は? おそ
らく米軍が疫病を武漢に持ち込んだのだろう」トランプ大統領が「中国ウ
イルス」ポンペオ国務長官が「武漢ウイルス」という呼称を使ったこと
に反発したのだろうが、むろん、何の根拠も示せなかった。この発言に関
してはさすがに崔天凱アメリカ大使が、後に「中国を代表する発言ではな
い」よ否定的に語っている。

 趙立堅報道官に日本の諺をお教えしよう。
   「弱い犬ほどよく吠える」
  (月刊『Hanada』編集長)

  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
    松本市 久保田 康文   夕刊フジ採録


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重 要 情 報
━━━━━━━

◎「コラボとは何の事」と探求してみると:前田正晶

当方は以前から「コラボレーションかコラボというカタカナ語が気安く
使われていることはおかしい」と指摘してきた。そう言う理由の一つに、
どうやら「タイアップ」(=tie-up)の意味で使われていると疑わしい例
があるからだ。そもそもの私の主張は「コラボレーションかコラボなどと
いう言葉を使わないで、『誰それさんとともに作業をしてか、働いて』と
素直且つ具体的に説明した方が良いのだ」だった。

更に「20年以上もの間アメリカ人の中で働いていても、報告書や会議中
の説明の中でcollaboration等という言葉が使われていた記憶がない」と
強調し、平易にOxfordにあるような“to work together with 〜 in order
to produce or achieve 〜”が示しているように「誰かと共に何かを成し
遂げるべき作業した」と日本語で言った方が自然だと思うのだ。

そこで、念の為に「タイアップ」即ち“tie-up”を検索して見た。する
と、色々な説が出てきて「それは縛るという意味だ」として、後ろ手に縛
られている画が出ている例もあった。また、「それを言うならば、
collaborationを使いなさい」という推薦もあった。少なくとも、タイ
アップがカタカナを使った造語であるとは出てこなかった。

しかも「タイアップとは対等の間柄で提携するのではなく、どちらかが
主であり片方が従の立場になるもの」ともあった。そして、「コラボレー
ションであれば、対等の関係にある二社が協同すること」ともあった。
「アレッ」という思いで、何が本当なのか良く解らなくなった。

そこで、お馴染みのOxfordでtie-upはと調べてみると“an agreement
between two companies to join together”とあって、例文は“They are
negotiating tie-up with Ford.”と出てきた。別に主対従や対等の間柄へ
の言及はなかった。

何となく、ここから先に何と言えば良いのかと混乱させられた気がし
た。だが、良く考えれば「コラボレーション」とか「コラボ」などと如何
にも英語通のように格好を付けるのではなく、「この製品はA社とB社が協
同して製造した物です」と詳しく言えば良いのだと思うに至った。また、
タイアップは広辞苑にも簡単に「提携すること、協力すること(某社とタ
イアップする)」とあるのだから、「2社間での提携または協力」と、そ
れぞれの場合を見て使い分ければ良いのではないのか。

カタカナ語を批判する立場から言えば「元の英語の意味と使い方をハッ
キリと認識することが先決問題であり、無闇にカタカナ語化して使わない
方が良いのではないかな」となるのだ。要するに「共同作業」と「提携」
を同じように「コラボ」にしない方が良いのだ。但し、タイアップは「コ
ラボ」より先にほぼ完全に日本語化されていたと思うが。


◎何も世界平和統一家庭連合問題だけに限らずとも、我が国のマスコミは
頼りにならない:前田正晶

山上徹也の安倍晋三元総理の殺害以来、我が国の報道機関は申し合わせた
かのように統一教会関連の情報と、言うなれば旧悪を詳細に報道し始めた
のだった。お陰様でこの組織がカルトなのか邪教なのかすら良く知らない
私等は、名称変更があったのだと知り得たし、その変更に自民党が絡んだ
のかと疑いがあった事も教えられた。過去の騒動を知らない方が初めて
「世界平和統一家庭連合」と聞けば統一教会のことだったとは気付かない
かも知れないと思った

私は既に指摘してあったように、山上徹也が安倍晋三元総理を殺害して、
パンドラの箱を開けたのだと思わずにはいられなかった。彼らマスコミは
あらためて、統一教会の実態と我が国で何をしたかったのかと何をしたか
を詳細に世間に報じだしたのだった。

だが、同時に「何故か?」と痛感したことがあった。それは「我が親愛な
るマスコミは山上徹也の件がなければ、家庭連合について取材してあった
あれほどの膨大な(とでも言いたくなる)情報を流す意図が無かったの
か」ということなのである。如何に無知な私であっても、合同結婚式とそ
れに伴う哀しい話や霊感商法や教会に吸い上げられる寄付のことくらいは
承知していた。だが、今回報道し始めた政治との関連などは、関西風に言
えば「聞き初めや」なのだった。

彼らが今更のようにあの当時教会に対抗して活動された紀藤弁護士等にテ
レビに出演願って、世界平和統一家庭連合という名称になるまでの経過と
旧悪を報道し始めた姿勢には「一体全体、彼らは如何なる理由で統一教会
の活動は決して消滅していた訳ではない事を、広く知らせようとしなかっ
たのか」との疑問を感じた。こちらが不勉強だったと言われればそれまで
だが、山上徹也があの暴挙に出るまでのような寄付金吸い上げがあったの
ならば、何故警鐘を鳴らす報道をしなかったのかと思った。

パンドラの箱の中身はここまでで終わらなかった。次に出てきたことは政
治というか自民党との絡みだった。彼らは「アンケート」なる代物を自民
党の議員に送りつけて「統一教会との関連」の調査を始めた。私は「彼ら
がそれ以前に自民党の議員たちと教会の関連の度合い」に関する取材をし
ていなかったとは到底考えられないのだ。彼らは安倍晋三元総理が凶弾に
倒れられたことを奇貨として、一斉に更に取材し報道を開始したと疑って
いる。

彼らは昨12日には岸田内閣の新副大臣・政務官の中の16名だったかに関連
があったと「人が犬を噛んだ」かのような報道振りだ。何もこの件に関し
てだけではなく、マスコミは何処の誰が祝電を打ったかとか会合に出席し
て祝辞を述べたとか等々を報じてあった。だが、不思議に感じたことは
「だから大臣を辞せよ」とか「この職に就くな」とか「国民に謝罪せよ」
という類いの責め方はしないのだ。

専門家やジャーナリストの中には「国会議員が彼ら教会を頼るのは公職選
挙法という縛りがあるからだ。現行のこの法律がある限り、選挙運動に無
料で奉仕してくれる組織があれば依存するのも無理はない」と肯定してい
るのか、教会を批判しているのかが良く解らない解説をする人もいた。
「なるほど」と思って聞いた。

では、「何の為の報道か」なのだ。私は彼らが本気で攻め上げるべき対象
は世界平和統一家庭連合だとしか考えられないのだ。教会との絡みがある
議員は自民党に多い。だからこそ、マスコミは議員たちが如何にも悪いこ
とをしているかのように思わせる報道をする。だが、「だから、こうせ
よ」という報道ではなくて、ただ単に過去にこういうことがあったと報じ
るだけ。

「自民党よ。反省して政権の座を降りなさい」とでも言う気かと思えば、
そうではないようだ。彼らは「政治は責めても宗教団体(なのだろうか)
は責められない」とでも言う姿勢なのだろうか。何事に関してもそうなの
だが、彼らマスコミの言うことを聞いていても実態が良く解る訳でもな
く、サッパリ役に立たないので困る。



◎「機密文書持ち出し」:まぐまぐ編集部

米FBI、トランプ前大統領の別荘を家宅捜索。退任後に「機密文書持ち出
し」で逮捕の可能性も?

 アメリカのFBI(連邦捜査局)は8日、令状にもとづいてフロリダ州パー
ム ビーチにあるドナルド・トランプ前大統領の別荘(マール・ア・ラー
ゴ) の家宅捜査をおこなったことがわかった。CNN、共同通信、日本経済
新聞 などが報じた。トランプ氏が声明で発表したという。

ロイター通信の報道によると、「トランプ氏が政府の公文書をマール・
ア・ラーゴに持ち出したことを巡り調査」しているとした。米司法省、
FBIも家宅捜索についてコメントを控えているという。また、日本の共同
通信も米有力紙ニューヨーク・タイムズが「大統領退任後に機密文書をホ
ワイトハウスから持ち出したことと関係しているとみられる」と報じたと
している。

トランプ氏は8日、声明を発表。NHKニュースによると、トランプ氏は「私
の美しい家が大勢の捜査員によって包囲され、捜索され、占拠されてい
る。アメリカの大統領にかつてこのようなことが起きたことはない」と批
判。しかし、FBIの捜査内容については明かさなかったという。

アメリカ人ジャーナリストのマギー・ハバーマン氏(CNN政治アナリス
ト)がTwitter上で、トランプの声明文を紹介している。

アメリカのトランプ前大統領が家宅捜索という衝撃の報道を受けて、日本
のネット上では、さまざまな意見が投稿されている。

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身 辺 雑 記
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14日の東京湾岸は曇りのち晴れ。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

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渡部 亮次郎

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