わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
頂門の一針 6228号
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2022(令和4年)年 8月13日(土)
恩師にみた昭和のよき教員の姿:竹内洋
「至誠の日本インテリジェンス」を読む:シーチン”修一
日本政府って何のためにあるんだろう:三橋貴明
安倍晋三(元)首相殺害事件、その後:馬場伯明
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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恩師にみた昭和のよき教員の姿
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【正論】この夏に思う 恩師にみた昭和のよき教員の姿 社会学者、関西
大学名誉教授・竹内洋
[佐渡島の「坊っちゃん」]
学校が夏休みになると、今から60年以上も前の私の高校時代の恩師K先
生が思い出される。先生は短気でよく怒鳴ったが、説教がましいところは
なく、さっぱりしていた。そんなところと先生が漱石の『坊つちやん』と
同じ東京理科大学(東京物理学校)出身の数学教師だったことから、私は
先生を密(ひそ)かに佐渡島の「坊っちゃん」先生≠ニ命名していた。
そういえば、小説『坊つちやん』の中に生徒が先生にいたずらを仕掛ける
シーンがある。私もしたことがある。高校3年の夏休み直前のこと。代数
の問題集の中から超難問を選んで、通信添削の問題だといつわった。「解
けないので、ヒントをください」と先生を困らせようとした。悪だくみが
見抜かれたら、先生が解けなかったらどうしよう。しだいに不安になりは
じめた。職員室に行くと、先生は答えを書いた用紙を私に手渡した。その
あとの先生の言葉には、それまで不安におののいていただけに、面食らっ
てしまった。
「おめんとこ(お前の住んでいる所)あっついじゃねえかっちゃ(暑いだ
ろう)」だったから。
私の家は町の中にあり、先生の家は田畑に囲まれたところにあったが、な
んで今そんなことを言うのかとぽかんとなった。すると「夏休みの間おれ
んちの部屋貸してやる。そこで勉強するか」と言ってくれた。怒られると
思ったのが急展開で、結局先生の御好意に甘えることになった。
しかし、真相はこうだったように思える。当時、私の家にごたごたした事
があり、勉強に専念する環境ではなかった。そこあたりを先生が知ってい
て、「おめんとこあっついじゃねえかっちゃ」と理由をカムフラージュし
て勉強部屋を提供してくれたのだ。それも応接間を。なのに私は…と申し
訳なさで今も胸がうずく。
[先生が語らなかったこと]
先生はわれわれが卒業してかなりたって、新潟市内の高校の教頭に栄転し
た。その後われわれの母校(先生の出身地)の校長に就任した。こう書く
と先生の教員人生は順風満帆だったようにみえる。しかし、必ずしもそう
ではなかったようだ。まず教頭職だが、当時は教員の組合運動がさかん
で、激しいやりとりはもとより、一部の学校では管理職の机や椅子を隠し
たり、「しかと」したりなどのいやがらせもあったらしい。しかし、当時
新潟市でおこなわれた同級会に私も出席したが先生は自分の苦労話や愚痴
など一言も言わなかった。われわれの近況を聞いて満面の笑みで喜んで楽
しそうだった。
そこから10年近くたったある日、先生から私に電話がきた。校長退職直後
のころだった。私の母校が創立40周年(1986年)になるので記念講演をし
てほしいというもの。講演が終わり、先生も交えて少人数の宴(うたげ)
がもたれた。
宴が終わると先生は、「ちょっと寄っていくか」と私と静かなバーに入っ
た。先生は私の同級生の名前を出して「あれはどうしているかのう」とた
ずねた。活躍していると言うと喜び、消息不明と言うと顔を曇らせた。
「○○には怒鳴りすぎたな」ともいった。「先生、○○が可愛かったからで
しょう。彼もわかっていましたよ」と言うと、ほっとしたような表情をう
かべた。
バーを出て先生はタクシーに乗った。私はテールライトが見えなくなるま
で佇(たたず)んでいた。先生に昔の元気がなくなったなと思った。
が、それにしても、先生は、直近の校長時代のことにふれなかった。それ
が少し気になった…。
[陰影に富む教師人生]
そこから36年たった今年、先生が校長として大変な苦労をされたことを佐
渡市に住む高校の後輩から聞くに及んだ。先生が校長になったころは高校
や学科の統廃合の時代だった。先生のところにも、県から同校に設置され
ていたある科の廃止の内示があった。
これを察知した一部地元民は激しい廃止反対運動を起こす。先生に批判の
矛先がむけられた。一部の心ない輩(やから)によるものだろうが、罵詈
(ばり)雑言やおぞましいいやがらせもあった。後輩は、先生が標的に
なったのは自分は県の職員だから県の決定に反することはできない≠ニ
断言したからで、もう少しのらりくらり対応すれば、あんなひどいことに
はならなかったのにと気の毒がった。そして続けた。
「でもそうしなかったのが先生らしい」と。私が先生と2人だけで喋
(しゃべ)ったことをさきほど述べたが、この騒ぎの半年後だったのだ。
しかし、先生は、愚痴や憤懣(ふんまん)はおろかその件にふれることは
なかった。先生のことだから、廃止反対派地元民の気持ち(俺たちが資金
を集めて設置した××科を潰してなるものか)もわかっていたにちがいない。
佐渡島の坊っちゃん先生≠ヘ漱石の坊つちやんよりも陰影に富んでい
た。昭和のよき先生の見本でもあった、と懐かしく思い出されるのであ
る。(たけうち よう)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
産経新聞採録
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「至誠の日本インテリジェンス」を読む
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」79/通算511 2022/8/10/水】一夜明けたら9日は
再び三度の猛暑でチャリ散歩不可。それならと、早朝の読書・執筆後、台
風に備えて屋上メンテナンス、さらにカミサンと一緒に2Fキッチンの換気
扇を掃除した。まったく多動児だ。
2日ほど前に岡部伸(のぼる)著「至誠の日本インテリジェンス――世界
が称賛した帝国陸軍の奇跡」を読了した。地元の図書館から借りた本だ。
岡部氏の「あとがき」によると脱稿は2022年1月、初版発行は2022/2/22
で、プーチン・ロシアがウクライナ侵略を開始した2月24日の直前だ。
岡部氏は産経新聞論説委員。版元はワニブックスで、「なんで産経系列
の出版じゃないのだろう」と思ったが、「プーチンの侵略前に発行す
る!」という、多分、過労死寸前の大車輪、戦場のような編集作業だから
産経出版や扶桑社ではなくワニブックスになったのかもしれない。
もっとも作業現場は小生の起業したような編集プロダクションが下請け
で地獄の思いをするのだが、出版社の担当者も発行が遅れると減点になる
から大変だ。好きな仕事だからやれるようなもので、無事発行に至ればケ
ロッとして苦労は忘れ、出版社が打ち上げの宴席を設けてくれたりする。
今度生まれても出版業界を選ぶだろう。
図書館から同書入荷のメールが来たのは4月あたりで、数人待ちのため
に入手できたのは7/28、返却は8/11だから焦りまくって読んだが、終活で
「本は増やさない」ようにしているものの、とても勉強になったのでアマ
ゾンでポイント利用し税・送料込1500円で中古品を発注した。
ネットで検索したらユーチューブ2022/3/18で「宮崎正弘の生インタ
ビュー #19」で岡部氏が登場していた。78:41という数字を見て“視聴能
力”が5分ほどに劣化している小生は諦めたが・・・
「至誠の日本インテリジェンス」は座右の書にしたいくらい初心な小生
には発見、驚愕の連続で、目が覚めるようだった。
小生は「1917年のロシア共産主義革命により、大正デモクラシー以降の
日本はマルクスボーイだらけ。大卒など高学歴の若者の多くはアカにかぶ
れ、戦前の政府が反共法(治安維持法)で収監したら刑務所がいくつあっ
ても足りないので、“転向”を表明したら保釈し身元引受人に預けるしかな
かった」と解釈していた。
が、戦中の政権中枢にも“隠れマルキスト”がウジャウジャいたことを
知って「一度アカ、一生アカ」が普通で、小生のような「アカに懲りてア
カを叩く」キャラは極めて異端と知って、かなりショックを受けた。
以下は同志諸君に是非とも知って欲しい、拡散して欲しいと思って同書
から転載した部分である。
<【日ソ中と連合する終戦処理案】当時の日本の中枢に、共産主義者の影
響はどの程度及んでいたのでしょうか。
陸軍は1945年4月下旬から、ソ連仲介による和平工作に動き出します
が、参謀本部戦争指導班長、種村佐幸が4月29日付で作成したのが「今後
の対ソ施策に対する意見」と「対ソ外交交渉要綱」です。
種村は前者で「ソ連と結ぶことによって中国本土から米英を駆逐して大
戦を終結させるべきだ」と全面的に対ソ依存して、「日ソ中(延安の共産
党政府)が連合せよ」と主張し、後者でも「対米英戦争完遂のため、ソ連
と中国共産党に、すべてを引き渡せ」「米英の世界侵略の野望に対して、
日・ソ・支三国が善隣友好相互提携不侵略の原則の下に結合し、相互の繫
栄を図るため、ソ連との交渉役として外相あるいは特使を派遣し、乾坤一
擲」を下せと進言していました。
同じ頃(1945年4月)種村の前任の戦争指導班長で鈴木貫太郎首相の秘
書官だった松谷誠は有識者を集め、国家再建策として「終戦処理案」を作
成しましたが、そこには驚嘆するほどのソ連への傾斜ぶりが書かれていま
した。松谷の回顧録「大東亜戦収拾の真相」(1980年)によると、「ソ連
が7、8月に(米英との)和平勧告の機会をつくってくれる」と、ソ連が和
平仲介に乗り出すことを前提に「終戦構想」を考えていたのです。
【スターリンは人情の機微がある】こうした記述からは、事前にソ連側
から何らかの感触を得ていたことがうかがえます。すでに対日参戦の腹を
固めていたソ連は、最初から和平を仲介する意図はありませんでした。に
もかかわらず、日本政府が、それが可能であると判断したのは、ソ連の対
日工作が巧妙だったからでしょう。
松谷が説明した「ソ連に頼って和平を行う理由」(以下の★)を読む
と、親ソ国家を目指した、国際状況に疎い当時の中枢の崩壊が透けて見
え、情けなくなります。
★スターリンは独ソ戦後、左翼小児病(現実を見ず融通の利かない教条
主義)的態度を捨て、人情の機微があり、左翼運動の正道に立っており、
おそらくソ連は日本に対し国体を破壊し赤化しようとは考えられない。
★ソ連の民族政策は寛容。白黄色人種の中間的存在としてスラブ民族特
有のもので、スラブ民族は人種的偏見少なく、その民族政策は民族の自決
と固有文化とを尊重し、共産主義化しようとする。ソ連は、国体(天皇
制)と共産主義とは絶対に相容れざるものとは考えない。
★ソ連は国防・地政学上、日本を将来、親ソ国家にしようという希望が
ある。東アジアの自活・自戦体制の確立のため、満州、北支を必要とし、
さらに海洋への外核防衛圏として日本を親ソ国家にしようと希望している。
★戦後、日本の経済形態は表面上、不可避的に社会主義的方向を辿る。
この点より見ても対ソ接近は可能である。
★米の企図する日本政治の民主主義化よりも、ソ連流の人民政府組織の
方が将来、日本的政治への復帰の萌芽を残す。
ここまでソ連に傾斜していれば「日本政府が共産主義に降伏している」
と米OSS(戦略情報局)に判断されても不思議ではなかったことでしょ
う>(以上)
岡部氏は「スターリンが異常なまでの猜疑心と権力への強い執着心から
粛清を繰り返す恐怖政治を行う悪名高き独裁者だったことは論をまちませ
ん。1930年代後半から始まった大粛清で処刑・獄死したのは700万人とも
1000万人とも言われています。そんな残酷な独裁者のどこに『人情の機
微』があるのでしょうか」とも言うが、それはスターリンの死後、1956年
の「スターリン批判」までタブー、極秘情報であり、世界中でほとんど誰
も知らなかったのだから、戦前の日本のアカを叩くのにそれを利用するの
は不適切ではないか。
歴史の真実に迫るのに現在のメガネ、価値観で上からの視線で解釈する
のは避けた方がいいと思うが・・・
蛇足ながら最近、日共のしんぶん赤旗みたいに猫なで声式「です・ます
調」で書く人が増えているが、軽佻浮薄な、媚びているような感じがして
小生は嫌いだ。気持ち悪い。生理的嫌悪感を催す。夏彦翁曰く「国家とは
国語である」。日本語を壊すな!とも言いたい。
それはさて置き、アマゾンの読者評価で同書は「5つ星」がとても多
い。以下の2022年3月4日の読者レビュー「少しタイムリーすぎないか?」
には大いに共鳴した。
<77年前、終戦のどさくさに中立条約を破棄して一方的に侵攻してきた
ソ連。樋口将軍をはじめとする部隊が頑張らなければ、下手すると北海道
から東日本がソ連に占領され、東日本自治共和国になって日本は分断国家
になっていたといわれる。1945年8月15日以後にこんな戦争が起きていた
という事実を多くの日本人が知らない。というか忘れている。
2022年3月、北京オリンピックの終わりを待ってロシアがウクライナに
侵攻。現在、侵攻中である。まさに歴史は繰り返す。日本人にとっては、
歴史を大いに学びなおす時期が来ているのではなかろうか。この本はイン
テリジェンスを中心に解説したもので、特に今の日本には必要なものだと
思う>
版元のワニブックスによる本書のポイントは――
<ヤルタ密約をキャッチした小野寺信、2万人のユダヤ人を救い、北海道
を守り日本分断を防いだ樋口季一郎、F機関を率いてアジアを解放した藤
原岩市。3人の帝国陸軍軍人の共通項は“至誠”の諜報活動だった。
かつての日本のインテリジェンス能力は世界屈指。世界が称賛し、そし
て脅威に感じた、戦前の知られざるインテリジェンスヒストリーに学ぶ!
▼小国の情報士官と協力、連合軍を震撼させた小野寺信:「枢軸国側諜
報網の機関長」と連合国に恐れられる/ポーランド士官を庇うため英国の
欺瞞工作に騙されたフリ/共産党転向者ら梁山泊の「小野寺機関」
▼ユダヤ人を救い、日本分断を防いだもう一人の「東洋のシンドラー」
樋口季一郎:ユダヤ人救済したもう一人の人道的な軍人/白系ロシア人
エージェントをソ連に潜入させる/スターリンの野望を見抜き、独断で自
衛戦争
▼F機関を率いてアジアを解放した藤原岩市:諜報大国イギリスが脱帽し
た日本の完璧なインテリジェンス/「独立できたのは日本が勇敢に戦って
くれたからだ」/連合国の戦勝史観から脱却してボース再評価>(以上)
有事の時代には有事の人材が登場すると言うが、第3次世界大戦・・・
ポスト安倍は誰になるのだろう、と不安が募る。習近平による最初の一発
は明日かも知れない。
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日本政府って何のためにあるんだろう?
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三橋貴明
増税の三年間 隠れ増税の三年間我々はどうするべきなのか?[三橋TV第
583回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/-GkjCX9RtrY
三橋TVで、高家さんが、「なんか政府って何のために
あるんだろうって思っちゃいます」と、的を射た発言をされていますが、
本当に日本政府って、何のためにあるんだろう・・・?
予想通り、日本の実質賃金が下がり続けています。
デフレ(総需要不足)が続き、同時に輸入物価上昇に起因したコストプッ
シュ型インフレが起きている以上、当然ですが。輸入物価上昇とは、日本
国民ではなく「外国の生産者の所得」上昇です。
生産活動が国内であれば、物価上昇は生産者の名目所得を引き上げま
す。とはいえ、輸入物価上昇の場合は、我々の支出は増えるものの、所得
は増えない GDPで言えば、民間最終消費支出の拡大にはなりますが、
輸入(※控除項目)増大によりオフセットされてしまう。結果、需要不足
は終わらない
需要とは、所得です。所得が増えないにもかかわらず、
支出だけが増え、可処分所得は減少。消費税増税と同じですね。日本の物
価上昇は、4月から始まりました。実質賃金は、三か月連続で対前年比マ
イナス。
『6月の実質賃金 3か月連続マイナス 物価上昇に追いつかず働く人1人
当たりのことし6月の現金給与総額は
去年の同じ月を2%余り上回り6か月連続でプラスとなりましたが、物価の
変動分を反映した実質賃金は3か月連続でマイナスとなりました。後略)』
http://mtdata.jp/data_80.html#RI2206
しかも、今後、エネルギー価格や食料価格が(やはり輸入物価上昇によ
り)高騰していくことは確定している。
となれば、日本国民の可処分所得、実質賃金はさらに
落ち込んでいくことになるでしょう。 つまりは、貧困化です。貧困化し
た国民は、「次」の消費を減らします。
消費税増税がそうであるように、コストプッシュ型インフレもまた、デフ
レ化要因なのです。
現在、食料・エネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)で見
たインフレ率は、対前年比で+0.2%。
もっとも、コアコアCPIといえども、例えば、「電気代高騰により、値
上げをせざるを得なかったサービス業」「ガソリン代高騰により、値上げ
をせざるを得なかった運送業」など、食料・エネルギー価格上昇の影響は
受けざるを得ません。
食料・エネルギー価格上昇が、サービス価格に転嫁された分を除くと、
現在もコアコアCPIは確実にマイナスです。「デフレギャップが小さめ
に出る」内閣府の統計ですら、日本は約20兆円のデフレギャップを抱え
ている以上、当然です。日本国民を救うためには、政府の財政政策で、ま
ずは所得の補填を行わなければなりません。
最も適した政策が、もちろん消費税の減税・廃止です。
さらにはガソリン税廃止といった減税政策を組み合わせ、
直接給付の政策も進める。それにもかかわらず、第209回臨時国会は、
補正予算の議論は全くなく、閉会してしまいました。挙句の果てに、岸田
総理は内閣改造・自民党役員人事を行おうとしている。現時点で残留が決
定している閣僚は緊縮派、親中派ばかりです。
大変なことになる。今後、さらなる国民の貧困化が進むでしょうが、
その際に「自己責任論」に流されないで下さい。悪いのは、日本政府であ
り、政府の政策なのです。
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安倍晋三(元)首相殺害事件、その後
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馬場伯明
安倍晋三(元)首相殺害事件の「その後」について記す。(以下、安倍首
相と略す)。安倍首相は一発の銃弾の直後「なぜだ!なぜ俺が!」と不可
解に思ったことであろう。世界平和統一家庭連合(以下、統一教会と略
す)との関わりで、信者(母)の次男の山上徹也容疑者(以下、山上と略
す)に逆恨みされ統一教会幹部らの「身代わり」にされて、殺された。誰
よりも本人が最も無念であっただろう。
統一教会の関連団体へ簡単なメッセージを送ったばっかりにこうなってし
まった。まさに、「油断大敵」であり「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる
(韓非子)」。そして、わが国は有為・有能で大事な政治家を失ったの
か・・・。
しかも、山上の安部首相の殺害動機は「浜口雄幸や原敬の暗殺者のように
「憂国の情」や「反政権的意見」ではなく、「安部首相の政治的信条への
恨みではない」と(はっきり)供述している(2022.7.8朝日新聞)山上の
動機は「母親が統一教会に多額の献金をして破産に追い込まれ家族が壊れ
た」というあくまで個人的な「私怨・私憤」なのだ。まして「絶対に許さ
れぬ民主主義への凶行(〜民主主義の危機)(2022 .7.9日経新聞)」と
いう高尚な話ではない。
歴史は「後講釈」で作られる。明智光秀が織田信長を急襲した本能寺の変
も、後世の「後講釈」によれば「真犯人(!)」が10人ほどいる。
どういうことなのか。後講釈論で考える。「その事件で、誰が『損』をし
たかよりも、誰がどのような『利』を得たのか」が重要である。その
『利』を探れば事件の真相らしきものが見えてくる。では、その『利』は
何だったのか。誰が『利』を得たのか。(『損』は・・・後述:*1)
1.(結果的に)最大の『利』を山上が得たのである。「私怨による統一
教会への復讐」が所期の目的だったが、それが、その後の経過を見れば、
今や最大規模で進行し大きく達成されつつある。山上は、想定外の事態の
推移に、拘置所の中で欣喜雀躍(!)「やった!」とはしゃいでいるので
はないか。
すなわち、安倍首相殺害事件は、1か月を経過し、当初の「絶対に許され
ぬ民主主義への凶行-危機(2022/7/9日経新聞)」といった高尚な話か
ら、特定の宗教団体(旧統一教会)と安倍首相および同派所属議員や自民
党などとの不適切な関係がどうのこうのという下世話な話に移ってしまっ
た感がある。
殺害対象は、韓鶴子(総裁)や田中富広(日本代表・第4大会長。以下、
田中代表と略す)が本命のはずだった。だが、彼らを殺害したとした場合
は、単なる「私怨・逆恨み殺人事件」の幕引きで終わった可能性が高い。
一般の国民も、統一教会内部の争いや関連の人たちの喧嘩と受け取り、新
聞やTVなどのマスコミも報道価値が低いので些末な事件として処理したで
あろう。
山上は、家庭を崩壊させた統一教会に復讐するために、その幹部らの殺害
を企図したが果たせなかった。しかし、実行しても目的とは真逆の結果に
なった可能性が高い。つまり、統一教会は、被害者幹部らを深く追悼し、
信者に結束を促し、「今こそサタン(悪魔)と闘おう」と鼓舞したに違い
ない。被害者幹部らは「聖人(殉教者)*2」として崇められ、統一教会の
更なる積極的な布教拡大の契機となり、信者数は大幅に増加に向かったで
あろう。
(*2)統一教会の内部規定によるものではなく私の推測である。
ところが、山上が(仕方なく身代わりに)安倍首相を殺害した途端に、そ
の影響や効果の風向き・・・逆風が順風に変わってしまった。
(1).統一教会の高額な聖本(3000万円)、壺の押し売りや集団結婚式な
どの反社会的な事象含みの所業の悪評が、教会名の名称変更にかかわら
ず、今回の事件をきっかけに、突風のように再び世間に拡散していった。
(2).世界で名高い安倍首相の死去の報道に、国内外の多くの人たちが驚
愕し、追悼し、さらに、岸田首相は歴史的にも稀有な国葬まで決断した。
反統一教会の代表的人物として山上は世界的な有名人になった。山上に
『利』が転がり込んだ。(今後、第2の山上が出る恐れすらある。要注意
の議員がいるかもしれない)。
2. 日本国民(一般)にも『利』があった。山上が統一教会の反社会的な
事象の側面と実態を自分の家族の実例を下に具体的に暴露したので、多く
の国民が「統一教会に入信しない・させない」と新たに決意したと思われる。
3.民主主義の発展に『利』する。「自民党を支援している訳ではない
(統一教会)」と「(自民党は)統一教会と一切関係を持っていない(茂
木幹事長2022.8.2)」と(公式には)宣(のたま)う両団体である。政治
と宗教の不透明(にも見える)関係が断たれ、望ましい関係へ向かえば、
自民党のある意味での再生と日本の政党政治、さらに民主主義そのものの
一層の発展と定着に『利』すると思われる。
参考までに、「統一教会を巡る閣僚の主な発言(記者会見から抜粋、
2022.8.7日経新聞)」を次に転載する。
「メッセージを送り、パーティ券を購入した事実はある」(末松信介文科
相)「会合の冒頭であいさつした事実はあった」(萩生田光一経産相)
「2,3通の祝電を出した。頼まれたら機械的に出している(山口壮環境相)
「何人かと付き合いがある。選挙の際に電話作戦などでボランティアとし
て手伝ってもらった」(岸信夫防衛相)
「関連団体のイベントで実行委員会の委員長を務めたのは事実。イベント
で一言、話をした」(二之湯智国家公安委員長)・・・以下省略。抜粋終
わり。「『党』としては『一切関係なし』(茂木幹事長)ではあるが、今
後、名実ともに個々の議員も『一切関係なし』となっていくのだろうか。
注視すべきである。
4. 岸田首相の政権運営にとっても大いに『利』があった(と推測す
る)。この事件は「瓢箪から駒(!)」だったのかもしれない。《2022/8
/6、岸田首相は、広島市で開いた記者会見で、旧統一教会と関係する議員
の(閣僚や副大臣への)起用を問われて答えた。『当該団体との関係をそ
れぞれに点検し明らかにしてもらう。その上で適正な形に見直すことを指
示する』と話した。(先月末まで)『政治家の立場からそれぞれ丁寧に説
明していくことは大事だ(2022/7/31同紙)』と述べるにとどめていた。
今回一歩踏み込んだのは実態解明を求める世論が強まったからだ》
(2022/8/7日経新聞)。
岸田首相は、すでに安倍首相の国葬を決定しているので、安倍首相が政治
家としては別格の存在となり、自民党の最大派閥の代表を含め、その行方
が不透明になるかもしれない。それを懸念してか、安倍派(清和政策研究
会)を「『馬糞の川流れ』の運命か」と揶揄する記事もあった(Yahoo
ニュース2022.8.1)。自民党の派閥が大きく再編成されるかもしれない。
最後に、私的な結論を述べたい。
1.(統一教会の宗教活動は自由であるが)まず、統一教会になお反社会的
な所業があるのであれば、国から地方公共団体に至るまでが協力して徹底
して必要な処断をしなければならない。
2. 政教分離について、憲法に基づき関連法令を研究し、国会において超
党派でしっかりした議論を行い、あるべき形を実行に移してほしい。
3. 統一教会に関係した自民党等の議員たちは「タダより高いものはな
い」という古来世間でよく知られてきた教訓をかみしめていただきたい。
4. 安倍首相は不幸にも凶弾に倒れた。それは(事情にかかわらず)絶対
にあってはならないことだった。政治家に対する暴力を完全に防ぐ警備体
制をぜひとも構築していただきたい。(*3)(2022.8.8 千葉市在住)
(*1)安倍首相こそが絶対的な『損』を被った。心から追悼の誠を捧げ
る。なお統一教会の『損』や自民党等の議員らの『損』は自ら当然に負う
べきものである。
(*3)政治家への暴力の増加について、著述家菅野完が警鐘を鳴らしてい
た。福山哲郎や辻本清美が受けた街頭での執拗な暴力行為を事例に挙げ
「このままいけば、参院選では死亡事故が起こっても不思議ではない」と
書いた(「メルマガ」2022.5.30)。そして「その予測は不幸にも的中し
た」と(「月刊日本2022.8号」94p)。(了)
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重 要 情 報
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◎偶には野球を語って見よう:前田正晶
大谷翔平君は偉い:
104年振りとかでベーブ・ルースの記録に並んだと、我が国のマスコミは
大谷君を褒めそやしている。「辛口」とも言われている私も彼は「彼以外
に打てる者がいない」と「彼以外にまともな投手がいない」と「彼を重用
してくれた監督が解任された」等々の悪条件を克服して、大記録を達成し
たのは立派だと賞賛せねばならないと思っている。
私は何と言っても大谷君が偉いのは、あのダルビッシュが「異種の競技を
やっているのかと思った」といみじくも喝破したアメリカの野球の世界
で、異文化と異言語の世界で、投と打の両面をこなして新記録に到達した
のは素晴らしい大業績であり、勝手に予測すれば「今年のMVP獲得も決
まった」と見ている。
彼の野球を見ていると、どうしても納得できない事がある。それは、偶に
テレビの画面に出てくるベーブ・ルースの打撃フォームや走っている104
年前の姿を見ていると、それと現代の体格も違うだけではなく体の鍛え方
というかトレーニングの方法も違うだろう大谷君と比較するのですら失礼
ではないかと感じてしまうのだ。
また、当時とは野球の質も変わっているだろうし、道具も用具もボールの
質も違ってきたのではないだろうか。言いたいことは、英語に言う“apple
to apple comparison”(同一条件または同じものとの比較)ではないと思
うのだ。即ち、ベーブ・ルースを現代のMLBに持ってきたら、到底一本目
にはなれないだろうし、大谷君が104年前に現れたら、ベーブ・ルースど
ころではない大選手だっただろうという意味だ。
私らしいかなと思う極論を言えば「かの長嶋茂雄や王貞治の最盛期の体格
と身体能力でも、現代のNPBで果たして一軍で通用するだろうか」という
意味なのだ。
私は大谷君がアメリカに行く前から「二刀流」なる珍奇な名称の使い方を
するのではなく、何れか一方で徹底的に使ったら如何と考えていた。現在
でもまだホームランこそ25本だが、ヤンキースのジャッジには遠く及ばな
いのだ。だから、打者だけに絞っておけばジャッジを抜いていることだっ
てありはしないかということ。打率だって2割5分辺りでウロウロしている
ことなどないだろう。投手だけにしたら、もう20勝に近いところに到達し
ているのでは。
それでも、投手と打者の両面であれだけの成績を挙げて、アメリカ全体で
も高い評価を受けているし、もしもFAになるかトレードが成立すれば、60
億円とも言われている年俸になるのだから、私如きは何か言わずに成り行
きに任せておけば良いのかと思っているのだ。
甲子園の野球:
余りの暑さにボーッとなったのか「そう言えば、高校野球もやっていたの
だっけ」とばかりに、気が付いた時にチャンネルを合わせている。開始さ
れる前に、暑さ対策で「午前中と夕方から夜の暑くないときだけに試合を
する」との話があったが、どうやら「検討中」に過ぎなかったようだ。
何処かでチラと見たが、報道こそない話で、時々「治療中」といって中々
グラウンドに出てこない選手は、暑さが足などに来て動けなくなったのだ
そうだ。故障者が出ていないというのは「大本営発表」の類いかなと、
疑っている。第一、スタンドで応援の踊りをしている部員たちも良く酷暑
に耐えていると感心している。
高校生たちを見ていて気が付いたことを2〜3取り上げてみよう。「ア
レッ」と思ったことは多くの学校で「まさかズック靴(古いか)?」と思
わせられた白いスパイクシューズを履いている点。この手の靴はNPBでも
見かけるようになった。居合わせた二男が「高野連が白いスパイクシュー
ズにせよ」とでも通達を出したのかと言っていた。斬新な流行(ファッ
ション)に見える。
次は「打者走者が一塁ベースに頭から滑り込んでみせること」だ。これは
「高校球児の闘志の現れ」として寧ろ賞賛されているかの感すらある。理
論的には「駆け抜ける方が速い」とハッキリしていると聞いている。だ
が、「負け試合の最後の打者となった者は、凡打でも頭から滑り込むべ
し」という指導が為されているのだろうか。私には非合理的な事だとしか
思えない。また余計なことを言えば、あれは正確には「ヘッド・ファース
ト・スライディング」なのだ。
最後は「坊主刈り」の継承。髪の毛を伸ばしている学校は時たま見かける
が、圧倒的多数は丸刈りである。これが高野連の通達事項かどうかは知ら
ないが、私には時代遅れな「敢闘精神」の表現と「皆で同じにしよう」と
いう精神主義に見えてならない。昭和24年(1949年)湘南高校が最初で最
後の夏の甲子園出場で優勝したときには、半数以上が長髪で「湘南
は?!」と批判的に報道されたのを覚えている。慶応高校だって伸ばして
いるよ
◎安倍さんの魂の慰霊は、どうすべきか?
テーマ:ブログ:北村維康
非業の死を遂げた安倍さんの慰霊について、国葬をやるとかやらないと
か、今でももめてゐるが、安倍さんにとって、こんな失礼なことはない。
「戦後レヂームからの脱却」を標榜して、果敢に戦後サヨクのタブーに挑
戦し続けた安倍さんは、彼らの痛いところを平気で踏んづけてきたから、
「叩っ切ってやる」などのおよそ人間として品性のかけらもないやうな罵
詈雑言を、悔し紛れに吐くのだらうが、あきれたものである。
処で、亡くなった方の慰霊は、死後49日は、御霊はまだ中陰と言っ
て、霊界の待合室のやうなところにゐて、この間にお経などを読んであげ
ると、それを聴いて御霊は悟りを深められ、その程度によって、これから
行くべき霊界の場所が決定されると言はれてゐる。であるからして、我ら
国民は安倍さんに大変お世話になったので、そのご恩返しに、心をこめ
て、お経を読んであげると良い。合掌
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身 辺 雑 記
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13日の東京湾岸は曇り、雨。
渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。
元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。
仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。
兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60代に死んだが
母親は98まで生きた。
渡部 亮次郎
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渡部 亮次郎