平井 修一
1990年代にネット言論が普及するまで、言論界は左翼が牛耳っていた。言論は商品であり、言論人は媒体を持っている左翼に言論を買ってもらっていた。だからタニマチの左翼に逆らう言論はごく少数派だった。
ネット言論はほとんどが無償だ。カネで左右されない。言論は本来的に拡散されたいという願望を埋め込まれているが、(建前はともかくも)著作権の縛りがないために、いい論考は拡散される。
多くのマスコミ(テレビ、新聞)は未だにアカが主導しているから、彼らの中共寄りの主張に沿わない言論は絶対に報道されない。ネット言論は百花斉放、百家争鳴で、左右のいろいろな内外の言論を知り、真実に迫ることができる。
嘘を書けば「炎上」するから、これがブレーキになっており、ネット言論はそれなりに、赤いマスコミよりはマトモである。朝日、毎日、東京・中日、沖縄タイムス、琉球新報が狂気的凶器、暗愚的狂気であるのならば、ネット言論は遥かに良識的正論に近い。
前書きが長すぎた。「細川珠生【総理談話「『謝罪』次世代に背負わせない」を評価】ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く」(Japan In-depth8/18)から。
――今日(8/15)は「これからの日本の進むべき道」というテーマで、2週に亘り櫻井さんにお話を伺います。戦後からもう70年経って、終戦の貧しさとか大変さが嘘のような日本になりましたけれども、終戦記念日を迎え、改めてこれからの日本を考えてみたいなと思ってるんですね。櫻井さんも私も戦後世代ということで。
櫻井 私も一応そうですね。(平井:1945/昭和20年10月26日、ハノイの野戦病院にて出生)
――終戦のときの出来事であるとか、戦争の思い出は当然ないんですけれども、何かご両親からお聞きになって、戦争の話とか戦後の話で記憶に残ってらっしゃることはありますか。
櫻井 私のところはですね、母も父も、意外に戦争のことについてはたくさん話してくれたんですね。で、今日この番組の終了のあと、私、靖国神社に参拝に行くんですけれども、母方の伯父が一人、父方の叔父が一人、満洲で亡くなっているんです。おじいちゃん、祖父がですね、自分の亡くなった、戦死した子供のことを私によく話してくれました。
もちろん私はこの叔父たちには会っていないんですけれども、こういう方たちが戦ったんだなと、本当に一生懸命、ふるさとや国のために、家族のために戦って若い命を落としたわけですね。その叔父たちだけではなく幾百万の方たちがそういう風になくなったということは忘れてはいけない。
今珠生さんがね、とっても豊かな、平和な日本が築かれたと、仰いました。そのとおりなんですよね。でもその人たちが頑張ってくれたおかげで、今があるっていうのは、別に父母がそう言ったわけじゃないんですが、両親の話を聞きながらね、自然にそういう風に思うようになりました。
――それ、一番大事なところなのかなと思うんですけれども。
櫻井 今それがね、忘れられているというか、あまり思い出してもらえない。しかも、靖国神社に参拝することはね、右翼とか、軍国主義に通じるようなことだというふうに、非難する向きがありますけれども、これこそ、世界に向かってこんなことを言えば非常識だと言われます。おかしい。
日本のおかしいところをやはり、私たちは自覚をして、おかしかったらそれは改めていかなきゃいけないって、本当に思いますね。
――私も戦争体験はないんですが、私の父の細川隆一郎(平井:毎日新聞社記者・政治部長・編集局次長・東京本社編集局顧問など)は、戦時中に新聞社に入って、すぐ翌月に、もう入営したということで。
戦地に行きまして、新聞記者でしたから通信部隊だったんですけれども、ただ生きているときは、戦争の話をほとんど私にしてくれませんでしたが、ただ大本営発表の嘘とか非常にそういうことに憤慨をして、やはりその権力の暴走というのは止めなくてはいけない、国が判断を見誤ると、国民が本当に犠牲になってしまう。
そのことが、やはりジャーナリスト活動の原点だったような気がするので、私も常にその父の原点というのを思い出しながら、今これから、自分の人生というのを生きていかなきゃいけないなというのを感じるんです。
そういう意味ではですね、戦後70年、だんだん語り継がれなくなってきたということは大きな問題だと思うんですが、ここで、安倍総理が、昨日、70年の談話というのをだしました。
この談話についても、いろんな人がいろんなリクエストを出して、それそもそも談話を出す必要があるのかどうかということもあったと思うんですが、そのなかで、閣議決定をする談話を総理が出された、これについては、櫻井さんはどういうふうにお考えですか。
櫻井 談話が出される前ね、今細川さんが仰ったように、いろんな人がいろんなことを言って、この言葉を入れるべきだとか、いや入れたらだめだとか、言ってましたね。村山談話・小泉談話はですね、そういったものってなかったんですよね。村山さんはいきなり出しましたし、小泉さんも周りと相談した形跡って、聞かないんですね。
けれど、安倍さんの談話に対しては、本当に沢山の注文がついた。そのために、21世紀懇談会有識者の会まで設けたりしましたね。本当に、安倍さんらしいものが出せないのであるならば、私はむしろ出さないのが一つの手だと思ったくらい、外野の席の声が大きかったですね。
で、昨日出されまして、じっくりと記者会見も聞きました。談話の文章そのものも読み込みました。終わってみればですね、談話、非常に良い内容だったし、出して良かったのかなと。
当初は安倍さんも、閣議決定はしないつもりでいらしたとうかがっていますけれども、これを閣議決定したわけですね。で、閣議決定したということは、政府がこれを正式に認めて出しますということですので、この内容であるならば、私はむしろ閣議決定をして良かったのではないかというふうに思いましたね。
――私も、少し長かったんですけれども、いろんな人のリクエストというか、思いを受け止めながら、安倍さんご自身が自分の言葉で作られた文章というのが、良かったなと思うんですね。
先程櫻井さん仰ったように、いろんな人の犠牲とか命の上に今の日本があるということを忘れてはいけない。胸に刻んでいくとか、思いに致すとか、そういう言葉が繰り返し繰り返し出てきた、そこにそういうことが現れているような気がするんですね。
櫻井 そうですね。日本が戦争をして、その舞台となったアジアの国々、オーストラリアも他の国々も初めですね、そこで被害に遭った人たちに対する、痛切な思いっていうのは本当に繰り返し繰り返し十分に表現したと思いますね。
それからもう一つ戦後の日本が、敗戦国として、国際社会に復帰するのに、かつては熾烈な戦いを演じた相手、アメリカとかオーストラリアとかですね、アジアの国々に対しても、非常にその、きちんとした姿勢で、援助の手を差し伸べてくれたことに対する感謝の気持ちを表明していますよね。
この中に入っていない国が、中国とロシアですよ。これは中国とロシアに対する間接的なメッセージだというふうに思いますね。
そういったことに加えて、すごく良かったと思うのは、今人口の8割以上が戦後生まれですよ、戦争を体験したことのない、全く関係のない子供達に、未来永劫、謝らせるようなことはしたくないと、ここで謝罪は終わりですよと、今まで誰も言わなかったことをきちんと仰ったことはすごく良かったですね。
――そうですね。50年談話が出されたとき、私は27歳だったんですけれども、まだ謝るのかなと思ったんです。そして60年でまた謝って、で、いつまで謝るんだろうというのが、ずっと私は心配だったんですね。私ももちろんだし、これからのあとの世代のことを考えると、そういう意味で今回本当に心に響いたのが、この一文でした。
櫻井 やはり珠生さんもそう? やっぱり多くの人がね、他の人にも聞いてみましたけれども、一番印象に残ったのがそこだったという方が多かったですね。
私つい最近、シンガポールでの国際シンポジウムに出たんですけれども、そこでもアメリカの人とか、インドの人とか、それから現地の方からもですね、「70年前のことを、まだずっと謝りなさいという、中国と韓国はおかしい」と、中国と韓国という二つの国を名指しした非難が、国際シンポジウムの場で、繰り返し出てきました。
ですからやはり、反省することは大事だけれども、70年経った今、まだまだ謝れ、まだまだ謝れ、韓国は「1000年経っても恨みは消えない」と言っているわけですが、そのような考え方自体がやっぱりおかしいのであるというのが、国際社会の見方だということを私達は知っておくべきです。
安倍総理の談話は、そこをきちんと見て、「子供たちの謝罪は、なしにしましょうね」とはっきり線を引いてくださったことは、本当に良かったと思いますね。
――それに、国際社会がそう見ている中で、また謝ると、日本の信頼が損なわれてしまう。
櫻井 あまりにも自己を卑下する人は、他の人に認めてもらえないし、尊敬もしてもらえない、ということですね。本当に良いことだったということです。
――そういう意味では、この70年談話、いろいろ心配しましたが、閣議決定をしたこと、それから、内容についても、出して良かったものっていうふうに、私たちは考えていた方がいいということですね。
櫻井 終わってみたらバランスのとれた、前向きの立派な談話だったと思いますよ。
――戦後70年の今日、先の大戦に何を考え、何を思うのか、一人一人の日本人が問われていると思います。
「細川珠生【膨張する中国の脅威から日本を護れ】ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く 2」(同8/24)から。
――終戦記念日が来て一つの区切りがつき、やはりこれからの日本を真剣に考えていかなくてはならない。櫻井さんは常々、「今日本は岐路に立たされている」と仰っていますが、この「進むべき道」ということをもう少し掘り下げて考えますと、やはり、きちんとした独立国になるということが、日本に今問われていることだと思うんですね。
その一つがこの安保法制をきちんと成立させる、これが大きな一歩になると思いますが、今、国会のやりとりというよりは、国民世論の中で反対の声が大きくなっていることに、私は大変危惧を抱いています。櫻井さんはどうお考えになりますか。
櫻井 確かに、国民の皆さん、統計をとれば、世論調査をすれば反対という人の方が多いですよね。国会の周りには10代の方も含めて、若い人たちが戦争法案反対と言って、デモをしてらっしゃる。みんなやはり、心配してるんだと思いますね。
「この法案を通したら、本当に日本は戦争をする国になるんじゃないか」。新聞によっては「殺し殺される国へ」とかですね、書きますけれども、よくよくしっかり見ればですね、私は、新聞の書いている「戦争法案」とか、「殺し殺される国へ」とか、「侵略する国になる」というのは、もっとひどいところは「徴兵制が実現される」って書くところもありますが、これみんな間違いだと思います。
安保法案を読んでみれば、どこにそんなことをする隙間があるのかと思いますね。これはあの、集団的自衛権、日本を除く世界のすべての国々が権利を認められていて、権利を行使しているのが今の世の中。日本だけが、自らの手足を縛って、日本は行使しませんと言っているわけですね。
安倍政権は本当に少しですよ。いろんな条件をつけて、「このような場合に限って、このような場合に限って、その上にこのような条件をつけて」というふうに、本当に厳しい条件をつけて、部分的に、集団的自衛権を行使しましょうと、それを可能にするための安保法制ですよと、やっているわけです。
日本がこれだけ、ちょっと緩めたからといって、戦争をする国になるということは有り得ない。徴兵制も有り得ない。そういうことを言う人達は、やっぱりきちんとその根拠を示して、若い人達にもその根拠を教えるべきだと思うんです。
今の若い人達はすごく一生懸命に、真面目にデモをしてらっしゃる。私はその姿を見てですね、自分が20歳だったときのこととか、18歳だった時の頃と比べても、今の若い人達、本当に、熱心だし、私は自分の若い頃の方がいかにも、ノンポリで恥ずかしいですよ。
だけどもそういった真面目な、若人達に対して、きちんとした情報を提供するのがマスコミの責務だと思うんですが、それをしていないですね。その意味において、固有の名詞を言うわけではありませんが、朝日新聞とかですね、東京・中日というのは、本当にバランスを欠いた、歪んだ情報を出している。
これが、若い人達をいたずらに不安に駆り立てている。間違っていると思います、今のメディアの伝え方が。
――正しい情報が得られないで、若い人達が、なんとなくそうなるのではないかという、感覚的なことや、印象論で反対しているというのが多いと思うんです。
実際には、例えば中国が、日中の境界線にあるガス田でプラットフォームを作っている。そういう脅威が具体的にあるという中で、安保法制がやるべきことの一つだろうというふうに思います。やはり中国の動きだけではないけれども、日本を取り巻く国際情勢の中で起きていることに対して、きちんと対応を取ることが、今安倍政権が求められている、と考えた方がいいわけですよね。
櫻井 そのとおりだと思いますね。国というものがどういった要素によって支えられているのかというと、まず経済力がないといけませんよね、そしてもう一つ、軍事力がないといけませんよね。どの国も経済と軍事という、この車の両輪に支えられて、その上に政治が成り立ち、外交が成り立っているんですね。
日本はこの軍事という意味においては、本当に、実力があるかもしれませんけれども、法律的にこれを使うことができないようにしているわけで、それを今回少し緩めるというのは、今珠生さんがおっしゃったように、日本の周りの安全保障の環境がガラっと変わっちゃったわけでしょ、だって今までは、アメリカがとにかく守ってくれるという体制があった。
ところがそのアメリカが、2年ほど前からですね、「もう僕たちは世界の警察官じゃないんだよ」と、「だからみんな一人ひとり自分でやってよ」という風に、オバマ大統領が「アメリカは世界の警察官ではない」という演説をしましたよね。「軍事介入はしない」という演説をしたわけですね。
そしてそれを見た中国、そしてロシアが、アメリカが出てこないんであるならば我々にとって好都合だと、力による実行支配を強めていこうというので、このオバマ演説の半年後に起きたのが、クリミア半島の併合ですよね。
ちょうどその頃から、南シナ海で中国が闇雲に、島の埋め立てを始めたわけですね。最初は、平和利用だとか、漁民のためとか、そしてアメリカに対しても、埋め立てた島を一緒に使いましょうなどと言っていたのが、ある程度埋め立てが終わってしまって、逆立ちしてもアメリカが止めることができないという時になったら、軍事使用も有り得ると、言い始めたわけですね。
ちょうど同じ頃から、東シナ海の、さっき珠生さんが仰った、日中の中間線の、中国側ですけれども、ちょっと中国側に入ったところで、12もの新しいプラットフォームを作って、昔のものも合わせると16になったんですね。これは、軍事転用された場合は、日本にとっては大変な脅威になるんですね。
だからそのことを考えるとですね、中国は尖閣諸島も取りに来ていますし、沖縄も、中国の領土だとも、そういった論文がどんどん出ていますね。
そのようなことも考えると、アメリカが後ろ向きになり、中国がどんどん膨張し始めている、そのなかで、日本国を、そして日本国民をどう守るのかということになると、経済力だけではダメですから、ある程度力を使えるようにしておかなければならない。
ただこの使い方は、さっきから繰り返し言いますけれども、「侵略」なんてことは絶対にできないようになっている。危ないことが起きた時に日本を守るという意味の抑止力を作るという意味で、安倍さんはなさっているんだと思います。このような状況のなかで、安保法制を変えようとしない内閣がいるとしたら、それこそ無責任だと思いますよ。
――そうですね。安保法制もそうですが、中国の問題も、それからクリミア半島併合したロシアも、北方領土への実効支配もどんどん強めて、韓国も竹島での実効支配を強めています。
戦後70年経って、いろんなことが落ち着いたかのように、談話も発表されてですね、謝罪というのが一つの区切りもついて、良かったなと思う一方、でも日本は実は、意外にというか、気がつかないうちに、どんどん“侵略的”なことをされている。
平和で70年来ましたけれども、そういうことに無関心でいた日本国民というのは、やっぱり行き着くところは、憲法の、過剰なまでの平和主義といいますが、そういったものが、大きく影響しているんだと思うんですね。
櫻井 戦後の価値観を、憲法に書かれている価値観を、もっともわかりやすく体現している人は、誰かと考えたら、鳩山由紀夫さんだと思うんです。韓国に行って、土下座をした。新聞が写真を載せましたけれども、あの方はこちらが謝り、こちらが平和的な態度をとれば何でも解決するという風に考えてらっしゃる。善意でああいうことをなさったと思うんですね。
でもああいうことをなさっても、じゃあ韓国がどういうふうに譲ってくれるかということは、ないわけですよね。で、岡田克也さんも韓国に行って、二重外交した。先週は、安倍談話について、なぜ自分の言葉として、自身の思いとして「侵略」とか「反省」とかを安倍総理が言わなかったのかと言いました。その路線を辿って行くとこれも、鳩山さんの土下座に行き着くと思うんです。
今私たちは、民主党、鳩山さんは元民主党ですけれども、民主党路線の、土下座をする方向にいくのか、それとも積極的平和外交でそれなりの役割を果たしながら、日本としての立場を守っていくのかの、この2つの選択だと思います。どっちを選ぶかと言われたら、答えは明らかです。
――そうですね。それがまさに、岐路っていうことになるんですけれども、謝るだけでもだめだし、きちんと国としての体制を整える、そういうことが、今日本が求められている、日本の国内ももちろん、国際社会でもそう。
戦後70年を迎え、これからの子供達が生きていく社会は、そういうことを意識して、彼らのためにもそういう社会を今作ってあげる、大人たちが意識していかなければならないですね。
櫻井 まったく同感です>(以上)
国会周辺で騒いでいる若造は民青や過激派の類、中共の走狗だ。中共こければ皆こける。
蛇足ながら細川珠生氏は肥後細川家と遠い親戚関係に当たるそうだ。戦前、戦争を煽りに煽った朝日新聞をリードした細川隆元は、戦後の朝日をGHQ礼賛、共産主義(ソ連)信奉へと転向させたが(昔陸軍、今総評。朝日は強い者にすり寄ってきたわけだ)、珠生氏の父君、隆一郎氏は細川隆元の甥っ子だ。
細川護熙は朝日の記者だったが、肥後細川家はジャーナリストの血が流れているのかもしれない。玉石混交だろうが、珠生氏は文字通り「玉」だ。奮闘を期待したい。(2015/8/25)