頂門の一針 6204号
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2022(令和4年)年 7月20日(水)
露中北は日・ウクライナ共通の敵:シーチン修一
朝日に不都合な国際水連の決定:飯山陽
「日本経済は復活しない」:鈴木傾城
「アベノセイダーズ」の大罪:大原浩氏
アメリカの研究家がスパイ戦争:宮崎正弘
重 要 情 報
身 辺 雑 記
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頂門の一針(まぐまぐ)
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露中北は日・ウクライナ共通の敵
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“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」70/通算502 2022/7/17/日】カラ梅雨で水田は大丈
夫かなあと心配していたら今週から遅ればせの梅雨のよう。小雨の中を
チャリ散歩しながら、降りすぎても困るが、降らないともっと困るから、
天候に左右される仕事や生き物は大変だなあとつくづく思う。
水を巡る村同士の争いの跡「久地の横土手」には慰霊のお地蔵さまがあ
り、いつも花が捧げられている。そこから200mほど先には多摩丘陵西側
沿いの二ヶ領用水の水を各村の農地面積に従って分配する「久地円筒分
水」があり、今でも元気に機能している。川崎市によると、
<江戸時代、二ヶ領用水は多摩川から上河原堰及び宿河原堰の2箇所で
取水されたのち、高津区久地で合流し、久地分量樋へ導かれ、そこで四つ
の堀(久地堀、六ヶ村堀、川崎堀、根方堀)に分水されていました。
久地分量樋は、樋(水門)によって、決められた水を分ける施設でした
が、正確な分水ができず、水量をめぐる水争いが絶えませんでした。
そこで、昭和16(1941)年に「久地円筒分水」が造られました。二ヶ領
用水から取り入れられた水は、平瀬川の下を潜り、再び噴き上がってきた
水を円筒の円周比により四つ堀に分水し、各堀へ正確に用水を供給してい
ます。
この円筒分水の技術は、当時としては大変に優れた自然分水方式だった
ことから、各地で同様のものが築造されました。「久地円筒分水」は、そ
の歴史的な重要性や、全国に広がる初期の円筒分水の事例であることか
ら、平成10(1998)年に国の登録有形文化財に登録されています>
いつものことながら感動するが、まったく人類の歴史は試行錯誤の連続
だ。何のためのピラミッド? 長城って役に立ったの?・・・当時、建設
に強制動員された人々は随分な目に遭っただろうが、今はエジプト、支那
の観光資源として大いに役立っているとは想定外のビックリ仰天、まさ
か!とショックを受けるだろう。
考えようによっては、この世は「一寸先は闇」とは言わないまでも「ま
さか!」に溢れている。「良いまさか!」はあまりないが、「悪いまさ
か!」は結構多そうだ。「悪いまさか!」はマスコミの日々のネタだから
目立つだけかもしれないが・・・
「まさか!」は日常生活でも珍しくない。小生は毎朝、お日様に向かっ
て「今日も一族が無事でありますように」と祈るが、今日一日が「無事
に、普通に過ごせた」ことは、謙虚な気持で見れば、実は「良いまさ
か!」なのかもしれない。
この「普通」が「不通」になるとニュースになる。事故や停電、台風な
どで新宿駅東口に帰宅の通勤者が溢れる映像は毎度おなじみだ。リタイア
したヂヂババは「まあまあ大変な災難、お気の毒、ハイヒールで家まで歩
けるのかなあ、備えあれば患いなし、通勤はズックに限る」なんてまるで
他人事。
ところが事件や災難が自分事になると一転する。卑近な例では、誰でも
歳を重ねれば気力体力の劣化を免れないことは知識として知っているが、
予想を越える「まさか!」にはずいぶん動揺するものだ。職業軍人を目指
していた父は寒い、暑い、痛い、辛いといった言葉は絶対口にしなかった
が、肺癌で片肺切除後は「家に風邪を持ち込むな」と風邪をとても恐れて
いた。その気持ち、分かるなあ。
小生はここ1か月ほど頻繁に足が吊るので往生していたが、先夜は1時間
おきに吊り、痛いやら眠いやら、どうすることも I can not。「そう言え
ば以前、カミサンはしょっちゅう足が吊ってギャーギャー悲鳴を上げてい
たが・・・」と思い出し、朝一番で症状を伝えたところ、
「加齢による筋肉の劣化が一番の原因だけれど・・・あなたは頻尿をも
たらすコーヒーばかり飲んでいるので水分不足、また甘いお菓子をよく食
べる割にしょっぱいものを避けるので塩分の不足。水分と塩分の摂取を心
掛けなさい。当座は就寝前に芍薬甘草湯を服用し、足を冷やさないように」
指示通りにしたら、その晩から4時までぐっすり、一度も吊らなかっ
た。さすが元患者、現役ナース、たとえ心の中でも「おたんこナースのく
そババアめ」などと罵倒するのは控えよう。さすればカミサンも「役立た
ずのくそヂヂイめ」と思わなくなるかもしれない。愛に目覚めた二人の行
く末は・・・
話しは変わるが、憎まれっ子世に憚る、世界は危険な「くそヂヂイ」に
翻弄されているよう。プーチンによるウクライナ侵略は、当初の彼の予想
では1週間あたりで片が付くはずだったらしい。ところがウクライナの徹
底抗戦に遭い、マスコミは1か月ほど前から「長期戦になりそう」と報道
している。
狡猾なプーチンでも「弘法も筆の誤り」「良い予感は外れる」「一寸先
は闇」という格言を思い出して、「どうも甘かったか、2014年クリミア奪
還の成功例に味をしめて警戒を怠ってしまった、KGBの奴らの甘い言葉を
信じた俺もバカだったが・・・しかし成果もなく今更撤収するわけにはい
かないし、上手い落としどころをトルコあたりが提案してくれればいいの
だが・・・」と悩んでいるかもしれない。
あるいは「兵糧攻めに加えてパイプラインを止めればEUも泣きが入って
調停に舵を切る、NATOも口先は威勢がいいが動けまい、暫くは我慢比べ
だ、ロシア人の根性を甘く見るな!」と強気かも知れない。
EUやNATOの本音は「適当なところで停戦、手打ちをすればいい」だろう
が、ウクライナは「それではクリミア半島を奪われたときと同じだ、再び
屈服すればウクライナは永遠にロシアの属国になってしまう。もうウンザ
リだ! ウクライナの明日はヨーロッパ、アジアの明日だ、武器をもっ
と!」。命懸け、必死だ。
一方のプーチンだって安易な妥協をすれば、「愚かな戦争をして晩節を
汚した」と評価され、これは「偉大なるソ連帝国復活」「甦るレーニン」
を目指す彼の受け入れられることではない。勝利を目指すか、停戦する
か・・・To be or not to be, that is the question. 結局、動揺はあっ
てもプーチンは一歩も引くことなく長期戦に賭けるだろう。
それはロシアの国民性を見ても分かる。ロシアの大多数を占める庶民は
大昔から農奴のようなもので、伝統的に為政者、宗教者による情報しか知
らないし、圧政に慣れており、苦難に対する忍耐力が非常に強い。純朴単
純かつタフな根性マン、マッチョだから、1年や2年の戦時統制経済にはへ
こたれないだろう。日本に帰化したロシアの経済学者、日本名・井本沙織
氏の「ロシア人しか知らない本当のロシア」から。
<ソ連時代の末期、1980年代末のソ連のスーパーマーケット(庶民向
け。党員向けは別)の光景は都市部でも惨憺たるものだった。ショーケー
スにはほとんど何も入っていなかった。もともと不足していたし、たとえ
食品があったとしても長い行列をなした人々により、すぐに売れてしまう
ので、ショーケースの上に置かれ、その後ろにはがっちりとした売り子の
女性が立ち、「次、次」と声を荒げながら客を手早く追い立てていた。
このままなら餓死する人も出かねない、と心配する声が聞こえ始めてい
た。とりわけ地方は深刻で、食品が並ぶはずの棚には乾パンとウオツカし
かなかった。石鹸、シャンプー、トイレットペーパーは贅沢品だった。
人々は買い出しのために大きな布袋を抱えて列車に乗り、数百キロ離れた
モスクワへ向かった。モスクワは政府の根拠地であり、外向けの顔でも
あったから物資の補給に恵まれていた。輸入品は真っ先にモスクワに入った。
当時はデフィシト(不足)という言葉が「おはよう」「こんにちわ」と
同じぐらいの頻度で使われた。日用品、愛想、信頼、期待のすべてがデ
フィシトの時代だった。それと並んでオーテェレディ(行列)は、ソ連末
期という時代劇のシンボル、主役だった。市民はただその脇役を熱心に演
じるだけだった。毎日の行列は耐え難いものだった>
第2次世界大戦はヒトラー・ナチスの国家社会主義独裁国とスターリ
ン・ソ連の共産主義独裁国の密約から始まった。第3次世界大戦も版図拡
大を目指す露+中北によるウクライナ侵略からその序章が始まったと言っ
てもいいだろう。
この露中北の自由民主人権法治すべて“デフィシト”だらけの赤色トリオ
は、独裁者である己と側近、護衛の将兵以外は“消耗品”ほどにしか思って
いないだろう。逆に言えば側近や軍幹部が反旗を翻したら、ルーマニアの
チャウシェスクのように速攻で処刑されるに違いない。
国民による反政府デモ、軍人によるクーデター、側近の反逆・・・それ
を避けるために独裁者は常に求心力を高く維持しなければならない。国民
や国際社会から敬愛され支持されるのは難しいが、「舐められない、恐れ
られる、畏怖される」ようにするのは独裁国では容易だ。
カネと名誉で側近を結束させる、気に入らないインテリは処刑し、イエ
スマンは優遇するという「アメとムチ」の信賞必罰。人民は生かさぬよう
殺さぬように奴隷化、暗愚化、それでも求心力が弱まれば奥の手で戦争を
起こして国民の関心を外にそらしたり・・・プーチン、習近平、金正恩の
統治はそれをしっかり踏襲している。
しかし、嘘や恫喝による共産主義独裁政権は長続きしない。言論統制が
厳しくても国民は「腐敗した資本主義国の奴隷化した民の暮らしが自分た
ちより遥かに進んでいる」ことを徐々にではあれ知るようになるからだ。
ソ連崩壊を機にソ連圏の多くの国が赤色独裁のクビキから解放されて自
由民主人権法治の空気を吸えるようになった。ウクライナもようやく自分
の国、祖国を取り戻したのだ。プーチンはそれを奪い返そうと襲いかかっ
ている
西のウクライナ(宇)と東の日本。ともにプーチン・ロシアに領土領海
を奪われ続けてきた。露中北は日・ウクライナ共通の敵である。自由民主
人権法治の価値観を共有する日宇は共に支え合うべし。危機感を持って備
えよう。
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朝日に不都合な国際水連の決定
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【新聞に喝!】 イスラム思想研究者・飯山陽
国際水泳連盟は6月19日、出生時の性別と自認する性が異なるトラン
スジェンダー女性が女子大会に出場することを規制すると発表した。米国
では3月にトランス女性が全米大学選手権の女子500ヤード(約457
メートル)自由形で優勝したのを受け、この問題についての議論が激化し
ていた。6月20日には世界陸連、21日には国際ラグビーリーグ連盟も
トランス女性の女子大会出場規制について言及した。
朝日新聞はこれについて、紙面に通信社の短い配信記事を掲載しただけ
だった。
昨夏開催された東京五輪では、五輪史上初めてトランス女性が女子競技
に出場した。朝日はこれについて繰り返し報じ、国際的な「性自認」尊重
の動きだと称賛、昨年6月12日にオンライン掲載された記事では「ホル
モン治療を受けたトランスジェンダー女性が競技上有利という科学的根拠
は、既存の研究を網羅した分析で見つかっておらず、IOCをはじめス
ポーツ科学の権威は、身長や筋肉の量など外見の違いを『個人差』とみな
している」と断定、批判者は差別主義者だとにおわせた。
しかし、同年8月1日付の当欄で書いたように、実は当時からトランス
女性の優位性を示す科学的根拠は指摘されており、テストステロン値のみ
を基準にトランス女性の女子競技参加を認めるIOC基準には異論も多
かった。
この度の国際水連などの決定は、朝日の昨年の報道が偏向していたこと
の証しだ。日頃、熱心にトランスジェンダーなど性的少数者(LGBTな
ど)について報じる朝日が当該決定について独自記事すら出さなかったの
が、ひとつの「答え合わせ」であるとも言える。
国際水連はトランス女性の出場できるオープンカテゴリーの新設を検討
すると決めた。トランス女性を競技から「排除」せず「包摂」するための
ひとつの解決策になりうる。
しかし、同時に国際水連は、トランス女性が女子大会に出場するには
12歳までに性別移行を完了しなければならないとした。これは早期の性
別移行を推奨、助長する危険性も孕(はら)んでいる。
この問題は議論の途上にある。日本でも遠からず問題になるだろう。だ
からこそメディアには偏向なしの、公正な報道が求められる。
【プロフィル】飯山陽
いいやま・あかり 昭和51年、東京都生まれ。イスラム思想研究者。上
智大文学部卒、東大大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に
『エジプトの空の下』など
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
産経新聞採録
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「日本経済は復活しない」
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鈴木傾城
国民が苦しみもがいている時、政府は税金を引き上げる。「日本経済は復
活しない」と断言できるワケ
経済縮小(デフレ)しているのに、日本政府はまるで「死ね」と言わんば
かりに消費税を引き上げたので、日本経済はまったく成長しないままゼロ
成長に沈んでしまっている。左翼反日議員は論外だが、与党の議員もまと
もかどうかは怪しいものだ。今の状況では、私たちの将来はないと断言で
きる。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を
取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブ
ラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フ
ルインベスト」を運営している。
「このままでは駄目になる」と理解しても何もしない
日本政府はこの30年、失策続きでずっと経済縮小(デフレ)を止められな
かった。それにもかかわらず、政府はひたすら消費税を始めとした税金を
引き上げてきた。社会保険料もまたどんどん上がっている。
新しい税金も次々と「発見」して取り入れようとしている。「炭素税」だ
の「森林環境税」だのを予定し、「独身税」だとか「死亡消費税」みたい
な奇妙なものまで研究しているのである。
ガソリンが上がってもガソリン税を下げようともしなかったが、電気代が
上がっても再エネ発電賦課金みたいなステルス税金もどきも勝手に取り入
れて引き上げたりしている。
そんなわけで、国民はもう完全に疲弊している。経済格差も広がり、富裕
層がよりリッチになる現象と共に、いまや年収186万円かそれ未満の層が
約1,200万人になっているのである。
少子高齢化もますます深刻化する中、高齢者の貧困も深刻になっていくば
かりだ。
政府は「年金だけでは暮らしていけない」「老後は2,000万円の貯金が必
要」と言っているのだが、2,000万円以上もの資産を持っている高齢者は
全体の32%程度しかなく、ほとんどの高齢者はそんな資産は持っていな
い。それこそ、「資産ゼロ」の人も19%もいる(令和3年:金融広報中央
委員会より)。
日本人は享楽的な民族ではない。しかし、その日本人も日本政府の長く続
く失策と税金や社会保険料の過剰なまでの搾取で、このような状況に追い
込まれてしまっているのである。
相変わらず政治が変わらないのであれば、「このまま日本は駄目になる」
とすべての日本国民は理解している。しかし、「理解はしているが何もし
ない」ので、座して国を滅ぼしてしまうのだろう。
「死ね」と言わんばかりに消費税を引き上げた日本政府
日本という国のバイタリティはもはやこの30年で完全に喪失してしまって
いる。1990年以降のバブル崩壊で日本経済が縮小(デフレ)に入ったのと
同時に少子高齢化が急加速して進むようになったため、日本の成長は目に
見えて低下していった。
バブル崩壊以後、日本政府はまったく日本を成長させることができなかっ
た。1991年から2021年までの実質GDPは、平均0.7%である。非常に弱々し
く推移しており、さらには何度もマイナスに突っ込んでいる。
驚くかもしれないが、経済成長することができずに苦しみもがいている時
に、政府は何をしたのかというと、税金を引き上げているのである。ちょ
うど★が付いている時は消費税が上がった年である。
経済縮小(デフレ)しているのに、日本政府はまるで「死ね」と言わんば
かりに消費税を引き上げたので、日本経済はまったく成長しないままゼロ
成長に沈んでしまっているのだ。
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「アベノセイダーズ」の大罪
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大原浩氏
何でも安倍氏のせい「死ね」など脅迫まがいの暴論も 遺志引き継ぎ「抵
抗勢力」と全面対決を大原浩氏が緊急寄稿
安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に銃撃され、死去した事件の衝撃は
いまだ消えない。海外から政策の先見性やリーダーシップを称える声が引
きも切らないが、国内では首相在任中から「反アベ」をあおり立ててきた
勢力も存在する。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、過去の米
大統領らの暗殺事件との共通点をあぶり出す。
安倍元首相の功績を次々とたたえる海外の首脳の反応を見ると、安倍氏が
日本の歴史上傑出した政治家であったことを改めて感じる。
だが、偏向メディアは、日本史上傑出した政治家の「志半ばでの無念の
死」を矮小(わいしょう)化しようとしている。
山上徹也容疑者が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に恨みを持ってい
たのは事実かもしれない。たとえそうであったとしても、恨みを晴らす対
象として安倍氏を選び、暗殺したという事実についてよく考えなければな
らない。
安倍氏をめぐっては、偏向メディア、左翼評論家、大学教授ら、何でも安
倍氏のせいにする「アベノセイダーズ」が、「反安倍無罪」のヒステリッ
クな言動を繰り返してきた。「お前は人間じゃない! たたき斬ってや
る!」という大学教授の発言や、「アベ死ね」という大合唱である。
日本では言論の自由が保障されているが、「死ね」などという殺人の脅迫
のようなことが許されているわけではない。それにもかかわらず「許され
ざる行為」が平然と行われてきたのである。
「みんなが『死ね』と言っているんだから、安倍氏は悪い奴に決まってい
る」と山上容疑者が思い込んだ可能性を十分検討すべきだろう。
韓国では2010年に重家俊範日本大使が襲撃されている15年にはマー
ク・リッパート米国大使襲撃事件が起こり、同氏は生命の危険にさらされ
た。これらの事件を、襲撃犯個人の問題に矮小化することはできない。韓
国が国ぐるみで「反日」「反米」をあおった結果とみるのが自然だ
安倍氏は日本の憲政史上最長となる、通算8年8カ月にわたって首相に在
任した。つまり民主主義によって成り立っている議会、その背景となる国
民の絶大な支持を得ていたということである。だからこそ、偏向メディア
や左翼が恐怖のあまりヒステリックになっていたと考えるべきだ。
米国では1865年にエイブラハム・リンカーン大統領が暗殺された。実
行犯は、ジョン・ウィルクス・ブースという俳優だ。彼は黒人奴隷制度維
持を主張していた民主党の支持者である。背後に何らかの組織が存在した
のかどうかは分からないが、「リンカーン大統領が奴隷解放を訴え、それ
ゆえに奴隷制支持勢力(の影響のもと)に暗殺された」と考えてもおかし
くはないと思う。
ちなみにブースは「大罪人」のリンカーン大統領を誅殺(ちゅうさつ)し
たのだから、自分は拍手喝采されて英雄になると思っていたようだが、現
実の人々の反応は全く逆であった。
1963年のジョン・F・ケネディ米大統領の暗殺も憶測が飛び交ってい
るが、マフィアなど既得権益層の虎の尾を踏んだという説が最も信憑(し
んぴょう)性が高いと筆者は考える。司法長官としてマフィア討伐の陣頭
指揮を執った弟のロバート・ケネディ氏も暗殺されているからだ。「米国
の暗部を浄化し、大胆な改革を実行」したことによって、「抵抗勢力」に
憎まれたのだ。
現在では安倍氏の盟友であったドナルド・トランプ前大統領も同じ理由で
「抵抗勢力」から憎まれているといえよう
日本においても、われわれは、憲政史上最も偉大な政治家の一人である安
倍氏の遺志を引き継ぎ、「抵抗勢力」と全面的に対決しなければならない
ということである。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国
際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。
夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
夕刊フジ【zakzak】ニュース採録
1FA597D74231489ABD4BFCC2AC244F1A.jpg
添付ファイル:
1FA597D74231489ABD4BFCC2AC244F1A.jpg 7.7 KB
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アメリカの研究家がスパイ戦争
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☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆☆◇◆◇☆◆◇◆☆◇◆◇☆◇◆◇
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)7月16日(土曜日)
通巻第7406号
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☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 書評 しょひょう
BOOKREVIEW
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 アメ
リカの研究家がスパイ戦争の真実をえぐり出した
大東亜戦争の背後:米国、ソ連、英国、毛沢東、蒋介石のすさまじい駆け引き
♪
山内智恵子著、江崎道朗監修『インテリジェンスで読む日中戦争』(ワニ
ブックス)
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インテリジェンス戦争の視点から第二次世界大戦、とくに日中戦争を捉
え直してみると、歴史の真実は教科書でならったこととまるで異なる。
事実は小説よりも奇なり。目がテンになる読者も多いことだろう。
列強のスパイ戦争の真実とは、米ソ、英国、そして毛沢東、蒋介石のすさ
まじい駆け引きがあり、その間に挟まったアメリカ人軍人たちの縄張り争
いと作戦の是非をめぐる路線対立があった。
通常の思考では考えられない諜報工作が舞台裏で展開されていた。
CIAの前身はOSS(社会主義者の巣窟だった)、スターリンはコミン
テルン、そして蒋介石は藍衣社ほか、毛沢東は米英とソ連ばかりか国民党
に大量のスパイを潜り込ませていた。欺しあい、内部の意見対立、英米の
対中支援、軍事援助の実態は、通史と異なる。
この時点での米国の諜報能力は、英国、ソ連、中国に比較すると劣ってい
た。CIAの発足は戦後、1947年である。諜報工作の足りなさの反省
から生まれた。OSSは1942年にドノバンをトップに発足したが、後
にソ連スパイとわかるノーマンやタイシルクのビジネスで当てたジム・ト
ンプソン等もメンバーだった。
米国は蒋介石が嫌いなスティルウェルを中国戦線へ送り込み、彼がやっ
たことは蒋介石軍を結果的に弱らせてしまった。
「スティルウェルが武器貸与法物資の分配と管理の権限を握っていた」
(66p)。このため蒋介石とは甚大な対立関係となり、また長引いたた
め、作戦上、不利な条件が積み重なっていく。
スティルウェルの銅像を湖南省でみたことがある。かれを顕彰するのは
蒋介石の軍事力を弱めてくれた結果だから、中国共産党が評価するのは当
然だろう。かれは蒋介石を嫌う一方で、スメドレーと親しく、八路軍は素
晴らしいと報告していた。あまりにも的外れだが、途中で異常にきがつい
た米国はウェデマイアーと交代させる。ウェデマイヤーが引き継ぎに行く
とスティルウェルは引き継ぎもせずに去ったあとで、書類もなかった。
その後、マーシャルがやってくる。米軍の援助体制は内部対立激しくは
ちゃめちゃだった。武器援助は巧妙に蒋介石に渡らず、毛沢東のゲリラ側
へ運ばれた。国民党軍幹部の横流しだけではなかった。
ウェデマイヤーは警告したが、米軍上層部は握りつぶした。
蒋介石は日本との軍事衝突の後、共産党を殲滅して中国を統一する戦略に
基づいているが、そのために武器を貯蔵したことも事実だったが、アメリ
カは単に日本をまかすために蒋介石を援助しているに過ぎない。両者の思
惑のずれが顕著だった。
フライングタイガーにしてもちぐはぐな対応から生まれた。
「(開戦前の)1941年4月、ルーズヴェルト大統領の補佐官ローク
リン・カリーの計らいによって、陸海軍航空隊や海兵隊航空団の退役軍人
によるアメリカ義勇軍」(62p)
が発足した。
フライングタイガーは米軍義勇兵とされたが、事実上の隊長はシェン
ノートであり、この本には書かれていないが、評者、湖南省奥地のフライン
グタイガー記念館を訪問したおりの写真やパネル展示、文書などから、
「くの一」にやられたのかと思った。シェンノート夫人は中国人女性だった。
シェンノートとスティルウェルとは犬猿の仲だった。蒋介石はシェン
ノートの航空戦闘力を高く評価し、信頼していた。
その後の『ヴェノナ文書』によって、大統領補佐官のカリーもソ連の
エージェントだったことが分かっている。
英国は独自の、アメリカの工作を馬鹿にするかのように勝手な通信網を
築く一方で、英国だけの利益に沿った活動を展開した。怒った蒋介石は彼
らを追い出した。
この本を現在進行中のウクライナ戦争を見ながら読むと、つぎつぎと連
想が広がる。
ロシア軍は作戦遂行に司令部が不在で、ちぐはぐな作戦が緒線でめだっ
たうえ。情報が間違っていたようで部隊、兵器の投入を間違えた。
ゲラシモフ参謀総長のハイブリッド作戦はクリミア併合で成功したが、
こんどはウクライナが英米の戦争PR会社や心理戦争の専門家に助けら
れ、むしろ宣伝戦はウクライナがリードした。
しかしウクライナ軍は、統合の作戦が成立していない。アゾフ連隊など
が独自の闘い、軍事素人のゼレンスキー大統領には統率力がない。欧米か
らの武器はちゃんと戦闘現場に届いていない。
英米の思惑は情報と武器の提供、ポーランドのNATO基地などにおけ
るウクライナ兵の特訓などが挙げられるが、フライングタイガーのように
「志願」を装った特殊部隊が、現場で主導している。こうした伝えられて
いないウクライナ内部の事実は戦争がおわってから明らかになるだろう。
NATO主要国はアリバイ証明的に武器を送るが、むしろ難民援助に力
点を置いている。鵺的行動に出ているのがトルコとイスラエル、なんとし
ても巻き込まれたくないのがベラルーシとカザフスタンという構造だが、
ちょっと待った。徹底的に米ロ、ウクライナ、そしてNATOの消耗をに
やにやしながら傍観しているのが中国ではないのか。
まるで往時の毛沢東が選択した戦術である。それを「持久戦」などと美辞
麗句を後でひっつけたが、ようするに米英と蒋介石をみごとに欺したの
だ。日本軍と蒋介石を疲れ果てるまで撤退的に戦わせて国民党の消耗をひ
たすら待っていたのが毛沢東率いる中国共産党だった。
ウクライナ戦争でも、米英とNATO諸国の疲労をじっとまっている中
国。ロシアが救援を求めるほどの窮状に陥ると、中国はロシアに対しても
えげつない要求を出すだろう。
▲まちがいだらけの戦後歴史教科書
日本の戦後教科書は関東軍が「満州に侵略した」のであり、張作霖爆殺
は河本大作の仕業であり、盧溝橋事件は、日本があそこに侵略軍としてい
たからだ等と教えている。
いずれも間違いである。
第一に満州帝国は世界の多くが承認していたし、張作霖爆殺はソ連の謀略
だった。盧溝橋事件は、日本軍がPKO(平和維持軍)として駐在してい
たのであって、中国共産党が仕掛けた発砲で、日本は泥沼に引きずり込ま
れたのである。
英米は蒋介石に肩入れしていた筈だった。英米がウクライナに代理戦争を
やらせているように、日中戦争は、英米ソ連がしかけた代理戦争だった。
日本と中国の間の戦争ではなかったのである。
アメリカ人は日本が侵略者だったと教えられ、真珠湾はだまし討ち、広
島・長崎は戦争をはやく終わらせるために仕方のない選択だったと信じて
いる。
多くはルーズヴェルトの謀略も知らないし、五十以上の都市への無差別焼
夷弾爆撃で五十万人以上の日本人非戦闘員が虐殺された事実をスルーする
ばかりか、スビック
で降伏したアメリカ兵捕虜を歩かせたことを「死の行進」だったとすり替
え日本を非難する。フィリピンの「死の行進」のコースは僅か80キロ。沿
道ではおにぎりも用意され、カフェブレークもあった。のろのろと「散
歩」に近いもので、日本軍は武士道による処遇をしたのだ。米国は自らの
非人道的虐殺を蔽い隠すためにパターン死の行進とか、南京大虐殺とかを
創作し、自らの戦争犯罪にほおかむりした。
南京大虐殺は米国が仕組んだ嘘放送、中国共産党はしめたとばかりに、こ
の偽報道によるでっち上げを悪用して、中国人民を洗脳している。日本を
貶め、武士道精神を奪い、日本が再び立ち上がれないようにするWGIP
の洗脳は日本でも最大効果を上げた。シナ人が騒ぐ前に日本のメディアが
靖国参拝の政治家に「私的ですか、公務ですか?」などと愚かな質問をし
ている。つまり、この戦後の工作では米中が共通の利益であった。
▲バイデンは戦略的発想ができない政治家のようだ
戦後も一貫して米国は中国の扱いを間違えた。経済的に豊かになれば中
国は民主化するなどと、アメリカは信じて中国に惜しみない協力をなし、
中国が民主化することは幻想で、経済繁栄でえた資力のすべて軍拡に使
い。米国と敵対している真実にいまごろ気がついたというわけだ。
オバマ政権まで米国は中国を戦略的パートナーだと言いつのり、あげく
にステークホルダー。いや「G2」だと叫んでいた。
2015年のペンタゴン報告は「協力と注視」と記述しただけだった。
2017年、トランプの登場によって、目が開かれた。
「中国は米国の価値観、利益の対極にあるライバル」として対中外交を転
換させ、2020年にはペンス副大統領演説、そしてポンペオ演説へと続
き、「正面の敵」となった。
従来の「関与政策」は誤りであり中国は自らのイデオロギーで国際秩序
に挑戦していると認定するに至った。過去の政策が「誤り」だったという
のだから、百八十度転換、しかもバイデンは報復関税、ウイグル族への弾
圧はジェノサイド、スパイ摘発、ウォール街からの中国企業の締め出し等
の対中路線を「継続する」とした。
しからば、ウクライナ戦争のパターンに戻ると、バイデンの決定的な戦
略的誤謬が露呈する。
中国を主要敵としたのだから、その背後にあるロシアを中国包囲の味方
に取り入れるべきだろう。ところがバイデンは逆にロシアを敵視し、むし
ろロシアを中国側へ追いやってしまった。
大戦略がない、というよりバイデンを囲むブレーンらが、戦前のホワイト
ハウスがソ連のスパイだらけだったように、見えない謀略によって誤った
方向へ暴走を始めた。だから中国は笑いが止まらないのである。
さて本書の基軸となった弐冊の本がある。ポンペオ前国務長官のブレ−
ンでもあったマイルズ・マオチュン・ユ教授が書いた『龍の戦争』と『中
国のOSS──冷戦の序曲』だ。
ユ教授は次の五点を指摘した。
一、 米国の蒋介石支援は経済的にも軍事的にも不足した
二、 蒋介石と米国と英国の対中戦略に大きな齟齬があった
三、 米国政府内、中国国内工作において敵側スパイの工作を黙認した
四、 ホワイトハウス、米軍、米国務省、OSS(CIAの前身)とい
うイ ンテリジェンス機関の指揮系統の混乱、内ゲバなどで米国の工作が
自滅した
五、 米国政府は蒋介石政権のことも中国共産党の内部事情もよく承知
せ ず、中国情報は太平洋問題調査会という民間シンクタンクに丸投げし
ていた
ウクライナに戻るが、米英間のインテリジェンスは相互乗り入れとは言
え、おたがいに大事な情報を完全開示していない。NATOは内部で疑心
暗鬼甚だしく、お互いが腹の底を探り合いながら武器供与を小出しにして
いる。
そのうえタイミングを間違えている。
ゼレンスキー政権も譲歩工作に疎く、また米英に正確な情報を挙げてこ
なくなった。戦果は大本営発表であり、これがしばしば英米に誤断をもた
らす。プーチンをとことんやっつけると言っていたバイデンは五月以後、
まったくのトーンダウンで「いずれ話し合いだ」とキッシンジャー流の妥
協路線に大きく後退しており、こうなるとゼレンスキーとの間にすきま風
が吹く。
中国は関与国のすべてが疲労困憊したタイミングを待って大規模な台湾
侵攻をやらかす可能性が日々強まったのではないか。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 2393回】
──習近平少年の読書遍歴・・・「あの世代」を育てた書籍(習59)
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かくて、「毛主席の階級闘争学説は、張春玉同志に階級闘争を永遠に忘
れてはならないことを教えた」のであった。
張の日記を覗くと、「崇高極まりない決意」がビッシリと残されている。
──「毛主席は『社会主義制度の建設は、我われのために理想郷に到る道
を切り開いてくれる。だが理想郷の実現はひとえに我らの真摯な労働にか
かっているのである』と教えている。そう、そうなのだ。毛主席の時代に
生きていることは幸福であり、なんにもまして誇り高いことである。だ
が、幸福への道の上でなにもせずに立っていられるだろうか。出来ない。
断固として、それは出来ない。幸福への道において全身全霊で働き、さら
に幸福な生活を創造し、我が国をより富強で、より麗しくしなければならい」
「心の底から革命を念じ、人民のためにどんな苦労も厭わず、一分一秒
を党に捧げ、心から同志を思い、己より戦友に心を配り、一瞬一瞬を他人
のために尽くそう」
「我が一生を土塊、石、枕木と化し、共産主義に進む大道の建設に邁進
しよう。革命の列車を我が五体を乗り越えさせ、全速で前進させよう」──
当時、自らを蔑ろにする劉少奇に狙いを定め、その失脚を策謀してい
た毛沢東にとって最大の関心事は、やはり強力な助っ人であり手駒だった
はずだ。
毛沢東は最大最強の「暴力装置」である人民解放軍の指揮権を握る林彪
を仲間に引き入れる一方、純粋無垢であるがゆえに容易に凶暴・無謀で過
激になり得る青少年を唆し、彼らに政治的前衛であると同時に社会の道徳
的前衛を担わせたのである。
彼らは毛沢東に盲従し、毛沢東の指し示す規律を厳守し、勤勉で大義のた
めに殉ずる。なによりも全身全霊を擲って毛沢東に奉仕し、誰もが純粋
で、毛沢東を守るためには、自らの命を捧げ尽くすことを厭わない政治的
サイボーグに仕立て上げられたのであった。
『一心為公的硬骨頭戦士 張春玉』を拳々服膺して育った純粋過激でイキ
のいい若き毛沢東主義者は、「一瞬一瞬を他人のために尽くそう」とばか
りに、文革の最前線に勇猛果敢に躍り出て行ったに違いない。おそらく毛
沢東の狙い通りに。
当時の若者たちは、激動の時代をどのように生きたのか。その辺りを回
想した陳凱歌『私の紅衛兵時代 ある映画監督の青春』(講談社現代新書
1990年)の頁を繰ってみたい。社会の荒波を乗り越えて大人になって後
に綴った回想だから、若き日の行動を“合理的”に振り返ろうとする姿勢は
否めない。
それだけに、感情の赴くままに暴発・暴走した若き日の姿が直截に綴られ
ているわけではないだろう。とはいえ、貴重な証言ではある。
「(1966年)八月十八日、階級制度廃止後の階級章のない軍服を着た毛
が、天安門の楼上に登場した。そして、百万の青少年の歓声を浴びなが
ら、紅衛兵の赤い腕章を腕に巻いた。彼は、紅衛兵の最高指揮官となるこ
とを明確に示したのだ。林彪は、その日の演説で、紅衛兵に次のように呼
び掛けた。『あらゆる搾取階級の古い思想、古い文化、古い風俗、古い習
慣を、大いに打ち破れ!』。こうして、ついに長い導火線は燃え尽きた。
爆発の大音響の中で、美しい玉もつまらぬ石もすべてが燃え上がり、そし
て滅んでいった」
「学校の授業は、とっくにストップしていた」
「クラスの紅衛兵が行った最初の革命的行動は、張先生を教卓の上に立た
せることだった」
「ほとんどのクラス担任以上の先生が、(紅衛兵となった教え子からの)
攻撃を浴びた。群れをなした生徒たちが校内を走り回り、興奮した様子で
論争し、罵りあい、暴力沙汰も起こるようになった。
教室のドアが開くたびに、唇から血を流したり、頭を半分剃られた教師が
連行されていった」。そして「革命無罪」「造反有理」の惨劇は教室を飛
び出す。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS
読者之声
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(読者の声1)また 東京地裁がおかしな判決をして驚きです。あの東北
大地震の予知警戒情報を(無視した?)東京電力の幹部に数兆円もの損害
賠償を命じたことです。これに関し
てメディアはまたいわゆる法律専門家の意見をあれこれ掲載しています。
でも、そのようなことより、もし私が新聞記者ならば、判決を下した裁判
官たちが、今予測されている東京直下型地震や南海大地震にどう対処しよ
うとしているのか? 彼らは大切な家族や自分の命を守るために、自分の
責任の問題として、予知・警戒情報に従い、今から安全な他地域に移住を
決意しようとしているのか否か、を何とか訊きただしてみたいとおもいます。
もしその兆候がないのであれば、彼らの今回の判決は、他人に対しては
(法律の文言だけを根拠に)厳しく責任を追及し、自分が今試すことので
きる責任の所在についてはそれをZEROとする人種であることの証左になり
ます。要するに、この世のことは、法律では解決できぬことばかりである
ことを認識できず、すべて紙に書かれた法律ですべてを(あと付けで)理
由受けすればそれでよし、とする子供じみたところが問題なのです。
(SSA生)