2020年04月27日

◆リハビリって、再び生きること

           向市 眞知


「リハビリ」という用語は訳さなくてもよいくらい、日本語になってしまいました。しかし、この用語がとてもくせものです。皆がこの用語の前向きなところにごまかされ、便利に安易に使ってしまいます。

医師は最後の医療としてリハビリにのぞみをつなげる言い方をします。家族は家にもどるためにはリハビリを頑張ってほしいと期待をかけます。患者様もリハビリを頑張れば元どおりになれると思います。リハビリとは「再び生きる」という用語と聞きました。この概念で考えるととても幅広い概念です。

病院にはリハビリテーション科があり、そのスタッフには理学療法士、作業療法士、言語聴覚訓練士という、国家資格をもった専門技師がそろっています。身体機能回復訓練に携わるスタッフです。医師が「リハビリ」という用語を使う場合にはこのようなリハビリテーション科のスタッフによる訓練をさすだけではなく、「再び生きる」心構えをもちましょう、という意味を含んでいる場合が多いのです。

しかし、患者様、家族様のほうはリハビリは療法士がするものと思い込んでいるケースが多いように思います。よく言われるのに「リハビリが少ない」、「リハビリをしてもらえない」というクレームがあります。療法士がするものだけがリハビリなら、診療報酬上点数がとれるのは一日20分から180分です。

「リハビリを受けさせたいから入院させてほしい」とよく言われますが、一日の何分の1かの時間のリハビリだけで「再び生きる」道のりを前に進むことはむずかしいものです。あとの時間をベッドに寝ているだけでは何の意味もありません。「リハビリのために入院している」というだけの安心感の意味しかありません。

いくら日本一の理学療法士の訓練をうけたといっても、患者本人が「リハビリをする(再び生きる)」心構えになっていなければ、空振りに終わってしまいます。マヒした身体に対して、拘縮してしまわないように理学療法士が外から力を加え訓練をすることはできます。でも、訓練が終わって身体を動かさなければもとのもくあみです。

しかし、言語訓練はそうはいきません。本人が声を出そう、話そうとしなければ訓練になりません。「絶対話すものか!」と口をつぐんでいる患者様に訓練は意味をなしません。まずは声を出してみよう、話してみようという気持ちになるように心理的にリラックスしてもらうことから訓練を始められると聞きました。

このことからわかるように、リハビリは本人次第なのです。そしてやはりリハビリも療法士と患者様の協同作業です。療法士さんの訓練の20分が終われば、患者様自らがもう一度リハビリのメニューをくりかえしてやってみることや、家族が面会時間に療法士に家族ができるリハビリを教えてもらい、リハビリの協力をしてみるなど、何倍にもふくらませていくことがリハビリの道のりなのです。

療法士さんまかせにしないこと、繰り返しやっていくこと、退院しても療法士さんがいなくてもリハビリ、再び生きる道のりは続いていること、それを実行するのは自分であることを忘れないでいてほしいと願っています。2006年4月の診療報酬改定で更にこの認識が重要になってきています。療法士による機能回復訓練が継続してうけられる回数の上限が疾病により90日〜180日と定められました。これ以上の日数の訓練を続けても保険点数がつかないことになりました。医療機関は保険がきかなくなればリハビリを打ち切らざるをえません。

患者様も10割自費で料金を支払ってまでリハビリを続けることはできないでしょう。リハビリは入院の中でしかできないものではなく、退院しても自宅でもリハビリを続けていくいきごみが大切です。

大阪厚生年金病院・ソーシャルワーカー

2020年04月23日

◆ビタミンの取りすぎにご用心

大阪厚生年金病院 薬剤部


ビタミンは健康のためにいいし、食品の中に入っていて害のないものだからたくさん飲んでも大丈夫だと思っている方はいませんか?

実は、ビタミンにも取りすぎると体に悪い影響がでるものがあります。

ビタミンには、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあります。

脂溶性ビタミンは、ビタミンA,D,E,Kで、その他が水溶性ビタミンになります。
水溶性ビタミンは取りすぎたものは排泄されますが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積され、過剰症が起こることがあります。
 
ビタミンAを取り過ぎると、頭痛、顔面紅潮、筋肉痛や食欲不振などの症状が現われます。
また、ビタミンDを取り過ぎると、食欲不振、吐き気、頭痛などが現われます。
 
脂溶性ビタミンとナイアシン、ビタミンB6、葉酸は1日に摂取してよい量が決められています。

通常の食生活でビタミンを取りすぎてしまうことはありませんが、ビタミン剤やサプリメントを飲んでいる方は注意が必要なので決められた量を守って飲むようにしましょう。 
                

2020年04月22日

◆納豆と相性の悪いくすり

大阪厚生年金病院 薬剤部


〜ワルファリンカリウムという血栓予防薬を服用中の方へ〜

地震や津波、洪水など突然襲ってくる甚大な自然災害は、水道やガス、電気などのライフラインを寸断し人々の生活を麻痺させてしまいますが、人の健康もある日突然血管が詰まると健康維持に必要な栄養や酸素などのライフラインが寸断されその先の機能が止まってしまいます。

 突然意識を失いその場に倒れてしまった経験のある方で、医師から「脳梗塞」と診断された方もおられるかと思います。脳の血管を血液の塊(かたまり)が塞いでしまってその先に血液が流れなくなってしまったのです。

 これを予防し血液をサラサラにするくすりのひとつに「ワルファリンカリウム」という薬があります。服用されている方も多いかと思います。

 もともと人間の身体は怪我や手術などで出血したとき、血液を固めて出血を止める仕組みがありますが、その仕組みの一つに「ビタミンK」が関与する部分があります。
 
ワルファリンカリウムはこの「ビタミンK」が関与する部分を阻害することによって血液が固まるのを予防します。

 さてここで納豆の登場です。

納豆の納豆菌は腸の中で「ビタミンK」を作り出します。「ビタミンK」は血液を固まらせる時に必要なビタミンですから多く生産されると、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。

そのため、くすりの説明書には「納豆はワルファリンカリウムの作用を減弱するので避けることが望ましい」と書かれているのです。

 納豆は栄養もあって健康に良い食品ですが、飲んでいるくすりによっては食べないほうが良いこともあります。好きなものを我慢するのは“なっと〜くできない”向きもあるかと思いますが、ワルファリンカリウムを服用中の方にとって納豆は危険因子ですのでご注意ください。

 納豆のほかにも、ビタミンKの多い「クロレラ食品」や「青汁」などもひかえましょう。

追記: ワルファリンカリウムのくすりには「ワーファリン錠」や「ワルファリンカリウム            錠」他があります。(了)

2020年04月21日

◆介護保険のサービスとは

大阪厚生年金病院

 
介護保険で受けられるサービス内容についてお話します。

A;家に帰っても自分で掃除や洗濯をするのがつらいのですが・・・
Q;入浴や排泄のお世話、衣類やシーツの交換、通院の付き添い、掃除、洗濯、買い物、食事の準備など身の回りのお世話をヘルパーがしてくれる訪問介護というのがあります。

A;床ずれがあるんですが、その処置が私にはできません・・・
Q;医師の指示のもとに看護師が訪問し、床ずれの手当てや点滴の管理をする訪問看護があります。

A;家にお風呂がなくて祖父をお風呂に入れてあげることができません・・・
Q;家庭の入浴が難しい場合、移動入浴車が訪問して浴槽を提供し、入浴の介助をする訪問入浴介護や昼間施設に行き、食事や入浴のサービスを受ける通所介護(デイサービス)があります。

これは家族が介護できない場合など利用したり、外に出て人と交流したいとかレクレーションを楽しみたい人が受けるサービスです。

A;家族で数日でかけなければならなくなったのですがどうしたらいいでしょうか?
Q;福祉施設に短期間入所して食事・入浴・機能訓練が受けられる短期入所生活介護(福祉施設におけるショートステイ)があります。介護で疲れた場合も利用してみましょう。

A;家に帰って病院のようなベッドを利用したいのですが、購入できますか?
Q;介護保険でできます。購入もレンタルも可能です。夜間のトイレが心配な方には簡易トイレの購入や車椅子のレンタルもできます。

A;トイレやお風呂に手すりをつけたいのですが・・・
Q;転倒を防いだり、自立しやすい生活環境を整えるため、段差解消や手すりをつけたりする住宅改修の費用が支給されます。ただし、一生涯の利用限度額の決まりがあります。

これらの他にも訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーションといったサービスもありますので必要に応じて利用してみてください。

これらのサービスにかかる料金を介護度に応じた利用限度額の中でまかないます。

どんなサービスをどれくらい受けたいか、ケアーマネージャーとよく相談してプランを決めましょう。 

いかがですか?介護保険について少しおわかりいただけたでしょうか?なかなかなじみがないかもしれませんが、これらのサービスを利用して自宅の介護に役立て、少しでもご家族の介護の負担を少なくしていきましょう。(完)

2020年04月17日

◆ 肝臓の血液検査

片山 和宏(消化器担当医師)

 
 〜血液検査って、一体何がわかるのでしょうか?〜

血液は人間の体の隅々まで行き来し、栄養や要らなくなったものをあちらこちらに運んでいるわけですから、血液は体のいろんな部分の情報をもっているわけです。

血液検査をすることで、非常に多くのことがわかるようになってきました。ただし、これも体の部分によって、また病気によって血液に結果が出やすい場合と、とても出にくい、いやほとんど血液検査ではわからない病気もたくさんあります。

たとえば、体の動脈硬化の状態は血液検査ではほとんどわかりませんし、また胃や大腸に癌などのできものができているかどうかも、ほとんど分からないのが現状です(但し癌によっては腫瘍マーカーという血液検査で一部わかることがありますが、あくまで参考データと考えた方がいいくらいです)。

ですから、人間ドックや健康診断では血液検査とともに、血液でわかりにくい部分は胃のレントゲンなどの検査を組み合わせていくことが大事になるわけです。

肝臓はというと、血液にのせて体のあちこちに栄養分を送りつける中心的な存在ですので、肝臓の状態は血液検査でわかりやすいという特徴があります。

ただ、肝臓は働き者でとても多くの仕事をこなしていますから、肝臓の状態を表している血液検査も非常にたくさんあり、ひとつだけをみて状態を考えることはできません。
 
そこで私は、患者に肝臓の血液検査の説明をするときには、肝臓を緑の多い、川のきれいな山に例え、肝臓の病気を山火事に例えて説明しています。

アルブミンや血液凝固機能:緑(木々)の多さ、ビリルビン:川の透明度、GOT / GPT:山火事の火の大きさ、ヒアルロン酸:緑が無くなってみえてきた地肌の大きさ。アルブミン、凝固機能、ビリルビンという血液検査の組み合わせは、医師が肝臓の働きを評価するときによく使う組み合わせですし、ヒアルロン酸はどのくらい肝硬変に近付いているかを判断する指標です。

肝機能検査として有名なGOT / GPTは、実は肝臓の機能を表しているのでは無く、肝臓の病気の勢いを表しているということが分かっていただけるかと思います。

火の大きい(GPTの高い)山火事は、早く火の勢いを小さくしないといけませんが、その時点での肝臓の元気さ(働き)はまた、別なのです。

このことを踏まえて、一度血液検査を眺めていただけると視野が拡がるのでは?

              大阪厚生年金病院 

2020年04月15日

◆認知症には「散歩」が効果

向市 眞知


以前、住友病院神経内科先生の「認知症」の講演を聴きに行きました。その時、「こんな症状があったら要注意!」という話から始まり、下記の11の指摘がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった

6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は、専門病院へ行きましょう」といわれました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

「認知症」というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップして、その印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も「認知症」の症状です。

「認知症高齢者」のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から、「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして「認知症高齢者」の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間に、ご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。

うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
「認知症」があっても、くりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。

すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。「認知症」の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。

「認知症」には「散歩」の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。
                       医療ソーシャルワーカー

2020年04月14日

◆ノロウイルス食中毒の予防

柴谷 涼子

 
老人保健施設などで、ノロウイルスの集団発生が最近報じられていました。

「ノロウイルス」について正しく理解し、ご自身も感染しないよう予防しましょう。

★ノロウイルス感染症とは・・・
 
ノロウイルスが人の小腸で増殖して引き起こされる急性胃腸炎です。

@ カキや貝類を十分に加熱せず食べた場合
A 生ガキや貝類で汚染された調理器具で調理した生野菜などを食べた場合
B ウイルスに感染したヒトの便や吐物に触れた手で調理をした場合・・・などに感染する可能性があります。

★症状
  
年齢に関係なく感染は起こりますが、高齢者や抵抗力の弱ったヒトでは重症化する例もあります。嘔気・嘔吐・下痢が主症状です。
 
腹痛、頭痛、発熱、悪寒、筋痛、咽頭痛などを伴うこともあります。 高齢者の場合、症状が出て、水分摂取ができなくなるとすぐに脱水症状を起す可能性がありますので、早めに病院の診察を受けて下さい。

★予防

生のカキや貝類は内部まで十分に加熱してから食べるようにしましょう。カキの処理に使用したまな板などは、よく水洗いし、熱湯消毒をしてから使用しましょう。

★冬場はこのノロウイルスに限らず、様々な感染症が流行します。感染予防としてもっとも重要なのは、普段からの手洗いやうがいです。

外から帰ったあとは必ず手洗いと、うがいをする習慣をつけましょう。

 <参考文献;>

1.国立感染症研究所 感染症情報センター感染症発生動向調査週報 感染症の話
 http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_11.html
2.大阪府食の安全推進科    http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/noro/
3.厚生労働省ノロウイルス食中毒の予防に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/tobou/040204-1.html
          (大阪厚生年金病院 感染管理認定看護師 )

2020年04月12日

◆「認知症」には「散歩」が効果

向市 眞知


以前、住友病院神経内科の宇高不可思先生の「認知症」の講演を聴きに行きました。その時、「こんな症状があったら要注意!」という話から始まり、次の11の質問がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった
6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は専門病院へ行きましょう」といわれました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

認知症というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップしてその印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も認知症の症状です。

認知症高齢者のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして認知症高齢者の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間にご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
認知症があってもくりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。認知症の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。認知症には散歩の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。

                  医療ソーシャルワーカー

2020年04月11日

◆納豆と相性の悪いくすりの話

大阪厚生年金病院 薬剤部

〜ワルファリンカリウムという血栓予防薬を服用中の方へ〜

 地震や津波、洪水など突然襲ってくる甚大な自然災害は、水道やガス、電気などのライフラインを寸断し人々の生活を麻痺させてしまいますが、人の健康もある日突然血管が詰まると健康維持に必要な栄養や酸素などのライフラインが寸断されその先の機能が止まってしまいます。
 
突然意識を失いその場に倒れてしまった経験のある方で、医師から「脳梗塞」と診断された方もおられるかと思います。 脳の血管を血液の塊(かたまり)が塞いでしまってその先に血液が流れなくなってしまったのです。
 
これを予防し血液をサラサラにするくすりのひとつに「ワルファリンカリウム」という薬があります。 服用されている方も多いかと思います。

もともと人間の身体は怪我や手術などで出血したとき、血液を固めて出血を止める仕組みがありますが、その仕組みの一つに「ビタミンK」が関与する部分があります。
 
ワルファリンカリウムはこの「ビタミンK」が関与する部分を阻害することによって血液が固まるのを予防します。
 

さて、ここで納豆の登場です。 納豆の納豆菌は腸の中で「ビタミンK」を作り出します。「ビタミンK」は血液を固まらせる時に必要なビタミンですから多く生産されると、ワルファリンカリウムの効果を弱めてしまいます。
 
そのため、くすりの説明書には「納豆はワルファリンカリウム
の作用を減弱するので避けることが望ましい」と書かれている
のです。
 
納豆は栄養もあって健康に良い食品ですが、飲んでいるくすりによっては食べないほうが良いこともあります。 好きなものを我慢するのは“なっと〜くできない”向きもあるかと思いますが、ワルファリンカリウムを服用中の方にとって納豆は危険因子ですのでご注意ください。
 
納豆のほかにも、ビタミンKの多い「クロレラ食品」や「青汁」などもひかえましょう。

 追記: ワルファリンカリウムのくすりには「ワーファリン錠」
や「ワルファリンカリウム錠」他があります。

2020年04月09日

◆健康百話  風邪と肺炎にご注意!!

柴谷涼子(感染管理認定看護師)


風邪や感染病が流行し始めました。特にこの時期、朝晩の気温の変化が激しいことに加えて、空気が非常に乾燥するため、風邪の原因になるウイルスの活動も活発になり、風邪をひきやすくなります。

●事前の予防
 外出から帰った後の「うがいと手洗い」が基本です。また、お天気の良い日には、日光浴や散歩など適度な運動をするよう心がけ、入浴により身体を清潔にしておくことも大切です。

●高齢者にとり肺炎は危険な病気
 肺炎はお薬の進歩によって、かなり治療ができるようになりましたが、高齢者にとってはまだまだ怖い病気です。とくに糖尿病や心臓、呼吸器系に慢性的な病気を抱えている方、腎不全や肝機能障害のある方も罹患しやすく、病状も重くなる可能性があります。厚生労働省が報告している人口動態統計でも肺炎による死亡率はここ数年上昇してきています。

肺炎は細菌やウイルスなどいろいろな原因で起こりますが、肺炎を起こす原因となる細菌に「肺炎球菌」があります。

●肺炎球菌による肺炎を予防
 「肺炎球菌」は、健康な人でも鼻腔などに常在する菌です。しかし加齢などにより免疫力が低下すると、病気を引き起こしやすくなります。日本では、ペニシリンという抗生物質が効きにくい肺炎球菌の割合が増加しています。抗生物質の効きにくい肺炎球菌による肺炎に罹患すると、治療に難渋する場合があります。

 そこで、「肺炎球菌」によって起こる肺炎を予防するワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。ただし、肺炎球菌ワクチンを接種してもこれ以外の原因で起こる肺炎は残念ながら予防することはできません。
 
ワクチンを接種して得られる免疫は約5年以上持続するといわれています。

次のような方に「肺炎球菌ワクチン接種」をおすすめします。
・65歳以上の高齢者 
・心臓や呼吸器系に慢性疾患のある方 
・糖尿病の方 
・腎不全や肝機能障害のある方

肺炎球菌ワクチンの接種については、最寄りの病院やかかりつけの医師にご相談下さい。
肺炎球菌ワクチンのみでなく、インフルエンザワクチンをまだ接種がしていない方は、是非接種してください。(再掲)

             大阪厚生年金病院 看護部看護ケア推進室

2020年04月06日

◆「リハビリって何?」

向市 眞知


「リハビリ」という用語は訳さなくてもよいくらい、日本語になってしまいました。しかし、この用語がとても曲者なのです。皆がこの用語の前向きなところにごまかされ、便利にしかも安易に使ってしまいます。

医師は最後の医療としてリハビリに望みをつなげる言い方をします。家族は家にもどるためにはリハビリを頑張ってほしいと期待をかけます。患者もリハビリを頑張れば元どおりになれると思います。

リハビリとは「再び生きる」という用語と聞きました。この概念で考えるととても幅広い概念です。

病院にはリハビリテーション科があり、そのスタッフには理学療法士、作業療法士、言語聴覚訓練士という、国家資格をもった専門技師がそろっています。身体機能回復訓練に携わるスタッフです。

医師が「リハビリ」という用語を使う場合にはこのようなリハビリテーション科のスタッフによる訓練を指すだけではなく、「再び生きる」心構えをもちましょう、という意味を含んでいる場合が多いのです。

しかし、患者、家族の方はリハビリは療法士がするものと思い込んでいるケースが多いように思います。よく言われるのに「リハビリが少ない」、「リハビリをしてもらえない」というクレームがあります。療法士がするものだけがリハビリなら、診療報酬上点数がとれるのは一日20分から180分です。

「リハビリを受けさせたいから入院させてほしい」とよく言われますが、一日の何分の1かの時間のリハビリだけで「再び生きる」道のりを前に進むことはむずかしいものです。あとの時間をベッドに寝ているだけでは、何の意味もありません。「リハビリのために入院している」というだけの安心感の意味しかありません。

いくら日本一の理学療法士の訓練をうけたからといって、患者本人が「リハビリをする(再び生きる)」心構えになっていなければ、空振りに終わってしまいます。

マヒした身体に対して、拘縮してしまわないように理学療法士が外から力を加え訓練をすることはできます。でも、訓練が終わって身体を動かさなければもとの木阿弥です。

しかし、言語訓練はそうはいきません。本人が声を出そう、話そうとしなければ訓練になりません。「絶対話すものか!」と口をつぐんでいる患者に訓練は意味を為しません。まずは声を出してみよう、話してみようという気持ちになるように、心理的にリラックスしてもらうことから訓練を始められると聞きました。

このことからわかるように、リハビリは本人次第なのです。そしてやはりリハビリも療法士と患者の協同作業なのです。

療法士さんの訓練の20分が終われば、患者自らがもう一度リハビリのメニューをくりかえしてやってみることや、家族が面会時間に療法士に家族ができるリハビリを教えてもらい、リハビリの協力をしてみるなど、何倍にもふくらませていくことがリハビリの道のりなのです。

療法士さん任せにしないこと、繰り返しやっていくこと、退院しても療法士さんがいなくてもリハビリ、再び生きる道のりは続いていること、それを実行するのは自分であることを忘れないでいてほしいと願っています。

診療報酬改定で更にこの認識が重要になってきています。療法士による機能回復訓練が継続してうけられる回数の上限が、疾病により90日〜180日と定められました。これ以上の日数の訓練を続けても保険点数がつかないことになりました。医療機関は保険がきかなくなれば、リハビリを打ち切らざるをえません。

患者も10割自費で料金を支払ってまでリハビリを続けることはできないでしょう。リハビリは入院の中でしかできないものではなく、退院してからも自宅でリハビリを続けていく意気込みが大切です。
                                  (ソーシャルワーカー)

2020年04月04日

◆風邪と肺炎にご注意

柴谷 涼子(大阪厚生年金病院)

 
(風邪やインフルエンザがまだ流行する季節です。特にこの時期、朝晩の気温の変化が激しいことに加えて、空気が非常に乾燥するときには、風邪の原因になるウイルスの活動も活発になり、風邪をひきやすくなります。柴谷 涼子)

ところで、中日新聞に下記記事のような事態の発生が掲載されました。そこで主宰者はこの記事を熟読頂き、まだ流行のインフルエンザに注意して頂くために、敢て掲載致しました。

(主宰者掲載―◆インフルエンザまだ流行
〜ピーク遅く、終息せず〜

 <<インフルエンザの流行がまだ続いている。国立感染症研究所によると、流行のピークは2007年以来の遅さ。子どもは新学期を迎え、社会人は転勤のあいさつ回りなどで多くの人と出会う時期。油断せず、予防に気を付けて−。

 研究所の感染症疫学センターによると、継続的にインフル患者数の報告を受ける全国約5千の医療機関で1週間当たりの平均患者数が今季最多だったのは、年明け第6週(2月8〜14日)で、1カ所当たり39・97人。これは同11週だった2007年以来の遅さで、15年より2週間、14年より1週間、遅かった。

 厚生労働省の感染症情報管理室の宮川昭二室長は「昨年12月が暖冬で乾燥もせず、ウイルスが感染しにくい環境だったため、流行のスタートが遅れた」と解説する。

 中部地方の各地でもまだ流行が続く。定点調査する医療機関での第12週(3月21〜27日)の患者数は、愛知県で17・23人で前年同期の4・7倍。岐阜県は5・6倍に当たる16・83人、三重県は3・6倍の14・24人、滋賀県も6・5倍の18・32人だ。年によりばらつきはあるが、いずれも3月末としてはかなり多い。

 インフルへの関心が薄れる時期だけに、健康対策課の担当者は「手洗いやうがいを徹底して」。また「せきや発熱など、インフルを疑う症状があれば、マスクを着けて外出を控えて」と呼び掛けている。>>

上記の記事からも全国的に流行がまだ懸念されます。そこでこの大阪厚生年金病院の専門看護師の、「風邪と肺炎にご注意」を改めて熟読していただきたく存じます。

( 本論―

●事前の予防
日ごろの心掛けとしては、外出から帰った後のうがいと手洗いが基本です。また、お天気の良い日には、日光浴や散歩など適度な運動をするよう心がけ、入浴により身体を清潔にしておくことも大切です。

●肺炎は高齢者にとって危険な病気
肺炎はお薬の進歩によって、かなり治療ができるようになりましたが、高齢の方にとってはまだまだ怖い病気です。

とくに糖尿病や心臓、呼吸器系に慢性的な病気を抱えている方、腎不全や肝機能障害のある方も罹患しやすく、病状も重くなる可能性があります。厚生労働省が報告している人口動態統計でも肺炎による死亡率はここ数年上昇してきています。

肺炎は細菌やウイルスなどいろいろな原因で起こりますが、肺炎を起こす原因となる細菌に肺炎球菌があります。

●肺炎球菌による肺炎を予防する
肺炎球菌は健康な人でも鼻腔などに常在する菌です。しかし加齢などにより免疫力が低下すると、病気を引き起こしやすくなります。

日本では、ペニシリンという抗生物質が効きにくい肺炎球菌の割合が増加しています。抗生物質の効きにくい肺炎球菌による肺炎に罹患すると、治療に難渋する場合があります。
 
そこで、肺炎球菌によって起こる肺炎を予防するワクチンが肺炎球菌ワクチンです。ただし、肺炎球菌ワクチンを接種してもこれ以外の原因で起こる肺炎は残念ながら予防することはできません。
 
ワクチンを接種して得られる免疫は約5年以上持続するといわれています。

次のような方に肺炎球菌ワクチン接種をおすすめします。
・65歳以上の高齢者 
・心臓や呼吸器系に慢性疾患のある方 
・糖尿病の方 
・腎不全や肝機能障害のある方

肺炎球菌ワクチンの接種については、最寄りの病院やかかりつけの医師にご相談下さい。肺炎球菌ワクチンのみでなく、今年もインフルエンザワクチンを積極的に接種しましょう。)
       (大阪厚生年金病院 看護部看護ケア推進室感染管理認定看護師) 

2020年04月03日

◆ 薬を飲んだら、排泄物中に白いものが?

大阪厚生年金病院 薬剤部

 
Q、薬を飲んだら、排泄物の中に白いものがありました。これは何ですか?

A、徐放剤という薬を飲むと便の中に白いものが混じることがあります。この白いものは薬の残骸です。徐放剤というのは1日1〜2回飲めば薬の効果が出るように設計された薬です。

スポンジの中に薬の成分が収められているのをイメージしてください。これを飲むと、胃や腸の中でゆっくりと薬の成分が溶け出し効果を発揮します。薬の成分が溶けだしてしまったスポンジは残骸として身体の外に排出され、便の中に白いものとして混じるのです。

ですから白いものが混じっていても少しも心配いりません。安心して薬を飲んでください。

便に白いものが混じっていることを発見された方は自分の健康に特に気をつけておられるのですね。自分の排泄物で健康を見ておられるのだと思います。そのとき発見されたのではないですか?

 このような「スポンジの中に薬の成分が収まった」形をした徐放剤は薬が長く効くために工夫した製剤のひとつです。種類は多くなく、持続性を必要とする薬に採用されており、例えば喘息薬のテオドールG20%の顆粒や抗てんかん薬のデパケンR錠などにみられます。

病院や薬局で薬をもらうとき「薬の説明書」も一緒に渡されます。徐放剤を飲むと便に白いもの含まれ、患者様はびっくりされるので「薬の説明書」の注意事項に記載されています。もらった薬の説明書をゴミと思わず、よく読んでいただければと思います。

薬を飲んで便に白いものが混じっていることは薬をちゃんと飲んでいる証拠、薬もちゃんと効いていると思います。

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。