2017年07月17日

◆巴里だより 「和紙と筆ペン」

 岩本 宏紀(在仏当時)



ぼくの好きな作家、向田邦子は万年筆にこだわるひとで、気に入るとひとのものであっても拝み倒して手に入れた、と告白している。巴里でお店に入った彼女は、ショーケースから何本か出してもらい、書き味を試した。

撥ね(は)のある漢字を書いたとき、店員は顔色を変えて彼女を制したそうだ。ヨーロッパの万年筆は下から上に撥ね上げる書き方を想定していないので、ペン先が傷むと心配したからだ。そういえばアルファベットには「レ」のような文字は無い。

仕事でも私用でもぼくは主に万年筆を使っている。確かに日本語を書くときには、日本製のほうが書きやすい。外国の高級品は適度の重みがあって優雅な気分にはなるが、片仮名や漢字の垂直な線が書きにくい。

数年前から筆ペンも使うようになった。習字が苦手なぼくにも使いやすい、筆先に適度な腰のある製品が見つかったからだ。万年筆と筆ペンのいいところは、力を入れれば太く、軽く滑らせれば細く書けることだ。文字に感情が表れるような気がする。

「陰翳(いんえい)礼讃(らいさん)」で、紙と筆記具の相性がいかに重要であるかを知らされた。

谷崎潤一郎は言う。

「仮りに万年筆を日本人か支那人が考案したならば、穂先を毛筆にし、インキも墨汁に近い液体にして、それが軸から毛の方へ滲(にじ)み出るように工夫しただろう。紙も西洋紙のようなものでは不便であるから、和紙に似た紙質のもの、改良半紙のようなものが要求されたであろう。」

京都で買い求めた和紙に筆ペンで字を書くと、墨汁が紙に染込(しみこ)む感触がわかり、実に気持ちがいい。万年筆を使うと、ペン先が和紙の繊維をほぐり出すような気がして、落ち着かない。万年筆にはやはり西洋紙が相性がいい。

ユトリロと彼の母、バラドンの小さな美術館には、手書きの手紙が多く展示してあった。 そのとき、Eメールが普及した今、年賀状と暑中見舞いを除いて、友だちや家族との便りはみんな消えてしまうのではないか、という不安に駆られた。 

Eメールだけではなく、ときには本当の手紙も書こうと思う、今日この頃である。もちろん筆ペンと和紙、または万年筆と西洋紙で。手紙なら目が弱くてコンピューターの画面が苦手なひとにも、問題ないし。(了)

2012年07月01日

◆巴里だより your time is up!

岩本 宏紀(在仏)


小澤一郎の元奥さん、和子さんが彼の後援者にあてた手紙が週刊文春に掲載されたのを読んだ。

ー 原発事故直後、東京から避難しようとしたこと、
ー それを諦めて自宅に閉じこもり、料理はミネラルヲーターと使ったこと、
ー 被災地から贈られた野菜は食べず、鳥の餌にして残りは捨てたこと、
ー 選挙区岩手にすら見舞いに行こうとしなかったこと、
ー 愛人とのあいだにできた子供を妾に育てさせたこと
ー 奥さんを政治の道具にしか思っていなかったこと
などなど、衝撃的な内容だった。

それなのにNHKも大手新聞もこの記事を無視して、相変わらず小澤一郎が離党して新党を立ち上げる可能性について報道している。だれがこの人についていくのでしょうかね。

マイケル・ムーア監督が「華氏911」の表彰式で、Shame on you, Mr. Bush. Your time is up ! と言ったが、今の小澤一郎に相応しい言葉だ。

2012年03月12日

◆巴里だより これが体脂肪 1Kgだ!

岩本宏紀(在仏)


タニタの資料館に生々しい模型が置いてある。

柔らかい樹脂で作られた脂肪の塊りは
ずっしりと重い。

1Kgの減量がいかに大変なことか、
これを持つと実感できますよ。(写真参照)
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2012年01月22日

◆巴里だより ヒップ

岩本 宏紀(在仏)

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今朝の巴里は寒かった。
ブローニュの森の水たまりには
氷が残っていたくらいだ。

それでもここはジョギングのメッカか、
大変な数のジョガー、
散歩するひと、

自転車に乗るひと、
ノルディックウォーキング(スキーのようにスティックをつく)、
大小の犬と、たいそうな賑わいだった。

猫は一匹も見かけず。

男も女も走りなれたひとの体型は美しい。
特に引き締まったヒップ。
(ぼくより速い人はぼくを追い越すので、自然にヒップが目にはいる)

2011年12月17日

◆巴里だより クリスマスの飾りつけ

岩本 宏紀(在仏)


早死にしてしまったゴルフ仲間の息子さんが
板前をやっている店で、ゴルフ仲間と晩御飯。
いいものです。

巴里郊外 ラ・ガレンヌ・コロンブのアパートに戻ると
うちの前の道、ボルテール通りがクリスマスのイリュミナ
シオン。
規模は小さいがなかなかセンスがいい。
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2011年12月06日

◆巴里だより アマリリスが咲いた

岩本宏紀(在仏)


アマリリス、1週間前から食卓の上にいる。

いつも間にやら蕾が膨らみ、いつの間にやら
三輪の大きな紅い花を咲かせた。

...根腐れを起こすといけないと、
スプレーで水をやった家内の気遣いが効いたのか。

花弁の大きさに、ゆめ(愛犬)が小さく見える。
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2011年11月30日

◆巴里だより ドイツ、屋台のソーセージ

岩本 宏紀(在仏)


ドイツのソーセージは旨い。
クリスマスの飾りつけで華やかな気分のデュッセルドルフで、ソーセージの屋台を見つけた。

遅い昼ごはんのラーメンでお腹はまだ満杯だったので、まずは買い物をしてから食べに来ることにした。

別にどうということのないソーセージなのに、炭で焼いているせいか実に旨かった。

<添付画像、マグカップ :>
オレンジジュースだと思って注文したら、なんと卵酒のような飲み物。
名前はおそらく「卵パンチ」という意味。

<添付画像、りんご飴>
まだ食べていないのでどんな味か不明。
名前はパラダイスアップル。
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2011年11月17日

◆巴里だより ご飯はまだ?

岩本宏紀(在仏)


今朝は、車でオランダから巴里への移動なので、愛犬「ゆめ」も早起きさせた。

いつのまにやら、家内の隣の椅子に座り、顎を食卓にのせている。

その直後は眠そうな表情。
やはり、朝は苦手な「ゆめ」でした。
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2011年11月09日

◆巴里だより  紅(くれない)

岩本 宏紀(在仏)

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早く目が覚めたので、リビングルームで日本の週刊誌を読んでいると、
ガラス窓越しに紅い空が見えてきた。

鮮やかな朝焼け。
すぐに写真を撮った。

この紅(くれない)、
数分後にはいつもの雲の色に
戻ってしまった。
                2011.11.06

2011年10月22日

◆巴里だより 犬のレインコート

岩本 宏紀(在仏)


ひさしぶりに「ゆめ」(8か月の犬)と一緒にジョギング。
4.9Kmを32分で走ってもけろっとしている犬の体力、恐るべし。

写真は、家内の手作りレインコートを着た「ゆめ」。
まだ、この格好で外に出したことはありません。

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2011年09月27日

◆巴里だより 土曜日、踏んだり蹴ったり

岩本 宏紀(在仏)

9月24日土曜日、18時半ころパリ市内(5区 Quai Saint Bernard)をオランダナンバーのくるまで走行中)右後ろからバタバタという音が聞こえてきた。

大型バイクの音と思ったが、スクーターに乗ったひとや通行人が私のクルマを指差すのでパンクだとわかった。
歩道に停めて降りて見ると、右後ろのタイヤが完全にぺったんこ。

トランクからスペアタイヤを取り出そうとしていると、黄色い蛍光塗料つきチョッキを着た、工事人らしき男性が寄ってきて、手伝いましょうと言う。

今のくるまにはスペアタイヤは無く、代わりにコンプレッサーと白い液体糊でパンクを直す。彼はこのやり方をよく知っているというが、ぼくは初めてだったので申し出はありがたかった。

家内とゆめ(7か月の子犬)はくるまに乗っていたらこの男性が、ジャッキで持ち上げたのでくるまのバランスが悪いから降りてくださいと言った。

なんとなく怪しいと感じていた彼女はハンドバッグを握りしめ、ゆめを抱いて車外に出た。ぼくがジャッキを操作しているとき、男はさらに、自分の代わりに液体糊のボトルを持っているよう家内に頼んだ。

家内は用心のためハンドバックを後部座席の足元に置き、そのうえにぼくのセーターを被せて、修理中のタイヤのところに来た。。

ほぼ修理が終わったころ、これは応急措置なのでガレージでしっかり治してもらったほうがよいと言い残し、男は立ち去った。

パンクの穴が大きいのか、コンプレッサーを何分動かしてもタイヤの空気圧は上がらない。

そして家内がハンドバッグを取り出して中を見たところ、財布と携帯電話が無くなっていた。

一体いつ、誰が。 狐につままれた感じだった。考えられる筋書きはこうだ。

3人以上のグループで、一人がパンクさせ。2番目が修理を手伝い。3番目が盗む。

現金もクレジットカードも携帯電話もないぼくはどうしたか。

警察が通りかかるのをひたすら待つころと30分以上。やっと来たパトカーを止め、婦人警官2名にオランダのレンタカー会社の24時間サービスに電話してほしいとお願いしたが、外国には電話できないと断られた。代わりに修理のトラックを呼ンで切れると言う。

さらに待つこと30分。トラックがやって来て、くるまと我々を遅くまでやっている修理屋に連れて行ってくれた。
そこがオランダの24時間サービスに連絡を取りどうするか指示を受けた。。

タイヤを見るとナイフで切り裂かれており、修理不能。しかし代わりのタイヤは月曜にしか用意できない。結局くるまは修理屋に残し、月曜日にタイヤ交換となった。

夜9時半、24時間サービスが契約しているタクシーが迎えに来て、我々をパリ郊外の私のアパートに連れていってくれた。

アパートの電話でクレジットカードの停止手続きを終えたあと、深夜零時を過ぎ地元の警察署に行って被害届。

結局寝たのは午前3時。長い、長い土曜日だった。

2011年09月23日

◆巴里だより タイムレター

岩本 宏紀(在仏)

ランドセルメーカーが企画した、「タイムレター」のことを昨夜のテレビで知った。

ランドセルを買った時、手紙を書いてこのメーカーに預ければ、
我が子が3年生になったときに届けてくれるという粋なサービスだ。

ところが紹介されたのは、津波でおかあさんを亡くした3年生の女の子。

特別な事情なので郵便ではなく、メーカーのかたが直接届けに来られた。

おかあさんの形見として、見つけた筆箱のなかにあった髪をとめるゴムの輪を
風呂に入るときも身につけているというのぞみちゃん。

手紙を読んでとても嬉しそうだった。

封筒にはのぞみちゃんだけでなく、姉に宛てた手紙を入っていた。
おかあさんは自分の身に起こることを予期していたのかも知れない。

遺書が残せたことは亡くなったおかあさんにとっても、残された娘さんにとっても、
大きな救いに違いない。 2011.09.20

2011年09月21日

◆巴里だより エアーバッグかシートベルトか

岩本 宏紀(在仏

クライスラー再建で知られるアイアコッカが、自叙伝のなかで興味ある見解を述べている。

20年以上も前の本なので今は事情が違うだろうが、彼によるとシートベルトの方が安全。

エアーバッグがふくらむと運転手は前が見えなくなる。

ましてや走行中に誤ってふくらんだら大変な事故になる。
実際、当時のアメリカでは誤作動が多かったそうだ。

その点シートベルトならきゅっと締め付けられるだけで、目も腕も自由なまま。 
普通に状況判断ができ、すばやい行動をとることができる、という指摘だ。

知り合いのとばし屋が、アルファロメオでパリの環状線のガードレールに
激突したときの話をきいたことがある。

哀れアルファは団子のように丸くなったが、本人はエアーバッグが顔にバーンと
ぶつかって擦り傷ができただけだった。

完全な酔っ払い運転だったので、警察にしょっぴかれるのではないかとびくびくしていたが、
腫れた顔を見た警官は「大丈夫か? 大丈夫か?」と心配してくれ、酒のことはお咎めなしだったそうだ。

これはエアーバッグの利点と言えるかも知れない。

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