2009年02月06日

◆「巴里だより」への声

〜「海でスケートができる国」・本誌1月29日掲載記事への声〜

                       岩本宏紀(在仏)

・氷の都 。。。。東北の女性
海の上をスケートで往復するなんて、本当にアンビリーバブルですね。
私の故郷、青森県八戸市は「氷の都」と呼ばれ、スケートが盛んです。

子どもの頃には氷の上を滑る快感が楽しくて、冬を心待ちにしていました。
中年となった今は、寒さはすっかり苦手になってしまい、運動はもっぱら室内のステッパーが大活躍です。
でも海の上でのスケート、一度は体験してみる価値はありそうですね。

マルケン島のお人形さんたちも可愛いですね。人形集めを趣味にしていた
少女時代を思い出しました。
(岩本:いい名前ですね、氷の都。 ステッパーはスケートよりもきつそうですね。)

・池さえ凍らない。。。広島の女性
寒いところにお暮らしなんですね〜 寒いところには寒いところなりの暮らしの工夫があるでしょうから 池も凍らないところに暮らしている人間の考え及ばない暮らしぶりなんでしょうね?
(岩本:広島の暖かくなったものですね。 ぼくが小学生の頃には市内でも氷がはっていたと思いますが。)

・中軽井沢の冬 。。。関東の女性
あんなに広いスペースの屋外でスケートなんて、想像できませんが冬を肌で実感できるでしょうね!

このお正月に、主人と出向いた中軽井沢で星空観察会に参加した時は、夜空を通して久しぶりに冬を実感してきました。

私の幼少時代は宿泊先のホテルの池が天然のスケートリンクになっていて、ほぼ毎年2月になると父が「行くぞ!」と、スケートをしたいがため千葉から中軽井沢行きをしていました。
(といっても私は転び専門でしたが・・・)
どうして夏でなく冬行くのかと当時は疑問でしたが、今となっては非常によく分かる気がします。

冬の方が、他の動物と同じ目線で自然の中で生きさせてもらっているという敬虔な気持ちになります。
(岩本:日本のこの時期、すべるという言葉は禁句でしょうか? ぼくはそんなことを気にするようではいかん、と言いたい。冬の中軽井沢の考察、大変興味深いですね。初めて聞きました。)

・トラックが川を渡るハルピン 。。。巴里の男性
写真を観て、中国、黒竜江省、ハルピンの松花江を思い出しました。展示会のサポートで冬のハルピンに1週間滞在したことがあり、外気温は最高でマイナス26度。その松花江の川幅数百メートルをトラックや人が渡る光景でした。

26歳の時でしたか・・・・・思えば、あれがそれ以降の私の人生と中国との最初の接点でしたね。
(岩本:すさまじい寒さですね。北海道もマイナス30度くらいになる地方があるそうですが、トラックが川を渡ったというニュースはありませんね。流れの速さによるのでしょうか。)

・巴里の女性
いまは「海でスケートができる国」お住まいなのですね。エッジにつく氷をなめると、やはり塩辛いのでしょうか。昔からロシア語の勉強に必ずでてきて、いつも「まさか」と思っていた のですが、今回モスクワに住むことになった友人と話して、その「信じられない」話がロシアでは本当なのだと知りました。

この写真にあるようなマイナス20度ぐらいのお天気のいい日に、氷を割って、その中に飛び込む健康法です。飛び込んだとたんに心臓発作を起こしそうなのにうれしそうに裸で氷の上を行くおじいさんの笑顔って。

北の寒い国にはそれなりの楽しみがある、というよりはそこでしか味わえない醍醐味みたいなものが、よそ者には理解しがたい、ということなのでしょうね。

わたしも自宅でささやかながらシャワーのあと冷水をかぶったりしてい ます。
(岩本:気温はマイナス20度、水温は零度、つまり川に飛び込んだほうが20度も暖かいということですよね。 気温20度の日に40度の風呂に入るのと同じことだと思えば納得できますね。)

・関東の女性
先日放送された番組(爆笑問題のニッポンの教養)で愛媛大学の田辺信介先生の環境化学を取り上げていて、関連で調べていたら環境ホルモンなど化学物質は温度が下がると空中から水の中へ溶け込む性質があり、冷たい海域の海水は有害物質のたまり場になるので北極、南極の汚染が非常に危惧されるとあり驚きました。

今年はもう少し、環境問題を掘り下げて勉強してみようと思った出来事でした!
(岩本:川に飛び込るロシア人は、有害物質にさらされるのでしょうか。寒中水泳も考え物ですね。)

・ゴルフに最適な。。。サイパンの女性

素敵な冬の風景をありがとうございます.こちらは涼しく、ゴルフに最適のサイパンです.プールの水が冷たく感じられ、夕方の浜辺の散歩が気持ちいいです.

今年6月までロシア人がノービザで入国できるので、 この時期たくさん来島しています.成金でマフィアっぽいのですが、お金を持っていて豪遊しています.エルメスの店にも来て大声を張り上げスカーフなど買っていきました。

パリはものすごく寒いとエルメスのひとはサイパンを懐かしがっていました.今大寒で一段と厳しい寒さでしょうね.でもソルド(仏語でセールのこと)で町もにぎわっているでしょうか?
(岩本:こういう話を聞くと、地球は広いと実感しますね。年末、初めてロンドンのソルドを体験しました。ポンド安のせいか、大変な人出でした。その活気は巴里の比ではありませんでした。)

・四国の女性
信じれれないような光景の写真ありがとうございます。日本では見られない風景に、癒されました。私はスケートできませんが、さすが寒い国の人たちですね!!
(岩本:雨が少ない香川県にはため池が多いと、社会科の時間にならいました。スケートリンクにできるといいのにね。)

・雪は好き、でも寒いのは 。。。関東の女性
寒いのは嫌いですが 雪は大好きです(ちと 矛盾してる?)
暖かい部屋の中からみる雪が最高! 年々雪が少なくなり 今年はまだ一度もみていません 広島のほうでは降ったようですが・・
 
日本の四季 なくなってしまいそうですね。
(岩本:30年前にこんな歌を聞いたことがあります。 おそらくレコードにはなっていないと思いますが。 「1月は正月で酒が飲めるぞ、 飲める、飲める、飲めるぞ、 酒が飲めるぞ」

歌ってくれた女性は酒豪でしたね。
「雪見障子をとおして、庭に積もった雪を見ながらこたつで飲む日本酒は最高だよね」と言っていました。
 同感です。ただし、雪下ろしは大変な労働なのだそうですね。 先週会った秋田の青年によると、自宅の雪下ろしに3時間かかるそうです。)

・広島の寒さなんて 。。。広島の女性 
海をスケートするオランダの人たちの話と写真、驚きました。冬は冬で、オランダはオランダで、驚くべきことや発見が、そしてまた楽しみがあるのですね。

寒い、寒い、不況、不況、と縮こまらないように気をつけようと思いました。マイナス10度に比べれば、広島の寒さなんて、暖かいといっていいくらのものですから。

2009年01月29日

◆巴里だより 「風の音を聞け」

                    岩本宏紀(在仏)

「君は空を見てるか、風の音を聞いてるか」 
小田和正がこんな歌を歌っている。

くるまに乗るとすぐに音楽を流すひとが多い。
ぼくもその一人だが、ときどきスウィッチを切ることがある。

すると聞こえてくるのは風を切る音、そしてエンジンの音だ。
アクセルを踏み込むと低い音が湧き上がってくる。
シフトアップしてやると、回転が落ちてまた静かになる。
まるでくるまと対話しているような気分だ。

もう25年くらい前、巴里出張の飛行機で隣あわせだったひとの言葉を思い出す。

F-1を専門にしているカメラマンで日本とジュネーブに家を持っているその人は、エンジンの音が好きでフェラーリを買ったという。

旨いものが食べたいときには、そのフェラーリでジュネーブからリヨンの
レストランまで走るのだそうだ。

人生を楽しむというのはこういうことなのかな、とその時思った。
2009.01.27

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◆添付画像 : 今乗っているくるまと冬のアムステル川
 (2008年12月31日 オランダ、アムステルダム近郊)

2009年01月17日

◆「海でスケートができる国」

            岩本宏紀(在仏)

今年のオランダは寒い。
朝の気温がマイナス10度という日が数日続いた。

アイセル湖という大堤防で仕切られた内海がある。

1月10日の土曜日、そこの観光地、マルケン島へ行くと
海までも凍っていた。

見渡す限りの氷。
数キロメートル先の対岸まで一面の氷だ。

その上を何人もの人がスケートで
マルケン島と対岸を往復しているのである。

「信じられない」という言葉しか見つからない光景だった。

寒いなら寒いなりに楽しみを見つけ出せるのですね。


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添付画像 ・マルケン島のみやげ物に並ぶ民族衣装の人形。  
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添付画像 ・対岸の町までスケートで行くオランダ人たち。

2009年01月04日

◆巴里だより ゴルフの醍醐味

〜“美女と野獣”の城にむかってナイスショット!〜
岩本宏紀(在仏)

巴里の近郊で手軽にゴルフができることをご存知ですか?

車で30分から1時間走れば、会員でなくてもプレーできるゴルフ場が20箇所以上あります。料金は土日でも日本に較べると格段に安い。

キャディーさんはいないので自分でゴルフバッグを引っ張って歩きます。僕は肩に担いでいますが。

お気に入りは「ラレー」。江戸時代初期に建てられた狩猟のための城を、ホテルとクラブハウスに改装し、まわりの森と草原をゴルフコースに改造をしたところです。ジャン・コクトーの映画、“美女と野獣”の撮影はここで行われました。

春には菜の花畑の黄色い絨毯がゴルフコースの周辺に広がり、秋には枯葉が風に舞う。

ときには珍しい動物に出会うこともあります。子猫くらいの大きさで猪のような動物が出てきたので、仲間が捕まえました。

ゴルフ場の職員に見せるとこの森に住む狐のこどもとのこと。彼が巣のそばまで連れて行きました。てっきり、しし鍋にされるものと思っていた僕はほっとしましたが、それ以上に親狐がほっとしたことでしょう。

夏坂健の“ゴルフを以って人を観ん”を読み、スコアを追い求めること以上にゴルフの楽しみがあることに気づきました。

ゴルフ場を歩ける健康な身体をもっていること、一緒にプレーしてくれる友達がいるという喜び、青空、流れる雲、飛び交う燕、夕日のなかにシルエットとなって浮かび上がったゴルファーの姿、斜光線でその曲線をあらわにした小さな丘。数えあがればきりがありません。

なかでも「ラレー」で最高にいい気分になるのは、最後のホール。正面はお城。両側は10メートルをゆうに越える並木道。夕日に照らされたこの城にむかって最後のティーショットを打つときは、ほとんど感動に近い気分です。

それまでのスコアの良し悪しはもうどうでもいい。一緒にプレーした二人も快心のボールを打ち、三人で思わず言ったのでした。“これがあるからゴルフはやめられないね。”

2008年12月23日

◆巴里だより「盗撮の反対」

               岩本宏紀(在仏)

カメラをもって歩いているときれいな風景だけではなく、きれいな女性にであうことが少なくない。その女性が風景に溶け込んでいれば最高だ。

そんなときは迷わずに声をかけることにしている。「あなたを入れて、ここを写真にとりたいのですが。」とお願いして断られたことは、これまで一度もない。

20年以上前のリスボンの海岸通り。ペンタックスMEをもってぶらぶら歩いているとコンクリートの岸にあぐらをかき、長い黒髪を風になびかせて海を眺めている女性がいた。

しばし見とれていると、そばにいたポルトガルのおばちゃんがぼくをつっついた。これに勇気付けられて声をかけ、写真を撮らせてもらった。これが見知らぬひとに了解をとった第一回目である。

ミュンヘンの雪の公園も忘れられない。茶色のロングヘアーにサングラス、茶色のロングコートを羽織って茶色の犬を連れて散歩している女性が近づいてくる。

「わたしでいいのですか?」と謙遜しながらも、嬉しそうに承諾してくれた。おかげで真っ白な公園に女性が一人だけという印象的な写真が撮れた。

ときには妙な具合になることもある。セーヌ河畔で見かけた、東欧とおぼしき色白の少女。

となりにいた母親に了解をもとめると、なにやら質問し始めた。

どうもポラロイドカメラで撮影し、高く売りつける悪徳カメラマンではないかと心配しているらしい。結局アマチュアだとわかってもらえたが、妹も一緒に写せという。断るわけにもいかず、心ならずも二人まとめて写真に収めた。

写した直後に画像が見られるのは、デジタルカメラのおもしろさだ。ハイデルベルクの橋のたもとでひとを待っていた少女は、清純そのものだった。

「あっちを向いて自然に立っていてください。」というぼくの注文にも、素直にしたがってくれた。

「こんな具合に撮れましたよ。」と画面を見せると、嬉しそうににっこり笑った。独り占めにするのはもったいないので、巴里だよりの読者のみんさん、250人に公開しましょう。

日本では盗撮が横行しているようですが、ぼくは事前了解撮影をお薦めします。

2008年12月14日

◆「巴里だより・生牡蠣を食す」への反響


               岩本宏紀(在仏)

<巴里発の本稿は、12月5日の本欄に掲載されています。ー編集部>

・だんなが殻を開く 。。。。巴里の女性
私も牡蠣は好きです。主人に牡蠣むきをしてもらいますが、Saxeの青空マルシェで売っているマロンヌ産のスペシャリテが大好きです。

(岩本:ぼくの故郷広島の牡蠣工場では「牡蠣打ち」と呼んでいました。ナイフではなくて釘がついた金槌のような道具を使っていましたが、記憶はあいまい。専用ナイフを使ってフランスでやったことがありますが、殻がぼろぼろになってとても見苦しい牡蠣になりました)

・684個平らげた。。。元タイの男性
ユウゴスラビア(当時)訪問の帰国の途中パリにより、夕食に牡蠣がでました。生牡蠣なので参加者は食するのに躊躇しておりましたが私は遠慮なく食べたところ美味しくて隣の分まで頂きました。ら、17人中8人がダメで私のところに集まり牡蠣の山に!!

いくら牡蠣好きな私でもそんなに食べられず?と思いきや皿を数えたら7枚食べておりました。1皿8個ー10個入っていたと思います。若かったのですネ!今は勿論無理でしょう!!!パリでの思い出の1つです。昔 大食らいの応援団長 より!!

(岩本:6の倍数で出されますから一皿12個のはず。つまり684個食べたことになります。脱帽。余談ですが「シャッポを脱ぐ」のシャッポはフランス語の帽子、シャポーのことです。)

・慎重な。。。広島の女性
ああ、生牡蠣だ、美味しそう、食べたいな、酢牡蠣がいいかな、いやチョットタバスコを振って、この前あたったのいつだったっけ、あの時は辛かったな、あたったの何度目だっけ、だんだんひどくなるような気がするな、今度あたったら何日寝ることになるんだろう。やっぱり生牡蠣はやめておこう。

(岩本:幸いなことにぼくはまだ一度もあたったことがありません。親が外出した隙に弟と一緒に生牡蠣を七輪で焼いて食べたあと、すべて吐いてしまったことがあります。これは単なる食べ過ぎ)

・関西牡蠣事情 。。。。大阪の男性
大阪でも、11月が「生牡蠣」のシーズンです。兵庫県の「ひなせ」から直送された生牡蠣の専門店「ひなせ」(06−6357−0900)で、牡蠣好きの仲間が寄り集まって舌鼓を打ちます。

しかし、生で頂くのはやや怖い今日この頃ですので、火を通した料理を注文しますが、獲れ立ての「ひなせ牡蠣」は、やはり美味ですね。

(岩本:兵庫県の牡蠣は初耳。名前がまたいいですね。「いなせ」に似ていて。)

・エムロード礼賛 。。。巴里の女性
去年、このお店で初めてémeraudeを食べて美味しくて感激したのを 思い出し、その後他のお店でみかけたので、買って食べてみたけど ここのémeraudeにはかないませんでした。

今年は、寒くなってまだ食べてないけど、これから年末年始に かけて消費量が増えるんでしょうね。

(岩本:レストランの前にあつらえた屋台に並ぶ牡蠣、冬は特に食欲をそそられますね)

・ニューオリンズ牡蠣事情。。。。元シカゴ、今は東京の男性
私がシカゴに住んでた頃('93〜'97)、出張で良くニューオーリンズに行きました。ジャズで有名なフレンチ・クォーターという一角がダウンタウンにあります。

そこには、オイスターバーも多くあり、立ちながらビールを飲み、カウンター越しにバーテンダーが殻をむいた生かきを食します。

ここでは、1年中生かきを食べるそうです。驚きました。メキシコ湾に面した暖かい場所で1年中生かきを食べるとは。

(岩本:メキシコ湾といえばヨーロッパに流れてくる暖流を連想します。そこで年中生牡蠣が食べられるとは意外ですね)

・痛風に注意 。。。埼玉の女性
レストランの画像も素敵ですね。 そして、蛎にそんなに種類があると知りませんでした。

「広島産は大きい」程度の認識です(笑)その気分になれば、直に食べにいける環境が羨ましい。
でも、食べすぎで痛風には気をつけてくださーい(^^)

(岩本:牡蠣で痛風に罹るとは知りませんでした。)

・源氏物語と越前牡蠣 。。。大阪の男性
数年前までは、福井県の越前まで「生牡蠣」を食しに、毎年この季節になると出かけたものです。

余談ながら、今年千年紀を迎えた「源氏物語」作者の紫式部は、ここ越前に赴任していた父と3年暮しています。ご当地が「越前和紙」の生産地だったことから、当時からこの「和紙」を自在に使って「源氏物語」を書くための諸準備をしたといわれています。

勿論、紫式部も日本海沿いの越前で、「生牡蠣」に魅されていたに違いありません。そんなゆかりの越前で、「紫式部記念公園」の散策や「越前和紙の手作り体験」に親しんだ後、ご当地の「生牡蠣」と「越前蟹」を味わえることは、この上ない粋で、幸せなことでした。

・巴里の男性
是非試食したく、レストラン名を教えて下さい。

・元巴里、今は大阪の男性
「巴里のど真ん中、マルシェ・サントノレのすぐそば、左半分にテーブルがある小さなレストランだ」と紹介されている店ですが、恐らく、
店名:L’ECUME ST-HONORE レキュム・サントノーレ
住所:6, rue du Marche St-Honore 75001 PARIS
電話:01-42-61-93-87 ではないですか。

小生がパリに赴任していたときは、事務所がこの近くのピラミッド通にあったので、しばしば行きました。懐かしいですね。駐在時代は、来客を案内するレストランガイドを作っていたのですが、小生はこの店をすっかり気に入っていたので、次のようなコメントを載せリストアップしていました。

「魚屋が経営する海鮮料理店。というより魚屋の一角で殻を剥いてもらった牡蛎を、サンセール(安物の白ワインで牡蠣にあう)を飲みながら頂くといった感じ。比較的早い19時過ぎに閉店する、何しろレストランではなく魚屋ですから。」

(岩本:まさにそのとおりです。ただしサンセールは安物ではありませんでしたよ。シャブリよりは安いですが。)

・岩かきプリンプリン 。。。。東京の男性
日本海及び東北地方では夏限定の岩かきという物があります。6〜7月が旬との事で、私もその時期に秋田や山陰に行くと、良く食べます。殻は本当、岩の様です。身は大きく、プリンプリンしてます。味は物凄く甘いです。

(岩本:1999年の8月に秋田で、一個だけ食べました。感激しました。600円くらいでしたが普通の牡蠣の3倍はありました)

・もう一軒 。。。ワインが大好きな巴里の女性
今回の写真のレストラン、行った事あります。カキにはシャブリが合いますね。岩本さんのおっしゃるように、寒くて、どんよりした日が多いパリですから、美味しい食事とワインがないと楽しくないですよね。

私は最近、安くて、量も多くしかも美味しいレストランを発見しました。昼も夜も20ユーローで3コース食べられますよ。

残念ながら、ワインリストはいまいちですが、グラスワインもあって安いし、サービスも良いし、脱帽です。車は運が良ければ、レストランの前に駐車できるし、Maubert mutualliteの地下駐車場も近いです。もしお時間があれば行って見てください。

(岩本:よさそうな店を紹介していただきありがとうございます。まずは自分で味見してから友達に紹介しますね。 楽しみです。)

・元巴里、今は横浜の女性
欧州の冬は寒くすぐ暗くなります。でも岩本さんは落ち込まずに喜びをその時々に見つけて喜んでいらっしゃる、えらいし賢いかたですね。

(岩本:根がのうてんきなものですから、どうやれば楽しめるかをいつも考えています)(完)2008.12.13ー巴里発



2008年12月05日

◆巴里だより 生牡蠣を食す

               岩本宏紀(在仏) 

Rの月はOK, Rのつかない月はだめと言われる食べ物、それは生牡蠣。つまりMay, June, July, Augustは避けよという意味だ。本当かどうか、10年前にレストランで尋ねたことがある。

「それは昔のはなしですよ。冷蔵技術とトラック輸送が発達した今では、一年中大丈夫。うちは15年以上やっていますが、問題を起こしたことは一度もありませんから、ご心配なく」との答えだった。

とは言うものの、やはりコートの襟を無意識に立てる頃にこそ、生牡蠣は食べたくなる。

急に気温が下がった11月なかば、1年前に行った店を思い出し、無性に生牡蠣が恋しくなった。

その店は巴里のど真ん中、マルシェ・サントノレのすぐそば。右半分が牡蠣や魚の売り場、左半分にテーブルがある小さなレストランだ。

ここにはエムロード(émeraude)という種類がある。身の一部がエメラルドグリーンをしている、他の店では見たことの無い逸品だ。これは後回しにしなければいけない。はじめに食べると他の牡蠣を食べても感激がなくなるからだ。

今年も迷わずこれを注文した。違う種類の牡蠣、殻に入ったうにも追加して飲み物はサンセールの白。満ち足りた冬の昼食だった。

巴里の冬は朝8時半まで暗く、夕方4時半には薄暗くなり、気分も沈みがち。反面、海の幸や鹿、兎、猪、雉といった野生動物が旨い季節でもある。うまくバランスがとれているなあとつくづく感心する。

◆添付画像 : エムロードを出す生牡蠣レストラン。 巴里売り場とテーブルが隣り合わせなので、指差して注文することもできる。

2008.11.22KakiAR.jpg 

2008年11月26日

◆巴里だより「マルモッタン美術館」

岩本宏紀(在仏)

出張で初めて巴里に来たのは1980年。そのころ巴里の美術館と言えばルーブルとジュー・ドゥ・ポームしか知らなかった。後者は印象派美術館と呼ばれており、現在オルセ美術館に展示してある多くの名画はここにあった。

エールフランスに乗ったとき、日本語の機内誌あった。葉書大で10ページそこらの小冊子だった。「Bon Voyage」(ボン・ボワイヤ-ジュ)という名前だったろうか。

そのなかでロダン、モロー、マルモッタンといった巴里のこじんまりした美術館が紹介されていた。モネが好きなぼくは、休みの日に迷わずマルモッタンに直行した。印象派という名前のもとになった絵、「印象・日の出」がそこにあると書かれていたからだ。

ベージュの石造りのこの建物は120年以上前に狩りの館として建てられたそうだ。今では高級住宅街のこの界隈だが、隣接するブローニュの森には当時は鹿や猪がいたのだろう。

地下展示室への階段を下りていくと、その絵は真正面にあった。一瞬、背中を氷水が流れ、ぼくは立ちすくんでしまった。

淡い水色の朝もやの港に一艘の小船。やっと全貌を現した紅い太陽と、ほのかな朝焼け。海面には一条の朱色のひかりが反射している。

あの感動は20年経った今でもはっきり覚えている。前回の巴里だよりでエトルタのことを書いた。そのときに「エトルタの夕陽というモネの有名な絵があるでしょう。」という友だちの言葉を思い出し、久しぶりにマルモッタンへ行ってきた。

「印象・日の出」は階段正面から左側面へ移され、以前はなかったガラス板が据えられていた。

一度盗難に遭い、数年後にやっと発見されて、再びこの美術館に戻ってきたという事情を考えると、これもやむを得ないかと思う。

しかしこの絵の印象は相変わらず強烈だ。観光客の大きな喋り声にもかかわらず、何分も引き込まれてしまった。

アパートからくるまで15分、行列もなく、6.5ユーロ(約900円)の入場料でこんな感動が味わえる。あらためて巴里の豊かさを実感した。

エトルタの夕陽の絵もすばらしかった。縦21センチ、横37センチの小さなパステル(乾性絵具)画だが、燃えるような夕焼け雲に目を奪われてしまった。

2008年11月21日

◆巴里だより 犬がこわかった

           岩本宏紀(在仏)

ぼくがまだ片言(かたこと)しか喋れなかった頃のことを、おじさんからよく聞かされる。

「宏紀(ひろき)を負うて歩いとったら、急に脚をひょいと上げるんじゃ。なしてかいのう(何故の広島弁)と思うと、はーるか先に、こーまい犬がおったんよぉ。」

婚約者のおばの家に行ったときは、悲惨だった。家のなかにボクサーがいたのだ。そいつが立ちあがったとき、ぼくは思わす彼女、つまり婚約者のうしろに逃げ込んでしまった。

居合わせたひとたちは、ぼくの人格を疑ったに違いないが、幸い婚約解消には至らなかった。

そのくらい犬がこわかった。理由はわからない。噛まれたわけでも、追いかけられたわけでもない。

ところが28歳で初めて巴里を訪れて以来、でかい犬とすれ違う機会が多くなった。それも鎖なしで飼い主の前を歩いている。狭い歩道では強面(こわもて)の鼻先30センチ以内に近づくこともある。けれど、巴里の犬がひとに向かって吠えているところは、ほとんど見ない。

また犬同士も冷静で、近寄って互いの匂いを嗅ぎあうだけだ。たまにヨークシャーテリアが、自分の何倍もある犬に向かって必死で吠えているのを見ることがあるが、喧嘩はまず無い。

もっとも田舎では番犬として飼っている農家があるので、安易に敷地内に入ると、領土侵犯と見なされて吠えられるそうだ。

犬を飼っている友だちも少なくない。初めのうちはこわかったが、ぼくのことを覚え、懐(なつ)いてくれると、今度はかわいくてしかたがない。

かつては、人間に懐く犬よりも、人間に媚(こ)びず、自分の世界に生きる猫のほうが断然好きだったぼくだが、今では「犬」と呼ぶのに抵抗を感じるほどになってしまった。(完)

◆<お知らせ>

当欄の常連寄稿者・渡部亮次郎氏主宰の全国版メルマガ「頂門の一針」が2週間ほど休刊になります。当欄の読者より問い合わせが在りますので、お知らせ致します。

・「頂門の一針」に掲載された「休刊のお知らせ」は下記の通りです。

<不可避なる突発事情のため18日より2週間(予定)休刊いたします。事情ご賢察の上、悪しからずお許し下さい。後日。詳しく説明いたします。(11月20日)>。

「頂門の一針」は復刊次第、引き続きご愛読ください。

なお、渡部亮次郎氏の卓見やエッセー(「頂門の一針」既掲載分)を、本欄にて引き続き転載させて頂きますので、是非ともご拝読をお願いします。
(ネットメディアおおさか 編集部)



2008年10月24日

◆巴里だより 紺碧の海

  
岩本宏紀(在仏)

巴里から南フランスの町マントン(Menton)へ9月末、出張した。 ニースの東、あと数キロでイタリア国境というところにある地中海沿いの保養地だ。 

このあたりは「コートダジュール」 (Côte d’Azur)、「紺碧の海岸」と呼ばれている。

お客さんを訪ねたあと、折角なので帰り道は海岸通りを選んだ。この日は、9月の終わりなのに陽射しが強く、まともに目が開けられないほどだった。

しかし海の色に驚いた。紫色をしている。押寄せる白い波頭と海の色の対比。なんという深い紫なのだろう。しばし見とれてしまった。

故郷、広島の瀬戸内海。松江の日本海。浜松の太平洋。エトルタ(フランス)の大西洋。ザンドフォード(オランダ)の北海。カンクーン(メキシコ)のカリブ海。アルジェ(アルジェリア)の地中海。どことも違う色だ。

海を見ながら歩いていると浜風は強いのに、ブレザーの下はすぐに汗ばんできた。波と戯れるこどもたち。水着すがたで日光浴をしているひとたち。なかにはトップレスもいる。
秋の巴里から千キロ南。ここコートダジュールはまだ真夏だった。(完)

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写真は、マントンの海辺。 オリンピアのデジタルカメラ Camedia C-700―。
紫の海と白い波頭と見ながら、若い男がその横を通り過ぎる。

2008年10月15日

◆巴里だより「玄米VSまむし焼酎」の反響


                       岩本宏紀(在仏)

◆ニューヨークの吸引棒 。。。。関東の女性
以前、NYに旅行した時に 酷い便秘になり(冷や汗笑い)、 それでトイレを詰まらせ(苦笑い) ルームサービスで、助けを呼び おじさんが、黒い吸引ゴムが先についた 「あの棒」(なんと呼ぶのでしょう・笑い)持って 部屋までかけつけてくれて・・・

あの思いきり恥ずかしい出来事を思い出し がんちゃんさんのコメントを読んで、 なんとも同胞の思い(笑い)

人間こういう思いは、皆味わってるのかな? ・・・って、思ったら、 過去の大きな失敗が許された(?)気分になり、 ちょっと安心しました(笑い) 臭い話題で、失礼します〜〜〜

(主宰岩本:そうですか、ぼくと同じような体験をされたひと、しかも女性がいると知って、ぼくも安心しました)。

◆20年間の牛乳の威力 。。。。巴里の男性

玄米は未だ試していませんが 私の場合はミルク Demi ecreme (ドゥミ エクレメ。ちょっと薄めの牛乳) 1日1リットル。朝晩500ミリリットルのおかげで出る方はスムースです。 

それに柑橘類も大好物でオレンジ、パンプルムースも見つければ買ってきます。 牛乳は母の勧めで20年位も飲んでいます。母の場合は骨も丈夫になると言って 事実80歳代で2度も道路で転んで顔面着陸するも骨折なしの実績を誇ります。
 
先日私は自宅で健康足ふみの器械から滑って尾骶骨着陸 1週間ほど出が悪く打撲でなく骨折だったらと思うと 70歳を超えた身のなお一層の慎重さの必要を感じました。 これも或いは牛乳1 リットルのお陰かも分りません。自分は丑年でもあり 牛に感謝しないといけないと思う今日この頃です。

(岩本:人それぞれに合った食べ物、飲物があるのですね。丑年生まれは牛乳、巳年のぼくはまむしに感謝。ところで発酵学の先生によると、納豆やチーズなど一旦発酵させた食べ物のほうが、身体がその栄養を吸収しやすいそうです。しかし牛乳そのものの威力もすごいですね。20年の成果、丈夫な尾骶骨に拍手!)

◆玄米は忙しい現代人には合わない? 。。。。広島の女性

四月から本格的に玄米食にしました。と言ってもマクロビオティックではありませんよ。最近、薬剤師の友人から「玄米は現代人には会わないことが多いよ」と忠告を受けてチョットショック!!なのです。

彼女は漢方や中医学を勉強している人で、「玄米でやせた」と喜んでいる私に「消化が悪いので吸収しないだけ」と厳しい。

彼女が言うには「昔の人はゆっくりありがたく食事をいただいたから消化の悪い玄米も問題なかったが、今の生活はゆっくり食事をしない。消化の良いものを食べるのに慣れた体で、白米の感覚で玄米を食べたら消化器が悲鳴を上げる。」

チョット思い当たることがあるんです。この頃あまりお酒が美味しくない。ということで、五分づきぐらいのご飯にすることにしました。

玄米を圧力鍋で炊いたモチモチプチプチしたご飯が好きでしたが、お酒が美味しくなるまでおあずけです。
アッ、カレーの時は断然玄米!

私のそのほかの健康の友はにんにくと手作り健康酒(マムシ酒ではないけど)ですよ。

追伸
マムシ酒飲んでたから夏に会ったとき元気な話が出てきていたんだね。体が衰えると口だけ元気になるって聞いてたのでその類かと思っていましたが,失礼しました。

(岩本:手作り健康酒はきっと秘蔵でしょうね。中身がなんだか、非常に興味があります)。

◆体重は変わらねど 。。。。元巴里今は大阪の男性

やっぱり歳ですね、「健康」がテーマですね。小生も外見はスマートながら、若いときとは体重はあまり変化がないにせよ、筋肉から脂肪へ、そしておなかのあたりに集まってきているようです。

また、高血圧と言うことで、パリ勤務でかかったお医者さんの進めもあり降圧剤を服用しています。

(岩本:そうですか、ぜんぜんおなかが出ていないように見えますが、中身が変化しているのですね。)

◆梅肉エキスと黒酢 。。。。東北の女性

玄米は自然食と自然療法研究家の東城百合子先生が絶賛している食品で、我が家でもよく食卓に上ります。
岩本さんがご経験されたように、便秘に効くことは勿論のこと、体質を改善して、健康維持には不可欠な食品のようです。また、よく噛むことによって、脳を活性化させる働きもあり、一石二鳥です。

ただし、私はマムシ焼酎には抵抗があり、トライしたことはございません。

玄米の他には、梅肉エキスや黒酢などを健康維持に役立てています。そのせいなのか、私の場合も、風邪はたいてい軽い症状で済んでいます。45歳を過ぎた頃から、やがてやって来る老年生活を強く意識するようになりました。

お通じをよくすることは、体から老廃物や毒素を外に出す、大切な役割をしているそうですので、これを維持して、これからもずっとお元気な岩本さんでいらしてください。とにかく健康第一です。
(岩本:梅肉エキスも黒酢も未経験です。 次回日本へ帰ったときに試してみますね)。

◆気功と便秘 。。。。関東の女性

最近、気功を習い始めましたが その中で「内臓の血液」を綺麗にする 運動というのをやります。 内臓の血液が汚れると不調、病気になるそう、 汚血を流して綺麗な血液を循環させるという運動。

なんとなく、この運動あとは 、 内臓がすっきりする気がします(^^) もちろん、便秘にも良いそうです〜

(岩本:気功も身体、とくに精神的にいいそうですね。ぼくにとって当面の課題はおなかの脂肪なので、まずはジムに通い始めました)。   完

2008年10月10日

◆巴里だより 「玄米VSまむし焼酎」


岩本宏紀(在仏)

<巴里おやじの健康術 第16回>
 
・週に数回が一日数回に
一週間の出張中一度も出ず、訪問先のトイレでやっと30cmの大物が出たが、水を流すと水位が上昇、あわやのところでやっと水位が下がり始め事なきを得たことを、3年前のビズ・ファミーユで告白した。

そのくらい重度の便秘体質だったが、我が家の食事が変わったことで劇的に改善された。肉をえびや魚に、白米を五分つき玄米にしたところ、週に数回だったものが一日一回、ときには数回に変わったのである。

それから4,5年後、単身生活が始まり白米に戻ったが、今も効果は持続している。

とはいえ不要なものを早く外に出すのは健康維持の基本。便秘予防のために朝食は穀物や植物繊維の多いコーンフレークにしている。それでも詰まり始めたかなと感じたら、マーシュ(mâche)という三つ葉に似た野菜を、ごま油と塩、胡椒で作ったドレッシングで食べれば完璧だ。

・馬鹿でなくても風邪を引かない
風邪への抵抗力、これも玄米食の効果だった。以前はひと冬に一度は熱で会社を休んでいたが、軽い症状で済むようになった。

馬鹿は風邪を引かないというけれども、他人の評価はいざ知らず、自分の知能が衰えたという自覚症状はない。馬鹿にならずに風邪に強くなった訳だ。

白米に戻って10年経った今でもそうだということは、4、5年続けた玄米食のおかげで体質自体が変わったのではないかと思う。

・まむし焼酎は控えめに
まむし焼酎はマクロビイオティク(禅式長寿法)には入れてもらえないだろうが、自分の体験を敢えて紹介したい。去年の夏、友人から彼の亡父の手作り品をいただいた。


鼻を刺す匂い、むせかえる味とアルコール濃度に閉口したが、ものは試し、ほんの少しだけ毎朝飲んでみた。

田七人参のように翌朝から効果が出ることはなかったが、一週間もすると少々無理をしようが、深酒をしようが翌朝の倦怠感がなくなった。

山口県の山奥で育った77歳の母にこのことを話すと、ファックスが送られてきた。

「そう言えば子どもの頃、目立たない軒にぶら下げてありました。女の子に食べさせると強くなり過ぎるので要注意と言われていたくらいですから、ほんのちょっとにしておきなさいよ。それから蛇の酒を飲んでいることは、絶対に外国の人には言わないように。」

この忠告を守り、一年で2升を飲み干した。友人はもう在庫が無いと言う。
さて次なる健康の友はいずこに。(完)

2008年10月05日

◆巴里だより 見られるということ

  岩本宏紀(在仏)

巴里の女性はどうしてこう粋(いき)なのだろう、と思うことが月に一度はある。

行きつけのスナックでこれを議題にすると、常連客の霊感マダムがすかさずこう答えた。彼女はフランス男性との結婚経験があり、直感が鋭いひとだ。

「それは子供のころから親に厳しく躾(しつ)けられるからよ。フランスのきちんとした家庭では食事の作法(さほう)はもちろん、階段の昇り降りの姿勢まで言われるの。肥ってくると当然食事制限が始まるし」。

ある会食の席上、こんなはなしを聞いた。

フランス人夫婦が日本を旅行した。すばらしい美人である奥さんは、巴里に戻ってから沈んだ表情で、旦那さんにこう漏らした。

「わたしって魅力がないのかしら。日本ではわたしを見る人が一人もいなかった」。

巴里では素敵なひとがいたら、その人に視線を向けるのが普通だが、日本では即刻「すけべ親父」の烙印(らくいん)を押されてしまう。

このはなしを聞いていた在仏20年以上の日本人女性がこう言った。彼女は誰が見てもきれいと思う容貌も持ち主だ。

「自分に視線を向けてもらおうと努力しているのですよ、女性は」。
なるほど、そうでしたか。美しさは努力の賜物(たまもの)なのですね。

北野武はこんな考察をしている。「田舎娘のような駆け出しのアイドルも、何年か他人の視線に晒(さら)されると垢(あか)抜(ぬ)けした女性に変わる。視線は粒子で出来ているのではないのか。粒子がばしばしと当たることで、きれいな顔になっていくのではないだろうか」。

どんな環境でもとにかくその場の一番美しい女性を口説こうとする性癖があり、数回の結婚経験のある友人はこう言った。「女優がなかなか歳をとらないのはなぜだと思います? 普通の主婦との決定的な違いは、鏡を見る回数ではないかとぼくは思うな」。

美しい女性は他人の視線だけでなく、自らの視線の粒子も使ってきれいに変身しているのだろうか。