2017年07月21日

◆会社の合併

川原 俊明(弁護士)

 
   
 旧商法の規定では、吸収合併消滅会社の株主に交付する対価は、
   存続会社の株式でなければならないとされていました。

    これに対して、会社法の規定では、吸収合併の場合において、
   消滅会社の株主に対して、存続会社等の株式を交付せず、金銭そ
   の他の財産を交付することを認めています。

    企業買収の容易化という観点からは、このような対価の柔軟化
   を認めることは必要不可欠でした。

    この対価の柔軟化により、いわゆる三角合併が可能となります。
    三角合併とは、存続会社が消滅会社の株主に対して、存続会社
   自身の株式ではなく、存続会社の親会社の株式を交付する合併を
   いいます。

    これにより、国内の会社同士はもちろん、クロスボーダーでの
   買収が可能になると言われています。

    この点、存続会社が親会社の株式を有していないような場合に
   は、親会社の株式を取得する必要が生じます。

    一般的に、小会社による親会社の株式の取得は禁止されていま
   すが、三角合併の対価として使用する場合には、その取得が認め
   られています。

    なお、三角合併と同様に、親会社株式を対価とする株式交換
   (いわゆる三角交換)も認められます。

    他方で、対価の柔軟化により、少数株主の締出しが容易になる
   という批判がなされ、また、対価が不十分とする少数株主の保護
   が必要になるとの指摘もあります。

    このあたりの調整が今後の課題になると考えられます。

    合併の他にも企業の組織再編の方法はありますので、最善の方
   法についてお悩みの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

   530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
   弁護士法人 川原総合法律事務所      
   弁護士 川 原 俊 明 


2017年07月16日

◆遺言書の作成

川原 俊明(弁護士)

    

人が行う法律行為の中でも特に大切なのが、「遺言」です。

    遺言書の作成は、生前にしておくものですが、その遺言書に書
   いた法律行為の効果が発生するは、その人が死んでからというこ
   とになります。

    この遺言書は、自分勝手に適当に作っていいものではありませ
   ん。自分で遺言書を書く場合は、その全文、日付、氏名を自筆で
   記入し、押印しなければならず、パソコンで打ち出したものや、
   日付が不明確なもの(○年○月吉日など)は遺言書全体が無効に
   なってしまいます。また、遺言書の内容も、民法に定められてい
   る事項以外のことを書いても、その効力が発生しないこともあり
   ます。

    ですから、自分で遺言書を書く場合も、弁護士等の専門家に相
   談した上で書かれることをお勧めします。

    この点、公正証書遺言は、公証人が民法の規定に従って適法に
   作成し、遺言書の保管もしてくれますので、最も確実な方法です。

    ただし、いきなり公証役場に飛び込んで、「公正証書遺言を作
   ってくれ」といっても、すぐに作ってくれるわけではありません。

    実務上は、弁護士等の専門家が遺言をする人から内容を聴取し、
   遺言書の草案を作成し、公証人と事前に折衝して作成することが
   通常です。

    当事務所では、公正証書遺言作成手続や、自分で遺言書を作る
   場合のサポートも行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 

2017年07月09日

◆遺言書の作成

川原 俊明



遺言には、公正証書遺言や、自筆証書遺言や、秘密証書遺言等
があります。

それぞれ遺言の方式によって、要件が決まっています。

例えば、自筆証書遺言であれば、日付と氏名を自署し、押印を
しなければならないと定められており、これを欠くと無効な遺言
と扱われてしまいます。

そのため、ご自身の意思を相続人にきちっと伝え、相続の争い
を防ぎたい方には公正証書遺言の作成をおすすめしています。

公正証書遺言は、公証役場で作成するので、要件の誤りで無効
になる心配はありませんし、遺言は公証役場で保存されるので紛
失とか書き換え等の心配もないからです。

もっとも、近日、公正証書遺言であっても、無効であるという
裁判例が出されています。その多くは、遺言能力の有無が争われ
   た事案です。
    
遺言は、15歳になれば作成できますが、15歳以上であって
   も、意思能力がない状態で作成すると無効になってしまいます。
    
公正証書遺言であっても、意思能力がなければ、無効になる可
   能性があるのです。
    
意思能力の有無は、遺言者の病状、遺言の内容、遺言の作成状
   況等から総合的に判断されます。特に、遺言者の病状(認知症の
   程度等)は重視されます。
    
そのため、確実に遺言を残してスムーズに相続させたい方は、
   病状が進む前に作成されることをお勧めします。
    
遺言の作成を希望される方や、相続の問題でお困りの方はいつ
   でも当事務所までご相談ください。
  
530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 



2017年07月05日

◆消費者をまもる法律

川原 俊明(弁護士)


   特定商取引法とは、@訪問販売、A電話勧誘販売、B通信販売、
  C連鎖販売取引、D特定継続的役務提供、E業務提供誘引販売取
  引、F訪問購入の取引について規制をする法律です。
   
@訪問販売取引を規制する法律が制定(昭和51年)されました
  が、その後、消費生活の変化にともない、様々な取引形態につい
  て被害を受ける消費者が増加し保護する必要が生じたために、上
  記A以下の取引について、順次規制するための改正がなされてき
  ました。
   
特定商取引による消費者被害の救済方法として、もっともよく
  利用される制度として、「クーリング・オフ制度」(頭を冷やし
  て考える猶予期間を確保するという意味)があります。
   
これは、本来、契約解除するためには、解除事由が必要なとこ
  ろ、クーリング・オフ制度が適用される取引については、ある一
  定の期間については、無条件で申込みの撤回、契約解除ができる
  というものです。
   
たとえば、訪問販売などでは、突然、自宅に押しかけてきて、
  消費者に十分考える余裕なく、一方的に業者のペースで取引がさ
  れることが多いので、申込書等の書面を交付されてから8日間は、
  無条件で申込みの撤回、契約解除ができます(頭を冷やして考え
  る猶予期間を確保する)。
   
もっとも、このクーリング・オフ制度は、B通信販売には、適
  用がありません。なぜなら、通信販売の場合、訪問販売等と異な
  り、消費者自らカタログ等を見て十分考えたうえで取引をするの
  で、消費者を保護する必要性が低いからです。

ただ、通信販売には、クーリング・オフ制度と似たものとして、
申込みの撤回等の特約(返品特約)が平成21年に新設され、広告中に 
返品不可の表示がなければ、商 品 が購入者に到達した日から8日間、申込みの撤回ができます。

   また、訪問購入の取引についての規制は、近年、業者が消費者の自宅で商品を売るだけでなく、
物品を 購入しようとする業者が増え、トラブルが多くなったことから、平成24年に追加されたもので す。
 
このように、特定商取引法は、消費生活の変化にともなって、
  頻繁に改正がなされることから、消費者を守っていく法律家にと
  って目が離せない法律といえ、今後も注目していかなければなり
  ません。 
   
訪問販売や通信販売等でお困りの際は、いつでも当事務所まで
  ご相談ください。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 

2017年07月01日

◆特定商取引法とは

川原 俊明
 
  

    昨今、自宅に押しかけた事業者に貴金属等を強引に買い取られ
  るといった被害が増えていることを受け、新たに「訪問購入」の
  規制を盛り込む「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」
  (平成24年法律第59号)が平成24年8月22日に公布され、
  平成25年2月21日に施行されました。

   この改正により、従前から規制されている「訪問販売」、「通
  信販売」等の契約類型と同様に、物品の種類や特徴、購入価格、
  引渡しの拒絶に関する事項などが記載された書面の交付義務が課
  されたり、同書面の交付から8日以内であれば、消費者は無条件
  で契約の申込みの撤回や契約の解除(いわゆる「クーリング・オ
  フ」)が可能となりました。

   また、業者が買主、消費者が売主となる契約類型であるとの特
  殊性から、消費者は、クーリング・オフ期間中、物品の引渡しを
  拒むことができるとの規定が設けられています。さらに、迷惑を
  かけるような方法等で同期間内に引渡しをさせること等も禁止さ
  れました。

   訪問購入を行う業者としては、消費者から購入した物品をさら
  に転売して利益を得る態様が通常であると考えられます。

   そこで、今後は、クーリング・オフ期間の経過前に業者が第三
  者に転売をしてしまい、その後、消費者から解除がなされた場合
  等の処理が法律上問題となり得るでしょう。

   訪問購入や訪問販売、通信販売等でお困りの際は、お気軽に当
  事務所までご相談ください。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士    川原俊明

2017年06月27日

◆中小企業経営承継円滑化法

川原 俊明



中小企業経営承継円滑化法には、遺留分に関する民法の特例、事業承継時の金融支援措置、事業承継税制の基本的枠組みが規定されています。
   
今回は、遺留分に関する民法の特例について簡単に解説します。

  民法では、相続人らの生活の安定や相続人の公平を担保するために、
最低限の相続の権利を規定しています。

例えば、被相続人に配偶および子の相続人がいるにもかかわらず、遺言によって不倫相手の女性に財産を遺贈された場合、配偶者や子は不倫相手に最低限の相続分を主張し、金銭の支払いを要求することができます。これを遺留分減殺請求権といいます。
   
事業承継の場面では、先代は後継者に多くの株式を譲りたいと
  考えます。しかし、遺言によって後継者に株式を譲り渡しても、
  他の相続人が遺留分を主張すれば、後継者が多くの支出をするこ
  とになり、事業継続が困難になる場合があります。
   
そこで、中小企業経営承継円滑化法は、この民法の遺留分の規
  定について、2つの特例を設けました。
   
1つ目は、一定の株式の価額を遺留分算定の基礎にしない除外
  合意ができ、2つ目は、遺留分算定の基礎財産に算入すべき価額
  を予め固定できることになりました。但し、推定相続人全員の合
  意が必要です。
   
どちらかの合意をして、経済産業省の確認および家庭裁判所の
  許可を受けることによって、当該合意の効力が発生します。
   
同特例を利用するためには一定の要件があります。
   
スムーズな事業承継をご検討の際は、当事務所にご相談ください。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 



2017年06月10日

◆中小企業における経営承継円滑化に関する法律

川原 俊明(弁護士)



中小企業において、経営自体は順調だが、経営者が体力面等から経営の一線から退きたいと考えた場合、どうしたらいいでしょうか?

 廃業という手段もありますが、顧客のニーズや従業員の雇用を考えると、そうもいかないケースも少なくないでしょう。

 適当な後継者がいない場合には、会社や事業を売却して、今後の生活資金を確保するのが相当でしょう。

 推定相続人等に適当な後継者がいる場合には、株式や事業用資産をその人に集中させて、経営を安定化させることが重要になります。

 しかし、何の対策もしないで経営者が死亡してしまうと、相続により、株式や事業用資産がバラバラになってしまう虞があります。

 また、生前贈与や相続分の指定は集中の有効な手段ですが、他の相続人の遺留分(民法1028条〜)により必ずしも集中ができない虞もあり、また、多額の贈与税や相続税もかかります。

 さらに、他の相続人から株式や事業用資産を買い取るとすると、多額の資金が必要になります。
   
そのような問題の解決の一助になるのが、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律です。

 この法律では、遺留分に関する特例制度、贈与税や相続税の納税猶予制度、
政府系金融機関からの低利融資制度等の経営承継を円滑に行うための制度が用意されています。

 しかし、かかる制度を上手に利用して承継を円滑に進めるためには、まず、綿密な事業承継計画の作成が必要となります。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 


2017年06月07日

◆プロバイダ責任法の目的とは

 川原 俊明(弁護士)



  プロバイダ責任法という法律をご存じでしょうか?

   正式名称は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び
  発信者情報の開示に関する法律」といいます。

 最近ではインターネットの利用が当たり前になってきており、
  特定電気 通信役務提供者(プロバイダ 等 の責任の明確化、
  また、損害賠償責任の範囲を制限することも必要となってきています。

   同法は、民法上は、名誉毀損や著作権侵害として、プロバイダ等が
  損害賠償責任を負うはずなのに、一定の要件を充足すれば、プロバイ
  ダ等は責任を負わないという法律である。

   なぜ、プロバイダこのような保護が必要なのか、疑問が生じるかもし
  れません。

   確かに、プロバイダに損害賠償責任を負わせることで、責任を問われ
  ないように行動するよう促すことができます。また、名誉や著作権等の
  侵害を防ぐことができる場合があります。

    しかしながら、プロバイダとしては、事前に、問題になりそうな投稿等を選別して
   掲載を拒否することになりますが、その処理の膨大さに加えて、名誉毀損や著作権侵害などに該当する
かの判断は必ずしも容易ではないことから、少しでもリスクのあるものは掲載しない、削除するといっ   た萎縮効果が発生し、過度な掲載拒否を招くおそれがあります。

    そこで、プロバイダ責任法によって責任の明確化を図り、表現の自由と名誉や著作権等の保護法益の   調和を図ることが、同法の意図すると
   ころといえるでしょう。

    もっとも、インターネットの分野が急速に発展し続けている中、同法も時代に合わせて改正されてい    くと思われます。

      530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 




2017年06月03日

◆企業合併は計画的に

川原 俊明(弁護士)



 会社が事業規模を拡大しようとするとき、もっとも早く実現する手段の一つとして、他の会社を吸収合併する、という方法があります。当該他の会社の事業をそのまま引き継げるからです。

 合併のメリットとしては、消滅する会社の権利を包括的に承継するという点や、追加の資金を必要としないという点があります。

 つまり、消滅する会社と取引会社間の契約関係については、個別の同意を取らなくても、吸収する会社が引き継げますし、その対価として自社の株を発行すれば追加資金も必要ありません。

 他方、デメリットとしては、原則として株主総会決議や債権者保護手続が必要となることや、反対株主買取請求権が発生する場合があることなどがあります。債権者保護手続においては、会社の債権者に会社の決算書等を開示しなくてはなりません。

 また、消滅する会社の債務を包括的に承継するため、簿外債務・偶発債務を遮断できないという問題があります。

 単純に、他の会社の一事業が欲しければ、「合併」ではなく「事業譲渡」や「会社分割」という手段がありますし、他の会社すべてが欲しいときでも「合併」の他に「子会社化」という手段もあります。

 企業が成長を続けるためには、どこかで組織再編を行う必要がありますが、どの形態(合併なのか事業譲渡なのか等)で行うかについては、各形態のメリットデメリットを吟味しなければなりません。

その際には当事務所にご相談下さい。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 

2017年05月29日

◆著作物ってなに!?

川原 俊明

 

著作物といって頭に浮かぶものは何でしょうか?

 おそらく、ゲームのプログラム、小説、漫画のキャラクター、歌詞とかいったものでしょう。

 著作物が一体何であるかを知らなければ、気づかないうちに著作権を侵害してしまい、著作権者から突然訴えられることにもなりかねません。

 そこで、あらかじめ著作物が何であるかを知っておくことは大切なことです。

 著作権法上、著作物として「言語」「音楽」「舞踏、無言劇」「美術」「建築」「地図、図形」「映画」「写真」「プログラム」の9種類が挙げられていますが、これは、あくまでも例示であって、これら以外にも、「思想または感情を」「創作的に」「表現したもので」「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する」と言えれば、著作物にあたり、法律上保護されることになります。

 この著作物にあたるかのポイントとは、「思想または感情を」「創作的に」といえるかどうかですが、「新聞」「写真」を例に挙げて著作物にあたるか検討してみましょう。

 まず、「新聞」について、「記事」は著作物にあたりますが、「見出し」は著作物にあたりません。なぜなら、「記事」は、記者が独自の取材をもとにして、思考をこらして作られるものであることから、まさしく「思想または感情を創作」しているからです。

これに対して、「見出し」は、とても短く、キーワードの羅列にすぎない場合も多く、誰もが考えつく表現が多く、思想が創作的に表現されたものとは言えません。
 
 次に、「写真」について、「スナップ写真」は著作物にあたりますが、「証明写真」は著作物にあたりません。なぜなら、「スナップ写真」は、撮影者のシャッターを押すタイミング、撮影のアングル、光のあて方によって、写真の出来がかわるものであり、撮影者による独自の撮影方法によるところが大きく創作的に表現されたものと言えるからです。

これに対して、「証明写真」は、単に機械的に撮影されるものであり、撮影者による「思想または感情」を表現したものとは言えないからです。
 
 最後に私が今書いているこの文章はどうでしょうか?

これが文芸と言えるかどうかについては、意見が分かれるところですが、私が「著作物」に関する文章を「思想を創作的に表現している」ことにはまちがいではないので、まさしく著作物にあたることになります。

ですので、私に無断でこの文章をコピーして販売することになれば、私に対する著作権を侵害することになりますので、みなさま、ご注意くださいね。(笑)

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 




2017年05月24日

◆ゴーストライター問題

川原 俊明(弁護士)

 佐村河内守氏が実際には新垣隆氏に報酬を支払って作曲をさせていた事件が巷を賑わせています。

 この事件について著作権法上の問題はないかという視点で考えてみましょう。
 結論から言うと、佐村河内氏あるいは新垣氏の行為が著作権違反になることはなさそうです。

 著作権には、大きく分けて、著作人格権と狭義の著作権とがあります。
 
本来の作曲者である新垣氏には、著作者として著作者人格権が認められます。
著作者人格権には、著作物の公衆への提供等に際し自己の名称を表示する権利(氏名表示権)などがあります。
 
もっとも、新垣氏は、もともと佐村河内氏から報酬を受けてゴーストライターを務めることを承諾しているわけですので、著作者人格権については放棄していると解釈するのが自然です。
 
また、佐村河内氏は、新垣氏の作曲した曲をあたかも自己が作曲したものとして公衆に提供しており、一見、新垣氏の狭義の著作権を侵害しているように思えます。
 
もっとも、この点についても、新垣氏の承諾があることから、新垣氏から佐村河内氏に対して狭義の著作権は譲渡されているものと考えられます。

 したがって、狭義の著作権を有する佐村河内氏が著作権侵害をすることはありません。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 



2017年05月16日

◆YouTubeを観て著作権違反!?

川原 俊明

 既にご存じの方も多いと思いますが、著作権法の平成24年改正により、違法なインターネット配信から、販売や有料で配信されている音楽や映像を
違法配信と知りながらダウンロードする行為が刑罰の対象となりました。
 
今回はこの改正のポイントについて解説したいと思います。

 1 平成24年改正までは、販売や有料配信されている音楽等を違法にアップロードする行為が刑罰の対象とされ、これを私的利用目的(自宅鑑賞のため等)でダウンロードする行為については、刑罰の対象にはなりませんでした。
 
しかし、今回の改正によって、たとえ、私的利用目的であっても、違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードする行為も刑罰の対象になりました。

具体的には、 2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれに併科するものです。

 ただし、親告罪とされていますので、誰かから告訴されない限りは、処罰されません。

 では、私たちがYouTube等の動画投稿サイトで、音楽や映像を観る行為は処罰の対象になるのでしょうか。動画投稿サイトでは動画をダウンロードしながら再生するという仕組みにより、動画を閲覧できるもの
(プログレッシブダウンロードと呼ばれている)があります。
 
文化庁の見解によれば、この仕組みでの閲覧は、電子計算機における著作物利用に伴う複製にあたり、著作権を侵害しないものとして処罰の対象にならないと解釈されています。

 2 また、家庭内で使用する目的であっても、アクセスコントロール技術の施されたDVDやCDからデータを吸い出すことは、規制されることになりました。
 
ただし、この点については、刑事罰は規定されていません。

 なかなかややこしいですね。

 著作権に関するご相談、ご質問等ございましたら、
 お気軽にご相談ください。



2017年05月12日

◆信託財産に強制執行!?

川原 俊明(弁護士)

 

「信託法」という法律をご存じでしょうか?あまり、聞き慣れない法律かと思います。

 信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己または他人(受益者)のために、当該財産の管理・処分を管理者(受託者)に委ねる仕組みです。他人のために財産を委ねるのか?と思われるかもしれませんが、それを生業としている会社等から見たら、お客さんは「他人」になりますので、このような定義となっています。

 信託には、@信託契約による信託については、信託契約、A遺言による信託については、遺言、B自己信託による信託については、信託法3条3号に定める書面または電磁的記録によってする意思表示の3類型が定められています。
 
では、受託者が委託者の財産(信託財産)の管理をしている際、受託者の債権者としては、その信託財産も受託者の財産として、強制執行できるのでしょうか?

 確かに、信託財産は、形式的には受託者に属します。しかしながら、受託者は、信託財産の利益を享受する主体ではなく、実質的には受益者がその利益を享受します。そのため、信託財産は、受託者の固有財産から区別され、受託者の債権者からの強制執行等が制限されています(信託財産の独立性)。

 その他にも、信託ならではの定めがたくさんあり、活用次第では、資産形成に寄与するものと思われます。

 信託法に関するご相談は、当事務所までどうぞ。