2017年05月24日

◆ゴーストライター問題

川原 俊明(弁護士)

 佐村河内守氏が実際には新垣隆氏に報酬を支払って作曲をさせていた事件が巷を賑わせています。

 この事件について著作権法上の問題はないかという視点で考えてみましょう。
 結論から言うと、佐村河内氏あるいは新垣氏の行為が著作権違反になることはなさそうです。

 著作権には、大きく分けて、著作人格権と狭義の著作権とがあります。
 
本来の作曲者である新垣氏には、著作者として著作者人格権が認められます。
著作者人格権には、著作物の公衆への提供等に際し自己の名称を表示する権利(氏名表示権)などがあります。
 
もっとも、新垣氏は、もともと佐村河内氏から報酬を受けてゴーストライターを務めることを承諾しているわけですので、著作者人格権については放棄していると解釈するのが自然です。
 
また、佐村河内氏は、新垣氏の作曲した曲をあたかも自己が作曲したものとして公衆に提供しており、一見、新垣氏の狭義の著作権を侵害しているように思えます。
 
もっとも、この点についても、新垣氏の承諾があることから、新垣氏から佐村河内氏に対して狭義の著作権は譲渡されているものと考えられます。

 したがって、狭義の著作権を有する佐村河内氏が著作権侵害をすることはありません。

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 



2017年05月16日

◆YouTubeを観て著作権違反!?

川原 俊明

 既にご存じの方も多いと思いますが、著作権法の平成24年改正により、違法なインターネット配信から、販売や有料で配信されている音楽や映像を
違法配信と知りながらダウンロードする行為が刑罰の対象となりました。
 
今回はこの改正のポイントについて解説したいと思います。

 1 平成24年改正までは、販売や有料配信されている音楽等を違法にアップロードする行為が刑罰の対象とされ、これを私的利用目的(自宅鑑賞のため等)でダウンロードする行為については、刑罰の対象にはなりませんでした。
 
しかし、今回の改正によって、たとえ、私的利用目的であっても、違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードする行為も刑罰の対象になりました。

具体的には、 2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれに併科するものです。

 ただし、親告罪とされていますので、誰かから告訴されない限りは、処罰されません。

 では、私たちがYouTube等の動画投稿サイトで、音楽や映像を観る行為は処罰の対象になるのでしょうか。動画投稿サイトでは動画をダウンロードしながら再生するという仕組みにより、動画を閲覧できるもの
(プログレッシブダウンロードと呼ばれている)があります。
 
文化庁の見解によれば、この仕組みでの閲覧は、電子計算機における著作物利用に伴う複製にあたり、著作権を侵害しないものとして処罰の対象にならないと解釈されています。

 2 また、家庭内で使用する目的であっても、アクセスコントロール技術の施されたDVDやCDからデータを吸い出すことは、規制されることになりました。
 
ただし、この点については、刑事罰は規定されていません。

 なかなかややこしいですね。

 著作権に関するご相談、ご質問等ございましたら、
 お気軽にご相談ください。



2017年05月12日

◆信託財産に強制執行!?

川原 俊明(弁護士)

 

「信託法」という法律をご存じでしょうか?あまり、聞き慣れない法律かと思います。

 信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己または他人(受益者)のために、当該財産の管理・処分を管理者(受託者)に委ねる仕組みです。他人のために財産を委ねるのか?と思われるかもしれませんが、それを生業としている会社等から見たら、お客さんは「他人」になりますので、このような定義となっています。

 信託には、@信託契約による信託については、信託契約、A遺言による信託については、遺言、B自己信託による信託については、信託法3条3号に定める書面または電磁的記録によってする意思表示の3類型が定められています。
 
では、受託者が委託者の財産(信託財産)の管理をしている際、受託者の債権者としては、その信託財産も受託者の財産として、強制執行できるのでしょうか?

 確かに、信託財産は、形式的には受託者に属します。しかしながら、受託者は、信託財産の利益を享受する主体ではなく、実質的には受益者がその利益を享受します。そのため、信託財産は、受託者の固有財産から区別され、受託者の債権者からの強制執行等が制限されています(信託財産の独立性)。

 その他にも、信託ならではの定めがたくさんあり、活用次第では、資産形成に寄与するものと思われます。

 信託法に関するご相談は、当事務所までどうぞ。



2017年05月06日

◆成年後見ノススメ

川原 俊明弁護士


 
 私たちは、部屋を借りたり、電化製品を買ったり、スーパーで買い物をしたり、いろいろな契約を結んで、生活をしています。
 
契約を結ぶ際、私たちは、契約の内容を理解して、どのような利益や負担が生じるのか判断して意思決定します。
 
しかし、認知症の方や知的障害のある方のように、適切に意思決定をすることが困難な場合があります。

このような場合、ご本人や、その親族等からの申し立てにより、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると裁判所が判断すれば、後見が開始され、成年後見人が選任されます。
 
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができますので、例えば、成年被後見人がひとりで訪問販売の勧誘を受け、高額な契約をしてしまったとしても、後から、本人や後見人が取り消すことが出来ます。
 
ただし、日用品の購入その他日生活に関する行為は取り消すことは出来ません。
 
その他、例えば、施設に入る必要がある、介護サービスを受けたい等、必要な契約があれば、後見人が被後見人の意思を尊重して、本人の代わりに契約を締結することができます。
 
このようにして、被後見人の意思を尊重しながら、安心して社会生活を営むことができるようにするのが成年後見制度です。
 
ご家族の中で、意思決定をひとりでさせることにご不安がある等のお悩みがあれば、ご相談ください。

2017年05月03日

 ◆B型系男子!?

川原 俊明



今回は、メルマガ購読者様からの質問に対し、
弁護士が法律的に回答してみました♪


Q:つきあってた彼女が「B型やったん!?ほな別れましょう!」
と言ってきました。
まったく納得できません!訴えれますか??

A:質問は、「彼女に対し、慰謝料請求したい」ということかと思います。
 しかし、お気の毒ですが、法的には問題はなく、彼女に対し慰謝料請求することはできません。

 そもそも、婚姻している場合には、血液型いかんは離婚原因となりません。
 また、婚約が成立している場合にも、血液型いかんをもって婚約解消の正当事由とすることはできません。

 今回のケースにおいて、婚姻しなさい!という請求はできませんが、婚約の不当破棄として慰謝料請求は可能です。

 しかし、単に「つきあってた」という関係は、婚姻や婚約成立後とは違って、相手の人間性や相性等を相互に探っている状態であって、法律や慰謝料を持ち出してまで保護されるべき関係とまでは言えません。

 「何となくイヤ!」という理由でも、法律的にはOKなのです。 婚約もしていないのに、慰謝料請求云々と言われたのでは、怖くて交際なんてできませんよね。
 
 そもそも、B型の男性の良さを理解しない女性なら、こちらからさっさと別れたほうがいいです!!

2017年04月29日

◆問題なっしー!?

川原俊明(弁護士)



今回も、メルマガ購読者様からの質問に対し、弁護士が法律的に回答してみました♪

Q:「先日、高砂市が開催したイベント会場に、ゆるキャラ『ふなっしー』の偽物がいて、警察に取り押さえられたというニュースを見ました。

 どうやら、自分の子どもを喜ばすために、お父さんが『ふなっしー』の着ぐるみを着ていたみたいです。
 この後、このお父さんはどうなるの?」

A:警察から注意を受けるくらいで「おとがめなっしー♪」される可能性が高いと思います。
 
まず、このお父さんの行為についてどの法律が問題になるでしょう?
 考えらえられるのは著作権法です。警察も著作権法違反を視野にお父さんから事情を聞いているようです。
 
マスコットである『ふなっしー』の容貌には著作権が発生しています。他人が、勝手に『ふなっしー』と類似した着ぐるみを作成・利用すると著作権法に引っかかります。
 
ただし、その作成・利用が「私的使用」等のためであれば、著作権法違反にはなりません。
 
今回のケースでは、イベント会場にいたとはいえ、お金を受け取っていないことや自分の子どもを喜ばせる愛らしい目的であったことから、「私的使用」もしくはそれに近しいものとして、刑事罰の対象になるとまでは言えないでしょう。
 
問題なっしーです。
 
なお、余談ですが、『ふなっしー』が本当に梨の妖精である場合、妖精の姿自体には著作権は発生しませんので、そもそも著作権の問題さえも発生しないことになりますね♪



2017年04月26日

◆本当はとっても身近な景品表示法

川原 俊明(弁護士)



 景品表示法と聞いて、一般の人はあまりピンとこないと思いますが、実は、非常に身近な法律なのです。

 消費者が、商品・サービスを購入する際、実際よりもよく見せかけて表示されたり、過大な景品類の提供が行われたりすると、それにつられて、悪質な商品を購入することになり、結果的に不利益を被るおそれがあります。

 そこで、消費者が、正確な情報をえて、良い商品を購入できるようにするため、景品表示法で規制して、一般消費者の利益を保護しようというのです。
 景品表示法は、以下のとおり、大きくわけて、ふたつの規制をしています。

 ひとつは、不当な表示の禁止です。

 具体的には、@「100%果汁」と表示したジュースの果汁成分が、実際には、60%であったり、A「大学合格実績bP」と表示していたが、他校と異なる方法で数値化して、適正な比較ではなかったりなどの不当な表示を禁止しています。

 もうひとつは、過大な景品類の提供の禁止です。

 具体的には、商店街のセールでの福引きで非常に高額な景品を提供したり、商品購入に伴って非常に高額な景品を提供したりすることです。法律上、前者には、30万円までの制限、後者には、1000円以上の取引価格のものについては、取引価格の2割までという制限があります。

 では、これらの規制に違反しているのを見つけたときは、どうすればいいでしょうか?そのときは、消費者庁、または、公正取引委員会へ情報提供すれば、関係官庁が調査し、場合によっては、警告、違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」を行ってくれます。

 当事務所の、熱意のこもった接客対応は、口コミやホームページの評判よりもよいので、警告をいただくかもしれません♪

2017年04月24日

◆本当はとっても身近な景品表示法

川原 俊明



 景品表示法と聞いて、一般の人はあまりピンとこないと思いますが、実は、非常に身近な法律なのです。

 消費者が、商品・サービスを購入する際、実際よりもよく見せかけて表示されたり、過大な景品類の提供が行われたりすると、それにつられて、悪質な商品を購入することになり、結果的に不利益を被るおそれがあります。

 そこで、消費者が、正確な情報をえて、良い商品を購入できるようにするため、景品表示法で規制して、一般消費者の利益を保護しようというのです。
 景品表示法は、以下のとおり、大きくわけて、ふたつの規制をしています。

 ひとつは、不当な表示の禁止です。

 具体的には、@「100%果汁」と表示したジュースの果汁成分が、実際には、60%であったり、A「大学合格実績bP」と表示していたが、他校と異なる方法で数値化して、適正な比較ではなかったりなどの不当な表示を禁止しています。

 もうひとつは、過大な景品類の提供の禁止です。

 具体的には、商店街のセールでの福引きで非常に高額な景品を提供したり、商品購入に伴って非常に高額な景品を提供したりすることです。法律上、前者には、30万円までの制限、後者には、1000円以上の取引価格のものについては、取引価格の2割までという制限があります。

 では、これらの規制に違反しているのを見つけたときは、どうすればいいでしょうか?そのときは、消費者庁、または、公正取引委員会へ情報提供すれば、関係官庁が調査し、場合によっては、警告、違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」を行ってくれます。

 当事務所の、熱意のこもった接客対応は、口コミやホームページの評判よりもよいので、警告をいただくかもしれません♪

2017年04月17日

◆命名「スシロー」

川原 俊明 (弁護士)



 ご自分で店を始めるとき、自由に店の名前や商品の名前をつけることはできるのでしょうか?

 例えば、個人でお寿司屋さんを経営しようとしたときに、店の名前を「スシロー」と名付けることは、自分の店なので自由に決められて当然であり、違法とは言えないのでしょうか!?

 商品名や役務の提供について、保護する権利が「商標権」であり、商標権について規定するのが商標法です。
 
 商標権は、店名や商品が全国的に有名かどうかは関係なく、商標法上の登録さえすれば、全国的な保護を受けることが可能です。

 冒頭の事案では、すでに株式会社あきんどスシローが「スシロー」を商標登録しているため、「スシロー」という名で寿司を客に提供する行為は、株式会社あきんどスシローの商標権を侵害することになってしまいます。 ((-ω-。)(。-ω-))フルフル

 そして、商標権を侵害又は侵害されるおそれがある場合、商標権者は侵害の停止予防を請求することができます。

このような請求は、相手方の故意・過失を問題としないため、無過失の侵害者に対しても認められます。

 また、商標権の侵害者に対しては、損害賠償請求を行うことも可能であり、その際には、侵害者には過失が推定され、損害額の算定方法についても、特別に規定されています。

 これに対し、以前からある商標を使っていたにもかかわらず、商標の登録をしないままでいる場合に、知らない間に他人がその商標を登録してしまった場合には、従前からの使用者は、登録異議申立てや商標登録無効審判を、特許庁に対して申し立てることができます。

 これらの手続は、専門的、技術的な知識が必要だということで、裁判所ではなく、まずは特許庁に申し立てるという制度になっています。

 このような商標権については、ネットを通じて無料で簡単に検索が可能です。
 というわけなので、もし店名や商品名をつけるようなことがある場合には、まずは検索をかけることをおすすめします。

 スシローは検索するまでもありませんが。(笑)



2017年04月14日

◆うきうきボーナス

川原 俊明(弁護士)



Q 先日、経団連が発表した大手企業の今夏のボーナスの支給状況によると、前年比7%増となったようです。私の会社は逆にボーナスが減ってしまいました!納得できないので訴えて、増額請求することは可能でしょうか?

A 夏のボーナス、景気のいい話ですね!一部は念願のマイホームの頭金として・・・などという妄想はこれくらいに、質問にお答えしましょう!
 
実は、そもそもボーナスというものは法律上、給与とは違う性質で、あくまで、会社からの恩恵と考えられています。
 
この意味で、就業規則や雇用契約で、ボーナスを支払う、となっていない限り、会社側に支払う理由はありません!
 
しかし、仮に、他の方はもらっているのに、自分だけがもらっていない!という場合は別問題です。
 
この場合、会社は、慣例としてボーナスを支給しているものとみなされる場合が多いので、ご自身だけもらっていない場合は会社に訴えかけてみてください。
もし、日頃の勤務態度や、営業成績などを理由にされた場合は、労働局や労基署に相談することも可能です。

ただ、これらに訴えてみたところで、せいぜい勧告書を送ってくれる程度かもしれません。
 
効果的なのは、弁護士に代理人として交渉役となってもらい、内容証明郵便を送り、場合によっては法律違反を理由とした訴訟をすることです。
 
その場合はぜひ当事務所にご相談ください!初回相談料は無料です♪


2017年04月09日

◆私生活上の非違行為と懲戒解雇・退職金不支給

川原 俊明(弁護士)



<わて、どないなってまうん!?>

 Aさんは、B株式会社に25年勤続してきましたが、ある日、お酒を飲んで、痴漢を行い、逮捕され、有罪が確定しました。

 B株式会社は、就業規則に基づき、Aさんを懲戒解雇し、さらに、退職金を支給しないこととしました。

 Aさんは納得できないのですが、法的にはどういう問題があるのでしょうか?

<お答えします!>
1 懲戒解雇の当否
  まず、懲戒解雇は、就業規則に基づくものでなければならず、また、具体的事案に照らし社会的相当性を有するものであることが必要です。

  今回の場合、私生活上の非違行為ですので、具体的に会社の名誉や社会的信用を毀損させ、企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあることが必要とされます。

2 退職金を支給しないことの当否
  次に、仮に懲戒解雇が有効とされる場合であっても、直ちに、退職金を(全部・一部)支給しないことが許されることにはなりません。

 退職金は、功労報酬金としての性格のみならず、賃金の後払い的性格、生活保障的性格を併せ持つものだからです。

 判例では、@非違行為の内容、A使用者の受けた損害、B被用者の会社における地位、C在職中の貢献度などを踏まえ、被用者の永年の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの重大な不信行為があることが必要とされています。
  
  労働問題は生活に直結する重要な問題です。疑問を感じたら、気軽に相談してください♪

2017年04月05日

◆派遣労働者の保護を図っていく時代

川原 俊明(弁護士)


 
労働者派遣法は、昭和60年に制定されて以降、時代の流れに沿って、度々、改正されてきました。

 労働者派遣法第40条の2もそのひとつで、同条は、「派遣先は、同一の業務で派遣可能期間(最長3年)を超える期間、継続して派遣労働者を使用してはならない」と規定しており、これに関連して、派遣先が講ずべき措置に関する指針第14項は、「派遣期間終了後3か月を超えない場合には継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす」と規定しています。

 これによって、3年の派遣契約期間終了後、3か月間のクーリング期間をおくことで派遣労働者の使用をできないようにして派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図っていました。

 ところが、これらの規制をうまくかいくぐるように、派遣契約期間終了後、すぐに3か月間を超える期間(3年と1日)の直接雇用契約をし、その契約終了後、再度、派遣契約をして、実態として、3年超える期間、派遣労働者の継続使用する会社が現れました。

 これは、上記指針の3か月間というクーリング期間を利用して、再度、派遣契約を締結し、これによって、派遣労働者を使用し続けるというものでした。

 これについては、元派遣労働者の派遣先での直接雇用を認めていく方向での判決がなされ、この判決を契機に、派遣労働者の保護を図る以下のような労働者派遣法の改正が行われ、平成27年10月1日に施行されます。

 派遣先が違法派遣を知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされるという労働契約申込みみなし制度です。

 今回の法改正で、派遣労働者の地位の改善が少しはなされたかと思いますが、まだまだ不十分かもしれません。会社に都合のいいように利用されがちな派遣労働者の地位の向上を図っていくためには、現場にいる派遣労働者の声が裁判所、国会に届けなければなりません。

 上記判決、今回の法改正は、それを実感させるものでした。



2017年03月29日

◆プリペイド式携帯電話の転売

川原 俊明



プリペイド式携帯電話が、犯罪に利用されるようになってから久しくなります。
 
プリペイド式携帯電話は、前払い式の携帯電話で、外国人旅行客や子供による使いすぎ予防等に利用されれば、非常に有用なものです。
 
しかし、日本でプリペイド式携帯電話が販売された当初、購入時の身元確認が不要であったため、犯罪に多用されるようになりました。
 
今では、携帯電話不正利用防止法が施行され、プリペイド式携帯電話も身元確認しないと購入できなくなりましたが、未だにインターネット等を利用して転売され、犯罪に利用されているのが実情です。
 
さて、以上のように、プリペイド式携帯電話が転売されるといっても、購入者は窓口で身分証を提示して購入しなければなりません。
 
その際、転売を目的とするこの購入者は、なんらかの罪に問われないのでしょうか。
 
この点、ある被告人が第三者への無断譲渡を意図してプリペイド式携帯電話を購入した事件について、東京高等裁判所(平成24年12月13日判決)は、「詐欺未遂罪」にあたると判断し、同被告人を1年6か月の懲役(実刑)としました。
 
「未遂罪」となっているのは、窓口の人間が「無断譲渡されない。」と信じたかどうかが分からなかったためです。逆に言えば、窓口の人間が「無断譲渡はされない。」と信じていれば、「詐欺既遂罪」(未遂罪より重い罪)が成立するということです。
 
上記判決が、プリペイド式携帯電話の転売目的に関する他の事件にどこまで適用されるかは分かりませんが、今後、購入者が詐欺罪に問われていけば、プリペイド式携帯電話の犯罪利用は減少するかもしれません。