2019年09月02日

◆今月の法律コラム

川原 俊明 弁護士


「保釈制度」

 刑事事件の弁護人として活動をしていると、被疑者・被告人から
 「保釈手続をしてほしい」と依頼されることがよくあります。
 保釈とは、裁判所が、保釈保証金の納付を条件として、被告人に
 対する勾留の執行を停止して、その身体拘束を解く制度をいいます。

 裁判所は、保釈を許可するか否かを決定するにあたり、
 いくつかの要件を検討します。例えば、(1)罪証隠滅のおそれがないか、
 (2)被害者や証人等に対する加害のおそれがないか、
 (3)被告人の住居が定まっているか、といった点です。

 これらの要件に加え、裁判所が定める保釈保証金の納付が
 絶対的要件となります。保釈保証金は、保釈された被告人が
 裁判に出頭することを確保することを目的とし、万が一、被告人が
 裁判に出頭しない場合には、没収される可能性があります。

 裁判所は、こうした要件を充たしてはじめて、保釈を許可します。
 我国の刑事司法手続において、長期間の身体拘束による弊害が問題視
 されている中、保釈制度によって早期に身体拘束から
 (たとえ暫定的にであっても)解放されることは、被告人にとって
 非常に重要な意義を有します。近年、保釈が認められる件数が
 増加傾向にあることは、弁護人として活動する弁護士にとっては
 大変ありがたく、励みにもなります。

 他方で、最近、保釈中の被告人が逃走したり、別の事件を起こした
 というニュースが世間を騒がせています。無論、逃走したり、
 別の事件を起こした被告人自身は、非難されるべきであり、
 刑事手続の中で適正に処断される必要があります。
 しかし、一部の被告人の自分勝手な行動によって、保釈制度に対する
 世間の目が厳しくなり、裁判所が保釈許可に対して慎重な姿勢に
 転じることのないようにと考える弁護士は決して少なくないと思います。


「不貞の代償」

 もし、貴方(貴女)が、運良く(?)、魅力的しかし既婚の女性(男性)
 と親しくなって、(首尾良く?)思いを遂げた(肉体関係になった)場合、
 バレなければ「幸せ〜!」で済むかも知れません。
 しかし、バレたら、厄介です。
 今回はその厄介について考えます(倫理上・宗教上の問題は除きます)。

 1.民事上の問題1(相手方配偶者との関係)
 特別の事情(相手方が独身と過失なく信じていた。
既に相手方の婚姻関係が破綻していた。破綻と過失なく信じていた等)
がない限り、貞操権侵害の不法行為として損害賠償を請求される
(民法709条)可能性があります。
  
損害賠償の金額は、不貞関係の期間・回数やそれに至った事情等にも
よりますが、最低でも数十万円になる(これが高いか安いかの評価は、
別れます。)ケースがほとんどです。また、相手方配偶者が厄介な(?)
人の場合は、一層厄介になる可能性があります。

2.民事上の問題2(自分も既婚の場合の自分の配偶者との関係)
 (1)既に婚姻関係が破綻していた等の特別の事情がない限り、
配偶者から、貞操義務違反として、損害賠償を請求される
(民法709条)可能性があります。
 
(2)また、配偶者から、愛想を尽かされて、離婚及び離婚に伴う慰藉料
(裁判では、150万円程度が相場)を請求される(民法709条、
770条1項1号)可能性があります。
その場合、財産分与や年金分割も必要になります。親権を配偶者に
取られて、子どもと一緒に暮らせなくなる可能性もあります。
養育費も当然請求されることになります。

(3)そこまで行かなくても、家に帰り辛くなることは間違いありませんし、
子どもの白い目も覚悟しないといけないかもしれません。
耐えきれずに別居した場合でも、婚姻費用の支払が必要になります。
  なお、逆に、自分から、修復を諦めて、離婚したいと思っても、
有責配偶者からの離婚請求として、原則として、配偶者が同意しない
限り、離婚できません(判例理論)。配偶者の同意をもらうために、
多額の解決金(判つき代)を支払う場合もあります。

3.民事上の問題3(勤務先と関係)
  相手方が同じ職場や取引先に勤務している場合等には、就業規則違反
として、懲戒処分を受ける可能性があります。
  そこまで行かなくても、噂の格好のネタになって居づらくなりそうです。

4.刑事上の問題
  外国では、現在でも犯罪とされている国がありますが、幸か不幸か(?)
  、 現在の日本では、不貞自体は犯罪とはされていません。

5.不貞は、その秘密性等から得られる高揚感が大きく、なかなか
辞められない場合があると言われています。人間の動物らしい面とも
言えますが、上記のとおり、その代償は決して小さいものではありません。

2019年07月01日

◆特別の寄与の制度の新設

川原 俊明 弁護士

例えば、長男(死亡)の嫁が長年義父と一緒に暮らし、義父の世話を一人で献身的にしていたが、義父が亡くなり相続人が長女のみの場合。

 これまでは、何ら世話の一つもしていない長女が義父の遺産を独り占め
 できてしまうという不公平なものでした。

 ところが、この制度の新設により、被相続人(義父)に対して
 無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、
 被相続人の財産の維持または増加について、特別の寄与をした
 相続人以外の親族(特別寄与者:長男の嫁)については、
 相続の開始後、相続人(長女)に対して、寄与に応じた額の金銭
 (特別寄与料)の支払いを請求することができることとなりました
 (民法1050条1項)。
 
 ただし、特別の寄与の制度においては、
 労務の提供が無償であることを要件としています。
 そこで、被相続人(義父)が労務の提供をした者(長男の嫁)の
 生活費を負担していた場合に無償性の要件を満たすかどうか
 が問題になります。

 その判断は、個別具体的な事情に基づいてなされるものと考えられます。
 例えば、長男の嫁が、義父が要介護状態になる前から義父と同居
 しており、義父がその生活費を負担していたような場合であれば、
 療養看護開始後も引き続き義父が生活費を負担していても、
 そのことから直ちに無償性が否定されることにはならないと考えられます。

 また、一般に、労務の提供の対価といえるためには、その財産給付の
 内容が労務の提供の程度に応じて決められているという関係にあること
 を要すると考えられるため、例えば、長男の嫁が義父からごく僅かな金銭を
 受け取っていたに過ぎない場合には、対価的な意義がない
 と判断される場合が多いと考えられます。

 この制度にも弱点があります。
 例えば、長男の妻が内縁の妻の場合には、この制度の適用外となります。
 この場合には、生前に義父から特別寄与料に応じた死因贈与を受けておく
 (遺言書に記載してもらう、死因贈与契約書を作成する)方法があります。

2019年06月08日

◆今月の法律コラム「贈与税とは?」

川原 敏明

子どものために子ども名義の預貯金を積み立てている。家を買うとき
に、親に一部援助してもらった。

そういう方は多いのではないでしょうか。
それ、贈与にあたっているかも知れません。そして、贈与税が発生す
るものかも知れません。

<1 贈与税の内容>

贈与をしたとき、贈与を「受けた人」に課税されるのが、贈与税です。
贈与を行った人ではなく、受けた人であることに、注意してください。
贈与税は、次のように計算されます。
税額=(贈与財産の価格−基礎控除110万円)×税率−控除額

<2 贈与とされる行為>

贈与に該当するか否かは、諸事情を考慮の上判断されますが、次のよ
うな行為は、贈与とされるおそれが高いので、ご注意ください。

@不動産を購入する際、夫しか資金を出していないのに、妻の名義にした。
A親から借入れをしたが、返済を免除してもらった。
B親戚から、時価よりも著しく安い価格で不動産を買った。

2019年04月28日

◆法律コラム

川原 俊明 弁護士


「法務局における自筆証書遺言の保管制度」

2018年7月6日、配偶者居住権の創設、遺産分割前における預貯金
債権の行使、遺産の一部分割、自筆証書遺言の方式の緩和、自筆証書遺
言保管制度の創設、遺言執行者の権限の明確化、等の相続関係の法改正
が行われました。

その中でも、私たちに最も身近なものといえば、やはり、2020年7
月10日から施行される自筆遺言書保管制度の創設です。
これは、自筆証書遺言書を法務局で保管することによって相続開始後、
家庭裁判所による検認が不要となるものです。

従来は、公正証書遺言書によるものだけが、家庭裁判所による検認を不
要とされていたものが、自筆証書遺言書の場合にも認められたのです。
ただし、ここで注意しなければならなのは、この制度によって、法務局
が内容まで確認しないので遺言書の有効性が担保されないことです。

内容が無効であれば、せっかくこの制度を利用しても遺言書の内容が実現
されない場合が出てきます。

この点を考えれば、やはり、公証人に内容を確認してもらえる公正証書
遺言書を選択するのが、賢明だと思います。

どれだけの人が、この新しい制度を利用することになるのか楽しみでは
あります。

2019年03月01日

◆法律コラム

川原 俊明


「不適切動画投稿」

 不適切な動画や写真をSNS上に投稿する行為が、世間で問題と
 なっています。

 例えば、コンビニエンスストアの従業員が業務中に商品で遊ぶ写真
 や動画をインターネット上にアップしたり、会社の従業員が会社を
 誹謗中傷する内容の記事をSNS上に投稿するなど、非常識な事態
 が頻繁に生じています。

 このような不適切な行為がなされることによって、
 いったいどのような法律が問題となるのでしょうか。

 順を追って見ていきましょう。

 まずは、労働法との関係です。
 従業員は、会社と雇用契約を締結して、雇用者として働いています。
 雇用者は、使用者(働いている先の会社)の指揮命令にしたがって
 業務をしなければならず、使用者の監督下に置かれています。

 従業員は、使用者との指揮監督関係に違反したとして、懲戒処分の
 対象となります。

 もっとも、懲戒処分の対象となるかどうかについては、ケースバイ
 ケースといえるでしょう。

 つぎに、民事法との関係についてです。
 従業員が不適切な動画や写真を投稿することで、会社の信用を害す
 るような情報をインターネット上に掲載してしまうと、不法行為
 (民法第709条)が成立するおそれがあります。

 従業員は、被害を受けた会社から、民事上の損害賠償を請求される
 可能性があります。

 それから、刑法(刑事罰)との関係です。
 従業員が、会社を誹謗中傷するような内容の記事をSNS上に投稿
 した場合、名誉毀損罪(刑法第230条)にあたるとして、会社か
 ら刑事告訴されるおそれもあります。

 SNSを通じて、何でも気軽に世界中に発信できる世の中となりま
 した。その反面、容易にSNS被害が生じうることになり、問題も
 山積みです。

 このような不適切な投稿がなされることを少しでも防ぐために、
 会社は、従業員を雇用するときに誓約書を書いてもらうなどして、
 不適切な投稿をしないように周知を徹底するとともに、適切な社員
 教育を施すことが必要でしょう。

2019年02月02日

◆今月の法律コラム

「あおり運転」
       川原 俊明 弁護士

東名高速で執拗にあおり運転を続けた末に相手の夫婦を死亡させ、
危険運転致死傷罪に問われた事件で、昨年12月、被告に懲役18年の
実刑判決が出されました。この事件はとてもショッキングなニュース
で、世間に大きな衝撃を与えました。

 また最近でも、大阪堺市であおり運転を続け、車をバイクに衝突させて
大学生を死亡させた事件の公判が始まりニュースになっています。

 あおり運転に対する世間の関心は非常に強くなり、大きな社会問題
となっています。
 あおり運転は誰が見ても危険で悪質な行為ですが、法律上ではどう
評価されるのでしょうか。

 あおり運転という行為を定義してそれ自体を違法とする法律は、
現時点ではありません。
 しかし、あおり運転と呼ばれる行為の中には、様々な法律で処罰の
対象になります。

 車間距離を詰めるようなあおり運転であれば、車間距離保持義務違
反、禁止された場所で進路変更を行うようなあおり運転であれば、進
路変更禁止違反というように、一定のあおり運転が道路交通法違反に
あたる可能性があります。

 また、相手に怪我を負わせる危険を与えるようなあおり運転をした
場合、暴行罪に該当することがあります。

 あおり運転の結果、誰かを死亡させたり怪我をさせた場合には、
危険運転致死傷罪にあたり、殺意が認められた場合には殺人罪が適用
される可能性があります。

 無用なトラブルを避け、自身や同乗者の安全を守るために、あおり
運転をしないことも関わらないことも大切です。無茶な運転は避けて
他のドライバーを刺激せず、あおり運転を引き起こさないように努
めましょう。

 仮にあおり運転をされても、無闇に反抗せず広い心を持って、相手
に道を譲るなどしてやり過ごすようにすべきです。

 それでも相手があおり運転を止めないようであれば、すぐに同乗者
に警察へ通報してもらうか、安全な場所に停車しドアを施錠して車外
に出ないで警察に通報するようにしましょう。
 このようなあおり運転の相手への通報や裁判における証拠の獲得と
して、事前にドライブレコーダーを搭載することも強くおすすめした
いところです。

 普段から安全運転に心がけ、何があっても熱くならず心に余裕を持
つことが、快適で楽しいドライブの王道です。


2018年12月31日

◆今月の法律コラム「裁判員裁判」

川原 俊明 弁護士


 平成30年12月19日(水)、寝屋川市で中学1年生の男女2人を
 殺害した事実で、大阪地裁は、山田浩二被告に対して死刑判
 決を言い渡しました。この裁判は、裁判員裁判形式で行われ、
 判決期日の閉廷後、裁判員5人と補充裁判員1人が記者会見し、
「量刑判断に頭を悩ませた」と振り返りました。

 読者の皆様は、裁判員に選ばれたことはあるでしょうか。裁
 判員に選ばれると、仕事をしている方であればそれを休んで
 裁判 に参加しなければならなくなり、また期日も1週間程度
 連続であることも多く、負担は小さくはありません。

 そのため、選任されることを躊躇される方も少なくありません。
 筆者自身は裁判員に選ばれたことはありませんが、司法修習の
 際に、裁判員裁判の評議を見学する機会がありました。

そのときの印象としては、いずれの裁判員の方も、しっかりと自分な
 りの意見を表明しており、かつ、互いの意見をよく聞きながら、
 話し合われていました。また、裁判官も、一般の方である裁判
 員に、犯罪の成否や量刑についてわかりやすく説明をするよう
 に努めていました。

また、裁判官は、裁判員が自由に意見を出
 せる雰囲気を作るために、ときには雑談も交えながら、裁判員
 の緊張を和らげる工夫をしていました。

 私見としては、裁判員として裁判に携わることは、司法を身近
 に感じられるよい機会であるので、裁判員候補に選ばれた際に
 は、ぜひ積極的に参加していただければと思います。我々法曹
 も、より国民の理解しやすい裁判を実現するために、努力し続
 けなければなりません。

2018年12月26日

◆「離婚理由」ランキング 法律コラム

川原 俊明(弁護士)

あるサイトにて、離婚理由ランキングというものが発表されていました。

1位 性格の不一致

2位 不倫

3位 DV(暴力)

4位 精神的暴力・モラハラ

5位 子供への愛情が感じられない


いかがでしょうか。

実務上の立場から申しますと、離婚事件として当事務所にご依頼いただく際、この5つのどれかに該当することがほとんどだな、という印象があります。

特に、上位2つが8割を超えているのではないでしょうか。あとは、性格の不一致から生じる暴力や、不倫を前提としたモラハラ、子への愛情不足など、上位ランクは、すべて派生的に発生することが多いでしょう。

よく様々なサイトで、
「不倫なら慰謝料◎●円!」などとうたい文句がありますが、例えば先ほどの例である、不倫→モラハラなどであれば、追加的に慰謝料請求を行うことが可能な場合も多々あります。

言いたいことは一つです。これらの判断は弁護士だから可能なのです。

ご自身で判断され、行動することよりも、確実な法的知識を有する弁護士に事件解決を依頼し、適切な手続きで相手方との交渉を行うことが、一番の近道であると断言することができます。

また、電話で無料相談をご希望される方がいらっしゃいますが、実際に顔を合わせ、事情をご説明いただかなければ交渉の必要性をはじめ、その判断自体もできかねます。
(一般論はあくまでも一般論に過ぎません。あなたに該当するかどうかは不明です。)

そのためにも、電話口だけでなく、ご足労はおかけしますが、面談という方式にこだわり、
依頼者様一人一人に適したアドバイスをしていきたいと考えております。

離婚をはじめとする、男女問題のトラブルには絶対の自信を持って事件解決に望んでいます。

2018年12月03日

◆今月の法律コラム

                     川原 敏明 弁護士


「相続法改正(遺産分割に関する見直しについて)」

メルマガ108号で、平成30年7月に民法及び家事事件手続法の一
部を改正する法律が成立し、相続法分野が改正されたことをご紹介し
ましたが、今回は、相続法改正の中で、配偶者保護のための方策
(持戻し免除の意思表示の推定規定)がどのように規律されるのかを
まとめてみたいと思います。

婚姻期間が20年以上の夫婦(夫A、妻B)がいました。夫Aは、妻
Bの長年にわたる貢献に報いるとともに、妻Bが老後も安心して自宅
で住み続けることができるようにと考え、妻Bに対し、夫A名義の自
宅不動産を贈与しました。

ところが、現行制度では、贈与を行ったとしても,原則として遺産の
先渡しを受けたものとして取り扱うため、妻Bが最終的に取得する財
産額は、結果的に贈与等がなかった場合と同じになってしまいます。
これでは、夫Aが妻Bに贈与を行った趣旨が遺産分割の結果に反映さ
れません。

そこで、改正法では、婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他
方に対し、その居住用不動産を遺贈又は贈与した場合については、原
則として、計算上遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り
扱わなくてよいこととしました。

これにより、贈与の趣旨に沿った遺産分割が可能となり、妻Bは、よ
り多くの財産を取得することができることになります。

2018年11月17日

◆著作物ってなに!?

川原 俊明


 著作物といって頭に浮かぶものは何でしょうか?

 おそらく、ゲームのプログラム、小説、漫画のキャラクター、歌詞とかいったものでしょう。

 著作物が一体何であるかを知らなければ、気づかないうちに著作権を侵害してしまい、著作権者から突然訴えられることにもなりかねません。

 そこで、あらかじめ著作物が何であるかを知っておくことは大切なことです。

 著作権法上、著作物として「言語」「音楽」「舞踏、無言劇」「美術」「建築」「地図、図形」「映画」「写真」「プログラム」の9種類が挙げられていますが、これは、あくまでも例示であって、これら以外にも、「思想または感情を」「創作的に」「表現したもので」「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する」と言えれば、著作物にあたり、法律上保護されることになります。

 この著作物にあたるかのポイントとは、「思想または感情を」「創作的に」といえるかどうかですが、「新聞」「写真」を例に挙げて著作物にあたるか検討してみましょう。

 まず、「新聞」について、「記事」は著作物にあたりますが、「見出し」は著作物にあたりません。なぜなら、「記事」は、記者が独自の取材をもとにして、思考をこらして作られるものであることから、まさしく「思想または感情を創作」しているからです。

これに対して、「見出し」は、とても短く、キーワードの羅列にすぎない場合も多く、誰もが考えつく表現が多く、思想が創作的に表現されたものとは言えません。
 
 次に、「写真」について、「スナップ写真」は著作物にあたりますが、「証明写真」は著作物にあたりません。なぜなら、「スナップ写真」は、撮影者のシャッターを押すタイミング、撮影のアングル、光のあて方によって、写真の出来がかわるものであり、撮影者による独自の撮影方法によるところが大きく創作的に表現されたものと言えるからです。

これに対して、「証明写真」は、単に機械的に撮影されるものであり、撮影者による「思想または感情」を表現したものとは言えないからです。
 
 最後に私が今書いているこの文章はどうでしょうか?

これが文芸と言えるかどうかについては、意見が分かれるところですが、私が「著作物」に関する文章を「思想を創作的に表現している」ことにはまちがいではないので、まさしく著作物にあたることになります。

ですので、私に無断でこの文章をコピーして販売することになれば、私に対する著作権を侵害することになりますので、みなさま、ご注意くださいね。(笑)

530-0047 大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階  
弁護士法人 川原総合法律事務所      
弁護士 川 原 俊 明 

2018年11月14日

◆外国人観光客の急増

川原 俊明(弁護士)


 最近、電車を利用していると、必ず外国人観光客を見かけます。

 私は、政府が目標としている「2020年東京オリンピックまでに外国人観光客2000万人」が実現されつつあるのを肌で感じています。

 大阪では、舞洲にカジノを中心としたリゾート総合施設の計画があり、これが実現すれば、まちがいなく政府の目標が達成されるでしょう。

 さて、ここで最近話題になっているのが、外国人観光客のお土産として注目を浴びている日本の商品です。いくつか挙げてみましょう。

 まず、炊飯器です。特に、米を主食とするアジアの人々にとって、日本の炊飯器は、とても性能がよく大人気だそうです。関西空港でも、炊飯器が入った箱を積み上げて運んでいる中国の方たちをよく見かけます。

 次に、爪切りです。海外では、ニッパー式の爪切りが主流みたいで、日本の爪切りのように、コンパクトに折りたためて、しかも切った爪を収納できるのは、非常に珍しいようです。それに、非常に良く切れるとの評判です。

 最後に、最近特に注目を浴びているのが、消せるボールペン、フリクションペンです。
 皆様ご存じでしょうが、特殊なインクを使用することで、ペンに付いているチップで軽くこすると、あら不思議、消えてしまうのです。一定の摩擦熱をインクにあたえることで消えるみたいです。日本には、とてもカラフルな色が揃っており、1箱単位で買って行かれる方も珍しくないそうです。

 これらの商品が外国人に喜ばれているのを聞いて、日本人の私としては、非常に誇りに思うと同時に、お土産として母国に持って帰っていただくことは、アピールするのが苦手な日本人にとって、これ以上の宣伝はないとも思います。

2018年11月11日

◆外国人観光客の急増

川原 俊明 (弁護士)


 最近、電車を利用していると、必ず外国人観光客を見かけます。

 私は、政府が目標としている「2020年東京オリンピックまでに外国人観光客2000万人」が実現されつつあるのを肌で感じています。

 大阪では、舞洲にカジノを中心としたリゾート総合施設の計画があり、これが実現すれば、まちがいなく政府の目標が達成されるでしょう。

 さて、ここで最近話題になっているのが、外国人観光客のお土産として注目を浴びている日本の商品です。いくつか挙げてみましょう。

 まず、炊飯器です。特に、米を主食とするアジアの人々にとって、日本の炊飯器は、とても性能がよく大人気だそうです。関西空港でも、炊飯器が入った箱を積み上げて運んでいる中国の方たちをよく見かけます。

 次に、爪切りです。海外では、ニッパー式の爪切りが主流みたいで、日本の爪切りのように、コンパクトに折りたためて、しかも切った爪を収納できるのは、非常に珍しいようです。それに、非常に良く切れるとの評判です。

 最後に、最近特に注目を浴びているのが、消せるボールペン、フリクションペンです。
 皆様ご存じでしょうが、特殊なインクを使用することで、ペンに付いているチップで軽くこすると、あら不思議、消えてしまうのです。一定の摩擦熱をインクにあたえることで消えるみたいです。日本には、とてもカラフルな色が揃っており、1箱単位で買って行かれる方も珍しくないそうです。

 これらの商品が外国人に喜ばれているのを聞いて、日本人の私としては、非常に誇りに思うと同時に、お土産として母国に持って帰っていただくことは、アピールするのが苦手な日本人にとって、これ以上の宣伝はないとも思います。

2018年11月03日

◆貴ノ岩関が訴え取下げ

                     川原 敏明  弁護士


 大相撲の貴ノ岩関が元横綱の日馬富士関から暴行を受けて傷害を負
った事件で、貴ノ岩関は、日馬富士に対し、約2400万円の損害賠
償を求めて民事訴訟を提起していましたが、ニュースでこの訴えを
取り下げたということが報道されていました。

 貴ノ岩関と代理人弁護士によると、モンゴルでの貴ノ岩関の家族へ
のバッシングが激しく、訴えを取り下げざるを得なかったということ
です。

 モンゴルでは、日馬富士は英雄視されており、貴ノ岩関は日馬富士
の後輩にあたるのですが、傷害事件の被害者家族がバッシングを受け
ているということが事実であれば、とても悲しいことです。
 これが日本であれば、貴ノ岩関の擁護派が多数であると思います。

 モンゴルで家族が批難を受けていると貴ノ岩関から相談を受けた代
理人弁護士としては、正義はこちらにあるのだから民事訴訟で戦いま
しょうという趣旨のアドバイスをしたと思います。

 それでも、最終的には訴えの取下げという苦渋の決断をせざるをえ
なかったということは、貴ノ岩関の家族への批難の程度が想像を超え
るものであり、貴ノ岩関もその事実に心を痛めていたことは間違いあ
りません。

 民事訴訟は裁判所に判決を求める手続ではありますが、両当事者か
らの主張、立証が出そろった段階で、裁判所から和解の勧告がなされ
るのが通例です。

 そして、一般的に民事訴訟の大部分は和解によって終了していると
いう統計もあります。
 今回の貴ノ岩関の訴えの取り下げによって、貴ノ岩関と日馬富士の
和解の機会も失われることになると思います。

 日馬富士本人や日馬富士のさらに先輩にあたる白鵬関がSNS等で
モンゴル国民に対して貴ノ岩関の家族へのバッシングはやめるように
訴えるということは期待できないのでしょうか。

 日馬富士関は今後も被害弁償について誠実に対応していくと述べて
います。