2016年03月28日

◆公正証書遺言のススメ

川原俊明   (弁護士)



今回は、「公正証書遺言」についてお話します。

弁護士としましては、他の形式である、自筆証書遺言や秘密証書遺言と比べ、この形式の遺言を強くお勧めしています。

作成する費用としましては、15,000円〜と自筆証書遺言と比べれば、高価ですが、(自筆証書遺言は費用がかかりません)

その分、紛争の未然の防止という点では、これに勝る形式の遺言はありません。

秘密性という点におきましては、遺言の存在、内容共に秘密にできず、証人から内容が漏れる可能性はあります。(これはデメリットといえます。)

しかし、家庭裁判所での検認が必要なく、公証人が作成するので、無効な遺言書となったり、変造されることが少ないという大きなメリットがあります。

また、仮に紛失した場合でも謄本を再発行してもらえます。

自筆証書遺言、秘密証書遺言ともに大きなデメリットは、遺言の要件を満たしていない場合、無効となってしまうことがあることです。
この点でも、公正証書遺言は、その心配が皆無です。

紛争の未然の防止という点から、少しでも紛争の火種がある状態なら、迷わずに「公正証書遺言」を
作成すべきでしょう。

私たち弁護士に依頼いただくことによって、作成する相続人の意思に沿った形での(法律面においても適切な)公正証書遺言が作成可能となります。

遺言作成に関しまして、少しでもお悩みの点がありましたら当事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

2016年03月10日

◆不倫案件における弁護士の役割

川原 俊明



ワイドショー、政治家、到るところで、「不倫」というキーワードがワイドショーを賑わせています。

実は、法律上「不倫」は、法律用語ではありません。


民法第752条は、夫婦間の基本的な義務として、貞操義務があると解されています。
貞操義務に反する行為は、不貞行為として離婚理由になることが民法第770条に定められています。

不貞行為とは、貞操義務に反すること、つまり結婚しているひとが自由意思で配偶者以外の異性と性的交渉を持つことです。

この不貞行為が離婚事由になり、不法行為として損害賠償を求めることができるのです。
(民法第709条)

確かに不倫は、良いことではありません。配偶者の一方を深く傷つけるだけでなく、子供がいる場合など、言うに及ばずです。

当事務所、不倫案件を数多く扱っていることから、不倫問題でお悩みの依頼者が多数いらっしゃいます。

繰り返しますが、確かに不倫自体は良いことではありません。

しかし、例えば、不倫を行ったものには人権がないのか?何を請求されたとしても、仕方がないのか?

「毎日土下座に来い」と言われ、従わなければならないのか。

このように考えた場合、弁護士として、相手方と交渉する必要を強く感じます。

慰謝料を支払う場合でも、相手の言い値を支払いするのではなく、適正価格での支払いを交渉したり、会社を辞めることを強いられた場合、越権だとして相手をたしなめたり、

相手方も、弁護士が入るだけで必要以上の要求をしてこなくなる
ケースも多々あります。(自らも違法だと認識しているのでしょう)

不倫は文化!では決してありませんが、不倫してしまったものを擁護することも、
社会正義の観点から、弁護士としての立派な役割なのだと
強く感じています。

不倫問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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                          (弁護士)

2016年02月22日

◆殺人罪の時効廃止は憲法違反か

川原 俊明



刑事事件でも、民事事件でも、時の経過とともに、過去の権利関係は、曖昧になってきます。

証拠が散逸し、明確な立証ができないにもかかわらず、過去の権利主張だけがいつまでも持続すると、現在の社会秩序が混乱します。平穏な社会の形成に不安定要素を残す結果となります。

民事関係では、特にそうです。

長年の間、権利主張をしなかった者の主張を認めず、現在の権利関係を尊重するためには、時効制度により「権利主張の制限」をするのもやむを得ないことです。

人間は、過去のことはすぐに忘れるものだからです。現在の権利関係を尊重することは、むしろ、社会の安定につながります。

ところが、刑事犯罪の場面では、かなり様相を異にします。家族にとって、身内を殺害された恨みは、一生消えることはありません。にもかかわらず、今までの刑事訴訟法は、被害者の感情を余りにも無視してきたように思います。捜査機関の捜査の煩わしさを考慮に入れ、時効制度を活用して、さっさと刑事事件の幕引きをしようとしてきました。

しかし、それでは、刑事事件における、被害者の立場はどうなるのでしょうか。

犯人の逃げ得は、絶対に許されません。癒されないほどにダメージを受けた被害者感情を考慮すべきです。何十年かかろうと、犯人を見つけ出して、刑事制裁を科すのが、国家の使命でしょう。

今般、殺人罪など、重要犯罪に、時効制度を撤廃し、逃げ得を許さない、という方向に、刑事訴訟法改正案が国会に上程されそうです。考えてみれば、こんなこと、当たり前のことかも知れません。

 「公訴時効が過ぎたから、正直に白状するけれど、俺は、30年以上も前に人を殺した。」と公言し、その供述どおり、犯行現場から遺体が発見された、とします。公訴時効制度を理由に、その人物を無罪放免するしか、手の下しようがないとすれば、世の中、明らかに間違っています。

 特に、刑事事件において、公訴時効制度撤廃の議論は、憲法違反の疑いがある、との議論もあります。

 憲法第39条〔刑罰法規の不遡及、二重処罰の禁止〕
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

抵触する可能性がある憲法条文は、これでしょう。

しかしながら、刑罰法規の不遡及とされるのは、事件当時、当該行為が適法とされていたのに、後日成立した法律で、刑事処罰されることはない、というものです。現代の社会では、あたりまえのことです。

ところが、公訴時効制度撤廃の議論は、刑罰法規の不遡及とは、似て非なるものです。その犯罪行為に対する処罰を、時間の経過によって証拠も甘くなってくるし、刑事裁判にかけないでおこう、とするのが、公訴時効の趣旨なのです。

公訴時効が問題となるのは、もともと刑事法に抵触する犯罪行為の存在が、前提となっています。もともと、当該行為は、犯罪行為として違法だったのです。

ですから、適法であったものを、法律で、後日、違法にするのではありません。 ですから、公訴時効制度を撤廃しても、決して憲法に違反しないのです。 悪を、のさばらせてはなりません。

2016年02月08日

◆「むちうち」について

川原 俊明



むち打ちは、交通事故の中では比較的軽い傷害として受け取られているうえに、他覚所見がないことが多いため、被害者救済が充分なされないことがあります。

その上、注意してもらいたいのは、症状が軽いからと言って、被害者が受傷の初期段階で適切な治療を受けなかった場合には、後々、思いもよらず不利な結果を招くことがあります。

すなわち、被害者には、損害を拡大しないように適切に対応する信義則上の義務が課されていますので、被害者が事故後治療を怠り損害を拡大してしまい、加害者がその事実を立証した場合には、過失相殺されてしまうことがあります。

たとえば、被害者が、事故直後に病院にいって医師からなんらかの指示があったにもかかわらず、その指示を無視して治療を続けなかったために治療期間が長引いた場合には、何割か過失相殺され、充分な賠償を受けられません。

もっとも、被害者が、医師から入院を勧められたにもかかわらず、家庭や家業の都合によって通院した事例において、治療期間が多少長引き後遺障害の程度に多少影響があっても、被害者に過失があったとは認められないと判断されています(福岡地裁判決昭和46年1月29日)。

したがって、合理的な理由があれば初期に適切な治療を受けなくても、加害者からきちんと満額の損害賠償を受けることができますが、不用意に医師の指示に従わなかったり、病院に行かなかったりすると、充分な賠償を受けられなくなってしまいます。

交通事故に遭ったら、軽いむち打ちといった症状しか出ていなくても、きちんと病院に行って医師の指示に従いましょう。          (弁護士)

(・主宰者は、2か月半前自転車運転中、後方から来た小型貨物車に接触され、道路に横倒しとなった。警察の現場検証を済ませ、行きつけの整形外科に運ばれた。骨折は回避したが、肩・腰・首・頭を強烈打撲した。事故から2か月半経つが、症状は更に酷くなり、首・肩・腰の痛みと頭痛が強まり、「むち打ち」と診断された。日常横になったままだ。警察からは「人身事故」証明を貰い、川原弁護士事務所の中村秀樹弁護士を通じて、保険会社と詰めて貰っている。この「むち打ち」症は、7〜8か月要治療だと整形外科から診断されている。「むち打ち」には気を付けよう)

2016年01月28日

◆法律コラム 慰謝料の相場

川原 俊明

男女トラブル・離婚問題の事件処理をしていくうえにおいて、「慰謝料」についてのご質問が非常に多いです。

「慰謝料はいくらが妥当なんでしょう?」

そもそもの前提として、慰謝料が認められるためには、

・浮気・不倫をした
・DVをした
・モラハラ(モラルハラスメント=精神的な暴力)をした
・生活費を渡さない
・理由もないのに同居を拒否する
・セックスレスである

このような事情が必要となります。

慰謝料の性質は、不貞行為を行った「けじめ」としての賠償の意味合いがあります。

傷ついた心に対する賠償であるならば、1億円もらったとしても納得できない!!というご意見も至極真っ当であると思います。

しかし現実問題として、1億円の慰謝料請求など、一般的には認められません。

では、いくらくらいが妥当なのでしょうか。実は、法律的に、慰謝料の相場、というものどこにも書いてありません。

本人同士が話し合い、自由に金額設定することが可能なのです。

とはいえ、それでは話も進まないだろうと、裁判所がだいたいの相場を決めています。

☆ 不倫・浮気を原因とする慰謝料

→ 100万〜300万程度

☆ DVやモラハラが原因とする慰謝料

→ 50万〜300万程度

などが一つの基準となっています。


もちろん、婚姻期間や、相手方の年収や職業、年齢などにより、高めの慰謝料設定がされることもあります。同じ理由で低めに設定されることもあります。

また、証拠があるかどうか、という点に関しては、そもそも慰謝料請求が可能かどうか、という点にも大きく影響します。

当事務所は、6000件を超える解決事例をベースとした、お一人お一人に応じた慰謝料請求をすることが可能です。

慰謝料のことでご質問ございましたら当事務所までお問い合わせください。

□■弁護士川原俊明ブログ
http://blog.goo.ne.jp/e-bengo?fm=rss

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2016年01月02日

◆弁護士を選択できる時代

川原 俊明



「現在、〇〇弁護士先生に事件を頼んでいますが、契約解除して、そちらにお願いしたいのですが、可能でしょうか?」

そのようなお問い合わせをいただく機会が増えています。

ネットの流通により、容易に弁護士を選び、自身に適した弁護士を選択できる時代に
入ったということでしょう。

弁護士全体の敷居が低くなったという背景もあると思います。

この事実は反対に、私たちも容易に契約解除されるという危険性もあるということを意味します。

依頼者が契約解除しようとする背景には、説明不足や、方針の違い、金銭的な理由など様々でしょうが、

信頼関係がなくなったことが原因であることは間違いありません。

私たちは、そのような依頼者・お客様を前に、日々、自身を改善し、矜持といいますか、
自覚を持って事件処理に当たる必要があると考えています。

ただそれは、単に依頼者の思った通りに動く、ということではありません。

依頼者のことを真剣に考え、十分な打ち合わせ時間を利用したうえで、依頼者と私たちが納得する形での事件処理です。

私たちは依頼者にとって都合のいい、その場しのぎの存在になるつもりはありません。

口酸っぱくも、依頼者にとってためになると考える提案をさせていただきます。

弁護士が選択できる・選択される時代だからこそ今後もそのスタンスは大事にした事件処理に徹する決意です。

    (弁護士)

2015年12月29日

◆ゴーストライターの問題

川原 俊明



あなたが聞いている音楽や読んでいる教科書は、すべて著作物です。作詩・作曲した人や、作家さんが著作権を有しています。

では、著作権は、具体的にどのようにあなたと関係するのでしょうか?

例えば、あなたがレンタルCDから音楽を携帯に取り込んだとしましょう。それは、作詞家・作曲家が有している著作権の一つである複製権を侵害しうる行為です。
 
ただし、私的な使用を目的とする複製は法律で許されています。

「私的使用」目的であれば、著作権者に対する影響も小さいですし、私たち利用者にとっても有益だからです。したがって、通勤で使うため等、自分で使用するのであればレンタルCDの録音も問題ありません。

しかし、他の多数の人(特に家庭外)に音楽を聴かせるためにコピーした場合には、「私的使用」とは言えませんので、著作権侵害となってしまいます。

この場合、作詞家・作曲家の方から、「損害が発生しているから賠償しろ」「著作権を侵害しているからすぐに使用を止めろ」と訴えられる危険があります。

ところで、最近、映画館で「違法に配信されたものと知りながらダウンロードすることは犯罪です。」「ストップ!映画泥棒」といった警告が流れますね。(no more 映画泥棒!)。

「あれ?」 と思われた方もいるかも知れません。「自分で鑑賞するための複製なら「私的使用」目的で許されるんじゃないの?」と。

実は、平成21年の著作権法改正により、違法配信であると知りながらされたデジタル方式の録音・録画は「私的使用」でも違法となるように新たに定められました。
 
また、映画の無断録音録画については、「映画の盗撮の防止に関する法律」という著作権法とは別の法律によって、「私的利用」目的でも著作権法違反となると定められています。

いずれも、「私的使用」とはいえ、多数の人が行うと、映画界等に対する影響が大きくなるためです。

特許権と異なり、著作権は意外と私たちの生活と関わっているので、多少気をつけて生活するのがいいかもしれませんね。
                                    (弁護士)

★著作権に関するご相談はこちらから。
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2015年12月05日

◆植物状態からの回帰

 川原 俊明(弁護士)

交通事故の恐ろしさは、現実に被害を受け、後遺症に苦しんだ人でないと、なかなか理解できません。車社会では、便利さが優先される反面、一つ間違うと、車が他人を傷つける凶器ともなり、鉄の棺(ひつぎ)にもなり得るのです。

予期せぬまま、他人の過ちにより、一瞬にして人生に終止符を打たれ、あるいは、何十年にわたり精神的肉体的苦痛を負わせられる現実。これらが如何に不条理なことか。

現在の法制度の下では、交通事故紛争では、治療費や車両損害など、目に見える実損害の補填が原則的です。慰謝料という名の精神的損失補填は、裁判所の基準があるにせよ、欧米に比べれば、まだまだお涙程度です。被害者は明らかに損をする。これが現実です。

これに関して「慰謝料という名の精神的損失補填」を巡ることを思い出しましたので、改めて記述したいと思います。


さて、依頼者のS夫妻には、大学生になった最愛の1人娘がいました。その娘がこともあろうに交通事故被害者となり、文字どおり、瀕死の重傷を負ったのです。娘さんは、一命を取り止めたものの、重度の被害者となりました。一時は、意識が全くなく、植物人間として一生を終わりかねない状態でした。

ベッドの上で、かろうじて息をするだけの娘さん。食事・排泄など、生存に必要な行動は、一人では、何もできない状態です。ご両親のS夫妻は、娘さんの現実を突きつけられ、娘さんの介護にその後の人生を賭けることを決意。

S夫妻は、今までの職場や仕事をすべて投げ打つことになったのです。1日24時間の介護なくして生きられない娘さんを前にしたご両親の決断には、心を打たれるものがありました。

客観的には、娘さんの命と、S夫妻の早すぎる退職との引き替え。それだけに、ご両親の決断に頭の下がる思いがしました。S夫妻にとっても、藁をもつかむ思いだったのでしょう。娘さんのために、少しでも回復手段があれば、どんなに高額な治療法であろうと、借金をしてでも、それに頼ろうとしてきたのです。

その1つが、「脊椎御策電気刺激療法(DCS療法)」。DCS療法は、頸髄背側に挿入した電極で患者に電気刺激を与えて、脳や末梢神経を刺激し、意識の活性、除痛、筋緊張の緩和を図る治療法です。もちろん健康保険で使える治療法ではありません。

わかりやすく言えば、毎日一定の時間、患者に対し、持続的に電気刺激を与える、という治療法です。植物人間状態、あるいは、それに近い症状といわれる遷延性意識障害患者。この人達に対するDCS療法の臨床症状改善率は44.3%でした。

これを聞きつけたS夫妻。約1000万円もの借金をして、娘さんに、この治療法を試みたのでした。当初、保険会社は、このような高額医療は、交通事故と因果関係がないとして一切の支払を拒否しました。

その結果、S夫妻は、その借金の返済に負われる事態に陥ったのでした。娘さんの自由を奪われ、しかも多額の借金を抱えるS夫妻。

私は、S夫妻の窮状を見かね、この分野の権威であるY医師を訪ねました。Y医師からDCS療法の内容および有効性について教授を乞い、資料や文献を借りて、研究成果を裁判に活かすことにしました。

Y医師によるとDCS療法の有効例は、若年者であること、頭部外傷により植物症となった場合であること、早期治療の場合であること、脳全体の萎縮が顕著でないこと、障害領域が広範囲でないこと、などの要件を満たす場合ということでした。

娘さんは、幸いなことに、有効例とされる要件をすべて満たしていました。療法開始後1か月。ついに、奇跡が起こったのです。

いままで、生活反応が全く見られなかった娘さんに、開眼、追視、笑顔が出てきたのです。その後も、徐々に回復が見られ、手指を用いての若干の意思表示ができるまでになりました。

そして、朗報がやってきたのです。

それは、S夫妻と娘さんを原告として提訴した交通事故に基づく損害賠償請求訴訟の判決において、DCS療法の有効性が認められたのです。その結果、DCS療法にかけた巨額の治療費負担が、交通事故との因果関係のある損害の1つとして認容され、保険会社から支払を受けられるようになりました。

この判決は、まさに画期的な先例となりました。まず交通事故被害の中でも、最も深刻な植物症に陥った人や、その家族に光を与えることになったのです。

同時に、DCS療法の数多くの臨床例の重りが、治療法の改善に結びつき、さらなる医療の進歩を遂げることになったからです。
 
今回の事例は、交通事故被害救済の一つですが、他の被害者の救済にも大いに目を向ける必要があります。そして何よりも、「被害者が損をする社会そのものを是正」しなければなりません。法改正あるいは法解釈の弾力化により、弱者救済を図り、公平な社会を築く必要があります。(了)    

(弁護士法人 川原総合法律事務所)



2015年11月21日

◆離婚に「強い」弁護士とは

川原 俊明

 

離婚サイトのトップページに 「不倫・浮気問題に強い」事務所という うたい文句があります。総合的に、離婚問題に強い、というニュアンスです。

 私たちはなにをもって離婚に「強い」と自負しているのでしょう。
 〇莫大な慰謝料を取れる?
 〇確実に親権を取れる?
 〇どんなもめ事も解決できる?

 確かに、これらも「離婚に強い」要件ではあることは間違いないでしょう。

 基本的に依頼者のニーズに合わせ、 求められている以上の結果を出すことが 求められていることも理解していま。 しかし、私たちの考える「強さ」は、 あくまで依頼者の「その後」に主観を置いています。
 
 たとえ莫大な慰謝料を取れたとしても、 確実に親権を取ることが出来たとしても、 厄介なもめ事を解決したとしても、 その後のビジョンが明確でなければ、 本当の意味で問題は解決したとはいえません。

 離婚という大変な問題をクリアーしたからこそ、 その後の人生設計を相談し、検討して創造し、 導くことまでが私たちの仕事であり、「離婚問題の強さ」を自負する原因となっています。
 
 依頼者が本当に望んでいるのは目先の解決だけではなく、 もっと長いビジョンでの問題解決だということが、 依頼者の声を聞き、数え切れない解決実績を導いた、 私たちの答えです。

 離婚問題の「その後」までも 考えることができるからこそ、 「離婚問題に強い」のです。
                          法律コラム(弁護士)

2015年11月16日

◆振り込め詐欺犯を封じ込めろ

川原 俊明(弁護士)


蔓延する振り込め詐欺。被害額は、全国で数千億円にも及ぶとされています。

独居老齢者などに対し、「息子」と偽り、「交通事故を起こした。至急、被害弁償金がいる。」など、緊急事態を装い、慌てた老齢者から、多額の金員を送金させてだまし取る手口。
 
各銀行では、ATMによる自動送金手続の前で、携帯電話を片手に送金しようとする老齢者に対し、注意を呼びかけていますが、それでも振り込め被害は後を絶ちません。
 
被害者が、一旦送金してしまえば、犯人に対する振込金返還請求はなかなか困難なのが実情です。

しかし、振り込め詐欺の仕組みには、当然のことながら、犯人側の銀行口座が開設されていて、振り込んだ金は、特定の銀行口座に入金されています。
 
それならば、銀行口座の開設・運営を厳重に管理してこなかった金融機関に責任はないのでしょうか。

銀行口座の開設は、昔と異なり、架空名義ではできない仕組みになっています。このため、振り込め詐欺の場合、他人口座を借用したり、買い取ったりしての口座利用が圧倒的です。
 
では、他人口座では、取り締まりは全くお手上げでしょうか。決してそうではありません。
 
現代の銀行取引は、すべてコンピュータ管理です。特定のプログラムにより、当該銀行口座の異常な入出金のデータは、一瞬にして判明でき、管理できるはずです。しかも、今年6月から、振り込め詐欺被害救済法施行されました。

この法律に基づき、振り込め詐欺被害者の依頼を受けた弁護士から、振込先の銀行に対し、送金先の銀行口座を凍結するよう申し入れると、警察への通報とともに、現実に銀行口座凍結の事態が実現できます。

振り込め詐欺被害者が、一刻も早く、弁護士からの手続をとれば、被害回復の可能性が生じるのです。

しかも、金融機関は、振り込め詐欺に利用した口座名義を、今後一切、口座開設を許さないことにしました。

安易に、犯罪に荷担して銀行口座を提供すれば、自分も、今後一切、銀行取引ができなくなるのですから、要注意です。
 
この事態は、振り込め詐欺にかかわらず、「ヤミ金被害」でも、同様の扱いがなされています。
 
ヤミ金業者は、超高金利をヤミでとり続け、脅しすかしで、被害者の骨の髄までしゃぶろうとしているのです。

被害者は、勇気を振り絞って、一刻も早く対策を講じるべきです。 (完・2008年)

2015年10月30日

◆国際離婚で、子供を国外に奪うな

川原 敏明(弁護士)


最近、国際結婚が増えています。それに比例するように、国際離婚も増加の一途をたどっています。
 
日本で、外国籍の女性と婚姻し、子供をもうけたものの、婚姻生活が破綻し、たため、母親が、子どもを連れて、母国に帰ってしまったケースがあります。
 
日本国内に子どもがいる限り、たとえ外国籍の母親が、子どもを不当に父親から引き離したとしても、刑法や人身保護法など、日本の法律により、それなりに対応することが可能です。

しかし、裁判権の及ばない外国に子どもを連れ去られた場合、他方の親が、果たして子どもを日本に連れ戻すことができるのでしょうか。
 
最近の事例では、夫と不仲になった妻が、子どもを連れてそのまま母国に戻ってしまったため、父親は、子どもと生き別れ状態になったケースがあります。

夫婦が不仲でも、互いの親は、子どもとは血縁関係にあります。親が、子どもと会える(面接交渉権)のは、人間として当然の権利です。 たとえ、国境を異にしても、親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。
 
この問題では、日本側に問題がありそうです。

1980年(昭和55年)、ハーグ条約というのが制定されました。この条約は、加盟国間において、親による国際的な子どもの連れ出し行為に対して、迅速な子どもの返還を請求できることになっています。日本が、この条約を批准(承認)し、国内法を整備すれば、一方的に連れ去られた子どもの返還が可能になるのです。欧米を中心として、すでに、世界の80か国近くが批准し、条約加盟国になっています。

先進国ではほとんど加入しています。

国際離婚して、日本に子どもを連れ帰る日本人妻が多く、現に、カナダやアメリカから、条約を批准していない日本が批判を浴びています。どうも、アジア系の国々が加盟しておらず、人権感覚の後進性を疑われています。

日本が加盟すれば、逆に、外国に子どもを連れ去られた場合でも、ハーグ条約によって、加盟国に対し、この引き渡しを求めることが可能になるのです。(2009年07月19日執筆)


2015年10月22日

◆国際離婚で、子供を国外に奪うな

川原 敏明



最近、国際結婚が増えています。それに比例するように国際離婚も増加の一途をたどっています。
 
日本で、外国籍の女性と婚姻し、子供をもうけたものの、婚姻生活が破綻し、たため、母親が、子どもを連れて、母国に帰ってしまったケースがあります。
 
日本国内に子どもがいる限り、たとえ外国籍の母親が、子どもを不当に父親から引き離したとしても、刑法や人身保護法など、日本の法律により、それなりに対応することが可能です。

しかし、裁判権の及ばない外国に子どもを連れ去られた場合、他方の親が、果たして子どもを日本に連れ戻すことができるのでしょうか。
 
最近の事例では、夫と不仲になった妻が、子どもを連れてそのまま母国に戻ってしまったため、父親は、子どもと生き別れ状態になったケースがあります。

夫婦が不仲でも、互いの親は、子どもとは血縁関係にあります。親が、子どもと会える(面接交渉権)のは、人間として当然の権利です。 たとえ、国境を異にしても、親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。
 
この問題では、日本側に問題がありそうです。

1980年(昭和55年)、ハーグ条約というのが制定されました。この条約は、加盟国間において、親による国際的な子どもの連れ出し行為に対して、迅速な子どもの返還を請求できることになっています。

日本が、この条約を批准(承認)し、国内法を整備すれば、一方的に連れ去られた子どもの返還が可能になるのです。欧米を中心として、すでに、世界の80か国近くが批准し、条約加盟国になっています。

先進国ではほとんど加入しています。

国際離婚して、日本に子どもを連れ帰る日本人妻が多く、現に、カナダやアメリカから、条約を批准していない日本が批判を浴びています。どうも、アジア系の国々が加盟しておらず、人権感覚の後進性を疑われています。

日本が加盟すれば、逆に、外国に子どもを連れ去られた場合でも、ハーグ条約によって、加盟国に対し、この引き渡しを求めることが可能になるのです。
(弁護士)

2015年10月10日

◆予想を下回る「年金離婚」者数

川原 俊明

平成19年度4月、そして、さらに平成20年4月の法律改正により、厚生年金の離婚時分割制度が実施されるようになりました。
  
長年にわたり家庭内別居を続けてきた仮面夫婦。

この法案が審議されていた頃、彼らに朗報、とばかり、マスコミが騒ぎたてた年金離婚。年金分割制度の実施を機会に、平成20年4月以降、熟年離婚の急増が想定されていたのです。

ところが、意外な現実が判明しました。年金分割制度が実施されて経過した統計では、なんと、「年金離婚」者数は、予想を下回っていたそうです。

様々な要因が考えられます。私は、次のように分析しました。

@分割制度への幻滅

分割額は、夫の厚生年金額の半分ではない。
分割制度は、夫名義の厚生年金額が、そのまま妻に半額分割されるものでないのです。
この理解が、徐々に浸透してきたのでしょう。

平成19年4月以降に離婚した夫婦は、それ以前の婚姻期間中の保険料納付記録が、2分の1を上限に、請求によって初めて、分割されます。夫の厚生年金額全体の半分分割、という幻想は、これで、醒めてしまいます。

A相続の方が得
 
せっかくの年金分割が、この程度か、となると、発想が代わります。ここまで我慢してきたのだから、もう少し、ついでに我慢しておこう。

どうせ、男の平均寿命は、女よりも、6歳ほど短いのだから、離婚で経済的に苦労するよりも、たっぷり、相続でもらったほうがいい。 この方が正解かもしれません。

B余りにも不況

不況下で生き延びるには、夫婦共同体がいい。たとえ年金を分けてもらっても、この不況下で、別々の生活を営むには、経済環境が余りにもお寒い。一から生活を始めることの経済的負担がどれほど大きいか。

多くの賢明な仮面夫婦さん。
夫婦は、いつまでも仲良くするものです。(完)
                         <弁護士>

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