2015年12月29日

◆ゴーストライターの問題

川原 俊明



あなたが聞いている音楽や読んでいる教科書は、すべて著作物です。作詩・作曲した人や、作家さんが著作権を有しています。

では、著作権は、具体的にどのようにあなたと関係するのでしょうか?

例えば、あなたがレンタルCDから音楽を携帯に取り込んだとしましょう。それは、作詞家・作曲家が有している著作権の一つである複製権を侵害しうる行為です。
 
ただし、私的な使用を目的とする複製は法律で許されています。

「私的使用」目的であれば、著作権者に対する影響も小さいですし、私たち利用者にとっても有益だからです。したがって、通勤で使うため等、自分で使用するのであればレンタルCDの録音も問題ありません。

しかし、他の多数の人(特に家庭外)に音楽を聴かせるためにコピーした場合には、「私的使用」とは言えませんので、著作権侵害となってしまいます。

この場合、作詞家・作曲家の方から、「損害が発生しているから賠償しろ」「著作権を侵害しているからすぐに使用を止めろ」と訴えられる危険があります。

ところで、最近、映画館で「違法に配信されたものと知りながらダウンロードすることは犯罪です。」「ストップ!映画泥棒」といった警告が流れますね。(no more 映画泥棒!)。

「あれ?」 と思われた方もいるかも知れません。「自分で鑑賞するための複製なら「私的使用」目的で許されるんじゃないの?」と。

実は、平成21年の著作権法改正により、違法配信であると知りながらされたデジタル方式の録音・録画は「私的使用」でも違法となるように新たに定められました。
 
また、映画の無断録音録画については、「映画の盗撮の防止に関する法律」という著作権法とは別の法律によって、「私的利用」目的でも著作権法違反となると定められています。

いずれも、「私的使用」とはいえ、多数の人が行うと、映画界等に対する影響が大きくなるためです。

特許権と異なり、著作権は意外と私たちの生活と関わっているので、多少気をつけて生活するのがいいかもしれませんね。
                                    (弁護士)

★著作権に関するご相談はこちらから。
http://www.e-bengo.commail_it.html

2015年12月05日

◆植物状態からの回帰

 川原 俊明(弁護士)

交通事故の恐ろしさは、現実に被害を受け、後遺症に苦しんだ人でないと、なかなか理解できません。車社会では、便利さが優先される反面、一つ間違うと、車が他人を傷つける凶器ともなり、鉄の棺(ひつぎ)にもなり得るのです。

予期せぬまま、他人の過ちにより、一瞬にして人生に終止符を打たれ、あるいは、何十年にわたり精神的肉体的苦痛を負わせられる現実。これらが如何に不条理なことか。

現在の法制度の下では、交通事故紛争では、治療費や車両損害など、目に見える実損害の補填が原則的です。慰謝料という名の精神的損失補填は、裁判所の基準があるにせよ、欧米に比べれば、まだまだお涙程度です。被害者は明らかに損をする。これが現実です。

これに関して「慰謝料という名の精神的損失補填」を巡ることを思い出しましたので、改めて記述したいと思います。


さて、依頼者のS夫妻には、大学生になった最愛の1人娘がいました。その娘がこともあろうに交通事故被害者となり、文字どおり、瀕死の重傷を負ったのです。娘さんは、一命を取り止めたものの、重度の被害者となりました。一時は、意識が全くなく、植物人間として一生を終わりかねない状態でした。

ベッドの上で、かろうじて息をするだけの娘さん。食事・排泄など、生存に必要な行動は、一人では、何もできない状態です。ご両親のS夫妻は、娘さんの現実を突きつけられ、娘さんの介護にその後の人生を賭けることを決意。

S夫妻は、今までの職場や仕事をすべて投げ打つことになったのです。1日24時間の介護なくして生きられない娘さんを前にしたご両親の決断には、心を打たれるものがありました。

客観的には、娘さんの命と、S夫妻の早すぎる退職との引き替え。それだけに、ご両親の決断に頭の下がる思いがしました。S夫妻にとっても、藁をもつかむ思いだったのでしょう。娘さんのために、少しでも回復手段があれば、どんなに高額な治療法であろうと、借金をしてでも、それに頼ろうとしてきたのです。

その1つが、「脊椎御策電気刺激療法(DCS療法)」。DCS療法は、頸髄背側に挿入した電極で患者に電気刺激を与えて、脳や末梢神経を刺激し、意識の活性、除痛、筋緊張の緩和を図る治療法です。もちろん健康保険で使える治療法ではありません。

わかりやすく言えば、毎日一定の時間、患者に対し、持続的に電気刺激を与える、という治療法です。植物人間状態、あるいは、それに近い症状といわれる遷延性意識障害患者。この人達に対するDCS療法の臨床症状改善率は44.3%でした。

これを聞きつけたS夫妻。約1000万円もの借金をして、娘さんに、この治療法を試みたのでした。当初、保険会社は、このような高額医療は、交通事故と因果関係がないとして一切の支払を拒否しました。

その結果、S夫妻は、その借金の返済に負われる事態に陥ったのでした。娘さんの自由を奪われ、しかも多額の借金を抱えるS夫妻。

私は、S夫妻の窮状を見かね、この分野の権威であるY医師を訪ねました。Y医師からDCS療法の内容および有効性について教授を乞い、資料や文献を借りて、研究成果を裁判に活かすことにしました。

Y医師によるとDCS療法の有効例は、若年者であること、頭部外傷により植物症となった場合であること、早期治療の場合であること、脳全体の萎縮が顕著でないこと、障害領域が広範囲でないこと、などの要件を満たす場合ということでした。

娘さんは、幸いなことに、有効例とされる要件をすべて満たしていました。療法開始後1か月。ついに、奇跡が起こったのです。

いままで、生活反応が全く見られなかった娘さんに、開眼、追視、笑顔が出てきたのです。その後も、徐々に回復が見られ、手指を用いての若干の意思表示ができるまでになりました。

そして、朗報がやってきたのです。

それは、S夫妻と娘さんを原告として提訴した交通事故に基づく損害賠償請求訴訟の判決において、DCS療法の有効性が認められたのです。その結果、DCS療法にかけた巨額の治療費負担が、交通事故との因果関係のある損害の1つとして認容され、保険会社から支払を受けられるようになりました。

この判決は、まさに画期的な先例となりました。まず交通事故被害の中でも、最も深刻な植物症に陥った人や、その家族に光を与えることになったのです。

同時に、DCS療法の数多くの臨床例の重りが、治療法の改善に結びつき、さらなる医療の進歩を遂げることになったからです。
 
今回の事例は、交通事故被害救済の一つですが、他の被害者の救済にも大いに目を向ける必要があります。そして何よりも、「被害者が損をする社会そのものを是正」しなければなりません。法改正あるいは法解釈の弾力化により、弱者救済を図り、公平な社会を築く必要があります。(了)    

(弁護士法人 川原総合法律事務所)



2015年11月21日

◆離婚に「強い」弁護士とは

川原 俊明

 

離婚サイトのトップページに 「不倫・浮気問題に強い」事務所という うたい文句があります。総合的に、離婚問題に強い、というニュアンスです。

 私たちはなにをもって離婚に「強い」と自負しているのでしょう。
 〇莫大な慰謝料を取れる?
 〇確実に親権を取れる?
 〇どんなもめ事も解決できる?

 確かに、これらも「離婚に強い」要件ではあることは間違いないでしょう。

 基本的に依頼者のニーズに合わせ、 求められている以上の結果を出すことが 求められていることも理解していま。 しかし、私たちの考える「強さ」は、 あくまで依頼者の「その後」に主観を置いています。
 
 たとえ莫大な慰謝料を取れたとしても、 確実に親権を取ることが出来たとしても、 厄介なもめ事を解決したとしても、 その後のビジョンが明確でなければ、 本当の意味で問題は解決したとはいえません。

 離婚という大変な問題をクリアーしたからこそ、 その後の人生設計を相談し、検討して創造し、 導くことまでが私たちの仕事であり、「離婚問題の強さ」を自負する原因となっています。
 
 依頼者が本当に望んでいるのは目先の解決だけではなく、 もっと長いビジョンでの問題解決だということが、 依頼者の声を聞き、数え切れない解決実績を導いた、 私たちの答えです。

 離婚問題の「その後」までも 考えることができるからこそ、 「離婚問題に強い」のです。
                          法律コラム(弁護士)

2015年11月16日

◆振り込め詐欺犯を封じ込めろ

川原 俊明(弁護士)


蔓延する振り込め詐欺。被害額は、全国で数千億円にも及ぶとされています。

独居老齢者などに対し、「息子」と偽り、「交通事故を起こした。至急、被害弁償金がいる。」など、緊急事態を装い、慌てた老齢者から、多額の金員を送金させてだまし取る手口。
 
各銀行では、ATMによる自動送金手続の前で、携帯電話を片手に送金しようとする老齢者に対し、注意を呼びかけていますが、それでも振り込め被害は後を絶ちません。
 
被害者が、一旦送金してしまえば、犯人に対する振込金返還請求はなかなか困難なのが実情です。

しかし、振り込め詐欺の仕組みには、当然のことながら、犯人側の銀行口座が開設されていて、振り込んだ金は、特定の銀行口座に入金されています。
 
それならば、銀行口座の開設・運営を厳重に管理してこなかった金融機関に責任はないのでしょうか。

銀行口座の開設は、昔と異なり、架空名義ではできない仕組みになっています。このため、振り込め詐欺の場合、他人口座を借用したり、買い取ったりしての口座利用が圧倒的です。
 
では、他人口座では、取り締まりは全くお手上げでしょうか。決してそうではありません。
 
現代の銀行取引は、すべてコンピュータ管理です。特定のプログラムにより、当該銀行口座の異常な入出金のデータは、一瞬にして判明でき、管理できるはずです。しかも、今年6月から、振り込め詐欺被害救済法施行されました。

この法律に基づき、振り込め詐欺被害者の依頼を受けた弁護士から、振込先の銀行に対し、送金先の銀行口座を凍結するよう申し入れると、警察への通報とともに、現実に銀行口座凍結の事態が実現できます。

振り込め詐欺被害者が、一刻も早く、弁護士からの手続をとれば、被害回復の可能性が生じるのです。

しかも、金融機関は、振り込め詐欺に利用した口座名義を、今後一切、口座開設を許さないことにしました。

安易に、犯罪に荷担して銀行口座を提供すれば、自分も、今後一切、銀行取引ができなくなるのですから、要注意です。
 
この事態は、振り込め詐欺にかかわらず、「ヤミ金被害」でも、同様の扱いがなされています。
 
ヤミ金業者は、超高金利をヤミでとり続け、脅しすかしで、被害者の骨の髄までしゃぶろうとしているのです。

被害者は、勇気を振り絞って、一刻も早く対策を講じるべきです。 (完・2008年)

2015年10月30日

◆国際離婚で、子供を国外に奪うな

川原 敏明(弁護士)


最近、国際結婚が増えています。それに比例するように、国際離婚も増加の一途をたどっています。
 
日本で、外国籍の女性と婚姻し、子供をもうけたものの、婚姻生活が破綻し、たため、母親が、子どもを連れて、母国に帰ってしまったケースがあります。
 
日本国内に子どもがいる限り、たとえ外国籍の母親が、子どもを不当に父親から引き離したとしても、刑法や人身保護法など、日本の法律により、それなりに対応することが可能です。

しかし、裁判権の及ばない外国に子どもを連れ去られた場合、他方の親が、果たして子どもを日本に連れ戻すことができるのでしょうか。
 
最近の事例では、夫と不仲になった妻が、子どもを連れてそのまま母国に戻ってしまったため、父親は、子どもと生き別れ状態になったケースがあります。

夫婦が不仲でも、互いの親は、子どもとは血縁関係にあります。親が、子どもと会える(面接交渉権)のは、人間として当然の権利です。 たとえ、国境を異にしても、親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。
 
この問題では、日本側に問題がありそうです。

1980年(昭和55年)、ハーグ条約というのが制定されました。この条約は、加盟国間において、親による国際的な子どもの連れ出し行為に対して、迅速な子どもの返還を請求できることになっています。日本が、この条約を批准(承認)し、国内法を整備すれば、一方的に連れ去られた子どもの返還が可能になるのです。欧米を中心として、すでに、世界の80か国近くが批准し、条約加盟国になっています。

先進国ではほとんど加入しています。

国際離婚して、日本に子どもを連れ帰る日本人妻が多く、現に、カナダやアメリカから、条約を批准していない日本が批判を浴びています。どうも、アジア系の国々が加盟しておらず、人権感覚の後進性を疑われています。

日本が加盟すれば、逆に、外国に子どもを連れ去られた場合でも、ハーグ条約によって、加盟国に対し、この引き渡しを求めることが可能になるのです。(2009年07月19日執筆)


2015年10月22日

◆国際離婚で、子供を国外に奪うな

川原 敏明



最近、国際結婚が増えています。それに比例するように国際離婚も増加の一途をたどっています。
 
日本で、外国籍の女性と婚姻し、子供をもうけたものの、婚姻生活が破綻し、たため、母親が、子どもを連れて、母国に帰ってしまったケースがあります。
 
日本国内に子どもがいる限り、たとえ外国籍の母親が、子どもを不当に父親から引き離したとしても、刑法や人身保護法など、日本の法律により、それなりに対応することが可能です。

しかし、裁判権の及ばない外国に子どもを連れ去られた場合、他方の親が、果たして子どもを日本に連れ戻すことができるのでしょうか。
 
最近の事例では、夫と不仲になった妻が、子どもを連れてそのまま母国に戻ってしまったため、父親は、子どもと生き別れ状態になったケースがあります。

夫婦が不仲でも、互いの親は、子どもとは血縁関係にあります。親が、子どもと会える(面接交渉権)のは、人間として当然の権利です。 たとえ、国境を異にしても、親が子どもに会う権利を奪ってはいけません。
 
この問題では、日本側に問題がありそうです。

1980年(昭和55年)、ハーグ条約というのが制定されました。この条約は、加盟国間において、親による国際的な子どもの連れ出し行為に対して、迅速な子どもの返還を請求できることになっています。

日本が、この条約を批准(承認)し、国内法を整備すれば、一方的に連れ去られた子どもの返還が可能になるのです。欧米を中心として、すでに、世界の80か国近くが批准し、条約加盟国になっています。

先進国ではほとんど加入しています。

国際離婚して、日本に子どもを連れ帰る日本人妻が多く、現に、カナダやアメリカから、条約を批准していない日本が批判を浴びています。どうも、アジア系の国々が加盟しておらず、人権感覚の後進性を疑われています。

日本が加盟すれば、逆に、外国に子どもを連れ去られた場合でも、ハーグ条約によって、加盟国に対し、この引き渡しを求めることが可能になるのです。
(弁護士)

2015年10月10日

◆予想を下回る「年金離婚」者数

川原 俊明

平成19年度4月、そして、さらに平成20年4月の法律改正により、厚生年金の離婚時分割制度が実施されるようになりました。
  
長年にわたり家庭内別居を続けてきた仮面夫婦。

この法案が審議されていた頃、彼らに朗報、とばかり、マスコミが騒ぎたてた年金離婚。年金分割制度の実施を機会に、平成20年4月以降、熟年離婚の急増が想定されていたのです。

ところが、意外な現実が判明しました。年金分割制度が実施されて経過した統計では、なんと、「年金離婚」者数は、予想を下回っていたそうです。

様々な要因が考えられます。私は、次のように分析しました。

@分割制度への幻滅

分割額は、夫の厚生年金額の半分ではない。
分割制度は、夫名義の厚生年金額が、そのまま妻に半額分割されるものでないのです。
この理解が、徐々に浸透してきたのでしょう。

平成19年4月以降に離婚した夫婦は、それ以前の婚姻期間中の保険料納付記録が、2分の1を上限に、請求によって初めて、分割されます。夫の厚生年金額全体の半分分割、という幻想は、これで、醒めてしまいます。

A相続の方が得
 
せっかくの年金分割が、この程度か、となると、発想が代わります。ここまで我慢してきたのだから、もう少し、ついでに我慢しておこう。

どうせ、男の平均寿命は、女よりも、6歳ほど短いのだから、離婚で経済的に苦労するよりも、たっぷり、相続でもらったほうがいい。 この方が正解かもしれません。

B余りにも不況

不況下で生き延びるには、夫婦共同体がいい。たとえ年金を分けてもらっても、この不況下で、別々の生活を営むには、経済環境が余りにもお寒い。一から生活を始めることの経済的負担がどれほど大きいか。

多くの賢明な仮面夫婦さん。
夫婦は、いつまでも仲良くするものです。(完)
                         <弁護士>

2015年09月14日

◆蕪村顕彰全国俳句大会 終わる

〜第11期表彰式 盛会裡に無事終了〜

NPO法人近畿フォーラム21主宰
  蕪村顕彰俳句大學  川原俊明
兜カ學の森     林 誠司

 

9月13日(日)午後1時から大阪市立淀川小学校で開催しました「蕪村顕彰全国俳句大会第11期表彰式」は盛会裡に無事終了しました。

 全国誌「俳句界」発刊の兜カ學の森と共同して、全国の俳句愛好家と蕪村顕彰俳句大學運営の「句会講座」の受講生の応募作品から専門家に選考して頂いた「一般の部」の優秀句に、「大阪府知事賞、大阪市長賞、公益財団法人関西・大阪21世紀協会理事長賞、当学長賞、兜カ學の森賞」を授与致しました。

 また、大阪市立、私立の小中高校から応募頂いた「児童生徒の部」の優秀句にも、「大阪府知事賞、大阪市教育委員会委員長賞、当学長賞、それに今期から新規に設けた淀川神社賞」を授与しました。

 さらに、諸外国から応募された俳句作品の「国際俳句蕪村賞の部」の優秀句にも、「大阪府知事賞、大阪市長賞、独立行政法人国際交流基金理事長賞」を授与致しました。

 このほか、上記3部に「佳作賞」を授与し、蕪村顕彰俳句大學の3「句会講座」の講師推薦賞も授与しました。

 式典が終了後、蕪村生誕地近郊の「蕪村公園」に、表彰された「優秀句の記念碑」を建立し除幕式をしました。受賞した児童生徒・ご家族、一般の部の受賞者が集まり、大いに盛り上がりました。

 そこで、「優秀句一覧表」を下記に掲載します。どうか優れた全国俳句大会の実績を拝読頂き度存じます。

江戸時代の俳人・与謝蕪村生誕300年の年が、来年平成28年に迎えますので、今期全国俳句大会第11期表彰式は、その「お祭り」の前哨となりました。来年与謝蕪村生誕300年記念行事は、皆様のお力を頂いて、おおいに盛り上げようではありませんか。心からお願い申し上げます。

◆一般の部

大阪府知事賞
    沢蟹は水の色して生れけり     兵庫県  前田 忍様

大阪市長賞
    白南風や通し土間よりすぐに海   千葉県  原 瞳子様

公益社団法人関西・大阪21世紀協会理事長賞
    閉めてあるはうが明るし春障子  大阪府  藤村澄子様

蕪村顕彰俳句大学学長賞
    魚すべて黒潮のもの船料理  大阪府  藤村澄子様

(株)文學の森賞
    なには津の日暮れ明るき祭鱧  大阪府  間谷雅代様

佳作賞
    校長を勤め上げたる白絣      埼玉県   荒川清司様
    戸隠の何処歩きても遠郭公     大阪府   猪田初美様    
    月涼し桶に匂へる高野槙      兵庫県   上原悦子様
    風の繰る机上の一書五月来る    大阪府   高野卓也様
    ひかり吸ふやうに蓮酒飲みにけり  大阪府  武田和子様
    地球儀の塵拭く海の日なりけり   大阪府   竹森静雄様
    蕪村句碑驚かせたる大花火     大阪府 田中靖子様
    蕪村句碑までの長堤小鳥来る    大阪府 谷口多満様
    青蘆のさやめく淀の暮色かな     奈良県   中川晴美様
    蔵のある町を飛び交ふつばくらめ   大阪府   西村妙子様
    墓ひとつ残す故郷盆の月       滋賀県   前川菅子様
    月山の花野に埋もる遭難碑      兵庫県   本村幸子様
    マンションに水母を飼へる漢かな   大阪府   森田幸夫様
    鰡飛んで旧淀川をきらめかす    大阪府   山田夏子様
    遠足の磯の香の子を集めをり    兵庫県   山田美恵子様
    闇濡れて来て蛍の飛び始む     大阪府   吉田 喬様
    時の日や流るるものに水と砂    大阪府   吉田 喬様
    一人来て一人の音の田植かな    大阪府   吉田万喜子様
    潮入に下る砂利舟蘆茂る      大阪府   吉村幸子様
    尻ぬれてよりぞんぶんに磯遊    兵庫県   蘭定かず子様

◆一般の部 講師推選賞

大橋晄講師推選賞
    谷水を引きて山家の花菖蒲     嶋崎 豊子
    短夜の沖静かなる波の音      北村恵美子
    土筆摘み島へ別れの一家かな     中村 公代

山尾玉藻講師推選賞
    見覚えや柩の上の夏帽子      大山 文子
    藻の咲いて水神へ櫂使ひけり    蘭定かず子
    雲の峰軒の卵塊濡れゐたる     小林 成子

柴田多鶴子講師推選賞
    更衣ひととき妣の香の中に    伊福悠紀
    ほうたるを呼ぶ児の減りて闇の濃し   田宮恭子
    原種みな素朴なかたち額の花    岩出くに男

◆児童・生徒の部

大阪府知事賞
    おひさまがぎらぎらしたらかき氷 大阪市立大東小学校五年  坪田 乃々様

大阪市教育委員会委員長賞
    表面に虹を浮かべてしゃぼん玉  大阪市立南高等学校一年  川元 理代様

蕪村顕彰俳句大学学長賞
    一人聞く祭囃子の笛の音     大阪市立南高等学校一年  井上 和音様

淀川神社賞
    月見草風にふかれてゆらゆらと  大阪市立淀川小学校六年年 宮本 結菜様

佳作賞
    ひがささしちょっとおとなきぶんだよ大阪市立大東小学校二年    天野  凛
    ふゆのそとナイフのようにかぜがふく  大阪市立大東小学校二年    田中 心樹
    白い息城の石がき見て走る       追手門学院小学校三年      田邊 誉人
    雨上がりしずくと共に虹が出る     大阪市立淀川小学校六年     小路 愛心
    夏の星夜空に光をときはなつ      大阪市立淀川小学校六年     新居 美咲
    帰り道秋夕焼けが照らす道       大阪市立淀川小学校六年     軽澤 礼奈
    やわらかい落ち葉の道を散歩する    大阪市立大東小学校六年     森下 心葉
    ヒマワリよ私の背をこさないで     追手門学院小学校六年      内田 佳歩
    入学式背負いなれないランドセル    追手門学院小学校六年      内海 隆飛
    夕焼雲その間から光さす        大阪市立咲くやこの花中学校二年 稲葉 遥
    夕焼に足をゆるめる君とぼく      大阪市立咲くやこの花中学校二年 小倉茉菜香
    月涼し足音止んだグラウンド      大阪市立咲くやこの花中学校二年 山口わたる
    赤とんぼだいだい色の空に飛ぶ     大阪市立南高等学校一年    酒本 愛優
    蝉時雨日差しと共に降りそそぐ     大阪市立南高等学校一年    福盛 海斗
    原色に溶けきっていくかき氷     大阪市立南高等学校一年    川元 理代
    少しでかい制服を着て新入生      大阪市立南高等学校一年    小林 瑞季
    真っ青に輝く空だきたぞ夏        大阪市立南高等学校一年    西村 明花
    Imissyouあの日作った雪だるま 大阪市立南高等学校一年    藤田美香麗
    蒲公英よ叶うと言ってこの恋が      大阪市立南高等学校二年    大西 七菜
    つばめの子お前はどこへ飛んでいく   大阪市立南高等学校二年    爲 麻土香

◆国際俳句蕪村賞

大阪府知事賞
    夕焼けや故郷へ架かる鉄道橋     台湾    蔡 佩真様

大阪市長賞
    夕焼けや子供を背負う父の影    台湾    周 姿均様

独立行政法人国際交流基金理事長賞
    天窓を開けたまま寝る夏の月     台湾    郭 芳慈様

佳作賞
    コンビニの暴走族や夏の月      台湾  宋 佳駿
    夏の月ダイダラボッチ動き出す    台湾  楊 子瑩



2015年09月07日

◆ワンちゃんは人の心をつなぐ

川原 俊明 (弁護士)



法律の世界とは、全く無縁の「俳句」という文化的な集まりがありました。

一人は、某公立大学文学部長、一人は、元大阪府のトップクラス公務員、一人は、元NHK記者の作家、一人は、民放関連現役マスコミ人、そして一人の弁護士。

これだけ、経歴の違う人間が、俳句について語ろうとしたとき、ふとしたきっかけで、自分の飼っているワンちゃんの話題に、みんなが力を入れて語り始めたのです。俳句の話題をそっちのけで・・・。

16年飼っていたワンちゃんのことを思い出すだけで、大学の講義の最中でも涙が止まらない教授。

ワンちゃん、ペットちゃん、といわせるのも納得がいかず、「息子」と呼ばせる教授。
死期を感じたワンちゃんが、妻の前で、じっと立ちすくんだまま感謝の気持ちを伝え、そのまま夫の膝元に崩れ、そのまま逝ってしまったワンちゃんの話。

かわいくて、散歩の際に、女子高校生から年がいもなく「かわいい」といわれ続けたワンちゃん。自分の死を見せたくないのか、最期に、庭から何度も脱出を試みたワンちゃんの姿。どれほど、ワンちゃんが、人の心を慰めてくれるのでしょうか。
 
俳句を題材に集まった人々の、心のあたたかいこと。ワンちゃんの話を通じて、このことが理解できました。

俳句は、文化であり、文化は、人の心の集まりである。 これが、今日の共通認識でした。

思い起こせば、人間の心を慰めてくれるのは、本来、「ヒト」ではなかったのでしょうか。「人」という文字も、象形文字の時代から、人が寄り添う、頼りあう関係を、「ひと」とみていたのではないのでしょうか。

現代社会では、人間の心の中に「思いやり」が薄れ、「自分さえ良ければ」という利己的な考えが、多く芽生えすぎたような気がします。

ところが、ワンちゃん、ネコちゃんは、人間よりも、もっと、純粋なのです。「ヒト」が、つまらない「知恵」をつけ始め、紙切れにすぎないお金に、命より大事なものを、見いだすバカげた錯覚の現代世界。
 
人間は、徐々に、「心のふれあい」を失っています。

一方、ワンちゃん、ネコちゃんには、純粋な心だけを持っています。つまらない知恵を持たないだけに・・・。

最近の、余りにも希薄な人間関係の社会。むしろ、「ヒト」よりも「ワンちゃん」「ネコちゃん」にこそ、「ワン格」「ニャン格」を与えるべきでしょう。

人間同士のバカげた争いで、人類が滅びたあとは、ワン類、ニャン類が、この美しい地球を守ってくれるかも知れません。   

2015年06月25日

◆振り込め詐欺犯を封じ込めろ

川原 俊明(弁護士)

蔓延する振り込め詐欺。被害額は、全国で数千億円にも及ぶとされています。

独居老齢者などに対し、「息子」と偽り、「交通事故を起こした。至急、被害弁償金がいる。」など、緊急事態を装い、慌てた老齢者から、多額の金員を送金させてだまし取る手口。
 
最近、各銀行では、ATMによる自動送金手続の前で、携帯電話を片手に送金しようとする老齢者に対し、注意を呼びかけていますが、それでも振り込め被害は後を絶ちません。
 
被害者が、一旦送金してしまえば、犯人に対する振込金返還請求はなかなか困難なのが実情です。

しかし、振り込め詐欺の仕組みには、当然のことながら、犯人側の銀行口座が開設されていて、振り込んだ金は、特定の銀行口座に入金されています。
 
それならば、銀行口座の開設・運営を厳重に管理してこなかった金融機関に責任はないのでしょうか。

銀行口座の開設は、昔と異なり、架空名義ではできない仕組みになっています。このため、振り込め詐欺の場合、他人口座を借用したり、買い取ったりしての口座利用が圧倒的です。
 
では、他人口座では、取り締まりは全くお手上げでしょうか。決してそうではありません。
 
現代の銀行取引は、すべてコンピュータ管理です。特定のプログラムにより、当該銀行口座の異常な入出金のデータは、一瞬にして判明でき、管理できるはずです。しかも、今年6月から、振り込め詐欺被害救済法施行されました。

この法律に基づき、振り込め詐欺被害者の依頼を受けた弁護士から、振込先の銀行に対し、送金先の銀行口座を凍結するよう申し入れると、警察への通報とともに、現実に銀行口座凍結の事態が実現できます。

振り込め詐欺被害者が、一刻も早く、弁護士からの手続をとれば、被害回復の可能性が生じるのです。

しかも、最近、金融機関は、振り込め詐欺に利用した口座名義を、今後一切、口座開設を許さないことにしました。

安易に、犯罪に荷担して銀行口座を提供すれば、自分も、今後一切、銀行取引ができなくなるのですから、要注意です。
 
この事態は、振り込め詐欺にかかわらず、「ヤミ金被害」でも、同様の扱いがなされています。
 
ヤミ金業者は、超高金利をヤミでとり続け、脅しすかしで、被害者の骨の髄までしゃぶろうとしているのです。

被害者は、勇気を振り絞って、一刻も早く対策を講じるべきです。 (完)

2015年06月22日

◆なぜ?の論理で追求すべき弁護士

川原 俊明
  


サラ金業者に対する過払金返還請求案件が、まだに、続いているようです。それ自体、悪徳サラ金業者に対する社会悪の追求という観点であれば、私も、諸手を挙げて賛意を表します。

でも、いまの若手弁護士、司法書士諸君。ほんとに、社会悪の追求に自分の命を賭けているのでしょうか。

サラ金に対する過払訴訟の実態は、パソコンで利息計算の見直しをするだけで、過払金額が出てくるだけの話です。こんなことを大々的にテレビコマーシャルしたり、街頭看板で宣伝する弁護士・司法書士。

彼らは、債務者の借金返済に対する苦労を理解しようとせず、単に、金儲けの手段としてしか考えていないのではないでしょうか。

これは、サラ金業者からの借金に、一生懸命、高利を返済し続けてきた人に対する冒涜です。弁護士・司法書士も、ほんとに困った人の救済の積もりなら、無茶な報酬を取るな、と言いたい。

私たちのように、何十年も弁護士業務に携わってきた者にとって、弁護士のなすべき目標は決まっていました。

世の中を変える。社会をよくする。このために私たちは弁護士の道を選択したのです。錯綜した一つの案件の中から、ゴミみたいに見える一つの事象をとらえて真実を見い出し、事件の解決につなげるのが弁護士の仕事なのです。

“なぜ?”を追求し、真実の解明につなげるのが弁護士の仕事です。弁護士は、なぜ?の判断をもって、紛争解決のため実現を追求します。

過払訴訟の場面で、一体、どこに本来の弁護士の仕事がある、と思っているのでしょうか。

過払訴訟の目先の高額報酬の確保。これが弁護士の本来の仕事だと思ってもらいたくない。
このことを若手弁護士・司法書士に伝えたいのです。


2015年06月21日

◆ゴーストライターの問題

川原 俊明



あなたが聞いている音楽や読んでいる教科書は、すべて著作物です。作詩・作曲した人や、作家さんが著作権を有しています。

では、著作権は、具体的にどのようにあなたと関係するのでしょうか?

例えば、あなたがレンタルCDから音楽を携帯に取り込んだとしましょう。それは、作詞家・作曲家が有している著作権の一つである複製権を侵害しうる行為です。
 
ただし、私的な使用を目的とする複製は法律で許されています。

「私的使用」目的であれば、著作権者に対する影響も小さいですし、私たち利用者にとっても有益だからです。したがって、通勤で使うため等、自分で使用するのであればレンタルCDの録音も問題ありません。

しかし、他の多数の人(特に家庭外)に音楽を聴かせるためにコピーした場合には、「私的使用」とは言えませんので、著作権侵害となってしまいます。

この場合、作詞家・作曲家の方から、「損害が発生しているから賠償しろ」「著作権を侵害しているからすぐに使用を止めろ」と訴えられる危険があります。

ところで、最近、映画館で「違法に配信されたものと知りながらダウンロードすることは犯罪です。」「ストップ!映画泥棒」といった警告が流れますね。(no more 映画泥棒!)。

「あれ?」 と思われた方もいるかも知れません。「自分で鑑賞するための複製なら「私的使用」目的で許されるんじゃないの?」と。

実は、平成21年の著作権法改正により、違法配信であると知りながらされたデジタル方式の録音・録画は「私的使用」でも違法となるように新たに定められました。
 
また、映画の無断録音録画については、「映画の盗撮の防止に関する法律」という著作権法とは別の法律によって、「私的利用」目的でも著作権法違反となると定められています。

いずれも、「私的使用」とはいえ、多数の人が行うと、映画界等に対する影響が大きくなるためです。

特許権と異なり、著作権は意外と私たちの生活と関わっているので、多少気をつけて生活するのがいいかもしれませんね。
(弁護士)

★著作権に関するご相談はこちらから。
http://www.e-bengo.commail_it.html

2015年05月31日

◆自転車に関する改正道路交通法

〜法律コラム〜

川原 俊明



 来月6月1日から、改正道路交通法の一部が施行され、自転車に関する罰則規定が大きく変更されます。

 信号無視や酒酔い運転など、罰則強化も当然という認識のものから、一時停止違反に対する罰則や、安全運転義務違反という一般的に、車両を運転する者以外にはなじみのない罰則規定が新規に施行されました。

 これらの規定に反した者に対して、3年以内に“違反切符による取り締まり”または“交通事故”を2回以上行った場合、公安委員会の受講命令が来ます。

 ちょっと厳しすぎるんじゃないか?というご意見もあるかと思います。特に、常日頃自転車をよく乗ることの多い子どもたちにどれだけ意識を入れ替えることができるのかなど、疑問や課題もあります。
 
しかし最近、自転車事故の数が増え続けています。それに伴う慰謝料請求の額も、地裁レベルではありますが1億円近くが認定されたものもあります。

 自転車も道路交通法上は車両であるのだから、その認識を再確認させるという思惑もあるのでしょう。

 確かに、夜間、歩道を猛スピードで駆け抜ける自転車には恐怖を覚えることも少なくはありません。

 事故を起こさないことが一番ですが、もし事故に遭ってしまった場合には、自動車と同じように、法律家の出番が増えそうだな、というのが実感です。

 今まで軽い気持ちで乗っていた自転車ですが、今後は、少し認識を変える必要があるのではないでしょうか。

 くれぐれも自転車事故にはお気をつけください。そしてもし事故に遭われた際には、早めの弁護士対応をお勧めします。(弁護士)     

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