2015年09月07日

◆ワンちゃんは人の心をつなぐ

川原 俊明 (弁護士)



法律の世界とは、全く無縁の「俳句」という文化的な集まりがありました。

一人は、某公立大学文学部長、一人は、元大阪府のトップクラス公務員、一人は、元NHK記者の作家、一人は、民放関連現役マスコミ人、そして一人の弁護士。

これだけ、経歴の違う人間が、俳句について語ろうとしたとき、ふとしたきっかけで、自分の飼っているワンちゃんの話題に、みんなが力を入れて語り始めたのです。俳句の話題をそっちのけで・・・。

16年飼っていたワンちゃんのことを思い出すだけで、大学の講義の最中でも涙が止まらない教授。

ワンちゃん、ペットちゃん、といわせるのも納得がいかず、「息子」と呼ばせる教授。
死期を感じたワンちゃんが、妻の前で、じっと立ちすくんだまま感謝の気持ちを伝え、そのまま夫の膝元に崩れ、そのまま逝ってしまったワンちゃんの話。

かわいくて、散歩の際に、女子高校生から年がいもなく「かわいい」といわれ続けたワンちゃん。自分の死を見せたくないのか、最期に、庭から何度も脱出を試みたワンちゃんの姿。どれほど、ワンちゃんが、人の心を慰めてくれるのでしょうか。
 
俳句を題材に集まった人々の、心のあたたかいこと。ワンちゃんの話を通じて、このことが理解できました。

俳句は、文化であり、文化は、人の心の集まりである。 これが、今日の共通認識でした。

思い起こせば、人間の心を慰めてくれるのは、本来、「ヒト」ではなかったのでしょうか。「人」という文字も、象形文字の時代から、人が寄り添う、頼りあう関係を、「ひと」とみていたのではないのでしょうか。

現代社会では、人間の心の中に「思いやり」が薄れ、「自分さえ良ければ」という利己的な考えが、多く芽生えすぎたような気がします。

ところが、ワンちゃん、ネコちゃんは、人間よりも、もっと、純粋なのです。「ヒト」が、つまらない「知恵」をつけ始め、紙切れにすぎないお金に、命より大事なものを、見いだすバカげた錯覚の現代世界。
 
人間は、徐々に、「心のふれあい」を失っています。

一方、ワンちゃん、ネコちゃんには、純粋な心だけを持っています。つまらない知恵を持たないだけに・・・。

最近の、余りにも希薄な人間関係の社会。むしろ、「ヒト」よりも「ワンちゃん」「ネコちゃん」にこそ、「ワン格」「ニャン格」を与えるべきでしょう。

人間同士のバカげた争いで、人類が滅びたあとは、ワン類、ニャン類が、この美しい地球を守ってくれるかも知れません。   

2015年06月25日

◆振り込め詐欺犯を封じ込めろ

川原 俊明(弁護士)

蔓延する振り込め詐欺。被害額は、全国で数千億円にも及ぶとされています。

独居老齢者などに対し、「息子」と偽り、「交通事故を起こした。至急、被害弁償金がいる。」など、緊急事態を装い、慌てた老齢者から、多額の金員を送金させてだまし取る手口。
 
最近、各銀行では、ATMによる自動送金手続の前で、携帯電話を片手に送金しようとする老齢者に対し、注意を呼びかけていますが、それでも振り込め被害は後を絶ちません。
 
被害者が、一旦送金してしまえば、犯人に対する振込金返還請求はなかなか困難なのが実情です。

しかし、振り込め詐欺の仕組みには、当然のことながら、犯人側の銀行口座が開設されていて、振り込んだ金は、特定の銀行口座に入金されています。
 
それならば、銀行口座の開設・運営を厳重に管理してこなかった金融機関に責任はないのでしょうか。

銀行口座の開設は、昔と異なり、架空名義ではできない仕組みになっています。このため、振り込め詐欺の場合、他人口座を借用したり、買い取ったりしての口座利用が圧倒的です。
 
では、他人口座では、取り締まりは全くお手上げでしょうか。決してそうではありません。
 
現代の銀行取引は、すべてコンピュータ管理です。特定のプログラムにより、当該銀行口座の異常な入出金のデータは、一瞬にして判明でき、管理できるはずです。しかも、今年6月から、振り込め詐欺被害救済法施行されました。

この法律に基づき、振り込め詐欺被害者の依頼を受けた弁護士から、振込先の銀行に対し、送金先の銀行口座を凍結するよう申し入れると、警察への通報とともに、現実に銀行口座凍結の事態が実現できます。

振り込め詐欺被害者が、一刻も早く、弁護士からの手続をとれば、被害回復の可能性が生じるのです。

しかも、最近、金融機関は、振り込め詐欺に利用した口座名義を、今後一切、口座開設を許さないことにしました。

安易に、犯罪に荷担して銀行口座を提供すれば、自分も、今後一切、銀行取引ができなくなるのですから、要注意です。
 
この事態は、振り込め詐欺にかかわらず、「ヤミ金被害」でも、同様の扱いがなされています。
 
ヤミ金業者は、超高金利をヤミでとり続け、脅しすかしで、被害者の骨の髄までしゃぶろうとしているのです。

被害者は、勇気を振り絞って、一刻も早く対策を講じるべきです。 (完)

2015年06月22日

◆なぜ?の論理で追求すべき弁護士

川原 俊明
  


サラ金業者に対する過払金返還請求案件が、まだに、続いているようです。それ自体、悪徳サラ金業者に対する社会悪の追求という観点であれば、私も、諸手を挙げて賛意を表します。

でも、いまの若手弁護士、司法書士諸君。ほんとに、社会悪の追求に自分の命を賭けているのでしょうか。

サラ金に対する過払訴訟の実態は、パソコンで利息計算の見直しをするだけで、過払金額が出てくるだけの話です。こんなことを大々的にテレビコマーシャルしたり、街頭看板で宣伝する弁護士・司法書士。

彼らは、債務者の借金返済に対する苦労を理解しようとせず、単に、金儲けの手段としてしか考えていないのではないでしょうか。

これは、サラ金業者からの借金に、一生懸命、高利を返済し続けてきた人に対する冒涜です。弁護士・司法書士も、ほんとに困った人の救済の積もりなら、無茶な報酬を取るな、と言いたい。

私たちのように、何十年も弁護士業務に携わってきた者にとって、弁護士のなすべき目標は決まっていました。

世の中を変える。社会をよくする。このために私たちは弁護士の道を選択したのです。錯綜した一つの案件の中から、ゴミみたいに見える一つの事象をとらえて真実を見い出し、事件の解決につなげるのが弁護士の仕事なのです。

“なぜ?”を追求し、真実の解明につなげるのが弁護士の仕事です。弁護士は、なぜ?の判断をもって、紛争解決のため実現を追求します。

過払訴訟の場面で、一体、どこに本来の弁護士の仕事がある、と思っているのでしょうか。

過払訴訟の目先の高額報酬の確保。これが弁護士の本来の仕事だと思ってもらいたくない。
このことを若手弁護士・司法書士に伝えたいのです。


2015年06月21日

◆ゴーストライターの問題

川原 俊明



あなたが聞いている音楽や読んでいる教科書は、すべて著作物です。作詩・作曲した人や、作家さんが著作権を有しています。

では、著作権は、具体的にどのようにあなたと関係するのでしょうか?

例えば、あなたがレンタルCDから音楽を携帯に取り込んだとしましょう。それは、作詞家・作曲家が有している著作権の一つである複製権を侵害しうる行為です。
 
ただし、私的な使用を目的とする複製は法律で許されています。

「私的使用」目的であれば、著作権者に対する影響も小さいですし、私たち利用者にとっても有益だからです。したがって、通勤で使うため等、自分で使用するのであればレンタルCDの録音も問題ありません。

しかし、他の多数の人(特に家庭外)に音楽を聴かせるためにコピーした場合には、「私的使用」とは言えませんので、著作権侵害となってしまいます。

この場合、作詞家・作曲家の方から、「損害が発生しているから賠償しろ」「著作権を侵害しているからすぐに使用を止めろ」と訴えられる危険があります。

ところで、最近、映画館で「違法に配信されたものと知りながらダウンロードすることは犯罪です。」「ストップ!映画泥棒」といった警告が流れますね。(no more 映画泥棒!)。

「あれ?」 と思われた方もいるかも知れません。「自分で鑑賞するための複製なら「私的使用」目的で許されるんじゃないの?」と。

実は、平成21年の著作権法改正により、違法配信であると知りながらされたデジタル方式の録音・録画は「私的使用」でも違法となるように新たに定められました。
 
また、映画の無断録音録画については、「映画の盗撮の防止に関する法律」という著作権法とは別の法律によって、「私的利用」目的でも著作権法違反となると定められています。

いずれも、「私的使用」とはいえ、多数の人が行うと、映画界等に対する影響が大きくなるためです。

特許権と異なり、著作権は意外と私たちの生活と関わっているので、多少気をつけて生活するのがいいかもしれませんね。
(弁護士)

★著作権に関するご相談はこちらから。
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2015年05月31日

◆自転車に関する改正道路交通法

〜法律コラム〜

川原 俊明



 来月6月1日から、改正道路交通法の一部が施行され、自転車に関する罰則規定が大きく変更されます。

 信号無視や酒酔い運転など、罰則強化も当然という認識のものから、一時停止違反に対する罰則や、安全運転義務違反という一般的に、車両を運転する者以外にはなじみのない罰則規定が新規に施行されました。

 これらの規定に反した者に対して、3年以内に“違反切符による取り締まり”または“交通事故”を2回以上行った場合、公安委員会の受講命令が来ます。

 ちょっと厳しすぎるんじゃないか?というご意見もあるかと思います。特に、常日頃自転車をよく乗ることの多い子どもたちにどれだけ意識を入れ替えることができるのかなど、疑問や課題もあります。
 
しかし最近、自転車事故の数が増え続けています。それに伴う慰謝料請求の額も、地裁レベルではありますが1億円近くが認定されたものもあります。

 自転車も道路交通法上は車両であるのだから、その認識を再確認させるという思惑もあるのでしょう。

 確かに、夜間、歩道を猛スピードで駆け抜ける自転車には恐怖を覚えることも少なくはありません。

 事故を起こさないことが一番ですが、もし事故に遭ってしまった場合には、自動車と同じように、法律家の出番が増えそうだな、というのが実感です。

 今まで軽い気持ちで乗っていた自転車ですが、今後は、少し認識を変える必要があるのではないでしょうか。

 くれぐれも自転車事故にはお気をつけください。そしてもし事故に遭われた際には、早めの弁護士対応をお勧めします。(弁護士)     

<〒530−0047
大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階
  弁護士法人 川原総合法律事務所
        TEL 06−6365−1065 
FAX 06−6365−7265 >

2014年11月25日

◆法律コラム

川原 俊明

 

◆損害賠償請求の可否◆

Q:実は不倫してました・・・慰謝料請求されたくないので、新相方と国外逃亡を決意!
もう請求されませんよね?

A:不倫は民事上不法行為として損害賠償責任を発生させます。
 従って、相手方は貴方を被告として訴訟で損害賠償を請求してくるものと思われます。
 ここで、貴方が国外に逃亡した場合、訴訟上問題がいくつかあります。

 第1 訴状は、貴方(被告)に送達されなくてはなりません。そこで、貴方(被告)の所在が不明の場合、訴状の送達ができずに裁判が始まらないのではないかが問題になります。
 しかし、貴方(被告)の所在が不明だからといって、裁判ができないというのも不合理です。原告の申立により、公示送達(裁判所の掲示板に掲示する)等により貴方(被告)に送達したものとみなされて、裁判が開始されるのが通常です。

 第2 裁判が始まって、貴方(被告)が欠席したらどうなるのでしょうか?
 相手方が主張する事実を貴方(被告)が争わない場合には、これを自白したものとみなされます。従って、欠席すれば、自白したものとみなされて、貴方(被告)の敗訴=損害賠償義務が認められることになります。

 第3 強制執行はどうなるのでしょうか?
 貴方(被告)が所在不明であっても、その不動産や預金等の財産が国内にある限り、判決に基づき強制執行は可能です。
 また、貴方(被告)の財産が国外にしかない場合でも、その国が外国裁判所の判決による強制執行を認めている場合には、原告はその国の裁判所に申し立てて強制執行が可能です。

 以上から、残念なお知らせですが、
 国外逃亡しても、大丈夫とは言えないでしょう。
(弁護士)
 

2014年11月18日

◆ワンちゃんは人の心をつなぐ

川原 俊明


法律の世界とは、全く無縁の「俳句」という文化的な集まりがありました。

一人は、某公立大学文学部長、一人は、元大阪府のトップクラス公務員、一人は、元NHK記者の作家、一人は、民放関連現役マスコミ人、そして一人の弁護士。

これだけ、経歴の違う人間が、俳句について語ろうとしたとき、ふとしたきっかけで、自分の飼っているワンちゃんの話題に、みんなが力を入れて語り始めたのです。
俳句の話題をそっちのけで・・・。

16年飼っていたワンちゃんのことを思い出すだけで、大学の講義の最中でも涙が止まらない教授。ワンちゃん、ペットちゃん、といわせるのも納得がいかず、「息子」と呼ばせる教授。

死期を感じたワンちゃんが、妻の前で、じっと立ちすくんだまま感謝の気持ちを伝え、そのまま夫の膝元に崩れ、そのまま逝ってしまったというワンちゃんの話。

かわいくて、散歩の際に、女子高校生から年がいもなく「かわいい」といわれ続けたワンちゃん。自分の死を見せたくないのか、最期に、庭から何度も脱出を試みたワンちゃんの姿。

どれほど、ワンちゃんが、人の心を慰めてくれるのでしょうか。
 
俳句を題材に集まった人々の、心のあたたかいこと。ワンちゃんの話を通じて、このことが理解できました。

俳句は、文化であり、文化は、人の心の集まりである。 これが、今日の共通認識でした。

思い起こせば、人間の心を慰めてくれるのは、本来、「ヒト」ではなかったのでしょうか。「人」という文字も、象形文字の時代から、人が寄り添う、頼りあう関係を、「ひと」とみていたのではないのでしょうか。

現代社会では、人間の心の中に「思いやり」が薄れ、「自分さえ良ければ」という利己的な考えが、多く芽生えすぎたような気がします。

ところが、ワンちゃん、ネコちゃんは、人間よりも、もっと、純粋なのです。「ヒト」が、つまらない「知恵」をつけ始め、紙切れにすぎないお金に、命より大事なものを、見いだすバカげた錯覚の現代世界。
 
人間は、徐々に、「心のふれあい」を失っています。

一方、ワンちゃん、ネコちゃんには、純粋な心だけを持っています。つまらない知恵を持たないだけに・・・。

最近の、余りにも希薄な人間関係の社会。

むしろ、「ヒト」よりも「ワンちゃん」「ネコちゃん」にこそ、「ワン格」「ニャン格」を与えるべきでしょう。

人間同士のバカげた争いで、人類が滅びたあとは、ワン類、ニャン類が、この美しい地球を守ってくれるかも知れません。    



2014年11月03日

◆法律コラム

川原 俊明


〜某プロ野球選手の悩み〜

Q)「困っています・・・」

私はT球団のプロ野球選手なのですが、最近調子が良くありません。
ファンからきついヤジを浴びせられたり、メガホンを投げつけられ、さらに調子が落ちてしまいました。

このままでは契約更改で減給必至です!年俸が下がった分を、ヤジを飛ばしたファンに対して損害賠償請求できませんか?

A)「お答えします」

民法は不法行為によって損害を被った場合に、損害賠償を請求できるとしています(709条)。

しかし、損害賠償請求が認められるには、加害行為と損害の間に「因果関係」がなければなりません。

あなたの場合、確かにヤジ行為によってあなたが精神的に弱ってしまった可能性はありますが、野球のプレーに影響を与えたといえるかがは別問題となります。

そして、通常のヤジ行為程度であれば、一般的にはプレーに影響が出たりするとは認定されない可能性が高いです。

まして、あなたの場合、ヤジを受ける前から調子を落としているとのことなので、ヤジによって調子を落としたとは認定されない可能性は非常に高いと思われます。

プロ野球選手になった以上、ヤジに負けない強い精神力を養って、来年もがんばってください。
(この質疑応答はフィクションです。実在の人物・球団とは一切関係ありません♪)
                               (弁護士)

2014年10月23日

◆法律コラム

川原 俊明

 

〜プリペイド式携帯電話の転売について〜

プリペイド式携帯電話が、犯罪に利用されるようになってから久しくなります。

プリペイド式携帯電話は、前払い式の携帯電話で、外国人旅行客や子供による使いすぎ予防等に利用されれば、非常に有用なものです。
 
しかし、日本でプリペイド式携帯電話が販売された当初、購入時の身元確認が不要であったため、犯罪に多用されるようになりました。
 
今では、携帯電話不正利用防止法が施行され、プリペイド式携帯電話も身元確認しないと購入できなくなりましたが、未だにインターネット等を利用して転売され、犯罪に利用されているのが実情です。
 
さて、以上のように、プリペイド式携帯電話が転売されるといっても、購入者は窓口で身分証を提示して購入しなければなりません。
 
その際、転売を目的とするこの購入者は、なんらかの罪に問われないのでしょうか。
 
この点、ある被告人が第三者への無断譲渡を意図してプリペイド式携帯電話を購入した事件について、東京高等裁判所(平成24年12月13日判決)は、「詐欺未遂罪」にあたると判断し、同被告人を1年6か月の懲役(実刑)としました。
 
「未遂罪」となっているのは、窓口の人間が「無断譲渡されない。」と信じたかどうかが分からなかったためです。逆に言えば、窓口の人間が「無断譲渡はされない。」と信じていれば、「詐欺既遂罪」(未遂罪より重い罪)が成立するということです。
 
上記判決が、プリペイド式携帯電話の転売目的に関する他の事件にどこまで適用されるかは分かりませんが、今後、購入者が詐欺罪に問われていけば、プリペイド式携帯電話の犯罪利用は減少するかもしれません。(弁護士)

2014年09月27日

◆法律コラム

川原俊明(弁護士

 
〜派遣労働者の保護を図っていく時代〜

 
労働者派遣法は、昭和60年に制定されて以降、時代の流れに沿って、度々、改正されてきました。

 
労働者派遣法第40条の2もそのひとつで、同条は、「派遣先は、同一の業務で派遣可能期間(最長3年)を超える期間、継続して派遣労働者を使用してはならない」と規定しており、これに関連して、派遣先が講ずべき措置に関する指針第14項は、「派遣期間終了後3か月を超えない場合には継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす」と規定しています。

 
これによって、3年の派遣契約期間終了後、3か月間のクーリング期間をおくことで派遣労働者の使用をできないようにして派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図っていました。

 
ところが、これらの規制をうまくかいくぐるように、派遣契約期間終了後、すぐに3か月間を超える期間(3年と1日)の直接雇用契約をし、その契約終了後、再度、派遣契約をして、実態として、3年超える期間、派遣労働者の継続使用する会社が現れました。

 
これは、上記指針の3か月間というクーリング期間を利用して、再度、派遣契約を締結し、これによって、派遣労働者を使用し続けるというものでした。

 
これについては、元派遣労働者の派遣先での直接雇用を認めていく方向での判決がなされ、この判決を契機に、派遣労働者の保護を図る以下のような労働者派遣法の改正が行われ、平成27年10月1日に施行されます。


派遣先が違法派遣を知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされるという労働契約申込みみなし制度です。

 
今回の法改正で、派遣労働者の地位の改善が少しはなされたかと思いますが、まだまだ不十分かもしれません。会社に都合のいいように利用されがちな派遣労働者の地位の向上を図っていくためには、現場にいる派遣労働者の声が裁判所、国会に届けなければなりません。

 
上記判決、今回の法改正は、それを実感させるものでした。


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2014年09月16日

◆法律コラム 

川原 俊明(弁護士)


 〜私生活上の非違行為と懲戒解雇・退職金不支給〜

<わて、どないなってまうん!?>
 Aさんは、B株式会社に25年勤続してきましたが、ある日、お酒を飲んで、痴漢を行い、逮捕され、有罪が確定しました。
 B株式会社は、就業規則に基づき、Aさんを懲戒解雇し、さらに、退職金を支給しないこととしました。
 Aさんは納得できないのですが、法的にはどういう問題があるのでしょうか?

<お答えします!>
1 懲戒解雇の当否
  まず、懲戒解雇は、就業規則に基づくものでなければならず、また、具体的事案に照らし社会的相当性を有するものであることが必要です。
  今回の場合、私生活上の非違行為ですので、具体的に会社の名誉や社会的信用を毀損させ、企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあることが必要とされます。

2 退職金を支給しないことの当否
  次に、仮に懲戒解雇が有効とされる場合であっても、直ちに、退職金を(全部・一部)支給しないことが許されることにはなりません。
 退職金は、功労報酬金としての性格のみならず、賃金の後払い的性格、生活保障的性格を併せ持つものだからです。
 判例では、@非違行為の内容、A使用者の受けた損害、B被用者の会社における地位、C在職中の貢献度などを踏まえ、被用者の永年の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの重大な不信行為があることが必要とされています。
  
  労働問題は生活に直結する重要な問題です。疑問を感じたら、気軽に相談してください
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2014年07月18日

◆法律コラム:命名「スシロー」

川原 俊明


 ご自分で店を始めるとき、自由に店の名前や商品の名前をつけることはできるのでしょうか?
 
例えば、個人でお寿司屋さんを経営しようとしたときに、店の名前を「スシロー」と名付けることは、自分の店なので自由に決められて当然であり、違法とは言えないのでしょうか!?

 商品名や役務の提供について、保護する権利が「商標権」であり、商標権について規定するのが商標法です。
 
 商標権は、店名や商品が全国的に有名かどうかは関係なく、商標法上の登録さえすれば、全国的な保護を受けることが可能です。

 冒頭の事案では、すでに株式会社あきんどスシローが「スシロー」を商標登録しているため、「スシロー」という名で寿司を客に提供する行為は、株式会社あきんどスシローの商標権を侵害することになってしまいます。

 そして、商標権を侵害又は侵害されるおそれがある場合、商標権者は侵害の停止予防を請求することができます。

このような請求は、相手方の故意・過失を問題としないため、無過失の侵害者に対しても認められます。

 また、商標権の侵害者に対しては、損害賠償請求を行うことも可能であり、その際には、侵害者には過失が推定され、損害額の算定方法についても、特別に規定されています。

 これに対し、以前からある商標を使っていたにもかかわらず、商標の登録をしないままでいる場合に、知らない間に他人がその商標を登録してしまった場合には、従前からの使用者は、登録異議申立てや商標登録無効審判を、特許庁に対して申し立てることができます。
 これらの手続は、専門的、技術的な知識が必要だということで、裁判所ではなく、まずは特許庁に申し立てるという制度になっています。

 このような商標権については、ネットを通じて無料で簡単に検索が可能です。

 というわけなので、もし店名や商品名をつけるようなことがある場合には、まずは検索をかけることをおすすめします。

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2014年06月28日

◆本当はとっても身近な景品表示法

<法律コラム>
川原 俊明


 景品表示法と聞いて、一般の人はあまりピンとこないと思いますが、実は、非常に身近な法律なのです。
 
消費者が、商品・サービスを購入する際、実際よりもよく見せかけて表示されたり、過大な景品類の提供が行われたりすると、それにつられて、悪質な商品を購入することになり、結果的に不利益を被るおそれがあります。
 

そこで、消費者が、正確な情報をえて、良い商品を購入できるようにするため、景品表示法で規制して、一般消費者の利益を保護しようというのです。
 
景品表示法は、以下のとおり、大きくわけて、ふたつの規制をしています。

 ・ひとつは、不当な表示の禁止です。

 具体的には、@「100%果汁」と表示したジュースの果汁成分が、実際には、60%であったり、A「大学合格実績bP」と表示していたが、他校と異なる方法で数値化して、適正な比較ではなかったりなどの不当な表示を禁止しています。

 ・もうひとつは、過大な景品類の提供の禁止です。

 具体的には、商店街のセールでの福引きで非常に高額な景品を提供したり、商品購入に伴って非常に高額な景品を提供したりすることです。法律上、前者には、30万円までの制限、後者には、1000円以上の取引価格のものについては、取引価格の2割までという制限があります。

 では、これらの規制に違反しているのを見つけたときは、どうすればいいでしょうか?

そのときは、消費者庁、または、公正取引委員会へ情報提供すれば、関係官庁が調査し、場合によっては、警告、違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」を行ってくれます。

 当事務所の、熱意のこもった接客対応は、口コミやホームページの評判よりもよいので、警告をいただくかもしれません♪

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