2014年04月14日

◆信託財産に強制執行!?

川原 俊明


「信託法」という法律をご存じでしょうか?あまり、聞き慣れない法律かと思います。

信託とは、財産を有する者(委託者)が、自己または他人(受益者)のために、当該財産の管理・処分を管理者(受託者)に委ねる仕組みです。

他人のために財産を委ねるのか?と思われるかもしれませんが、それを生業としている会社等から見たら、お客さんは「他人」になりますので、このような定義となっています。
 
信託には、@信託契約による信託については、信託契約、A遺言による信託については、遺言、B自己信託による信託については、信託法3条3号に定める書面または電磁的記録によってする意思表示の3類型が定められています。

では、受託者が委託者の財産(信託財産)の管理をしている際、受託者の債権者としては、その信託財産も受託者の財産として、強制執行できるのでしょうか?
 
確かに、信託財産は、形式的には受託者に属します。

しかしながら、受託者は、信託財産の利益を享受する主体ではなく、実質的には受益者がその利益を享受します。そのため、信託財産は、受託者の固有財産から区別され、受託者の債権者からの強制執行等が制限されています(信託財産の独立性)。

その他にも、信託ならではの定めがたくさんあり、活用次第では、資産形成に寄与するものと思われます。                       

「信託法」に関してご相談がありましたら、下記Webアドレスのお当事務所までご連絡を下さいね。
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2014年04月01日

◆YouTubeを観て著作権違反!?

川原 俊明


既にご存じの方も多いと思いますが、著作権法の平成24年改正により、違法なインターネット配信から、販売や有料で配信されている音楽や映像を違法配信と知りながらダウンロードする行為が刑罰の対象となりました。
 
今回はこの「改正のポイント」について解説したいと思います。

1 平成24年改正までは、販売や有料配信されている音楽等を違法にアップロードする行為が刑罰の対象とされ、これを私的利用目的(自宅鑑賞のため等)でダウンロードする行為については、刑罰の対象にはなりませんでした。

しかし、今回の改正によって、たとえ、私的利用目的であっても、違法にアップロードされたものであると知りながらダウンロードする行為も、刑罰の対象になりました。

具体的には、 2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれに併科するものです。
 
ただし、親告罪とされていますので、誰かから告訴されない限りは、処罰されません。

では、私たちがYouTube等の動画投稿サイトで、音楽や映像を観る行為は処罰の対象になるのでしょうか。
 
動画投稿サイトでは動画をダウンロードしながら再生するという仕組みにより、動画を閲覧できるもの(プログレッシブダウンロードと呼ばれている)があります。
 
文化庁の見解によれば、この仕組みでの閲覧は、電子計算機における著作物利用に伴う複製にあたり、著作権を侵害しないものとして処罰の対象にならないと解釈されています。

2 また、家庭内で使用する目的であっても、アクセスコントロール技術の施されたDVDやCDからデータを吸い出すことは、規制されることになりました。

ただし、この点については、刑事罰は規定されていません。

なかなかややこしいですね。

著作権に関するご相談、ご質問等ございましたら、 お気軽にご相談ください。
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2014年03月16日

◆ゴーストライター問題

川原 俊明


あなたが聞いている音楽や読んでいる教科書は、すべて著作物です。作詩・作曲した人や、作家さんが著作権を有しています。

では、著作権は、具体的にどのようにあなたと関係するのでしょうか?

例えば、あなたがレンタルCDから音楽を携帯に取り込んだとしましょう。それは、作詞家・作曲家が有している著作権の一つである複製権を侵害しうる行為です。
 
ただし、私的な使用を目的とする複製は法律で許されています。

「私的使用」目的であれば、著作権者に対する影響も小さいですし、私たち利用者にとっても有益だからです。したがって、通勤で使うため等、自分で使用するのであればレンタルCDの録音も問題ありません。

しかし、他の多数の人(特に家庭外)に音楽を聴かせるためにコピーした場合には、「私的使用」とは言えませんので、著作権侵害となってしまいます。

この場合、作詞家・作曲家の方から、「損害が発生しているから賠償しろ」「著作権を侵害しているからすぐに使用を止めろ」と訴えられる危険があります。

ところで、最近、映画館で「違法に配信されたものと知りながらダウンロードすることは犯罪です。」「ストップ!映画泥棒」といった警告が流れますね。(no more 映画泥棒!)。

「あれ?」 と思われた方もいるかも知れません。「自分で鑑賞するための複製なら「私的使用」目的で許されるんじゃないの?」と。

実は、平成21年の著作権法改正により、違法配信であると知りながらされたデジタル方式の録音・録画は「私的使用」でも違法となるように新たに定められました。
 
また、映画の無断録音録画については、「映画の盗撮の防止に関する法律」という著作権法とは別の法律によって、「私的利用」目的でも著作権法違反となると定められています。

いずれも、「私的使用」とはいえ、多数の人が行うと、映画界等に対する影響が大きくなるためです。

特許権と異なり、著作権は意外と私たちの生活と関わっているので、多少気をつけて生活するのがいいかもしれませんね。
(弁護士)

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2014年03月02日

◆ゴーストライター問題

川原 俊明


佐村河内守氏が実際には新垣隆氏に報酬を支払って、作曲をさせていた事件が巷を賑わせています。
 
この事件について著作権法上の問題はないかという視点で考えてみましょう。

結論から言うと、佐村河内氏あるいは新垣氏の行為が「著作権違反」になることはなさそうです。

著作権には、大きく分けて、著作人格権と、狭義の著作権とがあります。

本来の作曲者である新垣氏には、著作者として著作者人格権が認められます。著作者人格権には、著作物の公衆への提供等に際し自己の名称を表示する権利(氏名表示権)などがあります。

もっとも、新垣氏は、もともと佐村河内氏から報酬を受けてゴーストライターを務めることを承諾しているわけですので、著作者人格権については放棄していると解釈するのが自然です。

また、佐村河内氏は、新垣氏の作曲した曲をあたかも自己が作曲したものとして公衆に提供しており、一見、新垣氏の狭義の著作権を侵害しているように思えます。

しかし、この点についても、新垣氏の承諾があることから、新垣氏から佐村河内氏に対して、狭義の著作権は譲渡されているものと考えられます。

したがって、狭義の著作権を有する佐村河内氏が著作権侵害をすることはありません。

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2014年02月15日

◆著作物ってなに!?

川原 俊明


「著作物」といって頭に浮かぶものは、何でしょうか?
 
おそらく、ゲームのプログラム、小説、漫画のキャラクター、歌詞とかいったものでしょう。
 
著作物が一体何であるかを知らなければ、気づかないうちに著作権を侵害してしまい、著作権者から突然訴えられることにもなりかねません。
 そこで、あらかじめ著作物が何であるかを知っておくことは大切なことです。


著作権法上、著作物として「言語」「音楽」「舞踏、無言劇」「美術」「建築」「地図、図形」「映画」「写真」「プログラム」の9種類が挙げられていますが、これは、あくまでも例示であって、これら以外にも、「思想または感情を」「創作的に」「表現したもので」「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する」と言えれば、著作物にあたり、法律上保護されることになります。
 
この著作物にあたるかのポイントとは、「思想または感情を」「創作的に」といえるかどうかですが、「新聞」「写真」を例に挙げて著作物にあたるか検討してみましょう。

まず、「新聞」について、「記事」は著作物にあたりますが、「見出し」は著作物にあたりません。なぜなら、「記事」は、記者が独自の取材をもとにして、思考をこらして作られるものであることから、まさしく「思想または感情を創作」しているからです。

これに対して、「見出し」は、とても短く、キーワードの羅列にすぎない場合も多く、誰もが考えつく表現が多く、思想が創作的に表現されたものとは言えません。
 
次に、「写真」について、「スナップ写真」は著作物にあたりますが、「証明写真」は著作物にあたりません。なぜなら、「スナップ写真」は、撮影者のシャッターを押すタイミング、撮影のアングル、光のあて方によって、写真の出来がかわるものであり、撮影者による独自の撮影方法によるところが大きく創作的に表現されたものと言えるからです。

これに対して、「証明写真」は、単に機械的に撮影されるものであり、撮影者による「思想または感情」を表現したものとは言えないからです。
 
最後に私が今書いているこの文章はどうでしょうか?

これが文芸と言えるかどうかについては、意見が分かれるところですが、私が「著作物」に関する文章を「思想を創作的に表現している」ことにはまちがいではないので、まさしく著作物にあたることになります。

ですので、私に無断でこの文章をコピーして販売することになれば、私に対する著作権を侵害することになりますので、みなさん、ご注意くださいね。(笑)

著作権に関するご相談はこちらから。 (弁護士)

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2013年11月15日

◆「経営承継法」を知っておこう!

川原 俊明


「そろそろ自分の会社を息子達に継がせたい」と考えている中小企業の方。心配なのは、相続税と、自分が死んだ後の相続争い、ですよね。

この時に必ず知っておかなければならない制度が二つあります。

それは、@「納税猶予制度」とA「経営承継円滑化法」です。

@「納税猶予制度」とは、中小企業の方が、後継者に株式を(生前に)贈与する際、あるいは(遺言等により)相続させる際の、税金(贈与税・相続税)が一定期間猶予され、場合によっては免除される制度です。

贈与税はかなり高額ですし、相続税は承継の際に必ず課税されるものです。

したがって、贈与税・相続税が猶予・免除されれば後継者の負担が格段に軽くなり、スムーズに事業を引き継ぐことができるでしょう。

A「経営承継円滑化法」とは、その名の通り、中小企業の後継を円滑に行うことを目的とした法律です。

その中に、「遺留分に関する制度」があります。すなわち、中小企業の方に子どもが数人いた場合、たとえ遺言で「会社の株式をすべて長男○○に相続させる。」と書いたとしても、民法上、他の子どもにも一定分の株式が相続される可能性があります。

遺言でも処分できないこの相続分を「遺留分」と呼びます。

経営承継円滑化法は、この遺留分を、事前(すなわち中小企業の方の生きている間)
の話し合いでなくしてしまうものです。

したがって、この制度を使えば、中小企業の方が他界されたあと、(遺留分による)株式分散を防ぐことができ、特定の承継者の方にスムーズに事業を引き継がせることができます。

@納税猶予制度とA経営承継円滑化法は、いずれも経営承継において非常に有用なものですが、その分、要件が細かく定められており、手続も煩雑です。

興味をお持ちになった方は、一度、当事務所にご相談下さい。(弁護士)

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2013年11月06日

◆波紋を呼ぶ天皇への手紙

川原 俊明


参議院議員の山本太郎氏が、秋の園遊会で天皇に手紙を渡したことが問題になっています。

山本議員のパフォーマンスにはあきれかえるものがあります。国会議員としての品位もありません。

しかしもっと根源的なことが山本議員に欠落しています。
国会議員としての「無自覚と法の無知」です。

日本国憲法は、天皇を国民の象徴と位置付けています。

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。」(憲法第一条)

このことから、天皇は、政治活動を行わず、また、行えないことになっています。福島原発問題を天皇に直訴したからと言って、天皇が政治判断を下せるものではありません。

むしろ、福島原発問題を審議し解決するのは国会であり、内閣です。

国民主権のもとで国民の代表として国会を構成する国会議員こそが福島原発問題を審議し解決すべき立場にあります。

そのような立場の人間が、政治的権限を行使し得ない天皇に問題提起すること自体が、国会議員としての職責放棄を意味します。

その意味で、山本氏は、国会議員としての資格がないと言うことになります。

国会議員辞職に値する言動だと思います。
                          (弁護士)

◆<主宰者:追加>

・宮内庁、手紙「ふさわしくない」 次長、陛下に見せず

(2013/11/05 16:20 【共同通信】)

宮内庁の山本信一郎次長は5日の定例記者会見で、山本太郎参院議員が園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した行為について「あのような場所ではふさわしくない」と批判した。

山本次長は「園遊会は各界で活躍された方を招いて、ご苦労をねぎらう場所。常識的に判断されるべき問題」と話した。手紙の行方については「こういう状況で渡されたものなので、事務方で預かり、陛下には上げていない」とした。

これまで園遊会の招待者には、写真を近くで撮影しないなどの注意事項を示していた。


2013年10月29日

◆中小企業経営承継円滑化法とは

〜法律コラム〜
川原 俊明


中小企業経営承継円滑化法には、遺留分に関する民法の特例、事業承継時の金融支援措置、事業承継税制の基本的枠組みが規定されています。

今回は、遺留分に関する民法の特例について簡単に解説します。
   
民法では、相続人らの生活の安定や相続人の公平を担保するために、最低限の相続の権利を規定しています。例えば、被相続人に配偶者および子の相続人がいるにもかかわらず、遺言によって不倫相手の女性に全ての財産を遺贈された場合、配偶者や子は不倫相手に最低限の相続分を主張し、金銭の支払いを要求することができます。

これを遺留分減殺請求権といいます。
   
事業承継の場面では、先代は後継者に多くの株式を譲りたいと考えます。しかし、遺言によって後継者に株式を譲り渡しても、他の相続人が遺留分を主張すれば、後継者が多くの支出をすることになり、事業継続が困難になる場合があります。

そこで、中小企業経営承継円滑化法は、この民法の遺留分の規定について、2つの特例を設けました。

1つ目は、一定の株式の価額を遺留分算定の基礎にしない除外合意ができ、2つ目は、遺留分算定の基礎財産に算入すべき価額を予め固定できることになりました。但し、推定相続人全員の合意が必要です。
   
どちらかの合意をして、経済産業省の確認および家庭裁判所の許可を受けることによって、当該合意の効力が発生します。
   
同特例を利用するためには一定の要件があります。
   
スムーズな事業承継をご検討の際は、当事務所にご相談ください。
(弁護士)
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2013年10月12日

◆ヘイトスピーチ(憎悪表現)は違法

川原 俊明


最近、京都朝鮮学園の周辺で在日の人たちの排斥を主張する団体に対し、京都地裁が、学校周辺での街宣活動禁止と1200万円の損害賠償を命じる判決を下した、という報道がありました。

「ヘイトスピーチ」。

聞きなれない言葉という感覚とともに、どこの国の人種差別行動かな、と思っていました。ところがこれが教育水準の高い平和な国日本の出来事だと知って愕然としました。

日本は理想的な平和国家であり平等社会を実現するため、世界に誇れる憲法を掲げています。いくら改憲論議があっても、日本を独裁軍事国家に変えようとする政治家はいません。

グローバル社会に向かう日本は、世界の人々と理解を深め合って平和に暮らしていかなければなりません。人種差別は許されません。

ヘイトスピーチは、表現の自由の域をはるかに越えています。刑法的に見ても、威力業務妨害罪、脅迫罪、侮辱罪など多くの刑罰法規に抵触します。民事的には不法行為として損害賠償 の対象になります。

人は、さまざまな考え方を持っています。それは当然のことです。

しかし法治国家のもとでは、他人を傷つけたり、人格を侵害することは決して許されないのです。

日本人としての崇高な人格を信じています。冷静な対応をお願いしたいと思います。            (弁護士)

2013年10月04日

◆特定商取引法改正のあり方

川原 俊明

 
昨今、自宅に押しかけた事業者に貴金属等を強引に買い取られるといった被害が増えていることを受け、新たに「訪問購入」の規制を盛り込む「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第59号)が平成24年8月22日に公布され、平成25年2月21日に施行されました。

この改正により、従前から規制されている「訪問販売」、「通信販売」等の契約類型と同様に、物品の種類や特徴、購入価格、引渡しの拒絶に関する事項などが記載された書面の交付義務が課されたり、同書面の交付から8日以内であれば、消費者は無条件で契約の申込みの撤回や契約の解除(いわゆる「クーリング・オフ」)が可能となりました。
   
また、業者が買主、消費者が売主となる契約類型であるとの特殊性から、消費者は、クーリング・オフ期間中、物品の引渡しを拒むことができるとの規定が設けられています。さらに、迷惑をかけるような方法等で同期間内に引渡しをさせること等も禁止されました。

訪問購入を行う業者としては、消費者から購入した物品をさらに転売して利益を得る態様が通常であると考えられます。
   
そこで、今後は、クーリング・オフ期間の経過前に業者が第三者に転売をしてしまい、その後、消費者から解除がなされた場合等の処理が法律上問題となり得るでしょう。

訪問購入や訪問販売、通信販売等にお困りの際は、お気軽に当事務所までご相談ください。法律相談はこちらからどうぞ。               (弁護士)
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2013年09月19日

◆新司法試験制度の問題点

川原 俊明


今年の司法試験合格率26.8%。新司法試験発足時、ロースクール卒業後の受験者に対する合格率予測が7割から8割の鳴り物入りで出発しました。

ところが、こんな高い合格率は達成したこともなく、むしろ低下傾向にあります。
 
理想と現実のギャップは余りにもひどいものがあります。これでは優秀な人材が司法界から消えてしまいます。三権分立とされる国の権力機構のなかで、チェック機能を働かせる立場にある司法が弱体するようでは、平和で安全な社会の構築維持できなくなります。

さらに、予備試験制度の途中発足も問題でしょう。問題と言っても新司法試験制度に対する疑問です。

ロースクールに入らなければ司法試験を受けさせない、という制度を作っておきながら、途中から、ロース クールにいかなくても受験させます、というのはすでに入学しているロースクール生に対する欺罔です。

これだけを見てもロースクール制度そのものが崩壊して います。こんなことならば、もともとロースクール制度が不要だったのではないか、と言えなくもありません。

文科省は、「入試の競争倍率が2倍未満」「3年 連続で司法試験合格率が半分未満」などの基準に基づき、18校のロースクールに対する補助金を削減する方針です。

しかし、その前提となる合格率も問題です。

ロースクールには、法学部出身など法律を学んできたものを対象とする既習コースと、本来のロースクール制度趣旨に沿った幅広く多様な人材を法曹に送り込む 未習コースとがあります。試験内容は同じなので合格率は当然既習コース組が高くなります。

ところが、マスコミ発表はこれを合体したかたちで報道しています。その数値が世間のそれぞれのロースクールの評価に繋がってしまいます。

結果はどうなるか。ロースクールは、合格率を上げるために既習コースに多く入学 させ、未習コース入学者を極力抑えようとします。

ロースクールが合格率を高く維持しようとすれば、既習コース生に以前の司法試験予備校と同じ勉強をさせてしまうことになりかねません。ロースクールの合格率も既習コースと未習コースを分けて発表すべきです。

今回合格者数の上位ロースクールの慶応、東大、中央のいずれも既習合格者が圧倒的です。合格者上位校の中でも早稲田は既習と未習をほぼ同じくらいに合格者を出しています。未習合格者だけで見ると圧倒的にトップです。

本来の新司法試験制度に沿ったロース クールは早稲田が一番であり、ロースクールはそうあるべきでしょう。合格率の偏った報道はロースクール制度を歪めます。                         (弁護士)

2013年09月13日

◆消費者をまもる法律

川原 俊明


特定商取引法とは、@訪問販売、A電話勧誘販売、B通信販売、C連鎖販売取引、D特定継続的役務提供、E業務提供誘引販売取引、F訪問購入の取引について規制をする法律です。
   
訪問販売取引を規制する法律が制定(昭和51年)されましたが、その後、消費生活の変化にともない、様々な取引形態について被害を受ける消費者が増加し保護する必要が生じたために、上記A以下の取引について、順次規制するための改正がなされてきました。

特定商取引による消費者被害の救済方法として、もっともよく利用される制度として、「クーリング・オフ制度」(頭を冷やして考える猶予期間を確保するという意味)があります。

これは、本来、契約解除するためには、解除事由が必要なところ、クーリング・オフ制度が適用される取引については、ある一  定の期間については、無条件で申込みの撤回、契約解除ができるというものです。

たとえば、訪問販売などでは、突然、自宅に押しかけてきて、消費者に十分考える余裕なく、一方的に業者のペースで取引がさ  れることが多いので、申込書等の書面を交付されてから8日間は、  無条件で申込みの撤回、契約解除ができます(頭を冷やして考え  る猶予期間を確保する)。
   
もっとも、このクーリング・オフ制度は、B通信販売には、適用がありません。なぜなら、通信販売の場合、訪問販売等と異なり、消費者自らカタログ等を見て十分考えたうえで取引をするので、消費者を保護する必要性が低いからです。

ただ、通信販売には、クーリング・オフ制度と似たものとして、申込みの撤回等の 特約(返品特約)が平成21年に新設され、広告中に返品不可の  表示がなければ、商品が購入者に到達した日から8日間、申込みの撤回ができます。
   
また、訪問購入の取引についての規制は、近年、業者が消費者  の自宅で商品を売るだけでなく、物品を購入しようとする業者が増え、トラブルが多くなったことから、平成24年に追加されたものです。
 
このように、特定商取引法は、消費生活の変化にともなって、  頻繁に改正がなされることから、消費者を守っていく法律家にとって目が離せない法律といえ、今後も注目していかなければなりません。 

訪問販売や通信販売等でお困りの際は、いつでも当事務所まで  ご相談ください。法律相談はこちらからどうぞ。 

http://www.e-bengo.com/mail_it.html

また、9月25日には消費者保護セミナーを開催しますので、内容を詳しくお知りになりたい方は、お気軽にご参加ください。
お申込みはこちらからどうぞ。   
http://www.e-bengo.com/mail_seminar.html
(弁護士)


  

2013年09月10日

◆プレゼンテーション能力の勝利

川原 俊明


東京が2020年夏のオリンピック開催都市に決定しました。日本では深夜の時間帯でしたがIOC国際オリンピック委員会総会での東京のプレゼンテーションの内容は最高でした。

フランス語、英語でのプレゼンテーションながら、アスリートを始め、プレゼンテーター全員が、いままでの日本人らしくない表現豊かで身振り手振りを使ったものでした。

説明内容もスポーツが夢と笑顔、希望と決意を与えてくれる、というIOC委員の心に訴えるものになりました。

オリンピック精神を上手に盛り込んだ演出も見事でした。

高円宮妃久子さまをはじめ、東日本大震災被災地出身の佐藤選手、フェンシングの太田選手、安倍総理、竹田理事長など、プレゼンチームは気持ちが完全に一つにまとまっていました。

私は、マスコミが直近に流した福島での原発汚染水問題や、韓国の日本産水産物輸出禁輸措置などのマイナス要因を完全に打ち消したプレゼンテーションの勝利で、東京決定は間違いないと確信しました。

もちろん、プレゼンテーションはあくまでアピール力の一つにすぎません。しかし、この内容どおり、日本が世界政治に翻弄されることなく、安全で平和なオリンピック開催を実践することが日本に課せられた責務です。

今回の東京オリンピック開催決定により、最近、失われつつある日本の「自信」を取り戻してもらいたい。経済的にも再発展の要因となることを期待しています。

ただし、政治面でも、日本は、自国の主張だけにこだわってはいけません。

まさにオリンピック精神を前面に出し、あらゆる国と平和な社会を築くようにするのが日本の役割だと思います。(了)
                       <弁護士>