2013年09月10日

◆プレゼンテーション能力の勝利

川原 俊明


東京が2020年夏のオリンピック開催都市に決定しました。日本では深夜の時間帯でしたがIOC国際オリンピック委員会総会での東京のプレゼンテーションの内容は最高でした。

フランス語、英語でのプレゼンテーションながら、アスリートを始め、プレゼンテーター全員が、いままでの日本人らしくない表現豊かで身振り手振りを使ったものでした。

説明内容もスポーツが夢と笑顔、希望と決意を与えてくれる、というIOC委員の心に訴えるものになりました。

オリンピック精神を上手に盛り込んだ演出も見事でした。

高円宮妃久子さまをはじめ、東日本大震災被災地出身の佐藤選手、フェンシングの太田選手、安倍総理、竹田理事長など、プレゼンチームは気持ちが完全に一つにまとまっていました。

私は、マスコミが直近に流した福島での原発汚染水問題や、韓国の日本産水産物輸出禁輸措置などのマイナス要因を完全に打ち消したプレゼンテーションの勝利で、東京決定は間違いないと確信しました。

もちろん、プレゼンテーションはあくまでアピール力の一つにすぎません。しかし、この内容どおり、日本が世界政治に翻弄されることなく、安全で平和なオリンピック開催を実践することが日本に課せられた責務です。

今回の東京オリンピック開催決定により、最近、失われつつある日本の「自信」を取り戻してもらいたい。経済的にも再発展の要因となることを期待しています。

ただし、政治面でも、日本は、自国の主張だけにこだわってはいけません。

まさにオリンピック精神を前面に出し、あらゆる国と平和な社会を築くようにするのが日本の役割だと思います。(了)
                       <弁護士>

2013年09月06日

◆子どもに罪はない

川原 俊明


最高裁判所で、婚外子に対する相続割合が、嫡出子の半分とする民法の法律(条文)を違憲・無効とする判断を下しました。

当然のことです。多いに賛成です。生まれてきたすべての子どもに何ら区別も差別もあってはなりません。婚外子に対する相続割合を差別する民法の条項は、戦後の家族制度・一夫一婦の夫婦制度を守る意味合いがありました。

結婚していない男女から生まれた子どもの相続割合を婚姻関係にある親から生まれた嫡出子と比較して半分に差別することにより従来の婚姻制度を守ろうとしてきたのです。婚姻制度を守らないで生まれた子は平等扱いされない、と。

法律は、社会制度を維持するために必要なきまりごとです。しかし、社会はたえず変化しています。一夫一婦の夫婦制度そのものが日本の社会から崩壊しつつあります。

多様な家族のあり方が生まれつつあります。婚外子といえども、子どもの立場からすれば、何ら差別される理由はありません。

結婚していない女性が子どもを産んではいけないのか。結婚していない立場の男女から生まれた子どもがどうして夫婦から生まれた嫡出子と差別されなければならないのか。生まれてきた子どもに何の責任もありません。

法律は、本来、その時々の社会の規範であるべきでした。しかし社会は大きく変化しています。一旦成立した法律も時節に応じた社会の変化に対応できなければ、逆に足かせとなり社会の発展を遅らせる原因となります。

法律改正を迅速に対応することによって法律と現実社会とのギャップを是正すべきです。
しかし、現実の国会運営をみると、法律改正手続は余りにも時間がかかりすぎ、二院制の下で時間的な無駄が多すぎます。その間隙を埋めるのが判例法でしょう。

最高裁判所の判決は、下級審を含め司法判断を支配します。同じ係争案件は、下級審で最高裁判所の判断と結論を異にすると、結局は上告により下級審判断が覆されることになるからです。 

その意味で、今回の最高裁判所による婚外子違憲判断は、民法解釈に大きな影響を与えることになるでしょう。

裁判所の判断において、個々の事例による判断が、異なっては法の平等の精神に違反します。

全国一律に子どもを平等扱いするためには、早急に民法改正が必要です。                   (弁護士)

2013年08月27日

◆藤圭子と私

川原 俊明


「圭子の夢は夜ひらく」。1970年ころ藤圭子が歌っていた大ヒット曲でした。

藤圭子が不慮の死を遂げたという報道がありました。ご冥福をお祈りします。芸能人とは接点が少ない私ですが、藤圭子だけは強烈な思い出があります。藤圭子というよりも、藤圭子にまつわる私自身のなつかしい強烈な思い出でがあります。

当時、私は早稲田の貧乏学生でした。早稲田界隈の下宿屋に、3畳一間の狭い部屋に一か月3,000円(畳一枚1000円)の家賃で住んでいました。

司法 試験受験のため、大学の図書館と下宿を往復する毎日でした。下宿にはテレビもなく部屋のラジオも滅多に聞かない生活でした。なぜなら部屋の間仕切りはベニ ヤ板だったからです。

朝起きてベニヤ板の壁にもたれてお茶を飲んでいると、偶然にも隣の学生も同じ位置にもたれたので、壁がせり上がって驚いたことがあり ます。信じられないことですが、背中の異様な感触を数十年後の今もなつかしく覚えています。

そんな下宿生活だったものですから、ラジオを聞くと隣の部屋に 丸聞こえなので遠慮して聞かなかったのでした。ですから当時の流行歌も知らず、ひたすら勉学の日々を送っていました。

あるとき、仲のいい高校時代の友達が、大阪で就職し、東京出張の機会に私に会いに来てくれたことがありました。「おいしいもの食っていないだろう」と貧乏学生の私を案じて、新宿の繁華街にある寿司屋に連れて行ってくれました。
 
東京在住とはいえ、ほとんど早稲田村から出たことがない私には、新宿の繁華街はむしろもの珍しさが一杯でした。食事を終わって寿司屋を出たとたん、目の前に着物姿の小柄な可愛い女性が立っていました。

大阪の友人は、「藤圭子や」と目を輝かして私に伝えてくれました。しかし、当時の私は、「藤圭子」の名前も顔も知らず、ましてや「圭子の夢は夜ひらく」といったヒット曲も知りません。ただ可愛い子だ、と思って見ていた女性が超有名人だと知った強烈な印象が残っています。

私と藤圭子との接点はただそれだけでしたが、当時は世間知らずの「今浦島」であった私。今回の訃報を伝える新聞記事が、「藤圭子と私」の記憶を蘇らせてくれました。
                       (弁護士)

2013年08月23日

◆猛暑の中で冷静に考えたこと

川原 俊明


8月15日の終戦記念日が過ぎました。閣僚の靖国神社参拝をめぐり、今年もまた例年のように隣国とのトラブルが絶えません。これが続く限り、日本に平穏な終戦は到来しません。

日本の立場を振り返ってみました。

少なくとも日本は、真珠湾攻撃により第二次大戦に突入しました。大東和共栄圏を唱えてアジア地域を囲い込みました。天皇の詔勅により敗戦を迎えました。これだけは歴史的事実です。

国家間の戦争も子ども同士の喧嘩も基本的には同じ側面があります。

紛争の原因一つをとっても互いの立場から異なる見解が生じるのはそれぞれの人間が自己防衛本能を持つ限り当然のことに思えます。人間が神にならない限り、これは永遠の課題でしょう。

しかし、紛争の発生により、紛争当事者は、意識するとしないにかかわらず時には加害者となり、時には被害者の立場に立ってしまいます。

戦争は人間から平常心を奪います。罪もない市民を巻き込みその命を奪います。少なくとも戦争当事者が加害者の立場に立つ場面があることを否定できません。より被害を受けた立場の者が被害意識を強めるのも経験則上当然のこととして受けとめざるを得ません。

問題の平和的解決の方法は互いの立場を理解し合うことです。それぞれがより冷静な対応をして相手の気持ちを冷静に受けとめることです。でないといつまでたっても日本に終戦は来ません。

隣国とのトラブルは日本の国益を害しています。
                           (弁護士)


2013年06月01日

◆改正労働契約法について

川原 俊明


アベノミクスと言っても、まだまだ不況続きの世の中。パートタイム労働者や派遣労働者などの「有期労働契約」で働く人たちにとって、契約期間の満了は、死活問題です。

このような、有期労働契約者がかかえる雇い止めの不安を解消し、安心して働き続けることができるよう、労働契約法が改正されました。

改正の結果、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約に関し、同一使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された時は、労働者が希望すれば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できることになったのです。

無期労働契約転換後の労働条件は、別段の定めがない限り、直前の労働契約と同一です。より具体的な例を挙げて説明します。

10年前から1年ごとのパート契約を締結していた場合を考えてみます。すでに10年以上契約が更新されていたからといって、直ちに無期契約への転換請求はできません。同年4月1日以降の有期契約締結から始めて「5年」がカウントされます。

なぜなら、改正労働契約法の施行日(効力発生日)は、平成25年4月1日なので、それ以降の有期契約に適用されます。施行日以降の1年ごとのパート契約が5回更新され6回目の更新中に「無期転換請求」ができることになります。

もっとも、5年のうちに6か月以上契約がない期間があったり、使用者が同一でなかったりすれば、改正労働契約法の適用はありません。また、無用のトラブルを防ぐため、転換の意思表示は書面等で明確にしておくべきですし、転換後の労働条件等についても具体的な協議をしておく必要があるでしょう。

改正労働契約法は、本来、有期労働者の雇用確保を目的としたものです。しかし、雇用の固定化を嫌う使用者にとっては、無期転換請求が来る前に雇い止めをしてしまうことが考えられます。改正法は、不合理な雇い止めを禁止しています。

したがって、無期労働契約への転換を希望する場合には、当事務所にご相談いただき、適切に対応されることをお勧めします。(弁護士)

◆法律相談はこちらからお気軽にどうぞ。 
 ☆http://www.e-bengo.com/mail_it.html
   
◆また、6月20日には雇用問題セミナーを開催しますので、内容をより詳しくお知りになりたい方はこちらからお申込みください。   
http://www.e-bengo.com/mail_seminar.html

2013年05月17日

◆人格を疑う橋下発言

川原 俊明(弁護士)


「戦時中の慰安婦容認。」「沖縄駐留米軍に風俗店活用を。」、これらの言葉が大阪市長たるものの口から出た発言かと耳を疑いました。まさしく日本の恥です。

いやしくも政治家たるもの、国民あるいは住民を代表する責任ある言動をとるべきです。政治家に愛想が尽きました。

21世紀になり文明もますます進化してきました。日本も男女共同参画社会を唱えるくらい成熟社会に入ってきました。

男性も女性も平等でなければなりません。男女が互いを尊重し合い補い合う社会を実現しなければなりません。これも教育によって、次の世代につなげていく必要があります。

ところが教育の重要性を説き、教育委員会すら切り捨てようとする橋下大阪市長が、女性の人格を無視した言動を平気で公言するのは、人格的にかなりの低レベルだと評価せざるを得ません。橋下発言は、国民や住民に対する背信行為です。

少なくとも次の選挙では、圧倒的多数の女性は橋下市長を支持しないでしょう。常識的な男性もまったく支持しません。

また橋下発言を擁護する石原前都知事、ならびに松井大阪府知事は人間失格です。彼らが率いる政党は、賞味期限切れどころか政治の世界から退場処分が必要です。一日も早く。

私は、大阪府民として、こんな首長しか選択できなかった大阪市民や大阪府民に改めて言いたい。選挙は人気投票ではないのだ、ということを。

橋下発言によって、またしても世界が日本を異様な国として評価されてしまいます。同盟国アメリカからも早速非難が来ています。非難を受けるのは当然です。

今回の橋下発言は、日本人そのものの評価を下げてしまいます。実にばかげた発言です。
結局、損失を被るのは日本国民なのです。

(弁護士法人 川原総合法律事務所   
ホームページ http://www.e-bengo.com )

2013年05月09日

◆ニュアンスの違う「改憲論」

川原 俊明(弁護士)


安倍政権のもとで、自民党支持率の堅調さを背景に改憲論議が意気盛んです。
改憲論者にも様々なニュアンスの違いが見られます。

● 一つの改憲論。
今の憲法は、日本が第二次大戦の敗戦後、占領下のアメリカによって押し付けられた憲法である。自主的な憲法ではない。だから新たに日本の意思に基づいて新たに制定すべきである。占領時の手続的な問題を指摘する感情派の主張です。

しかし、直前まで軍国主義一辺倒の日本が、敗戦と同時に平和主義、国民主権を謳歌する憲法草案など作れるはずがありません。その意味で、今の憲法は、民主主義国家アメリカからの日本に対する素敵なプレゼントでもあります。

憲法前文に謳われた崇高な理想は、むしろ人類の永遠の願いです。こんなすばらしい憲法をいだく日本は世界に胸を張れることができます。

その意味で、基本的には実に良くできた憲法と私は評価しています。
憲法前文を変えたり、なくしたりしてはいけません。

● 二つ目の改憲論
以前から問題になっている自衛権をめぐる憲法9条改正論議です。9条に定めた戦争放棄条項をなくそうというものです。

独立国家である限り、他国からの侵害を防御するのは当然で、自衛権の範囲で武力を保持するという自衛隊合憲論が基調になり、自衛権だけではまどろっこしい、というのが論拠です。

しかし、日本が第二次大戦で莫大な被害を被った歴史を忘れてはいけません。戦争を知らない世代が、映画、テレビゲームの世界だけで伝わってくる戦争というものに対する格好良さで済まされないものがあります。戦争は人格を否定する悪そのものです。

これに手をつけるべきではありません。戦後70年近く日本が平和でいられたのも憲法9条のおかげなのです。
 
● 三つ目の改憲論
96条改正論。改正条項そのものを先に変えてしまおう、とするものです。さまざまな憲法条項を変えるにしても、日本の憲法はとてつもなく手続を困難にしています。衆議院、参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成、さらに国民の過半数の賛成、という二重の制約を課しています。

一つ一つの問題を議論していたら憲法改正はあり得ないことになるので、手続条項そのものを憲法改正しやすくなるように先に変えましょう、という議論。

手続だけなら、というご意見もあるでしょう。しかしこれが一番怖いです。
時の為政者によって国民が振り回される恐ろしい世界が見えてきます。

● そして私の改憲論
私は、やみくもに憲法改正を反対するものではありません。憲法といえども、たかが国の決まり事。永遠に、というのはあり得ません。

しかし、日本の国をどうするのか、この根本的な議論を国民全体で議論しましょう。政治家に頼らないで。そうすれば、何を改正すべきで、何を改正すべきでないか、が国民の共通認識になってくると思います。

私の持論は、二院制の廃止。

すなわち参議院の廃止を求めます。これには憲法改正が必要です。いまの日本は、変化する世界のスピードについて行けていません。参議院制度が元凶の一つです。

同時に、議院内閣制も廃止。大統領制に向かうべき、と。国民主権といいながら選挙権の不平等すら是正しようとしない政治家しか選べない選挙制度、そして政治制度はさっさとやめましょう。

2013年04月30日

◆ハーグ条約と子の引き渡し

川原 俊明(弁護士)


3組に1組が離婚するともいわれる日本の高い離婚率。離婚に伴い、 争点の一つとなるのが、子の処遇です。

特に、離婚を前提として別居 を開始する際などに、一方の親の監護権を侵害する形で子の連れ去り が行われる事案が少なくありません。このような連れ去りが日本国内でなされた場合には、管轄の家庭裁判所に子の監護者の指定や子の引 渡しの審判、調停の申立て等により、子の処遇を定めます。
  

もっとも、この問題は、国内のみに限られません。というのも、グ ローバル化の影響で、国際離婚も増加しているからです。
  

国際的な子の奪取の民事面に関する条約(通称ハーグ条約)は、締 約国間で子(※16歳未満)の不法な連れ去りが行われた場合の、子 の返還手続や、子との面会交流の実現について定めた条約です。
  

ハーグ条約は、現在、アメリカ、全てのEU加盟国、韓国など、世 界中で89か国が締約しています。G8諸国では、日本のみが未締結 の状態です。


4月23日に同条約への加盟を承認する法案が、衆院本会議で 可決されました。今後参院で審議され、5月下旬にも同条約が承認される見通しです。
  

一方の親の監護権を侵害する形での子の連れ去りは、子の福祉を害 するおそれの高い問題行為です。子の福祉が回復されるよう、すみや かに法的措置をとる必要があるといえます。
  

離婚や離婚に伴うお子さまの福祉等についてお悩みの際は、お気軽 に当事務所までご相談ください。

 ☆ 家事事件等についての法律相談は、こちらからどうぞ。
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2013年04月13日

◆法律コラム「子の引き渡し」

川原 俊明(弁護士)



離婚の際にもっとも問題になるのは、子どもの監護をどちらが行うか、です。
  
ともすれば、別居後こちらで子どもをきちんと監護していたのに、ある日突然相手方に連れ去られる、といったことがあります。
  
このような場合に取りうる手段として、家庭裁判所に子どもの引き渡しを求めるというものがあります。
  
子どもの引き渡しが認められるか否かは事案によりますが、それが認められた場合に実効性はあるのかということが問題になります。
  
かつては、家庭裁判所で子の引き渡しが認められても、強制的に相手方から子どもを取り戻すことは困難で、ひたすら相手方を説得するという方法が取られていました。
  
しかし、その方法では実効性がないため、最近では、強制的に子どもを取り返すことが可能になってきました。
  
きちんとした手続を踏めば、例えば、相手方の近所に通っている子どもを保育園から連れ出したり、相手方が拒んでも多少の威力を行使して子どもを取り戻したりすることも可能です。
  
ただし、子どもの年齢が高くなると本人の意思が強くなりますので、強制的に連れて帰ることができなくなります。
  
事案によりますが、だいたい7歳くらいまでなら、強制的に連れ戻すことが可能だと考えられています。
  
もしもあなたの子どもが相手方に連れ去られてしまった場合には、泣き寝入りせずに、まずは、私の法律事務所までご相談ください。

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2013年01月19日

◆家事事件手続法について

川原 俊明 
        


平成25年1月1日より施行される「家事事件手続法」(以下、「新法」という)について、簡単にお話します。


なお、平成25年1月1日以前に申立がなされた事件については、旧法が原則、適用されます。


新法では、家事事件手続きをより利用しやすい制度にする改正が行われました。その中でも、電話会議、テレビ会議の導入については、手続 保障の観点から、その有効利用が期待されます。


電話会議、テレビ会議については、すでに民事訴訟において、採用されています。民事訴訟では、当事者の一方は裁判所に出頭しなければなりませんが、新法では、当事者が誰も裁判所に出頭しなくても、電話会議システムによる手続進行が可能となりました。
  

離婚調停等で、当事者の一方が遠隔地で別居している場合や、相続人 が全国に点在する可能性がある遺産分割などの事件では、利用率が高くなることが期待されています。
  

なお、電話会議システムでは、離婚または離縁の調停を成立させることはできません(法268条3項)。無事に調停成立の場合は、裁判所が 当事者の意向をしっかり確認した上で、事件終了させることになります。
  

新法には他にも改正点があり、家事調停をより利用しやすくなります ので、大阪在住の方はもちろん、地方にお住まいの方で、当事者間で解 決できない遠隔地での離婚調停や遺産分割などをお考えの際は、ぜひ当 事務所までご連絡ください。

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2012年12月12日

◆「むちうち」について

川原 俊明


むち打ちは、交通事故の中では比較的軽い傷害として受け取られているうえに、他覚所見がないことが多いため、被害者救済が充分なされないことがあります。

その上、注意してもらいたいのは、症状が軽いからと言って、被害者が受傷の初期段階で適切な治療を受けなかった場合には、後々、思いもよらず不利な結果を招くことがあります。

すなわち、被害者には、損害を拡大しないように適切に対応する信義則上の義務が課されていますので、被害者が事故後治療を怠り損害を拡大してしまい、加害者がその事実を立証した場合には、過失相殺されてしまうことがあります。

たとえば、被害者が、事故直後に病院にいって医師からなんらかの指示があったにもかかわらず、その指示を無視して治療を続けなかったために治療期間が長引いた場合には、何割か過失相殺され、充分な賠償を受けられません。

もっとも、被害者が、医師から入院を勧められたにもかかわらず、家庭や家業の都合によって通院した事例において、治療期間が多少長引き後遺障害の程度に多少影響があっても、被害者に過失があったとは認められないと判断されています(福岡地裁判決昭和46年1月29日)。

したがって、合理的な理由があれば初期に適切な治療を受けなくても、加害者からきちんと満額の損害賠償を受けることができますが、不用意に医師の指示に従わなかったり、病院に行かなかったりすると、充分な賠償を受けられなくなってしまいます。

交通事故に遭ったら、軽いむち打ちといった症状しか出ていなくても、きちんと病院に行って医師の指示に従いましょう。          (弁護士)

2012年12月01日

◆「相続時精算課税」制度をご存知?

川原 俊明


みなさんは相続時精算課税制度をご存じでしょうか?

贈与税は、暦年課税(毎年1年間の贈与を受けた財産の価額を合計し、そこから基礎控除額110万円を差し引いた金額に税率をかけて計算する方法)され、税率は、課税価格によって10%から50%と定められ>ています。

しかし、相続時精算課税制度を利用すると、2500万円の特別控除 額を超えない限り、何回でも複数年にわたって非課税で贈与をすることができます。しかも、税率は一律20%です。

この制度を利用すると、相続時に贈与を受けた財産を相続財産に加算 して相続税を計算し、贈与時に支払った贈与税を控除して相続税を支払うことになります。

ただ、この制度は生前贈与を行いやすくする制度なので、65歳以上 の親から20歳以上の子に贈与する場合にしか適用できません。

贈与時より相続時の時価が上がる財産があれば、この制度を利用して> 相続税を低く抑えることができるかもしれませんね。

さて相続税です。

被相続人が死亡すると、相続が開始します。

被相続人の遺産を承継した相続人は、相続税を支払わなければなりません。

納税の義務は、国民の三大義務のうちの1つですから、申告期限 (相続開始のあったことを知った日の翌日から10か月以内)や納期限 (原則申告期限と同様)を超過すれば、重加算税が課されるばかりか、 脱税の罪に問われる可能性もあります。

もっとも、相続税は、財産があればその全てについて課税されるわけではありません。

まずは基礎控除によって、課税価格が減額されます。

基礎控除は、「5000万円の定額に、法定相続人1人あたり1000万円を加算した額」です(ただし、平成27年1月1日以降の相続に ついては、3000万円+600万円×法定相続人数に改正予定。)。

例えば、法定相続人が配偶者と子1人であれば、7000万円(50> 00万円+1000万円×2)が控除されます。

また、配偶者は、配偶者に対する相続税の軽減特例により、取得した遺産が法定相続分相当額以下もしくは1億6000万円までであれば、相続税はかかりません。

このような控除は、相続税を最小限に抑えるために、大いに活用すべきといえます。相続が開始した場合には、相続税もお忘れなく、遺産をどのように分けるか話し合いましょう。

当事務所では、弁護士のほか、司法書士も在籍しており、相続に関連する事案を多く取り扱っております。

相続について、お困りのことがあれば、いつでも当事務所までご相談ください。

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                                (弁護士)
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2012年11月06日

◆弁護士バッチを外す若手弁護士

川原 俊明


弁護士バッチは、弁護士の理念たる自由と正義が、ひまわりと天秤(てんびん)の形状で表されています。
 
最近の若手弁護士。このバッチを積極的に胸元につけようとしない風潮があります。大きな金色のバッチなので、目立ちすぎて気恥ずかしいと思うのでしょうか。あるいは、かっこ悪いとさえ思っているのでしょうか。

私はあえて言います。弁護士バッチがかっこ悪いと思うのならば、弁護士をやめてしまえばいい。 弁護士バッチをつけたがらない弁護士は、おそらく、このバッチに表された意味を理解していないのでしょう。あるいは、弁護士業務のなんたるかを理解しないまま、たまたまロースクールを卒業し、新司法試験に合格してしまった、という人種ではないでしょうか。

弁護士たるもの、法律家としてのプロ意識を持つべきでしょう。

私たちは、プロの仕事をして、その成果を依頼者から感謝され、そのうえで報酬という形で対価を得るのです。依頼者の立場から言えば、弁護士がプロの法律家であるという認識があるからこそ事件の依頼をし、着手金を支払っているのです。

たしかに、「弁護士」というのは、あくまで資格であり、バッチそのものではありません。しかし、弁護士は、そのバッチに表された弁護士業務のなんたるかを理解したうえ、責任ある仕事をすべきものです。

私がイソ弁時代、尊敬するボス弁の宮ア乾朗弁護士によく言われました。

「依頼者は、弁護士に対し、全幅の信頼を寄せて事件を託すものだ。弁護士は、そのバッチに恥じない仕事をせよ。弁護士たる資格に恥じない仕事をするためにも、弁護士バッチを必ずつけろ」と。

弁護士として目的意識の薄い、あるいは弁護士業務に自信のない連中が、バッチを外すのでしょうか。私には、その因果関係の程はわかりません。

しかし、最近の弁護士をみていると、プロ意識のない、サラリーマン根性しかない、なさけない弁護士がいることも事実です。 これは、依頼者にとって、大変迷惑な話です。