2012年03月15日

◆交通事故とむち打ち症

川原 俊明



交通事故の被害者が、その後の後遺症に悩まされるケースとして、「むち打ち症」というものがあります。

「むち打ち症」は、頚椎捻挫、頚部挫傷、頚部外傷、外傷性頚部症候群など、様々な傷病名で呼ばれ、いくつかの分類があります。

交通事故との関係では、症状固定時期や後遺障害の有無・等級をめぐって問題になることがあります。

交通事故の後、被害者の方が「むち打ち症」に苦しんでいても、他覚所見がない場合、受傷後6か月を過ぎると、保険会社は症状固定になったとして、治療費の打ち切りを告げてくることがあります。また、等級認定にあたって後遺症として評価されない可能性もあります。

しかし、被害者の方にとっては、「むち打ち症」で苦しんでいる場合、少しでも不安を解消して欲しい、慰謝して欲しいと思うのが当然です。

被害者の方は、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断やスパークリングテスト、ジャクソンテストなどを行っているか確認しましょう。

自覚症状だけでなく客観的側面から、その損害算定の資料収集に努めるとともに、少しでも被害者の不安や苦労が慰謝されるよう、努力することが大切です。
                             (弁護士)


2012年02月23日

◆参議院は廃止すべし

川原 俊明


参議院は、なくした方がいい。

日本国憲法は、2院制を前提とした国会組織を制定しました。第二次世界大戦敗戦後の昭和21年。

旧憲法、すなわち貴族院制度を基軸とした明治憲法制度を背景にして、天皇制維持を前提に、新(現行)日本国憲法が制定されました。占領軍GHQの意向を踏まえながら、民衆代表の衆議院と、貴族院の変型となる良識の府代表の参議院を設け、2院制が堅持されました。ここでは「貴族」の意思とも、民衆代表の衆議院とも異なる「良識の府」が参議院だったのです。 
 
日本国憲法では貴族制度などの身分制度が廃止されました。そのため現代社会に適合するように衆議院とは異る「良識の府」としての参議院が必要だというのでしょう。 しかしながら、現実を直視しましょう。

現代において、参議院は、衆議院と異なった良識の府としての機能を発揮しているでしょうか。現実には、民意の「足かせ」となっているのです。

民主主義社会においては、民意集約による意思形成が必要です。しかしながら、貴族院という特殊身分制度がなくなった現代の社会では、同じ民意を反映するものとして、衆議院と参議院の二つも必要ありません。しかも、その時々の政治情勢のもとで選出される代表を二つ競合させるとすれば、一つの国家意思の形成は至難の業です。
 
要するに、異なる時期に設定された異なった二つの民意の存在は、国家意思決定には不必要です。そんな異なった2種類の民意の調整に要する時間的ロスを考えるべきです。世界は、スピーデイに動いています。ウサギとカメの比較ではありませんが、今は、カメでなくウサキのスピードが必要です。スピーデイな国家意思形成が必要なのです。

今の国際社会を勝ち抜くため、よりスピーデイな国家意思の決定が必要です。日本の2院制によって、日本の国家意思形成が遅れ、世界の動きに日本が立ち後れてしまっているのが現実です。日本の国家意思形成の組織が必要です。
 
参議院を廃止しましょう。世界情勢の中で、日本の立ち後れの原因は明らかに2院制にあります、独裁的な中国共産党がいいとは決して申しません。しかし国家意思形成には即決が必要なのです。日本復活のために一院制をすべきです。

そのために、思い切って憲法改正をしましょう。

2012年02月19日

◆日本人と韓国人の子ども

川原 俊明


日本人と韓国人の夫婦の子どもの国籍は、日本国籍と韓国国籍のどちらになるのでしょうか。
 

まず、日本国籍法によれば、両親のどちらか一方が日本人であれば、子は日本国籍を取得します。また、韓国国籍法によっても、両親のどちらか一方が韓国人であれば、子は韓国国籍を取得します。
 

すなわち、日本人と韓国人の夫婦の子どもは日本国籍と韓国国籍の両方を取得します。いわゆる二重国籍です。
 

では、その子はずっと二重国籍かと言えばそうではありません。
 

まず、日本国籍法によれば、二重国籍者は満22歳までに国籍を選択しなければならず、満22歳までに選択しない者は、法務大臣の催告の上、なお選択しなければ、日本国籍を失うこととされています。
 

また、韓国国籍法によれば、二重国籍者は満22歳までに国籍を選択しなければならず、満22歳までに選択しない者は、法務部長官からの選択命令の上、なお選択しなければ、韓国籍を失うこととされています。
 

以上をまとめると、日本人と韓国人の夫婦の子どもは、当初日韓の二重国籍をもち、満22歳までに日本籍と韓国籍のどちらの国籍を持つかを選択し、その後は選択した国籍を持つということになります。

2012年02月11日

◆日本と韓国の離婚においての違い

川原 俊明


1、裁判離婚における離婚原因について

⑴ 韓国・日本に共通する離婚原因
 @配偶者の不貞行為、A配偶者からの悪意の遺棄、B配偶者の3年以上の生死の不明、Cその他離婚を継続 しがたい重大な事由があるとき

⑵ 韓国法にあって日本法にない離婚原因
 @配偶者またはその直系尊属から甚だしく不当な待遇を受けたとき、A自己の直系尊属が配偶者から甚だしく不当な待遇を受けたとき

「不当な待遇」とは、身体・精神に対する虐待又は名誉に対する侮辱を意味し、「甚だしく」とは、配偶者の一方が夫婦の同居生活の継続に対して苦痛を感じる程度を意味します。

⑶ 日本法にあって韓国法にない規定
 @配偶者が強度の精神病かかり、回復の見込みがないとき
  韓国法と日本法では、離婚原因について⑵、⑶のような違いがあります。

2、離婚請求権について

韓国法では、@不貞行為が離婚原因となった場合は、不貞行為を事後に宥恕したときや、不貞行為の事実を知った日から6か月経過したときや、不貞行為があった日から2年経過したときに、A婚姻を継続することが困難な重大な事由が原因となっている場合は、その事由を知った日から6か月経過したとき、離婚請求権は消滅すると規定されています。

一方、日本法には、このような規定はありませんので、韓国法を準拠法にする場合にはこの点に注意が必要です。

3、子の氏
 日本法では、夫婦の離婚に際して、子の氏を変更する手続きが規定されていますが、韓国法には、そのような規定はありません。また、韓国法では、原則として子の姓・本(父系血統の始祖が現れた場所をいう。)は、父の姓と本に従うとされていますので、離婚により、子の姓と本が変わることはありません。

そこで、子の姓を母の姓に変えたい場合は、例外として認められている子の福利のために姓と本を変更する必要があるときにあたるとして、子の姓と本の変更許可を求める審判を申し立てる必要があります。 

このように、韓国法と日本法にはさまざまな違いがあり、また、本人の国籍や居住地、争いの相手の国籍や居住地によっても準拠法や手続法が異なってきますので、何かわからないことがあれば、弁護士にご相談ください。


2012年01月24日

◆「むちうち」について

川原 俊明


むち打ちは、交通事故の中では比較的軽い傷害として受け取られているうえに、他覚所見がないことが多いため、被害者救済が充分なされないことがあります。

その上、注意してもらいたいのは、症状が軽いからと言って、被害者が受傷の初期段階で適切な治療を受けなかった場合には、後々、思いもよらず不利な結果を招くことがあります。

すなわち、被害者には、損害を拡大しないように適切に対応する信義則上の義務が課されていますので、被害者が事故後治療を怠り損害を拡大してしまい、加害者がその事実を立証した場合には、過失相殺されてしまうことがあります。

たとえば、被害者が、事故直後に病院にいって医師からなんらかの指示があったにもかかわらず、その指示を無視して治療を続けなかったために治療期間が長引いた場合には、何割か過失相殺され、充分な賠償を受けられません。

もっとも、被害者が、医師から入院を勧められたにもかかわらず、家庭や家業の都合によって通院した事例において、治療期間が多少長引き後遺障害の程度に多少影響があっても、被害者に過失があったとは認められないと判断されています(福岡地裁判決昭和46年1月29日)。

したがって、合理的な理由があれば初期に適切な治療を受けなくても、加害者からきちんと満額の損害賠償を受けることができますが、不用意に医師の指示に従わなかったり、病院に行かなかったりすると、充分な賠償を受けられなくなってしまいます。

交通事故に遭ったら、軽いむち打ちといった症状しか出ていなくても、きちんと病院に行って医師の指示に従いましょう。          
(弁護士)

2012年01月18日

◆JR福知山線脱線事故は無罪か

川原 俊明


早くも7年が経過しました。JR福知山線の尼崎駅近くで、カーブを曲がりきれず脱線し、107人の犠牲者を出しました。何両もの車両が無残な姿をさらけ出していました。当時、テレビがその悲惨な事故現場を何度も繰り返し放映していました。私の脳裏には、その映像が未だに焼き付いています。

これだけの犠牲がありながら、事故当時の社長には、刑事責任を負わせられないのか。

1月11日、神戸地方裁判所は、当時、事故発生の具体的危険性を認識していなかった、という理由で、前社長に無罪判決を言い渡しました。裁判所の無罪判決を聞いた多くの遺族の方々の怒り心頭を想像することができます。納得できない、という多くの声が聞こえてきます。

では、法律家として、この結論をどう見ればいいのでしょうか。

たしかに、運転時間の遅れを取り戻すため超過スピードで運転していた運転手に過失はあったと考えられます。ただ、これをJR全体の組織として、どこまでの範囲で刑事責任が問われるべきか。この観点からは、別の要因を検討する必要があります。

損失補填が目的の民事事件と異なり、刑事事件では、処罰に値する犯罪行為としての過失行為があったのか、という観点から、犯罪の成否が判断されるからです。

要するに、社長たる経営者の立場において、その当時、具体的危険性を認識すべき状況におかれていたか。残念ながら、私が裁判官なら、今の刑事法のもとでは、有罪判定は困難、と結論づけるでしょう。

遺族の方々の怒りを実現するならば、いまの刑事法の改正が必要です。

現行法は個人の犯罪を処罰する刑事法の建前を取っています。重大犯罪に関しては、法人に対しても罰金等の刑事処罰規定を設ける必要があります。

さらには、民事法においても、不法行為という損害賠償事案では法改正が必要かも知れません。
現行民法では、被害を受けた者が、損害発生のみならす、加害者の行為に違法性がある、ということまで立証する必要があるのです。

でも、多くの損害賠償事件では、自分の損害は立証容易でも、相手の行為が違法である、と主張し立証するために、高いハードルにぶち当たってしまうのです。

そこで、今回のような社会的問題となる一定の賠償事案では、立証責任の転換をおこない、加害者側に落ち度(過失)のないことを立証させるようにすると、多くの被害者の被害回復が容易になります。

法律は、弱者救済の場面に効果を発揮されなければなりません。司法が、社会から「判決」への信頼を得るためには、多くの法律の見直しが必要でしょう。
<弁護士>

2012年01月08日

◆変革の時代に

川原 俊明


新年あけましておめでとうございます。

昨年の東日本大震災は、未曾有の被害をもたらしました。私は、多くの人命が失われる中で、自分の人生を見直す契機となりました。

津波にさらわれる直前まで、懸命に築き上げてこられた数十年の人生の営みが一瞬にして失われることを自覚させられました。それならば、せっかく受けた生を思い切り充実させ、一日一日を大切にし、目標に向かってさらに頑張ろうと。

同時に、東日本大震災は、日本の一つの節目とみるべきだと思います。

戦後67年。アメリカをお手本にして成長を続けてきた日本の経済社会構造。これも完全に金属疲労を起こしています。年金問題、雇用問題、教育問題。

肝心のお手本があらゆる面で歪みを来しているのですから、日本人は、もう一度、自分の頭で未来図を描く必要があります。

逆に言えば、社会構造そのものの見直しが必要でしょう。リセットが求められています。

年金問題一つを取ってみても、今の賦課方式にたよっている制度は、完全に制度破綻。もうやめましょう。若者がかわいそうです。若者に未来を与えるべきです。

そのためにも、直ちに各世代、各年代ごとの積み立て方式に発想の転換を図るべきです。赤字国債を刷りまくっていても、その場しのぎにすぎません。日本国の破産を早めるだけです。

戦後の教育システムも間違っています。

運動会で一生懸命に走っても一等賞を与えないようでは、リーダーを生み出せません。今のリーダー不在の日本の低迷政治は、戦後教育の典型的な失敗例です。

人気投票に堕落した選挙に踊らされず、自分たちで新しい社会の仕組みを変える方策を真剣に考えましょう。

私は、今年、「改革」をキーワードに思い切った行動をしたいと思います。

2011年12月30日

◆ラジオ関西に生出演

川原 俊明


ラジオ関西の「寺谷一紀のまいど!まいど!」の放送に生出演しました。12月24日クリスマスイブのAM8:00〜AM10:00の2時間でした。

私が、弁護士を務めながら、一方で学校法人追手門学院の理事長を兼務しているという、特異な対応の特異性を取り上げたいというのが出演の依頼でした。
 
ラジオ関西のスタジオはJR神戸駅近くです。早朝からの生出演ですから、もし遅刻でもしたらご迷惑をかけすることになると考え、前日からスタジオ近くのホテルで泊まり込み、生出演に向かうことにしました。

前の夜、JR学研都市線に乗り、尼崎駅で神戸行きの電車に乗り換えるべきところを、案の上、車内熟睡して乗り換えを忘れて仕舞い、気がついたら終点の宝塚駅に行っていました。あわてて、尼崎駅に引き返し、再び神戸行きの電車に飛び乗る始末。

当日の生放送にこのハプニングが起きず、前夜から下準備は成功でした。

さて、スタジオに入ると、おなじみの寺谷一紀さんがいました。元NHKアナウンサーで、今は「浪速のアナウンサー」。BGMのクリスマスソングが流れる中で、マイクに向かって寺谷アナウンサーの流ちょうなお話しが飛び込んできました。アシスタントは、ヒットミンこと藤田瞳アナウンサー(元ミス京都)。

私は、弁護士の立場で、まず東日本大震災発生後、厚生労働省が災害救助法を弾力解釈して全国の都道府県に被災三県の救済を呼びかけた「通達」を問題にして意見を述べました。

都道府県が出費した支援費請求の宛先を被災三県とする内容は、被災地の心情を無視したお役所感覚を指摘したのです。がれきの山に包まれ、役所が機能していない被災現場で、なにも被災三県を請求の宛先にしなくていいはずです。むしろ、最初から国が受け皿となるべきだ、と主張したのです。

勿論放送では、弁護士が学校法人追手門学院の理事長であることのメリットも尋ねられました。

私は、全国の大学の多くが、「象牙の塔」イメージの旧態依然たる組織であることを批判しました。大学に社会の風を吹き込むべきだ。古い大学は解体すべきだと。その解体作業に法的な力が必要だ。その意味で、法律家の介在は、大学の変革に大きな力を発揮できる。そんな見解を披露したのです。

これだけではありません。聴き役のアナウンサーがクリスマスイブに関する「面白い質問」も投げかけてきました。「サンタさんは住居侵入罪に該当しないのか」という問い掛けです。

私は、「ウエルカム」ゆえに違法性なし、と即、答えました。

ラジオの生放送は初めての経験でしたが、楽しくて、2時間もあっという間に過ぎました。

2011年12月10日

◆増えるPTSDの損害賠償訴訟

川原 俊明


近時、交通事故や事件の被害者が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負ったとして、その損害の賠償を求める訴訟が増加しています。

訴訟において、被害者はPTSDとの診断書を出すことになりますが、裁判所はそれをそのままPTSDと認定しないことがあります。

その理由の1つとして、訴訟では、事実の有無が厳格に判断されるのに対し、臨床においては、治療の観点から、事実の真偽を追求せずに患者の主観的訴えを支持しているという点が指摘されています。

京都地裁平成15年12月18日判決では、「精神医学的な、あるいは臨床の現場におけるPTSDの概念及び判断基準(例えば、ICD−10やDSM−W)を満たしているか否かという観点のみで、精神的打撃の大きさを測ることが適切かというと、必ずしもそうとはいえない。

PTSDの判断基準を満たさないからといって直ちに何ら精神疾患に罹患していないということにもならない。」としたうえ、「損害の算定に当たっては、原告の症状がいかなるものであり、どのような精神的打撃を被ったかという事実を端的に考察することに重点を置くのが相当である」としています。
 
PTSDに該当しない場合でも、外傷性神経症として損害賠償を認められる場合もありますので、結局、被害者の精神状態、持続期間、発症原因(他原因の可能性)など、損害賠償請求の原則的な判断基準を意識することが肝要です。


2011年12月02日

◆高次脳機能障害と介護費用

川原 俊明


通常の障害の場合、症状固定後に介護費用が出るケースは、後遺障害等級第3級以下であると認められないケースもあります。

交通事故によって、脳に障害を負ったケースで、幸いにも意識を回復し、リハビリで、一定の日常生活が出来るようになったケースで、「高次脳機能障害」が残るものがあります。

その場合にいつも問題となるのが、将来の介護費用です。

日常生活はある程度自分で出来るが、高次脳機能障害が残ったケースというのは、生命の維持に最低限必要な所作は自分でできるけど、火を消し忘れたり、刃物に対して注意を払わなかったり、突然異常行動を起こしてしまうなど、近親者にとっては一人にしておくことが心配になるというケースも多くあります。

その場合の介護の形態は、いわゆる肉体的な介添えではなく、看視、声かけの程度にとどまり、そのような形態が、果たして介護といえるのかという議論があります。

最近は、「高次脳機能障害」に対する理解が高まり、必要な介護費用の全額は認められなくても、一定の割合で将来の介護費用について裁判で認められることもありますが、全額が保障されるケースはまだまだ多くないと思います。

しかし、高次脳機能障害の患者さんは、一定程度自分で行動が出来るために行動範囲も広く、現実に看視、声かけなどをするといっても、自宅で全身介護をする以上の負担がかかることもあります。

そのため、障害の程度が全身介護が必要な人よりも軽く、自分である程度行動が出来るからといって、必ずしも介護の費用及び負担が、全身介護の人よりも安い(軽い)とは限らず、家族の負担、不安は図り知れないことを、もっと広く理解される必要があるのだと思います。

2011年11月20日

◆児童福祉法の改正

川原 俊明


「児童福祉法」が一部改正され、平成24年4月から施行される見通しです。

親権を持つ親は、子を監護教育し、懲戒し、その居所を指定することができます。

そのため、児童虐待の現場で、児童相談所が子どもを一時的に親から引き離そうとしても、親がその親権を根拠に無理やり連れ帰ってしまうケースがありました。

こうした現行の親権制度の問題点を改善し、子ども達を親の虐待から守るために、今回の改正がなされたのです。

具体的には、虐待された児童が入所する児童養護施設などの施設長の権限について強化されることとなりました。

従来は「必要な措置をとれる」という規定しかなかったものが、施設長が子どもの福祉のために必要な措置をとる場合に「親が不当に妨げてはならない」と明記されました。

更に、子の生命や安全を守る緊急時には、「親の意に反しても必要な対応」がとれるようになりました。

児童相談所の所長についても、同様の権限が与えられています。

2011年11月17日

◆なぜ?の論理が通用しない弁護士

川原 俊明

  
サラ金業者に対する過払金返還請求案件が、まだに、続いているようです。それ自体、悪徳サラ金業者に対する社会悪の追求という観点であれば、私も、諸手を挙げて賛意を表します。

でも、いまの若手弁護士、司法書士諸君。ほんとに、社会悪の追求に自分の命を賭けているのでしょうか。

サラ金に対する過払訴訟の実態は、パソコンで利息計算の見直しをするだけで、過払金額が出てくるだけの話です。こんなことを大々的にテレビコマーシャルしたり、街頭看板で宣伝する弁護士・司法書士。

彼らは、債務者の借金返済に対する苦労を理解しようとせず、単に、金儲けの手段としてしか考えていないのではないでしょうか。

これは、サラ金業者からの借金に、一生懸命、高利を返済し続けてきた人に対する冒涜です。弁護士・司法書士も、ほんとに困った人の救済の積もりなら、無茶な報酬を取るな、と言いたい。

私たちのように、何十年も弁護士業務に携わってきた者にとって、弁護士のなすべき目標は決まっていました。

世の中を変える。社会をよくする。このために私たちは弁護士の道を選択したのです。錯綜した一つの案件の中から、ゴミみたいに見える一つの事象をとらえて真実を見い出し、事件の解決につなげるのが弁護士の仕事なのです。

“なぜ?”を追求し、真実の解明につなげるのが弁護士の仕事です。弁護士は、なぜ?の判断をもって、紛争解決のため実現を追求します。

過払訴訟の場面で、一体、どこに本来の弁護士の仕事がある、と思っているのでしょうか。

過払訴訟の目先の高額報酬の確保。これが弁護士の本来の仕事だと思ってもらいたくない。
このことを若手弁護士・司法書士に伝えたいのです。


2011年11月11日

◆逸失利益について

川原 俊明


弁護士:今日は、交通事故の損害賠償請求訴訟で争点の一つとなる「逸失利益」について、お話したいと思います。

Aさん:逸失利益って何ですか?

弁護士:例えば、交通事故で不幸にも被害者が亡くなったとします。そうすると、その被害者が事故に遭わなければ得られたはずの収入が得られなくなってしまいますね。その本来得られたであろう利益、が逸失利益です。

Aさん:被害者が亡くなった場合にのみ問題になるのですか?

弁護士:いいえ。後遺症が残ってしまった被害者に対しても、その後遺症の程度に応じて逸失利益が算定されるのです。

Aさん:具体的には、どうやって算定されるのですか?

弁護士:「基礎収入から被害者本人の生活費として一定割合を控除し、これを就労可能年数に応じたライプニッツ係数を乗じて算定する」ことになります。

Aさん:・・・?

弁護士:いろいろ専門的な単語も出てきているのですが、要は、被害者の年収から生活費に使う分を引く。その額を就労可能な年齢分足す。そして、将来に渡って少しずつもらえるはずの収入を、今一括してもらえるわけですから、その分の利益を引くという計算になります。

Aさん:なるほど。でも、今の話は、被害者に収入のあることが前提になっていますよね。例えば、被害者が専業主婦の場合は、逸失利益は0になってしまうのですか?

弁護士:いいえ。そういうときのために、職種別・年齢別の賃金に関する統計、すなわち「賃金センサス」が参考になります。インターネットでもみることができますよ。これをみれば、自分と同じ年齢、性別、学歴の人の平均収入を知ることができます。そして、これを専業主婦の年収と仮定するわけです。

Aさん:子供の場合はどうなるのですか。

弁護士:裁判所では、賃金センサスの女性労働者の平均賃金を基礎収入とすることが多いようです。でも、今は、女の子でも大学進学率や就職率が高くなっていますね。そのため、全労働者の平均賃金を用いるべきだとの裁判例も増えつつあるようです。

Aさん:無職の人の逸失利益も同じように判断するのですか

弁護士:無職であっても、年齢や職歴、勤労能力、勤労意欲をみれば、就職していてもおかしくない、という人もいますよね。そういう場合は、逸失利益が認められることもあります。その場合の基礎収入は、年齢や失業前の実収入額などを参照して、個別に判断されることになります。

Aさん:私は、仕事もしていて、家に帰れば主婦として家事もしています。基礎収入は、給与所得分と家事労働分の合計額になるんですよね!

弁護士:残念ながら必ずしもそうではありません。一般論をいえば、実収入が賃金センサスの学歴計・女性全年齢平均賃金を上回っているときは実収入額により、下回っているときは専業主婦の取扱いと同様になります。

Aさん:なんだか不公平な感じがしますね・・・。

弁護士:逸失利益は、言ってしまえば「事故に遭わなければ得られた」という仮定のうえで語られるフィクションに過ぎません。それでもできるだけ実体に合った評価がなされるよう、弁護士も裁判所も日々努力しているところです。