2011年10月12日

◆馬鹿げた被災地支援費請求

川原 俊明

東日本大震災は、福島、宮城、岩手など東北地方に莫大な被害をもたらしました。震災から半年経った今も、がれきが積まれている東北三県の復興未来図は未だに描かれていません。

政府の無策には、怒りを覚えます。ところが、これに輪をかけたばかげた事態が今起こっているのです。

福島、宮城、岩手の被災地を支援した全国自治体の救援活動には拍手喝采でした。ところが、この救援活動によって生じた経費について、全国の自治体から、被災3県に請求書が回されようとしています。

被災地への義援金は、日本国民をはじめ世界の人々からの善意の結集です。被災地に対する全国各自治体の支援活動も、それぞれの地域住民の善意の支援だったはずです。

しかるに、救援活動費が請求されるとなれば、被災地の自治体にとっては、第二次災害ともいうべき事態です。

日本国民は、そんなに冷たい民族だったのでしょうか。私は怒りを抑えきれません。

ましてや、厚生労働省が、災害救済法に基づく被災地自治体への請求権の存在を理由に救助要請していた、というのです。これは、血も涙もない官僚の発想に、各自治体の政治家が乗っかった、という構図でしょうか。

全国自治体からの被災自治体への支援費請求は、直ちに撤回されるべきです。

仮に、救助した自治体が費用負担に支障を来すなら、当然のことながら国庫負担として解決すべきものです。

今回の被害は、東北三県だけの問題ではありません。日本全体の莫大な損害なのですから。

2011年10月08日

◆子供はすべて平等であるべき

川原 俊明

この世に生を授かった子ども達。

生まれてきた子どもたちは、すべて平等の人生のスタートラインに立たなくてはなりません。

もちろん、それぞれの子どものその後の努力により、才覚を伸ばした人材はこれを尊重する必要があります。

人が、出生後の努力・運命により差違が出るのは、人間社会ではあたりまえのことです。

私は、そのこと自体を非難するものではありません。

自分の出生にあたり結婚している両親の子(嫡出子 ちゃくしゅつし)か、そうでない子ども(非嫡出子 ひちゃくしゅつし)かは、この世に出生した子どもにとって、自分で選択できる場面はありません。 

明治時代からの一夫一婦制度を堅持すべきだとする世論のもとで、婚外子(こんがいし ひちゃくしゅつし)には、一夫一婦制度の破壊とすう見解のもとで、民法は、相続場面で婚外子に対し差異・不平等を設けました。

当時の社会情勢をもとにした立法としては、理解できます。しかし、現代の平等社会のもとでは、そのまま通用すべきではありません。

最近、大阪高等裁判所で判決が出ました。

婚外子の相続差別(相続分に2分の1の差があります 民法900条)は憲法違反だと。

嫡出子に対し、非嫡出子は、その半分しか相続できない、という民法制度は、もはや法律としての用をなさなくなりました。

子どもは、みんな平等のスタートをさせるべきです。そして、努力し、頑張る人にご褒美を上げるのは、当然ではないでしょうか。

2011年10月04日

◆逸失利益って何?

川原 俊明

弁護士:今日は、交通事故の損害賠償請求訴訟で争点の一つとなる「逸失利益」について、お話したいと思います。

 
Aさん:逸失利益って何ですか?

 
弁護士:例えば、交通事故で不幸にも被害者が亡くなったとします。そうすると、その被害者が事故に遭わなければ得られたはずの収入が得られなくなってしまいますね。その本来得られたであろう利益、が逸失利益です。

 
Aさん:被害者が亡くなった場合にのみ問題になるのですか?

 
弁護士:いいえ。後遺症が残ってしまった被害者に対しても、その後遺症の程度に応じて逸失利益が算定されるのです。

 

Aさん:具体的には、どうやって算定されるのですか?
 
 

弁護士:「基礎収入から被害者本人の生活費として一定割合を控除し、これを就労可能年数に応じたライプニッツ係数を乗じて算定する」ことになります。
 
 

Aさん:・・・?
 
 

弁護士:いろいろ専門的な単語も出てきているのですが、要は、被害者の年収から生活費に使う分を引く。その額を就労可能な年齢分足す。そして、将来に渡って少しずつもらえるはずの収入を、今一括してもらえるわけですから、その分の利益を引くという計算になります。
 
 

Aさん:なるほど。でも、今の話は、被害者に収入のあることが前提になっていますよね。例えば、被害者が専業主婦の場合は、逸失利益は0になってしまうのですか?
 
 

弁護士:いいえ。そういうときのために、職種別・年齢別の賃金に関する統計、すなわち「賃金センサス」が参考になります。インターネットでもみることができますよ。これをみれば、自分と同じ年齢、性別、学歴の人の平均収入を知ることができます。そして、これを専業主婦の年収と仮定するわけです。
 
 

Aさん:子供の場合はどうなるのですか。
 
 



弁護士:裁判所では、賃金センサスの女性労働者の平均賃金を基礎収入とすることが多いようです。でも、今は、女の子でも大学進学率や就職率が高くなっていますね。そのため、全労働者の平均賃金を用いるべきだとの裁判例も増えつつあるようです。
 
 

Aさん:無職の人の逸失利益も同じように判断するのですか?
 
 

弁護士:無職であっても、年齢や職歴、勤労能力、勤労意欲をみれば、就職していてもおかしくない、という人もいますよね。そういう場合は、逸失利益が認められることもあります。その場合の基礎収入は、年齢や失業前の実収入額などを参照して、個別に判断されることになります。
 
 

Aさん:私は、仕事もしていて、家に帰れば主婦として家事もしています。基礎収入は、給与所得分と家事労働分の合計額になるんですよね!
 
 

弁護士:残念ながら必ずしもそうではありません。一般論をいえば、実収入が賃金センサスの学歴計・女性全年齢平均賃金を上回っているときは実収入額により、下回っている
ときは専業主婦の取扱いと同様になります。

 

Aさん:なんだか不公平な感じがしますね・・・。


 弁護士:逸失利益は、言ってしまえば「事故に遭わなければ得られた」という仮定のうえで語られるフィクションに過ぎません。それでもできるだけ実体に合った評価がなされるよう、弁護士も裁判所も日々努力しているところです。


  

2011年10月02日

◆交通事故で健康保険の使い方

川原 俊明

交通事故によって生じた傷害の治療を受ける際、病院は「交通事故は健康保険の適用外です」と言ってくることがしばしばあります。

もちろん、加害者が全部の損害を弁償してくれるのであれば、健康保険を使わなくても問題ありません。

しかし、相手方の保険会社から治療費の支払いを拒まれているときなどは、健康保険が使えるか否かは死活問題です。

病院側としては、保険診療(健康保険を適用した場合の診療)よりも、自由診療(健康保険を適用しない場合の診療)の方が、利益が多いので、健康保険適用を回避するため、「交通事故は健康保険の適用外です」と言ってくるのです。

しかし、保険診療機関(健康保険が使用できる病院等)においては、健康保険適用の申し出があれば、病院がこれを拒むことは法律上できません。 すなわち、交通事故においても健康保険を使うことはできます。

ただし、交通事故において健康保険を使うためには、被害者が1つしなければならない手続きがあります。 それは、「第三者行為による傷病届」を保険機関(市町村、健康保険組合等)に提出することです。

健康保険は治療費の7割を保険機関が病院に支払いますが、実はこれ、立替払いなのです。

すなわち、本来治療費は、加害者が過失の割合に従って払うべきものですから、これを保険機関が支払えば、その分、後で加害者からもらいますよ、というものです(健康保険法57条)。

これを、保険機関から加害者へ「求償」すると言います。そして、「第三者行為による傷病届」とは、被害者が、この「求償」をしていいですよと、了解するものなのです。

 以上のことを理解したうえで、必要であれば、病院に対し保険診療をきちんと求めていきましょう。

2011年09月30日

◆自賠責保険請求権の消滅時効期間2年から3年に

川原 俊明

旧商法に定められていた保険に関する法律が、商法から「保険法」として独立して制定され、平成22年4月1日から施行されました。それに伴い、交通事故の際の自賠責保険の請求権について、2年の消滅時効の期間が設けられていたものについて、事故日が保険法の施行日以後に発生したものについては、3年に変更となりました。

従来、自動車損害賠償保障法第19条において、被害者請求(同法16条1項)や仮渡金請求(17条1項)などの規定による請求権は、2年を経過したときは、時効によって消滅すると定められていました。

他方で、いわゆる自賠責保険金の請求ではなく、加害者らに対して、直接損害賠償請求の裁判をする場合の時効期間は、民法724条で、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年で時効消滅するもの(但し、事故時から20年経過によって消滅する除斥期間という制度もあります。)と定められています。

そのため、私達弁護士も、交通事故の損害賠償の依頼を受けたときには、被害者の代理人として自賠責保険の保険金請求をする場合には、2年で時効にかかるのに対し、加害者らを被告として、裁判所に直接損害賠償請求訴訟をする場合には、その請求権の時効期間は3年と、時効期間が異なるために注意が必要でした。

しかし、今回、保険法の改正に伴い、自賠責保険金の請求権の根拠となる自動車損害賠償保障法も一部改正され、従来2年と定められていた時効消滅期間について、3年へ改められたため、損害賠償請求訴訟をする場合と時効期間を統一的に考えることが可能になりました(保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の第15条参照)。

但し、交通事故の日が保険法の施行日(平成22年4月1日)より前の場合には、従前のとおり時効期間は2年のままですので、注意が必要です。
(保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の第16条第1項参照)。


2011年09月07日

◆課税と属地主義

川原 俊明


日本の税制は、古くは律令制のもとでの租庸調に始まり、明治時代の地租改正によって近代的な税制が整えられました。しかし、いつの時代でも、民にとって、税金は重い負担であります。税負担を免れようとする人々と、厳しい税徴収を行おうとする当局とが、知恵比べをしてきました。

さて、現代の日本の税制は、原則として、属地主義という建前が取られています。これは、課税基準時において日本国内に「住所」を有する者に課税するという考え方です。 この属地主義のもとで税負担を免れようとすれば、国内に「住所」がない状態にすればよいと考えるでしょう。

例えば、竹中平蔵氏は、住民税が「1月1日」に住民票の住所地で課税されること(地方税法24条1項1号、2項、39条、294条1項1号、2項)に着目し、「1月1日」の前後を挟み、アメリカへの転出届を出しすぐ日本への転入届を出すという手法で、住民税の負担を免れました。

これは、2002年に雑誌「フライデー」で脱税疑惑と報道されため、竹中氏が名誉毀損されたと提訴し、竹中氏が勝訴しています。

最近では今年2月に、武富士の元会長の長男が、元会長夫妻からの株贈与をめぐり、贈与税など1330億円の追徴課税処分の取消しを訴えた事案で、最高裁が処分取消を認める判決を出しました。

この事案では、長男の「住所」(相続税法1条の2第1号〔H15年改正前〕)が国内か香港のいずれにあるかが争われました。

最高裁は、「住所」の判断は、客観的に生活の本拠たる実態を具備しているか否かにより決すべきものとした上で、長男の生活の本拠が香港にあると認定し、主観的に贈与税回避の目的があったとしても、客観的な生活の実態が消滅するものではないとしています。

これは、相続税法上の「住所」概念は、民法上の「住所」概念(民法22条)の借用概念であることからの帰結とされています。

 なお、長男はもちろん香港への転出届を出しています。 納得できない点もありますが、憲法84条で租税法律主義(法律なくして課税なし)が取られている以上、立法的に解決されるのを待つしかないでしょう(武富士の件は、平成12年法律第13号により立法措置がとられました)。 ちなみに、アメリカのように住民票のない国も多く、IDカードなどで身分を証明する仕組みとなっています。

 日本では、海外転出届を市区町村の住民登録窓口に出せば、住民票がなくなります。 ただし、住民票を移すと選挙人名簿に登録されないなどの不利益もあります。

 もっとも、節税か脱税かの違いは微妙です。税金のことは、税理士だけでなく、弁護士にもご相談下さい。

2011年07月28日

◆大阪府民は、お笑いと政治を区分すべき

川原 俊明

大阪府民は、吉本喜劇、松竹新喜劇などが代表するように、日常的にお笑い文化にどっぷりと浸かっています。私も大阪文化が大好きで、オヤジギャクも連発します。

でもそれは、歴史的に見れば、江戸文化に対抗する浪花文化が背景にあります。お上に対する反抗精神をお笑いで表現するところに、その神髄がくみ取れます。だけど、大阪府民は、選挙など、社会の方向づけを示すべき場面においては、お笑いでごまかしてはいけません。

将来を考え、冷静な判断が必要です。
かつて、横山ノックが大阪府知事に当選しました。その後、彼は、破廉恥罪を契機に引退しましたが・・。おそらく、大阪以外の県民は、大阪府民の選挙感覚を異様に思っているのではないでしょうか。大阪のリーダーは、お笑いの人気者か、と。

しかし政治の選択は、人気投票であってはならないのです。

いま、現代の寵児ともてはやされているかのような橋下徹大阪府知事。彼も、たかが人気テレビタレントにすぎません。彼の人気は。あるテレビ番組で、行列のできる法律相談所のメンバーとして人気を博していた、というだけではないでしょうか。

彼が、知事就任後、府民の生活改善に役に立つ事業がどれほどなされた、というのでしょうか。

WTCの大阪府庁移転論議などは、その最たるものです。府庁移転問題は、東日本大震災を契機に、当然のことながら見直しを求められています。軟らかい埋め立て地盤の上での高層ビルが、大阪の防災拠点になりようがありません。

これも、大阪の将来構想を描いた上での移転論議でなく、彼の一時的な発想での問題提起にすぎません。

いまの大阪府知事は、結局、大阪府民の生活向上に、なんら役に立っていません。知事として、中途半端な役割のまま、今度は、大阪府知事の座を捨て、大阪市長選に出馬しようとしています。

橋下府政の、大阪府改革路線は、一体何だったのでしょうか。何の問題解決もしないまま、大阪府知事職を放棄するのは、無責任といわれても仕方がないと思います。(終)



2011年07月19日

◆なでしこジャパンに乾杯

川原 俊明

サッカーの女子ワールドカップで、日本女子チーム(なでしこジャパン)が初優勝しました。対戦相手は、世界ランクbPのアメリカでした。それも、延長戦後のPK戦で決着をつけ、日本女子チームを優勝に導いたのでした。

日本女性の社会進出。これはすばらしいことです。

基本的に、人類の半数は女性で占められています。にもかかわらず、いままでの人類の歴史を振り返ってみると、余りにも男の都合だけで世の中を動かしていました。

そのあげく、だらしない男性政治家たちが、日本の進路も決められないでいるのが現状です。
そろそろ思い切って、女性の総理大臣を育てていきましょう。

世界の趨勢は、男女平等・男女雇用均等・男女共同参画にあります。日本でも、国際連合で採択された女性差別撤廃条約を批准し、上記各名称の法律が制定されています。

ただ、男女共同参画という意識の広がりが弱いために、実現が遅れているのが現状です。政治が国民を積極的に指導しない。教育機関の意識が薄い。この結果、日本の立ち後れが目立っているのです。

1999年に制定された男女共同参画社会基本法
【前文】
<我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。

一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。

このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。

ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する>。
 
この法律のすばらしい精神を一日でも早く実現しましょう。

評論家は、少子高齢化による日本経済の凋落傾向を最もらしく唱えています。しかし、私はそうは思いません。

若くて元気な女性陣、パートに甘んじている女性陣。彼女たちを、もっともっと社会の中核に組み入れれば、日本経済社会の立て直しは、十分できるはずです。

                  弁護士法人 川原総合法律事務所   

2011年06月18日

◆被災者受領の義捐金は「収入」か

川原 俊明

何とも残酷な国であるか。 税金の無駄遣いばかりしている政治家や役人。

一方では、もともとの困窮者が、津波被害でどん底に陥っていってしまった場面をとらえて、生活保護給付を停止するのは、如何なものか。
 
生活困窮者は、申請により生活保護費が受給できるわけですが、その実態は、最低限の生活維持財源しか交付されません。

その困窮者が東日本大震災の被災ですべてを失い、家族も家財も身の回りの衣服もない、といっているのです。この人たちが、世界の善意で集まった義援金を受給しても、何の天罰も受けるはずがありません。

ところが、国は、義援金を受領した生活保護受給者には、義援金支給の範囲で、生活保護費の支払いを停止する、というのです。

今までも例がありました。
交通事故で怪我をした生活保護費受給中の被害者が、示談により損害賠償金を受けると、生活保護費を停止させられるばかりは、残りの賠償金も国に召し上げられてしまいます。

交通事故などによる損害賠償金の受領は、自分の肉体的、精神的、財産的、損失など、マイナスをカバーしてもらう性質のものにすぎず、全体として資産の増加に繋がる「収入」ではありません。あくまで「損失補填」にすぎません。

そのために、所得税制も、受領した損害賠償金には、税金をかけないのです。
このことを考えれば、義援金の受領により生活の立て直しをしようとしている生活保護費受給者から、義援金受給額に見合う生活保護費の停止は、即刻やめるべきです。

乾いたぞうきんを、さらに締め上げるのが、福祉国家日本国の姿勢なのでしょうか。
とんでもないことです。

また、全世界から2700億円もの義援金が集まっているのに、被災して3か月も経った現在でも、まだ、配布額は15%程度だといわれています。

集まった義援金は、すみやかに配布してこそ値打ちがあります。お役所の主張する形式的平等の壁が、これを阻止しています。

仮に配布の不公平が発生したとすれば、後で調整すればすむことです。
 
未曾有の被害に遭い、すべてを失った人々が、一日も早く未来に目を向け、再出発していただきたい。

そのためには、一日も早く、より多くの義援金を受け取ってもらうしかないではありませんか。

<ご連絡>
★全国版メルマガ「頂門の一針」2295号(本日6月18日(土)刊)に
本誌主宰の下記原稿が掲載されました。他の掲載寄稿もご覧下さい。

◆<2295号 目次>
・分らない「関電の節電要請」:毛馬一三
・佐々木元東大総長が今ごろこんなことを… :阿比留瑠比
・孤島暮らしの喜びと悲しみ:平井修一
・「やませ(山背)」のこと:古澤 襄
・秋田に無いクスノキ(楠):渡部亮次郎
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

★「頂門の一針」の購読(無料)申し込み御希望の方は
下記のホームページで手続きして下さい。
 http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm

 


2011年05月28日

◆手続きミス多発の裁判所の喝!

川原 俊明

司法の一翼を担うべき裁判所。
裁判所の作成した呼出状一つにしても、権威があるべきです。以前は、あった、と思います。
最近の判決書や呼び出し状。いい加減にしてくれ、と思うほどに間違った記載が多々見受けられます。

時節柄、裁判所の新人研修の甘さが原因なのでしょうか。判決書の当事者欄の名前に誤記があった。被告の住所記載が間違っていた、など・・。

記載の間違った判決文を執行裁判所に提出しても、強制執行はできません。それほどに裁判文書の重要性が理解されず、裁判所書記官が、少し気を付ければ訂正できるような簡単な誤記の存在が目につきます。

裁判所の書記官諸君。君たちは、裁判所の権威をなくすつもりでしょうか!!!

いくら新人書記官であろうと、一文字の過ちですら、許されない職場であることを認識していないのでしょうか。たった一文字の誤りの存在によって、その判決文では、強制執行ができません。

仮に、更正決定の申立により修正が可能だとしても、その手続きのため、時期遅れの執行となり強制執行が空振りとなりかねないのです。自分たちのチェックミスによって、会社の命運に関わることがある、ということを理解すべきです。

我が事務所に依頼者が持参された呼出状に、出頭法廷場所に明らかな誤記が発見されました。
期日呼出状には、大阪地裁1102号法廷、と書かれていました。当事務所職員が、その法廷に出向いたところ、この法廷では、朝から、開廷された形跡がなかったのです。

担当部書記官に確認したら、呼出状の誤記で、別の法廷で裁判が開かれていることがわかりました。
職員が、本来の法廷に駆けつけたら、すでに裁判は終了していたのです。このまま放置していたら、「欠席判決」で処理されます。おそろしいことです。

最近の、裁判所。自ら、司法の権威を崩すことをしています。たとえ新人書記官の第一日目の仕事であったとしても、それは、プロとしての仕事であることを、裁判所は教育すべきでしょう。
(弁護士)


2011年05月11日

◆枝をためて花を散らす

川原俊明

浜岡原発停止要請の是非を問いたい。

東日本大震災の影響を受け、福島原発が壊滅状態になりました。この事態を受けて、菅総理は、中部電力に対し、静岡にある浜岡原子力発電所の全炉停止要請をしました。

原発の危険性を目のあたりにした私たちにとって、電力政策の見直しが必要なことは言うまでもありません。

しかし、菅総理の停止要請は、なぜ今、なのか。もっと科学的な説明を国民にすべきではないでしょうか。

たしかに巨大な中部地震が、明日にでも発生するかも知れません。可能性としてはあるでしょう。
ただし、この可能性を心配しての停止要請なら、日本列島すべてが地震の塊であり、太平洋プレートの崖の上に列島が位置している以上、日本にあるすべての原発を停止させなければなりません。

問題は、東日本大震災で壊れた日本の立て直しに、今何をすべきか、ということでしょう。原発の停止要請よりも別にすべきことがあります。

浜岡原子力発電所を津波から守る防波堤の建設に2年かかることが想定されています。むしろそれならば、工期を徹底的に短縮させ、1年以内の早期に完成させるべきでしょう。

中部地方には、日本経済を牽引するトヨタを筆頭に、大きな工業施設があります。原発の停止は、電力供給を減らすことにつながります。それも、計画的に、目処を立てて停止要請をするなら理解できます。唐突に記者会見をして、一方的に「停止要請」。それも命令でなく、停止するかどうかは企業側の判断、責任に委ねるというのは、余りにも無責任です。

東日本大震災により東北地方の工場が破壊され、全世界の工場で必要な部品供給が滞る状態になっています。世界のどこの企業が、日本の工場機能回復を待ってくれるのでしょうか。経済戦争は過酷です。おそらく他国の部品製造企業が、このときとばかり、日本製品に代わる代替品の売り込みに奔走している姿が目に見えます。

義援金の提供と、経済戦争とは、全くの別次元です。日本の復興は、全国民の力の結集で、急ぐ必要があります。にもかかわらず、工場の製造過程において、必要な電力の供給先を明確に議論しないまま、一方的な原発停止は、日本企業の再生を阻むものではないでしょうか。

今の政府は、民主党政権延命策としてのパフォーマンスが多すぎます。そんなことをしている場合ではありません。全国民の叡智を結集して、日本の復活を急ぐ必要があります。

このさい、明治時代の電力導入経過がもたらした東日本50キロヘルツ、西日本60キロヘルツの壁を取り除くシステムを構築すべきです。

狭い日本の国土で、ヘルツ(周波数)の異なる電力供給システムは、「無駄」の一言に尽きます。


2011年05月06日

◆弁護士バッチを外す若手弁護士

川原俊明

弁護士バッチは、弁護士の理念たる自由と正義が、ひまわりと天秤(てんびん)の形状で表されています。
 
最近の若手弁護士。このバッチを積極的に胸元につけようとしない風潮があります。大きな金色のバッチなので、目立ちすぎて気恥ずかしいと思うのでしょうか。あるいは、かっこ悪いとさえ思っているのでしょうか。

私はあえて言います。弁護士バッチがかっこ悪いと思うのならば、弁護士をやめてしまえばいい。 弁護士バッチをつけたがらない弁護士は、おそらく、このバッチに表された意味を理解していないのでしょう。あるいは、弁護士業務のなんたるかを理解しないまま、たまたまロースクールを卒業し、新司法試験に合格してしまった、という人種ではないでしょうか。

弁護士たるもの、法律家としてのプロ意識を持つべきでしょう。

私たちは、プロの仕事をして、その成果を依頼者から感謝され、そのうえで報酬という形で対価を得るのです。依頼者の立場から言えば、弁護士がプロの法律家であるという認識があるからこそ事件の依頼をし、着手金を支払っているのです。

たしかに、「弁護士」というのは、あくまで資格であり、バッチそのものではありません。しかし、弁護士は、そのバッチに表された弁護士業務のなんたるかを理解したうえ、責任ある仕事をすべきものです。

私がイソ弁時代、尊敬するボス弁の宮ア乾朗弁護士によく言われました。

「依頼者は、弁護士に対し、全幅の信頼を寄せて事件を託すものだ。弁護士は、そのバッチに恥じない仕事をせよ。弁護士たる資格に恥じない仕事をするためにも、弁護士バッチを必ずつけろ」と。

弁護士として目的意識の薄い、あるいは弁護士業務に自信のない連中が、バッチを外すのでしょうか。私には、その因果関係の程はわかりません。

しかし、最近の弁護士をみていると、プロ意識のない、サラリーマン根性しかない、なさけない弁護士がいることも事実です。 これは、依頼者にとって、大変迷惑な話です。


2011年05月02日

◆被災者救済は国民的課題

川原俊明

津波は天災です。多くの人が家族を失い、住まいを失いました。

多くの被災者は、この現実に直面しながらも、一日も早く、今までと同じような普通の暮らしを復活させたいと願っています。
 
全世界から多くの義援金が集まっています。私たちは、世界の人々に感謝しています。ありがたいことです。しかし現実はもっと多額の義援金が必要です。被災者の生活を守るには。

義援金が、まだ多くの被災者に行き渡っていないのはどうしてでしょう。少しずつでも、お渡しできるところから被災者に届くようにすべきです。

今は、迅速な分配が不可欠です。いくら公平分配のためといっても時間がかかっては意味がありません。被災者の今の生活補助が緊急の課題です。

次に必要なことは、被災者の生活支援です。
 
津波に流された家のローンを抱えたまま、誰が新しく家を建て替えることができるというのでしょうか。 国は、法律制定により、すべての被災者の住宅ローンを免除すべきです。金融機関は、国と一体となって、被災者救済を第一義とすべきでしょう。

もちろん、国は、民間の金融機関保護の法律も同時に制定すべきです。住宅ローンを支払えない被災者に対し、破産すればいい、なんて軽率な議論は絶対すべきではありません。

津波は人災なのです。自分の責任で住宅ローンが支払えなくなったのではないのです。国民の税金は、被災者の生活復活に最優先して使用すべきです。これが、日本の再生につながるのです。