川原 俊明
東京FMのラジオ番組「TIME LINE」に10月31日生出演しました。
星浩という政治ジャーナリストの出演する生放送で、ニュースをきっかけに考えるヒントを提供する60分の番組です。
今回の放送は、東日本大震災で、福島、宮城、岩手の3県を支援した自治体が、その経費を3県に請求する手続きを進めている。災害救助法に基づく手続き、ということだが、疑問の声が上がっている。
ということで、私が、今年の10月10日に出したブロク「ばかげた被災地支援費請求」が、FM東京の目にとまったのでしょう。
このときのブログの要旨をお伝えします。
<震災から半年経った今も、がれきが積まれている東北三県の復興未来が未だに描かれていない。これに輪をかけたバカげた事態が起こっている。被災地に対する全国各自治体の支援活動も、それぞれの地域住民の善意の支援だったはず。
しかるに救護活動費の請求書が回ってくるとすれば、被災地の自治体にとって第二次災害とも言うべき事態である。東日本大震災は、東北三県だけの問題でなく、日本全体の損害だから、各自治体からの被災地支援費請求は撤回すべし>。
政治ジャーナリスト星浩さんからは、私に、被災地支援費請求の問題点について、コメントを求めてきました。
そこで私は、次のようなコメントを出しました。
●なぜ被災地支援経費請求をする自治体が現れたのか
災害救助法は、災害が発生した場合、国が、地方公共団体や日本赤十字社などの協力の下に、応急的に必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序を守ろうとする法律です。ただ、この法律は、都道府県知事が、その所轄の範囲内の市町村に発生した災害に対する救助、を想定しているものでした。
今回の東日本大震災のような大規模災害は、法律の想定する範囲外の事態でした。
そこで国(所轄の厚生労働省)は、災害救助法を弾力運用しようとして通達を出しました。被害の甚大さを考えて、被災地でない都道府県からも、積極的に被災者の救助にあたって欲しい、と。
それだけなら良かったのです。ところが、救助に要した費用について、「被災地の都道府県に全額求償して下さい。」こんなことが通達に書かれていました。
全国の自治体では、費用負担を念頭に置くことなく、人道上の観点から被災三県に対する救援活動を行ってきたのです。にもかかわらず、救助費用を全額請求せよ、という通達だったので、東京や兵庫、鳥取など全国の自治体から、救助費用を被災地の東北三県に全額求償する、という事態が起こったのです。
今回のような未曾有の災害に全国の他府県から救助を差し伸べるのは人道上、当然のことです。費用の自己負担を覚悟で出費した都道府県もたくさんありました。
国全体で被災地を応援すべき事態です。そんなときに、なにも壊滅的被害に遭っている東北三県に向けて、救助費用を全額請求されたい、と通知を出す厚生労働省のお役所感覚には疑問があります。
東北三県にとって、復旧すらままならないときに、はやくも他の都道府県から請求書が送られてくるのですから。経済的な負担ばかりか、煩雑な業務負担がかさみ、復旧に足かせとなります。
東北三県の被害状況を見れば、各自治体が負担した救助費用は国が全額負担すべきです。 同じ通達を出すなら、救援した他の都道府県の費用負担は、被災県に対してでなく、全額、国に求償できる、とすべきだったと思います。
星浩さんも、厚生労働省の通達には疑問を呈し、私と認識を共有できたのが良かったです。
みなさんは、どうお考えでしょうか。