2011年03月18日

◆東北地方の人々に義援金を

川原俊明

2011年3月11日。この日は、阪神大震災が発生した平成7年1月17日とともに、忘れられない日となるでしょう。東北地方における歴史的な巨大地震・大津波の発生でした。

マスコミ報道から見ても、被害の甚大さ、悲惨さは、目に余るものがあります。家が押し流され、家庭を崩壊され、家族を失う事態は、まさに現代の地獄絵です。

多くの被災者のみなさんには、心よりお見舞い申し上げます。犠牲者となられた方々には、心からお悔やみ申し上げます。

このようなときこそ、私たちは人道的観点から少しでもお役に立てることを実行すべきだと思います。

私たちが被災者のためになし得ることは、義援金の提供だと思います。

私も、みなさんとともに、声を大にして多くに人々に呼びかけたいと思います。可能な限り、少しでも多くの義援金の提供で被災者を支援しましょう。

2011年03月09日

◆ネットカンニング生徒の処遇は

川原俊明

京都大学の入試受験中に、インターネット掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿した、として偽計業務妨害容疑で、仙台市の予備校生が逮捕されました。
 
カンニングして入試に合格しようとする魂胆は、許されません。世間から大きな非難を浴びるのも当然のことです。まじめに勉強してきた受験生にとって、この事態が放置されることは、まさに正直者が馬鹿を見ることになるからです。

予備校生が、どんなに満点を取ろうが、落第は、当然でしょう。京都大学の合格発表前に、同じ予備校生が受験していた早稲田大学が、合格結果を無効としたのも、世間は納得するでしょう。

それにしても、今のネット社会。接点のない全くの赤の他人同士でも、ネット上で交流ができる社会。これには功罪があります。

人間同士がふれあう中で気持ちが通じ合うのが人間社会です。人類が誕生してから今日まで、変わりのない真実だと思います。なのに、ネット社会では、生の人間同士のふれ合いが少なく、他人との直接のコミュニケーションができない、そして人間としての互いの喜怒哀楽が理解できなくなる、というマイナス面の存在が心配です。

現代の多くの若者が、生の人間よりも、パソコンという機械を信頼している姿が問題です。そこには、血のかよった人間としての成長ができるのだろうか・・・。

カンニングは、人間社会が、試験制度を設けたときから、発生しています。中国の科挙試験(司法試験)のときも、衣服に解答を書きまくった、ともいわれています。人間の弱いところでしょう。

最近では、2004年に韓国の入試漏洩問題が大々的に報道されたことがありました。韓国の受験熱・学歴社会化が、この問題を引き起こしているのでしょう。
 
これほどまでに、ネットカンニングが、以前から問題とされているにしては、日本の大学側に対応に手ぬるいものがあります。

当然ながら、試験場に携帯電話の持ち込み禁止措置をすべきでしょう。京都大学が、禁止措置をとり、携帯電話の取り上げが、当然、という環境になっていれば、仙台市の予備校生は、「ヤフー知恵袋」を使わなくてすんだのです。

その意味で、今回の問題は、大学側がネット社会の現状把握をしていなかった、監督員もいい加減で、管理体制が不十分と言うにすぎません。 このことをもって、マスコミは、仙台市の予備校生をスケープゴードに仕立て上げてはなりません。

予備校生には、大いに反省させ、来年度に再受験させて、正面突破させるくらいの度量が、大学側に必要です。

若者の未来を、つまらないミスで、摘み取らないようにしましょう。 彼の人格は、カンニングで埋まっているわけではないのですから。 彼を、とってつけた犯罪容疑で、犯罪者に仕立て上げてはなりません。すみやかに、身柄を釈放し、まじめな予備校生に戻してあげるべきです。

マスコミとしては、カンニング問題が、ニュースとしておもしろいのかも知れません。 しかしこんなニュースよりも、マスコミは、もっと大事な役割があります。

先行きの見えない日本の動向について、国民全体で真剣に議論させるような題材を提供し、日本の再建に大きな力を発揮すべきです。

2011年02月24日

◆不倫のつけは、重い

川原俊明

タレントの森泉に不倫騒動が巻き起こっています。森泉といえば、ファッションデザイナー森英惠の孫で、モデル・オブ・ザ・イヤーを受賞するなどのカリスマモデル。そのお相手とされる男性は、Kさん。

このKさんー。

10数年前にも、女優の古手川祐子の妹・古手川伸子と不倫し、妻子を泣かせた前歴の持ち主。

私が、妻子の訴訟代理人弁護士として、古手川伸子さんを相手に、慰謝料など、損害賠償請求訴訟を提起し、裁判所で不倫の事実を認めさせたことがありました。

当時、民放のワイドショーで、大きく取り上げられていました。

婚姻関係にある男性との不倫は、妻側から見ると、家庭生活を破壊させたことになり、民法709条の不法行為を構成します。不倫女性は、男性とともに、民法719条の共同不法行為として、連帯して損害賠償義務を負担することになります。

前記不倫訴訟では、古手川伸子さんが、損害賠償金を支払いました。その後、夫婦が離婚、そしてKさんと、古手川伸子との結婚。古手川伸子さんにとっては、一時的には、妻からKさんを奪い取ったことになるでしょう。

しかし、いま、そのKさんが、あらたに森泉との不倫騒動で、世間を騒がせているのです。おそらく、Kさんと古手川伸子の夫婦関係も、円満であるはずがありません。

因果応報というのでしょうか。

不倫で、男性を妻から横取りした女性には、その報いが来るのでしょうか。(完) <弁護士>



2011年02月03日

◆強制起訴は、国民の意思

川原俊明

小沢一郎元民主党代表が、政治資金管理団体の陸山会をめぐる政治資金規正法違反で起訴されました。

普通なら、検察官が、事件の捜査を遂げて、裁判所に起訴する、というのが、普通の刑事裁判の手続きです。

ところが、今回の陸山会事件。金の動きが灰色なのに、裏付けを取り切れていない検察陣のために、検察サイドでは「不起訴。」これに納得できない市民が、検察審査会での審査を求め、そこで「起訴相当」が決議され、この決議に基づいたのが、今回の起訴です。

自民党時代からの政治的行動からみても、小沢さんが、金に潔癖とは、決して評価できない政治家のイメージがあります。

今回の金の動きも、残された証拠も、小沢さん自身が、積極的に絡んでいると指摘されてもやむを得ない場面があります。その意味で、「起訴相当」決議は、国民の意思の反映でしょう。

検察役の弁護士は、起訴による有罪の有無を、マスコミから質問された際、有罪か無罪かはともかく、検察審査会の意見に従う、とコメント。 私も同意見です。

今までの検察。灰色ならば、証拠がそろっていない、という認識のもとに、起訴不起訴を認めてきました。

ところが、今回の場合、国民の意思によって「灰色」が「黒」に変わる可能性もあります。裁判所は、証拠の評価を、一般常識の目線で判断すべきです。仮に、最終的に、証拠が不足で無罪とされたとしても、国民は、政治家小沢一郎に、終止符を打つでしょう。

この強制起訴によって・・・。


2011年01月30日

◆漂流船 ニッポン丸

川原俊明

アメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが、日本国債の格付けを1段階引き下げた、との報道がなされました。 いままでの「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に。

その理由は、指針なき国政が、原因とされています。端的には、民主党政権の失策が、日本の評価を確実に下げています。

行き当たりばったりの政策、現実離れの公約、実行力の伴わない閣僚、官僚を使い切れない政治家。
無策の政府を見ていたら、外国の目が、日本の評価を下げるのは、やむなし、と思わざるを得ません。
900兆を超える国の借金を目の前にして、さらに、国債という紙切れを増刷し、国家破綻から、一時しのぎをしているだけにすぎません。

政治の舵もとれず、財政の指針も立てられない今の政府に、日本の未来を任せられるのでしょうか。
深刻な日本の現状を打破しようとしない、今までの政治家は、総辞職すべきです。

ましてや、日本国債の格付け引き下げ報道に対する、菅首相のコメントは、明らかに総理大臣として失格で、あきれ果てました。「この問題に疎いので・・・」。日本国民をバカにしています。

国を代表する者が、国債格付けの引き下げ問題を、的確に判断できなくて、どう考えているのでしょうか。

今回の評価の格下げは、日本の信用を一段低めた、ということを意味します。海外との取引において、融資を受けられない、あるいは融資を受けるにしても、今までより高い利息を支払わなければならなくなる、国債のさばきがわるくなる、など、日本経済に、さまざまな影響を与えてきます。ボディブローが、じわりと効いてくるように。

総理のコメントに、野党各党が、怒ったのは当然です。野党でなくとも多くの国民は怒ります。
こんなトップを掲げる日本国民は、不幸です。

2011年01月13日

◆ワンちゃんは人の心をつなぐ

川原俊明

法律の世界とは、全く無縁の「俳句」という文化的な集まりがありました。

一人は、某公立大学文学部長、一人は、元大阪府のトップクラス公務員、一人は、元NHK記者の作家、一人は、民放関連現役マスコミ人、そして一人の弁護士。

これだけ、経歴の違う人間が、俳句について語ろうとしたとき、ふとしたきっかけで、自分の飼っているワンちゃんの話題に、みんなが力を入れて語り始めたのです。
俳句の話題をそっちのけで・・・。

16年飼っていたワンちゃんのことを思い出すだけで、大学の講義の最中でも涙が止まらない教授。
ワンちゃん、ペットちゃん、といわせるのも納得がいかず、「息子」と呼ばせる教授。
死期を感じたワンちゃんが、妻の前で、じっと立ちすくんだまま感謝の気持ちを伝え、そのまま夫の膝元に崩れ、そのまま逝ってしまったワンちゃんの話。

かわいくて、散歩の際に、女子高校生から年がいもなく「かわいい」といわれ続けたワンちゃん。自分の死を見せたくないのか、最期に、庭から何度も脱出を試みたワンちゃんの姿。
どれほど、ワンちゃんが、人の心を慰めてくれるのでしょうか。
 
俳句を題材に集まった人々の、心のあたたかいこと。ワンちゃんの話を通じて、このことが理解できました。

俳句は、文化であり、文化は、人の心の集まりである。 これが、今日の共通認識でした。

思い起こせば、人間の心を慰めてくれるのは、本来、「ヒト」ではなかったのでしょうか。「人」という文字も、象形文字の時代から、人が寄り添う、頼りあう関係を、「ひと」とみていたのではないのでしょうか。

現代社会では、人間の心の中に「思いやり」が薄れ、「自分さえ良ければ」という利己的な考えが、多く芽生えすぎたような気がします。

ところが、ワンちゃん、ネコちゃんは、人間よりも、もっと、純粋なのです。
「ヒト」が、つまらない「知恵」をつけ始め、紙切れにすぎないお金に、命より大事なものを、見いだすバカげた錯覚の現代世界。
 
人間は、徐々に、「心のふれあい」を失っています。

一方、ワンちゃん、ネコちゃんには、純粋な心だけを持っています。つまらない知恵を持たないだけに・・・。

最近の、余りにも希薄な人間関係の社会。
むしろ、「ヒト」よりも「ワンちゃん」「ネコちゃん」にこそ、「ワン格」「ニャン格」を与えるべきでしょう。

人間同士のバカげた争いで、人類が滅びたあとは、ワン類、ニャン類が、この美しい地球を守ってくれるかも知れません。    2011.01.11




2011年01月11日

◆日本再生への提言

川原俊明

今年は、私自身を含め、日本に「喝」を入れたい!

1945年の第二次大戦による敗戦以来、これほどまでに日本国民が自信喪失に陥っている現代の状態は、歴史的にも希有です。

一体、日本の何が悪いというのでしょうか。

戦後日本の人材力・技術力の蓄積は、いまだに世界に誇るほど、膨大なものがあるのに・・・。
過去の実績を評価せず、先行き真っ暗、の宣伝をするマスコミ体制は、目先のことしか考えない政治家と共に、淘汰されるべき存在です。

その意味では、日本をリードすべき政治家の不在と、不安材料ばかり提供するマスコミこそが、日本国民に自信喪失をあたる張本人でしょう。

そこで、私は、日本再生への提言をします。

●少子化高齢化は、島国日本からの脱皮のチャンス
○ 定年退職者のポイ捨て禁止。
 
どれだけの人的資源喪失か、理解すべきです。中国は、日本のリタイア組を、積極的に企業に取り込んでいます。これで、日本との数十年の技術力格差を、短期間で解消できるからです。

○ 韓国・中国の優秀な若手人材を。
ゲット国籍法による、帰国制度を改正しましょう。

周辺国から優秀な若手人材を取り込めば、日本の少子化問題は、解消します。 なぜ、日本  の国だけの人口で、少子化問題を考えるのでしょうか 日本は、国の成立段階から、ヤマト単一民族国家ではないのです。

戦後まもなくの飯の食えない時代。ブラジル移民が、国策で実施されました。日本で食えなけ れば、海外の新天地を求める。これは、当然のことです。逆に、日本に若手労働力が不足する、というのであれば、国籍に対する門戸開放をしましょう。少子化の課題は、いわば、黒船なのです。

●生産拠点の日本回帰

当初、中国での廉価な人件費に誘われて、日本から中国に多くの工場が移転しました。いわば、日本の空洞化現象と言われるものです。しかし、いま、これほどに中国の人件費増額傾向を考えれば、中国進出は、それほどにメリットのあるものでもありません。

人件費の高騰傾向を考えれば、インド、ベトナムへの工場移転も、時間の問題で、いずれ撤回を求められます。

であれば、製造拠点としての工場は、もともと日本国内であるべきです。これにより、国内の雇用拡大、経済再生が機能します。企業は、目先の人件費処理問題で、日本を空洞化させてはならないのです。日本の技術力をもとに、高付加価値商品を製造すべきでしょう。

● マスコミは、日本社会の牽引力たる立場を、自戒せよ。
 今の日本の悪いとこばかり指摘する、マスコミ体質は、総解散しましょう。現代社会では、マスコミは、司法・立法・行政とならんで4大国家権力と評価されています。

それであればなおさら、マスコミは、国民をバカにさせてはいけません。マスコミは、より良き日本を、指導する立場にあるのです。

つまらない、バカげたお笑い番組よりも、真剣に将来を憂いうる日本の若者を鼓舞し、日本再発見の情報を、大々的に提供すべきです。

● 司法再生
 無罪の被疑者を、犯罪者に仕立てるバカげた検察は、不要です。検察の意見しか頼れない裁判官も不要です。時代の要請に応えられない弁護士も不要です。

今、司法の世界に求められているのは、社会に貢献できる法律であり、そのように法律を機能させられる法律家です。

これらにより、日本の社会は、もっと良くなるのです。

2010年12月20日

◆受刑者に対する選挙権の制限

川原俊明

民主主義国家では、国民の多数意思を反映して国が運営されます。そのためには、国民が、それぞれ1票の平等な投票権を持つことが前提となっています。

最近の高等裁判所で、5倍もの格差ある選挙区での投票は、無効とされた例がありました。
考えてみれば、人それぞれに選挙権があるものの、他人に比べて半分以下の値打ちのない投票権は、その人の人格を半分しか見ない、と言うことと同じです。ましてや、5倍格差は、その投票権者の人格が5分の1、としか評価されていないことと同じです。この事態、明らかに憲法違反です。

もちろん、国の行政の区割りにおいて、完全平等の区割りは困難でしょう。
しかし、選挙区割りを平等に扱う、という配慮は、行政として可能な限り実現すべきです。
 選挙権について、さらに問題があります。

受刑者の選挙権制限です。公職選挙法では、次のようになっています。

第11条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
1.成年被後見人
2.禁錮以上の刑に処せられその執行を終るまでの者
3.禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

4.公職にある間に犯した刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの罪 又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から5年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者

5.法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者

受刑者が、犯罪者として処罰されるのは当然ですが、必要以上の権利侵害は不要でしよう。窃盗犯が、服役中に選挙権を行使して、何が悪いのでしょうか。

今までの法律は、余りにも形式的すぎます。

犯罪者が、犯した罪の範囲で断罪されるべきは当然です。しかし、全人格の否定は、憲法違反となります。

2010年12月09日

◆プロ意識は何処へ行った

川原俊明

みなさん、日本社会崩壊の危機を感じませんか。

日本国家の舵取りをすべき総理大臣。一体、日本をどこへ導こうとしているのか。菅さんに、総理大臣としての政治的信念はどこにあるのでしょう。

いまだに、光が見えません。
外交で失態をさらけ出し、内政で景気の掘り起こし策さえ提示できない今の内閣に、はたして日本の未来を委ねていいのでしょうか。

現代の坂本龍馬は、どこにいるのか。

今の政治家は、粒が小さく、ますますサラリーマン的になっています。
与党民主党は、衆参ねじれ国会を乗り越えるのに、手段を選ぼうとしません。明らかに意見を異にし、連立を離脱した社民党にまで、復縁の手を差し伸べようとしているのですから。
政治家は、政界のプロではなかったのでしょうか。

節操のないのは、相撲界だけでなく、歌舞伎の社会にも蔓延してきました。
ウイルス感染のように・・・。

市川海老蔵さん。
夜な夜な飲み歩き、挙げ句の果てに、暴力被害に遭う始末。海老蔵さんは、ほんとに被害者なのでしょうか。

加害者とされる相手も、顔面に怪我をしている模様が報じられています。
先制攻撃として暴力を仕掛けると、たとえ相手の言動に問題があっても、手を出した方が負けなのです。傷害罪として処罰されます。

一方、相手からの反撃は、正当防衛と評価されて違法性がなく、犯罪が成立しない場合があります。

松竹から、無期限謹慎を突きつけられた海老蔵さん。エビのように背中を丸くして謝っていたけれど、歌舞伎フアンにとっては迷惑な話です。

プロとして磨くべきは、舞台での技だけではないのです。人間そのものを磨かないと。
歌舞伎界の大御所、市川家が恥をかきます。


他人ごとではありません。
弁護士業界も、プロ意識のない弁護士が増えてきています。サラリーマン感覚の弁護士は、依頼者にとって決してプラスになりません。


2010年11月18日

◆控訴を勧める裁判長?

川原俊明

横浜地裁で、裁判員制度のもとで、審理された殺人事件において、初めて、死刑判決が言い渡されました。検察官が、論告という意見陳述の場面において、「この被告に死刑を言い渡さないで、この国で、誰を死刑にするというのか」とまで、言わせたくらいに、残忍な殺人事件でした。それだけに、裁判員の方々も、大変な役割を背負わされたものと、お察し申し上げます。

ただ、私には、裁判長の判決言渡しにあたり、気になることがあります。

マスコミ報道によると、判決言渡し後、裁判長が、「被告に控訴を勧めた」、というのです。もちろん、刑事裁判では、有罪判決言渡しの後、被告に対し、「この判決は、有罪判決なので、14日以内に控訴できる」ことを、必ず伝えています。

しかし、裁判所は、十分に審理した結果、これが間違いのない正しい結論だという前提のもとに判決を言い渡すのです。ただ、三審制をとる日本の裁判制度を前提に、異議申立の機会を被告に伝えているに過ぎません。

ところが、今回のように、裁判長が、被告に控訴を勧めた、というのは、もってのほかです。他の刑事事件でみても、どこの裁判長が、自分の言い渡した判決に対し、控訴を勧めてくれますか。聞いたことがありません。裁判長は、当該刑事事件で、十分に審理を尽くして、死刑判決が、間違いのないものとして、言い渡しをしたのではなかったのですか。

自分の判断が間違っているなら、もともと、死刑判決を読み上げるべきではありません。仮に、裁判長の発言に、「裁判員の意見が、死刑の方向に多く流れているから、やむを得ず死刑判決にしたので、控訴しなさいよ」、という趣旨が含まれるならば、その裁判官は、裁判員制度そのものを軽視したことになります。

裁判員制度のもとでの判決内容は、当該事件では、それがすべてなのです。もともと、裁判員制度は、民意を、裁判に生かす、という趣旨であったはずです。民主主義の国家では、民意を最大限に尊重すべきことが、大切なことです。

もちろん、いまの裁判員制度でも、6人の裁判員が、死刑を求め、3人の裁判官が死刑以外の量刑、たとえば無期懲役を選んだ場合には、死刑判決を下すことはできません。

【参考】
評決にあたっては、構成裁判官及び裁判員の双方を含む過半数の賛成を必要とする。
裁判員法67条1項
少なくとも一人の裁判官が、死刑への評決に加わる必要が明記されています。

このことを考慮しても、裁判長の、控訴勧誘発言は、納得できません。マスコミでは、裁判員の究極の心労を察し、裁判員に逃げ道を与えたかのような報道があります。しかし、それは、違います。

裁判長発言は、裁判員制度の否定につながるのです。裁判員が、心労の上、決断した結論を軽視するばかりか、司法制度を否定することになるのです。

被告に対する中途半端な説明は、覚悟を決めた被告自身にも、悪影響を与えます。
 


2010年11月11日

◆ビデオ流失の責任は誰?

川原俊明

尖閣諸島での中国漁船衝突ビデオが、インターネット上で流出されました。

政府が、一般公開しない方針を打ち出しているしろもののビデオ。国会内で、議員たちが、わずか数分間の要約版を見せられている間、インターネット上で、もっと詳細なビデオ画像が全世界に公表されてしまっています。

明らかに、日本政府の初動捜査ミス。日本政府の見解が正しく、中国漁船の違法性に確信を持っていたのなら、なぜ、直ちに、ビデオを全世界に向けて公表しなかったのでしょうか。

日本政府が、ぼやぼやしているその間に、中国が、日本の不当性をののしり、首脳会談までキャンセルし、別件の日本人逮捕劇までつけて、執拗に反日キャンペーンを張っていました。本来、その中国政府に対し、真っ先にビデオを送りつけるべきなのに、日本政府は、イヌの遠吠えで、領有権を主張するだけでした。

日本の政治家は、またしても、世界から信用を失ってしまいました。日本の主張が正しければ、国際司法裁判所に、領有権の主張を提訴すべきです。

ましてや、日本という国の、国家管理体制のずさんなこと。「機密」といっているのなら、なぜ、厳重な体制をとらないのでしょうか。最近のテロ関連情報の漏洩など、今の政府の、国としての管理体制が機能していないことが明白です。

国としての信用に関わることです。今回の、ビデオ流出も、政府として公開しない、と公言している立場からすれば、あってはならない事態です。

政府は、海上保安庁の職員にもなめられています。職員も、国家公務員である限り、守秘義務を遵守すべき立場にあります。政府が、公開しないというべきものを、自分の判断で、インターネットに流出させて良いはずがありません。国家公務員は、国の機関です。国の命令に違反して、公務員が、自分の判断で、機密を漏洩すれば、処罰されるべきは当然です。

ここは、厳密に対処すべきです。
でないと、国としての管理体制が崩壊してしまうことになるからです。

とはいえ、根本の原因は、誰なのでしょう。今の政府の、筋の通らない外交体制です。

本当に日中関係が大切なら、菅総理は、事件発生後直ちに、胡錦濤(こ きんとう)国家主席とともに、インターネットを通じて、一緒に画像を見て、共通認識のもとで、あるべき方向を議論すべきでしょう。

政府の初動捜査ミス。これが、今回のすべての原因です。



2010年11月04日

◆離婚夫婦と子の面接

川原俊明

最近、離婚を前提にした母親が、子どもを連れて、一方的に家を出るケースが増えています。 父親の暴力を避けるケースであれば、それも当然と言えるでしょう。
 
しかし、必ずしもそういうケースばかりではありません。
離婚後に、子の親権を確保するため、既成事実化をはかろうとする母親の行動が見受けられます。勤めから帰った夫が、家の中に入ると、母子もろとも蒸発していた、というのです。

最近の社会現象でしょうか。父親が、子どもの養育に執着するパターンが増大しています。 少子化現象の裏返しなのでしょうか。

両親が、少ない子どもを取り合う場面が増えています。草食系男子の増加傾向と、因果関係があるかも知れません。
 
アメリカでは、国際結婚の破綻後、日本人の親が米国籍の子どもを、相手の承諾なしに日本に連れ帰る事例が多発し、これに非難が集中しています。 アメリカの下院では、国際間の親権問題を定めた「ハーグ条約」への加盟を、日本政府に呼びかける決議案を圧倒的多数で採択したそうです。

 アメリカでは、離婚後も共同親権が原則です。法律で、離婚後の単独親権を定める日本との認識の差があるのかも知れません。しかし、この問題は、子どもの立場を中心に考える必要があります。
子どもにとって、両親は、生涯のつながりです。

その意味では、離婚後の共同親権、というアメリカ方式が望ましいのではないでしょうか。
法改正を求めます。

日本国内でも、一方的連れ去り行為は、子どもの成長にとって決してプラスではありません。
 


2010年10月28日

◆裁判員制度と死刑求刑

川原俊明

裁判員制度は、もともと重大な刑事犯罪に対し、民意を反映させようとする制度として導入されたものです。今回、裁判員制度が導入されて初めて、検察官から死刑を求刑された事件を、裁判員制度のもとで審理されることになりました。

耳かきエステ店員ら2名の殺害事件です。エステでのサービスを自分への好意と勘違いした被告人が、店員の女性のみならず、女性の祖母までも殺害した、という事案でした。

人の命を奪う、ということは、とてつもなく重いものです。被害者の、未来ある人生を奪う、ということなのですから。私たちが神でない限り、自ら、他人の命を復活させることができないのです。ゲームの世界とは違って・・・。
 
人は誰でも、この世に生を受けた限り、自由に生を享受する権利を持っています。他人の人生を、奪うことなど、誰もできないのです。

にもかかわらず、自らの欲望を満たすため、自らの一方的な判断で、殺害という手段で他人の人生を遮断することは、自分の命をもってしても、償っても償いきれないものなのです。ことの重大性を、私たちも再認識すべきです。裁判員となった方々にとっては、大変重圧のかかる裁判に関与してしまった、と思われていることでしょう。

でも、死刑制度は、法律で定められた刑罰です。二人も身内を殺害された遺族にとっては、殺人鬼の加害者が、いまだに生きていること自体、不思議と思っているでしょう。

ただし、法は、目先の感情だけで、判断してはなりません。

しかし、法は、社会の常識の集大成なのです。健全な日本の法治社会において、国民の多くは、死刑制度の存続を求めています。
 
裁判員として、死刑求刑の事案という大変な刑事裁判を担当することになったとしても、勇気をふりしぼって、健全な社会を維持するために、意見を主張すべきです。社会の常識を主張されるべきでしょう。