川原俊明
近時、最高裁判所が、嫡出子(ちゃくしゅつし 婚姻届を出している夫婦の子)と非嫡出子(ひちゃくしゅつし 婚姻届のない男女の子)の相続分に、民法が差異を設けていることに対し、憲法判断を加えようとしています。
民法第900条(法定相続分)
1〜3号 省略
4 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
平等主義をうたった日本国憲法の下では、おなじ、子ども間、兄弟間では、各自の相続分は同じであるべきです。
たとえば、被相続人甲を父親に持つ3人の子どもの場合、相続分は三等分されます。
ところが、3人の子のうち、法律上の妻である乙さんとの子(嫡出子)は、AとB。他の1人Cさんは、丙という妻以外の女性との間の子(非嫡出子)だったとします。
民法は、例外的に、嫡出子と非嫡出子の相続割合を2:1、すなわち、婚姻外に生まれた子の相続割合を、婚姻中の夫婦の子の半分にしています。
民法第900条4号但し書き
先ほどの例では、Aさん2 Bさん2 Cさん1となります。
民法は、なぜ、このような差異を設けたのでしょうか。
それは、法律婚主義のもと、結婚には、婚姻届の提出を奨励しているからです。
婚姻外の子に、相続時に不利益を与えることで、いわば婚姻届を間接強制しているのです。
しかしながら、昨今の社会生活、家族形態は、大いに変化しています。婚姻届を出さない事実上の夫婦形態が、増加しています。夫婦のあり方も、考え方に変化があります。男女関係も、昔と比べ、認識の差が顕著です。
これほど社会が変遷する中で、法律婚以外は悪だ、として、婚姻外に生まれた子どもに、そのひずみを与えていいのか、というのが、今回の問題点です。
この問題を、親の立場から考えるから間違いが生じるのです。 子の立場から考えれば、正解が見つかります。
考えてみれば、子どもには、なんの罪もありません。両親が、法律婚であろうと、事実婚であろうと、入籍できない関係であろうと、守られるべき子どもの立場からすれば、なんの変わりもないのです。
日本国憲法は、個人の尊重と、平等主義を標榜していたはずです。
憲法第14条(法の下の平等)
この観点からみれば、嫡出子、非嫡出子の間に、相続分割合に差を設けるのは、明らかに違憲、といわざるを得ません。
国政がもたもたしていて、民法改正に時間がかかるのであれば、最高裁判所が、違憲判決を下し、事実上の民法改正とすべきでしょう。
相続 嫡出子 研究
弁護士法人 川原総合法律事務所
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