2017年05月06日

◆成年後見ノススメ

川原 俊明弁護士


 
 私たちは、部屋を借りたり、電化製品を買ったり、スーパーで買い物をしたり、いろいろな契約を結んで、生活をしています。
 
契約を結ぶ際、私たちは、契約の内容を理解して、どのような利益や負担が生じるのか判断して意思決定します。
 
しかし、認知症の方や知的障害のある方のように、適切に意思決定をすることが困難な場合があります。

このような場合、ご本人や、その親族等からの申し立てにより、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると裁判所が判断すれば、後見が開始され、成年後見人が選任されます。
 
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができますので、例えば、成年被後見人がひとりで訪問販売の勧誘を受け、高額な契約をしてしまったとしても、後から、本人や後見人が取り消すことが出来ます。
 
ただし、日用品の購入その他日生活に関する行為は取り消すことは出来ません。
 
その他、例えば、施設に入る必要がある、介護サービスを受けたい等、必要な契約があれば、後見人が被後見人の意思を尊重して、本人の代わりに契約を締結することができます。
 
このようにして、被後見人の意思を尊重しながら、安心して社会生活を営むことができるようにするのが成年後見制度です。
 
ご家族の中で、意思決定をひとりでさせることにご不安がある等のお悩みがあれば、ご相談ください。

2017年05月03日

 ◆B型系男子!?

川原 俊明



今回は、メルマガ購読者様からの質問に対し、
弁護士が法律的に回答してみました♪


Q:つきあってた彼女が「B型やったん!?ほな別れましょう!」
と言ってきました。
まったく納得できません!訴えれますか??

A:質問は、「彼女に対し、慰謝料請求したい」ということかと思います。
 しかし、お気の毒ですが、法的には問題はなく、彼女に対し慰謝料請求することはできません。

 そもそも、婚姻している場合には、血液型いかんは離婚原因となりません。
 また、婚約が成立している場合にも、血液型いかんをもって婚約解消の正当事由とすることはできません。

 今回のケースにおいて、婚姻しなさい!という請求はできませんが、婚約の不当破棄として慰謝料請求は可能です。

 しかし、単に「つきあってた」という関係は、婚姻や婚約成立後とは違って、相手の人間性や相性等を相互に探っている状態であって、法律や慰謝料を持ち出してまで保護されるべき関係とまでは言えません。

 「何となくイヤ!」という理由でも、法律的にはOKなのです。 婚約もしていないのに、慰謝料請求云々と言われたのでは、怖くて交際なんてできませんよね。
 
 そもそも、B型の男性の良さを理解しない女性なら、こちらからさっさと別れたほうがいいです!!

2017年04月29日

◆問題なっしー!?

川原俊明(弁護士)



今回も、メルマガ購読者様からの質問に対し、弁護士が法律的に回答してみました♪

Q:「先日、高砂市が開催したイベント会場に、ゆるキャラ『ふなっしー』の偽物がいて、警察に取り押さえられたというニュースを見ました。

 どうやら、自分の子どもを喜ばすために、お父さんが『ふなっしー』の着ぐるみを着ていたみたいです。
 この後、このお父さんはどうなるの?」

A:警察から注意を受けるくらいで「おとがめなっしー♪」される可能性が高いと思います。
 
まず、このお父さんの行為についてどの法律が問題になるでしょう?
 考えらえられるのは著作権法です。警察も著作権法違反を視野にお父さんから事情を聞いているようです。
 
マスコットである『ふなっしー』の容貌には著作権が発生しています。他人が、勝手に『ふなっしー』と類似した着ぐるみを作成・利用すると著作権法に引っかかります。
 
ただし、その作成・利用が「私的使用」等のためであれば、著作権法違反にはなりません。
 
今回のケースでは、イベント会場にいたとはいえ、お金を受け取っていないことや自分の子どもを喜ばせる愛らしい目的であったことから、「私的使用」もしくはそれに近しいものとして、刑事罰の対象になるとまでは言えないでしょう。
 
問題なっしーです。
 
なお、余談ですが、『ふなっしー』が本当に梨の妖精である場合、妖精の姿自体には著作権は発生しませんので、そもそも著作権の問題さえも発生しないことになりますね♪



2017年04月26日

◆本当はとっても身近な景品表示法

川原 俊明(弁護士)



 景品表示法と聞いて、一般の人はあまりピンとこないと思いますが、実は、非常に身近な法律なのです。

 消費者が、商品・サービスを購入する際、実際よりもよく見せかけて表示されたり、過大な景品類の提供が行われたりすると、それにつられて、悪質な商品を購入することになり、結果的に不利益を被るおそれがあります。

 そこで、消費者が、正確な情報をえて、良い商品を購入できるようにするため、景品表示法で規制して、一般消費者の利益を保護しようというのです。
 景品表示法は、以下のとおり、大きくわけて、ふたつの規制をしています。

 ひとつは、不当な表示の禁止です。

 具体的には、@「100%果汁」と表示したジュースの果汁成分が、実際には、60%であったり、A「大学合格実績bP」と表示していたが、他校と異なる方法で数値化して、適正な比較ではなかったりなどの不当な表示を禁止しています。

 もうひとつは、過大な景品類の提供の禁止です。

 具体的には、商店街のセールでの福引きで非常に高額な景品を提供したり、商品購入に伴って非常に高額な景品を提供したりすることです。法律上、前者には、30万円までの制限、後者には、1000円以上の取引価格のものについては、取引価格の2割までという制限があります。

 では、これらの規制に違反しているのを見つけたときは、どうすればいいでしょうか?そのときは、消費者庁、または、公正取引委員会へ情報提供すれば、関係官庁が調査し、場合によっては、警告、違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」を行ってくれます。

 当事務所の、熱意のこもった接客対応は、口コミやホームページの評判よりもよいので、警告をいただくかもしれません♪

2017年04月24日

◆本当はとっても身近な景品表示法

川原 俊明



 景品表示法と聞いて、一般の人はあまりピンとこないと思いますが、実は、非常に身近な法律なのです。

 消費者が、商品・サービスを購入する際、実際よりもよく見せかけて表示されたり、過大な景品類の提供が行われたりすると、それにつられて、悪質な商品を購入することになり、結果的に不利益を被るおそれがあります。

 そこで、消費者が、正確な情報をえて、良い商品を購入できるようにするため、景品表示法で規制して、一般消費者の利益を保護しようというのです。
 景品表示法は、以下のとおり、大きくわけて、ふたつの規制をしています。

 ひとつは、不当な表示の禁止です。

 具体的には、@「100%果汁」と表示したジュースの果汁成分が、実際には、60%であったり、A「大学合格実績bP」と表示していたが、他校と異なる方法で数値化して、適正な比較ではなかったりなどの不当な表示を禁止しています。

 もうひとつは、過大な景品類の提供の禁止です。

 具体的には、商店街のセールでの福引きで非常に高額な景品を提供したり、商品購入に伴って非常に高額な景品を提供したりすることです。法律上、前者には、30万円までの制限、後者には、1000円以上の取引価格のものについては、取引価格の2割までという制限があります。

 では、これらの規制に違反しているのを見つけたときは、どうすればいいでしょうか?そのときは、消費者庁、または、公正取引委員会へ情報提供すれば、関係官庁が調査し、場合によっては、警告、違反行為の差し止めなど必要に応じた「措置命令」を行ってくれます。

 当事務所の、熱意のこもった接客対応は、口コミやホームページの評判よりもよいので、警告をいただくかもしれません♪

2017年04月17日

◆命名「スシロー」

川原 俊明 (弁護士)



 ご自分で店を始めるとき、自由に店の名前や商品の名前をつけることはできるのでしょうか?

 例えば、個人でお寿司屋さんを経営しようとしたときに、店の名前を「スシロー」と名付けることは、自分の店なので自由に決められて当然であり、違法とは言えないのでしょうか!?

 商品名や役務の提供について、保護する権利が「商標権」であり、商標権について規定するのが商標法です。
 
 商標権は、店名や商品が全国的に有名かどうかは関係なく、商標法上の登録さえすれば、全国的な保護を受けることが可能です。

 冒頭の事案では、すでに株式会社あきんどスシローが「スシロー」を商標登録しているため、「スシロー」という名で寿司を客に提供する行為は、株式会社あきんどスシローの商標権を侵害することになってしまいます。 ((-ω-。)(。-ω-))フルフル

 そして、商標権を侵害又は侵害されるおそれがある場合、商標権者は侵害の停止予防を請求することができます。

このような請求は、相手方の故意・過失を問題としないため、無過失の侵害者に対しても認められます。

 また、商標権の侵害者に対しては、損害賠償請求を行うことも可能であり、その際には、侵害者には過失が推定され、損害額の算定方法についても、特別に規定されています。

 これに対し、以前からある商標を使っていたにもかかわらず、商標の登録をしないままでいる場合に、知らない間に他人がその商標を登録してしまった場合には、従前からの使用者は、登録異議申立てや商標登録無効審判を、特許庁に対して申し立てることができます。

 これらの手続は、専門的、技術的な知識が必要だということで、裁判所ではなく、まずは特許庁に申し立てるという制度になっています。

 このような商標権については、ネットを通じて無料で簡単に検索が可能です。
 というわけなので、もし店名や商品名をつけるようなことがある場合には、まずは検索をかけることをおすすめします。

 スシローは検索するまでもありませんが。(笑)



2017年04月14日

◆うきうきボーナス

川原 俊明(弁護士)



Q 先日、経団連が発表した大手企業の今夏のボーナスの支給状況によると、前年比7%増となったようです。私の会社は逆にボーナスが減ってしまいました!納得できないので訴えて、増額請求することは可能でしょうか?

A 夏のボーナス、景気のいい話ですね!一部は念願のマイホームの頭金として・・・などという妄想はこれくらいに、質問にお答えしましょう!
 
実は、そもそもボーナスというものは法律上、給与とは違う性質で、あくまで、会社からの恩恵と考えられています。
 
この意味で、就業規則や雇用契約で、ボーナスを支払う、となっていない限り、会社側に支払う理由はありません!
 
しかし、仮に、他の方はもらっているのに、自分だけがもらっていない!という場合は別問題です。
 
この場合、会社は、慣例としてボーナスを支給しているものとみなされる場合が多いので、ご自身だけもらっていない場合は会社に訴えかけてみてください。
もし、日頃の勤務態度や、営業成績などを理由にされた場合は、労働局や労基署に相談することも可能です。

ただ、これらに訴えてみたところで、せいぜい勧告書を送ってくれる程度かもしれません。
 
効果的なのは、弁護士に代理人として交渉役となってもらい、内容証明郵便を送り、場合によっては法律違反を理由とした訴訟をすることです。
 
その場合はぜひ当事務所にご相談ください!初回相談料は無料です♪


2017年04月09日

◆私生活上の非違行為と懲戒解雇・退職金不支給

川原 俊明(弁護士)



<わて、どないなってまうん!?>

 Aさんは、B株式会社に25年勤続してきましたが、ある日、お酒を飲んで、痴漢を行い、逮捕され、有罪が確定しました。

 B株式会社は、就業規則に基づき、Aさんを懲戒解雇し、さらに、退職金を支給しないこととしました。

 Aさんは納得できないのですが、法的にはどういう問題があるのでしょうか?

<お答えします!>
1 懲戒解雇の当否
  まず、懲戒解雇は、就業規則に基づくものでなければならず、また、具体的事案に照らし社会的相当性を有するものであることが必要です。

  今回の場合、私生活上の非違行為ですので、具体的に会社の名誉や社会的信用を毀損させ、企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあることが必要とされます。

2 退職金を支給しないことの当否
  次に、仮に懲戒解雇が有効とされる場合であっても、直ちに、退職金を(全部・一部)支給しないことが許されることにはなりません。

 退職金は、功労報酬金としての性格のみならず、賃金の後払い的性格、生活保障的性格を併せ持つものだからです。

 判例では、@非違行為の内容、A使用者の受けた損害、B被用者の会社における地位、C在職中の貢献度などを踏まえ、被用者の永年の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの重大な不信行為があることが必要とされています。
  
  労働問題は生活に直結する重要な問題です。疑問を感じたら、気軽に相談してください♪

2017年04月05日

◆派遣労働者の保護を図っていく時代

川原 俊明(弁護士)


 
労働者派遣法は、昭和60年に制定されて以降、時代の流れに沿って、度々、改正されてきました。

 労働者派遣法第40条の2もそのひとつで、同条は、「派遣先は、同一の業務で派遣可能期間(最長3年)を超える期間、継続して派遣労働者を使用してはならない」と規定しており、これに関連して、派遣先が講ずべき措置に関する指針第14項は、「派遣期間終了後3か月を超えない場合には継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす」と規定しています。

 これによって、3年の派遣契約期間終了後、3か月間のクーリング期間をおくことで派遣労働者の使用をできないようにして派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図っていました。

 ところが、これらの規制をうまくかいくぐるように、派遣契約期間終了後、すぐに3か月間を超える期間(3年と1日)の直接雇用契約をし、その契約終了後、再度、派遣契約をして、実態として、3年超える期間、派遣労働者の継続使用する会社が現れました。

 これは、上記指針の3か月間というクーリング期間を利用して、再度、派遣契約を締結し、これによって、派遣労働者を使用し続けるというものでした。

 これについては、元派遣労働者の派遣先での直接雇用を認めていく方向での判決がなされ、この判決を契機に、派遣労働者の保護を図る以下のような労働者派遣法の改正が行われ、平成27年10月1日に施行されます。

 派遣先が違法派遣を知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされるという労働契約申込みみなし制度です。

 今回の法改正で、派遣労働者の地位の改善が少しはなされたかと思いますが、まだまだ不十分かもしれません。会社に都合のいいように利用されがちな派遣労働者の地位の向上を図っていくためには、現場にいる派遣労働者の声が裁判所、国会に届けなければなりません。

 上記判決、今回の法改正は、それを実感させるものでした。



2017年03月29日

◆プリペイド式携帯電話の転売

川原 俊明



プリペイド式携帯電話が、犯罪に利用されるようになってから久しくなります。
 
プリペイド式携帯電話は、前払い式の携帯電話で、外国人旅行客や子供による使いすぎ予防等に利用されれば、非常に有用なものです。
 
しかし、日本でプリペイド式携帯電話が販売された当初、購入時の身元確認が不要であったため、犯罪に多用されるようになりました。
 
今では、携帯電話不正利用防止法が施行され、プリペイド式携帯電話も身元確認しないと購入できなくなりましたが、未だにインターネット等を利用して転売され、犯罪に利用されているのが実情です。
 
さて、以上のように、プリペイド式携帯電話が転売されるといっても、購入者は窓口で身分証を提示して購入しなければなりません。
 
その際、転売を目的とするこの購入者は、なんらかの罪に問われないのでしょうか。
 
この点、ある被告人が第三者への無断譲渡を意図してプリペイド式携帯電話を購入した事件について、東京高等裁判所(平成24年12月13日判決)は、「詐欺未遂罪」にあたると判断し、同被告人を1年6か月の懲役(実刑)としました。
 
「未遂罪」となっているのは、窓口の人間が「無断譲渡されない。」と信じたかどうかが分からなかったためです。逆に言えば、窓口の人間が「無断譲渡はされない。」と信じていれば、「詐欺既遂罪」(未遂罪より重い罪)が成立するということです。
 
上記判決が、プリペイド式携帯電話の転売目的に関する他の事件にどこまで適用されるかは分かりませんが、今後、購入者が詐欺罪に問われていけば、プリペイド式携帯電話の犯罪利用は減少するかもしれません。

2017年03月23日

◆某プロ野球選手の悩み

川原 俊明(弁護士



Q「困っています・・・」
私はT球団のプロ野球選手なのですが、最近調子が良くありません。

ファンからきついヤジを浴びせられたり、メガホンを投げつけられ、さらに調子が落ちてしまいました。

このままでは契約更改で減給必至です!年俸が下がった分を、ヤジを飛ばしたファンに対して損害賠償請求できませんか?

A「お答えします」
民法は不法行為によって損害を被った場合に、損害賠償を請求できるとしています(709条)。

しかし、損害賠償請求が認められるには、加害行為と損害の間に「因果関係」がなければなりません。

あなたの場合、確かにヤジ行為によってあなたが精神的に弱ってしまった可能性はありますが、野球のプレーに影響を与えたといえるかがは別問題となります。

そして、通常のヤジ行為程度であれば、一般的にはプレーに影響が出たりするとは認定されない可能性が高いです。

まして、あなたの場合、ヤジを受ける前から調子を落としているとのことなので、ヤジによって調子を落としたとは認定されない可能性は非常に高いと思われます。

プロ野球選手になった以上、ヤジに負けない強い精神力を養って、今年もがんばってください。


2017年03月19日

◆損害賠償請求の可否

川原 俊明(弁護士)


Q:実は不倫してました・・・慰謝料請求されたくないので、新相方と国外逃亡を決意!
もう請求されませんよね?

A:不倫は民事上不法行為として損害賠償責任を発生させます。
 従って、相手方は貴方を被告として訴訟で損害賠償を請求してくるものと思われます。
 ここで、貴方が国外に逃亡した場合、訴訟上問題がいくつかあります。

 第1 訴状は、貴方(被告)に送達されなくてはなりません。そこで、貴方(被告)の所在が不明の場合、訴状の送達ができずに裁判が始まらないのではないかが問題になります。

 しかし、貴方(被告)の所在が不明だからといって、裁判ができないというのも不合理です。原告の申立により、公示送達(裁判所の掲示板に掲示する)等により貴方(被告)に送達したものとみなされて、裁判が開始されるのが通常です。

 第2 裁判が始まって、貴方(被告)が欠席したらどうなるのでしょうか?

 相手方が主張する事実を貴方(被告)が争わない場合には、これを自白したものとみなされます。従って、欠席すれば、自白したものとみなされて、貴方(被告)の敗訴=損害賠償義務が認められることになります。

 第3 強制執行はどうなるのでしょうか?

 貴方(被告)が所在不明であっても、その不動産や預金等の財産が国内にある限り、判決に基づき強制執行は可能です。

 また、貴方(被告)の財産が国外にしかない場合でも、その国が外国裁判所の判決による強制執行を認めている場合には、原告はその国の裁判所に申し立てて強制執行が可能です。

 以上から、残念なお知らせですが、国外逃亡しても、大丈夫とは言えないでしょう。

2017年03月16日

◆使用者の安全配慮義務違反を理由とする

〜労働者の損害賠償請求と弁護士費用について〜

川原 俊明(弁護士)

 交通事故にあった被害者の方が加害者に対して損害賠償を求める際に、弁護士に委任した場合、被害者は、当該弁護士に対し、弁護士費用を支払わなければなりません。

 もっとも、従来から、交通事故の損害賠償請求訴訟において、裁判所は、被害者が負担すべき弁護士費用のうち相当額を交通事故に起因する損害の一つとして認め、加害者に対し、その賠償を命じています。

 交通事故の損害賠償は、民法上の「不法行為」をその根拠としています。
 他方、労働者が使用者の管理体制の不備により業務中に事故にあった場合は、使用者の安全配慮義務違反、すなわち、民法上の「債務不履行」を根拠として、使用者に損害賠償を請求していくケースが多いです。

 もちろん、労働者としては、交通事故の場合と同様、弁護士に委任して、できる限り優位な立場で賠償を求めていきたいところでしょう。

 では、この場合にも弁護士費用は損害に含まれるのでしょうか。

 これまで、この点に関する裁判所の立場は、明確ではありませんでした。
 そうした中で、今回、最高裁判所が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする労働者の損害賠償請求の場面においても、労働者が負担する弁護士費用を損害として認めましょうという判断をしました(最高裁平成24年2月24日第二小法廷判決)。

 損害を被った被害者にとっては、事故がなければ高額の弁護士費用を支払わなくてもよかったわけですから、法律上の根拠が「不法行為」であろうが、「債務不履行」であろうが、損害として請求したいところでしょう。

 この意味では、一般の市民感覚に沿った常識的な判断であると考えます。