2017年04月17日

◆命名「スシロー」

川原 俊明 (弁護士)



 ご自分で店を始めるとき、自由に店の名前や商品の名前をつけることはできるのでしょうか?

 例えば、個人でお寿司屋さんを経営しようとしたときに、店の名前を「スシロー」と名付けることは、自分の店なので自由に決められて当然であり、違法とは言えないのでしょうか!?

 商品名や役務の提供について、保護する権利が「商標権」であり、商標権について規定するのが商標法です。
 
 商標権は、店名や商品が全国的に有名かどうかは関係なく、商標法上の登録さえすれば、全国的な保護を受けることが可能です。

 冒頭の事案では、すでに株式会社あきんどスシローが「スシロー」を商標登録しているため、「スシロー」という名で寿司を客に提供する行為は、株式会社あきんどスシローの商標権を侵害することになってしまいます。 ((-ω-。)(。-ω-))フルフル

 そして、商標権を侵害又は侵害されるおそれがある場合、商標権者は侵害の停止予防を請求することができます。

このような請求は、相手方の故意・過失を問題としないため、無過失の侵害者に対しても認められます。

 また、商標権の侵害者に対しては、損害賠償請求を行うことも可能であり、その際には、侵害者には過失が推定され、損害額の算定方法についても、特別に規定されています。

 これに対し、以前からある商標を使っていたにもかかわらず、商標の登録をしないままでいる場合に、知らない間に他人がその商標を登録してしまった場合には、従前からの使用者は、登録異議申立てや商標登録無効審判を、特許庁に対して申し立てることができます。

 これらの手続は、専門的、技術的な知識が必要だということで、裁判所ではなく、まずは特許庁に申し立てるという制度になっています。

 このような商標権については、ネットを通じて無料で簡単に検索が可能です。
 というわけなので、もし店名や商品名をつけるようなことがある場合には、まずは検索をかけることをおすすめします。

 スシローは検索するまでもありませんが。(笑)



2017年04月14日

◆うきうきボーナス

川原 俊明(弁護士)



Q 先日、経団連が発表した大手企業の今夏のボーナスの支給状況によると、前年比7%増となったようです。私の会社は逆にボーナスが減ってしまいました!納得できないので訴えて、増額請求することは可能でしょうか?

A 夏のボーナス、景気のいい話ですね!一部は念願のマイホームの頭金として・・・などという妄想はこれくらいに、質問にお答えしましょう!
 
実は、そもそもボーナスというものは法律上、給与とは違う性質で、あくまで、会社からの恩恵と考えられています。
 
この意味で、就業規則や雇用契約で、ボーナスを支払う、となっていない限り、会社側に支払う理由はありません!
 
しかし、仮に、他の方はもらっているのに、自分だけがもらっていない!という場合は別問題です。
 
この場合、会社は、慣例としてボーナスを支給しているものとみなされる場合が多いので、ご自身だけもらっていない場合は会社に訴えかけてみてください。
もし、日頃の勤務態度や、営業成績などを理由にされた場合は、労働局や労基署に相談することも可能です。

ただ、これらに訴えてみたところで、せいぜい勧告書を送ってくれる程度かもしれません。
 
効果的なのは、弁護士に代理人として交渉役となってもらい、内容証明郵便を送り、場合によっては法律違反を理由とした訴訟をすることです。
 
その場合はぜひ当事務所にご相談ください!初回相談料は無料です♪


2017年04月09日

◆私生活上の非違行為と懲戒解雇・退職金不支給

川原 俊明(弁護士)



<わて、どないなってまうん!?>

 Aさんは、B株式会社に25年勤続してきましたが、ある日、お酒を飲んで、痴漢を行い、逮捕され、有罪が確定しました。

 B株式会社は、就業規則に基づき、Aさんを懲戒解雇し、さらに、退職金を支給しないこととしました。

 Aさんは納得できないのですが、法的にはどういう問題があるのでしょうか?

<お答えします!>
1 懲戒解雇の当否
  まず、懲戒解雇は、就業規則に基づくものでなければならず、また、具体的事案に照らし社会的相当性を有するものであることが必要です。

  今回の場合、私生活上の非違行為ですので、具体的に会社の名誉や社会的信用を毀損させ、企業の円滑な運営に支障を来たすおそれがあることが必要とされます。

2 退職金を支給しないことの当否
  次に、仮に懲戒解雇が有効とされる場合であっても、直ちに、退職金を(全部・一部)支給しないことが許されることにはなりません。

 退職金は、功労報酬金としての性格のみならず、賃金の後払い的性格、生活保障的性格を併せ持つものだからです。

 判例では、@非違行為の内容、A使用者の受けた損害、B被用者の会社における地位、C在職中の貢献度などを踏まえ、被用者の永年の勤続の功を抹消・減殺してしまうほどの重大な不信行為があることが必要とされています。
  
  労働問題は生活に直結する重要な問題です。疑問を感じたら、気軽に相談してください♪

2017年04月05日

◆派遣労働者の保護を図っていく時代

川原 俊明(弁護士)


 
労働者派遣法は、昭和60年に制定されて以降、時代の流れに沿って、度々、改正されてきました。

 労働者派遣法第40条の2もそのひとつで、同条は、「派遣先は、同一の業務で派遣可能期間(最長3年)を超える期間、継続して派遣労働者を使用してはならない」と規定しており、これに関連して、派遣先が講ずべき措置に関する指針第14項は、「派遣期間終了後3か月を超えない場合には継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす」と規定しています。

 これによって、3年の派遣契約期間終了後、3か月間のクーリング期間をおくことで派遣労働者の使用をできないようにして派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図っていました。

 ところが、これらの規制をうまくかいくぐるように、派遣契約期間終了後、すぐに3か月間を超える期間(3年と1日)の直接雇用契約をし、その契約終了後、再度、派遣契約をして、実態として、3年超える期間、派遣労働者の継続使用する会社が現れました。

 これは、上記指針の3か月間というクーリング期間を利用して、再度、派遣契約を締結し、これによって、派遣労働者を使用し続けるというものでした。

 これについては、元派遣労働者の派遣先での直接雇用を認めていく方向での判決がなされ、この判決を契機に、派遣労働者の保護を図る以下のような労働者派遣法の改正が行われ、平成27年10月1日に施行されます。

 派遣先が違法派遣を知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなされるという労働契約申込みみなし制度です。

 今回の法改正で、派遣労働者の地位の改善が少しはなされたかと思いますが、まだまだ不十分かもしれません。会社に都合のいいように利用されがちな派遣労働者の地位の向上を図っていくためには、現場にいる派遣労働者の声が裁判所、国会に届けなければなりません。

 上記判決、今回の法改正は、それを実感させるものでした。



2017年03月29日

◆プリペイド式携帯電話の転売

川原 俊明



プリペイド式携帯電話が、犯罪に利用されるようになってから久しくなります。
 
プリペイド式携帯電話は、前払い式の携帯電話で、外国人旅行客や子供による使いすぎ予防等に利用されれば、非常に有用なものです。
 
しかし、日本でプリペイド式携帯電話が販売された当初、購入時の身元確認が不要であったため、犯罪に多用されるようになりました。
 
今では、携帯電話不正利用防止法が施行され、プリペイド式携帯電話も身元確認しないと購入できなくなりましたが、未だにインターネット等を利用して転売され、犯罪に利用されているのが実情です。
 
さて、以上のように、プリペイド式携帯電話が転売されるといっても、購入者は窓口で身分証を提示して購入しなければなりません。
 
その際、転売を目的とするこの購入者は、なんらかの罪に問われないのでしょうか。
 
この点、ある被告人が第三者への無断譲渡を意図してプリペイド式携帯電話を購入した事件について、東京高等裁判所(平成24年12月13日判決)は、「詐欺未遂罪」にあたると判断し、同被告人を1年6か月の懲役(実刑)としました。
 
「未遂罪」となっているのは、窓口の人間が「無断譲渡されない。」と信じたかどうかが分からなかったためです。逆に言えば、窓口の人間が「無断譲渡はされない。」と信じていれば、「詐欺既遂罪」(未遂罪より重い罪)が成立するということです。
 
上記判決が、プリペイド式携帯電話の転売目的に関する他の事件にどこまで適用されるかは分かりませんが、今後、購入者が詐欺罪に問われていけば、プリペイド式携帯電話の犯罪利用は減少するかもしれません。

2017年03月23日

◆某プロ野球選手の悩み

川原 俊明(弁護士



Q「困っています・・・」
私はT球団のプロ野球選手なのですが、最近調子が良くありません。

ファンからきついヤジを浴びせられたり、メガホンを投げつけられ、さらに調子が落ちてしまいました。

このままでは契約更改で減給必至です!年俸が下がった分を、ヤジを飛ばしたファンに対して損害賠償請求できませんか?

A「お答えします」
民法は不法行為によって損害を被った場合に、損害賠償を請求できるとしています(709条)。

しかし、損害賠償請求が認められるには、加害行為と損害の間に「因果関係」がなければなりません。

あなたの場合、確かにヤジ行為によってあなたが精神的に弱ってしまった可能性はありますが、野球のプレーに影響を与えたといえるかがは別問題となります。

そして、通常のヤジ行為程度であれば、一般的にはプレーに影響が出たりするとは認定されない可能性が高いです。

まして、あなたの場合、ヤジを受ける前から調子を落としているとのことなので、ヤジによって調子を落としたとは認定されない可能性は非常に高いと思われます。

プロ野球選手になった以上、ヤジに負けない強い精神力を養って、今年もがんばってください。


2017年03月19日

◆損害賠償請求の可否

川原 俊明(弁護士)


Q:実は不倫してました・・・慰謝料請求されたくないので、新相方と国外逃亡を決意!
もう請求されませんよね?

A:不倫は民事上不法行為として損害賠償責任を発生させます。
 従って、相手方は貴方を被告として訴訟で損害賠償を請求してくるものと思われます。
 ここで、貴方が国外に逃亡した場合、訴訟上問題がいくつかあります。

 第1 訴状は、貴方(被告)に送達されなくてはなりません。そこで、貴方(被告)の所在が不明の場合、訴状の送達ができずに裁判が始まらないのではないかが問題になります。

 しかし、貴方(被告)の所在が不明だからといって、裁判ができないというのも不合理です。原告の申立により、公示送達(裁判所の掲示板に掲示する)等により貴方(被告)に送達したものとみなされて、裁判が開始されるのが通常です。

 第2 裁判が始まって、貴方(被告)が欠席したらどうなるのでしょうか?

 相手方が主張する事実を貴方(被告)が争わない場合には、これを自白したものとみなされます。従って、欠席すれば、自白したものとみなされて、貴方(被告)の敗訴=損害賠償義務が認められることになります。

 第3 強制執行はどうなるのでしょうか?

 貴方(被告)が所在不明であっても、その不動産や預金等の財産が国内にある限り、判決に基づき強制執行は可能です。

 また、貴方(被告)の財産が国外にしかない場合でも、その国が外国裁判所の判決による強制執行を認めている場合には、原告はその国の裁判所に申し立てて強制執行が可能です。

 以上から、残念なお知らせですが、国外逃亡しても、大丈夫とは言えないでしょう。

2017年03月16日

◆使用者の安全配慮義務違反を理由とする

〜労働者の損害賠償請求と弁護士費用について〜

川原 俊明(弁護士)

 交通事故にあった被害者の方が加害者に対して損害賠償を求める際に、弁護士に委任した場合、被害者は、当該弁護士に対し、弁護士費用を支払わなければなりません。

 もっとも、従来から、交通事故の損害賠償請求訴訟において、裁判所は、被害者が負担すべき弁護士費用のうち相当額を交通事故に起因する損害の一つとして認め、加害者に対し、その賠償を命じています。

 交通事故の損害賠償は、民法上の「不法行為」をその根拠としています。
 他方、労働者が使用者の管理体制の不備により業務中に事故にあった場合は、使用者の安全配慮義務違反、すなわち、民法上の「債務不履行」を根拠として、使用者に損害賠償を請求していくケースが多いです。

 もちろん、労働者としては、交通事故の場合と同様、弁護士に委任して、できる限り優位な立場で賠償を求めていきたいところでしょう。

 では、この場合にも弁護士費用は損害に含まれるのでしょうか。

 これまで、この点に関する裁判所の立場は、明確ではありませんでした。
 そうした中で、今回、最高裁判所が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする労働者の損害賠償請求の場面においても、労働者が負担する弁護士費用を損害として認めましょうという判断をしました(最高裁平成24年2月24日第二小法廷判決)。

 損害を被った被害者にとっては、事故がなければ高額の弁護士費用を支払わなくてもよかったわけですから、法律上の根拠が「不法行為」であろうが、「債務不履行」であろうが、損害として請求したいところでしょう。

 この意味では、一般の市民感覚に沿った常識的な判断であると考えます。

2017年03月09日

◆借地借家法38条2項所定の書面の意義

川原 俊明(弁護士)

 

建物の賃貸借を行う場合で、その期間を定める場合のことを「定期建物賃貸借」といいます。

 定期建物賃貸借契約を締結する場合には、『建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借契約は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない』とされています(借地借家法38条2項)。

 このように法が定めるのは、定期建物賃貸借は期間が定められており、賃借人に不利な契約であるため、十分に賃借人に契約内容を熟知させる必要があるからだと考えられています。

 そうだとすると、賃借人が十分に契約内容を熟知している場合には、事前の書面の交付がなくとも、定期建物賃貸借は成立しており、賃貸人は期間が満了すれば賃借人を追い出すことができるのではないかとも思われます。

 しかし、最高裁は「法38条2項の趣旨は契約の更新の有無に関する紛争を未然に防止することにもある」として、書面の交付を形式的、画一的に取り扱うべきであると判断しています。

 つまり、契約書とは別個独立に更新がなく、期間満了で契約が終了する旨記載した書面は必要であり、そのような書面がない場合には、期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなります。

 定期建物賃貸借契約を締結する場合には、書面の存在に十分に気をつけて契約することにしましょう。

2017年03月05日

◆外国人観光客の急増

川原 俊明(弁護士)



 最近、電車を利用していると、必ず外国人観光客を見かけます。

 私は、政府が目標としている「2020年東京オリンピックまでに外国人観光客2000万人」が実現されつつあるのを肌で感じています。

 大阪では、舞洲にカジノを中心としたリゾート総合施設の計画があり、これが実現すれば、まちがいなく政府の目標が達成されるでしょう。

 さて、ここで最近話題になっているのが、外国人観光客のお土産として注目を浴びている日本の商品です。いくつか挙げてみましょう。

 まず、炊飯器です。特に、米を主食とするアジアの人々にとって、日本の炊飯器は、とても性能がよく大人気だそうです。関西空港でも、炊飯器が入った箱を積み上げて運んでいる中国の方たちをよく見かけます。

 次に、爪切りです。海外では、ニッパー式の爪切りが主流みたいで、日本の爪切りのように、コンパクトに折りたためて、しかも切った爪を収納できるのは、非常に珍しいようです。それに、非常に良く切れるとの評判です。

 最後に、最近特に注目を浴びているのが、消せるボールペン、フリクションペンです。

 皆様ご存じでしょうが、特殊なインクを使用することで、ペンに付いているチップで軽くこすると、あら不思議、消えてしまうのです。一定の摩擦熱をインクにあたえることで消えるみたいです。日本には、とてもカラフルな色が揃っており、1箱単位で買って行かれる方も珍しくないそうです。

 これらの商品が外国人に喜ばれているのを聞いて、日本人の私としては、非常に誇りに思うと同時に、お土産として母国に持って帰っていただくことは、アピールするのが苦手な日本人にとって、これ以上の宣伝はないとも思います。

2017年03月02日

◆精神的不調に基づく解雇

川原 俊明(弁護士)

 最近、精神的な不調から、会社を長期休養する方が増えています。会社はそのことを理由に、当該労働者を解雇できるのでしょうか。

 解雇の有効性は、様々な要因から判断されるので一概には言えませんが、要因の一つに、会社がきちんと労働者をケアしたか、があげられます。

 会社がきちんとケアしても労働者の長期休養が終わらなければ解雇も有効だと判断されやすくなりますし、会社がケアもせずに解雇すると無効と判断されやすくなります。

 最高裁平成24年4月27日判決においても、「精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その診断結果等に応じて、必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべき……」とされています。

 上記判決は、当該労働者が、精神的不調の原因が同僚にある旨の主張をしていた事件ですので、そのまま当てはめられるかは分かりません。

 しかし、会社としては、精神的不調により長期欠勤が続いているからといって必ずしも即解雇ができるとは考えない方が良いようです。

 まずは、裁判所に説明できるくらいに、精神的ケアを行う環境を整えましょう。

2017年02月26日

◆ETCレーン内の交通事故

川原 俊明



最近は、ほとんどの車にETCが搭載されています。それに比例して、ETCレーンでの交通事故が多発しています。そこで、ETCレーン内での事故について、判例を踏まえてご紹介したいと思います。

高速道路のETCレーン内でA車が徐行していたところ、その後ろを走っていたB車がレーン内で追突しました。

ETCシステム利用規程8条1項には、「ETC車線内は徐行して通行すること」「前車が停止することがあるので必要な車間距離を保持すること」とされており、ETCシステム利用規則実施細則4条には、「ETC車線内で前車が停止した場合、開閉棒が開かないもしくは閉じる場合その他通行するに当たり安全が確保できない事情が生じた場合であっても、前車又は開閉棒その他設備に衝突しないよう安全に停止することができるような速度で通行」すべきと規定されています。

裁判例では、上記条項を指摘した上で、追突車両に一方的な過失を認めました(A車:B車=0:100!!)。

そして、「仮に、開閉棒が開かない場合で、A車が急ブレーキをかけた場合であっても」、これに追突することは上記規定・違反に反するB車の一方的な過失だとして、A車の過失を否定しています。

事例判断ですので、ケースバイケースな面もありますが、裁判所の基本的な考え方は、ETCレーンに侵入した前方車両がある場合、その後方を走る車両は、万が一、開閉棒が開かなかった場合であっても、追突しないよう、高度な注意義務が課せられているということです。

ETCは、渋滞緩和にもつながる便利なものですが、便利ゆえにより一層注意して利用したいものです。


2017年02月23日

◆戦艦武蔵の所有権

川原 俊明



米マイクロソフト社の創業者の一人であるポール・アレン氏が率いる調査チームが、フィリピンのシブヤン海内の水深1000メートルに沈んでいた戦艦武蔵を発見したそうです。
 
戦艦武蔵と言えば、姉妹艦の戦艦大和とともに第二次世界大戦下では世界最大級の戦艦としてあまりにも有名です。
 
ところで、法律的な観点から見て、今回発見された武蔵の所有権は、誰に帰属するのでしょうか。
 
発見者のポール・アレン氏なのか、もともとの所有者である日本国(当時の大日本帝国)なのか、あるいは、フィリピン国なのか。
 
ちなみに、日本には、遺失物法という法律があります。
 
遺失物法は、遺失物の所有権はもともとの所有者に帰属することを原則としながら、同法28条1項は、遺失物が無事に所有者に返還された場合、所有者は、当該物を拾ってくれた者に対して、当該物の価格の100分の5以上100分の20以下に相当する額の報労金を支払わなければならないと規定しています。
 
とはいえ、武蔵が発見されたのは外国の海底ですので、日本の遺失物法の適用はありません。
 
今回の場合、適用の可能性のあるのは、フィリピン国の法令のほかに、水中文化遺産保護条約、国際法である海事法などがありますが、武蔵の所有権の帰属について明確な回答は難しそうです。
 
もっとも、ポール・アレン氏は、仮に同氏が武蔵の所有権を取得したとしても、これを日本に寄贈するという意向を示しているそうです。
 
最終的には、1944年の沈没から70年以上の時を経て、日本が戦艦武蔵の所有者として認められることになるかもしれません。
 
ただし、フィリピンの領海内なので、日本政府が勝手に引き上げたり、撤去したりはできませんし、海底1000メートルなので観光も難しいでしょう。
 
それにしてもロマンのある話なので、ぜひ映画化期待ですね。題名は「男たちの武蔵」でいかがでしょう?