2016年11月13日

◆相続前サポート 法律コラム

川原 俊明

相続は非相続にが亡くなってから。そう思っていませんか?

結論としまして、それでは遅いと言わざるを得ません。

この場合、遺産分割で揉めてしまうことが非常に多いといえるでしょう。
(相続は「争続」とよく揶揄されます。)

相続前にできる相続サポートをすることにより、紛争の未然防止に役立つことになります。

具体的にはどのようなことをしておくべきでしょうか。

@ 相続人調査
亡くなってから行うことが多いですが、事前に行っておくことも有用です。問題を提起してきそうな人物を抽出したり、未然に合意書を交わすことなど、
相続人調査を行うことで可能となります。

A 相続財産調査
資産の管理については、わかっている部分につきましては、ある程度まとめておいた方が良いでしょう。どの不動産や動産(物)に価値があって、実際に揉める可能性があるのかなど、ある程度、把握しておけば問題の未然防止になります。

公正証書の作成
これを一番オススメする理由は、問題を未然に防止することが目的です。
後々の問題を「法的に」予防することが可能です。
揉めそうな動産・不動産について被相続人を含め、相続人間で決めておけば、
紛争の防止に役立ちます。

以上@、A、Bは、弁護士でなければなかなか出来ることではありません。

相続前にでも、弁護士が入るメリットが多いという点を
ご理解いただければ幸いです。

2016年11月10日

◆不倫案件における弁護士の役割

川原 俊明



ワイドショー、政治家、到るところで、「不倫」というキーワードがワイドショーを賑わせています。

実は、法律上「不倫」は、法律用語ではありません。

民法第752条は、夫婦間の基本的な義務として、貞操義務があると解されています。
貞操義務に反する行為は、不貞行為として離婚理由になることが
民法第770条に定められています。

不貞行為とは、貞操義務に反すること、つまり結婚しているひとが自由意思で配偶者以外の異性と性的交渉を持つことです。

この不貞行為が離婚事由になり、不法行為として損害賠償を求めることができるのです。
(民法第709条)

確かに不倫は、良いことではありません。配偶者の一方を深く傷つけるだけでなく、
子供がいる場合など、言うに及ばずです。

当事務所、不倫案件を数多く扱っていることから、不倫問題でお悩みの依頼者が多数いらっしゃいます。

繰り返しますが、確かに不倫自体は良いことではありません。

しかし、例えば、不倫を行ったものには人権がないのか?
何を請求されたとしても、仕方がないのか?

「毎日土下座に来い」と言われ、従わなければならないのか。

このように考えた場合、弁護士として、相手方と交渉する必要を強く感じます。

慰謝料を支払う場合でも、相手の言い値を支払いするのではなく、適正価格での支払いを交渉したり、会社を辞めることを強いられた場合、越権だとして相手をたしなめたり、

相手方も、弁護士が入るだけで必要以上の要求をしてこなくなる
ケースも多々あります。
(自らも違法だと認識しているのでしょう)

不倫は文化!では決してありませんが、不倫してしまったものを擁護することも、
社会正義の観点から、弁護士としての立派な役割なのだと強く感じています。

不倫問題でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
(弁護士)

2016年11月08日

◆交通事故で健康保険を使うには

川原 俊明



交通事故によって生じた傷害の治療を受ける際、病院は「交通事故は健康保険の適用外です」と言ってくることがしばしばあります。

もちろん、加害者が全部の損害を弁償してくれるのであれば、健康保険を使わなくても問題ありません。しかし、相手方の保険会社から治療費の支払いを拒まれているときなどは健康保険が使えるか否かは死活問題です。

病院側としては、保険診療(健康保険を適用した場合の診療)よりも、自由診療(健康保険を適用しない場合の診療)の方が、利益が多いので、健康保険適用を回避するため、「交通事故は健康保険の適用外です」と言ってくるのです。

しかし、保険診療機関(健康保険が使用できる病院等)においては、健康保険適用の申し出があれば、病院がこれを拒むことは法律上できません。 すなわち、交通事故においても健康保険を使うことはできます。

ただし、交通事故において健康保険を使うためには、被害者が1つしなければならない手続きがあります。

それは、「第三者行為による傷病届」を保険機関(市町村、健康保険組合等)に提出することです。 健康保険は治療費の7割を保険機関が病院に支払いますが、実はこれ、立替払いなのです。

すなわち、本来治療費は、加害者が過失の割合に従って払うべきものですから、これを保険機関が支払えば、その分、後で加害者からもらいますよ、というものです(健康保険法57条)。これを、健康機関から加害者へ「求償」すると言います。

そして、「第三者行為による傷病届」とは、被害者が、この「求償」をしていいですよと、了解するものなのです。

以上のことを理解したうえで、必要であれば、病院に対し保険診療をきちんと求めていきましょう。     (弁護士)

2016年10月28日

◆幼児受難の時代

 
川原 俊明



以前、福岡で小1男児、千葉で保育園女児が、それぞれ幼い命を失ったことを、ふと思い出しました。

人間、生まれてきたからには、肉体が朽ちるまで、思い切った人生を歩む権利があります。

人それぞれに人生があり、運命があります。人生には、苦しみと楽しみがあり、山と谷があります。せっかく生を授かった生命体が、寿命が尽きるまではぐくむことは、神あるいは自然の摂理への義務です。 
 
しかしながら、他人によって自分の人生を打ち切られることは、余りにも殺生な話です。被害者が、生を受けてまもなくの乳幼児であろうが、何十年の人生を享受してきた老齢者であろうが、まったく同じことです。
 
他人を殺害することは、自分の命の尊さすらも理解していないからです。

これだけ文明が進んでも、人間が、細胞一つ、一から作り上げることはできていません。細胞の遺伝子を変える技術があったとしても・・・。
 
生命の神秘は、まさに神のみぞ知る分野でしょう。ましてや、幼児には、多くの未来が待っています。
 
福岡の小1男児の場合、たとえ多少の発達障害があったとしても、その男児は、寿命が尽きるまで人生を享受する権利があったはずでした。犯人とされる母親に、たとえ多くの事情があったにせよ、男児の生を奪うことは許されないことです。

ただし、往々にして、人の殺傷事件の背景には、社会問題が山積していることも事実です。経済問題、介護問題、環境問題、医療問題など、社会のるつぼの中に、多くの事件の発生があります。
 
この世の中から、少しでも犯罪をなくすには、平和で、多くの人が幸せを感じる社会環境が必要だと思います。それぞれに人生があります。
 
互いを思いやり、命の尊さを理解することが大切なことです。
                             (弁護士)

2016年10月17日

◆死刑論議について

川原 俊明(弁護士)



私は、法律家の立場から考えても、死刑容認論と死刑廃止論について、多くの皆さんが、冷静に、且つ、徹底的に議論すべきではないかと思います。目には目を、歯に歯を。

紀元前に制定されたハムラビ法典が、現代の社会にそのまま反映すべきでないのは当然です。しかし、法律というものは、神が創るのではなく、その時々の社会の常識の集大成である、という理解が必要です。

法律は、そのときどきの社会の鏡です。法律は、社会の認識を反映しているのです。

現代日本の社会では、なぜ死刑廃止論が多数を占めないのでしょうか。いくら、日本弁護士連合会が、死刑廃止論を観念的に主張しても、国民の多くは、受け入れていないのが現実でしょう。

日本の社会は、基本的に村社会なのです。お互いの寛容をもとに、日本の社会が成り立っています。多少のことをしても、村社会の掟からはずれさえしなければ、寛容の精神で物事は解決されていきます。

ところが、一旦掟を破れば、社会は、徹底的に排斥します。殺人行為など、その典型でしょう。殺人行為を認容していれば、その社会は成り立ちません。人間社会の根源を揺るがす行為なのですから。但し、殺人行為が、直ちに死刑であるべきだ、という訳ではありません。

殺害に至るには、通常、さまざまな背景事情があり、それを斟酌した上で、処罰を決める必要があります。ときには、死の苦しみに匹敵する被害者が、殺人の加害者となることもないわけではありません。その意味で、決して、目には目を歯に歯を、の考えを鵜呑みにする訳にはいかないのです。

一方、死刑廃止論の背景には、人間社会の希薄さを感じます。

誰が死のうが、その被害者に家族がいてもいなくても、どんな残虐な犯行であろうとも、殺人犯人を、刑務所で更生させることが人権擁護である、と。こんな抽象的な「刑事政策的」議論は、まるで人ごとでしょう。

日本の刑事裁判においては、何人もの殺害行為がなされた事案でも、弁護人の要請により、精神鑑定がなされたうえで、裁判官が慎重な審理をします。しかも、特定の裁判官の判断のもとで、誤った結論をだしてはいけないので、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所といった三審制がフルに使われ、多くの裁判官の関与により、はじめて死刑判決が確定されるのです。

裁判官の立場から、どんな極悪犯人であれ、被告人に死刑判決を言い渡すことが、どれだけのプレッシャーであるかを理解すべきです。死刑論議は、この点の、前提事実を、無視して展開されています。

「死刑判決」をうけた死刑囚に、絞首刑をするのは、死刑囚の人権を侵害するものだ、とかの意見があります。死刑判決を受けざるを得ない事案は、犯人が、生きて更生させるには、あまりにも残虐非道であるからこそ、死の償いもやむを得ないとの判断があるのです。死刑にしてしまえば、冤罪の回復はない、との議論もあります。

しかし、これも現実離れの議論です。

戦前はともかく、戦後日本で、冤罪の可能性の極限の案件で、いとも簡単に死刑執行された事案があるのでしょうか。逆に、何人も人を殺害しておいて、殺意がなかった、とかの議論が、通用するのでしょうか。

法務大臣の死刑執行は、それこそ事案を慎重に検討し、やむなく法に基づいて実施されるのです。
 
わたしは、死刑制度の存在が望ましい、といっているのではなく、死刑判決をしなくてもいい平和な社会が欲しい、と言っているのです。
 
弁護士が、死刑容認論を展開すると、何か奇異に受け止める人がいます。しかし、弁護士は、法律を大切にし、今に生きる人々の気持ちを理解できる法律家でありたいと思っています。(完)(再掲)

2016年10月08日

◆「偽」のレッテルを貼られるな

 川原 俊明(弁護士)



確かに、賞味期限改ざんや、食品の内容を偽った食品業界の「偽」がマスコミを騒がせました。
 
それも新進企業に限らず、100年を超える老舗とされる企業ですらも、「偽」が常態化されているのは、何とも弁解の余地がありません。

もちろん、賞味期限の経過により、食品が直ちに毒物に代わることはまれであるにせよ、消費者から見れば、食品あるいは、食品会社に対する信頼を揺るがす大きな問題となりました。
 
しかも、食品会社だけでなく、大手・建設会社でも、高層ビル建築にあたり、鉄骨の数量不足が露見したり、建設資材製造会社が、品質を落としていたりして、「日本製品」への信頼を揺るがす一年でした。
 
この現象は、世界的に見ても、日本が、あらゆる分野で生ぬるい国となり、賞味期限が切れかかった国になりつつあることを示しています。今のうちに手綱をきつく締め直し、精神的にも物質的にも日本の国を立て直すことが不可欠です。
 
弁護士業界も同じことが言えます。

弁護士業界が、いまだに、昔と同じギルド制度でエリートの立場が守られていると固く信じて疑わない老獪弁護士。たかが司法試験を合格したくらいで、そのことを自慢するしか能のない弁護士。社会常識すら分からない弁護士・・・。


これら、老若を問わず、賞味期限切れの弁護士が多い現実を憂います。弁護士業界にも、「偽」のレッテルを貼られないようにしなければなりません。

我が法律事務所も 心機一転のつもりで、大いにがんばろうと思います。(了)

2016年10月04日

◆幼児受難の時代

川原俊明(弁護士)


福岡で小1男児、千葉で保育園女児が、それぞれ幼い命を失うことがありました。

人間、生まれてきたからには、肉体が朽ちるまで、思い切った人生を歩む権利があります。

人それぞれに人生があり、運命があります。人生には、苦しみと楽しみがあり、山と谷があります。せっかく生を授かった生命体が、寿命が尽きるまではぐくむことは、神あるいは自然の摂理への義務です。 
 
しかしながら、他人によって自分の人生を打ち切られることは、余りにも殺生な話です。被害者が、生を受けてまもなくの乳幼児であろうが、何十年の人生を享受してきた老齢者であろうが、まったく同じことです。
 
他人を殺害することは、自分の命の尊さすらも理解していないからです。

これだけ文明が進んでも、人間が、細胞一つ、一から作り上げることはできていません。細胞の遺伝子を変える技術があったとしても・・・。
 
生命の神秘は、まさに神のみぞ知る分野でしょう。ましてや、幼児には、多くの未来が待っています。
 
福岡の小1男児の場合、たとえ多少の発達障害があったとしても、その男児は、寿命が尽きるまで人生を享受する権利があったはずでした。犯人とされる母親に、たとえ多くの事情があったにせよ、男児の生を奪うことは許されないことです。

ただし、往々にして、人の殺傷事件の背景には、社会問題が山積していることも事実です。経済問題、介護問題、環境問題、医療問題など、社会のるつぼの中に、多くの事件の発生があります。
 
この世の中から、少しでも犯罪をなくすには、平和で、多くの人が幸せを感じる社会環境が必要だと思います。それぞれに人生があります。
 
互いを思いやり、命の尊さを理解することが大切なことです。

2016年09月19日

◆涙の刑事裁判

川原 俊明 (弁護士)



被告人を処罰すべき刑事裁判で、被告人も弁護人も涙を流す光景は、めったにありません。某地方裁判所での、刑事法廷の出来事でした。


被告人が刑事裁判にかけられている罪は、今はやりの詐欺事件。騙されやすい高齢者を相手に、警察官を装い、「某会社に、リフォーム工事を依頼したことがありますね。その会社が不正を働いたので、警察を通じてお金を返すことになりましたが、手続上、あなたから、まずお金をお預かりしないと行けないのです。」といって,お金を騙し取ったというものでした。


犯罪それ自体は、決して容認されるべきものではありません。私達弁護人としても、被告人には、接見(面会)のたびに、二度と罪を犯さないよう厳しく問い詰めて来たのです。


これを担当するK弁護士。
刑事弁護について、一つの信念を持っています。弁護士たるもの、言い渡された刑事判決の量刑の軽さを手柄のごとく自賛するだけでは、かえって被告人の再犯を助長するようなものである。


被告人に、犯罪の重大さと比べて、判決内容が「この程度で済んだ」と勘違いさせるのでは、本来の刑事弁護の目的に反する、と。弁護士は、被告人に有利な事情を引き出すことが当然の職責としても、裁判所、検察庁とともに、司法の一翼を担う立場にあります。


弁護士は、被告人が犯罪者であることに間違いなければ、十分な反省と再犯防止策を講じさせ、更生の決意を抱かせなければなりません。「社会を良くする」「社会から紛争を少しでもなくす」こと信念に、刑事弁護にチャレンジするK弁護士。


刑事法廷では、被告人に対する検察側の立証を終え、次に弁護側の情状立証に入るところでした。情状証人に予定されていた被告人の奥さんが、むずがる幼い男の子を脇に抱えながら、傍聴席を出て、証人席に立とうとしたときのことです。


裁判長が、被告人の奥さんに、「その子は被告人の子ですか。」と確認したあと、「被告人に抱いてもらっておいて下さい。」。


裁判長は、奥さんが抱えていた子供を、一時的にせよ、身柄拘束をうけて刑事裁判中の被告人に託することを許可してくれたのでした。約5か月もの期間、勾留状態にある被告人にとって、妻子が毎日のように拘置所に面会に来てくれていたものの、面会室では、もちろんガラス越しの話ゆえに、肌の触れ合いができなかったため、被告人もびっくり。


慌てて我が子を抱きしめ、奥さんの情状証人が終わるまで、幼い子は、ずっと被告人の膝の上にいたのです。その間の被告人。ぐずっていた子供に代わって、被告人自身が感極まって涙を流し続けていました。


30年弁護士生活を送っているK弁護士。裁判長のこんな粋な計らいは、初めての経験でした。K弁護士、早速、被告人質問で尋ねました。


「今、裁判長のご配慮で、子供さんを抱かせてもらったけれど、どんな思いでしたか」。
被告人「うれしかったです。ありがとうございました。子供のためにも立派に更生するつもりです」。


泣きながらの被告人の言葉に、被害者や、被告人の家族達が見守る傍聴席から、すすり泣きが聞こえてきました。そしてK弁護士の目にも・・・。


K弁護士「あなたが罪を犯していなかったら、毎日のように子供を抱けるのですよ。いかに罪を犯すことが愚かであることを自覚しましたか」。
被告人「もう二度と罪を犯しません」。
被告人の言葉は、子供を抱えた温かみが裏打ちされていました。

裁判翌日の毎日新聞朝刊に、大きな見出しが載っていました。
「むずがる長男 被告の腕に」、「裁判官 開廷中に促す」、「家族のために更生したい」。


裁判長の英断に、被害者と被告人、そして家族が涙した刑事法廷が生まれ、そこには、被告人の更生への硬い決意が響いていました。(了)   (再掲)





2016年09月15日

◆行政書士は離婚相談に応じられないのか

川原 敏明



大阪弁護士会が、NHKドラマで、行政書士さんが離婚問題をアドバイスするシーンに、クレームを付けたそうです。弁護士以外の者が、報酬目的で法律事務を取り扱うことは弁護士法に違反することになり、行政書士さんの違法な場面を放映するな、というのです。

たしかに、その場面だけをとらえたら、大阪弁護士会の言うことも、わからないではありません。

でも、行政書士は、官公庁に提出する文書の作成が仕事の内容です。依頼者から、離婚に関連する書類を作れと言われ、離婚すべきか、離婚のメリット・デメリットを説明するのも、行政書士の仕事でしょう。

私は、今回の大阪弁護士会のやり方を見て、思いました。ゲスな言い方をすれば、なんと「ケツのアナがちっちゃい」のか。大阪弁で言えば、「ミミッチイ」問題提起をしたものだ、と。

今回の大阪弁護士会の問題提起の背景は、明らかに、弁護士人口増大に伴う弁護士業務の囲い込み、があります。

しかし、私は、弁護士側に問題があると考えています。

今までの弁護士。多くの人が離婚問題を悩んでいるのに、どれほどの弁護士が、真剣に取り組んできたのでしょうか。離婚に関連する年金問題など、新しい法改正に、適切に対応できる弁護士がどれほどいるのでしょうか。

超難関の司法試験合格にあぐらをかいてきた弁護士の傲慢な態度に、庶民の悩みをともに解決しようとする姿勢が見えないのではないでしょうか。

弁護士も、幅広い法律知識を駆使し、行政書士に負けない努力をすべきでしょう。弁護士が、真剣に、心の底から依頼者の悩みを受け止めて、あらゆる観点から法的措置を講ずるならば、行政書士に負けない仕事ができると思います。
 
ましてや、離婚裁判など、弁護士しか代理行為ができないのですから

2016年09月07日

◆植物状態からの回帰

川原 俊明



交通事故の恐ろしさは、現実に被害を受け、後遺症に苦しんだ人でない
と、なかなか理解できません。車社会では、便利さが優先される反面、
一つ間違うと、車が他人を傷つける凶器ともなり、鉄の棺(ひつぎ)に
もなり得るのです。

予期せぬまま、他人の過ちにより、一瞬にして人生に終止符を打たれ、
あるいは、何十年にわたり精神的肉体的苦痛を負わせられる現実。これ
らが如何に不条理なことか。

現在の法制度の下では、交通事故紛争では、治療費や車両損害など、目
に見える実損害の補填が原則的です。慰謝料という名の精神的損失補填
は、裁判所の基準があるにせよ、欧米に比べれば、まだまだお涙程度で
す。被害者は明らかに損をする。これが現実です。

依頼者のS夫妻には、大学生になった最愛の1人娘がいます。その娘が
こともあろうに交通事故被害者となり、文字どおり、瀕死の重傷を負っ
たのです。娘さんは、一命を取り止めたものの、重度の被害者となりま
した。一時は、意識が全くなく、植物人間として一生を終わりかねない
状態でした。

ベッドの上で、かろうじて息をするだけの娘さん。食事・排泄など、生
存に必要な行動は、一人では、何もできない状態です。ご両親のS夫妻
は、娘さんの現実を突きつけられ、娘さんの介護にその後の人生を賭け
ることを決意。

S夫妻は、今までの職場や仕事をすべて投げ打つことになったのです。
1日24時間の介護なくして生きられない娘さんを前にしたご両親の決断
には、心を打たれるものがありました。

客観的には、娘さんの命と、S夫妻の早すぎる退職との引き替え。それ
だけに、ご両親の決断に頭の下がる思いがしました。S夫妻にとっても、藁をもつかむ思いだったのでしょう。娘さんのために、少しでも回復手段があれば、どんなに高額な治療法であろうと、借金をしてでも、それに頼ろうとしてきたのです。

その1つが、脊椎御策電気刺激療法(DCS療法)。DCS療法は、頸
髄背側に挿入した電極で患者に電気刺激を与えて、脳や末梢神経を刺激
し、意識の活性、除痛、筋緊張の緩和を図る治療法です。もちろん健康
保険で使える治療法ではありません。

わかりやすく言えば、毎日一定の時間、患者に対し、持続的に電気刺激
を与える、という治療法です。植物人間状態、あるいは、それに近い症
状といわれる遷延性意識障害患者。この人達に対するDCS療法の臨床
症状改善率は44.3%でした。

これを聞きつけたS夫妻。約1000万円もの借金をして、娘さんに、この
治療法を試みたのでした。当初、保険会社は、このような高額医療は、
交通事故と因果関係がないとして一切の支払を拒否しました。その結果、
S夫妻は、その借金の返済に負われる事態に陥ったのでした。娘さんの
自由を奪われ、しかも多額の借金を抱えるS夫妻。

私は、S夫妻の窮状を見かね、この分野の権威であるY医師を訪ねまし
た。Y医師からDCS療法の内容および有効性について教授を乞い、資
料や文献を借りて、研究成果を裁判に活かすことにしました。

Y医師によるとDCS療法の有効例は、若年者であること、頭部外傷に
より植物症となった場合であること、早期治療の場合であること、脳全
体の萎縮が顕著でないこと、障害領域が広範囲でないこと、などの要件
を満たす場合ということでした。

娘さんは、幸いなことに、有効例とされる要件をすべて満たしていまし
た。療法開始後1か月。ついに、奇跡が起こったのです。いままで、生
活反応が全く見られなかった娘さんに、開眼、追視、笑顔が出てきたの
です。その後も、徐々に回復が見られ、手指を用いての若干の意思表示
ができるまでになりました。そして今回、朗報がやってきました。

S夫妻と娘さんを原告として提訴した交通事故に基づく損害賠償請求訴
訟の判決において、DCS療法の有効性が認められたのです。その結果、
DCS療法にかけた巨額の治療費負担が、交通事故との因果関係のある
損害の1つとして認容され、保険会社から支払を受けられるようになり
ました。

この判決は、まさに画期的な先例となりました。まず交通事故被害の中
でも、最も深刻な植物症に陥った人や、その家族に光を与えることにな
ったのです。同時に、DCS療法の数多くの臨床例の重りが、治療法の
改善に結びつき、さらなる医療の進歩を遂げることになったからです。
 
今回の事例は、交通事故被害救済の一つですが、他の被害者の救済にも
大いに目を向ける必要があります。そして何よりも、「被害者が損をす
る社会そのものを是正」しなければなりません。法改正あるいは法解釈
の弾力化により、弱者救済を図り、公平な社会を築く必要があります。(了)    
(弁護士法人 川原総合法律事務所)

2016年09月06日

◆予想を下回る「年金離婚」者数

川原 俊明

平成19年度4月、そして、さらに平成20年4月の法律改正により、厚生年金の離婚時分割制度が実施されるようになりました。
  
長年にわたり家庭内別居を続けてきた仮面夫婦。

この法案が審議されていた頃、彼らに朗報、とばかり、マスコミが騒ぎたてた年金離婚。年金分割制度の実施を機会に、平成20年4月以降、熟年離婚の急増が想定されていたのです。

ところが、意外な現実が判明しました。年金分割制度が実施されて約1年経過した統計では、なんと、「年金離婚」者数は、予想を下回っていたそうです。

様々な要因が考えられます。私は、次のように分析しました。

@分割制度への幻滅

分割額は、夫の厚生年金額の半分ではない。
分割制度は、夫名義の厚生年金額が、そのまま妻に半額分割されるものでないのです。
この理解が、徐々に浸透してきたのでしょう。

平成19年4月以降に離婚した夫婦は、それ以前の婚姻期間中の保険料納付記録が、2分の1を上限に、請求によって初めて、分割されます。夫の厚生年金額全体の半分分割、という幻想は、これで、醒めてしまいます。

A相続の方が得
 
せっかくの年金分割が、この程度か、となると、発想が代わります。ここまで我慢してきたのだから、もう少し、ついでに我慢しておこう。

どうせ、男の平均寿命は、女よりも、6歳ほど短いのだから、離婚で経済的に苦労するよりも、たっぷり、相続でもらったほうがいい。 この方が正解かもしれません。

B余りにも不況

不況下で生き延びるには、夫婦共同体がいい。
たとえ年金を分けてもらっても、この不況下で、別々の生活を営むには、経済環境が余りにもお寒い。
一から生活を始めることの経済的負担がどれほど大きいか。

多くの賢明な仮面夫婦さん。
夫婦は、いつまでも仲良くするものです。(完)
                         <弁護士>

2016年08月25日

◆離婚年金分割の実態

川原 俊明



平成19年4月施行、平成20年4月施行、と2回に分けてなされた年金法改正。簡単に言えば、夫婦でいた期間に、掛け続けてきた厚生年金記録を、離婚の際に分けましょう、というものです。

サラリーマンは、将来の年金受領を見越して、毎月の給与から、厚生年金負担料を源泉徴収されています。事業主が、負担料の半額を負担しているので、源泉されるのは、半額相当分です。

給与からの天引きですから、勤務者であるサラリーマンの名前で年金負担料を納めることになります。一方配偶者Aさんが得た給与は、他方配偶者Bさんの内助の功を考慮するとき、夫婦の共同収入と見るべきです。
ですから、他方配偶者Bさん(3号被保険者 サラリーマンつまり2号被保険者の配偶者のこと)にも、将来の年金受領にあたって、一方配偶者Aさん名義の年金記録を分け合うのは、いわば当然、ともいえるのです。

改正前は、どんなに婚姻期間が長くとも、どんなに夫Aさんが高収入でも、離婚すれば、夫Aさん名義の厚生年金(標準報酬部分)は、全額、夫Aさんのものでした。離婚した妻Bさんには、夫Aさん名義の厚生年金を分けてもらうことがなかったのです。

高齢化社会のもとでは、離婚配偶者の生活を維持するため、当然、年金分割による生活財源の確保が必要でしょう。平成19年4月施行の年金改正法は、離婚配偶者に年金分割による生活財源確保の道を開きました。

しかし、この法律には、まだまだ問題が残されています。

今でも、離婚によって、当然に、年金が分割されるわけではありません。あくまで、「分割請求」という意思表示を必要とし、「5割を上限」とするものです。しかも、3号被保険者という立場の配偶者だけが、改正法の恩恵を受けます。

しかし、平成19年4月法律施行だから、その4月1日以降に離婚した人が対象でなければならない、というのは、理論的に、当然の結論ではないのです。(現行の法律ではできませんが)

今回の改正法は、施行日以前に離婚した元配偶者の立場にある人は、全く保護の対象外となっています。離婚配偶者の生活保護という観点から考えれば、法律施行日以降の離婚者だけに保護を限る必要はないでしょう。

夫婦平等、夫婦共有財産の認識の深まりを考えれば、この法律をさらに改正し、平成19年4月1日以前の離婚配偶者にも、当然のように、年金記録の分割をすべきでしょう。

さらにいえば、3号被保険者という立場以外の離婚配偶者の生活保護も、私たちは真剣に考えるべきです。    (弁護士)
 

2016年08月16日

◆相続前サポート

川原 俊明


相続は被相続人が亡くなってから。
そう思っていませんか?

結論としまして、それでは遅いと言わざるを得ません。
この場合、遺産分割で揉めてしまうことが
非常に多いといえるでしょう。
(相続は「争続」とよく揶揄されます。)

相続前にできる相続サポートをすることにより、
紛争の未然防止に役立つことになります。

具体的にはどのようなことをしておくべきでしょうか。

@相続人調査
亡くなってから行うことが多いですが、
事前に行っておくことも有用です。

問題を提起してきそうな人物を抽出したり、
未然に合意書を交わすことなど、
相続人調査を行うことで可能となります。

A相続財産調査
資産の管理については、わかっている部分につきましては、
ある程度まとめておいた方が良いでしょう。
どの不動産や動産(物)に価値があって、実際に揉める可能性があるのかなど、
ある程度、把握しておけば問題の未然防止になります。

B公正証書の作成
これを一番オススメする理由は、
問題を未然に防止することが目的です。
後々の問題を「法的に」予防することが
可能です。

揉めそうな動産・不動産について被相続人を含め、
相続人間で決めておけば、紛争の防止に役立ちます。

以上@、A、Bは
弁護士でなければなかなか出来ることではありません。

相続前にでも、弁護士が入るメリットが多いという点を
ご理解いただければ幸いです。

〒530-0047
大阪市北区西天満2丁目10番2号 幸田ビル8階
弁護士法人 川原総合法律事務所
弁護士 川 原 俊 明
ホームページ http://www.e-bengo.com