2009年07月02日

◆「水際作戦」に傾倒した理由



石岡荘十

新型インフルエンザ襲来に、まず政府がとった対応策は水際作戦だった。なぜか。

かねてから、新型インフルエンザには潜伏期間があって、帰国したときにはまだ症状が出ていない人が多いはずなのに、なぜあんなに水際作戦オンリーの対策にこだわったのか不思議に思っていたが、その謎が解けた。理由は

「国として何もしないわけにはいかないでしょう」だった。尾身茂・新型インフルエンザ対策政府専門家諮問委員会委員長(自治医大教授、もとWHO西太平洋事務局長)にじかに話を聞く機会があって、筆者の質問に彼はそう答えた。

新型インフルエンザを迎え撃つ行動計画(ガイドライン)は2月、すでに出来ていたのだが、いざそれが現実となると、「さてどうするか、とりあえず検疫だ」と迷いながら行動を開始したと受け取れるのである。

「検疫」とは、具体的には「水際作戦」のことで、検疫法に基づいて、厚労省が行う行政行為である。

目的は、検疫法の第一条に「国内に常在しない感染症の病原体が船舶又は航空機を介して国内に進入することと防止する」と明記されている。公衆衛生や感染症の専門家としては、この検疫法をまず思い浮かべたに違いない。

この法律は昭和26年に制定され、平成18年に改正されているが、その原型は戦前に遡り、「国家権力が病人を隔離することにより、伝染病の蔓延を防ぐ」という規範意識に立脚するという。検疫法では、検疫所長に強い権限が与えられ、患者を見つけ次第、病院に隔離することができる。

また、機内で患者と濃厚に接触した者を「停留」することができる。検疫所長の指示に従わなければ、罰則を受ける。検疫法35条に、「隔離又は停留の処分を受け、その処分の継続中に逃げた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と記されている。

振返ってみると、宇宙服のような防護服に身を固めた検疫官が成田で開始したのは4/28のことだった。

メキシコ、カナダ、米国本土からの便の機内検疫を始めた。はじめの360人ほどの検疫官では対応できず、厚労省は5月末までに防衛省や国立病院など15機関から実に延べ2450人の医師や看護師をかき集めた。その様子は連日テレビニュースのトップで報じられ、国民の危機感をいやがうえにも煽った。

この検疫で捕捉した患者は5人。この人たちと接触した人(濃厚接触者)は10日間、ホテルに缶詰、隔離・軟禁される事態となった。ホテル周辺には逃亡阻止のための警察官配置し、「軟禁状態」にした。厚労省相が節目でもないのに会見をして大見得を切った。

この風景は、アメリカのメディアを通じて、広く世界に報道された。こうなると国際的な疑問符に耳を傾ける余裕などなくなっている。ひたすら、検疫法で決められた通りの対策に突っ走ったのだった。機内検疫を中止したのは5月22日だった。

水際作戦については当初から水際作戦はナンセンスであるという批判が、WHOはじめ、あちこちから聞こえてきていた。
http://www.melma.com/backnumber_108241_4480925/

要するに、水際検疫を有効と評価した学術論文はなく、WHOも「歴史的にも成功した例はない」と発表したのである。

これに対して尾身委員長は、参議院予算委員会(5/28)で「国内感染を遅らせる一定の効果はあった」と国の水際作戦を擁護した。2500人を動員し、10万人を越える旅行者のスクリーニングの結果、5人の“容疑者”を見つけたに過ぎない初動策を、評価できると言い張った。

成田ですり抜けた感染者が国内で見つかった。この点を質すと尾身委員長は、「水際作戦に力を入れすぎた結果、国内での防疫対策に抜かりがあったかもしれない」と今になって、水際作戦の行き過ぎをしぶしぶ認めている。

成田で、発熱した患者を見つけるためにサーモグラフィー300台(1台の通常価格100数十万円)を倍以上の300万円で緊急調達している。それで発見したのは5人に過ぎなかった。費用対効果の点でも水際作戦が失敗だったことが明らかになった。

空港で監視を強化し、新型ウイルスが侵入しないよう徹底した防疫網を張って水際作戦を実行したのは、世界中で日本と北朝鮮だけだった。世界が奇異な目で見るはずだ。

検疫騒動は「政府は一生懸命やっています」という政治的なパフォーマンスに過ぎなかったのだ。

新型インフルエンザ蔓延の勢いは、日本では一服している。が、これから冬を迎えるオーストラリアをはじめとする南半球では毎日100人以上が感染している。間もなくこの勢いは、北半球に戻ってくる、第二波の襲来が懸念されている。

厚労省は6/26、第二波を控えた行動計画を大きく転換し、都道府県に基本的な運用方針を事務連絡した。新型インフルエンザ発生以来、これが86通目の事務連絡である。これらは事実上の命令であり、逆らうと後の仕返しが怖い。

連絡文書作成を検討する前段での担当者による会議録が手に入った。その文書の中で、興味深い何行(発言の一部)かを発見した。

・「基本的な考え方(哲学)として重傷者をなるべく減らすこと、個人はなるべく感染しないようにすること」
これが運用哲学だそうだ。ばかばかしくて笑ってしまう。
・「(感染の)封じ込めは現実的でないこと」
・「流行の『防止』はパーフェクトであることを求められるので、『縮小』等の語を用いた方がよい」
さすが官僚作文。面目躍如たるものがある。

尾身委員長。
「妊婦が死んだりすると、社会的なインパクトは大変だから、基礎疾患のある人で重症化しやすい患者を重点的に診ていくことになる」そうだ。あとは知らない、とでも言いたげだ。

感染予防法により、国内患者の感染予防・治療対策は、「地方自治体の責任」が謳われている。要するに、国はお手上げ。皆さん頑張ってというメッセージである。
頑張りましょう!

2009年06月29日

◆無国籍者のアイデンティティー




                          石岡 荘十

横浜中華街西門から徒歩数分ほどのところに、古い中華料理店がある。店の経営者、陳福坡(チョン・フウプー)氏は無国籍者である。身長183センチの堂々たる威丈夫で今年米寿。中華街の華僑、最長老だ。

彼は中国・牡丹江生まれで第二次大戦末期、八路軍に追われ蒋介石に従って台湾(中華民国)へ渡った。そこから日本の大学へ留学、同じ台湾の女性と結婚、中華街で商売を始めた。ところが中国大陸では、毛沢東率いる中華人民共和国(中共)が生まれ、1972年、日本は中共を唯一合法的な政府であるとする日中共同声明。

台湾政府(中華民国)のパスポートで日本に来ていた陳氏は国籍を失った。日本と国交のない台湾国籍は失効した。つまり無国籍者となってしまった。

このような場合、国籍はどうなるのか、採るべき選択肢は3つ。

1.改めて、中華人民共和国の国籍をとる
2.日本に帰化する
3.無国籍のままでいる

陳氏は、中華民国(台湾)国民であり続けることに強くこだわった。1.の中華人民共和国の国籍も、まして、2.の日本帰化の道も選ばなかった。つまり台湾人としての主体性、アイデンティティーをしっかりと持ち続ける決意をしたのだった。

無国籍、つまり日本人でも外国人でもないという宙ぶらりんの状態の住民は、住民ではない。従って、選挙権はない、健康保険に入れない、パスポートが取れない、つまり自由に海外旅行ができないなど、日本人、あるいは、国交のある国のパスポートを持っている人には当然与えられる権利も認められず、日常生活でさまざまな差別を受ける。

「そんな意地を張らず、帰化すればいいじゃないか、いやなら荷物をまとめて出て行け」という“国粋主義者”もいるが、陳氏にとっては日常生活の不自由と引き換えに、台湾人としてのアイデンティティーを放棄することはできなかった。

陳天璽(CHEN Tien-shi)はそんな福坡氏の6番目の子(三女)として、1971年、中華街で産まれた。中華街の路地が彼女の遊び場だった。

小中はアメリカンスクール、高校は地元の公立高校、そこから筑波大学に入学して修士課程へ進み、在学中にハーバード大学客員研究員、母校で博士号を取った。

北京語、英語、日本語を自由に話すトリリンガルの才媛である。が、アヒルの子は所詮アヒル。アメリカなどでは、出生地の国籍を自動的に取得する生地主義だが、日本ではそうはいかない。この国は血統主義を採っているからだ。つまり日本では無国籍の子は無国籍の頸木から逃れることができず、無国籍だった。

この間に経験したさまざまな無国籍であるが故の差別、特に海外の無国籍者調査のため出入国のたびに強いられる、煩雑な手続きにはうんざりした。だがこのことが却って、彼女を「国家と個人の関係」「世界の無国籍者はなぜ?」の研究に駆り立てた。

古くは、アンネ・フランク、スタルヒンら白系ロシア人たち、最近では沖縄の無国籍児(アメラジアン)、フジ子・ヘミング、赤軍派重信房子の娘、メイさん、そして華僑も皆無国籍だった。

なぜ? 世界に足を伸ばし、研究を効果的に行うために、親の考えに逆らって日本に帰化、赤い表紙のパスポートを取得した。しかし戸籍登録手続きの中で、係員の勧めにもかかわらず、台湾人としてのアイデンティティー、陳天璽という親からもらった名前の改名には強く抵抗し、残した。

女優池上季実子に似た彼女は、話し相手から視線をそらさずじっと聞き取る。

現在、国立民俗学博物館准教授。研究を通して国家とは何か、ユニークな視点から彼女は研究生活をつづけている。家族、個人、国家、自らの生い立ちから、20カ国に及ぶこれまでの調査・研究の一部が、ノンフィクションの形で著作にまとめられている。

『無国籍』(新潮社 2005年1月)

http://www.amazon.co.jp/%E7%84%A1%E5%9B%BD%E7%B1%8D-%E9%99%B3-%E5%A4%A9%E7%92%BD/dp/4104740012

「無国籍者こそコスモポリタンだ」と彼女は思っている。

子供にアメリカ国籍を持たせたいと、ハワイへ行って出産するバカ女が相次ぐ時代である。

国籍の重みを再認識するためにも、一読をお薦めする。

なお、中国人で初めて芥川賞(「時が滲(にじ)む朝」)を受賞した楊逸(ヤンイー)さんは、彼女の従姉妹に当たる。2009.06.23

2009年06月22日

◆日本から外科医がいなくなる



石岡荘十

NPO、「日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会」(略称:CENS)が旗揚げし、医療制度の改革に向けて運動を展開することとなった。

理事に、もと東北大学病院長で日本外科学会理事長の里見進氏、もと慶應大学医学部長で来月国際医療福祉大学学長に就任する北島政樹氏らが名を連ねている。

CENSによると、日本では平成16年現在、医師の数は256.668人で、この8年間に11パーセント増えている。だがこの医師の数はOECD各国の平均に達しない。日本では、あと14万人の医者が必要だと言われる。

この8年間の診療科別の増減を見ると、社会問題となっている産婦人科が1パーセント減の横ばい(12.000人)、小児科が6パーセント増の34.600人)、足りない、足りないと言われる麻酔科はそれでも26パーセント増となっている。

ところが外科系(外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科)は2パーセント減の27.000人にとどまっている。そんな中で、外科はその後も特に学生の間では目立って人気凋落の一途をたどっている。

2007年の日本外科学会による学生に対するアンケート調査によると、外科志望が減少する理由はこうだ。
1.労働時間が長い
2.時間外勤務が多い
3.医療事故のリスクが高い
4.訴訟のリスクが高い
その割に、
5.賃金が少ない

複数回答で、ほぼ7割の学生がこの5つを、外科を敬遠する理由に挙げている。

学生たちに、将来目指す診療科を聞くと「第三ナイ科」だと応えるそうだ。つまり「当直がナイ、訴訟リスクがナイ、死亡診断書を書かナイ」
こんな学生が一人前の外科医になるためには、さまざまな難関が待っている。

・初期臨床研修(2年)
研修医はすでに医師免許を持った青葉マーク医師なのだが、外科医を目指すものにはここからが大変なのだ。

・外科修練(2年)
・1年後に予備試験
・合格すると2年後に外科専門医認定試験

これに合格してやっと、専攻、つまり消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科のどれかを決めるステップに進む仕組みである。
この間、順調にいって卒業後7年、30歳を超えている。大半はここまで10年の歳月を、いわば下働きでスキルを身につけていかなければならない。

「下働き」を具体的にいうと、
・助手として350例以上
・分野にかかわらず術者(執刀医)として120例以上

加えて、将来、最終的に専攻する分野がどこであろうと他の外科で、一定の実績・経験がなければ、一人前の専門医、執刀医とは認められない。

しかもこの資格は、終身有効ではなく、5年毎に書類審査だが、更新されることになっている。

こうまでして一人前になっても、どこの業界でもそうだが、できるヤツとグズがいるものだ。しかし今の日本の診療報酬体系では、ベテランも若葉マークも同じ料金。スキル、プロとしての技術力を評価するシステムにはなっていない。

名医と言われる外科医の年収はアメリカで数億円以上、日本ではその十分の一にもならない。これでは若い人が敬遠するわけだ。

一線で「神の手をもつ名医」とまでは行かなくとも、まあまあの手術をこなしている医師の三分の一が40代である。外科手術は体力勝負といわれ一面もあるから、この後、いいとこ10年でこれらの医師はリタイアすることになる。それ以上になると、メスを持つ手が震えて、危なくって仕様がない。が、後輩は育っていない、

だから後が続かない。ここでも高齢化が進行しているのである。産婦人科や小児科ばかりが問題になっているが、このままでは、日本からまともな外科医は姿を消すこととなる。臓器移植だけではなく、ちょっと難しい心臓や脳の手術は海外で---ということになるかもしれないのだ。

CENSはこんな危機感から、6/18、厚労省や内閣官房長官に要望書を提出。このなかで、「日本では外科治療、特にがん治療ができない国になってしまう。10〜15年後には日本から優秀な外科医はいなくなってしまうだろう」と訴えている。

日本の医療制度改革の原案を設計し、国の医療費の配分を決めるのは、厚労省にいる250人の医系技官の仕事だが、彼らは医師免許を取得して5年以内に入省し、そのまま定年まで患者と向き合って治療する臨床の現場に出ることがなかった。いわば医師としてはペーパードライバーである。

改革を期待する方が無理と言うものである。団塊世代以上の人は、海外での治療を受ける費用くらいは、床下の壺に蓄えていたほうがいい。
2009.06.21

2009年06月19日

◆医師の「応召義務」



                     石岡 荘十

「応召」は、古い漢字では「應召」

半世紀近く前、妻が嫁入り道具に持ってきた分厚い辞典、「辭苑」(じえん。初版昭和10年)には、「召しに応ずること、軍人が動員等に際し召集に応じて指定地に参集すること」と出ている。この場合の「召し」には「天皇の名において」という意味が込められている。

われわれの世代は、この単語を見ると「赤紙」(召集令状)をすぐ思い起こす。すでに死語だと思っていたが、じつはいまでも「応召義務」と言う言葉が、医師法第4章、業務:第19条に書かれてある。

この規定は戦前の考え方まだ払拭しきれていない昭和23年に制定され、そのまま生き残っている。

「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合は、これを拒んではならない」と定められている。

そんな“骨董品”をいまなぜ持ち出すかというと、新型インフルエンザ騒動の最中の、舛添大臣の発言が、今になって医療関係者の間で論議を呼んでいるからである。

<舛添要一厚生労働相は5/6日、新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて『医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい』と、不快感を示した。

新型インフルエンザ対策に関する厚生労働省内の会議で述べた。発熱などの症状を示した人への診療拒否については、東京都が5日までに92件を確認しており、厚労省も全国の実態把握に乗り出している>
(2009.5.6.15:55共同通信)

<都感染症対策課の大井洋課長は「診察を拒否する病院が増えれば、『症状を正直に申告しないほうがいい』という風潮が広まるおそれがある」と懸念している>と、医療現場での医師の対応を批判した(5/5毎日新聞ウエブ)という。

医師が診療を拒否するような事態が起きたのはなぜか。じつは同日付で、厚労省新型インフルエンザ対策推進本部から各都道府県衛生主管部(局)医務担当者宛の次のような事務連絡があったためだ。

 「国内未発生期における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について」             

 1.まん延国への渡航暦や患者との接触歴が認められる発熱患者が、発熱相談センターを通じずに発熱外来を置かない医療機関を受診したり、電話による相談があった場合には、まず発熱相談センターに電話で相談し、必要に応じて紹介される適切な医療機関を受診するように勧めるこ
と。

 2.発熱相談センターの指導に従って発熱者が発熱外来を置かない医療機関に受診した場合は、患者にマスク等を使用するように指導するなど、感染予防に必要な指導を行った上で、当該医療機関が診察すること。
      
つまり、「発熱外来設備のない病院では勝手に熱のある患者の診療はするな」と指示しておきながら、心配になった患者が殺到し、苦情が寄せられてくると、今度は、医師法にいう「応召義務違反」を持ち出して、医師に「医は仁術」を押し付け、責任逃れをはかったとしか思えないのだ。

はじめから、感染が拡大すれば、心配になった市民が押し寄せるであろうことは容易に予測できたはずだ。ところが、感染症に対応するのは地方自治体の責任だから、と厚労省は事務的に指示するだけだったのだ。

医療の現場では、医師が足りない、薬がない、応急設備を作る費用はかかる、万が一、医師自身が感染した場合の補償はどうなるのかもわからない---。

事態の深刻さに気づいた厚労省は、そうなってはじめて、「症状が軽い人は家でじっとして様子を見てください」「発熱外来設備の無い一般の病院でも工夫して診て下さい」と180度、方針の転換を図ったのだった。

感染症の治療には陰圧室、つまり診察室内の空気が外へ漏れてウイルスが拡散しないように、室内の気圧を下げる特別な設備が必要だが、そんな設備を持つ病院は稀である。県内に1ヶ所もないというところもある。設備を作るには、1ヶ所1億円はかかるそうだ。

オバマ政権は、新型インフルエンザの治療体制整備費として1500億円を議会に提案したそうだが、我国でそんな話は聞いたことがない。

そういえば、昔、前線に兵隊を送り込んだ後、弾薬も糧秣(食糧と馬草)の手当てをせず兵士を餓死させた国があるという話を聞いたことがある。

厚労省の高級官僚が、まさかそんなDNAを継承しているとは思いたくない。国民の命を守る最前線の医師が、応召義務を果たすことができる環境を整える責任は、国にある。20090608

2009年06月16日

◆「フェイズ6」への判断基準



石岡荘十

新型インフルエンザの警戒水準についてWHO(世界保健機関)は、日本時間6/12未明、最悪レベルの「フェイズ6」、世界的大流行を宣言した。(各紙)

このような警戒水準はどのような基準で決められるのだろうか。

今回の宣言に先立って、フェイズ「3」から「4」に引き上げられたのは、4/27。この際の基準は、「豚インフルエンザのウイルスがヒトに感染したことが確認されか」どうかだ。

その後、「4」から「5」への判断基準は、「少なくとも2つの国家でヒトからヒトへの感染が確認できたかどうか」で決まる。それが宣言されたのが4/30(日本時間4/29)。“震源地”とされるメキシコと、国境を接するアメリカで発症が確認されたのだ。

日本では、海外旅行を含め人動きが激しくなる大型連休を控えていた。このため、厚労省は、午後4時、記者会見をすると共に、事前に作ってあったガイドラインに沿って成田空港をはじめ関空、中部で「水際作戦」に着手する騒ぎとなった。テレビは一日中、防護服に身を固めた検疫官の雄々しい活躍ぶりと、一億総マスクマンとなった漫画のような映像を流し続けた。

そして5/8、遂に、ノースウエスト機でデトロイトから成田に帰国した感染者を捕捉したのだった。この人は患者「第一号」の栄誉に浴したが、じつは3日前に、渡航歴のない感染者が、他に国内にいることが後に判明した。

つまり、成田で捕捉した人は“名誉ある”第一号ではなく、検疫が手柄をあげる以前に、すでに国内にウイルスが拡散していたのではないかと疑われる結果となった。

そんなどたばたの中、世界中で感染者は増え続ける。先月末ころから「5」から「6」への引き上げ(raise up)は時間の問題だと言われていた。

では引き上げの決めては何か。

夏を迎える北半球では、ヤマ場を越えたと判断される報告が寄せられる一方で、冬に向かうオーストラリアやチリ、アルゼンチンなど南半球の各国、特にオーストラリアでは毎日100人を越える感染者が出ている、との報告である。

パンデミック、文字通り北半球と南半球の2つ以上の大陸を股にかけての「世界的な規模」の感染拡大が、「6」への引き上げ宣言に踏み切る条件を満たした、と考えられている。

この騒動で一躍、男、いや女を上げたのがWHOのマーガレット・チャン事務局長である。中国人(香港人)で、カナダ・ウエスタンオンタリオ大学卒。本名・陳馮富珍(61)。

WHO執行理事会は2006年11月、中国政府が推した彼女を事務局長に指名、その後の選挙で加盟193カ国中2/3の賛成票を獲得して当選した。国際機関のトップへの中国人選出は初めてだ、と当時話題をさらった。任期は5年。このとき立候補して、蹴落とされたのは、同じWHOの西太平洋事務局長だった日本人、尾身茂氏だ。

2007年9月、産経新聞の福島香織記者は、ブログで、「(中国は)金で票を買った、とは言いすぎだが、中国が国策として国連の重要職を一つずつ手に入れていくという強い意志の元、十分な作戦を練ってきたのは確かだ」「日本の甘さ見たね」と皮肉っている。

チャン氏は、78年に英統治下の香港政府入庁。94年6月から03年8月まで香港政府衛生署長を務めた。97年の鳥インフルエンザ流行では陣頭指揮に当たって、150万羽の鳥を焼却して感染拡大を防いだ“猛女”として勇名を馳せた。

一方、尾身氏は任期満了に伴いWHOを退官後、母校の自治医大教授。政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会委員長を務め、厚労省の医系技官に対するアドバイスを行っている。

しかし実質的に役に立たなかった行動計画(ガイドライン)について、「最悪のケースを想定して計画をつくるのは危機管理上当然のこと」と厚労省の対応を弁護するような発言をしつつ、「病原性に応じた2、3パターンの行動計画があれば、どのようなタイプの新型が発生してもある程度対応できるだろう」と今後の課題に挙げている。(5/30下野新聞)

しかし、入手した医系技官に対する尾身氏からのメールを見ると、間違えば責任を問われかねない具体案を示しているわけでなく、研究者の間では、「専門家として無責任だ」と不評である。

「6」への引き上げについて、日本や英国から「チリ的な感染拡大だけで警戒水準を判断するのは適当ではない」との指摘もあると伝えられている(6/12産経新聞)。政府の意向に影響力のある尾身氏のチャン氏に対する怨恨、嫌がらせと見るむきもある。

本来、軽度、中度、重度と三つに分類しているインフルエンザの症状について、日本からの指摘が気になったのか、WHOは、今回に限ってだと思うが、新型インフルエンザを中度に“格上げ”してフェイズ引き上げの理由にしている。チャン氏が尾身氏に気を使ったと勘ぐるのは、穿ち過ぎか。

それにしても、オーストラリア現地の医学生(日本人)からのメールでの情報によると、「総感染者数(判明者のみ):1263名 うちVictoria州(主にメルボルン周辺)で1011名となっています。

メルボルン周辺ではもう歯止めがきかなくなっており、治療方針も確定診断のための更なる検査は不要となりました」「南オーストラリアでは特に感染流行地域(特にメルボルン)から戻ってきた場合は自主的に自宅で1週間のQuarantine(隔離=謹慎?)を勧告しています」という状況だそうだ。

サッカーワールドカップのアジア最終予選が、17日、そのメルボルンで開催される。日本選手は全員マスク着用なんてことはないと思うが---。

2009年06月12日

◆<特報>感染症第二波想定対策の全貌(下)

                   石岡荘十

秋口とも予想される新型インフルエンザ第二波の襲来を、厚労省はどのように迎え撃つつもりなのか。本メルマガで、その概要を紹介したが、今回は既述の対策を導き出した感染症の前提をどのように設定しているのか。資料に添付された、A4、3枚のデータを解析する。

1枚目の資料は、
「季節性インフルエンザの流行動態に基づく新型インフルエンザ第2波発生の想定」
(作成日付 2009年6月9日)

まず、2004/5年の季節性インフルエンザの流行についてである。4期に分けている。
<第1期> 2004年9月中旬〜
はじめ患者数(推定)は週間、数十人から、数百人で推移していた。
<第2期> 10月中旬〜
患者の集団規模(専門用語では「クラスター」という)が大きくなり、重症報告が入る。
<第3期> 11月末〜
全国規模で集団感染。患者数1万人超。死亡例が週間、数十例の報告。全体像の把握が困難に成る。
<第4期> 2005年1月〜
一週間の患者数は3万8000人から、中旬には15万人を超えた。パンデミック(大規模感染)と判断。4月に入って急激に小康状態に入った。

この結果、このシーズンの患者の総数は、東京都の人口をはるかに超える、じつに1770万人にのぼった、と推定される。このインフルエンザ関連で死亡した人は、肺炎を併発した人も含めると、軽く1万人を超えている。
新型インフルエンザの毒性が季節性インフルエンザと同じ程度と言っても、バカにはできないのである。

そこで、仮に第二波がこれまでのような経過をたどると想定し、米CDC(防疫管理センター)のシュミレーション方法を使って、二枚目の資料で推定を試みている。

第2波でウイルスが変異し、毒性が強くなっている場合も考え、毒性が軽度、中等度、重度の三つのケースを想定したものだ。想像以上の衝撃的な数字を示している。

二枚目の資料。
「第2波における被害想定と医療体制」
≪軽度の場合≫(新型インフルエンザの米国での被害レベル) 致死率0.15%。
感染者:3200万人、死亡者:5万人
≪中等度の場合≫(アジア風邪での日本の被害のレベル) 致死率0.53%。
感染者:3200万人、死亡者:17万人
≪重度の場合≫(スペイン風邪での日本のレベル) 致死率2.0%。
感染者3200万人、死亡者64万人

三枚目の資料。
そのとき国は何をしてくれるのか。

対応策、と言っても基本的な考え方を、一覧表にしたものだ。
「軽度」の場合でも、患者の数が少ない段階では、なんとか対応しようと、医療機関や保健所、地方自治体に対し「報告」を求める文言が目立つ。が、患者が“爆発的”増えてくると、
・調査:実施しない
・確定者の入院措置:実施しない
・自治体による発熱外来:原則実施しない
などなど---。

それだけではない。他の病気で入院している患者の手術、入院の延期などについても、「事前に調整する」「延期を検討する」---。

軽度でこれだ。まして、中等度、重度となると、「対応できる限り実施」。つまり何もできない、と告白。

要するに、全体として何もできない、お手上げなのだ。いまからドロナワで用意をしても、何の役にも立たないことを自ら認めているのである。

新型インフルエンザは若い人の感染が目立った。高齢者は、科学的な証明はできていないが、長年の人生の中で獲得した免疫性があるからだという説もあると聞く。しかし、これまでの季節性インフルエンザでは感染から肺炎を併発して死亡する割合が、6割とも7割とも推定されている。

予想される第2波の襲来時期は、早ければ総選挙直前か、遅くとも直後となるだろう。郵政の人事だの、解散日程だの、政局だの、民主が優勢だって?

小さい、小さい---。いずれにしても、新政権はこの問題で追及され、短命に終わることになるかもしれない。

どう変わっても、国民の命を守ることのできない国に私たちは住んでいるのである。
20090610


2009年06月11日

◆<特報>感染症第二波想定対策の全貌(上)

石岡荘十

新型インフルエンザの世界的な拡散が懸念される中、厚労省が、第二波を想定した対策を具体的に検討していることが分かった。

ニュースソースは明らかにできないが、未発表のものである。入手した資料には作成した担当組織名(医療指導班)、日付(平成21年6月9日)も明示。ところどころボールペンでのメモ書きもあり、会議で何が検討課題となったかをうかがわせる。

資料のタイトルは「『区切り』後の医療体制について」(案)。この「区切り」というのは、第一波が一段落した後、という意味である。
検討資料は、2つのパートから成る。

1.第二波における医療体制について
2.第二波に向けた医療体制の整備について
まず、パート1。
≪区切り後の期間について≫
・原則として通常の医療体制を強化する体制で対応する。
・ハイリスク者(ほかに基礎疾患があり抵抗力が落ちている人)が感染した場合は重症化する可能性が高まるため、院内感染を強化して、この患者を守ることを周知する。
○外来部門
 ・発熱患者と患者とその他の患者を分ける。診察の時間帯を分ける。(中略)療養中に悪化した患者については、速やかに入院させる。
○入院部門
 ・(前略)患者に入院治療の必要性を認めなければ、投薬を行い、極力自宅での療養を勧める。

≪第二波の立ち上がりの時期について≫
・医療体制を段階的に強化する。
(メモ書きで、「5000床、ICU=集中治療室を7~9月に増やす---」)
つまり、ここ3ヶ月で5000ベッドを収容できる集中治療室を作ると言う。医師は? 監護師はどうするのか。触れていない。
・都道府県は、患者が増加して収容能力を超えた場合に備え、(中略)患者の自宅療養体制を検討する。

(後略)
≪第二波について≫
・医療機関は、長期処方、早期入院など、ハイリスク者を保護する施策を強化する。

以上がパート1の骨子であるが、これを当初の行動計画(ガイドライン)と較べると、まず、「検疫」が姿を消していることに気がつく。WHOが再三にわたって、検疫が無意味であることを指摘していたが、やっと国際的な常識を理解したと見える。

事実、国内感染者の中には、検疫をすり抜け感染を拡大したケースがあり、効果のない対策に地道を挙げていたことのおろかさに気がついたのかもしれない。しかし、この資料を見る限り、「検疫は行わない」と明確に水際作戦を反省する文言は見当たらない。

感染者と濃厚に接触した人たちを、ホテルなどに事実上、隔離・軟禁した「停留対策」の「て」の字も、ない。マスクノ{マ}の字もない。やっと学習したと言うべきか。

ところが、「国内の防疫・治療対策は地方自治体の責任と言う感染法の趣旨を枉げるところまでは踏み込まず、まだビビッてる。それどころか、相変わらず「外来部門の院内感染対策を徹底する」と責任を押し付けている。

地方の病院では、施設の改造は簡単にはできない、そんな予算もない、新型インフルエンザにかかりっきりになるドクターもナースもいない---。そこでさすがに気が引けたのか、パート2でこう述べている。いよいよ対策の結論である。

2.第二波に向けた医療体制の整備について
≪ハイリスク者の支援≫
・電話相談や自宅訪問などにより患者を支援する体制を整備する。
・ハイリスク者が優先的に入院できるよう感染率に応じたベッドを整備する。

≪院内感染の防止≫
・発熱患者と他の患者の動線が重ならないように入口を分ける。経過観察室(陰圧化を含む)を整備するなどの構造変更の支援を行う。
(陰圧化:感染者がいる室内の細菌が外部に流れ出し、拡散することのないよう、室内の気圧を下げるための工事。特殊な工事技術が必要で、土建屋にはできない)

≪医療体制の強化≫
・ICUの重症者に対応できるベッドの増床、人工呼吸器の追加備蓄。
・感染症診療に対応できる医療従事者の研修。

要するに、設備については「支援」、つまりカネは出そう、医師や看護師の教育もしましょう」と至れり尽くせりのように見える。しかし、この項のところに、ボールペンで小さく「Dr. NS 不足」とメモってある。Dr.はいうまでもなくドクター、NSはナースの略である。

多分、「そんなこと言ったって、もともと医者や看護婦が足りないと言うのに、第2波までに、教育なんてできるのか」と誰かが言ったに違いない。長年の医師不足のつけがこんなところで、回ってきたのだ。
加えて、驚くべき添え書きのメモがある。

「第2波が来る前に、10月から医療体制を切り替えることを考えている」
お前は神か、手品師か。通常のお役所仕事のペースでは無理だろう。相変わらずの、医系技官による「作文」としか言いようがない。

折りしも、世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理は9日の定例記者会見で、新型インフルエンザの現在の感染状況について「世界的大流行(パンデミック)に極めて近い状態にある」との認識を示した(ジュネーブ9日共同)。
さてどうする?

引き続き、前述の対策がどのような前提で作文され、検討の俎上に載ったのか。添付資料の数字を中心に、紹介する。
20090610

2009年06月10日

◆新型流感は第2波に備えよ



                     石岡 荘十

新型インフルエンザA(H1N1、流行性感冒=流感)に関する6/5現在(23:00更新)のWHO(世界保健機構)のデータを示す。

・感染確認国:73カ国
・死者確認国:6カ国
・感染者数:24260人
・死者数:136人

《米州》25カ国
《欧州》28カ国
《中東》7カ国
《アフリカ》1カ国
《オセアニア》2カ国
《アジア》10カ国

ヒトからヒトへの感染が確認できた国は、14カ国(メキシコ、アメリカ、スペイン、イギリス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、ペルー、オーストラリア、パナマ、チリ、エルサルバドル、中国)だった。

この中には、6/7、南半球では初めての死者が確認されたチリも含まれている。この結果、死者が発生した国は、メキシコ、アメリカ、カナダ、コスタリカ、チリの6ヶ国で、136人となった。

日本国内では、ヤマを越えたというほっとした気分があるが、これは意地の悪い見方をすれば、季節インフルエンザ感染にふさわしい自然条件、つまり寒気が和らぎ、気温が高くなってきたためで、決して厚労省がいうように、一連の対策が効を奏した結果ではない。

その証拠に、これから秋口に向かう南半球で、100人以上の感染者が確認されるところが増え始めている。

先述の如くチリでは初の死者が確認されている。またオーストラリアでの感染者はここ数日で数百人増え、876人に達したと報告されている。

南半球の各国でのこのような動向をふまえ、世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は6/2日、「新型インフルエンザが英国、スペイン、日本、チリ、オーストラリアで拡大を続けていることから、世界の状況はパンデミック(世界規模の蔓延を表すフェーズ6に近づき
つつあると述べている(ジュネーブ、ロイター)。

さらに、ブログなどに寄稿している複数の防疫専門家によれば、インフルエンザは、2年は続く。ということは、この秋口以降、第2波が南半球から北半球へ回帰してくる可能性がきわめて高い。さらに悪くすると、来年秋口には第3波もありうるという。

その際、2波、3波では今年世界を襲ったインフルエンザウイルスは変異を遂げ、(毒性が上がって)過去の防疫対策が効かなくなっている恐れがあるとも指摘されている。

仮に、今回の経験から大量のワクチンを生産し、備えたとしても、これが効かない。さらに、ウイルスの特効薬とされているタミフル、リレンザを多用すると、薬に対する耐性も獲得して、より強力な毒性や感染力を発揮するかもしれないという。

そうなると感染力は強くとも弱毒性だった今回のインフルエンザ騒動を、はるかに上回る深刻な社会的混乱をもたらすことになる。

こんな予測を、「杞憂」だとはいえない混乱を私たちは経験した。ランダムに箇条書きにすると、たとえば、

・WHOが「意味がない」と再三、名指しで警告したのにもかかわらず、「水際防疫オンリー」「マスク着用」の作戦に偏重し、国内防疫体制を地方自治体任せにした結果、医療現場や社会生活に無用な混乱をもたら
したこと。

・診察の対象者を非科学的な基準で限定したこと。

検査・診察の対象を、
○ 7日以内に感染者と濃厚接触のあった者、 
○ 7日以内に、新型インフルエンザが蔓延している国又は地域に滞在
もしくは旅行した者

に限った結果、国内での感染者を見逃し、感染を拡大してしまったのだ。
・発熱外来の体制が整備されなかったこと。

病院は、抵抗力の乏しい患者の集まる施設であるが、ここにインフルエンザ患者を集めるようなリスクを厚労省は平気で指示している。

インフルエンザの外来患者と他の患者を分離診察する施設もなく、まるで野戦病院のように中庭にテントを張って診療に当たった病院も少なくなかった。

それでなくとも手一杯の医師に過酷な勤務を強いられただけでなく、医師自身が感染するリスクは、完全に無視された。

挙げればキリがないが、元を糾せばお粗末な「新型インフルエンザ対策行動ガイドライン」は「鳥インフルエンザ」の際のものを机上で手直ししたものだ。

役に立たなかっただけでなく、その都度、方針・対策を修正・変更、地方に雨霰のように矢継ぎ早に「事務連絡」の形で指示をし、現場に混乱をもたらした。

幸い死者を出す最悪事態には至らなかったが、私たちは、混乱の中から2つの貴重な学習をした。

その1。
国の医療制度を設計し、防疫対策を作文した厚労省の医系技官がいかに無能力であるかが明らかになった。第2波までに、ヒト、モノ。カネの手当て、国内医療体制の整備を急がねばならない。

その2。
「国防」というと、やれ核だの最新航空機だの、防衛省所管の“鉄の装備”だけが議論される傾向があるが、じつは日本はテロに対しては、赤子のように無防備であることが明らかになった。

「NBCテロ」という言葉がある。
N:Nuclear=核
B:Biological=生物
C:Chemical=化学

この3つである。この中で、BとCテロ防衛に向けて政治を動かすために、政治担当ジャーナリストの果たす役割は大きい。

どうせどっちつかずの政局で、ごたごた不毛の議論をしている場合ではない。20090608

2009年05月30日

◆消化不良の流感集中審議



             石岡 荘十

本誌で予告した、新型インフルエンザ問題などを集中審議する参議院予算委員会が、5/28開かれた。審議の模様は、NHKで中継放送されたので、ここでは繰り返さないが、審議の目玉は、参考人が何を証言するかだった。

参考人は、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究員の森兼啓太氏と、終始政府の新型インフルエンザ対策に批判的だった現役の厚労省検疫官(東京空港検疫所支所・検疫医療専門職)の木村もりよ(本名は盛世)氏の2人。

中でも木村氏は、自らの著作(『厚生労働省崩壊』)やホームページなどで、検疫などの水際対策をはじめ、政府の防疫対応を厳しく批判していることで最近話題になっている人物である。

質問に立ったのは民主党、鈴木寛委員。さわりの部分だけを紹介すると

Q:防疫が水際での検疫に偏った印象だがその背景は?

A:その前に、先ほど盛兼参考人の発言で、舛添大臣の迅速な対応によって検疫体制が縮小されたと言うことでしたが、今も大して変わっていない。かなりの労力をかけて検疫を行っている最中だ。現場は人的にもかなりの負担を強いられている。

質問に答えるが、まずなぜこんなに検疫偏重が起こったかというと、理由は3つある。

まず第1点は、成田で検疫官がマスクやガウンをつけ飛び回っている姿というのは、毎日テレビで放送され、パフォーマンス的に国民の共感を呼ぶということで(政治的に)利用されたのではないかと疑っている。

第2に、新しい感染症が入ってきた場合には検疫法というのがあって、水際でシャッタアウトする。ひとりの患者も国内に入れないようにしようというのが基本だから、偏りすぎると、国内に入ると必ずそこがおろそかになると思う。

国内に入ると感染症法というのがあるが、主導は地方自治体にある。だから感染症法になってしまうと、国の方は「地方でやりなさい」と言う通知を出して終わってしまう危険性がある。

第3に、いま「行動計画(ガイドライン)」に基づいて動いているのだが、これには医療や防疫のプロフェッショナルである医系技官が深く関わっている。しかしこの中で充分な議論がされないまま、あるいは充分な情報の見直しがされないまま、このような検疫偏重が行われてしまったのではないかと思っている。

木村参考人は淡々と、おおむねこのように証言した。厚労省の対応について木村氏は、自身のホームページなどでは、もっと厳しく指弾しているが、きょうはこの程度、やんわりと私見を述べただけで証言を終わった。

質問者も、厚労省のほかの誤算について、参考人の見解を求めることはせず、国の防疫体制について、広く浅く政府見解を質しただけだった。

同予算委員会は、参考人の招致について 、理事会の意見がまとまらなかったとして、5/25、開始が1時間も遅れた上、2人の医師の招致は見送られてしまった経緯がある。それだけに今日に期待したのだが、全体的にインパクトに欠け、消化不良に終わった。

委員会室の記者席も、閑散。文庫本に熱中している者も見かけた。

ただ、この問題に関心を持っている東京大学の研究者や民放の特番ティームのスタッフらが熱心に傍聴していたので、いずれ他のメディアで詳報を聞くことになるだろう。

なお、午前のテレビ中継を見た疫学の専門医が、次のような趣旨のメールを送ってきた、と筆者の友人から連絡があった。

<28日朝の国会中継で、厚労省の態度が一変、謝罪に変わりましたね。「医系技官(医者・疫学者)や専門家(統計官等)の内部における意思疎通が欠けていて、最強度の検疫体制の速やかな見直しができないまま、ずるずると時間が過ぎてしまった」のでは? 

こうなると、全国の公衆衛生学者や疫学者が、一斉に声を発するでしょう。先日、講演で新型インフルに触れたのですが、聴衆の方が大人で「大阪・神戸の対応には違和感を通り越して、不可思議さを感じた」と言っていました。「軽い症状なのに、集団パニックのようでしたね」という声もありました>。 20090528

2009年05月28日

◆新型インフルエンザ集中審議



                     石岡 荘十

一度流産した新型インフルエンザ問題を集中的に審議する参院予算委員会が28日午前に、開かれることになった。

同委員会は、25日(月)、国立感染症研究所感染症情報センター主任研究員の森兼啓太氏と、以前、このメールマガジンでも紹介した現役の厚労省検疫官(東京空港検疫所支所・検疫医療専門職)の木村盛世氏の2人を参考人として呼び、民主党・参議院委員の鈴木寛議員が質問に立つ予定だった。

このうち森兼氏は、舛添厚労大臣が組織した「新型インフルエンザのアドバイザリーボード」の4人のうちの1人。また木村氏は、自らの著作(『厚生労働省崩壊』)やホームページなどで、検疫などの水際対策をはじめ、政府の防疫対応を厳しく批判していることで最近話題になっている人物である。

ところが、午後1時開会予定だった同予算委員会は開始が1時間も遅れた上、2人の医師の招致は見送られてしまった。鈴木議員は、「(予算委員会に出席する)4人の大臣を1時 間も待たせるほ ど、厚労官僚は偉いのか」「政府参考人招致のための書類を提出している。

本人の了解も得られていると聞いている。森兼先生については(併任している厚労省の改革推進室の)上司も了承 したほか、舛添大臣の秘書 も、2人の招致を了承したと聞いている」と詰め寄ったが、「参考人の招致につい 、理事会の意見がまとまらなかった。協議の結果、別途、機会を設けて質疑を行う」(溝手顕正委員長予算委員会委員長)とされただけで、具体的な説明はなかった。

同委員会はこうして事実上“流産した経緯があるが、ほとんどのマスコミは、この経緯をほとんど報道していない。なぜ参考人招致が実現しなかったのか……。

ここからは、筆者の邪推だが、おそらく”有能な“医系技官が、舞台裏で”暗躍“したに違いない。

この点について、医師を始めとする医療関係者限定で医療情報を提供している「ソネット・エムスリー」は「木村氏は当サイトの記事のほか、新聞、テレビ、雑誌などで、今回の政府の対策を批判しています。それが国会の場で指摘されることを 政府、厚 労省は恐れたのでしょうか」と観測している。

ソネット・エムスリーのインタビューに対し木村氏は、「批判を目的として発言しているわけではありません。新型インフルエンザ対策は国防だという認識を持ち、その感覚に乏しい政府の対応に危機感を抱いて、問題視しているのです」と答えている。また木村氏は「参考人招 致されていることは、民主党から聞い た。国会や厚労省からは連絡を受けていない」と言っている。

28日の集中審議には4大臣が出席し、審議の模様はNHKが生中継する予定。
  20090526

2009年05月26日

◆反省しない医系技官



                      石岡 荘十

新型インフルエンザはヤマを越えたという雰囲気の報道が、ぼちぼち出始めている。23日、大阪府の橋下知事は、発症者数が減少に転じていることから「すでに流行ではない」と宣言しており、厚労省もこれを是認する見解を示していると伝えられている(5/24 産経新聞)。ではこれで、一件落着か。

筆者がこの問題を取り上げたのは
http://www.melma.com/backnumber_108241_4480390/ (5/16)
http://www.melma.com/backnumber_108241_4480925/ (5/17)
http://www.melma.com/backnumber_108241_4482824/ (5/19)
http://www.melma.com/backnumber_108241_4484191/ (5/20)

以上4本だが、これらの記事の発想の原点、ネタ元は、WHO(世界保健機構)や米CDC(疾病予防センター)のホームページである。

加えて言えば、この時期に絶好のタイミングで出版された、現職の厚労省防疫官である木村盛世氏の著作『厚生労働省崩壊』(講談社)に啓蒙され、厚労省のガイドライン(新型インフルエンザ対策行動計画)が“欠陥商品”であることの発見に漕ぎつけた。

欠陥商品であるとする根拠については、5/20の「破綻した流感ガイドライン」でその一端を紹介した。主なものをまとめると、
 
 1.第1段階(海外発生期)の対策として、水際での「防災オンリー」に全力に傾注したこと。

WHOや木村氏は当初から「インフルエンザは波及するもので、潜伏期が一週間もある疾病に水際作戦は意味がないという見解を明らかにしていたのもかかわらず、である。

まして、濃厚接触者を“隔離”する意味はないとしていた。事実、世界中で停留政策を採ったのは、日本と中国だけだった。そこで、水際作戦を中止した途端、機内ですでに発症していた人まで見抜けず、1人がすり抜けた。
 
 2.第2段階(国内発生早期)で地方自治体に対し、発熱外来の設置をはじめ、発症者の出た地域の事業所休業、休校を要請したこと。
 
要請といっても、自主的に判断する能力のない地方から見ると、事実上「命令」であった。が、これが地方社会に想像以上の悪影響を与えることが明らかになると、今度は、「自主的に柔軟に判断してくれ」と対応を丸投げしたのである。

また、「熱が出たら発熱外来に行け」「危ない人は入院をさせよ」と言っていたのに、現場で設備、人、カネが追いつかないと分かると、すぐ「微熱の患者は自宅で様子を見ろ」という。

さらに、マスク。危ないところ(人ごみ)ではマスクをと呼びかけたこと。

WHOやCDCははじめから医学的に見て「無意味」「マスクで感染が防げるというのは神話に過ぎない」と日本のマスク過信にあきれている。しかし、世界の常識から見て日本のユニークな防疫常識を厚労省は見てみぬ振りである。
 
 3.第三期(感染拡大期/蔓延期)引き続き発熱外来、入院措置を続ける。と言っているが、この方針は事実上チャラにしておきながら、行動計画を訂正したとは言っていない。

厚労省で医療制度の設計を一手に担っている600人の医系技官。彼らが“作文”したガイドラインをあざ笑うように現実は裏目、裏目で、手直し、変更の連続だったが、その過ちをまだ認めず、反省をした様子もな
い。

その場その場で、なし崩しに基本的方針を変えてきた。臨機応変に変更したと言う言い方もあるが、明らかに、ガイドラインは現場を知らない官僚が机上の設計した制度だったことが明らかになった。

なぜ「マスクは無意味だからやめましょう」と大臣に宣言させないのか。呼びかけた責任、やめてなにかが起きたときの責任、を問われるのが怖いと言うのが本音だろう。

マスコミにも責任がある。「マスクの効果は限定的だ」と奥歯に物の挟まった言い方である。

誤解を恐れぬ言い方をすれば、一連の騒動は、反省しそれを糧としようという発想のない、この無能な医系技官と、それを妄信して机上の作文を口パクで発表する大臣にある。マスコミがそれに手を貸している。

インフルエンザは、秋口と予想される季節性の第2波が怖いといわれる。スペイン風邪(1918〜19)でも、第2波でより多くの人が死んでいる。厚労省はそのときまた、犯人探しのような防疫対策を展開するのだろうか。

<強毒性であれ弱毒性であれ、封じ込めは不可能です。それは症状がはっきりしないことと、潜伏期が1週間程度あることが主な理由です。今の施策を徹底するなら鎖国以外、手立てはありません。インフルエンザである以上入ったら必ず広がります>(木村氏)。

その頃、舛添大臣ではないと思うが、ことインフルエンザ対策に関しては、筆者はWHOなどが発信する“世界的な常識”に従って行動しようと思う。2009.05.24

2009年05月20日

◆破綻したガイドライン


石岡荘十

「新型インフルエンザ対策行動計画」、いわゆる「ガイドライン」については、先だってもメルマガ頂門の一針(5/15)で紹介したが、ここへきて事実上、これが現実的には何の役にも立たなかったことが明らかになってきた。

簡単に繰り返すと、ガイドラインは、新型インフルエンザの国内感染が出た第2段階(国内発生早期)から、第3段階(感染拡大期/まん延期/回復期)にかけての対策として、次のような行動計画を定めている。

・引き続き水際作戦を続行する
・住民に対し、可能な限り外出を控えるよう要請する
・学校や事業所などに対し、臨時休業、入学試験の延期を要請する。
・マスクの着用、うがい。手洗いを強く勧奨する。             
医療機関に対しては、
・発熱者の海外渡航歴を確認した上で、感染指定医療機関等の受診を指示するよう、周知する。
・新型インフルエンザの患者と判断された場合には入院勧告を行う---(一部、以下省略)。

これに従って、国内感染者第1号発生が確認された兵庫県、神戸市、次いで隣接した大阪府が蔓延防止対策を進めているが、ここへきてこのガイドラインに綻びが目立ち始めている。

まず、水際対策の縮小。やっと意味がないことに気づいた水際「検疫オンリー」の替わりに、対策の重点を国内へシフトすることを、いまになって舛添大臣が明らかにしている。

そもそも、短時間で人が航空機で大陸間を行き来する時代に、潜伏期間が1週間といわれる新型インフルエンザ感染者を水際でチェック・補足するという発想自体に、理論的に無理がある。時代錯誤、素人が考えても、分かることであった。

“震源地”メキシコと長い国境線を接している米国で、水際作戦が実施されているという話は聞いたことがない。

つぎに、マスクの着用については、ほとんど無意味であることを、5/19号で紹介した。

さらに、「発熱者の海外渡航歴を確認した上で、感染指定医療機関等の受診を指示する」としているが、国内感染者と海外渡航の経験は無関係であることがすでに明らかになっている。

医療機関では、発熱外来の設備も、医師の余裕もない。その上で「入院勧告を行う」となっても、ベッドはすでにパンク状態だと現場からの悲鳴が聞こえてきている。

そこで、今度は「新型インフルエンザは毒性も弱く、普通の季節性インフルエンザと変わらないので、軽微な症状の人は、冷静に自宅で様子を見てほしい。

すぐに医療機関に駆け込まないで---」と今頃になって呼びかけ、厚労省は180度、はじめの基本方針を転換し始めている。ここまでくると、「冷静になってほしいのは、あんただろう」と言いたくなる。水

際作戦にしてもマスクの着用にしても、すでにWHOや米CDC(疾病予防管理センター)が「奇妙な対応だ」と基本的な考えを公表している日本独自の“防疫対策”だ。

「ガイドライン」は、基本的な医学的な認識を世界の常識と共有していない。最早、砂上の楼閣であり、事実上、破綻しているというべきだろう。

ところが、厚労省は決して、「間違ってました。ごめんなさい」とは言わないのである。小手先で方針を手直ししている。

日本の疫学的な危機管理制度の設計、医療予算の配分などは、遡ると、600人の厚労省医系技官が担い、今回のガイドラインドライを作文したのもまた彼らである。大臣は、口パク、彼らの作文を朗読するだけだ。

担当記者は、それをまたそのまま記事にしている。なぜこんなことになったのか。問題点を指摘した記事を筆者はまだ発見できていない。

結果論として、初歩的な勉強不足と無能で誤った防疫路線を敷いた、医系技官に責任はないのか。

日本の官僚は有能だとよく言われるが、今回の騒動で見えてきた彼らのレベルは、その評価に値しないと筆者は実感している。

医師として臨床や研究の経験もなく、ぺーパー試験だけで入省した、医療現場経験のほとんどない“専門家”と、出たがり屋の大臣が、社会に無用の混乱をもたらしている。

筆記試験だけで“専門家”になったペーパードライバーがF1レーサーに運転技術を教えているようなものだ。

ウイルスが、「おっ、ここは県外だ」と県境を意識して兵庫や大阪に引き返すわけはないから、東京はじめ主要都市で騒ぎが蔓延するのは時間の問題だ。
<20090519>

2009年05月19日

◆マスクは誰のものか

石岡荘十

第一次オイルショックのときだったか、トイレットペーパーはじめ、白いものが無くなるという風評が飛び交い、買い占め騒動がおきたことがある。結果的にあれは流言蜚語の類だったが、いま、関西地方を中心にマスクの買いだめ現象がおき、売り切れになるところが続々だという。

いうまでもなく、新型インフルエンザの国内感染者が蔓延しつつあるとマスコミが速報で煽るものだから、いざ一大事、家族を感染から守ろうと庶民がマスクの買いだめに走った結果である。

しかし、本メルマガ(5/17)でも紹介したように、WHOやCDC(米疾病センター)の見解は「マスクで新型インフルエンザを防げるというのは、神話であり、事実、インフルエンザ防止にマスクが役立ったという歴史的なデータはない」とプレスリリースで発表している。

そのせいか、今回の騒動の“震源地”で死者も出ているあるメキシコや、隣のアメリカの様子を報じるテレビ映像を見ても、マスクをしている市民は少ない。

一方、国内感染第一号が出たと報じられている神戸はじめ関西地方の市民は、少なくとも3人に1人はマスクをしているという報告があるだけでなく、政府のガイドラインにしたがって地方自治体の首長が、「マスクをせよ、学校を休校にする、外出をするな」と記者会見で呼びかけ、国家非常事態さながらの騒ぎである。

海の向こうと日本では、なぜこうも違うのか。

そもそも、マスクというと西欧では顔全体を覆うフルフェイ・スタイプのものをいう。少年のころ読んだあの不気味な「鉄火面」(原作 アレクサンドル・デュマ)の翻訳物を思い出すが、近年では、「オペラ座の怪人」、仮面舞踏会の仮面、野球のキャッチャーマスク、フェンシングのあれのようなのが「マスク」のイメージのようだ。

眼の下から顎までだけを覆うマスクは、「サージカル・マスク」つまり(手術用の)外科マスクといって区別し、一般的には「感染者がウィルスを飛散させないためにする」という用途に限定されている。日本のように予防目的で健康な人がマスクをするのは珍しいというのが、世界の常識である。あちらでは医学専門家の間でも推奨されていないという。

自分を守るためにするのか、風邪を引いた人が他人(ひと)に迷惑をかけないために、マスクをかけるのか、考え方に違いがある。

だから、この時期NYあたりに出かけてマスクをしていると、こんなふうに警察官に誰何されるかもしれない。

警察官「汝、感染者なりや」
旅行者「否、余は感染者に非ず」
警察官「ならば何故、マスクを使用するや」
旅行者「我国では、予防のため使用する也」
警察官「奇怪! 理解不能。我と同行せよ」

こんなトラブルに巻き込まれ「ちょっと来い」ということになるかもしれないから、どうしてもマスクをしたいのなら、こんな問答を想定した英語をどなたかに作ってもらって、あらかじめ学習しておいた方がいい。

ところで、国内感染者が何人になったと逐一報道するのは無意味。それどころか、いたずらに危機感をあおるだけだと苦々しく思っている。

熱が出て疑わしい人は、最終的に新型インフルエンザと確定するためには、ウイルスの遺伝子の配列を調べる。PCR検査法といわれ、これで陽性となるとクロと判定される。しかし患者の症状はいろいろであり、微熱があるが医療機関には行かず、安静にしていたら治ってしまったという人もいる。(完)          <ジャーナリスト>