2011年03月02日

◆大阪を行脚していた与謝蕪村

毛馬一三

江戸時代中期の大阪俳人で画家である与謝蕪村は、享保元年(1716年)、摂津国東成郡毛馬村(大阪市都島区毛馬町)に生まれている。生誕地が大阪毛馬村と余り周知されていない事実のことは本誌で既に触れている。

しかし、蕪村が俳人として大阪の中心部を活躍の舞台にしていたことには触れていない。むしろそれに気づかなかったのが本当のところだ。それはこれから追々。

蕪村は、17歳〜20歳頃、生誕地毛馬を飛び出て江戸に下っている。なぜ江戸に下ったのか。これすら未だはっきりしない。しかも蕪村は出奔以来、極度な郷愁は感じながらも、実際は生誕地「毛馬」に一歩も足を踏み入れていない。なぜだろう。

おそらく、京都丹後与謝から毛馬村の商屋の奉公人として来た母親が、庄屋と結ばれて蕪村を産んだものの、若くして死去したため、蕪村が庄屋の跡継ぎにも成れず、周囲からも過酷ないじめに遭わされたことなどから、意を決して毛馬村を飛び出したのに違いない。

しかも蕪村が飛び出した先が、江戸の日本橋石町「時の鐘」辺に住む俳人早野巴人だ。だが、どうしてこんな超有名な俳人に師事し俳諧を学ぶことができたのか、田舎の毛馬村と江戸との結び付きや、師匠との今謂うコネがどうして在ったのか、ミステリーだらけだ。しかもこの時蕪村は、師の寓居に住まわせて貰い、宰鳥と号している。


<寛保2年(1742年)27歳の時、師が没したあと、下総国結城(茨城県結城市)の砂岡雁宕(いさおか がんとう)のもとに寄寓し、松尾芭蕉に憧れてその足跡を辿り東北地方を周遊した。その際の手記を寛保4年(1744年)に編集した『歳旦帳(宇都宮歳旦帳)』で、初めて「蕪村」と号したのである。

その後丹後、讃岐などを歴遊し、42歳の頃京都に居を構えた。 45歳頃に結婚し、一人娘くのを儲けた。島原(嶋原)角屋で句を教えるなど、以後、京都で生涯を過ごした。明和7年(1770年)には、夜半亭二世に推戴されている。

京都市下京区仏光寺通烏丸西入ルの居宅で、天明3年12月25日(1784年1月17日)未明68歳の生涯を閉じた。>出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さて、蕪村は定住していた京都から船で淀川を下り、頻繁に大阪にやって来ていたことが、最近分かってきた。船から陸地に上がったのは、生誕地毛馬村とは全く正反対西側の淀屋橋や源八橋からで、ここから大阪市内にある数多くの門人らを訪ねて回っている。

蕪村は、俳人西山宗因のお墓(大阪市北区兎我野町 西福寺)を訪ね、大阪の蕪村の門下人の武村沙月、吉分大魯(よしわけ・たいろ)のほか、西山宗因の門下の上島 鬼貫(伊丹の人)の処を巡行している。ということは大阪市内のいたる処を回っていたことになる   

特に、門人の吉分大魯は、阿波の出身で、安永2年 (1773)から6年まで大阪「蘆陰舎」に滞在(安永7年、兵庫で没)しており、この間「蘆陰舎」に蕪村は足繁く立ち寄っている。逆に大魯をつれて、淀川を船で上り、京都の蕪村門下を代表する高井几董に会わせるなど、京都―大阪往復行脚も活発だったようだ。(大阪市立大学文学部)

早い話、蕪村にとり大阪は活躍の場だった訳だ。これもあまり知られていない。

こんな折、驚く情報と嬉しい要請が飛び込んできた。

大阪市中心部の北区梅田に茶屋町がある。ところがここに「菜の花や月は東に日は西に」の蕪村句を刻んだ高さ1m、幅50cmの碑があるのを初めて知り、見に行ってきた。この地では一昨年から地域の有志がこの句碑を中心に菜の花を植え、「菜の花の散歩道」というテーマを掲げて、いろんなまち起こしイベントを催している。

この句を、この茶屋町で蕪村が出句したかどうかはわからないが、茶屋町の周辺に蕪村が立ち寄っていたことは事実なので、これに因んでイベントを企画したという。しかも嬉しい要請とは、このイベントに私が主宰するNPO法人近畿ホーラム21の俳句つくり講座「句会」を催して欲しいとの要請があったことだ。

申し出を受け、この3月の同イベントの一環で、2回「句会」を行うことになった。

こうした話は、他の地域からも打診が相次いでいる。後世のために大阪俳人蕪村を顕彰し、文化振興活動をしようという当NPO法人の「句会」の試みは、立ち上げから1年が経ってようやく実り始めた。

本命の俳句つくり本「句会」講座も2期目を終え、この3月27日、「知事、市長、教育委員会委員長」の各賞を授与する「表彰式」を大阪市造営の「蕪村公園」で行う。と同時に4月からは、第3期講座を開講する。

大阪を行脚して回り俳人としての名を高めた与謝蕪村の俳句を、出来れば外国にも広めて行くことを、各大学と共同して進めたいとも考えている。(了) 2011.03.01

2011年02月07日

◆どうなる「大阪都構想」

毛馬一三

名古屋市長選、愛知県知事選、名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票が6日、投開票された。

市長選では地域政党「減税日本」代表の河村たかし氏(62)が再選を果たし、知事選では同党推薦の大村秀章氏(50)が初当選。河村氏が主導した住民投票は賛成多数で、政令指定市で初めてリコールが成立し、即日解散された
 
ところで、この選挙結果に欣喜雀躍しているのは、「大阪都構想」を掲げてこの春の統一地方選挙に臨もうとする大阪府の橋下徹知事ではないだろうか。

橋下知事の目指す「大阪都構想」とは、大阪府庁と大阪市役所を解体し、広域行政は大阪都、住民サービスは特別区が担い、区長は公選制にするというもの。

この「大阪都構想」を実現するため、地域政党「大阪維新の会」を昨年立ち上げ、自ら党首となって今回の愛知県知事選・名古屋市長選挙に70人の党員とともに現地入りし、応援演説などに駆け回った。

確かに、名古屋市が主張する「中京都構想」は、広域行政を一本化するものの、名古屋市は存続させ、区長公選は想定していないなど、具体的な仕組みの点では「大阪都構想」とは異なる。

構想自体が異なっていたとしても、自治体の長が今春の統一地方選に向け新党を結成し、目指す構想を訴えて勝利したという斬新な事例については、これからの橋下知事の挑戦と重なって映ったのだろう。

「沈み行く“大阪丸”の都市制度を一度壊し、大阪都として再生させるしかない」。橋下知事は、こんな論旨で有権者とのタウンミーティングで訴えてきている。

ところが、愛知県知事選と名古屋市長選の勝利とは裏腹に、大阪都構想を進めたい橋下知事には、異常な事態が立ちはだかって来だしている。事態は急転しているのだ。

橋下知事の当初の戦略は、今春の統一地方選挙の大阪府会・大阪市会・堺市会3選挙で議席の過半数を獲り、過半数が確保出きれば、任期途中で知事を辞任し、今秋予定される大阪市長選挙の出馬、市長に収まって「大阪都構想」を実現するものだった。

しかも、「もし、過半数取れなければ、知事を辞職し自宅に籠もる」とまで言い切った。つまり、過半数獲得には、70%余の異常な高支持率の知事に支えられた維新の党の候補者はほぼ当選し、結果として3議会での過半数は確実に握れるとの自信があったのではないか。

ところがその思惑が今急激に崩れ出している。有権者の意向も知事の「都構想」の説明不足に不満を募らせている。しかも市長選出馬にも諸手を上げていない。

<知事が可能性をちらつかせる自らの大阪市長選出馬については、知事支持層からも反対意見が強かった。 知事が可能性を言及している自らの大阪市長への転身は、都構想に賛意を示す人でも賛成46%、反対40%と意見が割れた。知事の支持層では反対が45%で、賛成の39%を上回った>。 <朝日世論調査>

こうした中、知事と平松市長のバトルは、日増しに激化している。「大阪府にとって大阪市の存在は目の上のたんこぶかもしれない。ずっと我慢してきたが、大阪都構想は『大阪都妄想』でしかない」と、平松市長は厳しく「大阪都構想」を批判している。

これに加え、民主・自民・共産各党は反対し、公明党も知事と一線を画す。

となれば、知事が目指す大阪市議会での「過半数獲得」の読みは、事実上崩れた格好になっている。

さらには、これまで知事と親密だった竹山修身堺市長までもが、「大阪都構想」と距離を置くことを表明した。しかもこの動きを受けたためか、堺市議会の会派からは「維新の会」の候補者として出馬する議員が出ない事態がおきている。

となると、知事の当初の戦略は、根本から見直さなければならなくなってくる。議会の「過半数獲得」が不能であれば、大阪市長選出馬も現実味が薄れてくる。

はたして、「過半数獲得」を反故にし、それとは切り離して強引に市長選出馬を目指す政治手法を選択するだろうか。府民の動向に敏感な知事の選択肢にはおそらく、それはないだろう。(了)         2011.02.06

2011年01月05日

◆どうなる大阪バトル選挙選

毛馬一三

今年の4月には統一地方選が行われる。政権後初の統一地方選挙だが、結果が次の国政の行方にも影響を与えるのは間違いなく、成り行きは見逃がせない。

こうした中で、今年の大阪地方選は、別の渦が巻き起こっている。

大阪の統一地方選は、「大阪都構想」を掲げる橋下徹大阪府知事が党首の地域政党「大阪維新の会」によって、大阪府議選と大阪市議選での過半数を確保することを最大の狙いとしていることだ。

しかも、橋下知事が両議会会派の過半数を確保できた場合、2012年2月の任期満了前に知事を辞職し、自ら大阪市長へ鞍替えする意思があることを、至る所で幾度も示唆する発言をしている。大阪にとっては驚くべきことで、単なる思い付きとは思えない。

知事としては、府・市議会党派の過半数を地域政党「大阪維新の会」で確保できれば、その勢いと実績を背景に、統一選後の今年11月に予定される大阪市長に出馬・当選して、念願の「大阪市解体」を果たし、「大阪都構想」を一挙に実現させたいという腹積りのようだ。

既に,「大阪維新の会」に入党した20余人の府議も、知事と顔写真を並べたポスターを選挙区内に張り出し、知事の人気にあやかった宣伝に乗り出している。知事も、各地でシンポジュームを開き、「都構想」と「市長出馬」を披瀝し、府民の賛同を呼びかけている。4月からの統一選挙から11月の市長選まで視野に入れた選挙戦が本格的に動きだした。

この知事と大阪維新の会の動きに対して、他会派は緊張感を強めており、4月の統一地方選の対抗策を練り直してながら、正月返上で攻勢に出ている。

一方、標的に晒されている平松邦夫大阪市長は、知事の「大阪都構想」をめぐって激しいバトルを続けてきたが、「大阪市政だより・1月号」(1月2日各戸配布)に、「都構想」を暗に批判をした下記記事を掲載した。

<大阪市のあり方をめぐって、市域を分割・解体する案があります。これは地域間の格差や市民サービスの低下を生じさせるばかりか、関西の発展をリードしてきた大都市大阪市の力削いでしまう案であります。市民、企業、誰にとってもマイナスにしかなりません。

市民の暮らしを守る。大阪・関西に輝きを取り戻す。大阪市は徹底的に改革する。これが、新年にあたっての私の決意です>。

平松市長が、知事の「都構想」を暗に批判する記事を「公報」に敢えて掲載すること自体異例のことで、知事の主張する「市解体」の不合理を市民に理解してもらう思い切った決断だったに違いない。

しかも大阪市政運営は、自ら3項目を実行する決意を明らかにし、知事が市長へ鞍替えする動きにも、間接的ながら切り捨てている。

となると、「大阪維新の会」が府・市議会の過半数を取れるかが焦点になってくる。
そこで産経新聞が昨年12月10日〜12日に行った最新の「知事の府政運営などをめぐる府民意識調査」に触れておく。

<知事の支持率は計76.8%。前回調査時(昨年1月)に比べて6.4ポイント下がったものの、依然高率を保った。(略)

一方、政党支持率は自民が11.4%で最も高く、民主10.4%、みんなの党7.1%の順。維新は3.0%で、共産の2.9%と拮抗(きっこう)し、公明1.8%、社民1.4%。(略)

橋下氏は「大阪都構想」実現のため、4月の大阪府議選、大阪市議選、堺市議選で維新の過半数獲得を目指しているが、現状では厳しい状況もうかがわせた。>という見方を示している。

知事は、統一地方選で府・市議会などで過半数の議席を獲得することに敗北した場合は、「退陣する。そして自宅に引き籠もる」と言い切った民放のテレビ番組で、昨年の暮にじっくり拝見させてもらった。

この発言は、番組の雰囲気の盛り上げに合わせた過発言なのか、それとも多少なりとも本音の一部なのかは判然としなかった。

いずれにしても、始まった今年の大阪の一連のバトル選挙選の行方は未だ見えてこない。(了)2011.01.03

◆本稿は、1月5日(水)刊の全国版メルマガ「頂門の一針」2145号に
掲載されました。
◆<2145号 目次>
・中東でまた戦争不可避の様相:宮崎正弘
・どうなる大阪バトル選挙:毛馬一三
・若者も捨てたものじゃない:徳久 勲
・旗幟を鮮明にした「再編成」を:須藤文弘
・老人は死して年金を残す?:平井修一
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2010年12月31日

◆心の真のふれ合い

毛馬一三


学校同窓会の集まりとは、せいぜい暮らしぶりや同窓生同士の去就などを、一杯飲みながら当り触り無く交わしながら終わるのが関の山だ。

お互いの喜怒哀楽に満ちた生き方などを、心の底から語り合うことなどはまず無い。結局、集まりは単なる顔見世行事で、たまのお付き合い程度にしか過ぎない。

ところが、こんな空疎な間柄だと思っていた同期生同士の間で、「心の真のふれ合い」を感じ合う新たな舞台が、意外なキッカケから生まれた。それはこれから追々―。

私の主宰する「NPO法人近畿フォーラム21」が、講座「蕪村顕彰俳句大学」講座を開講したのが、今年の4月。江戸時代の3大俳人与謝蕪村の生誕地・大阪毛馬町に昨年、蕪村18句碑を林立させた市営「蕪村公園」が造営されたのを機に、大阪俳人蕪村の高揚を兼ねて同講座を設けたものだ。

講座には大学教授や俳句結社の主宰者を講師に招いて開講した。受講生は40余人から始め、その中に同窓会(関西福中・福校同窓会)同期生の、津嶋礼文、増田忠勝、香月英夫、橋本紘、渡邊征一郎の5畏友に声を掛け、快く参加してもらった。

同講座は、「趣味の会」とは異なる専門講座を目指した。「俳句の歴史講座」に加え、五七五の17文字に「季語」を軸に、俳人蕪村が目指した「写生」の精神や自己の独特な感性を伝えることに心がけて出句する「句会」の開催だった。

この講座が、実は思いがけなくも「本題」を導いたのだ。

5人の畏友たちは当初、「季語」に沿う想いとそれを表す言葉の駆使に、正直当惑と苦渋を心の底から滲ませる姿がありありと窺えた。しかし句会を重ねていくうち、17文字に巧みに思いを折り込んで出句する上達ぶりが際立ってきた。

流石、福岡高校の畏友たちだけに、その「感性」と「視点」は確かなもので、講師からも高い評価を受けるまでに至った。

第1期講座が終わる9月の締め括りの焦点は、受講者全出句800余句の中から「大阪知事・大阪市長・俳句大学学長」3賞を授与する優秀句を選び、それらを「表彰」する式典開催にあった。

ここで驚くべきことが起きた。なんと5人の畏友の一人の増田忠勝君が「学長賞」に選ばれたのである。講師で構成する審査委員会が非公開で厳選したものだが、3賞句の評価には優劣は無かったという。

さて、その増田忠勝君の学長受賞句―。
◆「雨きざす 風をふふめる 牡丹かな」

審査委員・山尾玉藻講師の論評だは、
<自ずと多くの類句、類想の生まれる中、この句は独自の視点で牡丹の豊饒な美しさを再現しています。雨の気配のする湿った風を孕んで、牡丹の花に一層の重量感や潤沢感が生まれました。この句の切り取りもなかなか際立っていて、与謝蕪村の画人としての俳人としての魂を大いに触発することでしょう>と、絶賛している。

「表彰式」終了後、同公園内の一角に設置された増田君ら3賞の授賞句刻字の「記念プレート碑」の除幕式が行われ、マスコミも取材した。ここに至って増田君は初めて受賞の喜びを実感したらしい。

「表彰式」が終わった後、私と畏友全員が集っまった。

「お互いの心と感性をじっくりふれ合わせられるこのご縁に出会えたのは、最高だった。まさに老後の楽しみに結びつくね」と述懐する香月英夫君の言葉が心に響く。

「蕪村公園の刻字プレート碑に永久に名前が残るようにこれからも頑張ろう」。渡邊征一郎君の囁きも心を揺さぶる。それ以来、同期生同士の心のふれ合いが急激に濃密になってきた。

ところで、第2期講座は、今年10月から来年3月までの日程で進められており、受講生も6倍に増えた。勿論畏友たちは継続受講し、真剣に「句会」と向かい合っている。

12月22日の今年最後の2期講座の後、「忘年会」を兼ねて畏友同期会を初めて開いた。そこで飛び出したのが、畏友の一人が瀬戸際人生を何度も繰り返した苦難を初めて明かしたことだった。どちらからと云えば無口なこの畏友の予想外の語りに皆の涙を誘った。

この畏友の述懐を機に皆からも、身内の苦労話から苦節の経験、充足した達成感などを含め、過去耳にしたことも無い心境の吐露が次々と飛び出した。畏友同士の心の距離が、一挙に縮まった。

大阪俳句文化振興を目指す当NPO法人活動が、思いがけなく「俳人増田」を誕生させただけでなく、今まで微塵も無かった同期生の深層の心のふれ合いを繋げる場になったのかと想うと、これに優る欣快事はないと胸が打ち震える。

この「心の真のふれ合い」は、講座が続く限りもっと盛り上がってくるだろう。
そうなれば私の責務も、限りなく重いことになる。来年も一層頑張ろう。

今年もご拝読に深謝します。よいお年をお迎え下さるようお祈り致します。(了)          2010.12.31

◆反響   溝川茂久氏より

心温まる記事です。わたしは元都島区長です。「蕪村のふるさとにその名を冠した公園を」の要望をしたのが10数年前、完成しバス停の名称も変更された。俳句愛好家のみなさんが盛りあげてくれてなによりです。5年後は蕪村生誕300年です。全国の蕪村フアンにもアピールしていきたいものです。

2010年12月22日

◆橋下知事が「中京都構想」と連携した本音

毛馬一三

大阪府の橋下徹知事が、20日開いた自ら代表を務める地域政党「大阪維新の会」集会に、この日辞職を申し出た河村たかし名古屋市長と愛知県知事選に出馬する大村秀章衆院議員を来賓として招いた。

3人は、橋下知事が進めている「大阪都構想」と、河村・大村両氏が打ち出した「中京都構想」の理念が一致したことを強調。「われわれは平成の薩長同盟。東京都、中京都、大阪都の3都で日本を引っ張るエンジンになろう」と、がっちり握手を交わした。

その上で、名古屋市長選と愛知県知事選と来年4月の大阪府議、大阪・堺市議選をお互いに応援し合う方針にも合意した。橋下知事にとっては、願ってもない演出効果を上げたことになった。

ところで橋下知事が代表の地域政党「維新の会」について、改めて触れておく。

橋下徹知事は今年4月19日、大阪府と大阪市を解体・再編して「大阪都」を新設する構想実現を目標に掲げて、自ら代表となり、府議・市議と地域政党として立ち上げた。

橋下知事は、政党結成当初、「政治しか日本を変えることはできない。『東京都とともに、大阪都で日本を引っ張る』というゴールを共有し、本当の意味での政治を進めよう」という決意を表明していた。

ところが今回、これまで独自だった「大阪都構想」を、河村・大村両氏が打ち出した「中京都」構想」と連携させたことで、橋下知事にとっては、大阪府民へは勿論、全国に向けて「大阪都構想」理念の理解を深める更なる一歩を踏み出したことになる。

もうひとつは、大阪市解体を激しく批判し日増しに過激になっている大阪市長とのバトルに、心理的な圧力を一段と強めたことになる。また、「大阪都構想」を愛知県知事候補者と名古屋市長との有名人と共鳴したことで、府民の驚きと賛同を得ることにもなる。

ところが、3者がともに唱えた「都構想」には、意外にも具体像にズレが潜んでいる。

つまり「大阪都構想」では、大阪府庁と大阪市役所を解体し、広域行政は大阪都、住民サービスは特別区が担い、区長は公選制にするものだ。しかし「中京都」は、広域行政を一本化するものの、名古屋市は存続させることにしている。しかも区長公選は想定していないなど、根っこの部分で仕組みが異なっている。

更に河村市長は、「中京都」は、「減税」実施を最大の構想の柱にしており、「大阪都構想」の中味とは食い違っている。これに対して、「維新の会」の議員らから懸念の声が上がっている。

恐らく今後、3者で構想の詰めは進められるかも知れないが、橋下知事にとっては、「構想のズレ」などはどうでもよく、今回の連携演出の効果が上々だったことに満足しているのが本音だろう。

早い話、全国的な話題の主の2人と「構想理念」が一致したことが、来年春の統一地方選挙に初登場する「維新の会」所属の各議員が好成績をあげ、「大阪都構想」の実現を支えてくれることへ繋げる大きなパフォーマンスになったと、自信を深めているのではないか   (了)

◆本稿は、12月22日(水)刊の全国版メルマガ「頂門の一針」2131号に
掲載されました。同号の目次は下記の通りです

◆<2131号 目次>
・小沢の茶番劇にうんざり:阿比留瑠比
・馬鹿同士の90分間:西村眞悟
・朝鮮学校に神奈川県が6300万円を:古森義久
・「中京都構想」と連携した本音:毛馬一三
・外交トップの姜錫柱と譲歩した米外交:古澤 襄
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2010年12月05日

◆大阪は本当に「日本最貧!?」か?

毛馬一三

12月9日付で今発売中の「週刊新潮」が、米ニューヨーク.タイムスの<意気消沈するニッポン>と題した特集記事を載せている。

特集記事によれば、<(あれほどリッチだった日本が)これほど急激に経済が逆転してしまった国は世界でも珍しい>と、日本経済の有り様を指摘している。

その上で、何と<そんな凋落ニッポンの“象徴”が「大阪」なのだと書き立てている>のだ。

しかも、<誇り高き商都・大阪では、商人たちが極端な行動に走り始めている。街には10円で缶入りドリンクを売る自販機が並び、レストランに行けば50円でビールが飲める>と書き、<日本のデフレスパイラルを激化させるだけだ>と切り捨てている。

この論評に「週刊新潮は」、<まるで大阪がデフレで今にも沈没しそうといわんばかり」だと補足し、日本のことになると嫌がらせみたいな記事ばかり載せるNYタイムスの記事だから、多少割引いて読むべきだと示唆している。

ここまで商都大阪をコケにされていいのか。

たしかにあれほど賑わっていた歓楽街・北新地の閑散ぶりは目に余るものがあり、今では土曜日に営業している店はほとんど無く、居るのは人待ちタクシーばかりだ。とわ言え、この閑散ぶりが大阪低迷の総てを語るものではなかろう。

街歩きが好きな大阪の知人数人に聞いてみても、10円の自販機など北と南の繁華街で見たことは無く、ましてや50円ビール看板に出会ったことはないという。早い話、NYタイムスの記事は、ゴミ箱をほじくった類の記事だと見下す。

NYタイムスは、大阪商人の商売根性を知らないようだ。どうやら浪速商魂とデフレ化とを混同しているとしか思えない。

驚くような「値下げ」して商売するのは、決して商買破綻の表れではない。ましてやデフレの象徴でもない。

「労せずしてカネ儲けは出来ない!」ことを家訓とする商家では、大根1本でも鮮度に合わせだんだんと値下げをしながら、その日に売り捌き、元を取ってしまえば、残りはタダにする。これが次に繋がると考えるのが浪速商法だ。

「常に人のせんことをしなはれ」と真似らない知恵を出せ。万一真似られても「古井戸と知恵は枯れぬ」の例え通り、汲めば汲むほど湧き出るものだ。
<あきない夜話・和田亮介著>

つまり、浪速商法を「永続」したいと思えば、「利を取るより(信用)をとれ」と戒め、買い手を楽しませ、買い手側に喜ばれる方法で商売を乗り切れとの定法を取ってきたのだ。

NYタイムスが載せた大阪・千林商店街では、12月4日第3回の「100円商店街」を開催した。食料品・衣類・雑貨アクセサリーなど153店舗が100円均一の品揃えをして販売したので見学に行って見たが、予想を越える賑わいだった。

タイムスが載せた<結果は、皆を落胆させるばかりだった>との記事は、とても想像できないことだった。

いずれにしても、「安い値段」が「商都大阪のデフレ」を見せつけ、「凋落ニッポンを象徴している」という見方は、皮相的であり、真実を伝えていない。

集客を拡大して将来の浪速商法を発展させるために、長期視野にたった「知恵」を絞って商いをしている実像を、NYタイムスはよく見極めて欲しいものだ。(了)                 2010.12.04

◆本稿は、12月5日刊の「頂門の一針」2114号に掲載されました。
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2010年12月04日

◆サッカーW杯落選の余波

毛馬一三

サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)招致に立候補していた日本は、スイスのチューリヒで開かれた国際サッカー連盟理事会の投票で落選し、初の単独開催はならなかった。

日本は最先端の立体映像技術を使って世界中で「次世代W杯」の理念を強調したが、そのような理論だけの展開では有効に働かず、結局積極的なロビー活動に重点を置いて活動したカタールが勝利した。

この「落選」に恐らく、サッカーW杯の日本初の単独開催を待ち望んでいたサッカーフアンらにとっては、情けない思いをしていることは間違いない。

中でも、大阪市は特別だ。日本サッカー協会の要請を受けて、大阪市の中心部梅田に「大阪エコ・スタジアム」(仮称)を建設。開催が決まれば、開幕・決勝戦を行うことが有力視されていただけに、大阪市の平松邦夫市長らは、今失意の中いる。

その平松市長は、3日未明大阪市役所内のインターネット中継で同理事会の投票の行方を凝視していたが、「日本落選」が決まると体をのけぞらせ、「残念としか言いようがない…」の一言を漏らすのが精一杯の落胆ぶりだった。

それもその筈、財界などの協力合意も得て大阪の中心部・梅田のJR大阪駅の北側に建設する上記「大阪エコ・スタジアム」構想が、吹き飛んでしまったからだ。これが出来ないとなると大阪市の将来発展を賭けた同構想自体は、事実上頓挫してしまうことになる。

平松市長にとって、これをどうしても成功させたいもうひとつの「わけ」が終盤にあった。

それは、サッカーW杯日本開催に伴い進めていた大阪市の「大阪エコ・スタジアム」構想に、最初積極的に賛意を示していた大阪府の橋下知事が、スイスでの「投票」寸前に突然態度を豹変、同構想に「反対」を訴え出し、拡大している知事・市長のバトルに新たな火種を投じたからだ。

橋下知事の「反対」の理由は、「あんな都市中心部にサッカースタジアムなんて大阪府民全体の立場として反対。基礎自治体が扱う範囲を超えており、関西全体を考えて使い道を考えるべきだ」というものだった。

これに対して、大阪市内部では、「なぜ開催地が決まる直前の大事な時期に反対発言をしたのか。(反対)発言が他国にどんな形で発信されるか分からない。招致に頑張っている人たちにダメージを与えてほしくない」と、変節ぶりに憤った話も聞く。

ともかく、サッカーW杯開催そのものは「日本落選」により振り出しに戻ったが、大阪がこの構想を生かすのか、お釈迦にするかをめぐっては、これから余波が更に広がることが予想される。

市長は、「国立施設は大阪にはなく、構想の予定地は駅にも近い。スポーツだけでなく、コンサートや複合施設などとしても使える」とのべ、同構想を大阪市発展のために更に実現させる意向を捨てていない。

これに対し、橋下知事は、「ワールドカップが来なければ梅田にスタジアムはいらない。大規模な施設は大阪全体でプランを描くべきで、大阪市が独断でやることではないと平松市長には言いたい」と述べ、今後、大阪府として同構想の建設に反対していく考えを改めて示している。

このバトルの原因はどこにあるのか。府議会・市議会議員によれば、知事が大阪府と大阪市を統合させる「大阪都構想」を来春の統一地方選挙の争点の柱に据えるための計画的策略だという。
そうなれば知事・市長のバトルは更に加熱し、サッカーW杯落選余波はその一過程に過ぎなかったということになるのだが。(了)   2010.12.03

2010年11月24日

◆顕微鏡検査で歯周病菌発見

毛馬一三

奥歯に違和感があったので、近くの「歯科医」に診療に行った。これまで虫歯は一本もなかったので、歯科医院に行くのは10余年振りのことだった。

診察の結果、奥歯1本に軽度の虫歯があるとのことで、治療を開始することになった。とにかく軽い虫歯発見だけで済んだため、一旦は胸を撫で下ろした。

ところが驚いたことがあった。この歯科医院の診察室には「位相差顕微鏡」が備えられており、患者の口内に歯周病菌やカビ菌が有るか否かをたちどころに検査するシステムが整えられていた。

歯科医院には「顕微鏡と映像公開装置」のセットが5年ほど前から導入され始めたそうだが、長期ご無沙汰していた筆者にとっては、このようなセットがあるとは、全く知らなかった。

映し出された筆者の口内検査画面の映像をじっくり見ると、紐状の歪んだ塊が幾重もあり、その間を原虫みたいなものが無数に蠢いている。初めて見る映像だったので、不気味な映像に悪寒が込み上げてきた。

歯科医師の説明によると、映像で蠢いているのは歯周病菌で、紐状の塊はカビ菌だという。なんと口内で歯周病菌が見付かったのだ。

歯周病菌は、回し飲みや回し食い、箸の使い回し、キス、くしゃみなどが感染ルートとして上げられ、一旦口の中に進入すると定着して発症するケースが多いそうだ。外食の多い人には特に罹患の可能性が高いという

歯周病は、口の中で出血すると血管に入り、心臓で炎症を起こすという。歯周病の患者が心臓病になる確率は2〜3倍にあがり、このほか食道癌、糖尿病、早産、高血圧などにも関与しているという。

カビも酸を出すので歯を溶かし、虫歯につながるという。予防を怠れば、どちらも恐ろしい病気だ。

このため歯周病菌予防とカビ菌除去のために、「細菌の除去薬剤・シスロマック」とスプレー式カビ取り歯磨き剤の「ぺリオバスターN」を出してもらい、予防措置を講じた。

2週間後に再度行った「顕微鏡」検査で、症状に改良が確認されたので一安心したが、油断は禁物。今も歯の手入れには真剣に取り組んでいる

ところで、歯周病の進行を症状の具合でみると、

@口臭、ネバネバ感
A歯ぐきに赤み、時々出血
B歯ぐきの炎症、腫れ、赤みの悪化
C歯ぐきを押すと膿が出る
D口臭が更に悪化、出血がひどい、歯が揺れる、歯ぐきがよく腫れる
E歯が痛くて噛めない、歯が揺れて噛めない、歯ぐきが常時腫れている

といった順序で進行いくという。無感覚の中で進行する場合もあるという。

であれば、定期的に歯科医院に通い、歯周病が再感染していないかを「顕微鏡」で調べる必要があるようだ。またカビ菌も歯周病菌の棲みかとなって歯周病に再感染する要因になるので、適切なクリーニングが求められる。

序でながら、義歯にもかなりのカビが付くので、歯周病と関わりがあり、義歯のブラッシングも留意すべきだそうだ。

歯周病菌が「顕微鏡」で発見されたものの、歯周病には患っていなかったのでラッキーだったが、この機会に歯の手入れには一層気を配って行こう。そうしないとこれから美味しいものが頂けなる。
参照:<国際歯周内科学研修会監修・顕微鏡検査のススメ>                 
                          2010.11.23




2010年11月18日

◆再燃し出した「大阪カジノ誘致構想」

毛馬一三

大阪府の橋下徹知事が、大阪カジノ誘致構想の是非について大阪府民にアンケートを実施し、年内にも提言をまとめることになった。どうやらこれには橋下流の様々な思惑が絡んでいそうだ。

カジノ構想は各地の自治体が次々と名乗りを上げており、東京の石原慎太郎知事も02年2月に「お台場カジノ構想」を発表している。

大阪では、6年前に前知事が関西国際空港などを対象に構造改革特区「国際交流特区」にからめて「大阪カジノ構想」をブチあげたが、刑法(第23章第185条〜第187条)と「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(いわゆる風営法)が壁となって、見送られた。

ところが橋下徹知事は、就任後からこの「大阪カジノ構想」を、逼迫している府財政改善施策の旗印のひとつに掲げて動き出している。

これを加速させたのは、大阪市から大阪臨港にある48階建ての「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)を85億円で買い取り、ここに大阪府本庁を移すこと決めたことから、動きが一層新展開しだした。

本庁移転は、「大阪都構想」実現拠点地とすることが知事の悲願だったが、同時にこの周辺地域に「金儲け」と観光誘致に最大貢献する「カジノ誘致」を図り周辺の実質的な整備をはかることも、知事が描く一大構想だった。

今年6月になって、その根拠に「大阪での規模なら1500億円稼げる」として、「国民に増税だなんて言わなくてもいい。世界の富裕層、外国人から金を巻き上げればいい」と述べ、構想の現実味を披瀝した。

こうした中で大阪港ベイエリアに、知事の「カジノ誘致」の意向が俄然伝わり出すと、大阪港周辺を管理所管する大阪市との間で紛糾が起こりだした。

大阪市WTCを売却した大阪市としては、足元の同市管理の大阪港内の「夢島」周辺にカジノが誘致されれば、大阪市の将来の港湾管理と用途活用に重大な支障が出るとして、これは受け入れられない大反発。公式の場で何度も、橋下知事と平松邦夫市長がバトルを繰り広げる始末となった。

ところが、新たに橋下知事が立ち上げた知事を代表とする地域政党「大阪維新の会」が、府市再編の「大阪都構想」の是非を掲げ、来春の統一地方選挙に候補者を立て、市民の意向を質したいとの動きを見せだしたことから、「カジノ誘致構想」も絡んで更に複雑な様相を見せだした。

しかし、<アサヒ.コム>によると、<「カジノ」も絡む「都構想」について知事の説明が十分かどうかを尋ねると、「不十分」が69%で、「十分」の15%を大きく上回った。知事や維新の会側が、より具体的な説明を求められている、と言えそうだ。

また同構想が選挙で最大の争点になることについて、「好ましい」が37%、「好ましくない」が38%と伯仲。争点が絞られることは必ずしも歓迎されていない。>たなっている。

このように、構想の説明不足が指摘されている他、全国からは大阪に「都」の呼称を付けることは不適切との意見が寄せられている。さらには府市再編についても政府部内からは疑問が投げられており、知事にとってはこれを無視する訳にはいかなくなった。

そこで、大阪府が近く「都構想」の主軸のひとつに据える「カジノ誘致」の是非を問う府民アンケートを実施し、年内にも提言をまとめることにしたようだ。

大阪では、前回の例もあるように、「カジノ誘致」をめぐっては経済効果に期待する声がある半面、たしかに「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」に触れてはいけないなどの慎重意見も根強い。そうなれば「アンケート」は重要となるのは必至だ。

たしかに知事としては、府財政改善施策としてこの「カジノ誘致」を前面に打ち出す一方、誘致に危惧がないかの府民意識を調査したいのが建前のようだ。

ただこのアンケート結果を、本来の行政遂行目的以外の、いわゆる来春の統一地方選挙に利用され危惧もあるとの府・市議会も多く、この知事の深い思惑がないとは否定できない。

いずれにしても「カジノ誘致構想」が再燃し、大阪が紛糾し出すことは間違いない。
                                      2010.11.17

◆本稿は、11月19日(金)刊全国版メルマガ「頂門の一針」2100号に
掲載されました。他の卓見も下記から手続きしてご高覧下さい
 http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm

◆<2100号 目次>
・「大阪カジノ構想」再燃:毛馬一三
・豪州捕鯨反対の真相:渡部亮次郎
・本末転倒『犯人探し』は菅・仙谷内閣の責任隠蔽だ:櫻井よしこ
・表現の自由と入間基地での航友会会長挨拶:阿比留瑠比
・南沙諸島で漁民が漁に出られず:上西俊雄
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2010年11月10日

◆ビデオ映像流失への異論

毛馬一三

沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像流出問題について、犯罪だけを追及する事態を巡り、異論が噴出している。

たしかに、海上保安庁職員が流失していたのだったら国家公務員法の守秘義務に触れるのは間違いない。しかし問題はは中国漁船衝突事件のビデオ映像を公開する姿勢を一向に見せない政府の対応に国民は首をかしげていることだ。

そんな中、大阪府の橋下徹知事が、8日記者団のこれに関する質問に答えて「プライバシーにかかわる個人情報が出るのはよくないが、それ以外の情報は国民の情報。世に出回る社会である方がよい」と述べた。

このことは、「国民が欲しい情報は、個人情報以外、世に出回る方が当然。そんな社会が望ましい」と、国民に必要な知る権利を与えない事実を指摘し、府民の意識をバックに政府の対応をやんわりに批判している。
また同知事は、海上保安庁など公的機関の情報管理について「大阪府庁でも、情報が出てしまうことを前提に対処法を考えている。情報管理が難しいことを言い訳にはできないが、実際は問題が起きてから対応している」としたうえで「政府も管理できないことを前提に対応する方が得策だった」とものべ、政府の情報管理を皮肉っている。<産経ニュース>
既に刑事事件に発展しているため、橋下知事発言もいつもの過激さを潜めているようだが、それでも府民の間からは、知事発言の真意を評価する声が出ている。

ところで、「頂門の一針」(11月9日発刊)の阿比留 瑠比氏の記述を読むと、胸の痞えが収まる感じがする。以下、阿比留 瑠比氏の卓見を紹介する。

<菅内閣発足後の国民不在の韓国併合百年謝罪談話、竹島領有記述の載った防衛白書閣議決定の先送り、尖閣諸島沖での中国船衝突事件での船長釈放とビデオ映像の非公開、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土・国後島訪問…と、ここのところ、ずっと、日本の主権と、主権者たる国民の知る権利が侵されているという思いがありました。

特に、尖閣問題では、菅政権によって領土保全という主権問題が無原則にないがしろにされる一方、国政の最終決定権者である国民に必要な判断材料が与えられないことに強い憤りを覚え、産経紙面でもこのブログでもそれを度々表明してきたところです。

また、今回、衝突ビデオ映像がsengoku38という人物によって暴露された件をめぐっても、いたずらに守秘義務を犯した国家公務員法違反という点(それ自体は否定しないものの)に問題を矮小化しようと務めている菅政権の閣僚らに対し、改めて姑息だなあと感じている次第です。最初から公開しておけば何も問題はなかっただろうにと。>

本当に阿比留 瑠比氏の卓見は見事だ。だとすれば日本の領土保全を菅政権は本気で考えているのだろうか。政府のお粗末さを公務員犯罪にすり代えることにより、行き詰まっている政権運営を誤魔化そうとしているのか。こう思うと、日本迷走を加速させる菅政権は、日本救世の政権に急ぎバトンタッチすべきであろう。
余談だが琉球新報によると、<石垣海上保安部が集中的に捜査される中で、市民からは同海保を激励し、映像流出を歓迎する声が聞かれるという。
 石垣海上保安部には、電話では中年男性が「ビデオを見ました。よく守ってくれてありがとう。これからも応援するので頑張って。もし(流出の犯人が)海保の職員だったら守ってくれ」と語ったという。

さらには 石垣海保による年に1度の灯台公開日の6日、御願崎灯台に訪れた市民や観光客らの中には「いま大変だろうけど頑張って」と海保職員を激励する姿や愛知から訪れた62歳の人が「わざとぶつかった船長は釈放されたのに、映像を公開してくれた人が罪に問われるとしたらおかしい」と首をかしげた>。

早い話、国民は皆日本の将来に危惧を抱いている。むしろ本件を犯罪にすり代えるのでは無く、領土保全、経済安定など直面している国の進路の最重要課題として捉えるべきで、それが出来ないのなら菅政権はすぐさま降りるべきだ。
                      2010.11.09

◆本稿は、11月10日(水)刊全国版メルマガ「頂門の一針」2091号に
掲載されました。卓見満載の「頂門の一針」を、下記からお手続きしてご覧下さい。
   http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm

◆<2091号 目次>
        
・ビデオ映像流失への異論:毛馬一三
・菅政権の尖閣衝突ビデオでの倒錯 :古森義久
・「中国に怒り」東京で4500人がデモ 韓国紙:古澤 襄
・3年ぶり利上げの背景:宮崎正弘
・農村の神武(ずんむ)たち:渡部亮次郎

・ 話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2010年10月30日

◆大阪市は「赤バス」を廃止するのか

毛馬一三

大阪市営バスに乗った時、車内に「お出かけになる時は、赤バスをご利用ください」という大きな見出し付きの紙が張り出してあった。

よく読んでみると、大阪市内を走る「赤バス」28路線のうち1台当り乗客数が、東淀川区と平野区の2路線を除く、残る26路線で凡そ6人〜9名不足。最悪は長柄東〜大淀中路線で、1台当り22名不足など詳細に記されている。

読み様によっては、「だから赤バスをもっとご利用ください」ではなく、「現状の乗車数不足が続けば、赤字改善は期待できず、廃止も止むを得ない」と、市民に合意を求めているとも受け取れる。

その「赤バス」だが、ノンステップの外国製小型バス。02年にベンツ車(定員22名)とオム二ノバー車(定員27名)を導入したもので、地域密着型の路線として既存路線が走らない狭い道や不採算路線を走るという、謂わば「地域優先を第一に、敢て採算性度外視」の自治体だけが断行出切る善政の実施だと受けとめられてきた。

しかも運賃が「100円」と格安な上、とくに歩行に障害のある高齢者にとっては、住まい近くの停留所から楽々乗車できることから、大阪市のために長く貢献してきた高齢者への優待策として歓迎されてきた。

ところが平松市長は就任直後、本来の採算度外視の「赤バス」の意義に目を反らし、ただ赤字解消の槍玉に「赤バス」廃止を打ち出したのだ。

このため高齢者ら市民の間から不満が噴出し、市議会では、「赤字でも市民には必要」「廃止後の代替措置が示されていない」などと、批判が相次ぎ、中には「絶対廃止させない」と意気込む議員も多い。このため「廃止」は取り下げられている。

張り紙を見せるだけで、赤バスの乗客数が増え赤字解消に繋がるとは誰も思っていない。市長が再度「廃止」を提案するだろうといううわさは関係者から依然絶えない。

ではどうすればいいのか。何かいい方法がある筈だ。

一例を上げてみよう。「毛馬―京橋」路線の場合、確かに地域密着型の路線として、過疎地域をじっくり回って、終点は京阪京橋駅に到着する。地下鉄から離れている同地域の住民にとっては、「赤バス」が生活の足であることに間違いない。

しかし、この「赤バス」路線の最大欠陥のひとつは、地域住民が最も願っている総合医療機関「大阪市立総合医療センター」へ行かないことだ。乗客は「赤バス」から一旦降りて歩き、既存路線の「同センター行きバス」に乗り換えなければ、医療センターには通えない。乗り降り不自由な病人にとっては過酷な話だ。

この「赤バス」が直接「大阪市立総合医療センター」へ回れば、乗客は一挙に増えるのは確かだ。
また、同路線は、都心の梅田にも向かわない。もし何便か「梅田行き」路線を新しく組み込めば、買い物に行きたい乗客の増加は見込めるのは必至だ。

しかも、梅田など都心に行けば買い物も出来たり、催しにも参加できることになる。それが大阪の経済効果にも繋がる上、高齢者にとっては「赤バス」が老後の楽しみを喚起させる手足となることになる筈。

なぜ、赤字の責任を利用乗客になすり付けようとするのだろうか。むしろ乗客の利用志向をよく考えて、行き先の新設など路線の改善を果たせば、「廃止」だけの愚かな発想に終始するとは思えない。平松市長!一度「赤バス」に乗り、車内で「廃止」に代わる「新発想」を考えて見たら如何。

2010年10月14日

◆明日のわが身

毛馬 一三

本誌常連寄稿者の畏友・石岡荘十氏の本誌掲載が長期途絶えていることに、愛読者の友人・知人から懸念の声が多数寄せられた。そういえば、筆者自身も気にはなっていたことだったので、久し振りに架電して様子を伺った。2ヶ月ほど前のことだ。

すると石岡氏曰く、「長い間、体がだるいうえ、左胸と背中に痒みが激しくなったので、出筆どころではなかった。症状がどんどん酷くなってきたので、診察を受けたところ、“帯状疱疹” (たいじょうほうしん)といわれた。」という。

“帯状疱疹”?。加齢病の一種だというのでその場は聞き流し、発症原因や治療方法など詳しく聞かず、ただ完治を祈る見舞いの言葉を掛けただけで電話を切った。

ところがまさかこの病気が、何とわが家に及ぶとは、思いもしなかった。

実は、今月9日の連休始まりの夕方に、家内が背中の左部位が少し赤く腫れ、痒みがあると言い出した。単なる炎症だと思い込み、炎症止めのロキソニンを飲ませ、患部には抗菌剤ラミシールクリームを塗って、症状の具合を観察していた。

ところが背中部位の炎症は止まらず広がる一方、新たに左胸の部位に赤く腫れあがり、痛みと痒さも酷くなってきた。お粗末にもこの時点に至っても、石岡氏と同病の「帯状疱疹」だとは気も付かなかった。

同病名だと分かったのは、連休明けに近く皮膚科診療所の診察を受させてからからだ。そういえば、体がだるくなり、肩凝りが酷くなるという石岡氏の話と、家内の事前の症状が極似していただけに、同病と同じ可能性に気付くべきだった。真面目に聞いておれば、対処も早かった筈だった。

さて、<帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症の一種。

一般的には、体調を崩しやすい季節の変わり目に多く、高齢者の場合、神経痛が強く残ることがある。疱疹後神経痛、帯状疱疹後神経痛という。その治癒は、場合により、長びくことがある。

60歳代を中心に50歳代〜70歳代に多くみられるが、過労やストレスが引き金で若い人に発症することもある。年齢が若いから軽症ですむとはかぎらず、その患者の抵抗力により重症度が決定される。初期に軽症であっても、無理をすることでいくらでも重症化する疾患である。

知覚神経の走行に一致して帯状に赤い発疹と小水疱が出現し、強い神経痛様疼痛を伴う事が多い。前兆としてだいたい1週間くらい前から違和感やぴりぴりした痛みを感じることもある。

三叉神経に帯状疱疹ができたときは注意が必要である。髄膜炎、脳炎にいたるおそれもある。目の中にできると角膜炎や結膜炎を併発し失明に至ることもある。また、まれに歯槽骨の壊死・歯の脱落が 発生することもある。なお、歯槽骨以外の骨の壊死の報告はない。

耳の中にできると耳鳴り・眩暈などの後遺症を残すこともある。さらに、顔面神経に帯状疱疹ができることがあり、顔面神経麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)にいたることがある。腰部や下腹部に生じた場合、排尿障害や排泄障害が生じることもある。

通常、皮膚症状が治まると痛みも消えるが、その後もピリピリとした痛みが継続することがある。これを帯状疱疹後神経痛という。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことで起きる。
この症状は、皮膚症状が重症な人、眠れないほどの痛みがある人、または高齢者に残る可能性があるので、早期の治療が望まれる。

帯状疱疹はどういう形で何が出るかも不明ということもあり、早めの兆候を見逃さず、症状を過小評価しないことが大切である。特に顔面神経麻痺などは湿疹が消えても治療が遅れるとなかなか治癒しないこともある。

顔もしくは体にひどく痛い皮膚症状がでたら皮膚科に行くこと、また耳鼻科領域で顔面神経麻痺などが出たら、すみやかに治療に専念すべきである。適切な治療が行われれば、1週間ほどで水ぶくれはかさぶたになり治癒する。

帯状疱疹になる人は、慢性的に不規則な生活を送る事や、過度の疲労、心労を要する作業を続ける事は控えた方が良い。規則正しい生活と、十分な栄養の摂取、心の安静が必要である。>

診察を受けた医者によると、帯状疱疹は、日常よく起こる病気で、年間50万人(人生5人〜7人に1人)がかかるデータがあるとういう。これを防止するため米国では、水ほうそうのワクチンを60歳過ぎたら接種を勧めているという。

畏友・石岡氏の病状には、高齢期に入った同士として、もっと真剣に耳を傾けるべきだったと猛省している。きちんと聞いておれば、驚きもせず、適切、迅速な対応が行えたであろう。ワクチンの接種も相談してみよう。明日のわが身に繋がる貴重な情報だったのだ。
参考:ウィキぺディア                    2010.10.13

◆本稿は全国版メルマガ「頂門の一針」10月15日(金)刊2066号に
掲載されました。下記「目次」を拝読の程を。

◆<2066号 目次>
・国家観も信念もなし:櫻井よしこ
・尖閣衝突以後、在日中国語メディアは:宮崎正弘
・小村寿太郎を僭称する柳腰官房長官:阿比留瑠比
・なぜエリート検事が逮捕されたか:岩見隆夫
・明日知れぬわが身:毛馬一三
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2010年09月05日

◆賢い愛犬の習性

毛馬一三

最近の新聞で、「犬は飼い主の足音を聞き分けている」という記事を読んだ。

これは、京都大の比較認知科学グループが様々な種類の犬を使った実験で、この通説を確かめたものだという。犬は飼い主の微妙な癖を覚え、聞き分けているのではないかというのだ。

<京大では、チワワやポメラニアン、ミックス(雑種)など様々な犬種の計21頭を、ドアや窓を閉め切ったマンションの一室に犬だけを入れて実験をした。

知らない人に部屋の外を2往復してもらい足音を聞かせた後、(1)その人が入ってくる(2)飼い主が入ってくる、逆に飼い主の足音を聞かせ、(3)飼い主が入ってくる(4)知らない人が入ってくる―の4パターンの実験。

入ってきた人を犬が見つめる時間を比較した結果、知らない人の足音を聞かせた後、飼い主が入ってきた時〈(2)〉は、知らない人が入ってきた時〈(1)〉より見つめる時間が平均で約2割長かった。

犬は期待と反する現象が起きると、驚いてその対象を見つめる。(2)では足音を聞き分け「飼い主ではない」と思ったのに、現れたのは飼い主だったので驚いたとみられる。
京大比較認知科学グループによると、「飼い犬は、飼い主の歩き方のリズムや左右のちょっとしたアンバランスなどの癖を知っているのではないか」とみている>という。

この実験の結果には、愛犬の飼い主としておおいに納得できる内容だ。

我が家の愛犬は、6歳の小型ノーフォークテリアだが、私や家内が外出先から帰ってくると、その外出時間の長短に拘わらず、足音や歩き方のリズムなどで聞き分けるのか、ドアを開けると「帰宅歓迎」の声を上げながら飛びついてくる。マンションの外側から3段の階段を上がって来るまでの間に「足音」で、わたし達の帰宅を識別したのだろう。

ところが、セールスなどの来訪者の足音が近づくと、むっくり起き上がって「警戒心」剥き出しに大声を張り上げ、玄関に走っていく。犬が、知らない来訪者の足音には異常なほど敏感に反応する習性があるのは、飼い主なら皆ご存知の筈だ。

この習性が、マンションでの空き巣等の犯罪防止に大きな効果を挙げていると、団地内に住んでいる大手ビル管理会社の役員から聞かされ、なるほどと思ったことがある。

ところがその「足音識別の習性」より、私にはまだ驚かされることがある。

というのは、我が家の愛犬ノーフォークテリアは、私たちがさりげなく交わす電話の会話の中で、「これからお出でなさい」というやり取りを聞き分ける習性がある。そうすると、すぐさま玄関ドアの前まで移動し、じっと座り込んで来訪者が来るまで「待機」する。

単に「いらっしゃい」とか「お出でになりますか」程度の短いフレーズの意味を正確に聞き取り、しかもその来訪者が、我が家と親しい間柄の知人だと判断するのだろうが、その「聞き分け名人芸」には舌を巻く以外にはない。

暫くして来訪者が玄関に現れると、愛犬はピンピン飛び付いて喜びを思い切り表す。私たちが「いらっしゃいませ」と発する前に、愛犬の行動を宥めるのが先の段取りとなる。

訪問者も愛犬の歓迎におおいに喜び、来訪の雰囲気が一気に盛り上がる。訪問者を招き入れる私たちも、これにこしたことはない。愛犬は、歓迎の飛び跳ねを終えると、次は先頭にたって来訪者を居間へと案内する。

愛犬の賢さは筆舌に尽くし難いが、電話のやり取りから次への行動を起こすということは、人間の言葉がわかっているというだけではなく、飼い主や親しい知人の喜びの心理まではっきりと理解しているということになる。

こうした賢い「習性」が日常的にいろいろ顕になると、家族以上の愛情が湧いてくるものだ。またその愛情をしっかり理解し、それを待ち望んでいる愛犬に接していると、「賢い」という言葉しか見当たらない。(了)2010.09.04