2008年11月13日

◆兵庫県知事発言の真意(差し替え)

                    毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」14日号に掲載されました。同メルマガをお読みになりたい方は、下段ご案内から手続き下さい>


井戸敏三兵庫県知事の「関東大震災が起きればチャンスになる」とした発言を、マスコミが不適切発言だと騒いでいる。しかも河村官房長官が記者会見で、井戸知事発言に敢えて自戒を求めたり、石原東京都知事が強い反発の構えを見せたことから、事態はヒートアップしている

事の起こりは、11日に和歌山市で開かれた近畿ブロック知事会議で、井戸知事が「関西経済をめぐる議論」の中で、切り出した発言だった。

同知事の発言は概略以下の通りである。

「東京一極集中をどうやって打破するかという旗を掲げないといけない。物理的には、関東大震災なんかが起きれば、相当なダメージを受ける。これはチャンスですね。

チャンスを生かす、そのための準備をしておかないといけない。機能的には金融なんです。金融とマスコミが東京一極集中になっている。東京に行った企業をもう一度関西に戻せというカムバック作戦を展開していく必要がある。

(中略)そういう意味では、防災首都機能を関西が引き受けられるような準備をしておかないといけない」。(朝日新聞)

これを見る限り、やや言葉足らずはあるものの、首都圏の震災時に果たす関西の役割を主張したものと受け取るのが普通で、大震災県である知事がその立場を逸脱した不謹慎な言及と決め付けるのには、些か行き過ぎを感じる。

ところがこの発言にマスコミが一斉に批判の矛先を向けた。知事発言の中の「関東大震災とチャンス」の言葉だけを連動させて、「阪神淡路大震災を経験した兵庫県知事が、関東大震災をチャンスだと述べるのは、不謹慎だ」と厳しく決め付けたのだ。

オモシロ可笑しく煽ることが、読者(視聴者)の気を惹く好材料との思いから動き出したことは紛れも無い事実。この瞬間に井戸知事の真意は、雲散霧消した。

会議参加の知事らも、マスコミの意向に応じる形で、「表現は不適切であり、訂正すべきではないか」と指摘する意見を次々に明らかにした。

その上で河村官房長官が、「兵庫県は阪神・淡路大震災で大変苦労し、痛みを十分知っているはずだ。また、大震災の時は全国も心配して協力した。その県の知事の発言だから残念だ」と述べ、石原知事も「不謹慎極まりなく、話にならない」と切り捨てた。

マスコミの報道で、明らかに井戸知事の発言意図とは食い違った批判ムードが一人歩きし、知事自身の見識や人格問題にまで踏み込むような予期しない事態に発展して仕舞ったのには、首を傾げたくなる。

果たして、井戸知事はその日の記者会見で、「東京一局集中へのリスクへの高まりとリスクへの備えを引き受けるのが関西の引き受けるチャンスとなるという意味を言いたかった」と発言の意図を説明した。

しかし騒ぎが収まらないのに配慮したのか、13日改めて記者会見し、「不用意に“チャンス”という言葉を使ったことは適切ではなく、深く反省しており、取り消せるものなら取り消したい」と述べている。

ただ、「発言の趣旨は東京への一極集中が進む中、首都直下型地震が危ぐされており、危機管理の面で関西が第2首都機能や防災機能を高めなければならないと指摘したかったものだ」と繰り返し強調し、肝心の発言の趣旨は事実上撤回していない。

ところで最近地方の知事が、地方分権と地域政策の質的向上を目指して、国などに向けて大胆な発言を行う事態が目立っている。

大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が11日、国土交通省が河川法に基づき、河川整備計画に盛り込まれた大戸川ダム(大津市)に反対する共同意見を出したのも直近の一例だ。国の計画案に知事が反対意見を出すこと自体初めてのことで、国側の計画見直しは必至だといわれている。

要は地方の意向が、知事の発言や共同合意で改革の旗印が翳される時代になりつつあるのだ。

だとすれば、多少知事の発言に突発性と意外性、加えて多少表現の拙さがあったとしても、マスコミはその発言の真意を洞察すべきで、ただ興味本位に事実を曲げて煽り立てる今の対応は、地方で芽生えつつある新しい政治手法の変化に気づいていないということになる。

地方の知事にとっては今税収の逼迫による財政上大きな危機に迫られている。そんな危機的状況の時だけに、知事は地域の活性化に向けての発言や行動には誰にも気兼ねすることなく、思い切り発言し、その反応を見ながら地方改革を大胆に進めるよう願うものだ。

となれば、揚げ足とりの煽り立て報道や人格見識まで踏み込み過ぎる各界の反論は控えるべきで、それこそ思い切った知事の真意に耳を貸す機運づくりを歓迎するのが、いま求められていている要件ではないだろうか(了)2008.11.13

■メイル・マガジン「頂門の一針」1380号 平成20年11月14日(金)
<同号目次>
・●●党への謝罪金2兆円:渡部亮次郎
・兵庫県知事発言の真意:毛馬一三
・日本の体質は戦前と不変:加瀬英明
・幹部に現場経験なし:前田正晶
・1000億ドルも拠金の日本を無視:宮崎正弘

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2008年10月30日

◆大阪府知事の演出勝ち

                    毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」10月31日(金)号に掲載されました。同メルマガの目次は下段に掲載>


さて、橋下大阪府知事と日教組が応酬し合った「大阪の教育を考える府民討論会」の過激なやり取りが、テレビ番組等で取り上げられている。これらは、会場からのヤジへの橋下知事対応ぶりを中心に興味本位に伝えている。

ところが橋下知事が、日教組と激しく応酬し合えばその分、推進する府の教育改革の内容を府民に周知できるという、したたかな読みと思惑があったことには、些かも触れていない。、

この討論会は、大阪府教育委員会と大阪府が主催して開いたものだが、事前の抽選で決まった意見開陳15人の代表の中に、日教組の組合員が含まれていることを、知事は予め予知していたと知事周辺の関係者は言う。

知事は、自らが目指す府政運営に不合理を感じると即座にマスコミに「発言」を行い、府民の反応を探りながら施策方針を決めていく、いわば「橋下劇場」の政治手法を取り、それなりに実績を上げている。

早い話、「発言」が如何なる反響を呼ぼうとも、要は府民の台所で関心を巻き起こし、真の賛否が伺えれば願ったり叶ったりという訳だ。

だからこの討論会の冒頭から、知事が教育改革の実績と自負している「自治体別結果を学力テストの公表」などを巡って、参加する日教祖が猛反発するだろうことは、当然折り込み済みだった筈だ。

議論はハナから罵声と支援者の拍手とが交錯し、テンションが上がれば上がるほど府民の関心を惹く討論会になるに違いないと期していたことも、あながち外れていないと、関係者はいう。

その意味で橋下知事の予測は、的中した。

<最初に日教組の組合員という女性が、「中山成彬前国交相の(日教組の強いところは学力が低いという)発言について知事は『本質を突いている』と述べたが、どういうつもりか。大阪の場合、学力の問題の背景には離婚率の高さなどさまざまな背景があるはずだ」と質問した。

これに対し橋下知事は「どんな理由があろうとも、大阪の学力が全国からするとかなり低い。そのことから逃げてはならない」と切り出し、「私には子供たちの学力を上げる責任がある。そのために知事に立候補し、当選させてもらった」と訴えた。

しかし発言中はヤジが多く、たまりかねた橋下知事は「まず人の話を聞きなさい。いい大人なんだから」。続く言葉で「こういう先生に子供たちを任せておくことはできない。中山前国交相の発言こそ正しいじゃないですか」と持論を述べると、知事の発言を支持する他の参加者たちから大きな拍手がわいた>。

更に知事はこうも発言している。

<「学校の先生は(学力低迷の問題について)責任を取らなくても一生公務員としてぬくぬくとやっていける」。さらに「トップの方針に学校の先生が従わない。どこの会社に、社長の方針に従わない部下がいますか。そんな部下がいたらクビになる」と持論を展開、「9割の先生は一生懸命やっている。

地域や家庭の皆さんが学校運営にかかわり、1割のどうしようもない先生を排除してください」と呼びかけた>。(産経新聞))

案の定、メディアは過激なやり取りの討論会として取り上げ、コメンテーターは「知事発言は公人としての域を超えた行き過ぎ発言」とか「傲慢発言」と決め付けるのが目立った。

だが知事は、恐らくこの討論会がバトルと称されるに至ったことにニンマリしているのではないか。府民の理解を得るために敢えて、その光景を見てもらうために行った、知事演出のシナリオそのものだったに違いないと、周辺関係者は言う。

そうであれば、反対論とヤジを飛ばし続けた日教組の組合員らは、橋下知事の術中にそっくり嵌ったという見方も出来ないこともない。言い換えれば、日教組の“読み負け”ということにもなる。

「大阪の教育を考える府民討論会」は、2回目が近く開かれる。今度はどのような読みと展開が繰り広げられるだろうか。

■<全国版メルマガ「頂門の一針」10月31日(金)号の目次は、下記の通りです。どうぞご拝読ください>


◆メイル・マガジン「頂門の一針」 1365号平成20年10月31日(金)

<目次>
・麻生「したたか」消費税10%:渡部亮次郎
・大阪府知事の作戦勝ち:毛馬一三
・円高を武器としてなすべきこと:宮崎正弘
・キリンの杜撰さ:前田正晶
・「介護戦争」事始:平井修一

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
       
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2008年10月22日

◆橋下知事vs朝日新聞

                      毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」10月23日(木)号に掲載されました。>

橋下知事と朝日新聞との“バトル”が大阪では話題になっている。「頂門の一針」10月21日号掲載の同欄常連寄稿者の花岡信昭氏の「橋下知事の発信力」を拝見し同感した。

実は、この話題に熟知する知事周辺の知人を回り、聴き取った反響を纏める心積りだったが、いち早く示された花岡氏の卓見に先に接した次第。
 
同氏は、<橋下(はしもと)大阪府知事の発言がまたまた話題を呼んでいる。発信力のある人だ。東国原知事もそうだが、存在感と発信力がものをいう。

今度は「朝日新聞のような大人が増えれば日本はだめになる」というのだから、よくぞ言ったと大歓迎だ。

こういう刺激的な発言の応酬を、明るく、からっとやればいい。それこそが、言論・表現の自由というものだ。>と記述しておられる。

ご指摘の通りだと思う。確かに橋下知事は、不合理な過去からの行政実態に立ち向かうと、時を置かずすぐさま「問題提起」とそれに伴う行動を起こす。

一見荒唐無稽、やや感情的な「発言」と受け取られることもないではないが、しかしそこには深謀な計算と配慮が秘められていると、知事側近の知人が明かした。

つまり、知事はその意図する真意を府民に投げ掛けることによって、知事の思考と政策論の是非を推し量ろうという手法を取っているもので、知事は側近にも相談せず、マスコミの前で進んで「発言・行動」を起こすのが常道だそうだ。

そこである程度府民の賛意の意向が掴めると、事務方(職員)に具体案づくりを指示し、府議会与党とも折衝して、成案実現に向けて走り出すという。

仮に自分の「発言」に対して府民の反発が強いと、その部分の修正対応に少しも意に介せず、柔軟この上なく臨んでいるとも、明かしてくれた。

そう云えば、今まで国の法律で保護されてきた「教育委員会」の聖域を、「全国小中生学力テスト」成績公表を突破口に情報開示の方向に介入出来る体勢を築いたことは、府民の賛意を背景に仕上げた最近の一例であることは周知の事実だ。

大阪の歴代知事は、部局内の職員に予算から事業計画まで何事も任せ切りだったのが実態で、府民の意向を考慮するための「発言」を積極的に行うなどの事例は皆無だった。その意味でもこの手法を駆使する橋下知事は、異色の政治家といえるのではないかとと思える。

さて今回の“知事VS朝日新聞”の件だが、知事は自分の意思に反する攻撃だと認識して、19日陸上自衛隊伊丹駐屯地での祝辞の中で、「口ばっかりで、人の悪口ばっかり言っているような朝日新聞のような大人が増えれば、日本はだめになる」と発言。

更に20日には「事実誤認したらすぐ廃業しろ」と批判している。

花岡氏はこうも書いておられる。

<当然のことだが、「責任」が伴う。そこを前提とすれば、とことん、きつい表現を使うことで、論争の真実が見えてくる。これが中途半端に終わると、誤解されて伝わることになる。言論・表現の自由の許容度を上げていくこと。これが必要だ。

朝日側もどんどん言い返せばいい。このケンカ(というのもなんだが)徹底的に、行き着くところまでやってほしい>。

「発言」に当然責任が伴うことを十二分に承知している知事が、きつい表現で相手に喧嘩を売るだけが目的でないことだけは、最近見えてきた知事「発言」の真意の軌跡を見れば、納得がいく。

要は、論争の真の意味合いがはっきりと見えてくることが最も大切なことであり、府民が橋下知事、朝日新聞に求めていることではないだろうか。(了)2008.10.22

★メイル・マガジン「頂門の一針」1357号 平成20年10月23日(木)

<目次>
・「排出量取引」への疑義:平井修一
・ドル基軸体制の崩落過程:宮崎正弘
・「橋下知事の発信力」余聞:毛馬一三
・ 秋が来れば遠からず冬:前田正晶
・盲目で死んだ北原白秋:渡部亮次郎

 ・話 の 福 袋
 ・反     響
 ・身 辺 雑 記

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2008年10月13日

◆八女茶(やめちゃ)を嗜む

 
                            毛馬 一三

筆者の家では、食事の後や折を見て八女茶を毎日欠かさず10杯以上常飲している。祖母の実家が福岡県八女郡の八女茶(元は星野茶)の生産家だったのが縁で、子供の頃から八女茶の煎茶や玉露を嗜んできた。

その嗜みはいま尚継続しており、5月の一番茶の時期になると八女茶生産元の祖母の実家から、注文した1年分の八女茶の煎茶と玉露が送られてくる。

70度位に冷ましたお湯をゆっくりと茶葉を入れた急須に移し、3〜4回ゆるりと左右に回したあと湯飲みに注いで飲み始めると、筆舌に尽くせないまろやかな風味と甘み、それに他所の茶より濃い味が口内に広がり、至福の瞬間がやってくる。

しかも茶に含まれるカテキンの成分が、ここ10年位の研究で抗ガン作用と抗微生物作用に効果があることが明らかになってきたことから、意識して健康維持のためこの八女茶嗜みの習慣を続けている。

八女茶以外に全国には下記のような有名な茶の生産地がある。

<愛知県(三河茶)、茨城県、(奥久慈茶、猿島茶)、鹿児島県(かごしま茶)、京都府(宇治茶)、岐阜県(美濃茶)、熊本県(肥後茶)、高知県(土佐茶)、埼玉県(狭山茶)佐賀県(嬉野茶)、滋賀県(近江茶)、静岡県(静岡茶)、長崎県(彼杵茶)、奈良県(大和茶)、三重県(伊勢茶)、宮崎県(日向茶)、がある>(日本茶博物館www.kaburagien.co.jp/museum/museum/index.php - 14k -)

京都府(宇治茶)、佐賀県(嬉野茶)、静岡県(静岡茶)、長崎県(彼杵茶)、奈良県(大和茶)は過去に飲んだことがあるが、それなりに芳醇で美味な緑茶だったという印象と思い出がある。

ところで最近下記のような記事が出て、目を惹いた。

<緑茶を1日に7杯分ほど飲むことで、糖尿病になりかかっている人たちの血糖値が改善することが、静岡県立大などの研究でわかった。健康な人で緑茶をよく飲んでいると糖尿病になりにくいという報告はあるが、高血糖の人たちの値が下がることを確認した報告は珍しいという。

血糖値が高めで、糖尿病と診断される手前の「境界型」などに該当する会社員ら60人を対象に緑茶に含まれる渋み成分のカテキンの摂取量を一定にするため、いったんいれたお茶を乾燥させるなどして実験用の粉末を作製。

これを毎日、湯に溶かして飲むグループと、飲まないグループに無作為に分け、2カ月後の血糖値を比べた。

平均的な血糖値の変化を、「Hb(ヘモグロビン)A1c」という指標でみると、緑茶粉末を飲んだ人たちは当初の6.2%が、2カ月後に5.9%に下がった。飲まなかった人たちは変わらなかった。飲まなかった人たちに改めて飲んでもらうと、同じように2カ月間で6.1%から5.9%に下がった。

2グループで体格や摂取エネルギーなどに差はなく、緑茶からのカテキン摂取量が血糖値に影響したらしい。1日分の緑茶粉末は一般的な濃さの緑茶で湯飲み(約100ミリリットル)約5杯分のカテキンを含み、緑茶粉末を飲んだ人では普通に飲んだ緑茶と合わせ1日に約7杯分のカテキンをとっていた。

研究の中心で、今春に静岡県立大から移った吹野洋子常磐大教授(公衆栄養学)は「運動などの生活習慣改善とともに、食事の中で積極的に緑茶を取り入れてほしい」といっている>。(アサヒコム)


前記の様にカテキンが抗ガン作用に効果が在ったり、良質な緑茶から抽出されたポリフェノールはビタミンEの10倍、ビタミンCの80倍というすぐれた抗酸化力を持っているといわれているが、緑茶7杯の飲料で高血糖の人たちの値が下がることを確認した報告には驚かされた。

筆者の周りで糖尿病の一歩手前で悩んでいる先輩知人が最近多い。緑茶7杯で高血糖の人たちに効き目があるというなら、早速緑茶の常飲を勧めてみよう。お茶の嗜みは、心の安らぎも導いてくれる筈だから。
(了)2008.10.13
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2008年10月01日

◆「中山発言」は本当に失言か?


                        毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」(10月1日号)に掲載されました。>

麻生太郎首相は、29日臨時国会の所信表明演説の中で、就任5日目で辞任した中山成彬国土交通相の一連の発言を取り上げ、「閣僚としてははなはだ不適切。国民各位、関係している方々に心からお詫びを申し上げる」と異例の陳謝を行った。

中山氏は成田空港の反対派住民を「ゴネ得」と批判。また、教育行政の正常化を手がけた元文部科学相の立場で「大分県教育委員会の体たらくなんて日教組(が原因)だ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」と発言した。

これを重大失言だとマスコミや野党が槍玉に上げ、中山氏は辞任に追い込まれた。中山氏は「(自分の発言で)国会に審議が滞ることには耐えられないという思いから、潔く身を引く決意をした」と記者会見で心境を語っている。

確かに中山氏の一連の発言は、国務現職大臣としての見解表明としては必ずしも適切だとは思えないという意見があることは事実だ。

だがほんとうに同氏の発言は「失言」なのだろうか。むしろ「失言」と決め付けるのは的外れで、声なき声の「代弁である」と評価同調する人たちが多数潜在しているのも紛れも無い事実である。

「頂門の一針」の常連寄稿者・阿比留瑠比氏が29日号の同欄に下記のような記述掲載されている。

<中山前国土交通相の一連の発言が波紋を広げています。私も、野党やマスコミに揚げ足をとられたり、追及されてレッテルを貼られたりすると分かっているようなことを、何も注目を集める公式の場で言うことはないと思いますし、この人は以前から言葉が軽いところがあるので、その意味では不適切だったと思っています。

ただ、中山氏の発言の中で、日教組に関する指摘には、強い共感を覚えます。「日教組は日本の教育の『がん』だ」という発言は、まさに事実そのものであると思っています>。

この阿比留氏が中山氏に寄せる共感に対し、これに共鳴する声が大阪の知人の間から筆者の下に寄せられている。加えて中山氏の「日教組の解体」の発言こそ、日頃から抱いている「日教組に対する不合理な思い」をよくぞ代弁してくれたという、謝意の意が目立つ。

中山氏は、地元宮崎市での自民党宮崎県連の会合で「日教組は過激な性教育を行い、国旗・国歌も教えず、道徳教育にも反対している。民主党の最大の支持母体である日教組を解体する。ぶっ壊す」と述べ、引き続き日教組と全面対決していく考えを強調している。

「頂門の一針29日号・話の福袋欄に(なみお)さんは下記のように記述されている。

<そもそも教職員が自ら労働者として成り下がるようなこうした組織がある限り、日本の教育は立ち直れません。かって教職は聖職なりと言われていた時代にはこんなモラル崩壊や先生の不祥事などは考えられなかったものです。(中略)

戦前、戦中を通じての比較対照をもつ人間としては万死に値する無念さを感じざるを得ません。将来の健全な子どもたちを育成し、日本をもう一度世界に冠たる民族として認知さ
せるためにも声を大にして「日教組は解体せよ!」と云いたいものです>。
 
前述のように、麻生首相が敢えて所信表明演説の冒頭で、中山氏の一連の発言に陳謝したが、これはあくまで国会審議や総選挙への影響を最小限に抑える必要からの判断と思われる。

だとすれば、そうした次元とは離れて、この中山氏の発言をきっかけに日教組の実態を改めて真剣に見直す必要があるのではないか。大阪府の橋下知事も中山氏にエールを送っている。

とりわけ週5日制の「ゆとり教育」の実施を文部科学省に迫り、小中学生の学習意欲と学力の低下要因をつくり上げる肩棒を担いだ日教組が、日常的には労働組合を隠れ蓑に地位保全のみに執着し、日本の教育を枉げていると指摘される実態を検証する好機となるだろう。

中山氏が一国会議員の立場で「日教組解体」叫んでも、これほど問題にはなっていない。閣僚としての発言だったことが、「日教組」のあり方の再考に火をつけたものだと指摘する関係者は多い。中山氏の発言が本当に「失言」だったかどうか、明らかになる筈だ。

◆メイル・マガジン「頂門の一針」1333号 平成20(年10月1日(水)
<目次>
・日米は選挙を延期せよ:平井修一
・中華人民共和国の成立:渡部亮次郎
・「中山発言」は本当に失言か?:毛馬一三
・日教組組織率と学力は無関係:平井修一
・「教育勅語」に文法の誤り?:池田一貴

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2008年09月16日

◆「敬老優待パス」を見直し?


                     毛馬一三

大阪市で70歳以上の高齢者にとって嬉しいことは、市の敬老優待乗車証、すなわち市営バスや地下鉄利用料金が全て無料となる「敬老優待パス」が、
大阪市から交付されることだ。

この「敬老優待パス」を利用すれば、年金生活者の高齢者にとっては、経済的に大きな支えとなり、楽しみ方の利用度も広がる。

ところが、この「敬老優待パス」の見直しすることを大阪市の平松市長が表明したことから、高齢者の間で動揺と怒りが湧き上がってきた。

平松市長は9月4日、「他都市に比べ受益者負担を求めないまま残っている事業の削減に手を付けたい」と発表、「敬老優待パス」の一部有料化などを名指して、経費削減の柱にその見直しを盛り込んだ。

見直し案は、いま制限の無い「パス」の利用上限額を月5千円に止め、所得に応じて一部負担金を徴収するという。市長によると、これにより市の持ち出しは27億円節約できるという。

ついでなだら付記すると、見直しはこの「パス」以外に、他都市では実施していない「上下水道月額基本料金(1576円)の全額免除制度」や、「一人暮らしの高齢者の孤独死防止のため市が貸与している電話の基本使用料の助成制度」の削減も含まれる。まさに「姥捨て山」同然の高齢者軽視の一連の見直しだ。

高齢者の怒りは、市長が「大阪市がこの種のサービスを継続するのは無理。高齢者にも応分の痛みを分かち合って貰う」と、高齢者への思いがまったく感じられない発言に及んだことにも集中した。

「敬老優待パス」の交付は、70歳までの長期にわたって(またそれ以降も引き続き)納税の義務と責任を忠実に果たし、市の発展に貢献してきた高齢者の功績に、市当局が「敬意と謝意」の意思を示す趣旨の下に、全国に先駆けて72年から実施され、現在31万人が交付の対象者になっている。

「パス」の交付対象者には、終戦の年に小学校に入学した人たちが今年から新たに加わったが、明治・大正から昭和13年までに生まれた人たちが占める。

だからこの高齢者たちは、太平洋戦争の戦前戦中にはお国のために尽くし、戦後は廃墟からの復興に汗を流し、以後高度成長期、そしてオイルショック、バブル崩壊期など混乱期に国と大阪の再建に懸命に取り組んできた階層に他ならない。

そうした貢献者の高齢者に対し、どうして「応分の痛みを分担」させる発想が芽生えるのか、市長の良識を疑うというのが批判の論拠だ。「恩顧」のある国民から、その「謝恩精神」を取り去り、あらたな「負担を課す」という政治は、先進諸国ではまず見当たらない。

大阪市の調査によると、「パス」1枚あたりの平均利用額は08年7月で2470円だそうだ。しかしそのような少ない利用状況なのだろうか。

実情を多少なりとも把握するため日頃「パス」を常用している知人の高齢者10数人に個別に聞き取り調査をしたところ、ほとんどの人が市の発表の「平均利用金額」の数値に首を傾げる。

「パス」利用を克明に記録している72歳の知人の男性は、2医療機関への通院と趣味の学習受講、それに買い物による、月に合わせて17回の利用で7820円の利用をしているという。2000円台で済むことは在り得無いという。

またバス1区間乗車の病院へ月10日間通院のための往復利用している女性高齢者は、4千円は軽くオーバー。加えて週に1度梅田や難波方面に安売り特売の食料品を買いに出向くので、利用金額は5千円を超えてしまうと訴える。

早い話、大阪市がハジキだした平均利用額2470円の数字は、利用料総額を31万人利用者の総数で単純に割っただけの数値であって、実際の利用者の平均利用額に相当しないと、誰もが指摘する。

だから、平均利用額が2000円台だから、5000円に限度額を設定するという市長の考えは合理的ではなく、役所一流のまやかしに過ぎないと指弾する。

しかも市長は、「パスの交付者」を「受益者」と誤認し、「負担金の削除」の当然の対象とするなどの過ちだけは、改めて欲しいと願っている。

市長が本気で「パス」の見直しに着手するならば、すでに大阪市が明らかにしている「8万円以上に上る不正利用発覚」の摘発に取り組むなど、徹底した不正利用の調査と摘発に乗り出し、真実のムダの排除に当るべきだろう。

敢えて言えば、市交通局が長期勤務者OBに発行している「3年無料乗車証」や終身無料の「永年勤続乗車券」を廃止するなど半世紀も続く「身内優遇の悪弊」を先に断ち切のが、長期納税者の「恩顧」に応える道筋ではなかろうか。

どうも橋下府知事の「痛み分けの分散化」の狙いを誤解し、市への貢献者である高齢者への「謝恩」の切り捨てに踏み込もうとしている姿勢には、危機を感じる。

稚拙すぎる政治手法の市長に対する批判が、高齢者を中心に強まっていることを、市長はご存知だろうか。(了)2008.09016

2008年09月13日

◆大阪府教委で「盗聴器」騒動


                      毛馬一三

全国学力調査で大阪府の小中学校の成績が低迷したことを巡り、大阪府の橋下知事と大阪府教育委員会・市町村教育委員会の間がギクシャクしている中で、新たな騒動が持ち上がった。仕掛人は同僚の職員が名乗り出たが、一時職場は騒然となった。

大阪府庁別館内5階にある大阪府教育委員会の高等学校課の部屋に、何と盗聴器が仕掛けられているのが見つかったのだ。同課の職員の机の上にあるパソコンの電源をとるコンセントに仕掛けられていたという。

盗聴器が見付かったキッカケは、11日午後11時ごろ、民家の盗聴を取材していた民放テレビのスタッフが、盗聴対策の専門業者と府教委庁舎近くで盗聴電波を傍受したため、発信先の現場を調べたところ、府教委内であることが突き止められたというのだ。

府教委によると、この種の盗聴器としては周囲7b〜8bの範囲の音声を拾い、約100b先まで電波を飛ばすことが出来ると、専門家は説明している。ところが現在の机の配置になったのは2年前だが、いつからコンセントが置かれているかは分からないという。(時事通信・朝日新聞)

大阪府教育委員会では発覚の12日、職員の間に衝撃と動揺が広がった。関係者によると職員たちは皆が一様に顔を強張らせ、「誰が、何の目的で」、「気色悪い」、「腹立たしい」と口々に呟いていた。

「盗聴器」が見付かった府教委高等学校課の栗山和之課長は、「盗聴したとしても重要な情報を得ることができるような場所ではないのに…」と口篭り、「職員たちが疑心暗鬼になっていくことが何より心配だ」と不安を顕にしていた。

本当に誰が仕掛けたのか。誰しもが首を傾げているところに12日夕、同課48歳代の男性指導主事が「自分が設置した」と名乗り出たという。

大騒ぎに繋がった動機について同主事からまだ明らかしていない。個人的趣味なのか、それとも誰かの指示に基ずく仕業なのか、真実はまだ不明のままだ。

ところでこの騒ぎの途中で浮かび上がったのが、橋下知事がこの6日、府財団法人・国際児童文学館(吹田市)で、職員の働きぶりや展示の工夫などをチェックするために、私設秘書にビデオカメラを持たせて8月中の2日間、「ビデオの隠し撮り」をしていたことだ。

この隠し撮りから一時は知事周辺からの指示ではないかとの噂も流れた。案の定報道陣の取材に橋下知事は開口一番、「僕じゃないですよ。(府立施設の現状把握のため、私設秘書に命じて行わせた)隠し撮りで、やってると思われてるかもしれませんけど…」と、苦笑混じりに切り出した。

そのうえで「良くない行為だが、企業社会でも(盗聴は)よくあることで、そんな大それたことだとは思っていない。組織として防衛策を講じていきたい」と語っている。 (産経新聞)

橋下知事は、行き詰った大阪府再生を実行するため、従来の知事が手を付けなかった破天荒な改革を目指して各分野で懸命に努力する姿勢が目立ち、その手法が段々と府民の共感を集めている。

大阪城を目前に展望する現大阪府庁舎を高額で転売して、大阪港に面する大阪ワールドセンタービル(WTC)に庁舎移転構想をぶち上げたかと思うと、先述の「全国学力調査」の低迷結果を受けて、府教委や市町村教委と厳しく対決してまでも「成績公開」を迫る強行姿勢を敢えて見せるなど、とにかく政策賛否の決定を府民の動向と意思表示の度合いに求める手法を取っている。

だからこうしたハプニングが起きると、またまた知事の差しがねではないかと疑われるかも知れないがが、今の混迷した大阪を全国第2の都市に回帰させるには、知事が発揮しようとしているこうした橋下流の政治力に期待する機会が多くなるのではないだろうか。(了)2008.09.12



2008年09月03日

◆大阪の「教育非常事態宣言」

毛馬 一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」3日号に掲載されました。「頂門 の一針」のご購読手続きは、本稿末尾に掲載しています>

大阪府の橋下徹知事が1日、「教育非常事態宣言」の発令を検討するという異例の意向を示した。全国に例のないことだけに大きな波紋を投げ掛けている。

小学6年と中学3年を対象にした今回の全国学力テストで、大阪府の小中学校が都道府県別で小学校41番目、中学校45番目になるなど、前回テストに連続2回目の全国下位の低迷が、知事の決断を後押ししたものだ。

「子供が笑う」を柱とする「大阪維新プログラム」構想をブチ上げたばかりの知事にとり、学力テスト低迷の最悪現実は、予想もしなかった事柄であり、それよりも何よりも「子供が笑う」構想が、真っ先に教育分野から崩れだし、橋下府政の挫折に繋がり兼ねない危機感も加味している。

橋下知事はすぐさま動き出した。この緊急事態を改善するためには、所管する大阪府教育委員会の果たす役割が欠かせないと判断し、数次にわたって意見の調整に臨んだ。

ところが当の府教育委員会は、

i)8月26日の会合で、改善の具体案を提示しなかった。知事は「何もビジョンが感じられない。教育委員会が機能を果たしていないのではないか」と不満をあらわにした。

i)さらに9月1日会合でも、市町村ごとの成績を公表するよう求める知事要請を拒否した。その際も知事は「府教委は都合が悪くなったら逃げる」と痛烈に批判している。

この事態が、知事に「教育非常事態宣言の発令」も辞さない意向を決断させたもので、今後成績の公表について、マスコミなどを通じて府民にも訴えていく方針を示すことに繋がっている。<産経新聞>

知事の切なる提案と要請をどうして頑なに府教委は拒否したのか。府教委の腹の内には、下記のような建前を拠りどころにしていると、関係者は指摘する。

それは、<!)地方自治法第138条4、第180条5に基づき、地方公共団体に設置される行政委員会(教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員)は、 政治的中立性を確保する観点から、長の指揮監督を受けない。また、委員は、議会の同意等を経た上で選任される。

!)行政委員会は、その権限に属する事務の一部を、長と協議して、長の補助機関等に委任又は補助執行させることができる>ことになっているからである。<出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>

しかも上記!)に明記された「長の指揮監督を受けない」という条項を駆使して、「縄張り」を最大限確保するとともに、知事の発案によって条例改正などで職務分野への侵蝕を阻む根拠を、この事例によって知らしたいとするしたたかな計算が働いているのが真意だろうと、別の関係者も指摘する。

だとすれば早い話、国の法律で担保された行政委員会の教育委員会に、知事を補助的に使うことはあっても、何をやり出すか分からない知事に教育行政を介入させないようにしたかったのが本音に近いようだ。

さらには、府下市町村や労組との関係に軋轢を作らず、従来通りの親密関係を維持したいのも、腹の内に秘められた事実だという。

しかし、この知事排除の「縄張り根性」は、早くも府民の批判を受け始めた。

知事が「教育委員会には最悪だと言いたい。これまで『大阪の教育は…』とさんざん言っておきながら、このザマは何なんだ」と府教委を厳しく批判したことに共感を寄せる府民からのメールが府庁に集中し出した。

且つ「現場の教職員と教育委員会には、今までのやり方を抜本的に改めてもらわないと困る」と注文をつけた知事への府民の賛意は多い。

こうした状況を受けてか、早速2日に府教委の対応に変化が生じた。同日府教委は知事と協議に出向き、府教委が一旦拒否していた「市町村に対してそれぞれの自治体の学力テストの結果を公表させないという方針」を変更、一転して要請する方針に切り替えたというのだ。勿論知事は理解を示している。

子供の教育に関する府民の関心は高い。政治・経済で第二の都市の座を失ったと実感している府民は、せめて小中学校の学力が伝国最低レベルから脱却させ、子供たちの学力を向上させれば、大阪の将来は期待できるというのだ。

「教育非常事態宣言」の発令があれば、府民は挙って喝采を送るだろ。そうなれば府教委の「縄張り根性」と「閉鎖性」も自然と解消され、子供たちの学力向上に繋げる知事とのタグマッチもいい方向に向かっていくのではないだろうか。(了)2008.09.02

◆メイル・マガジン「頂門の一針」1303号  平成20年9月3日(水)

<1303号・目次>
・清和会は静観の構え:古澤 襄
・特派員電が偏るわけ:渡部亮次郎
・大阪の「教育非常事態宣言」:毛馬一三
・「日暮硯」松代藩の財政再建(1): 翻訳:平井修一
・息子をドイツの徴兵に送って(11):永冶ベックマン啓子

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2008年08月29日

◆和紙と生きた紫式部

                     毛馬 一三

◆本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1297号に掲載されました。本稿末尾に「同号目次」を掲載しています。どうぞ、同号をご高覧ください。


先頃、福井県越前市の「和紙の里」を訪ねた。世界最古の長編小説「源氏物語」の著者・紫式部と、この「和紙の里」とが、一本の深い絆で結ばれていると思えてならない筆者は、物書きの好奇心を満たす一存から、中学生の孫と現地に赴いた。

越前市新在家町にある「越前和紙の里・紙の文化会館」と隣接する「卯立の工芸館」、「パピルス館」を回り、越前和紙の歴史を物語る種々の文献や和紙漉き道具の展示、越前和紙歴史を現す模型や実物パネルなどを見学した。

中でも「パピルス館」での紙漉き体験で、孫が汗を掻きかき約20分掛けて自作の和紙を仕上げたのは、圧巻だった。流し漉きといって、漉舟(水槽)に、水・紙料(原料)・ネリ(トロロアオイ)を入れてよくかき回したあと、漉簀ですくい上げ、両手で上下左右に巧みに動かしていくと、B5くらいの「和紙」が出来上がる。まさにマジックの世界だ。

ところでこの越前和紙だが、今から約1500年前、越前の岡太川の上流に美しい姫が現れ、村人に紙の漉き方を伝授したという謂れがある。

山間で田畑に乏しかった集落の村人にとり、紙漉きを伝授されたことで村の営みは豊かになり、以後村人はこの姫を「川上御前」と崇め、岡太神社(大瀧神社)の祭神として祀っている。

<その後大化の改新で、徴税のため全国の戸籍簿が作られることとなり、戸籍や税を記入するために必要となったのが和紙である。その結果、越前で大量の紙が漉かれ出したという。加えて仏教の伝来で写経用として和紙の需要は急増し、紙漉きは越前の地に根ざした産業として大きな発展を遂げてきている>。

さて長編小説「源氏物語」の作者紫式部は、執筆に取り掛かる6年前の24歳の時(996年)、「和紙」の里・越前武生に居住することになり、山ほどの「和紙」に囲まれて、存分に文筆活動に励んだに違いない。当時、都で如何ほど「和紙」の需要供給があったのか専門家も把握していないが、物書きには喉から手が出る程の「和紙」だった筈だ。

ではどうして都にいた紫式部が、遥か離れた「和紙」の里越前の武生に移住してきたのか。それはご当地の国司となった父の藤原為時の“転勤”に関わりがある。文才だけでなく、商才に長けた為時の実像が浮かび上がる。

<為時は、中級の貴族で、国司の中で実際に任地へ赴く“転勤族”だったそうで、996年一旦淡路の国(下国)の国司に任命されるが、当時の権力者・藤原道長に賄賂などの手を使って、転勤先を越前の国(上国)の国守に変更してもらっている。はっきり言えば為時は、淡路の国(下国)には赴任したくなかったのだ。何故か。

当時、中国や高麗からの貿易船が日本にやってくる場合、海が荒れた時や海流の関係で、同船団が越前や若狭の国を母港とすることが多く、このため海外の貴重な特産品が国司のもとに届けられ、実入りは最高のものだったという>。

藤原為時一族は、中級の貴族ながら文才をもって宮中に名をはせ、娘紫式部自身も為時の薫陶よろしく、幼少の頃から当時の女性より優れた才能で漢文を読みこなす程の才女だったといわれる。

これも商才に長けたばかりでなく、父親の愛情として物書きの娘に、書き損じに幾らでも対処できる「和紙」提供の環境を与えたものといわれる。

<この為時の思いは、式部が後に書き始める「源氏物語」の中に、武生での生き様が生かされている。恐らく有り余る「和紙」を使い、後の長編小説「源氏物語」の大筋のプロットをここで書き綴っていたのではないだろうか。平安時代の歌集で、紫式部の和歌128 首を集めた「紫式部集」の中に、武生の地で詠んだ「雪の歌」が4 首ある。

越前武生の地での経験が、紫式部に将来の行き方に影響を与えたことはまちがいない。と同時に式部は、国司の父親のお陰で結婚資金をたっぷり貯め込むことも成し遂げて、約2年の滞在の後、京都に戻り、27歳になった998年に藤原宣孝と結婚している>。

越前武生の生活は、紫式部にとり「和紙」との出会いを果たして、後の世界最古の長編小説への道を拓くことに繋げた事は、紛れもない事実であろう。

<紫式部の書いた「源氏物語」の原本は現存していない。作者の手元にあった草稿本が藤原道長の手によって勝手に持ち出され外部に流出するなど、「源氏物語」の本文は当初から非常に複雑な伝幡経路を辿っていたという。

確実に平安時代に作成されたと判断できる写本は現在のところ一つも見つかっておらず、この時期の写本を元に作成されたと見られる写本も非常に数が限られているという>。
 
この歴史の事実と筆者の推論を孫に説明しながら、「紫式部公園」に回り、千年前の姿をした高い式部像に対面してきた。

北京五輪は閉幕した。開会式の時、中国の古代4大発明の一つとして「紙」を絵画の絵巻をCGで描き、国威を高らかに示した。この紙が7〜800年後に日本に渡り、「和紙」となってその後、世界最古の長編小説を書いた女性が日本にいたことを、中国幹部は知っているだろうか。(了)
参考:ウィキペディア、: 青表紙証本「夕顔」 宮内庁書陵部蔵   2008.08.27


■メイル・マガジン「頂門の一針」 1297号 平成20年8月29日(金)
<1297号 目次>

・誰も知らない秋田県の日:渡部亮次郎
・三選出馬と離党騒ぎ:古澤 襄
・足の血管にもステント:石岡荘十
・「地方の時代」学科を新設:渡部亮次郎
・和紙と生きた紫式部:毛馬一三
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2008年08月18日

◆不滅?大阪市の「裏金」

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」・8月19日号に掲載されました>                     

                    毛馬 一三

大阪市で今回発覚した「裏金」は、際まで堕ちて仕舞った市職員の綱紀感覚や倫理観の欠如の実態をまたまた露呈したものだ。というのはこともあろうか、業務委託費の残金を使い切ったように工作して捻出した「裏金」を、職員らが風俗店やスナックの支払いに充てていたのだ。開いた口が塞がらない。

平松大阪市長は、お盆明けの18日から刑事告訴を含めた「裏金」問題の最終対応の検討に入るという。

確かに平松市長に対しては、一連の「裏金」問題は、大阪市が抱えてきた過去の悪慣習であり、就任仕立ての市長にまでその責任を課すのは酷だとの意見が支配的だった。が、ここへきて状況が一変してきた。

市長は、同「裏金」問題が発覚すると、市政改革の重要課題として早期解決を図り、平松新体制の威令を示したいとして、全職員に全ての「裏金」の申告に応じるよう厳命すると共に、市民にもその意向を約束していた。

ところが市長の意思に反し、数次にわたる全庁調査でも「裏金」が組織ぐるみで隠蔽され、かつ申告も無視するという事案が続出、今回発覚した悪質な不祥事に到っては、4回目の調査でやっと突き止められたものだった。

となれば、現市長の職員に対する対応の手ぬるさ・甘さが、職員のモラル違反を容認する雰囲気を継続させ、結局市長が納税者である市民と向かい合う姿勢を見せていないという、市長に対する批判へと市民の声が変わってきたのである。

そこで今回発覚した「裏金」だが、下記のようなことだ。

<大阪市の浪速区役所が外郭団体人権啓発推進協議会などへの委託料(年間約750万円)の一部を使いきったように工作して申告せず、「裏金」にしたものだ。実はこの新「裏金」は、元担当係長(懲戒免職)による668万円の着服が7月末に判明したため、その事実関係を市が支出伝票を1枚ずつ調べていて、偶然にも今回の「裏金」の存在と「流用」を発見したのだ。

そこで問題のふざけた「流用」とは、同区役所に残されていた伝票などによると、職員ら11人は2002年9月、「反省会」と称して焼き肉店で飲食。ラウンジでの2次会の後、うち6人で風俗店へ。6月にスナックで開いた会合などを含め、費用の一部を「打ち合わせ」などとして支出し、02〜03年度で15万3500円を流用したものだ。

同区役所ではこのほかにも「裏金」から、市の事業に協力した町会長への贈答品として茶葉やノリを購入したり、市の外郭団体にビール券を贈ったりしていた。

一方此花区役所では、統計調査員の研修事業などを巡り、世話役の町会役員延べ20人に高級茶葉(計11万7000円)を贈っていた。これも「裏金」として自主申告しておらず、担当者は「汗をかいてくれたお礼だった。裏金に当たらないと思ったが、認識が甘かった」と言い訳をしている>。<読売新聞>

また、西区役所では高齢者の健康診断事業の委託料の中から、関係団体に配る3万4500円分のビール券を購入。淀川区役所では統計調査のための委託料で、町会長らに贈るのり27万円分を購入していた。<アサヒコム>

大阪市の「裏金」は、遂に7億円超に上ることになった。7月15日段階の本欄で「公務員として信じられないほど質が悪い」と、筆者は大阪市の「裏金」問題で暗躍する市職員の倫理観の欠落を厳しく指摘した心算だった。

だが、巧妙に仕組んだ「裏金」を使って風俗店のお遊びまでするなどとは、思いもしなかった。

昔からの慣習だから、分からなければ何をやっても構わないというのは、大阪市役所にだけ蔓延する「公金不感症」なのだろうか。

それにしても平松市長は、この際ここは鬼と化して厳しさの売り物にする「市民代表」の奉仕者に変身して貰いたいものだが、どうだろう。そうでないと、大阪市の「裏金」は不滅だ。(了)20008.08.17


■メイル・マガジン「頂門の一針」 1286号 平成20年8月19日(火)
<同号目次>
・華国鋒元国務院総理 危篤:宮崎正弘
・華国鋒は何処に:渡部亮次郎
・不滅?大阪市の「裏金」:毛馬一三
・息子をドイツの徴兵に送って(1):永冶ベックマン啓子
・変身願望なるか三越:前田正晶

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2008年08月03日

◆大阪府知事 WTC買収を視野に

大阪府の橋下知事は、経営が行き詰まっている大阪市の第3セクター、WTC「大阪ワールドトレードセンタービルディング」を買収し、大阪府全部局と議会を一括して移転する構想を検討していることが、関係筋から明らかになった。

知事は、週明けにも平松大阪市長にこの意向を伝え、事業費や構造上のデーター提供を要請すると共に、府議会に対しては構想素案を9月府議会に提出する方針だという。

大阪府の庁舎は、地上6階、地下1階建て。1926年に建造された全国の都道府県で最も古い本庁舎で老朽化が進み、震度6強以上の地震で倒壊する危険性があると指摘されている。このため大阪府は07年に総額152億円をかけて耐震補強工事計画を打ち出している。

また庁舎内が手狭なため、周辺の民間ビルを借り上げ部局を分散移転し、その賃料に年間約6億円支払っている。

WTCは、経営が行き詰まり、04年2月に特定調停を成立させ再建を進めていたが、大阪市の平松市長は、再建を断念。WTCの土地と建物の資産価値は約160億円で、08年内に高額でビルの購入先を探すなど、処理策を検討中。

この間、WTCをめぐっては、平松市長が市長就任直後に市役所本庁舎をWTCに移転させることを一時打ち上げたが、建物構造や機能性から移転は無理だとして断念したいきさつがある。

橋下知事は、あくまで庁舎整備の選択肢の一つだとしているが、3階程度の広さを有する格式のある府議会本会議場を果たしてWTC内をそのまま開設するには建物の構造上無理があるとの専門家の意見も出ており、この知事構想はまた波乱含みとなることは必至。


2008年08月02日

◆地方公務員法に「抜け穴」?

 <本稿は全国版メイル・マガジン「頂門の一針」8月4日(月)号に掲載されました>                   

                       毛馬 一三

7億円超の「裏金」が見付かった大阪市は7月31日、関係職員351人を同日付で処分した。平松邦夫市長は記者会見で、「処分は一つの節目として、失われた市民の信頼を回復するため、職員一丸となって取り組みたい」と述べ、頭を下げた。

平松市長は、今回の処分で「4度目の正直」となる裏金問題に何とか決着を付けたい腹だったようだが、実は地方公務員法が「抜け穴」となり、今回の処分対象から外れた特別職や退職者が7人もいるなど、不始末を残した。

厳しい処分を期待していた市民にとり、法律の「抜け穴」に嵌まってしまったともみられる市長の姿勢に、不満の声が募っている。
 
地方公務員法による懲戒処分は、停職15人、減給78人、戒告92人の計185人。それに166人を文書訓告や口頭注意とした。 最も重い停職1カ月は、裏金口座の通帳を破棄した経済局課長と2月の全庁調査後も裏金づくりをしていた大正区係長の2人。
 
ところが問題はここからだ。

地方公務員法4条2項によると、<法律に特別の定めがある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。>となっている。つまり、同法は地方公務員一般職すべてに適用されるが、特別職の地方公務員については、法律に特別の定めがある場合を除き適用されないということになる。

となると特別職には、同法29条で懲戒処分としている<戒告、減給、停職または免職処分をする>ことが出来ないことになる。

まして一般職(現職)に限って適用する同法により、08年3月末で公務員資格を失った退職者は当然、処分の対象外となるのである。

この結果今回、地方公務員法の規定により、本来処分対象となる筈の経済局長(当時)が、その後副市長に就任したため、処分の対象から外れ、更に08年の4月まで裏金で備品の購入していた教育委員会の前教育長や元局長、元区長(局長級)5人の退職者も、処分の対象から遁れた恰好だ。

これに対して市民や民間から出ているのが前述の不満だ。関係者によると市長は、「逃げ得」ではないかと記者団の詰問に、「どの時期までの退職した人を対象とするか議論があり、ある時期で区切りを付けるべきだった」と述べ、法の適用に違和感を覚えている印象だったという。

友人の上場会社役員に聞いたところ、「株主から請求があれば以前の役員まで責任が問われるのは上場会社では常識だ。法律の不備がその結果を導いたかもしれないが、民間とは大きな責任認識にギャップがある」と指摘する。

また、ある商店主は「業績不振で喘いでいるのに、役所だけ法律に守られて免責されることにはムカつく。責任は特別職であろうが退職者であろうが、裏金に直接間接関与の事実があるのなら、市独自の処分規定を作って対処すべきだ」という。

4度に亘る全庁調査の結果、悪弊裏金に何とかケジメをつけたかった平松市長だが、まだ裏金隠匿の噂がある中、この免責対象者の処置に何らかの目途をつけない限り、大阪市政への信頼は回復されそうにない。(了) 2008.08.01
参照・フリー百科事典「ウィキぺディア」


★メイル・マガジン「頂門の一針」平成20年8月4日(月)1270号
<1270号 目 次>
・遊んでいた?園田外相:渡部亮次郎
・「反応はすこぶるいい」:岩見隆夫
・地方公務員法に「抜け穴」:毛馬一三
・鼻濁音と英語の発音:前田正晶
・一葉と中嶋歌子:平井修一
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2008年07月31日

◆「忘れられた大阪遺産の活用」

 ◆<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1267号・8月1日(金)に掲載されました>                      

                     毛馬 一三
                       
NPO非営利活動法人「近畿フォーラム21」主催の定期セミナーが、7月30日大阪産業創造館で、大阪府立大学特別教授の橋爪紳也氏を講師に迎えて行われた。

橋爪氏は、大阪府橋下徹知事の「府政策アドバイザー」で、いわば知事の右腕的存在。橋下府政の看板指針となっている「大阪維新プログラム」作成に多大に貢献したブレーンの一人。

講演は、「水都大阪2009」を軸とした内容だったが、未来を見つめた「水の都大阪」とからめた大阪再生のためのまちづくりが中心だった。

橋爪氏は、大阪のまちづくりは、「忘れられた遺産を都市の文化遺産として再活用」することが大切だと強調。御堂筋、中ノ島、北船場などにある近代建築物や佇まいなど、大阪人が知恵と技術を結集して創り上げた「文化的景観」を基に、公民協働でこれらの「都市のストック活用」することが重要な課題だと述べた。

その戦略キーワードは、大阪市が「大大阪の時代」を目指して都市基盤の整備に当ることだとも付け加えた。

橋下氏が中心となってまとめた「水都大阪2009」は、
・天神橋、難波橋など3橋のライトアップによる夜景つくり
・北浜の水辺に接する建物に、水を眺める「北浜床」の設置
・ 川沿いの再開発
・ 市長・知事に遊覧船のガイド役を依頼するなど、舟運プログラムの運行
・ 淀川・大川での「水の回廊」の設置
などが盛り込まれ、現在更に検討中だという。

同氏は、シンガポールが、豊かな都心部づくりプログラムを20年ほど前から自ら提起して成功させた例を取り上げ、大阪もこれをモデルにして「水の都大阪」の都市再生を目指し、将来は世界に認められる都市にすべきだと述べて、講演を締めくくった。

流石、府知事側近のアドバイザーである橋下氏の大阪再生プランだけに、具体性と実現性が感じられ、参加者の耳目を惹き付ける内容であった。

「近畿フォーラム21」の定期セミナーの次回開催は、9月末の予定。
2008.07.31

◆橋爪紳也氏のプロフイール
大阪府立大学特別教授/大阪府立大学観光産業戦略研究所長
大阪市立大学都市研究プラザ特任教授
大阪府政策アドバイザー/橋爪総合研究所代表
hashizum@21c.osakafu-u.ac.jp
hashizum.cat@orange.zero.jp


★メイル・マガジン「頂門の一針」1267号・平成20年8月1日(金)
<目次>
・内閣改造って本気か:平井修一
・レモン・ハーブの効用:古澤 襄
・忘れられた大阪遺産の活用:毛馬一三
・物価の優等生「白い紙」:前田正晶
・豆乳のチェコ・チーズ:渡部亮次郎

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