2008年07月31日

◆「忘れられた大阪遺産の活用」

 ◆<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1267号・8月1日(金)に掲載されました>                      

                     毛馬 一三
                       
NPO非営利活動法人「近畿フォーラム21」主催の定期セミナーが、7月30日大阪産業創造館で、大阪府立大学特別教授の橋爪紳也氏を講師に迎えて行われた。

橋爪氏は、大阪府橋下徹知事の「府政策アドバイザー」で、いわば知事の右腕的存在。橋下府政の看板指針となっている「大阪維新プログラム」作成に多大に貢献したブレーンの一人。

講演は、「水都大阪2009」を軸とした内容だったが、未来を見つめた「水の都大阪」とからめた大阪再生のためのまちづくりが中心だった。

橋爪氏は、大阪のまちづくりは、「忘れられた遺産を都市の文化遺産として再活用」することが大切だと強調。御堂筋、中ノ島、北船場などにある近代建築物や佇まいなど、大阪人が知恵と技術を結集して創り上げた「文化的景観」を基に、公民協働でこれらの「都市のストック活用」することが重要な課題だと述べた。

その戦略キーワードは、大阪市が「大大阪の時代」を目指して都市基盤の整備に当ることだとも付け加えた。

橋下氏が中心となってまとめた「水都大阪2009」は、
・天神橋、難波橋など3橋のライトアップによる夜景つくり
・北浜の水辺に接する建物に、水を眺める「北浜床」の設置
・ 川沿いの再開発
・ 市長・知事に遊覧船のガイド役を依頼するなど、舟運プログラムの運行
・ 淀川・大川での「水の回廊」の設置
などが盛り込まれ、現在更に検討中だという。

同氏は、シンガポールが、豊かな都心部づくりプログラムを20年ほど前から自ら提起して成功させた例を取り上げ、大阪もこれをモデルにして「水の都大阪」の都市再生を目指し、将来は世界に認められる都市にすべきだと述べて、講演を締めくくった。

流石、府知事側近のアドバイザーである橋下氏の大阪再生プランだけに、具体性と実現性が感じられ、参加者の耳目を惹き付ける内容であった。

「近畿フォーラム21」の定期セミナーの次回開催は、9月末の予定。
2008.07.31

◆橋爪紳也氏のプロフイール
大阪府立大学特別教授/大阪府立大学観光産業戦略研究所長
大阪市立大学都市研究プラザ特任教授
大阪府政策アドバイザー/橋爪総合研究所代表
hashizum@21c.osakafu-u.ac.jp
hashizum.cat@orange.zero.jp


★メイル・マガジン「頂門の一針」1267号・平成20年8月1日(金)
<目次>
・内閣改造って本気か:平井修一
・レモン・ハーブの効用:古澤 襄
・忘れられた大阪遺産の活用:毛馬一三
・物価の優等生「白い紙」:前田正晶
・豆乳のチェコ・チーズ:渡部亮次郎

      話 の 福 袋
      反     響
      身 辺 雑 記  
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2008年07月24日

◆したたかな大阪府知事

 <本稿は。電子雑誌全国版「頂門の一針」25日号に掲載されました。  「頂門の一針」には、著名な筆者の寄稿が寄せられています。購読    (無料)は、下記のホームページで手続きして下さい。
  
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                         毛馬 一三

大阪府の橋下徹知事に対する評価が大きく変わってきた。2月就任直後は、「見栄っ張りのタレント知事、目立ちたがり屋、政策ど素人、強権主義者」などとの冷ややかな見方が大勢を占めていた。ところが今や府議会関係者・府職員によると、「したたかな戦術家、バランス感覚に富んだ人材、信念の人」などと、180度位異なる「評価」へ変わってきている。

まず大阪府の歴代知事経験者を振り返ってみても、知る限りこれ程就任直後に「評価」が激変した知事は、記憶にない。なぜそんなに評価がかわったのか。

まず、知事は就任から4ヶ月目に「大阪維新プログラム」を発表すると、一気に府内43市町村や府立施設、出資法人、学校、福祉施設をくまなく視察して現場の実情を把握する精力的な行動が、府民の眼に留まったことだ。こんなボリュームとスピードをこなした知事は、過去には見当たらないからだ。

また破綻寸前の財政再建を果たすため、事業費と職員人件費削減に挑んだことだ。府職員労働組合との徹夜交渉では、自ら出席して組合人件費削減要求に一歩も譲らず、交渉は決裂という異例の事態で幕を閉じた。組合の主張に歩み寄らなかった知事は過去に例がなかった。

この強硬な軌跡が、結果的には府議会にも波及し、議論百出したとはいえ、議員報酬・政務調査費15%削減に繋がったことは否定できない。要は府議会が、知事の要請に応じた恰好だが、実際は府民に高まる知事の評価の芽生えを無視できない状況に迫られたからだ。

その府議会に対し知事は、水面下で幹部議員と接触しながら、削減策の修正に柔軟に対応する姿勢を匂わせている。その上で最終段階の議会総務委員会で、徹夜気味の33時間に亘って44議員の質疑に応じ、締めくくりに「修正させて頂きます」と議会の顔を立てた形を取って、幕引きをおこなっている。

「政策も駆け引きも“ど素人”と思っていたが、中々議会の思惑を斟酌出来る、したたかなやり手だ」と党幹部は云う。

しかも敢えて修正に応じた予算案が、与野党の反発が最も強かった私立幼稚園の運営経費への助成と、人件費の削減幅の計20億7000万円の圧縮だったことも評価を集めた。

「議会意向の強弱を巧みに感じ取るバランス感覚も兼ね備えて、先手を打ってくる戦術も心得ている」と評する幹部議員もいる。

こうした「評価」の下で、橋下知事が提出した初予算は可決した。大阪府の臨時府議会は会期末の23日午後3時からの本会議で、自民・公明の与党両党だけでなく、野党の民主党までも賛意を示し、賛成多数で可決したのだ。

修正案について与党の自民党は、「予算編成の過程を公開したことや、議会の意見を踏まえ修正した姿勢を高く評価する」とし、野党の民主党ですら「中央と地方の関係に改革の必要性を訴える知事の姿勢は我々と同じだ」と賛意を述べている。

修正案は、一般職基本給の削減当初案の4〜12%を3.5〜11.5%に緩和、また私立幼稚園の振興助成削減率を当初の5%から2.5%に引き上げた。この修正に伴い、08年度の一般会計予算規模は、削減幅を18億圧縮し、2兆9246億円となった。

とは言うのの、知事の「評価」が変わったとは云え、問題が解決したわけではない。歳出削減には一定の成果を上げたことは間違いないが、歳入を図るための具体的な経済再建策は何ら示されていない。また削減策によって低減する「府民サービス」の補完を、如何ように進めるかの道筋が見えない。

敢えて言えば、浪速文化の行く末の配慮が示されていないのにも不安が募る。筆者の拙著「ワッハ上方を作った男たち」の舞台となった上方演芸資料館が、知事が企図する通り府庁建物の片隅に移転された場合、上方演芸の貴重な資料を修学旅行生や外国からの賓客が、進んで訪れるとは思えない。浪速文化保存の衰退に繋がる恐れは十分にある。

こうした府民の不安を解消するため9月19日から開会の9月府議会では、知事が「大阪維新プログラム」の内容の検証審議を徹底的に進めたいと議会筋は言っている。その時にこそ、企業誘致や中小企業育成による歳入を軸とした府経済再生策は始め、浪速文化育成など奥の手を、知事も議会も最大限知恵を絞って欲しいのだが。(了)
                          2008.07.23

2008年07月21日

◆待ったなし?「一斉休漁」

 <本稿は、全国版電子雑誌・渡部亮次郎氏主宰の「頂門の一針」7月22日(火)号に掲載されました。同上欄をご覧になりたい方は 下記からお手続ください。>
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                       毛馬 一三

大阪湾で獲れたての魚を売る市場として知る人ぞ知る大阪府泉佐野市の「青空市場」に向けて急遽、車を疾駆させた。

この「青空市場」には、旬の魚を求めて時折、家族連れで訪れている。新鮮この上もない魚を店頭で「なんぼになる?」とやり取りしながら「値切り値」での買い物出来るのは、大阪都心で経験できない大きな楽しみだ。

とはいえ今回7月19日車を走らせて「青空市場」に向かったのには、わけがあった。

「太刀魚」の年間水揚げ量日本一誇る和歌山県有田地方の漁協が、燃料価格の高騰による漁業者の窮状を強く訴えて、7月15日の全国一斉休漁の日から、以後独自に1週間の連続長期休漁に入っていると、知人が知らせてくれた。そういえば「太刀魚」は、大阪の各スーパーの店頭からすっかり姿を消している。

廃業に追い込まれたくない同抗議行動が、大阪湾漁協等に波及するのは避けられず、大阪湾で水揚げされる旬の魚が食膳から消えるのも時間の問題だと、知人は云う。

この上ない美味い旬の「太刀魚」を買い求めたい気持ちもあったが、それよりそこに行けば、燃料価格の高騰の現場「危機感」を確かめられるのではないかと思ったからだ。

泉佐野漁協に問い合わせたら、セリは午後2時半から行われという。知人と筆者の家族を同乗させて、大阪の「阪神高速」から「阪神高速湾岸線」を経由して、約1時間で降り口の「泉佐野北口インターチェンジ」に着いた。

同インターチェンジから、「セリ市場」と「青空市場」まで道のりは約10分程で、同駐車場に入った。

セリ開始までの間、市場内のレストランで名物料理「穴子丼」を食した後、「青空市場」内の商いぶりを見て回った。カレイ、マダイ、アナゴ、クロダイ、サワラ、スズキ、クルマエビ、マダコ、シャコ、ウナギ、マグロ、アサリなどが、20店余の魚屋の店先にぎっしり並べてある。

並べられた魚介類のうち、シャコやマダコが海水を入れた箱の中でムクムクと動く姿には感激した。しかし「太刀魚」を並べている店は、いつもとは違って数店に限られ、和歌山有田の水揚げのない影響が出ていた様子だった。

「青空市場」に隣接する鉄骨建物の「セリ市場」でセリが始まった。梅雨明けの蒸し暑い中で、昼網といわれる午後に水揚げされた魚介類が、威勢のいい掛け声を掛ける仲買人によってセリに掛けられた。案の定「太刀魚」「アナゴ」は品薄だった。

セリ市場横の岸壁に接岸した漁船の漁師に燃料価格の高騰による苦難の様子を聞いてみた。「燃料の油がどんどん高くなっていっては、出漁すればするだけ赤字ですわ。このままでは廃業しかおまへん」。漁師は、胸につかえた鬱憤を一気に晴らすようにそう吐き出した。

「青空市場」に引き返し、セリのあと運ばれてきた魚貝類を店頭に並び終え、店先に椅子に座っていた顔見知りの老女性経営者に同じ質問をぶっつけた。「漁協から聞く話だけど、燃料が高くて漁が続けられないそうな。漁が出来なければここの市場も全店あがったりよ」。返って来た返事は同じだった。

燃料価格の高騰による漁業関係者の窮状を訴える声は、皆悲痛だった。漁師が言った極め付きの言葉が甦る。「国がなんとかしてくれなければ、漁師は首括るしかない」。

品切れ寸前の「太刀魚」と「マグロ」、「イワシ」だけは買ったが、いつもの買い物の楽しさと満足感は得られず仕舞いのまま、「青空市場」を後にした。

全国漁業関係者の間では、こんな悲痛な窮状は各所でどんどん広がっているのではなかろうか。魚介類が食膳に乗らなくなる日が切迫しているような気も実感として湧いてくる。国の対応は、何事にも遅すぎる感がしてならない。 (了)2008.07.20


◆全国版電子雑誌・渡部亮次郎氏主宰の(「頂門の一針」22日号・目次)
・派遣社員10年の実態:内田一ノ輔
・アフリカの盗まれ放題:平井修一
・国の対応は何事にも遅すぎる:毛馬一三
・ 微妙な関係?日中韓:眞鍋峰松
・ 冷奴も味噌も外国頼み:渡部亮次郎

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2008年07月16日

◆裏切られた大阪市長


                      毛馬 一三

総額7億円の「裏金」が発覚した大阪市で、またまた東住吉区と浪速区の2区役所の旧税務担当で、少なくとも251万円に上る新たな「裏金」が発覚した。ところが今度の「裏金」ばかりは、信じられないほど質が悪い。

大阪市は3回に亘って全庁調査を行い、この6月に上記「裏金」総額を公表し、「忌まわしい悪弊とは決別した」と、平松邦夫市長は胸を張った。ところがその直後にこの事態が起きただけに、「市長も職員からよくも舐められたものだ」と、冷ややかな市民の目が注がれている。

市長の直命による3度の調査も職員から無視され、「裏金」存在の申告がなされなかったことは如何なことか、誰もが首を傾げる不可解な出来事だ。

たしかに調査自体が甘かったと指摘されるところも見逃せない。浪速区の「裏金」については、市は4月に情報をつかみながら、証言が得られないとして解明を打ち切っている。東住吉区の場合、市に「報告」さえ上がってこなかったという。

このほか「裏金」の情報が寄せられながら、裏付けがとれないとして調査を打ち切ったケースだけでも、8件あるという。<読売新聞>この点から見ると 調査が報告に頼りすぎていたことが今回の事態を招いたという感も拭えない。

しかし事実の真相ははそうではなかった。この問題の2区部署では3度の調査とも、意図的に事実をひた隠して、巧みにウソの申告で潜り抜けていたのだ。

しかも、通帳を保管していた東住吉区の職員の証言によると、「全庁調査の時申告しようとしたが、上司から申告しないよう圧力を受けた」そうで、上司の指示による組織ぐるみの隠ぺい工作は、悪質の度を越えている。

平松市長は15日、幹部職員50余人を集め、弁護士らによるコンプライアンス委員会からの勧告を受けて4回目の全庁調査を実施することを指示した。その際「真相を明らかにしないのは市民への裏切りと同じ。本当に市民が納得する結果を出して欲しい」とハッパを掛けたという。

一方で、「4回目の調査でも無理だと思うなら、私にメールで伝えて欲しい。またこれに代わるいい調査方法が他にあるなら、この場で発言してほしい」と、職員の徹底した裏切りに弱気とのとれる本音を覗かせたそうだが、幹部は無言のままだったという。<産経新聞>

無言のままだった幹部職員の一人に尋ねたら、管理した預金口座まで解約するなどの証拠隠滅さえやる旧税務担当が居るならば、真相究明は不可能に近いのではないか。残念だが、告発を待つしか仕方が無いのではないかと云っている。 

調査でウミを出し切らない限り、信頼を回復することはできない平松市長は、同じような調査方法を繰り返すだけでは、市長自ら期待する結果を得ることは難しいのではないか。ますます苦境だけが待って居るだけの様にしか見えない。(了) 08.07.15



2008年07月13日

◆飛び火する「居酒屋タクシー」

                      毛馬 一三

 <◆本稿は、14日全国版電子雑誌・「頂門の一針」に掲載されました。   末尾記載の目次をご高覧下さい。ー編集部>



東京霞ヶ関で缶ビールや金品などの提供を受けて問題化した「居酒屋タクシー」不祥事が、なんと大阪市にまで飛び火した。「裏金」で批判を浴びたばかりの大阪市職員が、なんと「居酒屋タクシー」にもまでも染まっていたのだ。

大阪市が、中央省庁の同上不祥事を受けて、07年4月から08年5月末までの間、職員が利用したタクシー券約7万5千枚の使用状況を、このほど調べた結果、分かったものだ。

「居酒屋タクシー」に関与していたのは、市健康福祉局の50代と40代の2職員で、このうち50代の職員は調査期間外を含めて個人タクシーの運転手から計38回、40代の職員は計10回、それぞれ「居酒屋タクシー」で缶ビールを満喫していたという。

ところがその前に、この大阪版の「居酒屋タクシー」を誘発させた市のタクシー券を、市職員がどうして自在に使用できたのか、その方が先に疑問が湧く。霞ヶ関ではあまり取り上げられなかった肝腎な話だ。

大阪市によると、それは大阪市の内部規則で、終電後に帰宅する時や緊急時に限りタクシー券を使用することができるとされているという。つまり予算編成作業や議会開催時の答弁書作成、災害時の緊急就労等で、終電に間に合わなかった場合にかぎり、市のタクシー券の使用を認めているというのである。

確かに就労が深夜に及ぶことが多々あることは否定しない。しかし市役所から主要鉄道網に直結する近くの市営地下鉄駅に向かうには、7〜8分もあれば十分間に合う距離にある。だとすれば緊急災害就労を除く一般事務については、終電に間に合うよう早々に切り上げ、タクシー券を気楽に使うことは避けるべきだ。

早い話、公務で遅くなれば税金で賄うタクシーを利用する位は当たり前という、市役所組織特有の「驕り」の長い慣習が、今尚息づいている所為であることに間違いはない。

まず民間では考えられない過剰厚遇だ。タクシー券を使って帰宅させると費用が嵩んで経営に響くため、終電車前に必ず帰宅を義務付け、勝手にタクシー帰宅をすれば自己負担させるというのが、民間の規則である。

この市タクシー券利用総額だが、なんと07年度だけで2億7千万円(約6万4千枚)を使っている。上記50代の職員は、終電時刻前にも一度、タクシー券を利用して京都府宇治市の自宅まで帰宅していたという。為すことに事を欠く。

そこで今回発覚したのが、この「傲慢」タクシー券使用の上に更に泥を塗る、東京霞ヶ関「居酒屋タクシー」の飛び火だった訳だ。

<缶ビールを提供していたのは大阪市内の個人タクシー運転手3人。運転手は市職員から電話で呼び出しがあると、まずコンビニで350ml入り缶ビール1本を購入し、市役所に迎えに行く>と言っているらしい。 (アサヒコム)

ある市幹部職員は、「恥ずかしい。タクシー券は仕事で日付が変わった時に使わせてもらうことはあるが、缶ビールの供与を受けるなんて、とても常識では考えられない」という。「個人タクシーを呼ぶ職員がいるということを聞いたことがあったが、このことに繋がっていたとは思いも因らなかった。この際過去からの悪弊は洗い晒しツブそう」と別の幹部職員もいう。

大阪市では、30局や区役所で計6億円を超える裏金や不明朗な金銭が発覚し、課長代理級以上の全管理職、約3000人に対する厳しい対応処分を決めたばかりだった。大阪市の悪の温床は止まるところを知らない恰好だ。

大阪市役所に飛び火したこの「居酒屋タクシー」不祥事に、大阪府の橋下徹知事も、「府庁に同様の不祥事がないかどうか、調査するよう総務部に指示する」と、メディアに話している。

いずれにしても真似しなくてもいい霞ヶ関の「居酒屋タクシー」不祥事は、今後全国の自治体に更に飛び火するのは間違いないのではなかろうか。                    (了)    08.07.12

◆「頂門の一針」 1248号 7月14日(月)刊
<目次>
・先行き不安だらけの日本経済:前田正晶
・飛び火する「居酒屋タクシー」:毛馬一三
・道州制の論議に欠けているもの:花岡信昭
・中国が第二の米国あり得ぬ:宮崎正弘
・ローソクデモに反撃開始:平井修一

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  身 辺 雑 記

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2008年07月09日

◆道頓堀「くいだおれ」閉店の教訓

    毛馬 一三 (電子雑誌「頂門の一針」7月10日号に掲載)

大阪道頓堀の老舗大衆食堂「くいだおれ」が8日夜閉店し、59年の歴史に幕を閉じた。同時に4月から巻き起こっていた、看板人形「くいだおれ太郎」とのお別れフイバーも、ひとまず終焉した。

「くいだおれ太郎」の現役最後の雄姿を一目見ておこうと、筆者も8日昼過ぎ 、持病の腰痛を押して近くまで出向いてみたが、運悪く梅雨明け直前の豪雨に見舞われて、店先まで近づけず止む無く断念、引き返してきた。

「くいだおれ」では夜9時すぎ顧客を招いた最後の宴会を終えると、店頭に女将の柿木道子会長が現れ、居残っていた黒山の人だかりの見物客に向かって、「大阪名物くいだおれは、日本一幸せな店でございました。おおきに」と言って深々と頭を下げたという。

このあと店の奥に運び込まれた「くいだおれ太郎」も、静かに下りるシャッターと共に、店の奥に姿を消したそうだ。

看板人形「くいだおれ太郎」のこれからの生き方は、まだ決まっていない。当面は近く、顧客との3泊4日の別府温泉旅行に出掛ける予定だという。

本当のところ、大阪道頓堀の老舗大衆食堂「くいだおれお別れフイバー」は、異常だった。店に来たこともない人も、俄に脚光を浴び出した看板人形「くいだおれ太郎」を一目見ようと連れだって押しかけた。

しかしこの騒ぎも、珍しさ・面白さに飛びつく大阪人の気まぐれな、一過性傾向の血のぼり気質が、たまたまこの騒ぎを後押したに過ぎない。

そんな人たちが普段から店にワンさと出向いて食事していたら、「くいだおれ」の経営は傾くこともなかったろうし、「廃業」に追い込まれることにもならなかった筈だ。

道頓堀界隈は、言葉の響きから老舗ばかりが店を連ねる旧態全体の町並みのような印象を受けるが、今や若者達の集客能力を誇るまちに変貌した。若者好みのファーストフード店、お洒落な喫茶店やケーキ屋、最先端IT機器遊技場、自在にテークアウト出来る各種店など、まち全体が魅力溢れる大規模商業区域になっている。

だから昔ながらの老舗品にこだわり、消費者志向のニーズに機敏に応えられない体質の店が取り残される運命にあるのは、時代の流れだ。老舗の「看板」だけにこだわっている店は、どこも苦闘していると聞く。

「くいだおれ」の閉店は、こうした「老舗看板」だけに依存する商売が、もはや通用しにくい教訓を残したといえる。付け加えれば、客寄せパンダに頼る時代でもなく、「味と見栄え」で真剣勝負しなければ、老舗自体も正業として成り立たないことを、この時代を生き抜くビジネスの厳しさと合わせて教えてくれているようだ。時代はここでも急変している。(了)   2008.07.09

■本稿は、全国版電子雑誌「頂門の一針」
7月10日(木)1244号に掲載されました。

<同号の目次>
・米も偽装食品なのか:内田一ノ輔
・原油の高値止まりは好機到来:寺田嘉信
・己を抑えた振舞いが美しい:加瀬英明
・「くいだおれ」閉店:毛馬一三
・ 再就職に年齢の壁:平井修一

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2008年07月06日

◆美味い自家製「紫蘇濃縮ジュース」

毛馬 一三
           7月6日「頂門の一針」(夕刊・反響欄に掲載)

ジュースとは、本来「果汁」を指すものだが、今ではコーラなどの炭酸飲料なども含めた甘いソフトドリンクまでも「ジュース」と称している。デパートやスーパーに出掛けると、山ほど陳列されたこの種のジュースが目に付くが、果たして健康にいいかどうか考えると買い求めるのに躊躇してしまう。

そうした折、体にいいから是非と知人に勧められた「紫蘇(しそ)濃縮ジュース」を我が家で作ってみたところ、なんとまあ、風味・舌触りなど美味さ抜群、すっかり嵌ってしまった。

<紫蘇(しそ、学名Perilla frutescens)は、シソ科のシソ属の植物。中国原産。

紫蘇には、こんな由来がある。中国の後漢末、洛陽の若者が蟹を食べすぎて食中毒を起こし死にかけたが、名医・華陀が薬草を煎じ、「紫の薬」を作り、同薬を用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。「紫」の「蘇る」薬だというので、この薬草を「紫蘇」というようになった>。

品種は以下の2種類がある。「青紫蘇」と「赤紫蘇」である。

<i)青紫蘇は、葉や花を香味野菜として刺身のつまや天ぷらなどにする。青紫蘇の葉は野菜としては「大葉(おおば)」とも呼ばれる。
i)赤紫蘇は、梅干しなどの色づけに使用。また葉を乾燥させたものは香辛料として(特に京都で)味唐辛子に配合され、ふりかけなどにも用いられる>。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

ところで自家製の「紫蘇(しそ)濃縮ジュース」には、「赤紫蘇」を使う。作り方は幾通りもあるが、知人から教えてもらった作り方が過去味わった紫蘇ジュースの中で最高だったので、その作り方をご紹介したい。

<作り方>
(1)紫蘇(350g)を水できれいに洗い、水気をよく切って鍋に入れる。
(2)鍋に水(450cc)を入れ、その中に砂糖(600g)とクエン酸(20g)を加える。
(3)紫蘇を満遍なく混ぜて、鍋をガスの中火で煮出す。
(4)10分ほど沸騰させ、紫蘇の中から泡が出したら火を止める。
(5)鍋で煮だった紫蘇を別のボールに、ザルで濾す。
(6)絞り紫蘇液が自然に冷めたら、その中に「ゆず酢」を大匙2杯弱入れる。これがこの濃縮ジュースの「隠し味」。
(7)真っ赤な紫蘇濃縮ジュースが出来上がったら、氷を入れたコップに濃縮ジュースを好みに応じて注ぎ、水や炭酸水などで4倍に薄めて飲む。

これだけの作り方で、900ccの「紫蘇濃縮ジュース」が出来上がる。冷蔵庫で保存すれば、半年の賞味期限があると知人は教えてくれた。

この「紫蘇ジュース」は、紫蘇の栄養であるビタミン類、ミネラル類が含まれているので薬用効果があり、アレルギー体質、生活習慣病、食中毒予防等に効果があるという。

手前勝手な風味・美味しさ抜群の「紫蘇濃縮ジュース」の作り方を紹介させて頂いたが、このジュースが他の作り方と違う点は、隠し味の「ゆず酢」。興味を感じられたら、いま出荷盛りの赤紫蘇を求めて作ってみられては如何。                    (了)    2008.07.06


2008年06月24日

◆「怖くなった心房細胞」を読んで


                   毛馬 一三

本欄の常連筆者・石岡荘十氏が「新潮45」7月号(6月18日発売)に掲載された「団塊世代に捧げる・なめるとコワい心房細動」を読み、正直言って震撼させられた。

同内容は、九死に一生を得た長嶋茂雄元監督と、亡くなった小渕・橋本両元首相の3人病状の共通点が、「心房細胞による脳梗塞」の可能性が高いと言い切っていることだ。

たしかに長嶋元監督のことは石岡氏が以前に本欄に綴った記述を読んで、それなりに承知していたが、まさか小渕・橋本両元首までもが同種の病気が元で還らぬ人になったとはショックだった。

私事ながら筆者は先月末の夕方、自宅で激しい眩暈と嘔吐に襲われて立ち上がることも叶わず、救急車で大阪私立病院の脳神経外科専門医のもとに搬送された。

実は4年前にも同様症状で入院したことがあり、今度は脳梗塞へでも進行したのかと心配したが、CTとMRI(磁気共鳴画像)等の検査の結果、専門医から「自律神経からの不具合によるもので、脳や心臓には異常なし」との診断を貰い、無事早期退院が出来た。

とはいうものの、やはり「頭の病気」は怖い。ふらつき状態が完治せず「脳梗塞」にでもなった時はどうしたらいいものかと思い巡らしていた矢先に、この石岡氏の記事に出喰わせた。

この中で石岡氏は、難解な医学記事とは思えない平易な文章と、読者を惹きつける明快な論旨を展開して、「心房細動による脳梗塞のコワさと日頃の心構え」を誰にでも分かるように下記のように綴っている。

i)要は、心房の筋肉がぶるぶる震える不整脈の一つである心房細動が起こ  ると、血液が澱んで血栓が出来やすくなる。
i)心房細動について、本人、家族は心臓が発するアラームであることをい  ち早く察知する知識と適切に対応を会得しておく必要がある
i)「胸が何となく重苦しい。脈拍が跳んだり時々途切れたりする。息苦し  いことがある」と感じた時、これがアラームだ。
i)心房細動は、「カテーテル・アプレーション」という最先端の治療法   で、治るのが常識となってきた。

石岡氏は、かの有名人3人の個々の症例を詳細に比較しながら、「心房細動」はコワいよと警告し、長生きするには「不整脈」に十分注意をしなければ、取り返しのつかないことになると、実に分かりやすく詳述している。

ところで知人の大阪市立病院の安井敏裕脳神経外科元部長から、この「心房細胞」に関する最近の医学情勢を、概略以下のように教えてもらった。

<わが国ではカテーテル・アプレーションの治療法が進んでいるが、米国では、1996年から特別な手技や道具が不要で、ただ静脈内注射するだけで詰まった血管の血栓を溶かしてくれるアルテプラーゼ(t-PA)と言う薬の使用が始まった。

これについてわが国では時間がかかったが(drug lag)、米国から遅れること約10年の2005年10月11日に漸く承認された。

この薬は血管に詰まった血栓を溶かしてくれる血栓溶解剤で、発症後3時間以内に静脈内注射するだけで良好な予後が得られる。

t-PAを用いるためには、一定の講習を受ける必要があり、全国で130回以上行われ、8000人以上が受講した。実際に、この薬剤を発症後3時間以内に注射するには、患者には、遅くとも発症後2時間以内に病院へ到着してもらう必要がある。

しかし、この薬剤は両刃の剣で、39項目に渡る使用基準を尊守しないと、脳出血の危険性が著しく増大することが分かっている。従って、厚生労働省も非常に厳しく市販後調査を課している。その意味では現状は、言わば試運転ないしは仮免状態であり、慎重に使用する必要がある>。

「たかが不整脈、心房細動」と舐めてかかるとやばいことになりますよと、と石岡氏は「新潮45」で結んでいるが、心臓に多少の違和感を覚える方は、是非この「新潮45」の石岡氏の記事を一読されるようお勧めしたい。(完)
  20086.22

2008年06月13日

◆今度は大阪地下鉄で「使い回し」


                     毛馬 一三

老舗高級料亭「船場吉兆」が客の食べ残しを別の宴席に「使い回し」して廃業に追い込まれたばかりの大阪で、今度は乗客の使用済みの地下鉄「磁気式乗車券」(プリペードカード式乗車券)を元通りに再生し「使い回し」していた市交通局職員らの不祥事が出た。

市営地下鉄駅員の「使い回しとは何?」といいたいところだが、なんと「船場吉兆」と同類の「倫理感の低さの公務員版」と云えるものだけに、開いた口が塞がらない。

この「使い回し」の発覚は、意外な発端だった。この5月、大阪市営地下鉄御堂筋線の難波駅の改札機に、プリペイド式カード乗車券の忘れものを駅員が発見。確認したところ、乗車券の乗車記録が不正に消去されていたのがわかったのだ。

驚いたことに、このカード乗車券の持ち主が、大阪市交通局の出資会社「交通サービス株式会社」の臨時駅員(65)の持ち物とわかり、同臨時駅員を追求したところ、本人だけでなく同僚の臨時駅員(66)とともに自分たちの乗車記録情報を駅長室内の処理機でを使って不正に消去したり、乗客の使用済みのカード乗車券を持ち出して再生させ、「使い回し」し計6万6000円余りの運賃を支払っていなかった。

それだけでは収まらなかった。大阪市交通局の50歳と52歳の駅員2人も、使用済みのカード乗車券の乗車記録情報を不正に消去して、計2万円余り地下鉄のタダ乗りをする「使い回し」をしていたのである。4人は不正を認めているという。

カード乗車券には、1000円、2000円、3000円の3種がある。乗客がこの使用済みのカード乗車券を改札室横のプラスチック箱に遺棄すると、駅員が回収して駅長室で保管し、サイクル業者に引き取らせる仕組みになっているが、この使用済み乗車券の管理状況は十分とは云えないと関係者は指摘する。

カード乗車券の磁気情報は、乗客が間違って改札を通った場合など、情報を正常に戻す処理機として駅長室や改札事務所に備えているもので、カードの磁気情報を簡単に消したり、再生して利用できることを駅員なら、誰でも承知していると関係者はいう。

その磁気情報の消去と管理不充分に目に付けて不正を行ったのが、今回の市地下鉄「使い回し」だったのだ。しかも「交通サービス株式会社」とは、市交通局のOBの天下り先で、名称は派遣社員でも、「磁気情報のカード乗車券」操作には全員が精通しているという。

大阪市交通局と「交通サービス株式会社」では、全ての駅員と臨時駅員、約2000人を対象とした調査を進め、7月末までには結果をまとめ、関係者の処分を行う方針だそうだ。不正に関与した駅員は、4人だけには止まらず、さらに拡大する可能性があるとの見方がつよい。

大阪市では、部局内の「裏金の総額」が8億円に達し、公金に対する市職員のモラル低下が厳しく問われているが、今回発覚した地下鉄磁気乗車券の「使い回し」も、駅員しか知り得ない操作を駆使して「無賃乗車」の不正行為が組織内では常套化していたのではないかとの懸念も出始めている。

廃業に追い込まれた老舗高級料亭「船場吉兆」の倫理観の欠如になんら変わらないといわれても仕方の無い事態だ。ましてや「公務員の不正行為」だけに、余計に腹が立つ。(了)    20008.5.12

2008年05月29日

◆「船場吉兆廃業」は当然の報い

                     毛馬 一三

食べ残し料理の「使いまわし」を14年間も続けていた高級料亭「船場吉兆」(大阪市中央区)が、遂に廃業に追い込まれた。身から出た錆には違いないが、ブランドを売り物にしていた老舗料理屋にしては、「客を馬鹿にしていた当然の報い」だろう。

関西に住む私も、一見客では行けない京都や大阪の超一流料亭の座敷に座し、室内の佇まいの風格を眺めつつ、かつここに出入りした歴史上人物の遊興の場を実感しながら、心尽くしの料理を前に仲間と過ごした歓喜の思い出は、この上ない至福の時間であった。一流料亭への想いとは、誰でもそんなところだ。

それこそが、ブランド料亭がお客に接遇しなければならない「基本的なもてなしの心」であり、そこにだけ出来る「誇り」ではないだろうか。

今回の老舗「船場吉兆」不祥事は、そうした一流料亭で瞬時を過ごしたいと願う顧客の「心と和みの場の提供」を完全に「裏切った」最悪の行為だった。

「船場吉兆」は、07年11月、食品表示偽装に伴い約2ヶ月休業。08年1月営業を再開したが、それもつかの間5月上旬客に客の食べ残した料理を「使いまわし」ていたことが発覚して、客離れが急速に進み、経営が立ち行かなくなったという。

そして28日船場吉兆側は「もはやこのような状況の下で営業することは許されないと考え、28日名称を返上することにした」と「廃業」を宣言した。

その「廃業」の理由を聞いて奇異に感じた人は多い。なぜ「使いまわし」の行為に対する自戒と社会的責任へのけじめが、「廃業」を決意の理由とならないのか。「儲からなくなったから止める」では、心ならずも経営難に迫られて廃業・倒産する、真面目な中小企業の経営者と同じになるでは、おかしいではないか。迷惑千万だと云われてもしかたのないことだ。

しかも、「廃業」を宣言した同日に、客に出した料理の使いまわしが新たに8件も発覚している。その使いまわしの料理は、「下座の客に出すことが多かかった」との従業員の証言も出ている。下座の客なら許されると思ったのだろう。何をかいわんやである。


法律的にはどうなのか、知人の弁護士に問い合わせたところ、「料理が客に供された瞬間に、その料理自体が価値を失する。従って恰も価値ある料理の如く見せ掛け、お品代を取るのは、詐欺罪と受けとられてもしかたがない」という。

問題は、「船場吉兆」が廃業の理由を「倫理違反に違反したことへの自戒」とすべきだった。ほとんどの小料理屋では、客の食べ残しの「アスパラガス、青シソ」の使い回しは常識と、業界関係者から聞いた。もし「船場吉兆」がこの「自戒」を廃業理由に掲げていたら、同店老舗の名誉も些かでも保たれたであろうし、同業者への「使い回し」への警告の一助になったのではないか。

それとも「儲け」には恥も外聞も気にしないといわれる、伝統的な浪速商法の倫理観を揺さぶる迄には、到らないことなのだろうか。(了)  2008.5.29

2008年05月16日

◆永年の「悪習」の果て

                    毛馬 一三

「裏金問題」で大揺れに揺れている大阪市で、新たに「職員の不正行為」が明るみに出て、懲戒免職を含む計121人が大量処分されるという不祥事が起きた。公務員としての「倫理感」はここまで堕ちているのかと非難の的の大阪市だ。

「裏金調査」で同総額が6億4130間円に達したことが表面化した時、平松邦夫新市長は事態の深刻さに動転。報道陣の詰問に答え、その背景を、「前例を踏襲する職場風土と倫理感の欠如」が職員間に介在するためだと指摘した。

ところが今回発覚した不祥事も、まさしく新市長の想定通りのことで、業務現場で長期にわたり繰り返されていた「不正行為」そのものだった。大阪市は「裏金」決着を前に、急遽この処分の方を先行させたのだ。

さてその処分だが、最も重い懲戒免職の対象者は、市建設局の出先・東南公営所の40才の技術職員。勤務中に負った怪我が完治したにも拘らず、「リハビリのため」と称して、03年4月から07年10月まで4年半にわたって1209時間、勤務中に職場を1人抜け出し、近くの公営プールで泳いでいたもの。

また、諭旨免職になったのは、同じ市建設局の出先・南部下水道管理事務所の47才の主任。胴回りが肥満してマンホールの中で汚水内作業が出来ない48才の部下を、ほかの職員同様の作業に従事したように書類を改竄、43日分、3万3110円を不正に受給させていたもの。「肥満」の部下に金銭的便宜を図るという、聞いた事も無い珍事だ。

さらに、信じられないのは、停職2ヶ月の処分を受けた41才の市健康福祉局の係長。「年次休暇より取りやすかった」として、06年3月から07年6月の間に、妻の両親、祖母2人、おじ1人、おば3人が亡くなったことにして、12回の忌引休暇を取ったもの。忌引休暇の不正取得での処分対象者は、この係長の他に4人いる。

以上、今回の不祥事の処分の内訳は、懲戒免職1名、諭旨免職1名、停職3ヶ月3名、停職2ヶ月2名、停職1ヶ月6名、停職10日17名、減給16名、戒告18名、戒告・注意57名―合わせて121人となる。

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2008年04月30日

◆歓迎!「小中学 無料の放課後塾」

毛馬 一三

大阪府橋下知事直轄の政策プロジェクトチームPTが、小中学校での放課後学習の実施など、大掛かりな教育改革案をまとめたと、30日朝日新聞の朝刊が報じた。放課後学習は、東京都杉並区立の夜間授業「夜スペシャル」に次ぐ第2弾ということになる。

<PT案によると、この「放課後塾」は、政令都市の大阪市・堺市、それに中核市の東大阪市・高槻市を除く府内の学校役530校と、指定市を除く中学校約290校が対象。

小学校は平日の放課後に週2回、中学校は平日の放課後と土曜に1回づつ、授業の復習や宿題を教える。教科は小学校が国語と算数、中学校が数学と英語。
東京の和田スペは塾講師が当るので有料だが、大阪では教員OBや大学生が教えるので無料>(朝日新聞)

またPT案では、<このほか進学に実績のある府立高校の強化案が盛り込まれており、基本的には難関大学をめざす生徒が学区を越えて通える府立校の数をふやすとしている。具体には進学実績のある高校4〜10校に文系と理系の進学コースをもうける>という。(同紙)

府議会与党会派の某幹部によると、まだこのPT案は正式に会派には届いてはいないが、知事周辺でそのような教育改革案のとりまとめが進んでいる情報は内々入手していることを明らかにした。

この「放課後塾」は、ゆとり教育に酔いすぎて進められている中学校の行き過ぎた「部活運営」に、なんとか歯止めがかかるのではないかという期待がたかまることは父兄の間で必至だろう。

ある中学校の「部活」は、雨が降ろうが風が吹こうが、放課後毎日7時まで行い、休みの土日は朝の早いときで午前7時半から夕方5時まで。遠征も合宿も日常茶飯事。中学部員は「部活」に入ったばかりに、塾に行くことも事実上不可能。

ところがこの暴走気味のこの「部活」の実情は、政令都市・大阪市立中学校の例であり、残念なことに府PT案からは除外されている。

しかし、この「学習する習慣が出来ていない児童生徒に学習の機会を与える」というPT案が府下の教育現場で先行定着していけば、大阪市もこれに倣わざるを得なくなるだろうと府・市議会会派幹部らは同調する。

1100億円の機械的削減と非難をうけているPT案も、私学助成金削減問題と絡みは残るが、こどもの教育強化に力を入れる姿勢のこの教育改革には、府民は諸手をあげて賛成するに違いない。

個人的嗜好による一教諭の暴走「部活運営」を抑え、放課後・土日学習を阻害され、大学進学の将来を犠牲にさせられている子供たちに学習向上の機会を与えるためにも、まず大阪府からこの教育改革に手を付け、それが大阪全域に広がっていくことを、橋下知事に先鞭を期待したい。(了)2008.04.30


2008年04月18日

◆大阪府知事、「四面楚歌」

                   毛馬 一三

(本稿は、全国版メイルマガジン「頂門の一針」18日号に掲載されたー   ー編集部)

大阪府の橋下知事は、想定外の初体験だったに違いない。17日、満面の笑みを湛えて府庁内会議室に入ってきた知事は、異様な雰囲気に圧倒されたのか、一瞬のうちに表情を強張らせた。

それもその筈1100億円の歳出削減試案の発表を受けて、怒りをブッケたい41市町村の市町村長本人たちが、橋下徹知事を待ち受けていたのだ。協議は冒頭から大荒れ、市町村長から猛烈な批判や罵声が飛びだすなど、会合は修羅場の様相となった。

初協議は、まず橋下知事が叩頭、市町村への補助金を45億円削減することなどを盛り込んだ直参改革プロジェクトPTが作った試案について、「修正の余地が全くないわけではないが、これくらいの目標を設定せざるを得ないと改革はできない。市町村にも少し我慢してもらって大阪府全体の財政再建を果たしていきたい」と協力を呼びかけた。

ところが知事が着席する間もなく、市町村長からいきなり「無責任なPT案は白紙に戻せ」「血も涙も無い」などの罵声が飛び出して、知事の唖然とした様子がひと際目立った。批判はよどみなく続く。

i)医療費の打ち切り案では、患者の負担増は増大。負担を引き上げるならその幅を示せ
i)府庁内部で阿修羅のごとく血を流す改革がなければ、府民に痛みは押し付けられない
i)試案通り実施されたら大阪の道路は穴だらけ、学校もぼろぼろになる。あまりにも現実離れした案で、府政の方向を間違える
i)積み上げてきたものを急にやめるというのでは、双方の信頼関係は崩壊する
i)当初予算を執行中に、削減しろとは明らかな行政のルール違反。一切協力できない

助言する府職員も知事に近寄れる雰囲気ではなく、知事はまさに「四面楚歌」。

「政治経験が長い私たちの声にもしっかり耳を貸して欲しい」とのたしなめにわれに返えった知事は、1時間にわたる批判の嵐に立ち向かうように立ち上がり一転して強気の釈明。「府民に我慢を御願いするのも政治家の使命」と持論を訴えると、感極まったのか落涙。

最後に、「福祉を切る場合もあり、削減案を白紙に戻すことはない」と、知事は当初の話と違い、自信ありげに締めくくった。

その落涙と強気の発言が交錯する知事の姿を見た首長たちは、一様に白け顔。「泣いた知事が善玉で、攻めた首長が悪者か!まるで吉本興業とおなじやな」「泣きたいのは市町村の方。泣いたら話が続けられない」と呆れた顔を返す様子が目立った。

市町村長と橋下知事との対決は今後も簡単に収まるとは思えない。知事は市町村への補助金は45億円削減だから、府下全体としてはさしたるものではと踏んでいるようだが、この認識の違いが大きな紛争の火種になることは避けられそうに無い。

補助金に依存して財政運営をしている市町村にとって、補助金は生きるか死ぬかの問題。まして施設補助や医療補助まで切られたのでは、「夕張の二の舞」にならないとは言い切れない。日々の住民生活に直結しているからだ。

PT職員は「府に合わせて歳出を見直せば、市町村も減らせる筈」とたかを括っているが、「府が止めるからといって、そうですかと従えるものではない」と府下市町の危機に無理解な若い知事に怒りをブッつける首長は多い。

財政削減の戦いは、17日から始まったばかりだが、今のままでは橋下知事が「四面楚歌」から抜け出せそうには中々なさそうだ。(了)      08.04.17

◆メイル・マガジン「頂門の一針」 1158号 平成20(2008)年4月18日(金)

「1158号」目次
・大阪府知事「四面楚歌」:毛馬一三
・自由と民主は中共の鬼門:平井修一
・宮崎正弘のチベット紀行:宮崎正弘
・クローズアップ現代の誤認識:前田正晶
・苺は聖母マリア象徴:渡部亮次郎

 話 の 福 袋
 反     響
 身 辺 雑 記

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