2009年06月26日

◆“支持政党”で揺さぶる大阪府知事



                     毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1588号(6月27日発刊)に掲載されました>
                            
「地方分権」を求めている大阪府の橋下徹知事が、「支持政党を表明する首長連合」を結成する方針を打ち出した。同連合には話題 騒然の東国原宮崎県知事も参加の意思を示している。衆院選挙を控え、地方からの自民党揺さぶり作戦に他ならない。

今回のこの橋下知事の行動は、実は第2弾。第1弾は本欄<6月6日>で筆者が書いた「自民党の尻叩く大阪府知事」に記述している。

早い話、自民党議員の勉強会で、「国直轄事業地方負担金の廃止を放置すれば、地方無視に繋がり、自公は今回の総選挙では負ける」とまで言い切って地方の勢いを誇示したのだ。「霞ヶ関」の無軌道政策を黙認しているとして、自民党にこれほどまで強烈に“喧嘩を仕掛けた知事”は、過去に無い。

案の定自民内部では、時期が時期だけにこの地方の意向に度肝を抜かれた格好だった。

橋下知事は、知事就任以来、国に対する「挑戦状」を矢継ぎ早に打ち出し、これに闘う強烈な姿勢と破天荒な発言を繰り返してきている。その「挑戦状の目玉」が、地方に無定形に負担させる国直轄事業地方負担金の廃止を柱とする「地方分権」の要求だ。

この要求の根底には、地方が最大案件としている「地方分権」を獲得するには、麻生政権の下で苦戦が予想される今回の総選挙時に、政府与党に同要求を飲ませる最高の好機だと踏んでいる、橋下知事のしたたかさが潜んでいる。

そこで、今回の第2弾となる「支持政党を表明する」首長連合とは、橋下徹知事と横浜市の中田宏市長らが24日夜東京都内で会談して決めたものだ。次期衆院選で支持政党を表明するための自治体の首長で構成する連合を立ち上げるという。

<橋下知事は会談後、「地方分権に向けて、自治体の長が覚悟を決めて立ち上がろうということになった。既存の知事会や市長会の枠組みを超え、自治体の長で連携を取って動いていく」と強調。

「態度表明の判断材料として、地方分権に絞り政党に迫る。これは闘いになる」と決意を示した。グループは数十人規模になる見通しで、どの政党を支持するかを表明するという。>(共同通信)

たしかに、地方自治体の首長にとってタブーだった国政選挙への介入に突っ走っている大阪府知事の行動に、「不況に喘ぐ大阪府を活性化させるため、緊急課題として「地方分権」を強硬に国に要求する知事の姿勢は、評価できる」というのが、地元大阪府民や府議会の意向だ。

しかも、一自治体では実現不可能な「霞ヶ関の改善要求」を全国知事会や市町村首長会と結束して、やり抜こうという橋下知事の発想と行動力には全国から注目が集まっている。

橋下知事によると、自民党から次期衆院選で立候補要請を受けた宮崎県の東国原英夫知事に対して連携を呼びかけたところ、東国原知事から「了解」という内容のメールの返事があったという。

また、松山市の中村時広市長と、神奈川県開成町の露木順一町長のほか、大阪府内の3市町村長賛同しているという。(共同通信)

だが、この「首長連合」が立ち上がるまでには、まだ課題がありそうだ。事実、橋下知事と「首長連合」結成に合意した中田横浜市長は、その後の記者会見で「選挙での支援ではなく政策の提言だ。先走ってはいけない」と説明したという。

また、連携を深めている平松大阪市長も、同「連合」参加には消極的だ。
となると、支持政党表明を目指す橋下知事の構想とは、この点では若干意見を異にする。橋下知事は、政治手法として「地方分権」要求の手段として、「支持政党を表明」して政党に恩を売らなければ、効果的な極め付きのテクニックとはならないと考えているからだ。

「支持政党」を表明する「首長連合」でなければ、自公・民主にインパクトを与えることは不可能に近く、しかもこの手法を放棄すれば、「地方分権」奪取の絶好の機会を失うことになるとしている。

したがって、こうした手法で「地方パワー」を獲得できなくなれば、この先「地方分権」要求は、萎むことになっていくと、橋下知事は苦慮している。

これから参加首長の少ない「連合」であっても、政治と絡めた「支持政党」表明方針を最後まで貫くのか、それとも、選挙での支援ではなく政策の提言する「首長連合」を立ち上げ、地方の意思を汲み取らせる組織にするのか。橋下知事は決断を迫られることになる。(了)
2009.06.26

◆本稿掲載の全国版メルマガ「頂門の一針」1588号(6月27日発刊)の
 <目次>は、下記の通りです。

・“支持政党”で揺さぶる大阪府知事:毛馬一三
・新聞が世界から消える日:宮崎正弘
・勝ち残るための外交(2):岡崎溪子
・重なる金正雲氏と蒋経国氏:古澤 襄
・キンチョーの夏がやってくる:平井修一
・白い花の咲く頃:渡部亮次郎

 話 の 福 袋
 反     響
 身 辺 雑 記

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2009年06月06日

◆自民党の尻叩く橋下知事


                  毛馬一三

■<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」の本日号に掲載されました>

大阪府の橋下知事が全国的に注目され出したのは、知事就任以来、国に対する「挑戦状」を矢継ぎ早に打ち出し、これに闘う強烈な姿勢と度肝を抜く発言を繰り返してきたからにほかならない。

早い話、「小中学力テストの学校別公開要求」から始まり、今や焦点となっている「国直轄事業地方負担金の廃止」の主張は、石原東京都知事をはじめ全国知事大半の賛同を得て、国交省を震撼させている。

今まで、大阪府は勿論全国の知事から、「霞ヶ関」に向けて公然とこれほどまでに“喧嘩を仕掛けた過去の事例”は、あまり知らない。

こんな中、なんと自民党議員に向かって「このまま総選挙に突入すれば、自民・公明は負けますよ。“ギョエー”というような案を出してほしい」と迫るビックリ発言をし、またまた波紋を呼んでいる。

これは4日、東京都内であった自民党国会議員の勉強会に相次いで招かれた席上でのこと。同知事の発言は、国直轄事業負担金廃止などの地方分権案を打ち出すよう議員に要望した際、これにかこつけたものだが、「地方を無視すると自公は総選挙には負ける」とまで言及した度胸には、胸の痞えが下りた。

知事は更に、若手議員の勉強会でも、「霞が関を変えてくれる期待は民主党にある。民主党以上に強烈なことを言わないと、国民はついてこない」と注文を付けている。

また中川秀直元幹事長や菅義偉選対副委員長らの会合でも、「民主党の『政権交代』にかなうメッセージは『霞が関解体』しかない」と語っている。 <アサヒ.コム>

要は、自民党議員から要請されて初出席した会合だっただけに、ここぞとばかり地方自治体の悲願と有権者の意向を訴え、この実現との引き換えに「カツを入れる作戦」を取ったものと思われる。

事実、橋下知事は会合の後、報道陣に「自民党は物足りない。政権与党で権限があるのだから、すごい案を出してくると期待している」と述べたという。となれば、この「渇!」は案外知事の本音だったといえる。

これには前段がある。
<橋下徹知事は、先日大阪での「地方分権の意見を交わす集会」で、「次期衆院選では霞が関の解体、再編のために一票を投じてほしい」と住民に呼びかけた。

しかも集会終了後に報道陣に対し、地方分権をめぐって民主党が「霞が関の地方支配解体」の党マニフェストをまとめ纏める見通しを念頭に置きながら、「民主党の報告書は筋の通ったもの。今後自民党や公明党も(霞が関解体を求める声に)応えないわけがない」>と、既に胸中を明らかにしていた。<産経ニュース>

知事は、「国直轄事業負担金廃止」に口火を切り、「霞ヶ関の奴隷になるのは真っ平ゴメンだ」と発言して、国民にやる気満々の知事存在を強烈にアピールした。この度肝抜く発言は、どうやら国と地方の関係を見直す国民の目線になりつつあり、迫る総選挙でも与野党の争点になることは必至だ。

だから目の前にいる自民党議員に訴えたのだ。この「渇!」は、勉強会をした自民党議員にとって、地方の「票の動向」を探る生きた情報として映った筈だ。となれば何らかの対応がなされるに違いない。

序でながら言うと、橋下知事が最初に取り組んだ、「全国学力テスト学校別公表」の教育改革の挑戦も、政府の規制改革会議の調査で4日、保護者の67・3%が「学校選択の基本情報」などの理由で公表すべきだとの考えであることが明らかとなった。同知事の訴えは、保護者から大きな支援を得たことになる。

教育委員会を対象に実施した同上調査では、まだ市区の教育委員会の86・7%、都道府県、政令指定都市の教育委員会でも65・1%が公表すべきでないと回答しているという。しかし保護者と教委の意識の差が浮き彫りとなったことにより、文科省は対応を迫られることになる。<共同通信>

橋下知事の国に対する「挑戦」は、見えてきた成果をバックにまた新たなテーマう登場させるといわれているが、過去の自治体首長と違う発想と行動力には、全国から更なる注目を集めていくことは間違いない。(了) 2009.06.05

◆メイル・マガジン「頂門の一針」1568号 平成21年6月6日(土)

<同号目次>
・自民党の尻叩く大阪府知事:毛馬一三
・チャイナビジネスNOW(番外編):平井修一
・金正日ファミリー情報:古澤 襄
・アフリカへの武器輸出が激増:宮崎正弘
・「葱」知らずで不合格:渡部亮次郎
・裁判員は「冤罪」に耐えられるのか:平井修一

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2009年06月05日

◆息子嫁が「小説宝石」新人賞

                    毛馬一三

<本稿は全国メルマガ「頂門の一針」・本日1567号に掲載されました>


本誌に「山科だより」を寄稿している渡邊好造氏から一通のメールを貰った。

「息子の嫁.・淳子が「小説宝石」の新人賞を貰いました。「小説宝石」6月号(6月1日発行)に掲載されていますから、一度見てやってください」。

子息のお嫁さんが小説を手掛けている話などは、渡邊氏から今まで一度も聞いたことが無かった。そんなお嫁さんが「小説宝石の新人賞」受賞するなんて、ビックリするではないか。 小説に手を染めている筆者も、この知らせに胸躍らせ、早速本屋で「小説 宝石」を買い求めた。

同誌表紙に「第三回小説宝石新人賞決定」と記され、お嫁さんの渡辺淳子ら2名の名前が挙がっていた。

渡辺淳子さんは、「期待の大型新人、デビュー」と紹介され、受賞作「私を悩ますもじゃもじゃ頭」が、井筒りつこさんの挿絵を添えて掲載されている。

受賞作「私を悩ますもじゃもじゃ頭」は、
<市が始めたという無料登録の「結婚相談所」を舞台に主人公・戸倉明美と見合い相手とが絡み合う物語だ。>

筋書きは筆者流に大雑把に記すと、下記のように動く。

<「結婚相談所」で紹介された「もじゃもじゃ頭」の24歳の男性と出会う。かなり太めで、恋愛対象には聊か躊躇う相手に見えるが、人柄は素朴で、好感の持てる男性だった。

いい人だが、年下だし、男性として、結婚相手として見ることができるかどうかは自信がない。明美は迷う。

そんなある日、「結婚相談所」から新たな見合いの相手を紹介されて、会う。35歳、会社員、公認会計士を目指しているという。中々の好男子。うっとりしてしまう。結婚なんてことになったら、最高かもと思う。

ところが無垢な明美にとって、この男は予想もしない食わせ者だった。

その翌日、偶然にも「もじゃもじゃ頭」から電話が来る。そこで「もじゃもじゃ頭」が勤めるクリーニング屋に行き、久し振りに再会する。初回の時と違って心が打ち解け、こんな風に落ち着いて会話したことなんて、今までにあっただろうかと思ったりする。>

物語は、このあといろいろ起伏の展開が広がるが、35歳のインテリ風の男と付き合うのか、「もじゃもじゃ頭」の年下の男と親密になりそうなのか、それとも一切見合い相手を探すのをやめてしまうのか、最終のどんでん返しの結末まで、ハラハラさせられる。
―参照「小説宝石・6月号」

筆者はドキュメント小説の作家で、渡辺さんの作風とは全く異なる。第一、時系列に合わせて正確に物語のコンテンツを組み立てる筆者に対し、渡辺さんは、自在に登場人物を操り、筋書きも多次元に展開している。

その意味では、渡辺さんのこの小説は、題材も今風で新鮮だし、文章の「あや」も巧み、リズムもよく、読者を飽きさせない。特に登場人物の会話も描写も、話の転がしも見事。是非、新人女流小説家の誕生を、購読して確かめてほしい。

話は戻る。この小説を読んだ筆者は、渡邊好造氏に読後感想をメールしたら、返事がきた。

「恐縮です。 このまま本人に転送します。嫁は息子と結婚して14年になります。漫画や絵を描いたりしているとは聞いていましたが、小説は気が付きませんでした。

メールを送信しているこのパソコンは、息子から貰ったもの。もし貰い受けてなかったら、「山科だより」を寄稿出来なかったでしょう。ありがとうございました」。

<・渡辺淳子さんの経歴―
滋賀県生れ。看護師として病院等に勤務。放送大学卒。>

(参照―「小説宝石」6月1日発行 定価780円 発行所株式会社 光文社)

◆メイル・マガジン「頂門の一針」1567号<平成21(年6月5日(金)>
■<同号の目次>            
・「金正雲とは誰か」と中央日報:古澤 襄
・ゴテまくりの邦夫を斬れ:平井修一
・55日延長でどうなる:花岡信昭
・国際水泳連盟の不可解:前田正晶
・嫁が「小説宝石」新人賞:毛馬一三

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2009年05月25日

◆新型インフル休校解除 大阪・兵庫


                    毛馬一三

新型インフルエンザ感染に伴って19日から休校措置が取られていた大阪府・市と兵庫県では、一部を除き小中高や幼稚園・保育園の休校措置が解除され、25日から授業を再開した。

筆者のマンションの各階階段の掲示板に22日午後、中学からの「登校再開」の告知用紙が張り出され、迅速な学校の対応がめだった。

再開当日の25日は7時30分頃、早朝の散歩中観察したが、小中高の学生が1週間ぶりの登校に和やかなな雰囲気の中にも、授業再開に聊か緊張の様子が伺えた。見る限りマスクをしていない小中高の学生がほとんどだった。

筆者の孫が通う中学校では、先週「中間テスト」が1日だけで休校措置がとられたため、再開の初日からは明日までの「後半・中間テスト」に臨むことになる初めての経験に遭遇した。

当中学では、長崎への修学旅行が今日25日から予定されていたが、これも新型インフルの煽りを受けて、無期延期のままだという。

<大阪府の橋下徹知事は「都市機能の回復に全力で努める」と表明。感染拡大を防ぎながらの試行錯誤が始まる。
 
16日に神戸市で高校生の国内初感染が判明して以降、両府県では高校生を中心に300人以上が感染。国の要請もあって、両府県では私立校や大学、専修学校などを含む約4400校が休校した。
 
再開は、政府の新たな国内対策で、自治体が独自に休校を判断できるようになったのを受けた措置。神戸市や兵庫県、大阪府などは22日以降、相次いで再開を決定した。

 両府県での感染は沈静化に向かっているが、学校再開で再燃する恐れもある。新たな感染者が出た場合、両府県は学級や学年単位の閉鎖で対応する構え。 感染が続く一部の学校では休校を継続。国内初感染が起きた神戸高や兵庫高(ともに神戸市)、多数の生徒が感染した関西大倉高(大阪府茨木市)などは再開を見送った>。(/05/25 08:46 共同通信>

再開後の観察には慎重さが必要ではあるが、あまりパニックにならないよう神経質にならないようにしたほうがいい。

「60歳以上の罹患率は、誤差の範囲」と知人の疫学医学博士が教えてくれたし、「頂門の一針」主宰の渡部亮次郎氏もマスクはしないと言ってているので、筆者は「手洗いと嗽」の励行に気を使うだけにして、新型インフルには神経質にならないことにしている。

60歳だけでなく、市民がそうしたほうが、 大都市大阪・神戸の都市機能は良好に維持されるはずだ。


2009年05月23日

◆ふざけた「市水道使用料金の請求」


                   毛馬一三

大阪市水道局大宮営業所から22日、自宅ドアのポストに1枚の「請求書」が投函された。銀行口座振替予定日が21年6月1日と明記された「21年5月分の水道使用料金の請求書」だった。

請求書の内訳は、使用水量が22㎥で、上水道料金と下水道使用料とを合算した3,668円となっている。

夫婦2人世帯への請求金額としては過去最高額だったので、21年1月からの請求書を取り出し、使用水量と請求金額を照合してみた。

・1月―18㎥で、2,901円
・2月―13㎥で、2,072円
・3月―14㎥で、2,237円
・4月―20㎥で、3,234円
・5月―22㎥で、3,668円
となっている。

この「請求書」を見る限り、使用水量の増減に沿って請求金額が上下していることがわかる。5月は前月より2㎥増えただけで、料金ランクが2段階アップして434円も増額している。

「そうか、5月は使用水量が増えたため、請求金額も上がったのか」と、一旦納得しかけた。そんなところに同様の疑念を感じる隣近所の住人たちが尋ねて来て、議論がはじまった。

家族人数が多少異なるにせよ、5月使用水量は同様に増えて22㎥になっており、請求金額も前月より増額しているのが共通していた。「これはおかしいではないか」という意見が交錯した。

ところが問題の「請求書」の内容を仔細に調べて行くうちに、重大な事実にブチ当たった。

「請求金額の根拠となる使用水量の点検」は、上記(1月を除く)2月〜4月までは各月の満月内に正しく行われているのに対し、何と5月の点検日だけが、前月点検日から35日経過した5月21日に実施されていたのだ。

つまりこのことから5月請求分は、超えた5日分の使用水量を5月分に加算し、請求金額を算定していることになる。5日間使用水量を延長すれば、毎日の入浴、洗濯、台所食器洗い等での使用量が、3㎥〜5㎥は増えると推定される。

だとすれば、加算された5日分の使用水量を仮に3㎥〜5㎥と設定し、その分の請求金額を差し引けば、上限で933円(使用水量17㎥の場合)、普通にみても601円位(使用水量19㎥の場合)が過剰請求されたことになる。<大阪市水道局の「水道料金・下水道使用料早見表・参照>

しかも、「請求書」は投げ込まれただけで、「5日分の加算根拠」の説明責任は果たされていない。

確かに各戸当たり1,000円以内の金額だから気が付かない人も多いと思われるが、請求書に翌月分の5日分が加算されて請求されるという馬鹿げた措置自体、民間では在り得ないことぐらい、皆承知していることだ。

おざなりなお役所仕事なのか。それにしてもかくたる「請求」は、市民を無視した行為だと、集まった人たちから一斉に不満と怒りが噴出した。

そこで大阪市水道局に問い合わせてみた。回答は下記の通りだった。

・使用水量と請求金額が5月分に5日間加算されたのは、GWの職員休暇のため、点検日が5日間遅れた分を積み上げたもの
・5日加算分は、6月請求分から減額したり、返還することはしない
・6月分の点検から、通常の1ヶ月点検に戻す
・年末・正月休暇の際も、同様に5日遅れの点検をしており、1月分には5日間の加算をおこなった(筆者―1月点検も5日間遅れている)

とした上で、
「これは市条例に基づく措置なので、現行通り実施せざるをえない。ただ、そのような申し出があれば、市議会との相談を考慮したい」と答えた。

正にふざけた話である。第一、市職員の休暇都合による点検遅滞のツケを、市民に金銭負担させるのが道理に適わない事くらい、なぜ水道局が気付かないのか。なぜ市民のために改善案を市議会に提案しないのか。理事者(水道局)が勝手に改正出来ないから市議会との相談に委ねるとは、責任回避も甚だしい。

おそらく平松市長は、このような市職員の休暇事情によって、市民に対し5日分加算された「水道使用料金」が請求されている事実などは、ご存知あるまい。

大阪市によると09年4月現在大阪市内の所帯数は129万5,641。所帯構成は筆者たちとほぼ同じ2.1人だという。

仮にこの半分の65万所帯が、上記記述平均601円の過剰加算額で機械的に徴収されることになれば、総額3億9,000万円が理不尽にも市民から巻き上げられることになる。

市財政の緊縮を進めている平松市長だが、「5日分加算の水道料金を徴収した後は、知らん顔して1ヶ月徴収を励行」するという水道局のふざけたやり方だけは、いち早く取りやめるよう水道局長に指示すべきだろう。

この大阪市の例は、意外にも全国自治体でも慣例のところが多く見られる。かく悪しき慣例の「お役所仕事」は、首長がよほどリーダーシップを発揮しなければ、残念ながら無くなりそうにない。(了)
2009.05.23





2009年05月20日

◆欣快だった福中・福高同窓会総会

                    毛馬一三

久し振りに出身高・福岡の福岡中・福岡高関西同窓会総会に出席した。筆者は昭和32年同高の9回卒で、大阪市内のホテルで開かれた同総会には、福高の前身福岡中2回卒の大先輩から福高45回卒までの会員110余人が集まった。

福岡高校は、福岡市博多区堅粕にある県立高校。大正6年の創立以来、「至誠励業・剛健成風・操守堅固」の校訓のもとに、黒田藩校を前身とする修猷館高校をライバル高として競い合っている伝統進学校として知られている。

今回の総会は、メインイベントの懇親会の趣向が凝らされ、誠に興味と感動をそそるものだった。つまり多彩な同窓生を演壇に上げて、参加者の耳目を集める工夫がされていたのだ。

まずは、世界的に有名な肖像画家・小野日佐子さん(高校22回卒)の講演で、その内容は秀逸だった。

<高校在学中に人物画の権威・津田克巳画伯に師事して人物画に制作に没頭。89年、俳優ショーン・コネリーの人物画制作を機に世界へ飛躍した。95年にはゴルバチョフ財団USA主催のフォーラムにオフィシャル・アーチストとして招かれ、その際出展したゴルバチョフ、サッチャ-―、ジョージ・ブッシュ、テッド・ターナーなどの肖像画に、主催者ゴルバチョフら参加者から絶賛を受けた。

世界の要人の肖像画制作には、日本の香りが匂い立つような作風を意識しており、そのことが世界において、ほかに無い価値や存在感を生み出すことになると思う>。

小野さんは、会場のスクリーンに映し出される自分の記録画像を背に、こう語った。<肖像写真より、肖像画の方が存在感が在る。これからもこの制作活動で人生を楽しみたいと思う>と締めくくった。

肖像画の制作で、世界の著名なリーダーと接することが出来る自体が素晴らしいことだ。

懇親会をつづいて盛り上げたのは、ミュージック・インストラクターの中林望さん(高校22回卒)が演奏するピアノに合わせて、女性ボーカル歌手が懐かしいジャズやポップスを聴かせてくれたことだった。

このあと同窓会趣味の会「コーラス部」が登壇して、総会のために練習してきたという「心の歌」と「千の風になって」の合唱を披露し、参加者全員もコーラスに合わせて合唱するという試みも、懇親会の雰囲気を盛り上げた。

結びは伝統の福高応援団の演舞、続いて小山富夫関西同窓会長(高4回卒)による「博多祝い歌」と博多一本締め。こうして3時間に及ぶ総会は終了した。

ところで、筆者にとって今回の総会での特記すべきことは、「関西福中・福高同窓会のホームページ」のリニュアールに携わってくれるよう要請を受けたことだった。

実は、同窓会のホームページと筆者主宰のメルマガ「ネットメディアおおさか」をリンクさせたのがきっかけで、同メルマガを見た杉原行幸副会長(高4回卒)が「寄稿者の卓見が面白いうえ、その日のニュースが読める素敵なメルマガですね」と言われた上で、「同窓会のホームページ」のリニュアールに協力を求められたのだ。

出席していた同じ9回卒の畏友たちも勧めるので、総会終了後、会長、副会長、制作担当者(高28回卒)、広報担当副会長(高20回卒)と懇談、その席上、正副会長から正式に要請された。

どうやら、現行のホームページは有効な情報発信機能を発揮しているものの、制作担当者が現職と兼務しているため、なかなか情報収集や更新作業に手が回らず苦労していることが、筆者への要請の理由のようだった。

筆者も仕事を抱えており、その要請にどれだけ応えられるかは不明ではあつたが、正副会長の熱意を感じ、「メディア世界の経験者として、同窓会の発展と会員同士の意思疎通の活性に少しでも役立つのなら、人肌脱ぎましょう」と申し出を快諾した。

制作担当者が、「現ホームページに拘らず、一から構築した方がリニュアールは速いと思います」と助言してくれたことが印象に残った。

とにかく、筆者の親しいIT専門技術者に相談して、リニュア-―ルのコンテンツを急ぎ作ろうと思っている。

思いがけない事態に発展した同窓会総会になったが、これによって母校への懐かしさと博多への郷愁感を増幅させる一方で、関西に在住する同窓生同士の生き様や培った経験や知識の情報交換、趣味の会の案内、次世代後輩へのメッセージなどを掲載してみたい。

そうすることが、同窓会にいきいきとした交流やIT文化の創生に繋がれば、これに優る喜びは無い。(了)2009.05.19


2009年05月14日

◆白内障手術のすすめ

                 毛馬一三

<本稿は、全国版メイル・マガジン「頂門の一針」5月15日・1547号に
掲載されました>

白内障(はくないしょう・cataract)とは、目の疾患の一つ。白内障水晶体が灰白色や茶褐色に濁り、物が翳んだり、ぼやけて見えたりするようになる。以前は「白底翳」(しろそこひ)と呼ばれていたものだ。

筆者が、大阪市立総合医療センター眼科で白内障の手術を受けたのが、08年12月16日。以来5ヶ月間、手術をした担当医(松川みう医師)から術後の経過検査を4回受けた。

その結果、09年5月12日の診察で同担当医から「手術経過は順調で、これ以上の経過診察の必要なし」と診断され、白内障手術に伴う「経過診察の終了」を告げられた。

にこやかな表情の同担当医から「白内障手術成功」を告げられた時、歓喜が全身を走り抜けた。しかも視力は、術前右眼が0.4、左眼が0.2だったのが、最終診察の時点で、右眼は1.2、左眼は1.5になっているという。眼科医術の進歩に感動した。

60年ほど前だが、50余歳を超えた父が「白底翳」(しろそこひ)で眼科に飛び込んだ時同行したことがあるが、これは老化すれば誰でも患う病だと眼科医にいわれ、何の施しも受けなかったことを、今でも思い出す。それが今となれば手術によって、青年時代の視力を回復出来るのだから、感動以外の何ものでもない。

とは云え経過診察の5ヶ月間、全く不安が無かったのかと言われれば嘘になる。主治医が手術前の患者面談で述べた下記の事項について、終始気になっていた。

・手術では、濁った水晶体を、水晶体を包む袋(水晶体後嚢)を残して取り除き、代わりに眼内レンズを挿入するが、術後、通常は発生しない事態が起こることもある。
・たとえば、稀に病原体の眼内感染症により、視力障害が起こることがある(0.05%)。また眼底からの激しい出血(駆逐性出血)による重大な視力障害が起きることがある。
・緑内障や糖尿病、眼底動脈瘤などの持病のある人が手術すると合併症などの障害が起こる場合がある。
・目に違和感を覚えることがある。
などだった。

術後の経過検査の度に、角膜の炎症を抑え、角膜の乾燥を防ぐ「ヒアレイン点眼液0.1%5mL」と、細菌を殺し、感染を起こしている炎症を抑える「クラビット点眼液0.5%」の目薬を貰い、毎日3回点した。

ところが、この途中に目の中がゴロゴロしだし、あるときは軽い痒みに襲われたため、術後の異常ではないかと思い、急患で診察を受けた。しかしこれは手術経過とは無関係で、擦りによる角膜の少々の傷とアレルギー症の関与だと判り、事なきを得た。

白内障手術を終えた直後に、本誌(08年12月26日 1406号)に「白内障手術の素晴らしさ」掲載しているが、術後5ヶ月間の経過検査を受けた末、主治医から“放免”を言い渡された今になって、あらためて「白内障手術」に感謝したい気持ちだ。

この春は、大阪の大川(旧淀川)河畔の桜並木で、蕾の膨らみから満開にいたる花びらの移ろいを、何十年振りに心ゆくまで楽しませてもらった。今まで全く見えなかった夜空に輝く星座も、遠くに聳える六甲山系(神戸)や生駒山系(奈良)も、鮮やかに目に飛び込んでくる。

今まで、難渋した読書も物書きにも勇躍対応出来るようになったし、高速道路の標識も遠くから識別出来るようになって事故の心配も薄らいだ。とりわけ往きすがりの人をいち早く見分けて欠礼を防げるようになったのは大きな生活の糧だった。

そんな中、筆者の本誌寄稿を読んで、思い切って「白内障手術」にトライしたという6人の仲間からメールを貰った。筆者は、本誌主宰渡部亮次郎氏の励ましで手術に立ち向かったのだが、6人の仲間のいずれもが身近な筆者の体験に心を動かされて飛び込んだのだそうだ。6人とも、術後は快適だという。

白内障手術が支障なく終われば、世の中は一変する。白内障に罹る高齢者にとっては、新しい生き甲斐と感動を覚えることは間違いない。是非、「素晴らしい白内障手術」をお勧めしたい。

幸い筆者には、糖尿病も緑内障もなく、それが「白内障手術」の成功に繋がったことも確かだと、主治医も認めている。

ところが本誌寄稿者の畏友は「白内障手術」予定日直前に「網膜細動脈瘤」が見つかり、取りあえず様子を見ることになったと聞いた。どうか「白内障手術」を受ける際は、専門医と相談し、持病との合併症の可能性や、眼底検査など事前精密検査を受けられることをお勧めしたい。(了)2009.05.13

参考―フリー百科事典ウィキペディア 

■本稿が掲載された全国版メイル・マガジン「頂門の一針」1547号(5月15日)の<目次>は下記の通り。

・岡田代表は千載一遇の好機:古澤 襄
・小澤一郎の勘違い:渡部亮次郎
・西松の25億円は誰の手に:平井修一
・領土問題1ミリも譲るな:櫻井よしこ
・白内障手術のすすめ:毛馬一三

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2009年05月13日

◆「NHKを正す会」へご支援を!

「ネットメディア大阪」愛読者各位

「NHKを正す会」へご支援を!

☆署名サイト↓で、NHKにNOを突きつけて下さい!

http://www.shomei.tv/project-1030.html

NHKが平成21年(2009)4月5日に放送したNHKスペシャル シリーズJAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』のあまりにも偏向した内容に驚愕したNHK記者OB2人と同憂の士が語らい、NHKを公共放送の本道に引き戻したいと願って「NHKを正す会」のサイトを創設いたしました。

NHKに対し良識ある国民の思いを突きつけるため「署名サイト」へのリンクも用意しました。NHKが私たちの批判に誠実に対応しない場合は受信料の支払いを停止する計画であり、ご賛同いただける場合は「署名サイト」でぜひともNHKへ「NO!」を突きつけていただきたく、お願い申し上げます。

http://www.shomei.tv/project-1030.html

1-上記をクリックすると署名TVと言うサイトに行きます

2-少し下までスクロールしてください。

3-「このプロジェクトに署名する」画像になりましたか?

4-そこで「今すぐ署名する」をクリックします。

5-「NHKを正す会」へ署名しますと言う画面が現れます

6-お名前は実名でもハンドルネームでも構いません。

7-匿名をクリックすれば名前は匿名で表示されます。

8-メールアドレスは正しく入力して下さい。確認メールが来ます。

9-年齢は受信料を払っているという証ですので、正しくお願いします。

10-性別も入力をお願いします。

11-職業は任意です。

12-郵便番号も任意ですが、都道府県は入力をお願いします。

13-市区町村・番地は任意です

14-コメント欄には口座振替、継続振込、クレジットカード継続払、支払コース(2か月払、6か月前払、12か月前払)などを書き込んでいただきますとNHKに対しての圧力が増しますのでお手数ですが、よろしくお願いいたします。

「NHKを正す会」有志一同
http://nhk-tadasukai.iza.ne.jp/blog/

2009年05月06日

◆絶滅?大阪淀川のイタセンパラ・反響欄も

毛馬一三

薫風溢れる五月晴れの5日の朝、久し振りに大阪淀川河畔を自転車で駆けてみた。大阪都島区の住居近くに、淀川と同河川敷の緑とが融合する広大な自然が在るのは、住民にとりこれに勝る幸せはない。

5年半前まで13年間毎日愛犬シベリアンハスキー犬を連れて走ったこの淀川河川敷。勢い良く流れる淀川の川面と河川敷一面を覆う緑の風景は今も変わらず、心を躍らせられる。川沿いのコンクリート道路を20分ほど疾駆すると「城北ワンド」に着いた。

当時からここを必ず訪ねるようになったのは、国の天然記念物の淡水魚「イタセンパラ」が同ワンドに棲息していることを知ったからだ。お蔭でワンド周辺の佇まいにひときわ親しみを感じるようになった。しかも「イタセンパラ」が、淀川水系以外に富山平野、濃尾平野だけしかいないことがわかると、尚更興味を掻き立てられた。

そのイタセンパラは、全長7-8 cm、最大で12 cm以上。タナゴ類としては比較的大型。体形は著しく左右に扁平で体高比1.9-2.3と体高が高く、オスメス間の体格差はあまりない。寿命は1〜2年。95年に「種の保存法」の国内希少野生動植物種に指定されている。

だが、愛犬が5年半前に逝ってから自転車散策が途絶えたことで、「城北ワンド」とはご無沙汰して仕舞い、不覚にも「イタセンパラ」の認識は薄らいでいた。

ところが何と、国土交通省近畿地方整備局が行った淀川水系の「イタセンパラ」稚魚の調査で、同水系の「イタセンパラ」の稚魚は05年には約500匹が確認されているが、06年から3年連続で1匹も確認できていないことが分かったのだ。

原因を調べて見ると、淀川には70年代、イタセンパラが生息する「天然ワンド」少なくとも100以上あったが、無計画な河川改修でほとんどが消滅。

その後、人工ワンドが造成されたが、83年に淀川河口から10キロ付近の淀川大堰(おおぜき)が稼働したため、環境が大きく変わったのが起因しているといわれる。

絶滅の原因は他にもある。都市化にともなう生活・工業排水による水質汚濁や河川用水路への農薬流出といった要因も重なった。

中でも淀川大堰(おおぜき)の影響で、平時水位が50 cm上昇して、イタセンパラの産卵に欠かせない二枚貝類の繁殖に重要な水深30 cm以下の浅瀬が1/4に減少し、生息が圧迫された。

代わってブルーギルなど外来魚が繁殖し、それら外来魚が減少するイタセンパラを食べて仕舞うという皮肉な結果になったという。

話は戻るが、今回の自転車散策の途中、ワンドに向かって釣りをしている何組かの釣り人に出会った。釣りをしている川面は、5年半前より腐った水草が浮遊して汚れ、ペットボトル・空き缶・玩具・下着などが溜まって、以前の優雅さは失せていた。

そのひと組に「何が釣れますか?」と訪ねたら「鮒や鯉がたまにかかります。でも釣り糸を垂らすだけの日が多いですわ」とのことだった。「川面が昔より汚くなったようですね」と切り出すと、「去年は一度もこの周辺の掃除をしてませんからね」。

国土交通省近畿地方整備局河川事務所では、天然記念物イタセンパラについて、「絶滅とは言い切れないが、極めて危険な状態」と 危機感を抱いているのは確か。

しかも「3年連続で1匹も確認できていなかった先の事態が、09年調査で再び繰り返されれば大変なことになる」として、同局河川事務所にこの4月、学識経験者など10名による「専門家会議」を立ち上げ、5月1日に2回目の会合を開いている。

・08年夏からイタセンパラが産卵できるよう始めたイシガイの放流成果はどうか
・外来魚の駆除徹底をどう進めるか
・疑問視される淀川大堰操作の効果を再考できないか。
・影響を受けない枚方市楠葉地区のワンドで産卵環境を整備する事は可能か

などを検討し、9月〜11月の繁殖期を観察しながら結論を出すそうだ。

こうした中で、民間団体の動きも活発になっている。「琵琶湖を戻す会」(高田昌彦代表)は「待ったなしの緊急事態。1匹でも多く外来魚を駆除しなければ復活はあり得ない」と協力を呼びかけている。

ところが、天然記念物「イタセンパラ」の棲息に関与する自治体が、同記念物の復活を国に任せ切りにして、一向に熱を入れない現実に、極め付きの問題がある。

「イタセンパラ」の復活をめざす「城北ワンド」(旭区)が大阪市にある限り、大阪市が復活運動の先頭に立つことは論を待たない。

74年6月、イタセンパラが文化庁から文化財保護法に基づき国の天然記念物に指定、淀川のワンド群が最大生息地とされたのだが、この記念すべき事実に大阪市は目を外らせている。

しかも行政と保護団体が連携し、環境保全活動や人工ワンド建設などの保護増殖策も実施しなければならない同法の義務も履行せず、これを軽んじていると批判されても、大阪市には抗弁でき無い。

処が、大阪市水道局の水道記念会館でイタセンパラを人工的に孵化させることに成功し保育しているが、この画期的実績を多くの市民には知らされていない。大阪府の水生生物センターでも同様に孵化に成功しているそうだ。

ということは、大阪市がイタセンパラの復活に向けて、本気で国に協力する意思があれば、明日にでも手を打てる筈なのだ。

国松市長は、市民が誇りとする「大阪文化」の育成と堅持に取り組む市政運営に、もっと関心と手配りをすべきではないないか。残念で仕方がない。(完)  09.05.05

参考―フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』・毎日新聞

<■本稿は、渡部亮次郎氏主宰・全国版メルマガ「頂門の一針」(5月7日(木)1538号)に掲載されました。同誌(購読無料)は
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<■反響 <渡邊好造氏より>  09.05.06
イタセンパラ、いいですねー。懐かしいですー。

淀川は汚くなったのですね。最近は、電車の窓からしかみたことがありませんでした。一度、川原に下りてみたいものです。

大の釣り好きですが、食べない魚はとりません。イタセンパラは、滋賀県博物館で何回も見ました。淡水魚に関してはこの博物館は日本一でしょう。

これから8月まで、滋賀県野洲川の子鮎・投網漁を楽しみにしています。この川の下流は県の公園で無料ですが、地元の人しか知りません。

ただ、上流で農業用に止水しますので大雨が降り水量が多くないと、子鮎はとれません。我が家から30キロ、約1時間かかるので空振りにならないよう雨と気温とのにらめっこがこれから続きます。

琵琶湖の子鮎は12センチ位にしか育ちませんが、全国の他の川に放流すると友釣りできるまでに大きくなるようです。

エンジン付きのゴムボートで海釣りにもよくいきましたが、重たくて車に積めなくなり、2級ボートの免許証が無駄になりました。ではまた、、、。








2009年04月16日

◆蕪村生誕の大阪に「顕彰公園」

                  毛馬一三

芭蕉や一茶と並んで江戸俳諧を代表する俳人与謝蕪村の「顕彰公園」が、蕪村生誕の地・大阪市都島にこのほど完成した。筆者が本誌(2006年3月9日)にこの建設構想を寄稿してから3年が経つ。

大川(旧淀川)河畔の毛馬橋東詰め北側に造成された1.1ヘクタールの新公園内には、蕪村自筆の13句を刻んだ石碑や広々とした石畳、コンクリートづくりの休憩所、芝生や樹木に囲まれた広場などが設えてある。

特に公園入り口の鉄柵には、蕪村自作の「春風馬堤曲」の写しや自画像8枚のパネルなどを飾り、出奔後、生涯帰省することのなかった生誕地への郷愁の強さを示すことで、蕪村が大阪と繋がりの深い俳聖であることを説明している。

ところが3年前の新公園の設計段階では、公園の一隅に「東屋」を建て、ここに大阪に皆無に等しい蕪村資料を収集展示すると共に、俳句愛好家の発句例会の場所にする計画だった。だが完成した公園にはその「東屋」の姿はない。

だからその「東屋」で「春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな」「なの花や月は東に日は西に」など、蕪村自筆の名句に直に接しながら、地元輩出の蕪村に誇りを感じつつ、発句例会を定期的に開催したいと願う俳諧同好会の人たちの夢も消えた。

早い話、江戸文化の俳諧の世界に浸る文化施設のイメージとはかけ離れ、むしろ石碑を鏤めて見栄えだけを強調し、石畳の中の憩いの場で一息入れるだけの、典型的な都市型公園になってしまった感は拭えない。

つまり俳聖の顕彰公園であればこそ、17字の使い回しに苦吟しながら発句する、古風な屋根付の空間がどうして設営されなかったのだろうか。俳諧文化顕彰を兼ねた新公園から「東屋」計画が失われたことには、失望を禁じ得ない。

さて、前にも触れたが、俳人与謝蕪村は、享保元年(1716)摂津国東成郡毛馬村(現都島区毛馬町)に生まれた。家は裕福な農家だったが、幼少の頃両親を亡くした事で心身に苦難の日々を送ことになり、20歳の時意を決して出奔、江戸へ出た。

江戸では、早野巴人の弟子として俳諧を学び、師が没した26歳の時から芭蕉の世界を慕って奧羽を放浪。宝暦元年(1751)36歳で京に上って俳諧に勤しむ一方、南宋画家として池大雅と並ぶ名声を得るまでに至る。

天明3年12月25日(1783)、京で68歳の生涯を閉じたが、出奔してからは故郷毛馬村には帰っていない。

だから生誕地への想いは強かったようで、62歳になった時発表した「春風馬堤曲」中で、「淀川をわたり毛馬の堤を通り過ぎる時、薮入りの少女に出会う」というフィクションを綴っている。生誕地への郷愁を同地を訪れる少女に託した筋書きで、「薮入りの寝るやひとりの親の側(そば)」と句を残している。

蕪村の郷愁はそれほど強かったのに、大阪人はずっと無関心。いまだに大阪には蕪村に関する伝承文献は殆ど無く、生誕地に関する資料すら皆無。ましてや京都や東京の収集家などから資料を集める努力もせず、結果的にこれが大阪での「蕪村資料館」不在の原因に結びついているといっていい。

だとすれば今回2億5000万円もつぎ込んで「蕪村公園」を造営した機会に、当初の計画通り「東屋」を作り、「蕪村資料館」と兼務運営させることで、過去の文化行政欠落を猛省し、以後大阪文化の継承に果敢に挑む意欲を示すべきだったのではないか。

大阪市は「蕪村公園」の完成日時を4月1日だしているが、その完成の事実と日時を公表しておらず、オープンセレモニーも全く行っていない。勿論市のホームページにもそのことを掲載していない。

平松市長は、新設した「与謝蕪村顕彰公園」で地元住民の他、俳諧同好会の人々を集めて改めて同公園オープンセレモニーを開催すべきであろう。

「蕪村顕彰公園」の完成が、小中学生の国語・歴史教育に役立つことは言うまでも無く、蕪村俳諧に魅せられた全国の蕪村ファンを招く集客にも繋げられると思われるのだが。
(了)2009.04.16

■本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1515号(09年4月16日)に掲載されました。

<1515号目次>
・小沢一郎のルーツ:渡部亮次郎
・スイスの秘密口座から2兆円脱出:宮崎正弘
・蕪村生誕の大阪に「顕彰公園」:毛馬一三
・プーチン親分、お土産は?:平井修一
・緒方ありせば:古澤 襄

・話 の 耳 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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2009年04月09日

◆「黄砂アレルギー」にご注意

                  毛馬一三

喉に違和感を覚えるようになったのが3月中旬の頃。花粉症歴の無い筆者にとっては、軽い風邪症状の一種かなと思って余り気にも止めていなかった。ところがとんでもない。次第に喉の違和感が痛みを伴うようになり、咳も痰も出るようになった。

しかし発熱は無いので、夜の仲間の会合に参加し3時間ほど懇談したところ、なんと就寝直前から声が嗄れ出し、喉の痛みも増してきた。

そこで3月25日、慌てて近くの内科診療所に飛び込んだ。内科医は喉の症状を見た途端、「炎症がひどいですね」という。「原因は?」と訊いたら、「飛来してくる黄砂の黴によるものと思われます。花粉症ではありません」と教えてくれた。

同医師によると、黄砂によるいろんな健康被害で訪れる患者が、いま急増しているという。同医院から、

・抗生物質―フロモックス錠100mg(毎食後1錠・3日間分)
・咳を鎮める薬―メジコン錠15mg(毎食後2錠・7日分)
・痰や膿を薄めて、痰や鼻汁を出しやすくする薬―ムコダイン錠500mg(毎食後1錠・7日分)
・胃薬―セルベックスカプセル50mg(毎食後1カプセル・7日分)の薬を貰った。

だが、マスクを付けて外出を余儀なくさせられた1週間が過ぎても喉の炎症と咳、痰共に治まる気配が無い。再診の結果、まだ喉の炎症は完治してないと診断され、改めて下記の薬を貰った。
・咳を鎮める薬―メジコン錠15mg(毎食後2錠・7日分)
・痰や膿を薄めて、出しやすくする薬―クリアナール錠200mg(毎食後1錠・7日間分)
・炎症を抑えて腫れや痛みを和らげる薬―ダーゼン5mg錠(毎食後1錠・7日分)
・SPトローチ0.2mg(28錠・1日4回)
・アズノールうがい液4%(5ml・1日4回)

2度目の薬を飲んだり、うがいを励行して更に1週間が経過した4月7日になって、ようやく喉の痛みや違和感がなくなり、咳と痰も出なくなった。

喉にこのような強度な症状が出たのは初めてのことだ。しかも気にはなっていた飛来の黄砂が原因だとわかって、大気汚染による黴を含んだ黄砂を発生させる中国に無性に腹が立った。

話は後先になったが、<黄砂(こうさ)とは、中国を中心とした東アジア内陸部の砂漠または乾燥地域の砂塵が、強風を伴う砂嵐などによって上空に巻き上げられ、春を中心に東アジアなどの広範囲に飛来し、地上に降り注ぐ気象現象。あるいは、この現象を起こす砂自体のこと>である。
細かい砂の粒子や、粒子に付着した物質、黄砂とともに飛来する化学物質などにより、さまざまな健康被害が生じる。

即ち、咳、痰、喘息、鼻水、痒みといった呼吸器官への被害や、目や耳への被害が目立つ。黄砂が多い日には、花粉症、喘息、アトピーなどのアレルギー疾患の悪化が見られる。>という。 参考―フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

花粉症で悩まされるだけでなく、黄砂アレルギーで健康被害を煩わされるのでは、堪ったものではない。ところが肝腎の黄砂による呼吸器官への被害が、今年から俄に増えていることはあまり知られていないようだ。

黄砂の飛来が顕著な九州では既にこの被害が問題化しつつあるようだが、関西は勿論、全国に広がるのも時間の問題ではないか。もし喉などに異常を感じたら、医療機関の診察を早めに受けられることをお勧めしたい。(了)     2009.04.08

■主宰者よりー本稿は、全国誌メルマガ「頂門の一針」1508号(平成21年4月9日・木)に掲載されました。ご案内と共に同誌に掲載されたその他の著名寄稿者の卓見もご拝読下さい。

■<1508号目次>

・テポドンよ何処に: MoMotarou
・全世界で500兆円は張りぼて?:宮崎正弘
・明晰過ぎた宮澤喜一:渡部亮次郎
・「黄砂アレルギー」にご注意:毛馬一三
・円相場が100円に逆戻り:前田正晶
・お江戸のぶらり散策(6):平井修一

・話 の 耳 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

■御意見・御感想は:ryochan@polka.plala.or.jp

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2009年03月24日

◆大阪「新都心移転構想」の挫折

毛馬一三

大阪府の橋下徹知事が政治生命を賭けると称して2月定例大阪府府議会に提案していた「府庁舎を大阪南港のWTC(ワールドトレードセンタービルディング)に移転する条例改正案」が、3月24日未明の本会議で否決された。

焦点の「WTC移転のための条例改正案」の採決は、出席議員112名が無記名投票の結果 、賛成 46 反対65 無効1で、賛成が可決に必要な3分の2(75名)にも達せず、否決された。

さらに同条例案に伴う「ビル購入費103億円を盛り込んだ補正予算案」も、議長を除く111名の無記名投票の結果、賛成 40 反対69 白票2で、賛成が過半数にも至らず否決された。この結果、橋下知事の大阪の「新都市創生構想」は、もろくも頓挫してしまった。

筆者は、橋下知事が目指す同構想の実現に困難性が多いことを指摘した「大阪府の新都心構想は頓挫?」を、3月9日の<全国メルマガ「頂門の一針」1469号>に寄稿した。その後府議会ではかなりの曲折はあったものの、やはり当時の読み通りの結果に終わった。
<記事内容― http://www.melma.com/backnumber_108241

つまり大阪府の橋下知事が「関西再生の起爆剤」と位置づけていたWTCに府庁舎を移転し、大阪湾ベイアリアに新都心を設けて一大関西都市圏を創生したい「知事の夢」は、消えた訳だ。

知事は、記者団に「完全燃焼、悔いはない。僕の感覚が(府民感覚と)ずれていた」と心境を沈痛に語り、条例改正案と補正予算案共に、賛成が過半数にも達せず否決された想定外の事態に驚きと自戒を吐露した。

その上で知事は、「(大阪の変化を)止めないようにするのが僕の役割」と語り、府政改革には引き続き挑戦する決意を追加することを忘れなかった。
ところが各メディアは一斉に、「橋下知事は今回大きな痛手を受け、府政運営に影響が出るのは確実」と悲観的な見方を下した。

しかし、これらの論評は的を射ているとは思えない。

何故なら1年目を迎えた橋下知事は、過去の知事経験者とは全く異なる政治判断と、したたかな計算に基づいて府政運営に立ち向かっている。その一つが、国が認めないことを承知の上で喧嘩をしかけ、府民をふくめた世論を喚起しながら、事の成就を目指すという手法で幾つもの実績を上げている。

道路整備やダム建設など国直轄事業への地方負担金の支払い拒否をはじめ、独立行政機関の教育委員会を揺さぶって児童・生徒の学力テスト公開を迫り、全国の地方自治体を先導する役割を果たしてきている。今や国に対し地方分権を唱える急先鋒の旗手となっていることも事実。

ところが今回の「WTC移転構想」が挫折した背景には、知事が不覚にも気が付かなかった幾つかの事由があったと府議会関係者・専門家らは指摘する。

i)大阪市が破綻させたWTCに府庁舎を移転させることで、大阪府が大阪市代わってベイエリアの開発・再生を進めることは不合理で、かつ経済発展を図るという「都市整備構想」の説明が不十分
i)WTC建物の耐震強度、WTC周辺の湾岸埋立地の安全性についての説明が欠如
i)売買双方(大阪市・大阪府)がWTCの売買価格について異例の共同鑑定を行い、大阪府が買い易いように仕組んだのは、紛れもない“出来レース”?
i)WTCへの移転による経済効果を7,802億円としたのは、現実性と合理性に乏しい

つまりこうした疑問や反発の噴出に対して、十分な説明を関係者に行わず、移転構想そのものを独自に先行させ過ぎたのは、関係者軽視の「拙速」そのものであり、これが知事案を否決する主因になったとされる。

さらに、「否決」という最悪の事態を招いたのは、知事支持の世論を背景に府議会各会派を味方につけることはさほど難しいことではないという、直截な考えに知事自身が支配されていた気配が濃厚なこともある。早い話、議会との折衝不足が災いした結果を意味する。

しかし、このことに早くも知事は気づき、議会対応の重要性を側近に漏らし、今後の府政運営は、世論形成とともに府議会との折衝に重点を置く必要性の意思を伝えたといわれる。

こうした事態の改善に乗り出す決意を知事が固めた以上、今後の府政運営が今回の「否決」のシコリを引き摺ったまま、困難に直面するとは考え難い。

一方、知事が議会重視に転換すれば、議会は知事の考えに真摯に耳を貸すことは吝かではないと、複数会派の幹部が漏らすこともそれを裏付ける。
各メディアが「知事は府政運営の困難に直面する」という論評が的外れなのは、こうした理由からだ。


橋下知事は、新しい視点に立った「関西再生の奇抜構想」を準備中との情報もある。知事が例え政治生命を懸けたWTC府庁舎移転構想を頓挫させたとしても、近々これに代わる新たな「関西再生プロジェクト」を打ち上げる可能性は高い。(完)2009.03.24

■<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1489号
平成21年3月25日(水)「夕刊」に掲載されました>。

<同号 目次>
・小沢氏、代表続投の意味:花岡信昭
・大阪「新都心移転構想」の挫折:毛馬一三
・中国の通貨覇権の野心:宮崎正弘
・北朝鮮に強い圧力が必要:櫻井よしこ
・心臓移植患者の9割が生存:石岡荘十

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
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2009年03月09日

◆大阪府「新都心移転構想」は頓挫?

毛馬一三

大阪府の橋下徹知事が、就任2年目を迎えて初の苦境に直面している。

橋下知事が、政治生命を賭けて取り組むとまで宣言して2月定例大阪府議会に提案した「府庁舎移転条例改正案」が、議会各会派の強い反発を受け議決される見通しが立たなくなってきたからだ。

府庁舎移転条例改正案とは、大阪南港にある大阪市の第3セクター・WTC(大阪ワールドトレードセンタービルディング・高さ256.0m、階数55階・地下3階、延べ面積150.000uの日本第3位の超高層ビル)を、大阪市から買取り、そこに大阪府庁舎を移転するというもの。

この超高層ビルへの移転により、周辺のベイエリアを行政機能と絡ませて「人、モノ、情報が行き交う関西のビジネス交流戦略拠点」とすると共に、ベイエリアをアジアの一大物流拠点とする国の事業とも連動させながら、「新都心」創造を目指していくというのが主軸だ。

この移転構想に関連し、大阪府はこの移転が実現すると、経済波及効果は7,802億円になるという、府関連研究所の試算を既に明らかにしている。

橋下知事は、この条例改正案とともに、WTCの購入費として約103億円を盛り込んだ補正予算案も提出した。これについて橋下知事は、冒頭の府政方針演説で、「この移転構想こそが大阪から時代を動かすことの象徴」と強調、併せて「この一点(WTC移転)が崩れると、すべてが崩れる」と訴えた。

ところが府議会各会派は、同移転案は「ことごとく破綻し、大阪市が撤回したはずの臨海部開発計画の“焼き直し“に過ぎない」と一斉に反発。更にはベイエリアに新都市機能を創生し、大阪経済を活性化させる肝腎なビジョンが欠落、安全性・経済波及効果もズサンだとして、移転には同意できないとの空気が急速に高まっている。

一方、まちづくり、防災などの専門家からも、疑問の意見が相次いでいる。
<問題なのは、府市が共同で発表した都市構想案が非常に時代遅れなことだ。この構想案を読むと、関西空港の時とほとんど同じように、移転すれば周りにコンベンション施設ができるとか、情報発信できるとなどとしているが、そんなこと全く関係ない。

都市構想は本来、時間をかけて、今の大阪に何が欠けていて、大阪を何で再生させていくのかを分析して、そのために何が必要かを考えないといけない。そこから物事を考えないと、時代遅れそのものだ>。(まちづくりプランナー・高田昇さん)

また防災についても、<WTCのある人工島が大規模災害時には陸の孤島になる」とした上で、防災上は長所より欠点の方が多いので移転は止めるべきだと指摘する>。(京都大防災研究所河田恵昭教授)

時期は前後するが、過去犬猿の間柄だった府知事と市長が、民間出身同士で親密になったことから、両者間で異例の共同鑑定を行い、売買価格の調整をしたことが明らかになったことで、常識では考えられない「出来レース」だと批判があったことも、議会開会と共に改めて批判の俎上に上った。

更に、ここに来て新たな火種が芽生えた。平松大阪市長が5日の記者会見で、「府議会が今議会で結論を出さなければ、3月末を超えて府との協議が続くことはない。WTC売却は白紙にする」と発言したのだ。

これには府議会各会派は面白くない。本来大阪ベイエリアの整備と、周辺の都市整備は政令都市の大阪市に課せられた責務であって、大阪府議会にその帰趨と責任を委ねるのは筋違いも甚だしいという反発だ。知事与党会派の幹部は、こう反論する。

<WTCへの移転構想は、本来、大阪市が都市構想などを明確にし、その上で大阪府に庁舎移転を持ちかけてくるのが筋だ。市長は何か勘違いしているのではないか。橋下知事自身が大阪市に、早く結論を出さなければ打ち切るというのなら話は通るが、話が逆転している>
と、府議会に責任を負わせる市長発言を痛烈に批判する。

<大阪市がやらないなら大阪府がやろう、大阪府が大阪市に取って代わるとかいうことではなく、大阪市が主導的役割を果たしながら、大阪府が後押しをする。これが出来てこそ、知事の言う「歴史上かつてない新たな関係」が生まれるのではないか>
と、同与党幹部は、在るべき大阪府の立場を強調する。

いずれにしても、WTC移転による「新都心構想」に対する府議会各会派の反対の姿勢が収まる気配は無い。この条例改正案を議決するには112の定数の3分の2の賛成が必要だが、議会関係者によると、賛成は多く見ても50人前後。3分の2には満たない情勢だ。

となると橋下知事の悲願は、余程の変化が無い限り、頓挫するという公算が強まっている。

つまり移転案が議決されないと、府がWTCビルを買い取ることができなくなる。そうなれば、大阪市のシミュレーションでは、WTCはこの9月に2次破綻を迎えることは変わらない。(了)2009.03.09