2017年09月18日

◆残業と超過勤務手当は

前田 正晶



残業と超過勤務手当は我が国の企業社会の独特の文化ではないか

電通に始まって、一時(イットキ)は残業に対する議論がマスコミでは百
出どころか万出だったかのような気配があった。ある地位というか身分が
上がるまでは残業代が付くのは我が国ならではの制度だと、アメリカの会
社の移って初めて知った。

そこには年功序列制に加えて、外部からも当人にも良く解らない査定が
あって、何時の間にか同期入社の者との間に差が付いていく制度が絡まる
のが不思議に思えてきた。

ご存知の方もあると思うが、アメリカの制度では基本的に本俸(年俸)一
本だけであり、我が国のような諸手当や管理職手当などない。解りやすい
ように極端な表現をすれば、本社機構だろうと何だろうと、中途で入社す
る際に、直轄の上司と話し合って合意した年俸しか貰えないのだと思って
頂いて良いだろう。

更に言えば、給与に関係するような遅刻も早退のような制度もないが、有
給休暇(paid holiday)は貰えるはずだ。

即ち、与えられた「職務内容記述書」を達成する為には、朝6時に出社し
て夜は21時までオフィスにいてもそれは各人の勝手であるということだ。
それでも追い付かなければ土・日に出勤するのも、各人の自由意志である。

極言すれば「週5日勤務では仕事を裁ききれない無能力者は週末を犠牲に
せよ」ということ。逆に「週末と家族を犠牲にしても与えられた職務以上
の成果を挙げたい者」は1年365日働き続けることを厭わないのである。

ここで看過できないことは「アメリカ式では仕事は全て個人に割り当てら
れていて、皆で分け合った負担することではない」点である。

では、一方の我が国ではどうなっているかなどを、ここで私が説明する必
要などあるまい。かく申す私も日本の会社にお世話になっていた頃には残
業はしていた。今となっては、その理由や必要性が何であったかの記憶は
全くない。

だが、私個人に割り当てられたその日の仕事をやり遂げられなかったから
残っていたとは思えない要素もあったのだ。新入社員の頃は恐らく不慣れ
で仕事を消化しきれずに残っていたのかと思うだけだ。

こういうこともあった。ある商社の新入社員が2〜3日続けて同じ服装をし
ているのを見た人がその理由を尋ねたのだそうだ。答えは「今週になって
から会議室に2日連泊しています」というものだった。更に、その理由は
「新入社員の私には与えられた仕事をこなしきれずに深夜を過ぎても帰れ
ず、会議室で寝ることを選択した」だった。

彼は言葉を継いで「これは私の能力が不足しているだけではなくスキルも
足らないのか、あるいは会社側が与える仕事の範囲が私の能力を超えて余
りにも広く且つ大木過ぎるのかの何れでしょう」とサラッと述べたのだっ
た。彼は「2日連泊などはお手柔らかな方で、同期でXX部に配属された者
は既に連泊2週目に入っています」とも教えてくれたそうだ。この連泊を
誰も咎め立てしないそうだ。マー、言ってみれば、野球の練習で言う「千
本ノック」のような新入社員の鍛え方だ。

我が国とは違ってボーナス制度がない会社側というかサラリー制のアメリ
カ式給与では、既に述べたように年俸だけである。ということは、残業手
当はないと思っていて良いだろう。全ては自分の成績次第だから、目標達
成までは何時間でも働けば良いだろうということだと、私は解釈していた。

こういう制度を我が国に急に持ち込む訳には行かないのは明らかだ。残業
料を支給することが企業の固定費(と考えても良いのかと思う)が増えて
困るというのだったならば、最初から人事部だの勤労部で査定せずに、所
属の長が全員の前年度の残業代まで含めた所得を見て、諸手当を排除年俸
一本に定めてしまえば良いではないか。即ち、何時間超過勤務しようと会
社が強制したのではなくなるのだ。

それでは、ボーナスや退職金の金額が増加しすぎるという心配も生じるだ
ろう。そうであるならば、「最初からそういう金額の算出の基準を元の本
給を基準とするようなことにでも話し合いでもしておけば良くはないの
か」などと勝手に考えている。これは暴論かも知れないが、私が考えてい
ることは「各人が何時間働くかは自分で決めれば良いことで、政府や会社
が介入するのは不自然だ」との考えを述べているに過ぎないのだ。

経験から言えることは「アメリカ式の方が自分のことは自分で処理せよ」
であって、達成できなければ自分一人だけの結果責任で諦めが付くのだ。
だが、一歩どころか半歩誤っても馘首が待っている世界だった。それと比
べれば、我が国の企業社会の方が遙かに温情的だとは思う。

だが、アメリカでは同期入社の者たちとの比較などないし、全ては自分に
返ってくるので、諦めが付きやすかったとも言える。

結論めいたことを言えば、日米の何れが良いかなどと言う選択ないと思
う。私は向き不向きだけだと思う。アメリカに行けば「身分と地位の垂直
上昇は先ず期待できないが、定年制度はないし、成績次第では何歳になろ
うとも昇給させてくれるという、我が国にはない慣習がある。余り上手く
纏めきれなかったが、日米間の違いの概要がお解り願えれば幸甚だ。


2017年09月15日

◆「措置入院」精神病棟の日々(61)

 “シーチン”修一 2.0



「新聞の賞味期限はインクの匂いのするうち」と山本夏彦翁は書いている
が、今読んでいるのは産経8/30だから、13日分(休刊日があったから正確
には12日分)がツンドクになっている。インクの匂いなんてとうに飛んで
いるが、世界的な話題としては「北ミサイルが日本の上空を飛んで太平洋
へ」あたりか。

こういうのは「日本は舐められているぜ、仕返しに朝鮮総連を潰せよ、
ギャーギャー喚いているだけでは北=中共(特にアンチ習近平の江沢民
派)を喜ばすだけだぜ」という場面である。9月中旬からの中共党大会で5
年後のトップが習近平派以外に決まらないと、“米国の走狗”日本は核ミサ
イル、尖閣侵略に脅かされ続けるしかない。

恐らく北、中共、韓国、露にとって日本は一番の潜在敵であり、彼らは日
本が受けている脅威、恐怖をせせら笑っていることだろう。

反撃しないと舐められっぱなし、やがて“腰抜け野郎”と軽侮される。スペ
インはイスラム過激派による列車爆破テロで怖気づき、米国主導の対イラ
ク過激派戦線から離脱し、自国の安全を最優先したが、最近(8/17)車暴
走テロに見舞われ、113人が死傷した。敵に背を見せても敵は容赦しな
い、ということだ。

自分たちだけでは防衛できません、米国・米軍の庇護・支援がなければ国
民の命と生活を守れませんって、とても主権国家とは言えない。昔、アカ
どもは「米国の核は悪い核、ソ連、中国の核はいい核」と言っていたが、
この期に及んでも「日本の核武装反対、戦争反対」と叫んでいる。「日本
憎し」という憎日・反日宗教に凝り固まった中2坊主は死ぬまで信心に濁
りはないのだろう。

夏彦翁曰く「純粋は恐ろしい。ナチスユーゲントの少年の目は澄んでい
た、日本の軍国少年も同じだった」。

小生の目は濁っている(救急隊員から「両目とも白内障の初期ですね」と
指摘された)。美しい表を見たら裏も見る、小4で「この世は本音と建前
からなっている」と知り、以来、斜に構えた上から“週刊新潮”目線で世の
中を見て、噓も方便とついたこともある。

これまた夏彦翁曰く「芸者は芸を打って色は売らないって、これ本当
か?」。翁が調べたところ、芸者が呼ばれた宴席の3割は「陰間」で、馴
染み客には色を売った(売らないわけではない)そうだ。初回の客にも色
を売る芸者は「見ず転」(相手を見ずに転ぶ)と軽蔑されたという。

忙しい田中角栄は緊張した要談が終わると「陰間」に馴染みの芸者を呼
び、一息ついたとか。この際に角栄は祝儀をはずむから料亭の主、置き屋
の女将から下足番まで大喜びだったそうだ。(角栄のバカ娘はこうした
“不義)を激しく詰(なじ)っていたらしく、角栄は弱り切っていたとい
う。バカ娘の目は澄んでいたはずだ)

表と裏。荷風散人は「美しい表に醜さを見つけ、裏の縫い取りに美を見つ
ける」と、陋巷の私娼窟、玉ノ井の娼婦を描いて今でも読者に感動をもた
らしている。

この世の9割は中2坊主で(どこの国でもおバカなテレビ番組がある)、そ
れでも気の利いた子は世間の表裏を知るが、オツムの回らない子は純粋
に、あるいはそれを装い、「平和」を唱えれば平和が続くと信じている、
あるいはそれを装っている。

Kが孫の4歳女児に問いかけた。「ママ好き?」「だーい好き」、「じゃあ
バアバは?」「・・・今は言えない」。女の子は口を覚えるのが早いと聞
いていたが、いやはや大したものである。

この話をしながら二人で大笑いしたのだが、「以前は私のことを好きだ、
愛しているとよく言っていたけど、この頃は言わないわね」「・・・今は
言えない」と答えたらミサイルの代わりに味噌汁の椀が飛んでくるだろう
な、どの家庭でも。

いろいろなことを学ぶと「世間は単純ではない」と上下、左右、裏表から
猜疑心たっぷりに見るようになる。目が曇るのは当たり前で、老人が澄ん
だ目をしていたらかなり怪しいのではないか。

孫・子は9/7〜10まで流連、11日には6歳男児“ボーイ”が高熱を発したので
また来た。12日には小生が一人でボーイを預かったが、膨大な炊事、洗
濯、趣味の園芸、工作で忙しい5日間だった。

11日の夜、ボーイは元気に帰って行ったし、終わってみれば「やったー
やったーヤッターマン!」(古いね)で、そこそこの充実感はあるが、
9/3の15:33、6月以来の懸案だった防水工事が小生なりの最大の創意工夫
と体力で完了した時は「わが方の損害、老人1名、意識不明。老人は精神
科入院歴あり、現在は通院中」と広報されるだろうなとメモを取っておく
ほどの充実感だった。

バカとキチ〇イは使いようだぜ、同志諸君! 忙しい中でも今日はオブ
ジェとかインスタレーションというのか、「赤い衝撃 Red Impulse」を
完成させた。2か月もかかったが、孫は受け入れてくれるものの大人は
「何よ、これ!?(まるでキチ〇イ)」と概ね嫌悪感を示す。ゲージツは
理解されがたい・・・

狂気と正気を揺れ動く怪人、発狂亭雀庵の病棟日記から。

【2016/12/18】*夜中の3時に“コンチャン”が怒鳴り声をあげて、激しく
体を動かし、ちょっと怖かった。妖怪に襲われた夢でも見たのだろう。彼
は今、体調が悪く、当然、心も晴れない。

午後8時は就寝前薬を飲んでから部屋にこもる決まりだが、夕べは“ナキワ
ライ”嬢がホールの隅で、ジャージーのフードをかぶり、両膝を抱いて拗
ねていた。彼女は終日泣き、笑い、躁鬱を繰り返し(双極性うつというそ
うだ)、激しすぎるとナースから注意され、ドーンと落ち込み、メソメソ
泣き、やがて優しい言葉をかけられるとニコニコしだす。

ホールでは類は友を呼び、“ワライ”嬢と並んで座っているが、箸が転がっ
てもおかしいのだろう、二人が共鳴し体をよじって笑うと、それなりに自
制していても結構目立つ。昨日から二人は離れ離れにされたが、それも
“ナキワライ”の悲しみをそそったのだろう。

女性患者の5割は便秘、2割は睡眠障害のようだ。昼間にホールでうとうと
している女性が目立ち、食後は自室(ほとんどが個室)で朝寝、午睡、夕
食後の6時半には寝てしまう人もおり、ナースが注意しているものの、管
理しきれてはいない。

本人の自覚が必要だが、それができないから入院しているわけで、悩まし
いことだ。


【12/19】*朝食後に院内運動をしていたら“ナンミョー”が「一番安い新
聞、月2800円!」と声をかけてきた。「勧誘はご法度だ」と言って無視し
たが、午前中の患者&医療スタッフのミーティングで「宗教の勧誘はやめ
てほしい」と釘を刺しておいた。池田教は小生が小学生の頃から不倶戴天
の敵である。宗教に淫した輩は大嫌いだ。

*10:00〜11:10、作業療法で相変わらずのオートバイ組み立て。ようや
く出口が見えてきた感じだ。

20:00、“ナキワライ”が発狂して大暴れ。看護師や助手が4人がかりで押
さえつけていたが、女性の1人はサムライブルーの制服で、救急隊員か拘
束専門職員みたいだった。

“ナキワライ”は午前のミーティングで、「引き込もらないと、物凄いスト
レスになる」と訴えていたが・・・保護房で拘束されるのかもしれない。

【12/20】*昨日の夕食から32歳の“マジメ”がテーブルに加わった。デス
クワークだが、過労死一歩手前だったようで、電通事件に懲りて多くの企
業が「ナマスを吹き」、自殺しかねない社員を病院へ送り込んでいるので
はないか。

礼儀正しく、最初から挨拶、自己紹介した。家柄、教養は良さそうだが、
線が細い感じがする。

*10:00〜11:10、作業療法は昨日に続いてオートバイ作り。出口にほん
のり明かりが見えてきた、という感じ。

小鳥のさえずりは心を癒してくれるが、“シャベリヤ”の口撃は機関銃か上
方漫才のようにうるさい。こんなのと病棟が一緒というのは不運だ。

入院以来、主食は全粥で、おかずがカレーや納豆の時は困惑していたが、
今日の昼から普通のご飯になった。メニューはカレーで、久し振りに堪能
した。これは幸運だが、普通盛なので完食したら腹が痛くなった。要注意だ。

院内運動では左右とも片足立ち25秒ができるようになった。飽きずに運動
を続けると、そこそこ筋力は回復するようだが、夕べは女とイチャツク夢
を見た。煩悩も回復するのか? 有難迷惑だな。

*14:00、Dr.面談。カミサンや子供の想いを理解しなさい、と言うが、
彼女たちは小生にどういうヂイヂになって欲しいのだろう。コミュニケー
ションは情報発信も大事だとも言うが・・・共通の話題もないし・・・困
惑している。

「最も良き人々は還ってこなかった」(フランクル「夜と霧」)

「最も良き自分も還ってこなかった」、陽気で楽天的な面が消えてしま
い、陰険で攻撃的な面ばかりが目立つようになった気がする。(つづ
く)2017/9/12

2017年09月14日

◆異能・異端の元財務官僚が日本を救う(1)

育鵬社編集部M




〜異能・異端の元財務官僚が日本を救う(1)
――国益と政策的合理性の追求〜

◆外務省には異端と評された岡崎久彦大使が

官僚は、本来ならば国益と政策的合理性の追求が求められている。

しかし、官僚組織に属すると、自らが所属する組織の「論理」に従い
「忠誠」を尽くす。その方が仕事をしやすくなり、順調に出世し権限も増
えるからだ。また、再就職する際に便宜を図ってもらえるというメリット
もある。

こうして組織の論理や要請に従うと、国益よりも自らが属する省庁の利
益(省益)を追求しがちになる場合があり、政策的合理性から乖離(かい
り)してしまうケースがある。

こうした中、時には所属する省益に反しても、国益の追求と政策的合理
性を貫き通そうとする官僚もいる。

外務省にあっては、戦後一貫してひたすら日米同盟の盤石化に尽力した
ため、異端とも評されていた岡崎久彦大使(故人)がいた。かつて、岡崎
大使から次のような話を聞いたことがある。

何かの案件で部下が、「こうした方が外務省の利益になる」と述べたと
ころ、岡崎大使は、「外務省の利益などと言うな。国益に適うかどうかで
考えろ」と叱ったという。外交官たる者は、省益よりも国益を重んじろと
いう論理である。

そのためか、戦後のハト派路線の継承という論理を重んじていたかつて
の外務省内部での評判は必ずしも良くなかった。岡崎大使本人もその点を
自覚していたようで、回顧録で次のように述べている。

昭和53(1978)年夏、国際関係担当参事官として防衛庁に出向しまし
た。……防衛庁でやっているうちに、自民党のタカ派が私の支持者になって
いきました。当時の園田直外相からは「おまえ評判いいな。だけど全部、
外務省外だけどな」などと言われたこともありました。(岡崎久彦著『国
際情勢判断・半世紀』育鵬社、2015年刊、80ページ、83ページ)

田中角栄首相が全盛期の時、「日中国交回復は時期尚早である」という
意見を述べ、ソウルの在韓国日本大使館に左遷されるなど官僚としては異
色・異端であった。しかし、外務省きっての論客と謳われた岡崎大使の遺
志は、内閣官房に設置されている「国家安全保障局」の中枢に受け継がれ
ており、この組織は、現下の北朝鮮の情勢判断を誤りなきように日夜、激
務をこなしている。

◆経済学の勉強が面白く留学を1年延長したため干された高橋洋一氏

さて、前置きが長くなったが、財務省出身者においても同様の人物がい
る。高橋洋一氏である。

彼は、1955(昭和30)年東京都生まれ。東京大学理学部数学科を卒業
後、学士入学で経済学部に籍を置きつつ統計数理研究所(旧文部科学省統
計数理研究所)で非常勤研究員となる。翌年の正式採用を経て数学の学者
の道を歩むはずが、採用の約束を反故(ほご)にされやむなく退職。東京
大学経済学部を卒業後、大蔵省(現・財務省)に1980(昭和55)年に入省
したという変わり種であり、異能の持ち主だ。

入省後は大蔵官僚として同省の理財局資金企画室長などを務め、その
後、1998(平成10)に留学の機会を得て米国のプリンストン大学客員研究
員となる。本来ならば2年間の予定であったが、経済学の勉強が面白くて
しょうがなく、そのまま勉強した方がお国の役に立てると思い、帰国の予
定を蹴って1年延長した。

そのため、「組織の掟を乱す者」として帰国後の財務省が用意したポスト
は他省庁への出向という閑職であった。組織の掟に従わない異端者として
干されたのである。

しかし、この3年間のプリンストン大学の客員研究員の経験が、高橋洋 一
氏の経済政策の理論的基盤を盤石にした。(続く)

2017年09月10日

◆トランプと不法入国者問題

Andy Chang



私はトランプは好きではないが彼が正しいときは反対しない。だがトラン
プが嫌いだから偏見を持つ人はたくさん居る。何が何でもトランプに反対
する者が国民の半分ぐらいいる。民主党と左翼メディアは金正恩のミサイ
ルよりトランプ降ろしに熱中している。

9月5日、トランプ大統領は2012年にオバマのDACA大統領命令を6ヵ月以内
に撤廃し、国会が不法移民子女の帰着を決定すると発表した。メディア
と反トランプ派は直ちにトランプを非人道、憲法違反と非難しDreamer(夢
見るヒト)と呼ぶ違法入国の若者は各地でデモンストレーションを続けて
いる。DACAの撤廃で彼らが強制送還されるかも知れないからだ。

DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)とは不法入国した親に
連れられて入国した子供を強制送還するかどうかの問題である。不法入国
とは言え子供に罪はないから強制送還は可哀そうと言うのが送還に反対す
る理由である。

オバマ大統領はDACAで違法入国子女を送還するかの「決定を延期」した
のである。法を犯したのは親で子供に罪はないと言う。しかし子供だって
不法入国である。不法入国者は送還すべき、これは法律である。法律は国
会が決めることでオバマには法律を変える権限はない。だから「決定を延
期」するとしただけである。

だがオバマのDACA令は無期延期ではないから何時かは法律で決定すべきで
ある。トランプはオバマの「垂れ流し」に決着をつけるため、オバマの決
定延期を撤廃して80万人のDreamerの始末を6ヵ月以内に決めろと国会に
命じたのである。

つまりトランプにも決定権がないから国会が決めるべきで、トランプは国
会に6ヵ月の期限をつけただけである。オバマの「垂れ流し」を撤廃した
トランプが80万人のDreamer、そして左翼メディアや民主党員から非難さ
れるのは如何にも不公平だ。

確かに80万人の子女には既に就職したり学位を取得した者もいるし、アメ
リカに貢献しているかもしれない。彼らに居住権を与える権利は国会にある。

80万人の不法入国子女がみんな学位をとって就職しているのでもない。一
部の人だけに国籍を与えるのは不公平だし、学位や就職を取ればアメリカ
の国籍を取れるのも不公平だ。

●法の無視は民主党のお家芸

法の下では何人も公平であると言う。しかしアメリカでは法を無視した
ケースがたくさんある。しかもオバマ政権で起きた法無視事件があまりに
も多い。ヒラリークリントンの違法メール事件、ベンガジ事件、ロレッ
タ・リンチ司法長官とビル・クリントンのヒラリー違法調査の免除疑惑、
ロイス・ラーナー税務長官の共和党員の納税資料違法調査など、未解決問
題が山積している。

不法入国問題だけに限っても全米で15の都市が違法移民を保護する「聖
域都市(Sanctuary City)」と称して不法入国者の犯罪を取り締まらない
と言う。

警察に捕まってもすぐに釈放される、或る者は十数回も国外送還された後
でもすぐに戻ってきて聖域都市に入れば警察も逮捕しない。窃盗罪や殺人
罪を犯しても放免されるのである。これらの聖域都市の市長はみんな民主
党員である。反トランプだから何が何でも反対するのである。

キリスト教会が犯罪者を保護するために教会を聖域と称したのは昔のこと
だ。国法を遵守すべき市長が聖域都市を自称して不法入国者を保護するの
は法的、道徳的に可笑しくないだろうか。聖域都市は違法ではないのか。

オバマ以前にも権力の腐敗はあったかもしれないが、オバマの権力の腐敗
と法無視は実に多く、しかもトランプ政権になった今でもオバマ時代の違
法調査がなかなか進まない。

トランプ大統領がDACA撤廃を決定したたら、数日の間に15の民主党系の州
がトランプを憲法違反で告訴すると宣言した。
大統領命令は大統領の権限だが憲法違反で告訴して法廷が起訴すれば
大統領命令が一時凍結されてDACA撤廃が実施できなくなるのを狙ってい
ると思われる。

トランプにも問題がある。トランプは傲慢で態度が悪い。だから国民の大半
はトランプが嫌いだ。嫌いだから冷静で公平な判断が出来ない。民主党は
選挙に負けた恨みで反トランプ、メディアもトランプに全て反対である。
アメリカが正常国家となるのはオバマが8年かけて作り上げた分裂を清算してから
だろう。

2017年09月07日

◆「措置入院」精神病棟の日々(60)

“シーチン”修一 2.0



家事とか仕事、あるいは作業療法と言うべきか、相変わらず忙しかった。

小生はいろいろな仕事(バイトを除く)をしてきたが、単純なのか性格な
のか、仕事に没頭するタイプで、千葉刑務所でのお勤めを終えた(保
釈)20歳から就いた仕事は皆好きだし、肥やしになった。

建築金物店の販売・配達(同僚の詩人・吉田修との出会いで世界観が変わ
るきっかけにもなった)、その縁で鳶(給料が良く学資を貯められ専門学
校で学べた。その経験から建築士を目指したが、「専門学校案内」(自由
国民社)を立ち読みしていたら急遽、編集者になりたくなった。運命的
だった)、その後に編集、やがて編集プロダクション創業、会社清算後は
タバコ販社の営業・配達の仕事をした。

いずれも仕事を覚えたり、いろいろな人生を観察できるなどなど、面白
かったし、夢中になったもので、確かに苦労や苦痛もあったけれど、やり
がいもあり、結構、趣味的に楽しめた。創意工夫は楽しいし、苦難を乗り
越えての達成感は格別だった。

料理もそうで、料理屋で酒を飲んでいても板場の様子をじっくり観察し、
それを真似ていくうちに大体の料理は作れるようになった。先日はスー
パーのレジの女性が立ったまま服をたたんでいるのを見て感動し、「なん
と器用なことか、俺もやりたい」と今は練習している。「餃子の王将」の
職人は片手で餃子を作れると聞いたので、その練習もしてみたが、これは
できなかった。ひだが作れなかった。

和洋中華、「主夫、クッキングパパとしては大したもの」というレベルだ
ろう。先日はKが“つぶつぶマスタードソース”のビンを手に「これ使っ
て」と言う。「使わないのなら買わなきゃいいのに」と難じると、「だっ
て食べたかったんだもん」。絶句するしかない。

で、鶏のもも肉をそぎ切りにし、酒以外の調味料なしでマスタードソース
に漬けこんだのを焼いてみたら大好評。辛みが飛んで孫にもOKだろう。ヂ
イヂのメニューがまた一つ増えた。

昔、シロガネーゼの若奥さんから「代々木のプールでデートしましょう」
と誘われ、押入れの奥から小さな水泳パンツを探し出して同行したが、50
メートルプールで小生は1往復してゼーゼー、クタクタ。

彼女は水泳部出身で、水着姿はもろキン肉マン。服を着ている時は顔と手
足しか見えないからスタイルがいいなあ、サレンダーだなあ、と思ってい
たからびっくり仰天。すごい体格で、まさしくスイマー、とてもじゃない
が歯が立たないし、小生の不埒な欲望も一挙に萎えた。

もっとも彼女の旦那は社会人ラグビーの選手だというから、そんな体格で
も全然気にしないのだろう、2人で200キロ、閨房(けいぼう)はリングの
如しか。

彼女は飽きもせずに何往復もしてから、ようやく上がってきてタオルで髪
を拭きながら「ああ、久し振りに“スイマーズハイ”を楽しんだわ」。

<競技ではなく健康のための水泳なので、ゆっくり長く泳ぐようにしま
す。私はもっぱらクロールですが、20分ほど泳いでいると何とも言えな
い、いい気分になってきます。これがいわゆるスイマーズハイです。有酸
素運動のランナーズハイと同じですが、水が肌を伝う感覚が格別で、水圧
がかかるのも体にいいようです>(ジャーナリスト・高嶋久)

スイマーズハイのように小生は仕事が過酷であっても“ハイ”になって楽し
める。やはり達成感が何とも言えずにいい。

仕事中はいろいろなことを考える。「昨日ヒーロー、今日ヒール」「昨日
トップ、今日ボトム」「昨日スター、今日ベガ―」「昨日天国、今日地
獄」とか他愛のないダジャレも思いついたりする。

産経新聞は8/24号から9/6号まで13日分がツンドクになっている。1面トッ
プの見出しは見ているが、9/2の「中国軍中枢 4人拘束・更迭 習氏大な
た 軍にも恐怖政治」は面白そうだから今朝読んでいるが、その4人は胡
錦濤派(共青団派=団派)らしい。最強の瀋陽管区(現在の北部軍区)は
上海閥(江沢民派)で、北を支援してミサイル発射を繰り返させ習近平の
国際的立場を貶めている。

記事によると団派は海軍を握っている。ちょっと前は習近平派(太子党)
は団派と組んで上海閥を攻撃し、今回は団派を攻撃したわけだ。何しろ三
つ巴の権力闘争で、昨日の敵は今日の友、昨日の友は今日の敵のような
「孫子の兵法」のままに水面下で戦争をしているのだからまるで乱麻。10
月の党大会で次期トップクラスの人事が決まるまでは暗闘が続くに違いない。

上海閥は北を使って習近平を叩き(瀋陽管区が自分のために発射実験を北
にさせているのではないか)、団派はシナ海で暴れて習近平を叩く。習近
平はアンタッチャブルの上海閥と団派の軍を叩く。

習近平と派閥が異なるとはいえ軍と敵対して権力を維持できるものかどう
か・・・国民の血を流さない戦争である選挙がないと血だらけ、恨みだら
けの権力闘争というガラガラポンになる。

“聖域”(にしておいたほうがいいはず)の軍にまで手を突っ込んだ習近平
は、暗殺や反乱のリスクを招いているように見える。「昨日元首、今日斬
首」になるのではないか。

クレイジー“ハイ”、発狂亭雀庵の病棟日記から。

【2016/12/16】*10:00〜11:15、作業療法でラヂオ体操、柔軟運動、
ゲームなど。昨日より気分は改善したが、元気とは言えない。

小生の関心は半径1.5万キロで、大西洋、北極、南極以外の地域の動きを
知りたいと思っている。アフリカについては、「中共製雑貨の安物攻勢で
軽工業の発展さえも覚束ない」くらいしか知らない。マスコミもテロや
クーデター、内戦、疫病といったニュースばかりのようだ。

大多数の日本人の関心は半径100メートルで、病棟の患者たちを見ている
と、天気、食事、テレビ、事件、事故、女性の場合はオシャベリ=サエズ
リ、ファッションが加わるくらいで、天下国家のことなどまったく関心が
ないようだ。

ホールで日記を書いていたら66歳の“令夫人”が「何を書いているの?」と
尋ねるので、読んで聞かせたら「グローバリゼーションってなーに?」。
これが現実だ。

【12/17】*ベランダで日向ぼっこをしながら“シャベリヤ”が3人相手にサ
エズリまくっている。眠っているor 個室にいるとき以外の15時間は
「オールデイニッポン」古舘一郎みたいにしゃべっている。その理由、原
因らしきものが分かった。

彼女は農村に住んでおり、近所におしゃべりの相手がまったくいないそう
だ。おしゃべりは彼女の趣味、快感、生き甲斐で、これができないとスト
レスが溜まり、発狂するのだろう。病院の常連のようだ。

AIを使ったオシャベリ相手ロボ「AITE」はどうか。最新の天気、エンタ
メ、ファッション、事件、事故などの話題をネットで集めて、「今日の天
気は?」と聞くと、「東京、横浜は快晴だよ。神代植物園でも散歩した
ら? 今、ベゴニア展をやっているし、帰りには先日オープンしたばかり
の調布のレストラン“フィレンツェ”でパスタなんてどう? 評判いいみた
い」とか答える。

おしゃべり相手がなくて寂しいというひとには大いに受けるだろう。

そう言えばちょっと前に米国では「SEXロボットが進化し、結婚しない男
が増えるのではないか」と物議をかもしていた。

昔は「ダッチワイフ」と言われていたものだが、知人は「ラブドール」と
いうのを作っており(今は知らない)、世界最先端を行っているのではな
いか。モノがモノだけに大っぴらには宣伝できないが、同好の士が結構い
るらしく、社内で新作発表会をするときは客が恥ずかしがらないように女
子社員は全員早退させるそうだ。女子社員も「キモスギ」とさっさと帰っ
ていくという。(つづく)2017/9/6



2017年09月03日

◆米国の民主主義が衆愚政治になった

Andy Chang



民主主義、デモクラシーとは「民衆政治」のことだと言うが、民衆が賢い
選択をするとは限らない。むしろその逆である。今のアメリカはデモクラ
シー、言論の自由と民衆の多寡で政治が決まるようになった。

メディアは事実を報道すべきなのに上層部サヨクの言論をニュースに交え
て報道するからその影響を受て民衆が衆愚になってしまう。メディア主導
の衆愚が政治を左右するよになった国は内部から崩壊する。最近のアメリ
カはこの傾向がどんどん明らかになった。以下に例をあげる。

(1)テキサスを襲った台風ハーヴェイはヒューストンの町全体が水没す
るほどの甚大な被害を齎した。それなのにフロリダ州タンパ大学で社会学
を教えていたストーリー(K. Storey) 客員准教授は、「テキサス州の台
風被害はカルマの報応、去年の選挙でトランプや共和党に投票した罰だ」
とフェイスブックに発表した。それではフロリダで共和党に投票した人は
どうかと反論された彼は、「共和党に投票した奴はみんな天罰だ」と答え
た。これに抗議が相次いだので大学は慌てて彼を罷免した。

こんな人が社会学の教授なら彼の教育を受けた学生たちがどんなに左傾思
想を持つかがわかる。

(2)ボストンで保守派のグループが言論の自由デモを行うと申請許可を
得たのに対し、二倍以上の民衆が「言論の自由デモに反対するデモ」に参
加して大混乱になった。反対デモは保守派のデモは白人至上主義者とKKK
グループだと勝手に主張して反対したのであった。

(3)サンフランシスコでも同じような保守派のデモが予定されていた
が、反対派がデモをすると言うのでデモを中止した。それでも反対派デモ
が起きて暴力沙汰になった。さすがにこの事件ではNYタイムスやLAタイム
スが左翼の暴挙を批判する記事を発表した。

(4)ハーバード・ロースクールのAlice Ristroph教授は8月21日に起き
た全日食についてAtlantic Magazineに文章を寄せて、「全日蝕が白人多
数のオレゴンから南カロライナの進路を通ったのは黒人蔑視だ」と発表した。

これがロースクールの教授である。また、南部では有名な「風と共に去れ
り」の映画は白人至上主義礼賛だから放映を禁止しろと主張している。

(5)30日にロスアンジェルスの市議会は、アメリカ大陸を発見したコロ
ンブスを記念する10月9日の「コロンブス・デイ」休日を廃止し、「先住
民の日」と改名すると決定した。議案に反対した市会議員は一人だけだっ
た。呆れたことにコロンブスの名を除去したけれど、休日は恒例通り休む
と言う。

この幾つかの例を見れば「言論自由と民衆多数の暴力」がアメリカの現状
であることがわかる。ヒラリーが選挙に負けたことで民主党がメディアを
総動員してトランプ大統領に反対している。トランプは精神異常者だから
罷免すべきだとCNN,CNBCが報道している。

●自由に反対する自由

数の暴力とは自分の主張のみが正しくて反論は許さぬと言う態度である。
この風潮はオバマがアメリカの大統領よりも黒人の大統領を優先してから
起きたと言える。トレイボン事件、ファーガソン事件など、いずれも暴力
を制止した警察を攻撃したため黒人が射殺されたのにオバマは黒人の肩を
持つ発言をしてそれが黒人の暴動の原因となった。

これらの事件のあと、「黒人の命が大切だ(Black lives matter)」と
黒人グループが言いだして、白人が「白人の命だって大切だ」と言っても
メディアが取り上げず、相手が白人至上だ、KKK、ヒットラーだと言った
ら警察も政府も取り締まれなくなった。

トランプは過激な発言をするのでメディアがトランプは人種差別と報道し
たら民主党議員までが挙ってトランプを人種差別と批判し、メディアは正
しくてトランプは悪いと言うようになった。もちろんトランプも黙ってお
らず反論するからトランプとメディアの終わりなき闘争となる。過度な民
主自由は国の衰退につながる。

自由とは一方だけではない。自分の自由を認めてもらいたいなら他人の自
由も認めなければならない。今のアメリカはメディアが左翼の自由を強調し、
他人(保守派)の自由を認めなくなった。左翼に反対すれば人種差別、白人
至上とレッテルを貼って攻撃する。つまりメディア暴力である。

●歴史事実に逆らう衆愚

民主主義の主権者たる大衆が自らの欲望をむき出しにして歴史事実に逆ら
う言動を取れば社会の乱れは止まらなくなる。シャーロッツビルで起きた事
件は南北戦争の南軍司令官だったリー将軍の銅像を撤去に反対したデモ
にデモ反対派との衝突で起きたのだった。トランプが双方とも悪いと言ったら
メディアはトランプが白人至上主義を擁護したと非難し、死者に対する悼み
が足りなかったと批判した。

南北戦争は歴史的事実であるから銅像を撤去しても事実を消去することは
出来ない。日本には西南戦争の総帥だった西郷隆盛の銅像を撤去しろと
言うバカは居ない。

ロスアンジェルス議会のコロンバス・デイ廃止に至っては呆れてものが言えな
い。コロンブスがアメリカ大陸を発見したのは歴史の大事件であった。コロン
ブスの大陸発見がアメリカ原住民を虐げたことに繋がると言う理屈は荒唐無
稽である。アメリカ原住民を迫害したのは大陸発見の数百年後にきたイギリ
ス白人の子孫である。

アメリカには原住民迫害や奴隷制度の歴史がある。歴史上の人物を記念し
た銅像が原住民や黒人の感情を傷つけるというなら、白人全てが責任を負
うべきで、ワシントン、ジェファーソンなども一緒くたに譴責されるべきだ。

●民主主義には節度が必要である

人間の欲望は無限だから自由に制限をつけなければ社会は無節度な野蛮
社会に逆行する。

今のアメリカ社会は黒人優勢で自由を謳歌する彼らの無制限な言動にケジ
メをつけるものが居ない。メディアとは国民の意見を広く知らしめる利器
であったが、メディアがトランプ反対の意見を宣伝する道具となったため
無責任なデモンストレーションが頻繁に起きるようになった。

メディアの最大の利器は「レッテル貼り」である。トランプは人種差別、
偏見、独裁だとレッテルを貼れば大衆は自然と反トランプになる。民主党
が国を二極化しているのだ。

レッテル貼りはもともと共産国家のお家芸だった。だから今のアメリカ社
会がいかに文明に逆行しているかがわかる。中国では「資本主義者」、
「反動」、「反民主」、「反共産」などのレッテルで独裁政権を維持して
いるのだ。

アメリカではメディアがレッテル貼りを利用して反トランプ、反政府デ
モ、反警察などの群集デモが多発する社会となった。アメリカはメディア
が主導して社会文明に逆行している。トランプはメディアに対抗するため
フェイスブックを使うようになった。今はメディアが有利だが、決着はま
だついていない。

2017年09月02日

◆1972年8月に初めてアメリカ本土に渡った

前田 正晶



ここでは「私のアメリカ」を語って見よう。

先ほど「私が知っているアメリカは、全体を100とすれば精々20程度」と
言ったが、その根拠はアメリカに全部で50ある州のうちで20州では空港の
外に出た経験がある州を数えたので、それ以上のものではない。

アメリカについては、イギリスから渡ってきた人たちが作った国で、その
後に欧州からも渡ってきた者が多く、アフリカから連れてこられた奴隷の
名残で黒人がいるくらいは承知していた。

しかし、羽田から今はなきパンナムでサンフランシスコに入り、更に飛行
機を乗り継いで恐る恐る目的地のジョージア州・アトランタに着いたのは
確か真夜中だった。そこまでで出会ったのは白人だけで、南部の都市であ
るアトランタでも南部訛りには面食らったが、黒人は見かけなかった。

空港から不安とスーツケースを抱えて乗ったホテルまでのバスを運転して
いたのも白人だった。

その何日か後にオハイオ州・デイトンを経て到着したニューヨークでは、
道路工事の作業員も白人で皆がチャンと英語を話しているのには、訳も解
らずに感動していた。

この初めてのアメリカ出張では25日間滞在したが、何処に行っても黒人に
出会うことはなかった。当時は余りそういう意識もなく、唯々アメリカと
は素晴らしい国だと無邪気に感動していただけだった。

そのアメリカが political correctness だか何だか知らないが、何時の
間にかnegro も black も禁句となった模様で、「アフリカン・アメリカ
ン」と言わねばならないようだと知ったのだった。

しかし、私の勤務先でも取引先でも、アフリカ系アメリカ人の社員が存在
することは先ずなかったので、差別があるとかないとか意識する前に「ア
メリカとはこのように白人の世界だったのだ」と何となく認識するように
なっていた。

更に細かく言えば、仕事上ではなくと、シアトルでもアトランタでもシカ
ゴでも何処でも、買い物にも出掛けるし、食事にだって出掛ける。そうい
う先で、アフリカ系の店員なりウエイターかウエイトレスに出会うこと
は、ホテルのダイニングルームを除けば先ずないことだった。しかし、
ニューヨークでもシカゴでもヒスパニックには当たり前のように出会った。

私が好んでネクタイその他の紳士用品を買いに行った店やバーバリーだの
ブルックスブラザース、ラルフローレン等々では店員は皆白人だった。馴
染みになった化粧品を買っていたデパートの店員も愛想が良い白人男子
だった。

しかし、シアトルの近辺では、これという人気がる日本料理屋は韓国人の
経営でウエイターでも誰でも、韓国語で話しかけて正体を見破って楽しん
でいた。

中でも印象に残った出来事が、往年の大統領御用達の紳士用品のアメリカ
最高のブランドであるSulka のサンフランシスコの店では、珍しく応対さ
れてしまったアフリカ系の店員が横柄な口調で「Sulkaと知って入ってき
たのか」と尋ねるのだ。

失礼なと怒って「知らないで入ってくるか。ここのネクタイを何本持って
いると思うのか」と切り返すと、手のひらを返すように態度が変わり「是
非共当ブランドのカタログを貰って下さい」と言って持ってきた。彼らは
東洋人を下の如くに見るのかと一瞬疑っのだった。

また、1980年代までは治安に問題ありとして先ず連れて行かれることは希
だったロスアンジェルス(LA)市内では、確かに韓国系もアフリカ系の数
多く見かけたものだった。この傾向は明らかに悪化(?)して、2012年に
YM氏とSM氏に案内された訪れたLAの近郊でもヒスパニックと韓国人ばかり
で「今後カリフォルニア州に出掛ける方は英語よりもスペイン語と韓国語
を学んでからの方が現実的で役に立つだろう」と旅行記で皮肉ったほど
だった。

1992年4月に起こったロスアンジェルス暴動は、Wikipedia によれば、以
下のように解説されているが、表面的にはアフリカ系の人たちの仕事だっ
た下層の労働を韓国人が奪い去っていたことに対するアフリカ系の恨みが
現れたと伝えられていたと思う。

そうだろうと解る気もするほど、単純反復労働の職場には韓国人が著しく
増えたと思っている。

>引用開始

ロサンゼルス暴動はロドニー・キング事件に対する
白人
警察官
への無罪評決をきっかけとして、突如起こったかのような印象で日本では
報道されることが多かったが、その潜在的要因として、ロサンゼルスにお
ける人種間の緊張の高まりが挙げられる。



アフリカ系アメリカ人の高い失業率、ロスアンジェルス市警察(以下「LA
市警」)による黒人への恒常的な圧力、韓国人による度を超した黒人蔑
視、差別に対する不満などが重なり、重層的な怒りがサウスセントラル地
区の黒人社会に渦巻いていた。

そこにロドニー・キング事件のLA市警警官に対して無罪評決、ラタシャ・
ハーリンズ射殺事件における韓国人店主への異例の軽罪判決が引き金とな
り、黒人社会の怒りが一気に噴
出して起きた事件であるといえる。

<引用終わる

このように増え続ける少数だったはずの民族が今や白人の人口を凌駕する
のも遠くないだろうと言われている。その非白人やイスラム教徒の流入を
食い止めた いとするトランプ大統領の大統領の発令も解る気にはなる。
だが、22年半のアメリカ の会社勤務の間に1度も話題にならなかった
し、誰も語ろうとしなかったほどの微妙 な案件に、大統領が触れたのは
得策ではなかったようだと思う。

私は自分が少数民族の一員なのか、一部で古くから言われた「名誉白
人?」なのか等に思いが及んだことはなかった。だだ、アメリカの会社の
一員として職の 安全(jobsecurity と言うと何度も述べた)の為に、何
とかして彼らの中に溶け込 んで「一員である」と認識させようと懸命
だった。その為には、何とかして対日輸出 で成果を上げていくしかない
のだった。

では、私か彼らの一員として認められていたかとお尋ねか。ある時「君が
話している英語と仕事ぶりと、着ている服や持ち物を見ていれば、てっき
り心を許し ても良いだろう仲間の一人だと誰しもが思うだろう。

だが、君の正体は何処まで行っ ても骨の髄まで日本人なのだ」と同僚に
言われたことがあった。これは果たして褒め 言葉か、それとも仲間じゃ
ないと言っているのか。悩んだものだった。だが、何処ま で行って
も、如何なる場合でも「日本人としての誇り」には徹底的に執着したもの
だった。

矢張り、最後に英語の講釈をすれば “You are a Japanese to the core.”
というのが、「骨の髄まで日本人だ」に当たる英語だった。

2017年09月01日

◆徴用という名の強制労働の実態

大江 洋三



韓国で、慰安婦や徴用工が日本軍による強制扱いされるのは、1910年
から36年間大日本帝国に併合されていた事が腹立たしいからだと思われ
る。何故なら、自尊心だけは巨大な国民性だからだ。

従って、先の大戦において戦勝国の立場にいたいのが韓国あるいは韓国人
の悲願と妄想である。

中共の「対日戦勝70周年祝賀」に、朴・クネや藩儀文(前・国連事務総
長)が喜んで参席した主たる理由である。

併合は、1894年の日清戦争、1905年の日露戦争を経て、時の正当政府間の
条約調印に基づき行われた。時代背景とすれば両国の平和安全保障条約に
見えるが、正確には蝙蝠外交をする傍迷惑国の吸収併合であった。そんな
訳で併合に賛成はあっても反対する列強はいなかった。押し付けられたと
いう説もあるほどである。

ところが、韓国はこの条約は遡及して不法で無効だという。その結果、韓
国では1919年の3.1運動を独立闘争に仕立ててしまった。

あの暴動は、天候不順の凶作が原因で一種の「飯よこせ暴動」に過ぎない。

しかし、日本の左翼が加担して大日本帝国による悪辣な収奪植民経営から
の解放闘争に化けてしまった。こうして、彼らは日本と戦争したと妄想
し、3.1運動をもって対日闘争の始まりとした。従って8月15日は独立
記念日であり妄想して戦勝の日となった。

初代李承晩大統領はサンフランシシコ講和条約に対日・戦勝国として加わ
ろうとしたが関係各国は全く相手にしていない。日本が日本に宣戦布告す
る事はあり得ないからだ。

ウイキペディアから韓国の憲法前文を記と「悠久な歴史と伝統に輝く我々
大韓国民は3.1運動で成立した大韓民国臨時政府の法統」を継承する。
(続きの解説からするとこのウイキペディアの著者は、在日韓国人か左翼
の論客である)

従うと、彼等は半島内で大日本帝国の官憲と闘争したのであるから慰安婦
も労働提供も強制でなければ筋が通らない事になった。

同ウイキは第一次世界大戦後の崇高な民族自決の余波などというが寝惚け
ないで欲しい。その前に、日清戦争と日露戦争という高い犠牲を払って半
島の民族自決を促したのは日本である。自決できないから併合した。

半島人の妄想は勝手だが、日本にも同調する人が多いのは困った事である。

彼rがいう強制労働の発端は、1938年に帝国議会で成立した「国家総動員
法」による。米ソの介入で支那戦線が厳しくなり早く終わらせるために、
この法案が成立した。後に各種の勤労動員法につながる基本法である。
戦争に負ける事を望む者は「獄舎の罪人」しかいないから、国民は素直に
従った。半島人も日本人だったから従った。

米国はむろん各国とも戦争になれば、この種の特別法や大統領令が発布さ
れ国民は奨んで従った。米国でも女性が戦車他武器製造の現場に立った。
各国国民とも自分の国が戦争に勝つ事を望み、負ける事を望まなかったか
らだ。

富者も喜んで、法案や政府令による戦争資金の提供(税金や物資)に協力
した。

3年前、世間を賑わせた仏の経済学者ピケティーの功績の一つは、戦争経
済が最高の非格差社会である事を提示した事だ。

富者も「自分の国が勝ちますように」と積極的に富を政府に拠出するから
そうなった。実際に米国の最高所得税率が90%を超えた事もある。
これらの現象は、法に基づく協力というべきで強制ではない。ましてや、
武力で脅して協力させたなどはトンデモない作り話である。
日米戦も後半にはいると、半島人が多く勤労に従事したのは確かである。
内地の働きて男子は兵として国に協力したからだ。我が家の長女も呉の軍
需工場に赴き兵器製造に勤しんだ。
半島人の妄想に乗った人に大作家の五木寛之氏がいる。氏はNHKで語っ
ていた。
「筑豊炭田では、多くの朝鮮人が強制労働をさせられ命を落とした」
炭鉱事故が半島人の命を奪った事は確かであるが、基本的な処で氏は間
違っている。
そもそも半島人は敵国人ではなかったし、戦場外の平和地で対価として賃
金を頂戴していた者を被強制者といえるのかという問題がある。兵ではな
いから困難な肉体労働の賃金は高い。彼らは喜んで内地に労働に来た。
自発的に兵員以外で戦争協力をしたのであって、彼らも負ける事を望まな
かったからだ。
戦争協力というと「トンでもない」と突発性ヒステリーが起こりそうだ
が、実際に事がおきたら、或いは起きそうになったら、自分はどう行動し
たか或いはするか想像する事は大事である。
この点では、近視眼的歴史学者よりも人を語る文学者の方が勝れるだろう。

◆「措置入院」精神病棟の日々(59)

“シーチン”修一 2.0



16日ぶりにキーを打つ。なにしろ忙しかった。お盆で子・孫は来るし、皆
が楽しみにしているので料理に手間はかかるわ、洗濯物はすごい量だし、
幼児のオネショなどでシーツを何枚も洗ったり・・・

その一方で、激しい雷雨もあり、ここ2か月ほどは防水、漏水修繕に努め
てきたが、1Fテナントに確認すると今回は「ちょっとだけ漏れた」とい
う。原因を探ると、1F用エアコンの3F屋上にある屋外機からのパイプガー
ドが劣化して、そこから雨水が入った可能性が高いこと、さらに前回の補
修では技術的&材料的に手が付けられなかった笠木のコーナー部分からの
漏洩の可能性が高いことが分かった。

このために漏水修繕は最優先事項であり、通常の家事をこなしながら作業
したので、もう午後にはクタクタ、それこそ根性で夕食を作り終えると
ベッドにバタンキュー。新聞も8日分溜まったまま、メールは受信トレイ
に214通、迷惑メールに1075通が未読で、ブログを書くどころではない。

8/22には病院にも行ったが、KはDr.に「修一はずーっと軽躁状態です」と
言っていたが、軽躁でなければとても務まらないだろうとは思う。昨日か
らは排水パイプの掃除を始めたし、今朝8/30は給水パイプのすべての交換
について業者と打ち合わせをした。水道管は小生の手には負えない。

小生のビルは1984年築で、もう33年も前。当時は標準的だった金属製給水
パイプはさすがに寿命で、いつ大動脈破裂を起こすかヒヤヒヤものである
(今は塩ビパイプが主流だが、最新式のは自由自在に曲がるそうだ)。事
故が起きる前に手を打っておいた方がいい。

(ま、アカモドキは3発目を食らわないと現実を理解できないだろうが)

そう言えば今日で発狂による緊急措置入院からちょうど10か月、退院から
7か月だ。腰痛以外はオツムを含めてまあまあだが、人格はずいぶん変
わった気がする。他者に期待することはないからイライラすることも少な
いし、諦観が強くなり、目先の工作(趣味であれ、仕事であれ)が未完成
でも「ま、いいや。もう思い残すことはない」という気分だ。

腰痛が一番悩ましいのはPC遊びが不自由なことである。1本の記事を書く
のに小生は6時間かかる。以前は3時間だった。今は同じ姿勢だと1〜2時間
で腰がおかしくなるから、脱稿するまで結局3日間ほどもかかってしま
う。老衰とはそういうことだと体で実感する。

久し振りの病棟日記から。

【2016/12/14】*9:00、院内運動。「運動するのはいいけれど、院内で
走ってはダメ」とナースに注意された。彼女は猫をペットにしているので
通称“キャット”。猫のいぬ間にランニングか。

*10:20、Sという75歳ほどの方が相部屋になり、挨拶を交わす。「タバ
コは吸えますか?」「外に喫煙所がありますが、許可が出るまでに1〜2か
月かかりますよ」と言ったらがっかりしていた。あだ名は“スモーカー”。

*11:40、風呂上がりで気分がいい。いつもニコニコしているが、話して
いるのを見たことがないという、小生にとっては理想形の“マドンナ”が女
どもに囲まれて三つ編みだらけにされている。微笑ましいが、ナースから
ダメだし。許せば皆がやりだして収拾がつかなくなるし、本人の自立の妨
げにもなってしまうからだろう。

集団を統率するためには規則、規則、規則、ルール違反は罰するというわ
けだ。個人として自立し、かつ識見があるのなら緩やかな規則でいいのだ
ろうが、「上に政策あれば下に対策あり」「騙される方が悪い」という民
族性の14億の国では、苛烈な強権独裁で治めるしかないのだろう。

「自由民主湯」や「人権法治丸」なんて服用したら、「ナメクジに塩」の
ようなもので即死し、痕跡さえも残らないに違いない。かの国の最後をぜ
ひぜひ目撃したいものだ。老人を待たせてはいけない。

*14:50〜15:30、グループミーティング「わかば」。老婦人5人、男は
小生のみ、カウンセラーとナース各1人。「かれは」「おちば」「わくら
ば」だな。小生は昨日清書したレポートを読ませられたが、婦人連は気楽
に病気について語った。それによると入退院を繰り返す人が多い。

心の病は完治しないから厄介だ。小生もリピーターになるのだろうか。自
分がだんだん陰気になっていく感じがする。

16:15、“キャット”来、「熱はどうですか?」。36.4度で問題なし。夕べ
はあれこれ疲れ果て、知恵熱を発したのだろう。

【12/15】*毎日13:00〜16:50の4時間弱は、許可を得た患者は外出でき
る。彼らは皆うきうきしているが、ナント、退院した“ボス”と美女の“女
子バスケ”が一緒にいた。多分デートなのだろうが、同病相憐れむで、支
え合っているカップルは結構多いのかもしれない。

“神の手”で有名な“古代史研究家”はインチキがばれてから精神を病んだ
が、病院で知り合った女性患者と結婚した。彼女の介護が彼の生き甲斐に
なったようだ。

カミサンによると女性患者が男性看護師に恋するケースは珍しくないよう
で、そう言えば井上雄彦の「リアル」でもそういう場面があったっけ。

*15:45〜16:00、“ピーコック”による心理面接。このところとてもブ
ルーで、生産的な考えがまったく浮かばない。夢も希望もなく、はかなく
露と消えていきそうな気分。完全にビョーキ! 人生一寸先は闇だ。やり
残したことはあまりないからいい方だが、この日記も「狂人日記」になり
そうで・・・

相部屋の“スモーカー”が今朝から体調を崩し、あっという間にいなくなっ
た。多分、転院だろう。高齢者は環境が急変すると生きる意欲が速攻でな
くなるようだ。

夕刻、ナースの“女帝”が聞く、「修一さん、今日は何色?」、「ブ
ルー」。「あら、ピンクじゃないとダメよ、断酒会でハイキングしたり、
新年会をしたり、面白いわよ」

アルコール抜きでも楽しいのかな。(つづく)2017/8/30

2017年08月29日

◆スポーツの用具の進歩と改良

前田 正晶



先に、甲子園の野球でホームランが増えた背景には、高校生たちの体格と
身体能力の向上と練習法の近代化があったと述べた。しかし、これ以外に
重要なことがあり、それは用具の質が非常に良くなっていたことを挙げて
おきたい。

尤も、張本勲などはホームランが増えると、常に「飛ぶボール」原因とし
て挙げるが、これだって用具の進歩と変化の範疇に入るかも知れないと思う。

そこで、私が用具の進歩を言う根拠を述べていこう。それは1975年頃だっ
たか、1959年以降は縁が切れていたサッカーを再びやるようになって気付
いたことだった。

縁が切れた理由は、1958年12月に急性肝炎に襲われて1ヶ月半も会社を休
んでしまったので、会社員としての将来を考えて自粛したのだった。

そこに、記憶は曖昧だが1975年頃だったか中学から高校の蹴球部の同期
だった近藤平八郎君(故人、当時は近藤乳業社長)に強烈に勧誘されて、
その頃は住んでいた藤沢市の「藤沢四十雀」に参加したのだった。

しかし、最早道具も何もなくなっていたので、一つ覚えのような昔なじみ
の蹴球靴の専門店、小石川の茗荷谷(?)にあった「安田靴店」に買いに
行った。ここで暫く安田の思い出を。

安田靴店は紆余曲折を経て今ではYASUDAになっているらしいが、あの頃に
蹴球をやっていて知らない者がいなかった名(迷?)店だった。原則は誂
えのはずだが、出来上がりの日に取りに行ってみると足に合っていない靴
を出された経験があった者は何人もいた。

噂では、あり合わせの靴を渡すのだとなっていた。今ではあらゆるスポー
ツ用品のメーカーがサッカー靴を扱っているが、往年は安田しか無かった
と思う。

当時は靴の底に付けるポイントなどは余った皮を丸く抜き、何枚か重ね合
わせて釘を金槌で叩いて打ち付けているようなものだった。昭和23年
(1948年)の福岡国体に出場する前に安田にポイントを打ち付けに行った
時に出会ったのが当時の早稲田の名FW・岩谷俊夫さんで、お言葉を賜る幸
運に感動したものだった。大学までは安田の靴を履いていたと思う。であ
れば、1975年に安田に行ったのは当然だっただろう。

四十雀で再び恐る恐るボールを蹴ってみると、驚くほど遠くまで飛ぶの
だった。その具合はといえば、その日の試合の相手だった高校の1期下の
連中が作っていたテイ―ムの連中に「40歳を過ぎてキック力が向上すると
は珍しい人だ」と揶揄されたほどだった。

遠くまで蹴れるようになっただけではなく、シュートだって矢のように?
ゴールネットに突き刺さっていくのだった。



そこで、周囲の連中に解説して貰うと、「その昔の皮を縫い合わせて中に
ゴムのボー
ルが入っていて重かったものが、合成皮革(なのか?)等の材料を使うよ
うになって
軽量化された上に、サッカーの靴もその質が飛躍的に進歩していること
も、キック力
の向上に繋がっているようだ」ということだった。今にして思えば、現在
の高校生た
ちとは違って40歳を過ぎて身体能力が向上する訳はないのだから、キック
力の向上は
用具の進歩に負うところ大だったのだろう。



ここで、話を野球に戻せば、食生活も違って体格も良くなってきた若者
が、近代的な練習法で合理的に鍛え上げられれば、ホームランが沢山出て
も不思議はな いということになりそうだ。しかも、高野連は高校生に金
属バットを使わせているの も助けになっているのではないのか。



そこで、思いつくままに、他の競技の用具を考えてみると、陸上競技では
棒高跳びの棒には昔は木か竹が使われていたが、今ではガラス繊維強化プ
ラスティッ ク(GFRP)や炭素繊維強化プラスティック(CFRP)等に変
わっていると聞く。トラッ クの材質だって土ではなく「アンツーカー」
になっているという具合だ。

結論めいたことを言えば、スポーツにおける記録の飛躍的向上には選手た
ちの身体能力を科学的且つ合理的に向上させた練習法と、用具の進歩があ
るのだろう と思う。だが、水泳だの陸上競技のトラック種目等には用具
の進歩や改良が何処まで 貢献したかは私には解らない。


2017年08月26日

◆トランプのアフガン新戦略

Andy Chang



トランプ大統領は21日、16年続いたアフガン戦争について新戦略を発表し
た。シャーロッツビルで起きた白人至上主義者のデモと反対グループの衝
突事件でメディアと左翼グループからさんざん批判されてきたトランプだ
が、このアフガン新戦略の発表については多くの共和党議員が賛成と評価
を述べたものの民主党側の批判はなく、メディアの反応も殆どない。

アフガン戦争は3人の大統領が関わったアメリカの歴史で最も長い戦争だが、
戦争が長引いたにも拘らず勝利と言える結果はなく泥沼状態である。

トランプの発表した新戦略はこの泥沼から抜け出す方針を明確にしたと評
価されている。

●アフガン戦争の概要

アフガン戦争はG.W.Bush大統領時代の20010年10月7日に始まった。アメリ
カが9.11の同時多発テロ事件の首謀者として指定したアルカイーダの引き
渡しに応じなかったタリバン政権に対し、米国主導のもとに有志連合諸
国及び北部同盟(アフガニスタン暫定政府)がタリバーン勢力と武力衝突
を始めた戦争である。

アフガン戦争はブッシュ(2001`2008)、オバマ(2009~2016)から現大
統領のトランプ(2017〜)まで16年続いても決着はついていない。タリ
バーンは36万人のうち2万人の死者、アフガニスタン政府は2万5千人、米
国連合軍は9千人の死者を出した。民間も3万人の死者を出した。

オバマはブッシュのアフガン戦争に批判的で期限付きでイラク撤兵を強要
した結果、中東戦線は泥沼状態となった。

オバマが事毎に前線司令官に干渉したので戦略がコロコロ変わると批判さ
れた。この期間に中東戦線の司令官は12人ほど更迭された、と言うより司
令官がオバマを見限って引退したのだ。16年の戦争で12人の司令官と言え
ば殆ど毎年に一人である。

●新戦略の概要

このように戦略が決まらなくては解決は出来ない。トランプの発表した新
戦略は政治家や軍部、評論家などから好感を持って迎えられた。新戦略は
以下の8点と言われている:

1.将軍たちや閣僚と会議した結果、戦線の早期終結はないとした。

2.戦争は勝つまで戦う。勝つとはテロを撲滅することである。

3.早期撤退はしない。(現今の84000人に新たな4000人を追加)

4.パキスタンにアルカイーダ保護を警告する。インドの参加を要請。

5.終結に時間の制限はない。

6.軍事だけでなく政治交渉も進める

7.アフガニスタン政府の為ではなく、アメリカの安全の為に戦う。

8.戦いに制限をつけず軍部に任せ、大統領は支配しない。

このうち第8点については、オバマのアフガン戦争はアフガン政府の民主
化を推進しアメリカは撤退と不干渉、ホワイトハウスからのマイクロマネ
ジメントで失敗したことを指している。

トランプの新戦略とはテロに勝つ、アメリカの安全が第一であるとしてい
る。その上で武力の他に政治協議も可能(第6点)とタリバンに呼びかけ
ている。

重点はパキスタンにアルカイーダを保護するなと警告したことだ(第4
点)。これは今後アルカイーダが国境を越えてパキスタン内に逃げ込んだ
らアメリカ軍は容赦なく攻撃するということだ。

また、インドとパキスタンと敵対関係にあるからインドの参加を要請した
ことはパキスタンに強い圧力を加えたと思われる。但しインドがアフガニ
スタン戦争に介入するとは思えない。

この戦略に別の見解を発表した人も居る。アメリカが中東から手を引くに
は三つの方法がある。第1はもっと多くの兵員を動員してアルカイーダと
ISISを徹底的にたたき潰す方法だが、今のアメリカは厭戦気分が高
く、何年かかるか見通しがつかない。第2はベトナム戦争と同じく早急に
撤兵することだが、これはアメリカの負けであり、中東は真空状態となっ
てISISが勝つか、ロシアが漁夫の利を得るかで最悪の方法だ。

第3の方法がトランプの述べた新戦略で、兵力を残してテロと戦いなが
ら、「武力と交渉」でだんだん兵力を引き揚げることである。

●不干渉と孤立の違い

オバマの政策は中東各国の政府に民主主義を押し付けて各自テロと戦わ
せる、武器を提供して米軍を減らす戦略だった。オバマが軍部の反対を押
し切って期限付きでイラクから撤退したためイラクは真空状態になって
ISISが入りこんだ。

リビアではカダフィ政権を倒したあとでベンガジ事件が起きた。

エジプトでも独裁政権を倒したあと国内は今でも混沌としてる。みんなオ
バマの失敗である。

トランプはオバマの戦略がアメリカの衰退を招いたとして、アメリカが世
界各地の紛争に介入する目的はアメリカの安全とテロ撲滅であると定義し
た。つまりオバマの中東撤退はアメリカが世界各国の紛争から引いてアメ
リカが孤立した。2度とオバマの間違いを犯してはならない。

トランプは他国の政府を援助(オバマの民主化政策)するのではなくアル
カイーダ、ISISと、一切のテロと覇権に干渉する。これがアメリカ・
ファーストの目標である。他国政治への不干渉とアメリカの撤退と孤立と
は違う。アメリカの利益の為に干渉する、他国の民主化は目的ではないと
言う。

●トランプ・ドクトリン

トランプのアフガン新戦略が国内で評価された理由はここにある。これは
トランプ・ドクトリンであると私は考えている。ポール・ライアン国会議
長も今回の発表はトランプ・ドクトリンだと述べている。

トランプ・ドクトリンとはテロ撲滅や世界の平和を脅かす紛争に干渉する
が、他国の政治に干渉はしないと言うことだ。アメリカが諸国の紛争から
撤退して鎖国のように孤立するのではない。

不干渉と鎖国の違いを区別するのは難しいがアメリカは鎖国ではなく、ア
メリカの利益になることなら干渉すべきことは介入する、アメリカの覇権
は維持するということだ。

このドクトリンはアフガン新戦略だけでなく、中国や北朝鮮にも警告して
いることになる。北朝鮮の核保有は不可、中国の南シナ海、台湾や尖閣諸
島への進出にも警告したのである。トランプがアルカイーダと政治決着を
つける用意もあると述べたことは、中東から平和的に撤退する代わり北朝
鮮と中国の覇権を抑止することになると思われる。(在米台湾人地球物理
学者)



2017年08月19日

◆蔡政権の現状萎縮

Andy Chang



私が東南アジア平和連盟(PASEA)を提唱した(AC通信No.357)のは2011
年7月だった。それから一年後に安倍首相がダイアモンド構想(Asia’s
Democratic Security Diamond)を発表したので心強く思ったものだが、
これと言った発展はない。

平和構想もダイアモンド構想も日本が主体となるべきだが、私の提案は台
湾が主体となって南アジア諸国と外交を展開すべきだとしていた。当時の
台湾は馬英九政権で中国一辺倒だったから、民間の台湾人が主体となるこ
とを期待したが何も起こらなかった。

去年の選挙で蔡英文が総統に当選し、国会も民進黨が過半数を占めて完全
執政と言われた。蔡英文は南進政策を提唱したが、この1年半は現状維持
どころか外交、内政みんな停頓したままだ。現状維持ではなく現状萎縮で
ある。

蔡英文は中国の要求する「92共識」を無視して現状維持を続けているが、
中国の爆撃機の編隊や空母群が台湾の周囲を航行するようになったのに
台湾側は抗議せず沈黙している。現状維持ではなく萎縮が顕著になっただ
けである。

●アメリカの曖昧政策は間違い

アメリカは台湾がアジアの平和に最も重要であることを理解している。し
かしアメリカの歴代大統領は誰一人として台湾の領土問題を解決せず、曖
昧な態度を取り続けてきた。

台湾は中国の領土ではないからアメリカが台湾国を承認すれば解決する問
題を糊塗し続けてきた。中国の恫喝に反対する態度を取れないからである。

一部の台湾人はアメリカが台湾の主権問題に決定権があるように思ってい
るがそうではない。台湾は米国の領土でも中国の領土でもない。台湾の現
政権が「中華民国」を維持すれば2つの中国となり、アメリカは曖昧にな
らざるを得ない。

米国の国会が通した台湾関係法は中華民国を認めないが「台湾の現政権」
と関係を維持するだけの曖昧さを守ってきた。現政権は中華民国で、これ
は台湾政府が主張する名称である。アメリカは台湾独立を支持しない、と
レーガン6か条に書いてある。中国は台湾が独立すれば攻撃すると威嚇し
ているが台湾の主権に干渉する権利はない。

このジレンマを解決するにはアメリカが台湾の現政権を台湾と呼べばよ
い。しかしアメリカにとっては台湾が中華民国ではなくて台湾であると声
明しなければ台湾と呼べない。蔡英文は委縮している時ではないのだ。民
間には公民投票法案を通してから国民投票で正名運動を始める計画がある。

●国民党こそ諸悪の根源

2大政党は民主政治の理想的形態だと言うが台湾では通用しない。台湾
には民進黨と國民黨の2大政党があり、国民党は中国との統一を主張して
いるにも拘らず、民進黨は独立を主張しない。これこそ民進黨政権が萎縮
している原因である。出来ないのではない、やらないのだ。

民進黨政権は発足してから転型正義を唱え、司法改革、年金改革、国民党
の違法取得財産調査など、重要案件は山ほどあるのに進展しない。国会で
投票に持ち込む度に国民党と乱闘になる。今でも退役将軍が中国で講演
し、軍の機密漏洩、銀行の違法送金、造船汚職などが起きている。行政院
長、外交部長、3軍総司令などはみな外省人である。

台湾が中華民国を脱却しなければいつまでも中国の圧力を受けて現状維
持と呼ぶ萎縮を続けることになる。諸悪の根源は国民党の統一派だが、蔡
英文政権が無力で国民党の勢力に押されているのが現状である。

●蔡英文は陳水扁の冤罪を晴らせ

民進黨が台湾人民の支持を失った原因の一つは陳水扁の冤罪を解決しな
いことである。馬英九がでっち上げの罪で陳水扁を監獄に入れて虐待した
結果、陳水扁はひどく健康を害して今では車椅子に乗って行動するように
なった。陳水扁が起訴された3つの罪は全て国民党のでっち上げで、当時
の証人がみな国民党に脅迫されて偽証したと述べた。それなのに彼はまだ
無罪判決を得ていない。

民進黨が政権を取ったあと人民は蔡英文に陳水扁の冤罪を晴らせと何度も
要求したが、民進黨は陳水扁の冤罪を晴らすことに反対し、蔡英文総統の
特赦もない。これでは台湾の転型正義は絵に描いた餅である。民進黨が嘗
ての党首陳水扁を敵視する理由がどうであれ、これは正義と人道に反する
行為であり、人民が民進黨を唾棄する原因である。

民進黨がどのような政治的利害関係で陳水扁無罪に反対するのかは知ら
ないが、蔡英文は全台湾人の総統である。民進黨の内情よりも台湾の正義
のためにも早急に陳水扁の無罪を晴らすべきだ。

●現状維持は自己束縛ではない

現状維持はアメリカが台湾に「勝手な行動で中国を刺激するな」と要求し
たことは一般の知るところである。でもアメリカは台湾を束縛する権利は
ない。

台湾が自己束縛する必要はない。アメリカも自己束縛を要求していない。

中国を無視して日本と東南アジア諸国との外交を活発にする、これこそ
PASEA外交である。中国の戦闘機や軍艦が台湾の周囲を航行するなら
アメリカの空海軍に台湾の軍事基地の使用を許可すればよい。

現状とは「台湾は台湾人のものだ」と言うことだ。蔡英文は現在の無為無
策から脱却すべきである。外交と同じように大切なのは内政である。2党
政治よりも国民党を排除して台湾人の政党を援助し、閣僚、軍部上層部、
財政部の改革、汚職追放、官商癒着など、外省人が台湾を食い物にしてい
る現状を一掃することである。(在米台湾人地球物理学者)


2017年08月16日

◆「措置入院」精神病棟の日々(58)

“シーチン”修一 2.0




山本夏彦翁は「友達は生きている人だけではなく、故人とも友達になれ
る」と書き、二葉亭四迷から始まり、友達の友達は友達の“芋づる式”に斎
藤緑雨などなどとも親しくなったという。

孤島暮らしのような静かな日々の中で、小生の新しい友達は雀だったが、
ついに37羽にまで増えると「ウーン、ここは難民キャンプか」と困惑し始
めた。可愛らしかったのが“芋づる式”で増殖し、いささかキモいような・・・

小生は無口だが、妄想か思考かは分からないものの、とにかく終日「考え
る人」で、脳ミソはいつもグルグル回っている。扇風機なら「中」「強」
あたりだ。

で、この雀の群を眺めながら、「スズメ」というあだ名の女の子が登場す
る小説は何だったのかなー、とか思ったりする。

今朝は薄緑の塗料を作ろうとペンキを撹拌(かくはん)していたら、脳ミ
ソの奥の奥の、ほとんど死蔵されていたようなメモリーの片隅から、友達
だった江戸っ子が甦った。チャキチャキの神田ジェンヌで、シャイだけれ
ど、酒が入ると饒舌になる。

神田ジェンヌの父上は塗師で、その業界では名人として知られており、国
や自治体の仕事もしていた。お呼ばれしてご馳走になったが、お土産は中
古ながら小型の冷蔵庫だった。「独立おめでとう、新しいオフィスには必
要でしょうから。わが家で使っていたんですが、うちには小さすぎるか
ら、良かったらどうぞ」

江戸っ子はシャイで、気前がいい。有難くいただき、後日に車で取りに
行ったっけ。

お呼ばれの席で、神田ジェンヌはこんな話をした。

<NHKが父を取材しに来たことがあるのよ、業界の噂を聞いたんじゃな
い? で、仕事ぶりを取材したいって。

でね、父は塗料から作り始めたの、何時間もかけて。いつもは出来合いの
ものを使っているのにさあ、「100年たてば自家製塗料と市販の塗料とで
ははっきり違いが出てくるけど、100年生きている人はいないからなあ。
今回はNHKの撮影で、まあ記録に残るから」って。

NHKは感心しながら取材していたけど、番組を見た人は「さすが名人、こ
こまでやるか!」って記憶したんじゃない、ホント、おかしいわよね>

寡黙な父上は娘の話にニコニコしながら大好きな寿司をつまみに冷えた吟
醸酒を飲んでいた。東京原人、江戸っ子の職人、名人にはこんな人が多
かったのではないか。

NHKのこの番組を見た人は「塗料から作るのか!いやはや名人とは凄いも
のだ」と思ったろうが、「事実・真実・実際・現実」と「報道」とは違う
(ちょっと違う、かなり違う、まったく違う、正反対、やらせ・捏造・
嘘)とはまず分からない、思わないし、制作現場でそういうこと(演出と
いう名のインチキ、ヤラセ、曲解、悪意など)があるとはほとんど知らない。

報道、マスコミは事実、真実、公正とずれることがある(トランプが言い
始めた“フェイクニュース”は国際語になりつつあるようで、大いに結構
だ)から、それなりの読解力、猜疑心(裏読み)、報道しない権利、でっ
ち上げなどを見抜く目利き=眼力(メディアリテラシー)が大事というこ
とになる。

ところが残念なことに読者、視聴者の多くは「報道=(それなりの)真
実」と思い込んでいる。中2坊主は半分子供だから騙されやすいのだ。人
が良過ぎる、お人好し、初心、♪今夜しみじみ知らされた 男心の裏表
(歌:バーブ佐竹)。報道の裏表。

馴染みの小料理屋で週刊新潮に連載して好評を博していたジャーナリスト
の友A君と飲んでいたら、A君がママさんに「この前テレビで紹介されてい
たけど、タレントと偶然出会うなんてスゴイ縁だね」と言った。ママ曰く――

「ああ、あれね、何日も前から“開店前に歩道に打ち水していたらぱった
り(主役のタレントと)出会うということにしましょう”ってTV局から言
われていたのよ」

海千山千のプロのジャーナリストもコロッと騙されるのだ。

東大法学部卒で毎日ションベン(キーを打ち間違えた)じゃなかった毎日
新聞の売れっ子記者だった内藤国夫は「坪内寿夫 経営とはこうするん
や」でワンマン経営者の坪内を神のごとく絶賛していたが、やがて坪内は
墜落し、今では内藤も坪内もすっかり忘れられた。

ダイエーの中内功もワンマンでありながら世間と報道は持ち上げたが、結
局は失墜した。中内に大マスコミの記者も心酔していたのだ。その全盛時
に雑誌「経済界」(創業社長は「佐藤正忠“寄生虫”」と揶揄されることも
あったから、ちょっと強面(こわもて)、総会屋、羽織ゴロのような趣が
あったのだろう)で営業をしていた先輩が、「中内は俺の目の前で部下に
電話機を投げつけた」と言っていた。

(「正忠ならともかく、よりによって『経済界』の営業の野郎のアポなん
か入れるんじゃねーよ」と秘書に八つ当たりしたのだろうが、電話機とい
うのは尋常ではないね。尋常ではないからこそ価格破壊ができたのだが)

記者連中は中内の横暴な面をたとえ知っていても「報道しない自由」か
ら、あるいは社の方針に沿う形で筆を曲げるのである。

(逆らえば降格処分や記事をボツにされるイジメに遭うことは最近の長谷
川幸洋/東京・中日新聞論説委員の例がよく示している)。世間の裏のそ
んなイロハを中2坊主はまったく知らない。旦那が「朝日の購読を止め
る」と言ったら奥さん曰く「嫌よ、朝日はTV欄が充実しているから」。国
民の多くはこのレベル。大学出てもロバはロバ。閑話休題。

昨日ヒーロー、今日ヒール、昨日ウィナー、今日ルーザー、昨日トップ、
今日ボトム・・・諸行無常は世の常で、人も世間もずーっと同じというこ
とはない、「空しいものよ」と鴨長明は800年前に嘆息し籠居していた。

小生だってきれいごとでは済まない。米国大使館から仕事を貰い、その縁
で英国政府、豪州ビクトリア州政府などからも仕事が入ってきたら、それ
までの反米から一気に親米になり、自分で自分の人格を疑ったが(以来、
自分で自分を常に疑っている)、世間とか商売に迎合はつきものだから、
新聞にしろTVにしろ「千三つ」とは言わないまでも「話半分」「眉唾」ぐ
らいに思っていた方がいい。

大の男が女子供みたいに報道などを真に受けていると「人生を誤るぜ、牛
尾でいいのかよ、少なくとも鶏頭を目指したいとは思わないのかよ」と、
スピンオフやイノベーションが大好きで、「常にアグレッシブ、いつも前
進」を肝に銘じていた小生はイヤミを言いたくなる。キチ○イなった今で
はそんな資格はありゃあしないが・・・

子供の頃から「笑点」を見、老人になっても相変わらず見ている人がいる
だろうが、オツムは中2のまま、まったく成長がない。学年雑誌の「中2
コース」を老人になってもまだ読んでいるようなもので、小4から週刊新
潮を愛読していた(スケベな「黒い報告書」を真っ先に読んでいた)小生
もさすがに20代で卒業し、化学と地学と物理以外はまあまあ高2終了レベ
ルのはなったが、永遠の中2なんて、「もうこれは・・・」と絶句するし
かない。

500年前にマキャベリ曰く――

「民衆というものは、しばしば表面上の利益に幻惑されて、自分たちの破
滅につながることさえ望むものだ。彼らから信頼されている人物が、彼ら
に事の真相を告げ、道を誤らないよう説得でもしなければ、この民衆の性
向は国家に害を与え、重大な危険をもたらす源となる」

マスコミのほとんどは「フェイクニュースで民衆を騙し、国益を損なうよ
う扇動している」のだ。

残念ながら世間はいつの時代でもそういうものだから、小生のような規格
外、異端児、キチ○イは遁世、厭世、隠棲、逼塞、蟄居し、黙り込んで雀
を相手にし、有名なボストン絞殺魔を真似て「カワサキ工作魔」と自嘲し
ながら晩年を送るのである。

8/12、夕方から施餓鬼法要で、墓参り。お盆飾りは夕べやっておいた。13
日はKの帰宅を待って娘たちと迎え火。14日は雨で工作(ま、作業療法
ね、今は展望台を造っている)は休みだが、長男坊一家が来るので花散ら
し寿司と鶏唐揚げなどを作ることにしている。

長男には葬式用の写真を撮ってもらおう。夏休みで水遊び中の“マッチョ”
プーチンもオッパイは垂れていた、歳には勝てない。小生はTシャツ、半
ズボンでキーボードを叩いているか、右手に電動ドリル、左手に電動ノコ
を持っているところと、エプロン姿で包丁を持っているところを撮ったら
どうだろう、狂気じみて、いかにも小生らしくはないか。

“発狂亭雀庵”の病棟日記。入院から1か月半だが、日記を改めて読み返す
と、この日あたりから自分の関心が政治・経済・社会に向くようになって
きた感じがする。今は「病棟編」で、その後は「政治・経済・社会編」
「読書編」に続く予定だが、最近は睡眠中も脳ミソの停止ボタンが効か
ず、一時停止状態で、目覚めるとすぐにその続きになるという変な感じに
なってきた。

読書中に眠ると、起きるとすぐに、その次の行からパッと読みはじめる。
以前から「どうしよう、どうすればいいか」という場面になると、「ま、
脳ミソが勝手に考えてくれるだろう、実に便利だ」と楽観していたのだ
が、就寝前と目覚めの時の思考が直結しているというのはちょっと異常で
はないか。

今服用している抗うつ剤の副作用には「興奮・錯乱」「うつ症状などのも
ともとある病気が悪化する危険性」があるそうだが、ナースがしょっちゅ
う「脳を休めなさい」と言っていたのは、脳ミソを酷使するとオーバー
ヒートするから気をつけろということだったのかもしれない。

次回の受診時にはカウンセラーとDr.に報告しておこう。

とにかくこの病気は完治しないから厄介だ。こう思った瞬間に小生の脳ミ
ソは囲碁将棋ソフトのように解を求めてスイッチオンになってしま
う・・・コナン・ドイルはホームズがコカインを常用している場面を書い
ていたが、阿片も同じく多幸感、快感をもたらす、元気になる。

ジャン・コクトーは「タバコの害はほとんどないが、阿片はタバコや酒よ
りさらにまし。阿片を喫んでいた方が体調が良かった」と書いている。

今の小生が「興奮・錯乱」状態なのかは分からないが、精神がのびのびと
遊弋、高揚していることは確かだ。精神の向かう対象が専ら工作で、正気
と狂気、現実と妄想が交錯していないだけマシだが、今日のように無理を
せず、ノンビリ休みながらキーを打つのもいいものだ。とにかくちょっと
脳ミソを休ませよう。

長くなったので病棟日記は次回へ。(つづく)2017/8/14