“シーチン”修一 2.0
【措置入院」精神病棟の日々(106)】3/22は雪、その後に雨が止んだの
で彼岸の墓参り。2週間ほど前に、新住職Nさんからわが街のことを教えて
欲しいと頼まれていたので、医学博士で郷土史家の沼尻幸吉先生の著作
「わが町周辺の伝説と史話を尋ねて」を貸しておいたのだが、Nさんから
とても喜ばれ、奥様も紹介してくれた。
Nさんは40歳前後、前住職と同様に企業勤めの経験があるのだろう、頭の
回転が速く言語障害の小生の話をすぐに理解してくれるので助かった。
ツーと言えばカーと返ってくるのでストレスにならないから大いに快適だ。
参拝の帰りにスーパーと銀行へも寄った。キャッシュで何億円もあったと
ころで物欲がないから、明美ちゃん基金とか日本財団あたりへ寄付するの
が妥当だろう。相続で子孫がもめるのは嫌なものである。
そういう人に私はなりたい・・・なーんて思うようになったらいいなと思
うが、なまじ資産があるとずいぶんと悩ましいのではないか。街の金持ち
連中(年間の慶弔費500万円以上だと一人前なのだとか)を見ていると、
人が寄って来たら「金をせびられるのではないか」と不信感いっぱいで、
人間不信とか、その反作用として傲慢、尊大、横柄とかになりやすく、い
い人は余りいない感じがする。
これは、小生のただのヤッカミなのかどうか・・・小生はただの奇天烈
で、治療費はタダ同然の寄生虫、その上に精神科(印籠だね、これが見え
ぬか!)に通院(多分「自閉スペクトラム症」)しているから、罪を犯し
ても「心神耗弱/喪失で罪一等を減ずる」、さらに天国のような医療刑務
所行きだろうから、これは一種の特権階級だ。
(フランスで人肉を食べちゃった佐川君は無罪放免、座間の9人解体事件
も食べていれば死刑はまず免れるだろう。悪事にやさしいニッポン、チャ
チャチャ、アホ丸出しやで)
「罪一等を減ずる」、恥知らずでもさすがにこれは後ろめたい気分ではあ
る。だからいつも家族や国のために役立ちたいなあとは思っているが、も
う時間がないし・・・戒名は「只野吉甲斐」あたりか。
万年塀修理で36キロの板を持ち上げたら椎間板をかなり痛めたようで、大
人しく養生していればいいものを、多分「残り時間は少ないから、やり残
さんようにさっさと終活せいよ」という思い込みとか、あるいは電波が走
るのか、いささか狂気のごとく、多動児のごとく、片っ端から作業を進め
ていくようになってしまった。
まずは冬中、室内に取り込んだ50ほどの鉢植えを屋上に出して、素晴らし
い庭にした。鉢植え置き場は5メートル四方だから、大きな箱庭みたいな
感じ。室内にあるのは強い日射しを嫌う観葉植物だけで、部屋も模様替え
してすっかり、すっきり綺麗になった。
そうこうしているうちに桜が満開となり、子・孫と一緒に県立「東高根森
林公園」へ。家から徒歩で20分ほどなのだが、急勾配の坂があるので車で
連れて行ってもらった。10年ぶりかも知れず、よく手入れされており、以
前は鬱蒼とし、いささかジメジメしていた谷地は、まるで絵のような美し
さだった。
20〜30メートルのナラ、ケヤキ、クヌギ、ハンノキ、コブシ、ミズキ、サ
クラなどなど、新緑や花が陽光の中で春の訪れを喜んでいるようだった。
頂上の広くて平らな古代広場は弥生〜古墳時代にかけての竪穴住居跡で、
孫たちは子犬のようにはしゃぎ回り、♪「この木なんの木」のモンキー
ポッド(通称レインツリー。ワイキキのクイーンカピオラニ公園にもあ
る)のような、樹齢150〜200年の巨大なシラカシの木登りも楽しんでいた。
さらに歩を進めると市立「緑ヶ丘霊園」で、ここには樹齢100年ほどの桜
が300本ほどもあり、頂上からは横浜市も望める。昔は元旦に日の出をみ
んなで拝んだ場所だ。
森林公園もずーっと行きたいところだったので、娘たちには「もう思い残
すことはない」と言っておいた。4時間ほどの散策だったが、どうにか歩
けたのは良かった。
森林公園でGETした枯れ枝を持ち帰って屋上フェンスに取り付け、そこに
鉢植えを飾ったので、なんとなく英国風ガーデンになってきた感じがする。
屋上展望台の形は、元々が「1964東京五輪」の聖火台をイメージしていた
のだが、新しい材料があったので追加工事をしているうちに、円柱形に
なった。ここにプリズムみたいな分光反射板を取り付けたら「ゲージツ作
品」になり、街の人々が楽しんでくれるのじゃないかと思うのだが・・・
4歳女児の希望で小さな展望台も追加したが、彼女は冒険心が非常に旺盛
で、用水路に置かれた巨大な石をジャンプして渡るという、大人もしない
空恐ろしいことにチャレンジして、とりあえずは1トンの石にしがみつい
ていた。ヒヤヒヤもので、膝を怪我しても泣かなかったのは大したもので
ある。小生の突撃癖を引いているのではないか。将来はスキージャンプ、
スノボの選手にでもなりそうだ。翼をつけて空を滑空するウイングスーツ
に凝るかも知れない。
https://www.youtube.com/watch?v=SxjBTS5bf7Qあれこれ作業療法に夢中になっていたものだから腰は悪くなる一方で、つ
いにベッドに寝るのも起きるのも激痛で難しくなってきた。腕力でどうに
か起きて床に立つまでに最低5分はかかり、晩年の母が這いつくばってト
イレへ必死で行っていたのもよく理解できた。
尿意から5分も我慢はできやしないから、先日は床にポタポタと粗相をし
てしまった。さすがにこれには「ちとまずいわな」と脳ミソをオンにして
「傾向と対策」を考え、ベッドをリクライニングにしたら、1分で立ち上
がれるようになった。
日々、「なるほど、老化とはこういうものか」と新たな発見があるが、発
見して納得したから、それで何かが前進するかというと、全然何も進まな
い。ただ笑うだけ。「この際は笑うしかねーよなー」てな感じ。「老兵は
死なず、ただ呼吸するだけ」なんて、どうも小生の性には合わんが、の
う、じゃあ、どう老いるのがいいかというと、何だか「それを考え続ける
のがあんたの道とか美学じゃないんかいな」と天の声が聞こえてくる感じ
がする。
さてさて、北朝鮮の金王朝(軍部+神輿の金北豚)は大スポンサーの上海
閥=江沢民派の復活に一縷の望みをかけていたが、「もう上海閥は潰滅
か、待っても期待できそうもない、この際だから習近平の軍門に下るしか
ない」と天の声が聞こえたのだろう、尻尾を巻き始めた。北の核は中共に
とっても邪魔だから、「北の非核化」で欧米、韓国、日本を納得させ、制
裁を緩める、ということになりそうではある。
ただ、非核化が完全に担保されるかどうかは怪しい、というか間違いなく
反故にされるだろう。
そうさせないためには、国連/日米韓豪印による信託統治で、10〜20年か
けて北を「普通の国」、すなわち資本主義市場経済の自由・民主・人権・
法治の国にしなければならない。その見本、(米国を核とする)連合国に
とっての成功例は日本なのだから、北の人民も軍部もエリート層も「Look
East、普通の国にしよう」と納得するのではないか。
北は噛みつき犬から、ミニ日本のような大人しい、軟弱な、新興国になる
かもしれない。
「日本はなくなり、その代わりに、無機質な、からっぽな、ニュートラル
な、中間色の、裕福な、抜け目のない、或る経済大国が極東の一角に残る
であろう・・・20世紀は、勇敢な戦士だった日本人が卑屈な商人とな
り、卑屈なユダヤ人が勇敢な戦士になった世紀である」(三島由紀夫の最
後の言葉)
ミニ日本なら中共も西風の防風林として有効だと納得するだろう。韓国も
南北統一によるリスクを避けることができる。どうしても統一したいのな
ら20年後、30年後にすればいい。
日本にとってはまず拉致問題の解決が「北が取るべき始めの一歩」であ
る。前号に続き、ジャーナリスト・加藤昭氏「総連の責任を問う 金正日
の『日本人拉致指令書』全文公開!」から要約する。
<(北は拉致事件は「デッチアゲだ」などと否定してきたが)2002年9月
17日の日朝首脳会談を契機にその態度はガラリと変わる。金正日が初めて
日本人拉致と工作船の存在を認めたからだ。
(拉致は日本語教育とナリスマシのためだと金正日は言うが、金日成親子
は、米国のベトナム戦争敗退、韓国の朴正煕暗殺により)70年代半ばから
80年代前半にかけて「南を赤化統一するチャンス到来」と小躍りして本格
的な日本人拉致工作に着手した。拉致は重大な国家事業であった。元工作
員の証言によると朝鮮総連は相当数の拉致事件に関与した>(以上)
西郷翁曰く「外交に際しては『戦』の一字を忘れるな。この覚悟がなけれ
ば外交はただの商法会議所になってしまう」。毛沢東は「外交は血を流さ
ない戦争、戦争は血を流す外交だ」と言っていた。
そういう覚悟のある外交官や政治家は、残念ながら非常に少ない。日本の
外務省官僚は外交とは「高級ワインを飲んで楽しくおしゃべりするのがマ
ナー、国益なんて野暮なことは言いっこなし、対立とか戦争なんてとんで
もない」というのが戦後の伝統的な初期設定になっている。
小生は、それはわが国特有のものかと思っていたら、米国でも「国防総省
から見ると、国務省は軟弱なヘタレ」なのだそうだ。軍事部門はリアルを
常に見る、一方で国務省/外務省は相手の善意を見る、寄り添うから、毅
然とした交渉がなかなかできない、多くの先進国では宥和的、いわゆるリ
ベラル≒アカモドキ的である。戦争がなければすべてよし、という感じだ。
夏彦翁は「外交で話がつかなければ、昔は戦争で解決した。今は戦争がな
いから対立が長引く」と嘆息していた。
マキャベリは鴎外の紹介で日本でも名前は知られていたが、その内容とか
思想は「謀略的で珍奇、一種の奇妙奇天烈な奇書、悪書、まともなインテ
リが読むべき本ではない」と忌避されていたのだろう、一般的に普及し始
めたのは、クラウゼビッツの「戦争論」とか、地政学と同様にここ20、30
年ほど前からのような気がする。
マキャベリは14世紀に彼が身をもって知った政治、軍事の「リアル」を研
究し、君主=リーダーはいかにあるべきか、どう国家を動かすかなどにつ
いて、正・悪を越えて論じている。
そのリアリズムは徹底しており、「兵士の楽しみ、褒美として掠奪もさせ
ていい」とか「時に悪事をせざるを得なくなったときは電撃的にやるべき
だ。あまりにも速いと人々の理解は追いつかないで、成功を称賛する声に
雷同するようになる」「評判の良い君主より悪い君主の方が大事をなすこ
とが多い」などなど。
リベラル≒アカモドキのようなインテリからすれば、直視できないような
生々しいリアルが書かれており、インテリからすれば自分自身が「脳内お
花畑のバカ」と存在、思想、価値観を全面否定されているようなものだか
ら、マキャベリを徹底的に無視するしかなかったのだろう。
北による拉致を多くの学者、政治家、マスコミは無視した。そこには共産
主義への親和性と、反日思想、国交正常化を優先すべきだという被害者へ
の冷淡=ご都合主義というリベラルの腐った悪習がうかがわれる。
小生はキチ〇イではあるけれど腐臭はしていないと自負している。発狂亭
“アイアンクロースープレックスホールド”雀庵の病棟日記から。
【2016/12/19】月曜、快晴。*(承前)自信喪失のリベラル≒アカモドキ
の逃避先は「自己批判=自虐=マゾ」なのだろう。「悪いのは日本だ、そ
れを正せない自分たち日本人は原罪を負っている、百万遍謝罪してもしき
れないほどの悪事をなしたのだから、血は血で償われるべきだ、もっと
もっと打って、殴って、蹴ってください」とばかりに地にひれ伏すのだ。
周囲の民族でタチが悪いのは半島人と支那人で、ほとんどがゴロツキ的な
サド。「よっしゃー! 恨み晴らさでおくものか」とマゾを叩きまくって
日々のうっぷん晴らし、ここに自虐妄想マゾと被害妄想サドの醜いコラボ
が成立し、束の間の心の安定を得るのだろう。いずれもリベラル発狂派、
病膏肓、「アンタがすっきりするんなら、うちは耐えて見せますぅ」。キ
モい、キモすぎるで。
しかし「バックミラーを見てばかりのながら運転」ではポケGOあるいはス
マホのように必ず事故る。彼らは邪教信者で、目が青く澄んじゃってい
る、信心に濁りはまったくない。関わるとろくなことにならないから、
A2/Ad(接近阻止/領域拒否)で対応するのが最善策だ。(つづく)2018/4/4
◎「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動 広大な南西諸島を防衛 輸送
などに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」が
始動した。7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、訓
練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増す
中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や輸
送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2機
から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車「AAV7」
が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に成功した−。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸機
動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することになる。
団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連隊、戦闘
上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人規模に拡
充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の与
那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。しか
し、自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」と
されてきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の海
空域で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る
役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から購
入し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦駐
屯地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、今年
2月に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ整
備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。た
だ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少なく
とも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送す
るが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦3
隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国の生
産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が1970
年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸自内では
「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化を視野に
入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃と
いった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を必
要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。水
陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課題
を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を超
える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停滞
させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという強
い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【写真】
・ 陸自の南西諸島配備計画
・ 離島奪還のイメージ
・ 離島奪還を想定した訓練を行う陸上自衛隊の「水陸機動団」。後方は水
陸両用車「AAV7」=7日、長崎県佐世保市の相浦駐屯地(ロイター)
https://www.sankei.com/politics/photos/180408/plt1804080003-p1.html
【産經ニュース】 2018.4.8 06:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕
◎「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動 広大な南西諸島を防衛 輸送
などに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」が
始動した。7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、訓
練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増す
中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や輸
送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2機
から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車「AAV7」
が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に成功した−。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸機
動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することになる。
団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連隊、戦闘
上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人規模に拡
充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の与
那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。しかし、
自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」とされ
てきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の海空域
で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る
役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から購入
し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦駐屯
地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、今年2月
に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ整
備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。た
だ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少なく
とも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送
するが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦
3隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国の
生産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が
1970年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸
自内では「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化
を視野に入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃と
いった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を必
要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。水
陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課題
を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を超
える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停滞
させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという強
い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【写真】
・ 陸自の南西諸島配備計画
・ 離島奪還のイメージ
・ 離島奪還を想定した訓練を行う陸上自衛隊の「水陸機動団」。後方は水
陸両用車「AAV7」=7日、長崎県佐世保市の相浦駐屯地(ロイター)
https://www.sankei.com/politics/photos/180408/plt1804080003-p1.html
【産經ニュース】 2018.4.8 06:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕
◎「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動 広大な南西諸島を防衛 輸送
などに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」が
始動した。7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、訓
練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増す
中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や輸
送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2機
から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車「AAV7」
が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に成功した−。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸機
動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することになる。
団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連隊、戦闘
上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人規模に拡
充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の与
那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。しかし、
自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」とされ
てきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の海空域
で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る
役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から購入
し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦駐屯
地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、今年2月
に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ整
備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。た
だ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少なく
とも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送す
るが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦3
隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国の
生産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が
1970年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸
自内では「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化
を視野に入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃と
いった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を必
要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。水
陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課題
を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を超
える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停滞
させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという強
い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【写真】
・ 陸自の南西諸島配備計画
・ 離島奪還のイメージ
・ 離島奪還を想定した訓練を行う陸上自衛隊の「水陸機動団」。後方は水
陸両用車「AAV7」=7日、長崎県佐世保市の相浦駐屯地(ロイター)
https://www.sankei.com/politics/photos/180408/plt1804080003-p1.html
【産經ニュース】 2018.4.8 06:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕
◎「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動 広大な南西諸島を防衛 輸
送などに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」が
始動した。7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、訓
練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増す
中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や輸
送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2機
から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車「AAV7」
が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に成功した−。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸機
動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することになる。
団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連隊、戦闘
上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人規模に拡
充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の与
那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。しかし、
自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」とされ
てきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の海空域
で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る
役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から購入
し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦駐屯
地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、今年2月
に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ整
備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。た
だ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少なく
とも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送す
るが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦3
隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国の
生産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が
1970年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸
自内では「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化
を視野に入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃と
いった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を必
要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。水
陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課題
を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を超
える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停滞
させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという強
い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【写真】
・ 陸自の南西諸島配備計画
・ 離島奪還のイメージ
・ 離島奪還を想定した訓練を行う陸上自衛隊の「水陸機動団」。後方は水
陸両用車「AAV7」=7日、長崎県佐世保市の相浦駐屯地(ロイター)
https://www.sankei.com/politics/photos/180408/plt1804080003-p1.html
【産經ニュース】 2018.4.8 06:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕
D「日本版海兵隊」の水陸機動団が始動 広大な南西諸島を防衛 輸送な
どに課題…
「日本版海兵隊」となる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」
が始動した。7日に相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で隊旗授与式を開き、
訓練を公開した。手本とする米海兵隊も参加した。中国の軍事的脅威が増
す中、南西諸島の防衛力強化の要と期待される。ただ、即応体制の整備や
輸送力不足など課題は少なくない。
訓練は離島が占領されたとの想定で実施した。飛来したヘリコプター2
機から陸自隊員と米海兵隊員が次々と地上に降下。水陸両用車
「AAV7」が砲撃しながら隊員らとともに前進し敵陣地を制圧、奪還に
成功した−。
イラク日報問題の影響で式典出席を見送った小野寺五典防衛相は「水陸
機動団の創設により初めて本格的な水陸両用作戦能力を有することにな
る。団結して困難に立ち向かうことを期待する」と訓示を寄せた。
3月27日に新設された水陸機動団は2100人態勢で、2個の機動連
隊、戦闘上陸大隊、後方支援大隊などで構成している。将来的には3千人
規模に拡充し、1個連隊を沖縄に配備する構想もある。
水陸機動団が守る南西諸島は広大で、鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の
与那国島まで。全長約1200キロで日本の本州と同じ程度とされる。し
かし、自衛隊は主要戦力を南西諸島に配備しておらず「防衛の空白地帯」
とされてきた。その間隙(かんげき)を突くように中国は南西諸島周辺の
海空域で活動を活発化させている。
水陸機動団は島嶼(とうしょ)侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切
る役割を担うが、解決すべき課題も横たわる。
陸自は水陸機動団を運ぶ主要輸送機としてオスプレイ17機を米国から
購入し、佐賀空港(佐賀市)への配備計画を進めている。佐賀空港と相浦
駐屯地は60キロと近距離で、迅速な有事対応が可能だからだ。だが、今
年2月に陸自ヘリが佐賀県内の民家に墜落し、計画は暗礁に乗り上げている。
このため、防衛省は今秋に納入される最初の5機を、米軍のオスプレイ
整備拠点がある木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備する方向だ。
ただ、木更津と相浦駐屯地は約1千キロも離れている。佐賀に比べて少な
くとも2時間以上のロスが生じ、部隊展開への影響は避けられない。
米海兵隊は上陸作戦の際、水陸両用車や装甲車を強襲揚陸艦で海上輸送
するが、自衛隊には一隻もない。代わりに、海自の「おおすみ」型輸送艦
3隻を改修して対応するが、輸送力不足は否定できない。
AAV7も水陸機動団の発足時に36両を配備する予定だったが、米国
の生産体制の都合で12両にとどまった。そもそもAAV7は米軍が
1970年代に配備した“年代物”で、水上速度が時速13キロと遅い。陸
自内では「敵から狙い撃ちにされる」との批判が根強く、防衛省は国産化
を視野に入れた水陸両用車の技術研究を進めている。
ソフト面の課題も残る。護衛艦からの艦砲射撃や戦闘機による航空攻撃
といった援護が島嶼奪還には欠かせない。陸海空3自衛隊の高度な連携を
必要とするが、互いの“アレルギー”を完全に克服するには時間もかかる。
水陸機動団長の青木伸一陸将補も「まだ能力は完全なものではない」と課
題を認める。
日本では攻撃的要素を含む海兵隊機能の保有について「平和憲法の枠を
超える」とタブー視されてきた。ただ、現実的な脅威を前に防衛政策を停
滞させる余裕はない。水陸機動団の誕生は、日本の領土を守り抜くという
強い意志の表れでもある。(石鍋圭)
【写真】
・ 陸自の南西諸島配備計画
・ 離島奪還のイメージ
・ 離島奪還を想定した訓練を行う陸上自衛隊の「水陸機動団」。後方は水
陸両用車「AAV7」=7日、長崎県佐世保市の相浦駐屯地(ロイター)
https://www.sankei.com/politics/photos/180408/plt1804080003-p1.html
【産經ニュース】 2018.4.8 06:00 〔情報収録 − 坂元 誠〕