2015年10月31日

◆「スパイは見殺し」が日本流?

平井 修一



ドイツが米国からスパイされていたニュースは昨年だったか大いに話題になった。メルケルの携帯も盗聴されていたという。ところが先週あたりにはドイツも米国をスパイしていたというニュースが流れた。

つまり多くの国は「スパイしたりされたりする」のが当たり前だということだ。9月末には、日本人4人が中共でスパイ容疑で拘束されたと報道された。菅官房長官は「日本はどこの国に対してもスパイはしていない」と発言したが、もちろんこれは表向きの言葉で、日本もスパイしたりされたりするのが当たり前の国だ。

ジャーナリスト・三城隆の論考「あるエリート公安調査官の栄光と挫折」(デイリーNK10/8)は日本の(いささかオソマツな)諜報活動を知るうえで勉強になった。以下紹介。

<2014年3月、ある地方都市の城郭跡にほど近い政府合同庁舎から、ひとりの男が去って行った。男はかつて、公安調査庁(以下「公安庁」)のエースと呼ばれ、北朝鮮情報で右に出る者なしとまで言われた。

男が集めた情報は首相官邸に報告されるだけでなく、米国をはじめとする西側インテリジェンス・コミュニティーで共有された。その質の高さに、各国のインテリジェンス・オフィサーは惜しみない賛辞を送ったという。

しかし、そんな男が組織を去るのを惜しみ、過去の功績と名誉をたたえる声は、ほとんど上がらなかったという。

*工作船から携帯電話

2001年12月、東シナ海で海上保安庁の巡視船が、北朝鮮の工作船と半日にわたる激しい銃撃戦を繰り広げた。20ミリ機関砲を撃って工作船を停止させようとする巡視船に、工作船は機関銃や対戦車ロケット弾で反撃。しかし間もなく自爆し、海中深くに消えていった。世に言う「九州南西海域不審船事件」である。

日本政府は沈没した船が北朝鮮工作船であることを示すため、翌年9月、船体を引き上げ、遺留品を回収した。政府の目論見は、北朝鮮による対日有害活動を証明し、北朝鮮に国際的なダメージを与えることであったのだが……。

もちろん、その目論見はかなりの程度果たされた。しかし同時に、対北朝鮮情報を看板にしていた公安庁が衝撃に見舞われたことを記憶する人は少ない。

工作船から発見された日本製携帯電話のアドレス帳から、関東公安調査局統括調査官の電話番号が発見されたのだ。他ならぬ冒頭の男が、この統括調査官である。

*ミイラ取りがミイラに

さらには統括調査官と、覚せい剤取引を行っていた暴力団関係者との通話記録も発見された。暴力団関係者は当然逮捕されたが、公安庁は男と北朝鮮の関係について沈黙し続けた。当時の状況を知る公安庁OBは、次のように回想する。

「工作船の携帯電話から彼の携帯電話番号が出てきたと聞いたときは、正直驚きました。彼は総務に即日異動となり、本庁からの“査問”も受けました。その後、マスコミの目が届かない地方に転勤。他の職員と顔を合わさないようパーテーションで区切られた区画に机だけ置かされ、事実上の監視下に置かれていたようです。

確かに彼は、関東局、いや3部門(注:北朝鮮担当)全体でも、トップの実績を挙げていたと思います。単なる調査官というよりも、裏人脈を活用し、政界やマスコミをも巻き込む情報ブローカーのように振舞っていました。

しかしそれも、『虎穴に入らずんば虎子を得ず』と言われるとおり、高度な情報を取るためには自らも対象に胸襟を開かねばならないからです。実際、彼が集めてくる金正日体制の動静やミサイル・核開発についての情報は、内外で高く評価されていたと聞いています。

ただ、私は彼が北朝鮮に内通していたとは思いませんが、北朝鮮側も彼との接触の中で、日本側の情報を引き出そうとしていた可能性はあります」

*朝鮮総連からカネ!?

人との接触の中で情報を引き出すHUMINT(人的情報活動)においては、「ミイラ取りがミイラになる」という副作用から無縁でいられる者は少ない。

とは言え当時の報道を見ると、男に対する公安庁の内部調査結果は、副作用では済まされないレベルだった。

「活動費300万円を私的に流用」「公安情報を提供する見返りに朝鮮総連から月十数万円を受け取る」「在日朝鮮人女性の愛人2人を抱え込む」……。真相は藪の中だが、実は、これを裏付けるかのような別の事件が存在する。

元日本経済新聞記者の杉嶋岑氏は1986年の訪朝後、内閣情報調査室と公安庁から情報収集の協力要請を受け、「国家のため」とその後も訪朝し続けた。

そして、1999年に北朝鮮当局により逮捕され、2年以上も拘留された。当時、公安庁で杉嶋氏のハンドラーだったのが、件の男だ。

*変わらぬ「見殺し」体質

杉嶋氏は勾留中、北朝鮮当局から、自分が公安庁に提供した情報や資料、写真を見せつけられ、驚愕したという。帰国後、杉嶋氏は衆議院安全保障委員会で、訪朝の経緯や勾留中の出来事を証言。次のような言葉で話を結んでいる。

「最後に、国家機関が善意の国民に協力を求め、それによって生じた国民の受難に対しては、何らかの公的な謝罪や補償があってしかるべきではないかと思います。特に公安庁のように、頼むときは頼んで、その国民が受難に陥ったとき、知らぬ存ぜぬのトカゲのしっぽ切りのような扱いでは、誰もそのような政府機関を信用して安心して協力しなくなります」

そして今、公安庁は中国当局により複数の日本人協力者を「スパイ容疑」で拘束されたことで、同じ非難にさらされる事態に陥っている>(以上)

ウィキによると杉嶋氏の件は「日経新聞記者北朝鮮拘束事件」。氏は1999年12月に逮捕され、北に2年2ヶ月間にわたり拘束された。氏は帰国後、情報漏洩のひどさに驚き、その経過を公表することを決意し手記として公表している(文藝春秋2002年5月号、『北朝鮮抑留記 - わが闘争二年二カ月』 草思社 2011年)。

その後2002年7月、国会において参考人として以下の内容を証言している。

・北朝鮮は日本政府に身代金を要求した。
・1986年の第一回の訪朝の後、同僚記者経由で、内閣情報調査室と公安調査庁関東公安調査局に協力を要請された。
・公安庁に手渡した写真やビデオ、供述資料等がことごとく北朝鮮情報当局に渡っていて、公安調査庁には北朝鮮に情報提供するシステムが1999年の時点ではでき上がっていた。
・身代金要求交渉の日本側の代理人はTBSであった。

スパイはばれたら母国から切り捨てられるのだ。報酬も大したことはなさそうだから、リスクが大きすぎる。中共に拘束された人も日本政府は無視するのだろう。「スパイは見殺し」が日本流らしい。

「よしやうらぶれて 異土の乞食と なるとても 日本のスパイになるまじや」

これでいいのか。帝国陸海軍の諜報能力は引き継がれているのだろうか。検証する必要がある。(2015/10/30)

◆「究極の平和呆け」

天下の無法松



10月24日のテレビ朝日の番組で、あの池上彰さんが北京政府の南沙諸島の軍事施設人工島のことを話しておりましたが、池上様は何と「中国とアメリカが衝突して、アメリカが我が国に助けを求めてきたら、自衛隊はどうするのでしょうか。」と言いました。

お見事です、能天気とはこの様なことを言うのですね。

北京政府のことを言うのであれば、その逆で、「我が国と北京政府が衝突して我が国が米国に助けを求めたら、米国政府は我が国の防衛に動いてくれるでしょうか。」と問い掛けるのが普通の常識ある人間でしょう。

中国と一般的に呼ばれているシナ大陸にある北京政府国家が、太平洋ではなく、大西洋に位置しているのであれば、そのお言葉は間違ってはいないでしょうが、「中国」とはシナ大陸にある中華人民共和国のことで、このお国は我が国の西のすぐお隣に位置して居ます。

そんなこと、小学生でも知っているよと小学生以上の誰もが言うでしょうが、どうも、この池上様の頭の中ではお馬さんとお鹿さんが走り回っているようで、どうしようもありません。

そして次は、所謂「南京大虐殺」のことで、池上様は「それを認めないと北京政府どころか、世界中から日本が認められなくなる、そのことが癪に障る。」などと大放言されました。

それを言うならば、「「南京大虐殺」などと言う汚名を雪いでこそ、我が国は世界中から認められる。」でしょう。

池上様の頭の中では、自分の考えを人に主張すると言うことが全世界の常識であることを全く理解されて居ない様で、逆に汚名を受け続けることが日本人の使命であるかの様なことを言われました。

この程度の人物が、公の電波を使って全国に「究極の平和呆け」を広めている事実こそが、「戦後70年」を象徴しております。

幼稚化された戦後日本人にはこの程度のお人で丁度いいのでしょうが、本当に悲しいことです。否、悲しさを通り越して、笑ってしまう今日この頃であります。

ああ、今年の秋は日本晴れが続いて、平和でいいな〜(北海道は冬の様ですね。)

■無法松の本音

落ちたもんですね、あのサッチャーが居た大英帝国が今や、単なる小英国に落ちぶれております。

何と、あの北京政府の習遠平様がその小英国に行き、エリザベス女王と手袋を通して握手されたようです。(普通ならば、どの様なことがあっても手袋を外して素手で握手するのが全世界共通の礼儀でしょうが、それだけ、握手すること自体が嫌だった?!のでしょうか?!。)

習遠平訪英:http://goo.gl/mKN3ws

英国流ジョーク?:http://goo.gl/hJBHTU

ところで、今の英国政府はヒトラー独裁政府どころではない、超独裁・人民抑圧国家の北京政府と組んでやっていけると本当に思っているのでしょうか。

もしかして、今の英国人達は大昔に、小英国が大英帝国だった頃にシナ大陸人民に阿片を売りつけて、侵略どころかシナ人達の精神を徹底的に奴隷化したその事実に対して、今のシナ人達に後ろめたさを感じているのでしょうか。?!

英国だけでは無く、ドイツのメルケル首相が10月29、30日の日程で北京政府を訪問するそうですが、やはり、偽善的な難民問題もあって、もうヨーロッパの時代は終わりを告げそうです。

しかしながら、ジャーナリズムは健在で、ここが我が国と正反対なのですが、ズバリと習遠平に対してBBCの記者が日本人記者には絶対にできない質問を堂々としておりました。

BBC記者の質問:http://goo.gl/Gj26AG

このような人間達がヨーロッパに数多く残れば、何れはヨーロッパも幾らかは復活する可能性は残りますが、しかしこれからはもうヨーロッパの時代ではなくなっていくでしょう。

それとは逆に経済的には復活していくのが我が国であり、占領基本法の下で岸内閣が我が国の安全保障を確実にし、次の池田内閣で経済復興した様に、安倍内閣一つでこの8月に安全保障を確実にして、次は経済復興を成し遂げようとしております。

その前に、来年の参議院選挙がありますが、これで大幅に自眠党が議席を失うと、その経済復興に赤信号が灯り、東京オリンピックにも赤信号が灯っていくでしょう。

そうならない為にも、自眠党にはもう少しまともな政党になって欲しいのですが、どうも、今の自眠党には何も期待できないようで、やはり、我々一人一人が少しでも多くの日本人に自眠党に票を入れる様に働き掛けるしかありません。

それと共に、今の単なる平和主義を率先しているオバマ大統領の米国では、習遠平率いる北京政府が暴発する恐れが多分にあり、その事も訴えていかなければなりません。

◆法律コラム「むち打ち」

吉岡 龍也
 


むち打ちは、交通事故の中では比較的軽い傷害として受け取られているうえに、他覚所見がないことが多いため、被害者救済が充分なされないことがあります。 

その上、注意してもらいたいのは、症状が軽いからと言って、 被害者が受傷の初期段階で適切な治療を受けなかった場合には、 後々、思いもよらず不利な結果を招くことがあります。
 
すなわち、被害者には、損を拡大しないように適切に対応する 信義則上の義務が課されていますので、被害者が事故後治療を怠り損害を拡大してしまい、 加害者がその事実を立証した場合には、過失相殺されてしまうことがあります。
 
たとえば、被害者が、事故直後に病院にいって 医師からなんらかの指示があったにもかかわらず、 その指示を無視して治療を続けなかったために治療期間が長引いた場合には、何割か過失相殺され、充分な賠償を受けられません。

 もっとも、被害者が、医師から入院を勧められたにもかかわらず、 家庭や家業の都合によって通院した事例において、 治療期間が多少長引き後遺障害の程度に多少影響があっても、 被害者に過失があったとは認められないと判断されています (福岡地裁判決昭和46年1月29日)。

 したがって、合理的な理由があれば初期に適切な治療を受けなくても、 加害者からきちんと満額の損害賠償を受けることができますが、 不用意に医師の指示に従わなかったり、病院に行かなかったりすると、 充分な賠償を受けられなくなってしまいます。

 交通事故に遭ったら、軽いむち打ちといった症状しか出ていなくても、 きちんと病院に行って医師の指示に従いましょう。
 
 当事務所としても 今後は交通事故に力を入れていく方針です。
 交通事故でお困りの際は、ぜひご一報ください。
(電話:06−6365−1065)

(文責:川原総合法律事務所:弁護士)

2015年10月30日

◆5中全会、人事面で新局面が出るか?

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)10月29日(木曜日)通算第4706号 >
 
〜5中全会、人事面で新局面が出るか?
  王洋は常務委員会入りを画策し、張又峡が軍事委員会副主任を狙い。。。〜


 開催中の五中全会は最終日に人事の発表があるかも知れない。通常、主要人事は2017年の第19回党大会までまつのだが、権力闘争が苛烈な環境の中で、各派はポストをめぐる争奪戦に余念がない。

北京の事情通が、下馬評をしている。

まず失脚すると噂された、賈延安(江沢民の秘書)が依然として総政治部部長の座に留まっていることが分かった。

王洋は政治局常務委員入りを画策していると囁かれ、軍事委員会では副主任の定員を二名から四名に増やし、太子党の張又峡が、そのポストを狙ってアドバイザー格の劉源追いおとしを狙い、団派のライジングスター胡春華らは出る杭は打たれるといわれるように、習近平派が批判を集中させているという。

五中全会は明日閉会し、翌日にはメルケル独首相の訪中がある。

◆タイの優れたバランス感覚支援

宮家 邦彦



緊迫の南シナ海、日本外交に求められるのは

2週間前の本コラムで筆者は「今後数週間の米国の動きはシリアだけでなく、南シナ海の将来を決定的に左右するかもしれない」と書いた。27日、米軍は南シナ海で中国が埋め立てた人工島の「領海」内に艦船を派遣した。

ロシアが対シリア軍事介入に踏み切った最大の原因はオバマ政権の臆病さだ。同様の理由から中国は南シナ海の現状変更に踏み切ったのだろう。その米国がようやく東アジアで軍事的示威行動を取った。人民解放軍幹部は領有権問題に関し「軽率に軍事力に訴えることはない」と述べたそうだが、これで安堵(あんど)する者はいないだろう。対する米国防長官は、国際法の許す限り「どこでも飛行し、航行する」と述べた。米国が中国にけんかを売っていることは明らかだ。

この問題には長短2つの視点がある。短期的に米国は必ず艦船・航空機を派遣するはずだと考えた。実行しなければ、米国はもはや「大国」ではなくなる。他方、中長期的に見れば、米軍がこうした態度をいつまで続けられるか疑問である。こうした事態は米中間で初めてではないからだ。

1996年台湾総統選挙前に中国は台湾海峡にミサイルを発射した。その際米国は空母機動部隊を台湾海峡付近に派遣した。しかし、現在同様のことが起きても米海軍が空母を台湾海峡に派遣することはない。理由は簡単。中国のミサイル誘導能力が向上したからだ。では今から20年後、解放軍の前線基地となったこれら人工島に米軍艦船・航空機は近付くことができるのか。これが東南アジア・南シナ海の現実である。

先週その東南アジアに出張してきた。タイのバンコクは十数年ぶりである。アセアン諸国の中でタイの立ち位置は微妙だ。フィリピンやベトナムほど反中ではないが、ラオス、カンボジアほど中国べったりでもない。イスラム教のマレーシア・インドネシアとも違うし、シンガポールのような小さな島国でもない。強いて言えば、同じ仏教国で現在軍政を敷くミャンマーに近いが、国情は大きく異なる。

タイ族の起源は中国雲南方面だというが、中華街で話される中国語は「潮州方言」らしい。北京語を喋(しゃべ)る人もいたが、タイの「華人」の多くはタイ化しており、中国語は喋れない。要するにタイ人には、一部アセアン諸国で見られる、中国に対する敵意も親近感も感じられないのだ。

結論を急ごう。今回実感したのは、タイ社会がインドシナ亜大陸の中央で、四方を異民族に囲まれながら、奇跡的に植民地化を免れた、おおらかな「人種のるつぼ」であることだ。タイ人の多くは中国系であっても中国とは一線を画している。

人種や文化的背景が異なっても、タイ語を喋り、タイ文化を受け入れ、タイの国体を尊敬する者はタイ人として受け入れる。このような文化的柔軟性は他のアセアン諸国には感じなかった。タイ人のこの優れたバランス感覚はタイの外交政策にも表れているに違いない。

 話を南シナ海に戻そう。米国のある新興シンクタンク所長は南シナ海問題が単なる「航行の自由」だけではなく、同海域に対する中国の「戦力投射能力」に関わる大問題だと論じた。

だが、その南シナ海の人工島もバンコクから見れば決して大きな問題ではない。バンコクの軍関係者は、タイに対する最大の脅威は国内の分離主義運動だと断じていた。良い悪いの問題ではない。タイは中国と戦ったことがなく、国境も接しない、誇り高い独立の王国なのだ。軍事政権の登場で米タイ関係はギクシャクしている。そもそも両国間には明文の二国間安保条約すらない。それでもタイ人は米国を同盟国と考えている。このタイの優れたバランス感覚を静かに支援することが今の日本外交に求められている。

                  ◇

【プロフィル】宮家邦彦

みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
産経ミュー巣【宮家邦彦のWorld Watch】2015.10.29更新


宮家 邦彦

緊迫の南シナ海、日本外交に求められるのは

2週間前の本コラムで筆者は「今後数週間の米国の動きはシリアだけでなく、南シナ海の将来を決定的に左右するかもしれない」と書いた。27日、米軍は南シナ海で中国が埋め立てた人工島の「領海」内に艦船を派遣した。

ロシアが対シリア軍事介入に踏み切った最大の原因はオバマ政権の臆病さだ。同様の理由から中国は南シナ海の現状変更に踏み切ったのだろう。その米国がようやく東アジアで軍事的示威行動を取った。人民解放軍幹部は領有権問題に関し「軽率に軍事力に訴えることはない」と述べたそうだが、これで安堵(あんど)する者はいないだろう。対する米国防長官は、国際法の許す限り「どこでも飛行し、航行する」と述べた。米国が中国にけんかを売っていることは明らかだ。

この問題には長短2つの視点がある。短期的に米国は必ず艦船・航空機を派遣するはずだと考えた。実行しなければ、米国はもはや「大国」ではなくなる。他方、中長期的に見れば、米軍がこうした態度をいつまで続けられるか疑問である。こうした事態は米中間で初めてではないからだ。

1996年台湾総統選挙前に中国は台湾海峡にミサイルを発射した。その際米国は空母機動部隊を台湾海峡付近に派遣した。しかし、現在同様のことが起きても米海軍が空母を台湾海峡に派遣することはない。理由は簡単。中国のミサイル誘導能力が向上したからだ。では今から20年後、解放軍の前線基地となったこれら人工島に米軍艦船・航空機は近付くことができるのか。これが東南アジア・南シナ海の現実である。

先週その東南アジアに出張してきた。タイのバンコクは十数年ぶりである。アセアン諸国の中でタイの立ち位置は微妙だ。フィリピンやベトナムほど反中ではないが、ラオス、カンボジアほど中国べったりでもない。イスラム教のマレーシア・インドネシアとも違うし、シンガポールのような小さな島国でもない。強いて言えば、同じ仏教国で現在軍政を敷くミャンマーに近いが、国情は大きく異なる。

タイ族の起源は中国雲南方面だというが、中華街で話される中国語は「潮州方言」らしい。北京語を喋(しゃべ)る人もいたが、タイの「華人」の多くはタイ化しており、中国語は喋れない。要するにタイ人には、一部アセアン諸国で見られる、中国に対する敵意も親近感も感じられないのだ。

結論を急ごう。今回実感したのは、タイ社会がインドシナ亜大陸の中央で、四方を異民族に囲まれながら、奇跡的に植民地化を免れた、おおらかな「人種のるつぼ」であることだ。タイ人の多くは中国系であっても中国とは一線を画している。

人種や文化的背景が異なっても、タイ語を喋り、タイ文化を受け入れ、タイの国体を尊敬する者はタイ人として受け入れる。このような文化的柔軟性は他のアセアン諸国には感じなかった。タイ人のこの優れたバランス感覚はタイの外交政策にも表れているに違いない。

 話を南シナ海に戻そう。米国のある新興シンクタンク所長は南シナ海問題が単なる「航行の自由」だけではなく、同海域に対する中国の「戦力投射能力」に関わる大問題だと論じた。

だが、その南シナ海の人工島もバンコクから見れば決して大きな問題ではない。バンコクの軍関係者は、タイに対する最大の脅威は国内の分離主義運動だと断じていた。良い悪いの問題ではない。タイは中国と戦ったことがなく、国境も接しない、誇り高い独立の王国なのだ。軍事政権の登場で米タイ関係はギクシャクしている。そもそも両国間には明文の二国間安保条約すらない。それでもタイ人は米国を同盟国と考えている。このタイの優れたバランス感覚を静かに支援することが今の日本外交に求められている。

                  ◇

【プロフィル】宮家邦彦

みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
産経ミュー巣【宮家邦彦のWorld Watch】2015.10.29更新

◆私の「身辺雑記」(275)

平井 修一



■10月27日(火)、朝は室温18度、快晴、ハーフ散歩。

25日は十三夜、夕べも満月のようだった。子供の頃、月の明かりで庭は昼間のよう、なんと日陰(月陰?)ができていたことを思い出した。

<十三夜とは、十五夜の後に巡ってくる旧暦9月13日のお月見のことをいいます。中秋の名月の後なので、「後(のち)の月」と言われたりします。

また、十三夜には栗や枝豆を供えることから「栗名月(くりめいげつ)」「豆名月(まめめいげつ)」ともいいます>(豆知識プレス)

「月の法善寺横丁」

♪包丁一本 さらしに巻いて 旅へ出るのも 板場の修業
待ってて こいさん 哀しいだろが
あゝ 若い二人の 想い出にじむ 法善寺
月も未練な十三夜

境内は昼のように明るいからチューできない。残念、未練が残る、という歌だ。新宿駅に近い花園神社は一晩中電気が煌々とついており、物陰がまったくない。陰があるといかがわしい行為に及ぶカップルがいるからだ。電気代はかなりのものだろう。来月はお酉さまだ。

吉原に近い鷲(おおとり)神社の酉の市の模様を一葉は「欲深様が熊手を求める」などと書いていたっけ。江戸っ子は酉の市が大好きみたいだ。

ところで「包丁一本」では修業にならない。最低でも刺身包丁、出刃包丁、鯵切包丁、菜切包丁の4本と高価な砥石を持って旅に出ないとだめだ。かなり重たい。板さんのつぶやき。

<つらい修業から帰ってまいりました、今はホテルで調理場を任されてまんねん。そやけど、仕入れ担当の人は、ロシア産の食材ばかり持ってきまんね。こんなんで宜しいんか? こいさん>

料理人の夢は自分の店を持つことだろうが、給料は低そうだから元手を貯めるのは大変だろう。一等地の家賃は高いし、辺鄙なところではまず客が来ない。駅の近くで、旨くてリーズナブルな値段、雰囲気も良い・・・難しい。

「NIMBY」という言葉を初めて知った。64歳になっても知らないことばかりだ。

<NIMBY(ニンビー)とは、“Not In My Back Yard”(自分の裏庭以外なら)の略で、「施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ」と主張する住民たちや、その態度を指す語。日本語では、これらの施設について「忌避施設」「迷惑施設」「嫌悪施設」などと呼称される>(ウィキ)

原発なんて止めてくれと大騒ぎする人たちだ。ドイツでは「難民拒否なんてとんでもない」と騒いでいる人と重なっている。ドイツ人を市営住宅から追い出して難民を収容するのだという。ほとんどキチ○イ。

ドイツには「大衆扇動罪」があり、左翼は右派的な言論を封じるために大衆扇動罪をもって批判し、社会的に抹殺するから、言論の自由はない。まともな議論が成り立たない。ドイツは死ぬだろう。

日経10/27「米駆逐艦、中国・人工島12カイリ内に 中国の反発必至」から。

<【ワシントン=吉野直也】米海軍のイージス駆逐艦が現地時間の27日午前、中国が「領海」と主張する南シナ海の人工島12カイリ(約22キロ)以内の海域で哨戒活動に入った。人工島の造成など南シナ海での活動を活発にする中国をけん制するとともに、同海域の安全保障で米国の役割を同盟国や友好国に示すのが狙いだ。中国が反発し、米中の緊張が高まる可能性がある>

中共の人工島は「忌避施設」「迷惑施設」「嫌悪施設」だ。世界はすっかり震度6に近づいている。

■10月28日(水)、朝は室温22度、快晴、Tシャツにベストでハーフ散歩。暖かい。

夕べは集団的子育てで、大きな鍋にどっさりのオデンでもてなした。今朝も残りを食べたのでほぼ完食。

そう言えば昨日の夕方、区役所から小生の依頼に対して連絡があり、「用水路管理通路(小生の散歩道)の危険物除去については調査し了解した。地主が3人関わるので、今日は1人と接触したが、しばらく時間がかかる」とのこと。

数日前に依頼して、速攻でとりあえずの連絡が来た。何という国だろう! 中共なら北京の訴訟村で直訴に及んでも100年かかるのに。この快適さはほとんど奇跡的だ。もう他の国には住めない。♪今はあなたしか愛せない

中共は米軍の進出を控えめに報道した。憤青を刺激すると「軍は何をやっている! 迎撃しろ! いつもの強硬路線はこけおどしだったのか! 張り子の虎か!」なんて大騒ぎされるからだろう。人民網10/28「中国海軍、海空の監視を継続、不測の事態を防止」から。

<中国海軍の梁陽報道官は27日「本日午前、米海軍のイージス艦『ラッセン』が中国の南沙諸島の島・礁近隣海域に進入した。中国海軍の艦艇と航空兵が法にのっとり米艦に対して必要で、合法的で、専門的な追跡、監視、警告を行った」と表明。

「中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島およびその周辺海域に対して争う余地のない主権を有する。海軍は責務と使命を断固として履行し、国家の主権と海洋権益を揺るぎなく守り、南中国海の平和と安定を揺るぎなく守る」と強調した。

また「中国海軍は引き続き海空の状況を緊密に監視し、中国の国家安全を脅かす状況および海空の不測の事態の発生を防止する。われわれは米側に対して、自国の船舶および航空機の活動に対する管理を強化し、不測の事態を防ぐよう促す」と表明した>(以上)

ずいぶん大人しいが、人民元の国際通貨入りを狙っていることのほかに以下のような事情があるから強気に出られないのかもしれない。ブログ「Argus Akita」10/28から。

<米海軍がイージス艦を支那の領海(と主張する)に派遣したことで“南シナ海波高し”であるが、もし支那が1発でも撃てばアメリカは即座にIEEPA(国際緊急経済権限法)を発動して支那の持つ米国債約140兆円をゼロにし、米国内で人民元を紙切れにし、米国内の支那人の資産没収に踏み切れることから、開戦はまずあり得ない。

ベトナム、フィリピン、インドネシアもアメリカ支持を明確に表明しているため、支那が国内や軍部の批判をかわし、どう引っ込むかだけが焦点といえる。

支那が国際的な司法の場に持ち込むことはやはり“あり得ない”ため、落としどころが見えず短期間では終わらない問題のようにも見える。

日本がTPPや安保法制の成立を急いだのはこのスケジュールもあったのだろうが、ニュース等では出てこないものの、支那サイバー部隊によるアメリカの政府機関、大企業向けのサイバー攻撃が最近は尋常ではないことからオバマも国内で相当に突き上げを食らっていたのは事実だろうし、今回の派遣後アメリカもどこを落としどころにするのか見えにくい。

ただ、これをきっかけに支那で民族蜂起、軍部の分裂等によって支那共産党崩壊が世界にとってベストなシナリオだが、新たな難民発生があるとすれば日本を含めて周辺国はまた別の新たな問題を抱えることになる>(以上)

支那人というか9割を占める漢族は白人コンプレクスがある。白人を叩くと白人列強が大同団結して尻の毛まで抜かれることを思い知っているからだ(8か国連合軍に敗けた北清事変。清朝はこれでガタが来た)。

ところが日本を叩けば白人列強は共通のライバルである日本叩きに賛同してくれる、金も武器も援護射撃もしてくれる、と。

と、いうことで習近平は訪英してもアヘン戦争のアの字も言わないくせに、嘘八百の“30万人虐殺”を叫んで己の独裁を正当化しているわけだが、“領海”に米艦船が入っても後から距離を保って追尾するしかできなかった。白人(連合)が怖いのだ。

追尾するのなら kiss my ass! 米国人は嘲笑っているだろう。

■10月29日(木)、朝は室温22.3度、晴れたり曇ったり、木枯らしのような風のなか、ハーフ散歩。

池田信夫氏の書評「都市間競争の時代 市川宏雄著『東京一極集中が日本を救う』」(アゴラ10/28)から。

<日本の最大の問題は安保でも憲法でもなく、戦後続いてきた成長が終わり、人口減少と超高齢化が進行することだ。その影響は今はゆるやかにしか見えないが、「GDP600兆円」などと高度成長の夢をみて財政支出を膨張させ続けると、将来世代の負担は激増する。

国土の構造も大きく変わる。「東京一極集中」は、よくも悪くも避けられない。都市集中がよくないとされたのは人口成長時代の話で、これからは減少する人口を都市に集めてインフラ投資を効率化する必要がある。一時騒がれた「地方消滅」は、実際には「地方自治体消滅」であり、防ぐことはできないし防ぐべきでもない。

むしろ恐れるべきなのは、東京が都市間競争に敗れることだ。東京圏の経済力はまだ世界一だが、シンガポールなどアジアの都市が追い上げている。世界の企業がアジアの拠点を東京に置くかどうかは、日本経済全体に影響する。拠点の流出は始まっており、これを止めるためには東京を「特区」として自由化し、重点的にインフラ投資する必要がある。

東京集中で問題になるのは、都市の高齢化とスラム化が進むことだ。これを防ぐには、年金や医療などのコストを削減し、老人のための安価な賃貸住宅を大量に建設するなど、発想の転換が必要だ。都市で集めた税金を(人のいなくなる)地方に再分配する公共事業を続けていると、都市も地方もだめになる。

ただ本書の「東京オリンピックの経済効果」を強調し、「リニア新幹線で名古屋が東京のベッドタウンになる」などという話も、成長時代のバラマキの発想だ。これからは肥大化した政府を縮小し、財政や社会保障の考え方を根本的に変える必要がある>(以上)

以上はごく当たり前の話だが、老人に媚びる、老人を恐れるマスコミや政治家はほとんどこういうことは言わない。老人に不都合な正論は叩かれるのだ。国を次世代にスムースにつなぎ渡すためには、「老後の医療費は3割自己負担、しかも公的扶助は年100万円を上限とする」しかないだろうと小生は思うが、媚老恐老の輩は絶対に口にしない。「お年寄りを大切に」などと猫撫で声を出すばかりだ。

自分の最後は自分で始末しろ、「国に頼るな、国になにを貢献できるかを考えろ」と言いたい。イルカ大使の親父はいいことを言ったものだ。

それにしても税源が不足しているから増税するのに「軽減税率を!」の大合唱。新聞も「オマケしてくれ!」。醜い。

改めて言うが、10%への増税は延期すべきだ。国民の大半を占める中2坊主は8%への引き上げで青息吐息であり、これ以上増税したらショック死する。消費税以外の新たな財源が見当たらないのなら、社会保障費の蛇口を締めていくしかない。

メルケル・ドイツは難民を抱きしめながら亡国へ。日本は弱者に寄り添って沈没へ。ダメ、絶対!の声こそが正論だろうに、マスコミは声を上げない。ネットの片隅で蟷螂の斧を振り上げるしかない。嗚呼。(2015/10/29)

◆産経加藤裁判でみえる朴政権の本質

櫻井よしこ



韓国の朴槿恵大統領の名誉をコラムで傷つけたとして起訴された産経新聞前ソウル支局長、加藤達也氏に対する論告求刑公判で、この裁判の本質を示すかのような発言が検察側から飛び出した。

「被害者は強い処罰を求めているが」と検察官が加藤氏に問うたのだ。被害者、つまり朴大統領が加藤氏を重く罰することを求めているというのだ。
 
加藤氏は「朴大統領の処罰感情について初めて聞いて驚いている」と答えたが、検察官の言葉は、同裁判が多分に政治的性格を帯びていることを巧まずして曝露したといえる。
 
そもそも同裁判は、言論表現の自由を民主主義社会の重要な基盤と見做す先進国では考えられないものだ。加藤氏が度々指摘したように、セウォル号が沈没し、高校生をはじめ多くの国民が犠牲になった大事故の発生当日に、国のトップである大統領の所在と行動が7時間も不明と、当時、報道されたこと自体が大ニュースだ。日本の首相動静は分刻みで、翌日には公開されている。米欧先進諸国でも、首脳の行動は限りなく透明に公表される。加藤氏ならずとも、ジャーナリストなら強い関心を抱くのは当然である。
 
氏に、韓国検察は1年6か月を求刑した。厳しい求刑の背景に大統領の「強い処罰感情」があるのか、大統領の思いが三権分立の民主主義の規範を超えて、司法判断に影響を与えているのか。であれば、朴政権下の韓国に、真の民主主義があるとは言えないだろう。そのような国を少なくとも成熟した先進国とは到底、呼べない。
 
韓国の思考は、狭量な自己中心主義に貫かれているのではないかとさえ思う。こう感ずるもうひとつの事例が、米韓首脳会談に関する情報発信のあり方だ。
 
朴大統領は10月16日、オバマ米大統領とホワイトハウスで会談し、共同記者会見に臨んだ。その席で朴氏は、3年半ぶりとなる日中韓首脳会談の開催に、韓国が果たした役割をオバマ大統領が認め、米韓関係と中韓関係は両立するとして、韓国の対中政策を支持したと語った。

門前の大国
 
中国の戦勝70周年軍事パレードに米国の反対を振り切って参加し、米国が要請した高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を、中国の強い反対で事実上拒否し続けるなど、中国寄りの韓国の立場を、米国が認めたと、朴氏は強調したのだ。
 
実際の米韓関係はどうか。首脳会談の2日前、ワシントンの外国プレスセンターで会見が開かれ、国務次官補のダニエル・ラッセル氏らが首脳会談の意義などを語った。強調されたのは、米政府のアジア重視政策の重要性だった。
 
オバマ大統領が今年4月に安倍晋三首相、7月にベトナム共産党書記長グエン・フー・チョン氏、9月に習近平氏、10月に朴槿恵氏、さらにその後インドネシア大統領のジョコ・ウィドド氏を迎えることは、米国がアジアへのリバランス政策を重視し、実行し続けるという意味だと、ラッセル氏は説明し、「航海の自由について、中国が東シナ海上空に防空識別圏を設けたとき、韓国は適切かつ強力に、国際法に基づいて対応した」と語ってみせた。
 
米国の南シナ海での活動の目的は、東アジアを含むルールに基づいた国際社会を支援することだとも強調し、「人民解放軍が戦った唯一の戦争は韓国に対してだったことは誰も忘れていない。同時に韓国の戦略は明らかに、中韓関係の改善と強化を通して、核搭載ミサイルなど核戦力を増強する北朝鮮に対処しようというものだ。韓国大統領はそう決定した。北京で彼女が習主席と話し合った結果、いま、米韓両国が協議の機会をもつことになった」。
 
極めて率直な発言ではないか。米韓、中韓の関係は「ゼロサムゲームではない」と言いながら、明らかに全体として米国は韓国の中国への接近を非常に気にし、不快感を抱いていることを示していた。オバマ大統領も、記者会見の最後の部分で本音を語った。

「朴大統領に話したのは、われわれが継続して中国に主張すべき唯一のことは、中国が国際規範と国際法を守るよう希望するということです。中国がそうしないとき、韓国も米国同様、公に発言するよう望みます。なぜなら、われわれ両国は第2次世界大戦後の国際規範と国際法の恩恵に浴しており、世界秩序が弱体化し、大国がこれを悪用することは座視できません。(中略)中国が韓国の門前の大国であることを考えるとき、彼らが規範に違反しても処罰されないなら、それが経済的問題であれ安全保障問題であれ、韓国にとって良いことはないはずです」

日韓協調路線
 
無法な中国にただ従うことを米国は欲しないという、韓国に対する強い要求であり、米韓首脳会談の最重要のポイントである。首脳会談に至るさまざまなレベルでの会談で、幾度も米国側が韓国側に提示した要求のはずだ。その本音が記者会見でも明らかにされた。しかし、この重要なくだりは、韓国政府発の情報から削除されているのである。統一日報論説主幹の洪熒氏が指摘した。

「韓国外務省、青瓦台のホームページをいくら見ても、この部分がありません。朴大統領も韓国外務省も、事の深刻さを理解していないのです。朴大統領は米国で、食べきれない数の料理をテーブル一杯に並べる韓国式宴会のような提案をしました。しかし、米国が本当に欲している料理はそこにはない。いま韓国が南北統一の原則論のようなことを話して何の意味があるのか。金正恩体制と朴政権のどちらが先に潰れるかとさえ危ぶまれている、朴政権弱体化の深刻な危機の中で、原則論を語るなら、どの国が同盟国か、本当に韓国を守るのはどの国かという最も大事なことを語るべきです。それができない朴大統領は国民への責任を果たしていないのです」
 
11月1日には日中韓の首脳会談が行われる。米国が韓国を強く促した結果だ。しかし、そこに出席する中国代表は最高実力者の習近平氏ではなく、影響力を弱めている李克強首相である。従って、三国首脳会談の焦点は、日韓首脳が互いをどのように遇し、協調の道を切り開くかという点にある。
 
米国の韓国への要望は、中国依存路線ではなく、日韓協調路線を強めることだ。しかし、朴大統領がオバマ大統領の苦言を正面から受けとめたとは思えない。異なる意見や視点も、或いは加藤裁判で強い処罰を望んでいるように、自身への批判も受け入れられないのが朴大統領ではなかろうか。だとすれば、朴大統領との首脳会談に多くを期待することはできないだろう。日韓双方にとって実に不幸な展開である。
『週刊新潮』 2015年10月29日号 日本ルネッサンス 第677回

2015年10月29日

◆アジアの民主化を促進決議文

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)10月28日(水曜日)通算第4704号>  

〜第5回 アジアの民主化を促進する東京集会 決議文〜


アジアの民主化を促進する東京集会は、今年平成27年(2015年)5回目を迎えた。今年は、大東亜戦争終結70周年の年でもある。8月14日、安倍晋三日本国総理大臣はこの年を記念して談話を発表した。

そこには「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。」という言葉が刻まれている。

しかし、チベット、南モンゴル、ウイグル等の諸民族は、今も中国政府の植民地支配下におかれ、そこでは過酷な人権弾圧と民族浄化政策が繰り広げられている。また中国政府は、南シナ海に違法な埋め立てと基地の建設を強行するなど、危険な覇権主義と侵略の意志をむき出しにしており、東南アジア諸国はその軍事的脅威にさらされている。

そして現在の中国政府は、7月には百数十人の人権派弁護士を逮捕、市民運動を徹底的に弾圧すると共に、インターネットにおいても徹底的な言論封殺を行っている。信仰、言論、結社の自由は否定され、富の格差は拡大し、悪化する環境破壊に中国民衆は苦しめられている。

私達は、アジアにおける独裁体制と植民地支配、そして覇権主義をこれ以上許してはならない。ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国民は、中国の海洋覇権に対し闘う意志を示している。チベットでは焼身抗議という平和的かつ自己犠牲の精神に基づく抗議行動が続き、ウイグルや南モンゴルでは民族の文化を守るための闘いが弾圧にもひるむことなく展開している。香港の雨傘革命や台湾のヒマワリ運動に象徴されるアジアの民主化運動は、中国共産党独裁に大きな打撃を与えている。そしてわが日本も、自らの歴史と伝統への誇りを取り戻すと共に、積極的平和主義の外交を展開し、アジアと世界の平和を構築し覇権主義に抗する準備が法制的にも整いつつある。

本日、会場に参加した私達は、如何なる侵略にも覇権主義にも反対し、このアジアに、真の民主化と民族自決権が確立するその日まで闘いつづけることをここに誓う。

2015年10月24日
      第5回アジアの民主化を促進する東京集会 参加者一同 

 

◆人民元は国際通貨の資格なし

田村 秀男



中国の偽装GDPは世界のリスクだ! 人民元は国際通貨の資格なし中国の国内総生産(GDP)の7〜9月期の前年比の成長率が6・9%と、7%を割った。「世界の工場ほころび」(朝日新聞20日付朝刊)、「中国リスク、出口見えず」(日経新聞同)などと大騒ぎだが、何かヘンである。小学生でも知っている経済の常識では7%近い成長は高成長であ
り、好景気そのものである。なのに各紙は何の説明もしない。

その点、20日の朝刊1面トップではっきりと「偽りのGDP、異様に巨大化」と報じた産経新聞を読んで、ストンと胃の腑に落ちた読者も多いだろう。親中国各紙は北京のご機嫌を損なわないよう、問題の本質から目をそらし、読者を混乱させている。

中国GDP統計が嘘だと詳報したのは産経ばかりではない。米ウォールストリート・ジャーナル紙も20日付で、米欧の有力エコノミストに取材して「中国GDPの信憑(しんぴょう)性、エコノミストは疑問視」との特集をした。同記事によれば、エコノミストの多くがGDP発表値は党中央の政治圧力の産物であり、実際の7〜9月期成長率について4〜5%の間とみている。筆者が重視する鉄道貨物輸送量や輸入額でみると、グラフのように2ケタ台のマイナス成長とみてもおかしくないはずだが、北京の公表値はまさしく偽装データも同然との見方を裏付ける。

中国の国内総生産(GDP)の7〜9月期の前年比の成長率が6・9%と、7%を割った。「世界の工場ほころび」(朝日新聞20日付朝刊)、「中国リスク、出口見えず」(日経新聞同)などと大騒ぎだが、何かヘンである。小学生でも知っている経済の常識では7%近い成長は高成長であり、好景気そのものである。なのに各紙は何の説明もしない。

その点、20日の朝刊1面トップではっきりと「偽りのGDP、異様に巨大化」と報じた産経新聞を読んで、ストンと胃の腑に落ちた読者も多いだろう。親中国各紙は北京のご機嫌を損なわないよう、問題の本質から目をそらし、読者を混乱させている。

中国GDP統計が嘘だと詳報したのは産経ばかりではない。米ウォールストリート・ジャーナル紙も20日付で、米欧の有力エコノミストに取材して「中国GDPの信憑(しんぴょう)性、エコノミストは疑問視」との特集をした。

同記事によれば、エコノミストの多くがGDP発表値は党中央の政治圧力の産物であり、実際の7〜9月期成長率について4〜5%の間とみている。

筆者が重視する鉄道貨物輸送量や輸入額でみると、2ケタ台のマイナス成長とみてもおかしくないはずだが、北京の公表値はまさしく偽装データも同然との見方を裏付ける。

偽装といえば、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガスや横浜市の大型マンションの杭(くい)打ちデータが世を騒がしている。中国のGDPは2014年、ドル・ベースでみて日本の2・2倍以上もある。

そんな超大国のサイズを示すGDPが偽装だとすると、世界に及ぼす衝撃はどの程度大きいのか。以前から多くの世界の専門家が虚偽だとみなし、北京公表値に代わる指標を試算してきたから、市場は織り込み済みだとの見方もあるが、甘い。

筆者は中国GDP偽装がすでに極めて深刻な影響を世界に及ぼし、問題解決を困難にしているとみる。

中国GDPは政治で決まるのであって、経済実体とはほとんど無関係だ。党中央が前年の秋に決めた翌年の経済成長率目標を政府がそのまま受け入れる。各地の党書記は目標値達成に血道を上げるので、過剰投資、過剰生産が蔓延(まんえん)する。

需要がなければモノは動かないので、鉄道貨物量は減るのだが、GDPが増える。持ちこたえられなくなると、発注を突如大幅に減らすので、世界の商品市況は悪化して資源国経済をパニックに陥らせる。

対中輸出に依存する部品や資本財メーカーも減産を強いられる。世界の株価は急落する。これがチャイナリスクというものだが、需給原理ではなく不透明な党の政治意思によって決められるGDP目標と、虚偽に満ちたその実行プロセスがリスクを増幅させるのだ。

その中国が通貨人民元を国際通貨基金(IMF)の国際準備通貨SDR認定をめざしている。元の価値を左右するGDPデータが偽装なら、元は国際通貨の資格がないはずだ。 (産経新聞特別記者)産経ニュース【お金は知っている】2015.10.28 10:20更新

◆中国が警戒するTPPの真価

吉田 忠則



世界最大の経済大国、米国が主導する新しい経済圏誕生への動きが、2位の経済国、中国で波紋を広げている。関心はただ一つ。環太平洋経済連携協定(TPP)が中国の台頭を脅かすかどうかだ。TPPの「陰の主役」である中国が、日米を含む12カ国による大筋合意にどう反応したのかを点検する。

筆者が注目した記事

・10月20日 日経夕刊1面「TPP、関税95%撤廃」

・10月6日 日経朝刊1面「TPP大筋合意」

・10月6日 日経朝刊9面「中国は『新シルクロード』、アジアに自国中心経済圏」

まずは政府の公式発言から。「広大な太平洋は中国と米国を十分に収容できる」。中国の高虎城商務相はTPP合意を受けて開いた記者会見で「中国のアジアでの影響力が高まるのを米国が抑える手段ではないのか」と問われ、こう答えた。

まるで太平洋を米中で分け合おうとするかのようなニュアンスが気になるが、「米国による中国の排除」という見方は否定した。表だってTPPへの警戒心を示したりしないのは、外交上当然の姿勢ともいえる。

■「油断すべきでない」

そこで中国の本音をさぐるため、メディアの報道を点検しよう。「米国は中国が国力で猛追し、世界の指導者の地位を脅かされることを望んでいない」。商務相が会見では控えた一言を、「北京青年報」が代弁した。同じく北京紙の「新京報」は「TPPが貿易ルールを主導することについて油断すべきでない」と警戒感をあらわにした。

吉田忠則(よしだ・ただのり) 89年日本経済新聞社入社。流通、農政、保険、政治、中国などの取材を経て07年から経済部編集委員。主なテーマは中国経済と日本の農業。

吉田忠則(よしだ・ただのり) 89年日本経済新聞社入社。流通、農政、上海紙の「解放日報」は、TPPが成果を出すための課題を列挙した。1
つは、各国がTPPを批准できるかどうかが不透明という点で、米国の大統領選の影響を指摘した。2つめは関税撤廃にかかる時間。そして最後に「世界2位の経済国の中国がないと、利益は最大にできない」。

中国人の自尊心をくすぐる記事が多いが、では中国はTPPにどう対応しようとしているのか。商務相の記者会見に戻ると、協議中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓自由貿易協定(FTA)などを挙げ、「世界を覆う高いレベルの自由貿易区のネットワークをつくりあげていく」と話した。

RCEPは日本やインド、オーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの16カ国によるアジア太平洋の経済連携を指す。米国抜きの新しい秩序を目指す中国が、もっとも優先する長期的な課題だ。交渉が進んでいなかった日中韓FTAに触れた点も注目すべきだろう。

■共通ルールに引き込む

TPP交渉の大筋合意が中国で波紋を広げている(10月5日、米アトランタ)=共同

TPP交渉の大筋合意が中国で波紋を広げている(10月5日、米アトランタ)=共同

これがTPPの大きな成果だ。日本国内には、海外と比べて競争力の劣る農業界などでTPPへの根強い反対論がある。だがこれは「どうすれば国産の競争力を最大限高めることができるか」「それでも埋まらない海外との差を、政策でどう支援するか」に論点を絞って対策を考えればすむ国内の問題だ。もちろん、すべての農家を守ることが目的ではない。

これに対し、膨張し続ける中国にどう向き合うかという重い課題は、日本だけでは到底対処しきれない。そしてこの問題の目的は中国と対立し、中国を孤立させることではなく、中国をできる限りこちらと共通のルールに引き込み、アジアの発展を安定軌道に乗せることにある。TPPはその起爆剤になる。

あとは、中国メディアが指摘したハードルを各国が着実に乗り越えることだ。まずTPPを批准し、発効させる。次にスケジュールにそって合意内容を実現し、さらによりレベルの高い自由貿易圏に発展させる。中国メディアが警戒していることを実現することで、TPPは真価を発揮する。       日本経済新聞 編集委員 
2015/10/26
                (採録: 松本市 久保田 康文)

2015年10月28日

◆ことしも中国大富豪1位は王健林

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)10 月27日(火曜日)通算第4701 号 >

〜個人資産300 億ドル、ことしも中国大富豪1位は王健林
  アリババのジャック馬は2位に甘んじた〜

大連に本社がある「万達集団」は伝説の起業家、王健林が率いる。もともと万達集団は不動産ビジネスで太った。ところがCEOの王健林は不動産バブルが始まる前から、不動産投資の比重を劇的に減らし、米国の映画館チェーンを買収し、ハリウッド映画界への進出を目指して映画製作会社の買収を物色した。
 
また深センでも中国最大の映画館チェーンである子会社を上場させ、さらに香港では巨大なショッピングモールを建設し、あまつさえ上海などにディズニーランドを模したアミューズメントセンターの経営に乗り出した。

中国のヤングに焦点を当てて娯楽産業への投資を増やし、つぎにスポーツ施設の建設を始めるという多彩な、新鮮なビジネ・モデルを構築してきた。

彼は中国経済の次の着地点をだれよりも早くかぎ出して強気の投資を繰り返してきたのである。

フォーブスの今年度版はアリババのジャック馬に大富豪の王座を明け渡すのではないか、と予測されていたが、蓋を開ければ王健林が首座を守ったことが分かった。数年前までトップだった飲料水のワハハ集団は第三位に終わった。

◆オバマさん、戦争はまだかい

平井 修一


日経10/25「オバマ氏、ついに怒る 夕食会で一変した対中戦略」から。

<世界の指導者は2つのタイプに分かれる。どんな相手とも「話せば分かる」と信じる人と、その逆だ。前者の典型は、オバマ米大統領である。

彼に接したことがある政府高官らは「オバマ氏は軍を動かすのをいやがる」と語る。なぜなら、たいていの問題は、話せば何とかなると思っているからだ。

そんな彼がついに怒りを爆発させ、対話に見切りをつけたという。9月24日、ワシントンにやってきた習近平中国国家主席との夕食でのことだ。

ごく少人数なら本音で話し、接点を見つけられるかもしれない。オバマ氏はそう考え、翌日の晩餐会とは別に、側近だけによる私的な会食を用意した。

いちばん取り上げたかったことの一つが、中国が南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事施設をつくっている問題だ。ところが、ふたを開けてみると、やり取りはさんたんたるものだった。

複数の米政府筋によると、オバマ氏はかなりの時間を割き、軍事施設の建設をやめるよう求めた。だが、習氏はまったく取りあわず、箸にも棒にもかからないやり取りに終わった。

その夕食会の直後、憤ったオバマ氏は側近に命じ、ただちにハリー・ハリス米太平洋軍司令官に連絡させ、こう通告したという。「南シナ海での作戦を承認する」

この作戦とは、中国がつくった「人工島」の12カイリ(約22キロメートル)内に、米軍を派遣するというものだ。国際法では、各国の沿岸から12カイリを領海と定めている。そこに米軍の艦船などを送り込み、「人工島」を中国の領土と認めない姿勢をみせるというわけだ。

この計画は、すでに6月ごろに米軍首脳が立案し、実行しようとしたが、オバマ氏が承認を渋っていた。習氏との直談判に望みを託していたからだ。

「習氏との会談が決裂したことで、オバマ氏は中国に融和的な姿勢をみせても協力を得られないと悟った。米国の対中政策にとり、大きな転換点になるだろう。中国は墓穴を掘った」

世界的に著名な米戦略家であり、中国に関する近著もあるエドワード・ルトワック氏はこう分析する。

では、このできごとは日本にどんな影響をもたらすのか。

「力による現状変更を黙認したら、アジアは不安定になってしまう」。複数の外交筋によると、日本や一部の東南アジア諸国は米側にこう訴え、「人工島」付近に米軍を派遣する作戦の実行を促してきた。その意味で、オバマ氏の決断は日本にも朗報といえる。

その一方で、近づく米軍を中国軍が阻もうとすれば、米中が意図しなくても紛争になる危険がある。そのとき、日本はどうするのか。安全保障関連法が成立したいま、これまで以上に真剣かつ、慎重に検討しなければならない。

もっとも、「話せば分かる」の対中路線を、オバマ氏が完全にかなぐり捨てるというわけではないだろう。核開発問題をめぐるイランとの合意、敵対してきたキューバとの国交回復。この路線でつかんだ実績も少なくないからだ。

彼の任期はあと1年あまりしかない。「南シナ海で中国と対立しながらも、温暖化対策やアフガニスタン復興では協力し、成果を上げる余地を残すべきだ」。ホワイトハウス内からはこんな声も聞かれる。

テーブルの上でケンカをしながら、下では握手も交わす。大国はよく、こんな行動に出る。舞台裏の米中の駆け引きにも目をこらし、中国への圧力と対話をどう加減するか。安倍政権の判断力が試される。(編集委員 秋田浩之)>(以上)

なんだかしまりのない「ナリチュウ」(成り行きが注目される)記事だが、日本は米国の副保安官なのだから鉄砲を持って寄り添っていればいいのだ。常在戦場。中共には圧力をかけて自爆を促すしかない。

共産主義者と対話してもまったく無意味。時間の無駄。レーガンは圧力をかけ続けたからソ連は崩壊した。対話で物事が解決することはない。問答無用。威嚇、武力行使、実利で物事は収まる。

北による拉致問題が全く進展しないのは問答ばかりしているからで、朝鮮総連を潰し、傘下の朝鮮人を国外追放すればすぐに解決する。彼らは北の財布であり、タニマチなのだ。ゼニの欲しい北は「被害者を解放するから制裁は止めてくれ」となる。

ゴロツキ、ヤクザ、キチ○イとはそれなりの付き合い方がある。プーチンには兵糧攻め(結構効いてきた)、習近平には包囲隔離戦(まともなお友達はゼロ、妾のクネ、衆道のようなキャメロンは金だけの縁)、メルケルには誉め殺しで自滅を促す(牧師の娘は地獄への案内嬢だった)。

オバマがしっかり中共の頭にゲンコツを食らわしたら大いに誉めて誉めぬくべきだ。小ブッシュのように戦争が好きになるだろう。厭戦気分の米国大統領なんて辛味のないカレーで、これでは世界への睨みがきかない。強面でなければ世界は収まらない。

マキャベリ曰く「君主にとって、厳重の上にも厳重に警戒しなければならないことは、軽蔑されたり、見くびられたりすることである」。舐められたらお仕舞いということだ。(2015/10/27)

◆安保関連法は必然かつ拙速

佐藤 鴻全



−出兵条件に「国際的大義に適う」を加筆せよ−

●中国の領土的野心が明白な以上、集団的自衛権行使を認め日米同盟の紐帯を強固にする安保関連法案成立は必然だった。

●だが、法案には中心となる理念が欠落しており、将来イラク戦争のような筋の悪い戦争に駆り出される可能性も高まった。

●当該法案は、将来あるべき改正憲法を念頭に置き、そこから現行第9条に配慮する部分を引き算して作成すべきであった。

●今後の国会で、出兵条件に「国際的大義に適う場合」の制約を加えた安保基本法を速やかに制定して上に被せ、今回の関連法に理念を注入しなければならない。

◆馬鹿げた国会議論◆

「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹(み)ず。」(孫子 作戦編)

安保関連法案が、前国会に於いて9月 19日に成立した。しかし、その国会議論は、低レベルの応酬に終わり肝腎の点が議論されなかった。当該法案成立によって自衛隊員の危険度が増すのかを論点に据えた民主党の平和ボケ、それに対して先ず危険度は増さないと返した与党側の応戦のピンボケぶりが目立った。

真の論点は、自衛隊員の危険の大小ではなくて、国民の生命財産に対する危険性の大小でなければならない。

今回可決した安保関連法の内容は、確かに拙速であった。「拙速」とは、文字通り拙くて速い事だ。しかしながら、冒頭に掲げた孫子に見るように、本来「拙速」の意味は否定的なものだけではない。

中国の領土的野心が明白な以上、集団的自衛権行使を認めた安保関連法の前国会での成立は必然であった。危機の際には、特に安全保障上の危機の際には、拙くても早い事が必要である。それなくば、国が亡ぶ。

◆混沌化する世界◆

中国によるAIIB(アジア投資開発銀行)は、弱腰オバマをも奮起させた。これが成就すれば、米ドル基軸通貨体制、石油ドル決済システムを破壊するものだからである。この石油ドル決済システムの破壊抑止こそが、トンキン湾事件や、家康による方広寺鐘銘事件に並ぶ牽強付会さで、ジョージ・W・ブッシュ政権をしてサダム・フセイン退治のイラク戦争に踏み切らせた理由だ。

 膨大な軍事費をファイナンス出来ない米国は、本音では中国の提案する太平洋2分割統治を条件次第では将来受け入れる余地がある。しかしながら、もし米ドル基軸通貨体制、石油ドル決済システムが破壊されれば米国民が明日から貧民化するため、共和党、民主党を問わず、また経済界からペンタゴンまでを問わず、これに対しては絶対に譲れない。このため、オバマは中国との対決姿勢に舵を切った。

安保関連法による日米同盟の深化は、米国のこうした変化と相まって、辛うじて中国による尖閣諸島、沖縄、進んでは関西への領土的野心に対抗するツールとなった。


◆安保関連法に精神を注入せよ◆

だが、安保関連法の内容が拙いことは確かに拙い。安保関連法は中心となる理念が欠落しており、これが極端に分かり難い原因であり、かつ将来イラク戦争のような筋の悪い戦争に駆り出される可能性も高まった。

イラク戦争の是非については、未だに議論が分かれる。しかし、少なくとも当時の小泉政権が独自の情報を一切得ることなく、米国によるイラク戦争開戦を「支持する」としたことは、属国の態度である。

当該法案は、将来あるべき改正憲法を念頭に置き、そこから現行第9条に配慮する部分を引き算して作成すべきであった。改正憲法は、国際的大義を伴う長期的国益の追求を外交と防衛の基軸に据えるべきである。

今後の国会で、出兵条件に、急迫の場合以外には、「国際的大義に適う場合」の制約を加えた安保基本法を速やかに制定して上に被せ、安保関連法に理念を注入しなければならない。

「国際的大義に適う場合」とは、基本法では「事前若しくは事後速やかに、世界の大多数の国から支持を得ることが可能な場合」とし、その具体的要件は別途法律または内閣が定めるとすればよい。これにより、米国の戦争への付き合いを要請された場合、我が国が主体的に出兵の是非を判断する足場となる。

日本の、そして国際社会全体の今後あるべき大戦略は、イスラムのパワーを使って中国の力を抑える事だ。それは、凶暴化するイスラムと中国をぶつける「二虎競食の計」ではない。イスラムを穏健化し統一させ、日・米・露・欧州・アジアと共に、切れ目ない中国包囲網を構築し、その牙を抜く事である。

その後に建設すべき新世界秩序は、各国国民、個々人がその能力意欲に応じて所を得て共に切磋琢磨することが可能な、発展と調和が同時実現される王道によるものだ。

安保関連法は、その王道に沿うものでなければならない。