2015年10月13日

◆習近平氏「反日」外交の挫折

矢板 明夫



■目立ってしまった脇役たち

中国の首都、北京で9月3日に抗日戦争勝利70周年の軍事パレードが世界中で注目されるで行われた。「パレードブルー」と呼ばれる快晴の下、北京市中 心部を東西に走る長安街の大通りを約1万2千人の人民解放軍の兵士たちが軍靴を響か せて行進した。

戦闘機200機あまりの飛行や、初公開の武器など500点強の軍装備を披 露し、中国の軍事大国ぶりを内外に誇示した。

しかし、この日の主役である習近平国家主席は始終、さえない表情をしていた。車に乗って解放軍の隊列を検閲したときも、高揚感はまったくなく、ひどく 疲れた様子だった。

国内のメディアを総動員して宣伝し、長い時間をかけて準備した 大きなイベントにも関わらず、内外から多くの批判が寄せられ、欧米などの主要国に 参加をボイコットされたことは習氏にとって想定外だったに違いない。習氏の表情に は、その悔しさが出ていたのかもしれない。

一方、習氏と比べて、一緒に天安門楼上に並んだロシアのプーチン大統領や、久々に表舞台に登場した江沢民元国家主席ら党長老たちは、最後まで、リラッ クスした表情で手を振り、元気な姿をみせ続けた。

脇役であるはずの彼らは、今回の 軍事パレードを通じて習氏よりも多くのものを手に入れたからかもしれない。

クリミア併合問題で欧米や日本などから経済制裁を受け、国際社会から・村八分・にされたプーチン大統領には、自身の存在感を示す大きな晴れ舞台が提供 された。軍事パレードのメインゲストとして習氏の隣に立ち続け、中露の蜜月ぶりを 演出し、国際社会の孤立と国内経済低迷を払拭し、ロシア国内の支持者を勇気づけよ うとする思惑もあったとみられる。

また、これまで失脚説が何度も流された江沢民氏にとって、自身の健在ぶりを示す最高の場面となった。習国家主席が主導する反腐敗キャンペーンで、江氏 の側近だった周永康・前政治局常務委員や、徐才厚前軍事委員会副主席らが次々と拘 束されたことで、習派と江派の対立が深刻化したといわれる。

式典の約2週間前の8月 中旬、米国を拠点とする中国語ニュースサイトには、「江沢民氏が天津市の爆発に関 与したとして拘束された」との情報が流れた。北京の当局関係者はすぐに否定した が、習派が江氏の影響力を低下させようとして流した偽情報の可能性が指摘された。

この日の軍事パレードで、江氏は強い日差しの中を約2時間立ち続ける 壮健ぶりを見せた。また、親族の不正蓄財で調査を受けていると香港メディアに伝え られた曽慶紅元国家副主席や、李鵬元首相、温家宝前首相らも楼上から笑顔で手を 振った。

党長老たちは、習氏が最近、官製メディアを使って自身への個人崇拝を進めて いることや、反腐敗の名目で政敵を次々と倒していくやり方に不満を募らせてい る。今夏に開し てかれた、共産党内の現、元最高幹部による北戴河会議でも、習氏ら長老からは批判が集まったとされる。

ある共産党関係者は、「今回の軍事パレードは習氏にとって権力集中を誇示する晴れ舞台であり、長老たちに出てきてほしくないのは本音だ」と説明した。 中国で10年ごとに行われる建国記念日を祝う軍事パレードに、党長老を招待する慣習 はあったが、今回は抗日戦争をテーマに行われた初の式典。しかも約30人もの外国 首脳を招待した。場所が狭いことなどを理由に、天安門楼上ではなく、長安街沿いに 長老たちのために特別観覧席をつくるという選択肢もあった。

しかし、結果として98歳の宋平・元政治局常務委員を含めて、存命中の約20人の長老は全員、天安門に上った。共産党関係者は「それを阻止できなかったこ とは、習氏にとって大きな誤算であり、政治力がまだ不十分であることをも内外に示 す結果となった」と指摘した。

習陣営にとって一つだけ・朗報・があった。今回の軍事パレードに出席した、胡錦濤前国家主席の手が微かに震え続けていたことがテレビを通じて流れたこ とだ。

「パーキンソン病など病気を患っているのではないか」といった憶測がインターネットに次々と書き込まれた。習派にとって間もなく90歳を迎える江氏より も、3年前に引退した72歳の胡錦濤氏の方が大きな脅威になっている。胡氏の健康不安 が国民に広く知られることになれば、その影響力が低下することは必至で、現在の指 導部による政権運営がやりやすくなる可能性もある。

■軍事パレードの効果

ロシアは第2次世界大戦後、10年ごとに対ドイツ戦勝利を祝う軍事パレードを実施してきたが、これに対し中国は昨年まで対日戦争を祝う軍事パレードを一 度も行ったことはなかった。

日中戦争を戦った経験者はほとんどいなくなり、100周年ではなく70周 年という中途半端の時期に、なぜこんなに大規模な行事を行うのか。その目的は三つ あると考えられる。

一つ目は、習氏の個人の威信を高めることである。2012年11月に発足した習指導部は、外交、経済面などで目立った実績がほとんどない。しかも、反腐敗 キャンペーンの中で、強引な形で軍制服組元トップだった郭伯雄と徐才厚両氏を失脚さ せた。軍を掌握しているように見えても、軍の中で自分を敵視している勢力があるの ではないかという不安を抱えている。今回の軍事パレードを通じて、自分が軍のトッ プであることを改めて強調する必要があった。

二つ目の目的は、共産党による一党独裁の指導体制の正当性をアピールするためである。共産党は選挙によって選ばれた政権ではないため、その合法性につ いて疑問が持たれている。毛沢東や小平ら革命世代の指導者らが亡き後、官僚出身の 指導者が続き、彼らは国民に本当に支持されているのかについて不安になることがある。

軍事パレードのようなイベントを開催し、国民を結束させる必要があった。

とくに抗日戦争について、共産党指導部は「共産党軍が中心となり、侵略者である日本軍を中国から追い出したため、中華民族の独立が保たれた」と主張し ている。このことを国民にアピールすることも軍事パレードの主要目的といわれる。

もちろん、これは事実ではない。日中戦争における中国側の主役は中国国民党軍であることは言うまでもない。中国当局は歴史を歪曲し、小学校の教科書か ら、日中戦争は共産党軍が戦ったと強調して、国民党が果たした役割をほとんど教え ていない。

三つ目の目的は国民の不満を外に向けさせることである。具体的に言うと、貧富の格差や、景気低迷、それから最近の株価の暴落、さらに天津の爆発に代表されるようなずさんな管理、深刻な環境問題など、多くの国民は今の政府に対し大き な不満を持っている。

そうした不満をかわし、国民の関心をほかの方向にそらす必要があった。ほかの方向とは、日本である。習政権発足後、日本叩きをしつづけたことで政権の 求心力を繋いできたのが実情だ。

今回の軍事パレードの前後に、メディアなどを使っ て、旧日本軍が中国人を虐殺した蛮行が強調され、安倍政権の安全保障政策を批判し た。「日本で軍国主義勢力が復活しつつある」との印象を国民に植え付けようとした。

では、軍事パレートを終えて、以上の目的は達成できたかどうかを検証してみたい。

まず、若者や貧困層の間で一定の効果があったと考える。レストラン の店員や、タクシー運転手、農民工たちに軍事パレードの感想を聞くと、「習主席の 格好がよかった」「兵隊さんの行進が美しかった」といった反応が多かった。

普段、下層社会で厳しい生活を強いられている彼らは、軍事パレードを見ることで中国が 強くなったことを実感し、中国の一員である自分への自信をいくらか取り戻した効果 があったかもしれない。

インターネットを見ても、とくに大学生ら若者が集まる掲示板などには「祖国万歳」「習近平主席万歳」といった内容の書き込みが多かった。中国に招待 されたにもかかわらず、欧米や日本がボイコットしたことに対し批判する声も多かった。

1900年の北清事変で清国の都北京に攻め入った日、英、米、仏、 独、露、伊、墺の8カ国連合軍の歴史に触れ「ロシアを除き列強が中国を再びいじめは じめた」といった書き込みもみられた。

しかし一方、富裕層と知識人たちの間で、今回の軍事パレードに対し「金の無駄遣い」「冷戦時代の発想だ」といった批判が多かった。香港紙の試算によれ ば、今回の軍事パレードの予算と経済損失は合わせて、215億元(約4000億円)に達 した。

政権に強く失望した知識人もあった。ある大学教授は「日米欧をみな敵に回してしまい、小平以来、中国が30年以上も続けてきた善隣友好外交が台無しと なった」と嘆いた。

当局は今回の軍事パレード前後の3日間を休日に決めたが、この期間を 利用して、日本に観光にきた富裕層も多かった。彼らは政府の日本批判キャンペーン を全く気にしていなかった。

また、青空を実現させるために、周辺数千の工場の操業を停止し、経済活動が停滞した。企業の経営者からは恨み節が聞かれた。ある製鉄会社の社長は「う ちの溶鉱炉は一旦止めると壊れてしまう。昨年のAPECの時に止まって、新しく設備を 入れたばかりだ。まだ1年もたたないうちにまた操業停止となり、大損だ」と嘆いた。

しかも、これらの操業停止はすべて行政命令の形で行われ、法的根拠がない。習政権が昨年秋の党中央総会で「法による支配」という執政方針を打ち出した のに、早くも自らがその方針を否定した形となった。

貧困層や若者は人数的に多いけれど、富裕層と知識人の方がより社会的に影響力を持っている。軍事パレードで富裕層と知識人の政府に対する不満が高ま り、批判を浴びたことは、習政権にとって大きなマイナスといえる。

■パレード外交でも失敗した

今回の軍事パレードに対し国際社会の反応も決して良くなかった。習政権にとって外交成果もマイナスだった。今年2月、軍事パレードの実施を決めたと き、習氏の裏でイメージしたのは、米国をはじめ、世界中の主要国のリーダーがみん な北京に集まり、出迎える自分のところに一人ずつやってきて握手する場面だったか もしれない。

しかし、ふたを開けてみれば、日本や米国など先進7カ国(G7)の首脳 は全員参加を見送った。太平洋戦争の戦場となったフィリピンやインドネシアの首脳 も姿を見せなかった。

習政権発足後、唯一関係が良くなったといわれた韓国の朴槿恵大統領でさえ、直前になるまで、態度をあきらかにしなかった。30人の出席者のなかに、朴大 統領とロシアのプーチン大統領以外に、ほとんど国際社会で知名度も影響力も低い リーダーばかりだ。

人民解放軍の隊列に続き行進したパキスタン、キューバ、メキシコなど11カ国の外国軍の部隊のほとんどは、旧日本軍と戦ったこともなければ、日中戦争中 に中国を支援したこともない。むしろ、中国から支援を受けている国が大半を占めた。

ベネズエラ軍代表も行進に参加したが、派遣された兵士はわずか9人 だった。軍事パレードのあと、中国がベネズエラに対し50億ドルを融資することを発表 した。

中国の外交関係者の間で「1人当たり5億ドル弱、史上最高の出場費を中国が 支払った」などと揶揄された。

1980年に独立し、人口わずか20万人あまりのバヌアツ共和国のロンズデール大統領は夫人とともに参加した。同国は今年3月、サイクロンの被害に遭ったと き、中国から3千万元(約6億円)という破格の支援を受けた。「お礼のための出席で はないか」と話す欧米記者もいた。

また、別の理由で国際社会に注目された出席者がいる。スーダンのバシル大統領である。バシル氏はダルフールでの虐殺に関与した疑いで、国際刑事裁判所 (ICC)から逮捕状が出されており、現在、国際指名手配を受けているからだ。

「反 ファシズム

勝利を祝うイベントなのに、ファシストのような犯罪者を呼んでいいのか」と複数の人権団体から抗議の声が上がっている。

5月にロシアで行われた対ドイツ戦勝70周年の記念式典には25カ国が参 加した。このことを受け、中国が苦心してそれを上まわる30カ国を集めた感が否めない。

国の数では、クリミア併合問題で国際社会から制裁を受けているロシアには勝ったようにみえた。しかし、2008年夏に北京でオリンピックが行われたとき、 その開幕式に、米国のブッシュ大統領、日本の福田康夫首相、フランスのサルコジ大 統領(肩書はいずれも当時)ら世界中から86人の首脳と王室関係者が参加した。

胡錦濤政権当時と比べて、いまの中国の外交環境が著しく悪化したことがうかがえる。そういう意味で、習政権が展開した軍事パレード外交は完全に失敗し たといえる。

ただ、一つだけ成果があるとすれば、中露が主導する国際組織、上海協力機構のメンバー全部が出席したことだ。中央アジアの旧ソ連に加盟していた国々を 中心に構成している組織だが、最近、欧州でNATO(北大西洋条約機構)と対抗して、 東アジアで日米同盟と対抗する構図がいよいよ鮮明化した。

これらの国々は中国の習政権が推進する、欧州やアフリカまで結び、新しい経済圏を生み出そうとする「一帯一路」構想と深く関わっており、今後、中国の これらの国々に対する影響力はますます高まる可能性がある。

上海協力機構が中露 中央アジア軍事同盟の雛形になりつつあることを、日本をはじめ、国際社会は注目す る必要があるかもしれない。

■左手で敬礼の波紋

今回の軍事パレードで、思わぬところで話題になったことがある。習主席が自動車に乗り、立ち上がって閲兵した際に、左手で敬礼したことが注目された。

中国軍の規定では、けがや障害など特別な理由がなければ、「右手で敬礼する」と決 められている。習氏がこれを守らず左手で敬礼したことに「兵士たちはあれだけ必死 になって練習したのに、上司は常識も覚えようとしない」といった批判がよせられ た。このことが習氏の人気にマイナス効果をもたらす可能性もある。

3日午前、中国のテレビのほぼ全チャンネルが軍事パレードを生中継した。習主席は車上で、緊張していたせいか、ほとんど無表情だった。長安街をUター ンして天安門方向に戻ろうとしたとき、部隊の方を眺めて左手を顔の横まで持ち上 げ、「敬礼」をした。

不自然な感じがあり、インターネットには「習主席は左利きなの か」「いや左利きでも右手で敬礼しなければならない」といった書き込みが殺到した。

その後、各ネットメディアはそれぞれ、独自の解説をし始めた。あるメディアは中国の古典「老子」のなかに、「吉事は左、凶事は右に属する。君子は左を 貴ぶ、用兵は右を貴ぶ」を紹介し、習主席が左手で敬礼をしたのは、「軍事パレード は戦争ではなく、武力を使用しない吉事である」と解釈した。

また、別のメディアは、「軍服を着たものが敬礼をする場合は右手だが、私服の習主席は左手でするのは当然だ」とも説明した。

その後、共産党の機関紙、人民日報(電子版)で「実際には撮影の角度で(敬礼との)誤解を招いただけ。本当は、習近平主席が軍の将兵に左手であいさつ をしただけだ」と説明した。これが共産党の公式見解となり、その後、すべての中国 メディアは「敬礼」という言葉をつかわなくなり「単なるあいさつ」と報じはじめた。

しかし、これまで、毛沢東、トウ小平、江沢民など軍事パレードで閲兵した 指導者はみな、敬礼も挨拶も右手をつかったのに、習氏だけが左手を使うのは明らか に不自然だ。

「緊張しすぎたため手を間違った」とみる共産党関係者がいる。現場の近くにいた同関係者によると、テレビ画面に映らなかったが、実は習氏が敬礼する直前 に、陳情者と思われる男性が習氏に近づこうとして長安街に一瞬突入し、警察に抑え られた場面があった。「それをみた習主席が動揺したのが、あげる手を間違った原因 ではないか」と推測した。

米国在住の民主化活動家の胡平氏も「単純ミス」と見ている。胡氏は米国メディアに対し、米国大統領も就任宣誓の時に言葉を間違ったことがあるのを指摘 した上で、「人間は誰でもミスをする。しかし、ミスをしてもそれを認めず、官製メ ディアを使ってそれを正当化するのは独裁国家の特徴だ」と指摘した。

ある軍関係者は、「習氏の左手による敬礼について、兵士の中に『失礼だ』と思っている人もいる」と紹介したうえで、「習氏が翌日に、自分の言葉で左手 をあげた理由を説明すべきだった。ミスであっても兵士たちに謝罪すれば、好感度は 上がるかもしれない」と指摘した。

しかし、毛沢東のような偉大な指導者を目指している習氏は、メディアを使って、自分自身をミスのない神様のような指導者に仕立てようとしているため、 謝罪はしいだろう。情報を完全にコントロールすることは不可能のいま、「こうい うことをすればするほど、習氏に対する国民の信頼がうしなわれていく」と指摘する 声もある。

■発行されなかった取材証

今回の軍事パレードで、筆者(矢板)も珍しい経験をした。外国人記者の中で唯一、取材する取材証が発行されなかったことだ。思わぬ形でニュースの当 事者となり、菅義偉官房長官が会見で「記者の扱いは平等に行うことは民主国家と して当然だ」と中国を批判するなど意外な展開となった。

経緯を簡単に説明する。8月中旬、中国で外国人記者を管理する外務省 記者センターに軍事パレードの取材証の発行を申請したが、同月下旬に同僚記者と 支局の二人の中国人スタッフの分が出ただけで、筆者の分は降りなかった。

当初は手 続きミスだと思い、何度も問い合わせをしたが、9月になってから担当者は「審査を 通過しなかった」と回答してきた。北京にある日本大使館に報告すると、大使館は 中国外務省に対し「遺憾の意」を表明してくれた。

取材証が発行されなかったことで、取材に支障が出た。軍事パレード当日は、管制区域内にある支局にもいけなかった。自宅でテレビと電話取材だけで原稿 を書かざるをえなかった。

取材証が発行されなかった理由はいまもはっきりしない。日々の原稿で中国当局を批判することが多いため、中国当局が不満を募らせたのかもしれないが、 北京駐在になってからすでに8年が過ぎた。これまで電話や呼び出しなどで抗議を受 けることはよくあったが、取材証の発行拒否は初めてだ。

心当たりが一つだけあった。8月中旬に北京郊外で軍事パレードに参加 する予定のヘリコプターが墜落した事故があった。ある軍関係者が情報を教えてくれ てすぐ現場にかけつけたが、すでに周辺が封鎖され、目撃者にも厳しい緘口令がしか れた。

なかなか厳しい取材だったが、翌日になってようやく全容がつかめた。しかし、軍の秘密に絡む話で、中国当局が否定する可能性もある。記事にすれば情報 提供者にも迷惑をかけるかもしれないと思いすぐには書かなかった。

その後、共同通 信が北京市関係者の話としてこのニュースを配信したため、後追いの形で記事にし、 共同電よりかなり踏み込んだ内容を盛り込んだ。

今から思えば、へリ墜落後、現場に到着した時から軍からマークされていた可能性があった。軍からみれば、ヘリの墜落の現場を駆け回る記者は、軍事パ レードの成を邪魔しようとしているようにみえたかもしれない。外務省に対し、取材 証を出さないように圧力をかけた可能性もある。

今回、取材証のことで、日中間の外交問題に発展したことは、中国は産経新聞と筆者に対し大きな不快感を覚えたに違いない。今後、取材妨害などの嫌がら せが増える可能性がある。私たち北京に駐在する外国人記者にとって、もっとも大き な嫌がらせは年末に記者証更新が拒否され、国外追放されることだ。

2007年末、産経新聞中国総局の福島香織記者がブログで、当時の胡錦濤国家主席ら中国の指導者を批判する記事などを連続して掲載したことを、中国外務省 が問題視し、年末の記者証を更新しないことを示唆したことがあった。

しかし、こ れを受けた福島記者がまたブログで、「私が追放されれば、元日号の一面トップにそ れを書く」とブログで宣言した。

その後、当時の産経新聞の伊藤正総局長が粘り強く交渉した結果、北京五輪を控えた中国は態度を軟化させ、記者証の更新を認めた。しかし、当時は温厚な 胡錦濤政権だったが、今は日本に対する態度がもっとも厳しいといわれる習近平政権 である。同じようなことになれば、厳しい結果になるかもしれない。

もっとも、中国当局からどんな嫌がらせがあっても、筆者は中国報道の姿勢を変えるつもりはない。

(産経新聞中国総局特派員 矢板明夫)

★月刊「正論」11月号★

 産経「正論」【矢板明夫のチャイナ監視台】2015.10.11       
                (採録松本市: 久保田 康文)

◆米国支える東の日本、西の英国

平井 修一



我々は日露戦争(1904〜1905年)の際に日英同盟(1902〜1923年)が非常に有効だったことを覚えている。当時の大英帝国は「太陽が没することなし」と言われるほど、世界中に領土を持ち、経済力、軍事力、文化力で世界を圧倒していた。

これに対してロシア帝国はアジアでの国益拡大を図るため南下政策をとっており、満洲を実効支配、さらに朝鮮半島への進出を狙っていた。日本は危機感を高め、ロシアと開戦し、駆逐した。

<イギリスとの秘密交渉では、日本は単独で対露戦争に臨む方針が伝えられ、イギリスは好意的中立を約束した。条約締結から2年後の1904年には日露戦争が勃発した。イギリスは表面的には中立を装いつつ、諜報活動やロシア海軍へのサボタージュ等で日本を大いに助けた>(ウィキ)

日英同盟が解消されてから18年後に日本が大東亜戦争を開始し、あっという間に世界最強の英国をアジアから追放し、アジア解放の狼煙を上げることになるとは誰が想像したろう。昨日の友は今日の敵。歴史は実にドラマチックだ。

さて、アジアでは今、中共の軍事的膨張により戦争の危機が高まっている。これに対して日本は日米豪印+アセアン諸国の結束による中共包囲網を創りつつある。

豪州は英連邦の国だから“アジアにおける英国”とも言えるが、本家の英国そのものは伝統的にロシアに脅威を覚えていても、中共への警戒心は薄いし、むしろ中共との経済関係を強めたい意向だ。習近平のインチキ投資銀行構想にも同調した。

防衛省防衛研究所によると、その英国と日本が防衛・安保で協力関係を進めているという。昨日の敵は今日の友。日英防衛当局の共同報告書「グローバル安全保障のためのパートナー 日英防衛・安全保障関係の新たな方向」からポイントを紹介する。

お堅い話かと思っていたが、比較文化論的で、とても面白かった。

<日英両国の安全保障・防衛に関する代表的な研究機関である英国王立防衛安全保障研究所(RUSI、ロンドン)と防衛省防衛研究所は、2014年前半に日英協力に関する共同研究プロジェクトを開始した。本報告書はその成果である。

【序章】日本と英国 戦略的関係のためのアジェンダ ジョナサン・アイル(RUSI国際部長)

英国と日本の戦略的関係を考える際、我々は常套句や固定観念に陥りやすい。

両国ともに島国であり、君主制である。そして、やや翳りが見え始めたかつての大国であり、国民国家としての長い歴史があり、ルールに基づく自由貿易と紛争解決のシステムの堅持に利害を有する主要な貿易国であり、民主主義国家である。そして言うまでもなく、どちらの国も車道は左側通行である。

こうした常套句は、必ずしも総じて肯定的なものばかりではない。

フランスの哲学者ソルマン(Guy Sorman)は最近発表した論文のなかで、フランス人特有の英国に対するドライで洒落っ気のある眼差しを向け、日本人と英国人の共通の宿命として「ごく狭い海で隔てられた偉大な大陸に対する嫌悪感の蔓延」と、「孤立主義への誘惑」に屈しやすい不変の性質を挙げている。

この視点から見ると、日本と英国が開放的な社会の代表であり、グローバル化における主たるクリエイターであり重要なステークホルダーであるという主張はまがいものに過ぎない、ということになろう。

実は両国はともに概して内向きなままで、それぞれの独自の文化が直面する難題にばかり囚われているのである。どちらの国も、社会的分離か国境管理の強化によって移民の流入を防ごうとしており、グローバル化の圧力が増すほど、日英両国の社会は明らかに防御的になっている。

さらに、歴史に縛られがちな点でも両国は共通している。日本ではこれが昨今の江戸時代へのノスタルジアとして現れているのに対し、英国における同様な過去への郷愁は、大英帝国が旧植民地に与えたとされる有益な影響についての、右派による議論の増大から、スコットランドなど国内各地の(地域)ナショナリズムまで、様々な形や色合いをとって現れている。

このいわば「後ろ向き」な風潮が日本の若者の外国語学習への拒否感につながっていると言われており、英国でも似たような傾向がみられ、外国語を学ぶ人は減少の一途をたどっている。

この種の固定観念や大雑把な一般論の例に漏れず、以上のような言説が一抹の真実を含むことは確かである―ただし、いずれの場合もあくまで「一抹」でしかなく、その周囲を多くの無知が取り巻いている。本報告書がそうした無知を取り払う一助となることを願いたい。

*共通の脅威はあるのか?

現在、日本の領土と主権は広範囲の脅威にさらされている。日本の領土を越える弾道ミサイルの試験発射を含む北朝鮮政府の異様な行動は、安全保障上の継続的な脅威となっている。

ロシアの極東地域での軍事活動も活発化しており、特に千島列島をめぐる未解決の歴史問題と長引く日露間の領有権争いを考えれば、同じく懸念要因となる可能性がある。

とはいえ、最大の挑戦となっているのは、中国の軍事的台頭と、東シナ海・南シナ海における同国の好戦的態度の増長である。中国による尖閣諸島周辺の海空域への侵入は2012 年以降急増しており、偶発的衝突のリスクが高まっている。

理屈のうえでは、英国が自らの地域において直面する課題はこれよりも小さい。

欧州大陸は経済・財政面の混乱はあるにせよ、大方の基準に照らせば引き続き安定と繁栄を享受している。北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)が大陸の安定を確保しているのに加え、欧州諸国の圧倒的多数の間に領土紛争は存在しない。バルカン諸国間でいくつかの紛争がくすぶり続けてはいるものの、欧州全体の安定を脅かすようなものではない。しかし、その欧州にも暗雲が立ち込めつつある。

第一に、このところ欧州の現状に挑戦する姿勢を見せているロシアの問題がある。

また、既存国家の分裂の危険もあり、このことがさまざまな問題を生んでいる。さらに、EUやNATOなど欧州における既存の枠組みの内部制度、一貫性、存続可能性をめぐる重要な諸問題も生じている。

一見したところでは、日英両国が直面する安全保障上の脅威に共通点はほとんど見当たらない。しかし、もう少し慎重に見れば、以下のように少なからぬ共通の安全保障課題が浮かび上がってくる。

・ロシアが欧州・アジア双方にまたがる大国であることを踏まえれば、ロシアと欧州諸国との対立はアジアにも波紋を広げる。したがって、ロシアへの対応は日英を結びつける課題の1つである。

・中国の台頭は欧州には影響しないという主張は誤りである。実際には、世界における欧州の地位や国際貿易、ひいては英国と欧州全体の繁栄を維持する国際秩序を支えるルールに多大な影響がおよぶ。日英両国の地理的位置だけを考えても、中国による挑戦をより強く感じるのが英国より日本であることは明らかである。

しかし、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加をめぐる昨今の議論が示すとおり、日本が英国の中国への対応の仕方に利害を有するのと同様に、英国もまた日本の中国への対応の仕方に本来的に利害を有する。

・日本と英国は、深刻度を増している中東および東南アジアの一部における国際テロや宗教的原理主義の打倒に直接的な利害を有する。両国とも中東や北アフリカで市民の犠牲者を出していることを考えれば、事態の重要性は明らかであろう。

・核不拡散という課題は、アジアにおける日本にとっても、欧州と地中海地域における英国にとっても同様に重要である。

・ともに中規模国ながら多大な安全保障課題に直面する日英両国は、戦略態勢を支える効果的な手段として先端技術に頼っている。したがって、新たな軍事技術の開発における協力は理に適うだけでなく、両者にとってコスト削減にもつながりうるために重要である。

・日英両国は米国と密接な―しかも特有の―関係を有している。両国とも米国を自国の安全保障の基盤とみなしており、どちらもグローバルな問題に対する米国の姿勢への友好的な批判者としての役割を有する。このため両国は、米国による各々の地域への継続的な関与を確保しつつ、米国とのより適切な責任分担を促進しなければならない立場にある。

・国際連合の枠組みや、その他の協力の枠組みで実施される平和構築、平和維持活動における能力構築、多国間主義、法の支配の推進は両国にとって利益となり、優先度の高い課題である。

・民主主義、法の支配、人権といった理念は、中身のないスローガンではない。両国間の安全保障協力は、世界各地の新しく脆弱な民主主義国の強化に資するとともに、中国が推進する権威主義的開発モデルに代わる実行可能で強力な選択肢があることを想起させる役目を果たすと考えられる。

本報告書における議論の底流にあるのは、日本は外交・安全保障の対外関係ネットワークを一層多角化するうえで英国を必要とし、一方英国は技術面のパートナーとして、またグローバルな公益のガバナンスを推進する同盟国としても日本を必要としているとの認識である。

さらに両国は、今日のグローバル秩序を支える諸原則が、主としてロシアや中国のような勢力に起因する安全保障上の挑戦によって損なわれつつある今、これらの原則を堅持するために互いをこれまで以上に必要としているのである。

*協力の機会をつかむ

日英両国政府はこれまで様々な方法で、安全保障への取り組みを強化する意思を示してきた。なかでも最もわかりやすいのは、防衛支出の増額である。

この面での支出拡大の意思は、おそらく英国より日本の方が大きいだろう。それでも、英国では2010年に始まった緊縮財政期の防衛予算の度重なる削減を受け、これ以上はほぼ削減のしようがなくなったとの認識がある。

また、両国政府は、協力が可能な主要技術を特定することにより、双方の能力向上を図る必要性についても意見が一致している。

その好例の1つは、英仏等による合弁のミサイル開発・製造会社MBDAがその他の欧州企業とともに主導する「ミーティア(Meteor)」ミサイル開発プロジェクトを通じ、戦闘機用ミサイル技術を共同開発することに日英が合意したことである。

これは共同技術協力の格好の「試験的」ケースであるだけでなく、日本の自主的な武器輸出禁止の撤廃へ向けた動きの先陣を切るものでもある。

また、両国には共通の調達目標があることも指摘に値する。どちらも空中早期警戒監視能力の開発と、次世代戦闘機F-35 の調達、無人航空機(偵察用ドローン)の開発・調達に強い関心を持っている。

さらに、安全保障パートナーシップの多角化にも共通の利益を有している。これは、米国の衰退といわれる現象に対して日英が対応策をとろうとしているからではなく、防衛調達・開発の選択肢を多角化することは、防衛市場の競争性を維持して調達コストを抑えるために、どの国にとっても理に適うからである。

この点に関しては、日本が近年米国との中核的同盟関係の範囲を超えて防衛産業・技術協力の対象の多角化を図っていることと、英国が欧州各国の企業やグローバルな防衛生産パートナーシップにまで調達の幅を広げていることは、軌を一にした動きといえる。

それ以外にも、両国が追求できる明確かつ賢明で、問題なく実現可能な目標がいくつかある。これらの目標については本報告書の各章で検討するが、大まかにまとめれば以下のとおりである。

1. 構想より行動を。日英両国は、安全保障協力のための組織や仕組みを新たに確立する必要はない。両国の現首相―どちらも今後何年かは政権にとどまる現実的な見通しがある―の間には非常に良好な人間関係があるのに加え、2+2(外務・防衛)閣僚会合が開催され、防衛協力のための各種の協定や覚書がすでに締結されていることを考えれば、あらゆるニーズに対応可能である。

2. 現実的であること。日本の政府高官の一部は、英国に対して東アジアでの海上プレゼンスの拡大や、中国の軍事的・政治的強硬姿勢へのより強い対応を望んでいるが、英国政府が近い将来にそのような取り組みを検討することはおそらくありえないであろう。

したがって必要なのは、両国が互いへの期待値を調整することである。英国は、英国政府が関心を持つすべての防衛装備協力の案件を日本が承認することを期待できないし、日本は英国がアジアの軍事同盟において積極的な役割を担うことを期待できない。

3. 中国への対応をめぐる違いに対処すること。両国は、中国がグローバル大国の地位に台頭することに伴う危険性が存在すること自体については共通の見解を持っているものの、中国への対応の仕方について意見を異にしていることは明白な事実である。

これらの違いについては包み隠そうとするのではなく、違いを認めた上でうまく対処することが必要である。

4. 防衛装備の共同開発・共同生産のプロジェクトの推進において、革新的な取り組みを目指すこと。これは、2013年に合意された日英間の「防衛装備品等の共同開発等に係る枠組み」の枠内で行うのが望ましい。

5. 新たな協力分野を模索すること。例えば、対テロ活動の共同訓練、英国が豊富な経験を有する海外展開における兵站対策に関する情報の共有、さらに、情報収集・分析の分野におけるよりよい手法の推進などが考えられよう。

日本のインテリジェンス部門の改革はセンシティブな問題であり、これを実施できるのは日本政府だけだが、それでもなお英国には、必要に応じていつでも支援できる態勢が望まれる。

特に、インテリジェンスの選別、分析、内閣への提供を補佐する合同情報委員会(JIC)組織の設置に関する支援が考えられる。このような組織は日本の憲法モデルに適しており、日本からも常に一定の関心が寄せられている。

日英両国は、これまで常に一貫した関係を保ってきたわけではない。しかしながら、19世紀の明治維新の時代以来、両国は互いの敵国であった時期より同盟国であった時期の方が長かった。今後、両国の一層密接な結びつきが望まれるのは疑いない。

この種のあらゆる関係がそうであるように、良いときも悪いときもあり、また、挫折することもあれば好機を逃すこともあるだろう。それでも、関係強化に取り組む価値はある。

少なくともこの点については、日英間で完全な意見の一致がある>(以上)

戦時にあっては敵、平時にあっては友。永遠の敵も永遠の友もない。永遠の国益だけがある。日英は1868年の明治維新以来、敵であったのは4年間、残りの143年間は友だった(日米も)。

日英の国益はほとんどが一致している。中共の暴発を抑え込むことは日英の国益だ。それは日本の安全、生存にとって不可欠だが、英国にとっても中共が暴発して経済制裁を受ければ14億の市場にアクセスできなくなるし、英国へ投資を呼び込むこともできなくなるから、経済的損失は大きい。

東の日本、西の英国が、米国をサポートする時代になってきた。
(2015/10/10)

2015年10月12日

◆私の「身辺雑記」(269)

平井 修一



■10月9日(金)、朝は室温22度、快晴、ハーフ散歩。

岩波「世界」11月号で編集長の清宮美稚子が悔しがっている。

<法治国家であることをかなぐり捨てた与党の暴挙であり、憲政史上最大の汚点を残した戦後最悪の国会であったと、後世の歴史家は認定するだろう。「国民なめんな」と言いたい。安倍首相にも、自民党にも>

中共や北に淫してアカの色眼鏡で見る“岩波的世界”は相当にグロテスクだ。天動説の世界。アカが嘘つきのバカだということは今や広く認知され始めているから、「世界」を購読する人は年々減っているだろう。「国民なめんな」と言いたい。清宮にも、岩波にも。

(「世界」への寄稿者は原稿料ゼロ、後に「単行本にしてほしいなあ」というクズばかりが書いているのだろう)

「ぶれずに安倍政権を批判していく」がモットーの清宮はもちろん発達障碍製造所の東大卒だ。フェイスブックによるとお友達には「安倍に言いたい、お前は人間じゃない。たたっ斬ってやる!」とアジって有名になった山口二郎や、韓国で慰安婦問題を煽りまくった福島瑞穂もいる。類は友を呼ぶ。

清宮たちは「安保法制を廃止する」と言っているが、現実的には無理だし、そもそも国民の関心はもうそこにはない。多分TPPが主要テーマになるだろう。

小林よしのり氏のツイート10/8から。

<国会前で今もデモは行われているのだろうか?テレビはノーベル賞の話や、内閣改造の話ばかりやってるが、安保法制廃止のデモのことは全然伝えない。多分、もうなくなったのだろう。そんなに切実な話ではなかったのだ。どうせ飽きることは飽きる。

「むしろこれからだ」なんて負け惜しみを言ってみても、虚しいだけ。原発も、TPPも、反対と言っても、抵抗しようがない、云々>

反対したければ選挙で勝つしかないが、内閣支持率は上がっているから一強多弱は長く続くのではないか。

日経10/8「内閣支持率44%、4ポイント上昇 内閣改造で本社調査」から。

<日本経済新聞社とテレビ東京は7日の内閣改造・自民党役員人事を受け、緊急世論調査をした。安倍内閣の支持率は9月19日の安全保障関連法の成立直後の前回調査を4ポイント上回る44%で、回復は小幅だった。不支持率は42%と5ポイント低下した>

清宮も「安保、原発、沖縄」は賞味期限切れ、客はとれないから、TPPを研究しておくんだな。

「世界」新春号はこんなテーマでどうだ。

「右傾化する世界――リベラルの危機 難民問題がナショナリズムを呼び覚ます」「TPPが農林水産業を破壊する――大きく変わる日本の食卓」「“中国発世界不況”の虚妄――AIIBが切り拓くアジアの未来」「平和主義の危機!ネトウヨ化する老人――“靖国で会おう”が合言葉に」

只でもいいから書かせてくれという雑魚学者はいっぱいいるし、最後のテーマなら清宮本人が小生を取材したらいい。フェイスブックで見たら結構美人じゃないか。不用心だが、警戒心はないのか。本多勝一は襲撃を恐れて変装しているそうだが・・・

ま、しっかりガードルとジーンズで安保の備えを固めてくるんだな。わが家の老犬は大人しいが、老人は噛みつきかねないから用心を。アサ芸なら「ネトウヨ老人に穢された“岩波マドンナ”清宮美稚子の安保音痴」と見出しを立てて大喜びするだろう。

■10月10日(土)、東京五輪記念日、朝は室温21.5度、晴、ハーフ散歩。小1女児預かり。

八幡様は今日と明日、お祭りだ。昨日は清宮で遊んだが、今夜は宵宮。人口が増えているから年々混雑がすごくなっている。

♪村の鎮守の神様の 今日はめでたい御祭日
ドンドンヒャララ ドンヒャララ ドンドンヒャララ ドンヒャララ
朝から聞こえる笛太鼓

わが街では伝統的に(と言っても40年ほどだが)笛太鼓は小学生が演奏する。この唱歌「村祭」は3番まであり、3番はなかなか勇ましい。

♪治まる御代に神様の めぐみ仰ぐや村祭
ドンドンヒャララ ドンヒャララ ドンドンヒャララ ドンヒャララ
聞いても心が勇み立つ

神様に平和を感謝し、尚武の心を高めている。サイト「世界の民謡・童謡」から。

<「村祭(むらまつり)」は、1912年(明治45年)刊行の小学校向け音楽教科書「尋常小学唱歌」に掲載された日本の民謡・唱歌。

「村祭」以外には、「かたつむり」「春の小川」「故郷」「朧月夜」「茶摘」など、今日まで歌い継がれる様々な唱歌が掲載されていた。

なお「村祭」の作詞者については、近年の研究で、「夕日」(ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む)の葛原しげる氏が作詞者として有力視されている>
(以上)

日清日露戦争に勝ち、華々しく世界にデビューした明治の勢いというのが、この歌にも表れているようだ。

葛原しげるは唱歌・童謡の草分けだ。雑誌『少年世界』『赤い鳥』にも関わっている。

<1945年(昭和20年)28年間勤務した九段精華高女が、戦火によって廃校となり帰郷。地元の私立至誠高女(広島県立至誠高校を経て現在は戸手高校)の校長に就任し1960年(昭和35年)勇退するまで勤務。

郷土の子弟教育に尽力し、地元の人達からもニコピン先生と呼ばれ親しまれた。これは、「子どもはいつもニコニコピンピン」と願い、自らもそうありたいと願っていたからだという。

1961年(昭和36年)母校、当時の東京教育大で倒れ、75歳で没した。作詞した童謡は4000篇とも言われる。

毎年命日の12月7日になると生家の前で「ニコピン忌」がおこなわれ元気な子どもたちの声が響きわたる。現在、地元では「葛原文化保存会」が組織され、葛原しげるとその祖父葛原勾当の遺徳を顕彰している>(ウィキ)

ニコピンコロリ、理想系だ。歌詠みは死して歌を残し、名を残す。小生は何か残せるのか。

■10月11日(日)、朝は室温22度、雨のち曇、ハーフ散歩。犬は太鼓の音を雷と思ってとても恐れる。

義妹は娘二人を遺して旅だったが、今日は下の娘の結婚式で、カミサンと娘二人が参列した。義妹も喜んでいるだろう。

小生は二日酔いで終日機能不全。午前中はPCの不具合の修復でつぶれた。午後は呆然自失のままで、ワインを買いに行って夕食を作っただけ。脳ミソが動かないけれど、メルケルほど暗愚ではない。狂気のドイツ政府に国民は怒っている。

「ロルちゃんのブログ」10/3「沈没寸前? こんな待遇なら誰だってドイツに来たくなる」から。

<ドイツで政治亡命者として認定された人は、仕事を見つけられなければ、全くドイツ人と同じ程度の社会福祉援助を受けることになる。行政はそうしなければ、憲法裁判所の命令に背くことになり、厳しい制裁を受け得る。つまり、ドイツ人の待遇と違った待遇は一切許されない、この国では・・・

ドイツの社会福祉は正に楽園の様な話。一般常識を持っているいる人なら誰だってそう思うだろう。良すぎるから、多くの人は、働くよりも社会福祉で生きた方が楽だと思い、この社会保障制度のメリットを極限まで悪用する。想像しにくいだろうからもう少し詳細を説明しよう。

難民の場合、具体的にこうなる。

・住まいの家賃は市が払う。

・家族1人当たり約5万円を社会福祉の生活費として更にもらう。

・テレビ、洗濯機、コンロとその他、「人間的な生活を送るのに不可欠な」電気製品が壊れたら、市が無料で代替の物を調達してくれる。

・700時間のドイツ語の授業を含めての社会「統合コース」に無料で参加ができる。

・それに、子供1人当たりに3万円近くの子供手当が出る。ここで注目すべき事は、ドイツは世界一アホな国だから、難民が実際に連れてきた子供の為に子供手当が出るだけじゃなくて、その難民が本国に「残してきた」と主張する子供の為にも子供手当が出る。

・ドイツで(州によっては)大学を含めてまで教育は無料だから、学費もかからない。

・医療費もただ。ドイツ人と同じく、法定健康保険のカードをもらって、病院に行く時にそのカードを提出し、自己負担無しで治療を受けられる。

・楽園の頂点として忘れてはいけないのは、上記の手当ての受領には制限がない。例えば10年間失業したら、10年間上記の援助が出る・・・

このカード(写真)を提出したら、自己負担無しで病院で治療を受けられる、無論難民でも。考えられない事実だが、政治亡命申請が却下された後の次のステップは通常だと強制送還と思われるが、人道的な理由でドイツに一応残ってもいいことになっている難民も、みんな上記に近い様な待遇を受け続ける。

話が脱線するが、一つの社会現象としてよく次の事が報道される。いわゆる「教育意欲から離れている階層」、つまり大体イスラム系の住民の間のアンケート調査ではよくこういう結果が目立つ。

普通のドイツの男の子に「将来何になりたい?」と聞いたら多くが「消防士」「警官」「パイロット」という格好いい返事が返ってくるが、イスラム系の家族で育っている男の子に同じ質問をしたら「社会福祉を受けていくつもりだぜ」というのが答えになる・・・

難民に話を戻すと、中近東の家族には子供が多いというのがよく知られている。夫婦が3人の子供を連れてきて、本国に尚2人を残してきたと主張すと、上記の箇条書きの計算はこうなる。

ここにいる5人分の生活費として25万円を貰う他に、5人分の子供手当として更に15万円近く貰う。家賃は気にしなくていいから、手取り40万円でかなり楽な生活ができる。それは結局何の努力もしないで貰う金額だ。下手すると本国では一所懸命働いても、ドイツでのこの「月収」は本国の年収すら上回るケースが多いと思われる。

挙句の果てに、もう一つ大事な事を見逃しちゃいけない。上記の待遇を貰っている難民達は、この国で一度も、1円も税金も社会保険料も納めたことがない。低賃金で一生働いてきた、12万円ぐらいの年金で生活送っているドイツ人の年金生活者は、上の計算の話を聞いてどう思うだろうかね。

とにかく、こういった家族を20万世帯分ドイツが養ったら、1年間で1兆円以上かかる。ドイツは今年、折角、国家(財政)黒字になったのに、今はみんな奴らに食われてしまう。税金を払いたくなくなるのは僕だけなんだろうか・・・>(以上)

同10/5「沈没寸前? 沈黙の螺旋」から。

<ドイツの現在の状況は日本のマスコミで大きく報道されている様だ。だが、今日は意外な事を教えられた。日本のテレビ局がドイツで調査を行い、街角の人に意見を聞いたみたら(侵略者とも呼ばれる)難民の大流入に対して心配を抱えている人達は大半だったそうだ。

ドイツのテレビではそれは殆ど放送されない。日本のテレビ局の取材で、ドイツで放送されないから、みんなが正直に吐き出せただけなのかな。ドイツでテレビに出ている人は、バイエルン州の政治家以外は誰一人も反対の意見を公表しない。

そう言えば、うちの村で毎週日曜日に無料で配られる回覧板には、その編集部が今週行ったアンケート調査の結果が載っていた。質問は「うちの町は難民大流入で起きるあらゆる問題を乗り越えられると思うか?」。結果は90.7%は「いいえ」と答えた。僕はそれを読んだら、なるほどね、常識は意外とまだまだ残っている、この国には。

それでも俳優、歌手、司会者、画家、タレント等々、テレビでもラジオでも、誰一人として難民反対の意見を出しているの聞いたことがない。みんな怖がっているんだろうか。反対の意見を出したらもう仕事を貰えなくなり、人気が減るのを恐れているのでは。

沈黙の螺旋(スパイラル)はこういうことかな。

こうやって「公の意見」ばかりがメディアに出ていたら、それは主流の意見だと群衆は思い込み、誰もが自分が本当に考えている事を言う勇気が無くなっちゃう。

ドイツの有力なアンケート調査「インスティチュート」の創立者はこの事柄に関して40年前に「沈黙の螺旋」という表現を作った。ある事情についての賛成の意見は、周り多くの人は反対の意見を持っていると気づくようになったら、ドンドンドンドン賛成とは言わなくなり、最終的に完全に沈黙に陥る。

「シュピーゲル」の次に有力な政治マガジン「フォークス」のウェブサイトには、「ドイツ人の追い出しが開始」に関してのフォーラムがある。シュピーゲルは中より左、フォークスは中より右だ思われているが、僕がフォークスで読んだ範囲では、みんな物凄く怒っている。

「今度は右翼に入れるぞ」「ドイツ人を追い出し、難民を入れるなんて悪夢よりひどい話だ」「メルケルの即時更迭を図ろう」とかの意見ばかりだった、例外無し。

僕はそれを読んで、少し心強くなった。自分だけでなく、他に懸念している人もいっぱいいるんだね、と。よかったぁ・・・>(以上)

難民大騒動を招き入れたメルケルとは何者なのか。

<アンゲラ・メルケルはハンブルクで生まれた。父ホルストがベルリン=ブランデンブルク福音主義教会(現ベルリン=ブランデンブルク=シュレージシェ・オーバーラウジッツ福音主義教会)の牧師として東ドイツに赴任することになり、生後数週間のアンゲラは1954年に両親と共に東ドイツへ移住する。母はラテン語と英語の教師であった>(ウィキ、以下同)

父親が牧師ならメルケルも福音主義教会(プロテスタント改革派)の信者だろう。メルケル曰く――

「ヨーロッパがキリスト教クラブでないというのは正しい。しかしヨーロッパが人権と市民権を基本とするというのもまた事実です。そしてここドイツでは、人権と市民権をキリスト教的人間像に重ねているのです」(2006年のCDU党大会で)

だから他の宗教どころか宗派が違えば殺し合う、非寛容で排他的なイスラム教徒でも抱擁するのだ。

メルケル政権は3党連立だ。党首でもある保守派のキリスト教民主同盟(CDU) 、姉妹政党であるキリスト教社会同盟 (CSU) 、CDUのライバルである左派のドイツ社会民主党(SPD)が与党になっている。

日本で言えば社民党、民主党のようなSPDと手を組んでいるために政権は盤石とは言えない。

また、CDU自体もいろいろな派閥があるようで、「私は時にリベラル、時に保守、時にキリスト教社会主義です。それこそがCDUをなしているのです」(2009年9月、ARDの番組にての発言)

難民を受け入れざるを得ない事情があるようだ。

「多文化主義」とは、異なる文化を持つ集団が存在する社会において、それぞれの集団が「対等な立場で」扱われるべきだという考え方または政策である。しかしリベラル的な理想主義から先進国で展開された多文化主義的な政策は、現代社会に少なくない軋轢を生み出した。

メルケルは「『さあ、多文化社会を推進し、共存、共栄しよう』と唱えるやり方は、完全に失敗した」(2010年10月16日、自党の青年部会議における発言)と言いながらも、SPDへの配慮、遠慮から難民受け入れとなったようだ。

連立協定の序文はこう謳っている。

「CDU、CSU、SPDの連立政権は、ドイツの暮らしの豊かさと社会的結束の基盤が維持拡大されるよう力を尽くす。老若男女、東西のいかんを問わず、ドイツに生きる全ての人々が良い暮らしを送れるよう、正しい道の途上にあるわが国がさらに前進できるようにするのが、われわれの目標である」

メルケルは「国家は破綻する筈がないという噂があります。この噂は正しくありません」(銀行家との会合での発言。『デア・シュピーゲル』誌、2009年第5号)と正論を言っていたが、残念ながら(不本意ながら?)彼女はドイツを間違った道に導き、まさに破綻させようとしている。

◆対米追随でやせ細った日本

田村 秀男



「TPPで日本再生」とは笑わせる 

日米の対外純債権・債務

1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルに日米独(当時は西独)英仏の5カ国(G5)の蔵相・中央銀行総裁が集まって、ドル高是正のための国際協調で合意した。筆者はその日、たまたまニューヨークに出張していて、記者会見場に駆けつけた。

壇上では、身長2メートル超のボルカー米連邦準備制度理事会(FRB)議長の脇で、議長の肩にも届かない小柄な蔵相の竹下登氏(当時、後に首相)が頭の上に手をかざして背比べのまねをしておどけている。

対米協調は表看板、内実は対米追従の日本という構図を取り繕おうとする、竹下氏特有の照れ隠しだったのだろう。実際に、合意後日本の大蔵省と日銀は米国の求めに応じて、通貨・金融政策を展開することになる。

合意前1ドル=240円前後だった円の対ドル相場は急上昇を続け、ド ル下落に歯止めがかからなかった。87年2月にパリ・ルーブル宮殿で開 かれたG7(G5とイタリア、カナダ)蔵相・中央銀行総裁会議で決まっ た為替相場安定のためのルーブル合意は不発で、同年10月19日には ニューヨーク・ダウ工業平均株価が一挙に22・6%安と、史上最大の暴 落に見
舞われた。

G7の中で米国に忠実なのは日本だけである。米国の意を受けて、日本の大蔵省は日銀に圧力をかけて利下げさせ、超金融緩和を続けさせた。

あふれる円資金は国内の株と不動産市場に流れ込んで、バブルを膨張させた。一部は米国向けの不動産や証券投資や直接投資に振り向けられ、米市場に寄与する。

ブラックマンデー後、米国は日本など外部の資金に依存する世界最大の債務国となり、対外債務を膨らまし続けていく。対照的に、日本のほうは世界最大の債権国として債権を増やし続けていく。

一般社会では通常、カネの貸し手のほうが豊かで、借り手が貧しいはずだが、日米の国家間となると逆である。債権国日本はやせ細り、借金国米国が太る。名目国内総生産(GDP)でみると、85年に比べ2014年の日本は1・5倍にとどまり、米国は4倍になった。米国は日本のカネの おかげで株式市場が活性化し、株価が先導する形で景気を拡大させてきた。

国内でカネが回らない日本はデフレ不況。財政赤字圧力が増す。それを理由に財務官僚は増税、歳出削減という緊縮財政を政権に呑ませて、デフレを慢性化させた。カネはますます米国に向かう。

12年12月に発足した第2次安倍晋三政権は「アベノミクス」によっ て、円安株高を誘導してきたが、14年4月からの消費税増税によって再 びマイナス成長軌道に引き返してしまった。

円安のおかげで企業は利益を大幅に改善させたが、国内向け投資には慎重で、代わりに米国での企業買収に血道を上げる。今回、大筋合意したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も対米追随路線の延長上だ。「TPPで日本再生」とは笑わせる。 
(産経新聞特別記者)
産経ニュース【お金は知っている】2015.10.10

◆国土が育てた日本人

伊勢 雅臣



日本列島が育てた世界断トツのチームワーク。しかしグローバル社会ではムラ意識からくる不適合も。

■1.チームワークの得意な日本人

アメリカに住む友人のAさんが一時帰国して、面白い話を聞かしてくれた。最近、日本人とアメリカ人合同のゴルフ大会に参加して日本人のチームワークの凄さを改めて感じた、というのだ。

大会は「ベスト・ボール」というルールで、4人でそれぞれボールを打ち、その4つからベスト・ポジションを選んで、そこからまた4人がそれぞれ打つ。こうして各ホールで4人のうちのベスト・スコアだけをつけて、最良のスコアの組が優勝するという団体戦である。

Aさんの組はたまたま日本人4人で、初めて会った人ばかりという組合せだったが、2、3ホールやれば、それぞれの腕前、得意不得意が判る。たとえばドライバーショットでは、高齢のAさんは方向性は正確だが、距離がでない。若手のBさんは距離はぶっ飛ばすが、時々とんでもない方向にボールが行く、等々。

数ホールすると、特に相談もしていないのに、Aさんが先に打って、とりあえず距離はでなくとも、そこそこ良い位置を確保するようにした。その後でBさんを打たせると、もう最低線は確保しているので、プレッシャーから解放されて、距離も方向性も素晴らしい一打が出る。日本人の組ではそんなチームワークがごく自然に出来た。

Aさんたちの前のアメリカ人ばかりの組は、そんな事はおかまいなしに、各人が「我こそは」とぶん回している。どうやら、誰か一人が良い当たりをすれば良いので、自分は失敗しても良いからと、難しいチャレンジを楽しんでいる様子である。大きな池越えのホールでは4人とも大胆な挑戦をして、全滅していた。

一人ひとりの力量は、アメリカ人組の方が高いのに、チーム戦となると、日本人組が得意のチームワークを発揮して、最終スコアでは僅差で勝ったという。

Aさんは、日本の自動車部品メーカーの現地法人の役員をしているが、アメリカ市場では、日系メーカーが最高品質の車を競争力ある価格で販売し、いまや北米市場でのシェアは4割近くに達するという。その原動力がこのチームワークであり、アメリカ人従業員たちにも教育を通じて、日本流のチームワークを発揮させているという。


■2.日本の国土の特性

Aさんの話を聞いた後に読み始めた国土学の権威・大石和久氏の近著『国土が日本人の謎を解く』[1]で、日本人のチームワークの良さは日本列島の国土の特性が生み出した、というの指摘に、目から鱗の思いをした。この著書は、欧米や中国との国土の違いから民族性の違いが生まれている事を鮮やかに解き明かしている。

日本の国土の特性を大石氏は10の特性にまとめているが、チームワークの発達に影響したのは、次の3つである。

・細長い弓状列島: 日本列島の最大幅は250キロ程度しかないが、列島の東北端から南西端は直線距離でも3300キロに達する。

・脊梁山脈の縦貫: その細長い列島の中軸を1〜3千メートルの高い脊梁山脈が縦貫している。ほとんどの河川は、この脊梁山脈から発して海に注ぐので、きわめて短く、急流となっている。

・数少なく、狭い平野: 山と川が多いので、平野は内陸地域では盆地として、海岸地域では河川が押しだしてきた河口の土砂の上にしかない。

大きな平野として関東平野や大阪平野があるじゃないか、と思うだろうが、これらの平野がまとまって使えるようになったのは、江戸時代以降のことである。

それまでは多くの川が両平野の中を流れており、洪水がある度に流路を変えるので、平野の中に点在する小高い所だけに、人が住んだり、田畑を作ったりしていた。

江戸時代に入ってから、江戸湾に注いでいた利根川を銚子の方に付け替えるとか、大阪平野を北上していた大和川を堺市の方に流す、などというご先祖様の治水工事のお陰で、ようやくまとまった大きな平野として使えるようになったのである。[a]


■4.数百人単位の村で数千年、暮らしてきた日本人

この小平野が散在する国土で、日本人は数多くの小さな村に別れて暮らしてきた。天保5(1834)年の全国の村の数は6万3千余もあり、平均的な人口は400人ほどだった。縄文時代の三内丸山遺跡も、人口4〜5百人程度と推定されているから、日本人は細かく散在した平地に、縄文時代から江戸時代まで数百人程度の小さな村で暮らしてきたのである。

狭く小さく分散している平野の、きわめて小さな集落の中で、歴史のほとんどの期間を暮らしてきたことが、われわれを規定しているのである。

ここでは、何千年という期間にわたって、顔見知り仲間が共同作業によって、灌漑設備の設置や水の配分・田植え・稲刈り・道普請・屋根の葺き替え・冠婚葬祭などを協力し分担して行うという暮らしをしてきた。

その結果、集落の中でのもめ事を最も忌避し、全戸参加による話し合いによって物事を定めたり、争いごとを解決してきたのである。これが、われわれの日本人の秩序感覚を磨いてきたのである。[1, p119]

日本人がチームワークが得意だというのも、こういう数千年の歴史の中で磨かれたムラ意識の所産なのだ。


■5.中国の大平原が独裁社会を生む

日本人が分散した小平地で数百人単位の村落で生活してきたのとは対照的に、中国人は広大な平原で暮らしてきた。たとえば、北京から上海まで南北で1200キロ、最大幅も600キロほどの平原が広がっている。1200キロといったら、東京−福岡よりも長い距離だ。

この広大な地域に水を引くには大規模な土木工事が必要だが、そのためには人民を大量動員できる権力が必要である。随の煬帝は、610年に総延長2500キロメートルにも及ぶ京杭大運河を完成させたが、このために100万人もの動員を行ったという。それだけの権力集中が中国にはあった。[1,p144]

しかも、この大平原を目指して、周辺の異民族が押し寄せる。紀元1年からの100年間では、18回もの異民族の侵入や、反撃の征討があった。異民族の侵入から護るべく、都市を巨大な壁で囲み、さらには万里の長城を築いて国土全体を囲んだ。

こういう国土では、民衆も自分たちを護ってくれる強力な権力者を必要とする。大平原が独裁社会を生むというのは、お隣のロシアにもあてはまる現象だ。

しかし独裁社会で、腐敗や民衆の搾取が進み過ぎると、民衆が反乱を起こし、内乱の中から次の権力者が登場する。王朝の交替時期には、常に大規模な戦乱があった。「革命は銃口から生まれる」と毛沢東は言ったが、共産革命に限らず、歴代の王朝交代は常に暴力で行われてきたのである。

各皇帝は自分の権力を守るために軍隊を持つ。現在の中国の軍隊は、国家に帰属しているのではなく、共産党に属しているが、共産党書記長という皇帝が、軍隊を握っている、と考えれば、今の共産党政権も中国の歴代王朝の伝統をそのまま引き継いでいるのである。


■6.ヨーロッパの国土が産んだ「公」の概念

ヨーロッパの国土は、日本と中国の間に位置づけられるだろう。ヨーロッパの平野は、日本よりははるかに大きいが、中国ほどではない。しかもアルプス山脈が中央に聳えて、南北、東西を分断している。日本のように多くの地域共同体に別れていたので、封建制が発達した。

しかし、欧州が日本と異なり、中国と似ている点は、ゲルマン民族やアジアの騎馬民族が周期的に襲ってきた、ということである。そのため、ヨーロッパの共同体は城壁で囲まれた都市国家となった。

パリを見ても、シテ島周辺から始まった都市城壁は、人口増加などの時代の変化とともに拡大し、最終的には周囲34キロメートルという大きさになったが、いつの時代にも大勢の人が肩がぶつかるようにひしめきあって壁の中で暮らしてきた。

しかし、都市規模が大きくなると、全員が顔見知りというわけでもないから、わが国のように「みんなでとことん話し合って、みんなで守り毎を決め、みんなでの約束として遵守(じゅんしゅ)する」というわけにはいかない。

厳密な表現の文章による成文のルールを定め、それを守ると約束する人だけが城壁内に暮らすことができる権利を得るということにならざるを得ない。[1,p109]

そして、ひとたび外敵に襲われると、城壁の中に閉じこもって、市民が結束して防衛にあたる。「市民」とは、成文法を守る約束をし、いざという時には防衛の義務を果たすことで、城壁内に住むことを許された人々のことである。こうして同じ城壁内で住み人々が、共通のルールを守り、共同体のために尽くすところから、「公」の概念が生まれた。


■7.ヨーロッパの「公」、日本の「共」

ヨーロッパの国土が都市国家の形成を通じて、「公」の概念を育てたように、日本や中国の国土もそれぞれに特徴をもった政治構造を産んだ。

日本のように、細かな平野が分散的・孤立的に存在しているのであれば、強大な権力は必要なかったし、また生まれもしなかった。これは日本人の強健への拒否や忌避という性癖にもつながっているし、逆にいえば中国人は強権好きということなのかもしれない。[1,p144]


小さな集落で、互いに顔をつきあわせながら、一生を暮らしていくことから、仲良く暮らしていくことが最優先となった。集落で物事を決定する場合も、民俗学者の宮本常一氏が記録しているように、全戸が賛成するまで徹底的な話し合いが行われ、時には反対者がいなくなるまで3日3晩も続けられたという。

多数決が民主主義の意思決定ルールなのだが、十二分な話し合いがないままに決を採ろうとすると「強行採決」と批判するのは、このムラ意識からである。独裁者を嫌い、「強行採決」を嫌う気性は、日本の国土で数千年も続いてきたムラ社会で培われたものである。

大石氏は、ヨーロッパで「公」の概念が育ったが、日本でそれに対するのは「共」であるという。「公」と「共」は性格を異にするが、個人と共同体と結ぶ絆として機能することで、法治主義、自由民主主義などの基盤となる。日本がアジアでいち早く、近代的法治国家としてスタートできたのも、欧州の「公」の役割を「共」が果たしてきたからであろう。

それに対して、中国の独裁社会では、一人の皇帝が億兆の民を支配する。多数決どころか、民衆の投票すらあり得ない。法とは「公」や「共」のルールではなく、皇帝が臣下や民衆に下す命令である。

「公」も「共」もない社会では、およそ法治主義も民主主義も根付かない。民衆が声をあげられるのは反乱による武力革命だけだ。


■8.ムラ意識のグローバル社会での適応障害

日本人は数千年のムラ社会の経験で、世界でも断トツのチームワークを得意としている。東日本大震災で世界に感銘を与えた互いへの思いやりは、このチームワークが発揮されたものである。

しかし、ムラ意識は良い点ばかりではない。現代のグローバル社会はヨーロッパ流の「公」を中心とした構造をとっているので、日本流のムラ意識が不適合を起こす場合がある。

たとえば、昨今の集団的自衛権の論議の中で、こんな発言をした学生がいた。

「もし本当に中国や韓国が攻めてくるというのなら、僕が九州の玄関口で、とことん話して、酒を飲んで、遊んで、食い止めます。それが本当の抑止力でしょう?」


平和なムラ社会の中でしか通用しない発想である。天安門では民主主義を求める学生・青年たち大勢を、自国民でも平気で虐殺した政権である事が、まるで判っていない。

彼らが反対する「集団的自衛権」とは、欧州の都市国家群が外敵から共同で防衛した歴史から出てきた概念で、欧米人にはごく当たり前の話なのだが、平和なムラ意識の持ち主には、改めて勉強して貰わないと理解できないのであろう。

そういう意味で、国際派日本人を目指す人々には、グローバル社会の国際常識を学ぶ必要があるのだが、そのために一番、良い方法は、国際社会に触れ、外からの視点で自らの強み弱みを認識することだ。

弊誌916号[b]で「西側先進国で、わが国ほど、政治、マスコミ、法曹、教育の各界で、いまだに左翼がしぶとく巣くっている政治的後進国はない」と述べたが、政治、マスコミ、法曹、教育の各分野こそ、もっとも国際社会から遠く閉ざされて、ガラパゴス的なムラ意識の残存している分野だからだ。

日本人が国際社会で活躍・貢献しようとすれば、ムラ意識の良い面であるチームワークを発揮しつつも、このガラパゴス島から一度、外に出て、西欧流の「公」の概念を良く理解しなければならない。


■リンク■

a. JOG(821) ご先祖様の国土造り
 我が先人たちはより安全で豊かな国土を子孫に残そうと代々、努力を積
み重ねてきた。
http://blog.jog-net.jp/201310/article_7.html

b. JOG(916) 戦後左翼の正体
No.916 戦後左翼の正体 「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と言う人々の正体を探ってみれば、、、
.http://blog.jog-net.jp/201509/article_1.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 大石久和『国土が日本人の謎を解く』★★★、産経新聞出版、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4819112651/japanontheg01-22/

◆8・30国会デモは「異常空間」

酒井 充



8月30日午後、国会議事堂周辺には約2時間にわたり安全保障関連法案に反対する大勢の人が集まった。主催した市民団体「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」は12万人が参加したとしている(警察当局の発表は約3万3000人)。

民主党の岡田克也代表ら野党4党の党首も駆け付けて廃案を訴えた。朝日、毎日、東京各紙は翌31日付朝刊で上空から撮影した集会の写真を1面に掲載し、社会面などでも大展開した。「届かぬ民意 危機感結集」(東京1面)だそうだ。

集会では、日米安全保障条約に関する「60年安保闘争」や「70年安保闘争」を懐かしむ初老の人々が安倍晋三首相を「安倍」と呼び捨てにすれば、若者はデ マを拡散し、「安倍を倒せ!」と叫んだ。こうした集会の異常さを朝日、毎日、東 京などのメディアは伝えず、さも「善良な市民の集会」との印象で報じ、岡田氏は 「力を貸して」と協力を求めた。礼節
も常識もなく罵詈言とデマが飛び交い、それ に誰も異を唱えない。日本の将来の危機を感じさせる集会だった。

国会周辺は集会が始まる午後2時前から不穏な雰囲気だった。小雨が降 る中、最寄りの地下鉄駅は大混雑。それでも何度か経験した7万人規模のコンサート の雑踏に比べれば明らかに人は少ない。集会が終わると、ほどなくして嘘のように国 会周辺は静寂に包まれた。大規模コンサートの帰途は、こうはいかない。

負傷者を出さないために通行を規制する警察官に「なんで通さないん だ!デモをつぶしたいんだろ!!」と毒づく中年の男性がいるかと思えば、「火炎瓶を 投げたくなるよ」と不穏な言葉を漏らす青年の姿も。「警察帰れ!」のコールも起き た。この場から本当に警察がいなくなったら混乱に拍車がかかるのは火を見るよりも 明らかだ。

メーン会場の国会正門前では、岡田氏と共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表がそれぞれあい さつした。各氏とも声が上ずり、いつもの雰囲気とは違って高揚していた。いずれも 廃案と共闘を叫び、岡田氏は志位氏とがっちり手を組んだ。

野党党首の次は、各界からのスピーチに移った。ルポライターの鎌田慧氏は「安倍は本当に珍しい嘘つき」「安倍みたいに対話ができないやつはない」と呼 び捨てで訴えた。続いて山口二郎法政大教授は「安倍に言いたい。お前は人間じゃな い! たたき斬ってやる」と叫んだ。山口氏は教職にあり、民主党のブレーンでもあ るという。

講談師の神田香織氏は首相を「あんた」「嘘つき」「泥棒」とののしり、「切腹しろ」と退陣を求めた。袖井林二郎法政大名誉教授は、首相が「デモ隊を鎮 圧するために機動隊だけでは足りず、武装した自衛隊を派遣するかもしれない。本当 に困った人だ」と主張した。

鎌田、袖井両氏、そして映画監督の神山征二郎氏らは「60年安保」に言及した。久々の国会周辺の大規模集会に郷愁を感じているようだ。確かに集会参加 者には高齢者の姿が多い。

午後3時すぎ、法案反対のデモ活動を行う学生団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基氏が登壇した。奥田氏は「安倍首相は『どうでもいい』とかやじを飛 ばして、この安保法制を結構軽く見ていると思うんですよね」と述べ、「どうでもい いなら総理をやめろ!」と叫んだ。

首相がいつ「どうでもいい」とやじを飛ばしたのか不明だが、8月21日 の参院平和安全法制特別委員会で首相が自席から発言した「まあいいじゃないか」を 勘違いしていると思われる。このやじの直後、質問していた民主党の蓮舫代表代行が 「『そんなことどうでもいいじゃん』とは、どういうことか」と追及していたからだ。

やじは、蓮舫氏の質問に答えた中谷元・防衛相が過去の政府答弁の通称を間違えて審議が中断している際に出た。首相はその後、「どうでもいいなどとは 言っていない」と釈明しつつ、やじを陳謝した。蓮舫氏は8月29日のテレビ番組で 「首相は『まあいいじゃないか』と言った」と説明した。「どうでもいい」と「まあい いじゃないか」では印象が随分と異なる。

しかし、奥田氏は8月23日に連合が主催した国会前での法案反対集会で「どうでもいいなら総理を辞めろ」と叫んだ。「どうでもいい」と「辞めろ」が全く 結びつかないが、30日も同じく叫んだ。

こうした間違いをただそうとする大人は集会参加者にいなかった。奥田氏が首相を「お前」と呼び、「安倍を倒せ!」と叫んでも、大人はいさめるどころ か、「そうだ!」と同調した。大人からして「安倍」と呼び捨てにしている。「呼び 捨てにしてはならない」「嘘をついてはいけない」という常識は、この空間には存在 しない。子供連れの女性もいたが、こういう発言を次々と聞かせて大丈夫かと本当に 心配になった。

奥田氏が「ビッグな先輩が駆け付けてくれました」と紹介して登場したのが音楽家の坂本龍一氏だった。坂本氏も奥田氏をいさめることはしない。それどこ ろか「現状に対して絶望していたが、若者たちが発言してくれているのを見て、日本 にもまだ希望があるんだと思っている」と称賛した。「崖っぷちになって初めて日本 人の中に憲法の精神、9条の精神
が根付いているこをはっきり皆さんが示してくれ た。とても勇気づけられている」とも語った。

そして「イギリス人にとっての『マグナ・カルタ』、フランス人にとっての『フランス革命』に近いものが今ここで起こっているのではないか。僕も一緒に 行動していく」とエールを送った。なぜ法案反対の集会がフランス革命に近いのか、 さっぱり分からない。だれかをギロチン台に送り込むつもりなのだろうか。

作家の森村誠一氏は「戦争は女性を破壊する」として、「安倍政権は女性を殺そうとしている」と主張した。さらに先の大戦を引き合いに「ばかばかしい戦 争を安倍は再びできるような、可能な国家にしようとしている。絶対に安倍を許さな い」と訴えた。また呼び捨てだ。

ほかにも憲法学者、弁護士、宗教者らが次々と発言した。「集団的自衛権は違憲だと言っていたのだから、政府は法案が合憲であることを証明しなければな らない」(浦田一郎明治大教授)と、法律論に絡めて批判する主張もあった。

だが、発言者の大半は「立憲主義に反する」「戦争法案反対」などの単純な叫びだった。安保法案の反対集会だと思っていたら、原発再稼働反対や米軍普 天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対の声も上がった。

安保法案反対を訴える一方、北朝鮮や中国の軍事的な脅威など、日本を取り巻く安全保障環境の変化や危機感を指摘する声は、各界から登壇して発言した15 人からはなかった。

とにかく「安倍憎し」の大合唱だ。いくら気勢を上げるための集 会とはいえ、あまりにも物事を単純化しすぎており、理屈も何もない。罵詈雑言に よる糾弾、事実に基づかない一方的な見解の披露、論理を許さない問答無用の殺気 だった空気には恐怖さえ感じた。

もっとも、集会参加者が「守れ」と訴える日本国憲法は、公共の福祉に反しないならば集会の自由、表現の自由を保障している。法律でくくれない礼節の問 題があるとはいえ、一般の人が何を言っても原則自由だが、岡田氏は、こうした人た ちに「力を貸してほしい」と訴えた。

枝野幸男幹事長は「安保法制に対する批判、不安が大変大きなうねりになっていることが改めて痛感させられる事態だった」と述べた。“党公認の集会”と 言ってもいいのだろう。集会には、とても満足そうな笑みを浮かべる菅直人元首相の 姿もあった。民主党はそういう政党なのだということがよく分かる集会だった。

産経ニュース【酒井充の野党ウオッチ】 2015.10.10
                 (採録:松本市 久保田 康文)

2015年10月11日

◆語られなかった歴史認識

阿比留 瑠比



過去の歴史をどう捉え、位置づけるかは、その国が置かれた国際環境や立場によってそれぞれ異なる。スリランカのウィクラマシンハ首相が6日、安倍晋三首相と会談した際のあいさつを通じ、そんな当たり前のことを改めて考えた。この言葉からである。

自己規制の政府

「日本は20世紀初頭のアジアにおける国際的な動き、ナショナリズムの動きについて多くの国に希望を与えたと思う」

これは具体的な事例は名指しはしていないものの、8月14日に発表された安倍首相談話の次の部分と呼応していると感じた。

「日露戦争(1904〜05、筆者注)は、植民地支配のもとにあった、多くの
アジアやアフリカの人々を勇気づけました」

この部分に韓国メディアは不満や異議を表明したし、ロシアにとっては不本意な記述かもしれないが、紛れもない事実である。

当時、16歳だったインド建国の父、ネールは自伝にこう記している。

「日本の戦勝は私の熱狂を沸き立たせ、新しいニュースを見るため毎日、新聞を待ち焦がれた。私の頭はナショナリスチックの意識でいっぱいになった。インドをヨーロッパの隷属から、アジアをヨーロッパの隷属から救い出すことに思いをはせた」

また、中国革命の父、孫文も日本での講演でこのように強調している。

「この戦争の影響がすぐ全アジアに伝わりますとアジアの全民族は、大きな驚きと喜びを感じ、とても大きな希望を抱いた。(中略)日本がロシアに勝って以来アジアの全民族は、ヨーロッパをうち破ることを考えるようになり独立運動がおこりました」

ところが、こんな明白な歴史の一面の真実であっても、「これまで政府関係文書には書けなかった」(政府高官)というのが日本の言語空間の実情である。

政府は戦勝国を刺激すまいと卑屈になり、多くのメディアは連合国軍総司令部(GHQ)による厳しい検閲の後遺症からか自己規制して指摘してこなかった。

たとえそれが客観的事実であろうと、過去の日本を評価したり肯定したりする内容は、国民には決して伝えてはならないタブーか何かであるように、である。

憤った元首相

冒頭紹介したウィクラマシンハ首相の言葉も、本紙を含め在京各紙の翌7日付朝刊で取り上げている記事は見当たらなかった。相手が中国や韓国ならば、報道官レベルの歴史認識をめぐる対日批判にも過敏に反応するのに、奇妙な話だ。

あるいは、中韓以外は眼中になく、特に注目すべき言葉だと判断しなかっただけかもしれない。

ただ、このようなメディアの一定方向だけを向く体質を目の当たりにするとき、いつも思い出す一文がある。それはA級戦犯容疑者とされていた岸信介元首相が昭和23年11月、極東国際軍事裁判(東京裁判)で被告全員無罪を主張したインド代表のパール判事の判決文(意見書)について、日本タイムス以外の新聞がまともに取り上げなかったことに憤った言葉だ。

「之は各新聞社の卑屈か非国民的意図に出づるものである。之等の腰抜(こしぬけ)共は宜しくパール判事の前に愧死(きし)すべきである」(『獄中日記』)

                 (論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.10.9

◆「台湾統一」計画の終焉

Andy Chang



前号で来年の総統選挙で国民党の洪秀柱公認候補に反対する委員が増えて党の混乱を招いたと書いたが、7日に国民党本部で行われた中央常務委員会(中常委)では洪秀柱を更迭する声が高かった。しかし党本部の前では洪秀柱の支持者が大規模なデモを行っていた。

国民党は中央常務委員会で洪秀柱の更迭を票決する予定立ったが意見がまとまらず17日の臨時大会で決めることになった。

洪秀柱を更迭する理由は彼女の「終極統一」が民意に反するからだ。つまり中国と国民党の統一計画が頓挫したことである。中国と台湾の在台中国人が推進してきた「終極統一」が失敗したのである。

●中央常務委員会の混乱ぶり

前号の「国民党の瓦解」に書いたように、来年の総統選挙に国民党の公認候補となった洪秀柱の人気が低迷しているので、選挙に出る立法委員の候補者たちが洪秀柱と一緒に選挙運動をやらなくなり、彼女を交代して国民党主席の朱立倫を立てると言い出したのだ。

公認の候補者交代は党の規則に反するだけでなく前代未聞である。それにも拘らず国会議員の選挙で3分の1の議席を確保できないと言う危機感が強く、洪秀柱を降して朱立倫を立てれば立法院(国会)で3分の1の議席を確保できると期待している。

3分の1の議席を確保できなければ憲法改正、国民投票法などの重要法案がすべて国民党の意志に反する結果となり中華民国の台湾化が実現する。

中常委では洪秀柱を降して朱立倫を立てる提案に21名の中常委が賛成したが、28名が賛成すれば提案が通ると言われる。10月2日から7日の委員会の開催までの五日間に党首の朱立倫は洪秀柱と3度会見したが、洪秀柱は交代を拒絶したため、7日の中常委で公認候補のすげ替えを提案して投票に持ち込む予定となったのだ。

7日朝、中常委の開会前に国民党本部は洪秀柱の選挙対策に任命していた4名の助理党員を更迭した上で、洪秀柱の支持者を内部に入れないため門前に鉄条網バリケードを張るといった破天荒な処置を行った。

中常委の開会では、馬英九総統が「党の決定に従う」と発表し、続いて4人の元老、連戦、呉伯雄、呉敦義、王金平がそれぞれ「党が危機に陥っている時は非常処置が必要である」と講演した。続いて党主席の朱立倫が「洪秀柱の努力には敬意を表する。しかし彼女の
主張する『究極統一』は台湾の民意に沿わない。台湾は現状維持を望んでいる」と講演した。

これに対し洪秀柱は「終極統一は馬英九総統がこれまで主張してきた路線である。馬英九総統は私を支持している」と述べて交代を拒否した。このため候補者交代の票決が取れなくなり、17日に臨時党大会を開いて決定することになった。洪秀柱は臨時党大会でも最後
まで戦うと言うが、馬英九の支持を失えば敗北は明らかである。

8日朝の報道によると馬英九は洪秀柱に立候補辞退を要求したと言う。彼女にとっては馬の統一路線を主張してきたのに今では馬に見捨てられたら最後の防衛線を崩されたことになる。洪秀柱の支持者は市内で抗議デモを行って交代に反対している。報道では候補者す
げ替えに賛成7・反対3と言う。結論として国民党は統一路線を捨てて党生き残りの道を探っているのである。17日の臨時党大会までいろいろ違ったニュースが出てくるだろう。

●「終極統一」路線の終焉

洪秀柱の「終極統一」は馬英九の統一主張と同じである。馬英九は「不統、不独、不武(中台の統一をしない、台湾独立をしない、武力を行使しない)」と呼ぶ実質的な降参宣言をし、中国の台湾併呑計画に合作してきた。最近になっても「九二共識」(92年に合意した
中国と台湾は一つの国と言う嘘)を繰り返し、今年の春に朱立倫が中国を訪問した際にも「同属一中」と述べた。馬も朱も洪秀柱の統一主張に一致している。

馬英九は中国の統一主張を援助するためECFA(経済合作協定)に署名し、去年は服務貿易協定を国会で通そうとしたためヒマワリ学生運動で国会を占拠された。11月の市町村選挙で国民党は大敗した。

この一連の発展があったので来年の総統選挙には朱立倫、呉敦義、王金平などが立候補を拒否し、人気のない洪秀柱が公認候補となったのである。このような状況で朱立倫を担ぎ出しても当選することはない。但し国民党はどうしても3分の1の議席を確保したいため、
洪秀柱を降して朱立倫が「現状維持」を主張すれば議員の選挙に効果があると期待している。

●中国の台湾統一は失敗した

台湾統一は中国の夢であり、国民党の外省人も中国の統一計画に従ってるに過ぎない。江沢民の時代に始まった台湾併呑計画は着々と進んでいた。胡錦濤は2008年に令計画の立案した「戦わずして勝つ」戦略を中共政治局大会議で通した。これによると2012年までに台湾統一を果たす計画を進めていたのである。

令計画の統一計画は三部分に分かれている、(1)国民党を篭絡し、(2)民進党を分裂させ、(3)傀儡政党を作る、のである。この計画は順調に進んでいたが、ヒマワリ運動で挫折し、11月の選挙で頓挫してした。2012年までに統一を果たせなかった胡錦濤は政権を習
近平に渡して沈黙し、習近平政権は令計画、薄煕来、徐才厚、周永康などを粛清した。台湾は反中国となり国民党に援助すれば逆効果になるから中国は傍観している。

●中国の覇権拡張にストップ

尖閣諸島、台湾統一、南シナ海の埋め立ては中国の覇権拡張の三部作だが、このうち台湾統一が最重要だった。台湾統一に大切なのは中華民国を温存しておくことである。国民党が選挙に負けてもつぶされてはならない。国民党が潰れたら中華民国は滅亡し、中国の台
湾統一はもっと困難になる。

逆に言えば台湾が独立すれば国民党、中華民国をつぶすことになる。台湾人の独立派はこれまで中国の統一路線に手も足も出なかった。次の選挙に勝ってもすぐに中国の路線を潰せるわけがない。たとえ政権をとっても台湾人民は独立に対し準備が足りない。しかも人民は今の民進党を信用していない。独立を達成するのは民進党ではなく体制外派の団結が必要であると思われる。

◆爆買い中国人は転売が目的

宮崎 正弘
 


<平成27年(2015)10月10日(土曜日)弐 通算第4679号>  

 
〜ドンキホーテ、ユニクロ、ラオックスの爆買い中国人は転売が目的
  富裕層は東京で最高額の不動産を購入していた〜


さきに中国人ツアーの爆買いブームがおわる兆候があると伝えたが、外貨持ち出しの上限がひとり千ドルとなり、「銀連カード」の上限も半減に制限され、しかも中国国内の景気低迷は予測より深刻なため、中間層は一斉に財布のひもを締めだした。海外旅行どころではなくなったようである。

大連は日本企業の進出メッカの一つだが、撤退が相次ぎ、天津も爆発事故以後、操業もままならず撤退を決めたが天津市の許可がおりない日本企業が目立つ。

高級レストランは「ガラガラ状態」ではなく、「閉店」が相次いでいる。北京の日本人学校は生徒数が600から400人に激減している。

所得水準も急減しており、求人広告に数倍の応募。大卒給与は4000元から3000元に急落、一方で豚肉に代表される消費者物価が高騰しており、庶民の生活苦が浮き彫りになってきた。

虎退治で人気を高めていた習近平への不満お声が高くなった。

日本に爆発買い物に来ていたのは主として中間層で、「中国製のユニクロをなぜ、中国人は日本で買うのか」と疑問視する向きが多かった。これは中国より日本で購入した方が安いからである。

人民元の高騰により、中国で買うよりも日本のほうが安いという奇妙な現象は為替レート問題が筆頭の原因であり、ついで、消費税が免税になるため、二重に安い。

ドンキホーテ、マツモトキヨシ、ラオックスなど、その場で免税書類の手続きができる。デパートもそうである。

庶民の狙いは「転売」が目的だから、これからも胃腸薬、粉ミルク、紙おむつなどの爆買いは続くだろう。

そして中国経済の本格的な失速により、これらはいずれ緩慢に納まるだろう。

その一例が日本の観光地における高級レストランの動向だ。

中国人ツアー客がいま列を作って食事をしているところは、立ち食い蕎麦、吉野屋、回転寿司、マック、松屋であり、高級レストランには寄りつかなくなった。

寿司の店長に訊いても「最近はランチの最低価格のものを頼む中国人しかいないし、それも少数になりましたね」。ほんの1ヶ月前と様変わりである。

問題は不動産である。

いまも、中国の富裕層が日本の主要都市で高級物件を漁り、投資を続行している。

2004年以来の高値という赤坂の豪邸が、13億円強で中国人の富裕層が購入していたことがわかった。

この豪邸は赤坂の一等地にある洋館で建坪390坪、3階建てでバルコニーに庭がついて、徒歩五分でアメリカ大使館、カナダ大使館に行かれる。個人用住居として、この豪邸の価格は2011年以来、東京の不動産価格では最高値をつけたという(『多維新聞網、10月9日』)

◆これが韓国のにおいか!

黒田 勝弘



先月27日は旧暦8月15日の「中秋節」で韓国では秋夕(チュソク)。贈答シーズンなので果物やモチ、みそ、しょうゆなどのほか高級牛肉のカルビをもらった。冷凍しておいて先日、試しに韓国の代表的牛肉料理の「カルビチム」にしてみた。

骨付きの牛肉のかたまりを甘辛くやわらかく煮たもので、作り方は話に聞いていたのだが、これが実に大変だった。まず血抜きと称して冷水に漬け、血が出ると水を捨てる。これを何時間かごとに何回もやった後、今度は湯がく。これもアクや脂とともに汁を捨て肉を洗う。

その上で、以下は我流だが水にタマネギとジャガイモを加え、手持ちのすき焼きのタレで長く煮込んでやっとでき上がりとなった。

実は韓国の肉料理の基本は焼き肉ではない。煮た肉だ。そこから「○○湯(タン)」というスープ物や「スユク(熟肉)」など煮物になる。今回、肉を台所で長時間、煮ながら懐かしく思い出したことがある。1970年代に初めて韓国にきて市場で感じた「これが韓国のにおいか!」という“異国情緒”のことだ。

狭いワンルームマンションで長く肉を煮ると、日本の食にはない、えもいわれぬにおいが充満する。これでもう満腹になり自家製の“高級カルビチム”も半分しか食べられなかった。(ソウルからヨボセヨ) 

産経ニュース【外信コラム】2015.10.10

◆TPPと「農業をいかにせん」

平井 修一



ずいぶん昔にパリで子猫ちゃん2匹を買ったら、ナニの前にやたらと小生のナニをゴシゴシ洗うので辟易した。

子猫ちゃんは日本の海外旅行をリードした(補助金で儲かった)農協のオッサンの爪のごっつさに恐れおののいたので、「こんなのであたしのナニをナニされたら怖い」という自己防衛本能から、ジャポネの爪とナニはよく洗うべし、となったのだ。

農業には農閑期があるから旅行に出かけやすいこともある。農協観光という旅行会社はトップ5だった(今年の7月の取扱高を見ると25位あたり。団体旅行の時代は終わったということ)。

TPP大筋合意で安倍政権は農協のオッサンを恐れて「大丈夫ですよー、しっかり保護しますよー、ツッコミはしませんよー、やさしくしますよー」と猫撫で声を早くも出しているが、フランスの農家もEU加盟で「損失補填の補助金」漬けだ。それでも「もっと補助金を」とごねている。

「自助自立で、自分で食えるようにまずは努力したらどうだ、世界に売り込めるものを作れよ、甘えるな」

政治家は本音ではそう思っても一票が欲しいから「大丈夫、優しくするから信じてね」。まあ、世界中そんなものだろう。

ブログ「argus akita」10/7「GATT/WTOの機能不全が生んだメガFTA(TPP、TTIP、日本-EU EPA)」から。

<5年半の長い交渉の末、何度も肩透かしを食らったTPPの『大筋合意』がどうやら成立したようだ。アメリカは早々にTPP合意内容のサマリを出したため今回はさすがにホンモノだろうが、日本も含めて各国での2年以内の批准がすんなり行くとは限らないため、まだ不確実性はある。

しかし、実質的には日米の密室・並行協議で進むのだろうし発効後4年間の守秘義務があるため内容の公開は期待できない。

TPPと並行して進んでいるのが、アメリカ-欧州のTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)と、何故かあまり報道されない日本-EU EPAである。日本に帰っても結果的にはウィーンで入手可能な情報と大差なかった。

TTIPは、フランス、イタリアあたりの農業関連からの反対(日本より遥かに国庫支出が多く保護されている)が強いものの、アメリカ大統領選の日程もあるため年内妥結は難しいのではという観測がされていたが、今回のTPP大筋妥結の影響もあり、案外妥結が早まるかもしれない。

筆者に言わせれば、TPP反対論者は日本を途上国グループに追いやろうとしているに等しい。

最近は生乳や乳製品の国内酪農の保護を巡ってフランスの酪農家達がパリでトラクターの大行進を行ったり、牛乳や牧草やたい肥(?)を街の中にブチ撒けたりといった大規模なデモも起きている。

日本よりも農業保護が手厚いとされるフランスでそれである。各国で痛みを伴わないルール変更などあり得ない。

課題は痛みの程度の緩和という内政問題で、国内産業、特に『やる気のある』農業・農家の保護は当然であるが、この部分の政策・施策は大々的なアナウンスをしながらやることはできない。

何故なら他国から見ればそれは非関税障壁と映るからだ。

あまり、一般国民が知らなくても良いが、上手な保護政策が緊急の課題だろう。(この点では安倍政権は期待と不安を同時に持たれていて、スピード感が無い)

節操のないばら撒き型支援ではなく、『やる気のある』農業・農家限定の支援という仕組みと規模が重要で、その障害だった農協の弱体化は進んだため今後の進展待ちだろう。

さらに、ずっと以前から何度か書いているように、大きな非関税障壁となり得る消費者側の国内産品に対する啓蒙も非常に重要だし、過去、どのように不平等な通商・貿易環境を日本が乗り切ってきたかをマスコミは再度検証するような特集をして、経済戦争に備えたらよいのではないか>(以上)

「大きな非関税障壁となり得る消費者側の国内産品に対する啓蒙」とは、国産品は高いけれど安全、安心だということを周知徹底させれば、安い外国産の普及を抑えることができる、日本の農業を守れる、ということのようだ。

これではいかにも消極的だ。「日本産は高いけれど安全、安心、そして抜群にうまいぞ」と世界に売り込める農業にしなくてはならない。「世界最高品質の農産物」で勝てるようにしなければ、日本の農業の未来はない。

それは補助金などで甘やかしていたら、とてもできることではない。パリの子猫ちゃんが喜ぶだけだ。世界を相手に戦争できる強靭な農林水産業を創る。政策はその一点に絞るべきだ。(2015/10/9)

2015年10月10日

◆私の「身辺雑記」(268)

平井 修一



■10月6日(火)、朝は室温21度、快晴、ハーフ散歩。「平成支那事変」が静かに始まった。

ハラハラドキドキの対中包囲戦。昔南京、今北京。まずは北京城を完璧に包囲する12か国連合軍の戦闘態勢が(各国議会の承認待ちだが)固まった。小生は“ウレション”しそうだ。中共殲滅は夢ではない、必ずできる、生きているうちに。

日経2015/10/6 2:00「TPP合意、環太平洋 成長への決意 編集委員・太田泰彦」から。皆、興奮している。

<対立、攻防が白熱した交渉の焦点が、必ずしもその通商協定の本質とは限らない。モノの輸出入を増やす市場開放は欠かせないが、環太平洋経済連携協定(TPP)の本当の心臓部は、これまで無かった斬新な国際ルールの制定にある。

12カ国の国内総生産(GDP)の合計は3100兆円。だが、そんな数字の巨大さは一人ひとりの消費者や己の事業に打ち込む企業にとって、どれほど意味があるだろう。肝心なのはTPPがある世界と無い世界がどう違うか。同々の暮らしや経営がどう変わるかだ。

TPPはいまひとつピンとこないとされた原因がここにある。12カ国は「協定を成立させる」という重い選択を下した。埋めがたい乳製品や医薬品での溝を最後に克服できたのは、目先の損得よりルール策定を優先する大局観からだ。

背景には中国の台頭がある。南シナ海に軍事進出し、国有ガリバー企業が幅を利かせる超大国。中国の恣意的な判断と腕力がものをいう不安定な未来の景色がほの見えている。日本が敗退したインドネシアの新幹線商戦はその象徴だろう。

戦後70年を経て、いま世界は新たな歴史の岐路に立つ。TPP12カ国はアトランタで、危機感と時代認識を共有した。

なぜ新しいルールの経済圏が必要なのか。それは自由で公正な競争を通じ高い経済価値を産み出す力を発揮するためだ。透明な秩序を築くことで、環太平洋地域は一段と成長することができる。

たとえば、ネット販売の代金支払いの決め事、宅配便がきちんと速く届く通関手続き。コストを抑えるために労働者を酷使するブラック企業の取り締まり、工業優先で自然環境を犠牲にしない約束――。

国境を越えた独占禁止法とも呼べる競争政策の条項もある。市場で民間企業を圧迫する国営企業の活動制限も定めた。いずれも20年前にできた世界貿易機関(WTO)協定では途上国が猛反発し盛り込めなかった課題だ。

アジアや中南米の新興国では、日本の常識では考えられない密貿易や賄賂が横行している。ガソリンが安いマレーシアには、二重底の荷台にタンクを隠したトラックがタイから殺到する。税関の職員が嫌がらせで荷揚げを止め、企業から見返りを要求する国もある。

世界経済の成長の中心となったアジアは、現実には無法地帯から抜け出せていない。一部の日本企業にも心当たりがあるだろう。不透明な商習慣の世界で勝ち残るのは、これまでは有力者との人脈と資金力を握る大企業だけだった。

協定違反への対抗措置や紛争処理の仕組みは混沌とした市場に「法の支配」を浸透させる力を秘める。ルールさえ定まれば、次に何が起こるかは予測できる。誰もがリスクを取って飛び出せる新境地。恩恵を受けるのは大企業だけでなく、中小企業や個人事業者だ。

TPPは日本社会を覆う「内ごもり」を破るカギとなるかもしれない。反中・嫌韓など負の感情が渦巻く世相の根に何があるのか。未来へと伸びていけない不安感。個人が存分に活躍できない閉塞感。企業も人も投資を恐れ、アジア新興国の人々に比べて、日本人の多くは目が輝いていない。

人の交流と域内分業、投資で互いに相手を必要とする依存関係が深まれば、地域の安定は増す。軍事力だけで中国に対抗するのではなく、経済から安全保障を高める力がTPPにはある。次の課題は仲間を増やす工夫だろう。希望と可能性あふれるアジアに、秩序ある市場を広げていきたい>(以上)

これは歴史に残るいい記事だ。グッバイ中共、ハロー新大東亜共栄圏! アジア版NATO構築が始まったとも言える。チビリそうだ。

読売新聞10/5 21:7「TPP大筋合意…交渉5年半、巨大経済圏誕生へ」から。

<【アトランタ(米ジョージア州)=横堀裕也、辻本貴啓】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12か国は5日朝(日本時間5日夜)、共同記者会見を開き、交渉が大筋合意に達したとする声明を発表した。

2010年3月に始まったTPP交渉は5年半を経て終結し、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。

記者会見に先立ち、甘利TPP相は記者団に「TPPは21世紀型のルール、貿易のあり方を示す大きな基本になる。この基本は世界のスタンダードになっていく」と意義を強調した。議長役のフロマン・米通商代表部(USTR)代表は記者会見で、「成功裏に妥結したと発表できることをうれしく思う」と述べた。

TPPは安倍首相の経済政策「アベノミクス」の柱の一つ。発効すると、域内でのモノや人材、サービスのやりとりが盛んになり、経済が大きく活性化することが期待できる。日本は少子高齢化で国内市場が縮小に向かう中、米国や新興国の需要を取り込み、新たな成長のよりどころとする>(以上)

アトランタ・・・「風とともに中共去りぬ」か。安倍、甘利のチームはよくやった。中共が迷走し始めたことも12か国の背中を押したろう。

TPPのルールに賛同する国をどんどん増やして中共を締め上げ、中共殲滅・支那解放、チベット、ウイグル、モンゴル独立、10か国ほどの共和国からなる「中華連邦」に再編する。毛沢東が言っていたように、最低でも南北に分けた方がいいかもしれない。

21世紀版「中華解体、腑分け、再生」のシナリオを作ろう。大統領は“マンデラ”劉暁波だ。12か国軍の一員として皇軍はPKOで貢献するだろう。北清事変・・・デジャブ・・・歴史は繰り返す・・・赤匪への国際社会の同情は今は浅いから上手くいくだろう。

李克強などの団派を活用すればスムースに体制変換できるのではないか。日本は深入りしない方がいいが、この際だから硬軟にたけた(狡猾な)シンガポールの華僑に総合監督を委ねてはどうか。中共はリー・クアンユーを尊敬しているから息子のシェンロン・シンガポールの指示には従うだろう。(日本、台湾、香港の言うことにはハナから反発するだろうが)

話は変わるが、五輪マターは商社に丸投げした方がいいのではないか。有識者は戦争(汗と涙のモノヅクリの現場体験)をしたことがないだろうから役に立たない。童貞、インポ、早漏、宦官の類。商社は年中無休、24時間、世界中で戦争をしている海千山千のツワモノぞろいだ。

商社を活用することが日本の未来を拓くのではないか。政府も商社に任せた方が良かったりして・・・

■10月7日(水)、朝は室温21度、快晴だが肌寒い、ハーフ散歩。

ウォールストリートジャーナル10/6は「中国、国際貿易の覇権争いに敗れる―TPP合意」と報じた。

<環太平洋経済連携協定(TPP)の合意は、日米など12カ国にとって、今後の国際貿易を巡る中国との主導権争いで一定の勝利を意味する。

TPPにはオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイなどアジア太平洋地域の国々も参加しており、参加国の経済規模を合わせると世界の40%にもなる。中国が改革を先送りした代償は大きかった>

同紙は他の記事で「5日に大筋合意したTPPについて、米国では航空宇宙、農業、アパレルなどの業界が歓迎しているのに対し、製薬会社やたばこメーカーなどは主要分野で欠陥があると批判している。オバマ氏は、分裂した議会でTPP承認を取り付けるという難しい課題に直面している」とも。ネジレ議会でかなり紛糾するだろう。うまくいけばいいが。

ところでネット言論界では実に多彩で面白い視点の論考が溢れており、これもあれもと紹介したいが、ブログやメルマガでも「忙しい人たちがさっさと(サクサクっと)読めるくらいの量」というスペースは限られているから、結局は優先的なテーマに絞らざるを得ない。

小生の最優先課題は「中共殲滅」プロパガンダだから、それに集中するのだが、中共の刺身のツマの韓国ネタはどうでもいいやと軽視しつつも、「これは紹介しておいた方がいいだろう」というのはある。

小生は米軍座間キャンプのお膝元で生まれ育って、物心つかぬ頃から「ギブ・ミー・チョコレート」で稼いでいたから、「パンパン」も「オンリーさん」もなんとなく、どういうことなのかは知っていた。もっとも「仲良くして稼ぐのだろうなあ」という程度の理解で、「アイ・ギブ・ユー・マイ・チョコレート」で稼いでいるとは、まさか知るはずもなかったが。

母上が日本人の韓国人医師による「シンシアリーのブログ」10/3「チャイナ+1」から。

<「ヘラルド経済」の記事から部分引用します。

同じ内容を聯合ニュースなども報じていますが、趣旨は「韓国はチャイナリスクへの対処が遅れている」というものです。

・いわゆる「チャイナリスク」への懸念が高まっている中、日本の各企業はずいぶん前からこれに備えてきた

・LG経済研究院は3日「ジャパンインサイト(73号)」に掲載した文で、「日本企業は、中国への過度の依存を警戒し、韓国企業より相対的に早く脱・中国戦略を展開してきた」と紹介した

・(同研究院)によると、日本企業は2010年を前後して「中国+1」という戦略を掲げ、投資先を中国から東南アジア、インドなどに移転してきた。2010年から中国に対する選好度が急激に下落し、2013年と昨年には、それぞれ選好度4位と3位に落ちた。中国を抜いて、インドネシアとインドが1、2位に上がった

・日本企業の対中国投資額は、2012年に134億8000万ドルを頂点に、昨年は67億4000万ドルまで急減した。日本企業は、実際に中国の生産拠点を統廃合しながら低価格製品の生産機能を東南アジアに移す戦略を実行した一方、中国が生産基地ではなく、消費市場であるという点に焦点を合わせて、中国内需市場を開拓する戦略を強化した・・・

「日本がチャイナリスクに韓国より素早く対処している」は、ある意味では間違いです。なぜなら、韓国はチャイナリスクに全然対処してないからです。日本が「チャイナ+1」戦略なら、韓国は「チャイナONLY」みたいな構図ですから。

チャイナリスクから「影響なし」の国など存在しないかもしれませんが、だからこそ衝撃を和らげるための備えは必要ですね。口で言うほど簡単ではないことなど百も承知ですが・・・>(以上)

韓国はチャイナONLY、習さま命。パンパンは多くの恋人をもってリスク分散したが、選ばれしお娼妓さんはオンリーさん=お妾さんに“出世”した。ところが旦那がこけると実に惨めなことになる。確か荷風の「浮沈」はそれを描いていたが、天国から地獄だ。

「奥さま、奥さま」とちやほやされていたのが、一気にパンパンに逆戻り虎退治で中共ではこういう「浮沈」が頻発しただろう。罪な奴だよ、習近平。

クネは・・・メルケルも・・・うーん、老嬢だから・・・養老院しかないか。

■10月8日(木)、朝は室温21度、快晴、ハーフ散歩。犬は2回腰砕け。

岡田克也は櫻井よし子氏にコテンパンにされたが、よりによって櫻井氏に噛みつくなんてタイガーにコアラがちょっかい出すようなもので、ハナから勝負にならない。

そもそも「できる女には、男が10人でかかっても絶対勝てない」というのが、男が数千年間、屍を重ねながら学んだ教訓である。これを知らないようでは政権交代は絶対できない。

岡田は10/4に北海道でこう訴えた。

「われわれ民主党はもう1回政権にチャレンジする。このまま今の安倍政権を好き放題させるわけにはいかない。政権交代がきちんと出来る政治にしなくてはいけない。3年3カ月の民主党政権をしっかりと反省しながらしっかりと前を向いて歩き、政権交代を目指していく。皆さんのご理解とご支援をお願いしたい」

「しっかりと反省しながら」って、多くの国民にとって悪夢の3年3カ月をまだ総括していないのか?! 2013/2/24民主党「党改革創生本部第1次報告」から。

<2009年夏の総選挙で308議席を得て政権交代が実現した。多くの国民の期待があった。それが2012年暮れの総選挙では57議席、かろうじて野党第一党の地位は占めたものの、2009年総選挙の5分の1の議席しか得られなかった。

比例区得票数では3000万票(2984万票)が、900万票と3分の1以下に激減した。これはとりも直さず、民主党政権下の3年3カ月の間に、国民の期待が幻滅・失望に変わったことの証左である・・・

しかし私たちが1998年の結党以来目指してきた公正・公平な社会、機会の均等を保障する社会、競争至上主義ではない共生社会を実現する、日本社会の停滞の原因である旧弊を改革する、この方向性は今も正しいと考える。

民主党に代わって政権の座についた安倍自民党政権がはらむ格差社会の拡大・固定化、市場万能主義、排他的で狭隘なナショナリズムなどの危険性を考えると、民主党の日本社会、国際社会における存在意義はますます重要になっている>

「私たちは正しい、民主党の重要性は高まっている」って、完全な居直りだ。まるで中共ソックリさん。結局、「方向は正しかったが、やり方が稚拙だった」というのが総括で、だから鳩も菅も斬首されないで生き延びているわけだ。民主党、岡田自身も相変わらずの暗愚ということ、ちっとも成長していない。

暗愚だから当然、発達障碍者養成機関の東大法学部卒だ。通産省→自民党→各種の新党→民主党。今の支持基盤は労組。

<中選挙区制時代は岡田克也の自身の後援会と実家のイオングループが支援組織だったが、小選挙区制の時代となり、自身の組織に加えて日本社会党出身の伊藤忠治の情報労連・三重県の日本教職員組合・NTT労働組合票・左翼票と、民社党出身の中井洽の全日本労働総同盟が、民主党及び岡田克也を支持する支援組織となっている>(ウィキ)

左巻の支援を受けていれば、本音はどうであろうと左巻の言動になる。過去の集団的自衛権容認の言論は「なかったことにしたい」から櫻井氏に噛みついて、見事に返り討ちにあった。下手を打ったわけだが、周囲を読めない発達障碍が背景にあると診ていいだろう。入院した方がいい。
(2015/10/8)

◆TPP基本合意は吉報か、凶報か

池田 元彦



10月5日、TPPの締結に至る基本合意が12参加国の閣僚間会議で確定した。当初のシンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランド4ヵ国のFTAが、将に環太平洋貿易圏となる。条項改正、加入脱退、関税撤廃発効条件等準備を急ぎ、来年早々参加12カ国の署名を目指すのだ。
 
発効すれば人口8億人、世界のGDP40%を占める最大の自由貿易圏が成立する。2013年の政府統一試算は、発効10年後には、3.2兆円のGDP拡大効果があると言う。しかし農林水産生産額は3兆円減少することになるので、金額だけで言えば、農業関係業界の打撃が一番大きい。

農業界は日本人口の3%未満の250万人で、平均年齢は65歳だ。頑張ってもGDPの1%しか貢献出来ない。農民1人あたりの農地面積は、EUの9分の1、米国の990分の1、オーストラリアに至っては1862分の1しかない、零細農業だ。高級品特価等、農業改革の絶好の機会だ。

TPP受入で幾つかの懸念がある。一つはTPPに悪乗りして、私利私欲の米国大企業の米政府の後ろ楯で強引な日本攻略・侵略の企みだ。他はTPPの秘密主義と、幾つかの条項の問題だ。

遺伝子組替食品は食の安全性を脅かす。「消費期限」を「賞味期限」と表示させられた記憶は鮮明だ。「遺伝子組替でないと表示」することも「地産地消」も強引に禁止される可能性は高い。フランスが既に発癌性を理由に、一切の遺伝子組替食品を輸入禁止していることにもっと注目すべきだ。

特にモンサントは、提供する除草剤に耐性ある遺伝子組替トウモロコシの種をセットで売り、収穫率は増えても翌年は新たに種を買わされる、一生モンサントから逃れられない罠を仕掛けている。

医療分野では、世界に冠たる国民皆保険の根幹を崩されかねない。上下水道等の公共事業を公開入札で落札され、命の根幹を握られる恐れもある。数え上げれば、限がない不安が渦巻く。

以上の不安の原因は、TPPの条項、条件、交渉過程一切の情報が機密扱いとなり、国民処か国会議員にも知らされていないからだ。TPP発効後も4年間は公開も出来ない。だから不安の指摘さえ、憶測に過ぎなくなり、結果として杞憂かどうかも判断できない。こんな国際条約は可笑しい。

危険性の根本はISD条項だ。日本も24カ国との貿易協定には組入れているが、1件も提訴されていない。しかしTPPのISD条項による提訴先は、米国政府の息の掛った世銀傘下の紛争解決センターであり、一度敗訴したら、再審がないことだ。米国が牙を剥けは如何様にもなるのだ。

事実NA(北米)FTAでは、ISD依拠の提訴は46件あり、内31件は米国企業が勝訴で多額の賠償金をせしめている。かつ米政府は、一度も敗訴していない。カナダ、メキシコの被害は大きい。

ラチェット規定もある。TPP実施後、正統な理由での規制強化さえも許さないのだ。一度合意したことは理由如何に拘らず変更できない。更に酷いのは、NVC条項だ。日本に一切の瑕疵がなくとも、進出企業が期待した利益を得られないと、日本を提訴出来るというトンデモ条項なのだ。


明確なことは国家主権の1つ、関税自主権を喪失しTPPに依存するのだ。為替操作も制約が見込まれる。EUのミニ太平洋版なのだ。そして米国の狙いは日本だ。見栄えを変えた年次改革要望書の強化版だ。各条項で縛りをかけ、効かない時はISD、ラチェット、NVCで牙を剥くのだ。マスコミも国会議員も理解が浅い。この問題は関税率の問題ではなく、非
関税障壁の取り壊しなのだ。それにつけても、全て非公開だと議論も出来ない。このままではTPPは𠮷か凶かも不明だ。