2015年09月28日

◆民主党徹底抗戦に終止符を打ったのは

山本 雄史



意外な人物のひと言だった

与野党の激しい国会攻防の末、安全保障関連法が9月19日未明、参院本会議で可決、成立した。成立阻止を掲げる民主党を中心に3日3晩にわたって続いた野党の抵抗は、「言論の府」とは思えない乱闘騒ぎにまで発展した。

それでも民主党内では本会議直前まで徹底抗戦を続けるべきだという「主戦論」が充満していた。政権与党を経験した政党とは思えない“暴走”の経緯を振り返る。

9月18日午後11時過ぎ、参院本会議場近くで民主党の参院議員総会が開かれた。約1時間後の19日午前0時10分から、安保法案を採決する本会議が予定されていた。総会は採決を前に最終的な意志統一を確認する場だったが、その空気を裂くような発言が飛び出した。

「牛歩でもなんでもいい。まだ9月27日まで会期がある!」

「ここで本当に採決に臨むのか。もっと徹底的に戦うべきではないか!」

複数の議員から、採決を妨害する遅延戦術などを徹底して続けるべきだとの強硬論が噴出した。このとき党執行部はすでに採決に臨んだ上で反対票を投じる方針を決めていた。

にもかかわらず、主戦論が叫ばれたのである。出席者によると、徹底抗戦の継続を歓迎するムードに包まれかけたという。

しかし、現実的ではない。民主党の抵抗を国民が手放しで評価しているとは思えない上、問責決議案も出し尽くし、衆院では内閣不信任決議案も否決されていた。

もはや、抵抗手段は枝野幸男幹事長が「理解を得にくい」と否定した「牛歩戦術」しかない。それでも複数の議員が「牛歩でもいい」と主張したのだった。

参院議員総会に緊張感が漂う中、郡司彰参院議員会長が口を開いた。

「われわれは廃案を目指してきた。確かに9月27日まで会期はある。ただ、賛否をきちんと明らかにし、後世に(意思表示が)残るようにすることも大事だ」

普段は感情を表に出さない郡司氏が、珍しく熱っぽく続けた。

「まだ戦いたいという心の叫びは否定しない。だが、日本軍ではないが、精神力だけでは無理だ。文句があるなら私に言ってほしい。皆さん、最後までひとつにまとまってほしい」

 陪席していた岡田克也代表がこう締めくくった。

「みなさん本当にありがとう…」乾いた拍手が鳴り響き、参院議員総会は終了した。

           ◇

常軌を逸した行動を取り続けた民主党だが、わずか3年前は政権与党の座にあり、日本の安全保障政策に直接責任を持つ立場にあった。それが「廃案」一辺倒で突き進んだ背景に何があったのか。

安保法案の審議は5月下旬に始まり、約4カ月間続いた。意外なことに、民主党は当初から徹底抗戦ではなかった。

7月15日の衆院平和安全法制特別委員会の採決では、民主党議員らは委員長席に駆け寄って懸命に採決を阻止しようとしたが、閣僚への不信任決議案などの対抗策は取らず、物理的な抵抗は散発的だった。

民主党の戦略方針が確立されたのは7月27日だった。党の安全保障政策の重鎮で、参院特別委の筆頭理事を務めた北澤俊美元防衛相が、同日の参院本会議で行われた代表質問で「国民が求めているのは対案ではなく、廃案である」と言い切ったのだ。

民主党内では当時、保守派や現実論者を中心に「対案」の提出を目指す動きが活発化していた。反対一辺倒では政権与党を経験した政党として無責任だ-。そんな常識的な考えを持つ議員や、かつての社会党のような「何でも反対」路線に嫌悪感を覚える中堅、若手も少なくなかった。

だが、党執行部に影響力を持つ北澤氏の発言で流れが変わった。外相経験者で、集団的自衛権の将来的な行使の可能性を否定しない岡田氏も、北澤氏に追随するように「廃案」路線にかじを切った。

閣僚の答弁の不安定さを追及しているうちに、「このまま政府を攻め切れる」との判断に傾いたともいえる。

この後、もともと力の弱い党内の保守派、現実論者の影響力は次第に執行部に及ばなくなった。執行部内で対案にこだわってきた細野豪志政調会長は、グレーゾーン事態に対処する「領域警備法案」を維新の党と共同提出するだけで精いっぱいだった。

さらに、廃案路線を後押ししたのが国会周辺のデモだった。安保法案の審議中、安倍晋三内閣が40%前後の支持率を維持していることに不安を募らせた党幹部らは、「デモに飛びついた」(若手)という。

民主党は日増しに拡大していくデモに過剰な期待を寄せ、デモとの一体化を重点的な戦略に位置づけるようになった。今回の安保反対デモは政党色が薄く、無党派層に近いのが特徴ととらえていた節もある。

国会内でもシュプレヒコールが聞こえるデモは、必要以上に民主党議員を鼓舞した。党幹部の一人は9月16日夜、参院特別委での採決をめぐり緊迫する中で「まだデモやってるね。勇気づけられるよ!」と笑みをみせていた。

国会での徹底抗戦が支持されているとの感触を持ったのは岡田氏も同様で、18日の記者会見では「手応えを非常に感じている」と語っていた。今回の行動が国民的支持を受けていてのことだと考えているとしたら、大きなしっぺ返しに遭うだろう。


産経ニュース【山本雄史の野党ウオッチ】2015.9.26
               (採録: 松本市  久保田 康文)

2015年09月27日

◆民主党よ、騒いでくれてありがとう

池田 元彦



安保法案は9月19日未明午前2時18分に成立した。定数242人、出席238人、148対90での可決だ。派閥別だと、138対104だから、与党以外の10人以上が賛成投票したことになる。

対案を出せない民主党は討論でも、採決でも勝てない。頼れる術は反日マスコミと、中韓在日を含む反日デモ活動だ。よって、議場はパフォーマンスの舞台となり、枝葉末節の不毛な質問や各不信任案で時間稼ぎし、特別委員会では議事進行妨害と与党議員への暴行のお粗末に終始した。

NHKを始めTV各局は、数の暴力、審議時間が未だ足りない、国民は十分理解していないと騒ぎ、反対派デモだけ放映し、警察発表の数倍以上のデモ参加者数を主宰者主張通りに検証なく報道をした。与党だけでなく野党3党が採決賛成だ。それを暴力で阻んだのが反対野党なのだ。

民主党は3年間に安倍政権の2倍以上の強行採決をした。何故、その時マスコミは騒がなかったのか。また当時野党だった現在の与党は、今回のような馬鹿な国会を貶めるパフォーマンスをしたか。国会外での反対派デモを支援し、戦争の恐怖、徴兵制等明白な嘘を吐いて扇動したか。

憲法学者は、条文命の視野狭窄症で且つ、国民の命・財産に責任を持たない無責任者だ。政治家が国際外交、軍事情勢を見極めながら、日本国民の命や財産、そして国土を守る為、法令化を急ぐのは当然だ。反対派は中国の横暴や尖閣・沖縄侵略動向を明白に支援、賛成しているのだ。

安保条約は集団的自衛権を明記する。内閣法制長官は、1972年迄集団的自衛権を当然としていた。1972年日中友好条約締結で、田中角栄首相が解釈変更をさせた。今回は、単に集団的自衛権を元通り復活させただけだ。そもそも自衛権は個別集団の区別なく国家の自然生存権だ。

日本国憲法改訂は国民多数の賛同するところであり、安倍内閣は当初より集団的自衛権を主張し、閣議決定は半年前だ。決して唐突でもなく、説明不足でもない。民主党が対案を出せないまま、議論が深化せず、時間の無駄をしただけだ。TV中継で、良識ある国民は問題の本質を理解した。

佐藤正久議員は「民主党の岡田氏、野田氏、前原氏、長島氏は、過去に集団的自衛権行使を認めていた。」と暴露した。不毛の質問と議事進行妨害しか出来ない醜態を国民はしっかりと目に刻んだ。民主党は、良識ある党員が発言せず、反日派に事実上乗っ取られている。危険な状況だ。

参議院採決では、民主党以下反対派は投票に応じた。要は、60日ルールにより、参議院存続の意義と、国民に見捨てられる危惧を勘案したのだ。充分支持者へのアピールも出来た、というのが今回の成果なのだ。尚、山本太郎議員の馬鹿げた演技と牛歩は、何らかの懲罰を要する。

又民主党議員による、議事進行妨害中に偶発した暴行ではなく、意図的引き摺り倒したのは、明らかに意図的暴力行為で弁解の余地もない。これも誤魔化さず決着すべきだ。反対デモには簡体字やハングルの掲載もあった。サイレントマジョリティは、民主党では駄目だと重ねて確信した。

衆参合わせて200時間以上の審議があった。時間は充分取った。多少安倍内閣支持率が下がっても、間違いなく回復する。民主党の茶番で国会が劇場と化し、中継を見る人も結構増えて、マスコミ報道を鵜呑みにする国民も減って来ているようだ。マスコミの影響力衰退は確実に萌している。

反対派が阿るチャイナは、喜びはしないが戦略的には折込済みで冷静だ。韓国は、警戒的な報道をしたが、それだけでも安保法制の心理的効果十分だ。騒いでくれてありがとう。民主党さま。

◆習近平訪米、IT産業幹部が全員集合

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)9月26日(土曜日)通算第4664号> 
 
〜習近平訪米で、IT産業幹部が全員集合
  ところがシリコンバレーの賓客はインドのモディ首相だ〜


習近平訪米はさっぱり燃えていない。ボーイング300機の「爆買い」は、意外ではなく、はじめから予定されていた。

むしろ習近平歓迎会にヒューレットパッカード(HP)、マイクロソフト、アマゾン、アップルなどIT専業幹部全員が集合して、「ご機嫌伺い」をしたことのほうが重要である。
 
オバマ政権の対中政策を横目に、米国IT産業勢は、まだまだ中国の於けるビジネスは伸びると読んでいるからである。彼らはワシントンの中国敵視政策には同意していないようでもある。政権がハッカー問題で騒ごうとも、輸出は続ける腹づもり、目の前の巨大なマーケットに背を向ける考えはない。

米国企業もまた「拝金主義」である。

さて習近平訪米が殆ど騒がれない理由は、直前のローマ法王の訪米である。

全米最大の週刊誌『TIME』が特集号を出したほどに米国メディアはローマ法王訪米の話ばかり、さらに直前に訪米して実務外交を展開し、国連で演説したインドのモディ首相の動向も大きく扱われている。

これらが習訪米の報道を相対的に希釈させ、中国の外交の晴れ舞台だったのに、ちっとも成果があがっていない。

「シリコンバレーで、モディを待ちかまえるIT産業メッカの熱気は凄い、モディはまるでロックスターのようである」(ザタイムズオブインディア、2015年9月25日)

なにしろ7万人収容のスタジアムで行われるモディ演説会に、チケットはたちまち売り切れて、モディのFE慰撫ブックはオバマ大統領の二倍の読者(3000万人)がいる。

シリコンバレーでは、とくにグーグル社長自らが工場を案内するなど多彩な行事が組み込まれている。この地にはインドからの大量の移民が日夜イノベーションに明け暮れ、米国IT産業の中枢にインド人が貢献しているのが実態である。

◆天津大爆発 1カ月 担当者は自殺

矢板 明夫



中国有数の港湾都市、天津で起きた、死者、行方不明者160人を超える爆発事故から1カ月近くが経つ。現場付近で中国人民解放軍の化学戦専門部隊らによる清掃、整理は継続されており、爆発の原因究明はまだほとんど進んでいない。

損害賠償をめぐり住民と当局の交渉もまだ続いている。今回の爆発は、中国当局の危機管理能力の無さ、政商癒着など多くの問題を一気に顕在化させ、市民の政府不信をますます募らせる結果となった。

■異例の対応長期化

中国で死者が100人を超える大事故はよく起きる。ほとんどの場合は、当局は迅速に対応し、現場を閉鎖して家族に賠償金を支払う代わりに箝口(かんこう)令を敷くなど、情報コントロールを図る。発生から3日ほどですべての処理を終了させるのが通例だが、今回のように対応が長期化したことは異例だ。

その理由について、天津市当局者はメディアに「生活に影響が出た市民は10万人を超えており、要望を聞くのに時間がかかった。また、現場付近で危険な化学薬品が飛び散っているため、専門家に頼らなければならなかった」などと説明した。

しかし、別の市関係者は「縦割り行政で陣頭指揮をとる人がいないのが本当の原因だ」と説明する。

この件を取材した中国人記者によると、爆発が起きた倉庫は天津市内にあるが、それを実際に管理しているのが交通運輸省の傘下にある天津港務局だ。また、現場に入って救援を担当するのは北京軍区であるため、連携が悪く、意思疎通ができていない。責任を押しつけあう場面も多く、現場は大変混乱しているという。

■責任曖昧なまま損害賠償

中国当局が最も神経をとがらせているのは、自宅が壊れた住民への損害賠償問題だ。爆発が起きた場所は高級住宅地に近く、全半壊した住居は約6000戸前後といわれる。彼らは、今回の爆発はすべて政府の責任だと主張し、マンションの買い取りを政府に要求。爆発以降、連日のように対策本部が設けられている天津市内のホテル周辺で、抗議活動を続けている。

当局は当初、マンションの買い取りを拒否し、見舞金を支払う形で解決を図ろうとしたが、交渉が難航した。その後、住宅を建てた開発業者にマンションを回収してもらう案も浮上したが、これも実現しなかった。

9月になってから、ようやく爆発が起きた場所周辺の建物をすべて政府が買い取り、取り壊してから記念公園にする方針を固めた。しかし、責任を曖昧にしたまま巨額な税金が使われることに対し、インターネットなどで多くの反対意見が寄せられた。

また、火の気がないはずの危険物倉庫で火事はなぜ起きたのか。爆発の原因究明はまだ進んでいない。一部香港紙は、共産党内の権力闘争に絡みテロを含む「人為的な原因の可能性もある」と伝えているが、具体的な証拠はない。

爆発後、問題の倉庫を所有する会社の幹部と天津市幹部約20人の身柄が拘束された。法令で禁止されている住宅地から1キロ未満の位置にある危険物倉庫の建設許可をめぐり、不正があったかどうかについて調べられているもようだ。

■許認可担当者が「自殺」

共産党幹部の間では、倉庫を所有する企業の背後には地元出身の大物政治家、李瑞環(りずいかん)氏(80)=元党政治局常務委員、元全国政治協商会議主席=の親族がいるといわれているが、責任追及は李氏まで及ばないと見る党関係者が多い。

行政側の管理、監督責任を問う声はインターネットなどで多く寄せられた。天津市長兼党委書記の黄興国(こうこうこく)氏(60)は爆発後の記者会見で「私は今回の事故に対し逃れられない責任がある」と述べ、一時、責任を取って辞任するという噂が流された。しかし、しばらくして、その話は立ち消えとなった。

黄氏は習近平国家主席(62)が浙江省勤務時代の部下で、習主席が信頼できる数少ない側近の中の一人だ。爆発の責任を取って辞めると、政治的に再起は難しいため、習主席が黄氏を守った可能性が大きい。

8月26日、倉庫建設の許認可に関わったとされる天津市交通運輸委員会の担当課長が、ビルから飛び降りて死亡した。警察は自殺と発表したが、地元では責任をすべて押しつけられたうえ、口封じのため殺害されたとささやかれている。(中国総局 やいた・あきお)

産経ニュース【矢板明夫の目】2015.9.25
                 (採録:松本市 久保田 康文)

◆吾は資本主義の落ちこぼれ?

平井 修一



ニューズウィーク9/21「あの人はお金持ちなのに、なぜ貧乏そうなのか?」をちょっと読んだが、とても違和感を覚えた。もっとも小生は金持ちではないが、姉たちやその連れ合いは、近所からはそのような誤解を受けている。同記事から。

<ビリオネア(富豪)になりたかったら、まずはその実像を知るべし――。そうして彼らと同じように考え行動することが、自らもお金持ちになる近道だと、評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。(中略)

かなりの資産家のはずなのに、お世辞にも高級とは言えない服(いや、実際にはかなり貧乏くさい服)を着て、スーパーの安売りに並んでいるというタイプのお金持ちも存在している。

この人たちはどのような人種なのだろうか? このようなタイプのお金持ちはズバリ、以下の2つの人種に集約される。

 1.主な資産が土地で活用できない

 2.貯金が目的となっている>(以上)

記事の主旨は「積極的に投資しろ。それが経済を活性化させるし、金持ちになる道だ」といったものだろう。この手の記事は最近目立つが、アベノミクスで株価が上昇したためだろう。提灯買いをする人が増えれば投資家は儲けるチャンスが膨らむから、甘い話で素人を煽るのだ。

中共では株価暴落で飛び降り自殺が相次いでいるが、中2坊主はそんなことは知らない。無知な人はいつでも何度でも餌食になる。自業自得。死ぬまで直らない。

小生は生活に困っているわけではないが、「貧乏くさい服を着て」安いワインを買う。高級な服を着て街を歩いている老婦人はひったくりの鴨だが、小生を襲うようなトンマはいない。足元はしっかりスニーカーで固めているから速攻で反撃もできる。安保とはそういうものだ。

小生はそもそも金持ちになりたいとは全く思わない。子育て時代は会社を経営していたこともあって必死で金を稼いでいたが、REIT以外の資産運用はしたことがない。

一時期、父のように株式投資をしてみようかなと思ったが、株価に一喜一憂していると本業が疎かになるし、本業で稼いだ方がはるかに効率が良いから手を出さなかった。

子育てが終わり、住宅ローンも完済したリタイア後の今は、金への興味はほとんどない。現預金がいくらあるのかも知らない(カミサンが管理)。儲けて何かを買おうとか贅沢をしようとか、旅行に行こうという気持ちがまったくない(風呂嫌いだから温泉にも興味なし)。

食事も外食には興味がなく、自分で作った方がはるかに旨いと思っている。ラーメンもプロのレベルになってきた。

小生はそもそも物欲がない。物は必要な「機能」があれば十分で、高級車でも大衆車でも乗車時間は変わらない。高級車なら短時間で着くというのなら買うかもしれないが、高級だろうがなかろうが、1時間の道のりはともに1時間だ。民主主義だから高官用の専用レーンはない。

高級腕時計も1日が25時間とかなら興味があるが、3000万円の時計も1000円の時計もまったく機能は同じだ。服装も体を保護する・肌を隠す・動きやすいという機能を果たせればいいのであって、TPOに抵触しないのであれば貧乏くさい、色落ちした服で十分だ。

男子辺幅を飾らず。チャラチャラした男は大嫌いだ。若い時から「メンズクラブ」なんていうファッション誌を読んでいる奴がいるが、殴りたくなる。まず仕事=戦争はできない奴だ。

ノンフリル=飾りっ気なし、シンプルライフが大好きだ。フリルやらデコレーション、ゴージャス、アクセサリー、余計な多機能大嫌い。新製品に興味なし、古いものを大事に使うのは大好き。

何を言っているのかほとんど聞き取れない新しい歌は大嫌い、フォニー村上春樹、橋下徹的テレビ屋とそのファンも大嫌い。たらふく食べた後でケーキを「別腹だ」と食らいつく人、バイキングで食べきれないほど料理をとる人、旅行で土産を買う人、「あさましいなあ」と思う。

テレビと朝毎東などのアカ新聞も大嫌い。ま、これは余計なことだが。

つまり今の小生は資本主義にとって「良い子」ではないということだ。バンバン金を遣ってドンドン消費する/捨てる人が良い子で、小生のように金儲けに興味がなく、物欲もほとんどそぎ落とし、エンタメに関心がなく、趣味と言えるのは月あたりネット料3150円のPC、月1万5000円のワイン、月1万3000円のパイプ煙草くらいというのは、ほとんど資本主義社会の落ちこぼれ、非国民、世捨て人、よく言えば卒業生だ。

ここ2年ほどは焼酎をすっかり止めて赤ワイン党になり、体調がいいので医者に行っていない。死ぬまで医者にかかりたくないと決意しているから医療ビジネスの敵でもある。

(老人の多数派は医療ビジネスの最大市場だが、母を5年間介護した経験から言うと、老人医療は無駄、枯れ木に水遣り、公金税金の浪費。これを言うと大反発を食らうからマスコミは絶対に触れない)

もしかしたら老人は多かれ少なかれ資本主義の落ちこぼれ、非国民なのかもしれない。足を引っ張らないまでもあまり貢献しない。健康を損なえばお荷物になる。

お荷物なら邪険にされてもよさそうなものだが、不思議なことに先進国では老人は概ね生活を楽しんでいるようだ。

内閣府の「第7回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(平成22年度)は5か国の60歳以上の男女個人(施設入所者は除く)各1000余人を面接調査したもの。

Q:総合的にみて、あなたは現在の生活に満足していますか(満足+まあ満足の割合の多い順、%)

スウェーデン99.2、ドイツ95.1、米国94.7、日本92.7、韓国69.4

(平井:スウェーデンはすごいが、長続きするのかどうか。北欧三国は一時期、福祉国家としてもてはやされたが、追随する国はないようだ。不都合な真実(移民活用など)があるのだろう。そのうち調べてみよう)

Q:今後、政府の政策全般において、高齢者や若い世代に対する対応をどのようにしていくべきだと考えますか(高齢者重視/若い世代重視)

日本49.0/28.4、米国62.2/17.1、韓国59.5/16.4、ドイツ50.2/26.2、スウェーデン48.7/18.8

(平井:日本とドイツでは若い世代に同情的だ。少子高齢化を懸念しているのだろう。知能が高まると生殖本能が衰えるというか、計算高くなって多産はしない。悩ましい問題だが「家制度」の復活が鍵だと思うが)

若い世代も順繰りでいずれは老人になるから、今の老人を邪険にするわけにはいかない。と言って尊敬しているわけではないだろう。大切にされているというか、“介護の世界”に遠ざけられている印象だ。

“悔悟の世界”の小生は大切にされる価値はないから、自宅で子規的激痛を伴うかどうかは分からないが、キーボードを抱いて衰弱死を目指したい。「平井翁のPCには最後の言葉“イッテキマス、グッドバイ”とありました」なんて弔辞か何かで言われたら面白いのではないか。

終わり良ければすべてよし、落ちこぼれ、非国民の最後のパフォーマンス、面白ければそれでよし。(2015/9/25)

   

◆ベィナー下院議長の突然辞任

Andy Chang



9月25日朝早く、ベィナー(John Boehner)米下院議長が10月30日に議長を辞任し、国会議員も辞職すると発表した。

米国ではこの1週間ほどローマ法王の訪米と国会演説、習近平のワシントン訪問とオバマとの会見などいろいろなニュースがあったが、ベィナー議長の突然の辞職は大きな波紋を広げている。

ベィナー議長は昨日まで辞職する気配もなかったが、ローマ法王の国会演説で、議長席に座っていたベィナーがポロポロ涙を流している映像がかなり評判となっていた。カソリック信者のベィナー議長は法王の国会演説を招致したことで有終の美を飾ったとされる。

米国国会では1998年にJim Wright議長がスキャンダルで辞任に追い込まれて以来2度目である。

●オバマに協調的で弱気な議長

ベィナーは1990年に当選して以来27年の議員を務め、2011年に議長に選出されて以来、オバマ大統領と予算や法案の折衝で共和党の主張を推進できず、軟弱議長と評価されていた。

共和党では新しく選出された議員のなかにティーパーティのメンバーが20数人で保守派が多数を占め軟弱議長に不満だった。ベィナー議長はオバマケアや政府予算などで民主党に降参したと評価され、月末にベィナーを議長更迭に持ち込む動きも聞こえていた。

だから今朝の突然の発表はベィナーが先手を打ったとも言われている。

2013年に共和党多数の国会はオバマケアと呼ばれる健保法案でオバマと対決し、国会が一時ストップされた。オバマは政府がストップしたのは共和党の責任と大々的に宣伝し、共和党の失策とみなした。ベィナーはこの時の失敗でオバマとの協調に専念し、保守派党員は大いに不満を持っていた。

ベィナーは議長の職務とは国会のスムースに運営をすることを優先し、共和党の主張よりも民主共和両党の融和を優先すべきだとしている。一部の共和党員は過半数を制する国会で党の主張を通せない議長は更迭すべきだとの声が高かった。

今朝の発表のあと、Values Voter Summitの集会で選挙運動をしていたルビオ(Mark Rubio)がベィナーの議長辞任ニュースを発表したら大歓声が上がった。数人の共和党員も辞任を歓迎しているコメントを出した。

●議会の運営

ベィナー議長に残された任務は今月末までに政府の予算を通すことである。予算討論で問題化しているのはPlanned Parenthood(PP)と呼ぶ全国にまたがる妊娠中絶クリニックに付与する政府補助金をカットすることである。

一か月ほど前にPPクリニックが中絶手術で取り上げた嬰児の皮膚、細胞、臓器などを販売していることがわかり大問題となった。中絶手術で摘出した嬰児の臓器をどうするかについてこれまで討論されたことはなかったが、一部では研究に利用するのは構わないとし、
別の意見では営利目的の販売は許されないと言う。

共和党の主張はPP社が営利目的で摘出した臓器を販売したのは不道徳であるとし、政府の補助金をカットすべきだと主張しているが、民主党側は中絶で取りだした臓器を研究用に利用するなら問題はないとして補助金カットに反対である。しかもベィナー議長はカット
に反対だから共和党、特にティーパーティ議員はベィナー議長降ろしに熱心で、オバマおよび民主党議員はベィナーの辞職を惜しむのである。

●議長の辞任の影響

米国政府は10月から新年度が始まるので国会は9月末までに政府予算を通さなければならないが、反対があれば予算審議は難航する。9月末までに予算が通らなければ、次に一か月の臨時予算を通して政府の運営を続ける。10月末までに予算が通らなければ議長が辞職し
たあと、国会は次の議長が選出される(218票が必要)まで開会できなくなり、政府シャットダウンとなる。

次期議長の有力候補は4人と言われているが、政府予算を通すことが先決である。10月末までに選出されれば国会は麻痺しない。

2015年09月26日

◆憑かれた人々に「疲れた」世界

平井 修一



「貧富の格差是正を!」という声は1700年代の欧州における産業革命とともに広まった。

キリスト教の「神の前では人は等しく羊である」といった教えがベースにあったようだが、産業革命以前は「持てる者」(領主など)と「持たざる者」(農奴的小作農)のすさまじいギャップがあった。ところが双方ともそれは「自然なこと」「そういう身分なのだ」「持てる者はどんどん喜捨すべし」といった感じだった。

身分による貧富の格差を不都合だ、許せないとする論が拡大したのは、産業革命で小作農の子弟が工場労働者になり、その労働が非常に過酷で、極端に低賃金だったことによる。特に児童労働は大問題になった。

小作農なら日の出から日没まで働き、天気が悪ければ休めたし、農作物は身近にあるから飢えることはあまりなかった。領主も小作農が餓死したら困るから、それなりに配慮したろう。

ところが工場主、すなわち資本家は、乞食に転落しそうな貧民(ルンペンプロレタリアート)や、今でいうところの農民工が大量に都市部に集まってきたので、遠慮なしに1日16時間労働などを低賃金で強制した。

で、資本家の横暴から労働者を守ろうという趣旨で、キリスト教会が労働組合を組織していったのだ。1789年のフランス革命後には「人は平等であるべきだ」という論に憑かれた人々の中に「階級闘争史観」を基礎とした共産主義的思想が醸成され、凋落のキリスト教会に代わって“新興宗教”の共産主義思想が労働組合をリードする時代になる。

現在もその潮流は世界中で残っており、共産主義思想の濃淡はあっても、労働組合は大体が「解雇反対!」「貧富の格差是正を!」「労働条件改善を!」というのがスローガンであり、リーダーは概ねアカやピンクの容共左派とかが多い。

日本では民主党や日共、社民党という中共(以前はソ連)支持者が労働組合を牛耳っているが、大体、先進国では似たような傾向だ。(彼らにとって中共は心の祖国なのだろう)

米国では貧富の格差是正を「大きな政府による所得の再分配(富裕層への増税)で実現せよ」というバラマキ待望の中間層以下の人が民主党を支持し、彼らはウォール街の金持を憎悪している。その一方で「増税はもうたくさん!(TEA:Tax Enough Already)バラマキ反対! 小さな政府を」という中間層以上の人が共和党を支持している。

英国では所得再分配のバラマキ派はアカ系の労働党支持、増税反対・市場経済推進派は保守党支持だ。

ジャーナリストのコリン・ジョイス氏の論考「英労働党トップに無名(?)強硬左派の衝撃」(ニューズウィーク9/18)から。

<ここのところ、コメンテーターのこの手の言葉を繰り返し耳にしている。

「ジェレミー・コービンが労働党党首に選ばれるなどと3カ月前に言われたら、私はそいつを面と向かって笑い飛ばしていただろう」

正直に認めよう。もしも僕が3カ月前にそんな話を聞かされていたら、笑い飛ばすどころじゃなく、こう答えたはずだ。「ジェレミー・コービンって誰?」

コービンがイギリス最大野党・労働党の党首に選ばれたことは、シンプルな言葉で表現するなら「とてもびっくりする」出来事だった。彼は強硬左派で異端児の非主流派議員で、党首選の候補者になれたのも、彼がいれば討論が活性化するだろう程度に思った議員が何人か推薦者に加わってくれたからだ。

ところがそれどころか、こんなにも仰天の結果を呼ぶ大規模な地殻変動が
起こることになってしまった。

民主主義政治は通常、中間層の浮動票獲得を狙って動く。よほどの例外的な状況でもないかぎり、従来の支持基盤を超えて幅広い国民の支持を得たほうの政党が政権につく。

だからこそ、保守党のデービッド・キャメロン率いる政権はいつもたいして「保守的」ではない。たとえば同性婚も合法化したし、最低賃金の大幅引き上げも計画している。どちらも超保守派にはウケの悪い政策だ。

それでも、(今年5月に労働党が味わったように)総選挙で屈辱の大敗を喫した政党は、内向きになる傾向がある。党の昔ながらの価値観を採用することで、筋金入りの支持層にてこ入れしようとするのだ。

*総選挙敗北で勘違い

強硬左派のコービンは「古い労働党」とか「反ブレア派」とか呼ばれる。彼は労働党の草の根の人々に、早くも熱狂を呼び始めている。「政権奪取のためなら党の価値観も犠牲にして中間層にすり寄るような人物ではなく、真に労働党のために立ち上がる党首が現れたのだ」と。

彼の主張はこうだ。「国有化政策再び! 富を再分配せよ! 緊縮政策に終止符を!」

総選挙で敗北が続いている政党は、「自分たちが真の代替勢力として見てもらえなかった」から有権者の支持を得られなかったのだと思い込む。彼らは自分たちが「あまり好かれなかっただけ」ということに気付かない。むしろ「極端さが足りなかった」と考えてしまう。

つまり、労働党の場合はこう考えたのだろう。今の労働党がまるで「保守党を水で薄めたような」政党と化しているために投票してくれなかった有権者がいる、今度こそ彼らの支持を得られるような選択肢にならなければ、と。

コービンの集会や演説を目にする機会があった人は、その楽観的で熱狂的な雰囲気に驚いたに違いない。問題は、それを労働党以外の人々とは分かち合えないだろう、という点だ。

彼らは国民の広い支持とは引き換えに、「真の労働党」の理念を貫こうとしてきた。そして、強い信念で突き進めばいずれ世界も彼らについて来るだろうと考えてきた。

*政権からは遠ざかる羽目に

労働党は以前にもこのパターンを経験している。1979年の総選挙での敗北の後、党内左派のマイケル・フットを党首に選出。1983年の総選挙でフット率いる労働党が発表したマニフェストは社会主義色満載で、「史上最も長い自殺の覚え書き」と呼ばれたことは有名だ。

でも彼らは会議で嬉々として労働歌『赤旗の歌』を歌っていた。

フット党首で臨んだ総選挙は、労働党を引き裂いた。フットに反発し、多くの支持者や労働党議員が、新たに結成された社会民主党に流れたのだ。おかげで労働党は、トニー・ブレアが90年代半ばに党を中道路線に引き戻すまで、長いこと政権から遠ざかる羽目になった。

コービンもまた、党をまとめるうえで問題を引き起こしそうだ。労働党議員は彼のことを、党を長期間荒し回る厄介者だと思っているのだから。

政治は驚きに満ちたもの。とはいえ、同じくらい劇的な地殻変動が起こらなければ、コービンが政権の座につくことはありそうにない>(以上)

「政治は驚きに満ちたもの」・・・英国の友邦である豪州でもサプライズが起きた。

<[キャンベラ/シドニー 9月15日 ロイター] - 豪与党・自由党の党首選でアボット首相を破り、党首に選出されたターンブル前通信相が15日、就任宣誓式に臨み、新首相に就任。政権安定と国内経済の再生に取り組む方針を表明した。首相交代はここ2年で4回目。

実業家から政治家に転身したターンブル首相は2009年の党首選でアボット氏に敗れたが、常に人気は高かった。ただ、地球温暖化や同性婚、オーストラリアの共和国化などをめぐる進歩的な思想が党内の保守派の反感を買っていた>

日本の保守派はアボット氏を「良き同志」と理解し、支持していただけにがっくりし、ターンブル首相は中共包囲網に穴をあけてしまうのではないかと心配している。どうなんだろう。

<中国の海洋進出批判=「外交政策として逆効果」−豪首相

【シドニー時事9/22】オーストラリアのターンブル新首相は21日、ABC放送とのインタビューに応じ、南シナ海での岩礁埋め立てなど海洋進出を強硬に進める中国について、「地域に緊迫感を生じさせている」と批判した。

ターンブル氏は「中国は、地域の安全保障を脅かさない形で成長を実現する必要がある」と強調。海洋進出は中国が望むアジアでの米軍の存在感低下につながらず、「外交政策として逆効果だ」と指摘した。

ターンブル氏は「中国寄り」との指摘もあったが、中国の脅威に厳しく臨む姿勢を確認した。

ペイン国防相も22日の記者会見で、中国に対する首相発言に「違和感はない」と同調した>

共産主義志向の人々から労組専従、左派系、バラマキ依存症、さらに「地球はみんなのものだ、難民を受け入れろ」というリベラルまで、「平等に憑かれた人々」に世界は疲れ果てている印象だ。

独裁国の中露や狂気のジハード主義者IS以上に彼らは世界の不安要因で、200年以上もそうだったから、これからも除染されることなく生き続けるのだろう。宗教、主義、イデオロギーというのは、一旦染まるとなかなか除染・再生が難しい。

この手の宿痾に対して普通の民主主義国ができるのは選挙で駆逐することだけで、それ以上のことはできないから、次の選挙で彼らはサプライズで政権につくかもしれない。

自由・民主・人権・法治・・・まったく厄介で、ほとんどの国が導入していないのも無理はない。ただ、このシステムを使いこなさないと先進国になれないことは確かだ。明治維新から間もなく150年だが、「民意は国会前の集会とデモにある」と最大野党党首が国会否定を叫ぶのだから、日本もまだまだ遅れている。悩ましいことだ。(2015/9/24)


◆「平和主義」強化の基盤は整った

坂元 一哉


「平和安全法制」法案の成立によって誕生する安全保障の新しい法的基盤は、わが国のみならず、世界の安全保障環境が厳しさを増すなか、わが国の安全のための抑止力を強化し、わが国が世界平和に貢献するその能力を増やすものである。安倍政権は今後、この新しい法的基盤に基づき「積極的平和主義」、あるいは「地球儀外交」を発展させていくだろう。

 ≪集団的自衛権で強化される同盟≫

そのことの意義はいうまでもないが、新しい法的基盤の誕生には同時に、憲法と自衛権に関連して戦後長く続いてきた議論、とくに、集団的自衛権の議論に区切りをつけるという意義もある。

政府が繰り返し説明しているように、法案の成立によってわが国は憲法上、わが国が武力攻撃を受けた場合だけでなく、米国など「密接な関係にある国」が攻撃を受け、それにより、わが国の「存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合にも、他に手段がなければ、自衛のための必要最小限の武力行使ができるようになる。国際法でいえば、個別的自衛権の行使だけでなく、限定的だが集団的な自衛権の行使も可能になるわけである。

そのことでわが国の安全保障の基盤である日米同盟は、互いに互いを守る相互協力の同盟であることがより明確になり、同盟の抑止力は格段に強化される。それがわが国の安全保障、あるいはわが国と周辺諸国との外交問題の平和的解決に資するところはきわめて大きい。岡崎久彦元大使をはじめ多くの識者が、自衛権は、個別的自衛権だけでなく、集団的自衛権も行使できるようになるべきだと説いてきたのは、そういう理由のためだった。

だが世論のなかには、そういう理由を理解するかどうかは別にして、集団的自衛権の行使は限定的でも憲法違反だし、憲法の平和主義を壊す、という根強い批判がある。そういう批判にきちんと答えてはじめて、議論の「区切り」はより完全なものになるだろう。

 ≪武力行使の可能性減らす抑止力≫

先日私は、この「正論」欄で、憲法違反という批判への反論を述べた(7月8日付)。詳細は繰り返さないが、1959年の砂川判決で最高裁は、政府がわが国の「存立を全うする」ために「必要な自衛のための措置」をとることを認めている。

また国家の安全保障にかかわるような問題は、「一見明白に違憲無効」でないかぎり司法判断になじまないともしている。そのことを前提にすれば、最高裁が、政府がいう意味での集団的自衛権の行使を違憲と認めるとは考えにくい。

ただ、仮に憲法違反ではなくても、憲法の平和主義は壊れるのではないか。そういう批判については、新しい法的基盤は、できる限り武力行使をせずにわが国の平和を守る、という意味での平和主義を踏襲するもの、と反論できる。

まず、政府がいう集団的自衛権の限定行使容認は、あくまで自衛のための必要最小限のものである。これまで同様、自衛と関係ない他国防衛のための武力行使は、国連の集団安全保障であれ、また米国など自国と密接な関係にある国のためであれ、行わない。

また行使「容認」が、実際の行使にすぐつながるわけではない。むしろ、集団的自衛権の行使「容認」で日米同盟の抑止力が増せば、個別的であれ、集団的であれ、実際にわが国が自衛権を使って武力行使をしなければならなくなる可能性は減る。

 ≪国民へ一層丁寧な説明を≫

さらに、この行使容認があっても、海外派兵、すなわち自衛隊を武力行使の目的で他国の領土、領海、領空に送ることは一般に禁じられている、とする従来の政府憲法解釈が変わることはない。この解釈は1954年の自衛隊創設時に、国権の最高機関である国会(参議院)が、「国民の熾烈(しれつ)なる平和愛好精神」に照して、全会一致で出した「海外出動」を禁じる決議を背景にしている。政府が簡単に変えうるものではない。

安倍晋三首相は参議院における答弁のなかで、朝鮮半島有事になっても、日本が北朝鮮や韓国の領域内で集団的自衛権を行使して戦闘に参加することはできないと明言した(8月24日)。自衛のため以外の武力行使をしないことと並んで、憲法の平和主義の基本である海外派兵の一般的禁止を確認したものといえよう。

国家の安全保障体制がしっかりしていなければ、国民を守ることは難しい。そしてもし国民を守ることが難しければ、憲法を守ることも難しいだろう。だが同時に、憲法を守らずに、しっかりとした国家の安全保障体制をつくることはできない。

新しい法的基盤は、この明白なことを前提にして国家と国民を守り、また、憲法とその平和主義を守るためのものである。政府はそのことを、今後、より一層丁寧に、国民に対して説明していくべきだろう。
(さかもと  かずや・大阪大学大学院教授)
       産経ニュース【正論】2015.9.23

2015年09月25日

◆「地道な説明を」安倍首相語る

櫻井よしこ



9月11日、インターネット配信の「言論テレビ」で安倍晋三首相に話を聞いた。首相の出演は、翌週に参議院での平和安全法案の採決、成立を目指すという非常に微妙なタイミングで実現した。首相が発言に慎重だったのは当然だが、それでも1時間余り語った。
 
国民の平和安全法案に関する理解は深まっていないとして、法案採決を目指す安倍政権への批判は強い。同法案は衆議院では116時間も議論された。参議院でも100時間に達する見込みだ。なぜまだ、国民の理解は深まっていないのか。率直に質問すると、首相は次のように答えた。

「他の普通の国々では、どのようにして国民と領土領海領空を守るのか、しっかりと議論されますが、日本の場合、憲法、国際法、これまでの答弁の積み重ねを議論しますので、仲々わかりづらいのは事実だろうと思います。

具体的事例で説明していますが、反対する人々が戦争法案だ、徴兵制が始まるなどのレッテル貼りをする。残念ながら、それを信じる人々も沢山いらっしゃる」
 
日本がどれ程特殊な国であるかを示す答えである。他国では国民の命、国の主権そのものである領土領海領空を守るための具体的施策が論じられる。守りきれないという不安要素があれば、その部分を埋めるべく軍事力の増強や他国との連携強化は当然で、政権がそれをしない場合、統治責任が問われる。
 
ところがわが国では、占領軍が与えた憲法によって、世界の現実から目を背ける人々が育てられた。9条が日本の平和を守り、これからも守ってくれると信じ、他国の善意をあてにして眼前の危機に目をつぶる人々が多く生まれたのである。
 
無論、軍事力が全てではない。安倍首相も世界各国の指導者も、紛争や外交問題はまず平和的話し合いで解決すべきだと主張する。しかし、中国やロシア、北朝鮮のように、話し合いが通用しない国が現に存在する。

武力を背景に他国の土地や海を奪い、国民を拉致する国々に対して、日本以外の諸国は話し合いと力の行使の両面で問題解決をはかる。9条が日本の平和と日本人の安寧を守ったと主張する人々は拉致問題、東シナ海、尖閣の現状をどう説明できるだろうか。

知性対反知性
 
一部の野党や「朝日新聞」などはこうした問題に目をつぶる。南シナ海の現状も無視して平和的話し合いが世界に通用するとの前提で、平和安全法案を徴兵制に至る戦争法案だとして非難する。
 
彼らは、法案の是非を判断するのに欠かせない国際社会情勢の厳しさは国民に伝えない。中国と朝鮮半島を除けば、東南アジア諸国連合アセアン(ASEAN)10ヵ国を含む殆どのアジア諸国が安倍首相の平和安全法制を大いに歓迎していること、早期実現を望んでいることも伝えない。

日本の平和安全法案の早期成立を望む声は国際社会の圧倒的主流だが、そのことを報じないだけではなく、戦争法案だ、憲法違反だとして根拠なき非難を浴びせる一部の学者を持ち上げる。これでは到底、国民の理解は進むまい。
 
9月11日の「産経新聞」のコラム、「iRONNA発」にフリーライターの中宮崇氏が書いたことが事実なら、驚きである。氏は、安保法案反対のデモで法政大教授の山口二郎氏が学生達に向けて「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!叩き斬ってやる」と演説したと書いている。
 
中宮氏は、山口氏が8月26日にツイッターで、「日本政治の目下の対立軸は、文明対野蛮、道理対無理、知性対反知性である」とつぶやいたとも紹介している。
 
山口氏の発言として報じられた言葉は、学者のそれとしては俄には信じ難い。私は首相に思いを聞いた。

「知性対反知性と言われるのであれば、『叩き斬ってやる』と言わない方がいいと思います」
 
と首相は答えたが、その通りだ。
 
国会、そして街頭で展開される不公正な攻勢に首相は晒され続けている。自民党は、ようやく平和安全法案が戦争法案ではないこと、憲法違反でもなく合憲であること、徴兵制はあり得ないことを説明したチラシや資料を配り始めた。遅きに失しているのは明らかだが、根拠なき批判に対処し始めたことは前進である。
 
それにしてもなぜ、自民党はここまで受け身なのか。平和安全法案の説明は首相が一手に担ってきた印象が強い。民主党の「集団的自衛権はいらない。個別的自衛権で十分だ」という主張も含めて、民主党以下野党の主張は攻め所が沢山ある。

なぜ、自民党全体、もしくは政府全体で、もっと積極的に反論しなかったのか。その問いに首相が答えた。

「乱暴な議論はしないのが自由民主党の誇りです。地道に国民に説明したい。ですから、なるべく分かりやすく、具体例を示して話をするのです」戦後体制への評価

「朝日」は8月23日の「天声人語」で「国民を見下す」として首相を批判したが、私はむしろ正反対の印象を抱いた。首相は極めて低姿勢である。矛盾の目立つ野党の主張は厳しく議論すれば容易に論破できる。にも拘らず、自民党も政府も反論の仕方が、不思議な程抑制的だ。
 
そう考えたとき、大きな疑問が湧いてきた。これは精神的専守防衛ではないのかと。
 
専守防衛は言わずもがな、わが国の安全保障の基本的考え方である。ひたすら守るだけで決して攻めていかない。軍事力行使に課したこの歯止めが、安全保障の議論を精神的に縛っているのではないか。首相が指摘したように、集団的自衛権の政府見解は約40年前のものだ。

当時と今は国際環境が全く異なる。米軍の軍人、軍艦、航空機の数は半減した。他方、ミサイルなどなかった北朝鮮がいまやミサイルを持ち、中国の異常な軍拡は続く。日本はこの状況変化に適応して脱皮する必要がある。
 
8月14日に首相が発表した70年談話では、戦後体制を前向きに評価したが、つきつめていけば、これは年来の願いである戦後レジームからの脱却という考え方と食い違っていくのではないか。首相が答えた。

「70年前、私たちは2度と戦争の惨禍を繰り返してはならないと誓いました。この歩みに誇りを持ちたい。同時に様々な仕組みが占領期間に出来上がったことも事実です。それが、今の時代に合っているのか、常に見直しをすることが大切です。自民党は憲法改正を党の大きな柱として掲げています」

「但し」と首相は前提を置いた。「政治にはタイミングがあります。平和安全法案が成立したら、まず経済で成果を上げたい。それと立党以来の悲願である憲法改正に粘り強く取り組みたい」と語った。
 
自民党内には、憲法改正先送りの可能性を論ずる声も出始めている。それを柔らかく否定した安倍首相の勁さを実感した件りだった。

『週刊新潮』 2015年9月24日号 日本ルネッサンス 第672回
                  (採録松本市:久保田 康文)


        

◆安保反対勢力に期待する中国

湯浅 博



中国は今月初めに「抗日戦争勝利70周年記念」の派手な軍事パレードをしたせいなのだろう。さすがの軍事大国は、日本のささやかな安全保障関連法の成立へのコメントには苦心したようだ。

中国外務省の洪磊報道官の談話は、「日本は専守防衛政策と戦後の平和発展の歩みを放棄するのかとの疑念を国際社会に生じさせた」とまあ、苦しげな批判だった。中国自身は、専守防衛どころか大規模攻撃体系だから、大きなことは言えない。

あの天安門広場で見せたのは、米空母を標的にする“空母キラー”の対艦弾道ミサイル「東風21D」や、グアム島を狙う“グアム・キラー”の「東風26」だった。米有力研究所AEIのブルーメンソール研究員は、米外交誌で「ハワイへの奇襲攻撃もできるといわんばかりだ」と警戒感を示した。

こうなると中国の期待は、日本国内の民主党や共産党など反対勢力の動きになる。野党が安保法制の成立を阻止してくれれば、中国は居ながらにして日本の同盟強化を阻止できる。さらに、うぶな若者たちが自己陶酔型の反戦平和を叫び、安倍政権嫌いの新聞がこれに同調してくれれば申し分がない。

だから中国は、一定の距離で付かず離れずの「不即不離」を貫いた。安倍政権を批判はするが、やりすぎて反対勢力の支援者と思われては逆効果になってしまうからだ。

安保法制に反対した民主党の岡田克也代表が「私たちの後ろには1億人がいる」との大衆幻想を述べたことは、多少は心強かったに違いない。“民意なるもの”を動かし、あるいは、国会をその民意なるものの下請けにしてしまえば、抑止力の不十分な、やわな日本のままにできる。

こうした大国の思惑はどうあれ、議会制民主主義とは一時的な大衆行動に動かされない冷静な頭脳と行動が代議制の議員たちに期待される。それを、安保法制は「戦争法案」で、法律になると「徴兵制」になるとのデマゴギーは、当の議員たちの頭脳を思考停止にする。

民主党の鳩山由紀夫政権の時代にも、かの国を喜ばす政治行動があった。夢のような東アジア共同体構想を掲げ、中国に協調するよう訴えた。このときも、リアリズムの中国は「不即不離」で、そうやすやすとは乗らなかった。

当時の岡田克也外相のいう「米国抜き」であるのなら、年来の中国の主張に沿うものだが、このときの中国はジーッと動かない。日本が勝手に米国を怒らせて日米が離反すれば、中国の国益に合致するからである。実際、民主党政権下の日米関係は、日本が中国に擦り寄った分だけ悪化する事態に陥った。

鳩山氏が、米海兵隊の普天間飛行場の移設を「最低でも県外」との理想を振りまいたのもそうだ。1年後には、当初の「辺野古沿岸での微調整」しかなかったと振り出しに戻る。チルチルとミチルの青い鳥が、実は身近なところにいたという寓話(ぐうわ)と同じだった。

鳩山氏が空想を追っていたばかりに時間を浪費し、沖縄県民に期待をあおった分だけ問題の解決を困難にした。沖縄は“青い鳥幻想”のまま、置き去りにされたのだ。実はその反発がいまに続く。外交のリアリズム欠如は国益を害する。(東京特派員)
                 産経ニュース【湯浅博の世界読解】

◆米の日本研究レベルは低級

平井 修一



米史学界における日本への見方は画一的で、「日本を軍国主義の悪者と見なす主張以外は見当たらなかった」とジェイソン・モーガン氏(フルブライト研究者・ウィスコンシン大学大学院)は言っている。

なにしろアイリス・チャン著『ザ・レイプ・オブ・南京』を史実だと思っている人が多いようで、学閥のトップがそうであれば弟子たちはそれに倣う。反論すれば追放されること、日本も同様だ。無知、誤解、誤認、バカはそのループからなかなか抜けられない。

米国史学界の近現代日本研究者のレベルは相当低いだろう。IWG報告書(注)さえ知らないようだし、日本国憲法がGHQ製だと知ったのも最近なのではないか。日米戦争中、彼らはFDR/ルーズベルトを含めて日本人を猿だと思っていた(本当に!)のだから、偏見ゆえに物事を正しく見えないのだ。そのDNAを引きずっているから、歴史は学問でも科学でもなく、「思い込み」になってしまう。

以下の文章は拡散したいのでテキストデータにした。オリジナルは「史実を世界に発信する会」のサイトにある。

<「日本人の歴史家と連帯する」(Stadingvn with Historians of Japan)と題する19人のアメリカ人歴史家の声明(後に1名が加わり、最終的には20名となる)が、2015年3月初めに、アメリカ歴史学会(AHA)の月刊の機関誌『パースぺクテイヴズ・オン・ヒストリー』に掲載されました。

この声明は、日本政府が米国マグロウ・ヒル社の歴史教科書の記述に重大な誤りがあるとして訂正要請を行ったことを批判する内容となっています。

今回は、この米側声明に対する日本側学者の反論(rebuttal)です。

なお、2015年5月5日、欧米の日本研究者を中心とする187名の学者の「日本の歴史家を支持する公開書簡」(Open Letter in Support of Historians inJapan)が公表され、安倍晋三首相に歴史認識問題に対して大胆な行動をとるよう促しました。

この公開書簡に対する日本側反応(署名者110名)は、さる8月6日、拓殖大学の渡辺利夫総長を中心に、日本外国特派員協会(FCCJ)で発表されました。

5/5付けの米側の公開書簡は、よりソフトな内容ですが、われわれが今回対象とする「20人のアメリカ人歴史家の声明」は、かなり強硬な内容であり、これをしっかり批判しておこうという趣旨です。

「20人の米国人歴史家の声明」に対する50人の日本人学者による反論 2015年9月4日(於:日本記者クラブ)

一般論としては、政府が教科書の内容に介入しない方が好ましい。しかしながら、教科書に明らかに事実誤認と認められるような記述があり、それがある特定の国家と国民の尊厳を著しく損ねるような場合には、当該国政府が当該記述の訂正を求めるのは極めて自然なことである。問題となっているマグロウヒル社の歴史教科書はそれに該当する。

2015年3月17日付けの19人の日本人歴史家有志による「McGraw-Hill社への是正勧告」は、同社の教科書の慰安婦関係の記述について、僅か2パラグラフ・計26行の中に8カ所も、明らかな事実の誤りがあることを指摘した。

アメリカ政府が、もし同じ立場に立たされたとしたら、おそらく、日本政府とは比べ物にならないほどもっと遥かに激しいやり方で抗議したことであろう。

「20人の米国人歴史家の声明」のタイトルは、「日本の歴史家に連帯して」 ("Standing with Historians of Japan")となっているが、同声明の中で高く評価している吉見義明教授ですら、尋ねられれば、あの教科書については、何カ所も事実関係の間違いを指摘するであろう。

結局のところ、あの教科書の内容を全面的に支持する日本の学者は、おそらく皆無であろう。20名の米国人歴史家たちは、あたかも「亡霊」と連帯すると言っているかのようである。

米国議会の要請により、省庁横断的な詳細な調査が行われ、2007年4月の米国IWG報告書(注)が提出されたが、第2次世界大戦中の慰安婦の問題については、日本政府の戦争犯罪を示す文書は一つも発見されなかった。

これは、米国国家公文書記録管理局(NARA)によって行われた大々的な調査の結果判明したものであり、2000年から7年間と3000万ドルをかけて、OSS(戦略情報局)、CIA (中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、米陸軍対情報部隊(CIC)などが保有するドイツと日本の第2次世界大戦に関する機密文書が対象とされ、両国について戦争犯罪があったかどうか吟味された。

日本については、14万2000件の機密文書が確認されが、慰安婦に関する戦争犯罪を示す文書は何一つ発見されなかった。

しかしながら、マグロウヒル社の歴史教科書も、20人の米国歴史家の声明も、このことには一切触れていない。彼らが、同報告書の存在を知らなかったとしたら、歴史家として不勉強の誹りを免れないし、他方、知っていて意図的に触れなかったとしたら、学者としてのフェアネスが厳しく問われることになる。

マグロウヒル社の教科書には、「慰安婦は天皇からの贈り物である」とか、「終戦に際して、証拠隠滅のために多数の慰安婦が殺された」などという全く根拠のない表現も見受けられる。これらは、いずれも、あたかもフィクション作家による「創作」のようであり、本来、学者が書く歴史教科書には、決してあってはならないものである。

また、すでに述べたように、当該教科書の慰安婦の箇所については、僅か26行の中に8カ所も間違いがあったわけであるが、その他の部分については、間違いがほとんどないとは考えにくい。あの教科書全体の信憑性が問われるわけであり、これは、アメリカの歴史学会全体の名誉にかかわる問題ではないだろうか?

アメリカの歴史家は、日本政府に対する抗議声明を出すより、米国の歴史教科書の内容の妥当性について、全面的な検討作業を開始するよう米国内において然るべく働きかけ、また、自らもそうした方向で行動すべきである。

なぜならば、アメリカの次の世代の人々が正しい歴史認識を持てるかどうかは、それにかかっているからである。そして、それは、アメリカにとってだけでなく、国際社会全体にとっても極めて重要なことである。

*この文章は、アメリカ歴史学会(AHA)の機関誌『パースペクテイヴズ・オン・ヒストリー』の2015年3月に掲載された「20人の米国人歴史家の声明」に対する日本の学者有志による反論である>(以上)

注)IWG報告書:

別名:省庁間作業班報告書、IWG米国議会宛最終報告、ナチス戦争犯罪と
日本帝国政府の記録の各省庁作業班報告書など。

英語:Interagency Working Group Report
別名:Nazi War Crimes and Japanese Imperial Government Records
Interagency Working Group Report

ナチス戦争犯罪と日本帝国政府記録について米国の各省庁に残る文書を調査・点検してまとめた報告書。2007年4月に最終版が提出された。2010年代半ばに、いわゆる「従軍慰安婦」問題における資料として見いだされ、注目を集めた。

IWG報告書は2000年にクリントン政権下に立ち上げられ、約7年にわたって調査された。調査費用は3000万ドルに上り、調査された文書の総量は850万ページに及んだという。このうち14万ページ分が日本に関する文書であった。

元米兵のジャーナリスト、マイケル・ヨンは、IWG報告書にまとめられた調査において、日本軍または政府が慰安婦を性奴隷として扱ったことを示す記録は全く発見されず、むしろ慰安婦が娼婦・高給売春婦として活動していたことが明示されていると指摘している。(出典:新語時事用語辞典)(2015/9/20)

        

◆崩壊へ向かう中国経済

石  平



今年8月と9月に公表された、中国経済関連の一連の統計数字は、現在のこの国の実体経済の深刻さを如実に語っている。

たとえば、中国自動車工業協会が8月11日に公表した数字によると、 7月における全国の自動車生産台数は151・8万台で、前年同期比では 約11%減、前月比では何と約18%減となった。まさしく地滑り的な落 ち込みである。

生産台数激減の最大の理由は販売台数の減少にある。7月の全国自動車販売台数は前年同期比で約7%減、前月比では約17%の減少となった。これはまた、中国全体における個人消費の急速な冷え込みぶりを示している。

消費の冷え込みは自動車市場だけの話ではない。8月20日に米調査会社が発表した、今年4〜6月期の中国市場スマートフォン販売台数は、前年同期比で約4%減少、四半期ベースで初めて前年を下回った。

国家工業と情報化部(省)が9月7日に公表した数字によると、全国の移動電話の通話量は今年7月までにすでに連続7カ月間のマイナス成長となったという。

同じ9月7日の国家統計局の発表では、今年上半期において全国のビール消費量は前年同期比で約6%減となって、ここ20年来で初のマイナス成長である。

このように、ビールの消費量からスマートフォンや自動車の販売台数まで、中国の消費市場は急速に縮まっているといえよう。そして、自動車販売台数の激減が直ちに生産台数の激減につながったのと同じように、消費の冷え込みは当然、製造業全体の不況をもたらしている。

英調査会社マークイットが8月21」日に発表した同月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は驚きの47・1となった。

PMIというのは好不況の分かれ目の数値で、50以下であれば不況と なるが、中国のPMIはこれで6カ月連続で50を割っただけでなく、8 月の47・1という数値はリーマン・ショック後の2009年3月以来、 約6年半ぶりの低水準、まさに大不況の到来を示す数値であったからだ。

製造業が沈没していれば、それと一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある金融業も当然、苦境に立たされる。

8月31日に中国国内メディアが伝えたところによると、不良債権の増大・業績不振などが原因で、中国工商銀行などの「中国四大銀行」で「賃下げラッシュ」が始まったという。50%程度の賃下げを断行した銀行もあるというから、金融業の苦しさがよく分かる。

こうした中で、今までは「中国経済の支柱」のひとつとして高度成長を支えてきた不動産開発業も大変な不況に陥っている。

今年上半期、中国全国の「不動産開発用地」の供給面積が、前年同期比で約38%も激減したことは、現在の「不動産不況」の深刻さを示している。莫大(ばくだい)な在庫を抱える多くの開発業者が不動産をそれ以上抱えることをしなくなったので開発用地の供給が大幅に減ったわけである。

実際、2014年1月から今年の8月まで、中国全土の不動産投資の伸 び率は連続20カ月間下落している。

また、今年6月中旬から今月中旬まで、上海株が連続的な大暴落を経験したことは周知の通りである。
          

以上のように、今の中国では、消費・生産・金融、そして不動産や株市場、経済のありとあらゆる領域において大不況の冷たい風が吹き荒れている経済を支えてきた「支柱」の一つ一つが傾いたり、崩れかけたりするような無残な光景があちこちで見られているのである。中国経済はただ今、壮大なる崩壊へ向かっている最中である。


         
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【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、
神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活
動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

産経ニュース【石平のChina Watch】2015.9.24   


   

◆それでも左翼には聴こえない!?

野口 裕之



海上自衛隊の下士官には、一般人には響かぬスクリュー音が聴こえる、超人ならぬ「聴人」が存在する。子供とプールで戯れ、水が少しでも入ると耳鼻咽喉 科に急行するほど気を使う。国防を担う世界トップの匠の技に感謝せねばならない。

反面、聴こえるはずのない音におびえる?「幻聴人」も跋扈する。安倍晋三政権より 「軍靴の足音が聴こえる」と国民の不安を煽る日本の左翼人(ビト)たち。作家&尼 僧の瀬戸内寂聴氏(93)も然り。

左翼には、中国軍による抗日戦争勝利70年観兵式で世界中に響いた1万2000足もの乾いた軍靴の音は聴こえなかったのだろうか。そんなはずはない。道路に 設置した集音マイクで軍靴音を拾い、共産党御用メディアを通じて流し、軍事膨張に 反対の日本など敵性外国を脅したのだから。ただ、苛烈な宗教弾圧を続ける中国を激 烈に非難せぬ尼僧に「瀬戸内幻聴さん」などと、レッテルを貼ってはならない。貼れ ば、中国などの侵略行為を抑止すべく成立を目指す安全保障関連法案を「戦争法案」 と絶叫する左翼と同じ「政治的貼り替え屋」に成り下がる。

■居直った潘基文氏

菅義偉官房長官(66)は7日の会見でも強調した。「いたずらに特定の過去に焦点を当てるのではなく…」

菅氏の矛先は、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長(71)の、恥ずかしい言動に向けられていた。潘氏は、国連加盟主要国のほとんどが眉をひそめる中 国軍観兵式を参観。菅氏が批判するや潘氏は「事務総長は中立でなければいけないと いう誤解がある。国連は公平な組織だ」と、事務総長に必要なのは中立性ではなく、 公平性だと居直ったのだった。

もっとも「いたずらに特定の過去に焦点を当てる」の は、潘氏ら韓国人や中国人に限らない。「日本市民」も同様だ。祖国の歴史にウを 塗り込しめる、瀬戸内氏らの思考回路を《自虐史観》と呼ぶのなら、反日と自国史の粉飾・捏造を巧妙に絡ませる韓国・中国人の姿勢は《他虐史観》。《虐(しいた)》げる行為が大好きな者同士、まるで「撲(ぶ)ったり、撲(ぶ)たれたり」を楽 しんでいるかのよう。典型は、自虐史観者が他虐史観者に誤
報・虚報をご注進し、他 虐史観者がこれを政治利用する構図。

瀬戸内氏は6月、安保法案抗議集会などに出演し訴えた。

「日本は本当に怖いことになっている(略)最近の日本の状況は、怖い戦争にどんどん近付いているような気がする」

「今の日本の状態は私が生きてきた昭和16、17年ごろの雰囲気がある。表向きは平和のようだが、すぐ後ろの方に軍隊の靴の音がぞくぞくと聞こえている。 最後の力を出して戦争に反対する行動を起こしたい」

■仰天する瀬戸内氏の訴え

大東亜戦争開始前後と平成27年が同じ「雰囲気」? 開戦に至る窮状や 緊迫する現下の危機的国際情勢に関する説明を意図的に封印し、「気がする」だけで 若い世代に恐怖を植えるプロパガンダは、作り話も生業とする作家とて許されない。 が、創作意欲は大したもの。日本共産党機関紙・しんぶん赤旗に7月、党創立93周年 記念講演会に寄せられたビデオ
メッセージが掲載された。

《「赤旗」もずっととってますけど、共産党の好きなのはね、ぶれてい ない(略)非常に信頼できますよね》

《ずっと共産党に入れているんです(略)そしたら最近、どんどん増え てきてね(略)入れ甲斐がありますよね》

思想信条は中国と違い自由なのでご勝手に、という感じ。ところが、仰天したのは次の一節。

《93年生きて(略)いちばん悪い時代(略)いまが(略)もうほんとに 悪いです、いまの安倍さんのやり方は。どうかしてるんじゃない? 人の言うこと聞 かないですもんね。何か憑いてるんじゃないかと(笑い)》

「憑きモノ」を看破するとはさすが尼僧。でも広島・長崎への原爆投下や東京大空襲、沖縄戦…の時代に比し、今が《悪い時代》とは? 憑かれているのは ひょっとして瀬戸内氏…。

瀬戸内氏の場合、特定の政治思想・国家への肩入れは自由だ。しかし、世界平和推進の公的エンジン役として、一定の中立・公平性が求められる潘氏には許 されぬ。東/南シナ海での海洋侵出や資源強奪、少数民族大虐殺や人権派粛清…など、 中国を国際社会=国連の敵と断罪して差し支えあるまい。その中国での観兵式参観 後、潘氏は習近平国家主席(62)と会談し、強国の皇帝に色目を使う弱国の王の如く 振る舞った。

「パレードは非常に素晴らしかった。中国人民の平和を守ろうとの願いが十分に示されていた」

軍用機200機の飛行に、新兵器を含む500以上の装備で国際を睥睨・威圧する観兵式の、どこが「平和」なのか。

■「幻聴」の治癒こそ急務

瀬戸内氏がいかに奔放な私生活を売りにしようと知ったことではない。だが潘氏が、韓国大統領の座を狙うべく、韓国世論に売り込む目的で観兵式を参観 したのなら、生臭さは度を超している。前述したが「公平性」を心掛けると自称す る潘氏は、菅氏の批判にこうも応じた。

「過去に正しく学ばなければ正しい方向に向かうことは難しい」

清帝国時代の過ちを指摘し、現中国の振る舞いをそれとなくたしなめたのかと思ったら、日本向けの説教だった。瀬戸内氏同様、現在進行形の中国の軍国主 義より、“日本の軍国主義復活”が比較にならぬほど心配ならしい。ならば、国連本 部や事務総長公邸で読まれていない?英紙フィナンシャル・タイムズの一読をお薦 めする。中国軍観兵式を受け《多くのアジア諸国の心配は過去の日本の侵略ではな く、中国による21世紀の侵略可能性》と、国際の圧倒的多数意見を代弁しているからだ。

21世紀はまだ前半。瀬戸内氏は「最後の力を出して戦争に反対する行動を起こしたい」などと寂しいことはおっしゃらず、潘氏とともに、凶暴な帝国と化す OR滅亡する、中国の行く末を見届けてほしい。

お二人に長生きしていただくためには、日本で軍靴の音が聴こえてしまう「幻聴」や、“日本の軍国主義復活”と“平和国家・中国”なる「幻覚」を見てしま う、二大疾病をまずもって治癒なさるべきかと存ずる。
                  (政治部専門委員 野口裕之)

産経ニュース【野口裕之の軍事情勢】 2015.9.14
                (採録:松本市 久保田 康文)