2015年09月07日

◆中共の軍事パレードは宣戦布告

Andy Chang



中国の「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードについていろいろな報道記事や分析があった。私は中国のパレードについてではなく、中国は軍事パレードで覇権宣言をしたのだからアジア諸国はこれにどう対応すべきかを考えたい。

今回の軍事パレードは中国の覇者、勝利宣言である。米国はアジアにおける影響力を維持できなくなった、だから中国は米国をアジアから追い出す。中国は「韜光養晦」(実力を隠して相手を安心させる)必要はなくなった、米国のアジア覇権に敵対するほどの国力をつけたと宣言したのだ。中国は米国に宣戦布告をしたと言える。

中国の太平洋を東と西に二分割してアメリカと共同管理すると言った覇権を達成するのに最大の阻害は日本である。日本の次の目標は台湾、そしてアジア諸国である。私はこの宣言によってアジアは平穏でなくなり、覇権争いが激化するとみる。アジア諸国は中国の覇
権宣言について新対策を研究すべきである。

●米国の衰退はオバマの責任

「正論」8月号に中西輝政氏の「日・米・中動乱の幕開けと中国の野望『驚愕の本質』」が掲載された。この文中で中西氏はマイケル・ピルスベリーの「100年のマラソン(The Hundred-Year Marathon:China's Secret Strategy to Replace America As the Global
Superpower)」と題した本が出版され、遅まきながらアメリカの対中認識が180度変わったと書いている。

アメリカの間違いは40数年前のキッシンジャーの中国接近から始まったと言える。つまり中国は普通の国々と同じく、中国が繁栄すれば普通の開発国となって世界の平和を守ると言う間違った認識である。アメリカはトウ小平の「韜光養晦」に騙されたのだ。

おかげでアメリカや世界諸国は中国の発展に援助し続けた。中国は経済と同時に武力発展を続け、強くなった中国は韜光養晦の隠れ蓑をかなぐり捨ててアジアの覇権を唱え、アメリカに代わってアジアの覇権国になる野心を露わにしたのである。

キッシンジャーの間違いに輪をかけた間違いはオバマの反戦哲学、つまりアメリカは戦争をしない、アメリカは世界の警察官ではないという主張である。オバマはブッシュのイラク・アフガン戦争を厳しく批判し、軍部の反対を押し切って早急に中東から撤退したため
中東に空白が生じ、ISISの拡張を許したのである。

オバマの反戦主義を見抜いた中国は南シナ海でどんどん埋め立てを行い、第一列島線から第二列島線まで進出する主張、尖閣諸島付近の進出を推し進めたのである。

アメリカが強く反対しなかった結果が今回の軍事パレード、戦力誇示となったのである。パレードで各種の最新武器を公開してアメリカは怖くないと宣言したのだ。

●日本はアジア平和の重鎮である

中西論文にある通り、日本は積極的にアメリカと合作して中国の覇権を抑えるべきである。中国が敵意を見せた以上、遠慮や優柔不断は更なるアジアの不穏を招く。日本は自主防衛への覚悟を明確にし、優柔不断なアメリカの政策に頼るべきでない。

自主防衛を明瞭にすることでアメリカの不決断にはっぱをかけ、アメリカに期待するよりアメリカを援助して中国を抑えるべきである。アメリカの軍事力を頼るのでなく、日本はアメリカと同等の軍事力を持つ、頼りになる同盟国となる決心を表明すべきである。

アジアの平和はアメリカではなく、アジア諸国の結束が最重要である。私が数年前から述べてきたように、アジアの平和連盟(PASEA)を結成すべきである。安倍首相が発表した「ダイアモンド構想」と同工異曲である。アジア平和連盟は日本とアメリカが主力となるから、日本の強い自主防衛緑の表現で中国を抑えることが出来る。

自衛力を持つことは戦争をすることではない。日本を他国の侵略から防ぐことは平和を維持すること、アジアの平和に貢献できるのである。強い日本が台湾やフィリッピン、ベトナムなどアジア諸国の平和に貢献する。

ところで、今回の軍事パレードを見ると、習近平の隣にプーチンと朴槿恵が立っていた。これで韓国は既に米国や日本を離れて中国の傘下に入ったと思える。韓国は数年前から日本に対して非常識な敵意を示してきた。今回のパレードのあと日本は韓国を敵国とみなし
て対応しなければならない。米国がいつも懸念する「アジアの平和を乱す敵意」は韓国側にある。

パレードには北朝鮮の代表が参列していなかったみたいに見えるが、中国と北朝鮮の関係は思ったより良くないと思われる。

●台湾はアジアの大切な拠点である

台湾は第一列島線の中央に位置する。台湾が中国に統一されたら第一列島線は突破され、中国の太平洋進出が達成される。つまり台湾はアジアの平和に最重要な役割をしているのである。しかも台湾の國民黨は統一を主張し、馬英九総統は民衆の反対を無視して統一路
線を推進している。幸い独立を主張する群衆が力をつけて来年の選挙では国民党に圧勝すると言われている。

中国の軍事パレードは台湾を恫喝したのでなく、逆効果だった。第二次大戦で日本と戦ったのは国民党で共産党ではなかったのに中国が「対日抗戦70年」パレードを行ったので國民黨は大反対した。中国は台湾から連戦夫婦を招待してパレードの最前列に座らせたが、
台湾では連戦を売国行為として糾弾している。中国のパレードが逆に台湾の反中国意識を激化させたのである。

アメリカと日本はこの機会に台湾関係を強化させるべきである。来年の選挙で民進党が政権を取れば国民党の勢力は衰微し台湾独立の機運が高まると思われる。米国と日本が台湾関係を強化すれば南シナ海における中国の進出を牽制する音が出来る。

中国は南シナ海の埋め立てを簡単に放棄しない。アメリカが南シナ海における中国の軍事発展に歯止めをかけるには台湾に拠点を置いて米国の中継地として空軍海軍の駐屯を考慮すべきである。

南シナ海の島嶼の領土主権問題は将来のアジア平和に大きく影響する。アジア諸国の南シナ海の島嶼の主権主張を平和裏に解決するのは将来の重要課題だが、この際アメリカと日本が協力して中国の勝手な進出を抑えなければならない。アジア諸国が平和協定で領土主
権を取り決めるには、当海域における領土主張のないアメリカと日本が主役とならなければ解決できない。

●軍事闘争より経済と外交

結論として、中国の軍事パレードは諸国の警戒心を強くしただけだった。米国と日本がアジアの平和に貢献する重要性を高めたのは中国にとって逆効果となった。中国はアメリカには数十年の遅れているが今後はアメリカや日本の技術協力を得られなくなった。

中国はアメリカと戦争はしないだろう。戦争しないなら軍事力を誇示するより経済、外交が大切だが、中国が牙をむいたら諸国は中国を警戒し合作を拒否する。パレードはバカな行為だった。

日本は中国と韓国を敵と認め経済合作や技術援助など一切中止すべきである。中国投資はベトナムや他の国に移転すべきである。

ロシアは軍事パレードに参加したが、ロシアと中国は互いに信用していない。今度のパレードでロシアは中国の実力を分析し新たな中国策略を作るに違いない。世界を敵に回した軍事パレードは習近平最大のミステークである。

◆「どっこい!」人民は生き残る

平井 修一



支那の人民のほとんどは漢族だが、生命力、生活力、他民族をのみ込む同化力は、良くも悪くも世界有数だ。とにかくタフ! 生きることに貪欲。それだけ生きることが困難な時代が当たり前だったのだろう。金儲けにも熱心で、遊ぶことにも積極的だ。

日清戦争で従軍記者になった岡本綺堂は、清兵が戦闘で敗けると戦線を離脱して、今度は日本軍の軍夫に応募し、献身的に働いたことを感動的かつユーモラスに書いていた。

清朝に仕えていたのは清兵にとって飯のタネだったからで、清朝の米びつが空になったのなら、今度は日本軍に仕えようというわけだ。

生きること、飯を食うことが何を置いても最優先課題であり、それをもたらしてくれるのであれば白い猫でも黒い猫でも構わない、というのが支那人5000年のDNAなのだ。祖国への思いや忠誠心はあまりないだろう。

だから蒙古族や満洲族による異民族支配にも動じない。逆に支配階級である異民族を籠絡して漢族化してしまうのだ。恐るべきパワー。

自分の出世のために奥さんを上司の一夜妻にすることもためらわない。奥さんもほとんどは納得ずくなのだろう。何清漣女史は「漢族の道徳的堕落は落ちるところまで落ちた」と嘆き怒っていたが、出世すれば儲かるのだから「上司に一発やらせたっていいじゃないか、別に減るわけではないのだから」、と思う人は少なくないのだろう。金瓶梅の国だし・・・

中国でコンサルタント業を営む田中信彦氏の論考「『13億総商売人』の時代がやってきた 『ネット小商売』隆盛に見る中国人の『しぶとさ』」(WISDOM8/28)から。

<中国ではいま個人のネットショップが爆発的に増えている。誰でも始められる「ネット小商売」は猛烈な勢いで生活に浸透しており、中国人はまさに水を得た魚のようにますます「個人モード」中心の生き方を加速している。そのメカニズムついて考えてみる。

*「カニの紹興酒漬け」が大ヒット

1カ月ほど前、江蘇省無錫市でブティックをやっている張さんという女性から連絡があった。「上海蟹の紹興酒漬けを自宅で作って売る商売を始めたら、売れすぎて大変なことになっている。知恵を貸してもらえないか」というのである。

張さんは同市の中心部で婦人服を商っているが、景気低迷で服の売上は頭打ちなので、不況に強い食品を手がけることにした。ホテルのレストランで調理師をしている親類に頼み、看板料理のひとつ「上海蟹の紹興酒漬け」のレシピを内緒で教えてもらった。

江南一帯では、茹でた上海蟹を紹興酒や醤油、砂糖、生姜などで味付けしたタレに漬け込み、味が染みてから食べる料理がある。地元ではファンが多く、実は私も大好きである。

張さんのご主人がレシピをもとに丸1カ月、家にこもってタレの作り方を研究した。「大鍋何杯ぶんのタレを捨てたかわからない」という試行錯誤の末、納得できる味のものができあがった。

自宅の大釜で試作品を作り、親戚や友人知人に食べてもらうと非常に評判が良い。手応えを感じたので、店の前に机を出し、無料の試食品を配って道行く人の反応を聞いた。これまた大好評で、「どこで買えるのか」という声がたくさん出た。

自信を得た彼女が目をつけたのが日本では「中国版LINE」と称される「微信(WeChat)」である。「微信」には「朋友圏(モーメンツ)」と呼ばれる、フェイスブックのようなソーシャル機能があり、数百人から時には1000人以上の「朋友」がいる人も珍しくない。

そこに「自家製の上海蟹の紹興酒漬け、〇〇個限定、5つで100元」みたいな話を写真付きで載せたところ、注文が殺到。

慌てて生産して届けたところ、すこぶる好評で、「友人にも配りたい」「両親に食べさせたい」といったリピートオーダーが続出した。さらに「こんなおいしいものがある」という新たな書き込みが友人たちの「朋友圏」上に続々と転載され、引き合いが加速度的に増えた。

*友人から友人へ、爆発的に拡散する情報

「微信」の威力は、友人の紹介というレバレッジ(テコ)が効きやすいところにある。中国人の「朋友圏」の中では、常日頃からさまざまな商品やサービス、飲食店の評判などが飛び交っており、気に入ったサービス、商品、おいしかった店などを積極的に友人たちに紹介する。その心理には次の3つの要素がある。

(1) 自分はこんな良いものを(人より先に)知っているのだという、鼻が高い気持ち

(2) こんな良い体験は友人たちにも味わってほしいという、友人を思う心

(3) 頑張っている商品、サービス、店を応援したいという心情

とにかく中国人は、自分が良い経験をすると、それを親しい人、仲の良い人と共有したいとの気持ちが非常に強い人たちである。日本人にもそれはあるが、中国人のほうが友人の範囲が広く、共有の程度が強い。良い経験を自分だけに留めておくことができず、みんなで分け合えばさらに楽しいと感じる。

そして情報の共有を受けたほうも、聞き流さずにそれを正面から受け止めて「自分も試しに買って(行って)みよう」と反応する傾向が強い。

中国では友人の商売については、もちろん度を越せば問題だが、寛容というよりむしろ積極的だ。ここが日本社会と大きく違う。この個人と個人の相互扶助的な関係性に「微信」の爆発的なパワーの源泉がある。

*お客がその場で代理店に変身

張さんのカニ商売は、紹介に継ぐ紹介で、あっと言う間に毎日の注文が200個(5個入り40パック)超えるようになり、夫婦では手が回らなくなった。張さんはブティックの中二階に業務用のコンロと巨大な釜を据え付け、退職して家にいた両親を駆り出して一家総出の増産体制を敷く。

素人相手に最初は愛想のない対応をしていたカニの卸売業者も、仕入れが増えてくると本気になり、質の良いカニを安く出してくるようになった。

次に起きたのが流通形態の変化である。一口で言うと、頼んだわけでもないのに、お客が代理店に変身してしまったのである。

張さんの「朋友圏」には服の商売で知り合った仕入れ先など、地元以外に住む友人も多くいた。取引先の1人である広東省の服飾ブローカーは張さんのカニのおいしさに驚き、再注文して友人知人にも配った。

それも大好評で「もっと食べたい」との声が相次いだので、この人物は「継続的に売るから、広東省の代理権をくれ」と言ってきたのである。「広東省の人口は1億人以上だ」と気宇壮大なことを言う。

ちなみに現在では中国でも物流網の進化が進み、運輸会社の冷蔵宅配便を使えば、上海から1000q以上離れた広東省でも生ものを翌日配達で送ることができる。

このほかにも北京や蘇州などからも「代理をやりたい」という申し出が相次ぎ、販売開始2カ月も経たずに1日の平均販売個数は500個(5個入り100パック)を突破、金額にして1日1万元、日本円20万円を超えた。単純に掛け算すれば1カ月25日として月商500万円、年商6000万円。個人の商売としては相当の規模である。

現在、張さんは無錫から近い中国一の大市場である上海に代理店をつくり、小さな食品加工場を開いて安定的に商品を供給し、販売を拡大していくプランを描いている。冒頭に触れた私への連絡は、簡単に言えば「上海の代理店になってくれないか」という話だったのである。

ありがたい申し出ながら、私にはカニを売る能力はないので断念したが、要はこういうフットワークの軽さが中国人の商売の活力なのである。

*猛烈に広がる「小商売」のネットワーク

個人の商売が個人を媒介に拡散し、その商売を個人が代理店となってさらに拡大する。張さんの商売は「微信」を舞台にした、典型的な創業物語のひとつである。

彼女の場合、もともと自営なので事業の拡大ペースが早いが、ごく普通の市民の間でも「微信」上の個人ショップ「微店(YouShop)」を通じた小商売のネットワークは深く広がっている。

いま中国全土でこのような個人による「小商売」の波が猛烈な勢いで広がっている。いささか誇張した表現ながら、メディアでは「国民総商売人の時代」といった文言が踊っている。

*SNSと社会の親和性

中国人と日本人の発想を比べた時、最も大きく異なるのは、個人志向か全体(枠組み)志向か、という違いにある。中国人は自分個人の利害から出発し、自らの利益を確保するために自分が属する「枠組み」(国、会社、制度……)をどう利用するかという発想をする。

日本人は自分を含む「枠組み」全体の利害をまず考慮し、その結果として自分にも利益がもたらされるようにしようと考える傾向が強い。

これは、どちらが優れているとか、どうあるべきかという話ではなく、社会としての考え方の「クセ」である。もちろん個人差は大いにあるし、自分が育った環境や従事している職業などによっても、このあたりの感覚には違いがある。

しかし「微信」に代表されるような個人を軸にしたコミュニケーションツールとの親和性は、中国社会のほうが日本より圧倒的に高い。

中国では仕事や商売とプライベートの区別がない。自分と気の合う、利害の一致する個人どうしが組織の枠に関係なく結びつき、「個」と「個」としてスクラムを組んで商売をする。そういう傾向が強い。

今回のスマートフォン普及による「微信」の浸透は(携帯やメールに)続く第三の波である。これによって中国人の「個」と「個」のコミュニケーションの頻度と密度はさらに高くなり、個人が商売を始める手間とリスクは劇的に軽くなった。

報道によると、すでに3000万軒の個人ショップがオープンしているという。「微信」のユーザーは1990年代以降生まれが中心なので、今後、時の経過とともにユーザーが増加していくことは間違いない。

*激変する「ものの売り方」

組織に頼らず、個人を単位に、個人と個人のつながりで自分たちの利益を図っていくという「中国人的生き方」は、こうした「個」を単位にしたネットワーク上において非常に強いパワーを発揮する。

強いネットワークを持つ個人どうしが協力し、互いに資源を共有しながら、お互いの商品を互いのネットワークで売り合う。

そう言えば、冒頭に紹介した張さんの店では、高級婦人服の既存顧客には「上海蟹の紹興酒漬け」もよく売れている。個人の力で販路を広げ、信頼できる個人どうしが商品を融通して、大胆に売る。

商売人としての中国人のパワーは、今後ますます強まっていくだろう。

もちろん現状の個人のネットショップには、食品の品質や衛生基準の確保をどうするか、ショップ乱立による過当競争と商品画一化をどう防ぐかなど課題は多く、すでにそうした問題は噴出している。

しかし「微店」的な「小商売」のシステムは、紆余曲折はありながらも中国人の人生に不可欠のプラットフォームとして機能していくだろうと私は考えている。

「個」の力を自ら矜(たの)んで生きていく「しぶとさ」こそが中国社会の強みであり、中国人の魅力であり、これからの日本人が世界の荒波の中で生きていくために学ばねばならないことではないかと思うのである>
(以上)

自然発生的に資本主義経済が発展し始めたような印象だ。北朝鮮も同様で、最近では鉱区の開発権を買う小ブルも誕生しているという。ともに国家独占資本主義の国だが、草の根資本主義はどんどん育っていくだろう。

独裁者どもはこの芽を摘むのか、それとも育つに任せるか。摘めば経済の低迷を招くし、育てれば独裁者の利権を脅かすほどになるかもしれない。13億の走資派が共産党独裁を揺るがしつつある。(2015/9/5)


◆戦後左翼の正体

伊勢 雅臣


「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と言う人々の正体を探ってみれば、、、



■1.「言葉の暴力を平気で振るうような人間たちに、『平和』を語る資格はどこにあるのか」

8月30日、安全保障関連法案に反対する国会周辺の集会で、山口二郎・法政大学教授が、以下の発言をしたと報道されている。

「昔、時代劇で萬屋錦之介が悪者を斬首するとき、『たたき斬ってやる』と叫んだ。私も同じ気持ち。もちろん、暴力をするわけにはいかないが、安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる! 民主主義の仕組みを使ってたたき斬ろう。[1]

安全保障関連法案に反対なら、現在の中国の軍事膨張に対して、どう日本を守るか、という対案を示すべきなのに、そのような政策論議はまるでなく、国民が「民主主義の仕組み」に従って選んだ首相に、品位も論理もない悪罵を投げつけるだけである。

石平氏は「言葉の暴力を平気で振るうような人間たちに、『平和』を語る資格はどこにあるのか」と批判した上で、自らの経験に照らして、こう語る。

「今から26年前、私の世代の多くの中国人青年が北京の天安門広場でそれこそ命がけの民主化運動を展開した。しかしわれわれは、本物の独裁者のトウ(登におおざと)小平に対しても「お前は人間じゃない」といった暴言を吐いたことはない。

われわれはただ、民主化の理念を訴えただけだった。だから、民主化運動がトウ小平の解放軍に鎮圧されたとしても、われわれには誇りが残った」。[2]

国会前で「言葉の暴力」を振るう日本の戦後左翼と、天安門で民主化を求めて立ち上がった中国の青年たち[a]とは、姿形は似ているが、その正体は全く異なる。戦後左翼の足跡を辿ってみれば、彼らの正体が見えてくる。

■2.60年安保闘争の挫折

戦後左翼のピークは、昭和35(1960)年の安保闘争だった。同年5月19日に岸信介内閣の安保条約の改正に反対して、100万人が国会を包囲した。この時、岸首相は「国会周辺は騒がしいが、後楽園球場は満員だ」と言い放ったが、その言葉通り、一般国民は当時から安保改正を支持していた。

この年の参議院選挙で社会党は敗北し、岸内閣は支持率34%と、安保改正賛成が国民の多数派だった。新安保条約が自然成立して岸内閣が総辞職し、後継の池田勇人首相のもとで行われた総選挙でも、自民党は300議席を超えて圧勝した。

後に、岸は「安保改訂がきちんと評価されるには50年はかかる。あのときは俺は一握りの人たちとマスコミだけが騒いでいると思っていた。ああいうふうに騒いでいる連中だって、そのうちきっと安保改訂をありがたいと思う時期がくるよ」と語った。[b]

その言葉通り、半世紀後の平成24(2012)年の内閣府世論調査では、「日米安保条約が日本の平和と安全に役立っている」と考える人の割合は81.2%にも達している。[3]

安保改定への左翼の批判は「安保で日本はアメリカの戦争に巻き込まれる」というものだったが、半世紀経っても日本はアメリカの戦争に巻き込まれておらず、逆にかつてのソ連や現在の中国に対する抑止力を得て、日米同盟は戦後日本の平和に寄与している。

戦後左翼の安保反対デモは、政治的主張としては誤りであり、国民の支持も受けていなかった。「一握りの人たちとマスコミ」がデモという物理的な力で、民主選挙で選ばれた政府の決定を暴力で覆そうとした闘争であった。


■3.高度成長が打ち破った「社会主義への道」

経済面における戦後左翼の主張は「社会主義国家」の建設であった。昭和39(1964)年に日本社会党が綱領として採択した「日本における社会主義への道」は、次のように主張している。[4]

 ・主要生産手段公有化と計画経済により、生産性を高め国民に豊かな生活を保障する。

 ・日本資本主義は国家独占資本主義である。資本主義の基本的矛盾は最高度に発展しており、社会主義革命の前夜にある。

この主張を事実で打破したのが、池田内閣が始めた「所得倍増計画」だった。道路5カ年計画など社会資本の充実、貿易・為替自由化による輸出推進、優遇税制による産業高度化などの具体策が矢継ぎ早に実施された。

臨海工業地帯には、巨大な鉄鋼、石油化学、火力発電などの巨大プラントが続々と作られた。国民の生活水準も急速に上昇して、カー、クーラー、カラーテレビの「3C」が花形商品となった。

所得倍増計画の10年間、国内総生産(GDP)は年平均11.3%の伸びを示し、倍増どころか3倍増となった。「主要生産手段公有化と計画経済」ではなく、「民間企業と自由市場」が「生産性を高め国民に豊かな生活」を実現した。[c]

こうして安全保障と経済成長の両面において、戦後左翼の主張は自民党の政策により、事実によって誤りであったことが実証されたのである。


■4.「ゲバ棒を振り廻すこと自体によろこびを感じている」

戦後左翼の政策的主張は挫折したが、60年代後半はベビーブーム世代が大学に進学し、反抗期的ムードを原動力とした学生運動が盛りあがった。

そのピークは、東大安田講堂事件であろう。発端は、医師国家試験制度に関する実務的な問題だったが、「医局員を監禁状態にして交渉した」として大学当局が17人の学生の処分を決めると、過激派学生たちが反発して安田講堂をバリケード占拠して、卒業式を阻止した。

その後、大学当局が機動隊を導入して、安田講堂を占拠する過激派を排除したが、これに反発して全学の過激派学生がストライキと主要な建物の占拠を行った。昭和44(1969)年1月18日、19日にかけて、警視庁の機動隊8500人が投入され、封鎖解除をした。

機動隊側は「なるべく怪我をさせずに生け捕りにする」方針をとったが、学生側は上部階から火炎瓶や大きな石、硫酸などの劇物を投下したため、機動隊側で負傷者710人、うち重傷者31人もの被害が出た。学生側は負傷者47人、うち重傷者1人、逮捕者457人となった。[5]

東大教官で作家の柴田翔は暴れる学生たちの姿を見て、こう書いている。


{僕がそのとき考えたことは、ゲバルトは国家の暴力装置に対抗するための対抗暴力として出てきたと理解した。僕はたとえ対抗暴力であってもゲバルトには反対だったけど、現象としてはそう理解していた。

ところが大学の教師である自分の目の前で学生たちがゲバ棒を振りまわしているのを見ているうちに、そういう側面もあるけれどもそれはいってみればタテマエと判ってきた。そうではなくて、連中はゲバ棒を持ちたいから持っているんだ、ゲバ棒を振り廻すこと自体によろこびを感じているんだという気がした}。[6]

学費値上げ反対とか、医師国家試験制度などというような実務的な問題を言いがかりとして、「ゲバ棒を振り廻すこと自体によろこび」を感じるような暴力的な運動が、国民の支持を得られるはずもなかった。学生運動は数年のうちに衰退した。


■5.サークルの10人のうちの4人が内ゲバで殺された

大方の学生が学生運動に見切りをつけて「ノンポリ化」する一方、残った過激派学生はますます先鋭化し、内ゲバ(過激派派閥間の内部抗争)で殺し合いまでするようになっていった。

昭和48(1978)年に東京大学経済学部に入った池田信夫氏は、社会科学研究会の部長を務めた。この会は、60年安保の時に歴史学研究会とともに、過激派学生の拠点となり、合わせて100人以上の部員がいたらしいが、池田氏の頃は10人くらいに減っていた。その10人のうちの4人が、内ゲバで殺されたという。

{今でも記憶に残っているのは、梅田順彦という学生だ。まじめな学生で、サークルに入ってきたときは「経済学部で過渡期経済論をやりたい」といっていた。・・・それがしばらくすると、黒田寛一や梯(かけはし)明秀などの革マル派の教祖の本から引用した話を呪文のように繰り返して「中核を打倒することが革命の第一歩だ」などというようになった。

そのうち梅田はサークルに出てこなくなり、生協の前でアジ演説をやり始めた。「こんな所にいたら危ないぞ」といったら、「大丈夫だよ。みんなの見ている前が一番安全なんだ」と笑っていたが、1975年10月、衆人環視のなかで数人に取り囲まれて鉄パイプでなぐられた。

頭蓋骨折で、即死だった。おびただしい血が食堂前まで広がって一帯が立入禁止になった。革労協が犯行声明を出したが、犯人は不明だった。

党派に入って1年もたたない彼が、東大にいなかった革労協に殺されたのは、その直前に静岡で革マルが革労協の活動家を殺害した報復だった。誰でもよかったのだ}。[7,位置No.111]


こうして全国で100人以上の学生が内ゲバで殺されたという。[8] 中国の「文化大革命」や「天安門広場」と同様の虐殺が、小規模ながら日本でも起きていたのである。


■6.「体制側に転向した裏切り者」

過激派の内ゲバなどで世間から愛想をつかされた戦後左翼は、公害反対運動に活路を求めた。公害は資本主義のもたらす「矛盾」であり、公害病患者がプロレタリアートに代わる「非抑圧者」という同工異曲の構図である。

反公害運動の草分けの一人が中西準子だった。参議院議員まで務めた共産党員の子として生まれ、マルクス主義の影響を受けた中西は、東大の助手時代に反公害運動に身を投じ、23年間も助手生活を余儀なくされた。

しかし、中西は反対だけでは何も変わらないと気づき、それまでの流域下水道に代わって、小規模下水道を提案する。汚水をきれいな水に混ぜて処理する流域下水道に対して、汚水だけを分けて処理する方がコストが安いので、全国の市町村が中西の提案を受け入れた。

純粋な「汚染ゼロ」の心情論理を主張した人々は何も変えられなかったが、汚染のリスクを最小化した中西は日本の下水道を変え、環境を改善したのだ。[8,1737]

反公害運動を進める戦後左翼は中西を「体制側に転向した裏切り者」と呼んだ。彼らが真に公害問題の解決を願っていたのなら、それに貢献した中西に感謝・評価するはずである。

それを逆に「体制側に転向した裏切り者」と悪罵を投げつけるのは、彼らの狙いが公害問題の解決ではなく、公害問題を利用して「体制側」を転覆させることだからだ。公害問題という「矛盾」を改善することは「体制側」を延命させる裏切り行為となる。公害の被害者の人権などはどうでもよいのである。

同じ事が近年の反原発運動にも言えよう。原発をなくして、電気代が上がろうと、火力発電による環境汚染が進もうと構わない。原発に代わる代替エネルギーの現実的な提案もしようともしない。「反原発」とは単なる「反体制」の幟(のぼり)に過ぎない。


■7.戦後左翼の残党が民主党政権を作った

このように戦後左翼はもう半世紀も前から挫折し、堕落してきたのだが、その残党は、まだあちこちにしぶとく生き残っている。

たとえば、民主党政権で首相を務めた菅直人は、かつて学生運動の中心人物であり、大変なアジテーターだった。数百人規模の学生を扇動してデモを始めるが、本人は4列目にいて、前の3列までが警察に捕まる間に消えてしまう。だから、菅は「第4列の男」と呼ばれた。[d]

そんな人物が、その後、市民運動を経由して、民主党に入り、首相まで務めた。菅(かん)は「議会制民主主義は期限を切った、あるレベルの独裁を認めること」と発言しているが、衣の下から戦後左翼の鎧が見える。

その菅政権で官房長官を務めた仙谷由人は東大時代に全共闘の活動家だった。安田講堂占拠の際も弁当運びなどをしていたようだ。仙谷も「自衛隊は暴力装置」などとお里が知られる発言をしている。

以上のように、戦後左翼の系譜を辿ってみると、一貫して法と民主主義、人権を無視して、暴力によって権力を握ろうと闘争を続けてきたのが正体であることが判る。彼らが権力を握れば、天安門での中国共産党のように、民主化を求める青年たちを戦車で轢き殺すだろう。

西側先進国で、わが国ほど、政治、マスコミ、法曹、教育の各界で、いまだに左翼がしぶとく巣くっている政治的後進国はない。わが国が中国に隷従すれば、戦後左翼が一気に息を吹き返して、自由と民主、人権と平和を求める日本国民を暴力で抑え込むだろう。

安倍首相の進める安保法制改革は、そんな事態を防ぐための戦いだ。だからこそ、彼らは安倍首相に悪罵を投げつけるのである。



■リンク■

a. JOG(162) 天安門の地獄絵
天安門広場に集まって自由と民主化を要求する100万の群衆に人民解放軍が襲いかかった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h12/jog162.html

b. JOG(337) 岸信介 〜 千万人といえども吾往かん

日本を真の独立国とするための構想に邁進した信念の政治家。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h16/jog337.html

c. JOG(103) 下村治
 高度成長のシナリオ・ライター
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog103.html

d. JOG(708) 国家の危機管理能力 〜 佐々淳行・渡部昇一『国家の実力』を読む
 治安・防衛・外交という「国民を護る仕事」をしない人間が首相になっている。
http://blog.jog-net.jp/201107/article_4.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 産経新聞、H27.8.31「国会前集会発言集(1)『安倍は人間じゃない。たたき斬ってやる』山口二郎法政大教授」

2. 産経WEST、「「平和運動の名に値しない」 安保法案反対集会での首相への『お前は人間じゃない』発言などに 石平氏寄稿」
http://www.sankei.com/west/news/150901/wst1509010066-n1.html
3.内閣府大臣官房政府広報室、「世論調査 6.日本の防衛のあり方に関する意識」
http://survey.gov-online.go.jp/h23/h23-bouei/2-6.html

4.Wikipedia contributors. "日本における社会主義への道."
Wikipedia. Wikipedia, 3 Mar. 2008. Web. 2 Sep. 2015.

5.Wikipedia contributors. "東大安田講堂事件." Wikipedia.
Wikipedia, 20 Aug. 2015. Web. 2 Sep. 2015.

6.Wikipedia contributors. "全学共闘会議." Wikipedia. Wikipedia,
19 Jun. 2015. Web. 2 Sep. 2015.

7. 池田信夫『戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか』★★、PHP新書、H27
(数字はKindle版の位置No.です)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4569825117/japanontheg01-22/

8. Wikipedia contributors. "学生運動." Wikipedia. Wikipedia, 19
Apr. 2015. Web. 3 Sep. 2015.

2015年09月06日

◆私の「身辺雑記」(257)

平井 修一

■9月3日(木)、朝は室温26.5度、薄曇り、気温は高いが涼しい、ハーフ散歩。ロコちゃん2と挨拶。なかなか可愛い。

4歳男児は8:30/36.9度、10:00/36.6度。まあ、そこそこ陽気に遊ぶようになった。いささか饒舌。夕食時は躁状態で、熱さましの座薬の副作用だという。

習の軍事パレードは「おもちゃのチャチャチャ」だな。

♪おもちゃの チャチャチャ おもちゃの チャチャチャ チャチャチャおもちゃの チャチャチャ

なまりのへいたい トテチテタ ラッパならして こんばんは フランス人形 すてきでしょう 花のドレスで チャチャチャ

とんぼみたいなヘリコプター ぐんとはやいなジェットきは サイレンなれば はっしゃです うちゅうロケット チャチャチャ

「花のドレス」ではなかったが、習の嫁さんと愛妾クネは「紅二点」か。ネットでは逮捕説も出ていた江沢民が貴賓席にいたのは驚いた。一時休戦? 習VS江戦争の行方は分からん。

この歌が野坂昭如作詞だとは驚いた。吉岡治補作とあるから、吉岡が書いて、野坂の名前を借りたのだろうか。それとも吉岡が野坂原稿を添削したのか。

吉岡は石川さゆり『波止場しぐれ』、大川栄策『さざんかの宿』、瀬川瑛子『命くれない』、美空ひばり『真赤な太陽』、都はるみ『大阪しぐれ』 など書いている。童謡では「あわてんぼうのサンタクロース」も吉岡の作品。ヒットメーカーだ。

抗日戦争勝利を中共独裁の正当性の根拠と強調したのは江沢民が最初だ。これを「青は藍より出でて藍よりも青し」と拡大再生産したのは習。江は2年間、日本軍の協力者を務め、ばれると党籍剥奪だから日本叩きに精を出したのだ。

習は日本叩きの後継者だが、安倍談話を受けたためか、談話の内容はヘタレの嘘八百だった。

<戦争は、平和の貴さをより良く人々に認識させる鏡です。今日、平和と発展がすでに時代の基調となっています。しかし世界はなお太平には遠く、戦争のダモクレスの剣が依然として人類の頭上に吊されています。私たちは歴史を鑑として、平和を維持する決意を揺るぎないものにしなければなりません。

平和のために、私たちは人類運命共同体意識をしっかりと確立しなければなりません。偏見と差別、恨みと戦争は惨禍と苦しみをもたらすだけです。

相互尊重、平等な付き合い、平和的発展、共同繁栄こそがこの世界の正しい道です。世界各国は国連憲章の趣旨と原則を中核とする国際秩序と国際体制を共同で守り、協力・ウィンウィンを中核とする新型の国際関係を積極的に構築し、世界平和・発展という崇高な事業を共同で推進するべきです。

平和のため、中国は平和的発展路線を終始堅持します。中華民族はかねてより平和を愛してきました。どの段階まで発展しようとも、中国は永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、自らがかつて経験した悲惨な境遇を他の民族に押しつけることも永遠にありません。

中国人民は世界各国の人々との友好的付き合いを堅持し、中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争の勝利の成果を断固として守り、人類のために新たな、より大きな貢献を果たすべく努力します。

中国人民解放軍は人民の子弟兵であり、全軍将兵は誠心誠意人民に奉仕するとの根本的目的を銘記し、祖国の安全と人民の平和な生活を守るという神聖な責務を忠実に履行し、世界平和の維持という神聖な使命を忠実に遂行しなければなりません。私は軍の定員を30万人削減することを宣言します>

周辺国を恫喝しまくって今や習の味方モドキはプーチンとクネだけ。今さら甘言を弄したところで信頼を回復できるはずもない。経済迷走で世界中に混乱をまき散らしていることは、政治も迷走中だということ。

習よ、お前の使命は中共独裁を手仕舞いすることだ。できるか。できないのなら永遠に「暗愚のラストエンペラー」と呼ばれるだろう。

夕食は5人でマグロカツ、クリームコロッケ(以上は冷凍)、フライドポテト、甘口カレーなど。皆帰ったが、疲労困憊。

■9月4日(金)、朝は室温27度、薄曇り、ちょっと蒸すが、まあ涼しい、ハーフ散歩。

今日も4歳男児を預かる。夕べも発熱したそうだ。Nが助っ人できてくれたので助かる。「発熱→ちやほやされる・登園しなくていい」から、この子の発熱は一種の精神疾患ではないのか。頻発する。九大病院心療内科のサイトから。

<心因性発熱(ストレス性高体温症)について

精神的ストレスで熱が出る、正確には発熱の基準となる37℃以上の高体温となることがあります。

(1)精神活動(授業に出る、仕事をする、人に会う、極度に緊張する、けんかするなど)に伴って高熱が出る、

(2) 慢性的なストレス状況(残業が続く、介護で疲れ果てている、授業と部活の両立が難しい)状況や、いくつかのストレスが重なった状況で、微熱が出るようになり、なかなか下がらない。

さらに病院で検査を受けても異常がないと言われた、解熱剤で熱が下がらない、などの場合、心因性発熱が疑われます。

(風邪を引いたときの発熱とはメカニズムが違うので、ストレス性に生じた高体温状態を“発熱”と呼ぶのは正しい表現とは言いがたいのですが、歴史的に、このように呼ばれています。私は「ストレス性高体温症」と呼ぶ方がよいと考えています。)

ストレスによる体温上昇には、大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは、手術当日の朝、急に39℃の高熱がでたけれど、手術が中止と決まったらすぐ下がった、と言うような、大きなストレスによって急激に高体温が生じるものの、回復も早いタイプで、小児によくみられます。

すぐ解熱しますが、ストレスの原因を解決しないと何度も繰り返すことがあります>(以上)

看病する方が発熱しそうだ。

笹川陽平氏のブログ9/4から。

<「中国の小話」その62―抗日戦争勝利70周年―

昨日3日、中国では「抗日戦争勝利70周年記念」として、天安門広場で記念式典と軍事パレードを実施した。

台湾の馬英九総統は、蒋介石率いる中華民国国軍が日本と戦ったのであって、共産党軍は補助的役割を果たしたに過ぎないとの談話を発表した。歴史は馬英九総統の言う通りである。

習近平主席は「正しい歴史感を持とう」と呼びかけたが、中国の国民の一部には、下記のように小学生の口を借りて「抗日戦争勝利70周年」を皮肉るものもある。

近年の中国の言論統制は、かつてないほどが厳しい。しかし、国民も負けてはいない。

              ***

国語の授業で、先生は『なんと!』という副詞を使って作文を作るように生徒に言った。

明君はクラスでも成績優秀な生徒。早速次のような文を作った。

「1949年に建国したある国は『なんと!』、建国よりも早く、1945年に戦勝国になった」

勢いにのって、更に一文を作った。

「この国は建国66周年を祝う時、『なんと!』、軍事パレードで戦勝70周年を祝うことになっている」

しかし、発表を聞いた先生は激怒し、明君を教室から追い出してしまったとか・・・>(以上)

上手い、座布団10枚! 人民は“戦勝70周年”を嘲笑っているか。それとも誇らしげか。

夕食は5人で麻婆豆腐、餃子(冷凍)など。疲労困憊。

■9月5日(土)、朝は室温26度、薄曇り、まあ涼しい、ハーフ散歩。

今日も4歳男児を預かるが、カミサンが休みなので助かる。カミサンは4歳男児を小児科へ連れて行った。

軍事専門誌ライター・文谷数重氏の論考「太平洋で日本海軍力に対抗できぬ中国 哨戒機が登場しなかった軍事パレード」(Japan In-depth9/5)から。

<軍事パレードにはあまり興味はない。しかし、仕事になる可能性があれば別の話だ。一つ言えるのは「哨戒機と哨戒ヘリが出てこなかった」ことである。これは地味ではあるが、注目すべき内容である。

*哨戒機と哨戒ヘリが「出てこなかった」

両者は海軍力を展示するなら、本来は含まなければならないものだ。それがないと外洋での海軍作戦、特に日米との対峙は不可能であるためだ。艦隊を出すためには、まず哨戒機で哨戒圏を作りその範囲で行動させるのがセオリーである。

また、水上艦隊は常に哨戒ヘリを艦隊上空に上げる必要がある。水平線外の状況がわからず、ただでさえ怖い潜水艦の動静も全く掴めない。だが、それが上空飛行に含まれなかったことは、注目すべきなのである。

*数が足りないか、中央の認識不足か

実際には「見せたいが見せられなかった」のだろう。推測される理由としては次の2つである。

まずは、数が揃わないといった問題点である。

哨戒機は、パレードに出せるまでの数がない。本格哨戒機と目されるY-8Q(高進6号)は現状では2機と言われている。そこから「予備機を揃えられないので出すに出せない」あるいは「パレードに出すと長期拘束され、開発が大幅遅延する」といった理由が考えられる。

艦載ヘリも、哨戒ヘリコプターは単純に数が足りないので出せない。フランス系の機体に独自装備を施した国産Z-9Cは11機、ロシアから購入したKa-28は6機しかない。南シナ海等での実働艦隊への搭載所要が優先し、余裕が無いと見ることもできる

また、党や軍中央がその価値を理解できないといった可能性もある。「外見上で地味であり、攻撃力としても強力ではない」ために出さないといったものだ。人民解放軍はArmyと言われるようにまず陸軍があり、そこに海軍部が所属している。また人事もそのようになっており、海軍が重要だと主張しても参加枠がもらえなかったかもしれない。

*揃えられなければ、日米に対抗できない

あるいは、両方とも正解かもしれない。実際にどちらも数を揃えられないことは、党や軍中央の理解が得られないためであるとも判断できるためだ。

海軍力として派手な空母は戦力整備として理解されやすい。しかも日華事変や国共内戦、台湾危機で民国、新中国を圧倒された経験がある。だから新中国も空母を持たなければならないといった意見は賛同を得やすい。

だが、実用上必須の哨戒機や哨戒ヘリは高額である上、強力に見えないため理解は得にくい。おそらくY-8QはJ-15の二倍程度の価格であり、哨戒ヘリもJ-15と同価格はするだろう。しかし、外見は輸送機と通常のヘリであり、低速でしか飛べず、これといった攻撃武器も持たない。

しかし、それがなければ中国は日米に対抗できない。外洋での海軍作戦にはそれがなければどうしようもないためだ。

空母や長距離爆撃機、対艦弾道弾を持っていても、哨戒機で相手の艦隊の位置がわからなければ無意味であるし、艦載ヘリで艦隊付近の対潜警戒をしなければ不安でなにもできないためだ。

実際に海軍国であり、太平洋を主戦場と考える日米はこれらを大量配備している。日本は哨戒機を80機運用し、哨戒ヘリを85機保有している。米国は哨戒機130機を運用し、別に大量の保管機も持っている。哨戒ヘリについても現状で210機を運用しており、1世代前の機体も多数保管している。

今回の軍事パレードで哨戒機・哨戒ヘリが「出てこなかった」ことは、中国海軍はこれら問題を早期解決できないことを示唆するものでもあるということだ。

つまり、外洋海軍力を拡大する上で乗り越えるハードルは相当に高く、海軍は乗り越えるための協力も得られにくいのではないかと推測できるのである。

中国は艦艇数で日米に追いつこうとし、特に日本には優位に立ちつつある。だが、哨戒戦力が足りない点は絶望的な質的劣位である。このため、今後しばらくも太平洋では日本海軍力に対抗はできないのである>(以上)

さすがにプロの見方は鋭い。もしその指摘が正しいのであれば中共は外洋で戦うことは当分できないということになる。どうなっているのか。

<国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー(電子版)が6月28日、「中国の新型対潜哨戒機『運−8Q(Y−8Q)』には対艦ミサイルの搭載が可能だが、その能力はまだ、日米にかなわない」と報じた。中国サイト・新浪軍事が同国版ツイッター・微博を通じて30日伝えた。

同誌では「中国の運−8Qがすでに北海艦隊で就役しており、中国初の対潜固定翼機となった。ただ、中国周辺では在日米軍の対潜哨戒機『P−8』や日本の『P−1』も就役し始めており、これらと運−8Qとの間にはまだ、一定の差がある」と報じた>

「日本周辺国の軍事兵器」2013/3/3にはこうあった。

<対潜哨戒機の本格的な運用経験が豊富とはいえない中国海軍にとっては、機体や兵器システムといったハード面での整備だけでなく、それらを有効に活用するために必要な運用ノウハウの確立が必要である。

また対潜作戦用ソフトウェアの開発は作戦海域の海底地形や海流・水温の状態、周辺諸国の潜水艦の音紋や磁気特性等の各種データの収集と分析が必要となる。これらの課題は一朝一夕に解決できるものではなく、時間と費用をかけて構築していく必要がある。

Y-8Qがこれまでの対潜哨戒機と同じく少数配備に留まるのか、それとも多数の機体が配備されるのかは、これからの中国海軍の方向性を占う指針となる事例であり、今後の展開が注目される>

中共経済は下降線をたどっており、おそらく長期の低迷に苦しむだろう。
日米軍に対抗するためには膨大な軍事費が必要だが、下手をするとソ連のように経済破綻する可能性もある。習近平の火遊びは中共大爆発を招くだろう。(2015/9/5)

やまとことばに現れる日本人の心

加瀬 英明



7月に霧島国際音楽祭に夫婦で招かれて、霧島を訪れた。

音楽祭は満天の星空に、霧島神宮の社殿のわきに設けた舞台に、グランドピアノを据えて、篝火(かがりび)が焚(た)かれるなかで催された。

私たちは堪能した。篝火は縄文時代から夜闇を照したが、つぎつぎとクラシック音楽が力強く演奏されて、遠く離れている西洋と、日本の文化が融合して、古代の日本では想像すらできなかった、感興に浸った。

鹿島神宮の御祭神は「あまつひこひこほのににぎのみこと」で、天照大御神の孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)として知られる。みことは日本を治めるために降臨されたが、いまの若者はギリシア神話のビーナスなら知っていても、日本神話についてどれだけ知識があるものだろうか。

翌日、私たちは鹿児島を巡った。桜島が眼の前にひろがる、旧島津藩邸があった仙巌園のなかに猫神社がある。いまから400年前に秀吉が朝鮮征伐を行ったときに、島津藩も出兵したが、7匹の軍用猫を連れていった。5匹が討ち死にし、2匹が凱旋した。

島津藩主が7匹の猫に感謝して、神社を建立したのだった。猫たちがどのように活躍したのだろうか。外に看板があったが、猫の目を時計替わりにして、時間を知ったのだった。

日本では古来から動物や、森を拝んできたが、素晴らしいことだと思う。日本では人も動物や、魚、虫、山川と一体だと信じて、人間がその上にあるという発想がなかった。

先ごろ和歌山県で、猫の駅長のたまが死んだ時に、駅舎で神式の葬儀が盛大に行われて、県知事が玉串を捧げた。

多くの海外のテレビ局が、奇異の眼をもって取材したが、ユダヤ・キリスト・イスラム教では、人と自然は別のものであって、神がこの世界を創った時に、人に自然の支配者となるように命じている。

日本では西洋から学んで、近代化を進めた文明開化が行われるまで、日本語に「自然」という、異様な言葉が存在していなかった。

自然は西洋語の「ネイチュア」の新しい翻訳語である。日本人は万物が共存しているとみなしたから、古来から人種差別が行われたことがなく、海外から仏教が到来すると、神仏が争わずに、「神様仏様」といって混淆(こんこう)した。海外のように宗教抗争や、奴隷制度が行われたこともない、差別しない文化だった。

「宗教」という言葉も、明治にキリスト教が入ってきてから造られた、明治訳語である。それまでは、宗門、宗旨、宗派といって、宗派間でいがみあうことなく共存していた。

「神話」も明治訳語の一つだ。それまでは「ふること」といった。そこで今日のように、「神話が崩壊」することはなかった。

今日の日本語のなかには、おびただしい数の明治訳語が我が物顔をして、氾濫している。日本に漢字が入ってきたのは、3世紀の卑弥呼のころだっ
たろう。

ところが、それから1700年もたったというのに、漢字を組み合わせた漢語が、私たちの胸を打つことがない。  
 
「国家」「生命」「憧憬(どうけい)」「慕情」「幸福」「恋愛」といっても、心から遠い。漢語が到来した以前のやまとことばで、「くにのためにいのちを」「あこがれ」「したう」「しあわせ」「こい」というと、心を揺ぶられる。

日本人のやさしい心は、古代からまったく変っていないのだ。

私たちが古代の心を失わないでいるかぎり、日本人はしあわせであり続けるのだ。

◆プーチン大統領、最大の関心開発

宮崎 正弘 



<平成27年(2015)9月5日(土曜日)弐 通算第4639号 >

〜プーチン大統領、極東沿海部、シベリア開発が最大の関心
  北京の軍事パレードに「寄り道」、狙いはウラジオストックだった〜


9月4日、北京で開催された軍事パレードに参加すると、思いのほか「歓待」された余韻のなか、プーチン大統領はロシア極東部ウラジオストックへ飛んだ。つまり彼にとって、北京は「寄り道」に過ぎなかったのだ。

同日からウラジオストックで開催されていたロシア政府主催の「経済フォーラム」における基調講演のためである。

かつてAPECが開催された国際会議場には日本、韓国、そして中国ならびにアセアン諸国などから、およそ300人の経済界代表が集まり、プーチンの投資呼びかけに聞き入った。

プーチンが極東開発に寄せる熱意は並々ならぬものがあり、2010年のAPEC会場をウラジオストックと定め、大開発を指令した。シベリア、極東部からロシア人の人口が激減し、他方で中国人の流入がとまらないことも、焦燥の背景にある。

市内の対岸にある無人島=ルインスキー島に橋を架け、森を伐採して豪華ホテル、大庭園、会議場を突貫工事で建設し、APECに間に合わせた。それほどの力の入れようだった。

またウラジオストック西方にある北朝鮮と中国国境の三角地帯開発にも熱心で鉄道網を拡充し、輸出港としての機能整備につとめた。

筆者は平成21年、まだ建設が緒に就いたばかりのルインスキー島を取材したが、原野を急ピッチで開発中だった。ナホトカでは、せっかく出来たチャイナタウンがゴーストタウン化していたのが印象的だった。

過去数年、ビジネスが予想外に低調なため、あらかたの中国人は去ったが、現場労働者はロシア人ではなく、いまでは北朝鮮やウズベキスタン、タジキスタンなどからの出稼ぎが主流だ。

笛吹けど踊らず、という感じだった。


 ▲「東方重視」にはちまきを締め直した

今回、プーチンが改めて極東開発に大号令をかけている背景には経済の低迷と西側の制裁によりロシア投資が激減したことから、経済発展の目標地域を東方へ移転させたことが挙げられる。

第一にクリミア併合、ウクライナ問題で、西側のロシア制裁に出くわし、先進諸国からの対ロ投資が100億ドルに激減(これは対中投資の10分の1)。このためロシア景気が低迷し2015年はマイナス成長が確実視されている。従って、当面の転換策として、極東開発を「東方重視」と銘打って力点を移すわけだ。

第二に原油価格下落により、輸出が激減したため石油とガスの新しい顧客に、なんとしても中国、韓国、日本への接近を果たさなければならない。ルーブル下落は逆にいえば、輸出活性化のチャンスでもある。

第三に、しかしながら一番頼りにする日本が態度を硬化させている。

とりわけ、北方領土問題の解決が放置されている上に、メドベージェフ首相の択捉島訪問で、日本を怒らせてしまった。

あまつさえ、西側のロシア制裁には「サハリン3」が含まれるため、ガス施設、パイプライン工事などが大幅に遅れている。

ウラジオストックの「経済フォーラムに日本は閣僚派遣を検討していたが、取りやめとなり、また経済界からも商社マンなど五十名余しか参加せず、ウラジオストックから撤退するトヨタは参加を見合わせた。

◆隣人のおかげで輝く

大江 洋三


9月3日、中共において抗日戦勝70周年記念の軍事パレードが華々しく行われた。

周辺の工場を全部閉じて動力を動かさなかったから、綺麗な青空の下だったと聞く。

仔細は各方面で伝えられているから省くとして、我々からすると大変名誉なことである。

日本が中華人民共和国の祖と同じ意味になるからだ。

国家には、正統性国家と正当性国家の2種類ある。

前者は連綿とした継続体だが、正当性は選挙などを通じて担保される。この場合の選挙は独立戦争を含む。米国はその代表例で、韓国が対日テロを独立闘争にしたい主たる理由である。

この区分けで先進国を眺めると、正統性国家は英国と北欧三国くらいしかない。勿論、日本は正統性国家の最先端にいる。

中共を眺めると、彼等の祖である毛沢東軍が戦ったのは、蒋介石の国民党軍であり1949年に、台湾に撃退して中華人民共和国が成立した。

従って、中共は蒋介石(台湾)から独立したことになる。

それを、わざわざ日本に置き換えて国家の正当性にしてくれたのは、大変名誉なことである。

中共の弁護しておくと1951年の対日講和条約に署名したのは蒋介石である。中共・毛沢東はそれを継承した。

借金を踏み倒して資産だけを継承する事を盗むというから、弁護になっていないかもしれない。

そういえば歴史上シナでは盗賊が多い。この点だけは連綿としていて強盗集団になることもある。「紅巾の乱」など乱がつくものは全てそうである。伝統は今もあり、技術も領土も平気で盗む。昔から協定も平気で破るから約束事を盗むと言い換えてもいい。

そうすると、中華人民共和国を盗賊国家と称して、特に反論できる人いないと思われる。

そのような大国の隣にいると、正統性国家の日本は輝いてみえる筈である。

ありがたい話である。

2015年09月05日

◆日本の国柄を守ろうではないか

加瀬 英明

 
『ふれあい』7月号の河馬の楽しい表紙が、少年時代に連れ戻してくれました。

終戦時に小学3年生でしたが、占領下で本がなかったために、少年漫画本だった『カバの連隊長』『のらくろ』『冒険ダン吉』を仲間と奪い合って、読み耽りました。

5月に奈良で講演したところ、与えられた演題が『日本人として誇りを取り戻そう』というものだったので、開口一番、「せっかくですが、私は占領下の少年時代から今日まで、一度として日本人としての誇りを、失ったことはありません」といいました。

日本を海外から訪れる観光客が、年間1400万人を超えるというなかで、「おもてなし」という言葉が流行(はや)っています。日本に来た多くの外国人が、日本人がちょっとした小さなことでも、親切なことに驚いて、感動します。

「おもてなし」は、何をしてほしいのか、相手の心のなかを察して、相手を思い遣る心から、発するものです。何よりも人のあいだの和を尊ぶ、日本に固有な精神です。他国にみられないものです。

 私は6月の最後の週を、ワシントンで過しました。

 「おもてなし」は、英語の「サービス」とまったく違うものです。「サービス」は客が要求することに、こたえるものです。チップという、代価がついています。

 海外でよいサービスを受けようとしたら、口にはっきりとだして、要求しなければなりません。何ごとにつけ、取り引きが人間関係のもととなっている、殺伐な社会です。

 日本では昔から思い遣りが深い人が、うやまわれました。旅行者はまろうど――客と呼ばれて、見ず識らずの人に対して、心を働かせる国柄であってきました。

 ユダヤ・キリスト教は神を愛すれば、神がその人を愛してくれるという、聖書(バイブル)にそう書かれているように、「契約の宗教」です。それに対して、日本は相手が誰であっても、無償で慈しみあう、和の心の国です。

 「おもてなし」は、日本人の慎み、優しさ、謙譲の心から発しています。

 つい、このあいだまでは、日本の乙女ははじらって、はにかんだものでした。伊藤尚子会長のような奥床しい女性が、しだいに珍しくなっているのは、残念なことです。

 日本の国柄を守りましよう。

(日本躾の会〈伊藤尚子会長〉の月刊誌に寄稿したもの)

◆中国に阿る潘基文国連事務総長

櫻井よしこ



日本人の間には根強い国連信仰がある。国連に、理想の国際社会の姿を重ねる人々は、日本国憲法前文や9条を至上の価値と崇める人々とも重なる。
 
韓国出身の国連事務総長、潘基文氏が9月3日、北京の抗日戦争勝利記念式典に参加した。氏の行動は、国連信仰が如何に幻想に近いものであるかを巧まずして示している。
 
国連はあらゆる意味で、十分に機能し得ていない。200近い国々の集合体には幅広い意見や主張が存在する。5つの常任理事国は拒否権を有し、自国に不都合な決議を葬り去る。

このような事情で国連が機能しにくいことを承知していながら、それでも機能させるべく努力しているのが国際社会の現状である。国連事務総長はその努力の先頭に立つべき存在だ。事務総長の依って立つ基盤は、従って、国際法であり、自由と人権擁護の普遍的価値観でなければならない。
 
出身国によって、或いはその人物の個性によって多少の違いはあるが、歴代の事務総長の多くは右の基準を満たすべく出身国の利害を超えて活動した。
 
国連事務総長の出身国は初代がノルウェー(1946年〜52年)、次がウェーデン(53年〜61年)、3代がビルマ(61年〜71年)、4代がオーストリア(72年〜81年)、5代がペルー(82年〜91年)、6代がエジプト(92年〜96年)、7代がガーナ(97年〜06年)、8代が韓国(07年〜)だ。
 
こうして見ると、概して小国或いは中位国の出身者である。そのわけは、拒否権という特別の権利を有する国々が常任理事国として中枢を占める国連が、大国だけの意思で運営されることのないように、弱小諸国の立場や価値観、国益を守るためである。
 
かつて国連で活躍したある関係者は、国際社会の基軸となる普遍的価値観を擁護する重大な責任が事務総長にあるのは明らかだが、8人の中には、国際社会に大きく貢献した人もいれば、自身の野心の実現のために「生臭い活動」をした人物もいると語る。彼は、歴代事務総長の中で、恐らく最も尊敬されているのが2代事務総長、スウェーデン出身のハマーショルド氏ではないかと、振り返った。

第三世界の外交官

「彼の在職は1953年から61年で、米韓両国に対して北朝鮮と中国が戦いを仕掛けた朝鮮戦争以降、東西冷戦が本格化していました。そうした中、ハマーショルド氏は中国軍の捕虜になった米軍パイロットの解放を周恩来と交渉して実現させました」
 
50年6月25日の朝鮮戦争勃発から4か月後の10月25日に、中国は参戦した。国連軍は北朝鮮を中朝国境まで追いつめていたが、中国軍は反転攻勢に出て国連軍の北上を阻止する。11月下旬には北朝鮮の首都・平壌奪還作戦へとさらなる反撃の段階に入った。
 
中国が「抗米援朝」のスローガンを掲げて戦った米中の対立構造の中で、ハマーショルド氏はトップとして、国連なりの平和への道を探ったのだ。このような冷静な姿勢こそが、国連の目指すべきものだ。
 
エジプト出身の6代事務総長、ブトロス・ガリ氏も偉大な人物だったと、この関係者は述懐する。

「日本のカンボジア平和維持活動(PKO)について、多くの国々は成功は見込めないと否定的に見ていました。ただ、ガリ氏は日本を信頼し協力し評価していた。日本にとっては非常に心強い存在でしたが、残念ながらソマリア紛争などで米国と対立し、米国によって再任を拒否されました」
 
シンクタンク・国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏も、日本の立場で見ると、ガリ氏は最も印象的な事務総長だと語った。

「彼は来日の度に東郷神社に参拝していました。英国など大国の支配を受け続けたの国から見ると、東方で日本がロシアに勝ったことは大変な驚きで、尊敬の対象なのです。

彼は、大東亜戦争で敗北したとはいえ日本がいつまでも米国製の憲法に縛られて自主独立の道を歩めないのはおかしい、それは国際社会のあるべき姿ではないとして、日本の憲法改正を表立って支援していました」
 
先の国連関係者が続ける。

「ガリ氏と7代事務総長、ガーナ出身のコフィ・アナン氏は、日本やドイツは安全保障理事会の常任理事国になるべきだとの考えでした。ガリ氏はその思いを隠さず率直に語っていました。

欧米列強に対し、第三世界の外交官として毅然と物を言うガリ氏の気概は、サムライの心と相通ずるものがあると感じました」

歴代事務総長はいずれも、小国或いは中位国出身であるからこそ、国際社会がひと握りの大国によって、その大きな力を背景に恣意的かつ独善的に左右されることのないよう、普遍的価値観に基づいて筋を通すよう、努力した。そのような歴代事務総長の姿勢と較べると、潘氏はどうか。

「一言でいえば生臭さを感ずる」というのが先の国連関係者の実感である。潘氏の言動は政治的にすぎるということであろう。

普遍的価値観を守る
 
クルト・ワルトハイム氏は、4代事務総長を辞した後、オーストリアの大統領に就任した。政治的野心をもって事務総長に名乗りを上げたと見る人もいる。

潘氏が韓国大統領選挙に出馬する可能性も報じられており、氏の近年の言動の中には、韓国の世論を意識したと思えるものがある。
 
たとえば、13年8月26日、ソウルでの記者会見の発言だ。氏は安倍政権の歴史認識について「正しい歴史(認識)が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」と批判した。

正しい歴史認識とは韓国の立場に立った認識なのかと、日本人なら思うだろう。一国の見方に与し、他国の見方をあからさまに排除する姿勢は、国連事務総長としての立場を忘れ去ったものだ。
 
他方、普遍的価値観を守ることも重要な責務のひとつである国連の事務総長として、氏は中国にもロシアにもまともな発言はなし得ていない。昨年2月、ロシアのソチ五輪開会式には欧米主要国が欠席する中、出席したが、プーチン大統領による苛烈な人権侵害問題には抗議もしなかった。氏は今回、中国で何を語るのか。
 
かつて北朝鮮を支えることで朝鮮戦争を長引かせ、朝鮮全土に凄まじい犠牲者を出す原因となったのが中国の軍事介入だ。中国はいまも国際社会を脅かす暴力要素である。

東シナ海、南シナ海で継続する侵略行為、チベット、ウイグル、モンゴルの各民族への民族浄化、世界最悪の不透明な軍拡。これらについて、潘氏は本来、強く抗議すべき立場だ。氏の北京訪問はあるべき国連トップの言動から外れたもので、国連のみならず、韓国への信頼をさらに低下させるだけであろう。

『週刊新潮』 2015年9月10日号 日本ルネッサンス 第670回
              (採録:松本市 久保田 康文)

◆国連事務総長、韓国内の人気取りかい

宮嶋 茂樹



どや! ワシの言う通りやったやないか。韓国の女大統領が抗日戦争勝利記念の行事(3日、北京)にわざわざ出かけてゆくことや。ついでに同じ国の国連事務総長も、中国の習近平国家主席と並んで抗日戦勝利を祝うらしい。韓国人は日本人の嫌がること、国際社会では到底理解できんことばっかやってきよる。

もう口が酸っぱくなるほど言うたから、これで最後にしたいけど、先の大戦で中国共産党は日本とほとんど戦争してないんや。当然、日本が敗れたこともない。

まぁ、あの女大統領のやることなんか、とっくにお見通しやったが、理解できんのが、米ニューズウィーク誌から、かつて国連史上際だって無能な事務総長とこきおろされたお方や。

せやけど、ワシらも笑えんぞ、事務総長選挙のとき、わが国はめでたくも応援しよったのである。その見返りがこのざまや。韓国語の辞書には「中立」という文字は存在しないらしい。

わが国もせめて、国連の分担金の支払い停止するぐらいのことやったれよ。実はあの分担金、払うてない国けっこうあるんやで。2番目に多い分担金やのに、わが国は安保理の常任理事国になれん。中国なんか日本からODA(政府開発援助)まき上げながらオノレがゼニ払う段になったらずっと発展途上国のフリしとったんや。

エエやん、そんな国連なんかもうテキトーにあしらっとけば。これからは中国が、事務総長が軍事パレードに出席した見返りに、世界2位の経済大国にふさわしい大金、ポーンと出してくれよるで。

あっ、読めたで…国連で何の実績も残せん事務総長が韓国内の人気取りのためにやりよったんやな。女大統領の後釜狙うとるともっぱらの噂や。うん? 

どっかで聞いた話やないか。前大統領が残り任期わずかになってわが国島根県の竹島に不法上陸し、韓国国民の歓心こうて、一時やが支持率も上がった…さてはあの前大統領を手本にしよったな。「事務総長、アンタも悪やのう」「いえいえ…習近平閣下ほどでは
…」。そんな会話交わしとるかもな。

                   ◇

【プロフィル】宮嶋茂樹

みやじま・しげき カメラマン。1961年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記をとらえたスクープ写真を連発。写真集に男女の若き海上自衛官を撮った「国防男子」「国防女子」。

産経ニュース【宮嶋茂樹の直球&曲球】 2015.9.3
                (採録:松本市 久保田 康文)

◆北京軍事パレードは成功したのか?

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)9月4日(金曜日)弐 通算第4647号 > 

 
〜習近平の北京軍事パレードは「成功」したのか?
  AIIB参加57ヶ国のうち、30ヶ国しか参加しなかった〜


9月3日、世界が注目した中国の「抗日戦争勝利70周年 軍事パレードに」は晴天、猛暑のもと、大量の兵器陳列パレードと兵隊の示威行進などで盛り上がり、プーチン(露西亜)大統領、蕃基文(国連事務総長)、朴権惠(韓国)大統領らが参加した。ほかに南アとモンゴル、カザフスタン大統領がめだつ程度だった。

予測された国賓より、もっとも注目されたのは江沢民がよたよたと現れ、習近平の隣に並んだことだった。これには驚いた人が多い。

対立しているとされた胡錦涛も雛壇に登場し、病気欠席が予測された李鵬も出てきた。この長老たちの勢揃いこそ、中国共産党が一番みせたかった演出ではないのか。

すなわち血みどろの権力闘争は、いったん休戦状態にある、という宣伝効果が得られるからだ。

習近平は演説で「中国は覇を唱えず、軍を30万人削減し、永遠に拡張もしない」などと大嘘を平然と嘯いた。

もし覇権を唱えなえないのなら、南シナ海の軍事拠点構築をどう説明するの か、軍を削減しても武装警察が増えるだけの目くらまし戦術にも一切の言 及が無く、しかも9月3日の軍事パレードは今後毎年続けると言いはなった。

「強い中国」の演出は習政権がスローガンとする「中国夢」の実現であり、軍事パレードをともかく挙行できたことは、習近平が軍を掌握したということを内外に示したかったわけで、しかし実態はと言えば反対の様相が強い。

軍を掌握したと誇張できる背景は稀薄である。

第一に西側が総スカンを示した。日本ばかりか欧米英にくわえてスリランカ、ケニアなどが欠席し、またAIIBに参加を表明した57ケ国のうち、30ヶ国の代表しか出席しなかったことが挙げられる。外交的には失敗といえるかも知れない。

第二に「抗日戦争勝利」というスローガンのインチキが世界に知れ渡ったことだ。抗日戦争を戦った主体は国民党であり、中国共産党には、「勝利」をいう合法性がないと米国のニューヨークタイムズまでもが厳しく批判し、台湾でも一部政治家や老兵の参加に激しい非難の声が巻き起こった。

したがって習近平の演説では、この部分を曖昧にぼかして表現した。

第三に初公開の兵器が85%、その全てが国産と自慢する中国の武器システムだが、米国東海岸へ届くというDF31,DF5のパレードが行われても、おそらく展示用の囮ミサイルか、サンプル(中味は空砲)であり、「張り子の虎」ぶりは変らない。北京五輪のときの口パク少女を思い出せばよい。

第四に習近平の「強い中国」の自己演出は、かえって周辺諸国に驚異を与え、これからの中国の進出プロジェクトへの不信感はますます増大すると予想されることだ。

上海株式暴落、人民元切り下げ、天津大爆発など一連の不祥事が折り重なって中国のイメージ悪化が避けられないという皮肉な結果となった。

蛇足ながら日本から駆けつけた村山元首相は猛暑にダウンして北京の病院に緊急入院、式典に参加できなかったそうな。

◆星雲状態の米大統領選

宮家 邦彦



今年のお盆はワシントンで過ごした。日本での関心は安倍晋三首相の戦後70年談話だったが、米国では既に来年秋の大統領選が始まっていた。

筆者が最初に米大統領選を経験したのは留学生時代の1976年。あれから40年、候補者や政治資金ルールは変わっても基本は変わっていない。良くも悪くも米国大統領は東アジアだけでなく、世界中の地域情勢に多大な影響を与える。

そこで今回は、気の早い米国人に倣(なら)って、「鬼が笑う」来年の米大統領選挙について頭の整理をしておこう。

 ●共和党トランプの台頭

ニューヨーク生まれの大富豪、80年代の好景気でブームに乗った不動産王だ。そういえば、1年前の娘の結婚式で泊まったハワイの高級ホテルもトランプだった。

自己顕示欲が強く、過激な発言やパフォーマンスには批判も多い。他方、頭の回転は速く、最新の世論調査では共和党候補の中でダントツの28%の支持を得ている。

 ●民主党クリントンの失速

一時は指名確実と思われた元国務長官が国務省時代の電子メール問題で失速の危機に瀕(ひん)している。米国の諜報関連ルールは厳格で、機密指定情報のやりとりを通常メールで行うことは違法だ。

政治家クリントンにも言い分はあろうが、報道では既にFBIも動いているという。世論調査でも彼女の支持率は短期間で約10ポイントも下落している。

●正副大統領候補の均衡

米国は広い。非原理主義者の大統領候補だけで選挙は勝てない。全国的支持を獲得するには正副大統領候補の出身地や支持母体などの均衡を図ることが重要である。

●米国民の平衡感覚

最後にモノを言うのは米国民の健全なバランス感覚だ。ウォーターゲート事件後のカーター候補、イラン革命後のレーガン候補、冷戦終了後のクリントン候補、アフガン・イラク戦争後のオバマ候補の当選はそれぞれ大統領選挙の中で政治を変えようとする米国民主主義の真骨頂だ。

要するに大統領選はまだ星雲状態ということだ。筆者がワシントン在勤中の92年、多くの本命候補が失速する中で泡沫(ほうまつ)と思われたビル・クリントン候補が急速に台頭した。当時民主党は団結し、逆に共和党はペロー旋風で分裂した。

歴史は決して繰り返さないが、そこから教訓を学ぶことは可能である。

              

●ワシントンへの憤怒

 トランプ氏だけではない。民主党でも超リベラルのサンダース上院議員が支持を集めている。内外メディアは民主共和両党内にワシントンの既成政治家に対する有権者の失望と怒りがあると解説する。だが、そうしたアンチ・エスタブリッシュメント感情自体は決して目新しくない。

 ●中年ブルーカラー白人

 興味深いのはそうした憤怒の源泉だ。米国では有色人種が多数派となりつつある。最大の「負け犬」は中老年ブルーカラー白人男性だ。トランプ氏の不法移民批判や排外主義的傾向を見ていると、この種のグループに対する配慮が垣間見える。しかし、今のトランプ支持増大が大統領本選挙での勝利に結び付くとは思えない。米国有権者の多くは投票日の1カ月前まで投票する候補者を決めないからだ。 最後に、現時点での筆者の独断と偏見を記しておく。

 ●原理主義者は勝てない

 トランプ、サンダースなどに共通するのは妥協を排す純粋主義だ。しかし、それでは平均的有権者は付いてこない。これまでも出馬を検討した多くの原理主義者が途中で挫折している。

 ●割れた政党は負ける
 原理主義者が一定の支持を得続ければ第三党を作って出馬する。そうなれば政党は内部分裂し、本選挙では敗北する。典型例が92年のロス・ペロー候補の出馬とビル・クリントン候補の当選だろう。産経ニュース(宮家邦彦のWorld Watch)9・3

            ◇

【プロフィル】宮家邦彦


みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル 戦略研究所研究主幹。

2015年09月04日

◆「世界一の外貨準備高」、実は空っぽ

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)9月3日(木曜日)通算第4645号>    

 
〜嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない
  「世界一の外貨準備高」、じつは空っぽなのだ〜

 
小誌が屡々指摘してきたことだが、「世界一」の外貨準備高を誇る中国の化けの皮が剥がれた。 「ある、ある」と豪語してきた世界一のドル資産が、一夜にしてバラックホールに吸い込まれたかのように消える。おこりうるシナリオである。

なんでもあり、の中国だから、史上空前の詐欺行為が行われているとすれば、至極可能性の高いことになる。

かねてより、CIA筋の調査で中国から流れ出した外貨が3兆800億ドルとされ、2015年6月末の中国の外貨準備が3兆6500億ドルだから、差し引きすると、中国の外貨準備の中味は、5700億ドルでしかない。

これは単純な引き算で、もっと複雑な要素がからむが、要するに中国は嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身、わからない状態、これを「新常態」と言い換えているかのようである。

第一にもっとも重要な外貨準備指標は「経常収支」であり、この数字をみると、中国の2015年3月まで1年間の統計は2148億ドル。ところが外貨準備は同期間に2632億ドル減少している。膨大な外貨が流失しているから、こういう数字の齟齬がおこると考えられるだろう。

そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾を
おこなう。

そもそも「GDP世界第2位」というのは真っ赤な嘘である。GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。

シルクロード構想は財源が450億ドルである。ベネズエラに投資した額は450億ドル前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100本のプロジェクトが灰燼に帰した。以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジル等々。

世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトの惨状である。

豪、カナダ、ニュージーランドなどには鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇し、開発を中断した。こおあおりで豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。

にもかかわらず、たとえば中国の2013年末の海外直接投資残高は6605億ドルだったが、15年3月には9858億ドルと急激な増加が見られる。2015年3月末の対外債務残高は直接投資が2兆7515億ドル、証券が967億ドル。合計3兆7191億ドル。

さて冒頭に述べたように中国の外貨準備が3兆6500億ドルとすれば、差し引きは、マイナス691億ドルである。マイナスである。

この実態がごまかせたのは中国へ外国からの直接投資と証券投資だった。それが、上海株式暴落と、人民元切り下げ、不動産バブル壊滅を目撃して、一斉に海外へ引き揚げを始めたわけだ。

「外貨準備高」というのは貿易ならびに貿易外収支を合算しての対外経常収支の黒字の累積である。

だから日本の外貨準備は2015年7月末で1兆2700億ドル、この殆どが米国債で保有しているため、金利収入で着実に増え続ける。

ところが中国の「外貨準備」と称するものの統計は外貨資産と海外からの借り入れを「短期外貨資産」に参入しているフシが濃厚なのである。お得意の誤魔化し、要するに借入金を「収入」蘭に記載しているのである。

日本の対外純資産に対しての外貨準備高比率は16%だが、中国のそれは59%(数字はいずれも武者陵司氏(JBプレス、9月2日)。つまり史上空前のネズミ講のからくりが、数字から推測できる。 どう考えても次は人民元の大暴落だろう。