2015年08月25日

◆中国は米国内で「無許可捜査」

宮崎 正弘
 
 
<平成27年(2015)8月19日(水曜日)通算第4631号 > 

 
〜国に逃亡した令完成は中国政界を震撼させる機密情報の爆弾を保持
  中国は100名ちかい秘密工作員を派遣し、米国内で「無許可捜査」を
し ていた〜

ニューヨークタイムズが報じた(8月16日)。中国が100名ちかい秘密工作員を米国委派遣し、米国内で「無許可捜査」を している、と。

中国は米国で雲隠れしている令完成の隠れ家を暴き、拉致するなどして中国へ連れ帰る特殊工作のために中央紀律委、公安部、検察などからなる100名近いチームを密かに米国へ派遣し、無許可捜査をしていると在米華字紙 「博訊新聞」が報じた内容の追跡記事だが、国務省のカーリー報道官が 「不快感」を表明したことにより、動かぬ事実として表沙汰となった。

令完成は失脚した胡錦涛の右腕、令計画(元中央弁事処トップ)の末弟。

かつて薄煕来(元重慶特別市党書記)の右腕だった王立軍(重慶市公安局長、副市長)が、幾多の証拠書類、ヴィデオ、録音テープなどとともに四川省成都の米国領事館へ駆け込んで政治庇護を求めた事件が起きた。

これによって薄煕来の犯罪、とりわけ夫人の英国人殺害事件が明るみに出て薄煕来は失脚した。

そればかりか、以後の周永康一派への取り調べと失脚に繋がるのである。

今回の令完成の米国逃亡に対して、中国がこれほどの執念をもって秘 密工作を米国内で展開していたことは、冷戦時代ならともかく、米中関係の複雑な状況下においては考えられない。

台湾は蒋介石独裁時代にヤクザのヒットマンを送り込んで在米中国人作家を殺害したことがあった。

ソ連は秘密工作員を外国へ送り込んで裏切りスパイや政敵を粛清することがあったが、中国は昔ながらの時代感覚で秘密工作を外国でも展開するという並外れた、独裁的な神経を持ち合わせていることになる。

いずれにしても令完成が持ち出した2700件の機密は、何をこれからの 中国政界にもたらすか。

また令完成の米国亡命が、「中国版スノーデン事件」のような性格の外交機密などを含むとすれば、裨益する米国と、その後の米中関係がいかなる展開になるか。まさに興味津々である。
 

◆私の「身辺雑記」(253)

平井 修一



■8月22日(土)、朝は室温28度、快晴、まあ涼しい。ハーフ散歩。

夕べは長男一家4人来泊。長女一家は今日から石垣島へ。台風が2つも来ており、石垣島は今日は曇/雨、明日は暴風雨だという。長女からのメールによると「キャンセル続出で機内はガラガラ」。素敵な体験を味わうだろう。ケガせずに無事帰還すればOKだ。

奄美を含めてあの一帯は台風の通り道で、住宅のコンクリート率は日本一だ。岡島達雄・琉球大学工学部環境建設工学科教授の論考から。

<沖縄で全国の2倍ものコンクリートを消費する大きな理由の一つは、住宅に占めるコンクリート住宅の割合が高いことであろう。

住宅総数に占める非木造住宅の割合は不燃化政策もあって毎年増加している。全国平均で、1973年には13.8%、1988年には27.0%そして1998年には35.6%になった。ところが1998年度の非木造住宅率の最も高い県は沖縄であり、その比率は89.5%であった。第2位の東京の53.5%や三大都市圏の44.5%を大きく離している。

非木造住宅の約90%がコンクリート住宅であることから、沖縄の住宅ストック数に占めるコンクリート住宅の割合の大きさが改めて分かる。

この比率の大きさは、新規着工住宅についてもいえる。2001年度のコンクリート(鉄骨・鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造)住宅の新規着工総数に占める割合は、全国で34.8%、沖縄では93.2%にもなる>(以上)

沖縄方面の人はしっかり警戒し、防備を固めている、台風に対しては。経験で身に染みているのだ。中共に対してはノーズロ、ミニスカ・ノーパン。未経験だから危機をまったく想像できない。アカ新聞の洗脳によるところが大きい。

せめてパンツ、ガードル、Gパン、警報ブザー、催涙スプレー、警棒、ナイフぐらいで備えないと餌食になるわな。深夜徘徊少年少女のように。(親の顔が見たい)

沖縄県同様にアカを大将に選んだギリシャは相変わらず迷走している。大将はアカ路線はEUでは通じないと多少は学んだのだろう、毎日8/21「首相辞任 来月総選挙、政権基盤強化狙う」から。

<ギリシャのチプラス首相は20日、パブロプロス大統領に辞表を提出し、総選挙の早期実施を要請した。現地からの情報によると、総選挙は早ければ9月20日の見通し。欧州連合(EU)のユーロ圏との金融支援合意に反対した与党内強硬派を追放し、再選を果たして改革断行に向けて政権基盤を強化するのがチプラス氏の狙い。

だが、政局が流動化すれば、金融支援の条件である財政緊縮策の履行の停滞を招く恐れもある、云々>

どさくさに紛れてロシアはギリシャに秋波を送っているが、ロシアの本質はこんなものだ。元法務大臣・長勢甚遠氏の論考「ロシアが憎い」(日本戦略研究フォーラム8/20)から。

<宝田明という人は美男子の俳優として名前は知っていたがどんな人かは知ることがなかった。8月12日付けの読売新聞で同氏の敗戦の時についてのインタビュー記事を読んで深い感動を覚えた。

同氏は敗戦時には12歳で満洲ハルピンに居られた。ソ連軍が侵攻し、

「ソ連兵はやりたい放題でした。略奪、暴行、凌辱の限りを尽くし、日本人は小ヤギのように脅えていました。家に押し入られ、こめかみに冷たい銃口を突き付けられるなんて、想像つきますか?」

という状況の中で、同氏はソ連兵に撃たれ、裁ちばさみで銃弾を摘出するという緊急手術で一命を取り留めることができた。「出てきたのは、使用が禁止されているはずのダムダム弾」と怒りを込めて語られている。

感動を覚えさせたのは次のくだりだ。

「ロシアには優れた芸術家が多い。バレエも映画も音楽も素晴らしい。でも私は観たくも聴きたくもありません。ソ連兵が憎い、ロシアという国が憎い。すべてを否定してしまいます。恐らく死ぬまで変わりません。記憶は焼き付き、心のアルバムに貼られ、破ることも消すこともできない。中国などアジアの国々には、日本に対し、私と同じ感情をいている人もいるのではないでしょうか」

「無辜の民をも引きずり込んで一生を狂わせてしまう。それが戦争なのです」

さらに記者が、「『若い時は当り障りのないことを話して、いつもニコニコしていた』が、還暦を過ぎた頃から積極的に発言するように。『今は一人の人間として率直に意見を言います。間違ってもあのような戦争を起こしてはならない』と、声に一段と力がこもった」とインタビューの時の宝田氏の様子を書いている。

敗戦の時の記憶を新聞に紹介される人たちは押しなべて平和の大切さを語り、戦争はしてはならないと語り、軍部の暴虐をあげつらうことにされているようだ。そして敗戦憲法の有難さを語る。それらを読むたびに、幾ばくかの理には適ってはいるが、義もなく情もない空虚な言葉だと思う。

広島、長崎の原爆記念日には「原爆許すまじ」だけが叫ばれる。それが正しい声として心に響くのは、「アメリカが憎い」という声と一対のものとして語られる場合だけである。「原爆許すまじ」だけを煽動するのは日本人に対するあからさまな反日政治キャンペーンにすぎない。

過ぐる大戦における数多同胞の悲惨な体験記録がそのための証拠資料とされるのは耐え難い。

賢しら気に日本の戦争犯罪を並べ立て、小理屈をあげつらって戦争反対を唱える扇動者に迎合して戦争反対を述べ立てる人たちには、反発以外に感じるものはない。

戦争体験のある人には宝田氏などとは違った経験をした方もおられることだろう。そのために「天皇」「軍部」を憎む人もあるだろう。それはそれでいい。それはそのまま語ってもらいたい。変な政治キャンペーンの付録としてではなく。これからの若い人は宝田氏やそんな人の語る言葉から日本復活の道を見出だすことになるだろう>(以上)

日本人は70年間の洗脳から徐々に目覚めてきた。ネットと産経新聞のお陰だ。再生までにはまだまだ時間がかかるが、少しずつ「普通の国」に向かっている。日本はもっといい国になる。武士道精神を柱としたこの世の天国、理想国家を実現すべし。

同じドーン!でも日中では大きな差。今夜は二子玉の花火大会。日本はいい国だ。屋上から半分ほど見えるが、花火と音がずれるのでいささか興ざめ。新作花火はいとおかし。

花田紀凱(かずよし)、まず読めない。1942年9月13日生まれ、皇軍が勝ちまくっていた頃だ。凱(勝鬨)を紀(記)す。余程インテリの父親だったのではないか。産経の土曜日は氏の「週刊誌ウォッチング」が楽しみだ。2015年上半期のABC公査で朝日新聞は前年同期比64万部減で、700万部を割り込んだという。

調べたら読売912.4万部(以下、万部)、朝日679.8、毎日327.9、日経273.6、産経161.5。2014年下半期との比較では読−1.51%、朝−4.27%、毎−0.61%、日−0.51%、産−0.04%。朝日の落ち込みが目立つのは結構だが、総じて新聞「紙」離れが進んでいる。

ネット版の読者を含めれば増えているだろうが・・・カネにならん。世界中の新聞人が頭を悩ませている。

■8月23日(日)、朝は室温29度、薄曇り、まあ涼しい。ハーフ散歩。

本当かよ!?というニュース。「日本を『好き』な中国人の割合が急上昇、前年比13ポイント増の66%に」(マイナビニュース7/16)から。

<アウンコンサルティングは15日、「アジア10カ国(韓国、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピン)親日度調査」の結果を発表した。それによると、中国の親日度が急上昇していることがわかった。

*親日度、中国以外は大きな変化なし

日本という国が好きかと尋ねたところ、中国を除く各国・地域では前年と大きな変化はなかった。一方、中国では「好き」の割合が前年比13ポイント増の66%に上昇。2015年1月に訪日中国人に対するビザ緩和が行われたこともあり、より多くの中国人が日本に興味を持っていることが推察される。

日本への旅行については、台湾、タイ、インドネシアを除く国・地域では、前年より日本に「とても行きたい」または「行きたい」と答えた人が増加、あるいは横ばいに。台湾タイ、インドネシアでも、日本に「とても行きたい」または「行きたい」人は88〜96%に上った。

日本に行きたい理由を聞くと、「行きたい観光地がある」「日本食が好き」「日本文化に興味がある」が特に高い割合に。しかし、各国・地域により人気カテゴリーに差があり、例えば香港では「日本の製品に興味がある」が17%、韓国では「日本のアニメが好き」が15%を占めた。また、自由回答では「日本は清潔」「日本人は礼儀正しい」などの回答が多かった。

調査期間は2015年6月10日〜7月3日、有効回答は対象国・地域に住む18歳以上の個人各100人>(以上)

標本数が少ないし、多分若者が多いネット調査だろうから割り引いて見る必要はあるが、中共の反日キャンペーンにもかかわらず支那の人々の日本旅行は急増し、概ねいい印象をもって旅行を楽しんでいるようだから、日本に好意的な人が増えているのは間違いないだろう。

いいことだ。誰も戦争なんかしたくない。習近平は矛を収めるのかどうか・・・収めざるを得ないかもしれない。日本戦略研究フォーラム政策提言委員/拓殖大学海外事情研究所教授・澁谷司氏の論考「令完成とスノーデン」から。

<今年8月17日、米『ニューヨーク・タイムズ』紙が興味深い記事を掲載した。オバマ政権は北京に対し、中国特別捜査官が米国内で秘密裏に行っている「キツネ狩り」(海外逃亡した中国汚職官僚等の摘発)をやめるよう警告したと報じている。

米国政府は北京のターゲットが令計劃の弟、令完成であることをよく承知している。また、もし令完成が米国に政治亡命を求めたら、民主党政権としては令完成を保護しなければならないだろう。

今や、令完成は「中国版スノーデン」と化した観がある。令完成は約2700点の国家機密(その中には、軍の機密や党最高幹部の個人情報も含まれる)と(習近平ら党最高幹部の不倫)「セックス・ビデオ」を持って、米国カリフォルニア州サクラメント市郊外へ逃れた。

現在、令完成は米国政府に匿われている公算が大きい。オバマ政権は、令完成の身の安全を保障する代わりに、中国の国家機密と「セックス・ビデオ」を入手したと思われる。

さて、2年以上も前になるが、2013年6月、米カリフォルニア州パームスプリングスで米中首脳会談が行われた。その際、オバマ大統領は習近平に対し、中国による米国へのハッキングやサイバー攻撃をやめるよう要請している。

ところが習近平の訪米直前の同年5月20日、米国人エドワード・スノーデン(当時30歳。元CIA職員、元ブーズ・アレン・ハミルトンの契約社員。三沢の米軍基地で働いていたこともある)がNSA(国家安全保障局)の情報を持って、香港へ逃亡したのである。

それ以降、スノーデンは香港で米国機密情報を英『ガーディアン』紙と米『ワシントン・ポスト』紙等に公表した。

前回の米中首脳会談で、オバマ大統領は習近平に対し、中国軍サイバー部隊(上海の61398部隊か)による米国へのサイバー攻撃を止めるよう言明したに違いない。

ただし、それはほとんど説得力を持たなかったのではないか。スノーデンが、2009年以来、NSAが中国や香港に対しハッキングを行ってきたと暴露したからである。これでは“お互い様”だろう。

その後、スノーデンは香港からモスクワへ飛び、そこで反米左派陣営(ベネズエラ・ボリビア)の一角、エクアドルに亡命申請した。しかし彼の願いは叶わず、スノーデンは未だロシアの政治的保護を受けている。

今年9月後半、習近平は訪米する。本来ならば習は米国側に対し、令完成・郭文貴(北京盤古氏投資有限公司・北京政泉控股有限公司ホールディングス代表)らの身柄拘束を要求したいところだろう。

しかし、汚職官僚と令完成・郭文貴らビジネスマンとは一線を画す。前者は明らかに収賄している。なぜなら、彼らは巨額の賄賂を受け取らない限り、絶対に買えない物件(大邸宅や高級車等)を米国で購入しているからである。

けれども後者は正当なビジネスで儲け、米国へ移り住んだ可能性もある。
したがって、米国側としても慎重な調査をしなければならない。

今度の米中首脳会談では、オバマ政権側に利があるだろう。令完成という「中国版スノーデン」の存在が大きい。米国にとっては、前回、米中首脳会談の際に突然起きた「スノーデン事件」の"意趣返し"とも言えよう>(以上)

習は訪米して何を語るのだろう。天津大爆発に象徴される「内政失敗」、株価暴落と人民元切り下げに現れた「経済失敗」、周辺国から危険視されるまでになった「外交失敗」、日本叩きで求心力を高めようとしたが人民は「日本好き」。インチキ投資銀行も一帯一路も、もはや誰も信用しない。

やることなすこと習はすべて失敗した。レームダックで大人しくするか、起死回生で戦端を開くか、どうするのだろう。辞任して米国に移住する手もあるけれど。

首脳会談の際にオバマに打診したらいい、「娘の留学中はいろいろ配慮していただき感謝している。で、私ら夫婦も面倒見てもらえまいか」と。オバマはもちろん My leasure, yes, we can と答えるだろう、レガシーになるし。

支那では二六時中、暗殺を警戒しなくてはならないが、米国では結構のんびり暮らせるのではないか、ハワイの張学良のように。習は権力闘争で敵をつくり過ぎた。辞任して「痛切なるお詫び談話」を発表し、米国移住する、逃げるが勝ち・・・これはいい手だ。

時事通信8/23「化学工場で爆発、9人負傷=周辺で揺れ、窓ガラス破損―中国山東省」から。

<【北京時事】中国山東省※(※=鯔のへんをサンズイに)博市桓台県の化学工場で22日午後8時50分(日本時間同9時50分)ごろ、爆発が発生し、火災が起こっている。9人が負傷し、病院に運ばれた。中国メディアが伝えた。

工場から最も近い住宅は1キロ以内の場所にあるが、多くの家の窓ガラスが割れたという。また工場から5キロ離れた場所でも揺れを感じた。爆発の原因は明らかではない>(以上)

支那は“爆発大陸”と化した。習が逃げれば皆逃げるか。日本には来ないでくれ。

少年少女猟奇殺人容疑者は半島系帰化人のようだ。大陸と半島は嗜虐的な人が多いのか。金北豚も残虐を好む。友だちにはなりたくない。グリコを真似たロッテ、パクリ疑惑満載のデザイナー、日本人の発想と大きく異なる感じがする。すなわち「恥知らず」。

■8月24日(月)、朝は室温26度、雨模様の薄曇り、今季最低温度、風もあってとても涼しい。犬はやる気満々で、惰眠をむさぼっていたら「私を散歩に連れてって」と起こされた、5:45。足を延ばして2/3散歩。

韓国ではATMに顔認証システムを導入するようだ。日本も倣ったほうがいい。韓国紙セゲイルボ8/19から。

<サングラスも意図しなかった「第3の用途」がある。他ならぬ犯罪の道具だ。現金自動預け払い機(ATM)を利用する時、必ずサングラスをかける人がいる。かなりの割合で、犯罪者である可能性が高い。

加えてMERS(マーズ)騒動の時に必須だったマスクまでかけて現れれば、間違いなく振り込め詐欺の「出し子」だ。もちろん医療用のサングラスをかけた人は例外だ。

近くサングラスをかけたATM利用者がいなくなるようだ。金融監督院がATMに顔認証システムを追加して、サングラスやマスクで顔を覆うと動かないようにする予定だ。常に一歩先を進む犯罪者たちだが、今度はどんな小細工を使うのか、今から気になるところだ>(以上)

半島では南北ドンパチが始まった。北は世界に向けて「おい、俺をシカトするな」、さらに中韓接近に「いい加減にしろ」と牽制したいのだ。

米韓の協力が何よりも大切な危機の最中に、日米が忌避する習近平“歴史改竄”軍事パレードにクネは出席するらしい。北が暴れ続ければ最高司令官、習さま命のクネは国を空にして習の懐に飛び込むわけにはいかない。どうするのだろう。

習も習だ。天津大爆発で遺族や負傷者、被災者にお見舞いに行くべきだろうに。世界日報8/20社説から。

<*安全軽視の共産党政権

中国では経済性を優先するあまり、工場などの生産施設で安全管理が行き届いていない。このため、人為的なミスによる大規模事故が後を絶たない。2013年11月にも山東省青島市で石油パイプラインの亀裂から大規模な爆発が発生し、62人が死亡するなど甚大な被害が出た。

共産党政権の情報規制は、安全軽視の体質を示すものとも言える。これでは国際社会で「中国異質論」が広がるばかりだ>(以上)

産経の名物記者だった福島香織女史の論考「天津大爆発 習近平政権が隠蔽する『5つの疑惑』〜実は犠牲者千人超、経済政策の失敗をうやむやに?」(現代ビジネス8/23)から。

<事件直後から厳しい報道統制が敷かれているため、正確な情報が伝わってこない。中国メディアは新華社の共通原稿を使用することしか許されず、独自取材を禁じられた。

ネット統制も厳しく、事件発生3日間だけで、50以上のサイトが「デマ情報を流した」として閉鎖させられ、デマを流したとされるネットユーザーの拘留も相次いだ。

デマが流れる背景には、この事件の全容がなかなか明らかにならないからだ。多くのネットユーザー、市民たちは、「当局が何か隠蔽しているのではないか」と疑っている。では、何が疑われているのだろうか。

*疑惑1 正確な死傷者数が隠蔽されている

爆発は半径3キロに及び、その範囲に15ヵ所以上の居民区があった。正式に登録されていない出稼ぎ者のバラックなども灰になっている。死者・不明者・負傷者合わせて1000人未満というのはあり得ないと多くの人が思っ
ている。

海外の華字ネットニュースなどは犠牲者1400人以上の可能性を流しており、少なからぬ市民たちが当局発表よりそちらの数字を信じている。

最大の疑惑は、数々の疑いが政権への不信感と批判に転じていくのを、習近平政権は報道統制と言論封鎖だけで防ぐことができるのだろうか、ということだ。

報道の自由と言論の自由、そして法のもとの平等以外の方法で、人々の不安を解消し政権への信頼を取り戻すことは無理ではないか>(以上)

香織ちゃん、カマトトぶっちゃって。言論の自由なんて認めたら1週間で中共独裁は崩壊する。無い物ねだりは意味がない。あの国は日中14億人の連帯で呪い殺すのが一番だ。藁人形と五寸釘を!(2015/8/24)

◆「謝罪」の要求、中国には遠慮

黒田 勝弘



終戦70年にあたって出された安倍晋三首相の「談話」は、韓国ではまるで韓国のためのものであるかのようにマスコミを中心に異様な関心が示されたが、結果的には安倍首相の“判定勝ち”だった。

目配りと工夫がこらされた「安倍首相の歴史認識」に韓国は戸惑った。「韓国」がなかなか見当たらなかったからだ。しかしマスコミは日本に対しては「和解」も「寛容」も考えていないので、予定通り「自分の言葉で謝罪がない」と非難して終わった。

「もう日本に謝罪を求めてもしかたない」といった“謝罪要求疲れ”を感じさせる論評も出ていたから、それだけでも安倍談話は成功だろう。

韓国政府の公式論評が翌日に持ち越されたのも戸惑いの結果だ。その代わり朴槿恵(パク・クネ)大統領の「8・15 光復節記念演説」があったが、演説は安倍談話に対し「物足りない部分が少なくない」としながらも「謝罪と反省」の言葉を評価し、「今後、日本政府の誠意ある行動」に期待するとしている。

「不満だが今後を見守る」というのは、韓国が対日外交で事態収拾の際によく使う言い方だ。つまり、これまで官民挙げて熱を上げてきた安倍談話をめぐる“反日外交”が一件落着したことを意味する。

その後すぐ韓国政府は朴大統領が9月3日に中国が行う「抗日戦争勝利70周年記念行事」に出席すると発表した。こちらは「やっぱり行くのか」と思いつつ不思議な感じがする。

まず韓国は歴史的に中国共産党軍の“抗日戦争”とは関係ない。戦前、中国共産党軍に加わっていたのは後に北朝鮮で金日成(キム・イルソン)政権を作った共産勢力であり、この両者は1950 年からの朝鮮戦争では一緒になって韓国を侵略した。その結果、中朝は韓国打倒の「血盟関係」になったのではなかったか。

朝鮮戦争で中国軍はソウルの南まで侵攻している。中国軍の介入で戦争は長引き韓国は膨大な死傷者を出した。中国軍が介入しなければ国連軍・韓国軍の反撃で北方に追い詰められた金日成の北朝鮮は崩壊し、南北の自由統一は実現していたかもしれない。

韓国の公式的な歴史認識でいえば中国は侵略者であり、南北統一の妨害者なのだ。ところがその中国に対し、韓国は「謝罪と反省」など一度も要求したことがない。中国も「謝罪と反省」どころか「英雄的戦い」といってあの戦争を今も自賛している。

92年の韓中国交正常化後、数多くの首脳会談があったが朝鮮戦争をめぐる「歴史認識」「歴史清算」「謝罪と反省」が話題になったことはない。しばしば韓国の外交当局者に「なぜ要求しないのか」と質問したが「中国は応じないから」が答えだった。

とすると日本への執拗(しつよう)な要求は、日本なら応じると思われているからということになる。日本への甘え?

朴大統領は習近平国家主席に日本の悪口をいうのではなく「中国の歴史認識」という自分たちのことを語ってほしい。中国に言えないのなら日本にも今後、遠慮してほしい。「歴史認識」など外交的にはいつでも棚上げするものということを確認し合ってもいいけれど。

                    (ソウル駐在客員論説委員)
             ニュース【から(韓)くに便り】2015.

2015年08月24日

◆暴君ネロ並み キリスト教弾圧

古森 義久



習政権の苛烈なキリスト教弾圧

「浙江省だけでこの1年半に合計1500本以上の十字架が中国政府当局に より破壊され、撤去された。習近平政権の異常なキリスト教弾圧の一環なのだ」

中国のキリスト教徒擁護の国際人権団体「中国援助協会」のボブ・フー(中国名・傅希秋)会長が熱をこめて証言した。米国の「中国に関する議会・政府委 員会」が7月下旬に開いた公聴会だった。

立法府と行政府が合同で中国の人権や社会 の状況を調べ、米側の対中政策の指針とすることを目的とした委員会である。この公 聴会は「習近平の中国での弾圧と支配」と題され、中国政府の宗教や信仰の弾圧を報 告していた。

米国の国政の場では習政権の人権弾圧への非難がいま一段と高まってきた。同委員会の共同議長のマルコ・ルビオ上院議員も公聴会の冒頭で「習近平政権は 文化大革命以来の最も過酷な弾圧をいま実行している」と強調した。

同議員は上院外 交委員会の有力メンバーで来年の大統領選に向け共和党で立候補した注目度の高い政 治家である。

同公聴会ではキリスト教のほかチベットやウイグルでの弾圧、気功集団への徹底取り締まりが議題とされ、それぞれの被害者側の代表が証人として報告し た。なかでも日本ではあまり報じられないのはキリスト教への弾圧である。

「中国当局はキリスト教の家庭教会と呼ばれる非公認教会を邪教と断じ、信者の多い浙江省内だけでもここ1年半に50の教会を破壊し、信者1300人を逮捕し た。当局はとくに信仰のシンボルとなる十字架の破壊を頻繁に続けている」

フー会長の証言によると、中国政府は習政権の下で共産党の無神論に基づく宗教弾圧だけでなく、キリスト教の外国との絆を敵視しての抑圧を強化し始めた。

中国では当局支配下のキリスト教組織として「三自愛国教会」や「天主教愛国会」があり、その信徒が2千万人強とされる。それ以外に1億人ほどが当局の禁 じる地下教会で信仰を持つとみられる。沿岸部で欧米との絆の強い浙江省にとくに信 者が多い。

最近の十字架破壊は当局支配下の教会にもおよび、十字架は教会の尖塔(せんとう)の上は禁止、建物の前面の最上部ではない壁に埋め込むことを命じら れるようになった。

それに反対する牧師や信徒はすぐ拘束されるという。なにやら ローマ帝国の暴君ネロのキリスト教迫害を思わせるような弾圧なのだ。

こんな現状を証言するフー氏は中国の山東省生まれで、大学生時代の1980年代にキリスト教に入信した。民主化運動にもかかわり、天安門事件にも参加し た。90年代は中国国内でキリスト教の布教に従事して弾圧され、亡命の形で米国に渡 る。2002年には「中国支援協会」というキリスト教組織を創設して中国内部の信者たちと密接に連携しながら活動してきた。

 フー氏は公聴会に並んだ上下両院議員や政府代表に対し中国政府の人権弾圧への反対を対中政策の中心におくことを迫り、9月に予定される習主席の米国公 式訪問も中国の人権政策の修正を前提条件につけることを求めるのだった。

女性の人権を旗印に過去の慰安婦問題で日本を糾弾する中国政府がいま現在、自国内でこんな人権弾圧を続けている事実こそ日本側でもぜひ提起すべきだろ う。
(産経ワシントン駐在編集特別委員

                (採録:松本市 久保田 康文)

◆みんなロシアが大嫌い

平井 修一



殺人狂・侵略魔のプーチン・ロシアは日本を盛んに挑発している。しっかり備えながら暫くはシカトしておいたほうがいいだろう。領土問題は当分は動くまい。ロシア経済が落ちるところまで落ちれば風が吹くかもしれない。ロシアは仮想敵であることを肝に銘じておこう。本当に嫌な国である。みんなロシアが大嫌いだ。

世界日報8/14「日本人はやはりロシア人が嫌いだ」から。

<「日本人はロシア人に対して不信感を捨てられないのだね」

ワシントンDCに拠点を置くシンクタンク、ピュー研究所がロシアとプーチン大統領への好感度と信頼度に対する調査を実施したが、それによると、日本は調査対象国40か国の中で4番目にロシアに対する「好感度が低い」という結果が出た。友人はそれを聞いて、先述のコメントとなったわけだ。

ピュー研究所は今年5月24日から27日の間、40か国、4万5435人を対象にロシアとプーチン大統領への好感度、信頼度調査を実施した。その結果、ロシアへの嫌悪感が好感度より多い国は26カ国で、平均値は非好感度52%、好感度30%。プーチン大統領に対しては24%が「信頼する」一方、58%が「信頼できない」と答えている。

ロシアに対して最悪のイメージを持っている国はポーランドとヨルダンの両国で80%だ。そしてイスラエルの74%。その次に日本が73%と続いている。ドイツとフランス両国は共に70%で第5位だ。

参考までに、ロシアに対する好感度が最も良い国はベトナムで75%でトップ、そしてガーナ56%、中国51%と続く。

ポーランドの場合、長い歴史の中でロシアから弾圧され、過去、プロイセン、ロシア、オーストリアに領土を分割され、国を失った悲惨な経験を味わっている。冷戦時代にはソ連の支配下に置かれ、弾圧された歴史もあるから、国民がロシアに対していいイメージを持てないのは理解できる。

ヨルダンの場合、隣国シリアに対するロシアのアサド政権支持に対して、国民の反発が強い。シリアからの大量難民がヨルダンに殺到していることもロシアのイメージ・ダウンにつながっている。

日本の場合、73%がロシアに対し悪いイメージをもち、好感をもっているのは21%に過ぎない。ポーランドと同様、日本も歴史的な理由を無視できない。ソ連が日ソ中立条約を反故して日本に侵入し、日本固有の領土である北方四島を不法占拠した。その一方、約60万の旧日本軍人や民間人をシベリアに抑留し強制労働に従事させ、6万人以上の抑留者が命を落とした。

ソ連の後継国ロシアに対し、一般の日本国民が警戒心を解けず、批判的なのは当然だろう。

ちなみに、読売新聞電子版によると、ロシア政府は10日、「クリル発展計画」を発表したが、それによると、北方領土を含む千島列島の社会基盤の整備と産業振興のため来年から25年まで10年間、約700億ルーブル(約1500億円)を投資するという。また、メドヴェージェフ首相が近日中に北方領土の訪問を予定しているという(平井:22日、択捉島を訪問) 。ロシアは不法占領地の既成事実化を急いでいるわけだ。

一方、プーチン大統領に対して、39カ国中、ベトナム(70%)と中国(54%)の2カ国だけが「信頼している」が過半数を超えた。平均は「信頼できない」が58%で、「信頼する」24%を大きく引き離している。

特に、ウクライナのクリミア半島のロシア併合もあって、欧州のプーチン嫌いが突出している。例えば、スペイン92%、ポーランド87%、フランス85%、英国80%、イタリア77%、ドイツ76%と、いずれもプーチン大統領に対して「信頼できない」と答えている。

日本はアジア地域ではオーストラリア(81%)に次いで、プーチン氏への不信感が強く、71%だ。

プーチン大統領の年内訪日が囁かれているが、不法占領の北方領土に対して、同大統領は「4島に対するロシアの主権は第2次世界大戦の結果」と主張し、返還する意思のないことを明らかにしている。それだけに、同大統領が日本を訪問したとしても、どれだけの成果が期待できるかは不明だ。8月は北方領土返還運動全国強調月間だ。

いずれにしても、戦後70周年を迎えたが、日本国民のロシアとプーチン大統領への不信感は想像以上に強いことが今回のピュー研究所の世論調査結果で明らかになったわけだ>(以上)

Financial Times 8/21「恐れるべきはプーチンの強さではなく弱さ」
(John Thornhill氏)から。

<ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の支持者の中で、コンスタンチン・マロフェエフ氏以上に熱心な支持者を探すのは難しい。

マロフェエフ氏に言わせると、プーチン氏の功績は、オリガルヒ(新興財閥)を叩き潰し、ロシア全土にクレムリンの権威を再び示し、経済を再生し、ロシア正教会を強化し、独立した地政学的プレーヤーとしてロシアを再建したことだ。

「ロシアはベルギーではない。ロシアは帝国としてしか存在し得ない」。マロフェエフ氏は今年、ロシア帝政期の飾りで光り輝くオフィスで、筆者と在モスクワの同僚たちに対してこう語った。「プーチンは歴史的な指導者だ。過去100年間で最高の指導者だ」

*筋金入りのプーチン支持者のためらい

しかし、プーチン氏は果たして彼が去った後も長続きする統治制度の構築に成功したかどうかと尋ねると、多弁なマロフェエフ氏が「らしからぬ」疑念を口にし、「もう1人のプーチンを見つけるのは至極困難だ。この制度がプーチンなき後も続くかどうかは分からない」と述べた。

どんな長期的観点から見ても、プーチン氏のロシアの顕著な特徴は、その強さではなく、憂慮すべき脆さだ。

目先は、プーチン氏は見るものすべてを自由に操り、復活したロシアを率い、旧ソ連の隣国を威嚇しているという印象を与えるかもしれない。実際のところ、ロシアに関する西側の議論は同国の循環を誇張する傾向があり、欧米の政治家は新たな冷戦の可能性に震えている。

しかし、ロシアは遠からず、循環的な下降局面に陥り、西側諸国はロシアの経済的、社会的混乱や憎しみに満ちた国家主義、核拡散の危険について懸念するようになっているかもしれない。弱いロシアは強いロシア以上に大きな心配の種である可能性がある。

時代遅れに見えるのはプーチン氏の政治モデルだけではない。ロシア経済も同じくらい陳腐化しているように見える。

エネルギー価格の下落と西側による制裁、大量の資本逃避の重圧の下で、ロシア経済は2015年第2四半期に前年同期比で4.6%縮小した。実質所得はプーチン体制下で初めて減少している。

ロシア経済は多様化に失敗したことから、脆弱に見える。ロシアは新たな成長モデルを持たない。

この経済的な脆さの根底にあるのは、人口動態の惨事だ。ロシアの人口は1億4200万人にまで落ち込み、バングラデシュより少ない。ロシアの優れた頭脳は国を捨てるか、もしくはそうせざるを得ない状況に追い込まれている。

*人口動態が改善しなければ、さまざまな面で暗い展望

ロシアの人口動態傾向をまとめた同国の最近の報告書は、次のように結論付けている。「もし状況が改善されなければ、この国は経済と国際競争力において、そして長期的観点からすると地政学的にも問題を抱えることになるだろう」

ロシアは、国外に頼れる同盟国が少ない。欧州連合(EU)に対抗してまとめたユーラシア連合は砂上の楼閣だ。ロシア政府は中国とのパートナーシップを盛んに喧伝しているが、中ロ関係は極端に偏っており、中国政府は政治的な善意の見返りに高い経済的代償を引き出すことに長けている。

プーチン氏の運命は依然として不確かで、ロシアの未来は全く予測できない。そのロシアへの対応を調整するのは難しい。西側諸国は結束し、強い時の方が大きな影響力を持つ。

ウクライナの主権を踏みにじったことについてプーチン政権に制裁を科したのは、間違いなく正しかった。ロシアと隣接する北大西洋条約機構(NATO)加盟国の防衛を強化するのも正しい。

しかし、プーチン政権とロシアを同一視し、新冷戦を宣言することでそれを裏付けるのは性急だ。西側諸国は、それが可能な限られた範囲内で、ロシア国民に対して、彼らを孤立させることは望んでいないということをはっきりさせるべきだろう。

そしてロシアへの扉を少し開けておくべきだ。将来のロシアの指導者が誰であれ、そこを通って戻ってくることを願う場合に備えて>(以上)

日本もロシアへの扉を少し開けておくのはいいが、それ以上のことはしてはならない。できれば共同プロジェクトには手を出さず、むしろ撤退した方がいい。プーチンとロシアは日露戦争で日本に敗けたことを未だに根に持っているのだ。

プーチンの訪日案件も放置しておくべきだ。経済が復調しなければプーチンはやがては日本にすり寄ってくるだろう。国際情勢は変化が激しいから、それは意外と早いかもしれない。怒りを燃やしながら冷静にその時を待とう。(2015/8/22)

◆人民元小幅安で北京とIMF

田村 秀男


中国人民銀行が12日に人民元切り下げに踏み切ると、世界のメディアが、通貨切り下げ競争が始まると騒ぎ立てたが、的外れだ。 (夕刊フジ)

習近平政権は「国際通貨」の地位に押し上げる野望を抱き、「強い元」を掲げてきた。国際通貨になれば、元に対する世界の需要が増えるので、中国の国際的威信が高まる。半面で国内にはデフレ圧力が加わり、景気の落ち込みはかなり深刻だし、不動産市況低迷に続く株価暴落と八方ふさがりだ。

そこで元高政策を修正し景気をてこ入れせざるをえなくなったのだが、限度がある。大幅な元安政策だと国内外から受け取られてしまうと、資本逃避に加速がかかる。

人民銀行は数日間で元相場をドルに対して4〜5%切り下げたあと、これ以上切り下げないというシグナルを国内外に送っている。

習近平政権の狙いは何か。筆者は、安値攻勢による世界市場シェア拡張よりも実利を選んだとみる。それなら小幅安で済む。

何しろ中国は世界最大の貿易大国で、貿易額は日本の3倍もある。中国の輸出がすべてドル建てで、元安でも輸出価格を据え置いた場合と仮定すると、4%余りの元安水準で推移した場合、中国の輸出業界には年間で11兆円強の「たなぼた利益」が転がり込む。

国内総生産(GDP)に占める輸出比率は23%程度だから、GDPの1%近い為替差益である。設備過剰が深刻な業種は赤字操業で苦しんでいるが、輸出部門で利益を稼げる。

過剰生産能力が日本の生産規模の4倍以上に達する鉄鋼産業の場合、輸出を急増させてきたが、元安で年間3400億円強の利益増となる。

中国が海外市場向けに値下げ攻勢をかけると、米国をはじめ、全世界から猛反発を食らうだろう。ことに元安を警戒する米議会は対中貿易制裁を決議するに違いない。9月の訪米を控えている習国家主席がそんなリスクを冒すはずはないのだ。

2008年9月のリーマン・ショック後、中国は元相場を一時的にドル相場に対して固定して輸出増強に努めたが、10年後半からなだらかな元高基調を保ってきた。元高トレンドと並行して輸出の伸び率が下がっている。

世界景気の停滞も響いているわけで、小幅な元安で中国が輸出を大幅に増やせる情勢ではないことが読み取れる。

今回の元安調整はしかも、元を国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨として認定させるうえでは障害にならないことを、ほかならぬIMFが言明している。

前日の相場を基準にしているので、「市場実勢を反映させる措置」と歓迎する始末だ。米財務省もIMFの評価を黙認している。ワシントンと北京の間で、穏やかな元の調整を条件に、元のSDR通貨化の道を残す取引が成立したと見える。 (産経新聞特別記者)
産経ニュース【お金は知っている】 2015.8.22
                (採録:松本市久保田 康文)


◆「懐かしい未来」を開く里山資本主義

伊勢 雅臣



■1.裏山の木の枝でご飯を炊く楽しさ

広島県の北部、中国山地の庄原(しょうばら)市に住む和田芳治(よしはる)さん(70歳)は毎朝の御飯を小さな「エコストーブ」で炊いている。

ガソリンスタンドからタダで貰ってきた石油缶に、ホームセンターで数千円ほどで買ってきた管を煙突がわりに付けて、手作りしたものだ。裏山から集めた木の枝を数本くべて炊くと、御飯はピカピカ光って旨い。

訪ねてきた客に食べさせたら、「しもうた」と思わず、漏らした。「つい先日、7万円やら8万円出して、電気釜を買ったのに、あれとは全然違う、こっちの方が旨い」と悔しがっていた。

「毎回できが違うかもしれないと思って気を遣うこと、いろんな木をくべることも含め、不便だといわれるかもしれません。でも、それが楽しいんですね。結果、おいしいご飯。これが三倍がけ美味しいんです。こういうものを使うことによって笑顔があふれる省エネができるんではないか」。[1,p48]

電気代も節約でき、枝を拾うことで放置されていた裏山にも手が入る。

炊飯器のスイッチ一つでご飯を炊けるというのは便利この上ないが、その陰には、途方もないグローバル資本主義が動いている。中東で採掘した石油をはるばる日本まで運んできて火力発電所で発電し、その電気を日本各地に送る、というグローバルな物流や送電のネットワークだ。どこか一カ所で戦争や天変地異でもあれば、たちまち電気が止まって、毎朝の炊事にも事欠く。

その一方で、若者は仕事のある都市部に吸い寄せられ、多くの地方の集落が過疎化、高齢化して、いつ消滅するかと先行きを危ぶまれている。放置された森林は荒廃し、耕作を放棄された田畑が広がる。

グローバル資本主義の不安や矛盾を打破しようと、里山を活用した工夫がいろいろ進められている。エコストーブはそんな工夫の一つである。これを[1]の著者は「里山資本主義」と名付けている。


■2.産業廃棄物だった木くずで発電

里山の資源活用をより大規模に実現するのが「木質バイオマス発電」だ。バイオマスとは生物由来の有機性資源で、石油など化石燃料を除いたものを指す。

岡山県真庭(まにわ)市は中国山地のど真ん中にあり、面積は琵琶湖よりも広いが、山林が8割を占め、住人は5万足らずという典型的な山村である。

町を支えるのは、林業と、切り出した木材を加工する製材業で、大小あわせて30ほどの製材業者がある。住宅着工の出口の見えない低迷で、どこも苦しい経営を続けている。

そんな中で、製材メーカーの一つ、銘健(めいけん)工業の中島浩一郎社長は、「発想を180度転換すれば、斜陽の産業も世界の最先端に生まれ変わる」と新しい試みに取り組んできた。

それが製材の過程で出てくる樹皮や、木片、かんな屑などを燃やして発電する「木質バイオマス発電」だ。平成9(1997)年に導入した発電装置は、高さ10メートルほどの円錐形をしており、24時間稼働して出力2千キロワット/時、一般家庭2千世帯ほどの電力を供給する。

中島さんの工場で使用する電力はこれですべてまかない、夜間の余った電力は売る。これに従来、木くずを産業廃棄物として処理していた費用も含め、合計年間4億円も得をしている。発電施設は10億円かかったが、わずか2年半で回収した勘定となる。


■3.一般家庭2万2千世帯分の発電所

ただ、製材工場で出る木くずは年間4万トンもあり、この発電設備では使いきれない。そこでかんな屑を直径6〜8ミリ、長さ2センチほどの円筒形に固めて販売することにした。木質ペレットと呼ばれる。

この木質ペレットを燃やすには、専用のボイラーやストーブが必要だが、灯油と同じように燃料タンクに入れるだけで良い。しかも灯油と同じコストで、ほぼ同じ熱量を得ることができる。

市の後押しも得て、地元の小学校や役場、温水プールなどに次々と木質ペレット用ボイラーが導入された。個人宅用ストーブや農業用ボイラーにも、行政からの補助金が出て、広く普及するようになった。しかも、水分を蒸発させて熱を奪う、という方式で、冷房にも使える。

市の調査では、全市で消費するエネルギーのうち、11%を木のエネルギーでまかなっているという。日本全体での太陽光や風力などの自然エネルギーの割合はまだ1%なので、それに比べれば、すでに主要なエネルギー供給手段の一つになっている、と言える。

この成功例をもとに、出力1万キロワットの木質バイオマス発電所の建設が始まり、本年4月から稼働が始まった。一般家庭2万2千世帯分というから、真庭市全体をカバーできる発電量である。


■4.安心、安全な社会を築く

「1960年代に入るまでは、エネルギーは全部山から来ていたんです」と、中島さんは言う。

裏山から薪(まき)を切り出し、風呂を沸かし御飯を炊く。山の炭焼き小屋で作られた木炭が、都市部の一般家庭でも使われていた。

今でも60代以上の人は、子供の頃に、都市部でも七輪でサンマを焼いたり、あんかの炭火で暖をとったり、田舎の祖父母の家に行けば、いろりで薪を燃やして、なべ料理をしたり、という光景を覚えているだろう。それはわずか半世紀前の事なのだ。

逆に言えば、ガス・ストーブで暖房したり、電気炊飯器で御飯を炊いたり、という生活スタイルは、わずか半世紀間に起こった変化でしかない。その結果として、我々の生活は大いに便利に快適になったが、その半面、グローバルな供給システムで上述したような大きな不安も抱え込むことに
なった。

木くずを利用したバイオマス発電は、地域分散型だけに他地域の経済、社会、天候の変動に影響を受けることが少ない。それだけ安心、安全な社会を築くことができる。


■5.若者が帰ってきた

バイオマス発電は、電気だけでなく、雇用も生み出す。今まで山間に放置されてきた間伐材を受け入れ、細かく砕いて燃料用のチップにする工場「バイオマス集積基地」が平成20(2008)年に設立された。そこにかつて都会に出て行った若者が帰ってきた。

28歳の樋口正樹さんは、高校を卒業後、地元・真庭市で就職先を探したが見つからず、岡山市で自動車販売会社に就職していた。それが今では、クレーンを自在に操り、間伐材を運んでいる。収入は多少減ったが、木の香りに包まれてする仕事が気に入った。

「働いてみるといろいろなものが面白い。汗をかいて自然の中で生きるのも、ぼくにはあっているのだと気づきました。木材産業なんて古くさいかと思っていたら、バイオマスって、実は時代の最先端なのだと知り、とてもやりがいを感じています」。[1,p44]


■6.「ありがとう」と言って貰えるうれしさ

里山資本主義は経済だけでなく、人々の生活そのものにも潤いを与えるという、身近な事例がある。

冒頭に登場した和田芳治さんの近所に住む熊原(くまはら)保さん。同じ庄原市で、高齢者や障害者の施設を運営している。ある時、デイ・サービスを利用しにやってきたおばあさんが、熊原さんにこう言った。「うちの菜園で作っている野菜は、とうてい食べきれない。いつも腐らせて、もったいないことをしているんです」

年齢は80を超えるお年寄りだが、自宅では毎日元気に畑に出て、野菜を育てている。何十年も農業をやってきたプロだから、見事な野菜が沢山できるが、老夫婦だけの家庭では食べきれない。

昔は近所に子供を抱えた若夫婦などもいて、料理したものを「食べんさい」と持っていったりしていたが、今は過疎化で空き家が増え、食べてくれる隣人も少なくなった。

それを聞いて、熊原さんは膝を打った。自分の施設の調理場で使っている野菜は、市場で仕入れた県外産ばかりだった。市場で野菜を大量に仕入れた方が安くあがる、と考えていたのだが、近隣でお年寄りたちの作る野菜を使わせて貰えば、食材費は劇的に抑えられる。

熊原さんは「みなさんの作った野菜を施設の食材として使わせてもらえますか?」というアンケートをとった。すると、施設に通うお年寄りを含め、100軒もの家から、「是非、提供させて欲しい」との返事があった。

試験的に施設で野菜を集めることになって、ある農家に行くと、たまねぎやじゃがいもをどっさり用意して待ち構えている。老夫婦の顔は生き生きと輝いている。「嬉しいですよね。ありがとうと言ってもらおうなんて思ってなかったのに、それくらいのことでたすかるんじゃね」


■7.「張り合いが出ました」

熊原さんは、従来の1億2千万円の食材費の1割を、地域のお年寄りの作った野菜などでまかなう目標を立てた。野菜を提供してくれたお年寄りには、自作の地域通貨を配る。施設でのデイ・サービスや、レストランで使って貰おうというのだ。

レストランは近くの廃業した店を買い取って、改葬したものだ。客数は見込めないが、近所のお年寄りは時々、ここに集まって、おしゃべりをするのを楽しみにしていた。そんな場所がなくなった、という話を聞いて、レストランの復活を思いついたのだ。

時々、このレストランに友だちとやってくるのが近所の一二三(ひふみ)春江さん。夫を亡くして、大きな家に一人暮らし。畑仕事に出たついでに、道で誰かと立ち話でもできないかと、あちこち当てもなく散歩する。誰とも出くわさなければ、一言も話せないまま、一日が暮れる。

今は、時々、友だちを誘って、このレストランにお昼を食べにやってくる。春江さんの菜園で育ったカボチャで作ったグラタンが出されると、みんなが「おいしい」と褒める。会計の時には、貰った地域通貨を使うのも、誇らしい。「また、がんばって仕事をしなくちゃ。張り合いがでました」

実は、このレストランの隣には、保育園が併設されている。春江さんたちは、時々そこで子供たちと遊ぶ。みな、何人もの子供を育ててきた大ベテランだ。子供たちの輪に入って、昔の童謡や遊びを手取り足取りしながら
教える。

しばらく遊ぶと、子供たちのお昼寝の時間になった。先生が「じゃあ、きょうはこれでおしまい」と告げると、子供たちは「もっと、遊びたい!
 次はいつくるの」。

その場に居合わせたお母さんの一人はこう語る。

「孤立した私と子どもが、保育園に行って先生に預けて帰るという、ただ単にそれだけの関係ではなくて、周りの人に生かされている、、それがすごく温かい。私もすごく安心しますし、子どもも色々な人との関わりを通して、学ぶものがたくさんあるんじゃないでしょうか」。[1,p221]


実は、子供を預けている母親の一人は、レストランの調理場で働いている榎木(えのき)寛子(ひろこ)さんだ。子育て中の母親に仕事の場を提供したい、というのも、熊原さんがレストランを開いた理由だ。こういう職場があってこそ、田舎の豊かな自然の中で子育てができる[a]。


■8.「懐かしい未来」

「懐かしい未来」という言葉がある。スウェーデンの女性環境活動家がヒマラヤの秘境の村で伝統的な暮らしを目の当たりにして、21世紀にはこうした価値観が先進国にも必要ではないか、という考えで、唱えだした言葉だそうな。

前節で紹介した光景は、まさに半世紀前の懐かしい過去を彷彿とさせる。農家は庭先でとれた野菜を近隣の人々と交換し合う。近隣の子供たちは一緒になって、川で魚取りをしたりして遊ぶ。赤ちゃんや幼児は、お年寄りが面倒を見る。

そんな光景が、わずか30年ほどで失われてしまったのだ。農作物は商品として市場で売られる。大きさや形が揃い、しかも大量に作られるものが買われ、少量の作物は庭先で打ち捨てられる。

若者は都会に出て行って、農村では子供は数少なくなった。あちこちの家が空き家となり、耕す人のいなくなった田畑は休耕とされる。森林は朽ち果てたままとなる。その一方で、大量の食料やエネルギーを遠い外国から輸入する。こんなグローバル資本主義はどこか、おかしいのではないか。

本稿で紹介した事例は、いずれも、この矛盾をなんとかしたい、という問題意識から出ている。

それが、いずれも、わずか半世紀前のわが国の社会のありかたを再現しているのは、興味深い。要は、里山資本主義には我がご先祖の数千年の知恵が詰まっているということなのだろう。

スウェーデンの女性環境活動家はヒマラヤまで行かなければ「懐かしい未来」にたどり着けないが、美しい自然と豊かな伝統に恵まれた我が国には、すぐ手の届くところに、「懐かしい未来」が待っているのである。



■リンク■

a. JOG(633) 「明るい農村」はこう作る 〜 長野県川上村の挑戦 「信州のチベット」が高収入、高出生率を誇る「明るい農村」に変貌す
るまで。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h22/jog633.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 藻谷浩介、NHK広島取材班『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』★★★、(角川oneテーマ21新書、H25
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4041105129/japanontheg01-22/

◆土下座は日本人の誇り傷つけた

トニー・マラーノ



鳩山元首相の土下座は日本人の誇り傷つけた 米国では「売国奴」と呼ばれるぜ

ハ〜イ! みなさん。安倍晋三首相の「戦後70年談話」を読んだぜ。 非常に素晴らしかった。米国でも、戦後一貫して世界平和に貢献し、多くの国々を助けてきた日本への評価は高い。今回の談話は、有識者の意見を聞きながらも、安倍首相の言葉で語られていた。そして、「後の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という部分は立派だった。

俺は以前から、「最初の謝罪は大切だが、何度も謝罪するのはおかしい」と言ってきた。近代的で理性的な国家や国民ならば、一度謝罪を受け入れたら過去は水に流して、新たな関係のスタートにするものだ。それが、謝罪の意味じゃないのか? 国際社会の知恵でもある。

ところが、歴史問題や慰安婦問題で、日本に何度も謝罪を求めている国がいくつかある。俺は何年も観察してきたが、あのような国の謝罪要求は「日本を永遠に従属させたい」という気持ちの表れだ。謝罪を受け入れて、良い関係を作ろうなんて思っていない。単なる被害者ビジネスだな。

いじめの問題を考えてほしい。いじめる側は、弱いターゲットを探して、何度も繰り返す。学校では、いじめられても歯向かわず、先生や親に言えない生徒が狙われる。お金も取られる。日本が謝罪を繰り返して、お金を支払い続ける限り、あんな国の餌食にされ続けるぜ。

安倍首相が「後の世代に引き継がない」と語った意味は大きい。「いじめやタカリには屈しない」「昔のことでガタガタ言うな」と明言したに等しい。日本は、安倍首相の素晴らしいリーダーシップで、自虐史観から脱却しようとしている。日本のみなさんは、国際的視野を持ち、外交的駆け引きのできる安倍首相を支えるべきだ。

こうした中、日本を貶め、理不尽な謝罪要求を続ける韓国に行って、 土下座をしてきた元首相がいたらしいな。インターネットで画像を見たが、正直情けなく、「軽蔑」という言葉が頭に浮かんできた。民主党の元代表らしいが、日本も米国も民主党はひどいぜ。

こういう行為は、安倍首相の外交政策を邪魔するだけではなく、日本の国益を損ね、日本人の誇りを傷つけている。元首相は以前、中国メディアの取材を受けて、沖縄県・尖閣諸島について「日本が盗んだと思われても仕方がない」と語ったそうじゃないか。

米国では、あのような人間は「Betrayer(ビトレイヤー)=裏切り者、売国奴」と呼ばれる。元首相が理解不能なパフォーマンスを続ける裏には、何か別な理由があるのではないかと勘ぐってしまうぜ。

親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。元首相の言動には、十分気をつけてくれ。

 では、また会おう!

■トニー・マラーノ 評論家。1949年生まれ。テキサス州在住のイ タリア系米国人。サラリーマンを定年退職後、動画サイト「ユーチュー ブ」などで連日、評論活動を行っている。世界のあらゆる“悪”と戦う「プ ロパガンダ・バスター」でもある。

大変な親日家であり、日本でも圧倒的 ファンを獲得している。自著・共著に『テキサス親父の「怒れ! 罠にか かった日本人」』『素晴らしい国・日本に告ぐ』(ともに青林堂)など。

               夕刊フジ8・21【痛快!テキサス親父】

     

2015年08月23日

◆総理談話と日本国の信認性

大江 洋三



8月14日の阿部総理談話は、過去170年間の東アジアの通史を語ったもので、村山談話も河野談話も、その中に放り込んだ功績がある。

支那政府や韓国政府からも特別の反論がなく、米・豪からも好感で迎えられているのは、そのためだろう。

総理談話と日本政府見解は同じものである。

この種の談話の性質がコロコロ変わると、諸外国は日本政府の言うことを何も信用しないだろう。

後の政権が「村山談話は嘘でした」と発信したら、政府の他の発言も嘘と疑われることになる。

そういう意味では、「反省」を込めて当談話を国内外に発信するにあたり、以上でも以下でも無理だったと思う。政治家として苦心の作である。後は総理の言う通り、政治家以外の我々の役割である。

●談話が全く避けている部分がある。

それは,欧米によるアジア・アフリカの植民地化の根元が「人種差別」に拠ることだ。

第1次世界大戦後のパリ講和会議において、日本は人種平等案を提出し否認されている。民族自決は新興大国・米国のアジアに対する野心で、日露戦争以降一貫したものである。

民族自決されたら植民地立国の西欧は堪らない。事実、発案者の米国は国際連盟に加入していない。

この人種的軋轢を避けたら、靖国神社の御霊は安らかでは無いと思う。先の大戦(対・米英決戦)が正義か不正儀かは、この一点につきる。

我々は一度「人は何のために死ぬことができるか」問うべきである。

●パリ不戦条約下においても、自衛権は認められていた。

談話に従えば、時の国際秩序が自衛の範囲ということになる。

従って、当時の日本は国際秩序をはみ出したと言っているのに等しい。反論すると、当時の支那は清朝崩壊による地域軍閥の擾乱期で主権国家は無かった。政治学的には,日本は東アジア安定のため警察権を行使したので戦争をした訳ではない。

警察権というと悪口に聞こえるが、今でも米国やEU(NATO)は行使している。勿論、現行憲法下では許されない行為で、過去に遡及することは残念だが、そこに談話の「お詫び」が存在する。

この動乱において、軍閥を反日に導いたのが、米・ソで支那動乱に輪をかけた事に違いはない。こうして日本の警察権行使はモグラ叩きのようになった。

確かに、今となれば反省することも多いが、時の政府や軍部が対応に苦慮したことも認めねばなないし、対・米英戦争の火種になった事も確かである。

敗戦国となった今、警察権の行使を「侵略」と言われても仕方ないだろう。そうしないと、戦後秩序(国連秩序)を生き抜けないからだ。事実、談話も戦後は欧米秩序の恩恵をうけた旨を述べている。

歴史は勝者が作るという格言がある。やむをえない。

しかし、システム以外に情としてカラーの独立を目指した事は確かである。米・英と熾烈な戦闘したことは孫子に誇りとして語り伝えるべきである。

「何故300万人も死ぬことができたか」と問うのもいい。

つまり、先人は新しい世界秩序の形成に大いに貢献したのである。証明はアジア各国の独立で充分である。

いずれの国も独立内戦を経た。これ以上の証明は無い。

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◆小2男児が観察した「黒い雨」

長辻 象平



雨滴は懸濁液だった

小学校2年生の男の子は、大人に交じって市街を一望できる山の中腹に立っていた。

大人たちが騒然としている。降り始めた雨について話しているのだ。男の子は、右手を差し伸べ、手のひらに雨粒を受け止めて凝視した。 黒い雨だった。

昭和20年8月6日。爆心地から太田川放水路を隔てて北東約2キロに位置する広島市内の丘陵地での光景だ。

「敵は油を撒(ま)いとる」とつぶやく声も聞こえてきた。

眼下の市街地は、ことごとく破壊され、焦土と化していた。朝8時過ぎまでの日常は、別世界となって消えている。

そこに黒い雨が降ってきたのだ。大粒の雨だった。

《きっとこの雨は、大変重要なことだ。しっかり見て記憶しておこう》

2年生は、手のひらの黒い雨を観察した。

「透明な雨滴の中に、目に見えるほどの大きさの黒い小さな粒々がたくさんあって、それらが集まっている状態でした」

専門的に表現すればサスペンジョン(懸濁液)だったのだ。液体中に固体の微細粒子が浮遊している分散系の相である。

大人が見過ごした細部

爆心地から2・1キロしか離れていない三滝町の小学校の教室で原爆の爆風とガラスの破片を浴びて流血しながら、燃え上がった仮校舎を脱し、たった1人で山に逃れた男の子の人生に、70年の歳月が流れた。

「あの黒い雨が溶液でなかったと理解したのは、高校で物理や化学を学んだときでした」

東京農工大学客員教授で、旭化成の専務や特別顧問を務めた瀬田重敏さんが、黒い雨の記憶を語ってくれた。東大工学部応用化学科出身の科学者で、被爆者健康手帳も持っている。

黒い雨は、瀬田さんにとって気になる現象であり続けた。機会あるごとに、多くの証言記録を確認してきた。

「コールタールのような」「油のような」「ほこり混じり」の「真っ黒い雨」という表現は、共通項のように語られているのだが、7歳の小学生が手のひらで観察した、懸濁液としての黒い雨を明確に表現した描写には出合っていない、ということだ。

その理由は何か。都市の壊滅的破壊による極度の混乱と次なる攻撃への警戒などで大部分の人には黒い雨を詳細に見詰める暇はなかったのだろう。瀬田さんが見た雨以外に、別の所では異なる性状の黒い雨が降った可能性があるかもしれない。

いずれにしても素晴らしい観察力だと感心してしまう。大人たちからは報告例のない黒い雨の細部構造に、幼い子供が気付いていたのだから。放射性ナトリウムの元

人々の体をぬらした黒い雨には放射性物質が含まれていた。

中公新書『核爆発災害』によると、マンガン56(半減期2・6時間)とナトリウム24(同15時間)であるという。

広島の原爆は地上600メートルの空中で炸裂(さくれつ)した。その一瞬で半径100メートル、中心温度100万度の火球が発生し、衝撃波の形で爆風が地上を襲った。

地面で反射した衝撃波は、建物を粉砕し、壁土など大量の土砂類を上空に
巻き上げた。

原爆からの閃光(せんこう)熱線で、木材などの可燃物は一瞬で炎上し、煙や灰が空に昇った。

衝撃塵(じん)や火災煙中の物質は、原爆の核分裂連鎖反応で放出された中性子を浴びて放射化されていたのだった。

7歳の瀬田さんの手のひらでは、放射能を帯びたマンガンとナトリウムが、安定した鉄とマグネシウムに変わるべく、放射線の一種のベータ線を出しながら崩壊していたはずだ。

マンガンは屋根瓦や壁土などが供給源だが、『核爆発災害』によると、ナトリウムの一部は数万人の犠牲者に由来するという。人体にはナトリウムが多く含まれているためだ。

そう考えると、黒い雨の悲劇は重層性を帯びて原爆の残酷さを物語る。

幸いにも瀬田さんの一家は全員無事だった。お母さんと、この山で偶然の合流がかなうという僥倖(ぎょうこう)にも恵まれた。

瀬田さんの体験をうかがって「観察」ということの大切さを考えた。対象を深く見詰める行為は知的活動の源だ。その芽は幼年期から育つ。小学2年生の目を通して、黒い雨のひとつの姿が明確になったのだ。

体が何とか回復したのは4年生になってからと聞いた。
               (ながつじ しょうへい・論説委員)

産経ニュース【日曜に書く】2015.8.16
 

◆消費税10%で日本沈没

平井 修一


昨年春の消費税5→8%増税前に長男は戸建て住宅と自家用車を買った。“駆け込み”で人生で最大の買い物をしたから、その後は派手な買い物はしていない。奄美に一家で旅行したくらいだ。

長女一家は結構、世帯収入が多いので消費は活発だ。数か月前に車を買い替えた。N母子は相変わらずつつましい。わが家では増税は大して気にならないが消費意欲はほとんどない。金銭に不自由しているわけではないが、食品と日用品以外に買うものがないからだ。

一方で世間では実質賃金はむしろ下がっているという見方がある。非正規社員などが増えて、ふところが淋しい人は質素倹約で消費を抑えるしかない。消費税増税後の景気というか内需が一進一退なのは、景気回復を実感できる層は大企業に勤める人々で、多くの人々はそれから疎外されているということだろう。

2016年に消費税は8→10%に再増税される予定だが、ちょっと無理だろう、と思う。今は財布を持って歩いている人も、財布をタンスにしまっちゃうのではないかと危惧する。

「外へ出ると何かとお金が出ていくから」と外出を控えたり、コンビニでチキンを買っていた人がコロッケで我慢したり。再増税は景気回復に致命的打撃を与えるのではないか。

長谷川幸洋氏の論考「安倍政権『消費増税再見送り』」で来年7月衆参ダブル選へ! 昨年の解散総選挙を的中させた筆者が予測」(現代ビジネス8/21)は興味深かった。

はせがわ・ゆきひろ:ジャーナリスト(東京新聞・中日新聞論説副主幹)。1953年千葉県生まれ。ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)卒。政府税制調査会委員などを歴任。13年から規制改革会議委員。『日本国の正体 政治家・官僚・メディア---本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞。

(平井:氏はアカ新聞で異色の存在。実力者だということ)

<*首相が「いの一番」に会う相手

内閣府が8月17日に発表した2015年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報で、実質GDPの前期比伸び率が年率1.6%減となった。景気は踊り場にさしかかっている。この先をみても、中国経済の減速など不安材料がある。安倍晋三政権はどう対応するのか。

自民党の谷垣禎一幹事長は「先を見通して経済対策を打ち出していくことが必要」と述べた。首相のブレーンである本田悦朗内閣官房参与もウォールストリートジャーナル日本版のインタビューで「3兆円を上回る規模」の景気対策が必要と指摘している。

安倍首相は8月15日夜、本田参与を交えて会食し、翌16日にはゴルフも一緒にしている。別荘同士が近いためでもあるが、首相が一仕事を終えて休みをとるときは「いの一番」に本田参与と一緒というのが、最近のパターンだ。

本田参与の意見は相当程度、首相の経済政策運営に反映されるとみて間違いないだろう。ただ、景気対策が3兆円超規模で適当かどうか。

内閣府が試算している需給ギャップは、4.5%のプラス成長だった1〜3月期でもマイナス1.6%(約8兆円の需要不足)だった。今回のマイナス成長を踏まえれば、10兆円規模の大型対策になっても不思議ではない。

いずれにせよ、秋に政権が景気対策を打ち出すのは確実とみる。それは目先の理由だけからではない。来年2016年春から夏にかけて、消費税10%への引き上げ問題が控えているからだ。

安倍首相は昨年暮れの再増税見送り、衆院解散総選挙の際、17年4月に10%への引き上げを約束した。ただし、それはあくまで「決意表明」にとどまる。本当に引き上げるなら、食料品など軽減税率の扱いを定めた増税関連法案を可決成立する必要がある。

軽減税率の導入と10%引き上げはセットだ。軽減税率を導入せずに10%に引き上げるのは、自民党のみならず公明党が絶対に容認しない。

逆に再び先送りする場合でも、増税自体はすでに予定されているから、再び増税先送り法案を可決成立させなければならない。つまり増税を予定通り実施するにせよ先送りするにせよ、あらためて法律措置が必要であり、逆に言えば法定されない限り、10%引き上げは正式決定ではないのである。

はたして、いまの環境で再増税できるだろうか。

結論から言えば、私は現段階では今回も先送りとみる。なぜかといえば、景気の現状が思わしくないからだ。

安倍政権は景気を刺激するために秋に景気対策の補正予算を組むだろう。それは増税を目指す財務省にとっても避けられない。景気対策もしないで景気がこのまま悪化したら、とてもじゃないが、来年春に増税決定などできないからだ。

だが、景気対策で景気が劇的に上向くのは期待薄ではないか。せいぜい一段の悪化を食い止める程度だ。景気を下支えできたとしても、それで「さあ増税」とはいかない。8%に引き上げた14年4月増税の悪影響が1年以上経ったいまに至っても残っているのだ。

このうえ10%に引き上げたら、どれほど消費を冷え込ませることか。安倍政権の最重要課題はデフレ脱却である。だが、日銀が掲げた消費者物価上昇率2%の目標は当初目指した15年中に達成できず、16年半ばに達成時期を先送りしている。

まさに政権が増税判断をするタイミングである。そんな重要な時に政権が日銀の努力に水を差すような増税を決めるだろうか。10%引き上げを決めたら、日銀は一時的に目標を達成できたとしても、たちまち元の木阿弥になってしまうのは確実だろう。日銀の本音は増税ノーだ。

そもそも補正予算で景気対策を決めるなら、その効果も見極められないうちに増税するのは財政政策として根本的に矛盾している。右手で火鉢をあおぎながら、左手で水をかけるようなものだ。こういう政策展開の常識はポチ記者やピンぼけマスコミには分からないが、安倍政権はしっかり理解している。

*来年7月、ダブル選へ

10%引き上げを先送りするなら、安倍政権は来年7月のタイミングで衆参ダブル選に持ち込むのではないか。安倍政権の内閣支持率は終戦70年談話の発表後、持ち直しているが(たとえば産経・FNN合同世論調査で3.8%増の43.1%)、政権選択選挙でない参院選は、強すぎる与党を嫌う国民のバランス感覚が働きやすい。

増税先送りは与党に追い風をもたらす。それならダブル選で政権選択選挙に持ち込み、勢いに乗って参院選も有利に戦う。そんな政治判断は合理的である。

私は2016年ダブル選予想を7月12日放送のテレビ番組『そこまで言って委員会NP』で初めて話した。コラムは同17日発売『週刊ポスト』の「長谷川幸洋の反主流派宣言」が初出である。そちらもご参考に。いずれマスコミも安保関連法案の熱狂が覚めれば、報じ始めるだろう>(以上)

安保法案の(バカを相手の)審議で安倍政権はいささか疲れ始めたようだ。最後の「終戦談話」も終わったし、秋の例大祭で靖国参拝、来年のダブル選で反日屋を蹴散らし、リフレッシュして景気回復と中共包囲に全力で当たってほしいものだ。(2015/8/21)

◆松代大本営地下壕(長野市)

三宅 真太郎


 ■「客観的事実」を淡々と伝える

長野市の「松代(まつしろ)大本営地下壕(ごう)」は先の戦争末期、皇居や政府機関の移転先として建設が進められた。工事には日本人のほか朝鮮人も携わったが、公開されている象山地下壕入り口の説明板の表記は、昨年11月に市が変更するまで「全ての朝鮮人が強制的に動員された」という明らかに客観的な事実とは異なる表現だった。戦後70年、歴史をどう伝えていくべきかを考えさせられる戦跡だ。

 ◆地元高校生の活動

「当時はたくさんの日本人と朝鮮人が働いていました。事故や病気で命を落とした人もいるそうです」

8月5日、外の酷暑とは対照的な暗く、ひんやりとした地下壕の中。長野市の長野俊英高校郷土研究班が、大阪府河内長野市から訪れた大阪暁光(ぎょうこう)高校の生徒たちに説明した。当時の工事の様子や日本人と朝鮮人の関係についても解説した。歴代の研究班が行ってきた関係者への調査などに基づいた内容だ。

「朝鮮人が虐待された場所という見方もありますが、すべてがそうではありません。今日の平和と歴史を考えるきっかけにしてください」との言葉には説得力があった。研究班の高野周太班長(17)は「私たちは証言に基づいた客観的な事実のみを伝えています。悲しい戦争が2度と起こらないようにするために大切なことです」と強調する。

研究班は昭和60年、沖縄での平和学習をきっかけに発足。地元にあった松代大本営地下壕に注目し、工事関係者や地元住民ら当時を知る人に聞き取り調査を行い、得た証言は160人を超えた。現在は研究内容を学園祭で発表し、県内外から訪れる見学者への案内などを行っている。

 ◆新表記付け替え

松代大本営地下壕は同市松代町の舞鶴山、皆神山、象山に碁盤の目状に掘り抜かれ、総延長は10キロに及ぶ。昭和19年11月から始まった掘削工事は、約8割が完成したところで翌年8月の終戦を迎えた。平成元年から象山地下壕の約500メートル部分を市が管理して無料で公開。年間10万人前後の見学者が訪れる。

昨年8月、市が地下壕入り口にある説明板の「延べ300万人の住民及び朝鮮人の人々が労働者として強制的に動員され」という表記の「強制的に」という部分にテープを貼って削除したことが問題化した。

収入などを目的に自発的に参加した労働者も少なくなかったことは証言などから明らかで、「労働者全員が強制的に動員された」という誤解を防ぐためだったが、一部からは批判の声が出た。市は「全てが強制的ではかったなど、さまざまな見解がある」などとした新表記を決定し、同年11月に説明板を付け替えた。

しかし、まだ一部団体は元の表記に戻すよう求めている。その一つ「松代大本営追悼碑を守る会」の塩入隆会長(81)は「朝鮮人の多くが強制的に連れて来られた事実を認識してほしい。両論併記などというあやふやな表現ではそのことが伝わらない」と語る。

「事実と異なっても自虐的に伝えた方が平和につながる」と受け取れる主張だが、それだけに証言を基に客観的な事実を伝えようという長野俊英高校郷土研究班の取り組みは貴重だ。

顧問を務める海野修教諭は「調査から地下壕は雇用の場という側面があったとみている。『全てが強制的だった』などという主張には驚く。事実を淡々と伝えることが日韓両国の真の友好につながる」と強調する。

長野市の加藤久雄市長は「地下壕は歴史的な遺跡。客観的事実に基づいた史実を国民に広く知ってもらいたい」と話している。

               ◇

【用語解説】松代大本営象山地下壕

長野市松代町西条479の11。車で上信越道長野ICから約10分。代官町駐車場から徒歩7分。公開時間は午前9時〜午後4時。毎月第3火曜と年末年始は休み。

産経ニュース【戦後70年 戦跡を行く】2015.8.21

               (採録:松本市 久保田 康文)

◆戦後70年、中国の大戦略に備えよ

櫻井よしこ



中国研究を専門とするペンシルバニア大学教授のアーサー・ウォルドロン氏は、いま日本人は13世紀の元寇以来、最も深刻な危機に直面していると警告する。

蒙古と高麗軍が壱岐・対馬を占領した当時、日本人は危機を実感した。だがいま、中国が日本を遠くから包囲し、包囲網をじわじわと狭めていることに多くの日本人が気づいていないというのだ。

「気づいた時は既に遅く、日本は身動きできなくなっている危険が大きい」と、ウォルドロン氏。
 
中国の日本への挑戦は歴史の捏造から領土・領海侵犯まで幅広い。これらを個々の問題としてではなく、一体化してとらえ、日本への挑戦を中国の世界戦略の中に位置づけて考えなければ、中国の意図は掴めない。
 
しかし全体像を見渡せば、中国の意図は明白である。東シナ海と南シナ海で支配権を確立し、日米両国に中国の支配を受け入れざるを得ないと納得させることを目指している。
 
2008年のガス田の日中共同開発合意を無視して、中国が東シナ海に新たに建造した12基もの海洋プラットホームも彼らの戦略の全体像に立って見れば、開発の動機が経済のためだけではないことが見てとれる。
 
国家基本問題研究所副理事長、田久保忠衛氏は、これら海洋構築物が軍事転用されれば日本にとってのキューバ危機になると警告する。しかし、大な意味を持つ中国の海洋開発を日本政府は国民に知らせずにきた。日本の安全保障政策を担う国家安全保障会議(NSC)局長の谷内正太郎氏の訪中後に、政府は初めて発表したが、政府の反応は総じて鈍い。
 
中国側が全プラットホームを日中中間線の中国側に建てたことを以て「法的には抗議しにくい」という。建造物が天然ガス採掘用のプラットホームであるために議論は経済的要因の分析にとどまり、中国の軍事戦略に結びつける議論は少ない。いわんやその本質をキューバ危機の再来と受けとめる危機感はどこにも見当たらない。

空白圏を埋める
 
だが、これこそ平和ボケではないか。まず、ガス田開発の経済的側面を見てみよう。中国はエネルギー調達先の多様化において、日本に先行する。

結果、東シナ海のガス田をはじめ、海洋由来のエネルギーが中国のエネルギー供給量全体に占める割合は決して大きくない。10年実績で中国の海洋由来の石油・ガス生産量は約6500万トン、中国の総消費量約6・8億トンの9・5%である。ガス単独で見れば、12年実績で中国はLNG(液化天然ガス)3040万トンを11か国から輸入、内52%がトルクメニスタンからだ。

カザフスタンを経由するパイプラインで送られるトルクメニスタンのガスは他に買い手が存在しないために、完全な中国の買い手市場である。
 
中露間にも同様の中国優位の契約が結ばれた。ロシアのガスはモンゴルを迂回してパイプラインで沿海部に運ばれる見通しだ。ロシアが大幅に譲歩を迫られた同案件は、エネルギー需要が伸びる中で中国が安定した安価なガス輸入の枠組みを作り上げたことを示している。
 
従って中国の海洋進出に関してエネルギー確保の可能性は否定できないが、真の動機には、むしろ軍事的側面があると考えなければならない。

南シナ海、東シナ海と共に、第一列島線を出た太平洋での中国の動き、たとえば沖ノ鳥島を島と認めず、同島周辺の日本の排他的経済水(EEZ)を認めない中国の意図を、一体のものとして考え、彼らの目的を探り出さなければならない。
 
右のいずれの海域にも共通しているのが、中国は空域を管制する能力持っていない点だ。そしていま中国が進めているのが、その支配圏の空白域を埋める作業なのである。
 
東シナ海のプラットホームの軍事転用は同海域上空に設定した中国の防空識別圏(DIZ)を真に機能させ、自衛隊と米軍の動きを制限する結果をもたらす。
 
南シナ海で7つの島を埋め立て造成した人工島は、中国管制の空白圏だった南シナ海中央部、フィリピン、台湾間のバシー海峡で、中国の航空管制力を強化することになる。
 
中国はあらゆる意味で台湾への影響力を強めており、中国の侵略を阻止する台湾の力は失われつつある。7月30日、沖縄本島と宮古島間の宮古水道上空を中国人民解放軍の爆撃機など4機が2日連続で飛行した。4機は東シナ海から太平洋に出て反転し、同じルートで中国側に戻ったが、台湾海峡への中国のコントロールが強まれば、日本への影響は測り知れない。
 
中国が沖ノ鳥島を島だと認めないのは、射程3000キロを誇る米軍の巡航ミサイルが北京を襲う可能性への恐れだと専門家は見る。米国との戦闘を想定すれば、中国は北京を起点に半径3000キロ以内の海を確保し、米軍の接近を許さないのがその戦略の基本となる。沖ノ鳥島周辺の日本のEEZを断じて許さないと主張するのは、周辺海域を逆に中国の支配下に置く意思であろう。

気味悪い程の熱心さ
 
習主席は「中華民族の偉大なる復興」を掲げるが、中国の夢の実現は米国と戦うよりも、米国の脅威を無効化することによって戦わずに達成するのが賢明な方法だと、孫子の兵法に倣って考える。
 
戦わずして勝つその手法が、東シナ海、沖縄・南西諸島、沖ノ鳥島海域を含む西太平洋、南シナ海、バシー海峡、台湾海峡をまたいで勢力圏を形成し、日米両国にとっての生命線であるシーレーンを握ることなのだ。日本は石油の90%以上を同海域を通って運び、米国の戦略物資の過半も同様である。
 
こうした全体像の中に東シナ海ガス田問題を置いて考えれば、同問題を経済的要因だけで判断することの危険性は明らかだろう。
 
中国を駆り立てるエネルギーは、かつて中国は全てを奪われたという恨みと暗い情念とである。彼らは米国でも欧州でもない、中国自身の価値観基づいた世界の形成を目指しているが、彼らの価値観を体現する中国で人々は幸せになっているだろうか。

7月のわずかひと月で人権擁護派の弁護士ら200人以上が拘束・逮捕された。チベット、ウイグル、モンゴルの人々は弾圧され、虐殺され続けている。空気も水も金儲け優先で汚染されている。
 
その中国がいま、気味悪い程の熱心さで、安倍晋三首相の訪中を働きかけている。靖国神社に参拝しないという意思の伝達を含む3条件つきの訪中の要請だそうだ。
 
自由と人権を認めず歴史を捏造する指導者に、留保もつけずに訪中することは、価値観を大事にする日本の首相には似合わない。日本らしさを殺ぎ国益に適わない訪中なら、慎重にすべきだ。
『週刊新潮』 2015年8月13・20日合併号 日本ルネッサンス 第667回
                (採録:松本市  久保田 康文